説明

半導体発光装置およびその製造方法

【課題】本発明の実施形態は、小型で利便性が高く、且つ、製造歩留りを向上させることが可能な半導体発光装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る半導体発光装置は、第1半導体層と、第2半導体層と、発光層と、を含む積層体と、第1半導体層に接続された第1配線層と、第2半導体層に接続された第2配線層と、第1配線層に接続された第1ピラー部と、第2配線層に接続された第2ピラー部と、第1配線層と、第2配線層と、第1ピラー部と、第2ピラー部と、を覆う絶縁層と、を備える。第1ピラー部は、絶縁層の表面に露出した第1のモニタパッドを有し、第1配線層は、絶縁層の1つの側面に露出した第1のボンディングパッドを有する。第2ピラー部は、絶縁層の表面に露出した第2のモニタパッドを有し、第2配線層は、絶縁層の側面に露出した第2のボンディングパッドを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体発光装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可視光や白色光を放出する半導体発光装置は、照明機器、表示装置などの光源として使用され、その用途はますます拡大してゆくものと期待されている。そして、半導体発光装置の利便性を高めるために、その小型化、低コスト化が求められている。例えば、窒化物半導体を材料とする青色LED(Light Emitting Diode)では、生産性および歩留りを向上させるデバイス構造およびその製造方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−135693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、小型で利便性が高く、且つ、製造歩留りを向上させることが可能な半導体発光装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体発光装置は、第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第2半導体層と、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた発光層と、を含み、前記発光層が放射する発光を前記第2半導体層側の第1の主面から放出する積層体を備える。さらに、前記積層体の前記第1の主面とは反対側の第2の主面側において、前記第1半導体層に接続された第1電極と、前記積層体の前記第2の主面側において前記第2半導体層に接続された第2電極と、前記第1電極に接続された第1配線層と、前記第2電極に接続された第2配線層と、前記第1配線層に接続された第1ピラー部と、前記第2配線層に接続された第2ピラー部と、前記積層体の前記第2の主面側に設けられ、前記第1配線層と、前記第2配線層と、第1ピラー部と、第2ピラー部と、を覆う絶縁層と、を備える。前記第1ピラー部は、前記第1の主面と平行な前記絶縁層の表面に露出した第1のモニタパッドを有し、前記第1配線層は、前記絶縁層の前記表面に接する1つの側面に露出した第1のボンディングパッドを有する。前記第2ピラー部は、前記絶縁層の前記表面に露出した第2のモニタパッドを有し、前記第2配線層は、前記絶縁層の前記側面に露出した第2のボンディングパッドを有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1実施形態に係る半導体発光装置の模式図。
【図2】第1実施形態に係る発光モジュールの模式断面図。
【図3】第1実施形態に係る半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図4】図3に続く半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図5】図4に続く半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図6】図5に続く半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図7】図6に続く半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図8】図7に続く半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図9】図8に続く半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図10】図9に続く半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図11】図10に続く半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図12】図11に続く半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図13】図12に続く半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図14】図13に続く半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図15】図14に続く半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図16】図15に続く半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図17】図16に続く半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図18】第2実施形態に係る半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図19】図18に続く半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図20】第3実施形態に係る半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図21】第4実施形態に係る半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図22】第5実施形態に係る半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図23】図22に続く半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図24】第5実施形態の変形例に係る半導体発光装置の製造過程を示す模式図。
【図25】第6実施形態に係る半導体発光装置の模式図。
【図26】比較例に係る半導体発光装置を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態では、図面中の同一部分には同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について適宜説明する。なお、ここでは、第1導電形をp形、第2導電形をn形として説明するが、第1導電形をn形、第2導電形をp形としても良い。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)は、第1実施形態に係る半導体発光装置10aを模式的に示す斜視図である。図1(b)は、図1(a)におけるA−A断面図である。図1(c)は、図1(a)におけるB−B断面図である。
