説明

半導体発光素子及びLEDランプ、並びに半導体発光素子の製造方法

【課題】薄型でかつ発光効率の高い半導体発光素子及びLEDランプ、並びに半導体発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】AlGaInP系あるいはAlGaAs系の活性層を含む半導体積層部と、半導体積層部の第一の面側を光取り出し面とし、半導体積層部の第二の面側に形成され、活性層からの光を反射させる金属反射層と、半導体積層部に金属反射層を介して結合された支持基板と、半導体積層部と金属反射層とに挟まれる透明誘電体層と、透明誘電体層を貫通し透明誘電体層の一部分に配置されたオーミックコンタクト接合部と、半導体積層部の第一の面側に形成された第一電極と、金属反射層に対して第一電極と同一面側に、半導体積層部と非接触に形成され、オーミックコンタクト接合部に電気的に接続する第二電極と、を備え、支持基板は厚さ60μm以上120μm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子及びLEDランプ、並びに半導体発光素子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体発光素子である発光ダイオード(LED)は、GaN系や、AlGaInP系の高品質結晶を有機金属気相成長(MOVPE:Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)法で成長する技術の発達によって、青色、緑色、橙色、黄色、赤色の高輝度LEDが
製作できるようになった。そしてLEDの高輝度化に伴い、その用途は自動車のブレーキランプや液晶ディスプレイのバックライト等へ広がり、その需要は年々増加している。
【0003】
MOVPE法によって高品質の結晶が成長可能となってから、発光素子の内部効率は理論限界値に近づきつつある。しかし、発光素子からの光取り出し効率はまだまだ低く、光取り出し効率を向上することが重要となっている。例えば、高輝度赤色LEDは、GaAs基板上にAlGaInP系の材料からなる発光層(活性層)を含む多層構造の半導体層を形成してなるが、GaAs基板のバンドギャップは、発光層のバンドギャップよりも狭いために、発光層からの光の多くがGaAs基板に吸収され、光の取り出し効率が著しく低下する。
【0004】
そこで、GaAs基板への光の吸収を回避するため、GaAs基板上に発光層を含むエピタキシャル層を積層させた半導体層に、反射率の高い金属反射膜を介して導電性Si基板(支持基板)を接合した後、GaAs基板を除去する基板貼替の技術が知られている。この基板貼替の発光素子では、発光層で発生した光は、金属反射膜によって効率よく光取り出し面へと反射される。基板貼替の半導体発光素子において、半導体層と金属反射膜との間の合金化を抑えるため、半導体層と金属反射膜との間に導電性を有する光透過膜を設ける方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
Si基板貼替の発光素子における電極形成は、カソード電極を半導体層上に設け、アノード電極をSi基板裏面に設ける構造が一般的であるが、アノード電極を、カソード電極と同一の面側である、半導体層を有するSi基板表面側に設ける構造とすることも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−175462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、Si基板に貼り替えられた発光素子において、アノード電極をSi基板裏面に設ける電極構造では、近年求められているような発光素子の薄型化が困難である。薄型化するには、裏面側からSi基板を研磨して薄くする薄化加工を施した後、Si基板裏面の研磨面にアノード電極を形成することになるが、Si基板の厚さが薄く、例えば120μm以下の薄さになると、アノード電極の製作工程においてSi基板(ウェハ)の割れや欠けが生じ、発光素子の歩留まりが著しく低下してしまうからである。
【0008】
一方、従来のSi基板貼替の発光素子において、アノード電極をカソード電極と同一面側に形成する電極構造とした場合、Si基板の薄化加工性は向上するものの、発光効率が
低下するという問題が生じる。この電極構造では、アノード電極は半導体層との接触を避けるべく半導体層を取り除いた領域に形成する必要があり、半導体層上のカソード電極直下の位置から離れた、金属反射膜や導電性光透過膜上にアノード電極が位置するため、発光層を流れる電流分布の偏りが大きくなって発光効率が低減してしまうからである。
【0009】
また、結晶品質及び材料物性の観点から、GaN系LEDが紫色から緑色の波長帯域に用いられるのに対して、AlGaInP系LEDは黄色から赤色の波長帯域に、AlGaAs系LEDは赤色から赤外帯域に用いられる。照明用として最も期待される高輝度の白色LEDを実現する際には、青色、緑色、赤色の3原色のLEDを組み合わせて使用することが一般的であり、青色及び緑色のGaN系LEDと赤色のAlGaInP系LEDとを組み合わせて白色LEDランプとしている。携帯電話などの小型電子機器にLEDが使われるようになり、LEDチップの小型化が盛んに行われている。GaN系LEDは強度の大きいサファイア基板を用いて結晶成長するために、LEDチップの機械的強度が高く、チップの小型化・薄型化が比較的容易である。また、白色LEDランプの光学的設計や実装を考えると、赤色LEDにもGaN系LEDと同様の高さの薄型化チップが要求される。しかし、AlGaInP系やAlGaAs系の赤色LEDチップで使用される基板(Si等の支持基板)は、機械的強度が大きくないため、薄化加工を含むプロセス中に半導体ウェハが割れてしまうといった問題点があり、チップ高さの薄型化が困難であった。
