説明

半導体パッケージ

【課題】 放熱効率の良い半導体パッケージを得る。
【解決手段】 セラミック基板の主面上に設けた一対の上面電極のランド上に半導体素子を搭載した半導体パッケージにおいて、前記上面電極12a、13aの双方のランドの近傍にそれぞれ少なくとも1個のビア11c、11dを設け、該ビア11c、11dの内面に導電金属膜14を設けると共に、該導電金属膜14を前記上面電極12a、13a並びに前記セラミック基板11の主面の反対側にあたる反対面に設けた一対の下面電極12c、13cとそれぞれ接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面実装型の半導体パッケージに関し、特に発光ダイオードのように発熱が生じる半導体の放熱性を高める半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(以降、LEDと呼ぶ)などの半導体素子は発光することにより発熱し、その発熱した熱によって機能が低下すると云う問題を有する。以下、LEDのパッケージを取り上げて従来技術を説明する。
【0003】
LEDはAlInGaPやGaNなどの化合物半導体で形成し、その上にPN接合を形成して、これに順方向電流を通じて可視光などの発光を得るものである。近年、照明の他に、表示、通信、計測、制御などに広く応用されている。一方、近年の電子機器は、高性能化、多機能化と共に、小型化、軽量化も求められ、プリント基板上に表面実装ができるパッケージ構造の装置部品としたものが多くなってきている。
【0004】
従来のLEDパッケージの構造は、概ね図8、図9に示すような構造を取っている。図8は従来のLEDパッケージの斜視図を示しており、図9は図8における要部断面図を示したものである。図8、図9より、従来のLEDパッケージ60は、LED素子61と配線基板65とが主要構成部品になって構成されている。ここでのLED素子61はフリップチップ実装した素子を示しており、その下面に2極(カソード電極とアノード電極)のバンプ61a、61bを持っていて、平面実装型のLED素子になっている。配線基板65は絶縁基板66とその表面の一部分に設けた一対の電極(カソード電極、アノード電極)67、68とから構成されている。 そして、一対の電極67、68のランド部分において、電極67、68とLED素子61のバンプ61a、61bとがフリップチップ実装されて接合される。そして、このLEDパッケージはマザーボード上に半田付けされて使用される。
【0005】
ここで、絶縁基板66は絶縁性・耐熱性に優れたガラスエポキシ樹脂などの樹脂で形成し、一対の電極67、68は、銀ペーストを印刷で形成し、その上に金メッキなどを施して形成する方法などが取られている。この一対の電極67、68は、絶縁基板66の図中左右に対向した状態で一対形成され、電極67は上面側の電極67a、側面側の電極67b、下面側の電極67cとの3つの電極部分から構成されている。同様に、電極68も上面側の電極68a、側面側の電極68b、下面側の電極68cとの3つの電極部分から構成されている。対向している上面側の電極67a、68aは一部分中心側に向かって突き出た部分を持っており、その突き出た部分のランド部分でLED素子61のバンプ61a、61bとボンデングされるようになっている。また、下面側の電極67c、68cはマザーボードと半田付けされるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LED素子は駆動すると発熱し、長時間の使用中に劣化してくる。このため、放熱性を高めることが求められている。この放熱性を高める技術の一つとして下記の特許文献1に開示されたものがある。
【0007】
【特許文献1】特許公開2002−270904号公報
【0008】
図10に示すものは、上記特許文献1に示されたもので、素子マウント部材の周辺部の構成を抜き出して示したもので、(a)図は素子マウント部材の一主面側を示す平面図で、(b)図は(a)図におけるA−A線に沿う断面図を示している。この半導体パッケージ装置は、素子マウント部材76の主面側に設けた素子パターン電極上に発光素子71が導電ペーストまたは半田などを介して固着されている。また、素子マウント部材76の主面側の左右には導電パターン77、78が設けられて、その上面にリードフレームのインナーリード72aが一対接合されている。また、素子マウント部材76には貫通穴76aが設けられており、この貫通穴76aを通して発光素子71の発光した光が放射されるような発光素子71の配置になっていて、発光素子71の発光面側の発光面電極が導電パターン78と接続した素子パターン電極と接合されている。一方、発光素子71の非発光面側の基板面電極71aは金細線73を介してリードフレームの所定のインナーリード72aとワイヤボンディングされている。
