説明

半導体レーザ装置

【課題】安定した自励発振動作をする半導体レーザ装置を提供する。
【解決手段】基板110と、基板110の上に形成された第1導電型の下地層114と、下地層114の上に順次形成された、n型クラッド層115、n型ガイド層116、活性層117、p型ガイド層118、p型クラッド層120及びp型コンタクト層122によって構成された窒化物半導体からなる積層構造体と、p型コンタクト層122に電気的に接続されたp側電極123と、n型クラッド層115に電気的に接続されたn側電極124とを備える。積層構造体は、p側電極123の下方の領域であって第1の転位密度となるように構成された領域である第1転位領域と、第1の転位密度とは異なる第2の転位密度となるように構成された領域である第2転位領域とを含む。第2の転位密度は、第1の転位密度よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク用光源又はディスプレイ用光源に用いられる半導体レーザ装置に関し、特に、窒化物半導体を用いた自励発振動作型の半導体レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化物半導体を用いた半導体レーザ装置は、BD(Blu−ray Disc(登録商標))用光ピックアップ装置の光源として特性向上や低価格化への取り組みが盛んになされている。また、近年では、窒化物半導体を用いて青色から緑色までのレーザ光を発振する半導体レーザ装置が開発され、プロジェクターなどディスプレイの小型光源としても非常に期待されている。このような光ディスクやディスプレイに用いられる半導体レーザ装置においては、半導体レーザ装置のノイズを低減することが重要になっている。
【0003】
例えば、BD用光ピックアップ装置においては、半導体レーザ装置から出射されたレーザ光は、光ディスク(BD)によって反射した後、再び半導体レーザ装置の端面に入射して、これによって戻り光ノイズが生じる。この戻り光ノイズは光ディスクの読み取りエラーの原因となる。このため、現在、BDの信号再生時には高周波重畳回路を用いて半導体レーザ装置に高周波の電流を重畳させることにより発振スペクトルをマルチモード化させ、レーザ光の持つ干渉性を低減することにより戻り光ノイズを低減する方法が用いられている。
【0004】
また、ディスプレイ用の半導体レーザ装置においては、レーザの持つ高い干渉性により、画面内で局所的に干渉の強弱が発生し、画面がギラついて見える、いわゆるスペックノイズが発生する。このようなスペックノイズを低減させるため、ディスプレイ用に用いられる半導体レーザ装置には、例えば、振動子を半導体レーザ装置に取り付け振動させることで、干渉の強弱を画面内で平滑化させるような検討がなされている。
【0005】
しかしながら、このようなノイズ対策として高周波重畳回路や振動子を光源に新たに取り付けることは、光源のコストアップにつながり好ましくない。そこで、半導体レーザ装置自体の低ノイズ化が求められている。
【0006】
半導体レーザ装置を低ノイズ化する方法としては、発光光の干渉性を低減させることが考えられる。従来、発光光の干渉性を低減する方法として、自励発振動作が可能な自励発振型の半導体レーザ装置が提案されている。
【0007】
特許文献1に、従来の自励発振型の半導体レーザ装置が開示されている。特許文献1には、活性層において電流が注入される電流注入領域の周囲に、可飽和吸収領域と呼ばれる光吸収領域を形成することにより自励発振動作を引き起こすことが開示されている。このような自励発振動作においては、光導波路内の実効屈折率が変化するため、発振波長に揺らぎが生じて干渉性が低減し、これによりノイズを低減させることが可能となる。
【0008】
以下、特許文献1に開示された従来の自励発振型の半導体レーザ装置について、図11用いて説明する。図11は、従来の自励発振型の半導体レーザ装置の断面図である。
【0009】
図11に示すように、従来の自励発振型の半導体レーザ装置は、サファイア基板401上に、n型コンタクト層402と、n型クラッド層403と、活性層404と、p型クラッド層405と、n型電流狭搾層406、407と、p型コンタクト層408とが積層されて構成されている。
【0010】
p型クラッド層405は、活性層404の表面を覆って形成された平坦部405aと、平坦部405aの中央部に上向きに凸設された幅W2の下段ストライプ部405bと、下段ストライプ部405bの中央部にさらに凸設された幅W1の上段ストライプ部405cとで構成される。下段ストライプ部405b及び上段ストライプ部405cは、幅W1が幅W2よりも狭くなるように構成されている。
【0011】
また、n型コンタクト層402の開口部上にはn側電極409が設けられており、p型コンタクト層408上にはp側電極410が設けられている。
【0012】
このような構成の半導体レーザ装置によれば、p型クラッド層405から活性層404へ流れる電流は、幅W1の上段ストライプ部405cによって横方向への拡がりが規制された状態で活性層404へ流れる。従って、活性層404の中央に、上段ストライプ部405cの幅W1に応じた大きさの電流注入領域が形成される。また、下段ストライプ部405bの幅W2が上段ストライプ部405cの幅W1よりも広がっているので、発光スポット幅が下段ストライプ部405bの幅W2に応じた大きさとなり、発光スポット幅は電流注入領域の幅よりも大きくなる。これにより、電流注入領域の周囲に可飽和吸収領域が形成されることになり活性層404において、電流注入領域と可飽和吸収領域が相互作用し自励発振動作して、パルス状の光出力を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2000−286504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来の自励発振型の半導体レーザ装置では、安定した自励発振動作を行わせることが難しいという問題がある。
【0015】
ところで、自励発振型の半導体レーザ装置では、電流広がりによって生じる活性層内の光学利得領域(その幅をGとする)をできるだけ狭くし、逆に光導波路スポットサイズ(その幅をSとする)を比較的大きく設定し、S>Gなる関係を満たした場合に、この差分が可飽和吸収領域として機能して自励発振動作が生じる。このため、自励発振型の半導体レーザ装置は、屈折率導波路(Index Guide)型の半導体レーザ装置と、利得導波路(Gain Guide)型の半導体レーザ装置との中間的な導波路を構成する。
【0016】
ここで、自励発振型の半導体レーザ装置において、十分な可飽和吸収効果を生じさせることは、安定した自励発振動作を維持させる上で重要である。可飽和吸収効果は、活性層中央部の光学利得領域(発光領域)の微分利得(∂G/∂n:Gは光学利得、nは注入キャリア濃度)が小さく(レーザ発振時飽和)、また、可飽和吸収領域の微分利得が大きく、さらには、その両者の差が大きいことが有効である。すなわち、自励発振条件は、光学利得領域と可飽和吸収領域における微分利得とその大きさが重要である。なお、一般的に、活性層構造としては多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)構造を採用する場合が多い。
【0017】
このように、自励発振動作を安定して発生させるためには、次の2つのことが必要であると考えられる。第一に、(1)活性層の発光領域での微分利得と可飽和吸収領域での微分利得との差が大きく、かつ、発光領域の微分利得が飽和しやすい構造であること、第二に、(2)可飽和吸収領域での光吸収効果が大きいこと、である。この(1)(2)の条件について、図12及び図13を用いて以下考察する。
【0018】
図12は、活性層がバルク構造の半導体レーザ装置における光学利得Gと注入キャリア濃度nとの一般的な関係を示す図である。上述のとおり、安定した自励発振動作を起こさせるためには、上記の条件を満たすことが必要である。しかしながら、活性層がバルク構造の半導体レーザ装置においては、図12に示すように、発光領域での微分利得が飽和しにくいため、自励発振動作がしにくくなる。
【0019】
また、図13は、活性層がMQW構造の半導体レーザ装置における量子井戸数Nと光学利得の注入キャリア濃度との関係を定性的に示した図である。図13に示すように、活性層がMQW構造の半導体レーザ装置では、量子井戸数Nが増加すると、光学利得は飽和しにくくなり自励発振動作はしにくくなる。逆に、量子井戸数Nが少ないほど発光領域の光学利得Gが飽和しやすくなる。つまり、バルク構造のように光学利得が飽和しにくい活性層よりも量子井戸数が少ないMQW構造の活性層の方が、光学利得が飽和しやすく、飽和効果を強くすることによって自励発振動作を強くすることができる。
【0020】
一方、光吸収領域における光吸収係数については、図12及び図13を参照すると、量子井戸構造の活性層の吸収係数が小さく、バルク構造の活性層の光吸収係数の方が量子井戸構造の活性層の光吸収係数よりも大きい。なお、この点は、量子井戸構造を光導波路に用いた場合、導波路損失が少なく良好な導波路特性を得られることからも実証されている。
【0021】
しかしながら、光吸収係数が小さく光吸収量が少ないことは、上記(2)の「可飽和吸収領域での光吸収効果が大きいこと」という条件に反することになるため安定した自励動作実現が困難となる。光吸収量を増加させるには、バルク構造の活性層を導入するか多重量子井戸構造の活性層にて量子井戸数を増加することが有効であるが、この場合、逆に、上記(1)の「活性層の発光領域での微分利得と可飽和吸収領域での微分利得差が大きく、かつ、発光領域の微分利得が飽和しやすい構造であること」という条件を満たすことができない。
【0022】
このように、現在のところ、(1)(2)を両立させて、安定した自励発振動作をする半導体レーザ装置は実現されていない。
【0023】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、安定した自励発振動作を行う半導体レーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本願の発明者らは、上記目的を実現するために、活性層電流注入領域を含む光導波路内において電流狭搾構造により狭搾された電流分布と光導波路内の光分布とを大きく変えることを検討した。そして、光導波路領域において、活性層内の電流分布の広がっている活性層電流注入領域においては低転位とし、活性層内の電流分布が広がっていない領域である可飽和吸収領域においては転位を帯状に集中して配置することで、キャリア寿命を短くして可飽和吸収の時間的復帰を促進し、安定した自励発振動作を実現することができるという知見を得ることができた。
【0025】
本発明は、このような知見により得られたものであり、以下の解決手段によって実現される。
【0026】
本発明に係る半導体レーザ装置の一態様は、自励発振動作をする半導体レーザ装置であって、基板と、当該基板の上に形成された第1導電型の下地層と、当該下地層の上に順次形成された、第1導電型のクラッド層、第1導電型のガイド層、活性層、第1導電型とは異なる導電型である第2導電型のガイド層、第2導電型のクラッド層及び第2導電型のコンタクト層によって構成された窒化物半導体からなる積層構造体と、前記第1導電型のクラッド層に電気的に接続された第1電極と、前記第2導電型のコンタクト層に電気的に接続された第2電極とを備え、前記積層構造体は、前記第2電極の下方に領域であって第1の転位密度の領域である第1転位領域と、前記第1の転位密度とは異なる第2の転位密度の領域である第2転位領域とを含み、前記第2の転位密度が、前記第1の転位密度よりも大きくなるように構成される。
【0027】
本発明に係る半導体レーザの一態様によれば、活性層電流注入領域を含まない光導波路領域内における活性層領域である可飽和吸収領域の一部に、転位密度が相対的に大きい第2の転位密度である第2転位領域を存在させることができるので、可飽和吸収領域における光吸収量を増大させることができる。これにより、安定した自励発振動作をする半導体レーザ装置を実現することができる。
【0028】
さらに、本発明に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記積層構造体における光導波路領域は、前記第2電極から注入された電流が前記活性層に流れ込む領域である活性層電流注入領域と、当該活性層電流注入領域とは異なる領域である活性層電流非注入領域とを含み、前記活性層電流注入領域は、前記第1転位領域を含み、前記活性層電流非注入領域は、前記第2転位領域を含むことが好ましい。
【0029】
本態様によれば、光導波路領域内において、活性層電流注入領域に存在する第1転位領域と、活性層電流非注入領域である可飽和吸収領域に存在する第2転位領域とが含まれることになる。これにより、安定した自励発振動作をする半導体レーザ装置を実現することができる。
【0030】
さらに、本発明に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記第2転位領域は、前記光導波路領域内に1箇所のみ存在することが好ましい。