【0010】
本発明の目的は、薄型でかつ発光効率の高い半導体発光素子及びLEDランプ、並びに半導体発光素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様は、第一の導電型の第一クラッド層、(AlGa1−xIn1−yP(ただし、0≦x≦1、0.4≦y≦0.6)またはAlGa1−xAs(ただし、0≦x≦1)からなる活性層、前記第一クラッド層とは異なる第二の導電型の第二クラッド層を有する、発光波長が560nm以上1000nm以下の発光構造体を含む半導体積層部と、前記半導体積層部の第一の面側を光取り出し面とし、前記半導体積層部の第二の面側に形成され、前記活性層からの光を前記第一の面側へと反射させる金属反射層と、前記半導体積層部に前記金属反射層を介して結合された支持基板と、前記半導体積層部と前記金属反射層とに挟まれる透明誘電体層と、前記透明誘電体層を貫通して前記透明誘電体層の一部分に配置され、前記半導体積層部にオーミックコンタクト接合するオーミックコンタクト接合部と、前記半導体積層部の第一の面側に形成された第一電極と、前記金属反射層に対して前記第一電極と同一面側に、前記半導体積層部と非接触に形成され、前記オーミックコンタクト接合部に電気的に接続する第二電極と、を備え、前記支持基板は厚さ60μm以上120μm以下であることを特徴とする半導体発光素子である。
【0012】
本発明の第2の態様は、第1の態様の半導体発光素子において、前記第二電極が、前記半導体積層部の一部が除去されて露出した前記オーミックコンタクト接合部の部分、または前記半導体積層部及び透明誘電体層の一部が除去されて露出した前記金属反射層の部分であることを特徴とする半導体発光素子である。
【0013】
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様の半導体発光素子において、前記第一電極は、前記半導体積層部の第一の面側の一部分に分散状に配置され、前記オーミックコンタクト接合部は、前記光取り出し面側からみて前記第一電極の直下から外れる位置に分散状に配置されていることを特徴とする半導体発光素子である。
【0014】
本発明の第4の態様は、第1〜第3の態様のいずれかに記載の半導体発光素子において、前記透明誘電体層が、SiOまたはSiNからなることを特徴とする半導体発光素子である。
【0015】
本発明の第5の態様は、第1〜第4の態様のいずれかに記載の半導体発光素子において、前記支持基板が、Si基板、Ge基板、GaAs基板、GaP基板のいずれかであることを特徴とする半導体発光素子である。
【0016】
本発明の第6の態様は、第1〜第5の態様のいずれかに記載の半導体発光素子を実装して作製されるLEDランプにおいて、前記半導体発光素子は、(AlGa1−xIn1−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1)からなる活性層を有するIII族窒化物半
導体発光素子と同一のパッケージに、前記III族窒化物半導体発光素子に高さを合わせて
実装されていることを特徴とするLEDランプである。
【0017】
本発明の第7の態様は、GaAs基板上に、第一の導電型の第一クラッド層、(AlGa1−xIn1−yP(ただし、0≦x≦1、0.4≦y≦0.6)またはAlGa1−xAs(ただし、0≦x≦1)からなる活性層、前記第一クラッド層とは異なる第二の導電型の第二クラッド層を有する、発光波長が560nm以上1000nm以下の発光構造体を含む半導体積層部を形成する工程と、前記半導体積層部の第一の面側を光取り出し面とし、前記半導体積層部の第二の面側に透明誘電体層を形成する工程と、前記透明誘電体層の一部分に貫通して形成された開口に、前記半導体積層部にオーミックコンタクト接合するオーミックコンタクト接合部を形成する工程と、前記半導体積層部の第二の面側に、前記透明誘電体層を挟んで金属反射層を形成する工程と、前記GaAs基板の前記金属反射層に、120μmを超える厚さの支持基板を貼り合わせて、貼り合わせ基板を形成する工程と、前記貼り合わせ基板から前記GaAs基板を除去する工程と、前記半導体積層部の第一の面側に第一電極を形成する工程と、前記金属反射層に対して前記第一電極と同一面側に、前記半導体積層部と非接触に、前記オーミックコンタクト接合部に電気的に接続する第二電極を形成する工程と、前記第一電極を形成する工程と前記第二電極を形成する工程が終了した後、前記支持基板を、貼り合わせ面とは反対側の面から、厚さ60μm以上120μm以下に薄化する工程とを有する半導体発光素子の製造方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の半導体発光素子、LEDランプによれば、薄型でかつ発光効率の高い半導体発光素子、LEDランプが得られる。また、本発明の半導体発光素子の製造方法によれば、薄型でかつ発光効率の高い半導体発光素子を、高い歩留まりで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の構造を示す平面図である。
【図1B】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を示す断面図である。
【図3A】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を示す平面図である。
