説明

半導体装置とその製造方法

【課題】半導体装置とその製造方法において、回路基板の反りを矯正すること。
【解決手段】一方の主面1aに第1の電極2を備えた回路基板1と、主面1aに対向して設けられ、第1の端子5を介して第1の電極2に接続された半導体素子6と、主面1aと半導体素子6との間に充填され、半導体素子6の外周側面6aを覆う封止樹脂23とを有し、封止樹脂23の外周側面23xが、回路基板1の主面1aに対して垂直である半導体装置による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サーバーやパーソナルコンピュータ等の電子機器には、CPU(Central Processing Unit)モジュール等の様々な半導体装置が搭載される。その半導体装置は回路基板上に半導体素子を実装してなり、回路基板としてはビルドアップ基板やセラミック基板等が使用される。
【0003】
ここで、回路基板に半導体素子を実装するときに回路基板に反りが発生していると、その反りが原因で回路基板と半導体素子との位置合わせ精度が低下してしまう。また、反りによって実装後の半導体素子や電子部品に応力が加わり、これらと回路基板との接続信頼性が低下する。
【0004】
そのため、半導体装置を製造するときには、回路基板の反りを矯正し、回路基板の平坦性を維持しておくのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−200851号公報
【特許文献2】特開平9−199631号公報
【特許文献3】特開平11−307592号公報
【特許文献4】国際公開第2006/054637号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体装置とその製造方法において、回路基板の反りを矯正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の開示の一観点によれば、一方の主面に第1の電極を備えた回路基板と、前記主面に対向して設けられ、第1の端子を介して前記第1の電極に接続された半導体素子と、前記主面と前記半導体素子との間に充填され、前記半導体素子の外周側面を覆う封止樹脂とを有し、前記封止樹脂の外周側面が、前記回路基板の前記主面に対して垂直である半導体装置が提供される。
【0008】
また、その開示の他の観点によれば、支持体の上に、開口を備えたプレートを接着する工程と、前記開口内に半導体素子を入れ、該開口内に露出する前記支持体に前記半導体素子の第1の端子を接着する工程と、前記第1の端子を接着した後、前記開口内に封止樹脂を充填する工程と、前記封止樹脂を充填した後、前記プレートと前記第1の端子から前記支持体を剥離することにより、前記第1の端子を露出させる工程と、回路基板の第1の電極に、前記半導体素子の前記露出した第1の端子を接続する工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
以下の開示によれば、プレートによって回路基板の反りが矯正されるので、半導体素子の第1の端子と回路基板の第1の電極との位置ずれが抑制され、半導体素子と回路基板の接続信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1(a)〜(c)は、予備的事項に係る半導体装置の製造途中の断面図(その1)である。
【図2】図2は、予備的事項に係る半導体装置の製造途中の断面図(その2)である。
【図3】図3(a)は第1実施形態で使用するプレートの平面図であり、図3(b)は図3(a)のI−I線に沿う断面図である。
【図4】図4(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その1)である。
【図5】図5(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その2)である。
【図6】図6(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その3)である。
【図7】図7(a)、(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その4)である。
【図8】図8は、第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その5)である。
【図9】図9(a)、(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その1)である。
【図10】図10(a)、(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その2)である。
【図11】図11は、第2実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態の説明に先立ち、基礎となる予備的事項について説明する。
