説明

半導体素子とそれを用いた半導体装置

【課題】半導体素子の実装方法の違いによるコストアップを抑制する。
【解決手段】半導体素子10は、集積回路を有する基板11と、集積回路に対して同じ接続機能を有する電極として、基板11の同一主面11a上に、ワイヤー接続用電極1b、2b、3b及び4b及びバンプ接続用電極1a、2a、3a及び4aを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤー接続及びバンプ接続のいずれによっても実装可能な半導体素子と、それを実装した半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子は、集積回路を有する基板の一方の主面上に、実装基板上の接続電極と接続するための電極を備える。このような電極及び該電極に対応する実装方法の違いにより、2種類の半導体素子が知られている。具体的に、一つは主面上にワイヤー接続用電極を備える半導体素子であり、もう一つは、主面上にバンプ接続用電極を備える半導体素子である。
【0003】
このような半導体素子を開示する先行文献としては、例えば下記特許文献1がある。
【特許文献1】特開平2004−296464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の通り、従来、基板の主面上に複数のバンプ接続用電極が備えられた半導体素子と、基板の主面上に複数のワイヤー接続用電極が備えられた半導体素子との2種類の半導体素子がある。
【0005】
このため、実装基板上における実装密度を高める目的をもって、ワイヤー接続用の半導体素子からバンプ接続用の半導体素子に変更しようと考えたとしても、実際にはそのような変更は極めて困難であった。
【0006】
つまり、実装基板において、ワイヤー接続用の半導体素子を実装するための接続電極と、バンプ接続用の半導体素子を実装するための接続電極とでは配置が異なる。そのため、実装方法の異なる半導体素子に変更するためには、実装基板上の接続電極の配置を大幅に変更しなければならない場合がある。
【0007】
しかしながら、実装基板においては、種々の回路部品用の回路パターンも既に配置されている。このため、半導体素子用の接続電極について配置を大幅に変更するには、他の回路パターン等についても大幅に変更することが必要になる。従って、実装基板についての設計変更は避けることが多い。このような場合、同じ機能の半導体素子として、ワイヤー接続用電極を有するものと、バンプ接続用電極を有するものとの2種類の半導体素子を用意し、実装基板の都合に合わせて選択することが行なわれてきた。
【0008】
つまり、実装基板の大幅な設計変更を伴う半導体素子の変更(ワイヤー接続用の半導体素子からバンプ接続用の半導体素子への変更)が可能である場合と、不可能である場合とがある。このため、全てのワイヤー接続用の半導体素子をバンプ接続用の半導体素子に切り替えることはできず、2種類の半導体素子を並行して用いることが必要になる。
【0009】
しかしながら、このように2種類の半導体素子を用意するのは生産性が悪く、結果として大幅なコストアップの要因ともなる。よって、この点の解決が課題となっている。
【0010】
以上の課題に鑑み、本発明は、半導体素子において、2種類の半導体素子を用意することなくワイヤー接続及びバンプ接続のいずれによる実装も可能とし、コストアップを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するため、本発明に係る半導体素子は、集積回路を有する基板と、集積回路に対して同じ接続機能を有する電極として、基板の同一主面上に、ワイヤー接続用電極及びバンプ接続用電極を備える。
【0012】
本発明の半導体素子は、基板の同一主面上に、ワイヤー接続用電極及びバンプ接続用電極を共に備える。また、該ワイヤー接続用電極及びバンプ接続用電極は、半導体素子に備えられた集積回路に対する信号の入出力に関し、同じ機能を果たすことができるようになっている。このため、本実施の半導体素子は、ワイヤー接続用電極を用いたワイヤー接続及びバンプ接続用電極を用いたバンプ接続のどちらによる実装にも対応可能である。
【0013】
この結果、半導体素子の実装方法としてワイヤー接続及びバンプ接続のいずれも並行して必要である場合にも、ワイヤー接続用及びバンプ接続用の2種類の半導体素子を用意することは不要となり、コストを削減することができる。
【0014】
尚、ワイヤー接続用電極は、主面の周縁部に配置され、バンプ接続用電極は、主面においてワイヤー接続用電極よりも内側に配置されることが好ましい。
【0015】