【図3B】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を示す断面図である。
【図5A】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を示す平面図である。
【図5B】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を示す断面図である。
【図6A】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を示す平面図である。
【図6B】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を示す断面図である。
【図7A】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を示す平面図である。
【図7B】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を示す断面図である。
【図8A】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を示す平面図である。
【図8B】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る半導体発光素子の構造を示す断面図である。
【図10A】比較例1の半導体発光素子の構造を示す平面図である。
【図10B】比較例1の半導体発光素子の構造を示す断面図である。
【図11A】比較例1の半導体発光素子の製造工程を示す平面図である。
【図11B】比較例1の半導体発光素子の製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
[第1の実施の形態]
(半導体発光素子の構造)
本発明の第1の実施の形態に係る半導体発光素子の構造を、図1Aおよび図1Bに示す。ここで、図1Aは半導体発光素子1を光取り出し面側からみた平面図(上面図)であり、図1Bは図1AのA−A断面図である。
【0022】
半導体発光素子1は、半導体エピタキシャル層が積層された半導体積層部10と、半導体積層部10の光取り出し面とは反対側の面に形成された透明誘電体層108と、透明誘電体層108を貫通して透明誘電体層108の一部分に配置され、半導体積層部10にオーミックコンタクト接合するオーミックコンタクト接合部109と、オーミックコンタクト接合部109が配置された透明誘電体層108に結合された金属反射層110と、金属反射層110に金属密着層202を介して結合されたSi支持基板201とを有する。半導体積層部10は素子間分離され、透明誘電体層108が一部領域で露出した状態となっており、この露出した部分のオーミックコンタクト接合部109が第二電極(下部表面電極)112となり、半導体積層部10の上面に第一電極(上部表面電極)111が形成されている。
【0023】
半導体積層部10は、AlGaInP系あるいはAlGaAs系の活性層(発光層)105を有する。活性層105の材料には、(AlGa1−xIn1−yP(ただし、0≦x≦1、0.4≦y≦0.6)、またはAlGa1−xAs(ただし、0≦x≦1)が用いられ、発光波長が560〜1000nmの発光素子が作製される。活性層105は、第一導電型の第一クラッド層104と第二導電型の第二クラッド層106との間に設けられ、第一クラッド層104、活性層105および第二クラッド層106によりダブルへテロ構造の発光構造体が構成されている。第一クラッド層104側が光取り出し面(第一の面)となり、第一クラッド層104上には第一導電型の第一コンタクト層103が形成されている。また、第二クラッド層106の光取り出し面側とは反対側の面(第二の面)には第二導電型の第二コンタクト層107が形成されている。
【0024】
半導体積層部10は、例えば、n型GaAsコンタクト層103と、n型AlGaIn
Pクラッド層104と、アンドープAlGaInP活性層105と、p型AlGaInPクラッド層106と、p型GaPコンタクト層107とからなる。そして、半導体積層部10の光取り出し面となるn型AlGaInPクラッド層104の表面104aには、光取り出し効率を向上させるため、凹凸形状が形成されている。なお、活性層105は、単層構造ではなく多重量子井戸構造としてもよい。また、上下の各クラッド層とコンタクト層の導電型(n型、p型)を逆にして、光取り出し面側をp型としてもよい。
【0025】
光取り出し面側のn型GaAsコンタクト層(第一コンタクト層)103上には、第一電極111が形成されている。n型GaAsコンタクト層103及び第一電極111は、図1A、図1Bに示すように、円形部分と円形部分より櫛歯状に延びた櫛歯状部分とからなる連続した単一形状をしている。円形部分の第一電極111上には、第一電極パッド113が形成されている。円形部分は、矩形断面の発光素子1のコーナー部付近に位置し、円形部分より延出された櫛歯状部分は、光取り出し面となるn型クラッド層104の全域に分散して配置されている。第一電極111は、例えばAuGe合金層と、Ti層と、Au層との積層構造とする。第一電極パッド113は、例えば、Ti、Auが積層された構造となっている。
【0026】
半導体積層部10の光取り出し面とは反対の側に形成された透明誘電体層108は、半導体積層部10と金属反射層110との直接接触による合金化を防止する。透明誘電体層108には、例えばSiO、SiNを用いることができる。また、透明誘電体層108の層厚は、透明誘電体層108での光吸収を防止するために、発光波長(ピーク波長)をλ、透明誘電体層108の屈折率をnとした場合に、(2×λ)/(4×n)よりも大きくすることが好ましい。