【0012】
図1及び図2は、予備的事項に係る半導体装置の製造途中の断面図である。
【0013】
本例では、半導体装置としてサーバーやパーソナルコンピュータに使用されるFCBGA(Flip Chip Ball Grid Array)を以下のようにして製造する。
【0014】
まず、図1(a)に示すように、回路基板1として複数の配線層を備えたビルドアップ基板を用意する。その回路基板1の一方の主面1aには、半導体素子の端子に対応する複数の第1の電極2と、後述の電子部品の端子に対応する複数の第2の電極3とが形成される。
【0015】
また、回路基板1の他方の主面1bには、後で外部接続端子が接合される複数の第3の電極4が設けられる。
【0016】
各電極2〜4は、例えば、銅めっき膜等の導電膜をパターニングすることにより形成される。
【0017】
そして、その回路基板1の上に半導体素子6としてCPU(Central Processing Unit)を載せ、その半導体素子6が備えるはんだバンプ等の第1の端子5を加熱して溶融することにより、端子5を介して半導体素子6と回路基板1とを機械的かつ電気的に接続する。このような接続態様はフリップチップ接続とも呼ばれる。
【0018】
端子5は、このように半導体素子6と回路基板1とを接続する役割を担うが、半導体素子6と回路基板1の各々の熱膨張率が異なるため、半導体装置の製造時の温度変動によって端子5に大きな応力が印加されるおそれがある。
【0019】
そこで、次の工程では、図1(b)に示すように、半導体素子6と回路基板1との間の隙間にアンダーフィル樹脂7として熱硬化性の樹脂を充填した後、そのアンダーフィル樹脂7を熱硬化する。これにより、回路基板1と半導体素子6との接続強度が補強されると共に、温度変動に伴って端子5に加わる応力を軽減することができる。
【0020】
また、そのアンダーフィル樹脂7は、接続強度の補強だけでなく、回路基板1と半導体素子6との隙間に外部雰囲気やダストが入り込むのを防止する役割も担う。
【0021】
次に、図1(c)に示す工程について説明する。
【0022】
上記のように、回路基板1と半導体素子6の各々の熱膨張率は大きく異なる。例えば、シリコンを主にしてなる半導体素子6の熱膨張率は約3.5ppm/℃程度であるのに対し、樹脂を主体にしてなる回路基板1の熱膨張率はこれよりも大きな約17ppm/℃程度である。
【0023】
このような熱膨張率の差が原因で、半導体基板1と半導体素子6に熱履歴が加わると、図1(c)の点線に示すように半導体基板1が反ることがある。特に、半導体装置の低コスト化を図るために、回路基板1としてセラミック基板や樹脂を主体としたビルドアップ基板を用いる場合、回路基板1と半導体素子6との熱膨張率の差が大きくなり、このような反りが顕著に現れる。
【0024】
本工程では、回路基板1の第2の電極3に、はんだ付けによりコンデンサ等の電子部品9の第2の端子9aを接続するのであるが、このような基板の反りによって電子部品9と第2の電極3との間に位置ずれが生じる可能性がある。
【0025】
この後は、図2に示すように、回路基板1の第3の電極4に、外部接続端子11としてはんだバンプを接合し、本例に係る半導体装置の基本構造を完成させる。
【0026】
以上説明した半導体装置の製造方法では、図1(c)を参照して説明したように、回路基板1の反りが原因で、当該基板1に電子部品9を高精度に搭載するのが困難である。
【0027】
このような問題は、半導体素子6と電子部品9の搭載順序を上記とは逆にしても起こりうる。
【0028】
例えば、半導体素子6よりも先に電子部品9を回路基板1に実装すると、回路基板1に電子部品9を実装するときのはんだ付けの熱によって回路基板1に熱履歴が加わる。回路基板1は、熱膨張率の異なる絶縁層や配線層を積層してなるため、このように熱履歴が加わると上記と同様に反りが発生する。よって、回路基板1に半導体素子6を実装するとき、基板1の反りによって端子5と第1の電極2との位置合わせが困難となる。
【0029】
特に、FCBGA用の端子5の直径は約20μmと微細なので、端子と第1の電極2との位置合わせの困難性が増す。
【0030】
一方、上記した図1(b)の工程では、アンダーフィル樹脂7が半導体素子6の下面からはみ出して半導体素子6の外周側面の一部にも形成される。このようにアンダーフィル樹脂7を広範な領域に形成することで、半導体素子6とアンダーフィル樹脂7との接触面積が増大し、半導体素子6と回路基板1との接続信頼性が向上する。
【0031】
しかしながら、このように半導体素子6からアンダーフィル樹脂7がはみ出すと、図1(c)に示されるように、はみ出したアンダーフィル樹脂7が邪魔で半導体素子6と電子部品9との間隔Dを縮めることができない。その間隔Dは、典型的には、2mm〜5mm程度の大きな値となる。