【0031】
可飽和吸収領域に転位が集中した転位領域が複数存在すると光吸収量が大幅に増大して閾値電流の増大を招く恐れがある。本態様によれば、必要最小限の光吸収量を確保することができる。例えば、活性層電流注入領域に対して左右どちらか一方に第2転位領域を配置することで、大幅な閾値電流の増大を防ぎ且つ安定した自励発振動作をする半導体レーザ装置を実現することができる。
【0032】
さらに、本発明に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記第2転位領域は、前記第1転位領域の中心から5μm以内の範囲に存在することが好ましい。
【0033】
安定した自励発振動作は、光導波路領域内における活性層電流注入領域と可飽和吸収領域として働く電流非注入領域とのバランスにより保たれる。このバランスは、電流注入領域からの電流の横方向拡散距離(光学利得が正の領域)に対して光の横方向への拡がり距離を大きくすることにより実現できる。すなわち、光学利得が正の領域と、光導波路内の電流が注入されない活性層領域、すなわち光学利得が負の領域とのバランスによる。
【0034】
導波光として横方向への光の染みだしは数μm以下であるので、電流注入領域幅があまりに広いと、利得が正の領域の割合に対して、可飽和吸収領域の割合が小さくなりすぎて安定した自励発振動作が得られない。
【0035】
そこで、本態様のように、光導波路領域内の電流非注入領域内における第2転位領域までの距離を第1転位領域の中心から5μm以内にすることにより、電流非注入領域に染み出した導波光を効率よく吸収することができる。これにより、安定した自励発振動作をする半導体レーザ装置を実現することができる。
【0036】
さらに、本発明に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記第2の転位密度は、1×107/cm2以上であることが好ましい。
【0037】
本態様のように、第2転位領域内の転位密度を1×107/cm2以上にすることにより、可飽和吸収領域内における光吸収量を増大させることができる。これにより、転位密度の増大よる光吸収により生じたキャリアは非発光再結合により支配的に消滅する。従って、安定した自励発振動作をする半導体レーザ装置を実現することができる。なお、安定した自励発振動作をさせるには、電流注入領域から横方向への光の染み出しと光吸収量とのバランスで決まる。また、電流注入領域における電流注入密度は数kA/cm2レベルに達することから、電流注入領域では低転位であることが求められ、1×106/cm2台もしくはそれ以下の転位密度であることが好ましい。
【0038】
さらに、本発明に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記活性層が、インジウムを含むことが好ましい。
【0039】
本態様のように、活性層がInを含むように構成することにより、紫外領域から可視領域までの発光波長を実現することができる。従って、用途に合わせて自由に発光波長を変えることができる。さらに、Inを含む窒化物材料はInの偏析が非常にしやすい材料であることから、Inの偏析部分はバンドギャップエネルギーが小さくなり、可飽和吸収領域内の導波光の光を効率的に光吸収させることが可能となる。これにより、安定した自励発振動作をする半導体レーザ装置を実現することができる。
【0040】
さらに、本発明に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記基板と前記下地層との間に転位制御層を備え、前記転位制御層は、当該転位制御層の上に形成される層の転位を集中させることができる転位集中可領域を有することが好ましい。
【0041】
本態様によれば、転位制御層によって転位集中可領域の位置を制御することができる。これにより、転位集中可領域の上部に積層される層における転位領域(第2転位領域)の位置を電流注入領域に対して横方向に自由に調整することができる。従って、光導波路領域内の光分布に対して自由に位置制御を行うことが可能であるため、光吸収量を自由に調整できる。よって、安定した自励発振動作をする半導体レーザ装置を実現することができる。
【0042】
さらに、本発明に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記転位制御層は、窒化物半導体が前記基板の主面に対して平行な方向に成長された横方向成長層を有することが好ましい。
【0043】
これにより、横方向成長層によって転位集中可領域を容易に構成することができる。
さらに、本発明に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記横方向成長層が、AlxGa1-xN(0≦x≦1)からなることが好ましい。
【0044】
これにより、転位制御層の一部をGaNより屈折率の低いAlxGa1-xNで構成することができ、この結果、光導波路領域内の縦方向の光閉じ込め(Γv)を大きくすることが可能であり、導波路損失を低減することで閾値電流密度の低減が可能となる。従って、安定した自励発振動作をする半導体レーザ装置を実現することができる。
【0045】
さらに、本発明に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記転位制御層は、複数の凸部を有する下地種結晶層と、前記複数の凸部の凸部間に形成された成長層とを備え、前記成長層は、向かい合う前記凸部の側面から成長した第1成長層と第2成長層とが接合して形成され、前記転位集中可領域は、前記第1成長層と前記第2成長層とが接合する領域であることが好ましい。
【0046】
本態様のように、下地種結晶層の凸部の側面から成長した第1成長層と第2成長層とを接合して成長層を形成することにより、当該接合領域を転位集中可領域とすることができる。これにより、転位を集中させた第2転位領域を容易に形成することができる。
【0047】
さらに、本発明に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記転位制御層は、複数の凸部を有する下地種結晶層と、前記複数の凸部の凸部間に形成された選択成長用膜と、前記下地種結晶層と前記選択成長用膜との上に形成された成長層とを備え、前記成長層は、前記複数の凸部の上面から成長した第1成長層と第2成長層とが接合して形成され、前記転位集中可領域は、前記第1成長層と前記第2成長層とが接合する領域であることが好ましい。
【0048】
本態様のように、下地種結晶層の凸部の上面から成長した第1成長層と第2成長層とを接合して成長層を形成することにより、当該接合領域を転位集中可領域とすることができる。これにより、転位を集中させた第2転位領域を容易に形成することができる。
【0049】
さらに、本発明に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記基板に複数の凸部が形成されており、前記転位制御層は、前記複数の凸部の各々について前記凸部の一方の側面に形成された下地種結晶層と、前記複数の凸部の各々について前記凸部の他方の側面に形成された選択成長用膜と、前記下地種結晶層と前記選択成長用膜との上に形成された成長層とを備え、前記成長層は、複数の前記下地種結晶層のうちの一の下地種結晶層から成長した第1成長層と、前記一の下地種結晶膜とは異なる他の下地種結晶層から成長した第2成長層とが接合して形成され、前記転位集中可領域は、前記第1成長層と前記第2成長層とが接合する領域であることが好ましい。
【0050】
本態様のように、基板の凸部の側面に形成された下地種結晶層から成長した第1成長層と第2成長層とを接合して成長層を形成することにより、当該接合領域を転位集中可領域とすることができる。これにより、転位を集中させた第2転位領域を容易に形成することができる。
【0051】
さらに、本発明に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記下地層の一部もしくは全部が、AlxGa1-xN(0≦x≦1)とAlyGa1-yN(0≦y≦1、x≠y)との積層構造からなることが好ましい。
【0052】
これにより、転位集中可領域の上部に積層される層における転位領域(第2転位領域)の転位数を制御することができる。
【0053】
さらに、本発明に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記基板が、サファイア基板、Si基板又はSiC基板であることが好ましい。
【0054】
レーザ光源用の低転位基板は現状のところ非常に高価なものであるが、本態様のように、低コストなサファイア基板、Si基板又はSiC基板を用いることで、一素子当たりのコストを大幅に低減することができる。これにより、低コストで自励発振動作をする半導体レーザ装置を実現することができる。
【0055】
さらに、本発明に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記積層構造体の主面が、半極性又は無極性であることが好ましい。
【0056】
従来から、c面(有極性面)上での自励発振動作する半導体レーザ装置が実現されている。しかし、この場合、ピエゾ効果により活性層内の電子と正孔とが空間的に離れてしまうことになるので、可飽和吸収領域内での光吸収により生じたキャリアの消滅時間が長くなってしまう。
【0057】
本態様のように、積層構造体の半導体層の主面を半極性又は無極性にすることにより、ピエゾ効果を低減することができ、電子と正孔とが空間的に離れなくなる。これにより、光吸収により生じたキャリアの消滅時間が早くなり、光吸収が可能になるまでの時間を短くすることができ、単位時間当たりの光吸収量を増大させることができる。従って、より安定した自励発振動作をする半導体レーザ装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0058】
本発明に係る半導体レーザ装置によれば、キャリア寿命を短くし可飽和吸収の時間的復帰を促進し、安定した自励発振動作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置の構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置における光導波路付近を模式的に表した一部拡大断面図である。
【図3】転位密度とPL発光強度との関係を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法における各工程の断面図である。
【図5】(a)は、第1の実施形態に係る下地基板の模式図である。(b)は、第1の実施形態に係る下地基板を作製し、当該下地基板をm軸方向から観察した断面TEM像である。(c)は、(b)の下地基板を上面から観察したカソードルミネッセンス像である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ装置の構造を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法における各工程の断面図である。
【図8】(a)は、第2の実施形態に係る下地基板を作製し、当該下地基板をm軸方向から観察した断面TEM像である。(b)は、(a)の下地基板を上面から観察したカソードルミネッセンス像である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ装置の構造を示す断面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法における各工程の断面図である。
【図11】従来の自励発振型の半導体レーザ装置の断面図である。
【図12】活性層がバルク構造の半導体レーザ装置における光学利得Gと注入キャリア濃度nとの一般的な関係を示す図である。
【図13】活性層がMQW構造の半導体レーザ装置における量子井戸数Nと光学利得の注入キャリア濃度との関係を定性的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、本発明の実施の形態に係る半導体レーザ装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図は説明のための模式図であり、膜厚や各部の大きさの比等は必ずしも厳密ではなく、また、各図同士において一致しない場合もある。
【0061】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置の構造を示す断面図である。
【0062】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置1は、自励発振動作を行う自励発振型の半導体レーザ装置であって、基板110と、基板110上に形成された下地種結晶層111及び横方向成長層112と、下地種結晶層111及び横方向成長層112の上に形成された第1導電型(n型)の下地層114とを備える。
【0063】