このようにすると、ワイヤー接続及びバンプ接続のいずれについても容易に行なうことができる。
【0016】
ここで、ワイヤー接続による実装とバンプ接続による実装とでは、実装基板上において半導体素子は裏表が逆になる。よって、半導体素子を裏返して実装するためには、半導体素子との電気的接続を行なうための実装基板上の接続端子について、大幅な位置変更が必要になる可能性がある。
【0017】
この点については、集積回路に対して同じ接続機能を有するワイヤー接続用電極及びバンプ接続用電極として、基板の主面上における位置を適切に選択することにより回避可能である。このための選択方法については、以下に説明する。
【0018】
まず、主面を2つに分割する直線を定めるとき、ワイヤー接続用電極と、バンプ接続用電極とは、直線を挟んで互いに反対側に位置することが好ましい。
【0019】
このようにバンプ接続用電極及びワイヤー接続用電極が形成された主面を2つに分割する直線を考えると、該直線を軸として半導体素子を裏返すことができる。そこで、直線を挟んで反対側にあるバンプ接続用電極とワイヤー接続用電極とを一つのペアとして(一対として)、これら2つの電極が集積回路に対して同じ接続機能を有するようにする。
【0020】
このようにすると、ペアとなったワイヤー接続用電極及びバンプ接続用電極について、半導体素子を裏返す前の該ワイヤー接続用電極の位置と、裏返した後の該バンプ接続用電極の位置とが大きく変わるのを避けることができる。この場合の位置の変化は、直線に対して同じ側にあるバンプ接続用電極とワイヤー接続用電極とをペアとした場合よりも小さい。ここで、裏返す前のバンプ接続用電極の位置と、裏返した後のワイヤー接続用電極の位置とについても同様である。
【0021】
このため、実装基板上の接続端子について、実装方法の変更するとしても、変更の前後において大きな位置の変更は不要になる。よって、半導体素子の実装方法を容易に変更することができる。
【0022】
また、基板の主面を2行2列に分割する4つの領域を定めるとき、ワイヤー接続用電極は、ある一つの領域に位置し、バンプ接続用電極は、ある一つの領域に隣接する他の領域に位置することが好ましい。
【0023】
基板の主面を2行2列に分割する4つの領域を考えると、例えば実装基板上にて半導体素子を裏返す際、ある一つの領域が位置していた部分に、該一つの領域の隣の領域が位置するように裏返すことができる。そこで、それぞれの領域のワイヤー接続用電極に対し、隣の一領域の接続用電極をペアとし、集積回路に対して同じ接続機能を有するようにする。
【0024】
このようにすることによっても、実装基板上の接続端子を大きく移動することなく実装方法を変更可能な半導体素子が実現する。
【0025】
また、基板の主面を2行2列に分割する4つの領域を定めるとき、ワイヤー接続用電極は、ある一つの領域に位置し、バンプ接続用電極は、基板を裏返したときに一つの領域に対応する配置となる領域に位置することが好ましい。
【0026】
このようにすることによっても、実装基板上の接続端子を大きく移動することなく実装方法を変更可能な半導体素子が実現する。
【0027】
また、基板の主面を2行2列に分割する4つの領域を定め、時計回りに第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域とするとき、ワイヤー接続用電極及びバンプ接続用電極のペアを複数備え、複数のペアとして、第1領域に位置するワイヤー接続用電極と第2領域に位置するバンプ接続用電極とからなるペアと、第1領域に位置するバンプ接続用電極と第2領域に位置するワイヤー接続用電極とからなるペアと、第3領域に位置するワイヤー接続用電極と第4領域に位置するバンプ接続用電極とからなるペアと、第3領域に位置するバンプ接続用電極と第4領域に位置するワイヤー接続用電極からなるペアとが設けられていることが好ましい。
【0028】
このような半導体素子について、第1領域と第2領域との間の境界線を軸にして180°裏返すことを考える。このようにすると、裏返す前における第1領域のワイヤー接続用電極の位置の近傍に、裏返した後における第2領域のバンプ接続用電極が位置することになる。よって、第1領域のワイヤー接続用電極と第2領域のバンプ接続用電極とペアとなっていれば、当該ペアの電極のいずれかに対して接続される実装基板上の接続端子を大きく移動することは不要である。他のペアについても同様であり、実装基板上の接続端子を大きく移動することなく実装方法を変更可能な半導体素子が実現する。
【0029】
尚、基板は四角形であり、その少なくとも一つの角部にダミー電極を備えることが好ましい。
【0030】
ダミー電極は半導体素子の放熱性を向上させるために有効であり、特に、バンプ接続する際に実装基板上の接続端子と接続すると、より高い放熱効果が得られる。
