説明

半導体装置の製造方法

【課題】電解メッキ工程において、安定した給電が可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、有効チップ領域である第1の領域20と、第1の領域20の周縁を囲む第2の領域30と、を有した半導体ウエハー1を用意する工程と、第2の領域30に樹脂突起40を形成する工程と、第1の領域20及び第2の領域30に第1の導電層50を形成する工程であって、第1の導電層50は樹脂突起40の上に位置する第1の部分51を有するように、第1の導電層50を形成する工程と、第1の導電層50の上にレジスト層60を形成する工程と、少なくとも第1の導電層50の第1の部分51の上に位置するレジスト層60を除去する工程と、第1の導電層50の第1の部分51に給電して、電解メッキにより第1の導電層50の上に第2の導電層90を形成する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、リング状の給電部である電極を有し、その電極とめっき液とを遮断するためのシーリング部材を有した半導体ウエハー用のメッキ治具が知られている(特許文献1)。例えばWCSP(Wafer Level Chip Size Package)構造を適用した半導体装置の製造工程において、このようなメッキ治具を用いて半導体ウエハーに電解メッキ処理を行う場合、メッキ治具の電極と半導体ウエハーの上に形成された導電層とを接触させて給電を行うことが必要である。しかしながら、メッキ治具の電極は、メッキ液の流入を防ぐためにシーリングされる必要があり、かつ、半導体ウエハーに物理的ダメージを与えてはならないため、その形状はシーリング部材より突出した形状を有することができない。よって、電極と導電層とを確実に接触させて、安定して給電することが難しい。また、メッキ治具の電極および半導体ウエハーの導電層は共に金属より形成されている。このため、メッキ治具の給電部分と半導体ウエハーとの間に押圧力が加えられた場合、加えられた押圧力によって、電極と半導体ウエハーとの接触部において応力が集中し、半導体ウエハーにクラック等の物理的ダメージが生じる可能性がある。
【0003】
以上により、半導体装置の製造工程において、半導体ウエハーに物理的ダメージを生じさせずに、半導体ウエハーの導電層とメッキ治具の電極とを確実に接触させ、導電層への給電の安定性を高めることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−140694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の一つは、電解メッキ工程において、安定した給電が可能な半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る半導体装置の製造方法は、
集積回路が形成された第1の領域と、前記第1の領域の周縁を囲む第2の領域と、を有した半導体ウエハーを用意する工程と、
前記第2の領域に樹脂突起を形成する工程と、
前記第1の領域及び前記第2の領域に第1の導電層を形成する工程であって、前記第1の導電層は前記樹脂突起の上に位置する第1の部分を有するように、前記第1の導電層を形成する工程と、
前記第1の導電層の上にレジスト層を形成する工程と、
少なくとも前記第1の導電層の前記第1の部分の上に位置する前記レジスト層を除去する工程と、
前記第1の導電層の前記第1の部分に給電して、電解メッキにより前記第1の導電層の上に第2の導電層を形成する工程と、
を含む。
【0007】
本発明によれば、電解メッキ工程において、安定した給電が可能な半導体装置の製造方法を提供することができる。
【0008】
(2)本発明に係る半導体装置の製造方法において、
前記樹脂突起は、前記第2の領域において環状に形成されてもよい。
【0009】
(3)本発明に係る半導体装置の製造方法において、
前記樹脂突起は、前記第2の領域において複数形成されてもよい。
【0010】
(4)本発明に係る半導体装置の製造方法において、
給電用の電極と、前記電極を囲むシーリング部材とを有した電解めっき用治具を用意する工程を更に含み、
前記第2の導電層を形成する工程において、前記第1の部分と、前記電極とを接触させてもよい。
【0011】
(5)本発明に係る半導体装置の製造方法において、
前記第1の部分は、前記電極に押圧されて接触してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に説明する図。
【図2】本実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に説明する図。
【図3】本実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に説明する図。
【図4】メッキ治具を模式的に説明する図。
【図5】メッキ治具を模式的に説明する図。
【図6】本実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に説明する図。