【0009】
上記構成における素子マウント部材76は熱伝導率が比較的高いアルミナや窒化アルミなどの絶縁材から形成しており、また、インナーリード72aを構成するリードフレームはFe合金またはCu合金で形成している。
【0010】
上記の構成を取ることで、発光素子71の主に発光面より発生する熱を、直ちに熱伝導率の高いアルミナなどからなる素子マウント部材に伝えることになり、熱の放熱経路を従来より短くすることができ、放熱効率を高める効果を得たものである。
【0011】
しかしながら、上記構成のものは、熱伝導率の高いアルミナを用いて放熱経路を従来のものより短くしたとは云え、アルミナの熱伝導率は21w/m・k前後であることからして、放熱効率が十分であると云える状態にはない。本発明は、上記の課題に鑑みて成されたもので、更に、放熱効率の高いパッケージ構成を見いだすことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する手段として、本発明の請求項1に記載の発明は、セラミック基板の主面上に設けた一対の上面電極のランド上に半導体素子を搭載した半導体パッケージにおいて、前記上面電極の双方のランドの近傍にそれぞれ少なくとも1個のビアを設け、該ビアの内面に導電金属膜を設けると共に、該導電金属膜を前記上面電極並びに前記セラミック基板の主面の反対側にあたる反対面に設けた一対の下面電極とそれぞれ接続したことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、セラミック基板の主面上に設けた一対の上面電極のランド上に半導体素子を搭載した半導体パッケージにおいて、前記上面電極の双方のランドの近傍にそれぞれ少なくとも1個のビアを設け、該ビアの内部に導電金属ペースト層を設けると共に、該導電金属ペースト層を前記上面電極並びに前記セラミック基板の主面の反対側にあたる反対面に設けた一対の下面電極とそれぞれ接続したことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、前記の半導体素子がフリップチップ実装したLED素子であることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、前記のビアの大きさがφ0.1〜0.3mmであることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、前記のビアの内面に設けた導電金属膜がAg,Cu,Sn,Al,Ni,Au金属の少なくとも1種からなる金属膜であることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の請求項6に記載の発明は、前記のビアの内面に設けた導電金属膜がAg,Cu,Au金属の少なくとも一種からなる金属ペーストを焼成して金属膜を形成し、該形成した金属膜の上にNiメッキやAuメッキなどを施してNi金属膜やAu金属膜などを積層した金属膜であることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の請求項7に記載の発明は、前記のビアの内部に設けた導電金属ペースト層は、Ag,Cu,Sn,Al,Ni,Au金属の少なくとも1種を分散した金属ペースト層であることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の請求項8に記載の発明は、前記のセラミック基板がアルミナよりなることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項9に記載の発明は、前記の一対の上面電極、及び前記の一対の下面電極、及び該上面電極と下面電極に接続して前記セラミック基板の側面に設けた側面電極がAg金属膜とNi金属膜とAu金属膜の積層膜からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
発明の効果として、請求項1、2に記載の発明によれば、ビア(孔)を設け、このビアの内面に導電金属膜を設けることによって、或いは、ビアの内部に導電金属ペースト層を設けることによって、この導電金属膜や導電金属ペースト層を介して放熱も成されるので更に放熱効率が良くなる。また、このビアは半導体素子を搭載する電極のランドの近くに設けることによって、放熱経路を短く取ることができるので放熱を早くすることができる。また、このビアの数は一対の上面電極のそれぞれのランドの近傍に少なくとも1個設けるもので、ビアの数が多ければ多いほど放熱経路の数と放熱面積が増えるの熱を早く逃がし、早く放熱する効果を得る。