【0031】
また、ダミー電極は、バンプ接続用電極電極よりも大きいことが好ましい。これにより、ダミー電極の放熱性が更に向上する。
【0032】
また、基板の複数の角にそれぞれダミー電極を備え、ダミー電極のうちの少なくとも一つに認識マークが付されていることが好ましい。
【0033】
このようにすると、半導体素子の実装等の操作を行なう際に、向きの認識等が容易になる。
【0034】
前記の目的を達成するため、本発明に係る半導体装置は、本発明に係る半導体素子と、半導体素子を実装する実装基板とを備え、半導体素子は、主面を実装基板とは反対側に向けて実装され、実装基板上における半導体素子の外側の領域に接続端子が複数設けられ、半導体素子のワイヤー接続用電極と、実装基板の接続端子とがワイヤーを介して接続されている。
【0035】
また、本発明に係る別の半導体装置は、本発明に係る半導体素子と、半導体素子を実装する実装基板とを備え、半導体素子は、主面を実装基板に向けて実装され、実装基板上における半導体素子の内側の領域に接続端子が複数設けられ、半導体素子のバンプ接続用電極と、実装基板の接続端子とがバンプを介して接続されている。
【0036】
このようにして、本発明の半導体素子を用いた半導体装置を構成できる。
【0037】
また、本発明に係る更に別の半導体装置は、本発明に係る半導体素子と、半導体素子を実装する実装基板とを備え、半導体素子は、主面を実装基板に向けて実装され、実装基板上における半導体素子の内側の領域に接続端子が複数設けられ、半導体素子のバンプ接続用電極と、実装基板の接続端子とがバンプを介して接続され、実装基板に設けられた放熱用電極と、半導体素子に設けられたダミー電極とがバンプを介して接続されている。
【0038】
このようにすると、本発明の半導体素子を用いており且つ放熱性の高い半導体装置を構成できる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の半導体素子によると、ワイヤー接続及びバンプ接続のどちらの方法によっても実装可能であると共に、実装基板上の接続端子について、小さな変更により異なる実装方法に対応することができる。このため、複数種類の半導体素子を用意することは不要となり、コストアップの抑制された極めて使いやすい半導体素子となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の一実施形態に係る半導体素子について、図面を参照しながら説明する。
【0041】
図1は、本発明の半導体素子10の平面構成を示す図である。半導体素子10は、集積回路(図示せず)を有する正方形の基板11を用いて構成されている。基板11の一方の主面11aにおいて、向かい合う辺の中点同士を結ぶ直線(20及び21)により2行2列の4つに等分された領域を考え、時計回りに第1領域1、第2領域2、第3領域3、第4領域4とする。図1においては、左上の領域を第1領域1としている。
【0042】
第1領域1において、基板11における主面11aの内側寄りの部分に、複数のバンプ接続用電極1aが分散して配置されている。これと共に、第1領域1における主面11aの周縁部に、複数のワイヤー接続用電極1bが配置されている。
【0043】
他の3つの領域2、3及び4についても、それぞれ、バンプ接続用電極2a、3a及び4aと、ワイヤー接続用電極2b、3b及び4bとがいずれも複数ずつ配置されている。つまり、基板11の一方の主面11aにおいて、周縁部にはワイヤー接続用電極1b、2b、3b及び4bが配置され、その内側にバンプ接続用電極1a、2a、3a及び4aが配置されている。
【0044】
尚、以下では、第1領域1におけるバンプ接続用電極1aを第1バンプ接続用電極1aと呼ぶことがある。同様に、他の領域及び他の構成要素に関しても、第2領域2におけるワイヤー接続用電極2bを第2ワイヤー接続用電極2bと呼ぶ等、領域の番号を付すことにより、該領域に配置された構成要素を指すことがある。
【0045】
このようなバンプ接続用電極1a、2a、3a及び4aと、ワイヤー接続用電極1b、2b、3b及び4bとは、それぞれペア(対)となっている。それぞれのペアを構成するバンプ接続用電極とワイヤー接続用電極とは、基板11が備える集積回路に対する信号の入出力に関して、同じ機能を果たす。つまり、実装基板に対して半導体素子10を実装する際には、ペアを構成するバンプ接続用電極及びワイヤー接続用電極のいずれか一方が実装基板に対して電気的に接続されていれば良い。
【0046】
ここで、どのワイヤー接続用電極と、どのバンプ接続用電極とをペアとするかという点については、後に説明する。