【図7】本実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に説明する図。
【図8】本実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に説明する図。
【図9】本実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に説明する図。
【図10】本実施形態に係る半導体装置の製造方法の変形例を模式的に説明する図。
【図11】本実施形態に係る半導体装置の製造方法の変形例を模式的に説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を適用した実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態のみに限定されるものではない。本発明は、以下の実施の形態および変形例を自由に組み合わせたものを含むものとする。
【0014】
以下、図面を参照して、本実施の形態に係る半導体装置の製造および半導体ウエハーについて説明する。
【0015】
図1〜図8は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法および半導体ウエハーを説明する図である。ここで、図1(A)は半導体ウエハー1の平面図であり、図1(B)は図1のIB−IB線断面図である。図2(A)は本実施の形態に係る半導体ウエハー2の要部の平面図であり、図2(B)は図2のIIB−IIB線断面図であり、図2(C)は半導体ウエハー2の要部の変形例である。図3(A)〜図3(C)は、半導体装置の製造方法を説明する図である。
【0016】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、集積回路5が形成された第1の領域20と、第1の領域20の周縁を囲む第2の領域30と、を有した半導体ウエハー1を用意する工程と、第2の領域30に樹脂突起40を形成する工程と、第1の領域20及び第2の領域30に第1の導電層50を形成する工程であって、第1の導電層50は樹脂突起40の上に位置する第1の部分51を有するように、第1の導電層50を形成する工程と、第1の導電層50の上にレジスト層60を形成する工程と、少なくとも第1の導電層50の第1の部分51の上に位置するレジスト層60を除去する工程と、第1の導電層50の第1の部分51に給電して、電解メッキにより第1の導電層50の上に第2の導電層90を形成する工程と、を含む。
【0017】
半導体ウエハー1は、例えば、シリコンウエハーからなる半導体基板10であってもよい。半導体ウエハー1の平面形状は、例えば、略円形であってもよい。図1(A)に示すように、一部が切り欠かれていてもよい。また、半導体ウエハー1は、複数に分割されてなる分割基板であってもよい(図示せず)。
【0018】
半導体ウエハー1は、図1(A)に示すように、有効チップ領域である第1の領域20(図1(A)の灰色で示された領域)と、第1の領域20を囲む第2の領域30(図1(A)の白色で示された領域)と、を有する。
【0019】
第1の領域20は、有効チップ領域であって、製品となる半導体チップを含む領域であってよい。また、第1の領域20には、集積回路5が形成されている。図1(B)に示すように、第1の領域20には複数の集積回路5が形成されていてもよい。図1(B)に示すように、第1の領域20は、半導体ウエハー1の中央部に形成してもよい。図1(A)に示すように、切断ラインLは、隣り合った半導体チップとなる部分の境界線を示すものである。よって、切断ラインLによって区画された1つの区画部分は、半導体チップとなる領域であってもよい。それぞれの区画部分において、一つの集積回路5及び図示されない保護膜(パッシベーション膜)、集積回路に接続される電極等の構造体を含んでいてもよい。
【0020】
第2の領域30は、図1(A)および図1(B)に示すように、第1の領域20を囲む領域である。第2の領域30は、製品とならない半導体チップを含む領域であってもよい。なお、第1の領域20および第2の領域30の配置は、半導体装置の設計時に所定の配置に適宜決定することができる。
【0021】
樹脂突起40は、図2(A)に示すように、第2の領域30に形成される。樹脂突起40は、図2(A)に示すように、第2の領域30に環状に連続して形成されていてもよい。樹脂突起40が形成される位置は、第2の領域30内であればよい。例えば、図2(B)に示すように、半導体ウエハー1の周縁から所定の間隔を有するように配置されていてもよい。また、図示はしないが、半導体ウエハー1の周縁と間隔を有さずに接するように配置されていてもよい。また、図2(C)に示すように、連続しない樹脂突起40を複数形成してもよい。樹脂突起40の形状は、後述されるメッキ治具70の形状を考慮して所望の形状に形成されてもよい。詳細は後述される。樹脂突起40は、図2(B)に示すように、上面(樹脂突起40の半導体ウエハー1と対向する面とは反対側の面)が平面であってもよいし、曲面であってもよい(図示せず)。樹脂突起40は、公知のいずれかの方法によって形成されてもよい。樹脂突起40は、例えば、感光性の樹脂層を半導体ウエハー1上に形成した後、露光処理などによって所望の形状にパターンニングされて形成されてもよい(図示せず)。樹脂突起40は、応力緩和機能を有していてもよい。樹脂突起40は、例えば、ポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン(BCB;benzocyclobutene),ポリベンゾオキサゾール(PBO;polybenzoxazole)などの樹脂で形成されていてもよい。樹脂突起40は、図2(B)に示すように、単層であってもよいし、複数の樹脂から形成された積層体であってもよい(図示せず)。
