説明

半導体発光素子

【課題】簡便な構成でファブリ・ペローモードのレーザ発振を抑制して発光効率を向上させることができる半導体発光素子を提供する。
【解決手段】基板101の上方に形成された発光層(活性層104)と、発光層が発する光を出射する光出射端面130aとを有する半導体層積層体を備える半導体発光素子であって、発光層が発する光を閉じ込め導波する光導波路124と、光導波路124の光出射端面側の端面である光導波路端面124aと光出射端面130aとの間の領域であって、光導波路端面124aから光出射端面130aまでにおいて光導波路124からの光を基板101の主面と水平方向には実質的に光を閉じ込めずに通過させる領域である分離領域127Aとを備え、光導波路端面124aは、光出射端面130aに対して傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子に関し、特に青紫色から赤色までの可視光領域の発光を伴うスーパールミネッセントダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
光干渉断層画像(Optical Coherence Tomography:OCT)システムなどの医療用機器の光源のほか、近年では、プロジェクターなどの画像表示デバイス用の光源として、高指向性および低可干渉性を併せ持つスーパールミネッセントダイオード(SLD:Super Luminescent Diode)などの半導体発光素子が開発されている。
【0003】
SLDは、半導体レーザ(LD:Laser Diode)と同様に光導波路を用いた半導体発光素子であり、注入キャリアの再結合により生じた自然放出光が、光出射端面方向に進む間に誘導放出による高い利得を受けて増幅され、光出射端面から放出される。
【0004】
また、SLDは、LDと異なり、端面反射による光共振器の形成を抑え、ファブリ・ペローモードによるレーザ発振が生じないように構成されている。そのため、SLDでは、光出射端面を例えば導波路に対して傾斜させた構造とし、これによりモード反射率を低減させてレーザ発振を抑制している。このようなSLDは、通常の発光ダイオードと同様にインコヒーレントで広帯域なスペクトル形状を示すと共に、狭放射角の光出射を得ることが可能である。
【0005】
一方、窒化物半導体を用いた半導体発光素子は、例えば発光ダイオードなどのように、紫外から緑までの可視光領域の光を出射する発光素子として実現されている。近年、この窒化物半導体を用いたSLDも提案されている。
【0006】
このようなSLDにおいては、出射光をインコヒーレントにするために、光出射端面の反射率を低減させる技術が重要になる。以下、特許文献1および特許文献2に記載されている従来技術について、図24および図25を用いて詳細に説明する。
【0007】
図24は、特許文献1に開示された第1の従来例に係る半導体レーザ増幅器の斜視図である。また、図25は、非特許文献1に開示された第2の従来例に係る半導体発光素子の斜視図である。
【0008】
図24に示すように、第1の従来例に係る半導体レーザ増幅器1000は、ファブリ・ペローモードを抑制する技術に関するものであり、GaInAsPなどからなる半導体本体1016の半導体領域1015に導波路1012が形成され、ファセット1017および1018の面に対して導波路1012が斜めに接続されている。さらに、ファセット1017および1018には、バンドギャップが半導体本体1016よりも広い材料で構成された終端キャップ部1010および1011が設けられており、これにより入射端面1013と出射端面1014とが構成されている。
【0009】
この構成により、入射端面1013から導波路1012に入射した光は、半導体領域1015で増幅された後、外部へ出射する際に、ファセット1018で屈折した後に、表面1019から外部に出射される。このとき、光の一部は表面1019にて反射するが、導波路1012とファセット1018とが斜めに接続されているので、終端キャップ部1011の厚み分、反射光は表面1019に対して斜め方向に伝搬する。これにより、反射光は、導波路1012にほとんど戻らないので、光出力の強い光が導波路1012に入射したとしても、導波路1012内部において光がファブリ・ペローモードにて共振しにくくなっている。
【0010】
一方、図25に示される第2の従来例に係る半導体発光素子2000は、窒化物半導体を用いたSLDであり、GaN基板2001上に、AlGaN/GaNの超格子からなる第1クラッド層2002、SiドープのGaNからなる第1ガイド層2003、InGaNからなる多重量子井戸層2004、AlGaNからなるバリア層2006、MgドープのGaNからなる第2ガイド層2005、および、MgドープのAlGaNからなる第2クラッド層2007が順次積層して成膜されたものである。
【0011】
さらに、第2クラッド層2007がエッチングされることにより、ストライプ状のリッジ部(光導波路)が形成されている。第2クラッド層2007のリッジ部の表面には、SiOからなる絶縁層2010を介してp側コンタクト電極層2008が形成されている。一方、GaN基板2001の反対側の面には、n側コンタクト電極層2011が形成されている。
【0012】
p側コンタクト電極層2008とn側コンタクト電極層2011とに電圧が印加されることによってキャリアが注入される。多重量子井戸層2004に注入されたキャリアは光に変換され、光導波路により増幅されて光出射端面から出射される。
【0013】
このとき、光出射端面には、反射率を低減させるために、斜めファセット面2012が形成されている。この構成により、導波路で増幅された光はファブリ・ペローモードでのレーザ発振をせずに外部へ出射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平3−030488号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Appl. Phys. Lett. 081107 (95) 2009.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
近年開発されている窒化物半導体からなるSLDでは、発光波長が400nm〜550nmとなっており、可視光領域での波長が短くなっている。このようなSLDにおいて、高光出力動作時におけるファブリ・ペローモードのレーザ発振を抑制するためには、光出射端面近傍の構造をより精密に作製し、光出射端面の反射率を低くする必要がある。
【0017】
具体的には、図25に示す第2の従来例に係る半導体発光素子2000のように導波路が光出射端面に対して傾斜する構造では、反射率を低減させるために光出射端面の平坦度を高くする必要があり、光出射端面を作製するときに生じる光出射端面の微小な凹凸をナノオーダーのスケール以下にまで低減させる必要がある。
【0018】
さらに、図24に示す第1の従来例のように光出射部に終端キャップ部1011を設ける場合には、終端キャップ部1011における上記効果を有効とするために、終端キャップ部1011での光吸収を低減させ、かつ終端キャップ部1011の厚みをミクロンオーダーまで厚くする必要がある。
【0019】
しかしながら、光出射端面の微小な凹凸をナノオーダーのスケール以下にまで低減することは容易ではない。また、終端キャップの厚みをミクロンオーダーにまで厚くして、なおかつ光吸収を低減させることは容易ではない。
【0020】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、簡便な構成でファブリ・ペローモードのレーザ発振を抑制して発光効率を向上させることができる半導体発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、本発明に係る半導体発光素子の一態様は、基板の上方に形成された発光層と、前記発光層が発する光を出射する光出射端面とを有する半導体層積層体を備える半導体発光素子であって、前記発光層が発する光を閉じ込め導波する光導波路と、前記光導波路の前記光出射端面側の端面である光導波路端面と前記光出射端面との間の領域であって、前記光導波路端面から前記光出射端面までにおいて前記光導波路からの光を前記基板の主面と水平方向には実質的に閉じ込めずに通過させる領域である分離領域とを備え、前記光導波路端面は、前記光出射端面に対して傾斜しているものである。
【0022】
本態様によれば、分離領域を備えているので、光導波路端面から出射した光は、光導波路に対して傾斜した光出射端面まで伝搬して光出射端面から外部に放射される一方、光出射端面において反射した光の大部分は光導波路に戻らない。これにより、ファブリ・ペローモードのレーザ発振を抑制することができるので、発光効率を向上させることができる。
