説明

半導体パッケージの製造方法

【課題】支持体上に半導体チップを配置する際に精度良く位置合わせできるとともに、微細な配線を形成可能な半導体パッケージの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本半導体パッケージの製造方法は、支持体の一の面に、位置合わせマークを形成する第1工程と、前記位置合わせマークにより位置合わせした半導体チップを、回路形成面が前記一の面と対向し、かつ、前記位置合わせマークを覆うように、前記支持体上に配置する第2工程と、前記支持体上に配置された前記半導体チップを封止する樹脂部を形成する第3工程と、前記支持体を除去する第4工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップと、半導体チップを覆う樹脂部とを有する半導体パッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体チップと、半導体チップを覆う樹脂部とを有する半導体パッケージが知られている。
【0003】
このような半導体パッケージの一例においては、半導体チップの側面が樹脂部により覆われている。半導体チップの能動面、すなわち回路形成面は、樹脂部の半導体チップの能動面と同一側の面と略面一とされている。そして、半導体チップの能動面上及び樹脂部の半導体チップの能動面と同一側の面上に、配線層と絶縁層とが積層されてなる配線構造が形成されている。
【0004】
このような半導体パッケージの製造方法の一例として、以下のような製造方法が知られている。
【0005】
例えば、半導体チップの能動面が、支持体の表面に接するように、支持体上に搭載し、半導体チップを樹脂部により封止した後、支持体を除去する。その後、半導体チップの能動面上及び樹脂部上に、配線層と絶縁層とを積層することによって、半導体パッケージを製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第02/33751号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/15266号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の半導体パッケージの製造工程では、支持体上に半導体チップを配置する際に、位置決め上の工夫がなされていなかった。そのため、半導体チップを高精度に位置合わせできないという虞があった。
【0008】
半導体チップを高精度に位置合わせできないときは、半導体チップ上に形成する配線層と半導体チップとの相互の位置精度も低くなる。従って、微細で高密度の配線層を形成できないという虞があった。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みて、支持体上に半導体チップを配置する際に精度良く位置合わせできるとともに、微細な配線を形成可能な半導体パッケージの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本半導体パッケージの製造方法は、支持体の一の面に、位置合わせマークを形成する第1工程と、前記位置合わせマークにより位置合わせした半導体チップを、前記半導体チップの回路形成面が前記一の面と対向し、かつ、前記位置合わせマークを覆うように、前記支持体上に配置する第2工程と、前記支持体上に配置された前記半導体チップを封止する樹脂部を形成する第3工程と、前記支持体を除去する第4工程と、を有することを要件とする。
【発明の効果】
【0011】
開示の技術によれば、支持体上に半導体チップを配置する際に精度良く位置合わせできるとともに、微細な配線を形成可能な半導体パッケージの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態に係る半導体パッケージを例示する図である。
【図2】第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その1)である。
【図3】第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その2)である。
【図4】第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その3)である。
【図5】第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その4)である。
【図6】第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その5)である。
【図7】第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その6)である。
【図8】第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その7)である。
【図9】第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その8)である。
【図10】第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その9)である。
【図11】第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その10)である。
【図12】第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その11)である。
【図13】第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その12)である。
【図14】第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その13)である。
【図15】第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その14)である。
【図16】第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その15)である。
【図17】第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その16)である。
【図18】第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その17)である。
【図19】第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その18)である。