基板110は、例えば、主面の面方位が(001)面であるサファイア基板を用いることができる。
【0064】
下地種結晶層111は、ストライプ状の複数の凹部が形成された凹凸構造を有するGaN(窒化ガリウム)等からなる窒化物半導体層である。下地種結晶層111は、複数の凹部が形成されることにより構成される複数の凸部111aを備える。
【0065】
横方向成長層112は、下地種結晶層111の凸部111a間の凹部を埋めるようにして形成されたGaN等からなる窒化物半導体層である。横方向成長層112は、下地種結晶層111の凸部111aの側面から横方向(基板主面と略平行な方向)に結晶成長させたものであり、向かい合う凸部111aの側面から成長した横方向成長層112a、112b同士が接合して一体化して形成される。隣り合う横方向成長層112aと横方向成長層112bとが接合した部分は接合部分113aであり、接合部分113aを含むその周辺領域は接合領域113である。接合領域113は、接合領域113上に形成される層の転位を集中させることができる転位集中可領域として機能し、接合領域113上に形成される層は転位が集中して転位密度が大きくなる。また、下地結晶層111の凸部111aの上に形成される層も転位が集中して転位密度が大きくなる。本実施形態において、横方向成長層112は、下地種結晶層111とともに、転位集中可領域を有する転位制御層として機能する。
【0066】
下地層114は、下地種結晶層111及び横方向成長層112の上の全面に形成されたn型の窒化物半導体層である。本実施形態において、下地層114は、不純物としてSi(シリコン)をドープしたn型のGaNで構成した。
【0067】
さらに、本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置1は、図1に示すように、下地層114の上に、n型クラッド層115、n型ガイド層116、活性層117、第1導電型とは異なる第2導電型(p型)であるp型ガイド層118、キャリアオーバーフロー抑制層119及びp型クラッド層120が順次積層されている。これらの層は、窒化物半導体からなる積層構造体である。
【0068】
n型クラッド層115は、下地層114上に形成されたn型窒化物半導体層であり、例えば、Si等のn型の不純物がドープされたAl0.05Ga0.95Nで構成することができる。
【0069】
n型ガイド層116は、n型クラッド層115上に形成されたn型窒化物半導体層であり、例えば、Si等のn型の不純物がドープされたGaNで構成することができる。
【0070】
活性層117は、n型ガイド層116上に形成されており、例えば、In0.02Ga0.98Nからなるバリア層とIn0.06Ga0.94Nからなる井戸層との多重量子井戸構造の活性層である。
【0071】
p型ガイド層118は、活性層117上に形成されたp型窒化物半導体層であり、例えば、Mg(マグネシウム)等のp型の不純物がドープされたGaNで構成することができる。
【0072】
キャリアオーバーフロー抑制層119は、p型ガイド層118上に形成された窒化物半導体層であり、例えば、Al0.20Ga0.80Nで構成することができる。
【0073】
p型クラッド層120は、キャリアオーバーフロー抑制層119上に形成されたp型窒化物半導体層であり、例えば、p型のAl0.10Ga0.90Nとp型のGaNとを複数回繰り返して積層して形成された歪超格子構造の窒化物半導体層で構成することができる。また、p型クラッド層120は、上面視ストライプ形状で断面凸形状のリッジ部120aを有する。
【0074】
さらに、p型クラッド層120のリッジ部120a上には、p型コンタクト層122とp側電極123(第2電極)が形成されており、p側電極123はp型コンタクト層122と電気的に接続されている。また、p型クラッド層120のリッジ部120aが形成されていない領域上には誘電体膜121が形成されている。また、積層構造体が除去された開口部には下地層114が露出されており、下地層114の上には、n側電極124(第1電極)が形成されている。n側電極124は、下地層114を介してn型クラッド層115と電気的に接続されている。
【0075】
p型コンタクト層122及びp側電極123が形成されているリッジ部120aは活性層117に電流を注入するための領域であり、p側電極123及びリッジ部120aの下方領域とその周辺領域は電流注入領域130である。
【0076】
本実施形態において、p型コンタクト層122は、例えば、Mg(マグネシウム)等のp型の不純物がドープされたGaNで構成することができる。また、誘電体膜121は、SiO2で構成することができる。p側電極123は、パラジウム(Pd)と白金(Pt)との積層金属膜によって構成することができ、n側電極124は、Ti(チタン)と白金(Pt)と金(Au)との積層金属膜によって構成することができる。
【0077】
本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置1では、上述のとおり、下地種結晶層111の凹部において隣り合った横方向成長層112a、112bが接合して接合領域113が形成されている。そして、接合領域113上に形成される積層構造体には、誘電体膜121から接合領域113にかけて帯状の転位領域141が形成されている。つまり、横方向成長層112における接合領域113上に成長する層は、接合領域113の接合部分113aによって転位が集中するようにして形成される。
【0078】
一方、接合領域113が形成されていない横方向成長層112上に成長する層は転位が集中せずに形成され、この部分の上には低転位化された領域が形成される。
【0079】
また、下地種結晶層111の凸部111a上に直接下地層114が形成された領域上にも転位が集中した領域となっており、誘電体膜121から下地種結晶層111にかけて帯状の転位領域151が形成されている。つまり、下地種結晶層111の凸部111aも転位集中可領域として機能する。このように本実施形態に係る半導体レーザ装置1には、転位密度が他の部分よりも大きい帯状の転位領域141、151が形成されている。
【0080】
次に、本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置1の動作について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置における光導波路付近を模式的に表した一部拡大断面図である。
【0081】
図2において、破線で示す楕円領域は、半導体レーザ装置1の光導波路領域160を示している。光導波路領域160は、p側電極123から注入された電流が活性層117に流れ込む領域である活性層電流注入領域と、活性層電流注入領域とは異なる領域である活性層電流非注入領域とを含んでいる。
【0082】
図2に示すように、本実施形態においては、p側電極123の下方領域、すなわちp型クラッド層120のリッジ部120aの下方領域とその周辺領域である電流注入領域130においては、光導波路領域160内の電流狭搾構造により電流を狭搾して電流分布170と光導波路領域160内の光分布とを大きく変えている。
【0083】
すなわち、活性層117内の電流分布170の拡がっている領域を転位密度が低い低転位領域としている。また、電流注入領域130の周辺領域であって帯状の転位領域141を含む領域である近傍領域140は、光導波路領域160において電流分布170が拡がっていない領域であり、可飽和吸収領域として機能する。つまり、電流注入領域130における光導波路領域160は活性層電流注入領域であり、近傍領域140における光導波路領域160は活性層非電流注入領域である。
【0084】
近傍領域140は、図1における接合領域113上における領域である。近傍領域140における帯状の転位領域141(第2転位領域)において、帯状の転位は、光導波路と平行(紙面垂直方向)で且つ基板垂直方向に帯状に集中して形成されている。そして、帯状の転位領域141によって光導波路領域160内の光が吸収されるので、生成されたキャリアに対して非発光再結合成分を増大させてキャリアの寿命を短くすることができる。これにより、可飽和吸収の時間的復帰を促進させる光吸収量を増大させることができるので、安定した自励発振動作を実現することができる。
【0085】
このように構成される本実施形態に係る半導体レーザ装置1において、電流注入領域130内の転位密度、特に、活性層注入領域における転位密度を第1の転位密度aとし、近傍領域140内の転位密度、特に、活性層非電流注入領域における帯状の転位領域141の転位密度を第2の転位密度bとすると、第1の転位密度aと第2の転位密度bの関係は、a<bとなっており、第2の転位密度は第1の転位密度よりも大きい関係としている。なお、帯状の転位領域151を含む近傍領域150も近傍領域140と同様であり、帯状の転位領域151は、光吸収量を増大させる可飽和吸収領域として機能する。
【0086】
ここで、転位とキャリアの非発光再結合成分との関係について、図3を用いて説明する。図3は、転位密度とPL(Photo Luminescence)発光強度との関係を示す図である。なお、図3は、文献(Appl.Phys.Lett.,76,p,2000)において、既に調査及び報告されている。図3において、横軸は転位密度を示し、縦軸はPL発光強度を示している。
【0087】
図3に示すように、転位密度が107/cm-2以上になると、急激にPL発光強度が低下することが分かる。これは、当初は励起されたキャリアにおける発光再結合成分が支配的であったが、転位密度が増大することにより、転位を介してキャリアが消滅して非発光再結合成分が増大し、PL発光強度が低下したことを示している。
【0088】
従って、本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置1によれば、光導波路領域160内であって電流注入領域130の周辺領域である近傍領域140に転位を集中して配置させることにより、すなわち、可飽和吸収領域内に転位領域を配置させることにより、効率的に光吸収量を増大させることができる。
【0089】
なお、本実施形態においては、帯状の転位領域(第2転位領域)として、近傍領域140の光導波路領域160内(可飽和吸収領域内)に2つの転位領域141、151を形成したが、これに限るものではない。可飽和吸収領域に転位が集中した転位領域が複数存在すると光吸収量が大幅に増大しすぎて、閾値電流の増大を招く場合もある。この場合、帯状の転位領域は、光導波路領域160内に1箇所のみ、例えば近傍領域140もしくは150のみに存在するように構成しても構わない。つまり、所望の光吸収量となるように、転位領域の数及び転位密度を設定すればよい。
【0090】
次に、本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置1の製造方法について、図4を用いて説明する。図4は、本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法における各工程の断面図である。
【0091】
まず、図4(a)に示すように、基板主面の面方位が(001)面であるサファイア基板からなる基板110の主面上に、膜厚が3.0μmのGaNからなる下地種結晶層111を形成する。なお、下地種結晶層111の結晶成長は、有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)法により行った。より具体的には、ガリウム(Ga)原料としてトリメチルガリウム(TMG)を用い、窒素(N)の原料としてアンモニア(NH3)を用いた。また、成長温度は約1000℃で行った。
【0092】
その後、下地種結晶層111上に、原料にシラン(SiH4)を用いた熱化学気層成長(Thermal Chemical Vapor Deposition:TCVD)法により、膜厚が600nmの酸化シリコン(SiO2)を成膜する。
【0093】
その後、リソグラフィ法及びエッチング法により、酸化シリコンをパターニングすることにより、図4(b)に示すように、m軸に平行でa軸方向に5μmの幅を有するストライプ状のマスク膜M10を複数形成する。なお、隣接するマスク膜M10の間には、m軸に平行でa軸方向に例えば6μmの幅を有するストライプ状の開口部が形成される。すなわち、開口部には、酸化シリコンが形成されておらず、下地種結晶層111のGaNが露出している。なお、基板110及び積層構造体の結晶方位をc、a及びmとすると、c軸は面方位が(0001)面の法線ベクトルであり、a軸は面方位が(11−20)面の法線ベクトルであり、m軸は面方位が(1−100)面の法線ベクトルである。
【0094】
次に、図4(c)に示すように、エッチングガスである四フッ化炭素(CF4)を用いた誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)エッチング装置によりエッチングすることにより、マスク膜M10の複数の開口部を通して下地種結晶層111に深さが1.8μmの凹部を複数個形成する。これにより、下地種結晶層111に複数の凸部111aを形成することができる。
【0095】