【0023】
さらに、本発明に係る半導体発光素子の一態様において、前記光導波路と前記分離領域とは同一の前記半導体層積層体で形成されることが好ましい。
【0024】
これにより、光導波路端面から出射した光を、光出射端面においてロスすることなく伝搬させることができる。このため、半導体発光素子の発光効率を向上させることができる。
【0025】
さらに、本発明に係る半導体発光素子の一態様において、前記光導波路端面と前記光出射端面との距離が、1μm以上であることが好ましい。
【0026】
これにより、ファブリ・ペローモードのレーザ発振を抑制することができ、半導体発光素子の発光効率を向上させることができる。
【0027】
さらに、本発明に係る半導体発光素子の一態様において、前記光導波路の上方に形成されたコンタクト電極を備え、前記コンタクト電極の前記光出射端面側の端部が、前記光導波路端面と前記光出射端面との間にまで延設されることが好ましい。
【0028】
これにより、光導波路端面から出射した光を、光出射端面までの間において小さなロスで伝搬させることができる。このため、半導体発光素子の発光効率を向上させることができる。
【0029】
さらに、本発明に係る半導体発光素子の一態様において、前記光導波路端面と前記光出射端面との間に形成された前記コンタクト電極の幅の一部または全部は、前記光導波路の上方に形成された前記コンタクト電極の幅よりも広いことが好ましい。
【0030】
これにより、光導波路端面から出射した光を、光出射端面までの間において小さなロスで伝搬させることができる。このため、半導体発光素子の発光効率を向上させることができる。
【0031】
さらに、本発明に係る半導体発光素子の一態様において、前記導波路端面と前記光出射端面との間に形成された前記コンタクト電極の幅が、前記光導波路端面から前記光出射端面に向かうに従って漸次拡がることが好ましい。
【0032】
これにより、光導波路端面から出射した光は、光出射端面までの間におけるロスをさらに抑制することができる。
【0033】
さらに、本発明に係る半導体発光素子の一態様において、前記光出射端面が劈開面であることが好ましい。
【0034】
これにより、半導体発光素子の光出射端面を容易に作製することができる。
【0035】
さらに、本発明に係る半導体発光素子の一態様において、前記半導体層積層体を切り欠くように形成された段差溝を備え、前記光出射端面は、前記段差溝の内側面であることが好ましい。
【0036】
これにより、半導体発光素子の光出射端面を容易に作製することができる。
【0037】
さらに、本発明に係る半導体発光素子の一態様において、前記段差溝は、エッチングにより形成されることが好ましい。
【0038】
これにより、半導体発光素子の光出射端面を容易に作製することができる。
【0039】
さらに、本発明に係る半導体発光素子の一態様において、前記分離領域もしくはその近傍領域において、基板上に形成された基板段差部を備えることが好ましい。
【0040】
これにより、分離領域における発光層のバンドギャップを広くすることができるので、光導波路端面から出射した光は、光出射端面までの間において小さなロスで伝搬させることができる。このため、半導体発光素子の発光効率を向上させることができる。
【0041】
さらに、本発明に係る半導体発光素子の一態様において、前記分離領域の一部または全部は、前記光導波路からの光を実質的に吸収させずに透過させる領域であることが好ましい。
【発明の効果】
【0042】
本発明に係る半導体発光素子によれば、半導体発光素子の発光効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の上面図である。
【図2A】図1のA−A’線における本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の断面図である。
【図2B】図1のB−B’線における本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の断面図である。
【図2C】図1のC−C’線における本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の前端面近傍部分における部分拡大図である。
【図4A】分離領域がない比較例1に係るSLDにおける光出射端面(ナノオーダーの凹凸なし)近傍の構成を示す図である。
【図4B】分離領域がない比較例2に係るSLDにおける光出射端面(ナノオーダーの凹凸あり)近傍の構成を示す図である。
【図4C】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子における光出射端面近傍の構成を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子における分離領域の距離Lを計算するための模式図である。
【図6】比較例1に係るSLDと本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子とにおける反射率の端面角度依存性を説明するための図である。
【図7A】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法における凹部および段差溝を形成する工程を説明するための図である。
【図7B】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法におけるブロック層およびp側コンタクト電極を形成する工程を説明するための図である。
【図7C】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法における第1の分割工程を説明するための図である。
【図7D】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法における第2の分割工程を説明するための図である。
【図8A】比較例2に係るSLDにおける、電流−光出力特性および電流−スロープ効率特性を示す図である。
【図8B】本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子における電流−光出力特性および電流−スロープ効率特性を示す図である。
【図9A】本発明の第2の実施形態に係る半導体発光素子の上面図である。
【図9B】図9AのB−B’線における同半導体発光素子の断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る半導体発光素子の前端面近傍部分における部分拡大図である。
【図11A】光導波路端面と光出射端面とが同一平面にある場合における半導体発光素子(図4Aおよび図4Bに示す比較例1、2に係るSLD)の部分拡大図である。
【図11B】光導波路端面と光出射端面とが分離領域によって分離されている場合における半導体発光素子(本発明1)の部分拡大図である。
【図11C】光導波路端面と光出射端面とが分離領域によって分離されており、かつ、p側コンタクト電極のコンタクト電極端面が光導波路端面よりも光出射端面側にずれた位置にある場合における半導体発光素子(本発明2)の部分拡大図である。
【図12】図11A、図11Bおよび図11Cに示す各半導体発光素子における分離領域の分離領域と分離距離とスロープ効率(光出力50mW時)との関係を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施形態の変形例1に係る半導体発光素子の光出射端面近傍の部分拡大図である。
【図14】本発明の第2の実施形態の変形例2に係る半導体発光素子の光出射端面近傍の部分拡大図である。
【図15A】本発明の第3の実施形態に係る半導体発光素子の上面図である。
【図15B】図15AのB−B’線における本発明の第3の実施形態に係る半導体発光素子の断面図である。
【図16】本発明の第3の実施形態に係る半導体発光素子の前端面近傍部分における部分拡大図である。
【図17】本発明の第3の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を説明するための図である。
【図18】本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子の上面図である。
【図19A】図18のA−A’線における本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子の断面図である。
【図19B】図18のB−B’線における本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子の断面図である。
