説明

半導体装置の製造方法及び基板処理装置

【課題】強い酸化力で基板上に均一な酸化膜を形成することができる。
【解決手段】基板に酸素含有ガスを供給する工程と、前記酸素含有ガスに対して触媒作用を有する反応促進ガスを供給する工程と、を交互に複数回繰り返して、基板を酸化することにより基板に酸化膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微細化が進んだLSI(Large Scale Integration)の開発において、シリコン基板上に単体或いは複数のトランジスタを形成する為、シリコン、シリコン窒化膜、シリコン合金及び金属等の酸化工程では、高温下で酸素(O)、水(H2O)、過酸化水素(H22)等の酸化種が用いられている。
【0003】
また、LSIの微細化及び薄膜化のため、酸化工程における低温化が要求されるが、低温化にはオゾン(O3)等の酸化種をプラズマやラジカル、紫外線(UV光)等により励起することで対応してきた(例えば、特許文献1ご参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−176498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、酸化工程においてプラズマやラジカル、紫外線等の励起手段を用いた場合に、基板そのものに損傷を与えてしまうという問題があった。また、気相での反応により原子酸素を発生させるため、原子状酸素の寿命が短く、基板上の微細な孔や溝に酸化種が到達することが難しかった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決し、強い酸化力で基板上に均一な酸化膜を形成することができる半導体装置の製造方法及び基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、基板に酸素含有ガスを供給する工程と、前記酸素含有ガスに対して触媒作用を有する反応促進ガスを供給する工程と、を交互に複数回繰り返して、基板を酸化することにより基板に酸化膜を形成する半導体装置の製造方法が提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、処理室に基板を収容する工程と、前記処理室内に酸素含有ガスを断続的にパルスで供給する工程と、前記処理室内に前記酸素含有ガスに対して触媒作用を有する反応促進ガスを供給する工程と、を含み、基板を酸化することにより基板に酸化膜を形成する半導体装置の製造方法が提供される。
【0009】
本発明のさらに他の態様によれば、処理室に基板を収容する工程と、前記処理室内に酸素含有ガスに対して触媒作用を有する反応促進ガスを断続的にパルスで供給する工程と、前記処理室内に酸素含有ガスを供給する工程と、を含み、基板を酸化することにより基板に酸化膜を形成する半導体装置の製造方法が提供される。
【0010】
本発明のさらに他の態様によれば、ビアホールもしくはトレンチが形成された基板に炭素含有ガスを供給し、前記ビアホールもしくはトレンチの底部に少なくとも炭素原子を吸着させる工程と、前記基板に酸素含有ガスを供給し、前記ビアホールもしくはトレンチの底部に吸着した炭素により分解されて発生した原子状酸素により前記基板を酸化する工程と、を繰り返す半導体装置の製造方法が提供される。
【0011】
本発明のさらに他の態様によれば、基板を収容する処理室と、酸素含有ガスを前記基板に供給する酸素含有ガス供給系と、前記酸素含有ガスに対して触媒作用を有する反応促進ガスを前記基板に供給する反応促進ガス供給系と、前記酸素含有ガスおよび前記反応促進ガスを交互に前記基板に供給して、前記基板を酸化するよう前記酸素含有ガス供給系および前記反応促進ガス供給系を制御する制御部と、を有する基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、強い酸化力で基板上に均一な酸化膜を形成することができる半導体装置の製造方法及び基板処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置を、上面から見た断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る基板処理装置を、側面から見た断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る基板処理装置に用いる処理炉を、側面から見た断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る基板処理装置に用いる処理炉の基板載置部、基板載置部支持機構を、側面から見た断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る基板処理工程のフロー図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る成膜工程のガス供給のタイミング図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る基板処理工程のフロー図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る成膜工程のガス供給のタイミング図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る基板処理工程のフロー図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る成膜工程のガス供給のタイミング図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る基板処理装置の斜視図である。
【図12】図11の基板処理装置に用いる処理炉の概略断面図である。
【図13】本発明のさらに他の実施形態に係る基板処理装置に用いる処理炉の概略断面図である。
【図14】図13のA−A線断面図である。
【図15】図13の処理炉を構成する反応セルの構成を示すための部品組立図である。
【図16】図15のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明が適用される実施形態の一例について詳述する。
【0015】
<枚葉装置>
まず、本発明の実施形態にかかる基板処理装置の構成について、図1、図2を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る基板処理装置10を上面から見た図であり、図2は、図1の基板処理装置10を側面から見た図である。
なお、本発明が適用される基板処理装置10においては、基板としてのウエハを搬送するキャリヤとして、FOUP(front opening unified pod。以下、ポッドという。)が使用される。また、以下の説明において、前後左右は図1を基準とする。すなわち、前方向とは、第1搬送室12から見て、第2搬送室14の方向である。後方向とは、第2搬送室14から見て、第1搬送室12の方向である。左方向とは、第1搬送室12から見て、処理炉16の方向である。右方向とは、第1搬送室12から見て、処理炉19の方向である。
【0016】
図1および図2に示されているように、基板処理装置10は、第1搬送室12を備えている。第1搬送室12は、真空状態などの大気圧未満の圧力(負圧)に耐え得る構造である。第1搬送室12の筐体20は、平面視(上側から見た形)が五角形で、閉塞された箱形状に形成されている。第1搬送室12には、第1のウエハ移載機22が設置されている。第1のウエハ移載機22は、負圧下において、2枚のウエハ200を同時に移載可能である。第1のウエハ移載機22は、第1搬送室12の気密性を維持した状態で、エレベータ24によって、昇降できるように構成されている。
【0017】
第1搬送室の筐体20の5枚の側壁のうち、前側の1枚の側壁には、ロードロック室(Load Lock Chamber)26と28が、それぞれ、ゲートバルブ30、32を介して連結されている。ロードロック室26と28は、それぞれ、負圧に耐え得る構造である。ロードロック室26には、基板を一時的に載置する基板一時載置台34、36が設置され、ロードロック室28には、基板一時載置台38、40が設置されている。
【0018】
ロードロック室26およびロードロック室28の前側には、略大気圧下で用いられる第2搬送室14が、ゲートバルブ42、44を介して、連結されている。第2搬送室14には、第2のウエハ移載機46が設置されている。第2のウエハ移載機46は、2枚のウエハ200を同時に移載可能である。第2のウエハ移載機46は、第2搬送室14に設置されたエレベータ48によって昇降されるとともに、リニアアクチュエータ50によって左右方向に移動される。
【0019】
図1に示されているように、第2搬送室14内の左側部分には、ノッチ合わせ装置52が設置されている。また、図2に示されているように、第2搬送室14の上部には、クリーンエアを供給するクリーンユニット54が設置されている。
【0020】
図1および図2に示されているように、第2搬送室14の筐体56には、ウエハ200を第2搬送室14に対して搬入搬出するためのウエハ搬入/搬出口58と、ウエハ搬入/搬出口58を閉塞するための蓋60と、ポッドオープナ62が設置されている。
ポッドオープナ62は、IOステージ64に載置されたポッド66のキャップを開閉するキャップ開閉機構68を備えている。キャップ開閉機構68は、ポッド66のキャップとともに、ウエハ搬入/搬出口58を閉塞する蓋60を開閉する。IOステージ64に載置されたポッド66のキャップ、及び蓋60を開けることにより、ポッド66内のウエハ200の出し入れが可能となる。また、ポッド66は、図示しない工程内搬送装置(AGV:Automatic Guided Vehicle/OHT:Overhead Hoist Transfer)によって、IOステージ64に供給され、また、IOステージ64から排出される。
【0021】
図1に示されているように、第1搬送室12の筐体20の5枚の側壁のうち、左右及び後側に位置する4枚の側壁には、ウエハ200に所望の処理を行う第1の処理炉16、第2の処理炉17、第3の処理炉18、第4の処理炉19が、それぞれ、ゲートバルブ70、71、72、73を介して連結されている。
74は、基板処理装置10を制御する制御部であり、キャップ開閉機構68、ノッチ合わせ装置52、第1のウエハ移載機22等、基板処理装置10を構成する各構成部を制御するものである。
各処理炉16、17、18、19は、同一種類の基板処理を行う処理炉であっても良いし、また装置の目的に応じて、それぞれ異なる種類の基板処理を行う処理炉としても良い。