【0009】
図1(a)に示すように、半導体発光装置10aは、直方体の外形を有し、絶縁樹脂層25(第1の絶縁層)と、透明樹脂層27と、を含む。絶縁樹脂層25の側面25bには、第1のボンディングパッド23aおよび第2のボンディングパッド24aが露出している。さらに、絶縁樹脂層25の一方の主面であって、透明樹脂層27の反対側に位置する表面25aに、第1のモニタパッド33aおよび第2のモニタパッド34aが設けられている。
【0010】
図1(b)に示すように、半導体発光装置10aは、第1半導体層であるp形GaN層12と、第2半導体層であるn形GaN層11と、発光層13と、を含む積層体15を含む。発光層13は、p形GaN層12とn形GaN層11との間に設けられている。積層体15は、n形GaN層11側の第1の主面15aと、その反対側の第2の主面15bと、を有する。そして、積層体15は、発光層13が放射する発光を第1の主面15aの側から放出する。
【0011】
積層体15から放出された光は、透明樹脂層27を透過して外部に放出される。さらに、積層体15と透明樹脂層27との間に、レンズ26を設けることができる。レンズ26は、積層体15から放出される光を集光し指向性を向上させる。また、レンズ26は、配光特性を向上させ、色度ズレを抑制する。
【0012】
一方、積層体15の第2の主面側には、p形GaN層12に電気的に接続された第1電極であるp側電極16と、n形GaN層11に電気的に接続された第2電極であるn側電極17と、が設けられている。n側電極17は、p形GaN層12および発光層13を選択的にエッチングして除去したn形GaN層11の表面に設けられている。
【0013】
さらに、積層体15およびp側電極16、n側電極17を覆う絶縁層18が設けられる。絶縁層18は、例えば、ポリイミドからなる。そして、絶縁層18に形成されたコンタクトホール18aおよび18bを介してp側電極16およびn側電極17に電気的に接続されたp側再配線層21およびn側再配線層22が設けられている。
【0014】
絶縁層18には、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、アルミナ、酸化アルミなどの無機膜を用いても良い。これらの無機膜は、例えば、ポリイミドに比べて熱伝導率が高く、積層体15からp側電極16を介した放熱を促進する。これにより、発光層13の発光効率を向上させることができる。また、ポリイミドなどの有機膜に比べて熱および光(短波長光)に対する耐性が高く、半導体発光装置10aの信頼性を向上させることができる。
【0015】
第1再配線層であるp側再配線層21の表面には、第1配線層であるp側配線層23が設けられている。p側配線層23は、p側再配線層21を介してp側電極16に電気的に接続されている。一方、第2再配線層であるn側再配線層22の表面には、第2配線層であるn側配線層24が設けられている。n側配線層24は、n側再配線層22を介してn側電極17に電気的に接続されている。p側配線層23とn側配線層24は、積層体15の第2の主面に対して平行な方向にそれぞれ延在している。そして、p側配線層23およびn側配線層24の上には、それぞれ第1ピラー部であるp側ピラー部33および第2ピラー部であるn側ピラー部34が設けられている。
【0016】
p側再配線層21、n側再配線層22、p側配線層23、n側配線層24、p側ピラー部、およびn側ピラー部34の材料としては、銅、金、ニッケル、銀などを用いることができる。これらのうち、銅を用いると、良好な熱伝導性、高いマイグレーション耐性及び絶縁材料との優れた密着性が得られる。
【0017】
p側配線層23と、n側配線層24と、p側ピラー部33と、n側ピラー部34と、は、絶縁層である絶縁樹脂層25により覆われている。絶縁樹脂層25の材料としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などを一例として挙げることができる。
【0018】
p側ピラー部33、およびn側ピラー部34は、積層体15の第2の主面に対して垂直な方向、すなわち絶縁樹脂層25の表面25aの方向に延在し、それぞれの端面であるモニタパッド33aおよび34bが、絶縁樹脂層25の表面25aに露出している。
【0019】
図1(c)に示すように、p側配線層23は、第2の主面15bに平行な方向に延在し、絶縁樹脂層25の表面25aに対して略垂直に交差する(接する)1つの側面25bに露出している。n側配線層24も同様に、第2の主面15bに平行な方向に延在し、p側配線層23と同じ側面25bに露出している。すなわち、p側配線層23およびn側配線層24のそれぞれの端面が、ボンディングパッド23aおよび24aとして絶縁樹脂層25の側面25bに露出している。
【0020】
ボンディングパッド23aおよび24aは、例えば、半導体発光装置10aを実装基板にダイボンディングする際に、ソルダーを介して電源配線に接着されるパッド面として使用することができる。一方、モニタパッド33aおよび34bは、半導体発光装置10aの特性をウェーハ状態で検査する際の、コンタクトパッドとして使用される。
【0021】
ボンディングパッド23aおよび24aは、半導体発光装置10aを個々のチップに切断した後に、切断面の一部である絶縁樹脂層25の側面25bに露出する。したがって、ウェーハ状態では、ボンディングパッド23aおよび24aは、絶縁樹脂層25に覆われており、モニタパッド33aおよび34aだけが絶縁樹脂層25の表面25aに露出する。
【0022】
本実施形態に係る半導体発光装置10aでは、モニタパッド33aおよび34aを設けることにより、測定用プローブを用いてウェーハ状態で行う特性検査を可能となる。すなわち、モニタパッド33aおよび34aを介して積層体15に給電し、例えば、電流電圧特性および発光特性を検査することができる。これにより、不良チップをウェーハ段階で選別することが可能となり製造歩留りを向上させることができる。
【0023】
図2は、半導体発光装置10aを用いた発光モジュールの部分断面を示す模式図である。半導体発光装置10aは、実装基板100上に実装されている。
【0024】
半導体発光装置10aは、絶縁樹脂層25および透明樹脂層27の側面を、実装基板100の実装面103に対向させた状態でダイボンディングされる。絶縁樹脂層25の側面25bに露出したボンディングパッド23aおよび24aは、それぞれ、実装面103に形成されたパッド101にはんだ102を介して接合される。実装基板100の実装面103には配線パターンが形成されており、パッド101はその配線パターンに接続されている。
【0025】
絶縁樹脂層25および透明樹脂層27の側面は、積層体15の第1の主面15aに対して略垂直である。したがって、絶縁樹脂層25および透明樹脂層27の側面25bを実装面103側に対向させてダイボンディングすれば、第1の主面15aおよびそれに略平行に設けられる透明樹脂層27の表面は横方向を向く。すなわち、実装面103を水平面とした場合に、横方向に光が放出される、いわゆるサイドビュータイプの半導体発光装置10a及び発光モジュールを構成することができる。