【0022】
また、樹脂突起40を形成する際、第1の領域20内の所望の領域に複数の樹脂層41を形成してもよい(図10(A)参照)。詳細は後述される。
【0023】
以上のいずれかの構成から、本実施の形態に係る半導体ウエハー2は構成されていてもよい。
【0024】
次に、図3(A)に示すように、半導体ウエハー2における第1の領域20および第2の領域30に第1の導電層50を形成する。第1の導電層50は、公知のいずれかの成膜方法によって形成されてもよい。例えば、第1の導電層50は、スパッタリング法等を用いて形成されてもよい。第1の導電層50は、半導体ウエハー2の全面に形成されてもよい。また、第1の導電層50は、所望の形状にパターニングされていてもよい(図示せず)。第1の導電層50は、導電性の膜であれば特に限定されない。第1の導電層50は、例えば、銅(Cu)、チタンタングステン(TiW)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、金(Au)、アルミニウム(Al)、ニッケルバナジウム(NiV)、タングステン(W)のうちいずれか1つ又は複数を積層することで、形成されてもよい。
【0025】
図3(A)に示すように、第1の導電層50の樹脂突起40とオーバーラップした部分
を第1の部分51とする。第1の部分51は、樹脂突起40の少なくとも上面の一部を覆っていればよい。また、第1の部分51は、第1の領域20の上に形成された第1の導電層50と連続して形成され、電気的に接続されていればよい。
【0026】
図3(B)に示すように、第1の導電層50の上にレジスト層60(例えばソルダーレジスト層)を形成する。レジスト層60は、感光性の樹脂であってもよい。レジスト層60は、メッキ用レジストであってもよい。レジスト層60は、第1の領域20および第2の領域30を覆うように形成される。レジスト層60が形成された後、図3(C)に示すように、少なくとも第1の部分51上におけるレジスト層60は除去される。レジスト層60は公知の方法によって除去されてもよい。例えば、露光処理および現像処理によってエッチングされ、除去されてもよい。ここで、第1の部分51以外の領域に形成されたレジスト層60は、所望の形状にパターニングされるように除去されてもよい。また、第2の領域30におけるレジスト層60は、メッキ治具の形状を考慮して、除去されてもよい。例えば、後述されるメッキ治具のシーリング部材が第1の導電層50の上に当接される部分にレジスト層60が残らないように除去されてもよい。詳細は後述される。このとき、不要な第1の導電層50もエッチングされ除去されてもよい。また、第1の領域20にのみレジスト層60が形成され、レジスト層60が所望の形状を有するようにパターニングされてもよい。
【0027】
以上の工程によって、図3(D)に示すように、第2の領域30に第1の導電層50の第1の部分51を有し、第1の領域20における第1の導電層50の上にパターニングされたレジスト層60を有した半導体ウエハー3が準備される。
【0028】
次に、第1の導電層50の第1の部分51に給電して、電解メッキにより第1の導電層50の上に第2の導電層90を形成する電解メッキ工程が実施される。
【0029】
図4〜図8は半導体ウエハー3を電解メッキする工程を説明する図である。図4および図5は、メッキ治具70を説明する図である。なお図4および図5は模式的にメッキ治具70を示すものであり、形状はこれに限定されるものではない。メッキ治具70は、大略すると図4に示されるマスク治具71と図5に示される裏蓋治具72とにより構成されていてよい。図4(A)は、マスク治具71の正面図であり、図4(B)は、マスク治具71の断面図である。また、図5(A)は、裏蓋治具72の正面図であり、図5(B)は裏蓋治具72の断面図である。
【0030】
図4(A)および図4(B)に示すように、マスク治具71は、例えば、中央下部に開口部71aが形成されてもよい。開口部71aの周縁部には環状形状を有したシーリング部材71bが形成されてもよい。シーリング部材71bは、液体のシーリング機能を有していればよく、シールゴムやOリングであってもよい。シーリング部材71bの周囲には、環状に給電用端子である電極71cが形成されてもよい。電極71cは、図4(A)に示すように、環状形状を有していてもよいし、不連続に複数形成されていてもよい(図示せず)。電極71cは、例えば、マスク治具71の上部に形成された外部接続端子71dと電気的に接続されている。電極71cを囲むように、開口部71aと同心円の壁部71eが電極71cと離間して形成されてもよい。更に、開口部71aの外周と離間した位置には、複数のネジ孔71fが形成されてもよい。ネジ孔71fは、後述される裏蓋治具72をネジによって固定する際に用いることができる。