【0047】
また、基板11のコーナー部には、それぞれダミー電極が配置されている。ここでは、第1領域1〜第4領域4に対し、それぞれダミー電極1c〜4cが配置されている。また、第1領域のダミー電極1cについては、他の領域のダミー電極2c〜4cとは異なる平面形状を有しており、これによって認識用のマークとしての機能を持たせている。但し、第1〜第4ダミー電極1c〜4cの全てに別々の認識手段を設けることも可能である。
【0048】
以上のように、本実施形態の半導体素子10は、バンプ接続用電極1a〜4a及びワイヤー接続用電極1b〜4bを共に備えており、且つ、バンプ接続用電極とワイヤー接続用電極とがそれぞれペアとなって基板11の集積回路に対して同じ接続機能を有している。このため、半導体素子10は、ワイヤー接続及びバンプ接続のいずれの方法による実装を行なうことも可能になっている。
この結果、半導体素子をワイヤー接続するべき場合とバンプ接続するべき場合とが並行して存在する際にも、実装方法に応じて2種類の半導体素子を用意することは不要となり、低コスト化に効果がある。以下には、それぞれの実装方法について示す。
【0049】
図2は、半導体素子10をワイヤー接続により実装した場合を示す断面図である。
【0050】
図2において、半導体素子10は、ワイヤー接続用電極1b〜4bの形成された主面11aを上にして実装基板32上に搭載されている。実装基板32上における半導体素子10の搭載部分の外周には複数の接続端子33が設けられ、配線用のワイヤー37を介して半導体素子10のワイヤー接続用電極1b〜4bとそれぞれ接続されている。半導体素子10、ワイヤー37、接続端子33等は、封止樹脂38によって封止されている。
【0051】
また、実装基板32の半導体素子10搭載面とは反対側の面に、外部接続端子34が設けられ、それぞれ更に外部接続用バンプ36が設けられている。接続端子33と外部接続端子34とは、基板11を貫通する貫通電極35と配線42とを介して電気的に接続されている。
【0052】
以上のようにして、ワイヤー接続用電極1b〜4bを用いたワイヤー接続により半導体素子10を実装することができる。この場合、バンプ接続用電極1a〜4aについては利用されていない。
【0053】
次に、図3には、半導体素子10をバンプ接続により実装した場合の断面図を示している。
【0054】
図3において、半導体素子10は、バンプ接続用電極1a〜4aの形成された主面11aを下にして実装基板32a上に搭載されている。実装基板32a上における半導体素子10の下方に位置する領域に複数の接続端子33aが設けられ、バンプ41を介して半導体素子10のバンプ接続用電極1a〜4aとそれぞれ接続されている。半導体素子10と実装基板32aとの間には、封止樹脂38aが形成されている。
【0055】
尚、外部接続端子34、外部接続用バンプ36、貫通電極35、配線42等については、図2の場合と同様である。
【0056】
以上のようにして、バンプ接続用電極1a〜4aを用いたバンプ接続により半導体素子10を実装することができる。この場合、ワイヤー接続用電極1b〜4bについては利用されていない。
【0057】
ここで、ワイヤー接続を行なう場合の実装基板(図2)と、バンプ接続を行なう場合の実装基板(図3)とでは、半導体素子10を搭載する面における接続端子(33、33a)についてのみ異なる。更に、集積回路に大して同じ接続機能を有するワイヤー接続用電極及びバンプ接続用電極のペアを適切に選択することにより、接続端子に関する変更も僅かな移動のみとすることができる。
【0058】
以下、ペアを構成するワイヤー接続用電極及びバンプ接続用電極の選択について説明する。
【0059】
図4(a)は、半導体素子10をワイヤー接続によって実装する様子を示す平面図である。但し、ワイヤー接続用電極1b〜4b及びバンプ接続用電極1a〜4aについて、代表して数個ずつのみ示している。また、ダミー電極1c〜4cは示していない。
【0060】
同じ半導体素子10をバンプ接続によって実装する場合、半導体素子10は裏返しになる。図4(b)に、図4(a)の半導体素子10を裏返した状態の平面図を示す。ここでは、図4(a)に示す軸61に対して180°裏返すものとする。軸61は、向かい合う辺の中点同士を結ぶ線を通るものであり、ここでは第1領域1と第2領域2との間の境界線に沿っている。
【0061】
このように裏返すと、実装基板における元は第1領域1が配置されていた部分(図4(a)では左上)には、図4(b)に示す通り、第2領域2が配置されることになる。同様に、第2領域2の位置には第1領域1、第3領域3の位置には第4領域4、第4領域4の位置には第3領域3、のように配置が変わることになる。