本実施例においては、同一処理炉として、以下に説明する。また、処理炉の詳細は後述する。
【0022】
以下、前記した構成をもつ基板処理装置10を使用する基板処理工程を説明する。この基板処理工程においては、基板処理装置10の各構成部を、制御部74が制御するものである。
【0023】
まず、未処理のウエハ25枚を収納したポッド66が、工程内搬送装置によって、基板処理装置10へ搬送されて来る。図1および図2に示されているように、搬送されてきたポッド66は、IOステージ64の上に、工程内搬送装置から受け渡されて載置される。ポッド66のキャップ及びウエハ搬入/搬出口58を閉塞する蓋60が、キャップ開閉機構68によって取り外され、ポッド66のウエハ出し入れ口が開放される。
【0024】
ポッド66がポッドオープナ62により開放されると、第2搬送室14に設置された第2のウエハ移載機46は、ポッド66からウエハ200を1枚ピックアップして、ノッチ合わせ装置52へ載置する。
【0025】
ノッチ合わせ装置52は、載置されたウエハ200を、水平の縦横方向(X方向、Y方向)及び円周方向に動かして、ウエハ200のノッチ位置等を調整する。
ノッチ合わせ装置52で1枚目のウエハ200の位置調整実施中に、第2のウエハ移載機46は、2枚目のウエハ200を、ポッド66からピックアップして、第2搬送室14内に搬出し、第2搬送室14内で待機する。
【0026】
ノッチ合わせ装置52により前記1枚目のウエハ200の位置調整が終了した後、第2のウエハ移載機46は、ノッチ合わせ装置52上の前記1枚目のウエハ200をピックアップする。第2のウエハ移載機46は、そのとき第2のウエハ移載機46が保持している前記2枚目のウエハ200を、ノッチ合わせ装置52へ載置する。その後、前記2枚目のウエハ200に対して、ノッチ合わせが行なわれる。
【0027】
次に、ゲートバルブ42が開けられ、第2のウエハ移載機46は、前記1枚目のウエハ200を、第1のロードロック室26に搬入し、基板一時載置台36上に移載する。この移載作業中には、第1搬送室12側のゲートバルブ30は閉じられており、第1搬送室12内の負圧は維持されている。
【0028】
前記1枚目のウエハ200の基板一時載置台36への移載が完了すると、ゲートバルブ42が閉じられ、第1のロードロック室26内が、排気装置(図示せず)によって、負圧になるよう排気される。
第1のロードロック室26内の雰囲気の排気と並行して、第2のウエハ移載機46は、ノッチ合わせ装置52から前記2枚目のウエハ200をピックアップする。そして、ゲートバルブ44が開けられると、第2のウエハ移載機46は、前記2枚目のウエハ200を第2のロードロック室28に搬入し、基板一時載置台40に移載する。そしてゲートバルブ44が閉じられ、第2のロードロック室28内が、排気装置(図示せず)によって、負圧になるよう排気される。
【0029】
以下、第2のウエハ移載機46は、以上の動作を繰り返す。このとき、第1のロードロック室26および第2のロードロック室28が負圧状態の場合は、第2のウエハ移載機46は、第1のロードロック室26及び第2のロードロック室28へのウエハ200の搬入を実行せず、第1のロードロック室26または第2のロードロック室28の直前位置で停止して待機する。
【0030】
第1のロードロック室26が、予め設定された圧力値に減圧されると、ゲートバルブ30が開かれる。続いて、第1搬送室12の第1のウエハ移載機22は、基板一時載置台36から、前記1枚目のウエハ200をピックアップする。
【0031】
第1のウエハ移載機22が、基板一時載置台36から前記1枚目のウエハ200をピックアップした後、ゲートバルブ30が閉じられ、第1のロードロック室26内が大気圧に戻され、第1のロードロック室26に次のウエハを搬入するための準備が行われる。
それと並行して、第1の処理炉16のゲートバルブ70が開かれ、第1のウエハ移載機22が、前記1枚目のウエハ200を、第1の処理炉16に搬入する。そして第1の処理炉16内に、後述するガス供給装置から処理用ガスが供給され、所望の処理が前記1枚目のウエハ200に施される。
【0032】
続いて、第2のロードロック室28が予め設定された圧力値に減圧されると、ゲートバルブ32が開かれる。続いて第1搬送室12の第1のウエハ移載機22は、基板一時載置台40から、前記2枚目のウエハ200をピックアップする。
第1のウエハ移載機22が、前記2枚目のウエハ200をピックアップした後、ゲートバルブ32が閉じられて、第2のロードロック室28内が大気圧に戻され、第2のロードロック室28に次のウエハを搬入するための準備が行われる。
それと並行して、第2の処理炉17のゲートバルブ71が開かれ、第1のウエハ移載機22が、前記2枚目のウエハ200を、第2の処理炉17に搬入する。そして第2の処理炉17内に後述するガス供給装置から処理ガスが供給され、所望の処理が前記2枚目のウエハ200に施される。
【0033】
以下、同様にして第3の処理炉18、第4の処理炉19に、次のウエハ200が搬入され、所望の処理が施される。
【0034】
第1の処理炉16において所望の処理が終了したら、第1のウエハ移載機22は、処理炉16から搬出したウエハ200を、第1のロードロック室26へ搬入し、基板一時載置台34上に載置する。
このとき、第1のロードロック室26内の基板一時載置台36上に未処理のウエハが存在する場合、第1のウエハ移載機22は、前記未処理ウエハを、第1のロードロック室26から第1搬送室12へ搬出する。
【0035】
そして、ゲートバルブ30が閉じられ、第1のロードロック室26内で処理済みウエハ200の冷却が開始されると同時に、第1のロードロック室26に接続された不活性ガス供給装置(図示せず)から不活性ガスが導入され、第1のロードロック室26内の圧力が大気圧に戻される。
【0036】
第1のロードロック室26において、予め設定された冷却時間が経過し、かつ第1のロードロック室26内の圧力が大気圧に戻されると、ゲートバルブ42が開かれる。続いて、第2搬送室14の第2のウエハ移載機46が、基板一時載置台34から処理済みのウエハ200をピックアップして第2搬送室14に搬出した後、ゲートバルブ42が閉じられる。
その後、第2のウエハ移載機46は、第2搬送室14のウエハ搬入/搬出口58を通して、処理済みのウエハ200を、ポッド66に収納する。
【0037】
前述の工程によってポッド66内の全てのウエハに所望の処理が行われ、処理済みの25枚のウエハの全てが、ポッド66へ収納されると、ポッド66のキャップとウエハ搬入/搬出口58を閉塞する蓋60が、ポッドオープナ62によって閉じられる。閉じられたポッド66は、IOステージ64の上から次の工程へ、工程内搬送装置によって搬送される。
以上の動作が繰り返されることにより、ウエハが25枚ずつ、順次処理されていく。
【0038】
続いて、本発明の実施形態に係る基板処理装置に用いられる処理炉を、図3及び図4を用いて説明する。図3は、本発明の実施形態に係る基板処理装置に用いられる処理炉を、側面から見た断面図である。図4は、図3の処理炉の基板載置部、基板載置部支持機構を、側面から見た断面図である。
【0039】
図3において、76は、基板を処理する処理炉であり、前述の処理炉16ないし19に相当するものである。処理炉76は、チャンバ上壁78、基板載置部80、チャンバ側壁82、チャンバ底壁84から主に構成されている。
86は、基板を処理する処理室である。
88は、ウエハ200(基板)上におけるガスの流れを制御するガス流れ制御リング88である。
【0040】
次に、処理室86内に処理用ガスを供給するガス供給装置89について説明する。
【0041】
90は、処理室86内に酸素含有ガスである例えばO3ガスを供給するガス供給孔である。
図3に示すように、ガス供給孔90には、ガス導入管94が接続されている。ガス導入管94は、第1ガス供給管96を介して酸素含有ガス供給源である第1ガス供給源98に接続され、また第2ガス供給管100を介して、例えばN2(窒素)ガスを供給する不活性ガス供給源である第2ガス供給源102に接続される。
【0042】
第1ガス供給管96には、第1ガス供給源98から処理室86に向かって、ガス流量を制御するマスフローコントローラ(MFC)104、開閉バルブ106が配設されている。第1ガス供給管96、第1ガス供給源98、マスフローコントローラ104、開閉バルブ106を第1のガス供給部(酸素含有ガス供給部)と呼ぶ。
また、第2ガス供給管100には、第2ガス供給源102から処理室86に向かって、ガス流量を制御するマスフローコントローラ(MFC)108、開閉バルブ110が配設されている。第2ガス供給管100、第2ガス供給源102、マスフローコントローラ108、開閉バルブ110を第2のガス供給部(不活性ガス供給部)と呼ぶ。
【0043】
112は、処理室86内に前記酸素含有ガスに対して触媒作用を有する反応促進ガスである例えばCO(一酸化炭素)ガスを供給するガス供給孔である。
図3に示すように、ガス供給孔112には、ガス導入管114が接続されている。ガス導入管114は、反応促進ガス供給源である第3ガス供給源116に接続される。
【0044】
ガス導入管114には、第3ガス供給源116から処理室86に向かって、ガス流量を制御するマスフローコントローラ(MFC)118、開閉バルブ120が配設されている。ガス導入管114、第3ガス供給源116、マスフローコントローラ118、開閉バルブ120を第3のガス供給部(反応促進ガス供給部)と呼ぶ。
【0045】
122は、処理室86内から処理用ガスを排気するガス排気孔である。
排気孔122は、バッファ空間としての排気バッファ室124と接続されている。
排気バッファ室124には、ガス排気管126が接続されている。ガス排気管126には、真空ポンプ128及びAPCバルブ130が接続されている。真空ポンプ128は、処理室86内の雰囲気を排気する。APCバルブ130は、排気流量を調整して、処理室86内の圧力を調整する。
ガス排気管126、真空ポンプ128、APCバルブ130をガス排気部と呼ぶ。
【0046】
132は、ウエハ200(基板)を処理炉76へ搬入、あるいは処理炉76から搬出する基板搬入/搬出口である。
ウエハ200を搬入/搬出する際、基板載置部支持機構134が下降し、基板載置部80の基板載置面と基板搬入出口132が同程度の高さとなる。ウエハ200を処理炉へ搬入するときは、第1のウエハ移載機22によって、基板載置部80の基板載置面にウエハ200が載置される。ウエハ200を処理炉から搬出するときは、逆に、第1のウエハ移載機22によって、基板載置部80の基板載置面から、ウエハ200がピックアップされる。
