説明

半導体発光素子およびその製造方法

【課題】発光効率の高い半導体発光素子を提供する。
【解決手段】実施の形態の半導体発光素子は、n型窒化物半導体層と、n型窒化物半導体層上の窒化物半導体の活性層と、活性層上のp型窒化物半導体層と、を備える。そして、p型窒素化物半導体層が窒化アルミニウムガリウム層を含み、窒化アルミニウムガリウム層中のインジウム濃度が1E18atoms/cm以上1E20atoms/cm以下であり、炭素濃度が6E17atoms/cm以下であり、マグネシウム濃度をX、アクセプタ濃度をYとした場合に、
Y>{(−5.35e19)−(X−2.70e19)1/2−4.63e19
である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、半導体発光素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザダイオード(LD)や、発光ダイオード(LED)等の半導体発光素子の材料として、III族窒化物半導体が用いられる。III族窒化物半導体は、一般式AlGaIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表わされる。
【0003】
III族窒化物半導体を用いる半導体発光素子では、素子の発光効率の向上が要求されている。このため、発光効率を向上させる素子構造および製造方法が模索されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−309074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、発光効率の高い半導体発光素子およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態の半導体発光素子は、n型窒化物半導体層と、n型窒化物半導体層上の窒化物半導体の活性層と、活性層上のp型窒化物半導体層と、を備える。そして、p型窒素化物半導体層が窒化アルミニウムガリウム層を含み、窒化アルミニウムガリウム層中のインジウム濃度が1E18atoms/cm以上1E20atoms/cm以下であり、炭素濃度が6E17atoms/cm以下であり、マグネシウム濃度をX、アクセプタ濃度をYとした場合に、
Y>{(−5.35e19)−(X−2.70e19)1/2−4.63e19
である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態の半導体発光素子の断面図である。
【図2】実施の形態の半導体発光素子の作用を説明する図である。
【図3】実施の形態の半導体発光素子の作用を説明する図である。
【図4】実施の形態の半導体発光素子のデバイス特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて実施の形態を説明する。
【0009】
発明者らは、半導体発光素子の発光効率を上げる上で、p型窒化物半導体層中の窒化アルミニウムガリウム(AlGa1−xN(0<x<1))層の組成に着目した。そして、窒化アルミニウムガリウム(AlGa1−xN(0<x<1))層中に、インジウム(In)を含有させ、マグネシウム(Mg)濃度に対するアクセプタ濃度の割合を高くし、かつ、炭素濃度を低減させることで半導体発光素子の発光効率を向上できることを見出した。
【0010】
そして、上記組成の窒化アルミニウムガリウム層は、有機金属化学気相成長法(MOCVD)による成長雰囲気中に、インジウム原料、キャリアガスとして、窒素(N)ガスを供給することで形成可能であることを見出した。
【0011】
マグネシウムをp型不純物として含有する窒化アルミニウムガリウム層の形成において、発明者らは、まず成長雰囲気中に、キャリアガスとして、窒素(N)ガスを導入することにより、アクセプタ濃度が高くなることを見出した。
【0012】
もっとも、窒素ガスを導入することで、特に1000℃以下の低温での膜成長では、炭素(C)濃度が上がり、窒化アルミニウムガリウムの結晶性の劣化や、ホールの移動度の劣化に起因する発光効率の低下が生ずることが明らかになった。また、炭素濃度が上がることにより、マグネシウムによるアクセプタ濃度の制御性が低下する。
【0013】
これに対し、発明者らは、キャリアガスの窒素ガスに加えて、更に、インジウム原料を雰囲気中に加えることで、窒化アルミニウムガリウム層の炭素濃度が低下するとともに、マグネシウム濃度に対するアクセプタ濃度の割合が一層高くなり、その結果、発光効率が向上することを明らかにした。
【0014】
以下の実施の形態は、発明者らによって見出された上記知見に基づくものである。
【0015】