【0026】
このような発光モジュールは、例えば、液晶表示装置のバックライトにおいて、導光板の側面から光を照射する構成に適している。そして、本実施形態に係る半導体発光装置10aは、光源である積層体15とほぼ同じサイズであり、液晶表示装置の小型化に有効である。
【0027】
また、半導体発光装置10aでは、実装基板100にダイボンディングされた状態におけるはんだ102の応力を、p側配線層23、n側配線層24および絶縁樹脂層25が吸収する。これにより、積層体15に加わる応力を緩和することが可能であり、光出力や信頼度の劣化を抑制することができる。なお、はんだ102に代えて、導電性ペーストなどを用いた実装も可能である。
【0028】
次に、図3(a)〜図17(b)を参照して、本実施形態の半導体発光装置10aの製造方法について説明する。各工程を表す図面は、ウェーハ状態における一部の領域を表す。
【0029】
図3(a)は、基板5の主面上に、n形GaN層11及びp形GaN層12、発光層13を形成した積層体15を示す。図3(b)は、図3(a)に対応する下面図である。
【0030】
基板5の主面上にn形GaN層11が形成され、その上に発光層13、n形GaN層12が形成される。基板5には、例えば、サファイア基板を用いることができ、その主面上に、MOCVD(metal organic chemical vapor deposition)法を用いてGaN系窒化物半導体層を成長させる。また、基板5にシリコン基板を用いても良い。
【0031】
例えば、n形GaN層11と基板5との間には、図示しないバッファ層を形成する。n形GaN層11は、n形不純物として、例えば、シリコン(Si)を含む。一方、p形GaN層12は、p形不純物として、例えば、マグネシウム(Mg)を含む。発光層13は、例えば、GaNとInGaNとで構成される量子井戸を含み、青、紫、青紫などの発光を放射する。また、AlGaNを材料とすることにより紫外光を放射することもできる。
【0032】
積層体15の第1の主面15aは、n形GaN層11における基板5に接する面である。そして、p形GaN層12の表面が、積層体15の第2の主面15bである。
【0033】
次に、図4(a)及びその下面図である図4(b)に示すように、ダイシング領域d1、d2において、積層体15を貫通して基板5に達する溝を形成する。例えば、積層体15の表面に図示しないレジストマスクを形成し、RIE(Reactive Ion Etching)法でエッチングすることにより形成する。ダイシング領域d1、d2は、ウェーハ状態の基板5上に、例えば、格子状に形成される。ダイシング領域d1、d2に形成された溝により、積層体15は、半導体発光装置10aに含まれる個々の単位に分離される。
【0034】
なお、積層体15を個々の単位に分離する工程は、p形GaN層12を選択的にエッチングした後、あるいは、電極の形成後に行っても良い。
【0035】
次に、図5(a)及びその下面図である図5(b)に示すように、p形GaN層12および発光層13の一部を選択的に除去し、n形GaN層11の一部を第2の主面15bの側に露出させる。例えば、積層体15の表面に図示しないレジストマスクを形成し、RIE法を用いてエッチングする。
【0036】
図5(b)示すように、n形GaN層11の露出面11aは、積層体15の配列方向であってダイシング領域d2に沿った方向において、交互に逆方向に形成され、露出面11aがダイシング領域d1を挟んで向き合うように配置される。n形GaN層11の露出面の配置は、この例に限定される訳ではなく、ダイシング領域d2に沿って同じ方向に形成されても良い。
【0037】
次に、図6(a)及びその下面図である図6(b)に示すように、第2の主面15bの側にp側電極16とn側電極17を形成する。図6(b)に示すように、ダイシング領域d2に沿った方向において、p側電極16およびn側電極17の配置が交互に逆転するように形成される。p側電極16は、p形GaN層12の表面に形成される。p形GaN層12の表面に透明電極を形成後、p側電極16を形成しても良い。n側電極17は、例えば、チタン(Ti)およびアルミニウム(Al)の積層膜を用いて、n形GaN層11の露出面11aに形成される。
【0038】
p側電極16およびn側電極17は、例えば、スパッタ法、蒸着法等で形成される。p側電極16とn側電極17は、どちらを先に形成しても良い。また、同じ材料で同時に形成することもできる。
【0039】
p側電極16は、好ましくは発光層13からの放出光に対して反射性を有する。例えば、銀、銀合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を含む。また、p側電極16は、硫化、酸化を抑制するための金属保護膜を含む構成であってもよい。
【0040】
さらに、p側電極16とn側電極17との間、および、発光層13の端面(側面)にパッシベーション膜を形成しても良い。例えば、CVD(chemical vapor deposition)法を用いて、シリコン窒化膜やシリコン酸化膜を形成する。p側電極16およびn側電極17と、積層体15との間のオーミックコンタクトを形成するために、活性化アニールを必要に応じて実施する。
【0041】
次に、図7(a)に示すように、基板5の主面上に露出している部分のすべてを絶縁層18で覆った後、選択的にコンタクトホール18aおよび18bを形成する。例えば、ウェットエッチング法を用いて絶縁層18をパターニングする。コンタクトホール18aはp側電極16に達し、コンタクトホール18bはn側電極17に達するように形成する。
【0042】
絶縁層18として、例えば、感光性ポリイミド、ベンゾシクロブテン(Benzocyclobutene)などの有機材料を用いることができる。この場合、フォトリソグラフィを用いて絶縁層18を直接露光し現像することによりパターニングできる。あるいは、シリコン窒化膜やシリコン酸化膜などの無機膜を、絶縁層18として使用しても良い。無機膜の場合、レジストをパターニングした後のエッチングによって所望の形状が得られる。
【0043】
次に、図7(b)に示すように、絶縁層18の表面であって、積層体15の反対側に位置する配線面18cに、シードメタル19を形成する。シードメタル19は、コンタクトホール18aの内壁及び底部と、コンタクトホール18bの内壁及び底部にも形成される。
【0044】
シードメタル19は、例えばスパッタ法で形成される。シードメタル19は、例えば、絶縁層18側から順に積層されたチタン(Ti)および銅(Cu)の積層膜を含む。
【0045】
次に、図7(c)に示すように、シードメタル19上に選択的にレジストマスク41を形成し、電解銅(Cu)メッキを行う。メッキ電流はシードメタル19を経由して流れ、シードメタル19の表面にCu膜が形成される。
【0046】
これにより、図8(a)およびその下面図である図8(b)に示すように、絶縁層18の配線面18c上に、p側再配線層21とn側再配線層22が選択的に形成される。p側再配線層21及びn側再配線層22は、上記メッキにより同時に形成されたCu膜からなる。
【0047】
