説明

半導体装置の製造方法

【課題】パッシベーション膜に形成された開口部から露出するボンディングパッドの表面に導電性部材を接続する半導体装置において、パッシベーション膜に発生するクラックを抑制することができる技術を提供する。
【解決手段】電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離(L2)を、電極層ELの一端と開口部OPの一端との間の平面的な距離(L1)よりも大きくする。これにより、ワイヤWの接続位置が電極層ELの端部側にずれる場合であっても、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離(L2)が大きくなっているため、電極層ELの段差部にワイヤWが接続することに起因した応力がパッドPADの端部にまで伝わることを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造技術に関し、特に、パッシベーション膜に形成された開口部から露出するボンディングパッドに電極層を介して導電性部材を接続する半導体装置の製造技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2009−124042号公報(特許文献1)には、パッシベーション膜に形成された開口部から露出する配線の表面にバリア膜とポストバンプを介して半田ボールを搭載する構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−124042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体チップのボンディングパッド(電極パッド)は、パッシベーション膜で覆われている。このため、ボンディングパッドに導電性部材(バンプ電極、ワイヤなど)を接続する場合、パッシベーション膜に開口部を形成し、この開口部から露出するボンディングパッドの露出部(表面、露出面、接続部)に導電性部材を接続することになる。このとき、パッシベーション膜は絶縁膜であるため、ボンディングパッドに導電性部材を接続する際には、接続する導電性部材をパッシベーション膜の開口部内に確実に配置する必要がある。
【0005】
ところが、ボンディングパッドを必要以上に露出してしまうと、露出した領域でボンディングパッドが腐蝕しやすくなるため、通常、開口部の大きさは、ボンディングパッドの大きさよりも小さく形成される。このことから、導電性部材をボンディングパッドに接続する際には、高い位置合わせ精度が要求される。
【0006】
そこで、近年では、ボンディングパッドの露出部上に電極層を形成し、この電極層に導電性部材を接続することが検討されている。このとき、電極層は、ボンディングパッドの露出部からパッシベーション膜の端部(開口部の周囲)上まで形成されている。このため、たとえ導電性部材がパッシベーション膜の端部上に配置されたとしても、このパッシベーション膜の端部上に、ボンディングパッドと電気的に接続される電極層が形成されているため、導電性部材とボンディングパッドとの電気的な接続信頼性の低下を抑制することができる。すなわち、電極層を形成することにより、ボンディングパッドの露出部に対する導電性部材の位置合わせが容易となる。
【0007】
しかし、この電極層には、パッシベーション膜の厚さの分だけ段差部が生じる。このため、導電性部材の一部がパッシベーション膜の端部上に配置される(導電性部材が段差部を跨ぐように配置される)と、荷重が加わった際、段差部に応力が集中する。この結果、段差部とボンディングパッドの端部までの間隔が小さいと、パッシベーション膜のうち、ボンディングパッドの側面部を覆う部分にクラックが発生することが本発明者の検討で明らかになった。特に、本発明者の検討によれば、半導体の微細加工プロセスが進むにつれて、パッシベーション膜の厚さも薄くなってきていることも、上述したクラックの発生原因の1つであることがわかってきている。
【0008】
そこで、パッシベーション膜に発生するクラック対策として、パッシベーション膜の膜厚を厚くすることが考えられる。ところが、パッシベーション膜の膜厚を厚くすると、パッシベーション膜に形成される開口部の深さも大きくなり、この開口部内からパッシベーション膜の端部上にわたって形成される電極層の段差も大きくなってしまう。また、厚く形成したパッシベーション膜を研磨(研削)し、パッシベーション膜の開口部付近における段差を緩和することも考えられるが、このような対応策では、多くの製造工程が必要となる。
【0009】
本発明の目的は、パッシベーション膜に形成された開口部から露出するボンディングパッドの表面に導電性部材を接続する半導体装置において、パッシベーション膜に発生するクラックを抑制することができる技術を提供することにある。
【0010】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0012】
代表的な実施の形態における半導体装置の製造方法は、(a)リードを有する基材を準備する工程を備える。そして、(b)第1主面、前記第1主面に形成されたボンディングパッド、前記ボンディングパッドの周縁部を覆うように、前記第1主面上に形成された絶縁膜、前記絶縁膜に形成された開口部から露出する前記ボンディングパッドの接続部と電気的に接続され、かつ、前記絶縁膜上に形成された電極層、および、前記第1主面とは反対側の第2主面を有する半導体チップを前記基材上に配置する。その後、導電性部材および前記電極層を介して前記ボンディングパッドと前記リードとを電気的に接続する工程を備える。ここで、平面視において、前記電極層の端部と前記ボンディングパッドの端部との間隔は、前記電極層の端部と前記絶縁膜に形成された前記開口部の端部との間隔よりも大きいという条件を満たしている。
【0013】
また、代表的な実施の形態における半導体装置の製造方法は、(a)リードを有する基材を準備する工程を備える。そして、(b)第1主面、前記第1主面に形成されたボンディングパッド、前記ボンディングパッドの周縁部を覆うように、前記第1主面上に形成された絶縁膜、前記絶縁膜に形成された開口部から露出する前記ボンディングパッドの接続部と電気的に接続され、かつ、前記絶縁膜上に形成された電極層、および、前記第1主面とは反対側の第2主面を有する半導体チップを前記基材上に配置する。その後、導電性部材および前記電極層を介して前記ボンディングパッドと前記リードとを電気的に接続する工程を備える。ここで、前記電極層は、平面視において、前記接続部と重なる第1部分と、前記接続部が形成されていない領域の前記絶縁膜と重なる第2部分とを有し、前記第2部分の面積は、前記第1部分の面積よりも大きく、前記導電性部材は、前記電極層の前記第2部分で接続する。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0015】
パッシベーション膜に形成された開口部から露出するボンディングパッドの表面に導電性部材を接続する半導体装置において、パッシベーション膜に発生するクラックを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体装置を上面から見た平面図である。
【図2】半導体装置を上面から見た図であり、樹脂を透視して示す図である。
【図3】実施の形態1における半導体装置を裏面から見た図である。
【図4】図1のA−A線で切断した断面図である。
【図5】従来技術を示す図であって、図2の一部領域を拡大して示す図である。
【図6】(a)〜(c)は、従来技術の問題点を説明する図である。
【図7】実施の形態1の技術的思想を具現化した図であって、図2の一部領域を拡大した図である。
【図8】実施の形態1の技術的思想を具現化した図であって、図2のA−A線で切断した断面図である。
【図9】実施の形態1の技術的思想を具現化した図であって、図2の一部領域を拡大した図である。
【図10】実施の形態1の技術的思想を具現化した図であって、図2の一部領域を拡大した図である。
【図11】従来技術におけるパッド近傍の応力分布をシミュレーションした結果を示す図である。
【図12】本実施の形態1におけるパッド近傍の応力分布をシミュレーションした結果を示す図である。
【図13】実施の形態1における半導体ウェハを示す図である。
【図14】実施の形態1における半導体ウェハの製造工程を示す断面図である。
【図15】図14に続く半導体ウェハの製造工程を示す断面図である。
【図16】図15に続く半導体ウェハの製造工程を示す断面図である。
【図17】図16に続く半導体ウェハの製造工程を示す断面図である。
【図18】図17に続く半導体ウェハの製造工程を示す断面図である。
【図19】図18に続く半導体ウェハの製造工程を示す断面図である。
【図20】図19に続く半導体ウェハの製造工程を示す断面図である。
【図21】実施の形態1における半導体ウェハの一部領域を拡大して示す図である。
【図22】実施の形態1における半導体チップを示す平面図である。
【図23】実施の形態1における配線基板を示す断面図である。
【図24】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図25】図24に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図26】電極層にワイヤを正常に接続する例を示す断面図である。
【図27】電極層にずれてワイヤを接続する例を示す断面図である。
【図28】図25に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図29】図28に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図30】実施の形態2の技術的思想を具現化した図であって、隣接して配置されるパッドを示す平面図である。
【図31】図30のA−A線で切断した断面図である。
【図32】図30のB−B線で切断した断面図である。
【図33】半導体チップと配線基板とをワイヤで接続する様子を示す断面図である。
【図34】実施の形態2における半導体ウェハの製造工程を示す断面図である。
【図35】図34に続く半導体ウェハの製造工程を示す断面図である。
【図36】図35に続く半導体ウェハの製造工程を示す断面図である。
【図37】図36に続く半導体ウェハの製造工程を示す断面図である。
【図38】図37に続く半導体ウェハの製造工程を示す断面図である。
【図39】図38に続く半導体ウェハの製造工程を示す断面図である。
【図40】図39に続く半導体ウェハの製造工程を示す断面図である。
【図41】実施の形態3における半導体装置を示す断面図である。
【図42】半導体チップと配線基板の接続領域を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0018】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0019】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0020】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0021】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0022】
(実施の形態1)
<半導体装置の構成>
半導体装置は、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体素子と多層配線を形成した半導体チップと、この半導体チップを覆うように形成されたパッケージから形成されている。パッケージには、(1)半導体チップに形成されている半導体素子と外部回路とを電気的に接続するという機能や、(2)湿度や温度などの外部環境から半導体チップを保護し、振動や衝撃による破損や半導体チップの特性劣化を防止する機能がある。さらに、パッケージには、(3)半導体チップのハンドリングを容易にするといった機能や、(4)半導体チップの動作時における発熱を放散し、半導体素子の機能を最大限に発揮させる機能なども合わせもっている。このような機能を有するパッケージには様々な種類が存在する。以下に、パッケージの構成例について説明する。
【0023】
まず、本実施の形態1における半導体装置の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態1における半導体装置SAを上面から見た平面図である。図1に示すように、本実施の形態1における半導体装置SAは矩形形状をしており、半導体装置SAの上面は樹脂(封止体)MRで覆われている。
【0024】
続いて、図2は、半導体装置SAを上面から見た図であり、樹脂MRを透視して示す図である。図2に示すように、半導体装置SAの樹脂MRを透視した内部には、矩形形状の配線基板WBが存在しており、この配線基板WB上に半導体チップCHPが配置されている。この半導体チップCHPも矩形形状をしている。半導体チップCHPの大きさは、配線基板WBの大きさよりも小さくなっており、半導体チップCHPは平面的に配線基板WBに内包されるように配置されている。特に、半導体チップCHPの四辺がそれぞれ配線基板WBの四辺と互いに並行するように配置されている。
【0025】