【0032】
特に、電子部品9がデカップリング用のコンデンサである場合には、このように間隔Dが広まると、電子部品9と半導体素子6との配線の引き回し距離が長くなり、半導体素子6内の電源電圧のふらつきをコンデンサで吸収し難くなってしまう。
【0033】
更に、上記のように間隔Dの縮小が困難だと、回路基板1上において半導体素子6と電子部品9の実装密度が低下し、半導体装置の小型化の要求にこたえることができない。
【0034】
本願発明者は、このような知見に鑑み、以下に説明するような本実施形態に想到した。
【0035】
(第1実施形態)
図3(a)は本実施形態で使用するプレートの平面図であり、図3(b)は図3(a)のI−I線に沿う断面図である。
【0036】
また、図4〜図8は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。なお、これらの図において、予備的事項で説明したのと同じ要素には予備的事項におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0037】
本実施形態では、以下のようにして半導体装置としてFCBGA型の半導体パッケージを製造する。
【0038】
まず、図3(a)、(b)に示すように、開口20aを備えた銅製のプレート20を用意する。
【0039】
プレート20の材料は銅に限定されない。銅に代えて、アルミニウムとシリコンとの合金や、銅とシリコンとの合金を使用し得る。また、プラスチック等の樹脂もプレート20の材料として採用され得る。
【0040】
更に、プレート20のサイズも特に限定されないが、本実施形態ではプレート20の平面サイズを一辺の長さが約50mmの正方形とし、プレート20の厚さを約2mmとする。
【0041】
また、開口20aの側面はプレート20の一方の主面20xに対して垂直に形成され、開口20aの平面サイズは一辺の長さが約30mmの正方形である。
【0042】
次いで、図4(a)に示すように、支持体として供される接着シート21を用意し、その接着シート21の接着層21aに上記のプレート20を接着する。
【0043】
その接着シート21は後でプレート20から剥離するので、その剥離が容易に行えるように、接着層21aの材料としては紫外線硬化性の接着剤や、熱発泡性の接着剤を用いるのが好ましい。
【0044】
本実施形態では、接着シート21として、接着層21aに紫外線硬化型の接着剤を使用した日東電工社製のNBD-5000を使用する。本工程が終了した時点では、その接着層21aは硬化しておらず、接着層21aの接着力は維持されている。
【0045】
次に、図4(b)に示す工程について説明する。
【0046】
まず、チップマウント装置が備えるステージ22上に、上記の接着シート21とプレート20とを載置する。
【0047】
そのステージ22の表面には位置合わせマークMとして複数の凹部が形成されており、その位置合わせマークMを利用してステージ22とプレート20との位置合わせが行われる。
【0048】
次いで、不図示のハンドラを用いて半導体素子6を把持し、ステージ22の上方に半導体素子6を配する。そして、この状態で、カメラCにより位置合わせマークMと半導体素子6の外観とを観察して、これらのマークMと半導体素子6との位置合わせを行う。
【0049】
ここで、接着シート21が十分に薄い場合には、接着シート21を通してマークMが可視光で透けて見えるが、接着シート21が厚い場合にはカメラCでマークMを認識するのが困難である。その場合は、カメラCとして赤外線カメラを利用するのが好ましい。赤外線は、シート21を透過するので、カメラCによりマークMを認識することができる。
【0050】
また、半導体素子6は、第1の端子5として供されるはんだバンプを備える。その第1の端子5の個数と材料は特に限定されないが、本実施形態ではSn-3.0Agはんだを含む第1の端子5を、半導体素子6の回路形成面に2200個設ける。
【0051】
更に、半導体素子6のサイズは、一辺の長さが約20mmの正方形であり、厚さは約0.65mmである。
【0052】
その後、図5(a)に示すように、不図示のハンドラを用いて開口20a内に半導体素子6を入れ、開口20a内に露出する接着シート21上に半導体素子6を載置することにより、半導体素子6の第1の端子5を接着層21aに接着する。
【0053】
続いて、図5(b)に示すように、不図示のハンドラを用い、開口内20a内に電子部品9としてデカップリング用のコンデンサを入れ、その電子部品9の第2の端子9aを接着層21aに接着する。
【0054】
そのコンデンサのサイズは特に限定されないが、本実施形態では長辺の長さが10mmで短辺の長さが5mmの矩形状の平面形状を有するコンデンサを使用する。
【0055】
この段階では、半導体素子6の回路形成面にアンダーフィル樹脂がないので、アンダーフィル樹脂のはみ出しによって電子部品9と半導体素子6との間隔Dが制限されない。