p側再配線層21は、コンタクトホール18a内にも形成され、シードメタル19を介してp側電極16と電気的に接続される。n側再配線層22は、コンタクトホール18b内にも形成され、シードメタル19を介してn側電極17と電気的に接続される。
【0048】
ここで、ダイシング領域d2は、p側再配線層21の側面21aおよびn側再配線層22の側面22aに沿った方向(図8(b)の横方向)に延在する。そして、図1(a)および(b)における絶縁樹脂層25の側面25bに、側面21aおよび側面22aが露出する。
【0049】
図8(b)における1点鎖線e1及びe2は、それぞれダイシングブレードの両エッジで切断される境界を表す。そして、図8(b)中に示す側面21aおよび側面22aは、e1及びe2を越えてダイシング領域d2に張り出すように形成される。
【0050】
さらに、p側再配線層21におけるn側再配線層22に向き合う辺において、側面21aの側の角には切り欠き部21bが形成されている。切り欠き21bは、側面21aと側面22aとの間に設けられる。これにより、ダイシング後に絶縁樹脂層25から露出する側面21aと側面22aとの間の間隔を広げることが可能となり、実装時におけるはんだによる短絡を回避することができる。
【0051】
一方、切り欠き21bを除くp側再配線層21とn側再配線層22との間隔は、プロセス上の限界まで近づけることができる。すなわち、絶縁樹脂層25の側面25bに露出されるボンディングパッド23aおよび24aの間隔に制約を受けることなく、p側再配線層21の面積を広くできる。この結果、p側再配線層21とp側電極16とのコンタクト面積を広げて電流密度を低減し、さらに放熱性を向上させることができる。例えば、p側再配線層21とp側電極16との間を、複数のコンタクトホール18aを介して接続することが可能となる。
【0052】
さらに、本実施形態に係る製造方法では、図8(b)に示すように、側面21aおよび側面22aは、ダイシング領域d2の一方の側に偏って存在せず、ダイシング領域d2の幅方向の両側に、交互に設けられる。これにより、ダイシングブレードを用いてダイシング領域d2を切断する際に、メタルである側面21a及び側面22aを、ダイシングブレードの両側で均等に切断することができる。その結果、ダイシングブレードのエッジにかかる負荷を均等にすることができる。すなわち、ダイシングブレードの目詰まりや破損等を抑制し寿命を伸ばすことができる。
【0053】
なお、図8(b)に示す例では、エッジe1側の側面21aおよび側面22aと、エッジe2側の側面21aおよび側面22aとが、ダイシング領域d2の延在方向に交互に配置されているが、このようなレイアウトに限られる訳ではない。側面21aおよび側面22aが、エッジe1及びエッジe2のいずれか一方に偏る配置でなければ良い。
【0054】
図9(a)は、p側再配線層21及びn側再配線層22のメッキに使用したレジストマスク41を除去した状態を示す断面図である。レジストマスク41は、例えば、有機溶剤もしくは酸素プラズマを用いて除去することができる。
【0055】
続いて、図9(b)に示すように、配線層形成用のレジストマスク42を形成する。レジストマスク42は、前述のレジストマスク41よりも厚く形成する。なお、レジストマスク41を除去せずに残し、その上にレジストマスク42を重ねて形成しても良い。
【0056】
そして、図10(a)及びその下面図である図10(b)に示すように、p側配線層23とn側配線層24を形成する。例えば、レジストマスク42を用いて、選択的に電解Cuメッキを行う。この場合も、シードメタル19を介してメッキ電流を流し、p側再配線層21およびn側再配線層22の上にCu膜を形成する。
【0057】
すなわち、p側配線層23は、レジストマスク42に形成された開口42a内であって、p側再配線層21の表面に形成される。n側配線層24は、レジストマスク42に形成された開口42b内であって、n側再配線層22の表面に形成される。p側配線層23及びn側配線層24は、メッキ法により同時に形成され、例えば、銅材料からなる。
【0058】
そして、p側配線層23およびn側配線層24の端面であって、ダイシング後に絶縁樹脂層25の側面25bに露出されるボンディングパッド23a、および、ボンディングパッド24aを形成するために、p側配線層23およびn側配線層24を、ダイシングブレードの両エッジe1およびe2を超えてダイシング領域d2上に張り出させる。
【0059】
図10(b)に示すように、p側配線層23およびn側配線層24の張り出し部は、ダイシング領域d2の一方の側に偏らず、ダイシング領域d2の延在方向の両側に均等に設けられる。そして、ダイシング領域d2をダイシングブレードにより切断する際に、メタルであるp側配線層23およびn側配線層24を、両方のエッジで均等に切断する。これにより、ダイシングブレードのエッジにかかる負荷が均等になり、目詰まりや破損等を抑制してダイシングブレードの寿命を伸ばすことができる。
【0060】
なお、図10(b)の例では、エッジe1側に張り出したp側配線層23およびn側配線層24と、エッジe2側に張り出したp側配線層23およびn側配線層24とが、ダイシング領域d2の延在方向に交互に配置されているが、このようなレイアウトに限られる訳ではない。すなわち、p側配線層23およびn側配線層24の張り出し部が、エッジe1及びエッジe2のいずれか一方側に偏って存在していなければ良い。
【0061】
そして、p側配線層23とn側配線層24との間隔は、絶縁樹脂層25の側面25bに露出するボンディングパッド23aおよび24aが、実装時のはんだ102により短絡されない幅に形成される。
【0062】
次に、図11(a)に示すように、例えば、溶剤もしくは酸素プラズマを用いて、レジストマスク42を除去する。続いて、図11(b)に示すように、p側ピラー部33およびn側ピラー部34を形成するためのレジストマスク45を形成する。レジストマスク45は、レジストマスク42の上に重ねて形成しても良い。
【0063】
続いて、図12(a)およびその下面図である図12(b)に示すように、p側ピラー部33とn側ピラー部34を、電解Cuメッキ法を用いて形成する。すなわち、レジストマスク45を用いた選択メッキにより、p側配線層23およびn側配線層24の上の開口45aおよび45bにCu膜を形成する。
【0064】
そして、図12(b)に示すように、p側ピラー部33およびn側ピラー部34のそれぞれの端面33aおよび34bを異なる形状に形成する。これにより、絶縁樹脂層25の表面25aに露出するp側配線層23およびn側配線層24のそれぞれの端面を識別することができる。つまり、半導体発光装置のアノードとカソードとを識別できる。ここで、形状が異なるかわりに、端面33aの大きさと、端面34aの大きさとが異なるものとしても、半導体発光装置のアノードとカソードとを識別することができる。
【0065】
続いて、レジストマスク45を、例えば、溶剤もしくは酸素プラズマを用いて、レジストマスク42を除去する。図13(a)およびその下面図である図13(b)は、レジストマスク45を除去した状態を示している。
【0066】
図13(a)に示すように、p側配線層23およびn側配線層24の表面であって、p側再配線層21およびn側再配線層22の反対側の面に、p側ピラー部33とn側ピラー部34がそれぞれ形成される。そして、図13(b)に示すように、積層体15の第2の主面15bの平面視において、p側ピラー部33はp側配線層23の内側に形成され、n側ピラー部34はn側配線層24の内側に形成される。