【0062】
ここで、第1領域1の一つのワイヤー接続用電極1bに着目する。第1ワイヤー接続用電極1bは、例えば実装基板上の端子位置51に設けられた一つの接続端子とワイヤー接続されている。
【0063】
仮に、第1ワイヤー接続用電極1bと、同じ第1領域1のバンプ接続用電極1aとがペアであったとする。この場合、半導体素子10を裏返すと、図4(b)に示すように、第1バンプ接続用電極1aは、第1ワイヤー接続用電極1bがあった位置とは大きく異なる位置に配置されることになる。このため、端子位置51から大幅に接続端子の設計を変更しなければならない。
【0064】
よって、本実施形態の半導体素子10の場合、このような電極の選択は避ける。
【0065】
代わりに、半導体素子10では、図4(a)の通り、第1ワイヤー接続用電極1bは、隣の第2領域2中のバンプ接続用電極2aとがペアを構成している。この場合、半導体素子10を裏返したとしても、第2バンプ接続用電極2aは、第1ワイヤー接続用電極1bがあった位置とは僅かに異なるのみの位置に配置される。このため、接続端子の設計変更は小さなものでよい。
【0066】
このように、実装方法を変更するために半導体素子10を裏返した際に、裏返す前後において実装基板上の同じ部分に位置することになる領域同士に含まれるワイヤー接続用電極及びバンプ接続用電極をペアとする。これにより、実装基板に関する大きな設計変更を伴わずに半導体素子10の実装方法を変更することができる。
【0067】
また、回転の軸61を挟んで互いに反対側にあるワイヤー接続用電極とバンプ接続用電極とをペアにすると考えることもできる。軸61に平行な方向に関しては、できるだけ近い位置にあるバンプ接続用電極とワイヤー接続用電極とをペアにするのがよい。このためには、例えば、第1領域1にある第1バンプ接続用電極1aに対しては、第3領域3にある第3ワイヤー接続用電極3bではなく、第2領域2にある第2ワイヤー接続用電極2bをペアにする。
【0068】
尚、図4(a)及び(b)において、集積回路に対して同じ機能を有する電極のペアの別の例が、端子位置52、第4ワイヤー接続用電極4b、第4バンプ接続用電極4a及び第3バンプ接続用電極3aにより示されている。
【0069】
つまり、端子位置52の接続端子とワイヤー接続される第4ワイヤー接続用電極4bは、第3バンプ接続用電極3aとペアになっている。これにより、先の例ほど顕著ではないとしても、第4ワイヤー接続用電極4bが第4バンプ接続用電極4aとペアである場合に比べ、実装方法の変更による接続端子の設計変更は小さくなっている。
【0070】
このように、半導体素子10を裏返してた場合に実装基板の設計変更を小さくするためには、例えば、一つの領域のワイヤー接続用電極と、該一つの領域に隣接する領域のバンプ接続用電極とをペアとすればよい。
【0071】
具体的に個々に述べるとすれば、図1に平面図を示す半導体素子10において、第1ワイヤー接続用電極1bと第2バンプ接続用電極2a、第1バンプ接続用電極1aと第2ワイヤー接続用電極2b、第3ワイヤー接続用電極3bと第4バンプ接続用電極4a、第3バンプ接続用電極3aと第4ワイヤー接続用電極4b、というようにペアとし、それぞれ基板11に備えられた集積回路に対して同じ接続機能を有するようにする。
【0072】
以上、第1ワイヤー接続用電極1b等をいずれも一つずつのみ示して説明したが、これらの電極は図1のように複数ずつ備えられている。よって、以上の説明と同様の選択によって複数のペアを作れば良い。
【0073】
尚、図3には示されていないが、ダミー電極1c〜4cについても、実装基板32a上に設けられた放熱用電極にバンプを介して接続される。これにより、半導体素子10から実装基板32aへの放熱効率を向上することができる。また、図1に示した通り、ダミー電極1c〜4cを主面11aのコーナー部に設けると共にバンプ接続用電極1a〜4aよりも大きくするのがよい。これにより、半導体素子10の実装基板32aへの固定を確実にすると共に、放熱の効率を更に向上することができる。
【0074】
また、半導体素子10の向き(実装基板に対して各領域を配置させる向き)の認識、裏表を反転する操作等には、第1ダミー基板1cに設けた認識マークを活用することができる。
【0075】
尚、本実施形態では基板11が正方形である場合を説明したが、これには限らない。例えば、長方形の基板11を用いて構成された半導体素子であっても良い。また、第1領域1〜第4領域4が主面11aを4等分する(具体例として、向かい合う辺の中点同士を結ぶ二本の直線20及び21により分割する)ものとして説明し、これは望ましい形態である。しかし、このように厳密に4等分することが不可欠というものではない。