【0056】
よって、本実施形態では、その間隔Dを可能な限り縮めることが可能となり、例えば間隔Dを0.5mm程度の微細な値にすることができる。
【0057】
なお、上記では、先に接着シート21に半導体素子6を接着した後に電子部品9を接着したが、接着順序はこれに限定されず、先に電子部品9を接着し、次いで半導体素子6を接着してもよい。
【0058】
次いで、図6(a)に示すように、約30℃程度の温度に加熱されているホットプレート29上に接着シート21とプレート20とを移動させる。
【0059】
そして、シリンジ31を利用して開口20a内に封止樹脂23を充填する。封止樹脂23の充填順序は特に限定されない。例えば、半導体素子6の一辺の中央付近にシリンジ31を配し、当該箇所から半導体素子6と接着シート21との間の隙間に封止樹脂23を充填した後、開口9a内の全域に封止樹脂23を充填するのが好ましい。
【0060】
このとき、半導体素子6と電子部品9は接着シート21に接着されているので、封止樹脂23から加わる力が原因で半導体素子6と電子部品9とが位置ずれを起こすのを抑制できる。
【0061】
このように封止樹脂23を充填することにより、半導体素子6の外周側面6aと上面6bが封止樹脂23で覆われる。また、これと共に、半導体素子6と電子部品9とが封止樹脂23によって共通に覆われ、半導体素子6と電子部品9とを外部雰囲気から隔離することができる。
【0062】
また、封止樹脂23は、ナミックス社製のG8345-6等の熱硬化性の樹脂であり、ホットプレート29の熱により熱硬化する。
【0063】
そして、封止樹脂23が十分に熱硬化した後、ホットプレート29からプレート20と接着シート21とを下ろす。
【0064】
次いで、図6(b)に示すように、接着シート21に紫外線を照射することにより接着層21aを硬化してその接着力を弱め、プレート20と各端子5、9aから接着シート21を剥離する。
【0065】
なお、接着層21aの材料として熱発泡性の接着剤を使用する場合には、接着層21aを加熱してその接着力を弱めればよい。
【0066】
このように接着シート21を剥離すると、封止樹脂23の表面に各端子5、9aの表面が露出する。但し、球形の第1の端子5はその頂点部分が封止樹脂23から僅かに露出しているだけで、封止樹脂23の全表面において第1の端子5が露出している部分は極僅かである。
【0067】
そこで、図6(b)の点線円内に示すように、接着シート21を剥離した側の封止樹脂23の表層部分を研削して除去することにより、封止樹脂23の表面23xから露出する部分の第1の端子5の面積を増やすのが好ましい。このように研削すると、電子部品9の第2の端子9aの表面9xも研削され、当該表面9xに付着している接着層21aの材料等の不純物を除去できる。
【0068】
その研削量は特に限定されないが、本実施形態では封止樹脂23の表面23xから約5μmの深さまで研削する。
【0069】
続いて、図7(a)に示すような回路基板1を用意する。
【0070】
回路基板1は、複数の配線を積層してなるビルドアップ基板であって、一辺が約50mmの正方形の平面形状を有し、その厚さは約1.5mmである。
【0071】
その回路基板1の一方の主面1aには、端子5、9aの各々に対応する位置に第1の電極2と第2の電極3が設けられる。
【0072】
各電極2、3は、例えば銅膜をパターニングしてなり、点線円内に示すようにソルダレジスト層28から露出する。そして、各電極2、3の上には、印刷法により予備はんだ27としてSn-3.5Ag-0.7Cuはんだペーストが塗布される。
【0073】
更に、その予備はんだ27とソルダレジスト層28の上には、熱硬化性樹脂を含む樹脂塗膜30が塗布される。樹脂塗膜30は、回路基板1の上側全面に形成され、予備はんだ27や第1の端子5の各々の酸化皮膜を除去するためのフラックス成分を含有させておくのが好ましい。
【0074】
一方、回路基板1の他方の主面1bには、銅膜等をパターニングしてなる第3の電極4が設けられる。
【0075】
そして、この回路基板1とプレート20とを位置合わせすることにより、第1の電極2の上方に第1の端子5が位置し、第2の電極3の上方に第2の端子9aが位置するようにする。
【0076】
次いで、図7(b)に示すように、回路基板1の一方の主面1aに導体プレート2を載せると共に、第1の端子5と予備はんだ27とを加熱して溶融する。加熱条件は特に限定されない。本実施形態では、リフロー炉を用いて、220℃以上の加熱時間を5分間維持し、最高温度を245℃とする温度プロファイルによりこの加熱を行う。
【0077】
そして、溶融した第1の端子5と予備はんだ27とが冷えて固化すると、これらによって半導体素子6と回路基板1とが電気的かつ機械的に接続される。また、電子部品9は、固化した予備はんだ27によって回路基板1に電気的かつ機械的に接続される。