【0047】
80は、ウエハ200(基板)を載置する基板載置部である。134は、基板載置部80を支持する基板載置部支持機構である。136は、ベローズ(Bellows)であり、蛇腹を有する伸縮可能な気密封止部である。
基板載置部支持機構134が昇降することにより、基板載置部80が昇降する。図3では、基板載置部80は上昇した状態である。基板処理時は、図3に示すように、基板載置部80を所定の位置に上昇させ、基板を処理する。
基板載置部80については、後に詳細を説明する。
【0048】
続いて、図4を用いて、基板載置部80及びその周辺の構造について説明する。図4は、本発明の実施形態に係る処理炉に用いる基板載置部、基板載置部支持機構を、側面から見た断面図である。
基板載置部80は、上面から見た形が円形であり、アルミ製である。図4に示すように、基板載置部80には、冷媒循環通路138が設けられている。冷媒循環通路138は、基板載置部80全体に張り巡らされており、基板を均一に冷却することができる。冷媒としては、例えば、ガルデン(登録商標)HT200が使用される。
【0049】
図4に示すように、基板載置部80の円周端部(円周部分の端部)140には、凹部(ザグリ)が設けられている。該凹部に、ガス流れ制御リング88の内周端部(内周部分の端部)が、上方からはめ込まれる構造となっている。ガス流れ制御リング88は、アルミ製である。
ガス流れ制御リング88は、基板載置部支持機構134が下降した位置にある場合、ガス排気孔122上に載置されて待機している。基板載置部支持機構134が基板処理時の位置まで上昇する過程において、円周端部140のザグリに、ガス流れ制御リング88の内周端がはめ込まれ、基板載置部支持機構134とガス流れ制御リング88が共に上昇する。
基板載置部支持機構134が所定位置まで上昇した後、ガス流れ制御リング88は、ガス排気孔122の上方に、ガス排気孔122と所定の間隔を空けた状態で停止する。なお、基板載置部支持機構134は、図4におけるシャフト142、回転駆動部144、接続部、冷媒供給/排出部146を含むものである。これらについては、後述する。
【0050】
なお、基板処理時において、ガス流れ制御リング88の表面の高さと、ウエハ200の表面の高さは、同じであることが好ましい。このようにすると、ガス流れ制御リング88付近のガスの流速が、基板中央部のガスの流速と同じになる。つまり、基板の周辺部と中央部のガスの流速が同じになる。したがって、基板面内の成膜速度が同じになり、膜厚の均一性が向上する。
【0051】
ガス供給孔90及び112から供給されたガスは、ウエハ200上に晒された後、ガス流れ制御リング88の表面から、ガス流れ制御リング88の裏面に位置されている排気孔122を介して排気される。
ガス流れ制御リング88によって、処理用ガスは、ウエハ200の外周端から基板載置部支持機構134側に流入することが妨げられ、ウエハ200の外周端から水平方向に流れ、排気される。したがって、ガス流れ制御リング88が無い場合に比べ、ガス排気を均一にすることが可能となるので、基板表面を均一に処理することが可能となる。また、ガス流れ制御リング88によって、処理用ガスを無駄に消費することが抑制でき、ガス流れの再現性も向上する。
また、ガス流れ制御リング88を設けることにより、基板載置部80の高さを変えても、ガス流れを均一にすることができる。このため、種々の異なるプロセスに対応するため、基板載置部80の高さを変えても、ガス流れを均一にすることができ、異なるプロセスへの対応が容易となる。
【0052】
次に、図4を用いて、基板載置部支持機構134を構成するシャフト142や、回転駆動部144等について説明する。
シャフト142は、基板載置部80を支持する支持部である。シャフト142は、冷媒(冷却材)流路を内包しており、この冷媒流路は、基板載置部80の冷媒循環通路138に供給する冷媒を流し、冷媒循環通路138から排出される冷媒を流す。シャフト142の材質は、アルミニウムである。シャフト142の水平断面は、円形である。シャフト142に内包される冷媒流路として、冷媒を冷媒供給/排出部146から冷媒循環通路138へ供給する第1の冷媒供給路148、及び冷媒循環通路138から排出される冷媒を流す第1の冷媒排出路150が配設されている。第1の冷媒供給路148、第2の冷媒排出路150は、図4に示すように、シャフト142内部に、互いに平行かつ離間するように設けられている。
【0053】
144は、シャフト142を水平回転させる回転駆動部であり、SUS製(ステンレススチール)である。シャフト142の側面は、中空シャフト146で覆われている。中空シャフト146は、シャフト142を挟持し、シャフト142とともに水平回転するもので、回転時の摩擦等からシャフト142を保護するものである。中空シャフト146の材質は、SUSである。シャフト142と中空シャフト146の間には、Oリング152が設けられる。Oリング152によって、シャフト142のふらつきが防止されると共に、処理室86からのガス漏れが防止される。回転駆動部144には、中空シャフト146と接する側に、真空シールとしての磁性流体シール154、ベアリング156、モータ158が備えられている。モータ158の回転運動が、中空シャフト146に伝えられ、シャフト142が水平回転する。
【0054】
回転駆動部144のケーシングに設けられたフランジ144aには、ベローズ136を固定するためのベローズ下部固定具160が、ネジ等の固定具162により固定されて、設けられている。Oリング164は、処理室86からガスが漏れることを防止するものである。
166は、ベローズ136を上部で固定するベローズ上部固定具である。ベローズ上部固定具166は、チャンバ底壁84に固定されている。
【0055】
続いて、本実施形態の処理炉を使用する基板処理の動作を説明する。尚、以下の各構成部の動作は、制御部74によって制御されるものである。
【0056】
[第1の実施形態]
図5は、第1の実施形態に係る基板処理工程のフロー図である。また、図6は、第1の実施形態に係る成膜工程のガス供給のタイミング図である。
【0057】
<基板搬入工程(S1)、基板載置工程(S2)>
まず、基板載置部80が基板搬入出口132と同程度の高さとなるよう、基板載置部支持機構134が昇降され、位置調整される。
次に、第1のウエハ移載機22によって、ウエハ200(基板)が処理炉76内へ搬入され、基板載置部80の基板載置面に、ウエハ200が載置される。
【0058】
基板載置部80の基板載置面にウエハ200が載置された後、基板載置部支持機構134(シャフト142、回転駆動部144、接続部、冷媒供給/排出部146)が、所定の位置まで上昇する。この上昇途中で、サセプタ円周端部140の凹部(ザグリ)に、ガス流れ制御リング88の内周端がはめ込まれ、基板載置部80とガス流れ制御リング88が共に上昇する。
基板支持機構134、つまり基板載置部80が所定の位置まで上昇した状態において、静止している冷媒供給/排気機構146と、回転するシャフト142との接続部が、チャンバ底壁84より上とならないよう、つまり、接続部が処理室内に入らないように、接続部が配置される。
このように、接続部が処理室86内に入らないような構造とすることで、冷媒が接続部から漏れたとしても、処理室86内に冷媒が漏れることを防ぐことができる。
【0059】
<圧力・温度調整工程(S3)>
続いて、APCバルブ130により、処理室86内の圧力が所定の処理圧力となるように制御する。また、不図示のヒータに供給する電力を調整し、ウエハ200の表面温度が所定の処理温度となるように制御する。なお、温度調整工程は、圧力調整工程と並行して行うようにしてもよいし、圧力調整工程よりも先行して行うようにしてもよい。
【0060】
なお、基板搬入工程(S1)、基板載置工程(S2)、圧力・温度調整工程(S3)においては、真空ポンプ128を作動させつつ、開閉バルブ106,120を閉じ、開閉バルブ110及びAPCバルブ130を開くことで、処理室86に不活性ガスであるN2ガスを常に流しておく。これにより、ウエハ200上へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。
【0061】
<成膜工程(S4)>
続いて、基板載置部80が所定の高さまで上昇し、水平回転を開始してウエハ200が回転される。次に、反応促進ガスであるCOガスと酸素含有ガスであるO3ガスを処理室86内に供給することにより酸化膜を成膜する成膜工程S4を行う。なお、本工程中においても、開閉バルブ110を開いて処理室86内に不活性ガスであるN2ガスを連続して流しておく。成膜工程S4では次の4つのステップを順次実行する。
【0062】
(ステップS4a)
ステップS4aでは、まずCOガスを流す。ガス導入管114の開閉バルブ120を開き、ガス導入管114内にCOガスを流す。ガス導入管114内を流れたCOガスは、マスフローコントローラ118により流量調整される。流量調整されたCOガスはガス供給孔112から処理室86内に供給されつつガス排気管126から排気される。
【0063】
このとき、APCバルブ130を適正に調整して処理室86内の圧力を、例えば10〜30Paの範囲内の圧力とする。マスフローコントローラ118で制御するCOガスの供給流量は、例えば処理室を5秒以内に所定の圧力に調整する流量とする。COガスをウエハ200に晒す時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば10〜30秒間の範囲内の時間とする。このときヒータの温度は、ウエハ200の温度が、例えば室温〜300℃の範囲内の温度となるよう設定する。
【0064】
(ステップS4b)
ステップS4bでは、開閉バルブ120を閉じ、COガスの供給を停止する。このとき、ガス排気管126のAPCバルブ130は開いたままとして、真空ポンプ128により処理室86内を真空排気し、処理室86内に残留するCOガスを処理室86内から排除する。なお、この時、N2ガス等の不活性ガスが処理室86内に供給されているので、さらに残留COガスを排除する効果が高まる。不活性ガスとしては、N2ガスの他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いてもよい。
【0065】
(ステップS4c)
ステップS4cでは、処理室86内の残留ガスを除去した後、第1ガス供給管96の開閉バルブ106を開き、第1ガス供給管96及びガス導入管94内にO3ガスを流す。第1ガス供給管96内を流れたO3ガスは、マスフローコントローラ104により流量調整される。流量調整されたO3ガスは、ガス供給孔90から処理室86内に供給されつつガス排気管126から排気される。