【0067】
さらに、前述したように、p側配線層23は、p側再配線層21よりも小さく形成される。このため、図13(b)中に示すように、切り欠き部21bを除いて、p側再配線層21が、p側配線層23の側からn側配線層24の側に延在するように形成される。
【0068】
次に、図14(a)に示すように、p側配線層23、n側配線層24、および、p側配線層23の側から延在したp側再配線層21の一部をマスクとして、シードメタル19の露出部をウェットエッチングにより除去する。これにより、p側再配線層21とn側再配線層22との間が電気的に分断される。
【0069】
次に、図14(b)に示すように、p側配線層23、n側配線層24、および、その間に露出した絶縁層18の表面を覆う絶縁樹脂層25を形成する。絶縁樹脂層25には、発光層13の発光に対して遮光性を付与するために、例えば、カーボンブラックを含有させることができる。また、発光層13の発光を反射する酸化チタン等の粉末を含有させてもよい。
【0070】
次に、図15(a)に示すように、基板5を除去する。基板5は、例えば、レーザーリフトオフ法によって除去する。例えば、基板5の裏面であって、積層体15の反対側に位置する主面からn形GaN層11に向けてレーザ光を照射する。レーザ光は、基板5に対して透過性を有し、n形GaN層11に吸収される波長を有する。そして、基板5とn形GaN層11との界面において、その界面近傍のn形GaN層11は、レーザ光のエネルギーを吸収し、GaとNとに分解される。この分解反応により、基板5とn形GaN層11とが分離される。
【0071】
さらに、ウェーハの全体に渡り、設定された領域ごとに複数回に分けてレーザ光を照射する。これにより、積層体15の第1の主面15aから基板5が除去され、光取り出し効率の向上が可能となる。
【0072】
基板5がシリコン基板の場合には、例えば、ウエットエッチングを用いて除去することができる。
【0073】
基板5から分離された積層体15は、第2の主面15bの側に設けられた絶縁樹脂層25によって支持される。すなわち、p側配線層23およびn側配線層24を構成するCuメッキを十分に厚く形成し、p側配線層23およびn側配線層24の間を絶縁樹脂層25によって充填する。これにより、基板5を分離した状態におけるウェーハの機械的強度を確保することができる。
【0074】
さらに、絶縁樹脂層25、および、各再配線層、配線層を構成する金属は、基板5に比べて柔軟な材料である。このため、結晶成長の過程において積層体15に内在された応力を、基板5の剥離時に絶縁樹脂層25が吸収する。これにより、積層体15におけるクラックの発生等の結晶破壊を回避できる。
【0075】
次に、基板5が除去された積層体15の第1の主面15aを洗浄する。例えば、塩酸等で、第1の主面15aに残留したガリウム(Ga)を除去する。
【0076】
さらに、例えば、KOH(水酸化カリウム)水溶液やTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等で、第1の主面15aをエッチングする。これにより、図15(b)に示すように、結晶面方位に依存したエッチング速度の違いに起因する凹凸が、第1の主面15aに形成される。あるいは、レジストマスクを用いたパターニングにより、第1の主面15aに凹凸を形成しても良い。そして、第1の主面15aに形成された凹凸により、光取り出し効率を向上させることができる。
【0077】
次に、図16(a)に示すように、第1の主面15aの上、および、隣り合う積層体15の間に露出した絶縁層18の上に、透明樹脂層27を形成する。透明樹脂層27は、例えば、蛍光体粒子が分散された液状の透明樹脂を、印刷、ポッティング、モールド、圧縮成形などの方法によって供給した後、熱硬化させることにより形成する。透明樹脂には、発光層13の発光及び蛍光体が発する光に対する透過性を有する材料、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、液状ガラスなどを用いる。
【0078】
そして、第1の主面15aと透明樹脂層27との間に、レンズ26を形成しても良い。レンズ26には、発光層13の発光に対して透明な材料、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ガラスなどを用いることができる。レンズ26は、例えば、グレースケールマスクを用いたエッチングや、インプリント法によって形成することができる。
【0079】
なお、第1の主面15aと透明樹脂層27との間のレンズ26を設けない構造であってもよい。
【0080】
次に、図16(b)に示すように、絶縁樹脂層25の表面であって、透明樹脂層27とは反対側の主面を研削する。そして、研削後の絶縁樹脂層25の表面25aに、p側ピラー部33およびn側ピラー部34の端面であるモニタパッド33aおよび34aを露出させる。
【0081】
次に、図17(a)および(b)に示すように、格子状に形成されたダイシング領域d1、d2の位置で、透明樹脂層27、絶縁層18及び絶縁樹脂層25を切断し、複数の半導体発光装置10aに個片化する。透明樹脂層27、絶縁層18及び絶縁樹脂層25は、例えば、ダイシングブレードもしくはレーザ照射を用いて切断することができる。
【0082】
この際、ダイシング領域d2において、p側配線層23およびn側配線層24のダイシングブレードの幅(e1およびe2)を越えた張り出した部分が切断される。これにより、絶縁樹脂層25の側面に、ボンディングパッド23aおよび24aが露出する。
【0083】
同様に、p側再配線層21及びn側再配線層22において、ダイシング領域d2に張り出した部分も切断される。これにより、絶縁樹脂層25の側面25bに、p側再配線層21の側面21aおよびn側再配線層22の側面22aも露出される(図1(a)参照)。
【0084】
ダイシング時には、基板5はすでに除去されている。さらに、ダイシング領域d1、d2には、積層体15が存在しないため、積層体15が受けるダメージを回避することができる。また、個片化後の半導体発光装置10aでは、積層体15の端部(側面)が絶縁層18で覆われ保護された構造が得られる。
【0085】
なお、個片化された半導体発光装置10aは、ひとつの積層体15を含むシングルチップ構造でも、複数の積層体15を含むマルチチップ構造であってもよい。
【0086】
半導体発光装置10aは、ウェーハプロセスを終了し個片化された段階で、樹脂で覆われ、且つ、接続パッドが露出した形態で完成する。このため、個々のデバイスごとに、配線及びパッケージングを行う必要がなく、大幅な生産コストの低減が可能になる。すなわち、個片化された状態で、すでに配線及びパッケージングが済んでいる。このため、生産性を高めることができ、その結果として価格低減が容易となる。
【0087】
本実施形態に係る半導体発光装置10aでは、絶縁樹脂層25の表面25aにモニタパッド33aおよび34aが露出している。したがって、例えば、ダイシング後に、個々の半導体発光装置10aのモニタパッド33aおよび34aにプローブ端子を接触させ、特性測定を行うことができる。これにより、複数の半導体発光装置10aのうちの良品のみをピックアップすることが可能となり、以後の工程における歩留りを向上させることができる。