【図20】第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その19)である。
【図21】比較例に係る半導体パッケージを例示する断面図である。
【図22】比較例に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その1)である。
【図23】比較例に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その2)である。
【図24】比較例に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その3)である。
【図25】比較例に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その4)である。
【図26】比較例に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その5)である。
【図27】第1の実施の形態の変形例に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図である。
【図28】第2の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その1)である。
【図29】第2の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その2)である。
【図30】第2の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その3)である。
【図31】第2の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その4)である。
【図32】第2の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その5)である。
【図33】第2の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その6)である。
【図34】第2の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その7)である。
【図35】第2の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図(その8)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、以下に説明する平面図又は底面図において、断面図との対応関係を明確化する目的で、断面図と同一のハッチングを施す場合がある。
【0014】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る半導体パッケージの構造]
図1は、第1の実施の形態に係る半導体パッケージを例示する図である。図1(a)は断面図、図1(b)は底面図である。図1を参照するに、半導体パッケージ10は、半導体チップ20と、樹脂部30と、配線構造40とを有する。
【0015】
半導体チップ20は、半導体基板21と、半導体集積回路22と、複数の電極パッド23と、保護膜24とを有する。半導体チップ20の大きさ(平面視)は、例えば5mm×10mm程度とすることができる。半導体チップ20の厚さT1は、例えば800μm程度(適用可能な範囲:100〜800μm)とすることができる。なお、以降、半導体チップ20において、電極パッド23が形成されている側の面20aを回路形成面と称する場合がある。
【0016】
半導体基板21は、例えばSi基板とすることができる。半導体集積回路22は、拡散層、絶縁層、ビア、及び配線等(図示せず)を有する。電極パッド23は、半導体集積回路22上に設けられており、半導体集積回路22と電気的に接続されている。電極パッド23の材料としては、例えば、Al等を用いることができる。電極パッド23の材料として、Cu層の上にAl層を形成したもの、Cu層の上にSi層を形成し、その上に更にAl層を形成したもの等を用いても構わない。
【0017】
保護膜24は、半導体集積回路22上に設けられている。保護膜24は、半導体集積回路22を保護するための膜であり、パッシベーション膜と称する場合もある。保護膜24としては、例えば、SiN膜、PSG膜等を用いることができる。又、SiN膜やPSG膜等からなる層に、更にポリイミド等からなる層を積層しても構わない。保護膜24の面24aは、電極パッド23の面23aと略面一とされている。
【0018】
樹脂部30は、半導体チップ20の面20c(側面)を覆うように形成されている。なお、半導体チップ20において、面20b(背面)は回路形成面20aと反対側の面である。樹脂部30の面30aは、半導体チップ20の保護膜24の面24aと略面一とされている。樹脂部30の幅Wは例えば2.5mm程度(適用可能な範囲:2〜5mm)とすることができる。
【0019】
配線構造40は、第1配線層41と、第2配線層42と、第3配線層43と、第1絶縁層44と、第2絶縁層45と、第3絶縁層46と、ソルダーレジスト層47とを有する。
【0020】
配線構造40は、半導体チップ20と半導体チップ20の面20c(側面)を覆う樹脂部30とを基体として、半導体チップ20の回路形成面20a上及び樹脂部30の回路形成面20aと同一側の面30a上に形成されている。配線構造40の厚さTは、例えば50μm程度(適用可能な範囲:50〜100μm)とすることができる。すなわち、半導体チップ20の厚さT1(適用可能な範囲:100〜800μm)に比べると配線構造40の厚さT(適用可能な範囲:50〜100μm)は非常に薄く形成されている。
【0021】
第1絶縁層44は、半導体チップ20の電極パッド23の面23a及び保護膜24の面24a並びに樹脂部30の面30a上に形成されている。第1配線層41は、第1絶縁層44上に形成されており、第1絶縁層44を貫通する第1ビアホール44xを介して半導体チップ20の電極パッド23と電気的に接続されている。第2絶縁層45は、第1配線層41を覆うように第1絶縁層44上に形成されている。第2配線層42は、第2絶縁層45上に形成されており、第2絶縁層45を貫通する第2ビアホール45xを介して第1配線層41と電気的に接続されている。第3絶縁層46は、第2配線層42を覆うように第2絶縁層45上に形成されている。第3配線層43は、第3絶縁層46上に形成されており、第3絶縁層46を貫通する第3ビアホール46xを介して第2配線層42と電気的に接続されている。
【0022】
ソルダーレジスト層47は、第3配線層43を覆うように第3絶縁層46上に形成されている。ソルダーレジスト層47は開口部47xを有し、開口部47x内には第3配線層43の一部が露出している。ソルダーレジスト層47の開口部47x内に露出する第3配線層43は、マザーボード等と接続される電極パッドとして機能する。
