説明

半導体パッケージ及び半導体パッケージの製造方法

【課題】熱収縮量の違いにより、バンプがインナーリードによって引っ張られるのを抑制し、バンプが傾くのを防止することができる半導体パッケージの提供。
【解決手段】ベースフィルム12と半導体チップ26を構成するシリコン材料とは熱膨張係数が異なるため、冷却時に収縮する量が相違する。ベースフィルムが半導体チップ26より多く収縮することで、ベースフィルム12によってインナーリード18が引っ張られ、インナーリード18に接続していた金バンプ32も引っ張られる。これにより、金バンプ32が傾くことが考えられる。しかし、金バンプ32とは別個に補強バンプ40を設けることで、1本のインナーリード18に対して半導体チップ26との間で2箇所の金属接合部が確保されるため、金バンプ32に作用する引張力が、補強バンプ40へ分散され、金バンプ32が傾くのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベースフィルム上に半導体チップが搭載された半導体パッケージ及び半導体パッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体パッケージとしてのCOF(Chip On Film)パッケージが記載されている。
【0003】
このCOFパッケージによると、チップが接続されるバンプの内側エリアには、複数個のダミーバンプが突設されている。そして、インナーリードの先端側の内側エリアには複数個のダミーインナーリードが設けられ、各ダミーバンプと各ダミーインナーリードとを正規のバンプと正規のインナーリードのインナーリードボンディング時に同時に熱圧着するようになっている。
【0004】
これにより、加熱によるキャリアテープの反りに伴って発生するストレスがダミーバンプとダミーインナーリードに分散される。このため、大きなストレスを分散して小さくすることができ、インナーリードとバンプとの接合部が剥離したり、インナーリードが断線したり、インナーリードと本体との接着界面が剥離したりする不良を防止リすることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−247534号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体パッケージとしてのCOFパッケージのファインピッチ化に伴い、ピッチの距離だけでなくインナーリードとパンプも微細にする必要性が生じてきた。そこで、微細なインナーリードと微細なパンプを接着させるには、加熱した状態で荷重を行い、その後、全体を冷却する必要がある。
【0007】
つまり、バンプの付いた半導体チップとインナーリードの付いたベースフィルムがそれぞれ加熱され膨張している状態で荷重がかけられる。加熱と荷重によってインナーリードとバンプ間に共晶結合ができ、インナーリードとバンプは接着される。その後、インナーリードとバンプによって接着したベースフィルムと半導体チップ全体を冷却し、その冷却によりベースフィルムと半導体チップのシリコンが収縮する。
【0008】
ここで、ベースフィルムとシリコンは熱膨張係数が異なるため、互いに収縮する量が異なり、シリコンに対し熱膨張係数が大きいベースフィルムは、半導体チップより多く収縮する。この結果、ベースフィルムの収縮によってインナーリードが引っ張られ、インナーリードに接着していたバンプも引っ張られることになる。特に、バンプの真ん中付近に存在するインナーリードは、ベースフィルムの収縮による影響を他の部分より受けやすくなる。
【0009】
一方、従来のファインピッチでない場合はバンプの幅を広く設けることができるため、ベースフィルムの収縮によってインナーリードが引っ張られても耐性が強くバンプの変形に影響を与えることはなかった。
【0010】
しかし、ファインピッチになることで、バンプの幅が小さくなり、ベースフィルムの収縮によってインナーリードが引っ張られ、バンプが傾いてしまう。場合によっては、インナーリードがバンプと共に倒れてしまったり、インナーリードがバンプから落ちたりすることが起こる場合がある。
【0011】
このように、バンプと共にインナーリードが傾くことで、所望の間隔が維持できなくなる。そして、隣接するインナーリードやバンプとの距離が短くなり、インナーリードの配列方向の樹脂厚が薄くなってしまう。樹脂が薄くなると、絶縁性を十分確保できない可能性が出てくる。
【0012】
一方、断面で考えると、バンプの形状が変わらない場合と比べて、インナーリードに引っ張られてバンプの形状が変わった場合は、バンプとインナーリードの高さが低くなる。つまり、半導体チップとベースフィルムの間が狭くなるため、樹脂を流し込む部分の体積が小さくなってしまい、樹脂が十分に充填できず、隣接するインナーリード間の絶縁性が低下することが考えられる。
