説明

半導体リレー

【課題】半導体リレーにおいて、LEDの駆動電力の低減を図る。
【解決手段】半導体リレー1は、LED2を駆動回路3により駆動して発光させ、LED2から発光された光を受光部4により受光する。駆動回路3は、バイポーラトランジスタ31と、コイル32と、ダイオード33等を有する。バイポーラトランジスタ31は、導通状態と非導通状態とに切換えられ、導通状態のときに、電源からLED2に電流が供給される状態にし、非導通状態のときに、電源からLED2に電流が供給されない状態にする。コイル32は、LED2に直列に接続されており、バイポーラトランジスタ31が導通状態から非導通状態になったときに、自己誘導作用によって誘導起電力を発生する。ダイオード33は、LED2及びコイル32に並列に接続されており、バイポーラトランジスタ31が非導通状態のときに、コイル32が発生する誘導起電力によって、LED2に電流を還流させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光駆動による絶縁構造を持つ(光結合型の)半導体リレーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、光結合型の半導体リレーは、LEDを駆動して発光させ、LEDから発光された光を受光部により受光するようになっている。LEDの駆動は、LEDに電流を流すことにより行われる。このような半導体リレーにおいて、LEDの駆動電流(LEDに流す電流)を所望の電流値にするために、制限抵抗を使用(制限抵抗をLEDに直列に接続)したものがある。また、このような半導体リレーにおいて、制限抵抗とLEDの間にスイッチング素子を設け、このスイッチング素子を発振回路の発振出力を用いてスイッチングすることにより、LEDを間欠駆動するようにしたものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表昭58−501976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来の半導体リレーにおいては、制限抵抗を使用(制限抵抗をLEDに直列に接続)しているため、制限抵抗での発熱による電力損失がある。すなわち、制限抵抗での発熱による電力損失の分だけ、LEDの駆動電力が無駄に大きくなる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、LEDの駆動電力の低減を図ることができる半導体リレーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の半導体リレーは、LEDを駆動回路により駆動して発光させ、LEDから発光された光を受光部により受光する半導体リレーにおいて、駆動回路は、導通状態と非導通状態とに切換えられ、導通状態のときに、電源からLEDに電流が供給される状態にし、非導通状態のときに、電源からLEDに電流が供給されない状態にする電流供給用スイッチング素子と、電流供給用スイッチング素子が導通状態から非導通状態になったときに、自己誘導作用によって誘導起電力を発生するコイルと、電流供給用スイッチング素子が非導通状態のときに、コイルが発生する誘導起電力によって、LEDに電流を還流させる還流素子とを有する、ものである。
【0007】
本発明の半導体リレーにおいて、LED、駆動回路、受光部は、パッケージに収納されて一体化されている、ものが好ましい。
【0008】
また、本発明の半導体リレーにおいて、コイルは、LEDに直列に接続されており、還流素子は、ダイオードであり、LED及びコイルに並列に接続されており、アノードがLEDのカソード側に接続され、カソードがLEDのアノード側に接続されている、ものが好ましい。
【0009】
また、本発明の半導体リレーにおいて、駆動回路は、発振回路をさらに備え、電流供給用スイッチング素子は、トランジスタであり、発振回路の発振出力によって導通状態と非導通状態とに切換えられる、ものが好ましい。
【0010】
また、本発明の半導体リレーにおいて、コイルは、LEDに直列に接続されており、還流素子は、導通状態と非導通状態とに切換えられる還流用スイッチング素子であり、LED及びコイルに並列に接続されており、電流供給用スイッチング素子が導通状態のときに非導通状態になると共に、電流供給用スイッチング素子が非導通状態のときに導通状態となるように、導通状態と非導通状態とに切換えられる、ものが好ましい。