【0023】
なお、ソルダーレジスト層47の開口部47x内に露出する第3配線層43上に金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni層とAu層をこの順番で積層したNi/Au層、Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層したNi/Pd/Au層等を挙げることができる。又、金属層に代えて、ソルダーレジスト層47の開口部47x内に露出する第3配線層43上にOSP(Organic Solderability Preservative)処理を施しても構わない。
【0024】
[第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造方法]
続いて、第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造方法について説明する。図2〜図20は、第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図である。図2〜図20において、図1と同一部分については、同一符号を付し、その説明は省略する場合がある。なお、図2〜図8及び図10〜図11において、(a)は平面図、(b)は(a)のD−D線に沿う断面図である。また、図3〜図8及び図10〜図19において、Eは、後述する図20に示す工程において、図19に示す構造体を切断する位置を示している。
【0025】
始めに、図2に示す工程では、複数の半導体チップ20を有する半導体ウェハ11(半導体基板21)を準備する。半導体ウェハ11において、Bは複数の半導体チップ20を分離するスクライブ領域(以下、「スクライブ領域B」とする)、Cはダイシングブレード等が半導体ウェハ11を切断する位置(以下、「切断位置C」とする)を示している。半導体ウェハ11の直径φは、例えば200mm程度とすることができる。又、半導体ウェハ11の厚さ(半導体チップ20の厚さ)T1は、例えば800μm程度(適用可能な範囲:100〜800μm)とすることができる。半導体チップ20の詳細については、前述のとおりである。
【0026】
次いで、図3から図5に示す工程では、支持体50を準備し、準備した支持体50の面50aに、配置される半導体チップ20を位置合わせするための位置合わせマークの一例としてアライメントマーク51を形成する。支持体50の材料としては、例えば銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)等の金属、セラミックその他各種の材料を用いることができる。支持体50の厚さTは、例えば200μm程度とすることができる。また、支持体50には、例えば各半導体チップ20に対してアライメントマーク51を2つずつ形成することができる。
【0027】
また、平面視におけるアライメントマーク51の形状としては、円形の他に、楕円形、矩形、十字状等、各種形状とすることができる。
【0028】
なお、以降の説明は、支持体50として銅(Cu)を用いた場合を例に行う。
【0029】
まず、図3に示す工程では、支持体50の面50a上に開口部52xを有するレジスト層52を形成する。具体的には、支持体50の面50a上にレジスト液を塗布し、塗布したレジスト液を露光及び現像することにより、開口部52xを有するレジスト層52を形成する。なお、開口部52xを有するレジスト層52は、シート状のレジスト(ドライフィルムレジスト)のラミネートで形成しても良い。レジスト層52の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やイミド系樹脂等を含む感光性樹脂組成物を用いることができる。レジスト層52の厚さTは、例えば50〜100μm程度とすることができる。また、開口部52xは、平面視において例えば円形形状を有するものとすることができ、このときの開口部52xの内径は、例えば30μm程度とすることができる。なお、開口部52xは、後の工程で、支持体50の面50aであって、面50a上に配置される半導体チップ20に覆われる部分50b、すなわち半導体チップ20の面20b(背面)と底面視において重複する部分50bに形成される。
【0030】
次いで、図4に示す工程では、図3に示す開口部52xの部分の支持体50の面50aをエッチングにより除去する。開口部52xの部分の支持体50の面50aは、例えば塩化第二鉄水溶液等を用いたエッチングにより除去することができる。
【0031】
次いで、図5に示す工程では、図4に示すレジスト層52を除去する。レジスト層52は、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)等のアルカリ性溶液を用いた剥離工程により除去することができる。これにより、支持体50の面50aに凹部51aよりなるアライメントマーク51を形成することができる。なお、凹部51aは、支持体50の面50aの反対面まで貫通していないことが好ましい。これにより、後の工程で支持体50の面50a上に粘着層53を形成する際に、粘着層53の材料が貫通孔を通って支持体50の面50aの反対面側に漏れ出すことを防止できる。
【0032】
前述したように、開口部52xは、後の工程で支持体50の面50a上に配置される半導体チップ20の面20b(背面)と底面視において重複する部分50bに形成されている。従って、凹部51aよりなるアライメントマーク51は、支持体50の面50aであって、後の工程で支持体50の面50a上に配置される半導体チップ20により覆われる部分50bに形成される。
【0033】
なお、支持体50の面50aに形成されるアライメントマーク51は、凹部でなくてもよく、例えば凸部であってもよく、表面を例えばエッチング、スパッタ等により変色させて形成したものであってもよい。
【0034】
アライメントマークを支持体50以外の例えば後述する粘着層53に形成したとすると、粘着層53は半硬化状態のものであるため、アライメントマークを位置精度良く形成することが難しい。一方、アライメントマーク51を金属やセラミック等の形状の安定した支持体50に形成するときは、アライメントマーク51を位置精度良く形成することができ、半導体チップ20を支持体50上に配置するときの位置合わせ精度を向上させることができる。
【0035】
次いで、図6に示す工程では、アライメントマーク51が形成された支持体50の面50a上に、例えばポリイミド系樹脂等のフィルムを貼着し、粘着層53を形成する。具体的には、支持体50の面50a上に、上記したフィルムをラミネートし、貼着することにより、粘着層53を形成することができる。粘着層53の厚さTは、例えば25μm程度とすることができる。