【0078】
更に、上記のように第1の端子5と予備はんだ27とを加熱したことで、熱硬化性樹脂を含む樹脂塗膜30が熱硬化する。その結果、プレート20や封止樹脂23が樹脂塗膜23によって回路基板1に固着され、半導体素子6と回路基板1との接続強度を補強することができる。
【0079】
また、図6(b)の工程で封止樹脂23の表層部分を除去して各端子5、9aの表面を露出させたので、これらの端子5、9aと各電極2、3との間に封止樹脂23が介在する危険性が少なくなり、回路基板1と半導体素子6との導通が確保される。
【0080】
しかも、上記のように加熱によって軟らかくなった回路基板1がプレート20の自重で押さえつけられることで、回路基板1の反りが矯正され、回路基板1の平坦性が良好となる。その結果、回路基板1の反りが原因で第1の端子5と第1の電極2とが位置ずれしたり、第2の端子9aと第2の電極3とが位置ずれしたりするのを抑制できる。これにより、半導体素子6と回路基板1との間の接続不良や、電子部品9と回路基板1との間の接続不良を防止できる。
【0081】
特に、導体プレート20の材料として銅等の金属を使用すると、導体プレート20が重くなり、回路基板1の反りの矯正が容易になる。
【0082】
その後、図8に示すように、第3の電極4の上に外部接続端子11として直径が約0.85mmのはんだバンプを接合させ、本実施形態に係るFCBGA型の半導体装置の基本構造を完成させる。
【0083】
その半導体装置においては、プレート20の開口20a内に封止樹脂23を充填したことにより、封止樹脂23の外周側面23xが開口20aの側面に一致するようになり、当該外周側面23xが回路基板1の主面1aに対して垂直になる。
【0084】
なお、本実施形態はこれに限定されず、外部接続端子11を設けずに第3の電極4を外部接続端子として使用することにより、LGA(Land Grid Array)型の半導体装置を作製してもよい。
【0085】
また、導体プレート20については、本工程の後に除去してもよいし、それを残したまま製品として出荷してもよい。前者の場合、導体プレート20に接する部分の回路基板1の表面に樹脂塗膜30(図7(a)参照)を塗布しないことで、導体プレート20の除去が容易となる。
【0086】
一方、後者のように製品中に導体プレート20を残す場合は、導体プレート20との熱膨張率差が原因の回路基板1の反りを抑制するために、樹脂を主にしてなる回路基板1に合わせ、導体プレート20の材料として樹脂を選択するのが好ましい。
【0087】
以上説明した本実施形態では、図7(b)を参照して説明したように、導体プレート20の自重により回路基板1の反りが矯正され、各端子5、9aと各電極2、3との位置ずれが防止される。
【0088】
また、図5(b)を参照して説明したように、接着シート21上に電子部品9を接着する際には、半導体素子6の下面にアンダーフィル樹脂が充填されていない。その結果、半導体素子6の外周側面からのアンダーフィル樹脂のはみ出しが原因で半導体素子6と電子部品9との間隔Dが広まるのを抑制でき、半導体素子6と電子部品9とを高密度に実装できる。
【0089】
特に、電子部品9としてデカップリング用のコンデンサを使用する場合は、間隔Dを縮めることで電子部品9と半導体素子6との配線の引き回し距離を短縮できるので、半導体素子6内の電源電圧のふらつきを電子部品9で効率的に吸収できるようになる。
【0090】
また、半導体素子6がその全方向から封止樹脂23で包み込まれるので、回路基板1からの応力や外部からの機械的な衝撃が半導体素子6に直接作用し難くなり、半導体素子6の機械的強度を補強することができる。
【0091】
次に、本願発明者が行った調査結果について説明する。
【0092】
その調査では、完成した半導体装置において、2200個の第1の端子5と第1の電極2との間の導通確認と、各電子部品9と第2の電極3との間の導通確認をした。そして、これらの導通が確保されていることを確認した後、−55℃と125℃の間で加熱と冷却とを繰り返す温度サイクル試験を1000サイクル行った。その結果、第1の端子5と第1の電極2との間や、電子部品9と第2の電極3との間に接続不良が発生していないことが確認できた。
【0093】
更に、上記のように電子部品9と半導体素子6との間隔Dを0.5mm程度に縮めても、電子部品9や半導体素子6に接続不良は発生しなかった。
【0094】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態の封止樹脂23として感光性樹脂を使用する。
【0095】
図9〜図11は、本実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。なお、これらの図において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0096】