【0011】
また、本発明の半導体リレーにおいて、駆動回路は、発振回路と、発振回路の発振出力に基いて、電圧がローレベルとハイレベルとに交互に変化する第1の出力及び第2の出力を出力するデッドタイム生成回路とをさらに備え、電流供給用スイッチング素子は、デッドタイム生成回路の第1の出力によって、導通状態と非導通状態とに切換えられ、還流用スイッチング素子は、デッドタイム生成回路の第2の出力によって、導通状態と非導通状態とに切換えられ、デッドタイム生成回路は、電流供給用スイッチング素子及び還流用スイッチング素子が同時に導通状態にならないように、第1の出力及び第2の出力を出力する、ものが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来のような制限抵抗を使用しておらず、従来のような制限抵抗での発熱による電力損失がないので、LEDの駆動電力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体リレーの構成を示す電気回路図。
【図2】同半導体リレーの各部の出力を示す図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る半導体リレーの構成を示す電気回路図。
【図4】同半導体リレーの各部の出力を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態による半導体リレーについて図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態による半導体リレーの構成を示す。半導体リレー1は、光駆動による絶縁構造を持つ(光結合型の)半導体リレーである。半導体リレー1は、LED2と、駆動回路3と、受光部4とを備える。駆動回路3は、バイポーラトランジスタ(電流供給用スイッチング素子)31と、コイル32と、ダイオード(還流素子)33と、発振回路34と、AND回路35とを有する。受光部4は、太陽電池41と、2つの電界効果トランジスタ42a、42bと、充放電回路43とを有する。
【0015】
また、半導体リレー1は、LED2、駆動回路3、及び受光部4を収納するパッケージ(不図示)を備え、LED2、駆動回路3、及び受光部4は、パッケージに収納されて一体化されている。また、半導体リレー1は、パッケージの外部から半導体リレー1に電源を入力するための入力端子51、52と、受光部4の受光出力(半導体リレー1の出力)をパッケージの外部に出力するための出力端子53、54とを備える。
【0016】
半導体リレー1は、入力端子51から電源が入力されることにより動作し、LED2を駆動回路3により駆動して発光させ、LED2から発光された光を受光部4により受光するようになっている。そして、半導体リレー1は、受光部4の受光出力を出力端子53、54から出力するようになっている。
【0017】
LED2は、入力端子51と入力端子52との間に接続されており、アノードが入力端子51に接続され、カソードがコイル32及びバイポーラトランジスタ31を介して入力端子52に接続されている。
【0018】
バイポーラトランジスタ31は、LED2と入力端子52との間に接続されており、コレクタがコイル32を介してLED2のカソードに接続され、エミッタが入力端子52に接続され、ベースがAND回路35に接続されている。バイポーラトランジスタ31は、NPN型のバイポーラトランジスタであり、ベースに入力される電圧によって、導通状態と非導通状態とに切換えられる。すなわち、バイポーラトランジスタ31は、ベース・エミッタ間の電位差が所定のプラスの電位差未満であるときに、非導通状態になり、ベース・エミッタ間の電位差が所定のプラスの電位差以上であるときに、導通状態になる。
【0019】
コイル32は、LED2とバイポーラトランジスタ31との間に接続されており、一端がLED2のカソードに接続され、他端がバイポーラトランジスタ31のコレクタに接続されている。すなわち、コイル32は、LED2に直列に接続されている。
【0020】
ダイオード33は、アノードがコイル32の他端に接続され、カソードがLED2のアノードに接続されている。すなわち、ダイオード33は、LED2及びコイル32に並列に接続されており、アノードがコイル32を介してLED2のカソード側に接続され、カソードがLED2のアノード側に接続されている。
【0021】