その後、フッ化水素酸(HF)を用いてマスク膜M10を除去することにより、図4(d)に示すように、凹凸構造の下地種結晶層111が形成された下地基板を形成することができる。なお、下地種結晶層111の凸部111a(凹部)は、m軸方向に延びるストライプ形状である。
【0096】
次に、この下地基板を用いて、MOCVD法によりGaNの結晶成長を行う。この場合、凹凸構造を有する下地種結晶層111が形成された基板110をMOCVD装置反応炉に入れ、N2ガス及びGaN結晶の窒素原料であるアンモニアガス雰囲気中にて800℃までの昇温を実施する。その後、窒素原料をアンモニア(NH3)からジメチルヒドラジン(DMHy)に代えて、成長層としてGaNを結晶成長させる。このとき、GaNの成長層は、下地種結晶層111の凸部111aの各側面から選択的に結晶成長する。なお、このときの結晶成長温度は約800℃であり、アンモニアの供給は停止している。
【0097】
DMHyによるGaNの成長は、アンモニアによるGaNの成長と比べて特殊な成長モードを実現することができ、本実施形態では、種結晶である凸部111aの側面のみからGaNの成長を開始させ、かつ横方向(基板主面に対して略平行方向)にのみGaNを結晶成長させることができきる。なお、この横方向にのみ成長する半導体層を横方向エピタキシャル成長層と呼んでおり、本実施形態では、横方向成長層112とする。横方向成長層112は、DMHyの流量を多く設定することにより、約10μm/hという高速な結晶成長速度で成長させることができ、なおかつ、このような高速な結晶成長速度であるにも拘わらず、高品質な結晶性が維持されている。横方向成長層112の結晶面方位は、種結晶である下地種結晶層111の凸部111aの側面における面方位と同一である。このように、DMHyにより成長した横方向成長層112は横方向にのみ成長するため、下地種結晶層111の凸部側面とGaNとの界面における転位は全て横方向(基板主面に対して略平行方向)に曲げられる。
【0098】
下地種結晶層111の凸部側面から横方向に成長を開始した横方向成長層112は、向かい合う凸部側面から成長した横方向成長層112a、112bとが接続するまで成長を行う。これにより、図4(e)に示すように、下地種結晶層111の凸部111a同士の間(凹部)は横方向成長層112によって埋め込まれる。このとき、隣り合う横方向成長層112a、112b同士は接続して合体している。
【0099】
また、本実施形態では、上述したように、GaNからなる横方向成長層112の成長条件として、DMHyの流量を多く設定している。これにより、DMHyに含まれる炭素(C)が横方向成長層112に意図的に(積極的に)取り込まれる。横方向成長層112に積極的に取り込まれた炭素は、その上部に形成される層の格子定数を大きくする働きを担っている。ここでは、横方向成長層112の炭素濃度は、例えば、1×1019cm-3から5×1020cm-3程度である。
【0100】
さらに、横方向成長層112の窒素原料にDMHyを用いることにより、横方向成長領域における水素(H)濃度を低下させることができる。これは、DMHyの熱分解過程において不安定なメチル(CH3)基を遊離させることができるからであり、これがメタン(CH4)として安定化するので、表面にある水素と効率良く結合するためである。その結果、横方向成長層112における水素濃度は、その上部に成長する下地層114等の他の窒化物半導体層と比べてさらに低下させることができる。これにより、活性層117の水素の拡散を効率良く抑制することができるので、半導体レーザ装置1の動作電圧を安定化することができる。
【0101】
次に、GaNの窒素原料を、ジメチルヒドラジン(DMHy)からアンモニア(NH3)に戻し、1100℃まで温度を上昇させ、III族原料であるTMGとn型のドーピング材料であるモノシラン(SiH4)を導入し、図4(f)に示すように、下地種結晶層111の凸部111aの上面及び横方向成長層112の上面に、膜厚が2μmのn−GaNからなるn型の下地層114結晶成長させる。このとき、下地層114は、c軸方向に成長する。
【0102】
また、この場合、下地層114には、下地種結晶層111の凸部111aの直上と、隣り合う横方向成長層112a、211bが接合する接合領域113の直上とにおいて、転位が集中する。当該転位の方向は、下地種結晶層111の凸部111aの上面及び接合領域113の上面に垂直な方向となる。このように、下地種結晶層111の凸部111a上及び接合領域113上には、高い転位密度である領域が形成される。一方、下地種結晶層111の凸部111a及び接合領域113以外の横方向成長層112上には、低転位化された領域が形成される。
【0103】
次に、図4(g)に示すように、下地層114上に、窒化物半導体層からなる積層構造体の各層をMOCVD法により順次結晶成長を行うことにより積層構造体を形成する。
【0104】
具体的には、下地層114上に、膜厚が1.5μmのn型Al0.05Ga0.95Nからなるn型クラッド層115を成長し、その後、膜厚が0.1μmのn型GaNからなるn型ガイド層116を成長する。その後、n型ガイド層116上に、膜厚が7.5nmのIn0.02Ga0.98Nからなるバリア層と膜厚が3nmのIn0.06Ga0.94Nからなる井戸層とからなる量子井戸構造を5周期分積層した活性層117を成長する。
【0105】
次に、活性層117上に、膜厚が0.1μmのp型GaNからなるp型ガイド層118を成長する。その後、膜厚が10nmのAl0.20Ga0.80Nからなるキャリアオーバーフロー抑制層119を成長し、その後、膜厚が1.5nmのp型Al0.10Ga0.90Nと膜厚が1.5nmのp型GaNとを160周期分繰り返して積層し、歪超格子構造であるp型クラッド層120を成長する。その後、膜厚が0.05μmのp型GaNからなるp型コンタクト層122を成長する。
【0106】
なお、上記のMOCVD法を用いた場合のIII族原料としては、Ga原料としてはトリメチルガリウム(TMG)を用い、Al原料としてはトリメチルアルミニウム(TMA)を用い、In原料としてはトリメチルインジウムを用いた。また、V族原料としてはアンモニア(NH3)を用いた。また、n型の不純物原料としてはSiを用い、その原料としてはモノシラン(SiH4)ガスを用い、p型の不純物原料としてはMgを用い、その原料としてはビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いた。
【0107】
次に、同図4(g)に示すように、熱CVD法により、p型コンタクト層122の上に、膜厚が0.3μmで幅が1.5μmのm軸方向に平行なストライプ形状の酸化シリコン(SiO2)からなるマスクM11を選択的に形成する。当該酸化シリコンを形成する位置は、横方向成長層112の接合部分113aから横方向に向かって例えば約3μm以内の範囲で、かつ接合領域113の直上には位置しないようにm軸方向に形成する。
【0108】
このように、転位が集中した領域を含む下地層114上に形成される層は、その下の層の結晶性を継承することになるので、下地層114の転位が集中した領域上の部分は転位が集中した領域となり、積層構造体に帯状の転位領域が形成される。
【0109】
次に、図4(h)に示すように、ICP法により上記酸化シリコンをマスクとして、p型クラッド層120の上部を例えば0.35μmの深さでエッチングを行うことにより、ストライプ状のリッジ部120aを形成する。その後、フッ化水素酸を用いて酸化シリコンのマスクM11を除去し、再度熱CVD法にて露出したp型クラッド層120の上に、リッジ部120aを含む全面に亘り、膜厚が200nmのSiO2からなる誘電体膜121を形成する。次に、リソグラフィ法によりリッジ部120aの上面にある誘電体膜121に対して、リッジ部120aのストライプ形状に沿って幅が1.3μmの開口部を有するレジストパターンを形成する。その後、三フッ化メタン(CHF3)ガスを用いた反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)により、レジストパターンをマスクとしてリッジ部120a上の誘電体膜121をエッチング除去し、リッジ部120aの上面からp型コンタクト層122を露出する。
【0110】
次に、蒸着法により少なくともリッジ部120aの上面から露出したp型コンタクト層122の上に、厚さが40nmのパラジウム(Pd)と厚さが35nmの白金(Pt)とからなる金属積層膜を形成する。その後、リフトオフ法によりレジストパターンを除去し、同図4(h)に示すように、p側電極123をパターン形成する。
【0111】
次に、リソグラフィ法とリフトオフ法により、リッジ部120aの上部のp側電極123を覆うように、且つ誘電体膜121の上に、リッジ部120aのストライプ方向と平行方向に幅が150μmの配線電極を選択的に形成する。配線電極は、それぞれの厚さが50nm、200nm、100nmのチタン(Ti)/白金(Pt)/金(Au)からなる積層金属膜により形成する。その後、電解メッキ法によりAu層の膜厚を10μm程度にまで増やしパッド電極を形成する。その後、隣同士のチップを分離するが、この際、パッド電極が隣接チップと連続して繋がっているとチップを分離した際に電極剥れが生じるので、パッド電極はチップごとに分離しておくことが好ましい。
【0112】
次に、n側電極124の形成を行う。まず、パッド電極を形成した領域において熱CVD法によりSiO2からなるマスクを形成する。その後、リッジ部120aの近傍で且つリッジ部120aのストライプ方向に平行に、さらには、パッド電極のない領域において、開口部を有するレジストをリソグラフィ法とリフトオフ法により作製する。その後、ICP法により開口部における積層構造体を上部より約2.5μmの深さまでエッチングを行って下地層114を露出させる。その後、下地層114上にn側電極124を作成する。なお、n側電極124は、それぞれの厚さが5nm、10nm、1000nmのTi/Pt/Auからなる金属積層膜を成膜及びパターニングすることにより作製する。
【0113】
その後、パッド電極上部のレジスト及び誘電体膜121を除去する。次に、基板110の裏面を研磨し、厚さが100μm程度になるまで基板110を薄膜化する。次に、m軸方向の長さが400μmになるように、m面方向に沿って基板の1次劈開を行う。その後、1次劈開された上記基板をa軸方向の長さが200μmとなるようにa面方向に沿って2次劈開してチップに分離する。
【0114】
以上により、本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置1を製造することができる。
【0115】
次に、本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置1の実施例について、図5を用いて説明する。図5(a)は、図4(f)に対応し、基板110上に下地種結晶層111及び横方向成長層112を形成し、その上に下地層114を形成した状態を示す下地基板の模式図である。また、図5(b)は、図5(a)に示す下地基板を作製し、当該下地基板をm軸方向から観察した断面TEM像である。また、図5(c)は、図5(b)の下地基板を上面から観察したカソードルミネッセンス像(CL像)である。本実施例の実験において、ストライプ状の開口部の幅は20μmとしたが、当該開口部の幅は、マスク膜M10のパターンによって自由に変えることができ、異なる開口部の幅においても同等の結果が得られる。なお、本実施例では、図4で説明した方法によって、基板110上に膜厚が1.5μmの下地層114を形成した。
【0116】
図5(b)に示すように、下地種結晶層111の転位の向きは、(0001)面方向に向いて伸びていることが分かる。これに対して、DMHyにより成長した横方向成長層112は横方向にのみ成長し、下地種結晶層111の凸部側面との界面における転位は全て横方向(基板主面に対して平行な方向)である(11−20)方向に曲げられていることが分かる。
【0117】
さらに、同図5(b)に示すように、下地層114における転位は、下地種結晶層111の凸部111aの直上に集中していることが分かる。また、横方向成長層112の直上部分における下地層114の転位は、低転位化された領域となっていることが分かる。
【0118】
また、図5(c)に示すように、下地種結晶層111の凸部111aの直上領域111bと、隣り合う横方向成長層112a、112b同士が合体した接合領域113とには、転位が帯状に集中して暗点として点在し、転位が制御されていることが分かる。また、下地種結晶層111における凸部111aの直上領域111bと接合領域113との間の領域には転位が集中しておらず、低転位化された領域が形成されていることが分かる。
【0119】
このように、本実施形態に係る転位制御技術を用いることにより、転位を帯状に集中させたり、低転位化領域を形成したり、転位の配置を自由に制御することができる。
【0120】