まず、第1実施形態で説明した図4(a)〜図6(a)の工程を行うことにより、図9(a)に示す断面構造を得る。但し、本実施形態では、封止樹脂23として熱硬化性のポジ型の感光性樹脂を使用する。そのような感光性樹脂としては、例えば、スリーボンド社製のTB3036がある。
【0097】
次に、図9(b)に示すように、接着シート21を通して封止樹脂23に紫外線Lを照射することにより、封止樹脂23内に半導体素子6と電子部品9の影Sを作る。これにより、影Sが作られた部分の封止樹脂23は未露光の状態となるが、影Sがない部分の封止樹脂23には感光部23aが形成される。そして、これら未露光の部分と感光部23aからなる潜像が封止樹脂23内に影Sに対応して形成される。
【0098】
次に、図10(a)に示すように、封止樹脂23を現像することにより、影Sが生じていた部分の封止樹脂23を除去し、半導体素子6と電子部品9の各々の上面を露出させる。
【0099】
次いで、図10(b)に示すように、第1実施形態の図8と同様にして回路基板1の第3の電極4に外部接続端子11としてはんだバンプを接合する。
【0100】
そして、図11に示すように、露出した半導体素子6の上面に合う凸部36aを備えた金属製の放熱板36を用意し、その凸部36aが半導体素子6の上面に接続されるように、接着剤によりプレート20に放熱板36を接着する。このとき、プレート20だけでなく、半導体素子6の上面にも接着剤を塗布してもよい。
【0101】
以上により、本実施形態に係る半導体装置の基本構造が完成した。
【0102】
上記した本実施形態では、図10(a)を参照して説明したように、感光性の封止樹脂23を露光、現像することにより、半導体素子6の上面から封止樹脂23を除去できる。これにより、図11のように半導体素子6の上面に放熱板36を密着させることができるようになり、実使用下において半導体素子6で発生した熱を放熱板36を通じて外部に速やかに放熱することができる。
【0103】
なお、このように放熱板36を設けた状態で第1実施形態と同じ温度サイクル試験を行っても、半導体素子6と回路基板1との間に接続不良は発生しなかった。
【0104】
以上説明した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0105】
(付記1) 一方の主面に第1の電極を備えた回路基板と、
前記主面に対向して設けられ、第1の端子を介して前記第1の電極に接続された半導体素子と、
前記主面と前記半導体素子との間に充填され、前記半導体素子の外周側面を覆う封止樹脂とを有し、
前記封止樹脂の外周側面が、前記回路基板の前記主面に対して垂直であることを特徴とする半導体装置。
【0106】
(付記2) 前記回路基板の前記主面に固着され、前記半導体素子を収容する開口を備えたプレートを更に有し、
前記封止樹脂が、前記開口内に充填されたことを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
【0107】
(付記3) 前記回路基板の前記主面に設けられた第2の電極と、
第2の端子を備えた電子部品とを更に有し、
前記第2の端子が前記第2の電極に接続され、前記封止樹脂が前記半導体素子と前記電子部品とを共通に覆うことを特徴とする付記1又は付記2に記載の半導体装置。(3、図8)
(付記4) 前記半導体素子の上面において前記封止樹脂が除去され、前記半導体素子の前記上面に放熱板が接続されたことを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の半導体装置。
【0108】
(付記5) 支持体の上に、開口を備えたプレートを接着する工程と、
前記開口内に半導体素子を入れ、該開口内に露出する前記支持体に前記半導体素子の第1の端子を接着する工程と、
前記第1の端子を接着した後、前記開口内に封止樹脂を充填する工程と、
前記封止樹脂を充填した後、前記プレートと前記第1の端子から前記支持体を剥離することにより、前記第1の端子を露出させる工程と、
回路基板の第1の電極に、前記半導体素子の前記露出した第1の端子を接続する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0109】
(付記6) 前記開口内に電子部品を入れ、該開口内に露出する前記支持体に前記電子部品の第2の端子を接着する工程を更に有し、
前記回路基板の前記第1の電極に前記第1の端子を接続する工程において、前記回路基板の第2の電極に前記第2の端子を接続することを特徴とする付記5に記載の半導体装置の製造方法。
【0110】
(付記7) 前記第1の端子としてはんだバンプを使用し、
前記回路基板の前記第1の電極に前記第1の端子を接続する工程において、前記はんだバンプを加熱して溶融することにより、該はんだバンプを前記第1の電極に接続することを特徴とする付記5又は付記6に記載の半導体装置の製造方法。