【0036】
次いで、図7に示す工程では、図2に示す半導体ウェハ11をダイシングブレード等により切断位置Cで切断して半導体チップ20を個片化する。そして、各半導体チップ20を、粘着層53を介して支持体50の面50a上に配置する。具体的には、支持体50の面50aに形成したアライメントマーク51を基準として半導体チップ20を位置合わせし、位置合わせした半導体チップ20を、回路形成面20aが粘着層53の面53aと対向するように、粘着層53を介して支持体50の面50a上に配置する。そして、配置した各半導体チップ20を加圧する。これにより、各半導体チップ20は、フェイスダウンの状態で粘着層53を介して支持体50の面50a上に固定される。
【0037】
例えばチップマウンターによりアライメントマーク51を検出し、半導体チップ20を支持体50の面50a上に搭載することができる。
【0038】
また、前述したように、アライメントマーク51は、支持体50の面50aであって、面50a上に配置される半導体チップ20により覆われる部分50bに形成されている。従って、位置合わせした半導体チップ20を、回路形成面20aが粘着層53の面53aと対向し、かつ、アライメントマーク51を覆うように、支持体50の面50a上に配置することができる。
【0039】
また、図6に示すように、粘着層53の面53aにアライメントマーク51に対応して凹部53bが形成された場合であっても、位置合わせした半導体チップ20を、凹部53bを覆うように、支持体50の面50a上に配置することができる。そのため、図7に示すように、支持体50の面50a上に半導体チップ20が配置された後、凹部53bすなわちアライメントマーク51が、支持体50の表面(面50a)に露出されないようにすることができる。
【0040】
なお、隣接する半導体チップ20の間隔は任意で構わない。
【0041】
次いで、図8に示す工程では、粘着層53の面53a上に、圧縮成形等により、半導体チップ20を封止する樹脂部30を形成する。具体的には、図9に示すように、図7に示す構造体を下金型18上に載置し、粘着層53の面53a上に、半導体チップ20を覆うように樹脂部30の材料であるエポキシ系樹脂等のタブレットや粉末を配置する。そして、樹脂部30の材料であるエポキシ系樹脂等を加熱し、上金型19で下金型18の反対側から加圧することにより均一化し硬化させる。これにより、支持体50上に配置された半導体チップ20の回路形成面20aと反対側の面20bを覆うように、樹脂部30を形成することができる。加熱は、例えば150℃5分程度とすることができる。粘着層53の面53aから樹脂部30の面30bまでの厚さTは、例えば900μm以上とすることができる。
【0042】
前述したように、凹部53bすなわちアライメントマーク51は、支持体50の表面(面50a)に露出されていない。そのため、図8に示すように、樹脂部30の回路形成面20aと同一側の面30aに、凹部53bを介して、アライメントマーク51の形状が転写され、凸部が形成されることを防止できる。
【0043】
次いで、図10及び図11に示す工程では、図8に示す支持体50及び粘着層53を除去する。
【0044】
まず、図10に示す工程では、図8に示す支持体50を除去する。支持体50が例えば銅(Cu)よりなるときは、例えば塩化第二鉄水溶液等を用いたエッチングにより除去することができる。
【0045】
次いで、図11に示す工程では、粘着層53を除去する。粘着層53は、例えば機械的に引き剥がすことにより、半導体チップ20の回路形成面20a側及び樹脂部30の回路形成面20aと同一側の面30aから除去することができる。これにより、樹脂部30は、半導体チップ20の面20c(側面)及び面20b(背面)を覆うように形成される。なお、図11は、粘着層53が引き剥がされる途中の状態を示している。
【0046】
前述したように、樹脂部30の回路形成面20aと同一側の面30aには、アライメントマーク51の形状が転写されていない。そのため、図11に示すように、支持体50及び粘着層53を除去した後、樹脂部30の半導体チップ20の回路形成面20aと同一側の面30aの平坦性が低下することを防止できる。
【0047】
次いで、図12から図17に示す工程では、半導体チップ20の回路形成面20a上及び樹脂部30の回路形成面20aと同一側の面30a上に、半導体チップ20と電気的に接続される配線構造40を形成することができる。
【0048】
まず、図12に示す工程では、電極パッド23の面23a、保護膜24の面24a及び樹脂部30の面30a上に第1絶縁層44を形成する。第1絶縁層44の材料としては、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂などの樹脂材を用いることができる。第1絶縁層44は、例えば、電極パッド23の面23a、保護膜24の面24a及び樹脂部30の面30a上に樹脂フィルムをラミネートした後に、樹脂フィルムをプレス(押圧)し、その後、190℃程度の温度で熱処理して硬化させることにより形成することができる。なお、図12〜図20は、便宜上図11とは上下反転して図示している。
【0049】
次いで、図13に示す工程では、第1絶縁層44に、レーザ加工法等を用いて、電極パッド23が露出するように第1絶縁層44を貫通する第1ビアホール44xを形成する。なお、第1絶縁層44として感光性樹脂膜を用い、フォトリソグラフィによりパターニングして第1ビアホール44xを形成する方法を用いてもよいし、スクリーン印刷により開口部が設けられた樹脂膜をパターニングして第1ビアホール44xを形成する方法を用いてもよい。
【0050】
次いで、図14に示す工程では、第1絶縁層44上に、第1ビアホール44x内に露出した電極パッド23と電気的に接続する第1配線層41を形成する。第1配線層41の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第1配線層41は、例えばセミアディティブ法により形成される。なお、第1配線層41は、第1ビアホール44x内のビア導体と第1絶縁層44上の配線パターンとを含んでいる。
【0051】
第1配線層41を、セミアディティブ法により形成する例を、より詳しく説明する。先ず、無電解めっき法又はスパッタ法により、第1ビアホール44x内壁及び第1絶縁層44上にCuシード層(図示せず)を形成した後に、このCuシード層(図示せず)上に第1配線層41に対応する開口部を備えたレジスト層(図示せず)を形成する。次いで、Cuシード層を給電層に利用した電解めっき法により、レジスト層の開口部にCu層パターン(図示せず)を形成する。続いて、レジスト層を除去した後に、Cu層パターンをマスクにしてCuシード層をエッチングすることにより、第1配線層41を得る。なお、第1配線層41の形成方法としては、上述したセミアディティブ法の他にサブトラクティブ法などの各種の配線形成方法を用いることができる。