【0076】
(変形例)
以下に、前記実施形態の変形例を説明する。
【0077】
前記実施形態においては、図4(a)及び(b)に示す通り、第1領域1と第2領域2との境界線に沿う軸61によって半導体素子10を裏返す場合を説明した。しかし、図5(a)及び(b)に示すように、正方形の基板11を有する半導体素子10は、その対角線に沿う軸62によって裏返すことも可能である。
【0078】
この場合、半導体素子10を裏返したとしても、第1領域1及び第3領域3については、裏返しの前後で実装基板上での配置が変わらない。第2領域2及び第4領域4は、裏返しの前後で配置が逆になる。
【0079】
この場合も、裏返す前後において実装基板上の同じ部分に位置することになる領域同士に含まれるワイヤー接続用電極及びバンプ接続用電極をペアとして、集積回路に大して同じ接続機能を有するようにする。
【0080】
例を挙げると、第1領域1は半導体素子10を裏返しても同じ配置になるのであるから、第1ワイヤー接続用電極1bと第1バンプ接続用電極1aとをペアにする。これにより、端子位置53にあった接続端子の設計変更は小さなものとなる。
【0081】
また、第2領域2の位置には半導体素子10を裏返すと第4領域4が配置されるのであるから、第2ワイヤー接続用電極2bと第4バンプ接続用電極4aとをペアにする。これにより、端子位置54にあった接続端子の設計変更は、やはり小さなものとなる。
【0082】
また、この場合も、回転の軸62を挟んで互いに反対側にあるワイヤー接続用電極とバンプ接続用電極とをペアとするのがよい。例えば、図5(a)及び(b)において、軸62に対して第1ワイヤー接続用電極1bと同じ側に位置する他の第1バンプ接続用電極1xを考える。該他の第1バンプ接続用電極1xと第1ワイヤー接続用電極1bとがペアである場合、第1バンプ接続用電極1aと第1ワイヤー接続用電極1bとがペアである場合に比べて、図5(b)に示される通り、端子位置53の接続端子に関して要求される設計変更は大きくなる。
【0083】
このため、半導体素子を裏返す際の軸を挟んで反対側にあるワイヤー接続用電極とバンプ接続用電極とをペアとするのが良い。尚、正方形である主面11aの対角線を回転の軸62にしているため、軸62は主面11aを線対称に分割している。このような軸の取り方は望ましいものであるが、これに限定するわけではない。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の半導体素子は、ワイヤー接続及びバンプ接続のいずれの実装方法によっても実装可能であると共に、実装基板における小さな設計変更によって実装方法を変更することができ、低コストで使いやすい半導体素子として有用である。また、このような半導体素子を実装した半導体装置は、低コストな半導体装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る半導体素子の平面構成を示す図である。
【図2】図2は、図1の半導体素子をワイヤー接続によって実装基板に実装した半導体装置の断面を示す図である。
【図3】図3は、図1の半導体素子をバンプ接続によって実装基板に実装した半導体装置の断面を示す図である。
【図4】図4(a)及び(b)は、図1の半導体素子をワイヤー接続した場合とバンプ接続した場合について、実装基板上の接続端子に必要とされる設計変更の程度を説明する図である。
【図5】図5(a)及び(b)は、図4(a)及び(b)と同様に、図1の半導体素子の実装方法を変更した際の実装基板における設計変更に関して説明する図である。
【符号の説明】
【0086】
1 第1領域
1a 第1バンプ接続用電極
1b 第1ワイヤー接続用電極
1c 第1ダミー基板
1x 他の第1バンプ接続用電極
2 第2領域
2a 第2バンプ接続用電極
2b 第2ワイヤー接続用電極
2c 第2ダミー基板
3 第3領域
3a 第3バンプ接続用電極
3b 第3ワイヤー接続用電極
3c 第3ダミー電極
4 第4領域
4a 第4バンプ接続用電極
4b 第4ワイヤー接続用電極
4c 第4ダミー電極
10 半導体素子
11 基板
11a 主面
20、21 破線
32 実装基板
32a 実装基板
33 接続端子
33a 接続端子
34 外部接続端子
35 貫通電極
36 外部接続用バンプ
37 ワイヤー
38 封止樹脂
38a 封止樹脂
41 バンプ
42 端子位置
42 配線
51〜54 端子位置
61、62 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路を有する基板と、