【0066】
3ガスを流すときは、APCバルブ130を適正に調整して処理室86内の圧力を、例えば10〜30Paの範囲内の圧力とする。マスフローコントローラ104で制御するO3ガスの供給流量は、例えば処理室を5秒以内に所定の圧力に調整する流量とする。O3ガスを供給する時間は、例えば10〜30秒間の範囲内の時間とする。このときのヒータの温度は、ウエハ200の温度が室温〜300℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。
【0067】
(ステップS4d)
その後、第1ガス供給管96の開閉バルブ106を閉じて、O3ガスの供給を停止する。このとき、ガス排気管126のAPCバルブ130は開いたままとして、真空ポンプ128により処理室86内を真空排気し、処理室86内に残留するO3ガスを処理室86内から排除する。なお、この時、N2ガス等の不活性ガスが処理室86内に供給されているので、さらに処理室86内に残留する未反応もしくはO3ガスを排除する効果が高まる。不活性ガスとしては、N2ガスの他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いてもよい。
【0068】
(ステップS4e)
上述したステップS4a〜S4dを1サイクルとして、このサイクルを少なくとも1回以上行うことにより、ウエハ200上に所定膜厚の酸化膜を成膜することができる。なお、上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0069】
<残留ガス除去工程(S5)>
所望の基板処理が終わると、基板載置部80は回転を停止する。第2のガス供給部からは不活性ガスが供給され、それと同時に、排気部は処理室内の雰囲気を排気する。このようにして、処理室内の雰囲気を不活性雰囲気に入れ替える。
【0070】
<基板搬出工程(S6)>
処理室内の雰囲気を入れ替えた後、もしくは入れ替えの処理の間、基板載置部支持機構134は下降し、基板載置部80と基板搬入出口132が同程度の高さとなるよう、基板載置部80の位置が制御される。基板載置部80が下降した後、第1搬送室12と処理炉76との間のゲートバルブ70が開放され、第1のウエハ移載機22によって、処理炉76から、処理済みのウエハ200が搬出される。
【0071】
[第2の実施形態]
図7は、第2の実施形態に係る基板処理工程のフロー図である。また、図8は、第2の実施形態に係る成膜工程のガス供給のタイミング図である。以下の実施形態では、第1の実施形態とは成膜工程(S4)が異なり、第1の実施形態と異なる箇所のみ説明する。
【0072】
<成膜工程(S4)>
本工程中においても、バルブ110を開いて処理室86に不活性ガスであるN2ガスを連続して流しておく。第2の実施形態に係る成膜工程S4では、次のステップを順次実行する。
【0073】
(ステップS4f(CO連続供給))
ステップS4fでは、COガスを連続して流す。ガス導入管114の開閉バルブ120を開き、ガス導入管114内にCOガスを流す。ガス導入管114内を流れたCOガスは、マスフローコントローラ118により流量調整される。流量調整されたCOガスはガス供給孔112から処理室86内に供給されつつガス排気管126から排気される。
【0074】
このとき、APCバルブ130を適正に調整して処理室86内の圧力を、例えば10〜30Paの範囲内の圧力とする。マスフローコントローラ118で制御するCOガスの供給流量は、例えば処理室を5秒以内に所定の圧力に調整する流量とする。このときヒータの温度は、ウエハ200の温度が、例えば室温〜300℃の範囲内の温度となるよう設定する。
【0075】
(ステップS4g(O3間欠供給))
ステップS4gでは、第1ガス供給管96の開閉バルブ106を開き、第1ガス供給管96及びガス導入管94内にO3ガスを流す。第1ガス供給管96内を流れたO3ガスは、マスフローコントローラ104により流量調整される。流量調整されたO3ガスは、ガス供給孔90から処理室86内に供給されつつガス排気管126から排気される。その後、第1ガス供給管96の開閉バルブ106を閉じて、O3ガスの供給を停止する。
【0076】
3ガスを流すときは、APCバルブ130を適正に調整して処理室86内の圧力を、例えば10〜30Paの範囲内の圧力とする。マスフローコントローラ104で制御するO3ガスの供給流量は、例えば処理室を5秒以内に所定の圧力に調整する流量とする。O3ガスを供給する時間は、例えば10〜30秒間の範囲内の時間とする。このときのヒータの温度は、ウエハ200の温度が室温〜300℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。
【0077】
(ステップS4h)
上述したように、反応促進ガスであるCOガスを連続供給しつつ、酸素含有ガスであるO3ガスを断続的にパルス供給して、このサイクルを少なくとも1回以上行うことにより、ウエハ200上に所定膜厚の酸化膜を成膜することができる。なお、上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0078】
[第3の実施形態]
図9は、第3の実施形態に係る基板処理工程のフロー図である。また、図10は、第3の実施形態に係る成膜工程のガス供給のタイミング図である。
【0079】
<成膜工程(S4)>
本工程中においても、開閉バルブ110を開いて処理室86に不活性ガスであるN2ガスを連続して流しておく。第3の実施形態に係る成膜工程S4では、次のステップを順次実行する。
【0080】
(ステップS4i(O3連続供給))
ステップS4iでは、O3ガスを連続して流す。ガス導入管96の開閉バルブ106を開き、ガス導入管94内にO3ガスを流す。ガス導入管94内を流れたO3ガスは、マスフローコントローラ104により流量調整される。流量調整されたO3ガスはガス供給孔90から処理室86内に供給されつつガス排気管126から排気される。
【0081】
このとき、APCバルブ130を適正に調整して処理室86内の圧力を、例えば10〜30Paの範囲内の圧力とする。マスフローコントローラ104で制御するO3ガスの供給流量は、例えば100〜300sccmの範囲内の流量とする。このときヒータの温度は、ウエハ200の温度が、例えば室温〜300℃の範囲内の温度となるよう設定する。
【0082】
(ステップS4j(CO間欠供給))
ステップS4jでは、ガス導入管114の開閉バルブ120を開き、ガス導入管114内にCOガスを流す。ガス導入管114内を流れたCOガスは、マスフローコントローラ118により流量調整される。流量調整されたCOガスは、ガス供給孔112から処理室86内に供給されつつガス排気管126から排気される。その後、ガス導入管114の開閉バルブ120を閉じて、COガスの供給を停止する。
【0083】
COガスを流すときは、APCバルブ130を適正に調整して処理室86内の圧力を、例えば10〜30Paの範囲内の圧力とする。マスフローコントローラ118で制御するCOガスの供給流量は、例えば100〜300sccmの範囲内の流量とする。COガスを供給する時間は、例えば10〜30秒間の範囲内の時間とする。このときのヒータの温度は、ウエハ200の温度が室温〜300℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。
【0084】
(ステップS4k)
上述したように、酸素含有ガスであるO3ガスを連続供給しつつ、反応促進ガスであるCOガスを断続的にパルス供給して、このサイクルを少なくとも1回以上行うことにより、ウエハ200上に所定膜厚の酸化膜を成膜することができる。なお、上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0085】
したがって、本発明によれば、酸化種に例えばオゾンを用いることで、炭素原子(C)が酸素原子(O)を引いてO3の結合手を切って分解し、活性化された酸素原子(O)が基板中に拡散し、一方で、分解されたO2とCが結合してCO2として排出されて、強い酸化力で基板(ウエハ200)上に均一な酸化膜を形成することができる。
【0086】
すなわち、本発明によれば、酸化種に例えばオゾンを用いることで、紫外線(UV光)、荷電イオン、中性子、電子等の励起手段を用いずに、オゾン(O3)を酸素原子(O)と酸素(O2)に分解して、酸素原子による強い酸化力で基板上に均一な酸化を行うことができ、従来のオゾンの熱分解反応では実現できなかった均一な酸化能力を発揮できる。
【0087】
また、プラズマを使用しないため、基板にプラズマによる損傷を与えることはない。
【0088】
また、紫外線(UV光)、荷電イオン、中性子、電子等の励起手段では、気相でO3が分解されるために、高いアスペクト比をもつビアホールやトレンチの底部までは、発生した酸素原子の寿命が短くて到達せず、十分に酸化することができなかった。しかしながら、酸素含有ガスに対して触媒作用を有する反応促進ガスを用いることで、ビアホールやトレンチの底部に予め吸着した反応促進ガスによってO3が分解して酸素原子が発生するため、酸化が容易にできる。
【0089】
また、酸化速度の飽和時間により最適化されたある温度帯において、シリコン中に拡散する酸素が到達できる深さには限度があると考えられる。したがって、時間の遅れのみで飽和(セルフリミット)させることができる。
【0090】
なお、上述では、酸素含有ガスとしてO3ガスを用いる例について説明したが、これに限らず、酸化種であればよく、例えばH2O,H22,N2O,NOでもよいが、これらは電気陰性度の異なる元素を含んでおり低温処理が困難なため、O3が好適に用いられる。
【0091】
また、上述では、反応促進ガスとしてはCOガスを用いる例について説明したが、これに限らず、酸素含有ガスに対して触媒作用を有するガスであればよく、フッ素(F)含有ガス、塩素(Cl)含有ガス、炭素(C)含有ガス、水素(H)含有ガス、窒素(N)含有ガスのいずれかであって、CO、CO2、CH含有ガス、H2O、H22、NO、N2Oでもよい。ここで、C含有ガスはガス体であり、シリコンと結合しないため、処理室内を汚染することがなく、好適に用いられる。
【0092】
また、処理温度は、好ましくは室温から700℃であって、さらに好ましくは200℃がよい。これにより、シリコンの結晶面方位性が消失される。
【0093】
また、処理圧力は、好ましくは50Pa以下であって、さらに好ましくは10Pa以下、またさらに好ましくは1Paがよい。これにより、O3Pの平均自由行程をより長くすることができる。
【0094】