発振回路34は、入力端子51から入力される電源電圧IN−1が入力され、電源電圧IN−1よって動作して、発振出力VOSを出力する。すなわち、発振回路34は、入力端子51から入力される電源電圧IN−1が+5.0Vのときに、所定の周波数で発振し、発振出力VOSとして、所定の周波数でローレベルとハイレベルとに交互に変化する出力を出力する。また、発振回路34は、入力端子51から入力される電源電圧IN−1が+5.0V未満のときには、発振を停止し、発振出力VOSとして、ローレベルを持続する出力を出力する。
【0022】
AND回路35は、入力端子51から入力される電源電圧IN−1、及び発振回路34の発振出力VOSが入力され、電源電圧IN−1のレベル及び発振出力VOSのレベルに応じて、AND出力OUT−1を出力する。すなわち、AND回路35は、入力端子51から入力される電源電圧IN−1がハイレベル(+5.0V)であり、かつ、発振回路34の発振出力VOSがハイレベルのときに、AND出力OUT−1として、ハイレベルの出力を出力する。また、AND回路35は、それ以外のとき(入力端子51から入力される電源電圧IN−1がローレベルであるか、又は、発振回路34の発振出力VOSがローレベルであるとき)に、AND出力OUT−1として、ローレベルの出力を出力する。
【0023】
従って、AND回路35は、電源電圧IN−1がハイレベルを持続し、かつ、発振出力VOSがローレベルとハイレベルとに交互に変化する出力であるときに、AND出力OUT−1として、ローレベルとハイレベルとに交互に変化する出力を出力する。また、AND回路35は、電源電圧IN−1がローレベルを持続するか、又は、発振出力VOSがローレベルを持続する出力であるときに、AND出力OUT−1として、ローレベルを持続する出力を出力する。
【0024】
AND回路35のAND出力OUT−1は、バイポーラトランジスタ31のベースに入力される。従って、バイポーラトランジスタ31は、AND回路35のAND出力OUT−1によって(発振回路34の発振出力VOSによって)、導通状態と非導通状態とに切換えられる。
【0025】
太陽電池41は、光を受光することにより、光起電力を発生する素子である。太陽電池41は、LED2が発光したときに、LED2から発光された光を受光するようになっている。従って、太陽電池41は、LED2が発光したときに、LED2から発光された光を受光して、光起電力を発生する。太陽電池41は、充放電回路43に接続されている。
【0026】
2つの電界効果トランジスタ42a、42bは、出力端子53、54間に接続されている。すなわち、電界効果トランジスタ42aは、ドレインが出力端子53に接続され、ソースが電界効果トランジスタ42bのソースに接続され、ゲートが充放電回路43に接続されている。また、電界効果トランジスタ42bは、ドレインが出力端子54に接続され、ソースが電界効果トランジスタ42aのソースに接続され、ゲートが充放電回路43に接続されている。電界効果トランジスタ42a、42bは、各々、エンハンスメント型のN型の電界効果トランジスタであり、ゲートに入力される電圧によって、導通状態と非導通状態とに切換えられる。すなわち、電界効果トランジスタ42a、42bは、各々、ゲート・ソース間の電位差が所定のプラスの電位差未満であるときに、非導通状態になり、ゲート・ソース間の電位差が所定のプラスの電位差以上であるときに、導通状態になる。
【0027】
充放電回路43は、太陽電池41が発生する光起電力によって動作して、電界効果トランジスタ42a、42bのゲートに電荷を充放電する。すなわち、充放電回路43は、太陽電池41が光起電力を発生しているときに、電界効果トランジスタ42a、42bのゲートに電荷を充電し、太陽電池41が光起電力を発生していないときに、電界効果トランジスタ42a、42bのゲートの電荷を放電する。
【0028】
図2は、半導体リレー1の各部の出力を示す。半導体リレー1は、以下のように動作する。
【0029】
まず、入力端子51に電源(+5.0V)が入力されていないときには、入力端子51から入力される電源電圧IN−1は、ローレベル(0V)である。従って、発振回路34は動作を停止しており、発振回路34の発振出力VOSは、ローレベルを持続する出力となっている。AND回路35のAND出力OUT−1も、ローレベルを持続する出力となっている。
【0030】