【0052】
次いで、図15に示す工程では、上記と同様な工程を繰り返すことにより、第1配線層41〜第3配線層43及び第1絶縁層44〜第3絶縁層46を積層する。すなわち、第1配線層41を被覆する第2絶縁層45を形成した後に、第1配線層41上の第2絶縁層45の部分に第2ビアホール45xを形成する。
【0053】
更に、第2絶縁層45上に、第2ビアホール45xを介して第1配線層41に接続される第2配線層42を形成する。第2配線層42としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第2配線層42は、例えばセミアディティブ法により形成される。
【0054】
更に、第2配線層42を被覆する第3絶縁層46を形成した後に、第2配線層42上の第3絶縁層46の部分に第3ビアホール46xを形成する。更に、第3絶縁層46上に、第3ビアホール46xを介して第2配線層42に接続される第3配線層43を形成する。第3配線層43としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。第3配線層43は、例えばセミアディティブ法により形成される。
【0055】
このようにして、電極パッド23の面23a、保護膜24の面24a及び樹脂部30の面30a上に所定のビルドアップ配線層が形成される。本実施例では、3層のビルドアップ配線層(第1配線層41〜第3配線層43)を形成したが、n層(nは1以上の整数)のビルドアップ配線層を形成してもよい。
【0056】
次いで、図16に示す工程では、第3配線層43を被覆するように第3絶縁層46上にソルダーレジストを塗布し、ソルダーレジスト層47を形成する。ソルダーレジスト層47の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やイミド系樹脂等を含む感光性樹脂組成物を用いることができる。
【0057】
次いで、図17に示す工程では、ソルダーレジスト層47を露光、現像することで開口部47xを形成する。これにより、第3配線層43の一部は、ソルダーレジスト層47の開口部47x内に露出する。ソルダーレジスト層47の開口部47x内に露出する第3配線層43は、マザーボード等と接続される電極パッドとして機能する。
【0058】
なお、ソルダーレジスト層47の開口部47x内に露出する第3配線層43上に金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni層とAu層をこの順番で積層したNi/Au層、Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層したNi/Pd/Au層等を挙げることができる。例えば、無電解めっきにより、これらの金属層を設けることができる。又、金属層に代えて、ソルダーレジスト層47の開口部47x内に露出する第3配線層43上にOSP(Organic Solderability Preservative)処理を施しても構わない。
【0059】
次いで、図18に示す工程では、図17に示す樹脂部30の面30bを半導体チップ20の面20bが露出するまで研削する。樹脂部30の研削には、例えばグラインダー等を用いることができる。
【0060】
なお、図18に示す工程は省略してもよい。すなわち、半導体パッケージは、半導体チップ20の面20bが樹脂部30で被覆されていてもよい。
【0061】
次いで、図19に示す工程では、ソルダーレジスト層47の開口部47x内に露出する第3配線層43上にはんだボール48を搭載する。
【0062】
なお、はんだボール48を搭載せず、開口部47x内に露出する第3配線層43を、外部と電気的に接続するための外部接続端子としてもよい。
【0063】
次いで、図20に示す工程では、図19に示す構造体を例えばEの位置で切断して個片化する。これにより、図1に示す半導体パッケージ10が完成する。
【0064】
次に、第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造方法によれば、支持体上に半導体チップを配置する際に精度良く位置合わせできるとともに、微細な配線を形成可能な半導体パッケージを製造できることを、比較例と対比しながら説明する。
【0065】
支持体上に半導体チップを配置する際に精度良く位置合わせするためには、支持体上に、半導体チップを位置合わせするためのアライメントマークを形成することが好ましい。しかし、支持体上に単にアライメントマークを形成すると、樹脂部の平坦性が悪化し、微細で高精度な配線を形成することが難しい。そこで、本発明者らは、支持体上に形成したアライメントマークを覆うように、半導体チップを支持体上に配置するという、本願発明を見出すに至ったものである。
【0066】
なお、以下に説明する比較例に係る半導体パッケージの製造方法についても、本発明者らが比較検討している製造方法である。
【0067】
図21は、比較例に係る半導体パッケージを例示する断面図である。図21を参照するに、半導体パッケージ100は、半導体チップ200と、樹脂部300と、配線構造400とを有する。
【0068】
半導体チップ200は、チップ本体210と、電極パッド220とを有する。チップ本体210は、シリコン等からなる薄板化された半導体基板(図示せず)上に半導体集積回路(図示せず)等が形成されたものである。電極パッド220は、チップ本体210に形成されており、電極パッド220の面220aはチップ本体210の表面である面200aから露出している。電極パッド220は、チップ本体210の半導体集積回路(図示せず)と電気的に接続されている。
【0069】
樹脂部300は、半導体チップ200の側面である面200bを覆うように設けられている。樹脂部300は半導体チップ200の面200aと、その反対面である面200cには設けられておらず、半導体チップ200の面200a及び200cは樹脂部300から露出している。樹脂部300の面300aは、半導体チップ200の面200aと略面一とされている。又、樹脂部300の面300bは、半導体チップ200の面200cと略面一とされている。なお、半導体チップ200において、面200aを回路形成面、面200bを側面、面200cを背面と称する場合がある。
【0070】
配線構造400は、第1配線層410と、第2配線層420と、第3配線層430と、第1絶縁層440と、第2絶縁層450と、第3絶縁層460と、ソルダーレジスト層470とを有する。
【0071】