【0027】
透明誘電体層108の一部分には、透明誘電体層108を貫通して、オーミックコンタクト接合部109が形成されている。オーミックコンタクト接合部109は、例えばAuZn合金等の材料を用いた単一層構造としても、或いは積層構造としてもよい。オーミックコンタクト接合部109は、例えば図1Aに破線で示すように、第一電極111と同様に、円形部分と円形部分より櫛歯状に延びた櫛歯状部分とからなる連続した単一形状をしている。円形部分は、半導体積層部10が一部除去されて透明誘電体層108が露出した領域に設けられている。オーミックコンタクト接合部109の円形部分は、第一電極111の円形部分に対して矩形断面の発光素子1の対角線(A−A線)上の対角配置となる、発光素子1のコーナー部付近に設けられている。露出したオーミックコンタクト接合部109の部分(円形部分及びその近傍の櫛歯状部分)は、第二電極112となる。第二電極112の円形部分の上には、第二電極パッド114が形成される。第二電極パッド114は、第一電極パッド113と同一の材料、例えばTi、Auの積層構造により形成することができる。オーミックコンタクト接合部109の円形部分より延出された櫛歯状部分は、透明誘電体層108の全域に分散して配置されている。また、オーミックコンタクト接合部109は、半導体積層部10の光取り出し面側からみて、第一電極111とは上下に重ならないように、第一電極111の直下から外れた位置に形成されている。
【0028】
第一電極111とオーミックコンタクト接合部109とを分散状に配置することで、第二電極パッド114、露出したオーミックコンタクト接合部109の部分である第二電極112から供給された電流を、オーミックコンタクト接合部109の櫛歯状部分を通じて半導体積層部10の活性層105のほぼ全域に拡散させることができる。これにより、活性層105における電流の偏りが改善され、発光効率が向上する。さらに電流は、オーミックコンタクト接合部109の櫛歯状部分と第一電極111とが上下に重ならないように配置されているため、活性層105で発生した光が第一電極111によって、あまり遮られることなく、第一クラッド層104の光取り出し面から放射され、光取り出し効率がよい。
【0029】
なお、上記実施の形態では、第一電極111とオーミックコンタクト接合部109は互いに位置ずれさせた櫛歯状部分を有するが、この櫛歯状の形状に限られることなく、第一電極111とオーミックコンタクト接合部109の形状を、例えば円形部分から線状部分が放射線状に配置されたものとしてもよい。第一電極111とオーミックコンタクト接合部109の円形部分も、例えば四角形やその他の形状としてもよい。また、第一電極パッド113が形成される第一電極111の円形部分は、半導体発光素子1のコーナー部等の周縁部ではなく中央部に設けてもよい。また、オーミックコンタクト接合部109は、上記実施の形態のように、全てが一体的に結合した単一構造となっている必要は無く、例えば、線状あるいはドット状等のオーミックコンタクト接合部が透明誘電体層108全面に点在して配置され、それらが互いに分離されていてもよい。この場合、第二電極パッド114に印加された電流は、第二電極112から金属反射層110を通じて透明誘電体層108中に点在する各オーミックコンタクト接合部に流れる。
【0030】
金属反射層110は、活性層105からSi支持基板201側へ向かう光を、光取り出し面側へ反射させるもので、これによって発光素子1の光取り出し効率を上げることができる。金属反射層110には、発光素子の発光波長に対して80%以上の反射率を有する金属を用いることが好ましく、具体的にはAu、Ag、Al、あるいはこれらの合金からなる材料で形成するのがよい。さらに、Au等からなる反射層に、Ti等からなる拡散防止バリア層、Au等からなる接合層を有する積層構造としてもよい。
【0031】
金属反射層110には、Si支持基板201上に形成された金属密着層202を介してSi支持基板201が貼り合わせられている。Si支持基板201は、張り合わされた後に、厚さ60μm以上120μm以下に薄化されている。これは、第一電極111と第二電極112を金属反射層110に対して同一面側に形成する構造をとることで、後の薄化工程が容易となって実現されたものである。なお、支持基板としては、発光素子1を支えるに充分な機械的強度が得られる部材であれば、Si以外の材料を用いることも可能である。具体的には、Si基板の代わりにGe基板、GaAs基板、GaP基板等を用いることもできる。また、Si支持基板201上に形成する金属密着層202は、金属反射層110側の接合層と同一の部材であるAu等を用いることができる。また、例えば、金属密着層202を、Si支持基板201側から、Ti等からなるオーミックコンタクト金属層と、Pt等からなる拡散防止バリア層と、Au層との積層構造としてもよい。
【0032】
(半導体発光素子の製造方法)
以下に、図1Aおよび図1Bに示した第1の実施の形態に係る半導体発光素子1の製造方法について述べる。
【0033】
まず、図2に示すように、MOVPE法により、n型GaAs基板101上に、AlGaInP系などのエピタキシャル層を積層して化合物半導体エピタキシャルウェハを作製する。一例としては、n型GaAs基板101上に、アンドープAlGaInPエッチストップ層102、n型GaAsコンタクト層103、n型AlGaInPクラッド層104、アンドープAlGaInP活性層105、p型AlGaInPクラッド層106、p型GaPコンタクト層107を順次形成し、化合物半導体エピタキシャルウェハを作製する。
【0034】