上述した半導体チップCHPには集積回路が形成されている。具体的に、半導体チップCHPを構成する半導体基板には、複数のMISFETなどの半導体素子が形成されている。そして、半導体基板の上層には層間絶縁膜を介して多層配線が形成されており、これらの多層配線が半導体基板に形成されている複数のMISFETと電気的に接続されて集積回路が構成されている。つまり、半導体チップCHPは、複数のMISFETが形成されている半導体基板と、この半導体基板の上方に形成された多層配線を有している。このように半導体チップCHPには、複数のMISFETと多層配線によって集積回路が形成されているが、この集積回路と外部回路とのインタフェースをとるために、半導体チップCHPにはパッド(ボンディングパッド、電極パッド)PADが形成されている。このパッドPADは、多層配線の最上層に形成されている最上層配線の一部を露出することにより形成されている。
【0026】
図2に示すように、半導体チップCHPの主面(表面、上面)には、複数のパッドPADが形成されている。具体的に、矩形形状をした半導体チップCHPの四辺のそれぞれに沿うように複数のパッドPADが形成されている。そして、半導体チップCHPに形成されている複数のパッドPADと相対するように配線基板WBの四辺のそれぞれに沿って複数のリード(ボンディングリード、電極)LD1が形成されている。そして、半導体チップCHPに形成されているパッドPADは、配線基板WBに形成されているリードLD1と、導電性部材を介して電気的に接続されている。なお、本実施の形態における導電性部材は、例えば、金(Au)からなるワイヤWである。
【0027】
次に、図3は、本実施の形態1における半導体装置SAを裏面から見た図である。図3に示すように、半導体装置SAの裏面には、複数の半田ボールSBがアレイ状(行列状)に配置されている。この半田ボールSBは半導体装置SAの外部接続端子として機能するものである。
【0028】
図4は、図1のA−A線で切断した断面図である。図4において、配線基板WBの上面にはリードLD1が形成されている一方、配線基板WBの下面にはリード(バンプランド、電極)LD2が形成されている。配線基板WBの内部には多層配線およびビアが形成されており、配線基板WBの上面に形成されているリードLD1と、配線基板WBの下面に形成されているリードLD2とは、配線基板WBの内部に形成されている多層配線と、ビアの内部に形成されたビア配線とによって電気的に接続されている。配線基板WBの下面に形成されているリードLD2はアレイ状に配置されており、このリードLD2上に半田ボールSBが搭載される。これにより、配線基板WBの裏面(下面)には、リードLD2と接続された半田ボールSBがアレイ状に配置される。
【0029】
配線基板WBの上面(表面)には、半導体チップCHPが搭載されており、この半導体チップCHPは、配線基板WBと絶縁性の接着材ADで接着されている。そして、半導体チップCHPの主面に形成されているパッドPADと、配線基板WBの上面に形成されているリードLD1とはワイヤWで接続されている。さらに、配線基板WBの上面には半導体チップCHPおよびワイヤWを覆うように樹脂(封止体)MRが形成されている。このように構成されている半導体装置SAによれば、半導体チップCHPに形成されているパッドPADがワイヤWを介して配線基板WBに形成されたリードLD1に接続され、このリードLD1は、配線基板WBの内部に形成されている配線およびビア配線によって、配線基板WBの裏面に形成されているリードLD2と電気的に接続される。したがって、半導体チップCHPに形成されている集積回路は、パッドPAD→ワイヤW→リードLD1→リードLD2→半田ボールSBの経路で最終的に半田ボールSBと接続されていることがわかる。このことから、半導体装置SAに形成されている半田ボールSBへ外部回路を電気的に接続することにより、半導体チップCHPに形成されている集積回路と外部回路とを接続することができることがわかる。
【0030】
上述した半導体装置SAは、パッケージ形態がBGA(Ball Grid Array)型である半導体装置であるが、本発明における半導体装置SAのパッケージ形態はこれに限らない。例えば、上述した例では、半導体チップCHPと配線基板WBとをワイヤで接続しているが、半導体チップCHPと配線基板WBとをバンプ電極で接続するフリップチップ実装にも適用できる。さらには、半導体チップCHPを搭載する基材として配線基板WBではなくリードフレームを使用するパッケージ形態にも適用することができる。
【0031】
このため、半導体チップCHPを搭載する部材を広い概念として基材と呼び、この基材には、配線基板WBやリードフレームが包含される。また、半導体チップCHPが搭載される基材の部分をチップ搭載部と呼び、このチップ搭載部の概念には、ダイパッドが含まれる。さらに、半導体チップCHPと接続する基材の電極をリードと呼ぶ。また、本発明では、半導体チップCHPのパッドPADと基材のリードとを接続するために、ワイヤWやバンプ電極を使用する形態を含むため、ワイヤやバンプ電極を含む広い概念を導電性部材と呼ぶ。
【0032】
<従来の半導体チップにおけるパッドの構造>
次に、従来の半導体チップCHPにおけるパッドPAD近傍の構造について説明する。図5は、図2の領域YRを拡大して示す図である。図5では、紙面の上側に向かうY方向に並んだ3つのパッドPADを示しており、紙面の下側にパッドPADの平面図に対応した断面図を示している。まず、図5における紙面の下側に記載されている断面図を使用してパッドPAD近傍の構造について説明する。図5において、パッドPADを覆うようにパッシベーション膜(表面保護膜)PASが形成されており、このパッシベーション膜PASの一部が除去されてパッドPADの一部を開口する開口部OPが形成されている。そして、この開口部OP内(言い換えると、パッドPADの露出部)からパッシベーション膜PASの端部(開口部OPの周囲)上にはみ出すように電極層ELが形成されており、この電極層ELにワイヤWが接続されている。このとき、パッシベーション膜PASは、酸化シリコン膜SO1と窒化シリコン膜SN1の積層膜から形成されている。また、電極層ELは、チタン膜TI、パラジウム膜PDおよび金膜AU1の積層膜から形成されている。
【0033】
ここで、図5における紙面の上側に記載されている平面図に示すように、パッドPADのY方向の幅をL4(a)、電極層ELのY方向の幅をL5(a)、開口部OPのY方向の幅をL3(a)とすると、L4(a)>L5(a)>L3(a)が成立している。つまり、平面的にパッドPADに内包されるように電極層ELが形成され、平面的に電極層ELに内包されるように開口部OPが形成されている。このように構成されている従来技術の半導体チップCHPでは、さらに、図5に示すように、電極層ELの一端と開口部OPの一端との間の平面的な距離をL1とし、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離をL2とすると、L1>L2の関係が成立している。つまり、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離(L2)は、電極層ELの一端と開口部OPの一端との間の平面的な距離(L1)よりも小さくなっている。この場合、電極層EL上にワイヤWを形成するワイヤボンディング工程において、パッドPADの端部を覆うパッシベーション膜PASの段差部分にクラックが発生することを本発明者は新たに見出した。
【0034】
<従来の半導体チップにおける問題点>
以下に、この従来技術における半導体チップCHPの問題点について図6を参照しながら説明する。図6(a)〜図6(c)を使用してワイヤボンディング工程を説明する。まず、図6(a)に示すように、パッドPADを覆うようにパッシベーション膜PASが形成されており、このパッシベーション膜PASの一部を開口する開口部OPが形成されている。そして、この開口部OP内(言い換えると、パッドPADの露出部)からパッシベーション膜PASの端部(開口部OPの周囲)上へはみ出すように電極層ELが形成されている。このように構成されている電極層EL上にワイヤWを接続する。
【0035】
このとき、図6(b)に示すワイヤボンディング工程では、キャピラリを使用して電極層EL上にワイヤWを接続するが、電極層ELの縮小化およびワイヤボンディングの精度により、ワイヤWの接続位置が電極層ELの中心からはずれて端部側にずれることがある。電極層ELは、開口部OP内からパッシベーション膜PAS上へはみ出すように形成されていることから、電極層ELの端部近傍は、開口部OPの段差を反映して段差部が形成されている。したがって、電極層ELの端部側にワイヤWの接続位置がずれると、電極層ELの端部近傍に形成されている段差部上にワイヤWが接続されることになる。ワイヤボンディング工程では、荷重と超音波を使用してワイヤWを接続するため、このとき印加される荷重が電極層ELの段差部にかかることになる。すると、電極層ELの段差部に印加された荷重が下層に形成されているパッドPADに応力として伝達される。この結果、図6(b)に示すように、パッドPADが変形する。特に、パッドPADの端部を引き伸ばす方向に強い応力が印加される。
【0036】
この場合、図6(c)に示すように、パッドPADの端部に加わる強い応力によって、パッドPADの端部を覆うパッシベーション膜PASに強い応力が加わる。つまり、パッドPADの端部を覆うようにパッシベーション膜PASが形成されていることから、パッドPADの端部を覆うパッシベーション膜PASには段差部が形成されており、この段差部にパッドPADの変形に伴う強い応力が加わることになる。このため、パッシベーション膜PASに形成されている段差部にクラックが発生する。
【0037】
特に、従来の半導体チップCHPでは、上述したように、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離(L2)が、非常に近い。換言すれば、この距離(L2)は、電極層ELの一端と開口部OPの一端との間の平面的な距離(L1)よりも小さくなっている。このことは、ワイヤWがずれて接続される電極層ELの端部がパッドPADの端部を覆うパッシベーション膜PASの段差部に近いことを意味している。つまり、電極層ELの端部がワイヤボンディング時の荷重で押されてパッドPADが変形するが、電極層ELの端部がパッシベーション膜PASの段差部に近いと、パッシベーション膜PASの段差部に加わる応力が大きくなるのである。そして、近年では、半導体の微細加工プロセスが進むにつれ、このパッシベーション膜PASの厚さも薄くなる傾向にあり、電極層ELの端部側にずれてワイヤWが接続される場合、パッドPADの端部を覆うパッシベーション膜PASの段差部にクラックCLKが発生しやすくなる。このようなクラックCLKがパッシベーション膜PASに形成されると、このクラックCLKから水分などが浸入してパッドPADを腐蝕させる問題点が発生する。
【0038】
<本実施の形態1における技術的思想の特徴>
そこで、本実施の形態1では、上述した従来の半導体チップCHPに発生する問題点を解決する工夫を施している。以下に、本実施の形態1における特徴について説明する。本実施の形態1では、電極層ELに接続するワイヤの位置が端部側にずれる場合があることを前提として、ワイヤWの位置が電極層ELの端部側にずれる場合であっても、パッシベーション膜PASに発生するクラックCLKを抑制する技術を提供するものである。つまり、本実施の形態1における技術的思想は、電極層ELに接続されるワイヤWの位置がずれないようにするものではなく、たとえ、電極層ELに接続されるワイヤWの位置が端部側にずれる場合であっても、パッシベーション膜PASにクラックCLKが発生することを抑制できる技術的思想を提供するものである。
【0039】
まず、本発明者は、従来の半導体チップCHPでパッシベーション膜PASにクラックCLKが発生するメカニズムを検討し、従来の半導体チップCHPでは、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離(L2)が、電極層ELの一端と開口部OPの一端との間の平面的な距離(L1)よりも小さくなっていることが主要な原因であるという知見を得た。そして、この知見に基づき、本発明者は、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離(L2)を、電極層ELの一端と開口部OPの一端との間の平面的な距離(L1)よりも大きくする技術的思想を想到するに至った。つまり、本実施の形態1の特徴は、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離(L2)を、電極層ELの一端と開口部OPの一端との間の平面的な距離(L1)よりも大きくする点にある。これにより、ワイヤWの接続位置が電極層ELの端部側にずれる場合であっても、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離(L2)が大きくなっているため、電極層ELの段差部にワイヤWが接続することに起因した応力がパッドPADの端部にまで伝わることを抑制できる。この結果、パッドPADの端部での変形が緩和されて、パッドPADの端部を覆うパッシベーション膜PASの段差部に加わる応力を低減することができる。パッシベーション膜PASの段差部に加わる応力が低減されれば、大きな応力に起因して発生するクラックCLKを抑制することができる。このようにして、本実施の形態1によれば、電極層ELに接続するワイヤWの位置がずれる場合であっても、パッシベーション膜PASにクラックCLKが発生することを抑制できるので、本実施の形態1における半導体装置SAの信頼性を向上することができるという顕著な効果を得ることができる。