【0111】
(付記8) 前記はんだバンプを加熱する前に、前記第1の電極上とその周囲の前記回路基板の表面に、熱硬化性樹脂を含む樹脂塗膜を形成する工程を更に有することを特徴とする付記7に記載の半導体装置の製造方法。
【0112】
(付記9) 前記回路基板の前記第1の電極に前記第1の端子を接続する工程の前に、前記第1の端子が露出している前記封止樹脂の表層部分を除去する工程を更に有することを特徴とする付記5〜8のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0113】
(付記10) 前記封止樹脂として感光性樹脂を使用し、
前記支持体を通して前記封止樹脂に光を照射することにより、前記封止樹脂内に前記半導体素子の影を作り、該影に対応した潜像を前記封止樹脂に形成する工程と、
前記潜像を形成した後、前記封止樹脂を現像することにより、前記影が生じていた部分の前記封止樹脂を除去して、前記半導体素子の上面を露出させる工程と、
前記露出した上面に放熱板を接続する工程とを更に有することを特徴とする付記5〜9のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0114】
1…回路基板、2〜4…第1〜第3の電極、5…第1の端子、5x…表面、6…半導体素子、6a…側面、6b…上面、7…アンダーフィル樹脂、9…電子部品、9x…表面、9a…第2の端子、11…外部接続端子、20…プレート、20a…開口、20x…一方の主面、21…接着シート、21a…接着層、22…ステージ、23…封止樹脂、23a…感光部、23x…表面、27…予備はんだ、28…ソルダレジスト層、29…ホットプレート、30…樹脂塗膜、31…シリンジ、36…放熱板、36a…凸部、C…カメラ、M…マーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の主面に第1の電極を備えた回路基板と、
前記主面に対向して設けられ、第1の端子を介して前記第1の電極に接続された半導体素子と、
前記主面と前記半導体素子との間に充填され、前記半導体素子の外周側面を覆う封止樹脂とを有し、
前記封止樹脂の外周側面が、前記回路基板の前記主面に対して垂直であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記回路基板の前記主面に固着され、前記半導体素子を収容する開口を備えたプレートを更に有し、
前記封止樹脂が、前記開口内に充填されたことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記回路基板の前記主面に設けられた第2の電極と、
第2の端子を備えた電子部品とを更に有し、
前記第2の端子が前記第2の電極に接続され、前記封止樹脂が前記半導体素子と前記電子部品とを共通に覆うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
支持体の上に、開口を備えたプレートを接着する工程と、
前記開口内に半導体素子を入れ、該開口内に露出する前記支持体に前記半導体素子の第1の端子を接着する工程と、
前記第1の端子を接着した後、前記開口内に封止樹脂を充填する工程と、
前記封止樹脂を充填した後、前記プレートと前記第1の端子から前記支持体を剥離することにより、前記第1の端子を露出させる工程と、
回路基板の第1の電極に、前記半導体素子の前記露出した第1の端子を接続する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記開口内に電子部品を入れ、該開口内に露出する前記支持体に前記電子部品の第2の端子を接着する工程を更に有し、
前記回路基板の前記第1の電極に前記第1の端子を接続する工程において、前記回路基板の第2の電極に前記第2の端子を接続することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記封止樹脂として感光性樹脂を使用し、
前記支持体を通して前記封止樹脂に光を照射することにより、前記封止樹脂内に前記半導体素子の影を作り、該影に対応した潜像を前記封止樹脂に形成する工程と、
前記潜像を形成した後、前記封止樹脂を現像することにより、前記影が生じていた部分の前記封止樹脂を除去して、前記半導体素子の上面を露出させる工程と、
前記露出した上面に放熱板を接続する工程とを更に有することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−9476(P2012−9476A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141294(P2010−141294)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】