AND出力OUT−1がローレベルに持続されていることにより、バイポーラトランジスタ31は、非導通状態に持続されている。そして、バイポーラトランジスタ31は、非導通状態に持続されていることにより、電源から(入力端子51から)LED2に電流が供給されない状態を持続している。
【0031】
電源からLED2に電流が供給されない状態が持続されていることにより、LED2には電流が流れない。LED2の駆動電圧VDは、0Vに持続されている。従って、LED2は、発光しない。
【0032】
LED2が発光しないことにより、太陽電池41は、光を受光せず、光起電力を発生しない。従って、充放電回路43は、電界効果トランジスタ42a、42bのゲートに電荷を充電せず、電界効果トランジスタ42a、42bは、非導通状態を持続し、出力端子53、54間の抵抗Ronは、高い値を持続する。
【0033】
そして、入力端子51に電源(+5.0V)が入力されると、入力端子51から入力される電源電圧IN−1は、ハイレベル(+5.0V)になる。これにより、発振回路34は動作を開始して、発振回路34の発振出力VOSは、所定の周波数でローレベルとハイレベルとに交互に変化する出力となる。AND回路35のAND出力OUT−1も、発振出力VOSと同じ所定の周波数でローレベルとハイレベルとに交互に変化する出力となる。
【0034】
AND出力OUT−1が所定の周波数でローレベルとハイレベルとに交互に変化する出力となることにより、バイポーラトランジスタ31は、所定の周波数で導通状態と非導通状態とに切換えられる。そして、バイポーラトランジスタ31は、このように導通状態と非導通状態とに切換えられることにより、導通状態のときに、電源から(入力端子51から)LED2に電流が供給される状態にする。また、非導通状態のときに、電源から(入力端子51から)LED2に電流が供給されない状態にする。つまり、バイポーラトランジスタ31は、所定の周波数で、電源からLED2に電流が供給される状態と、電源からLED2に電流が供給されない状態とに切換える。
【0035】
このとき、コイル32は、バイポーラトランジスタ31が導通状態から非導通状態になると、すなわち、電源からLED2に電流が供給されている状態から、電源からLED2に電流が供給されない状態になると、自己誘導作用によって誘導起電力を発生する。そして、ダイオード33は、バイポーラトランジスタ31が非導通状態のときに、すなわち、電源からLED2に電流が供給されていないときに、コイル32が発生する誘導起電力によって、LED2に電流を還流させる。
【0036】
これにより、電源からLED2に電流が供給される状態と、コイル32からダイオード33を経由してLED2に電流が還流される状態とが繰り返され、LED2に電流が流れ続ける。LED2の駆動電圧VDは、ほぼ一定の所定の電圧値となる。LED2の駆動電流(LED2に流れる電流)は、ほぼ一定の所定の電流値となる。このようにLED2に電流が流れ続けることにより、LED2は、発光する。LED2の駆動電流は、発振出力VOSのデューティ比や周波数を変えることにより、所望の電流値となるように設定される。
【0037】
LED2が発光することにより、太陽電池41は、LED2からの光を受光して、光起電力を発生する。これにより、充放電回路43は、電界効果トランジスタ42a、42bのゲートに電荷を充電し、電界効果トランジスタ42a、42bは、導通状態となる。従って、出力端子53、54間の抵抗Ronは、低い値となる。
【0038】
その後、入力端子51に電源(+5.0V)が入力されなくなると、入力端子51から入力される電源電圧IN−1は、ローレベル(0V)になる。これにより、発振回路34は動作を停止して、発振回路34の発振出力VOSは、ローレベルを持続する出力となる。AND回路35のAND出力OUT−1も、ローレベルを持続する出力となる。
【0039】
AND出力OUT−1がローレベルに持続されることにより、バイポーラトランジスタ31は、非導通状態に持続されることになる。そして、バイポーラトランジスタ31は、非導通状態に持続されることにより、電源から(入力端子51から)LED2に電流が供給されない状態を持続することになる。
【0040】
電源からLED2に電流が供給されない状態が持続されることにより、コイル32は、自己誘導作用による誘導起電力を発生しなくなり、ダイオード33は、LED2に電流を還流させなくなる。これにより、LED2には、電流が流れなくなる。LED2の駆動電圧VDは、0Vになる。これにより、LED2は、発光を停止する。
【0041】