第1絶縁層440は、半導体チップ200の面200a及び樹脂部300の面300a上に形成されている。第1配線層410は、第1絶縁層440上に形成されており、第1絶縁層440を貫通する第1ビアホール440xを介して半導体チップ200の電極パッド220と電気的に接続されている。第2絶縁層450は、第1配線層410を覆うように第1絶縁層440上に形成されている。第2配線層420は、第2絶縁層450上に形成されており、第2絶縁層450を貫通する第2ビアホール450xを介して第1配線層410と電気的に接続されている。第3絶縁層460は、第2配線層420を覆うように第2絶縁層450上に形成されている。第3配線層430は、第3絶縁層460上に形成されており、第3絶縁層460を貫通する第3ビアホール460xを介して第2配線層420と電気的に接続されている。
【0072】
ソルダーレジスト層470は、第3配線層430を覆うように第3絶縁層460上に形成されている。ソルダーレジスト層470は開口部470xを有し、開口部470x内には第3配線層430の一部が露出している。ソルダーレジスト層470の開口部470x内に露出する第3配線層430は、マザーボード等と接続される電極パッドとして機能する。
【0073】
図22〜図26は、比較例に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図である。図22〜図26において、図21と同一部分については、同一符号を付し、その説明は省略する場合がある。なお、図22〜図25において、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。以下、図22〜図26を参照しながら、従来の半導体パッケージの製造工程について説明する。なお、図22〜図25において、電極パッド220は省略されている。
【0074】
始めに、図22に示す工程では、半導体ウェハを個片化し、複数の半導体チップ200を作製する。そして、複数の半導体チップ200を、面200a(回路形成面)が支持体500の面500aと対向するように、支持体500の面500a上に配置する。支持体500の面500aには、半導体チップ200を位置合わせするための位置合わせマークの一例としてアライメントマーク510が形成されている。アライメントマーク510は、支持体500の面500aに形成された凹部又は凸部等であり、支持体500の面500aと段差を備えた形状を有している。また、アライメントマーク510が形成された支持体500の面500a上に、粘着層530が形成されている。支持体500の面500aに形成されたアライメントマーク510を基準として半導体チップ200を位置合わせし、位置合わせした半導体チップ200を、回路形成面200aが粘着層530の面530aと対向するように、粘着層530を介して支持体500の面500a上に配置する。そして、配置した各半導体チップ200を加圧する。
【0075】
次いで、図23に示す工程では、粘着層530の面530a上に、圧縮成形等により、複数の半導体チップ200を覆うように樹脂部300を形成する。具体的には、粘着層530の面530a上に、複数の半導体チップ200を覆うように、樹脂部300の材料であるエポキシ系樹脂等のタブレットや粉末を配置する。そして、このエポキシ系樹脂等を加熱、加圧することにより硬化させ、樹脂部300を形成する。
【0076】
次いで、図24に示す工程では、支持体500を除去する。支持体500は、例えばエッチングにより除去することができる。これにより、半導体チップ200の面200aは、樹脂部300の面300aから露出する。
【0077】
次いで、図25に示す工程では、樹脂部300の半導体チップ200の面200cを覆う部分を除去し、半導体チップ200の面200cを樹脂部300の面300bから露出する。これにより、樹脂部300は、半導体チップ200の面200b(側面)のみと接触し、面200a及び200cは樹脂部300から露出する。
【0078】
次いで、図26に示す工程では、半導体チップ200の面200a及び樹脂部300の面300a上に、第1絶縁層440、第1配線層410、第2絶縁層450、第2配線層420、第3絶縁層460、第3配線層430及び開口部470xを有するソルダーレジスト層470を順次形成する。そして、図26に示す工程の後、図26に示す構造体を切断位置Cで切断することにより、図21に示す半導体パッケージ100が完成する。
【0079】
比較例に係る半導体パッケージの製造方法では、図22に示したように、アライメントマーク510は、支持体500の面500aに形成された凹部又は凸部等であり、支持体500の面500aと段差を備えた形状を有している。また、粘着層530の面530aには、アライメントマーク510に対応して凹部530bが形成されている。そのため、図23から図26に示したように、樹脂部300の半導体チップ200の回路形成面200aと同一側の面300aには、凹部530bを介して、アライメントマーク510の形状が転写され、凸部300cが形成される。その結果、支持体500を除去した後、樹脂部300の半導体チップ200の回路形成面200aと同一側の面300aの平坦性が低下する虞がある。
【0080】
樹脂部300の面300aの平坦性の低下を防止するには、支持体500の面500aであって、周縁部等の半導体チップ200が配置される部分から離れた部分にアライメントマークを形成する方法が考えられる。しかし、周縁部等にアライメントマークを形成すると、アライメントマークと半導体チップ200が配置される部分との距離が大きくなり、半導体チップ200を配置する際に、精度良く位置合わせできないという虞がある。
【0081】
一方、第1の実施の形態によれば、アライメントマークを覆うように、半導体チップを支持体上に配置する。これにより、支持体を除去した後、樹脂部にアライメントマークの形状が転写されることを防止でき、かつ、樹脂部の半導体チップの回路形成面と同一側の面の平坦性を向上させることができる。そして、樹脂部30の面30aの平坦性が向上するので、微細な配線を高精度・高密度で形成することができる。
【0082】
なお、第1の実施の形態では、図12〜図17に示す工程において、半導体チップ20の回路形成面20a上及び樹脂部30の回路形成面20aと同一側の面30a上に、半導体チップ20と電気的に接続される配線構造40を形成する例について説明した。しかしながら、図11に示す工程までが終了した半導体チップ20及び樹脂部30を例えば別に準備した配線基板上に接合する、等の各種の工程を行うことによって、半導体パッケージを製造しても構わない。
【0083】
〈第1の実施の形態の変形例〉