【0013】
また、バンプが傾くことで、半導体チップとバンプで構成される角部は鋭角となり、この鋭角の部分には樹脂が埋め込みにくく、空洞ができてしまう可能性がある。空洞ができると樹脂の亀裂の原因にもなり、絶縁破壊も起こりやすくなり、樹脂による絶縁性が低下する。
【0014】
さらに、バンプが大きく傾くことによりリードの脱落等が起こり、脱落したリードが隣接するインナーリードやバンプと接触してしまうことがあり、その場合にはリード端子間でショートしてしまう。
【0015】
これらのように、インナーリードが引っ張られバンプごと傾いてしまうと、高い信頼性が保てなくなってしまう。
【0016】
本発明は、上記事実を考慮して、熱収縮量の違いにより、バンプがインナーリードによって引っ張られるのを抑制し、バンプが傾くのを防止することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の請求項1に係る半導体パッケージは、ベースフィルムと、前記ベースフィルムに設けられたチップ搭載部に搭載される半導体チップと、前記ベースフィルム上に形成され、前記チップ搭載部に入り込む複数本のインナーリードと、前記半導体チップに形成された電極パッドと前記チップ搭載部に入り込んだ前記インナーリードの基端側を電気的に接続する金属バンプと、前記金属バンプと接続される前記インナーリードの先端側と前記半導体チップを接合すると共に、前記金属バンプと離れて設けられる補強バンプと、前記半導体チップ及びインナーリードを封止する封止樹脂と、を備えることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、半導体チップは、ベースフィルムに設けられたチップ搭載部に搭載される。そして、ベースフィルム上に形成されたインナーリードが、チップ搭載部に入り込み、チップ搭載部に入り込んだインナーリードの基端側が、半導体チップに形成された電極パッドと金属バンプを介して電気的に接続されている。
【0019】
また、金属バンプと離れて設けられた補強バンプは、チップ搭載部に入り込んだインナーリードの先端側と半導体チップを接合しており、さらに、封止樹脂が、半導体チップ及びインナーリードを封止している。
【0020】
このように、補強バンプによってインナーリードと半導体チップが接合されることで、ベースフィルムと半導体チップを構成するシリコン材料の熱収縮量の違いにより、インナーリードによって金属バンプに作用する引張力は、補強バンプへ分散され、金属バンプが傾くのを防止することができる。
【0021】
本発明の請求項2に係る半導体パッケージは、請求項1に記載において、夫々の前記インナーリードの先端側で接合された補強バンプは、前記インナーリードの延伸方向と交差する交差方向に千鳥状に配置され、前記金属バンプと比較して、前記交差方向に広くされることを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、インナーリードの先端側で接合された補強バンプは、千鳥状に配置され、金属バンプと比較して、インナーリードの延伸方向と交差する交差方向に広くされている。
【0023】
つまり、補強バンプは、交差方向において広い範囲で半導体チップと接触しており、ベースフィルムと半導体チップを構成するシリコン材料の熱収縮量の違いにより、補強バンプがインナーリードによって引っ張られても補強バンプが傾くのが抑制される。そして、補強バンプが傾くのが抑制されることで、半導体チップとベースフィルムの間が狭くなるのが防止され、半導体チップとベースフィルムの間に封止樹脂が充分流れ込む。
【0024】
このように、半導体チップとベースフィルムの間に封止樹脂が充分流れ込むことで、隣接するインナーリード間の絶縁性を向上させることができる。
【0025】
本発明の請求項3に係る半導体パッケージは、請求項2に記載において、前記インナーリードにおける前記補強バンプとの接合部は、前記交差方向に広くされることを特徴とする。
【0026】
上記構成によれば、インナーリードにおける補強バンプとの接合部が、交差方向に広くされている。
【0027】
つまり、インナーリードの接合部を交差方向に広くすることで、インナーリードと補強バンプの接合面積を増やすことができ、金と錫の結晶量を増やし、インナーリードと補強バンプの接合強度を向上させることができる。
【0028】
本発明の請求項4に係る半導体パッケージは、請求項1〜3何れか1項に記載において、夫々の前記インナーリードに接続された金属バンプは、前記交差方向に千鳥状に配置され、前記交差方向に広くされることを特徴とする。
【0029】