【0040】
特に、パッドPADの膜厚よりもパッシベーション膜PASの膜厚が薄くなると、パッシベーション膜PASにクラックCLKが発生しやすくなるが、本実施の形態1における技術的思想を使用することにより、パッシベーション膜PASの膜厚がパッドPADの膜厚よりも薄くなる場合であっても、パッシベーション膜PASにクラックCLKが発生することを抑制できる。このことは、本実施の形態1における技術的思想を使用すれば、クラックCLKを発生しにくくするためにパッシベーション膜PASの膜厚を厚くする必要がなくなることを意味する。例えば、パッシベーション膜PASの膜厚を厚くすると、半導体チップCHPに反りが発生しやすくなるが、本実施の形態1によれば、パッシベーション膜PASの膜厚を厚くすることなく、パッシベーション膜PASにクラックCLKが発生することを抑制できるので、間接的に、半導体チップCHPの反りを抑制できるという効果も得られる。以下に、本実施の形態1の特徴を具現化する様々な構成について説明する。
【0041】
<具現化手段1(開口部OP小)>
図7は、本実施の形態1の半導体チップCHPにおいて、図2の領域YRを拡大した図である。図7では、紙面の上側にY方向に並んだ3つのパッドPADを示しており、紙面の下側にパッドPADの平面図に対応した断面図を示している。まず、図7における紙面の下側に記載されている断面図を使用してパッドPAD近傍の構造について説明する。図7において、パッドPADの表面(上面)における周縁部を覆うようにパッシベーション膜(表面保護膜)PASが半導体チップCHPの主面(表面、上面)に形成されている。換言すれば、パッシベーション膜PASの一部は除去されており、このパッシベーション膜PASに形成された開口部OPから、パッドPADの一部(露出部、接続部)は露出している。そして、この開口部OP内からパッシベーション膜PAS上にはみ出すように電極層ELが形成されており、この電極層ELにワイヤWが接続されている。このとき、パッドPADは、窒化チタン膜、アルミニウム膜および窒化チタン膜の積層膜から形成され、パッシベーション膜PASは、絶縁膜からなり、本実施の形態では、酸化シリコン膜SO1と窒化シリコン膜SN1の積層膜から形成されている。また、電極層ELは、チタン膜TI、パラジウム膜PDおよび金膜AU1の積層膜から形成されている。なお、パッシベーション膜PASの膜厚は、パッドPADの膜厚よりも薄くなっている。
【0042】
ここで、図7に示すように、本実施の形態1では、パッドPADに直接ワイヤWを接続するように構成せずに、パッドPAD上に電極層ELを形成し、この電極層ELとワイヤWとを接続するように構成している。つまり、通常の半導体装置では、パッドPADに直接ワイヤWを接続することが一般的であると考えられるが、本実施の形態1では、パッドPAD上に電極層ELを形成して、この電極層ELとワイヤWとを接続している。この理由について説明する。
【0043】
パッドPADは、上述したように、窒化チタン膜とアルミニウム膜と窒化チタン膜の積層膜から形成されているが、開口部OPから露出するパッドPADの表面では、窒化チタン膜が除去されており、アルミニウム膜が露出している。一方、ワイヤWは、例えば、金線から形成されている。したがって、パッドPADとワイヤWとを直接接触させる場合には、パッドPADを構成するアルミニウム膜とワイヤWを構成する金膜が接触することになる。この場合、パッドPADとワイヤWの接触領域においては金とアルミニウムとの合金膜が形成される。この金とアルミニウムの合金膜は、高温負荷が加わると、内部にボイドが発生して破断することが知られている。この現象は、カーケンダルボイドと呼ばれており、半導体装置を高温用途で使用する場合には、この現象によるパッドPADとワイヤWの接触抵抗の増大やパッドPADとワイヤWとの切断が生じ、半導体装置の信頼性が低下する問題が顕在化する。
【0044】
そこで、高温状態のような過酷な状態で半導体装置を使用する場合には、パッドPADとワイヤWを直接接触させるのではなく、パッドPAD上に電極層ELを形成し、この電極層ELとワイヤWとを接続することが行なわれている。このとき、電極層ELは、例えば、チタン膜TIとパラジウム膜PDと金膜AU1の積層膜から形成される。チタン膜TIは金属原子の移動を遮断するバリア導体膜として機能する膜であり、パラジウム膜PDは金膜AU1とチタン膜TIとの接着強度を向上させる機能を有する膜である。そして、電極層ELの最上層に形成されている金膜AU1は、同じ金膜から構成されるワイヤWとの接着強度を向上させるために使用される。すなわち、金膜同士であれば、接着強度を向上することができるのである。また、アルミニウム(Al)膜は耐腐食性に乏しいが、金膜AU1は耐腐食性に優れているため、パッシベーション膜PASの開口部OPから露出するパッドPADの露出部(表面、露出面、接続部)を電極層ELで覆うことで、導電性部材(ここでは、ワイヤW)とパッドPADとの接続信頼性も保つことができる。
【0045】
このように構成されている電極層ELとワイヤWとを接続する場合、金膜同士の接合となるので、アルミニウムと金の合金膜が形成される場合に生じるカーケンダルボイドの問題は生じない。したがって、高温状態で半導体装置SAを使用する場合であっても、半導体装置SAの信頼性を向上させることができるのである。つまり、本実施の形態1における半導体装置SAでは、高温用途での信頼性向上を図るため、電極層ELを設けており、本実施の形態1における技術的思想は、パッドPAD上に電極層ELを設け、この電極層ELとワイヤWとを接続させる構造を前提とするものである。
【0046】
以下に、具現化手段1について説明する。図7における紙面の上側に記載されている平面図に示すように、パッドPADのY方向の幅をL4(b)、電極層ELのY方向の幅をL5(b)、開口部OPのY方向の幅をL3(b)とすると、L4(b)>L5(b)>L3(b)が成立している。つまり、平面的にパッドPADに内包されるように電極層ELが形成され、平面的に電極層ELに内包されるように開口部OPが形成されている。
【0047】
このように構成されている本実施の形態1の半導体チップCHPでは、図7に示すように、電極層ELの一端と開口部OPの一端との間の平面的な距離をL1とし、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離をL2とすると、L1<L2の関係が成立している。つまり、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離(L2)は、電極層ELの一端と開口部OPの一端との間の平面的な距離(L1)よりも大きくなっており、本実施の形態1における特徴(L1<L2)が実現されている。
【0048】
具体的に、従来技術を示す図5と、本実施の形態1である図7を対比すると、従来技術におけるパッドPADのY方向の幅L4(a)と、本実施の形態1におけるパッドPADのY方向の幅L4(b)は等しく(L4(a)=L4(b))なっている。従来技術と本実施の形態1における技術的思想の相違点は、本実施の形態1における電極層ELのY方向の幅L5(b)が従来技術における電極層ELのY方向の幅L5(a)よりも小さく(L5(a)>L5(b))、また、本実施の形態1における開口部OPのY方向の幅L3(b)が従来技術における開口部OPのY方向の幅L3(a)よりも小さく(L3(a)>L3(b))なっている点である。
【0049】
これにより、従来技術では、L1>L2という条件が成立してしまうのに対し、本実施の形態1では、L1<L2という本実施の形態1の特徴が具現化される。すなわち、本実施の形態1の特徴を具現化する具現化手段1では、従来技術に比べて開口部OPの径を小さくすることによりL1<L2という条件を実現している。言い換えれば、具現化手段1は、パッドPADのY方向の幅L4(b)を従来技術と同じように固定しながら、電極層ELのY方向の幅L5(b)と開口部OPのY方向の幅L3(b)を小さく調整することにより、L1<L2という条件を実現しているのである。
【0050】
なお、本実施の形態1では、パッドPADの平面形状は長方形から成る場合について説明しているが、これに限らず、上記の条件(L4(b)>L5(b)>L3(b)、L1<L2)を各辺において満たしていれば、パッドPADの平面形状は正方形であってもよい。
【0051】
次に、図8は、本実施の形態1における半導体チップCHPにおいて、図2のA−A線で切断した断面図である。図8において、配線基板WB上にはリード(ボンディングリード、電極)LD1が形成されており、このリードLD1の表面における周縁部を覆うように、配線基板WB上に絶縁膜IF1が形成されている。換言すれば、この絶縁膜IF1には開口部が形成されており、絶縁膜IF1に形成された開口部からリードLD1の表面の一部が露出している。このリードLD1は、銅膜CUとニッケル膜NIと金膜AU2の積層膜から形成されている。
【0052】
リードLD1と隣り合うように、配線基板WB上に絶縁膜IF1を介して半導体チップCHPが搭載されている。この半導体チップCHPと絶縁膜IF1とは絶縁性の接着材ADで接着されている。半導体チップCHPの表面には、パッドPADが形成されており、このパッドPADを覆うようにパッシベーション膜PASが形成されている。パッシベーション膜PASには開口部OPが形成されており、この開口部OPの底面にパッドPADの表面の一部が露出している。そして、開口部OP内(言い換えると、パッドPADの露出部)からパッシベーション膜PASの端部(開口部OPの周囲)上にはみ出すように電極層ELが形成されており、この電極層ELとリードLD1とはワイヤWで接続されている。
【0053】
このとき、パッドPADは、窒化チタン膜、アルミニウム膜および窒化チタン膜の積層膜から形成され、パッシベーション膜PASは、酸化シリコン膜SO1と窒化シリコン膜SN1の積層膜から形成されている。さらに、電極層ELは、チタン膜TIとパラジウム膜PDと金膜AU1の積層膜から形成されている。
【0054】
図8は、図2のA−A線で切断した断面であり、Y方向と直交するX方向を示している。このような図8でも、電極層ELの一端と開口部OPの一端との間の平面的な距離をL1とし、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離をL2とすると、L1<L2の関係が成立している。すなわち、本実施の形態1では、図7に示すY方向においても、L1<L2の関係が成立し、かつ、図8に示すX方向においても、L1<L2の関係が成立している。
【0055】
本実施の形態1では、図7に示すように、平面視において、パッドPAD、電極層EL、および、パッシベーション膜PASに形成された開口部OPは、例えば、長方形(矩形形状の一例)をしており、かつ、パッドPADの一辺、電極層ELの一辺、および開口部OPの一辺は互いに並行している。
【0056】
そして、図7に示すように、パッドPADの一辺と並行するY方向において、電極層ELの端部とパッドPADの端部との間隔は、電極層ELの端部とパッシベーション膜PASに形成された開口部OPの端部との間隔よりも大きくなっている。さらに、図8に示すように、Y方向と直交するX方向においても、電極層ELの端部とパッドPADの端部との間隔は、電極層ELの端部とパッシベーション膜PASに形成された開口部OPの端部との間隔よりも大きくなっている。このように本実施の形態1においては、Y方向とX方向の両方向でL1<L2の関係が成立している。
【0057】
このことから、本実施の形態1では、電極層ELに接続するワイヤWの位置がY方向にずれる場合であっても、Y方向において本実施の形態1の特徴的条件(L1<L2)が成立している。言い換えると、1つあたりのパッドの大きさを必要以上に大きく形成しなくても、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離(L2)を大きくすることができるので、パッシベーション膜PASにクラックCLKが発生することを防止できる。さらに、電極層ELに接続するワイヤWの位置がX方向にずれる場合であっても、X方向において本実施の形態1の特徴的条件(L1<L2)が成立しているので、パッシベーション膜PASにクラックCLKが発生することを防止できる。
【0058】
つまり、電極層ELに接続するワイヤWのずれる方向は任意であるが、本実施の形態1によれば、互いに直交するY方向とX方向の両方向で特徴的条件(L1<L2)が成立しているので、ワイヤWの接続位置が任意の方向にずれる場合であっても、パッシベーション膜PASにクラックCLKが発生することを抑制することができ、本実施の形態1における半導体装置SAの信頼性を向上することができる。
【0059】
以上のように、本実施の形態1における具現化手段1は、パッドPADの幅を従来技術と同じように固定しながら、電極層ELの幅と開口部OPの幅を小さく調整することにより、L1<L2という条件を実現する手段といえる。この具現化手段1の利点は、パッドPADの幅を大きくすることなく、L1<L2という条件を実現できる点である。例えば、半導体チップCHPに配列されているパッドPADの狭ピッチ化が推進されている製品においては、パッドPADの幅を大きくすることは困難となるため、電極層ELの幅と開口部OPの幅を小さくすることにより、L1<L2という条件を実現する具現化手段1が有用である。