【0021】
また、請求項3に記載の発明によれば、フリップチップ実装したLED素子の下では平面実装型であるのでパッケージをコンパクトな形状にまとめることができ、より効果的に作用する。
【0022】
また、請求項4に記載の発明によれば、ビアの大きさがφ0.1〜0.3mmであることによって、その内面に均一な膜厚の導電金属膜を形成することができるので、或いは、その内部にムラなく導電金属ペースト層を設けることができるので放熱効率を高める。
【0023】
また、請求項5、請求項7に記載の発明によれば、Ag,Cu,Sn,Al,Ni,Au金属は導電性が良いと同時に熱伝導率が高いので、ビアの内面にこれらの金属膜を、或いは、ビアの内部にこれらの金属ペースト層を形成することによって放熱効率を良くすることができる。
【0024】
また、請求項6に記載の発明によれば、比較的小孔なるビアの内部に金属ペーストを形成し、それを焼成することによって、ビアの内面に均一な金属膜を容易に形成することができる。
【0025】
また、請求項8に記載の発明によれば、セラミックの中でアルミナが絶縁性が良いと同時に比較的熱伝導率が高いので放熱効率を良くする。
また、請求項9に記載の発明によれば、電極をAg金属膜、Ni金属膜、Au金属膜の積層膜で形成することによって、電導性、熱伝導性、耐腐蝕性が良いことにより耐久性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の最良の実施形態を図1〜図7を用いて説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージの斜視図であり、図2は図1における配線基板の主面側にあたる上面側の平面図、図3は図2におけるD−D断面図、図4は図1における配線基板の主面側の反対面側にあたる下面側の平面図を示している。また、図5は本発明の第2実施形態に係る半導体パッケージの斜視図であり、図6は図5における配線基板の主面側にあたる上面側の平面図、図7は図6におけるE−E断面図を示している。尚、背景技術で説明した構成部品と全く同一の構成部品は同一符号を付して説明する。
【0027】
図1、図2、図3、図4より、本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージ20は、配線基板10と、その上に搭載したLED素子(発光ダイオード)61なる半導体素子とが主要構成部品になって構成されている。ここでのLED素子61は、従来例と同様に、フリップチップ実装した素子を用いており、その下面に2極(カソード電極とアノード電極)のバンプ61a、61bを持つLED素子になっている。配線基板10は、アルミナよりなるセラミック基板11にカソード電極とアノード電極に対応する一対の電極12、13をその表面の一部分に設けたもので、一対の電極12、13のランド部分にLED素子61をボンデング接合して一体になったパッケージになっている。
【0028】
配線基板10を構成するセラミック基板11は、アルミナ材で図中方形な形状に形成されていて、左右に一対の長穴スルホール11a、11bを設けている。また、左右の端から少し奥まった所に2箇所、小孔なるビア11c、11dを設けている。このセラミック基板11は特に方形な形状に限定するものではなく、丸い形状であっても差し障りはない。また、厚みは略0.5mm位の厚みになっている。
【0029】
セラミック基板11の表面の一部分に設ける一対の電極12、13は、それぞれセラミック基板11の上面側、側面側、下面側にと連結して設けられており、上面側の電極を上面電極12a、13a、側面側の電極を側面電極12b、13b、下面側の電極を下面電極12c、13cとしている。セラミック基板11の主面側にあたる上面には上面電極12a、13aが対向した状態で一対設けられている。ここで、一対の上面電極12a、13aは中央に向かって突出した部分を持っており、その突出部分の先端側、即ち、鎖線で丸く囲った部分B、CがLED素子61とボンデングされるランドの部分になっている。また、セラミック基板11に設けるビア11c、11dは、それぞれランドの近傍で、上面電極12a、13aの形成領域の中に設けられている。また、上面電極12a、13aの左右の端部における幅は、セラミック基板11に設けた一対の長穴スルホール11a、11bの幅よりもそれぞれ広目に取ってある。