LED2が発光を停止することにより、太陽電池41は、光を受光しなくなり、光起電力を発生しなくなる。これにより、充放電回路43は、電界効果トランジスタ42a、42bのゲートの電荷を放電し、電界効果トランジスタ42a、42bは、非導通状態となる。従って、出力端子53、54間の抵抗Ronは、高い値となる。
【0042】
本実施形態の半導体リレー1によれば、従来のような制限抵抗を使用しておらず、従来のような制限抵抗での発熱による電力損失がないので、LED2の駆動電力の低減を図ることができる。
【0043】
なお、本実施形態において、バイポーラトランジスタ31に代えて、電界効果トランジスタが用いられてもよい。また、バイポーラトランジスタ31は、入力端子51とLED2との間に接続されていてもよい。また、コイル32は、入力端子51とLED2との間に接続されていてもよい。また、2つの電界効果トランジスタ42a、42bに代えて、1つの電界効果トランジスタが出力端子53、54間に接続されていてもよい。
【0044】
<第2の実施形態>
図3は、第2の実施形態による半導体リレーの構成を示す。本実施形態の半導体リレー1は、駆動回路3の構成が上記第1の実施形態と異なっている。本実施形態における他の構成については、上記第1の実施形態と同様である。
【0045】
本実施形態では、駆動回路3は、電界効果トランジスタ(電流供給用スイッチング素子)37と、コイル32と、電界効果トランジスタ(還流素子、還流用スイッチング素子)38と、発振回路34と、AND回路35と、デッドタイム生成回路39を有する。
【0046】
すなわち、本実施形態では、駆動回路3は、電流供給用スイッチング素子として、上記第1の実施形態におけるバイポーラトランジスタ31に代えて、電界効果トランジスタ37を有する。また、駆動回路3は、還流素子として、上記第1の実施形態におけるダイオード33に代えて、電界効果トランジスタ38を有する。また、駆動回路3は、上記第1の実施形態の構成に加え、デッドタイム生成回路39をさらに有する。
【0047】
LED2は、入力端子51と入力端子52との間に接続されており、アノードが電界効果トランジスタ37及びコイル32を介して入力端子51に接続され、カソードが入力端子52に接続されている。
【0048】
電界効果トランジスタ37は、入力端子51とLED2との間に接続されており、ソースが入力端子51に接続され、ドレインがコイル32を介してLED2のアノードに接続され、ゲートがデッドタイム生成回路39に接続されている。電界効果トランジスタ37は、デプレッション型のP型の電界効果トランジスタであり、ゲートに入力される電圧によって、導通状態と非導通状態とに切換えられる。すなわち、電界効果トランジスタ37は、ゲート・ソース間の電位差が所定のプラスの電位差未満であるときに、導通状態になり、ゲート・ソース間の電位差が所定のプラスの電位差以上であるときに、非導通状態になる。
【0049】
コイル32は、電界効果トランジスタ37とLED2との間に接続されており、一端が電界効果トランジスタ37のドレインに接続され、他端がLED2のアノードに接続されている。すなわち、コイル32は、LED2に直列に接続されている。
【0050】
電界効果トランジスタ38は、ドレインがコイル32の一端に接続され、ソースがLED2のカソードに接続されている。すなわち、電界効果トランジスタ38は、コイル32及びLED2に並列に接続されており、ドレインがコイル32を介してLED2のアノード側に接続され、ソースがLED2のカソード側に接続されている。電界効果トランジスタ38は、エンハンスメント型のN型の電界効果トランジスタであり、ゲートに入力される電圧によって、導通状態と非導通状態とに切換えられる。すなわち、電界効果トランジスタ38は、ゲート・ソース間の電位差が所定のプラスの電位差未満であるときに、非導通状態になり、ゲート・ソース間の電位差が所定のプラスの電位差以上であるときに、導通状態になる。
【0051】
発振回路34は、上記第1の実施形態と同様に、電源電圧IN−1によって動作して、発振出力VOSを出力する。AND回路35は、上記第1の実施形態と同様に、電源電圧IN−1のレベル及び発振出力VOSのレベルに応じて、AND出力OUT−1を出力する。
【0052】