【0060】
一方、具現化手段1では、電極層ELの幅と開口部OPの幅を小さくすることから、この開口部OPに平面的に内包されるようにワイヤW(ボール)を形成する場合、ワイヤW(ボール)が小さくする必要が生じてしまうことが考えられる。この場合、ワイヤWと電極層ELの接触面積が小さくなり、ワイヤWと電極層ELとの接続強度が低下するおそれがある。つまり、通常の半導体装置では、電極層ELに形成されている段差部にワイヤWが接続されないように、電極層ELの大きさよりもワイヤWのボール径を小さくすることが一般的であると考えられる。したがって、通常の半導体装置では、電極層ELの幅と開口部OPの幅を小さくすると、ワイヤWのボール径を小さくする必要があり、この結果、ワイヤWと電極層ELとの接続強度が低下するおそれが生じる。
【0061】
しかし、本実施の形態1における半導体装置SAでは、電極層ELの段差部にまでワイヤWが乗り上げてもL1<L2の条件が成立しているため、パッシベーション膜PASにクラックCLKが発生しにくい。すなわち、本実施の形態1では、開口部OPの幅を小さくするという具現化手段1を採用する場合であっても、開口部OPの幅を小さくすることに比例してワイヤWのボール径を必ずしも小さくする必要はないのである。このため、具現化手段1を使用する場合であっても、ワイヤWと電極層ELとの接触面積を確保することができることから、ワイヤWと電極層ELとの接続強度を維持することができる。
【0062】
<具現化手段2(パッドPAD大)>
続いて、本実施の形態1の特徴を具現化する具現化手段2について説明する。図9は、本実施の形態1の半導体チップCHPにおいて、図2の領域YRを拡大した図である。図9では、紙面の上側にY方向に並んだ3つのパッドPADを示しており、紙面の下側にパッドPADの平面図に対応した断面図を示している。
【0063】
図9における紙面の上側に記載されている平面図に示すように、パッドPADのY方向の幅をL4(c)、電極層ELのY方向の幅をL5(c)、開口部OPのY方向の幅をL3(c)とすると、L4(c)>L5(c)>L3(c)が成立している。つまり、平面的にパッドPADに内包されるように電極層ELが形成され、平面的に電極層ELに内包されるように開口部OPが形成されている。このように構成されている本実施の形態1の半導体チップCHPでは、図9に示すように、電極層ELの一端と開口部OPの一端との間の平面的な距離をL1とし、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離をL2とすると、L1<L2の関係が成立している。つまり、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離(L2)は、電極層ELの一端と開口部OPの一端との間の平面的な距離(L1)よりも大きくなっており、本実施の形態1における特徴(L1<L2)が実現されている。
【0064】
具体的に、従来技術を示す図5と、本実施の形態1である図9を対比すると、従来技術における開口部OPのY方向の幅L3(a)と、本実施の形態1における開口部OPのY方向の幅L3(b)は等しく(L3(a)=L3(b))、かつ、従来技術における電極層ELのY方向の幅L5(a)と、本実施の形態1における電極層ELのY方向の幅L5(c)も等しく(L5(a)=L5(c))なっている。従来技術と本実施の形態1における技術的思想の相違点は、本実施の形態1におけるパッドPADのY方向の幅L4(c)が従来技術におけるパッドPADのY方向の幅L4(a)よりも大きくなっている点である。
【0065】
これにより、従来技術では、L1>L2という条件が成立してしまうのに対し、本実施の形態1では、L1<L2という本実施の形態1の特徴が具現化される。すなわち、本実施の形態1の特徴を具現化する具現化手段2では、従来技術に比べてパッドPADの幅を大きくすることによりL1<L2という条件を実現している。言い換えれば、具現化手段2は、開口部OPのY方向の幅L3(c)と電極層ELのY方向の幅L5(c)とを従来技術と同じように固定しながら、パッドPADのY方向の幅L4(c)を大きくなるように調整することにより、L1<L2という条件を実現しているのである。
【0066】
具現化手段2においても、パッドPADの一辺と並行するY方向において、電極層ELの端部とパッドPADの端部との間隔は、電極層ELの端部とパッシベーション膜PASに形成された開口部OPの端部との間隔よりも大きくなっている。さらに、Y方向と直交するX方向においても、電極層ELの端部とパッドPADの端部との間隔は、電極層ELの端部とパッシベーション膜PASに形成された開口部OPの端部との間隔よりも大きくなっている。このように具現化手段2においても、Y方向とX方向の両方向でL1<L2の関係が成立している。
【0067】
このことから、本実施の形態1では、電極層ELに接続するワイヤWの位置がY方向にずれる場合であっても、Y方向において本実施の形態1の特徴的条件(L1<L2)が成立しているので、パッシベーション膜PASにクラックCLKが発生することを防止できる。さらに、電極層ELに接続するワイヤWの位置がX方向にずれる場合であっても、X方向において本実施の形態1の特徴的条件(L1<L2)が成立しているので、パッシベーション膜PASにクラックCLKが発生することを防止できる。
【0068】
つまり、電極層ELに接続するワイヤWのずれる方向は任意であるが、本実施の形態1によれば、互いに直交するY方向とX方向の両方向で特徴的条件(L1<L2)が成立しているので、ワイヤWの接続位置が任意の方向にずれる場合であっても、パッシベーション膜PASにクラックCLKが発生することを抑制することができ、本実施の形態1における半導体装置SAの信頼性を向上することができる。
【0069】
以上のように、本実施の形態1における具現化手段2は、開口部OPの幅と電極層ELの幅とを従来技術と同じように固定しながら、パッドPADの幅が大きくなるように調整することにより、L1<L2という条件を実現する手段といえる。この具現化手段2の利点は、開口部OPの幅を小さくすることなく、特徴的条件(L1<L2)を成立させて、パッシベーション膜PASにクラックCLKが発生することを抑制できる点である。つまり、具現化手段2によれば、開口部OPの幅を小さくしないことから、電極層ELとワイヤWの接触面積を確保することができ、この結果、電極層ELとワイヤWとの接続強度を向上させることができる。一方、具現化手段2では、パッドPADの幅を大きくしていることから、パッドPADの狭ピッチ化とは逆行する技術である。したがって、本発明の特徴を具現化する具現化手段2は、パッドPADの狭ピッチ化がそれほど要求されない製品に適用することが望ましい。
【0070】
<具現化手段3(電極層EL小)>
次に、本実施の形態1の特徴を具現化する具現化手段3について説明する。図10は、本実施の形態1の半導体チップCHPにおいて、図2の領域YRを拡大した図である。図10では、紙面の上側にY方向に並んだ3つのパッドPADを示しており、紙面の下側にパッドPADの平面図に対応した断面図を示している。
【0071】
図10における紙面の上側に記載されている平面図に示すように、パッドPADのY方向の幅をL4(d)、電極層ELのY方向の幅をL5(d)、開口部OPのY方向の幅をL3(d)とすると、L4(d)>L5(d)>L3(d)が成立している。つまり、平面的にパッドPADに内包されるように電極層ELが形成され、平面的に電極層ELに内包されるように開口部OPが形成されている。このように構成されている本実施の形態1の半導体チップCHPでは、図10に示すように、電極層ELの一端と開口部OPの一端との間の平面的な距離をL1とし、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離をL2とすると、L1<L2の関係が成立している。つまり、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離(L2)は、電極層ELの一端と開口部OPの一端との間の平面的な距離(L1)よりも大きくなっており、本実施の形態1における特徴(L1<L2)が実現されている。
【0072】
具体的に、従来技術を示す図5と、本実施の形態1である図10を対比すると、従来技術における開口部OPのY方向の幅L3(a)と、本実施の形態1における開口部OPのY方向の幅L3(d)は等しく(L3(a)=L3(d))、かつ、従来技術におけるパッドPADのY方向の幅L4(a)と、本実施の形態1におけるパッドPADのY方向の幅L4(d)も等しく(L4(a)=L4(d))なっている。従来技術と本実施の形態1における技術的思想の相違点は、本実施の形態1における電極層ELのY方向の幅L5(d)が従来技術における電極層ELのY方向の幅L5(a)よりも小さくなっている点である。
【0073】
これにより、従来技術では、L1>L2という条件が成立してしまうのに対し、本実施の形態1では、L1<L2という本実施の形態1の特徴が具現化される。すなわち、本実施の形態1の特徴を具現化する具現化手段3では、従来技術に比べて電極層ELの幅を小さくすることによりL1<L2という条件を実現している。言い換えれば、具現化手段3は、開口部OPのY方向の幅L3(d)とパッドPADのY方向の幅L4(d)とを従来技術と同じように固定しながら、電極層ELのY方向の幅L5(d)を小さくなるように調整することにより、L1<L2という条件を実現しているのである。
【0074】
具現化手段3においても、パッドPADの一辺と並行するY方向において、電極層ELの端部とパッドPADの端部との間隔は、電極層ELの端部とパッシベーション膜PASに形成された開口部OPの端部との間隔よりも大きくなっている。さらに、Y方向と直交するX方向においても、電極層ELの端部とパッドPADの端部との間隔は、電極層ELの端部とパッシベーション膜PASに形成された開口部OPの端部との間隔よりも大きくなっている。このように具現化手段3においても、Y方向とX方向の両方向でL1<L2の関係が成立している。
【0075】
このことから、本実施の形態1では、電極層ELに接続するワイヤWの位置がY方向にずれる場合であっても、Y方向において本実施の形態1の特徴的条件(L1<L2)が成立しているので、パッシベーション膜PASにクラックCLKが発生することを防止できる。さらに、電極層ELに接続するワイヤWの位置がX方向にずれる場合であっても、X方向において本実施の形態1の特徴的条件(L1<L2)が成立しているので、パッシベーション膜PASにクラックCLKが発生することを防止できる。
【0076】
つまり、電極層ELに接続するワイヤWのずれる方向は任意であるが、本実施の形態1によれば、互いに直交するY方向とX方向の両方向で特徴的条件(L1<L2)が成立しているので、ワイヤWの接続位置が任意の方向にずれる場合であっても、パッシベーション膜PASにクラックCLKが発生することを抑制することができ、本実施の形態1における半導体装置SAの信頼性を向上することができる。
【0077】
以上のように、本実施の形態1における具現化手段3は、開口部OPの幅とパッドPADの幅とを従来技術と同じように固定しながら、電極層ELの幅が小さくなるように調整することにより、L1<L2という条件を実現する手段といえる。この具現化手段3の利点は、開口部OPの幅を大きく維持し、かつ、パッドPADの幅を大きくすることなく、L1<L2という条件を実現している点にある。すなわち、具現化手段3では、開口部OPの幅を小さくしていないことから、ワイヤWのボール径を小さくする必要がなく、電極層ELとワイヤWとの接触面積を確保することができる。この結果、電極層ELとワイヤWとの接続強度を向上させることができる。また、具現化手段3では、パッドPADの幅を大きくしていないことから、パッドPADの狭ピッチ化に対応しており、狭ピッチ化が進んでいる製品にも充分に適用できる。つまり、具現化手段3では、電極層ELとワイヤWとの接続強度を確保し、かつ、パッドPADの狭ピッチ化に対応しながら、本発明の特徴的条件L1<L2を成立させて、パッシベーション膜PASにクラックCLKが発生することを抑制できるのである。
【0078】
<実施の形態1における効果>
上述したように、本実施の形態1における技術的思想の特徴は、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離(L2)を、電極層ELの一端と開口部OPの一端との間の平面的な距離(L1)よりも大きくすることにあり、この特徴を具現化する手段として、具現化手段1〜具現化手段3がある。以下に、本実施の形態1における技術的思想によれば、電極層ELにワイヤWを接続する位置がずれる場合であっても、パッシベーション膜PASに加わる応力を緩和でき、この結果、パッシベーション膜PASにクラックCLKが発生することを抑制できるという顕著な効果が得られることを従来技術と比較しながら説明する。
【0079】