【0030】
側面側の一対の側面電極12b、13bはセラミック基板11に設けた一対の長穴スルホール11a、11bの部分にそれぞれ設けてある。下面側の一対の下面電極12c、13cはそれぞれ対向した状態に設けてあり、セラミック基板11に設けたビア11c、11dはそれぞれ下面電極12c、13cの形成領域内に入っている。この一対の下面電極12c、13cはマザーボードに半田付けされる所になっている。
【0031】
上記の一対の電極12、13、即ち、電極12を構成する上面電極12a、側面電極12b、下面電極12cはそれぞれ連結されており、また、電極13を構成する上面電極13a、側面電極13b、下面電極13cもそれぞれ連結されている。そして、これらの一対の電極12、13は同一金属膜で形成されている。
【0032】
一対の電極12、13は、5〜10μm膜厚のAg金属膜と5μm前後の膜厚のNi金属膜と0.1μm以下の膜厚のAu金属膜の3層からなる金属膜でできている。導電性や熱伝導性の優れたAg金属を用い、また、導電性や熱伝導性、耐腐蝕性に優れたAu金属を用いているので、導電性、放熱性、耐触性に優れたものとなっている。
【0033】
一対の電極12、13の形成方法は、最初に、Agペーストを用いてスクリーン印刷などの印刷方法でセラミック基板11上にAgペースト膜を形成する。AgペーストはAg金属粉をバインダーに混ぜ合わせてペースト状にしたものである。次に、焼成を行って樹脂成分を蒸発させ、Ag金属粉をセラミック基板11上に焼き付けてAg金属膜を作る。焼成温度は用いたバインダーによって異なるが、概ね、600°C〜850°Cの範囲の中で設定される。次に、メッキ方法でもってセラミック基板11のAg金属膜の上にNi金属膜を形成した後、更に、Au金属膜を形成することによって、Ag金属膜、Ni金属膜、Au金属膜の3層からなる積層膜が形成される。
【0034】
上記の一対の電極12、13の形成領域内でランドの近傍に設けた小孔からなる2個のビアは、孔径がφ0.1〜0.3mmの範囲にあって、その内面に、一対の電極12、13と同じ金属材料で導電金属膜14を設けてある。即ち、Ag金属膜とNi金属膜とAu金属膜の3層からなる導電金属膜になっている。そして、この2個のビアの内面に設けた導電金属膜14はそれぞれ上面電極12a、13a及び下面電極12c、13cと連結して接続している。この導電金属膜14は、一対の電極12、13と同じ形成方法を取っており、最初に、Agペーストを印刷方法でビアの中に流し込み、高温焼成して内面にAg金属膜を形成させ、その後にメッキ方法でNi金属膜とAu金属膜を積層する。
【0035】
ビアの孔径はφ0.1〜0.3mmの範囲が最良である。孔径がφ0.1mmより小さいと印刷時に金属ペーストが内部に十分流し込むことができなくなる。また、φ0.3mmより大きくなると金属ペーストを内部に流し込むことは容易になるが、内面への付着量にバラツキが現れて、金属膜としたときに膜厚のバラツキが現れてくる。そして、膜厚の不均一は放熱効率を下げる結果を生む。ビアの孔径はセラミック基板の厚みも考慮して設計するのが好ましい。本実施形態のようにセラミック基板11を0.5mm厚にした場合は上記範囲の中でどちらかと云うと少し大きめの孔径を選択するのが良い。また、セラミック基板11の厚みが薄くなってくると小さ目の孔径を選択するのが好ましい。
【0036】
このように、ビアをランドの近傍に設けたことにより、熱を逃がす新たなバイパス経路がランドの近くにできたことになり、熱が早く逃げていき、放熱効率が高められていく。また、ビアの内面に導電性や熱伝導性に優れたAg金属膜やAu金属膜を設けたことにより熱が早く伝わって逃げるので放熱効率が高められる。また、ビアの内部の導電金属膜からも放熱されるので放熱効率が更に高められる。
【0037】
ビアの内面に設ける導電金属膜は、特にAg金属膜、Ni金属膜、Au金属膜などに限定するものではない。導電性があって熱伝導性が高い金属を用いると良い。Cu金属などは熱伝導率が394w/m・k前後あってAg金属の419w/m・k前後の値に近い熱伝導率を持っている。Al金属なども好適で、Sn金属なども選択することができる。
【0038】
また、導電金属膜は、本実施形態の如く3層の積層した金属膜に限定するものではない。Al金属膜やAu金属膜などは耐触性も良いので1層でも十分な効果を生む。Ag、Cu、Al、Au、Sn、Niなどの金属から導電性、熱伝導性、耐触性、コスト性などを考慮して適宜に選択して金属膜を形成するのが良い。そして、1層からなる金属膜で構成しても良いし、複数の金属膜を積層して構成しても良い。また、異なった金属を混ぜ合わせた金属膜としても良い。