<本発明の他の実施形態>
上述の実施形態では、基板処理装置(成膜装置)として1度に1枚の基板を処理する枚葉装置を用いて成膜する例について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、基板処理装置として1度に複数枚の基板を処理するバッチ式の縦型装置や多枚葉装置にも適用できる。以下、この縦型装置と多枚葉装置について説明する。
【0095】
[縦型装置]
図11は、本発明が適用される他の基板処理装置の斜視図であり、図12は、図11の基板処理装置に適用される処理炉の概略断面図である。
尚、以下の説明では、基板処理装置として基板に酸化、拡散処理やCVD処理等を行なう縦型の基板処理装置を適用した場合について述べる。また、図1から図4中で示したものと同等のものには同符号を付してある。
【0096】
本発明に係る基板処理装置210では、シリコン等からなるウエハ200の搬送は、基板収容器としてのカセット212にウエハを装填した状態で行われる。
【0097】
図中、214は筐体であり、該筐体214の正面には、カセット搬入搬出口216が前記筐体214内外を連通する様に開設されており、前記カセット搬入搬出口216はフロントシャッタ(図示せず)によって開閉される様になっている。
【0098】
該カセット搬入搬出口216と臨接してカセットステージ(基板収容器受渡し台)218が設置されている。前記カセット212は前記カセットステージ218上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入され、又、前記カセットステージ218上から搬出される様になっている。
【0099】
該カセットステージ218は、工程内搬送装置によって、カセット212内のウエハ200が垂直姿勢となり、カセット212のウエハ出入れ口が上方向を向く様に載置される。前記カセットステージ218は、カセット212を筐体後方に右回り縦方向90°回転し、カセット212内のウエハ200が水平姿勢となり、カセット212のウエハ出入れ口が筐体後方を向く様に動作可能となる様構成されている。
【0100】
前記筐体214内の前後方向の略中央部には、カセット棚(基板収容器載置棚)220が設置されており、該カセット棚220は複数段複数列に、複数個のカセット212を保管する様に構成されている。前記カセット棚220にはウエハ移載機構(基板移載機構)222の搬送対象となるカセット212が収納される移載棚224が設けられている。
【0101】
又、前記カセットステージ218の上方には予備カセット棚(図示せず)が設けられ、予備的にカセット212を保管する様に構成されている。
【0102】
前記カセットステージ218と前記カセット棚220との間には、カセット搬送装置(基板収容器搬送装置)226が設置されている。該カセット搬送装置226は、カセット212を保持したまま昇降可能なカセットエレベータ(基板収容器昇降機構)228と水平搬送機構としてのカセット搬送機構(基板収容器搬送機構)230とで構成されており、前記カセットエレベータ228と前記カセット搬送機構230との協働により、前記カセットステージ218、前記カセット棚220、前記予備カセット棚(図示せず)との間で、カセット212を搬送する様に構成されている。
【0103】
前記カセット棚220の後方には、前記ウエハ移載機構222が設置されており、該ウエハ移載機構222は、ウエハ200を水平方向に回転可能及び直動可能なウエハ移載装置(基板移載装置)232及び該ウエハ移載装置232を昇降させる為のウエハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)234とで構成されている。該ウエハ移載装置エレベータ234及び前記ウエハ移載装置232の協働により、ボート236に対してウエハ200を装填及び払出しする様に構成されている。
【0104】
前記筐体214内部の後部には気密な耐圧容器であるロードロック室238(後述)が設けられ、該ロードロック室238の上方には、処理炉240が設けられている。該処理炉240の下端は開口され、開口は炉口を形成し、該炉口は炉口シャッタ(炉口開閉機構)242により開閉される様に構成されている。
【0105】
前記ロードロック室238の内部にはボート236を昇降して前記処理炉240に装脱させる昇降機構としてのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)244が設けられ、該ボートエレベータ244からはボートアーム246が水平方向に延出し、該ボートアーム246には前記炉口を気密に閉塞するシールキャップ288が設けられ、該シールキャップ288には前記ボート236が垂直に載置される。
【0106】
該ボート236は、石英等ウエハ200を汚染しない材質で構成され、ウエハ200を水平姿勢で多段に保持する様になっている。
【0107】
前記カセット棚220の上方には、清浄化した雰囲気であるクリーンエアを供給する様供給ファン及び防塵フィルタで構成されたクリーンユニット250が設けられており、クリーンエアを前記筐体214の内部に流通させる様に構成されている。
【0108】
又、前記ウエハ移載装置エレベータ234に対向し、該ウエハ移載装置エレベータ234に向ってクリーンエアを供給する様、供給ファン及び防塵フィルタで構成されたクリーンユニット(図示せず)が設置されており、該クリーンユニットから吹出されたクリーンエアは、前記ウエハ移載装置232、前記ボート236を流通した後に、図示しない排気装置に吸込まれて、前記筐体214の外部に排気される様になっている。
【0109】
次に、本発明の基板処理装置210の動作について説明する。
【0110】
前記カセット搬入搬出口216がフロントシャッタ(図示せず)によって開放される。その後、カセット212は前記カセット搬入搬出口216から搬入され、前記カセットステージ218の上にウエハ200が垂直姿勢であって、カセット212のウエハ出入れ口が上方向を向く様に載置される。前記カセットステージ218は、カセット212内のウエハ200が水平姿勢となり、カセット212のウエハ出入れ口が筐体後方を向く様に、カセット212を載置する。
【0111】
前記カセット搬送装置226は、カセット212を、前記カセット棚220又は予備カセット棚(図示せず)の指定された棚位置へ搬送する。カセット212は、前記カセット棚220又は予備カセット棚(図示せず)に一時的に保管された後、前記カセット棚220又は予備カセット棚(図示せず)から前記カセット搬送装置226によって前記移載棚224に移載されるか、或は前記カセットステージ218から直接移載棚224に搬送される。
【0112】
カセット212が前記移載棚224に移載されると、ウエハ200はカセット212から前記ウエハ移載装置232によって降下状態の前記ボート236に装填(チャージング)される。該ボート236にウエハ200を移載すると、前記ウエハ移載装置232はカセット212に戻り、次のウエハ200を前記ボート236に装填する。
【0113】
予め指定された枚数のウエハ200が前記ボート236に装填されると、前記炉口シャッタ242が炉口を開放する。続いて、ウエハ200群を保持した前記ボート236は前記シールキャップ288が前記ボートエレベータ244によって上昇されることにより、前記処理炉240内へ装入されていく。
【0114】
装入後は、前記処理炉240にてウエハ200に任意の処理が実施される。
【0115】
処理後は、上述と逆の手順で、ウエハ200及びカセット212は前記筐体214の外部へ払出される。
【0116】
次に、上記基板処理装置210に用いられる処理炉240の一例について、図12を用いて説明する。
【0117】
該処理炉240は加熱手段としてのヒータ254を有する。該ヒータ254は円筒形状であり、ヒータ素線とその周囲に設けられた断熱部材により構成され、図示しない保持体に支持されることにより垂直に据付けられている。
【0118】
前記ヒータ254の内側には、該ヒータ254と同心に反応管256が配設されている。該反応管256は、石英(SiO2)又は炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。
【0119】
前記反応管256の内側に、処理室86を画成する。該処理室86には前記ボート236が収納される。
【0120】
前記反応管256の下方には、同一中心線上にインレットフランジ262が配設されている。該インレットフランジ262は、例えば、ステンレス等からなり、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。
【0121】
該インレットフランジ262は前記ロードロック室238の天板に設けられ、前記インレットフランジ262に前記反応管256が立設される。尚、前記インレットフランジ262と前記反応管256との間には、シール部材としてのOリング264が設けられている。前記反応管256と前記インレットフランジ262により反応容器が形成される。
【0122】
前記インレットフランジ262には、ガス排気管126が設けられると共に、ガス導入管94及びガス導入管114が設けられ、該ガス導入管94にはガスノズル270が接続され、ガス導入管114にはガスノズル271が設けられている。該ガスノズル270、271は前記反応管256の内壁面に沿って垂直に延出する垂直部と、前記インレットフランジ262を水平に貫通する水平部とをそれぞれ具備している。
【0123】
尚、図示していないが、前記処理室86の温度を測定する温度検出器(後述)が前記インレットフランジ262を水平に貫通し、又前記反応管256の内壁面に沿って垂直に延出する様に設けられている。
【0124】
上述した第1の実施形態に係るガス供給装置89と同様に、ガス導入管94は、上流側で第1ガス供給管96と第2ガス供給管100に分かれており、第1ガス供給管96は、開閉バルブ106,マスフローコントローラ104を介して酸素含有ガス供給源である第1ガス供給源98に接続されている。また、第2ガス供給管100は、上流側に開閉バルブ110、マスフローコントローラ108を介して不活性ガス供給源である第2ガス供給源102に接続されている。また、前記ガス導入管114は、上流側に開閉バルブ120とマスフローコントローラ118を介して反応促進ガス供給源である第3ガス供給源116に接続されている。
【0125】
前記マスフローコントローラ104,108、118及び前記開閉バルブ106,110、120には、ガス流量制御部(図示せず)が電気的に接続されており、供給するガスの流量が所望の流量となる様所望のタイミングにて制御する様に構成されている。