【図20】本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子の前端面近傍部分における部分拡大図である。
【図21】本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を説明するための模式図である。
【図22】本発明の第4の実施形態の変形例に係る半導体発光素子の前端面近傍部分における部分拡大図である。
【図23A】本発明の第5の実施形態に係る半導体発光素子の上面図である。
【図23B】図23AのA−A’線における本発明の第5の実施形態に係る半導体発光素子の断面図である。
【図23C】図23BのB−B’線における本発明の第5の実施形態に係る半導体発光素子の断面図である。
【図24】特許文献1に開示された第1の従来例に係る半導体レーザ増幅器の斜視図である。
【図25】非特許文献1に開示された第2の従来例に係る半導体発光素子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施形態は一例であって、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0045】
また、各図において、c、a、mは、それぞれ六方晶GaN系結晶の面方位を示している。ここで、cは、面方位が(0001)面の法線ベクトル、すなわちc軸を表し、aは、面方位が(11−20)面とその等価面の法線ベクトル、すなわちa軸を表し、mは、面方位が(1−100)面とその等価面の法線ベクトル、すなわちm軸を表している。また、本明細書においては、面方位におけるミラー指数に付した負符号“−”は、該負符号に続く一の指数の反転を便宜的に表している。
【0046】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子100の構成について、図1、図2A、図2Bおよび図2Cを用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子100の上面図である。図2Aは、図1のA−A’線における同半導体発光素子の断面図であり、図2Bは、B−B’線における同半導体発光素子の断面図であり、図2Cは、C−C’線における同半導体発光素子の断面図である。
【0047】
本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子100は、n型半導体層、発光層およびp型半導体層を含み、窒化物半導体からなる半導体層積層体を備えるSLDであって、図1に示すように、当該半導体層積層体は、発光層が発する光が素子外部に出射される側の素子端面である前端面140aおよび素子内部を導光する光を反射する素子端面である後端面140bを有する。後端面140bには、例えば、SiO/ZrOなどの誘電体多層膜からなる高反射率層150が積層されている。
【0048】
図2A〜図2Cに示すように、本実施形態に係る半導体発光素子100は、n型GaN基板やn型SiC基板からなる基板101上に、例えばSiがドープされたn型AlGaNからなるn型クラッド層102(第1クラッド層)、例えばSiがドープされたn型GaNからなるn型光ガイド層103(第1光ガイド層)、例えばInGaNの量子井戸層とGaNの量子障壁層とが交互に積層された多重量子井戸構造の活性層(発光層)104、例えばMgがドープされたp型GaNからなるp型光ガイド層105(第2光ガイド層)、例えばMgがドープされたAl組成比が高いp型AlGaNからなる電子バリア層106、および、Mgがドープされたp型AlGaNからなるp型クラッド層107(第2クラッド層)が順次積層されたものである。
【0049】
図2Aに示すように、p型クラッド層107の表面には2つ凹部125が形成されており、2つの凹部125に挟まれるようにして、所定のリッジ幅(ストライプ幅)を有する凸状のリッジ部107aとして形成されている。リッジ部107aは、リッジ部107aの凸構造によって屈折率分布を与えて発光層104が発する光を導波させる屈折率導波型の光導波路124であって、図1に示すように、平面視においてストライプ状に形成されている。
【0050】
なお、図1および図2Aに示すように、凹部125が形成される領域を凹部領域125aおよび125bとし、凹部領域125aと凹部領域125bの間の領域であって光導波路124が形成される領域を光導波路領域124Aとする。また、リッジ幅方向における光導波路領域124Aおよび凹部領域125a、125b以外の領域を台座領域126aおよび126bとする。
【0051】
図2Aに示すように、p型クラッド層107の表面は、リッジ部107aの上に開口を有するように形成された絶縁膜からなるブロック層109によって覆われている。例えばSiOなどの絶縁材料で構成されたブロック層109によってリッジ部107a(光導波路124)の頂部以外が覆われる。
【0052】
また、リッジ部107a上の開口には、例えばPd/Ptの多層金属膜からなるp側コンタクト電極108が形成され、リッジ部107aにおいてp型クラッド層107とp側コンタクト電極108とが電気的に接続される。
【0053】
さらに、p側コンタクト電極108およびブロック層109上には配線電極110が形成される。一方、基板101の裏面には、例えばTi/Pt/Auなどの多層金属膜からなるn側コンタクト電極111が形成される。
【0054】
また、図1および図2Cに示すように、前端面140aの近傍にはエッチングによって段差溝130が形成されており、段差溝130の内側面によって、発光層104が発する光を素子外部に出射する端面である光出射端面130aが構成されている。光出射端面130aは、光導波路124を伝搬する光を素子外部に放射させるように構成された極低反射面であって、前端面140aに対して所定の角度をなすように形成されている。
【0055】
さらに、光出射端面130aは、光導波路124における光出射端面130a側(前端面140a側)の端面である光導波路端面124aに対して傾斜するように構成されており、光出射端面130aの法線は光導波路124の延長軸(ストライプ方向軸)に対して一定の角度で傾斜している。
【0056】
段差溝130は、p型クラッド層107から少なくともn型クラッド層102にいたるまでの深さで形成されたエッチング端面溝である。また、図2Cに示すように、エッチングによって露出する段差溝130の表面は、ブロック層109によって覆われる。なお、段差溝130が形成される領域を段差溝領域130Aとする。
【0057】
さらに、本実施形態に係る半導体発光素子100は、図1、図2Bおよび図2Cに示すように、前端面140a側にはリッジ部107aが形成されていない領域が設けられている。すなわち、本実施形態に係る半導体発光素子100は、図1に示すように、光導波路124の光導波路端面124a(不図示)と光出射端面130aとの間の領域である分離領域127Aを有する。分離領域127Aは、光導波路124の光導波路端面124aと光出射端面130aとを所定の距離だけ離間させることによって、光導波路124の光導波路端面124aと光出射端面130aとを分離している。分離領域127Aでは、光導波路端面124aから光出射端面130aまでの間において、光導波路124から光出射端面130aに進行する光は横方向(基板の主面に対して水平な方向)の実質的な光閉じ込めがない分離領域127Aを伝搬する。このような分離領域127Aは、例えば分離領域127Aの一部または全部が光導波路124からの光を実質的に吸収させずに透過させる領域となるように構成されている。なお、図1および図2A〜図2Cに示すように、本実施形態では、光導波路領域124Aと分離領域127Aとは同一の半導体層積層体、すなわち、同一の半導体材料からなる積層体で構成されている。
【0058】
以下、本実施形態に係る半導体発光素子100の前方部(前端面140a近傍)の詳細な構造について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の前端面近傍部分における部分拡大図である。
【0059】
図3に示すように、光導波路124の光導波路端面124aは、段差溝130の側壁である光出射端面130aと、所定の距離だけ離れている。分離領域127Aは、凹部125が形成されていない領域、すなわち、本実施形態では光導波路124(リッジ部107a)が形成されていない領域である。また、光導波路124にキャリアを注入するためのp側コンタクト電極108の光出射端面130a側(前端面140a側)の端面であるコンタクト電極端面108aも光導波路端面124aと同様に光出射端面130aと所定の距離だけ離れた構成となっている。
【0060】