【0039】
ビアは、本実施形態においては、一対の電極12、13にそれぞれ1個ずつ設けているが、1個に限定するものではなく、それぞれ2個、3個と設けても良い。ビアは数が多ければ多いほど放熱経路の数も多くなり、また、放熱面積が大きくなるので熱の逃げや放熱が早くなって高い放熱効果が得られる。そして、ビアはできるだけランドに近い位置に設けるのが好ましい。ビアの数は電極12、13の面積の大きさや、放熱効率なども考慮して適宜に設定するのが良い。
【0040】
セラミック基板11はアルミナ(Al)材から形成している。アルミナは熱伝導率が21w/m・k前後と比較的高いので放熱効果を助ける。また、高温・高圧の下で焼き固めて生成しているので、金属ペーストを600°C〜850°Cの温度で焼成しても基板に何らの問題も生じない。配線基板10のセラミック基板11をアルミナで形成することによって、基板自体の放熱性を高められ、且つ、導電性や熱伝導性の高い金属膜を設けることができる。
【0041】
以上のような構成のパッケージにすることによって、熱の逃げる経路が複数設けられて熱が早く逃げていく。また、セラミック基板自体からの放熱、電極からの放熱、ビアからの放熱などと相まって非常に高い放熱効果が得られる。そして、LED素子の寿命を長持ちさせる。
【0042】
次に、本発明の第2実施形態に係る半導体パッケージを図5〜図7を用いて説明する。図5は本発明の第2実施形態に係る半導体パッケージの斜視図を示しており、図6は図5における配線基板の主面側にあたる上面側の平面図、図7は図6におけるE−E断面図を示している。
【0043】
本発明の第2実施形態に係る半導体パッケージ40は、前述の第1実施形態と同様に、配線基板30と、その上に搭載したLED素子(発光ダイオード)61なる半導体素子とが主要構成部品になって構成されている。そして、LED素子は第1実施形態で用いたLED素子61と同じ素子を用いている。配線基板30は、アルミナからなるセラミック基板31に一対の電極32、33を設けたものからなっている。ここでのセラミックス基板31には、左右一対の長穴スルホール31a、31bと、一対の電極32、33が設けられる部分にそれぞれ3個のビア31c、31e、31gと31d、31f、31hが設けられている。そして、これらそれぞれ3個のビア31c、31e、31gと31d、31f、31hは、丸く鎖線で囲った部分B、Cのランドの部分から余り離れていない位置に設けられている。また、一対の電極32、33で、電極32は、前述の第1実施形態と同様に、上面電極32aと側面電極32bと下面電極32cとで構成されており、電極33は上面電極33aと側面電極33bと下面電極33cとで構成されている。
【0044】
一対の電極32、33は、前述の第1実施形態と同様に、Ag金属膜とNi金属膜とAu金属膜との3層からなる積層の金属膜からなっている。また、それぞれ3個のビア31c、31e、31gと31d、31f、31hの合計6個のビアの内部には導電金属ペーストを埋め込んだ導電金属ペースト層34が設けられている。本実施の形態では導電率及び熱伝導率の高いAgペーストを用いているが、特にAgペーストに限定するものではなく、熱伝導率の比較的高いCu,Au,Sn,Al,Niなどの金属ペーストでも良いものである。
【0045】
導電金属ペースト層34は、金属粉を熱硬化性のエポキシ樹脂などに混ぜ合わせてペースト状にし、印刷方法などでビアの内部に埋め込んで、加熱処理を施して硬化させて形成する。この導電金属ペースト層34は一対の電極32、33を形成した後に設ける工程を取る。
【0046】
金属ペーストを直接用いた場合の熱伝導率は金属そのものを用いた場合より半分以下に低下する。その分熱の逃げ方は遅くなるが、ビアの数を増やすことによって放熱効率を高めることができる。
【0047】
以上述べた構成にすることによってパッケージの放熱効率を高めることができる。従来例からみると、格段に放熱性の良いパッケージを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上、発熱性を有するLED素子を用いた場合のパッケージについて説明したが、発熱性のある半導体のパッケージには有効に作用する。また、受光素子や撮像素子などのパッケージにも利用できよう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージの斜視図である。
【図2】図1における配線基板の主面側にあたる上面側の平面図である。
【図3】図2におけるD−D断面図である。