【0126】
前記ガス排気管126の下流側には、圧力センサ127及び圧力調整器としてのAPCバルブ130を介して真空排気装置である真空ポンプ128が接続されている。圧力センサ127及び前記APCバルブ130には、圧力制御部(図示せず)が電気的に接続されており、該圧力制御部は、圧力センサ127により検出された圧力に基づいて前記APCバルブ130の開度を調節することにより、前記処理室86の圧力が所望の圧力となる様所望のタイミングにて制御する様構成されている。
【0127】
前記インレットフランジ262は前記ロードロック室238の上面に気密に連設され、該ロードロック室238の天板には前記インレットフランジ262と連通する開口が穿設され、該開口と前記インレットフランジ262下端の開口とは炉口286を形成する。
【0128】
該炉口286は、シールキャップ288により、気密に開閉される。該シールキャップ288は、例えばステンレス等の金属製であり、円盤状に形成されている。前記シールキャップ288の上面には、前記炉口286の下面と当接するシール部材としてのOリングが設けられている。
【0129】
前記シールキャップ288には、回転機構290が設けられている。該回転機構290の回転軸292は前記シールキャップ288を貫通して前記ボート236に接続されており、該ボート236を回転させることでウエハ200を回転させる様に構成されている。
【0130】
前記シールキャップ288は、前記処理炉240の外側に設けられた昇降機構として前記ボートエレベータ244によって垂直方向に昇降される様に構成されており、これにより前記ボート236を前記処理室86に対し装脱することが可能となっている。前記回転機構290及び前記ボートエレベータ244には、駆動制御部(図示せず)が電気的に接続されており、所望の動作をする様所望のタイミングにて制御する様構成されている。
【0131】
前記ボート236は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなり、複数枚のウエハ200を水平姿勢で且つ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持する様に構成されている。尚、前記ボート236の下部には、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなる円板形状をした断熱部材としての断熱板296が水平姿勢で多段に複数枚配置されており、前記ヒータ254からの熱が前記インレットフランジ262側に伝わり難くなる様構成されている。
【0132】
前記ヒータ254及び温度検出器には、温度制御部(図示せず)が電気的に接続されており、温度検出器により検出された温度情報に基づき前記ヒータ254への通電具合を調節することにより前記処理室86の温度が所望の温度分布となる様所望のタイミングにて制御する様に構成されている。
【0133】
上記した処理炉240の構成に於いて、例えばO3ガス等の酸素含有ガスは、前記第1ガス供給源98から供給され、前記マスフローコントローラ104でその流量が調節された後、前記開閉バルブ106を介して、前記ガス導入管94、前記ガスノズル270により前記処理室86に導入される。例えばN2ガス等の不活性ガスは、前記第2ガス供給源102から供給され、前記マスフローコントローラ108でその流量が調節された後、前記開閉バルブ110を介して前記ガス導入管94、前記ガスノズル270により前記処理室86に導入される。前記酸素含有ガスに対して触媒作用を有する例えばCOガス等の反応促進ガスは、前記第3ガス供給源116から供給され、前記マスフローコントローラ118でその流量が調節された後、前記開閉バルブ120を介して前記ガス導入管114、前記ガスノズル271より前記処理室86に導入される。又、該処理室86のガスは、前記ガス排気管126に接続された真空排気装置としての真空ポンプ128により、前記処理室86から排気される。
【0134】
次に、基板処理装置210の処理炉240周辺の構成について説明する。
【0135】
予備室としての前記ロードロック室238の外面に下基板300が設けられる。該下基板300にはガイドシャフト302、ボール螺子304が立設され、前記ガイドシャフト302、前記ボール螺子304の上端には上基板306が固着される。
【0136】
昇降台308は前記ガイドシャフト302に摺動自在に嵌合すると共に、前記ボール螺子304に螺合する。該ボール螺子304は前記上基板306に設けられた昇降モータ310に連結され、該昇降モータ310によって前記ボール螺子304が回転されることにより前記昇降台308が昇降する様に構成されている。
【0137】
前記昇降台308には中空の昇降シャフト312が気密に垂設され、該昇降シャフト312は前記昇降台308と共に昇降する様になっている。前記昇降シャフト312は前記ロードロック室238の天板314を遊貫し、前記昇降シャフト312が貫通する前記天板314の貫通孔は前記昇降シャフト312に対して接触することがない様充分な余裕がある。
【0138】
前記ロードロック室238と前記昇降台308との間には前記昇降シャフト312の周囲を覆う様に伸縮性を有する中空伸縮体としてのベローズ316が前記ロードロック室238を気密に保つ為に設けられる。前記ベローズ316は前記昇降台308の昇降量に対応できる充分な伸縮量を有し、前記ベローズ316の内径は前記昇降シャフト312の外径に比べ充分に大きく前記ベローズ316の伸縮で接触することがない様に構成されている。
【0139】
前記昇降シャフト312の下端には前記ボートアーム246が水平に設けられる。
【0140】
該ボートアーム246は中空構造となっており、上面には前記昇降シャフト312の下端が固着された昇降基板318が設けられる。
【0141】
該昇降基板318の下面には不図示のOリング等のシール部材を介して駆動部カバー320が気密に取付けられる。該駆動部カバー320と前記昇降基板318とで前記ボートアーム246が構成されている。この構成により、該ボートアーム246内部は前記ロードロック室238内の雰囲気と隔離される。
【0142】
又、前記ボートアーム246の内部には前記ボート236の前記回転機構290が設けられ、該回転機構290の周辺は、冷却機構322により冷却される。
【0143】
電力供給ケーブル324が前記昇降シャフト312の上端から中空部を通って前記回転機構290に導かれて接続されている。又、前記冷却機構322、前記シールキャップ288には冷却流路326が形成されており、該冷却流路326には冷却水を供給する冷却水配管328が接続され、前記昇降シャフト312の上端から該昇降シャフト312の中空部を通っている。
【0144】
前記昇降モータ310が駆動され、前記ボール螺子304が回転することで前記昇降台308及び前記昇降シャフト312を介して前記ボートアーム246を昇降させる。
【0145】
該ボートアーム246が上昇することにより、前記炉口286を通して前記ボート236が前記処理室86に装入され、前記シールキャップ288が前記炉口286を気密に閉塞し、ウエハ処理が可能な状態となる。又前記ボートアーム246が降下することにより、前記ボート236が降下される。該ボート236の降下位置は、前記ロードロック室238の側面に設けられたゲートバルブ330と対向し、該ゲートバルブ330が開放されることで、前記ウエハ移載機構222により、ウエハの装填、払出しが可能となる(図11参照)。
【0146】
前記ガス流量制御部、前記圧力制御部、前記駆動制御部、前記温度制御部は、操作部、入出力部をも構成し、基板処理装置全体を制御する制御部74に電気的に接続されている。
【0147】
続いて、本実施形態の処理炉240を使用する基板処理の動作を説明する。尚、以下の各構成部の動作は、制御部74によって制御されるものである。
【0148】
<基板搬入工程(S1)、基板載置工程(S2)>
所定枚数のウエハ200が前記ボート236に装填されると、前記昇降モータ310による前記ボール螺子304の回転で前記昇降台308及び前記昇降シャフト312を介して前記ボートアーム246が上昇され、前記ボート236が、前記処理室86に装入される。この状態で、前記シールキャップ288はOリングを介して前記炉口286を気密に閉塞する。
【0149】
<圧力・温度調整工程(S3)>
前記処理室86が所望の圧力(真空度)となる様に前記真空ポンプ128によって真空排気される。この際、前記処理室86の圧力は、圧力センサ127で測定され、該測定された圧力に基づき前記APCバルブ130がフィードバック制御される。又、前記処理室86が所望の温度となる様に前記ヒータ254により加熱される。この際、前記処理室86が所望の温度分布となる様に温度検出器が検出した温度情報に基づき前記ヒータ254への通電具合がフィードバック制御される。続いて、前記回転機構290により、前記ボート236が回転されることでウエハ200が回転される。
【0150】
<成膜工程(S4)>
そして、上述の第1の実施形態に係る成膜工程S4が実施される。
なお、本基板処理装置210は、上述した第2の実施形態及び第3の実施形態に係る成膜工程S4にも適用できる。
上述したように、第1の実施形態、第2の実施形態又は第3の実施形態に係る成膜工程S4により、これらのサイクルを少なくとも1回以上行うことにより、ウエハ200上に所定膜厚の酸化膜を成膜することができる。なお、上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0151】
<残留ガス除去工程(S5)>
予め設定された時間が経過すると、不活性ガス供給源である第2ガス供給源102から不活性ガスであるN2ガスが供給され、前記処理室86が不活性ガスで置換されると共に、該処理室86の圧力が常圧に復帰される。
【0152】
<基板搬出工程(S6)>
その後、前記昇降モータ310により前記シールキャップ288が降下されて、前記炉口286が開口されると共に、処理済ウエハ200が前記ボート236に保持された状態で前記処理室86の外部に引出される。その後、前記ゲートバルブ330が開放され、処理済のウエハ200は、前記ウエハ移載機構222によって前記ボート236から払出される。
【0153】
尚、一例迄、本実施の形態の基板処理装置210にてウエハを処理する際の処理条件としては、例えば、酸化膜の成膜に於いて、処理温度室温〜300℃、処理圧力10Pa〜30Paが例示され、それぞれの処理条件を、それぞれの範囲内のある値で一定に維持することでウエハに処理がなされる。
【0154】
[多枚葉装置]