実施の形態の半導体発光素子は、n型窒化物半導体層と、n型窒化物半導体層上の窒化物半導体の活性層と、活性層上のp型窒化物半導体層と、を備える。そして、p型窒素化物半導体層が窒化アルミニウムガリウム層を含み、窒化アルミニウムガリウム層中のインジウム(原子)濃度が1E18atoms/cm以上1E20atoms/cm以下であり、炭素(原子)濃度が6E17atoms/cm以下であり、マグネシウム(原子)濃度をX(atoms/cm)、アクセプタ濃度をY(atoms/cm)とした場合に、
Y>{(−5.35e19)−(X−2.70e19)1/2−4.63e19
である。
【0016】
本実施の形態の半導体発光素子によれば、窒化アルミニウムガリウム層中のp型不純物であるマグネシウム濃度に対するアクセプタ濃度の割合が高く、かつ、炭素濃度が低いことで、高い発光効率が実現される。
【0017】
以下、半導体発光素子として、リッジストライプ型のレーザダイオード(LD)を例に説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態の半導体発光素子の断面図である。図1(a)がリッジストライプの伸長方向に平行な断面図、図1(b)が図1(a)のA−A断面図、である。
【0019】
本実施の形態の半導体発光素子である半導体レーザダイオードは、III族窒化物半導体を用いて形成される。n型のGaN(窒化ガリウム)半導体の基板10上に、GaN系のn型窒化物半導体層12として、例えば、厚さ1200nmのSiドープされたn型のAl0.05Ga0.95Nのn型クラッド層12a、厚さ100nmのSiドープされたn型のGaNのn型ガイド層12bが形成されている。
【0020】
n型窒化物半導体層12上には、多重量子井戸構造(MQW)のGaN系半導体の、例えば、厚さ3nmのIn0.12Ga0.88N/厚さ10nmのIn0.03Ga0.97Nの多重構造の活性層14が形成されている。
【0021】
活性層14上には、GaN系のp型窒化物半導体層16として、例えば、厚さ100nmのMgドープされたp型のGaNのp型ガイド層16a、厚さ600nmのMgドープされたp型のAl0.05Ga0.95Nのp型クラッド層16b、厚さ10nmのMgドープされたp型のGaNのp型コンタクト層16cが形成されている。
【0022】
図示しない、例えば厚さ10nmのMgドープされたp型のAl0.2Ga0.8Nのオーバーフロー防止層が、p型ガイド層16aとp型クラッド層16bとの間に形成されていてもかまわない。また、p型ガイド層16aはアンドープであってもかまわない。
【0023】
p型窒化物半導体層16には、レーザ光の導波路領域を形成するためのリッジストライプ18が設けられている。リッジストライプ18の側面、および、p型クラッド層16bの表面は、例えば、シリコン酸化膜の絶縁膜20で覆われている。
【0024】
基板10の下面にはn側電極24、p型コンタクト層16c上にはp側電極26が設けられている。
【0025】
Mgドープされたp型のAl0.05Ga0.95Nのp型クラッド層16bは、1E18atoms/cm以上1E20atoms/cm以下のインジウムを含有している。このように、インジウムを含有することにより、インジウムがサーファクタントとして機能し、結晶性を向上させる。上記範囲を下回ると、十分なサーファクタントが得られない。また、上記範囲を上回ると、4元混晶が形成され、素子特性が大きく変化するおそれがある。この観点から、インジウムの濃度は、3E18atoms/cm以上3E19atoms/cm以下であることがより望ましく、8E18atoms/cm以上3E19atoms/cm以下であることがさらにより望ましい。
【0026】
また、p型クラッド層16bにおいて、マグネシウム(原子)濃度をX(atoms/cm)、アクセプタ濃度をY(atoms/cm)とした場合に、
Y>{(−5.35e19)−(X−2.70e19)1/2−4.63e19
である。マグネシウム濃度は、1E18atoms/cm以上1E20atoms/cm以下、より好ましくは5E18atoms/cm以上5E19atoms/cm以下、さらに好ましくは1E19atoms/cm以上3E19atoms/cm以下である。
【0027】
マグネシウム濃度が上記範囲を下回ると、マグネシウム濃度に対するアクセプタ濃度の割合が低くなり、p型窒化物半導体層に十分な導電性が確保されなくなるおそれがある。また、上記範囲を上回る場合も、マグネシウムのアクセプタ濃度が低くなり、p型窒化物半導体層に十分な導電性が確保されなくなるおそれがある。
【0028】