図11は、従来技術におけるパッドPAD近傍の応力分布をシミュレーションした結果を示す図である。図11において、パッドPADを覆うようにパッシベーション膜PASが形成されており、このパッシベーション膜PASの一部が除去されてパッドPADの一部を開口する開口部OPが形成されている。そして、この開口部OP内からパッシベーション膜PAS上にはみ出すように電極層ELが形成されており、この電極層ELにワイヤWが接続されている。このとき、図11では、電極層ELの一端と開口部OPの一端との間の平面的な距離をL1とし、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離をL2とすると、L1>L2の関係が成立している。つまり、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離(L2)は、電極層ELの一端と開口部OPの一端との間の平面的な距離(L1)よりも小さくなっている。
【0080】
この状態で、ワイヤWを接続する際に加わる荷重によってパッドPAD近傍に生じる応力分布をシミュレーションすると、図11のようになる。図11において、応力値ST1と応力値ST2が示されており、応力値ST2は応力値ST1よりも大きな値である。図11に示すように、従来技術では、パッドPADの端部を覆うパッシベーション膜PASの段差部近傍に大きな応力(応力値ST2)が加わっていることがわかる。このため、従来技術では、パッドPADの端部を覆うパッシベーション膜PASの段差部近傍でクラックCLKが発生しやすいことがわかる。
【0081】
一方、図12は、本実施の形態1におけるパッドPAD近傍の応力分布をシミュレーションした結果を示す図である。図12において、パッドPADを覆うようにパッシベーション膜PASが形成されており、このパッシベーション膜PASの一部が除去されてパッドPADの一部を開口する開口部OPが形成されている。そして、この開口部OP内からパッシベーション膜PAS上にはみ出すように電極層ELが形成されており、この電極層ELにワイヤWが接続されている。このとき、図12では、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離(L2)が、電極層ELの一端と開口部OPの一端との間の平面的な距離(L1)よりも大きくなっている。つまり、図12では、本実施の形態1における特徴的条件(L1<L2)が成立している。
【0082】
この状態で、ワイヤWを接続する際に加わる荷重によってパッドPAD近傍に生じる応力分布をシミュレーションすると、図12のようになる。図12において、応力値ST1と応力値ST2が示されている。具体的に、図12では、パッドPADの端部を覆うパッシベーション膜PASの段差部近傍には、従来技術よりも小さな応力(応力値ST1)が加わっていることがわかる。このように本実施の形態1では、パッドPADの端部を覆うパッシベーション膜PASの段差部近傍に加わる応力を低減できることがわかる。このことは、本実施の形態1によれば、パッドPADの端部を覆うパッシベーション膜PASの段差部でのクラックCLKの発生を抑制することができることを意味している。以上より、本実施の形態1によれば、特徴的条件(L1<L2)が成立するようにパッドPAD近傍の構造を工夫することにより、パッシベーション膜PASの段差部でのクラックCLKの発生を抑制できるという顕著な効果が得られることが検証されることになる。このように、本実施の形態1では、クラックCLKの発生を抑制できることから、クラックCLKから水分が浸入することによるパッドPADの腐蝕を防止することができ、この結果、半導体装置SAの信頼性向上を図ることができる。
【0083】
<半導体ウェハの製造方法>
本実施の形態1における半導体装置SAは上記のように構成されており、以下に、その製造方法について図面を参照しながら説明する。まず、図13に示すように、円盤状の半導体ウェハWFを用意する。この半導体ウェハWFの主面(表面)は、複数のチップ領域に区画されている。例えば、図13に示す領域ARには、隣接してチップ領域CA1とチップ領域CA2が配置されている。このような半導体ウェハWFに対して、各チップ領域にMISFETなどの半導体素子を形成し、その後、MISFETを覆うように層間絶縁膜を形成して配線層を形成する。つまり、半導体ウェハWF上にMISFETと配線層を形成することにより、半導体ウェハWFに集積回路を形成する。配線層は、例えば、複数の配線層からなる多層配線構造をしている。以下の説明では、隣接して配置されているチップ領域CA1とチップ領域CA2と、チップ領域CA1とチップ領域CA2の間にあるスクライブ領域SBRを取り上げて、多層配線の最上層に配線を形成する工程以降の工程について説明する。
【0084】
図14に示すように、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜IL上に窒化チタン膜TIN1を形成し、この窒化チタン膜TIN1上にアルミニウム膜ALを形成する。さらに、アルミニウム膜AL上に窒化チタン膜TIN2を形成する。窒化チタン膜TIN1、アルミニウム膜ALおよび窒化チタン膜TIN2は、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。
【0085】
続いて、図15に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、窒化チタン膜TIN1、アルミニウム膜ALおよび窒化チタン膜TIN2をパターニングする。これにより、チップ領域CA1には、窒化チタン膜TIN1とアルミニウム膜ALと窒化チタン膜TIN2からなるパッドPAD1が形成され、同様に、チップ領域CA2には、窒化チタン膜TIN1とアルミニウム膜ALと窒化チタン膜TIN2からなるパッドPAD2が形成される。さらに、スクライブ領域SBRには、窒化チタン膜TIN1とアルミニウム膜ALと窒化チタン膜TIN2からなる評価用配線L1が形成される。ここで、具現化手段2を実現する場合は、チップ領域CA1に形成されるパッドPADの幅が従来技術よりも大きくなるように調整され、チップ領域CA2に形成されるパッドPAD2の幅も従来技術よりも大きくなるように調整される。
【0086】
次に、図16に示すように、パッドPAD1、パッドPAD2および評価用配線L1を形成した層間絶縁膜IL上にパッシベーション膜PASを形成する。このパッシベーション膜PASは、例えば、CVD法を使用することにより形成することができる。具体的に、パッシベーション膜PASは、酸化シリコン膜SO1と、この酸化シリコン膜SO1上に形成された窒化シリコン膜SN1から形成される。
【0087】
そして、図17に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、パッシベーション膜PASに開口部を形成する。具体的に、チップ領域CA1では、パッドPAD1の表面の一部を露出する開口部OP1が形成され、チップ領域CA2では、パッドPAD2の表面の一部を露出する開口部OP2が形成される。このとき、開口部OP1の底面に露出するパッドPAD1の表面では、窒化チタン膜TIN2が除去されて、アルミニウム膜ALが露出する。同様に、開口部OP2の底面に露出するパッドPAD2の表面でも、窒化チタン膜TIN2が除去されて、アルミニウム膜ALが露出する。
【0088】
なお、スクライブ領域SBRにおいても、評価用配線L1の表面の一部を露出する開口部が形成される。このとき、具現化手段1を実現する場合は、チップ領域CA1に形成される開口部OP1の径(幅)が従来技術よりも小さくなるように調整され、チップ領域CA2に形成される開口部OP2の径(幅)が従来技術よりも小さくなるように調整される。
【0089】
続いて、図18に示すように、開口部OP1内および開口部OP2内を含むパッシベーション膜PAS上にチタン膜TIを形成し、このチタン膜TI上にパラジウム膜PDを形成する。チタン膜TIおよびパラジウム膜PDは、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。
【0090】
その後、図19に示すように、パラジウム膜PD上にレジスト膜FRを塗布し、塗布したレジスト膜FRに対して露光・現像処理を施すことにより、レジスト膜FRをパターニングする。レジスト膜FRのパターニングは、電極層を形成する領域にレジスト膜FRが残らないように行なわれる。ここで、具現化手段3を実現する場合、チップ領域CA1では、レジスト膜FRに形成される開口部の幅が従来技術よりも小さくなるように調整され、チップ領域CA2では、レジスト膜FRに形成される開口部の幅が従来技術よりも小さくなるように調整される。そして、チタン膜TIおよびパラジウム膜PDを電極とした電解めっき法により、レジスト膜FRに形成された開口部から露出するパラジウム膜PD上に金膜AU1を形成する。
【0091】
次に、図20に示すように、パターニングしたレジスト膜FRを除去した後、レジスト膜FRを除去することにより露出したパラジウム膜PDとチタン膜TIを除去する。このようにして、半導体ウェハWFに電極層EL1および電極層EL2を形成することができる。具体的に、チップ領域CA1では、チタン膜TIとパラジウム膜PDと金膜AU1からなる電極層EL1が形成され、チップ領域CA2では、チタン膜TIとパラジウム膜PDと金膜AU1からなる電極層EL2が形成される。ここで、チップ領域CA1では、電極層EL1の一端とパッドPAD1の一端との間の平面的な距離(L2)が、電極層EL1の一端と開口部OP1の一端との間の平面的な距離(L1)よりも大きくなっており、本実施の形態1における特徴構造が実現される。同様に、チップ領域CA2でも、電極層EL2の一端とパッドPAD2の一端との間の平面的な距離(L2)が、電極層EL2の一端と開口部OP2の一端との間の平面的な距離(L1)よりも大きくなっており、本実施の形態1における特徴構造が実現される。以上のようにして、本実施の形態1における半導体ウェハWFを製造することができる。
【0092】
図21は、本実施の形態1における半導体ウェハWFの一部である領域ARを拡大して示す図である。図21に示すように、領域ARには、チップ領域CA1とチップ領域CA2がスクライブ領域SBRを介して配置されている。矩形形状をしたチップ領域CA1には、四辺のそれぞれの辺に沿って電極層EL1が形成され、矩形形状をしたチップ領域CA2には、四辺のそれぞれの辺に沿って電極層EL2が形成されていることがわかる。
【0093】
<半導体装置の製造方法>
次に、本実施の形態1における半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。この工程では、上述した工程で製造された半導体ウェハWFを利用する。したがって、上述した半導体ウェハWFを製造する工程を実施した後、以下に示す工程を実施するようにしてもよいし、あるいは、既に上述した工程で製造された半導体ウェハWFを購入して、以下に示す工程を実施してもよい。
【0094】
まず、上述した工程で製造された半導体ウェハWFをダイシングすることにより、半導体チップを取得する。例えば、上述した半導体ウェハWFのスクライブ領域SBRに沿ってダイシングブレードを走らせることで半導体ウェハWFを切断し、これにより複数の半導体チップを取得する。図22は、半導体チップCHPを示す平面図である。この半導体チップCHPは、例えば、半導体ウェハWFのチップ領域CA1を切り出したものである。図22に示すように、半導体チップCHPは、矩形形状をしており、四辺のそれぞれの辺に沿って複数の電極層EL1が形成されている。
【0095】
一方、図23に示すように、配線基板WBを用意する。この配線基板WBの主面(表面)には、リードLD1が形成されており、配線基板WBの裏面には、リードLD2が形成されている。なお、図23には図示されていないが、配線基板WBの内部には多層配線と、この多層配線間を接続するビア(プラグ)が形成されており、配線基板WBの主面に形成されているリードLD1と、配線基板WBの裏面に形成されているリードLD2とは、配線基板WBの内部に形成されている多層配線およびビアを介して電気的に接続されている。また、配線基板WBは多数個取り基板として準備されている。
【0096】
次に、図24に示すように、配線基板WBの主面上に半導体チップCHPを搭載する。このとき、配線基板WBと半導体チップCHPとは、絶縁性の接着材ADによって接着される。半導体チップCHPは、電極層EL1が形成されている主面側を上に向けて配線基板WBに搭載される。すなわち、半導体チップCHPは、主面と反対側の裏面を配線基板WBに向けて搭載される。
【0097】
続いて、図25に示すように、半導体チップCHPに形成されている電極層EL1と、配線基板WBに形成されているリードLD1とをワイヤWによって接続する。このワイヤボンディング工程では、キャピラリを使用して、まず、半導体チップCHPに形成されている電極層EL1に金線(ボール)をファーストボンディングし、その後、配線基板WBに形成されているリードLD1に金線をセカンドボンディングすることにより、ワイヤWで電極層EL1とリードLD1とを接続する。
【0098】
図26は、電極層EL1にワイヤWを接続している状態を示す断面図である。通常は、図26に示すように、電極層EL1の中心部にワイヤW(ボール)が接続される。ところが、キャピラリ(ボンディングツール)の精度から、電極層EL1に接続するワイヤWの位置が中心部からずれる場合がある。図27は、電極層EL1に接続するワイヤWの接続位置が電極層EL1の端部側にずれる場合を示す断面図である。この場合、図27に示すように、ワイヤW(ボール)は、電極層ELの端部近傍に形成されている段差部に乗り上げるように形成される。
【0099】