以上、本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置1によれば、光導波路内において電流拡散長と光分布の違いを利用し、転位を所望に配置することにより、可飽和吸収量を増大させることができる。そして、帯状の転位領域を光導波路内で、かつ、電流拡散しない領域に配置することにより、容易に光吸収量のみを増大することができ、安定した自励発振動作をする自励発振型の半導体レーザ装置を実現することができる。この結果、戻り光ノイズ低減やスペックルノイズの低減を実現することができる。また、従来使用していた高価なGaN基板ではなく低コストで大面積であるサファイア基板を用いることで、半導体レーザ装置の低コスト化が可能である。
【0121】
なお、本実施形態において、基板110としてはサファイア基板を用いたが、これに限らない。例えば、低コストなSiC基板やSi基板であっても同様のプロセスで同様の効果を奏する半導体レーザ装置を製造することができ、これらの基板を用いることにより更なる大面積化による低コスト化が可能である。
【0122】
また、本実施形態において、活性層117、n型ガイド層116及びp型ガイド層118としては、光ディスク用光源に適するように、それぞれ、In0.02Ga0.98Nからなるバリア層とIn0.06Ga0.94Nからなる井戸層との多重量子井戸構造の活性層、n型GaN及びp型GaNとし、また、発光波長を405nm付近のものとしたが、これに限らない。例えば、本実施形態に係る半導体レーザ装置は、ディスプレイ用の半導体レーザ装置として用いることができる。ディスプレイ用の半導体レーザ装置は、発光波長が青色(波長450nm)から緑色(波長530nm)であることが好ましく、この発光波長を実現するためには、活性層117の井戸層としては、In組成が10%〜20%、もしくはそれ以上の組成であるInGaN層とすることが好ましい。また、n型ガイド層116及び/又はp型ガイド層118としては、光閉じ込めを大きくするために、それぞれ、n型又はp型のInGaN層とすることが好ましい。
【0123】
また、下地層114としては、n型のGaN以外にも、n型AlGaN層、n型AlGaNもしくはAlN/GaN超格子成長層を用いてもよい。
【0124】
また、本実施形態においては、キャリアオーバーフロー抑制層119は、p型ガイド層118の上に形成されるとしたが、活性層117の上にキャリアオーバーフロー抑制層を形成し、さらにその上にp型ガイド層を形成するという構成にしてもよい。
【0125】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ装置2について、図6を用いて説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ装置の構造を示す断面図である。
【0126】
本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ装置2は、第1の実施形態と同様に、自励発振型の半導体レーザ装置である。本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ装置2と本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置1とが異なる点は、下地基板の構造である。それ以外の構成要素は、基本的には同じである。
【0127】
図6に示すように、本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ装置2は、基板210と、基板210上に形成された下地種結晶層211及び選択成長用誘電体膜225と、横方向成長層212と、n型の下地層214とを備える。
【0128】
基板210は、例えば、主面の面方位が(001)面であるサファイア基板を用いることができる。
【0129】
下地種結晶層211は、ストライプ状の複数の凹部が形成された凹凸構造を有するGaN(窒化ガリウム)等からなる窒化物半導体層である。下地種結晶層211は、複数の凹部が形成されることにより構成される複数の凸部211aを備える。
【0130】
選択成長用誘電体膜225は、横方向成長層212の成長方向を選択するための選択成長用膜であり、下地種結晶層211の凹部を埋めるようにして形成されている。本実施形態では、選択成長用誘電体膜225として、SiO2からなる誘電体膜を用いた。
【0131】
横方向成長層212は、下地種結晶層211及び選択成長用誘電体膜225上の全面に形成されたGaN等からなる窒化物半導体層である。横方向成長層212は、選択成長用誘電体膜225によって、下地種結晶層211の凸部211aの上面から成長が開始し、横方向(基板主面と略平行な方向)に結晶成長させたものである。横方向成長層212は、隣り合う凸部211aから成長した横方向成長層212a、212b同士が接合して一体化して形成される。隣り合う横方向成長層212aと横方向成長層212bとが合体した部分は接合部分213aであり、接合部分213aを含む周辺領域は接合領域213である。接合領域213は、接合領域213上に形成される層の転位を集中させることができる転位集中可領域として機能し、接合領域213上に形成される層は転位が集中して転位密度が大きくなる。また、下地結晶層211の凸部211aの上に形成される層も転位が集中して転位密度が大きくなる。本実施形態において、横方向成長層212は、下地種結晶層211及び選択成長用誘電体膜225とともに、転位集中可領域を有する転位制御層として機能する。
【0132】
下地層214は、横方向成長層212の上の全面に形成されたn型の窒化物半導体層である。本実施形態において、下地層214は、不純物としてSi(シリコン)をドープしたn型のGaNで構成した。
【0133】
さらに、本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ装置2は、図6に示すように、下地層214の上に、n型クラッド層215、n型ガイド層216、活性層217、p型ガイド層218、キャリアオーバーフロー抑制層219及びp型クラッド層220が順次積層されている。これらの層は、窒化物半導体からなる積層構造体である。下地層214、n型クラッド層215、n型ガイド層216、活性層217、p型ガイド層218、キャリアオーバーフロー抑制層219及びp型クラッド層220の各層は、第1の実施形態における、下地層114、n型クラッド層115、n型ガイド層116、活性層117、p型ガイド層118、キャリアオーバーフロー抑制層119及びp型クラッド層120と同様にして構成することができる。
【0134】
p型クラッド層220は、上面視ストライプ形状で断面凸形状のリッジ部220aを有し、このリッジ部220a上には、p型コンタクト層222とp側電極223(第2電極)が形成されている。これにより、p側電極223はp型コンタクト層222と電気的に接続されている。
【0135】
また、p型クラッド層220のリッジ部220aが形成されていない領域上には誘電体膜221が形成されている。また、積層構造体が除去された開口部には下地層214が露出されており、下地層214の上には、n側電極224(第1電極)が形成されている。n側電極224は、下地層214を介してn型クラッド層215と電気的に接続されている。
【0136】
p型コンタクト層222及びp側電極223が形成されているリッジ部220aは活性層217に電流を注入するための領域であり、p側電極223及びリッジ部220aの下方領域とその周辺領域は電流注入領域230である。
【0137】
なお、誘電体膜221、p型コンタクト層222、p側電極223及びn側電極224は、第1の実施形態における、誘電体膜121、p型コンタクト層122、p側電極123及びn側電極124と同様にして構成することができる。
【0138】
本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ装置2では、上述のとおり、下地種結晶層211の凹部に選択成長用誘電体膜225が形成されており、表面が下地種結晶層211の凸部211aの上面と選択成長用誘電体膜225とで構成される下地基板を用いる。これにより、この上に形成される横方向成長層212は、下地種結晶層211の隣り合う凸部211aの上面から成長した横方向成長層212a、212bが接合して形成される。そして、接合領域213上に形成される積層構造体には、誘電体膜221から接合領域213にかけて帯状の転位領域241が形成されている。つまり、横方向成長層212における接合領域213上に成長する層は、接合領域213の接合部分213aによって転位が集中するようにして形成される。
【0139】
一方、接合領域213が形成されていない横方向成長層212であって選択成長用誘電体膜225上に成長する層は転位が集中せずに形成され、この部分の上には低転位化された領域が形成される。
【0140】
また、下地種結晶層211の凸部211a上に形成される横方向成長層212とその上の下地層214にも転位が集中した領域が形成されており、帯状の転位領域251が下地種結晶層211の凸部211a上における横方向成長層212と下地層214に形成されている。
【0141】
このように本実施形態に係る半導体レーザ装置2においても、第1の実施形態と同様に、転位密度が他の部分よりも大きい帯状の転位領域241が形成される。また、第1の実施形態と同様に、本実施形態に係る半導体レーザ装置2においても、電流注入領域230内の転位密度、特に、活性層注入領域における転位密度を第1の転位密度aとし、電流注入領域230の近傍領域内の転位密度、特に、活性層非電流注入領域における帯状の転位領域241の転位密度を第2の転位密度bとすると、第1の転位密度aと第2の転位密度bの関係はa<bとなっており、第2の転位密度は第1の転位密度よりも大きい関係としている。
【0142】
従って、本実施形態に係る半導体レーザ装置2においても、上述した本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置1と同様の作用効果を奏する。
【0143】
なお、本実施形態では、第1の実施形態と異なり、リッジ部220aの近傍の一方のみに転位領域241を形成したが、この限りではない。第1の実施形態と同様に、リッジ部220aの両側に転位領域を配置するように構成してもよい。
【0144】
次に、本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ装置2の製造方法について、図7を用いて説明する。図7は、本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法における各工程の断面図である。
【0145】
まず、図7(a)に示すように、基板主面の面方位が(001)面であるサファイア基板からなる基板210の主面上に、膜厚が3.0μmのGaNからなる下地種結晶層211を形成する。なお、下地種結晶層211の結晶成長は、MOCVD法により行った。より具体的には、第1の実施形態と同様に、Ga及びNの各原料として、それぞれTMG及びNH3を用いた。また、成長温度は約1000℃で行った。
【0146】
その後、下地種結晶層211上に、原料にシラン(SiH4)を用いたTCVD法により、膜厚が600nmの酸化シリコン(SiO2)を成膜する。
【0147】
その後、リソグラフィ法及びエッチング法により、酸化シリコンをパターニングすることにより、図7(b)に示すように、m軸に平行でa軸方向に3μmの幅を有するストライプ状のマスク膜M20を複数形成する。なお、隣接するマスク膜M20の間には、m軸に平行でa軸方向に例えば2〜10μmの幅を有するストライプ状の開口部が形成される。すなわち、開口部には、酸化シリコンが形成されておらず、下地種結晶層211のGaNが露出している。
【0148】
次に、図7(c)に示すように、エッチングガスである四フッ化炭素(CF4)を用いたICPエッチング装置によりエッチングすることにより、マスク膜M20の複数の開口部を通して下地種結晶層211に深さが例えば1.8μmの凹部を複数個形成する。これにより、下地種結晶層211に複数の凸部211aを形成することができる。
【0149】
その後、フッ化水素酸(HF)を用いてマスク膜M20を除去することにより、図7(d)に示すように、凹凸構造の下地種結晶層211が形成された下地基板を形成することができる。なお、下地種結晶層211の凹部(凸部)は、m軸方向に延びるストライプ形状である。
【0150】
次に、熱CVD法によって下地種結晶層211の凹凸構造の表面にSiO2を成膜し、その後、SiO2をリソグラフィ法及びエッチング法によってパターニングする。これにより、図7(e)に示すように、下地種結晶層211の凹部に埋め込まれるようにして形成されたSiO2からなる選択成長用誘電体膜225を得ることができる。このとき、下地種結晶層211の凸部211aの上にはSiO2が形成されておらず、凸部211aの上面は露出している。
【0151】
次に、このようにして形成された下地基板を用いて、MOCVD法によりGaNの結晶成長を行う。この場合、下地基板をMOCVD装置反応炉に入れ、N2ガス及びGaN結晶の窒素原料であるアンモニアガス雰囲気中にて1100℃までの昇温を実施する。その後、III族原料であるTMGを流しGaNからなる結晶を成長させる。