これらエピタキシャル層の成長にMOVPE法を用いる場合、例えば、成長時の基板温度を650℃、圧力を約6666Pa(50Torr)、各エピタキシャル層の成長速度は0.3〜1.0nm/sec、V/III比は約200前後などとすることができる。こ
こでV/III比とは、分母をIII族原料ガスのモル数とし、分子をV族原料ガスのモル数としたときの比率である。III族有機金属原料ガスとしては、トリメチルガリウム(TMG
a:Ga(CH33)、トリエチルガリウム(TEGa:Ga(C23)、トリメチルアルミニウム(TMAl:Al(CH33)、トリエチルアルミニウム(TEAl:Al(C3)、トリメチルインジウム(TMIn:In(CH33)、トリエチル
インジウム(TEIn:In(C23)等を用い、V族原料ガスとしては、アルシン(AsH)、ホスフィン(PH)等を用いる。また、n型半導体層添加物原料にはジシラン(Si)、セレン化水素(HSe)、モノシラン(SiH)、ジメチルテルル(DMTe:(CH3Te)、ジエチルテルル(DETe:(C2Te)等を、p型半導体層添加物原料にはビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)、ジメチルジンク(DMZn:(CH3Zn)、ジエチルジンク(DEZn:(
2Zn)等を使用することができる。
【0035】
なお、エピタキシャルウェハの作製は、MOVPE法によるエピタキシャル成長に限らず、他の成長方法、例えば分子線エピタキシー法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)等を用いて成長させてもよい。
【0036】
次に、この化合物半導体エピタキシャルウェハをMOVPE装置から搬出し、図3Bに示すように、p型GaPコンタクト層107上に、例えばプラズマCVD装置でSiO層を成膜して透明誘電体層108を形成する。
【0037】
続いて、例えばレジストやマスクアライナー等による一般的なフォトリソグラフィー技術を用いたフッ酸系エッチングで、透明誘電体層108に貫通させて開口部108aを設ける。そして開口部108aに、例えば真空蒸着法によって、AuZn合金よりなるオーミックコンタクト接合部109を形成する。図3Aは透明誘電体層108側からみた平面図、図3Bは図3AのB−B断面図である。オーミックコンタクト接合部109は、図3Aに示すように、櫛歯状部分と円形部分とからなる。
【0038】
このようにオーミックコンタクト接合部109を形成した透明誘電体層108上に、図4に示すように、金属反射層110を形成する。金属反射層110としては、例えば基板101側から順にAl、Ti、Auをそれぞれ蒸着する。ここで、Alが反射層、Tiが拡散防止バリア層、Auが接合層となる。
【0039】
一方、発光素子を支える支持基板として、例えば厚さ200μmのSi支持基板201を用意し、このSi支持基板201上に、例えばTi、Pt、Auを順に蒸着して、金属密着層202を形成する。ここで、Tiがオーミックコンタクト金属層、Ptが拡散防止バリア層、Auが接合層となる。そして図4のように、GaAs基板101側の金属反射層110とSi支持基板201側の金属密着層202を対向させて密着し、金属反射層110と金属密着層202とのAu接合層を接合して貼り合わせる。貼り合わせは、例えば、圧力1.33Pa(0.01Torr)で荷重を30kgf/cm負荷した状態にて、温度を350℃で30分間保持することによって行なうことができる。このようにして、GaAs基板101とSi支持基板201を貼り合わせた貼り合わせウェハが得られる。
【0040】
次に、この貼り合わせウェハから、GaAs基板101とAlGaInPエッチストップ層102を除去し、n型GaAsコンタクト層103を露出させる。GaAs基板101の除去には、例えばアンモニア水と過酸化水素水の混合液を使用し、AlGaInPエッチストップ層102の除去には、例えば塩酸を使用する。そして、露出したn型GaAsコンタクト層103上に第一電極(上部表面電極)111を形成する。第一電極111は、フォトリソグラフィー技術によりパターニングを行ない、真空蒸着法によりAuGe合金、Ti、Auを順に蒸着した後、リフトオフにより形成することができる。この第一電極111は櫛歯状部分と円形部分とからなっており、図5Aに示すとおり、透明誘電体
層108に形成したオーミックコンタクト接合部109とは上下に重ならない位置に形成されている。図5Aは、光取り出し面側からウェハをみた平面図であり、下層に位置するオーミックコンタクト接合部109は破線で示してある。この後、第一電極111をマスクとして、n型GaAsコンタクト層103を、例えば硫酸と過酸化水素水と水の混合液で一部エッチング除去し、図5Bに示すように、n型クラッド層104を一部露出させる。図5Bは、図5AのC−C断面図である。
【0041】
続いて、光取り出し面となるn型クラッド層104上に、例えばフォトリソグラフィー技術により1.0〜3.0μm周期のパターニングを行ない、ウェットエッチングを施して、図6Bに示すように、n型クラッド層104の表面104aを凹凸形状にする。n型クラッド層104の表面104aを凹凸形状とすることにより、光取り出し効率を高めることができる。
【0042】
次にフォトリソグラフィー技術により、素子間分離のためのパターニングを行ない、図7Bに示すように、n型AlGaInPクラッド層104からp型GaPコンタクト層107までを除去し、透明誘電体層108の一部領域を露出させる。このとき、図7Aの平面図に示すとおり、先に形成したオーミックコンタクト接合部109の円形部分及びその近傍の櫛歯状部分も露出させておく。この露出したオーミックコンタクト接合部109が第二電極112となる。なお、図7Bは、図7AのE−E断面図である。