デッドタイム生成回路39は、AND回路35から出力されるAND出力OUT−1が入力され、そのAND出力OUT−1に基いて、第1の出力OUT−a及び第2の出力OUT−bを出力する。すなわち、デッドタイム生成回路39は、AND出力OUT−1がローレベルとハイレベルとに交互に変化する出力であるときに、第1の出力OUT−a及び第2の出力OUT−bとして、ローレベルとハイレベルとに交互に変化する出力を出力する。但し、デッドタイム生成回路39は、第1の出力OUT−aがローレベルのときに第2の出力OUT−bがハイレベルにならないようにするデッドタイムTdを設けたうえで、第1の出力OUT−a及び第2の出力OUT−bを出力する。また、デッドタイム生成回路39は、AND出力OUT−1がローレベルを持続する出力であるときに、第1の出力OUT−a及び第2の出力OUT−bとして、ローレベルを持続する出力を出力する。
【0053】
デッドタイム生成回路39の第1の出力OUT−aは、電界効果トランジスタ37のゲートに入力され、第2の出力OUT−bは、電界効果トランジスタ38のゲートに入力される。従って、電界効果トランジスタ37は、デッドタイム生成回路39の第1の出力OUT−1によって、導通状態と非導通状態とに切換えられる。また、電界効果トランジスタ38は、デッドタイム生成回路39の第2の出力OUT−2によって、導通状態と非導通状態とに切換えられる。
【0054】
図4は、半導体リレー1の各部の出力を示す。半導体リレー1は、以下のように動作する。
【0055】
まず、入力端子51に電源(+5.0V)が入力されていないときには、入力端子51から入力される電源電圧IN−1は、ローレベル(0V)である。従って、発振回路34は動作を停止しており、発振回路34の発振出力VOSは、ローレベルを持続する出力となっている。AND回路35のAND出力OUT−1も、ローレベルを持続する出力となっており、デッドタイム生成回路39の第1の出力OUT−a及び第2の出力OUT−bも、ローレベルを持続する出力となっている。
【0056】
デッドタイム生成回路39の第1の出力OUT−a及び第2の出力OUT−bがローレベルに持続されていることにより、電界効果トランジスタ37は、導通状態に持続されており、電界効果トランジスタ38は、非導通状態に持続されている。入力端子51に電源が入力されていないため、LED2には電流が流れない。LED2の駆動電圧VDは、0Vに持続されている。従って、LED2は、発光しない。
【0057】
LED2が発光しないことにより、上記第1の実施形態と同様に、電界効果トランジスタ42a、42bは、非導通状態を持続し、出力端子53、54間の抵抗Ronは、高い値を持続する。
【0058】
そして、入力端子51に電源(+5.0V)が入力されると、入力端子51から入力される電源電圧IN−1は、ハイレベル(+5.0V)になる。これにより、発振回路34は動作を開始して、発振回路34の発振出力VOSは、所定の周波数でローレベルとハイレベルとに交互に変化する出力となる。AND回路35のAND出力OUT−1も、発振出力VOSと同じ所定の周波数でローレベルとハイレベルとに交互に変化する出力となる。
【0059】
これにより、デッドタイム生成回路39は、第1の出力OUT−a及び第2の出力OUT−bとして、所定の周波数でローレベルとハイレベルとに交互に変化する出力を出力する。但し、デッドタイム生成回路39は、デッドタイムTdを設けて、第1の出力OUT−aがローレベルのときに第2の出力OUT−bがハイレベルにならないように、第1の出力OUT−a及び第2の出力OUT−bを出力する。つまり、デッドタイム生成回路39は、電界効果トランジスタ37及び電界効果トランジスタ38が同時に導通状態にならないように、第1の出力OUT−a及び第2の出力OUT−bを出力する。
【0060】
デッドタイム生成回路39の第1の出力OUT−a及び第2の出力OUT−bが、このようにローレベルとハイレベルとに交互に変化する出力となることにより、電界効果トランジスタ37及び電界効果トランジスタ38は、導通状態と非導通状態とに切換えられる。すなわち、電界効果トランジスタ37は、所定の周波数で導通状態と非導通状態とに切換えられる。また、電界効果トランジスタ38は、電界効果トランジスタ37が導通状態のときに非導通状態になると共に、電界効果トランジスタ37が非導通状態のときに導通状態となるように、所定の周波数で導通状態と非導通状態とに切換えられる。但し、電界効果トランジスタ37と電界効果トランジスタ38は、同時に導通状態にならないように切換えられる。
【0061】