そして、p型クラッド層16bは、炭素濃度が6E17atoms/cm以下である。このように、炭素濃度が抑制されることにより、正孔(ホール)の移動度が向上し、p型窒化物半導体層の導電性が向上する。したがって、発光効率の向上が期待できる。また、炭素濃度が抑制されることにより、マグネシウム添加によるアクセプタ濃度の制御性が向上し、半導体発光素子の特性が安定し、製造歩留まりの向上が期待できる。炭素濃度は、1E17atoms/cm以下であることがより望ましい。
【0029】
なお、インジウム、マグネシウム、炭素の濃度はSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)法で評価することが可能である。また、アクセプタ濃度は、ECV(Electro Chemical Voltametry)法で評価することが可能である。
【0030】
次に、本実施の形態の半導体発光素子の製造方法について、図1を参照しつつ説明する。
【0031】
n型のGaN基板10上に有機金属化学気相法(MOCVD)法により、Al0.05Ga0.95Nのn型クラッド層12a、GaNのn型ガイド層12b、In0.12Ga0.88N/In0.03Ga0.97Nの多重構造の活性層14、GaNのp型ガイド層16a、Al0.05Ga0.95Nのp型クラッド層16b、GaNのp型コンタクト層16cを順次形成する。
【0032】
次に、p型コンタクト層16cの上面にSiO膜を堆積する。レジストを用いたパターニングとフッ化アンモニウムによるエッチングによりリッジストライプ形成のために幅10μm程度のマスクを形成する。ドライエッチング装置により、上記マスクを用いて、Al0.05Ga0.95Nのp型クラッド層16bの途中までエッチングを行い、リッジストライプ18を形成する。
【0033】
マスクを除去した後、例えばSiO膜の堆積と、レジストを用いたパターニングによりリッジストライプ18側面、および、p型クラッド層16bの表面に絶縁膜20を形成する。
【0034】
その後、p側電極用の電極金属を堆積してパターニングし、p側電極26を形成する。さらに、リッジストライプ18と反対側のGaN基板10を研磨して薄膜化した後、n側電極用の電極金属を堆積してパターニングし、n側電極24を形成する。
【0035】
そして、n型GaN基板10の表面にリッジストライプと直交する方向の劈開方向に沿ってスクライブラインを入れる。このスクライブラインを起点として、劈開面に沿って、バー状にn型GaN基板10を分離する。
【0036】
さらにバー状にしたn型GaN基板を短手方向でスクライブとブレーキングを行い、図1に示すような1つの半導体発光素子を製造する。
【0037】
本実施の形態においては、MOCVD法による窒化アルミニウムガリウムのp型クラッド層16bの成長中に、成長雰囲気中に、マグネシウム原料、インジウム原料、および、キャリアガスとして、窒素ガスを供給する。すなわち、p型クラッド層16bの成長中に、成長雰囲気中にアルミニウム原料、ガリウム原料、マグネシウム原料、インジウム原料、および窒素原料を供給する。これらの原料のキャリアガスとして、窒素ガスを供給する。
【0038】
アルミニウム原料は、例えば、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)である。また、ガリウム原料は、例えば、トリメチルガリウム(TMG)、トリエチルガリウム(TEG)である。また、マグネシウム原料は、例えば、シクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)である。窒素原料は、例えば、アンモニア(NH)である。
【0039】
また、インジウム原料は、例えば、トリメチルインジウム(TMI)、トリエチルインジウム(TEI)である。そして、窒化アルミニウムガリウムの成長中に成長雰囲気中に供給されるインジウム原料の供給量は、アルミニウム原料とガリウム原料の供給量の和に対し、50%以上であることが望ましく、100%より大きいことがより望ましい。キャリアガスに水素が含まれる場合などキャリアガスの成分によっては、上記範囲を下回ると十分なIn濃度が得にくくなり、従って十分な炭素低減効果を得られない。
【0040】
なお、ここで、原料の供給量とは、単位時間当たりの原子数で表わした原子数で表わした原料の供給量である。例えば、mol/minで表わされる。
【0041】
窒素ガスは、必ずしも100%窒素に限らず、窒素ガスと水素(H)ガス、またはその他のガスとの混合ガスであってもかまわない。ただし、窒素ガスの流量が、キャリアガスの総流量の10%以上であることが望ましく、50%以上であることがより望ましく、90%以上であることがさらに望ましく、99%以上であることが一層望ましい。これは、窒素ガスの流量が大きいほど、マグネシウム濃度に対するアクセプタ濃度の割合が高くなるからである。