図13は本発明が適用される反応セル回転方式及び層状挙動方式をとる基板処理装置の一例である薄膜蒸着装置としての処理炉340の概略的な構成を示す断面図であって、図14は、図13の処理炉340のA−A線断面図である。また、図15は、図13の処理炉を構成する反応セルの構成を示すための部品組立図であり、図16は、図15のB−B線断面図である。
【0155】
図示のように、処理炉340の一側には基板出入口342が形成され、基板出入口342から供給された多数のウエハが装着されるサセプタ344には、基板の加熱のためのヒータ254が取り付けられ、このように構成されたサセプタ344は、ウエハのローディング及びアンローディングのために、サセプタ344の下部に連結されたサセプタ回転軸348によって昇降及び回転される。
【0156】
まず、ガス供給手段350を見ると、図13に示すように、処理炉340の上部中央に、気密を維持した状態で円筒状の供給本体352が固定的に取り付けられ、その側面には、外部から酸素含有ガス及び反応促進ガス及びパージ(不活性)ガスがそれぞれ供給されるガス供給口354a、354b、354cが形成され、それぞれのガス供給口354a、354b、354cは、供給本体352の内周面に形成された環状溝356a、356b、356cにそれぞれ連結される。
【0157】
上述した第1の実施形態に係るガス供給装置89と同様に、ガス供給口354aは、上流側で第1ガス供給管96に接続され、該第1ガス供給管96は、開閉バルブ106,マスフローコントローラ104を介して酸素含有ガス供給源である第1ガス供給源98に接続されている。また、ガス供給口354cは、第2ガス供給管100に接続され、該第2ガス供給管100は、上流側に開閉バルブ110、マスフローコントローラ108を介して不活性ガス供給源である第2ガス供給源102に接続されている。また、ガス供給口354bは、ガス導入管114に接続され、該ガス導入管114は、上流側に開閉バルブ120とマスフローコントローラ118を介して反応促進ガス供給源である第3ガス供給源116に接続されている。
【0158】
前記供給本体352の中央には、外部の回転駆動手段(図示せず)によって回転される回転軸358が挿設される。この回転軸358の内部では、前記それぞれの環状溝356a、356b、356cと連通して垂直下方に形成されたガス管路360a、360b、360cが相互に離隔して処理炉340の内部に延設される。
したがって、供給本体352の側面に供給されるそれぞれのガスは、回転軸358が回転するうちにも、ガス管路360a、360b、360cを通じて垂直下方のガス分配手段362に提供される。
【0159】
この際、前記供給本体352と回転軸358との間には、気密を維持するように、磁性流体を利用したシーリングまたは機械的シーリング方法であるエリックシーリング方法などを使用することができる。その構成は公知の技術であるので、具体的な構成に対する詳細な説明は省略する。
一方、前記回転軸358を回転駆動させる回転駆動手段(図示せず)は、駆動モーターの回転数と回転速度を制御することができるエンコーダが取り付けられたステッピングモーターを使用することが望ましく、前記エンコーダにより、反応セル364の1サイクル工程時間を制御することになる。
【0160】
次に、ガス分配手段362を構成する分配本体366は、図13の部分詳細図、図15及び図16(図15のB−B線に沿って取った断面を示す斜視図)に示すように、前記ガス供給手段350を構成する回転軸358の下端に固定される。この分配本体366の上部には、前記それぞれのガス管路360a、360b、360cと連結されたガス導入孔368a、368b、368cが形成され、その内部には、それぞれのガス導入孔368a、368b、368cを通じて流入されたガスが混合しないように隔離させる多数の分配チャンバ370が形成される。
【0161】
分配チャンバ370は、中央を中心として、O3ガス、COガス、O3ガス、COガスの順に隣接して配置され、後述する反応セル364と対応して配設される。
すなわち、それぞれの分配チャンバ370は、分配本体366の側面に形成された側方噴射口372と連通して、前記ガス供給口354a、354b、354cに流入されたそれぞれのガスが反応セル364に噴射されるように形成される。
【0162】
一方、前記分配チャンバ370のうち、パージガスが供給される分配チャンバ370の下部には、側方噴射口372とは別に、垂直下方にガスが噴射されるように形成された下方噴射口374を備えることが望ましい。これは、反応ガスが供給される反応セル364の内部のガスが互いに混合しないように、ガスカーテンの役目をするためである。
【0163】
次に、ガス滞留手段378は、前記分配本体366の外郭に多数の反応セル364として構成される。それぞれの反応セル364は、図15に示すように、ディスク状の上部プレート380の下面に所定間隔を置いて取り付けられる多数の隔壁382によって区画された空間を意味し、それぞれの反応セル364は、前記分配本体366の内部に形成された分配チャンバ370から分配されたガスを受ける。
このように構成された反応セル364によって、実質的にウエハの薄膜形成に関連する空間は最小化され、これによりウエハに接触されるガス密度を増加させることにより、短時間の間に薄膜蒸着反応が起こるように誘導し、かつ供給されるガス量を最小化することができる。
【0164】
前記上部プレート380は、ガスが上部に拡散することを防止するとともに処理炉340の上面での薄膜の累積によるパーティクルの発生を防止する機能をすることになる。
【0165】
前記それぞれの隔壁382の設置方向は、ガス分配手段362の側方噴射口372と対応するように設計される。本発明の実施例によれば、隔壁382は円板状の上部プレート380の下面に半径方向に取り付けることで、ガスを放射方向に流れるようにした。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、隔壁382を反応セル364の回転方向に対応するように、螺旋方向に取り付ける(図示せず)ことにより、ガスがより均一に流れるようにすることができるなど、多様に変形して実施することができる。
【0166】
前記反応セル364の中でも内部ガスの滞留時間を最大化するために、反応セル364の外郭には、隔壁382の端部を連結する外郭壁384をさらに取り付けることができる。
原子層蒸着反応に関する単一層吸着理論である“Langmuir法則”によれば、原子層薄膜蒸着反応のための吸着速度は、反応ガスの分圧と露出時間に比例して表面吸着速度が決定される。前記外郭壁384は、反応ガスが排出されることを遅延させることにより、反応ガスの分圧を上昇させ、結局、表面吸着速度の向上をもたらすことになるものである。
【0167】
一方、隣接反応セル364間の内部ガスの混合を制限するために、図15に示すように、隔壁382の下端には、サセプタ344と平行な方向に延長された延長板386をさらに取り付けることもできる。
【0168】
以上のように構成された上部プレート380、隔壁382、外郭壁384及び延長板386は、一体型または組立型に構成することができ、反応セル364の回転による遠心力によって分離しないように堅く結合されなければならない。
前記延長板386とウエハの間の間隔は狭ければ狭いほど望ましいが、反応セル364の内部ガス間の混合を最小化するために、少なくとも3mm以下を維持しながら、延長板386とウエハとの間で接触が発生しないようにしなければならない。
【0169】
このように構成されたガス滞留手段378は、前記ガス分配手段362に固定されて一体的に回転するように構成され、本発明の一実施例によれば、図15に示すように、分配本体366の側面に多数の結合溝388を形成し、これに対応する形状の結合突起390を隔壁382の一端部に形成して、結合溝388と結合突起390の結合によって、遠心力による離脱を防止するように構成したが、このような固定手段はボルトまたはクランプ部材などを利用して多様に変形して使用することができることは勿論である。
【0170】
次に、ガス排出手段392は、図13に示すように、処理炉340の内周面に沿って取り付けられた制限プレート394とそれぞれの反応セル364間の空間に存在するガスを外部に排出するための多数の吸引セル396からなる。
ここで、前記制限プレート394は、反応ガスがサセプタ344の下部空間に流入することを防止することにより、処理炉340の内部空間のうち、実際に反応が起こる空間を制限する役目をすることになる。
それぞれの吸引セル396は、相異なる反応ガスが同時に吸入されないように、前記反応セル364の外郭長に相応する長さに区画される。これは、それぞれの反応セル364から流出する余剰ガスのうち、第1反応ガスと第2反応ガスの同時吸入による混合によって発生し得るパーティクル生成を防止するためのものある。すなわち、ある一時点で吸引セル396に吸入されるガスは、1種の反応ガスとパージガスにならなければならない。したがって、四つの反応セル364からなる場合、それぞれの吸引セル396の長さは反応セル364の外郭長より小さくなければならなく、これを満足する条件で、4以上の数でなることもできることは勿論である。
【0171】
それぞれの吸引セル396の構造を図13及び図14に基づいて具体的に説明すれば、前記制限プレート394の上部と反応セル364の外郭間の空間に当たる1次排気通路398と、その上部に多数の連通孔400が形成された分離プレート402と、上部空間に形成され、排気口404と連結する2次排気通路406から構成される。このように、排気通路398、406を2重構造に形成し、その間に多数の連通孔400が形成された分離プレート402を取り付けたことは、反応セル364の外郭全体に流れるガスに対する吸入力を均一にするためである。
【0172】
続いて、本実施形態の処理炉340を使用する基板処理の動作を説明する。尚、以下の各構成部の動作は、制御部74によって制御されるものである。
【0173】
<基板搬入工程(S1)、基板載置工程(S2)>
外部の基板移送装置(図示せず)により、サセプタ344上の所定位置にウエハをローディングし後、サセプタ回転軸348が回転しながら、サセプタ344上に多数のウエハを順にローディングする。
そして、サセプタ344が処理炉340の制限プレート394まで上昇して、ウエハ上部に、ガス滞留手段を構成する反応セル364が位置する。
【0174】
<圧力・温度調整工程(S3)>
前記処理炉340が所望の圧力(真空度)となる様に制御され、サセプタ344の下部に取り付けられたヒータ254により、反応に必要な温度までウエハを加熱する。
【0175】
<成膜工程(S4)>