次に、本実施形態に係る半導体発光素子100の動作について、図4A、図4Bおよび図4Cを用いて説明する。図4Aは、分離領域がない比較例1に係るSLDにおける光出射端面(ナノオーダーの凹凸なし)近傍の構成を示す図である。図4Bは、分離領域がない比較例2に係るSLDにおける光出射端面(ナノオーダーの凹凸あり)近傍の構成を示す図である。図4Cは、本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子における光出射端面近傍の構成を示す図である。
【0061】
図4Aに示すように、比較例1に係るSLDの場合、光導波路124を伝搬する伝搬光170が光導波路124から出射する場合、伝搬光170は光出射端面130aで反射されるが、光導波路124のストライプ方向と光出射端面130aとは所定の角度を有するため、反射光171のほとんどは光導波路124には戻らない。このため、理論計算上は、ファブリ・ペローモードでのレーザ発振が発生しない程度まで光導波路へ戻る光の割合(モード反射率)を下げることが可能である。
【0062】
しかしながら、実際に作製したSLDでは、図4Bに示すように、光出射端面130aにはナノオーダーの微小な凹凸が存在しているため、伝搬光170は、光出射端面130aで反射する光(反射光171)と、微小な凹凸により散乱された光(散乱光172、173)とになる。これにより、伝搬光170の一部の光(散乱光173)は光導波路124にフィードバックすることになるので、比較例1のような理想的な端面を持つSLDと異なり、モード反射率が上がってしまい、ファブリ・ペローモードでのレーザ発振を起こしやすくなってしまう。特に高出力動作時において半導体発光素子の光出力が高くなると、ファブリ・ペローモードのレーザ発振が生じやすい。
【0063】
一方、図4Cに示すように、本実施形態に係る半導体発光素子100では、光導波路端面124aと光出射端面130aとの間に分離領域127Aが設けられているので、光出射端面130aに微小な凹凸が存在していたとしても、光導波路124のない分離領域127Aによって、当該微小な凹凸で散乱された散乱光172および173を光導波路124に戻らないようにすることができる。
【0064】
ここで、図5を用いて、分離領域127Aの距離Lの好ましい範囲について説明する。図5は、本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子における分離領域の距離Lを計算するための模式図である。なお、図5では、光導波路124から出射した光がまっすぐに伝搬して光出射端面130aで反射した場合において光導波路に戻る光を計算している。
【0065】
図5において、光導波路124の幅をWとし、分離領域127Aの距離(長さ)をLとし、光出射端面130aの傾斜角度をθとすると、L>W/tan(2θ)の条件を満たすように反射した反射光171は光導波路124に戻らない。例えば、W=1.5μm、θ=10°とした場合、L>約4.1μmであることがわかる。この場合、散乱光の方向はこの反射光を中心に分布するため、散乱光を効果的に光導波路124の外に逃がすためには、分離領域127Aの距離Lは、4.1μmよりも十分に大きい距離とすることが望ましい。
【0066】
なお、光導波路端面124aと光出射端面130aとの距離は少なくとも1μm以上とすることが好ましい。これにより、光導波路端面124aから出射した光は、光出射端面130aから外部に放射される一方、光出射端面130aにおいて反射した光の大部分は光導波路124に戻らない。これにより、ファブリ・ペローモードのレーザ発振を抑制することができるので、半導体発光素子の発光効率を向上させることができる。
【0067】
次に、図4Aに示す比較例1に係るSLDと図4Cに示す本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子100とにおける反射率の端面角度依存性について、図6を用いて説明する。図6は、比較例1に係るSLDと本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子とにおける反射率の端面角度依存性を説明するための図である。
【0068】
図6において、「比較例1A」として図示された点線の曲線は、図4Aに示す比較例1に係るSLDにおいて波長が長い場合における反射率の端面角度依存性を表している。ここで、波長が長いもしくは短いとは、概ね波長が500nm〜1μm以上もしくはそれ以下であるかによって区別され、波長の長さと、光出射端面130aの微小な凹凸との大小関係によって効果が決定されるものである。また、「比較例1B」として図示された一点鎖線の曲線は、図4Aに示す比較例1に係るSLDにおいて波長が短い場合における反射率の端面角度依存性を表している。また、「本発明1」として図示された実線の曲線は、図4Cに示す本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の場合における反射率の端面角度依存性を表している。なお、図6において、「平面波」として破線で示された曲線は、平面波の反射率の角度依存性を表している。また、「比較例1A」、「比較例1B」および「本発明1」では、導波のモードを考慮している。
【0069】
図6に示すように、本実施形態のように分離領域127Aを設けることによって、反射率を低減できることが分かる。このように、本実施形態では、光出射端面130aにおける実効的な反射率を低減することができるので、ファブリ・ペローモードのレーザ発振を抑制することができる。
【0070】
なお、図示しないが、上述の図4Bのように、ドライエッチング等の加工により光出射端面に微小な凹凸が形成されたSLDにおいては、光導波路における反射率は波長が短いほど上昇する。
【0071】
次に、本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子100の製造方法について、図7A〜図7Dを用いて説明する。図7A〜図7Dは、本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法における各工程を説明するための図である。
【0072】
まず、例えばGaN基板からなる基板101上に、有機金属気相成長(Metalorganic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)法を用いて、図2A〜図2Cに示すような窒化物半導体層積層体からなる半導体積層膜を成膜する。
【0073】
最初に、図示しない例えばSiをドープしたGaN層の上に、例えばSiをドープしたAlGaNであるn型クラッド層102、連続して、例えばSiをドープしたGaNであるn型光ガイド層103、例えば量子井戸層がInGaNで障壁層がGaNである多重量子井戸構造の活性層104、例えばMgをドープしたGaNであるp型光ガイド層105、例えばMgをドープしたAlGaNであるp型クラッド層107を連続して成膜する。
【0074】
続いて図7Aに示すように、ウェハ190の表面の所定の位置に、凹部125および段差溝130を形成する。具体的には、ウェハ190の表面にSiO等のマスク材料を成膜したのち、その表面にレジストを用いて所定の位置に凹部125に対応したパターンのパターニングを行う。その後、例えばフッ素系ガスを用いてSiOを所定のパターニングを行う。その後、例えば塩素系ガスにより凹部125を形成する。続いて、エッチングに残ったSiOマスクをフッ酸などのエッチャントで除去した後に、再び、表面にSiO等のマスク材料を成膜し、同様にして段差溝130に対応するパターンを形成し、その後、塩素系のガスにより段差溝130を形成する。
【0075】
その後、エッチングに残ったSiOマスクをフッ酸などのエッチャントで除去した後に、図7Bに示すように、表面にSiO等の絶縁膜からなるブロック層109を全面に形成する。その後、光導波路124の上部の所定の位置にフォトレジストによるパターニングを行い、フッ酸などを用いたウェットエッチングにて、所定の位置のみのブロック層109を除去し、開口を形成する。連続して、開口に例えばPd/Ptからなるp側コンタクト電極108をリフトオフなどにより形成し、その後、例えば400℃程度のアニールを行うことで、p型クラッド層107と電気的にオーミック接続させる。
【0076】
続いて、図7Cに示すように、例えばTi/Pt/Auである配線電極110に対応したレジストパターンを形成し、再びリフトオフにより配線電極110をパターン形成する。その後、図示しないが、基板101の裏面を所定の厚みだけ研磨した後、裏面側に例えばTi/Pt/Auからなる金属膜を蒸着により成膜し、n側コンタクト電極111を形成する。その後、例えば、図7Cに示す第1の分割ライン161において劈開により分離した後、図7Dに示すように、例えば、素子の後端面140bにSiO/ZrOからなる誘電体多層膜をスパッタによって成膜することによって高反射率層150を形成する。その後、同図に示すように、第2の分割ライン162に沿ってレーザダイシングなどにより分割を行って素子分離することによって、半導体発光素子100を作製することができる。