上記構成によれば、夫々のインナーリードに接続された金属バンプは、千鳥状に配置されている。金属バンプを千鳥状に配置することで、金属バンプを交差方向に広げることで金属バンプが傾くのが防止され、さらに、半導体パッケージのファインピッチ化に伴いインナーリード間のピッチが狭くなっても、インナーリード間の絶縁品質を充分確保することができる。
【0030】
本発明の請求項5に係る半導体パッケージは、請求項1〜4何れか1項に記載において、前記金属バンプは前記半導体チップの外周側に配置され、前記補強バンプは前記金属バンプより前記半導体チップの内側に配置されることを特徴とする。
【0031】
上記構成によれば、金属バンプは半導体チップの外周側に配置され、補強バンプは金属バンプより半導体チップの内側に配置されている。この構成により、ベースフィルムと半導体チップを構成するシリコン材料の熱収縮量の違いにより、インナーリードによって半導体チップの外周側に配置された金属バンプに作用する引張力は、半導体チップの内側に配置された補強バンプへ分散され、金属バンプが傾くのを防止することができる。
【0032】
本発明の請求項6に係る半導体パッケージの製造方法は、複数本のインナーリードが形成されたベースフィルムに半導体チップを搭載して半導体パッケージを製造する半導体パッケージの製造方法であって、前記半導体チップに、前記半導体チップに形成された電気パッドと前記インナーリードを電気的に接続する金属バンプを形成すると共に、前記金属バンプから離間させて前記電極パッドと電気的に接続されない補強バンプを形成する工程と、前記ベースフィルムと前記半導体チップを加熱した状態で、前記ベースフィルム上に形成された前記インナーリードと前記金属バンプ及び前記補強バンプを接続することで、前記ベースフィルムに前記半導体チップを搭載する工程と、前記ベースフィルムと、前記ベースフィルムに搭載された前記半導体チップを冷却する工程と、を備えることを特徴とする。
【0033】
上記構成による半導体パッケージの製造方法よれば、先ず、半導体チップに、電極パッドとインナーリードを電気的に接続する金属バンプが形成され、さらに、金属バンプから離間して電極パッドと電気的に接続されない補強バンプが形成される。
【0034】
次に、ベースフィルムと半導体チップを加熱した状態で、ベースフィルム上に形成されたインナーリードと金属バンプ及び補強バンプを接続し、ベースフィルムに半導体チップを搭載する。さらに、ベースフィルムと、ベースフィルムに搭載された半導体チップを冷却する。
【0035】
このように、加熱された状態でベースフィルムと半導体チップが接続され、搭載後に冷却されることで、ベースフィルムと半導体チップを構成するシリコン材料の熱収縮量の違いにより、インナーリードによって金属バンプが引っ張られ、金属バンプが傾く力が作用する。しかし、インナーリードには、補強バンプも接続されているため、インナーリードによって金属バンプに作用する引張力は、補強バンプへ分散され、金属バンプが傾くのを防止することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、熱収縮量の違いにより、バンプがインナーリードによって引っ張られるのを抑制し、バンプが傾くのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1実施形態に係るCOFパッケージに採用されたインナーリード、金バンプ及び補強バンプ等を示した平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るCOFパッケージを示した断面図である。
【図3】(A)(B)本発明の第1実施形態に係るCOFパッケージの全体を示した断面図及び平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るCOFパッケージに採用されたインナーリード、金バンプ及び補強バンプ等を示した平面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るCOFパッケージに採用されたインナーリード、金バンプ及び補強バンプ等を示した平面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係るCOFパッケージに採用されたインナーリード、金バンプ及び補強バンプ等を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージの一例について図1〜図3に従って説明する。
【0039】
(全体構成)
図3(A)(B)に示されるように、半導体パッケージとしてのCOF(Chip On Film)パッケージ10には、帯状で可撓性を有するベースフィルム12が設けられ、このベースフィルム12の両側には、フィルム送り用のスプロケット14が所定間隔を空けて送り方向に沿って設けられている。