ガス供給手段350の内部の回転軸358が回転するにしたがい、回転軸358の下端に連結されたガス分配手段362、及びこれと結合されたガス滞留手段を構成する反応セル364が同時に回転駆動される。
そして、上述の第1の実施形態に係る成膜工程S4が実施される。
【0176】
具体的には、外部から、ガス供給手段350に形成されたガス供給口354a、354b、354cを通じて上述の第1の実施形態の成膜工程S4の順に、それぞれO3ガス、COガス及びN2ガスが供給され、供給されたガスはそれぞれ環状溝356a、356b、356c及びガス管路360a、360b、360cを順に経ってガス分配手段362に提供される。
【0177】
前記それぞれのガス管路360a、360b、360cを流れるガスはそれぞれ分配本体366のガス導入孔368a、368b、368cを通じて分配チャンバ370の内部に供給され、分配チャンバ370から側方噴射口372を通じて該当反応セル364にガスが噴射される。
【0178】
このように噴射されたそれぞれのガスは反応セル364で滞留し、このときに回転されるサセプタ344上のウエハは滞留するガスに露出されることにより、ウエハ上に薄膜(酸化膜)が蒸着される。
具体的に、停止したウエハのいずれか一つを基準として見ると、当該ウエハは、反応セル364が回転するにしたがい、上述の第1の実施形態に示されるように、COガス→パージガス→O3ガス→パージガス→COガス・・・の順に露出される。すなわち、反応セル364が1回転する間、サセプタ344上の全ウエハに対して1サイクルのガス接触が行われることにより、1次薄膜が形成される。
したがって、反応セル364の回転数は原子層蒸着のサイクル数と同一であり、1サイクル当たり蒸着された厚さが一定であるので、原子層薄膜の全厚を反応セル364の回転数によって調節することができる。
【0179】
<残留ガス除去工程(S5)>
処理炉340の内周面と反応セル364の外郭に、反応ガスのうち反応に関与しない余剰ガスとパージガスをそれぞれの吸引セル396によって排出する。
具体的に、排出されるガスの流れを見ると、それぞれの吸引セル396別に、1次排気通路398→分離プレート402に形成された連通孔400→2次排気通路406→排気口404を通して外部に排出される。
この際、前記それぞれの吸引セル396は反応セル364の外郭の長さに対応する長さに区画して、第1反応ガスと第2反応ガスは同時に吸入されないようにすることが望ましい。吸引セル396の長さが反応セル364外郭の間隔より大きい場合、相異なる反応ガスが同一の排気口404に吸入でき、その場合、反応ガス間の反応によるパーティクル発生によって薄膜の表面特性が低下するおそれがあるからである。
【0180】
<基板搬出工程(S6)>
以上の工程において、所望厚さの薄膜が形成されるまで続いて実行され、処理工程がすべて済むと、基板出入口342を開放した後、基板移送装置(図示せず)により、サセプタ344上のウエハを順に引き出す。このような作業は、ウエハのローディング作動順の逆順に行われる。
【0181】
なお、本実施形態における成膜工程(S4)でのウエハ200の処理条件としては、
処理温度(ウエハ温度):室温〜300℃、
処理圧力(処理室内圧力):10〜30Pa、
反応促進ガス(COガス)供給流量:100〜300sccm
反応促進ガス(COガス)供給時間:10〜30秒、
酸化剤(O3ガス)供給流量:100〜300sccm、
酸化剤(O3ガス)供給時間:10〜30秒、
が例示される。
【0182】
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
(1)基板に酸素含有ガスを供給する工程と、前記酸素含有ガスに対して触媒作用を有する反応促進ガスを供給する工程とを交互に複数回繰り返して、基板を酸化することにより基板に酸化膜を形成する半導体装置の製造方法。
(2)前記酸素含有ガスと前記反応促進ガスは、互いに混合しないよう供給される前記(1)に記載の半導体装置の製造方法。
(3)処理室に基板を収容する工程と、前記処理室内に酸素含有ガスを断続的にパルスで供給する工程と、前記処理室内に前記酸素含有ガスに対して触媒作用を有する反応促進ガスを供給する工程と、を含み、基板を酸化することにより基板に酸化膜を形成する半導体装置の製造方法。
(4)前記反応促進ガスは前記酸素含有ガスのパルスの間およびパルスに沿って連続的に供給される前記(3)に記載の半導体装置の製造方法。
(5)処理室に基板を収容する工程と、前記処理室内に酸素含有ガスに対して触媒作用を有する反応促進ガスを断続的にパルスで供給する工程と、前記処理室内に酸素含有ガスを供給する工程と、を含み、基板を酸化することにより基板に酸化膜を形成する半導体装置の製造方法。
(6)前記酸素含有ガスは前記反応促進ガスのパルスの間およびパルスに沿って連続的に供給される前記(5)に記載の半導体装置の製造方法。
(7)前記酸素含有ガスはO3である前記(1)〜(6)いずれか記載の半導体装置の製造方法。
(8)前記反応促進ガスは、炭素含有ガス、水素含有ガス、窒素含有ガスのいずれかである前記(1)〜(7)いずれか記載の半導体装置の製造方法。
(9)前記反応促進ガスは、CO、CO2、CH含有ガス、H2O、H22、NO、N2Oのいずれかである前記(8)に記載の半導体装置の製造方法。
(10)前記酸素含有ガスの供給および前記炭素含有ガスの供給が行われる間、前記基板の温度は700℃以下である前記(1)〜(9)いずれか記載の半導体装置の製造方法。
(11)前記酸素含有ガスの供給および前記炭素含有ガスの供給が行われる間、前記基板の温度は200℃である前記(10)に記載の半導体装置の製造方法。
(12)前記反応促進ガスの種類、供給間隔、供給時間、供給時における前記処理室内の圧力、供給量の少なくとも1つを調整することにより、酸化速度を制御する前記(1)〜(11)いずれか記載の半導体装置の製造方法。
(13)前記基板にはビアホールもしくはトレンチが形成されている前記(1)〜(12)いずれか記載の半導体装置の製造方法。
(14)ビアホールもしくはトレンチが形成された基板に炭素含有ガスを供給し、前記ビアホールもしくはトレンチの底部に少なくとも炭素原子を吸着させる工程と、前記基板に酸素含有ガスを供給し、前記ビアホールもしくはトレンチの底部に吸着した炭素により分解されて発生した原子状酸素により前記基板を酸化する工程と、を繰り返す半導体装置の製造方法。
(15)基板を収容する処理室と、酸素含有ガスを前記基板に供給する酸素含有ガス供給系と、前記酸素含有ガスに対して触媒作用を有する反応促進ガスを前記基板に供給する反応促進ガス供給系と、前記酸素含有ガスおよび前記反応促進ガスを交互に前記基板に供給して、前記基板を酸化するよう前記酸素含有ガス供給系および前記反応促進ガス供給系を制御する制御部と、を有する基板処理装置。
(16)前記(15)に記載の基板処理装置を用いて製造された半導体装置。
(17)真空容器内に任意の温度を保つサセプタ(基板載置部)上に載置される基板に反応促進ガスと酸素含有ガスを交互に、或いは反応促進ガスを簡欠的に導入することを特徴とする酸化法。
(18)前記反応促進ガスと前記酸素含有ガスを十分に除去してステップカバレッジ又はローディング効果を改善する前記(17)に記載の酸化法。
(19)好ましくは前記(18)において処理室内の圧力を1パスカル以下まで排気する。
(20)反応促進ガスの種類、導入間隔、導入時間、導入圧力、導入流量を酸化速度の飽和時間により最適化して、酸化速度を制御する方法。
(21)前記反応促進ガスは、CO,CO2,CxHy,H2O,H22,NO,N2O及びO3等の酸化種に対して触媒作用を有する気体とする。
【0183】
以上、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0184】
200 ウエハ(基板)
74 コントローラ(制御部)
76、240、340 処理炉
86 処理室
90、112 ガス供給孔
94、114 ガス導入管
96 第1ガス供給管
98 第1ガス供給源(酸素含有ガス供給源)
100 第2ガス供給管
102 第2ガス供給源(不活性ガス供給源)
104,108、118 マスフローコントローラ
106,110,120 開閉バルブ
116 第3ガス供給源(反応促進ガス供給源)
126 ガス排気管
128 真空ポンプ
130 APCバルブ
270、271 ガスノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に酸素含有ガスを供給する工程と、
前記酸素含有ガスに対して触媒作用を有する反応促進ガスを供給する工程と、
を交互に複数回繰り返して、基板を酸化することにより基板に酸化膜を形成する
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
処理室に基板を収容する工程と、
前記処理室内に酸素含有ガスを断続的にパルスで供給する工程と、
前記処理室内に前記酸素含有ガスに対して触媒作用を有する反応促進ガスを供給する工程と、を含み、
基板を酸化することにより基板に酸化膜を形成する
半導体装置の製造方法。
【請求項3】
処理室に基板を収容する工程と、
前記処理室内に酸素含有ガスに対して触媒作用を有する反応促進ガスを断続的にパルスで供給する工程と、
前記処理室内に酸素含有ガスを供給する工程と、を含み、
基板を酸化することにより基板に酸化膜を形成する半導体装置の製造方法。
【請求項4】
ビアホールもしくはトレンチが形成された基板に炭素含有ガスを供給し、前記ビアホールもしくはトレンチの底部に少なくとも炭素原子を吸着させる工程と、
前記基板に酸素含有ガスを供給し、前記ビアホールもしくはトレンチの底部に吸着した炭素により分解されて発生した原子状酸素により前記基板を酸化する工程と、
を繰り返す半導体装置の製造方法。
【請求項5】
基板を収容する処理室と、
酸素含有ガスを前記基板に供給する酸素含有ガス供給系と、
前記酸素含有ガスに対して触媒作用を有する反応促進ガスを前記基板に供給する反応促進ガス供給系と、
前記酸素含有ガスおよび前記反応促進ガスを交互に前記基板に供給して、前記基板を酸化するよう前記酸素含有ガス供給系および前記反応促進ガス供給系を制御する制御部と、
を有する基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−199369(P2012−199369A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62212(P2011−62212)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】