【0077】
次に、以上の製造方法によって作製した半導体発光素子の特性について、図8Aおよび図8Bを用いて説明する。図8Aは、比較例2に係るSLDにおける、電流−光出力特性および電流−スロープ効率特性を示す図である。図8Bは、本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子(本発明1)における、電流−光出力特性および電流−スロープ効率特性を示す図である。
【0078】
図8Aおよび図8Bに示すように、本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子100は、比較例2に係るSLDと比べて、スロープ効率Se(W/A)が約40%増大しており、ファブリ・ペローモードでのレーザ発振が抑制されていることがわかる。この結果から、光出射端面に微小な凹凸が存在する半導体発光素子であっても、光導波路端面と光出射端面との間に分離領域127Aを設けることにより、発光効率および光出力が向上することがわかる。
【0079】
以上、本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子100によれば、分離領域127Aを設けることによってファブリ・ペローモードでのレーザ発振を抑制することができるので、発光効率および光出力を向上することができる。
【0080】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る半導体発光素子200の構成について、図9Aおよび図9Bを用い説明する。図9Aは、本発明の第2の実施形態に係る半導体発光素子の上面図であり、図9Bは、図9AのB−B’線における同半導体発光素子の断面図である。なお、図9Aおよび図9Bにおいて、図1および図2A〜図2Cに示す構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付して説明を省略し、本実施形態では第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0081】
図9Aおよび図9Bに示すように、本発明の第2の実施形態に係る半導体発光素子200では、第1の実施形態と同様に、凹部が形成された領域である凹部領域225aおよび225bと台座領域226aおよび226bとによって光導波路224が形成される。
【0082】
また、p型クラッド層107のリッジ部(光導波路224)の上には、ブロック層209の開口内にp側コンタクト電極208が形成されている。
【0083】
そして、本実施形態では、図9Aに示すように、p側コンタクト電極208の光出射端面130a側の端部が、光導波路224の光導波路端面224aと光出射端面130aとの間にまで延設されており、p側コンタクト電極208の光出射端面130a側の端面であるコンタクト電極端面208aは、光導波路224(リッジ部)を超えて、すなわち、凹部領域225aおよび225bが形成されていない領域に位置する。このように、本実施形態では、p側コンタクト電極208のコンタクト電極端面208aが、光出射端面130aから所定の距離だけ離れて位置するように、p側コンタクト電極208が形成されている。
【0084】
以下、本実施形態に係る半導体発光素子200の前端面140a近傍部分の詳細構成について、図10を用いて説明する。図10は、本実施形態に係る半導体発光素子の前端面近傍部分における部分拡大図である。
【0085】
図10に示すように、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、光導波路端面224aと光出射端面130aとの間には分離領域227Aが形成されている。
【0086】
但し、本実施形態では、コンタクト電極端面208aが分離領域227A内に形成されており、本実施形態における分離領域227Aは、第1の分離領域227A1と第2の分離領域227A2とで構成されている。第1の分離領域227A1は、光導波路224が形成されていない領域であって、かつ、p側コンタクト電極208が形成された領域である。また、第2の分離領域227A2は、p側コンタクト電極208および光導波路224のいずれも形成されない領域である。
【0087】
次に、本発明の第2の実施形態に係る半導体発光素子200の作用効果について、図11A〜図11Cおよび図12を用いて説明する。図11Aは、光導波路端面224aと光出射端面130aとが同一平面にある場合における半導体発光素子の部分拡大図であり、図4Aおよび図4Bに示す比較例1、2に係るSLD(比較例)に相当する。図11Bは、光導波路端面224aと光出射端面130aとが分離領域によって分離されている場合における半導体発光素子の部分拡大図であり、本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子(本発明1)に相当する。図11Cは、光導波路端面224aと光出射端面130aとが分離領域によって分離されており、かつ、p側コンタクト電極208のコンタクト電極端面208aが光導波路端面224aよりも光出射端面130a側にずれた位置にある場合における半導体発光素子の部分拡大図であり、本発明の第2の実施形態に係る半導体発光素子(本発明2)に相当する。また、図12は、図11A、図11Bおよび図11Cに示す各半導体発光素子における分離領域227Aの分離距離Dとスロープ効率(Se)との関係を示す図である。なお、図12におけるスロープ効率は光出力が50mW時におけるものである。
【0088】
図11Bに示す半導体発光素子は、図11Aに示す半導体発光素子に比べて、分離領域227Aにおいて光導波路224がなくなる(横方向の閉じ込めがなくなる)ので、光導波路224内へのモード反射率を下げることができる。しかしながら、この場合、分離領域227Aでは、電流注入がないために光吸収があり、分離領域227Aの分離距離D(長さ)が長くなりすぎると光吸収ロスが多くなり、効率が低下する。
【0089】
これに対して、図11Cに示すように、分離領域227Aの一部にまでp側コンタクト電極208を延伸して形成して電流注入を行うことにより、分離領域227Aにおけるp側コンタクト電極208が存在する領域である第1の分離領域227A1を利得導波型の光導波路とすることができる。これにより、分離領域227Aにおける光吸収ロスを低減することができるので、発光効率が低下することを防止することができる。
【0090】
具体的には、図12に示すように、図11Aに示す半導体発光素子(比較例)におけるスロープ効率は1.0[W/A]であったが、図11Bに示す第1の実施形態に係る半導体発光素子(本発明1)においては分離距離Dが5μmまではスロープ効率(Se)が増加する。しかし、本発明1において分離距離Dが5μm以上になると、スロープ効率が飽和して減少しはじめることがわかる。
【0091】
これに対して、図11Cに示す第2の実施形態に係る半導体発光素子(本発明2)においては、分離距離Dが20μmまでの範囲においてスロープ効率は単調に増加しており、比較例および本発明1に対して光吸収ロスが少なく発光効率を向上できることがわかる。
【0092】
なお、図12において、本発明2における第2の分離領域227A2の距離dは、3μmとした。
【0093】
(変形例1)
次に、本発明の第2の実施形態の変形例1に係る半導体発光素子201について、図13を用いて説明する。図13は、本発明の第2の実施形態の変形例1に係る半導体発光素子の光出射端面近傍の部分拡大図である。なお、本変形例において、図10に示す第2の実施形態と同じ構成要素については説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0094】
図13に示すように、本変形例に係る半導体発光素子201では、第2の実施形態と比べてp側コンタクト電極208がさらに延伸され、p側コンタクト電極208が光出射端面130aと接続されている。すなわち、p側コンタクト電極208が分離領域227Aの分離距離の分だけ延伸され、p側コンタクト電極208のコンタクト電極端面208aが光出射端面130aと一致している。
【0095】
次に、本変形例に係る半導体発光素子201の製造方法について、光出射端面付近を中心に説明する。なお、本変形例にける製造方法は、第2の実施形態とほとんど同じであるため異なる部分についてのみ説明する。