【0031】
図5(A)に示すように、例えば、裏蓋治具72は、大略すると蓋体72aと複数(本実施形態では2本)の固定フレーム72bとにより構成されていてよい。蓋体72aは円盤状の部材であり、その大きさは半導体ウエハー3の直径よりも大きな直径を有していてもよい。固定フレーム72bは、それぞれ貫通孔72cが形成されてもよい。また、図5(B)に示すように、蓋体72aの固定フレーム72bが形成された面の反対の面には、シールゴム72dが配置されてもよい。
【0032】
図6(A)および図6(B)は、半導体ウエハー3をメッキ治具70に装着する工程を模式的に説明する図である。図6(A)に示すように、半導体ウエハー3のレジスト層60および第1の部分51が形成された面をマスク治具71に向けて位置合わせをし、半導体ウエハー3をマスク治具71に装着する。ここで、第1の部分51が、電極71cと対向するように位置合わせされる。第1の部分51は、樹脂突起40の上に形成されており、樹脂突起40の形状は、上述のように、メッキ治具70の形状を考慮して形成されている。樹脂突起40は、例えば、シーリング部材71bと壁部71eとの間に入り込めるように形成されている。位置合わせする工程の後、図6(B)に示すように、第1の部分51と電極71cとを接触させるように、半導体ウエハー3をマスク治具71に搭載し、半導体ウエハー3をマスク治具71と裏蓋治具72とで固定する。図示はしないが、例えば、図示しないネジを用いてマスク治具71と半導体ウエハー3と裏蓋治具72とを固定する。このとき、図示されないネジを、裏蓋治具72の貫通孔72cとマスク治具71のネジ孔71fとを貫通さることによって裏蓋治具72を固定してもよい。しかしながら固定する方法は、これに限定されるものではない。
【0033】
図7は、半導体ウエハー3をマスク治具71に搭載した際の要部を模式的に示す断面図である。
【0034】
図7に示すように、樹脂突起40が突出した形状を有しているため、第1の部分51が、シーリング部材71bと壁部71eとの間に入ることができる。よって、第1の導電層50の第1の部分51と、給電用端子である電極71cとを確実に電気的に接続することができる。つまりは、樹脂突起40が形成されていない場合と比較して、より確実に半導体ウエハー上の導電層に給電を行うことができる。また、図示はしないが、図7におけるシーリング部材71bと比べて、電極71cが十分な高さを有さない場合も、樹脂突起40を形成することによって、電極71cと第1の部分51を確実に接続することができる。
【0035】
また、第1の部分51は、応力緩和層からなる樹脂突起40の上に形成されていることによって、図7に示すように、樹脂突起40が弾性変形を行い、応力を緩和することができるため、半導体ウエハー3および電極71cにクラック等の物理的ダメージが生じることを防ぐことができる。これによれば、電極71cの高さが異なるメッキ治具を用いた場合であっても、各メッキ治具の給電用の電極と第1の部分51とを確実に、かつ安全に接続させることができる。
【0036】
また、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法においては、半導体ウエハー3をマスク治具71と裏蓋治具72との間に確実に固定した後、例えば、図示されないネジを締め付けること等によって、裏蓋治具72をマスク治具71に押し付けることができる。これによれば、半導体ウエハー3の第1の部分51と電極71cとの接触部分に対して、安全に所望の応力を加えることができる。本実施形態において、第1の部分51と電極71cとを接触させる工程は、第1の部分51を電極71cに対して押圧し、樹脂突起40を弾性変形させることによって、第1の部分51を電極71cにより確実に接触させてもよい。
【0037】
以上の工程により、第1の部分51と給電用端子である電極72cとが確実に接触し、半導体ウエハー3はメッキ治具70内に装着された状態となる。
【0038】
次に、図8に示すように、メッキ治具70に装着された半導体ウエハー3を、メッキ装置80を用いて電解メッキ処理する。メッキ装置80は、例えば、メッキ液81が充填されたメッキ槽82と、電源83と、カソード電極84と、アノード電極85とを含む。例えば、銅メッキを行う場合、メッキ液81は銅イオンを含み、アノード電極85は銅から構成される。図8に示すように、メッキ液81にメッキ治具70を浸し、メッキ治具70の外部接続端子71dとカソード電極84とを電気的に接続し、電源83から、カソード電極84、外部接続端子71d、および電極71cを介して、電極71cと接触している第1の部分51に給電される。つまりは、半導体ウエハー3の第1の領域内の第1の導電層50に対して給電される。これによって、図9(A)に示すように、第1の導電層50の上のレジスト層60が除去された部分に第2の導電層90が電解メッキによって形成される。第2の導電層90は、導電性の膜であれば特に限定されない。第2の導電層90は、例えば、銅(Cu)、チタンタングステン(TiW)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、金(Au)、アルミニウム(Al)、ニッケルバナジウム(NiV)、タングステン(W)のうちいずれか1つ又は複数を積層することで、形成されてもよい。