【図4】図1における配線基板の主面側の反対面側にあたる下面側の平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る半導体パッケージの斜視図である。
【図6】図5における配線基板の主面側にあたる上面側の平面図である。
【図7】図6におけるE−E断面図である。
【図8】従来のLEDパッケージの斜視図である。
【図9】図8における要部断面図である。
【図10】特許文献1に示されたところの、素子マウント部材の周辺部の構成を抜き出して示した図で、(a)図は素子マウント部材の一主面側を示す平面図、(b)図は(a)図におけるA−A線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0050】
10、30 配線基板
11、31 セラミック基板
11a、11b、31a、31b 長穴スルホール
11c、11d、31c、31d、31e、31f、31g、31h ビア
12、13、32,33 電極
12a、13a、32a、33a 上面電極
12b、13b、32b、33b 側面電極
12c、13c、32c、33c 下面電極
14 導電金属膜
20、40 半導体パッケージ
34 導電金属ペースト層
61 LED素子
61a、61b バンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック基板の主面上に設けた一対の上面電極のランド上に半導体素子を搭載した半導体パッケージにおいて、前記上面電極の双方のランドの近傍にそれぞれ少なくとも1個のビアを設け、該ビアの内面に導電金属膜を設けると共に、該導電金属膜を前記上面電極並びに前記セラミック基板の主面の反対側にあたる反対面に設けた一対の下面電極とそれぞれ接続したことを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項2】
セラミック基板の主面上に設けた一対の上面電極のランド上に半導体素子を搭載した半導体パッケージにおいて、前記上面電極の双方のランドの近傍にそれぞれ少なくとも1個のビアを設け、該ビアの内部に導電金属ペースト層を設けると共に、該導電金属ペースト層を前記上面電極並びに前記セラミック基板の主面の反対側にあたる反対面に設けた一対の下面電極とそれぞれ接続したことを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項3】
前記半導体素子は、フリップチップ実装したLED素子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体パッケージ。
【請求項4】
前記ビアの大きさは、φ0.1〜0.3mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体パッケージ。
【請求項5】
前記ビアの内面に設けた導電金属膜は、Ag,Cu,Sn,Al,Ni,Au金属の少なくとも1種からなる金属膜であることを特徴とする請求項1、3、4のいずれか1つに記載の半導体パッケージ装置。
【請求項6】
前記ビアの内面に設けた導電金属膜は、Ag,Cu,Au金属の少なくとも一種からなる金属ペーストを焼成して金属膜を形成し、該形成した金属膜の上にNiメッキやAuメッキなどを施してNi金属膜やAu金属膜などを積層した金属膜であることを特徴とする請求項1、3、4、5のいずれか1つに記載の半導体パッケージ。
【請求項7】
前記ビアの内部に設けた導電金属ペースト層は、Ag,Cu,Sn,Al,Ni,Au金属の少なくとも1種を分散した金属ペースト層であることを特徴とする請求項2、3、4のいずれか1つに記載の半導体パッケージ。
【請求項8】
前記セラミック基板は、アルミナよりなることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体パッケージ。
【請求項9】
前記一対の上面電極、及び前記一対の下面電極、及び該上面電極と下面電極に接続して前記セラミック基板の側面に設けた一対の側面電極は、Ag金属膜とNi金属膜とAu金属膜の積層膜からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2005−191097(P2005−191097A)
【公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−427911(P2003−427911)
【出願日】平成15年12月24日(2003.12.24)
【出願人】(000124362)河口湖精密株式会社 (120)
【Fターム(参考)】