【0096】
本変形例において、光導波路224、p側コンタクト電極208および段差溝130については、段差溝130を形成した後に、p側コンタクト電極208を形成している。そして、p側コンタクト電極208を形成した後にSiO等のエッチングマスクを形成し、p側コンタクト電極208の一部を含む半導体層積層体の前端面140a近傍をエッチングして段差溝130を形成する。これにより、本変形例に係る半導体発光素子201を作製することができる。
【0097】
以上、本変形例に係る半導体発光素子201によれば、p側コンタクト電極208が光出射端面130aに接続されているので、光吸収ロスを完全になくすことができる。これにより、第2の実施形態と比べて、発光効率を一層向上させることができる。
【0098】
(変形例2)
次に、本発明の第2の実施形態の変形例2に係る半導体発光素子202について、図14を用いて説明する。図14は、本発明の第2の実施形態の変形例2に係る半導体発光素子の光出射端面近傍の部分拡大図である。なお、本変形例においても、図10に示す第2の実施形態と同じ構成については説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0099】
図14に示すように、本変形例に係る半導体発光素子202では、p側コンタクト電極208の電極幅が、光導波路領域224Aにおける第1電極幅208W1とコンタクト電極端面208aにおける第2電極幅208W2との2段構成となっている。すなわち、光導波路端面224aと光出射端面130aとの間である分離領域227Aにおけるp側コンタクト電極208の幅の一部または全部が、光導波路領域224Aにおけるp側コンタクト電極208の幅よりも広くなるように構成されている。
【0100】
さらに、本変形例では、分離領域227Aにおけるp側コンタクト電極208の電極幅が、光導波路端面224aからコンタクト電極端面208aに向かって漸次広がるように形成されている。すなわち、p側コンタクト電極208の電極幅が分離領域227Aにおいて徐々に増加するようにしてp側コンタクト電極208が形成されている。
【0101】
本変形例に係る半導体発光素子202によれば、光導波路224を伝搬する光の波面270は、光導波路端面224a以降の領域である分離領域227Aにおいて、光閉じ込め効果を受けなくなるので、p側コンタクト電極208の電極幅に従って緩やかに横方向に拡がって分離領域227Aを伝搬する。これにより、光吸収による伝搬ロスを低減させることができるため、半導体発光素子の光出力の高効率化が実現できる。
【0102】
なお、本変形例に係る半導体発光素子202は、第2の実施形態の変形例1と同様の製造方法によって作製することができる。
【0103】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る半導体発光素子300の構成について、図15Aおよび図15Bを用いて説明する。図15Aは、本発明の第3の実施形態に係る半導体発光素子の上面図であり、図15Bは、図15AのB−B’線における同半導体発光素子の断面図である。なお、図15Aおよび図15Bにおいて、図1および図2A〜図2Cに示す構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付して説明を省略し、本実施形態では第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0104】
図15Aおよび図15Bに示すように、本発明の第3の実施形態に係る半導体発光素子300では、光導波路324およびp側コンタクト電極308の中心線が、後端面140bに対しては垂直に接続され、前端面140aに対しては所定の角度をもって接続されており、光導波路324およびp側コンタクト電極308が途中に曲面を有するように曲がっている。
【0105】
本実施形態では、第1および第2の実施形態と同様に、凹部325(不図示)が形成された凹部領域325aおよび325bと台座領域326aおよび326bとによって光導波路324が形成される。なお、ブロック層309の開口は、p側コンタクト電極308の形状に従って曲線状に形成される。
【0106】
また、本実施形態では、前端面140a付近にも凹部領域325aおよび325bが形成される。前端面140a近傍の凹部領域325aおよび325bは、素子分離の際に、隣接する素子領域から延設された凹部領域325aおよび325bの残部として残る残部領域である。
【0107】
なお、本実施形態では、前端面140aに段差溝が形成されておらず、光出射端面130aと前端面140aとが一致する。
【0108】
以下、本実施形態に係る半導体発光素子300の前端面140a近傍部分の詳細構成について、図16を用いて説明する。図16は、本発明の第3の実施形態に係る半導体発光素子の前端面近傍部分における部分拡大図である。
【0109】
図16に示すように、本実施形態では、上述のとおり、光導波路324が途中で屈曲させることによって、光導波路端面324aが光出射端面130a(前端面140a)に対して傾斜している。
【0110】
また、本実施形態では、第2の実施形態と同様にp側コンタクト電極308が分離領域327Aにまで延伸されており、p側コンタクト電極308のコンタクト電極端面308aが光導波路324の光導波路端面324aと光出射端面130aとの間に位置する。これにより、光出射端面130aにおいて反射した光を分離し、かつ、光導波路324外において光が吸収されることを防止することができる。
【0111】
次に、本実施形態に係る半導体発光素子300の製造方法について、図17を用いて説明する。図17は、本発明の第3の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を説明するための図である。なお、本実施形態に係る半導体発光素子300の製造方法は、図7A〜図7Bに示す第1の実施形態における製造方法と同様であるので、異なる部分を中心に説明する。なお、図17において、説明を簡単にするために半導体発光素子300を横方向に3つ縦方向に2つ並べたものをウェハ390として示している。また、本実施形態において、基板101上の半導体積層構造は、第1の実施形態に係る半導体発光素子100の半導体積層構造と同様である。
【0112】
上記のウェハ390の表面に、例えばSiOなどの図示しないハードマスク材を基板上に形成し、レジストによるフォトリソグラフィおよび、フッ素系ガスを用いたドライエッチングにより、2つの凹部325に対応するハードマスクパターンを形成する。
【0113】
続いて、例えば、塩素系ガスを用いてドライエッチングすることによって2つの凹部325を形成する。続いて、エッチング時に残ったハードマスクを例えばフッ酸等により除去したのち、例えばSiOなどのブロック層309に相当する絶縁膜をウェハ390全面に形成する。
【0114】
続いて、p側コンタクト電極308に相当するレジストパターンをフォトリソグラフィにより形成し、フッ酸などのエッチャントによるウェットエッチングによりp側コンタクト電極308に相当する部分の絶縁膜を除去する。このとき、続いて、例えば、Pd/Ptの多層金属膜を成膜し、リフトオフにより、p側コンタクト電極308を形成する。続いて、例えばTi/Pt/Auなどの多層金属膜を、p側コンタクト電極308およびブロック層309上に成膜し、リフトオフもしくはエッチングによりパターニングすることにより配線電極110を形成する。これにより、図17に示すように、ウェハ390が作製される。
【0115】
続いて、壁開によりウェハ390を、第1の分割ライン361に沿って分離する。続いて、素子の後端面140bに例えばSiO/ZrOからなる誘電体多層膜をスパッタによって成膜することにより高反射率層150を形成する。続いて、第2の分割ライン362に沿ってレーザダイシングなどにより分割することにより、半導体発光素子300を作製することができる。
【0116】
以上、本発明の第3の実施形態に係る半導体発光素子300においても、ファブリ・ペローモードでのレーザ発振を抑制することができるので、発光効率を向上させることができる。
【0117】
また、本実施形態において、第1の分割ライン361での分割は劈開によって行っている。これにより、前端面140aを、ほぼ完全に凹凸のない端面とすることができる。この場合、素子分離領域は、端面の反射率をさらに低減する機能部として作用する。このため、従来よりも、前端面140a(光出射端面130a)に対する傾斜角度(端面角度)を小さくしても、十分に低い反射率を実現することができるので、光導波路324の屈曲部による導波ロスが少ない半導体発光素子を作製することができる。また、端面角度を従来程度にした場合には、極限まで反射率を下げることができ、より高出力まで、ファブリ・ペローモードでのレーザ発振を抑えて、SLD動作が可能になる。