そして、電界効果トランジスタ37は、このように導通状態と非導通状態とに切換えられることにより、導通状態のときに、電源から(入力端子51から)LED2に電流が供給される状態にする。また、非導通状態のときに、電源から(入力端子51から)LED2に電流が供給されない状態にする。つまり、電界効果トランジスタ37は、所定の周波数で、電源からLED2に電流が供給される状態と、電源からLED2に電流が供給されない状態とに切換える。
【0062】
一方、電界効果トランジスタ38は、このように導通状態と非導通状態とに切換えられることにより、非導通状態のときに、LED2のカソードとコイル32の一端とを切断した状態にする。また、導通状態のときに、LED2のカソードとコイル32の一端とを接続した状態にする。つまり、電界効果トランジスタ38は、電界効果トランジスタ37が導通状態のとき(電源からLED2に電流が供給される状態のとき)に、LED2のカソードとコイル32の一端とを切断した状態にする。また、電界効果トランジスタ38は、電界効果トランジスタ37が非導通状態のとき(電源からLED2に電流が供給されない状態のとき)に、LED2のカソードとコイル32の一端とを接続した状態にする。
【0063】
このとき、コイル32は、電界効果トランジスタ37が導通状態から非導通状態になると、すなわち、電源からLED2に電流が供給されている状態から、電源からLED2に電流が供給されない状態になると、自己誘導作用によって誘導起電力を発生する。そして、電界効果トランジスタ38は、電界効果トランジスタ37が非導通状態のときに、すなわち、電源からLED2に電流が供給されていないときに、コイル32が発生する誘導起電力によって、LED2に電流を還流させる。
【0064】
これにより、電源からLED2に電流が供給される状態と、コイル32から電界効果トランジスタ38を経由してLED2に電流が還流される状態とが繰り返され、LED2に電流が流れ続ける。LED2の駆動電圧VDは、ほぼ一定の所定の電圧値となる。LED2の駆動電流(LED2に流れる電流)は、ほぼ一定の所定の電流値となる。このようにLED2に電流が流れ続けることにより、LED2は、発光する。LED2の駆動電流は、発振出力VOSのデューティ比や周波数を変えることにより、所望の電流値となるように設定される。
【0065】
LED2が発光することにより、上記第1の実施形態と同様に、電界効果トランジスタ42a、42bは、導通状態となり、出力端子53、54間の抵抗Ronは、低い値となる。
【0066】
その後、入力端子51に電源(+5.0V)が入力されなくなると、入力端子51から入力される電源電圧IN−1は、ローレベル(0V)になる。これにより、発振回路34は動作を停止して、発振回路34の発振出力VOSは、ローレベルを持続する出力となる。AND回路35のAND出力OUT−1も、ローレベルを持続する出力となり、デッドタイム生成回路39の第1の出力OUT−a及び第2の出力OUT−bも、ローレベルを持続する出力となる。
【0067】
デッドタイム生成回路39の第1の出力OUT−a及び第2の出力OUT−bがローレベルに持続されることにより、電界効果トランジスタ37は、導通状態に持続されることになり、電界効果トランジスタ38は、非導通状態に持続されることになる。このとき、入力端子51に電源が入力されなくなっているため、電源から(入力端子51から)LED2に電流が供給されない状態が持続されることになる。
【0068】
電源からLED2に電流が供給されない状態が持続されることにより、コイル32は、自己誘導作用による誘導起電力を発生しなくなる。電界効果トランジスタ38は、非導通状態に持続されることにより、LED2に電流を還流させなくなる。これにより、LED2には、電流が流れなくなる。LED2の駆動電圧VDは、0Vになる。これにより、LED2は、発光を停止する。
【0069】
LED2が発光を停止することにより、上記第1の実施形態と同様に、電界効果トランジスタ42a、42bは、非導通状態となり、出力端子53、54間の抵抗Ronは、高い値となる。
【0070】
本実施形態の半導体リレー1によれば、上記第1の実施形態と同様に、LED2の駆動電力の低減を図ることができる。しかも、上記第1の実施形態と比較して、LED2を高効率で発光することができ、より一層、LED2の駆動電力の低減を図ることができる。
【0071】