【0042】
また、窒化アルミニウムガリウムの成長温度は、700℃以上1100℃以下、より望ましくは、800℃以上1000℃以下であることが望ましい。上記範囲を下回ると、窒化アルミニウムガリウムの結晶性が劣化するおそれがある。また、上記範囲を上回ると、成長時の熱ストレスが、活性層など下層の半導体層に印加されることにより発光素子の特性が劣化するおそれがある。
【0043】
図2は、実施の形態の半導体発光素子の作用を説明する図である。MOCVD法により、窒化アルミニウムガリウムの単層膜を形成する際の、成長条件を変化させた。そして、形成された窒化アルミニウムガリウムのインジウム濃度と炭素濃度の関係を示している。各成長条件は以下の通りである。
【0044】
(条件1):図2中、菱形印
・成長温度:1030℃
・原料:TMA、TMG、CpMg、NH
・TMI供給量/(TMA供給量+TMG供給量)=0%
・キャリアガス:窒素ガス、水素ガス
・窒素ガス流量/キャリアガス総流量=48.8%
【0045】
(条件2):図2中、白丸(○)印
・成長温度:1000℃
・原料:TMA、TMG、CpMg、NH
・TMI供給量/(TMA供給量+TMG供給量)=0%
・キャリアガス:窒素ガス、水素ガス
・窒素ガス流量/キャリアガス総流量=98.6%
【0046】
(条件3):図2中、白三角(△)印
・成長温度:1000℃
・原料:TMA、TMG、TMI 4.6μmol/min、CpMg、NH
・TMI供給量/(TMA供給量+TMG供給量)=5.9%
・キャリアガス:窒素ガス、水素ガス
・窒素ガス流量/キャリアガス総流量=98.6%
【0047】
(条件4):図2中、白四角(□)印
・成長温度:1000℃
・原料:TMA、TMG、TMI 15.8μmol/min、CpMg、NH
・TMI供給量/(TMA供給量+TMG供給量)=19.8%
・キャリアガス:窒素ガス、水素ガス
・窒素ガス流量/キャリアガス総流量=98.6%
【0048】
(条件5):図2中、黒丸(●)印
・成長温度:940℃
・原料:TMA、TMG、CpMg、NH
・TMI供給量/(TMA供給量+TMG供給量)=0%
・キャリアガス:窒素ガス、水素ガス
・窒素ガス流量/キャリアガス総流量=48.8%
【0049】
(条件6):図2中、黒四角(■)印
・成長温度:940℃
・原料:TMA、TMG、TMI 47.2μmol/min、CpMg、NH
・TMI供給量/(TMA供給量+TMG供給量)=59.1%
・キャリアガス:窒素ガス、水素ガス
・窒素ガス流量/キャリアガス総流量=48.8%
【0050】
上述のように、キャリアガスに窒素ガスを用いると、窒化アルミニウムガリウム中のアクセプタ濃度は上がるが、同時に炭素濃度も上がる。この傾向は、窒素ガス流量/キャリアガス総流量が上がると顕著になる。また、成長温度が下がると顕著になる。この傾向は、図2中、TMIを供給しない条件1(菱形印)、条件2(○印)、条件5(●印)を比較することでも読み取れる。
【0051】
しかし、図2に示すようにインジウム原料を供給することで、キャリアガスに窒素ガスを用いても、窒化アルミニウムガリウム中の炭素濃度を低減することが可能となる。
【0052】
図3は、実施の形態の半導体発光素子の作用を説明する図である。上記、条件2(○印)、条件3(△印)、条件4(□印)で成膜された窒化アルミニウムガリウム中のマグネシウムの原子濃度とアクセプタ濃度との関係を示す。濃度はSIMSで、アクセプタ濃度はECVで測定している。
【0053】
図3に示すように、TMIの流量が増大するほど、おなじマグネシウムの原子濃度であっても、アクセプタ濃度が大きくなる。すなわち、マグネシウムの活性化率が向上する。そして、インジウム原料の導入により、マグネシウム濃度をX、アクセプタ濃度をYとした場合に、
Y>{(−5.35e19)−(X−2.70e19)1/2−4.63e19
が成立する。
【0054】
図4は、実施の形態の半導体発光素子のデバイス特性を示す図である。図1の構造のレーザダイオードの、窒化アルミニウムガリウムのp型クラッド層16bの成長条件に、TMIを供給しない上記条件2(図2、図3中○印、図4中点線)と、TMIを供給する条件4(図2、図3中□印、図4中実線)とを適用し、デバイス特性を評価した。
【0055】
図4から明らかなように、インジウム原料を供給することで、動作電圧が低減し、発光効率も向上することがわかる。これは、窒素ガスをキャリアガスとして用い、インジウム原料を供給することにより、マグネシウムの活性化率が向上するともに、炭素濃度の低減によりホールの移動度も向上し、p型クラッド層16bの導電性が向上したことによると考えられる。