【0118】
また、本実施形態において、光導波路324の屈曲部は導波損失をできるだけ小さく抑える構成とすることが好ましく、当該屈曲部の曲率半径は大きくとることが望ましい。例えば、波長が300〜550nm程度である窒化物半導体からなる半導体発光そしの場合、光導波路の屈曲部の曲率半径は500μm以上であることが好ましく、1000μm以上がより好ましい。
【0119】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子400の構成について、図18、図19Aおよび図19Bを用いて説明する。図18は、本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子400の上面図であり、図19Aは、図18のA−A’線における同半導体発光素子の断面図であり、図19Bは、図18のB−B’線における同半導体発光素子の断面図である。なお、図18、図19Aおよび図19Bにおいて、図1および図2A〜図2Cに示す構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付して説明を省略し、本実施形態では第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0120】
図18に示すように、本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子400では、光導波路424の両側に凹部(底部)425が形成されており、図1に示すような台座部は存在しない。さらに、凹部425の両外側には基板101までエッチングされたエッチング溝432が形成されている。なお、凹部425が形成される領域を凹部領域425aおよび425bとし、凹部領域425aと凹部領域425bの間の領域であって光導波路424が形成される領域を光導波路領域424Aとする。また、エッチング溝432が形成される領域をエッチング溝領域432aおよび432bとする。
【0121】
また、第1の実施形態と同様に、前端面140aの近傍には、エッチングによって段差溝430が形成されており、段差溝430の側壁は光出射端面430aとなっている。光出射端面430aの法線は、光導波路424の延長軸(ストライプ方向軸)に対して一定の角度で傾斜している。
【0122】
本実施形態では、後端面140bにも段差溝431が形成されており、段差溝430および431は同じエッチング工程によって同一溝として同時に形成される。なお、後端面140b側の段差溝431の内側面(光導波路424の後端面)には高反射率層150が形成されている。
【0123】
n側コンタクト電極411は、エッチング溝領域432bにおける基板101上に形成されており、半導体発光素子400の表面側に形成されている。
【0124】
以下、本実施形態に係る半導体発光素子400の前端面近傍の詳細な構造について、図20を用いて説明する。図20は、本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子の前端面近傍部分における部分拡大図である。
【0125】
図20に示すように、本実施形態に係る半導体発光素子400の光出射部分は、台座部のないリッジ構造のレーザであって、第2の実施形態における分離領域227Aと同等の効果を奏するような構造となっている。すなわち、分離領域427Aにおいて、光導波路424の幅が徐々に拡大されており、実効的な光導波路端面424aと光出射端面430aとが分離している。また、第1分離領域427A1は、p側コンタクト電極408が延伸されて形成された領域であり、第2分離領域427A2は、p側コンタクト電極408が形成されていない領域である。分離領域427Aにおいては、伝搬時の光の拡がり方よりも光導波路424の幅が急激に広がる形状とすることで、実効的に光閉じ込めのない状態とみなすことができる。また、分離領域427Aにおける導波路幅の変化は、角度として数度以上あれば十分である。
【0126】
以上、本発明に係る第4の実施形態に係る半導体発光素子400によれば、台座部のないリッジ構造レーザにおいても、実効的に光閉じ込めのない状態を実現することができるので、第2の実施形態と同様に、発光効率および光出力を向上させることができる。
【0127】
次に、本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子400の製造方法について、図18、図19Aおよび図19Bを参照しながら図21を用いて説明する。図21は、本発明の第4の実施形態に係る半導体発光素子400の製造方法を説明するための模式図である。なお、図21において、説明を簡単にするために半導体発光素子400を横方向に3つ縦方向に2つ並べたものをウェハ490として示している。
【0128】
まず、例えば絶縁性のサファイア基板からなる基板上に半導体積層膜を成膜し、ウェハ490を作製する。半導体積層膜については半導体発光素子100と同様である。
【0129】
続いて半導体積層膜の表面に、例えばSiOなどのハードマスク(不図示)を基板上に形成し、レジストによるフォトリソグラフィおよびフッ素系ガスを用いたドライエッチングにより、凹部領域(第1のエッチング部)425aおよび425bの凹部425に対応するパターンを形成する。その後、塩素系ガスを用いたドライエッチングにより、第1のエッチング部をエッチングして凹部425を形成する。
【0130】
続いて、エッチング時に残ったハードマスクを例えばフッ酸等により除去する。再び、例えばSiOなどのハードマスク(不図示)を基板上に形成し、レジストによるフォトリソグラフィおよびフッ素系ガスを用いたドライエッチングにより、段差溝430および431とエッチング溝432(第2のエッチング部)とに対応するパターンを形成する。その後、塩素系ガスを用いたドライエッチングにより、段差溝430および431とエッチング溝432とを形成する。
【0131】
続いて、エッチング時に残ったハードマスクを例えばフッ酸等により除去した後、例えばSiOなどのブロック層109に相当する絶縁膜をウェハ490全面に形成する。続いて、p側コンタクト電極408に相当するレジストパターンをフォトリソグラフィにより形成し、フッ酸エッチャントを用いたウェットエッチングによりp側コンタクト電極408に相当する部分の絶縁膜を除去する。
【0132】
続いて、例えば、Pd/Ptの多層金属膜を成膜し、リフトオフもしくは金属エッチングによりパターニングを行い、p側コンタクト電極408を形成する。続いて、例えば、Ti/Al/Ni/Auなどの多層金属膜を成膜し、リフトオフもしくは金属エッチングによりパターニングを行い、n側コンタクト電極411を形成する。続いて、例えばTi/Pt/Auなどの多層金属膜を、p側コンタクト電極408およびブロック層109上に成膜し、リフトオフもしくはエッチングによりパターニングすることにより配線電極110を成膜する。
【0133】
続いて、段差溝431の内側壁部分に、斜め方向から、例えばSiO/ZrO誘電体多層膜を成膜することにより高反射率層150を形成する。これにより、図21に示すウェハ490が作製される。
【0134】
続いて、図21に示すように、第1の分割ライン461に沿って、例えばレーザダイシングや壁開などによりウェハ490を分割する。連続して、第2の分割ライン462に沿って、レーザダイシングなどにより分割することにより半導体発光素子400を作製する。
【0135】
なお、本実施形態においては、後端面140bにも段差溝431を形成しているので、第1の分割ライン461における分割をレーザダイシングなどのダイシングによって行うことができる。これにより、劈開を行う必要がなくなるため、量産性が向上する。
【0136】
また、本実施形態においては、n側コンタクト電極111を半導体発光素子400の表面側に形成しているので、基板101としては絶縁性のサファイア基板を用いることができ、高効率な発光素子を低コストで作製することが可能になる。
【0137】
(変形例)
次に、本発明の第4の実施形態の変形例に係る半導体発光素子401について、図22を用いて説明する。図22は、本発明の第4の実施形態の変形例に係る半導体発光素子の光出射端面近傍の部分拡大図である。なお、本変形例において、上述の第4の実施形態と同じ構成要素については説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0138】
図22に示すように、本変形例において、光導波路424の幅は、光導波路領域424Aと分離領域427Aとの境界において不連続に拡大している。
【0139】