なお、本実施形態において、電界効果トランジスタ37、38に代えて、各々、バイポーラトランジスタが用いられてもよい。また、電界効果トランジスタ37は、LED2と入力端子52との間に接続されていてもよい。また、コイル32は、LED2と入力端子52との間に接続されていてもよい。また、2つの電界効果トランジスタ42a、42bに代えて、1つの電界効果トランジスタが出力端子53、54間に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 半導体リレー
2 LED
3 駆動回路
4 受光部
31 バイポーラトランジスタ(電流供給用スイッチング素子)
32 コイル
33 ダイオード(還流素子)
34 発振回路
35 AND回路
37 電界効果トランジスタ(電流供給用スイッチング素子)
38 電界効果トランジスタ(還流素子、還流用スイッチング素子)
39 デッドタイム生成回路
41 太陽電池
42a、42b 電界効果トランジスタ
43 充放電回路
51、52 入力端子
53、54 出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDを駆動回路により駆動して発光させ、前記LEDから発光された光を受光部により受光する半導体リレーにおいて、
前記駆動回路は、
導通状態と非導通状態とに切換えられ、導通状態のときに、電源から前記LEDに電流が供給される状態にし、非導通状態のときに、電源から前記LEDに電流が供給されない状態にする電流供給用スイッチング素子と、
前記電流供給用スイッチング素子が導通状態から非導通状態になったときに、自己誘導作用によって誘導起電力を発生するコイルと、
前記電流供給用スイッチング素子が非導通状態のときに、前記コイルが発生する誘導起電力によって、前記LEDに電流を還流させる還流素子とを有する、ことを特徴とする半導体リレー。
【請求項2】
前記LED、前記駆動回路、前記受光部は、パッケージに収納されて一体化されている、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体リレー。
【請求項3】
前記コイルは、前記LEDに直列に接続されており、
前記還流素子は、ダイオードであり、前記LED及び前記コイルに並列に接続されており、アノードが前記LEDのカソード側に接続され、カソードが前記LEDのアノード側に接続されている、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体リレー。
【請求項4】
前記駆動回路は、発振回路をさらに備え、
前記電流供給用スイッチング素子は、トランジスタであり、前記発振回路の発振出力によって導通状態と非導通状態とに切換えられる、ことを特徴とする請求項3に記載の半導体リレー。
【請求項5】
前記コイルは、前記LEDに直列に接続されており、
前記還流素子は、導通状態と非導通状態とに切換えられる還流用スイッチング素子であり、前記LED及び前記コイルに並列に接続されており、前記電流供給用スイッチング素子が導通状態のときに非導通状態になると共に、前記電流供給用スイッチング素子が非導通状態のときに導通状態となるように、導通状態と非導通状態とに切換えられる、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体リレー。
【請求項6】
前記駆動回路は、
発振回路と、
前記発振回路の発振出力に基いて、電圧がローレベルとハイレベルとに交互に変化する第1の出力及び第2の出力を出力するデッドタイム生成回路とをさらに備え、
前記電流供給用スイッチング素子は、前記デッドタイム生成回路の第1の出力によって、導通状態と非導通状態とに切換えられ、
前記還流用スイッチング素子は、前記デッドタイム生成回路の第2の出力によって、導通状態と非導通状態とに切換えられ、
前記デッドタイム生成回路は、前記電流供給用スイッチング素子及び前記還流用スイッチング素子が同時に導通状態にならないように、前記第1の出力及び第2の出力を出力する、ことを特徴とする請求項5に記載の半導体リレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−106311(P2013−106311A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250816(P2011−250816)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】