第1の実施の形態では、半導体パッケージの製造方法において、支持体50を除去した後、半導体チップ20の回路形成面20a及び樹脂部30の回路形成面20aと同一側から粘着層53を剥離する例を示した。しかしながら、粘着層53を剥離するのが必ずしも支持体50を除去した後でなくても構わない。そこで、第1の実施の形態の変形例では、支持体50と粘着層53とを同時に剥離して除去する例を示す。第1の実施の形態の変形例において、第1の実施の形態と共通する部分についてはその説明を省略し、第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。
【0084】
第1の実施の形態の変形例に係る半導体パッケージは、図1に示す半導体パッケージ10と同様であり、説明を省略する。
【0085】
また、第1の実施の形態の変形例に係る半導体パッケージの製造方法は、図10、図11を除き、図2〜図20を用いて説明した第1の実施の形態に係る半導体パッケージの製造方法と同様であり、同様の工程についての説明を省略する。
【0086】
第1の実施の形態の変形例では、図10、図11に示す工程に代え、図27に示す工程を行う。
【0087】
図27は、第1の実施の形態の変形例に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図である。図27において、図1と同一部分については、同一符号を付し、その説明は省略する場合がある。なお、図27において、(a)は平面図、(b)は(a)のD−D線に沿う断面図である。また、図27において、Eは、図20に示す工程において、図19に示す構造体を切断する位置を示している。
【0088】
図27に示す工程では、図8に示す支持体50及び粘着層53を同時に剥離して除去する。具体的には、例えば図27に示す樹脂部30の面30aと粘着層53との界面(矢印Iで示す部分)を起点とし、半導体チップ20の回路形成面20a側及び樹脂部30の回路形成面20aと同一側の面30aから支持体50及び粘着層53を同時に機械的に引き剥がすことにより除去することができる。これにより、支持体50を例えばエッチングにより除去する工程を省略することができる。
【0089】
また、第1の実施の形態の変形例でも、図27に示す工程までが終了した半導体チップ20及び樹脂部30を例えば別に準備した配線基板上に接合する、等の各種の工程を行うことによって、半導体パッケージを製造しても構わない。
【0090】
〈第2の実施の形態〉
第1の実施の形態では、半導体パッケージの製造方法において、支持体50の面50aに、凹部51aよりなるアライメントマーク51を形成する例を示した。しかしながら、アライメントマーク51は必ずしも凹部でなくても構わない。そこで、第2の実施の形態では、支持体50の面50aに、めっき膜よりなるアライメントマーク54aを形成する例を示す。第2の実施の形態において、第1の実施の形態と共通する部分についてはその説明を省略し、第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。
【0091】
[第2の実施の形態に係る半導体パッケージの構造]
第2の実施の形態に係る半導体パッケージは、図1に示す半導体パッケージと同様であり、説明を省略する。
【0092】
[第2の実施の形態に係る半導体パッケージの製造方法]
続いて、第2の実施の形態に係る半導体パッケージの製造方法について説明する。図28〜図35は、第2の実施の形態に係る半導体パッケージの製造工程を例示する図である。図28〜図35において、図1と同一部分については、同一符号を付し、その説明は省略する場合がある。なお、図28〜図35において、(a)は平面図、(b)は(a)のD−D線に沿う断面図である。
【0093】
始めに、図28に示す工程の前に、第1の実施の形態で説明した図2に示す工程と同様の工程を行い、複数の半導体チップ20を有する半導体ウェハ11を準備する。
【0094】
次いで、図28から図30に示す工程では、支持体50を準備し、準備した支持体50の面50aに、配置される半導体チップ20を位置合わせするための位置合わせマークの一例としてアライメントマーク54aを形成する。支持体50の材料としては、例えば銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)等の金属、セラミックその他各種の材料を用いることができる。支持体50の厚さTは、例えば200μm程度とすることができる。また、支持体50には、例えば配置する各半導体チップ20に対してアライメントマーク54aを2つずつ形成することができる。
【0095】
なお、第1の実施の形態と同様に、以降の説明は、支持体50として銅(Cu)を用いた場合を例に行う。
【0096】
まず、図28に示す工程では、支持体50の面50a上に、レジスト層55を形成する。レジスト層55の形成方法は、第1の実施の形態において図3に示した工程と同様にすることができる。
【0097】
次いで、図29に示す工程では、形成したレジスト層55を露光及び現像することにより、開口部55bを有するマスク部55aを形成する。開口部55bを有するマスク部55aの形成方法は、第1の実施の形態において図3に示した工程と同様にすることができる。なお、マスク部55aは、後の工程で、支持体50の面50aであって、面50a上に配置される半導体チップ20に覆われる部分50b、すなわち半導体チップ20の面20b(背面)と底面視において重複する部分50bに形成する。
【0098】
次いで、図30に示す工程では、支持体50を給電層とする電解めっきにより、開口部55bに露出する支持体50表面に、アライメントマーク54aとなるめっき膜を析出させる。めっき膜の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。めっき膜の厚さは、例えば数μm程度とすることができる。なお、アライメントマーク54aの厚さは、めっき膜の厚さに等しく、粘着層53に埋め込まれる程度の厚さにすることが好ましい。
【0099】
次いで、図31に示す工程では、図30に示すレジスト層55を除去する。レジスト層55は、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)等のアルカリ性溶液を用いた剥離工程により除去することができる。これにより、支持体50の面50aに、めっき膜よりなるアライメントマーク54aを形成することができる。
【0100】
次いで、図32に示す工程では、アライメントマーク54aが形成された支持体50の面50a上に、粘着層53を形成する。粘着層53の形成方法は、第1の実施の形態において図6に示した工程と同様にすることができる。粘着層53の材料としては、例えばポリイミド系樹脂等を用いることができる。粘着層53の厚さTは、例えば25μm程度とすることができる。
【0101】