【0040】
なお、図3では、帯状のベースフィルム12内の1個のCOFパッケージ10のみが示されている。
【0041】
さらに、両側のスプロケット14間のほぼ中央部には、半導体チップ26が搭載される平面視矩形状のチップ搭載部16は、ベースフィルム12を覆うように設けられたソルダレジスト20を剥ぎ取って設けられている。このチップ搭載部16には、ベースフィルムとソルダレジスト20との間に形成された複数本のインナーリード18の先端側が入り込んでいる。なお、隣接するインナーリード18同士のピッチは26μm以下とされている。
【0042】
また、チップ搭載部16に対して一側(図3(B)で示す上側)に延びるインナーリード18の後端部は、ソルダレジスト20から露出し、列状に配置された矩形状の入力端子22に接続されている。
【0043】
これに対し、チップ搭載部16に対して他側(図3(B)で示す下側)に延びるインナーリード18の後端部は、ソルダレジスト20から露出し、列状に配置された矩形状の出力端子24に接続されている。
【0044】
そして、ベースフィルム12のチップ搭載部16には、半導体チップ26がフリップチップ方式で実装されている。
【0045】
詳細には、ベースフィルム12と対向する半導体チップ26の対向面には、電極パッド30が配置され、電極パッド30からは、電極パッド30とインナーリード18を電気的に接続する金属バンプの一例としての金バンプ32が設けられている。なお、本実施形態では、金バンプ32の幅寸法は16μm以下とされ、長さ寸法は60μmとされ、高さ寸法は15μmとされている。
【0046】
金バンプ32が設けられた電極パッド30をベースフィルム12へ熱圧着することで、インナーリード18と金バンプ32が、金と錫の共晶で金属接合する構成となっている。
【0047】
さらに、半導体チップ26の側面側から、チップ搭載部16と半導体チップ26との間へ溶融された封止樹脂36を注入し、封止樹脂36を固化させることで、チップ搭載部16と半導体チップ26の側面が封止され、インナーリード18及び金バンプ32等が保護されるようになっている。
【0048】
(要部構成)
図1、図2に示されるように、金バンプ32を介して半導体チップ26の電極パッド30(図3(A)参照)と接続されるインナーリード18の先端側は、チップ搭載部16の中央側に向って延びている。そして、インナーリード18の先端側は、半導体チップ26のインナーリード18側であって、金バンプ32と離れて設けられた補強バンプ40と接合されている。
【0049】
この補強バンプ40の幅寸法は16μm以下とされ、長さ寸法は50μmとされ、高さ寸法は15μmとされている。また、補強バンプ40は、金バンプ32から20μm以上距離を空けて配置され、半導体チップ26の絶縁膜(図示省略)上に設けられており、さらに、半導体チップ26の電極の有無に関係なく配置されている。なお、補強バンプ40が載置される半導体チップ26の載置部に配線がある場合、凹凸の影響で共晶状態が変わるため、配線がある部分には補強バンプ40を設けないようにするのが好ましい。
【0050】
そして、金バンプ32が設けられた電極パッド30をベースフィルム12へ熱圧着するときに、一緒に補強バンプ40をベースフィルム12へ熱圧着することで、インナーリード18と金バンプ32が金と錫の共晶で金属接合するのと同時に、インナーリード18と補強バンプ40が金と錫の共晶で金属接合する構成となっている。
【0051】
次に、COFパッケージ10の製造方法について説明する。
【0052】
先ず、半導体チップ26に、インナーリード18と電極パッド30を電気的に接続する金バンプ32と、金バンプ32から離間させて電極パッド30と電気的に接続されない補強バンプを形成する。
【0053】
次に、ベースフィルム12と半導体チップ26を加熱した状態で、ベースフィルム12上に形成されたインナーリード18と金バンプ32及び補強バンプ40を接続し、ベースフィルム12に半導体チップを搭載する。
【0054】
次に、半導体チップ26の側面側から、チップ搭載部16と半導体チップ26との間へ溶融された封止樹脂36を注入して、ベースフィルム12とベースフィルム12に搭載された半導体チップ26を冷却して封止樹脂36を固化させる。これにより、COFパッケージ10を製造する。
【0055】
(作用・効果)
COFパッケージ10のファインピッチ化に伴い、インナーリード18間のピッチの距離だけでなくインナーリード18と金バンプ32も微細にする必要性が生じている。そこで、微細なインナーリード18と微細な金バンプ32を接着させるには、前述したように、ベースフィルム12と半導体チップ26を加熱した状態で荷重を付加し、その後、全体を冷却する。
【0056】