ワイヤボンディング工程では、荷重と超音波を使用してワイヤWを接続するため、このとき印加される荷重が電極層EL1の段差部にかかることになる。すると、電極層EL1の段差部に印加された荷重が下層に形成されているパッドPADに応力として伝達される。この結果、パッドPADが変形する。そして、パッドPADの端部に加わる強い応力によって、パッドPADの端部を覆うパッシベーション膜PASに強い応力が加わる。つまり、パッドPADの端部を覆うようにパッシベーション膜PASが形成されていることから、パッドPADの端部を覆うパッシベーション膜PASには段差部が形成されており、この段差部にパッドPADの変形に伴う強い応力が加わることになる。このため、パッシベーション膜PASに形成されている段差部にクラックが発生するおそれがある。
【0100】
しかし、本実施の形態1では、電極層EL1の一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離(L2)を、電極層ELの一端と開口部OPの一端との間の平面的な距離(L1)よりも大きくしている。これにより、ワイヤWの接続位置が電極層ELの端部側にずれる場合であっても、電極層EL1の一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離(L2)が大きくなっているため、電極層ELの段差部にワイヤWが接続することに起因した応力がパッドPADの端部にまで伝わることを抑制できる。この結果、パッドPADの端部での変形が緩和されて、パッドPADの端部を覆うパッシベーション膜PASの段差部に加わる応力を低減することができる。パッシベーション膜PASの段差部に加わる応力が低減されれば、大きな応力に起因して発生するクラックCLKを抑制することができる。このようにして、本実施の形態1によれば、電極層EL1に接続するワイヤWの位置がずれる場合であっても、パッシベーション膜PASにクラックCLKが発生することを抑制できるので、本実施の形態1における半導体装置SAの信頼性を向上することができる。
【0101】
続いて、図28に示すように、半導体チップCHPおよびワイヤWを覆うように配線基板WBの主面上を樹脂MRで封止する。その後、図29に示すように、配線基板WBの裏面に形成されているリードLD2の半田ボールSBを搭載する。そして、配線基板WBが複数個連なっている多数個取り基板を切断する。以上のようにして、本実施の形態1における半導体装置を製造することができる。
【0102】
(実施の形態2)
<本実施の形態2における技術的思想の特徴>
本実施の形態2では、矩形形状をした電極層ELの平面領域を、開口部OPを介してパッドPADと接続する第1領域と、ワイヤWを接続する第2領域とに区別する技術的思想について説明する。
【0103】
図30は、本実施の形態2の半導体チップCHPに形成されているパッドPADを示す平面図である。図30では、半導体チップCHPの一辺に沿って配列されている3つのパッドPADが示されている。図30に示すように、パッドPADは、例えば、長方形などの矩形形状をしており、このパッドPADに平面的に内包されるように、電極層ELが形成されている。この電極層ELは、第1領域と第2領域を有しており、第1領域は、開口部OPを介して、下層に形成されているパッドPADと接続されている。一方、第2領域には、ワイヤWが接続されている。このように本実施の形態2では、電極層ELの平面領域が、開口部OPを介してパッドPADと接続する第1領域(図30において開口部OPの領域を示す破線で囲まれた領域X1)と、ワイヤWと接続する第2領域(図30における領域Y1)に分かれており、この第1領域に接続する開口部OPと、第2領域に接続するワイヤWとが平面的に重ならないように配置する点に特徴がある。特に、電極層ELの第2領域の面積は、電極層ELの第1領域の面積よりも大きくなっている。
【0104】
図31は、図30のA−A線で切断した断面図である。つまり、図31は、電極層ELの第2領域を切断した断面図である。図31に示すように、層間絶縁膜IL上には、パッドPADが形成されており、このパッドPADを覆う層間絶縁膜IL上に絶縁膜からなるパッシベーション膜PASが形成されている。なお、本実施の形態2のパッシベーション膜PASは、前記実施の形態1と同様に、酸化シリコン膜SO1と窒化シリコン膜SN1との積層膜からなる。つまり、パッドPADの表面全体を覆うようにパッシベーション膜PASが形成されている。このとき、パッドPADの表面の平坦性を反映して、パッドPAD上に形成されているパッシベーション膜PASの表面も平坦になっている。そして、このパッシベーション膜PAS上に、電極層ELが形成されている。電極層ELは、チタン膜TIと、パラジウム膜PDと、金膜AU1から構成されている。平坦なパッシベーション膜PAS上に形成されている電極層ELの表面も平坦になっており、この電極層EL上にワイヤWが接続される。
【0105】
したがって、ワイヤWは、平坦性を有する電極層ELの第2領域上に形成されていることがわかる。この電極層ELの第2領域は、平面視において、第2領域で接続されるワイヤWの接着領域を内包している。このため、本実施の形態2によれば、平坦な電極層ELの第2領域に内包されるようにワイヤWが接続されるので、ワイヤWを電極層ELに接続するワイヤボンディング工程で加えられる荷重や超音波が分散されて、荷重が局所的に集中することを抑制することができる。つまり、本実施の形態2によれば、電極層ELの下層に形成されているパッシベーション膜PASに伝わる荷重が局所的に集中することを抑制することができるので、パッシベーション膜PASにクラックが発生することを防止できるのである。
【0106】
次に、図32は、図30のB−B線で切断した断面図である。つまり、図32は、電極層ELの第1領域を切断した断面図である。図32に示すように、層間絶縁膜IL上には、パッドPADが形成されており、このパッドPADを覆うようにパッシベーション膜PASが形成されている。そして、このパッシベーション膜PASには、開口部OPが形成されており、この開口部OPの底面にパッドPADの表面の一部が露出している。さらに、開口部OP内からパッシベーション膜PAS上にはみ出すように電極層ELが形成されている。このため、電極層ELには開口部OPの段差を反映した段差部が形成されている。このように構成されている電極層ELの第1領域では、電極層ELが開口部OPを介してパッドPADと接続されている。つまり、電極層ELの第1領域は、電極層ELとパッドPADとを電気的に接続するための領域として設けられているものである。
【0107】
以上のように、本実施の形態2では、電極層ELの平面領域を平面的に重ならない第1領域と第2領域に分け、第1領域を電極層ELとパッドPADとの接続領域として機能させ、第2領域を電極層ELとワイヤWの接続領域として機能させている。
【0108】
例えば、電極層ELの全体を第1領域だけから構成する場合、ワイヤWの接続位置がずれると、開口部OPの段差を反映して形成された電極層ELの段差部にワイヤWが乗り上げてしまい、このときの応力によってパッシベーション膜PASにクラックが発生しやすくなる。これに対し、本実施の形態2では、上述したように、電極層ELを、段差部が形成される第1領域と平坦な第2領域に分け、ワイヤWと電極層ELとの接続を平坦な第2領域で行なうことにより、ワイヤWの接続位置がずれる場合であっても、電極層ELの第1領域に形成されている段差部にワイヤWが乗り上げないようにすることができる。この結果、ワイヤWが段差部に乗り上げることに起因してパッシベーション膜PASにクラックが発生することを抑制できる。
【0109】
続いて、図33は、半導体チップCHPに形成されている電極層ELと、配線基板WBに形成されているリードLD1とをワイヤWで接続する状態を示す断面図である。図33において、配線基板WB上にはリードLD1が形成されており、このリードLD1を覆う配線基板WB上に絶縁膜IF1が形成されている。そして、この絶縁膜IF1には開口部が形成されており、絶縁膜IF1に形成された開口部からリードLD1の表面の一部が露出している。このリードLD1は、銅膜CUとニッケル膜NIと金膜AU2の積層膜から形成されている。
【0110】
リードLD1と隣り合うように、配線基板WB上に絶縁膜IF1を介して半導体チップCHPが搭載されている。この半導体チップCHPと絶縁膜IF1とは絶縁性の接着材ADで接着されている。半導体チップCHPの表面には、パッドPADが形成されており、このパッドPADを覆うようにパッシベーション膜PASが形成されている。パッシベーション膜PASには開口部OPが形成されており、この開口部OPの底面にパッドPADの表面の一部が露出している。そして、開口部OP内からパッシベーション膜PAS上にはみ出すように電極層ELが形成されており、この電極層ELとリードLD1とはワイヤWで接続されている。
【0111】
このとき、パッドPADは、窒化チタン膜、アルミニウム膜および窒化チタン膜の積層膜から形成され、パッシベーション膜PASは、酸化シリコン膜SO1と窒化シリコン膜SN1の積層膜から形成されている。さらに、電極層ELは、チタン膜TIとパラジウム膜PDと金膜AU1の積層膜から形成されている。
【0112】
ここで、図33に示すように、平面視において、電極層ELはパッドPADに内包されるように構成されている。そして、パッドPADは、パッシベーション膜PASに形成された開口部OPと接続する接続部と、パッシベーション膜PASで覆われている被覆部とを有しており、平面視において、ワイヤWの接着領域は、パッドPADの被覆部に内包されている。つまり、パッドPADの被覆部は、パッシベーション膜PASで覆われて平坦になっており、このパッドPADの被覆部は、平坦なパッシベーション膜PAS上に形成されている電極層ELの第2領域と平面的に重なる。したがって、ワイヤWの接着領域がパッドPADの被覆部に内包されているということは、ワイヤWの接着領域が平坦な電極層ELの第2領域で接続されていることを意味している。すなわち、パッドPADの被覆部は、電極層ELの第2領域と平面的に重なっており、パッドPADの露出部は、電極層ELの第1領域と平面的に重なっているということができる。
【0113】
さらに、本実施の形態2では、図33に示すように、電極層ELの第2領域の面積は、電極層ELの第1領域の面積よりも大きくなるように構成されている。つまり、ワイヤWと接続する平坦な第2領域の面積が、開口部OPと接続する第1領域の面積よりも大きくなっている。このことは、ワイヤWを接続する平坦な第2領域がワイヤWの接続面積よりも充分な余裕を有していることを意味し、ワイヤWの位置ずれに対するマージンを確保できていることを意味する。したがって、例えば、ワイヤWの接続位置がずれる場合であっても、段差部が形成されている第1領域にはみ出すことなく、平坦な第2領域内でワイヤWが接続される確率が高くなる結果、局所的な応力集中を回避することができ、パッシベーション膜PASにクラックが発生することを抑制できる。このため、本実施の形態2によれば、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0114】
<半導体ウェハの製造方法>
本実施の形態2における半導体装置は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について図面を参照しながら説明する。まず、円盤状の半導体ウェハを用意する。この半導体ウェハの主面(表面)は、複数のチップ領域に区画されている。このような半導体ウェハに対して、各チップ領域にMISFETなどの半導体素子を形成し、その後、MISFETを覆うように層間絶縁膜を形成して配線層を形成する。つまり、半導体ウェハ上にMISFETと配線層を形成することにより、半導体ウェハに集積回路を形成する。配線層は、例えば、複数の配線層からなる多層配線構造をしている。以下の説明では、隣接して配置されているチップ領域CA1とチップ領域CA2と、チップ領域CA1とチップ領域CA2の間にあるスクライブ領域SBRを取り上げて、多層配線の最上層に配線を形成する工程以降の工程について説明する。
【0115】
図34に示すように、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜IL上に窒化チタン膜TIN1を形成し、この窒化チタン膜TIN1上にアルミニウム膜ALを形成する。さらに、アルミニウム膜AL上に窒化チタン膜TIN2を形成する。窒化チタン膜TIN1、アルミニウム膜ALおよび窒化チタン膜TIN2は、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。
【0116】
続いて、図35に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、窒化チタン膜TIN1、アルミニウム膜ALおよび窒化チタン膜TIN2をパターニングする。これにより、チップ領域CA1には、窒化チタン膜TIN1とアルミニウム膜ALと窒化チタン膜TIN2からなるパッドPAD1が形成され、同様に、チップ領域CA2には、窒化チタン膜TIN1とアルミニウム膜ALと窒化チタン膜TIN2からなるパッドPAD2が形成される。さらに、スクライブ領域SBRには、窒化チタン膜TIN1とアルミニウム膜ALと窒化チタン膜TIN2からなる評価用配線L1が形成される。
【0117】