【0088】
さらに、p側配線層23およびn側配線層24のそれぞれの端面であるモニタパッド33aおよび34aの形状が異なるため、例えば、プローブ端子のうちのプラス端子およびマイナス端子を、モニタパッド33aおよび34aのいずれに接触させるかを自動認識させることができる。また、半導体発光装置10aを実装基板100にボンディングする際に、モニタパッド33aおよび34aの形状を自動認識することにより側面の向きを識別し、ボンディングパッド23aおよび24aが露出した側面25bを実装基板100に向けて載置することが可能となる。
【0089】
例えば、図17(b)に示すように、本実施形態に係る製造方法では、モニタパッド33aと34aの配置が、ダイシング領域d2の延在方向において、各半導体発光装置10aごとに反転する。このような場合には、モニタパッド33aと34aの形状を変えて、p側配線層23とn側配線層24を識別することが有効である。
【0090】
また、積層体15の第2の主面15bの側を見る視点において、モニタパッド33aおよび34aの面積は、p側配線層23およびn側配線層24よりも狭い。そして、モニタパッド33aおよび34aは、各配線層の内側に設けられる。これにより、ボンディングパッド23aおよび24aは、モニタパッド33aおよび34aから絶縁樹脂層25を挟んで分離される。
【0091】
例えば、図26(a)および(b)に示す比較例に係る半導体発光装置10cでは、p側ピラー部33およびn側ピラー部34が設けられず、p側配線層23およびn側配線層24の端面が、絶縁樹脂層25の表面25aおよび側面25bに露出する。そして、絶縁樹脂層25の表面25aに露出したモニタパッド23bおよび24bの面積は、第2の主面15bの側を見る視点において、それぞれp側配線層23およびn側配線層24の面積と同じになる。その結果、図26(b)に示すように、モニタパッド23bおよび24bと、ボンディングパッド23aおよび24bとは、絶縁樹脂層25の表面25aと側面25bとの間の角でつながった状態に形成される。
【0092】
図26(c)は、半導体発光装置10cを実装基板100の上にボンディングした状態を示す断面図である。半導体発光装置10cでは、ボンディングパッド23aとモニタパッド23b、および、ボンディングパッド24aとモニタパッド24bがつながっている。このため、図25(c)に示すように、実装に用いるハンダ102が、ボンディングパッド23aに接するだけでなく、モニタパッド23bの側に這い上がることがある。そして、はんだ102が収縮することにより半導体発光装置10cの出射面27aが上方に傾き、光の出射方向が上方にずれることがある。
【0093】
これに対し、本実施形態に係る半導体発光装置10aでは、ボンディングパッド23aおよび24aが、絶縁樹脂層25によりモニタパッド33aおよび34aから分離される。これにより、はんだ102の這い上がりを無くし、実装後の光出射方向のずれを抑制することができる。
【0094】
(第2実施形態)
次に、図18および図19を参照して、第2実施形態に係る半導体発光装置10aの製造方法を説明する。
【0095】
図18は、半導体発光装置10aの製造過程におけるウェーハの断面を示す模式図である。p側再配線層21およびn側再配線層22の表面にp側配線層43およびn側配線層44を形成した後、絶縁層18の表面に形成されたシードメタル19の一部を除去し、p側再配線層21と、n側再配線層22と、を電気的に分離した状態を示している。さらに、同図中に示すように、p側配線層43およびn側配線層44の各再配線層とは反対側の表面を、例えば、ダイシングブレード51により研削し、p側ピラー部43bおよびn側ピラー部44bを形成する。
【0096】
図19(a)およびその下面図である図19(b)は、p側配線層43およびn側配線層44の表面に、p側ピラー部43bおよびn側ピラー部44bが形成された状態を示す模式図である。
【0097】
図19(b)に示すように、p側ピラー部43bの端面43aと、n側ピラー部44bの端面44aとは、異なる形状に形成される。例えば、同図に示すように、幅の異なる四角形に加工することができる。
【0098】
本実施形態に例示する半導体発光装置10aでは、n形GaN層11の露出面11aは、ダイシング領域d2に沿った積層体15の同じ側に形成される。そして、ダイシング領域d2に沿って、p側配線層43とn側配線層44とが交互に形成される。このため、図19(b)に示すように、p側配線層43とn側配線層44との間に露出するp側再配線層21の一部も、p側配線層43の側からダイシング領域d2に沿って同じ方向に延在する。
【0099】
さらに、p側再配線層21の切り欠き部21bは、ダイシング領域d1の延在方向における同じ側の端部に形成される。そして、p側配線層43およびn側配線層44は、ダイシングブレードのエッジe2を越えてダイシング領域d2に延在するように形成される。
【0100】
次に、図14(b)と同じように、p側配線層43およびn側配線層44、絶縁層18の表面を覆う絶縁樹脂層25が設けられる。そして、前述した第1の実施形態と同じ製造過程を経て、半導体発光装置10aが形成される。
【0101】
本実施形態に係る製造方法では、ダイシングブレードを用いた研削により、p側ピラー部43bおよびn側ピラー部44bを形成するため、製造過程が簡略化されコストを低減することができる。
【0102】
(第3実施形態)
図20は、第3実施形態に係る半導体発光装置10bの製造過程を示す模式断面図である。
【0103】
図20(a)に示す半導体発光装置10cの製造過程では、第1の主面15aの側に薄層化した基板5を残す。例えば、積層体15とは反対側の基板5の主面を、グラインダーを用いて研削し薄層化する。
【0104】
続いて、図20(b)に示すように、ダイシング領域d1、および、図示しないダイシング領域d2をダイシングブレードで切断することにより、半導体発光装置10bを個片化する。また、絶縁樹脂層25の側からダイシングブレードでハーフカットした後、レーザ照射によって基板5を分割しても良い。あるいは、すべての部分をレーザ照射によって切断することも可能である。
【0105】
基板5は、例えば、サファイア基板であり、窒化物半導体系の発光層13から放出される光に対して透過性を有する。この場合、第1の主面15aの側に蛍光体を含む層がないため、発光層13の発光のみが外部へと放出される。さらに、積層体15とは反対側の基板5の主面上に蛍光体を含む透明樹脂層を形成することもできる。
【0106】
本実施形態に係る半導体発光装置10bでは、基板5を残すことにより機械的強度を高め、信頼性の高い構造とすることができる。
【0107】
(第4実施形態)
図21は、第4実施形態に係る半導体発光装置の製造過程を示す模式断面図である。図21(a)は、図7(a)に示す工程における本実施形態に係るウェーハの部分断面を示す模式図である。図21(b)は、図16(b)に示す工程における本実施形態に係るウェーハの部分断面を示す模式図である。
【0108】
図21(a)に示すように、本実施形態に係る半導体発光装置の製造過程では、絶縁層18にコンタクトホール18aおよび18bを形成する工程において、ダイシング領域d1およびd2に、開口53を形成する。そして、後続する工程を第1の実施形態と同様に進める。