【0039】
図9(B)に示すように、第2の導電層90を形成した後、レジスト層60を除去してもよい。
【0040】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法及び半導体ウエハーは、例えば、以下の特徴を有する。
【0041】
本実施の形態に係る半導体装置ウエハー2によれば、第2の領域に樹脂突起40を有しているため、電解メッキ処理される際、安定した給電が可能となる。
【0042】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、樹脂突起40と第1の部分51とを半導体ウエハー1の第2の領域に形成することによって、第1の部分51とメッキ治具70の給電端子である電極71cとを確実にかつ安全に接触させることができる。
【0043】
例えば、半導体ウエハー1をメッキ治具70に固定する際に、第1の部分51と電極71cとの間に応力が加えられた場合であっても、樹脂突起40が弾性変形することによって発生した応力を緩和することができる。言い換えれば、半導体ウエハー3をメッキ治具70に固定する際、安全に所定の応力を加えることができる。したがって、樹脂突起40の応力緩和機能により、第1の部分51と電極71cとの間でクラック等の物理的ダメージが生じることを防ぐことができる。
【0044】
また、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、電極71cがさまざまな高さを有した場合であっても、樹脂突起40を形成することで確実に、第1の部分51と電極71cとを接触させることができる。
【0045】
以上より、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、第1の導電層50に安定して給電を行うことができる。よって、電解メッキ工程において、安定した給電が可能な半導体装置の製造方法および半導体ウエハーを提供することができる。
【0046】
(変形例)
以下、図面を参照して、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の変形例の一例について説明する。図10および図11は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の変形例の一例を模式的に説明する図である。
【0047】
まず、図1(B)に示すように、第1の領域20に複数の集積回路5が形成された半導体ウエハー1を準備する。図10(A)に示すように、集積回路5を有する半導体ウエハー1を準備する。図10(A)は、複数の集積回路5が形成された半導体ウエハー1の第1の領域20の一部を拡大して示す断面図である。ここで、図10(A)に示すように、半導体ウエハー1の一方の面を第1の面11とする。
【0048】
半導体ウエハー1は、図10(A)に示すように、半導体ウエハー1の第1の面11の上に電極14を有してもよい。電極14は、半導体ウエハー1の内部に形成された集積回路5と内部配線(図示せず)によって電気的に接続されていてもよい。電極14は、半導体ウエハー1の内部配線の一部であってもよい。電極14が形成される領域は特に限定されるものではなく、図10(A)に示すように、第1の面11の下方に集積回路5が形成されていない領域において、形成されていてもよい。また、図示はしないが、電極14は、集積回路5とオーバーラップするように形成されていてもよい。電極14は、アルミニウム(Al)又は銅(Cu)等の金属で形成されていてもよい。また、図10(A)に示すように、半導体ウエハー1は、複数の電極14を含んでいてもよい。
【0049】
半導体ウエハー1は、図10(A)に示すように、絶縁膜16を有していてもよい。絶縁膜16はパッシベーション膜であってもよい。絶縁膜16は、電極14の少なくとも一部を露出させるように形成されていてもよい。絶縁膜16は、図10(A)に示すように、電極14を露出させる開口部16aを有する。絶縁膜16は、例えば、SiOやSiN等の無機絶縁膜であってもよい。あるいは、絶縁膜16は、ポリイミド樹脂などの有機絶縁膜であってもよい。
【0050】
図10(A)に示すように、半導体ウエハー1の絶縁膜16の所望の領域に樹脂層41を形成してもよい。例えば、図10(A)に示すように、樹脂層41は、絶縁膜16の上であって、集積回路5とオーバーラップするように形成されてもよい。また、樹脂層41は、電極14の少なくとも一部が露出するように形成されていればよい。よって、図示はされないが、樹脂層41は、絶縁膜16の開口部16a内の電極14の一部とオーバーラップするように形成されてもよい。樹脂層41は、公知のいずれかの方法によって形成されてもよい。樹脂層41は、例えば、感光性の樹脂層を半導体ウエハー1上に形成した後、露光処理などによって所望の形状にパターンニングされて形成されてもよい(図示せず)。