【0152】
このとき、下地種結晶層211の凸部211aの上面は(0001)面であり、GaNは凸部211aの上面から選択的に結晶成長を開始する。そして、エピ条件である成長速度、V族流量、V族原料モル濃度とIII族原料のモル濃度比であるV/III比を調整することにより、基板主面方向である(0001)面方向の成長速度と横方向(基板主面に対して平行な方向)である(11−20)面方向の成長速度とをコントロールする。これにより、(11−20)面方向の成長を促進させ、隣り合う横方向成長層212a、212b同士が接するまで成長させる。これにより、図7(f)に示すように、隣り合う横方向成長層212a、212b同士が接合して接合部分213aとなり、接合領域213を有する横方向成長層212を形成することができる。
【0153】
次に、成長温度はそのまま維持し、エピ条件である成長速度を大きくし、V族流量を小さくし、V族原料モル濃度とIII族原料のモル濃度比であるV/III比を低下させて調整することにより、基板主面方向である(0001)面方向にGaNの成長が促進する条件に変更する。そして、III族原料であるTMGとn型ドーピング材料であるモノシラン(SiH4)を導入し、図7(g)に示すように、膜厚が2μmのn−GaNからなるn型の下地層214を結晶成長させる。
【0154】
この場合、下地層214には、下地種結晶層211の凸部211aの直上と、隣り合う横方向成長層212a、212bが接合する接合領域213の直上とにおいて、転位が集中する。当該転位の方向は、下地種結晶層211の凸部211a上面及び接合領域213の上面に垂直な方向となる。このように、下地種結晶層211の凸部211a上及び接合領域213上には、高い転位密度である領域が形成される。一方、下地種結晶層211の凸部211a及び接合領域213以外の横方向成長層212上には、低転位化された領域が形成される。なお、下地層214は、基板210上の全面に形成される。
【0155】
次に、図7(h)に示すように、下地層214上に、窒化物半導体層からなる積層構造体の各層をMOCVD法により順次結晶成長を行うことにより積層構造体を形成する。
【0156】
具体的には、下地層214上に、膜厚が1.5μmのn型Al0.05Ga0.95Nからなるn型クラッド層215を成長し、その後、膜厚が0.1μmのn型GaNからなるn型ガイド層216を成長する。その後、n型ガイド層216上に、膜厚が7.5nmのIn0.02Ga0.98Nからなるバリア層と膜厚が3nmのIn0.06Ga0.94Nからなる井戸層とからなる量子井戸構造を5周期分積層した活性層217を成長する。
【0157】
次に、活性層217上に、膜厚が0.1μmのp型GaNからなるp型ガイド層218を成長する。その後、膜厚が10nmのAl0.20Ga0.80Nからなるキャリアオーバーフロー抑制層219を成長し、その後、膜厚が1.5nmのp型Al0.10Ga0.90Nと膜厚が1.5nmのp型GaNとを160周期分繰り返して積層し、歪超格子構造であるp型クラッド層220を成長する。その後、膜厚が0.05μmのp型GaNからなるp型コンタクト層222を成長する。
【0158】
なお、上記のMOCVD法を用いた場合のIII族原料としては、Ga原料としてはトリメチルガリウム(TMG)を用い、Al原料としてはトリメチルアルミニウム(TMA)を用い、In原料としてはトリメチルインジウムを用いた。また、V族原料としてはアンモニア(NH3)を用いた。また、n型の不純物原料としてはSiを用い、その原料としてはモノシラン(SiH4)ガスを用い、p型の不純物原料としてはMgを用い、その原料としてはビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いた。
【0159】
次に、同7(h)に示すように、熱CVD法により、p型コンタクト層222の上に、膜厚が0.3μmで幅が1.5μmのm軸方向に平行なストライプ形状の酸化シリコン(SiO2)からなるマスクM21を選択的に形成する。当該酸化シリコンを形成する位置は、横方向成長層212の接合部分213aから横方向に向かって約5μm以内の範囲で、かつ接合領域213の直上には位置しないようにm軸方向に形成する。
【0160】
このように、転位が集中した領域を含む下地層214上に形成される層は、その下の層の結晶性を継承することになるので、下地層214の転位が集中した領域上の部分は転位が集中した領域となり、積層構造体に帯状の転位領域が形成される。
【0161】
次に、図7(i)に示すように、ICP法により上記酸化シリコンをマスクとして、p型クラッド層220の上部を0.35μmの深さでエッチングを行うことにより、ストライプ状のリッジ部220aを形成する。その後、フッ化水素酸を用いて酸化シリコンのマスクM21を除去し、再度熱CVD法にて露出したp型クラッド層220の上に、リッジ部220aを含む全面に亘り、膜厚が200nmのSiO2からなる誘電体膜221を形成する。次に、リソグラフィ法によりリッジ部220aの上面にある誘電体膜221に対して、リッジ部220aのストライプ形状に沿って幅が1.3μmの開口部を有するレジストパターンを形成する。その後、三フッ化メタン(CHF3)ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)により、レジストパターンをマスクとして、リッジ部220a上の誘電体膜221をエッチング除去し、リッジ部220aの上面からp型コンタクト層222を露出する。
【0162】
次に、蒸着法により少なくともリッジ部220aの上面から露出したp型コンタクト層222の上に、厚さが40nmのパラジウム(Pd)と厚さが35nmの白金(Pt)とからなる金属積層膜を形成する。その後、リフトオフ法によりレジストパターンを除去し、同図7(i)に示すように、p側電極223をパターン形成する。
【0163】
次に、リソグラフィ法とリフトオフ法により、リッジ部220aの上部のp側電極223を覆うように、且つ誘電体膜221の上に、リッジ部220aのストライプ方向と平行方向に幅が150μmの配線電極を選択的に形成する。配線電極は、それぞれの厚さが50nm、200nm、100nmのチタン(Ti)/白金(Pt)/金(Au)からなる積層金属膜により形成する。その後、電解メッキ法によりAu層の膜厚を10μm程度にまで増やしパッド電極を形成する。その後、隣同士のチップを分離するが、この際、パッド電極が隣接チップと連続して繋がっているとチップを分離した際に電極剥れが生じるので、パッド電極はチップごとに分離しておくことが好ましい。
【0164】
次に、n側電極224の形成を行う。まず、パッド電極を形成した領域において熱CVD法によりSiO2からなるマスクを形成する。その後、リッジ部220aの近傍で且つリッジ部220aのストライプ方向に平行に、さらには、パッド電極のない領域において、開口部を有するレジストをリソグラフィ法とリフトオフ法により作製する。その後、ICP法により開口部における積層構造体を上部より約2.5μmの深さまでエッチングを行って下地層214を露出させる。その後、下地層214上にn側電極224を作成する。なお、n型n側電極224は、それぞれの厚さが5nm、10nm、1000nmのTi/Pt/Auからなる金属積層膜を成膜及びパターニングすることにより作製する。
【0165】
その後、パッド電極上部のレジスト及び誘電体膜221を除去する。次に、基板210の裏面を研磨し、厚さが100μm程度になるまで基板210を薄膜化する。次に、m軸方向の長さが400μmになるように、m面方向に沿って基板の1次劈開を行う。その後、1次劈開された上記基板をa軸方向の長さが200μmとなるようにa面方向に沿って2次劈開してチップに分離する。
【0166】
以上により、本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ装置2を製造することができる。
【0167】
次に、本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ装置2の実施例について、図8を用いて説明する。図8(a)は、基板210上に下地種結晶層211及び選択成長用誘電体膜225を形成し、その上に横方向成長層212と下地層214とを形成した下地基板をm軸方向から観察した断面TEM像である。また、図8(b)は、図8(a)の下地基板を上面から観察したカソードルミネッセンス像(CL像)である。なお、本実施例では、図7で説明した方法によって、基板210上に膜厚が1μmの下地層214を形成した。
【0168】
図8(a)に示すように、下地種結晶層211の転位の向きは、(0001)面方向に向いて伸びていることが分かる。これに対して、横方向成長層212は横方向に成長し、下地種結晶層211の凸部側面との界面における転位は全て横方向(基板主面に対して平行な方向)である(11−20)方向に曲げられていることが分かる。
【0169】
さらに、同図8(a)に示すように、下地層214における転位は、下地種結晶層211の凸部211aの直上に集中していることが分かる。また、横方向成長層212の直上部分における下地層214の転位は、低転位化された領域となっていることが分かる。
【0170】
また、図8(b)に示すように、下地種結晶層211の凸部211aの直上領域211bと、隣り合う横方向成長層212a、212b同士が合体した接合領域213とには、転位が帯状に集中して暗点として点在し、転位が制御されていることが分かる。また、下地種結晶層211における凸部211aの直上領域211bと接合領域213との間の領域は転位が集中しておらず、低転位化された領域が形成されていることが分かる。
【0171】
このように、本実施形態に係る転位制御技術を用いることにより、転位を帯状に集中させたり、低転位化領域を形成したり、転位の配置を自由に制御することができる。
【0172】
以上、本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ装置2によれば、光導波路内において電流拡散長と光分布の違いを利用し、転位を所望に配置することにより、可飽和吸収量を増大させることができる。そして、帯状の転位領域を光導波路内で、かつ、電流拡散しない領域に配置することにより、容易に光吸収量のみを増大することができ、安定した自励発振動作をする自励発振型の半導体レーザ装置を実現することができる。この結果、戻り光ノイズ低減やスペックルノイズの低減を実現することができる。また、従来使用していた高価なGaN基板ではなく低コストで大面積であるサファイア基板を用いることで、半導体レーザ装置の低コスト化が可能である。
【0173】
なお、図8(a)において、横方向成長層212a、212bと選択成長用誘電体膜225との間に空隙が開いているが、この空隙は、下地種結晶層211の厚みを薄くしたり、横方向結晶層212a、212bの結晶成長条件を調整したりすることによって、無視できる程度まで小さく、もしくは無くすことが可能である。
【0174】
なお、本実施形態において、基板210としてはサファイア基板を用いたが、これに限らない。例えば、低コストなSiC基板やSi基板であっても同様のプロセスで同様の効果を奏する半導体レーザ装置を製造することができ、これらの基板を用いることにより更なる大面積化による低コスト化が可能である。
【0175】
また、本実施形態においても第1の実施形態と同様に、活性層117の井戸層を、In組成が10%〜20%もしくはそれ以上の組成であるInGaN層としたり、n型ガイド層116及び/又はp型ガイド層118を、n型またはp型のInGaN層としたりして、ディスプレイ用の半導体レーザ装置に適する構成としても構わない。
【0176】
また、下地層114としては、n型のGaN以外にも、n型AlGaN層、n型AlGaNもしくはAlN/GaN超格子成長層を用いてもよい。
【0177】
また、本実施形態においては、キャリアオーバーフロー抑制層119は、p型ガイド層118の上に形成されるとしたが、活性層117の上にキャリアオーバーフロー抑制層を形成し、さらにその上にp型ガイド層を形成するという構成にしてもよい。
【0178】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ装置3について、図9を用いて説明する。図9は、本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ装置の構造を示す断面図である。
【0179】
本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ装置3は、第1の実施形態と同様に、自励発振型の半導体レーザ装置である。本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ装置3と本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ装置1とが異なる点は、下地基板の構造である。また、本実施形態では、活性層やクラッド層などの積層体を、窒化物半導体の半極性面である(1−101)面に積層させることを特徴としている。なお、積層体や電極等の構成及び製造プロセスにおける作製条件については、第1の実施形態又は第2の実施形態とは若干異なるが、基本的には同様である。