前記集積回路に対して同じ接続機能を有する電極として、前記基板の同一主面上に、ワイヤー接続用電極及びバンプ接続用電極を備えることを特徴とする半導体素子。
【請求項2】
請求項2において、
前記ワイヤー接続用電極は、前記主面の周縁部に配置され、
前記バンプ接続用電極は、前記主面において前記ワイヤー接続用電極よりも内側に配置されることを特徴とする半導体素子。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記主面を2つに分割する直線を定めるとき、
前記ワイヤー接続用電極と、前記バンプ接続用電極とは、前記直線を挟んで互いに反対側に位置することを特徴とする半導体素子。
【請求項4】
請求項1又は2において、
前記基板の前記主面を2行2列に分割する4つの領域を定めるとき、
前記ワイヤー接続用電極は、ある一つの前記領域に位置し、
前記バンプ接続用電極は、前記ある一つの領域に隣接する他の領域に位置することを特徴とする半導体素子。
【請求項5】
請求項1又は2において、
前記基板の前記主面を2行2列に分割する4つの領域を定めるとき、
前記ワイヤー接続用電極は、ある一つの前記領域に位置し、
前記バンプ接続用電極は、前記基板を裏返したときに前記一つの領域に対応する配置となる領域に位置することを特徴とする半導体素子。
【請求項6】
請求項1又は2において、
前記基板の前記主面を2行2列に分割する4つの領域を定め、時計回りに第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域とするとき、
前記ワイヤー接続用電極及び前記バンプ接続用電極のペアを複数備え、
前記複数のペアとして、
前記第1領域に位置する前記ワイヤー接続用電極と前記第2領域に位置する前記バンプ接続用電極とからなるペアと、
前記第1領域に位置する前記バンプ接続用電極と前記第2領域に位置する前記ワイヤー接続用電極とからなるペアと、
前記第3領域に位置する前記ワイヤー接続用電極と前記第4領域に位置する前記バンプ接続用電極とからなるペアと、
前記第3領域に位置する前記バンプ接続用電極と前記第4領域に位置する前記ワイヤー接続用電極からなるペアとが設けられていることを特徴とする半導体素子。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つにおいて、
前記基板は四角形であり、その少なくとも一つの角部にダミー電極を備えることを特徴とする半導体素子。
【請求項8】
請求項7において、
前記ダミー電極は、前記バンプ接続用電極よりも大きいことを特徴とする半導体素子。
【請求項9】
請求項7又は8において、
前記ダミー電極のうちの少なくとも一つに認識マークが付されていることを特徴とする半導体素子。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一つの半導体素子と、
前記半導体素子を実装する実装基板とを備え、
前記半導体素子は、前記主面を前記実装基板とは反対側に向けて実装され、
前記実装基板上における前記半導体素子の外側の領域に接続端子が複数設けられ、
前記半導体素子の前記ワイヤー接続用電極と、前記実装基板の前記接続端子とがワイヤーを介して接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一つの半導体素子と、
前記半導体素子を実装する実装基板とを備え、
前記半導体素子は、前記主面を前記実装基板に向けて実装され、
前記実装基板上における前記半導体素子の内側の領域に接続端子が複数設けられ、
前記半導体素子の前記バンプ接続用電極と、前記実装基板の前記接続端子とがバンプを介して接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項7〜9のいずれか一つの半導体素子と、
前記半導体素子を実装する実装基板とを備え、
前記半導体素子は、前記主面を前記実装基板に向けて実装され、
前記実装基板上における前記半導体素子の内側の領域に接続端子が複数設けられ、
前記半導体素子の前記バンプ接続用電極と、前記実装基板の前記接続端子とがバンプを介して接続され、
前記実装基板に設けられた放熱用電極と、前記半導体素子に設けられた前記ダミー電極とがバンプを介して接続されていることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−283718(P2009−283718A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−134697(P2008−134697)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】