【0051】
また、図示はしないが、樹脂層41は、半導体ウエハー1の第2の領域30に樹脂突起40を形成する工程において、同時に形成されてもよい(図2(A)〜図2(C)参照)。しかしながら、樹脂突起40は、上述のように、メッキ治具70の形状を考慮して形成される。したがって、第1の領域20内に樹脂層41を形成し、同時に第2の領域30内に所望の形状を有した樹脂突起を形成した後、該樹脂突起をさらに成形処理することによって樹脂突起40を形成してもよい。例えば、樹脂層41と同時に形成された樹脂突起のみをエッチング処理することにより樹脂突起40を形成してもよい。また、該樹脂突起の上に、さらに樹脂層を積層することによって、所望の形状を有した樹脂突起40を形成してもよい。
【0052】
樹脂層41は、応力緩和機能を有していてもよい。樹脂層41は、例えば、ポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン(BCB;benzocyclobutene),ポリベンゾオキサゾール(PBO;polybenzoxazole)などの樹脂で形成されていてもよい。
【0053】
次に、図3(A)に示すように、半導体ウエハー2における第1の領域20および第2の領域30に第1の導電層50を形成する。このとき、図10(B)に示すように、第1の領域20において、第1の導電層50は、半導体ウエハー1の電極14、絶縁膜16および、樹脂層41を連続して覆うことができる。なお、第1の導電層50の詳細は上述されているため、省略する。
【0054】
次に、図3(B)および図10(C)に示すように、第1の導電層50の上にレジスト層60(例えばソルダーレジスト層)を形成する。次に、図3(C)および図3(D)に示すように、第1の領域20におけるレジスト層60の一部は、所定のパターン形状のマスク(図示せず)を介して露光現像処理されることにより、除去される。ここで、図10(D)に示すように、後述される電解メッキ処理により第2の導電層90を形成したい部分において第1の導電層50が露出するように、レジスト層60を除去してもよい。つまりは、第1の導電層50の電極14の上から樹脂層41の上に至るように延びる部分が露出するように、レジスト層60を除去してもよい。
【0055】
次に、図6から図8に示すように、第1の領域20においてパターニングされたレジスト層60を有する半導体ウエハー3は、本実施形態に係るメッキ治具70に搭載され、電解メッキ処理される。メッキ治具70の詳細、搭載工程および電解メッキ工程は上述されているため省略する。
【0056】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法によって、図9(A)に示すように、第1の領域20に第2の導電層90が形成される。ここで、図11(A)に示すように、第1の領域20において、第1の導電層50の露出した部分に第2の導電層90が形成される。第2の導電層90の材質は特に限定されないが、例えばCuからなる導電層であってもよい。また、電解メッキ工程の時間等を調整することにより、所望の膜厚有するように第2の導電層90を形成してもよい。
【0057】
次に、図9(B)に示すように、レジスト層60を除去する。図11(B)に示すように、レジスト層60が除去された後、第1の領域20には、第1の導電層50のみが形成されている部分と第1の導電層50と第2の導電層90との積層となっている部分が形成される。次に、第2の導電層90をエッチングマスクとして、第1の導電層50が露出している部分を除去してもよい。言い換えれば、第2の導電層90が上方に形成されていない第1の導電層50をエッチングにより除去してもよい。これによって、図11(C)に示すように、第1の導電層50および第2の導電層90の積層からなる第3の導電層91を形成してもよい。図11(C)に示すように、第3の導電層91は、絶縁膜16の開口部16a内に形成された電極14と電気的に接続し、電極14の上から樹脂層41の上面に至るように連続して形成されていてもよい。言い換えれば、第3の導電層91は、電極14に電気的に接続された配線であってもよい。図11(C)に示すように、第3の導電層91は、電極14と電気的に接続されている限りその形状は限定されず、電極14の露出面を全て覆っていてもよいし、電極14の露出面の一部とのみ電気的に接続されていてもよい(図示せず)。
【0058】