【0180】
図9に示すように、本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ装置3は、断面形状が三角形の複数の凸部310aを有する凹凸部が形成され、表面の結晶面が(100)からおよそ7度傾いた結晶面を有するSiからなる基板310と、基板310の複数の凸部310aの各々について当該凸部310aの一方の側面に形成された下地種結晶層311と、複数の凸部310aの各々について当該凸部310aの他方の側面に形成された選択成長用膜である選択成長用誘電体膜325とを備える。凸部310aの側面は、Siの(111)面からなり、傾斜角度は、水平方向に対して、一方が約62度、他方は約48度となる。傾斜角度が約62度である側面には下地種結晶層311が形成され、傾斜角度が約48度の側面には選択成長用誘電体膜325が形成される。なお、下地種結晶層311は、例えば、AlN膜で構成することができる。また、選択成長用誘電体膜325は、例えば、シリコン酸化膜又はシリコン窒化膜等で構成することができる。
【0181】
さらに、基板310の隣り合う凸部310a間(凹部)を埋めるようにして、下地種結晶層311の表面上に下地GaN成長層312が形成されている。下地GaN成長層312の上には、GaNからなるn型の下地層314が形成されており、下地層314の上に、n型クラッド層315、n型ガイド層316、活性層317、p型ガイド層318、キャリアオーバーフロー抑制層319、p型クラッド層320が順次積層されている。
【0182】
なお、このとき、下地GaN成長層312の(1−101)面は、Siの(111)面より結晶成長を行う(1000)面に対して、約62度の角度を有しているため、上記の下地GaN成長層312の表面は水平面となる。このため、この下地GaN成長層312の上部に形成される積層体は基板板310の主面に対して垂直方向に積層されるため、後述の電極等を形成するプロセスを容易に行うことができる。
【0183】
p型クラッド層320は、上面視ストライプ形状で断面凸形状のリッジ部320aを有し、このリッジ部320a上には、p型コンタクト層322、p側電極323(第2電極)が形成されている。これにより、p側電極323はp型コンタクト層322と電気的に接続されている。
【0184】
また、p型クラッド層320のリッジ部320aが形成されていない領域上には誘電体膜321が形成されている。また、積層構造体が除去された開口部には下地層314が露出されており、下地層314の上には、n側電極324(第1電極)が形成されている。n側電極324は、下地層314を介してn型クラッド層315と電気的に接続されている。
【0185】
p型コンタクト層322及びp側電極323が形成されているリッジ部320aは活性層317に電流を注入するための領域であり、p側電極323及びリッジ部320aの下方領域とその周辺領域は電流注入領域330である。
【0186】
本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ装置3では、上述のとおり、基板310の凸部310aの一方の側面には下地種結晶層311が形成され、他方の側面には選択成長用誘電体膜325が形成されている。これにより、この上に形成される下地GaN成長層312は、下地種結晶層311から成長を開始し、図9の矢印で示す方向に向かって成長する。そして、隣り合う下地GaN成長層312同士が接合して接合部分313aとなり、接合領域313が形成される。このとき、凸部側面と下地種結晶層311との界面より発生する転位は直線的に延びず、一方(凹部底部付近で発生した転位)は選択成長用誘電体膜325へ曲がり、選択成長用誘電体膜325表面に到達する。もう一方(凹部表面付近で発生した転位)は表面へと曲がり、接合領域313及び下地種結晶層311上に形成される積層構造体には、誘電体膜321から接合領域313及び下地種結晶層311にかけて、帯状の転位領域341が形成される。つまり、下地GaN成長層312における接合部分313a付近に成長する層は、接合領域313の接合部分313aによって転位が集中するようにして形成される。
【0187】
一方、接合領域313が形成されていない選択成長用誘電体膜325上の下地GaN成長層312上に成長する層は転位が集中せずに形成され、この部分の上には低転位化された領域が形成される。
【0188】
このように、本実施形態において、下地GaN成長層312は、隣り合う凸部310aの下地種結晶層311のそれぞれから成長した隣り合う下地GaN成長層312同士が接合して一体化して形成される。そして、下地GaN成長層312における接合領域313は、接合領域313上に形成される層の転位を集中させることができる転位集中可領域として機能し、接合領域313上に形成される層の転位密度は大きくなる。下地GaN成長層312は、下地種結晶層311及び選択成長用誘電体膜325とともに、転位集中可領域を有する転位制御層として機能する。
【0189】
このように本実施形態に係る半導体レーザ装置3においても、第1及び第2の実施形態と同様に、転位密度が他の部分よりも大きい帯状の転位領域341が形成される。また、第1及び第2の実施形態と同様に、本実施形態に係る半導体レーザ装置3においても、電流注入領域330内の転位密度、特に、活性層注入領域における転位密度を第1の転位密度aとし、電流注入領域330の近傍領域の転位密度、特に、活性層非電流注入領域における帯状の転位領域341の転位密度を第2の転位密度bとすると、第1の転位密度aと第2の転位密度bの関係はa<bとなっており、第2の転位密度は第1の転位密度よりも大きい関係としている。
【0190】
従って、本実施形態に係る半導体レーザ装置3においても、上述した本発明の第1及び第2の実施形態に係る半導体レーザ装置1、2と同様の作用効果を奏する。
【0191】
次に、本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法について、図10を用いて説明する。図10は、本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法における各工程の断面図である。
【0192】
まず、基板310として、シリコン酸化膜又はシリコン窒化膜の絶縁膜を有するSi(100)7°オフ基板を用意し、この基板310に対して、フォトリソグラフィー法やドライエッチングを用いて、ストライプ状の開口を有する上記絶縁膜からなるマスクを作製する。
【0193】
次に、マスクが形成されたSi(100)7°オフ基板を、例えば水酸化カリウム(KOH)や水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を用いたウェットエッチングを施すことにより、マスクの開口部に断面三角形の複数の凹部を形成する。これにより、図10(a)に示すように、基板310に断面三角形の凸部310aを複数個形成することができる。このとき、各凸部310aの側面は傾斜した面となり、当該側面はシリコンの(111)ファセット面となる。
【0194】
次に、図10(b)に示すように、スパッタリング法や真空蒸着法により、凸部310aの傾斜したシリコンの(111)ファセット面のうち一方を、シリコン酸化膜又はシリコン窒化膜からなる選択成長用誘電体膜325で覆う。
【0195】
次に、図10(c)に示すように、凸部310aの側面のうち、選択成長用誘電体膜325で覆われていない方の側面上に、AlN膜からなる下地種結晶層311を形成する。
【0196】
その後、選択成長用誘電体膜325及び下地種結晶層311上に、MOCVD法により、GaNからなる窒化物半導体結晶を成長すると、下地種結晶層311上にのみ窒化物半導体結晶が成長し始め、図10(d)の矢印で示す方向に成長する。このとき、窒化物半導体結晶の成長方向に、窒化物半導体の(1−101)ファセット面の下地GaN成長層312が現れる。
【0197】
その後、さらに結晶成長を継続すると、一の凸部310aの下地種結晶層311から成長した窒化物半導体の(1−101)ファセット面は、その隣りの他の凸部310aの下地種結晶層311から成長した窒化物半導体と接合し、図10(d)に示すように、連続膜の状態になった窒化物半導体の(1−101)面となる。
【0198】
次に、このようにして得られた下地GaN成長層312上に、III族原料であるTMGとn型ドーピング材料であるモノシラン(SiH4)を導入し、図10(e)に示すように、膜厚が2μmのn−GaNからなるn型の下地層314を結晶成長させる。この場合、種結晶となった凸部310aの直上及び隣り合う下地GaN成長層312が接合する接合領域313直上において転位が集中する。このように、接合部分313aを含む接合領域313上には、高い転位密度である領域が形成され、一方、接合領域313以外の下地GaN成長層312上には、低転位化された領域が形成される。なお、下地層314は、基板310上の全面に形成される。
【0199】
次に、図10(f)に示すように、下地層314上に、窒化物半導体層からなる積層構造体の各層をMOCVD法により順次結晶成長を行うことにより積層構造体を形成する。
【0200】
具体的には、下地層314上に、膜厚が1.5μmのn型Al0.05Ga0.95Nからなるn型クラッド層315を成長し、その後、膜厚が0.1μmのn型GaNからなるn型ガイド層316を成長する。その後、n型ガイド層316上に、膜厚が7.5μmのIn0.02Ga0.98Nからなるバリア層と膜厚が3nmのIn0.06Ga0.94Nからなる井戸層とからなる量子井戸構造を5周期分積層した活性層317を成長する。
【0201】
次に、活性層317上に、膜厚が0.1μmのp型GaNからなるp型ガイド層318を成長する。その後、膜厚が10nmのAl0.20Ga0.80Nからなるキャリアオーバーフロー抑制層319を成長し、その後、膜厚が1.5μmのp型Al0.10Ga0.90Nと膜厚が1.5μmのp型GaNとを160周期分繰り返して積層し、歪超格子構造であるp型クラッド層320を成長する。その後、膜厚が0.05μmのp型GaNからなるp型コンタクト層322を成長する。
【0202】
なお、上記のMOCVD法を用いた場合のIII族原料としては、Ga原料としてはトリメチルガリウム(TMG)を用い、Al原料としてはトリメチルアルミニウム(TMA)を用い、In原料としてはトリメチルインジウムを用いた。また、V族原料としてはアンモニア(NH3)を用いた。また、n型の不純物原料としてはSiを用い、その原料としてモノシラン(SiH4)ガスを用い、p型の不純物原料としてはMgを用い、その原料としてはビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いた。
【0203】
次に、同10(f)に示すように、熱CVD法により、p型コンタクト層322の上に、膜厚が0.3μmで幅が1.5μmのm軸方向に平行なストライプ形状の酸化シリコン(SiO2)からなるマスクM31を選択的に形成する。当該酸化シリコンを形成する位置は、下地GaN成長層312の接合部分313aから横方向に向かって約5μm以内の範囲で、かつ接合領域313の直上には位置しないようにm軸方向に形成する。
【0204】
このように、転位が集中した領域を含む下地層314上に形成される層は、その下の層の結晶性を継承することになるので、下地層314の転位が集中した領域上の部分は転位が集中した領域となり、積層構造体に帯状の転位領域が形成される。
【0205】
次に、図10(g)に示すように、ICP法により上記酸化シリコンをマスクとして、p型クラッド層320の上部を0.35μmの深さでエッチングを行うことにより、ストライプ状のリッジ部320aを形成する。その後、フッ化水素酸を用いて酸化シリコンのマスクM31を除去し、再度熱CVD法にて露出したp型クラッド層320の上に、リッジ部320aを含む全面に亘り、膜厚が200nmのSiO2からなる誘電体膜321を形成する。次に、リソグラフィ法によりリッジ部320aの上面にある誘電体膜321に対して、リッジ部320aのストライプ形状に沿って幅が1.3μmの開口部を有するレジストパターンを形成する。その後、三フッ化メタン(CHF3)ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)により、レジストパターンをマスクとして、リッジ部320a上の誘電体膜321をエッチング除去し、リッジ部320aの上面からp型コンタクト層322を露出する。
【0206】
次に、蒸着法により少なくともリッジ部320aの上面から露出したp型コンタクト層322の上に、厚さが40nmのパラジウム(Pd)と厚さが35nmの白金(Pt)とからなる金属積層膜を形成する。その後、リフトオフ法によりレジストパターンを除去し、同図10(g)に示すように、p側電極323をパターン形成する。
【0207】