次いで、図33に示す工程では、図2に示す半導体ウェハ11をダイシングブレード等により切断位置Cで切断して半導体チップ20を個片化する。そして、各半導体チップ20を、粘着層53を介して支持体50の面50a上に配置する。具体的な配置方法は、第1の実施の形態において図7に示した工程と同様にすることができる。これにより、各半導体チップ20は、フェイスダウンの状態で粘着層53を介して支持体50の面50a上に固定される。
【0102】
また、前述したように、アライメントマーク54aは、支持体50の面50aであって、面50a上に配置される半導体チップ20により覆われる部分50bに形成されている。従って、位置合わせした半導体チップ20を、回路形成面20aが粘着層53の面53aと対向し、かつ、アライメントマーク54aを覆うように、支持体50の面50a上に配置することができる。
【0103】
また、粘着層53の面53aにアライメントマーク54aに対応して凹凸が形成された場合であっても、位置合わせした半導体チップ20を、アライメントマーク54aを覆うように、支持体50の面50a上に配置することができる。そのため、図33に示すように、支持体50の面50a上に半導体チップ20が配置された後、アライメントマーク54aが、支持体50の表面(面50a)に露出されないようにすることができる。
【0104】
次いで、図34に示す工程では、粘着層53の面53a上に、圧縮成形等により、半導体チップ20を封止する樹脂部30を形成する。具体的な樹脂部30の形成方法は、第1の実施の形態において図8及び図9に示した工程と同様にすることができる。これにより、支持体50上に配置された半導体チップ20の回路形成面20aと反対側の面20bを覆うように、樹脂部30を形成することができる。
【0105】
前述したように、アライメントマーク54aは、支持体50の表面(面50a)に露出されていない。そのため、図34に示すように、樹脂部30の回路形成面20aと同一側の面30aに、アライメントマーク54aの形状が転写されることを防止できる。
【0106】
次いで、図35に示す工程では、図34に示す支持体50及び粘着層53を除去する。具体的な支持体50及び粘着層53の除去方法は、第1の実施の形態において図10及び図11に示した工程と同様にすることができる。
【0107】
前述したように、樹脂部30の回路形成面20aと同一側の面30aには、アライメントマーク54aの形状が転写されていない。そのため、図35に示すように、支持体50及び粘着層53を除去した後、樹脂部30の半導体チップ20の回路形成面20aと同一側の面30aの平坦性が低下することを防止できる。
【0108】
その後、第1の実施の形態において図12から図20に示した工程と同様の工程を行い、配線構造40を形成し、樹脂部30を研削し、はんだボール48を搭載し、個片化する。これにより、図1に示す半導体パッケージ10が完成する。
【0109】
このように、第2の実施の形態によれば、アライメントマークを形成し、アライメントマークを覆うように、半導体チップを支持体上に配置する。これにより、支持体を除去した後、樹脂部にアライメントマークの形状が転写されることを防止でき、かつ、樹脂部の半導体チップの回路形成面と同一側の面の平坦性を向上させることができる。そして、樹脂部30の面30aの平坦性が向上するので、微細な配線を高精度・高密度で形成することができる。その結果、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0110】
なお、第2の実施の形態において、第1の実施の形態の変形例において図27に示した工程と同様に、支持体50と粘着層53とを同時に剥離して除去しても構わない。その場合には、第1の実施の形態の変形例と同様の効果を奏する。
【0111】
また、第2の実施の形態でも、図11に示す工程までが終了した半導体チップ20及び樹脂部30を例えば別に準備した配線基板上に接合する、等の各種の工程を行うことによって、半導体パッケージを製造しても構わない。
【0112】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0113】
10 半導体パッケージ
11 半導体ウェハ
20 半導体チップ
20a、20b、20c、23a、24a、30a、30b、50a、53a 面
21 半導体基板
22 半導体集積回路
23 電極パッド
24 保護膜
30 樹脂部
40 配線構造
41〜43 配線層
44〜46 絶縁層
47 ソルダーレジスト層
50 支持体
51、54a アライメントマーク
51a、53b 凹部
52、55 レジスト層
53 粘着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の一の面に、位置合わせマークを形成する第1工程と、
前記位置合わせマークにより位置合わせした半導体チップを、前記半導体チップの回路形成面が前記一の面と対向し、かつ、前記位置合わせマークを覆うように、前記支持体上に配置する第2工程と、
前記支持体上に配置された前記半導体チップを封止する樹脂部を形成する第3工程と、
前記支持体を除去する第4工程と、を有する半導体パッケージの製造方法。
【請求項2】
前記第1工程において、凹部よりなる前記位置合わせマークを形成する請求項1記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項3】
前記第1工程において、凸部よりなる前記位置合わせマークを形成する請求項1記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項4】
前記第2工程において、前記一の面上に形成した粘着層を介して前記半導体チップを配置し、
前記第4工程において、前記支持体を除去した後、前記半導体チップの前記回路形成面側及び前記樹脂部の前記回路形成面と同一側の面から前記粘着層を剥離する請求項1乃至3の何れか一項記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項5】
前記半導体チップの前記回路形成面上及び前記樹脂部の前記回路形成面と同一側の面上に、前記半導体チップと電気的に接続される配線構造を形成する第5工程を有する請求項1乃至4の何れか一項記載の半導体パッケージの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate


【公開番号】特開2012−109306(P2012−109306A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255039(P2010−255039)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】