次に、図36に示すように、パッドPAD1、パッドPAD2および評価用配線L1を形成した層間絶縁膜IL上にパッシベーション膜PASを形成する。このパッシベーション膜PASは、例えば、CVD法を使用することにより形成することができる。具体的に、パッシベーション膜PASは、酸化シリコン膜SO1と、この酸化シリコン膜SO1上に形成された窒化シリコン膜SN1から形成される。
【0118】
そして、図37に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、パッシベーション膜PASに開口部を形成する。具体的に、チップ領域CA1では、パッドPAD1の表面の一部を露出する開口部OP1が形成され、チップ領域CA2では、パッドPAD2の表面の一部を露出する開口部OP2が形成される。このとき、開口部OP1の底面に露出するパッドPAD1の表面では、窒化チタン膜TIN2が除去されて、アルミニウム膜ALが露出する。同様に、開口部OP2の底面に露出するパッドPAD2の表面でも、窒化チタン膜TIN2が除去されて、アルミニウム膜ALが露出する。
【0119】
なお、スクライブ領域SBRにおいても、評価用配線L1の表面の一部を露出する開口部が形成される。ここで、パッドPAD1に形成される開口部OP1は、パッドPAD1の大きさに比べて小さくなっており、パッドPAD1には、開口部OP1と接続する接続部と、パッシベーション膜PASで覆われている被覆部とが形成される。同様に、パッドPAD2に形成される開口部OP2は、パッドPAD2の大きさに比べて小さくなっており、パッドPAD2には、開口部OP2と接続する接続部と、パッシベーション膜PASで覆われている被覆部とが形成される。
【0120】
続いて、図38に示すように、開口部OP1内および開口部OP2内を含むパッシベーション膜PAS上にチタン膜TIを形成し、このチタン膜TI上にパラジウム膜PDを形成する。チタン膜TIおよびパラジウム膜PDは、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。
【0121】
その後、図39に示すように、パラジウム膜PD上にレジスト膜FRを塗布し、塗布したレジスト膜FRに対して露光・現像処理を施すことにより、レジスト膜FRをパターニングする。レジスト膜FRのパターニングは、電極層を形成する領域にレジスト膜FRが残らないように行なわれる。そして、チタン膜TIおよびパラジウム膜PDを電極とした電解めっき法により、レジスト膜FRに形成された開口部から露出するパラジウム膜PD上に金膜AU1を形成する。
【0122】
次に、図40に示すように、パターニングしたレジスト膜FRを除去した後、レジスト膜FRを除去することにより露出したパラジウム膜PDとチタン膜TIを除去する。このようにして、半導体ウェハに電極層EL1および電極層EL2を形成することができる。具体的に、チップ領域CA1では、チタン膜TIとパラジウム膜PDと金膜AU1からなる電極層EL1が形成され、チップ領域CA2では、チタン膜TIとパラジウム膜PDと金膜AU1からなる電極層EL2が形成される。ここで、チップ領域CA1に形成される電極層EL1は、開口部OP1と平面的に重なる第1領域と、ワイヤを接続するための平坦な第2領域が形成され、本実施の形態2における特徴構造が実現される。同様に、チップ領域CA2に形成される電極層EL2も、開口部OP2と平面的に重なる第1領域と、ワイヤを接続するための平坦な第2領域が形成され、本実施の形態2における特徴構造が実現される。以上のようにして、本実施の形態2における半導体ウェハを製造することができる。
【0123】
<半導体装置の製造方法>
次に、本実施の形態2における半導体装置の製造方法について説明する。この工程では、上述した工程で製造された半導体ウェハを利用する。したがって、上述した半導体ウェハを製造する工程を実施した後、以下に示す工程を実施するようにしてもよいし、あるいは、既に上述した工程で製造された半導体ウェハを購入して、以下に示す工程を実施してもよい。本実施の形態2における半導体装置の製造方法は、前記実施の形態1における半導体装置の製造方法とほぼ同様である。本実施の形態2では、ワイヤボンディング工程において、電極層ELの平坦な第2領域でワイヤWを接続する。このため、本実施の形態2によれば、局所的な応力集中を回避することができ、パッシベーション膜PASにクラックが発生することを抑制できる。この結果、本実施の形態2によれば、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0124】
<実施の形態2における特徴構造とWPP技術の構造の相違>
パッケージプロセス(後工程)とウェハプロセス(前工程)とを一体化し、ウェハ状態でパッケージングを完了する技術、いわゆるウェハプロセスパッケージ(WPP:Wafer Process Package)と呼ばれる技術は、ウェハプロセスを応用してパッケージプロセスまで処理する技術である。このWPP技術によれば、半導体ウェハから切断した半導体チップ毎にパッケージプロセスを処理する従来の方法に比べて工程数を大幅に削減できるという利点がある。
【0125】
WPP技術で形成される構造は、例えば、以下に示す構造をしている。すなわち、パッドを覆うようにパッシベーション膜が形成されており、このパッシベーション膜に開口部が形成されている。この開口部はパッドの表面の一部を開口するように形成されている。そして、この開口部を形成したパッシベーション膜上に感光性ポリイミド樹脂膜などからなる第1有機絶縁膜が形成されており、この第1有機絶縁膜にも開口部が形成されている。このとき、第1有機絶縁膜とパッシベーション膜とに形成された開口部は繋がっており、開口部の底部にパッドの表面が露出している。さらに、WPP技術では、開口部内から第1有機絶縁膜上を延在するように再配線が形成されている。つまり、再配線は、一端が開口部内に露出するパッドと接続されて、他端が第1有機絶縁膜上に形成される。そして、再配線を覆うように、例えば、感光性ポリイミド樹脂膜からなる第2有機絶縁膜が形成され、再配線の他端が第2有機絶縁膜に設けられた開口部から露出するように構成される。この第2有機絶縁膜から露出する再配線の他端にワイヤやバンプ電極などの導電性部材が接続される。このようなWPP技術によれば、狭ピッチで形成されたパッドは、再配線を介して、このパッドよりも広いピッチで構成された端子に変換され、この端子に導電性部材が接続される。
【0126】
WPP技術は上記のように構成されており、以下に、このWPP技術による構造と、本実施の形態2における特徴構造を対比する。まず、本実施の形態2における特徴構造では、パッドPADと電極層ELの第1領域が開口部OPを介して接続されており、電極層ELの第2領域がワイヤWと接続されている。これに対し、WPP技術では、パッドと再配線の一端が開口部を介して接続されており、再配線の他端が導電性部材と接続される。したがって、本実施の形態2における電極層ELは、WPP技術の再配線に対応するように考えられる。
【0127】
しかし、本実施の形態2における電極層ELと、WPP技術における再配線とは、以下に示す点で相違する。この相違点について説明する。まず、例えば、図33に示すように、本実施の形態2における電極層ELは、パッドPADに平面的に内包されるものである。これに対し、WPP技術における再配線は、パッドに内包されるものではない。つまり、本実施の形態2における電極層ELでは、第1領域と第2領域の両方が平面的にパッドPADに内包される。一方、WPP技術における再配線は、狭ピッチで形成されたパッドを、再配線によって、パッドよりも広いピッチで構成された端子に変換することを目的とするものであり、この再配線は、パッドと平面的に重ならない領域にまで延在して他端が形成される。したがって、第1相違点は、本実施の形態2における電極層ELがパッドPADに内包されるように構成されているのに対し、WPP技術における再配線は、パッドと平面的に重ならない領域まで延在している点にある。
【0128】
次に、第2相違点は、本実施の形態2ではパッドPADと電極層ELの間にパッシベーション膜PASだけが存在するのに対し、WPP技術では、パッドと再配線との間にパッシベーション膜と第1有機絶縁膜が存在する点である。
【0129】
さらに、第3相違点は、本実施の形態2における電極層ELがチタン膜TIとパラジウム膜PDと金膜AU1から形成されているのに対し、WPP技術における再配線は、通常、銅膜とニッケル膜とから形成され、導電性部材と接続する他端にさらに金膜が形成されている点である。
【0130】
以上のことから、本実施の形態2における特徴構造とWPP技術における構造とは第1相違点〜第3相違点が存在し、異なる技術であることがわかる。
【0131】
(実施の形態3)
前記実施の形態1と前記実施の形態2では、半導体チップCHPと配線基板WBとをワイヤWで接続する例について説明したが、本実施の形態3では、半導体チップCHPと配線基板WBとをバンプ電極BMPで接続する例について説明する。
【0132】
図41は、本実施の形態3における半導体装置SAの構成を示す断面図である。図41において、本実施の形態3における半導体装置SAは、配線基板WBを有している。この配線基板WBの主面(表面)にはリードLD1が形成されており、配線基板WBの裏面にはリードLD2が形成されている。そして、配線基板WBの裏面に形成されているリードLD2上に半田ボールSBが搭載されている。配線基板WBの内部には、多層配線とビアが形成されており、配線基板WBの主面に形成されているリードLD1と、配線基板WBの裏面に形成されているリードLD2は、配線基板WBの内部に形成されている多層配線とビアで電気的に接続されている。
【0133】
配線基板WBの主面上には、半導体チップCHPが搭載されている。具体的に、配線基板WBに形成されているリードLD1は、バンプ電極BMPを介して半導体チップCHPに形成されている電極層ELと接続されている。したがって、半導体チップCHPは、電極層ELが形成されている主面を配線基板WB側に向けた状態で、配線基板WBに搭載されていることになる。そして、半導体チップCHPを搭載した配線基板WBの主面には、半導体チップCHPを覆うように樹脂(封止体)MRが形成されている。
【0134】
なお、本実施の形態3では、樹脂MRが半導体チップCHPの全体を覆うことについて説明したが、半導体チップCHPと配線基板WBとの接合部(ここでは、バンプ電極BMP)のみを封止するように形成されていてもよい。
【0135】
このように構成されている半導体装置SAにおいて、半導体チップCHPと配線基板WBの接続構造について、さらに詳細に説明する。図42は、本実施の形態3における半導体装置SAにおいて、半導体チップCHPと配線基板WBの接続領域を拡大して示す図である。図42に示すように、半導体チップCHPには、層間絶縁膜IL上にパッドPADが形成されており、パッドPADを覆うようにパッシベーション膜PASが形成されている。そして、パッシベーション膜PASには、開口部OPが形成されており、この開口部OPからパッドPADが露出している。さらに、開口部OP内からパッシベーション膜PAS上にはみ出すように電極層ELが形成されている。したがって、電極層ELには、開口部OPの段差を反映して段差部が形成されている。この電極層ELと、配線基板WBに形成されているリードLD1が対向するように配置されており、この電極層ELとリードLD1との間にバンプ電極BMPが形成されている。このようにして、半導体チップCHPと配線基板WBが接続されている。
【0136】
ここで、本実施の形態3では、電極層ELとリードLD1とをバンプ電極BMPで接続する際に、電極層ELに荷重が加わる。すると、電極層ELの段差部に印加された荷重が下層に形成されているパッドPADに応力として伝達される。この結果、パッドPADが変形して、パッドPADの端部を覆っているパッシベーション膜PASの段差部に強い応力が加わる。このため、パッシベーション膜PASにクラックが発生しやすくなる。
【0137】
前記実施の形態1では、電極層ELに接続するワイヤWの位置がずれる場合に、パッドPADの端部を覆っているパッシベーション膜PASの段差部に強い応力が加わり、パッシベーション膜PASにクラックが発生するという課題を解決するものであった。しかし、パッシベーション膜PASにクラックが発生するという課題は、本実施の形態3のように、電極層ELとリードLD1とをバンプ電極BMPで接続する場合も生じることがわかる。したがって、前記実施の形態1で説明した技術的思想は、本実施の形態3のように、半導体チップCHPと配線基板WBとをバンプ電極BMPでフリップチップ接続する場合にも適用することができる。
【0138】
具体的に、本実施の形態3においても、電極層ELの一端とパッドPADの一端との間の平面的な距離(L2)を、電極層ELの一端と開口部OPの一端との間の平面的な距離(L1)よりも大きくするように構成することにより、フリップチップ接続の際の荷重に起因した応力がパッドPADの端部にまで伝わることを抑制できる。この結果、パッドPADの端部での変形が緩和されて、パッドPADの端部を覆うパッシベーション膜PASの段差部に加わる応力を低減することができる。パッシベーション膜PASの段差部に加わる応力が低減されれば、大きな応力に起因して発生するクラックを抑制することができる。このようにして、本実施の形態3によれば、パッシベーション膜PASにクラックが発生することを抑制できるので、本実施の形態3における半導体装置SAの信頼性を向上することができるという顕著な効果を得ることができる。