次に、リソグラフィ法とリフトオフ法により、リッジ部320aの上部のp側電極323を覆うように、且つ誘電体膜321の上に、リッジ部320aのストライプ方向と平行方向に幅が150μmの配線電極を選択的に形成する。配線電極はそれぞれの厚さが50nm、200nm、100nmのチタン(Ti)/白金(Pt)/金(Au)からなる積層金属膜により形成する。その後、電解メッキ法によりAu層の膜厚を10μm程度にまで増やしパッド電極を形成する。その後、隣同士のチップを分離するが、この際、パッド電極が隣接チップと連続して繋がっていると、チップを分離した際に電極剥れが生じるので、パッド電極はチップごとに分離しておくことが好ましい。
【0208】
次に、n側電極324の形成を行う。まず、パッド電極を形成した領域において熱CVD法によりSiO2からなるマスクを形成する。その後、リッジ部320aの近傍で且つリッジ部320aのストライプ方向に平行に、さらには、パッド電極のない領域において、開口部を有するレジストをリソグラフィ法とリフトオフ法により作製する。その後、ICP法により開口部における積層構造体を上部より約2.5μmの深さまでエッチングを行って下地層314を露出させる。その後、下地層314上にn側電極324を作成する。なお、n側電極324は、それぞれの厚さが5nm、10nm、1000nmのTi/Pt/Auからなる金属積層膜を成膜及びパターニングすることにより作製する。
【0209】
その後パッド電極上部のレジスト及び誘電体膜321を除去する。次に、基板310の裏面を研磨し、厚さが100μm程度になるまで基板310を薄膜化する。次に、積層体の窒化物半導体材料の結晶軸に関してm軸方向の長さが400μmになるように、m面方向に沿って基板の1次劈開を行う。このとき、積層体のm面方向は基板310の(100)面であるので、容易に積層体と基板310を劈開により分離することができる。その後、1次劈開された上記基板をa軸方向の長さが200μmとなるようにa面方向に沿って2次劈開してチップに分離する。
【0210】
以上により、本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ装置3を製造することができる。
【0211】
このように、本実施形態に係る転位制御技術を用いることにより、転位を帯状に集中させたり、低転位化領域を形成したり、転位の配置を自由に制御することができる。
【0212】
以上、本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ装置3によれば、光導波路内において電流拡散長と光分布の違いを利用し、転位を所望に配置することにより、可飽和吸収量を増大させることができる。そして、帯状の転位領域を光導波路内で、かつ、電流拡散しない領域に配置することにより、容易に光吸収量のみを増大することができ、安定した自励発振動作をする自励発振型の半導体レーザ装置を実現することができる。この結果、戻り光ノイズ低減やスペックルノイズの低減を実現することができる。また、従来使用していた高価なGaN基板ではなく低コストで大面積であるサファイア基板を用いることで、半導体レーザ装置の低コスト化が可能である。
【0213】
なお、本実施形態では、基板310としてはSi基板を用いたが、これに限らない。
次に、本発明の各実施形態に係る半導体レーザ装置の変形例、特に好適な例について説明する。
【0214】
まず、各実施形態において、転位が集中した帯状の転位領域(第2転位領域)は、電流注入領域の中心から5μm以内の範囲に存在することが好ましい。
【0215】
これにより、電流非注入領域に染み出した導波光を効率よく吸収することができ、より安定した自励発振動作をする半導体レーザ装置を実現することができる。
【0216】
また、各実施形態において、転位が集中した帯状の転位領域の転位密度は、1×107/cm2以上であることが好ましい。
【0217】
これにより、可飽和吸収領域内における光吸収量を増大させることができるので、より安定した自励発振動作をする半導体レーザ装置を実現することができる。
【0218】
また、各実施形態においては活性層の材料は、各実施形態にものに限定されるものではないが、活性層はインジウムを含むことが好ましい。
【0219】
これにより、紫外領域から可視領域までの発光波長を実現することができるので、用途に合わせて自由に発光波長を変えることができる。さらに、Inを含む窒化物材料はInの偏析が非常にしやすい材料であることから、Inの偏析部分はバンドギャップエネルギーが小さくなり、可飽和吸収領域内の導波光の光を効率的に光吸収させることが可能となる。これにより、より安定した自励発振動作をする半導体レーザ装置を実現することができる。
【0220】
また、第1及び第2の実施形態において、横方向成長層112、113は、AlxGa1-xN(0≦x≦1)からなることが好ましい。
【0221】
これにより、光導波路領域内の縦方向の光閉じ込め(Γv)を大きくすることが可能であり、導波路損失を低減することで閾値電流密度の低減が可能となる。従って、より安定した自励発振動作をする半導体レーザ装置を実現することができる。
【0222】
また、各実施形態において、下地層は、その一部もしくは全部が、AlxGa1-xN(0≦x≦1)とAlyGa1-yN(0≦y≦1、x≠y)との積層構造からなることが好ましい。
【0223】
これにより、平均的な屈折率を低減することができ、光導波路内の縦方向の光閉じ込め(Γv)を大きくすることが可能となる。従って、導波路損失を低減することができ、閾値電流密度の低減が可能となる。よって、より安定した自励発振動作をする半導体レーザ装置を実現することができる。
【0224】
また、各実施形態において、積層構造体における半導体層の主面は、半極性又は無極性であることが好ましい。
【0225】
これにより、積層構造体におけるピエゾ効果を低減することができるので、電子と正孔との空間的な離間を解消することができる。従って、光吸収により生じたキャリアの消滅時間が早くなり、光吸収が可能になるまでの時間を短くすることができ、単位時間当たりの光吸収量を増大させることができる。従って、より安定した自励発振動作をする半導体レーザ装置を実現することができる。
【0226】
以上、本発明に係る半導体レーザ装置について、各実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、各実施形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0227】
本発明は、光ディスク用、ディスプレイ用又は照明用の光源等として有用である。
【符号の説明】
【0228】
1、2、3 半導体レーザ装置
110、210、310 基板
111、211 下地種結晶層
111a、211a、310a 凸部
111b、211b 直上領域
112、112a、112b、212、212a、212b 横方向成長層
113、213、313 接合領域
113a、213a、313a 接合部分
114、214、314 下地層
115、215、315 n型クラッド層
116、216、316 n型ガイド層
117、217、317 活性層
118、218、318 p型ガイド層
119、219、319 キャリアオーバーフロー抑制層
120、220、320 p型クラッド層
120a、220a、320a リッジ部
121、221、321 誘電体膜
122、222、322 p型コンタクト層
123、223、323 p側電極
124、224、324 n側電極
130、230、330 電流注入領域
140、150 近傍領域
141、151、241、251、341 転位領域
160 光導波路領域
170 電流分布
225、325 選択成長用誘電体膜
311 下地種結晶層
312 下地GaN成長層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自励発振動作をする半導体レーザ装置であって、
基板と、
当該基板の上に形成された第1導電型の下地層と、
当該下地層の上に順次形成された、第1導電型のクラッド層、第1導電型のガイド層、活性層、第1導電型とは異なる導電型である第2導電型のガイド層、第2導電型のクラッド層及び第2導電型のコンタクト層によって構成された窒化物半導体からなる積層構造体と、
前記第1導電型のクラッド層に電気的に接続された第1電極と、
前記第2導電型のコンタクト層に電気的に接続された第2電極とを備え、
前記積層構造体は、前記第2電極の下方に領域であって第1の転位密度の領域である第1転位領域と、前記第1の転位密度とは異なる第2の転位密度の領域である第2転位領域とを含み、
前記第2の転位密度が、前記第1の転位密度よりも大きくなるように構成される
半導体レーザ装置。
【請求項2】
前記積層構造体における光導波路領域は、前記第2電極から注入された電流が前記活性層に流れ込む領域である活性層電流注入領域と、当該活性層電流注入領域とは異なる領域である活性層電流非注入領域とを含み、
前記活性層電流注入領域は、前記第1転位領域を含み、
前記活性層電流非注入領域は、前記第2転位領域を含む
請求項1に記載の半導体レーザ装置。
【請求項3】
前記第2転位領域は、前記光導波路領域内に1箇所のみ存在する
請求項2に記載の半導体レーザ装置。
【請求項4】
前記第2転位領域は、前記第1転位領域の中心から5μm以内の範囲に存在する
請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項5】
前記第2の転位密度は、1×107/cm2以上である
請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項6】
前記活性層が、インジウムを含む
請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項7】
前記基板と前記下地層との間に転位制御層を備え、
前記転位制御層は、当該転位制御層の上に形成される層の転位を集中させることができる転位集中可領域を有する
請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項8】
前記転位制御層は、窒化物半導体が前記基板の主面に対して平行な方向に成長された横方向成長層を有する
請求項7に記載の半導体レーザ装置。
【請求項9】
前記横方向成長層が、AlxGa1-xN(0≦x≦1)からなる
請求項8に記載の半導体レーザ装置。
【請求項10】
前記転位制御層は、複数の凸部を有する下地種結晶層と、前記複数の凸部の凸部間に形成された成長層とを備え、
前記成長層は、向かい合う前記凸部の側面から成長した第1成長層と第2成長層とが接合して形成され、
前記転位集中可領域は、前記第1成長層と前記第2成長層とが接合する領域である
請求項7に記載の半導体レーザ装置。
【請求項11】
前記転位制御層は、複数の凸部を有する下地種結晶層と、前記複数の凸部の凸部間に形成された選択成長用膜と、前記下地種結晶層と前記選択成長用膜との上に形成された成長層とを備え、
前記成長層は、前記複数の凸部の上面から成長した第1成長層と第2成長層とが接合して形成され、
前記転位集中可領域は、前記第1成長層と前記第2成長層とが接合する領域である
請求項7に記載の半導体レーザ装置。
【請求項12】
前記基板に複数の凸部が形成されており、
前記転位制御層は、前記複数の凸部の各々について前記凸部の一方の側面に形成された下地種結晶層と、前記複数の凸部の各々について前記凸部の他方の側面に形成された選択成長用膜と、前記下地種結晶層と前記選択成長用膜との上に形成された成長層とを備え、
前記成長層は、複数の前記下地種結晶層のうちの一の下地種結晶層から成長した第1成長層と、前記一の下地種結晶膜とは異なる他の下地種結晶層から成長した第2成長層とが接合して形成され、
前記転位集中可領域は、前記第1成長層と前記第2成長層とが接合する領域である
請求項7に記載の半導体レーザ装置。
【請求項13】
前記下地層の一部もしくは全部が、AlxGa1-xN(0≦x≦1)とAlyGa1-yN(0≦y≦1、x≠y)との積層構造からなる
請求項1〜12のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項14】
前記基板が、サファイア基板、Si基板又はSiC基板である
請求項1〜13のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項15】
前記積層構造体の主面が、半極性又は無極性である
請求項1〜14のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図5】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−19165(P2012−19165A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157277(P2010−157277)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】