次に、図11(D)に示すように、第3の導電層91、樹脂層41、および絶縁層16の上に所望の形状にパターニングされたソルダーレジスト層92を形成する。ソルダーレジスト層92の形状は特に限定されない。例えば、樹脂層41の上に形成された第3の導電層91の少なくとも一部が露出するように、ソルダーレジスト層92をパターニングしてもよい。ここで、図11(D)に示すように、第3の導電層91のソルダーレジスト層92に覆われていない部分は、ランド94であってもよい。ここでソルダーレジスト層92は、絶縁性を有する封止剤であれば特に限定されるものではない。例えば、ソルダーレジスト層92は公知の樹脂から形成されていてもよい。具体的には、ソルダーレジスト層92は、ポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン(BCB;benzocyclobutene)、ポリベンゾオキサゾール(PBO;polybenzoxazole)、フェノール樹脂等の樹脂で形成されていてもよい。
【0059】
また、図11(D)に示すように、ランド94の上に外部端子95が形成されてもよい。外部端子95は、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではなく、例えば半田ペーストから形成された半田バンプ(ソルダーボール)であってもよい。
【0060】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法の変形例は以上のいずれかの構成をとることができる。
【0061】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法の変形例によれば、第2の領域に樹脂突起40を有しているため、電解メッキ処理される際、安定した給電が可能となる。その結果、安定して電解メッキ工程が行われるため、第1の領域20において第2の導電層90を確実に形成することができる。つまりは、第2の導電層90を形成する工程における歩留まりを向上させることができる。
【0062】
また、第2の導電層90は、配線となる第3の導電層91を構成するため、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、第1の導電層50に確実に給電が行われるため、所望の膜厚の第2の導電層90を安定して形成することができ、半導体装置の配線の電気的信頼性を向上させることができる。
【0063】
上記のように、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0064】
1 半導体ウエハー、2 半導体ウエハー、3 半導体ウエハー、10 半導体基板、11 第1の面、14 電極、16 絶縁膜、16a 開口部、20 第1の領域、30 第2の領域、40 樹脂突起、41 樹脂層、50 第1の導電層、51 第1の部分、60 レジスト層、70 メッキ治具、71 マスク治具、71a 開口部、71b シーリング部材、71c 電極、71d 外部接続端子、71e 壁部、71f ネジ孔、72 裏蓋治具、72a 蓋体、72b 固定フレーム、72c 貫通孔、72d シールゴム、80 メッキ装置、81 メッキ液、82 メッキ槽、83 電源、84 カソード電極、85 アノード電極、90 第2の導電層、91 第3の導電層、92 ソルダーレジスト層、94 ランド、95 外部端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路が形成された第1の領域と、前記第1の領域の周縁を囲む第2の領域と、を有した半導体ウエハーを用意する工程と、
前記第2の領域に樹脂突起を形成する工程と、
前記第1の領域及び前記第2の領域に第1の導電層を形成する工程であって、前記第1の導電層は前記樹脂突起の上に位置する第1の部分を有するように、前記第1の導電層を形成する工程と、
前記第1の導電層の上にレジスト層を形成する工程と、
少なくとも前記第1の導電層の前記第1の部分の上に位置する前記レジスト層を除去する工程と、
前記第1の導電層の前記第1の部分に給電して、電解メッキにより前記第1の導電層の上に第2の導電層を形成する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記樹脂突起は、前記第2の領域において環状に連続して形成される半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記樹脂突起は、前記第2の領域において複数形成される半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
給電用の電極と、前記電極を囲むシーリング部材とを有した電解めっき用治具を用意する工程を更に含み、
前記第2の導電層を形成する工程において、前記第1の部分と、前記電極とを接触させる半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の部分は、前記電極に押圧されて接触する半導体装置の製造方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−287648(P2010−287648A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138899(P2009−138899)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】