【0109】
図21(b)は、積層体15の第2の主面15bの側に、絶縁樹脂層25を形成した後、モニタパッド33aおよび34aを絶縁樹脂層25から露出させた状態を示している。本実施形態に係る製造過程では、同図に示すように、ダイシング領域d1に設けられた開口53の内部にも絶縁樹脂層25が充填される。
【0110】
例えば、絶縁層18には、ポリイミドまたは無機膜を用いることができるが、ポリイミドおよび無機膜は、発光層13が放射する発光に対して透明である。このため、半導体発光装置10の側面に露出する絶縁層18の端面(図1(b)および(c)参照)から発光が漏れ出すことがある。
【0111】
これに対し、本実施形態に係る半導体発光装置では、開口53に充填された遮光性の絶縁樹脂層25により絶縁層18の端面を覆い、側面からの光漏れを抑制することができる。また、絶縁樹脂層25に代えて、発光を反射する樹脂を開口53の内部に充填しても良いし、開口35の内面に反射膜を形成しても良い。
【0112】
さらに、絶縁樹脂層25により絶縁層18を覆うことにより、端面からの吸湿を抑制し、信頼性を向上させることができる。また、ダイシング領域dの層構造が簡略化されるため、ダイシングブレードによる切断が容易となり、切断面のダメージを低減できる。
【0113】
(第5実施形態)
図22および図23は、第5実施形態に係る半導体発光装置の製造過程を示す模式断面図である。図22(a)および(b)は、図8に示す工程における本実施形態に係るウェーハの部分断面および下面を示す模式図である。図23(a)および(b)は、図10に示す工程における本実施形態に係るウェーハの部分断面および下面を示す模式図である。
【0114】
図22(a)に示すように、絶縁層18の配線面18c上に、p側再配線層61とn側再配線層62が選択的に形成される。p側再配線層61及びn側再配線層62は、p側再配線層21およびn側再配線層22と同じように、例えば、シードメタル19を通電層とした電解Cuメッキにより同時に形成される。
【0115】
本実施形態では、図22(b)に示すように、p側再配線層61およびn側再配線層62の側面がエッジe1およびe2を越えてダイシング領域d2に張り出していない点で、図8に示す製造過程と相違する。したがって、p側再配線層61およびn側再配線層62の端がダイシングブレードにより切断されることはなく、その端面が絶縁樹脂層25の側面25bに露出することはない。
【0116】
そして、図23(a)に示すように、p側再配線層61およびn側再配線層62の上にp側配線層63とn側配線層64を形成する。例えば、レジストマスク42を用いて、選択的に電解Cuメッキを行う。この場合も、シードメタル19を介してメッキ電流を流しCu膜を形成する。また、p側再配線層61およびn側再配線層62を形成後に、第2のシードメタルを形成し、これを介してメッキ電流を流しても良い。
図23(b)に示すように、本実施形態では、p側配線層63の側面63aおよびn側再配線層64の側面64aがエッジe1およびe2を越えてダイシング領域d2に張り出すように形成する。これにより、p側再配線層61およびn側再配線層62の端がダイシングブレードで切断され、その端面が絶縁樹脂層25の側面25bに露出しボンディングパッドとなる。
【0117】
図24は、第5実施形態の変形例に係る半導体発光装置10dを示す模式断面図である。図24(a)は、図22に示す製造過程におけるウェーハの下面を示す模式図である。図24(b)は、半導体発光装置10dを模式的に示す斜視図である。
【0118】
図24(a)に示すように、本実施形態に係るp側配線層73およびn側配線層74では、p側配線層73の側面73a、および、n側配線層74の側面74aが、それぞれエッジe1およびe2を越えてダイシング領域d2へ張り出している。さらに、p側配線層73の側面の一部73bと、n側配線層74の側面の一部74bとが、エッジe3およびエッジe4を越えてダイシング領域d1へ張り出している。
【0119】
このため、p側配線層73の側面73aおよびn側配線層の側面74aに加えて、側面74aおよび74bもダイシングブレードにより切断される。その結果、図24(b)に示すように、半導体発光装置10dでは、絶縁樹脂層25の側面25bにボンディングパッド73aおよび74aが露出し、さらに、側面25bにつながる両側の側面25cにも、p側配線層73の端面73b、および、n側配線層74の端面74bが露出する。
【0120】
例えば、図2に示すように、半導体発光装置10dのボンディングパッド73aおよび74aを実装基板100の表面103に対向させて実装した時、ハンダ102は、ボンディングパッド73aおよび74aをパッド101に接続するだけでなく、側面25cに露出したp側配線層73の端面73b、および、n側配線層74の端面74bに這い上がる。したがって、p側配線層73の端面73bおよびn側配線層74の端面74bにおけるハンダ102の這い上がりの有無を確認することにより、半導体発光装置10dと実装基板100との間の接合の良否を判定することができる。
【0121】
なお、半導体発光装置10dでは、絶縁樹脂層25のおけるボンディング面(側面25b)の両側の側面25cに露出したp側配線層73の端面73bおよびn側配線層74の端面74bにハンダ102の這い上がりが生じるので、図26に示すような光の出射方向のずれが生じることはない。
【0122】
(第6実施形態)
図25(a)および図25(b)は、第6実施形態に係る半導体発光装置10eを模式的に示す断面図である。図25(a)は、図1(a)におけるA−A断面に対応する断面図である。図25(b)は、図1(a)におけるB−B断面に対応する断面図である。
【0123】
半導体発光装置10eは、p形GaN層12と、n形GaN層11と、発光層13と、を覆うパッシべーション膜83を有する。パッシべーション膜83は、例えば、シリコン酸化膜、または、シリコン窒化膜であり、p形GaN層12と、n形GaN層11と、の間のリーク電流を低減する。また、各層の表面を保護し、信頼性を向上させる。
【0124】
パッシべーション膜83は、図5に示す工程において、p形GaN層12および発光層13の一部を選択的に除去し、n形GaN層11の一部を第2の主面15bの側に露出させた後、各層の表面に形成する。そして、パッシべーション膜83に、p側電極16およびn側電極17のコンタクト窓を形成し、例えば、リフトオフ法を用いて、p側電極16およびn側電極17を形成する。続いて、図7以降の工程を実施することにより、半導体装置10eを完成する。
【0125】
例えば、絶縁膜18に、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜を用いる場合には、パッシべーション膜83と絶縁膜18とを一体に形成することができる。
【0126】
なお、本願明細書において、「窒化物半導体」とは、BInAlGa1−x−y−zN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦x+y+z≦1)のIII−V族化合物半導体を含み、さらに、V族元素としては、N(窒素)に加えてリン(P)や砒素(As)などを含有する混晶も含むものとする。またさらに、導電型などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むもの、及び、意図せずに含まれる各種の元素をさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