ここで、ベースフィルム12と半導体チップ26を構成するシリコン材料とは熱膨張係数が異なるため、ベースフィルム12と半導体チップ26で冷却時に収縮する量が相違する。つまり、シリコン材料に対し熱膨張係数が大きいベースフィルム12は、半導体チップ26より多く収縮する。
【0057】
ベースフィルム12が、半導体チップ26より多く収縮することで、ベースフィルム12によってインナーリード18が引っ張られ、インナーリード18に接続していた金バンプ32も引っ張られることになる。これにより、金バンプ32が傾くことが考えられる。
【0058】
しかし、前述したように、金バンプ32とは別個に補強バンプ40を設けることで、1本のインナーリード18に対して半導体チップ26との間で2箇所の金属接合部が確保されている。これにより、成型後の冷却時における熱収縮時にインナーリード18によって金バンプ32に作用する引張力が、補強バンプ40へ分散され、金バンプ32が傾くのを防止することができる。
【0059】
また、1本のインナーリード18に対して半導体チップ26との間で2箇所の金属接合部を確保することで、半導体チップ26からインナーリード18が剥がれるのを防止することができる。
【0060】
また、補強バンプ40を金バンプ32から20μm以上距離を空けて配置することで、封止樹脂が流れ込む空間を確保することができ、金―錫共晶による広がりにより懸念される絶縁性の低下を抑制することができる。
【0061】
また、金バンプ32が傾くのが防止されることで、隣接するインナーリード間が、所定距離保たれるようになり、COFパッケージ10のファインピッチ化に伴い、インナーリード18と金バンプ32を微細にしても絶縁性の低下等の不良を防止することができる。
【0062】
また、金バンプ32が傾くのが防止されることで、インナーリード18が金バンプ32と共に倒れてしまったり、インナーリード18が金バンプ32から落ちたりするのを防止することができる。
【0063】
また、金バンプ32が傾くのが防止されることで、隣接するインナーリード18間に封止樹脂を充分充填することで、絶縁性を確保することができる。
【0064】
また、金バンプ32が傾くのが防止されることで、インナーリード18と半導体チップ26との間に封止樹脂を充分充填することで、絶縁性の低下を抑制することができる。
【0065】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、インナーリード18の先端側を延長して延長上に補強バンプ40を配置してインナーリード18と補強バンプ40を接合したが、インナーリードの先端側と接合可能な中央バンプを接合でもよく、また、延長上は直線ではなくてもよく、インナーリードの先端側と接合されるバンプは、金バンプと離れていればよい。
【0066】
次に本発明の第2実施形態に係るCOFパッケージ50の一例について図4に従って説明する。
【0067】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0068】
図4に示されるように、この実施形態では第1実施形態と違い、インナーリード18の先端側に設けられる補強バンプ52は、インナーリード18の延伸方向と交差する交差方向に対して千鳥状に配置されている。
【0069】
千鳥状に配置することで、平面視で補強バンプ52を交差方向に幅方向に広くすることができる。これにより、補強バンプ52の幅寸法(交差方向の寸法)は19μmとされ、金バンプ32に比べて幅広とされている。また、各バンプ間の距離は、20μm以上空けられている。
【0070】
このように、補強バンプ52の配置を千鳥状とすることで、補強バンプ52の幅寸法を広くすることができ、補強バンプ52が倒れるのを効果的に抑制することができる。
【0071】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では特に限定しなかったが、補強バンプ52を平面視で半導体チップ26のエッジより幅広としてもよい。
【0072】
次に本発明の第3実施形態に係るCOFパッケージ60の一例について図5に従って説明する。
【0073】
なお、第2実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0074】
図5に示されるように、この実施形態では第2実施形態と違い、インナーリード62における補強バンプ52との接合部62Aが、一般部に比べ幅方向に広くされている。
【0075】
つまり、インナーリード62の接合部62Aを幅方向に広くすることで、インナーリード62と補強バンプ52の接合面積を増やすことができ、金と錫の結晶量を増やし、インナーリード62と補強バンプ52の接合強度を向上させることができる。
【0076】