【0043】
さらに、第一電極111およびオーミックコンタクト接合部109を合金化する。具体的にはアロイ工程を用いて、窒素ガス雰囲気中にてウェハを、例えば400℃に加熱し、5分間熱処理を行なう。その後、図8Aおよび図8Bに示すように、例えばフォトリソグラフィー技術および真空蒸着法によって、第一電極111の円形部分にTi、Auからなる第一電極パッド113を、オーミックコンタクト接合部109が露出した第二電極112の円形部分にTi、Auからなる第二電極パッド114を、それぞれ形成する。ここで、図8Aは発光素子を光取り出し面側からみた平面図であり、図8Bは図8AのF−F断面図である。
【0044】
このように、半導体発光素子1の第一電極パッド113と第二電極パッド114を両方とも光取り出し面側に設けたため、次に述べる半導体発光素子1のSi支持基板201の薄化加工の前に、第一電極パッド113及び第二電極パッド114を形成するウェハプロセスを終了させることができ、発光素子の歩留まりを飛躍的に向上させることができる。これに対して、Si支持基板の裏面に裏面電極を有する従来構造の半導体発光素子にあっては、Si支持基板の薄化加工後に裏面電極を形成するので、薄く割れやすくなったSi支持基板をハンドリングして、電極形成のためにフォトリソグラフィーや蒸着等の工程を実施する必要があり、発光素子の歩留まりの低下が避けられない。
【0045】
最後に、Si支持基板201を所定の厚さ、例えば60μm以上120μm以下の厚さに薄化加工する。支持基板の薄化には、例えばバックラップ装置を用いた研磨を用いる。すなわち、Si支持基板201側を上にして、発光素子構造が形成されたウェハを、バックラップ装置の治具に貼り付け用ワックスで貼り付ける。そしてSi支持基板201をその裏面側から所定の厚さになるまで研磨した後、バックラップ装置の治具から取り外す。残ったワックスは、洗浄して除去する。このとき、Si支持基板201の薄化加工は、ドライプロセスを用いたバックサイドエッチングや、フッ酸等の溶剤を用いたウェットエッチング等により行なってもよい。Si支持基板201を薄化したウェハはダイシング装置を用いて切断し、所定のサイズのベアチップを作製する。このベアチップをTO−18ステム上にマウントし、ワイヤーボンディングを施して樹脂による封止を行ない、LEDランプ(発光素子)を作製する。
【0046】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態に係る半導体発光素子2の構造を、図9に示す。ここで、半導体積層部10、オーミックコンタクト接合部109を備える透明誘電体層108、金属反射層110、金属反射層110と金属密着層202を介して貼り合わされたSi支持基板201等、半導体発光素子2の基本構造は第1の実施の形態で示した半導体発光素子1と同様である。またその作製方法も、第1の実施の形態の半導体発光素子1の製造方法とほぼ共通している。以下には、半導体発光素子2の構造、作製方法について、半導体発光素子1とは異なる点について説明を行なう。
【0047】
半導体発光素子2では、半導体積層部10及び透明誘電体層108の一部が除去されて露出した金属反射層110の部分が第二電極112となり、この金属反射層110が露出した部分の第二電極112上に第二電極パッド114が直接に形成されている点が半導体発光素子1とは異なる。この場合、第二電極パッド114に印加された電流は、金属反射層110を介してオーミックコンタクト接合部109の櫛歯状部分に流れ、更に、この櫛歯状部分から半導体積層部10の活性層105のほぼ全域に拡散して流れる。これにより、第2の実施の形態に係る半導体発光素子2においても、活性層105における電流の偏りが改善され、発光効率が向上する。
【0048】
なお、本実施の形態に係る半導体発光素子2を形成するには、除去される透明誘電体層108の領域にはオーミックコンタクト接合部を形成せずに、除去されずに半導体積層部10に接する透明誘電体層108の領域に分散状にオーミックコンタクト接合部109を形成すればよい。透明誘電体層108に分散状に配置されるオーミックコンタクト接合部109は、櫛歯状の形状に限られず、例えば、線状あるいはドット状等のオーミックコンタクト接合部が透明誘電体層108全面に点在し、且つ第一電極111とは上下に重ならないように配置してもよい。また、線状、ドット状等の各オーミックコンタクト接合部が互いに分離されていてもよい。
【0049】
[LEDランプ]
上記第1、第2の実施の形態で得られたSi支持基板201を薄化したウェハをダイシング装置で切断して、所定のサイズのベアチップを作製し、このベアチップをTO−18ステム上にマウントし、ワイヤーボンディングした後に樹脂封止することで、LEDランプを作製することができる。上記第1、第2の実施の形態の発光素子(ベアチップ)では、Si等の支持基板201の薄化が容易であり、基板厚さが120μm以下のGaN系発光素子と同等の薄型化されたAlGaInP系およびAlGaAs系の発光素子を歩留まりよく製造できる。
【0050】
従って、上記第1または第2の実施の形態で得られた発光素子(ベアチップ)と、発光波長の異なる(AlGa1−xIn1−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1)からなる活性層を有するIII族窒化物半導体発光素子(ベアチップ)とを同一パッケージ
の載置面上に発光素子の高さをほぼ揃えて実装すれば、薄型の白色LEDランプや多色発光LEDランプを得ることができる。白色LEDランプを作製する場合、例えば、上記第1または第2の実施の形態で得られたAlGaInP系の赤色発光素子と、青色と緑色のGaN系の発光素子とを同一パッケージに実装すればよい。