このように、光導波路424の幅が不連続に拡大させることによって、実効的に光閉じ込めのない状態を実現することができる。したがって、第4の実施形態に係る半導体発光素子400と同様の効果を得ることができる。
【0140】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態に係る半導体発光素子500の構成について、図23A〜図23Cを用いて説明する。図23Aは、本発明の第5の実施形態に係る半導体発光素子の光出射端面近傍の部分拡大図であり、図23Bは、図23AのA−A’線における同半導体発光素子の断面図であり、図23Cは、図23AのB−B’線における同半導体発光素子の断面図である。なお、本実施形態における半導体発光素子500の構造は第1の実施形態における半導体発光素子100の構造と基本的には同じであるので、図23A〜図23Cにおいて図1および図2A〜図2Cに示す構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0141】
図23A〜図23Cに示すように、本実施形態に係る半導体発光素子500においては、基板101上に基板段差部517が形成されている。基板段差部517は、基板101の上部に形成された凹部である。このように、基板段差部517が設けられた基板101上に半導体積層膜を成膜すると、基板段差部517近傍の活性層104内にバンドギャップが広くなる部分として活性層短波長化部504が形成される。
【0142】
すなわち、基板段差部517が形成された基板101上に活性層104を含む半導体積層膜を形成すると、基板101上において、基板段差部517近傍と基板段差部517近傍以外とにおいてはインジウム(In)の取り込み効率が異なるので、基板段差部517の周縁部の半導体積層膜には活性層短波長化領域504Aが自然に形成される。なお、活性層104において活性層短波長化部504が形成される半導体層積層体の領域を活性層短波長化領域504Aとする。
【0143】
そして、この活性層短波長化領域504Aに分離領域527Aが形成されるように、光導波路524、p側コンタクト電極108および段差溝(エッチング端面溝)530をそれぞれ形成する。
【0144】
本実施形態に係る半導体発光素子500によれば、基板段差部517によって分離領域527Aにおける活性層104が窓化するので、分離領域527Aにおける光吸収ロスをなくすことができる。
【0145】
すなわち、光導波路524から出射した光は、分離領域527Aを伝搬し、段差溝530の光出射端面530aから外部へ出射されるが、当該光は、分離領域527Aの活性層104の活性層短波長化部504を伝搬するので、光吸収のロスがなく伝搬させることができる。
【0146】
従って、発光効率の低下がないので、さらに発光効率を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明に係る半導体発光素子によれば、半導体発光素子の発光効率を増大することができるので、薄型、低消費電力および低コストの光源として広く利用することができ、特に、超薄型の液晶表示装置用のバックライト光源またはプロジェクター用の光源等として有用である。
【符号の説明】
【0148】
100、200、201、202、300、400、401、500、2000 半導体発光素子
101 基板
102 n型クラッド層
103 n型光ガイド層
104 活性層(発光層)
105 p型光ガイド層
106 電子バリア層
107 p型クラッド層
107a リッジ部
108、208、308、408 p側コンタクト電極
108a、208a、308a コンタクト電極端面
109、209、309 ブロック層
110 配線電極
111、411 n側コンタクト電極
124、224、324、424、524 光導波路
124a、224a、324a、424a 光導波路端面
124A、224A、424A 光導波路領域
125、325、425 凹部
125a、125b、225a、225b、325a、325b、425a、425b 凹部領域
126a、126b、226a、226b、326a、326b 台座領域
127A、227A、327A、427A、527A 分離領域
130、430、431、530 段差溝
130a、430a、530a 光出射端面
130A 段差溝領域
140a 前端面
140b 後端面
150 高反射率層
161、361、461 第1の分割ライン
162、362、462 第2の分割ライン
170 伝搬光
171 反射光
172、173 散乱光
190、390、490 ウェハ
208W1 第1電極幅
208W2 第2電極幅
227A1、427A1 第1の分離領域
227A2、427A2 第2の分離領域
270 波面
325a、325b 光導波路残部
432 エッチング溝
432a、432b エッチング溝領域
504 活性層短波長化部
504A 活性層短波長化領域
517 基板段差部
1000 半導体レーザ増幅器
1010、1011 終端キャップ部
1012 導波路
1013 入射端面
1014 出射端面
1015 半導体領域
1016 半導体本体
1017、1018 ファセット
1019 表面
2001 GaN基板
2002 第1クラッド層
2003 第1ガイド層
2004 多重量子井戸層
2005 第2ガイド層
2006 バリア層
2007 第2クラッド層
2008 p側コンタクト電極層
2010 絶縁層
2011 n側コンタクト電極層
2012 斜めファセット面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上方に形成された発光層と、前記発光層が発する光を出射する光出射端面とを有する半導体層積層体を備える半導体発光素子であって、
前記発光層が発する光を閉じ込め導波する光導波路と、
前記光導波路の前記光出射端面側の端面である光導波路端面と前記光出射端面との間の領域であって、前記光導波路端面から前記光出射端面までにおいて前記光導波路からの光を前記基板の主面と水平方向には実質的に閉じ込めずに通過させる領域である分離領域とを備え、
前記光導波路端面は、前記光出射端面に対して傾斜している
半導体発光素子。
【請求項2】
前記光導波路と前記分離領域とは同一の前記半導体層積層体で形成される
請求項1記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記光導波路端面と前記光出射端面との距離が、1μm以上である
請求項1または2記載の半導体発光素子。
【請求項4】
さらに、前記光導波路の上方に形成されたコンタクト電極を備え、
前記コンタクト電極の前記光出射端面側の端部が、前記光導波路端面と前記光出射端面との間にまで延設される
請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項5】
前記光導波路端面と前記光出射端面との間に形成された前記コンタクト電極の幅の一部または全部は、前記光導波路の上方に形成された前記コンタクト電極の幅よりも広い
請求項4記載の半導体発光素子。
【請求項6】
前記導波路端面と前記光出射端面との間に形成された前記コンタクト電極の幅が、前記光導波路端面から前記光出射端面に向かうに従って漸次拡がる
請求項5記載の半導体発光素子。
【請求項7】
前記光出射端面が劈開面である
請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項8】
さらに、前記半導体層積層体を切り欠くように形成された段差溝を備え、
前記光出射端面は、前記段差溝の内側面である
請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項9】
前記段差溝は、エッチングにより形成される
請求項8記載の半導体発光素子。
【請求項10】
さらに、前記分離領域もしくはその近傍領域において、基板上に形成された基板段差部を備える
請求項1記載の半導体発光素子。
【請求項11】
前記分離領域の一部または全部は、前記光導波路からの光を実質的に吸収させずに透過させる領域である
請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体発光素子。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図23C】
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【図24】
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【図25】
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