次に本発明の第4実施形態に係るCOFパッケージ70の一例について図6に従って説明する。
【0077】
なお、第2実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0078】
図6に示されるように、この実施形態では第2実施形態と違い、インナーリード18と電極パッド30を電気的に接続する金バンプ72は、インナーリード18の延伸方向と交差する交差方向に対して千鳥状に配置され、金バンプ72の幅寸法は19μmとされている。また、また、各バンプ間の距離は、20μm以上空けられている。
【0079】
COFパッケージ60のファインピッチ化に伴い、インナーリード18と金バンプ72を微細にする必要性が生じても、前述したように、金バンプ72を千鳥状に配置することで、金バンプ72の幅寸法を広げることができ、これにより、金バンプ32が傾くのを防止することができる。
【0080】
また、金バンプ72の幅寸法が広がることで、金バンプ72が設けられた電極パッド30をベースフィルム12へ熱圧着するときに、高荷重による熱圧着(ボンド)が可能となり、金と錫の共晶量を充分確保することができ、インナーリード18と金バンプ72の引き剥がし強度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0081】
10 COFパッケージ(半導体パッケージ)
12 ベースフィルム
16 チップ搭載部
18 インナーリード
26 半導体チップ
30 電極パッド
32 金バンプ(金属バンプ)
36 封止樹脂
40 補強バンプ
50 COFパッケージ(半導体パッケージ)
52 補強バンプ
60 COFパッケージ(半導体パッケージ)
62 インナーリード
62A 接合部
70 COFパッケージ(半導体パッケージ)
72 金バンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムと、
前記ベースフィルムに設けられたチップ搭載部に搭載される半導体チップと、
前記ベースフィルム上に形成され、前記チップ搭載部に入り込む複数本のインナーリードと、
前記半導体チップに形成された電極パッドと前記チップ搭載部に入り込んだ前記インナーリードの基端側を電気的に接続する金属バンプと、
前記金属バンプと接続される前記インナーリードの先端側と前記半導体チップを接合すると共に、前記金属バンプと離れて設けられる補強バンプと、
前記半導体チップ及びインナーリードを封止する封止樹脂と、
を備える半導体パッケージ。
【請求項2】
夫々の前記インナーリードの先端側で接合された補強バンプは、前記インナーリードの延伸方向と交差する交差方向に千鳥状に配置され、前記金属バンプと比較して、前記交差方向に広くされる請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項3】
前記インナーリードにおける前記補強バンプとの接合部は、前記交差方向に広くされる請求項2に記載の半導体パッケージ。
【請求項4】
夫々の前記インナーリードに接続された金属バンプは、前記交差方向に千鳥状に配置され、前記交差方向に広くされる請求項1〜3何れか1項に記載の半導体パッケージ。
【請求項5】
前記金属バンプは前記半導体チップの外周側に配置され、前記補強バンプは前記金属バンプより前記半導体チップの内側に配置される請求項1〜4何れか1項に記載の半導体パッケージ。
【請求項6】
複数本のインナーリードが形成されたベースフィルムに半導体チップを搭載して半導体パッケージを製造する半導体パッケージの製造方法であって、
前記半導体チップに、前記半導体チップに形成された電気パッドと前記インナーリードを電気的に接続する金属バンプを形成すると共に、前記金属バンプから離間させて前記電極パッドと電気的に接続されない補強バンプを形成する工程と、
前記ベースフィルムと前記半導体チップを加熱した状態で、前記ベースフィルム上に形成された前記インナーリードと前記金属バンプ及び前記補強バンプを接続することで、前記ベースフィルムに前記半導体チップを搭載する工程と、
前記ベースフィルムと、前記ベースフィルムに搭載された前記半導体チップを冷却する工程と、
を備える半導体パッケージの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−199191(P2010−199191A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40591(P2009−40591)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(308033711)OKIセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】