【0051】
従来、機械的強度の高いサファイア基板上で結晶成長させるGaN系の発光素子と比べ、AlGaInP系やAlGaAs系の発光素子はチップの小型化・薄型化が困難であった。このため、上述のように三原色の組み合わせによる白色LEDランプを小型化する場合においては、AlGaInP系やAlGaAs系の発光素子のチップ高さがネックとなっていた。しかし、上記実施の形態によれば、AlGaInP系やAlGaAs系の発光素子の薄型化を実現でき、GaN系の発光素子に匹敵するチップ高さが得られるので、小
型・薄型の白色LEDランプに好適である。
【実施例】
【0052】
以下に、本発明の具体的な実施例を説明する。
【0053】
[実施例1]
図1Aおよび図1Bに示す上記第1の実施の形態と同じ構成で、630nm付近の発光波長を持つ半導体発光素子を形成した。図1Bを用いて説明する。半導体積層部10は、光取り出し面側からSiドープのn型GaAsコンタクト層103と、Siドープのn型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層104と、アンドープ(Al0.1Ga0.90.5In0.5P活性層105と、Mgドープのp型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pクラッド層106と、Mgドープのp型GaPコンタクト層107という構成である。光取り出し面側の第一電極111には、AuGe合金、Ti、Auの積層構造を用いた。第一電極111上の第一電極パッド113は、Ti、Auの積層構造とした。透明誘電体層108はSiOであり、オーミックコンタクト接合部109はAuZn合金の単一層構造である。オーミックコンタクト接合部109上の第二電極パッド114には、第一電極パッド113と同一の材料、Ti、Auの積層構造を用いた。透明誘電体層108を介して光取り出し面とは反対側に位置する金属反射層110は、Au接合層、Ti拡散防止バリア層,Al反射層からなる積層構造とした。半導体発光素子1の最下層には、Tiオーミックコンタクト金属層、Pt拡散防止バリア層、接合層Auの積層構造からなる金属密着層202を介して、Si支持基板201が貼り合わされている。このSi支持基板201は、貼り合わせ時の200μmのSi基板をバックラップ装置を用いて厚さ100μmまで研磨したものである。
【0054】
実施例1の発光素子ウェハのウェハ歩留まりは、98%(サンプル数n=100)であった。ここで、ウェハ歩留まり=(割れや欠けのない完成ウェハ枚数/投入ウェハ枚数)×100である。
【0055】
その後、発光素子構造が形成されたウェハをダイシングして200μm角のチップを作製し、このチップをT−18ステム上に実装し、更にワイヤボンディングを行ってLED素子を作製した。このLED素子の初期特性を評価したところ、20mA通電時の発光出力が7.20mW、順方向電圧が2.15Vであった。また、25℃の環境下で50mAを1000時間通電した後の特性変化をみると、発光出力が+2.0%、順方向電圧が+0.25%であった。
【0056】
[実施例2]
実施例1の変形例として、Si支持基板201の厚さを80μmまで研磨したものを作製した。その他の部材の材料、組成、組み合わせ等は、すべて実施例1と同様とした。実施例2の発光素子ウェハのウェハ歩留まりは、92%(サンプル数n=25)であった。
【0057】
[比較例1]
比較例1の発光素子3の構造を、図10Aおよび図10Bに示す。比較例1では、図10Aおよび図10Bに示すように、Si支持基板201を研磨した後に、裏面電極122をSi支持基板201裏面に形成する半導体発光素子3を作製した。ここでは、発光素子3の構造において実施例1、実施例2とは異なる点、および発光素子3の制作方法において第1の実施の形態とは異なる点について説明を行なう。
【0058】
図10Aは半導体発光素子3を光取り出し面側からみた平面図であり、図10Bは図10AのG−G断面図である。実施例1、実施例2との大まかな構造上の相違点は、表面電極121、表面電極パッド123、裏面電極122およびオーミックコンタクト接合部1
29の形状と配置が異なる点である。すなわち発光素子3において、n型コンタクト層103、表面電極121および表面電極パッド123は概略正方形に成形され、素子間分離された半導体積層部10の光取り出し面のほぼ中央に位置する。そして裏面電極122は、Si支持基板201裏面の全体に設けられている。また、オーミックコンタクト接合部129は、素子間分離された半導体積層部10の周縁部近傍に、光取り出し面側からみて表面電極121、表面電極パッド123を取り巻くように枠状に形成されている。
【0059】
このような構造を持つ発光素子3の製作において、素子間分離までは第1の実施の形態で述べた製作工程と同様の工程を経た。素子間分離終了後、図11Bに示すように、バックラップ装置にて厚さ200μmのSi支持基板201を厚さ80μまで研磨した。そしてSi支持基板201の研磨面に、AuGe合金と、Ti、Auを順次積層していき裏面電極122を形成した。続いて、表面電極121、裏面電極122、オーミックコンタクト接合部129を合金化するため、アロイ工程を用いて、窒素ガス雰囲気中にてウェハを400℃に加熱し、5分間熱処理を行なった。最後にTi、Auを積層して、表面電極121上に表面電極パッド123を形成した。
【0060】