5・・・基板、 10a、10b、10c、10d、10e・・・半導体発光装置、 11・・・n形GaN層、 11a・・・露出面、 12・・・p形GaN層、 13・・・発光層、 15・・・積層体、 15a・・・第1の主面、 15b・・・第2の主面、 16・・・p側電極、 17・・・n側電極、 18・・・絶縁層、 18a、18b・・・コンタクトホール、 18c・・・配線面、 19・・・シードメタル、 21、61・・・p側再配線層、 21a、22a・・・側面、 21b・・・切り欠き部、 22、62・・・n側再配線層、 23、43、63、73・・・p側配線層、 23a、24a、73a、74a・・・ボンディングパッド、 23b、24b、33a、34a・・・モニタパッド(端面)、 24、44、64、74・・・n側配線層、 25・・・絶縁樹脂層、 25a・・・表面、 25b・・・側面、 25c…側面、 26・・・レンズ、 27・・・透明樹脂層、 27a・・・出射面、 33、43b・・・p側ピラー部、 34、44b・・・n側ピラー部、 41、42、45・・・レジストマスク、 42a、42b、45a、45b、53・・・開口、 43a、44a・・・端面、 51・・・ダイシングブレード、83・・・パッシべーション膜、 100・・・実装基板、 101・・・パッド、 102・・・ハンダ、 103・・・実装面、 d1、d2・・・ダイシング領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第2半導体層と、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた発光層と、を含み、前記発光層が放射する発光を前記第2半導体層側の第1の主面から放出する積層体と、
前記積層体の前記第1の主面とは反対側の第2の主面側において、前記第1半導体層に接続された第1電極と、
前記積層体の前記第2の主面側において前記第2半導体層に接続された第2電極と、
前記第1電極に接続された第1配線層と、
前記第2電極に接続された第2配線層と、
前記第1配線層に接続された第1ピラー部と、
前記第2配線層に接続された第2ピラー部と、
前記積層体の前記第2の主面側に設けられ、前記第1配線層と、前記第2配線層と、第1ピラー部と、第2ピラー部と、を覆う絶縁層と、
を備え、
前記第1ピラー部は、前記第1の主面と平行な前記絶縁層の表面に露出した第1のモニタパッドを有し、
前記第1配線層は、前記絶縁層の前記表面に接する1つの側面に露出した第1のボンディングパッドを有し、
前記第2ピラー部は、前記絶縁層の前記表面に露出した第2のモニタパッドを有し、
前記第2配線層は、前記絶縁層の前記側面に露出した第2のボンディングパッドを有する半導体発光装置。
【請求項2】
前記第1のモニタパッドと、前記第2のモニタパッドと、は、形状及び大きさの少なくともいずれかが互いに異なる請求項1記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記第1のモニタパッドは、前記第1配線層よりも内側にあり、前記第2のモニタパッドは、前記第2配線層よりも内側にある請求項2または3に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記第1のモニタパッドと前記第1のボンディングパッドとは、前記絶縁層により分離され、
前記第2のモニタパッドと前記第2のボンディングパッドとは、前記絶縁層により分離されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体発光装置。
【請求項5】
第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第2半導体層と、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた発光層と、を含み、前記発光層が放射する発光を前記第2半導体層側の第1の主面から放出する積層体を有する半導体発光装置の製造方法であって、
前記積層体の前記第1の主面とは反対側の第2の主面側において、前記第1半導体層に第1電極を介して接続された第1配線層と、前記第2半導体層に第2電極を介して接続された第2配線層と、を形成する工程と、
前記第1配線層および前記第2配線層の前記第1電極および前記第2電極とは反対側の表面に、前記第1の主面に平行な平面視において、前記第1配線層よりも内側に位置する第1ピラー部と、前記第2配線層よりも内側に位置する第2ピラー部と、を形成する工程と、
前記第1配線層と、前記第2配線層と、前記第1ピラー部と、前記第2ピラー部と、を覆う絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層の表面を研磨もしくは研削し、前記第1ピラー部と、前記第2ピラー部と、を前記絶縁層の表面に露出させる工程と、
を備えた半導体発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1ピラー部および前記第2ピラー部は、メッキ法を用いて選択的に形成される請求項5記載の半導体発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1ピラー部および前記第2ピラー部は、前記第1配線層および前記第2配線層の表面を研削して形成される請求項5記載の半導体発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記積層体の1つの配列方向において、隣り合う2つの前記積層体のうちの一方に設けられた前記第1電極および前記第2電極の配置が、他方に設けられた前記第1電極および前記第2電極の配置に対して逆転するように形成された請求項5記載の半導体発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1電極に電気的に接続された第1再配線層と、前記第2電極に電気的に接続された第2再配線層と、を形成する工程をさらに備え、
前記第1再配線層と前記第2再配線層とが向き合う側の前記第1再配線層の角に切り欠き部が形成され、
前記第1再配線層の上に前記第1配線層、前記第2再配線層の上に前記第2配線層が形成される請求項5〜8のいずれか1つに記載の半導体発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記絶縁層の表面に露出した前記第1ピラー部および前記第2ピラー部を介して前記積層体に給電し、特性検査を行う工程をさらに備えた請求項5〜9のいずれか1つに記載の半導体発光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−212871(P2012−212871A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−52247(P2012−52247)
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】