【0056】
実施の形態の製造方法によれば、p型の窒化アルミニウムガリウム中のマグネシウムのアクセプタ濃度が向上するとともに炭素濃度が低減する。したがって、p型窒化物半導体層の導電性が上がり、発光効率の高い半導体発光素子を提供することが可能となる。
【0057】
そして、実施の形態の製造方法によれば、1000℃以下、あるいは、950℃以下の低温でも効果が生ずる。したがって、窒化アルミニウムガリウム成長時の下地層への熱ストレスも抑制される。この観点からも、発光効率の高く特性の優れた半導体発光素子を提供することが可能となる。
【0058】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。上記、実施の形態はあくまで、例として挙げられているだけであり、本発明を限定するものではない。また、各実施の形態の構成要素を適宜組み合わせてもかまわない。
【0059】
そして、実施の形態の説明においては、半導体発光素子およびその製造方法等で、本発明の説明に直接必要としない部分等については記載を省略したが、必要とされる半導体発光素子およびその製造方法に関わる要素を適宜選択して用いることができる。
【0060】
例えば、実施の形態では、半導体発光素子としてレーザダイオード(LD)を例に説明したが、本発明は、発光ダイオード(LED)にも適用することが可能である。
【0061】
また、本発明は半導体発光素子に用いられるp型の窒化アルミニウムガリウム層であれば、LDのp型クラッド層に限らず、あらゆる層に適用することが可能である。
【0062】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての半導体発光素子およびその製造方法は、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその均等物の範囲によって定義されるものである。
【符号の説明】
【0063】
10 基板
12 n型窒化物半導体層
14 活性層
16 p型窒化物半導体層
16b p型クラッド層(窒化アルミニウムガリウム層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型窒化物半導体層と、
前記n型窒化物半導体層上の窒化物半導体の活性層と、
前記活性層上のp型窒化物半導体層と、を備え、
前記p型窒素化物半導体層が窒化アルミニウムガリウム層を含み、前記窒化アルミニウムガリウム層中のインジウム濃度が1E18atoms/cm以上1E20atoms/cm以下であり、炭素濃度が6E17atoms/cm以下であり、マグネシウム濃度をX、アクセプタ濃度をYとした場合に、
Y>{(−5.35e19)−(X−2.70e19)1/2−4.63e19
であることを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
前記インジウム濃度が3E18atoms/cm以上3E19atoms/cm以下、前記炭素濃度が6E17atoms/cm以下、前記マグネシウム濃度が5E18atoms/cm以上5E19atoms/cm以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
【請求項3】
基板上に、有機金属化学気相成長法(MOCVD)により、n型窒化物半導体層、窒化物半導体の活性層、マグネシウムを含有する窒化アルミニウムガリウム層を含むp型窒化物半導体層を順次形成する半導体発光素子の製造方法であって、
前記窒化アルミニウムガリウム層の成長中に、成長雰囲気中にマグネシウム原料、インジウム原料、および、キャリアガスとして窒素ガス、を供給することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
【請求項4】
前記窒化アルミニウムガリウム層の成長温度が700℃以上1100℃以下であることを特徴とする請求項3記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項5】
前記窒素ガスの流量が前記キャリアガスの総流量の10%以上であることを特徴とする請求項3または請求項4記載の半導体発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−186413(P2012−186413A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50011(P2011−50011)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】