【0139】
なお、前記実施の形態1のように電極層ELとリードLD1とをワイヤWで接続する半導体装置SAでは、電極層ELの厚さが薄くなっている。これに対し、本実施の形態3のように電極層ELとリードLD1とをバンプ電極BMPで接続する半導体装置SAでは、電極層ELの厚さが厚くなっている。すなわち、前記実施の形態1における電極層ELの厚さよりも、本実施の形態3における電極層ELの厚さの方が厚くなっている。この場合、電極層ELの厚さが薄い方が、電極層ELに加わった力がパッドPADの変形を介してパッシベーション膜PASへ伝わりやすい。また、バンプ電極BMPを介して半導体チップCHPを配線基板WBに搭載する場合、複数のバンプ電極BMPを介して配線基板WBに搭載するため、荷重が分散され、一つのパッドPADに加わる応力は、ワイヤWを介して半導体チップCHPと配線基板WBとを接続する場合に比べて小さくなる。つまり、ワイヤWを介して半導体チップCHPを配線基板WBに搭載するワイヤボンディング品のほうが、バンプ電極BMPを介して半導体チップCHPを配線基板WBに搭載するフリップチップ実装品に比べて、パッシベーション膜PASにクラックが発生しやすいことになる。したがって、本発明の技術的思想は、本実施の形態3における半導体装置SA(フリップチップ実装品)よりも、前記実施の形態1における半導体装置SA(ワイヤボンディング品)に適用する場合に、より顕著な効果を得ることができる。
【0140】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0141】
例えば、前記実施の形態1、2、3のそれぞれでは、半導体素子としてMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を例にあげて説明したが、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であってもよい。
【0142】
また、前記実施の形態1、2、3のそれぞれでは、複数のパッドPADが形成された半導体チップCHPと、複数のリード(電極)LD1が形成された配線基板WBとを使用することについて説明したが、パッドPADおよびリードLD1は、それぞれ1つしか形成されていないものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0144】
AD 接着材
AL アルミニウム膜
AR 領域
AU1 金膜
AU2 金膜
BMP バンプ電極
CA1 チップ領域
CA2 チップ領域
CHP 半導体チップ
CLK クラック
CU 銅膜
EL 電極層
EL1 電極層
EL2 電極層
FR レジスト膜
IF1 絶縁膜
IL 層間絶縁膜
LD1 リード(ボンディングリード、電極)
LD2 リード(バンプランド、電極)
L1 評価用配線
MR 樹脂(封止体)
NI ニッケル膜
OP 開口部
OP1 開口部
OP2 開口部
PAD パッド
PAD1 パッド
PAD2 パッド
PAS パッシベーション膜
PD パラジウム膜
SA 半導体装置
SB 半田ボール
SBR スクライブ領域
SN1 窒化シリコン膜
SO1 酸化シリコン膜
ST1 応力値
ST2 応力値
TI チタン膜
TIN1 窒化チタン膜
TIN2 窒化チタン膜
W ワイヤ
WB 配線基板
WF 半導体ウェハ
X 領域(第1領域)
Y 領域(第2領域)
YR 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法:
(a)リードを有する基材を準備する工程;
(b)第1主面、前記第1主面に形成されたボンディングパッド、前記ボンディングパッドの周縁部を覆うように、前記第1主面上に形成された絶縁膜、前記絶縁膜に形成された開口部から露出する前記ボンディングパッドの接続部と電気的に接続され、かつ、前記絶縁膜上に形成された電極層、および、前記第1主面とは反対側の第2主面を有する半導体チップを前記基材上に配置し、導電性部材および前記電極層を介して前記ボンディングパッドと前記リードとを電気的に接続する工程;
ここで、平面視において、前記電極層の端部と前記ボンディングパッドの端部との間隔は、前記電極層の端部と前記絶縁膜に形成された前記開口部の端部との間隔よりも大きいという条件を満たしている。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
平面視において、前記ボンディングパッド、前記電極層、および、前記絶縁膜に形成された前記開口部は、矩形形状をしており、かつ、前記ボンディングパッドの一辺、前記電極層の一辺、および前記開口部の一辺は互いに並行しており、
前記ボンディングパッドの一辺と並行する第1方向において、前記電極層の端部と前記ボンディングパッドの端部との間隔は、前記電極層の端部と前記絶縁膜に形成された前記開口部の端部との間隔よりも大きく、かつ、前記第1方向と直交する第2方向においても、前記電極層の端部と前記ボンディングパッドの端部との間隔は、前記電極層の端部と前記絶縁膜に形成された前記開口部の端部との間隔よりも大きいことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
平面視において、前記絶縁膜に形成された前記開口部は、前記電極層に内包され、かつ、前記電極層は、前記ボンディングパッドに内包されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
前記半導体チップは、以下の工程(c)乃至(d)工程により取得されることを特徴とする半導体装置の製造方法;
(c)複数のチップ領域、および前記複数のチップ領域のうちの互いに隣り合うチップ領域間に形成されたスクライブ領域を有する半導体ウェハを準備する工程;
(d)前記(c)工程の後、前記スクライブ領域に沿って前記半導体ウェハを切断することで、複数の前記半導体チップを取得する工程。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(c)工程は、
(c1)前記半導体ウェハの前記第1主面に区画されている複数のチップ領域のそれぞれに前記ボンディングパッドを形成する工程と、
(c2)前記ボンディングパッドを覆うように前記半導体ウェハの前記第1主面上に前記絶縁膜を形成する工程と、
(c3)前記絶縁膜をパターニングすることにより、前記ボンディングパッドの前記周縁部を覆いながら前記ボンディングパッドの表面の一部を露出する前記開口部を形成する工程と、
(c4)前記開口部内を含む前記絶縁膜上に導体膜を形成する工程と、
(c5)前記導体膜をパターニングすることにより、前記開口部内に埋め込まれるとともに、端部が前記絶縁膜上に形成された前記電極層を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(c1)工程で形成される前記ボンディングパッド、前記(c3)工程で形成される前記開口部、および、前記(c5)工程で形成される前記電極層のうち、前記(c1)工程で形成される前記ボンディングパッドの端部の形成位置を調整することにより、前記条件を満たす位置関係となるように、前記ボンディングパッド、前記開口部、および、前記電極層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項5記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(c1)工程で形成される前記ボンディングパッド、前記(c3)工程で形成される前記開口部、および、前記(c5)工程で形成される前記電極層のうち、前記(c3)工程で形成される前記開口部の端部の形成位置を調整することにより、前記条件を満たす位置関係となるように、前記ボンディングパッド、前記開口部、および、前記電極層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項5記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(c1)工程で形成される前記ボンディングパッド、前記(c3)工程で形成される前記開口部、および、前記(c5)工程で形成される前記電極層のうち、前記(c5)工程で形成される前記電極層の端部の形成位置を調整することにより、前記条件を満たす位置関係となるように、前記ボンディングパッド、前記開口部、および、前記電極層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
前記導電性部材は、ワイヤであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
前記導電性部材は、バンプ電極であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
前記絶縁膜は、パッシベーション膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置の製造方法であって、
前記絶縁膜は、酸化シリコン膜と、前記酸化シリコン膜上に形成された窒化シリコン膜から形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
前記電極層は、積層膜から形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の半導体装置の製造方法であって、
前記ボンディングパッドは表面に露出したアルミニウム膜を含み、
前記導電性部材は、金を材料とし、
前記電極層は、前記ボンディングパッド上に形成されたチタン膜と、前記チタン膜上に形成されたパラジウム膜と、前記パラジウム膜上に形成された金膜から形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
前記絶縁膜の厚さは、前記ボンディングパッドの厚さよりも小さいことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
以下の工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法:
(a)リードを有する基材を準備する工程;
(b)第1主面、前記第1主面に形成されたボンディングパッド、前記ボンディングパッドの周縁部を覆うように、前記第1主面上に形成された絶縁膜、前記絶縁膜に形成された開口部から露出する前記ボンディングパッドの接続部と電気的に接続され、かつ、前記絶縁膜上に形成された電極層、および、前記第1主面とは反対側の第2主面を有する半導体チップを前記基材上に配置し、導電性部材および前記電極層を介して前記ボンディングパッドと前記リードとを電気的に接続する工程;
ここで、前記電極層は、平面視において、前記接続部と重なる第1部分と、前記接続部が形成されていない領域の前記絶縁膜と重なる第2部分とを有し、
前記第2部分の面積は、前記第1部分の面積よりも大きく、
前記導電性部材は、前記電極層の前記第2部分で接続する。
【請求項17】
請求項16記載の半導体装置の製造方法であって、
平面視において、前記電極層の前記第2部分は、前記第2部分で接続される前記導電性部材の接着領域を内包していることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項16記載の半導体装置の製造方法であって、
前記ボンディングパッドは、前記絶縁膜に形成された開口部と接続する前記接続部と、前記絶縁膜で覆われている被覆部とを有し、
平面視において、前記導電性部材の接着領域は、前記ボンディングパッドの前記被覆部に内包されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項16記載の半導体装置の製造方法であって、
前記半導体チップは、以下の工程(c)乃至(d)工程により取得されることを特徴とする半導体装置の製造方法;
(c)複数のチップ領域、および前記複数のチップ領域のうちの互いに隣り合うチップ領域間に形成されたスクライブ領域を有する半導体ウェハを準備する工程;
(d)前記(c)工程の後、前記スクライブ領域に沿って前記半導体ウェハを切断することで、複数の前記半導体チップを取得する工程。
【請求項20】
請求項19記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(c)工程は、
(c1)前記半導体ウェハの前記第1主面に区画されている複数のチップ領域のそれぞれに前記ボンディングパッドを形成する工程と、
(c2)前記ボンディングパッドを覆うように前記半導体ウェハの前記第1主面上に前記絶縁膜を形成する工程と、
(c3)前記絶縁膜をパターニングすることにより、前記ボンディングパッドの前記周縁部を覆いながら前記ボンディングパッドの表面の一部を露出する前記開口部を形成する工程と、
(c4)前記開口部内を含む前記絶縁膜上に導体膜を形成する工程と、
(c5)前記導体膜をパターニングすることにより、前記開口部内に埋め込まれるとともに、端部が前記絶縁膜上に形成された前記電極層を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2011−222738(P2011−222738A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90152(P2010−90152)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】