以上の比較例1の発光素子ウェハのウェハ歩留まりは、10%(サンプル数n=20)であった。特に、不良となったウェハのうち88%は、Si支持基板201研磨後の表面電極パッド形成に伴うフォトリソグラフィーや蒸着等の工程において割れが発生した。また、工程内の製造条件を種々に変更したが、歩留まりを高めることができなかった。
【符号の説明】
【0061】
1 第1の実施の形態に係る半導体発光素子
2 第2の実施の形態に係る半導体発光素子
3 比較例1に係る半導体発光素子
10 半導体積層部
101 GaAs基板
102 アンドープエッチストップ層
103 n型コンタクト層(第一コンタクト層)
104 n型クラッド層(第一クラッド層)
105 活性層
106 p型クラッド層(第二クラッド層)
107 p型コンタクト層(第二コンタクト層)
108 透明誘電体層
109 オーミックコンタクト接合部
110 金属反射層
111 第一電極(上部表面電極)
112 第二電極(下部表面電極)
113 第一電極パッド
114 第二電極パッド
201 Si支持基板
202 金属密着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の導電型の第一クラッド層、(AlGa1−xIn1−yP(ただし、0≦x≦1、0.4≦y≦0.6)またはAlGa1−xAs(ただし、0≦x≦1)からなる活性層、前記第一クラッド層とは異なる第二の導電型の第二クラッド層を有する、発光波長が560nm以上1000nm以下の発光構造体を含む半導体積層部と、
前記半導体積層部の第一の面側を光取り出し面とし、前記半導体積層部の第二の面側に形成され、前記活性層からの光を前記第一の面側へと反射させる金属反射層と、
前記半導体積層部に前記金属反射層を介して結合された支持基板と、
前記半導体積層部と前記金属反射層とに挟まれる透明誘電体層と、
前記透明誘電体層を貫通して前記透明誘電体層の一部分に配置され、前記半導体積層部にオーミックコンタクト接合するオーミックコンタクト接合部と、
前記半導体積層部の第一の面側に形成された第一電極と、
前記金属反射層に対して前記第一電極と同一面側に、前記半導体積層部と非接触に形成され、前記オーミックコンタクト接合部に電気的に接続する第二電極と、を備え、
前記支持基板は厚さ60μm以上120μm以下である
ことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体発光素子において、前記第二電極が、前記半導体積層部の一部が除去されて露出した前記オーミックコンタクト接合部の部分、または前記半導体積層部及び透明誘電体層の一部が除去されて露出した前記金属反射層の部分であることを特徴とする半導体発光素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体発光素子において、前記第一電極は、前記半導体積層部の第一の面側の一部分に分散状に配置され、前記オーミックコンタクト接合部は、前記光取り出し面側からみて前記第一電極の直下から外れる位置に分散状に配置されていることを特徴とする半導体発光素子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の半導体発光素子において、前記透明誘電体層が、SiOまたはSiNからなることを特徴とする半導体発光素子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の半導体発光素子において、前記支持基板が、Si基板、Ge基板、GaAs基板、GaP基板のいずれかであることを特徴とする半導体発光素子。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の半導体発光素子を実装して作製されるLEDランプにおいて、前記半導体発光素子は、(AlGa1−xIn1−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1)からなる活性層を有するIII族窒化物半導体発光素子と同一のパッケ
ージに、前記III族窒化物半導体発光素子に高さを合わせて実装されていることを特徴と
するLEDランプ。
【請求項7】
GaAs基板上に、第一の導電型の第一クラッド層、(AlGa1−xIn1−yP(ただし、0≦x≦1、0.4≦y≦0.6)またはAlGa1−xAs(ただし、0≦x≦1)からなる活性層、前記第一クラッド層とは異なる第二の導電型の第二クラッド層を有する、発光波長が560nm以上1000nm以下の発光構造体を含む半導体積層部を形成する工程と、
前記半導体積層部の第一の面側を光取り出し面とし、前記半導体積層部の第二の面側に透明誘電体層を形成する工程と、
前記透明誘電体層の一部分に貫通して形成された開口に、前記半導体積層部にオーミックコンタクト接合するオーミックコンタクト接合部を形成する工程と、
前記半導体積層部の第二の面側に、前記透明誘電体層を挟んで金属反射層を形成する工程と、
前記GaAs基板の前記金属反射層に、120μmを超える厚さの支持基板を貼り合わせて、貼り合わせ基板を形成する工程と、
前記貼り合わせ基板から前記GaAs基板を除去する工程と、
前記半導体積層部の第一の面側に第一電極を形成する工程と、
前記金属反射層に対して前記第一電極と同一面側に、前記半導体積層部と非接触に、前記オーミックコンタクト接合部に電気的に接続する第二電極を形成する工程と、
前記第一電極を形成する工程と前記第二電極を形成する工程が終了した後、前記支持基板を、貼り合わせ面とは反対側の面から、厚さ60μm以上120μm以下に薄化する工程と
を有する半導体発光素子の製造方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate