説明

半導体装置の解析及び設計装置、及び半導体装置の解析及び設計方法

【課題】より精密な半導体装置の解析及び設計を可能とする。
【解決手段】半導体装置の解析及び設計装置は、トランジスタの構成情報と電気特性の測定値とを関連付けて格納する記憶部2と、第1トランジスタのチャネル領域を複数の領域に分割し、各領域の不純物濃度をパラメータとするパラメータ設定部11と、パラメータに基づいてチャネル領域の両端領域での不純物濃度を減少させた実効不純物濃度を算出し、実効不純物濃度を用いたポアソン方程式で計算された表面ポテンシャルから第1トランジスタの電気特性の第1計算値を求める素子特性計算部12と、記憶部2から読み出した測定値と第1計算値とが一致する場合、当該パラメータを第1トランジスタのパラメータとして、記憶部2に構成情報と関連付けて格納する判定部13とを具備する。パラメータ設定部11と素子特性計算部12とは、第1計算値と測定値とが一致するまで動作を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の解析及び設計装置、及び半導体装置の解析及び設計方法に関し、特に正確なチャネル不純物濃度分布を用いたトランジスタモデルを使用した半導体装置の解析及び設計装置、及び半導体装置の解析及び設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタのような電子素子の特性を解析する技術が知られている。例えば、Y.S.Pang, et al.,“Analytical Subthreshold Surface Potential Model for Pocket n−MOSFETs”,IEEE Trans. On Electron Devices,Vol.49,No.12,pp.2209−2216,(2002)(非特許文献1)にMOSトランジスタの特性を解析する技術が開示されている。以下、この論文を本明細書において、「Pang」とも記す。図1は、このモデルのMOSトランジスタの構成を示す断面図である。モデルトランジスタであるMOSトランジスタ150は、ソース領域155、ドレイン領域153、ゲート酸化膜152、チャネル領域154、及びゲート電極151を有する。ソース領域155及びドレイン領域153は、半導体基板の表面領域に、チャネル領域154を挟んで設けられている。ゲート酸化膜152及びゲート酸化膜152はチャネル領域154を覆うように、この順に積層されている。この技術では、チャネル領域154における不純物の深さ方向の濃度であるチャネル不純物濃度に応じて、チャネル領域154を3つの領域に分割している。各々の領域において、それらの幅をそれぞれLp、Lc、Lpとし、それらの不純物濃度をそれぞれNp、Nc、Npとする。ここで、Lp、Lc、Np、Ncをモデルパラメータとして、実際のトランジスタのチャネル不純物濃度分布によく一致するように設定する。次に、チャネル領域154の各々の領域について、表面ポテンシャルを変数としてポアソン方程式を解くことにより、その表面ポテンシャルを求める。続いて、求められた表面ポテンシャルを用いてトランジスタの電気特性を計算する。ここで、トランジスタの電気特性は、ゲート容量Cgg−ゲート電圧Vg特性、及び、閾値電圧Vth−基板電圧Vb特性(又はドレイン電流Id−基板電圧Vb特性)に例示される。これらトランジスタの電気特性の計算方法は、Pang記載の方法や従来広く一般に知られた方法を用いることができる。ここで、得られたトランジスタの電気特性(計算値)が実際のトランジスタの電気特性(測定値)と一致しない場合、モデルパラメータを調整した上で上記の計算を繰り返す。一方、計算値が測定値と一致した場合、モデルパラメータが実際のトランジスタのチャネル不純物濃度分布を再現していると考える。そして、得られたモデルパラメータを用いて半導体素子の解析や半導体回路の設計を行う。
【0003】
なお、以下の論文にもトランジスタの電気特性の計算方法が記載されている。その論文は、M.Miura−Mattausch,U.Feldmann,A.Rahm,M.Bollu,and D.Savignac,“Unified complete MOSFET model for analysis of digital and analog circuits”,Proc.IEEE Trans. On Comput.−Aided Des./Int.Conf.Comput.Aided Des.,vol.15,no.1,pp.1−7,Jan.(1996)(非特許文献2)である。以下、これらの論文を本明細書において、「Miura」とも記す。
【0004】
【非特許文献1】Y.S.Pang, et al.,“Analytical Subthreshold Surface Potential Model for Pocket n−MOSFETs”,IEEE Trans. On Electron Devices,Vol.49,No.12,pp.2209−2216,(2002).
【非特許文献2】M.Miura−Mattausch,U.Feldmann,A.Rahm,M.Bollu,and D.Savignac,“Unified complete MOSFET model for analysis of digital and analog circuits”,Proc.IEEE Trans. On Comput.−Aided Des./Int.Conf.Comput.Aided Des.,vol.15,no.1,pp.1−7,Jan.(1996).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のPangの技術は、ソース領域及び155及びドレイン領域153の近傍においてソース領域及び155及びドレイン領域153の影響により実効的なチャネル不純物濃度が減少する効果を取り込んでいない。そのため、上記モデルパラメータを用いて算出された表面ポテンシャルは、実際の表面ポテンシャルを正確に表現できていないと考えられる。従って、その算出された表面ポテンシャルを用いてトランジスタの電気特性を求めても、実際のトランジスタの電気特性を高精度の表現できないと考えられる。すなわち、Pangのトランジスタモデルが表現するトランジスタの電気特性は、実際のトランジスタの電気特性を高精度に表現することができない。その結果、半導体素子の解析及び半導体回路の設計に誤差が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、発明を実施するための最良の形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0007】
本発明の半導体装置の解析及び設計装置は、記憶部(2)と、パラメータ設定部(11)と、素子特性計算部(12)と、判定部(13)とを具備する。記憶部(2)は、トランジスタの構成を示す構成情報とトランジスタの電気特性の測定値とを関連付けて格納する。パラメータ設定部(11)は、第1トランジスタのチャネル領域を複数の領域に分割し、複数の領域における不純物濃度をパラメータとして設定する。素子特性計算部(12)は、パラメータに基づいて、チャネル領域の両端における所定の領域での不純物濃度を減少させた複数の領域の実効不純物濃度を算出し、実効不純物濃度を用いたポアソン方程式を解くことにより表面ポテンシャルを計算し、表面ポテンシャルを用いて第1トランジスタの電気特性の第1計算値を求める。判定部(13)は、第1トランジスタの構成を示す第1構成情報に基づいて、記憶部(2)を参照して、第1構成情報に対応する測定値を読み出し、測定値と第1計算値とが一致する場合、当該パラメータを第1トランジスタのパラメータと判定し、記憶部(2)に構成情報と関連付けて格納する。パラメータ設定部(11)と素子特性計算部(12)とは、第1計算値と測定値とが一致するまで動作を実行する。
【0008】
本発明では、チャネル領域の複数の領域の各々において、不純物濃度、空乏層幅を決定し、ソース領域及びドレイン領域の近傍においてチャネルの不純物濃度が減少する効果を実効不純物濃度として取り込んだモデルを用いている。そして、その実効不純物濃度に基づいて算出されたトランジスタの電気特性(計算値)が、実際のトランジスタの電気特性(測定値)と一致するように、不純物濃度を調整する。それにより、実際のトランジスタの電気特性を正確に再現することが可能なチャネル不純物濃度分布を、より精密に算出することができる。このようなチャネル不純物濃度分布は、トランジスタの表面ポテンシャルや電気特性の解析において極めて重要である。すなわち、より精密に算出されたチャネル不純物濃度分布を用いれば、より精密な表面ポテンシャルを算出することができるので、それらを用いることでより精密なトランジスタの電気特性を算出することが可能となる。そして、算出されたより精密な電気特性を用いることで、より誤差の少ない半導体回路の設計が可能となる。
【0009】
本発明の半導体装置の解析及び設計方法及びプログラムは、第1トランジスタのチャネル領域を複数の領域に分割し、複数の領域における不純物濃度をパラメータとして設定するステップと、パラメータに基づいて、チャネル領域の両端における所定の領域での不純物濃度を減少させた複数の領域の実効不純物濃度を算出し、実効不純物濃度を用いたポアソン方程式を解くことにより表面ポテンシャルを計算し、表面ポテンシャルを用いて第1トランジスタの電気特性の第1計算値を求めるステップと、第1トランジスタの構成を示す第1構成情報に基づいて、トランジスタの構成を示す構成情報とトランジスタの電気特性の測定値とを関連付けて格納する記憶部を参照して、第1構成情報に対応する測定値を読み出し、測定値と第1計算値とが一致する場合、当該パラメータを第1トランジスタのパラメータと判定し、記憶部に構成情報と関連付けて格納するステップとを具備する。パラメータを設定するステップと第1計算値を求めるステップとは、第1計算値と測定値とが一致するまで動作を実行される。
【0010】
この本発明においても、上記の本発明の半導体装置の解析及び設計装置と同様に、上記の作用・効果を得ることが出来る。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、より精密に半導体装置の解析及び設計が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の半導体装置の解析及び設計装置、及び半導体装置の解析及び設計方法の実施の形態に関して、添付図面を参照して説明する。
【0013】
本発明では、チャネル領域の不純物濃度がソース領域及びドレイン領域の近傍において減少する効果を実効不純物濃度として取り込んだトランジスタモデルを用いている。そのようなモデルを用いたポアソン方程式を解くことで高精度に表面ポテンシャルを計算することができる。そして、その表面ポテンシャルを用いてトランジスタの電気特性を高精度に再現することが可能となる。その結果、より精密に半導体装置の解析及び設計が可能となる。以下詳細に説明する。
【0014】
図2は、本発明の実施の形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。この情報処理装置1は、半導体装置の解析及び設計装置として機能する。すなわち、この情報処理装置1は、トランジスタのモデルパラメータの設定、実効チャネル不純物濃度分布の算出、実効チャネル不純物濃度分布を用いた表面ポテンシャルの算出、表面ポテンシャルを用いたトランジスタの電気特性の算出、及び、トランジスタの電気特性を用いた半導体回路の設計のそれぞれを実行する。その情報処理装置1は、処理部2、及び、データベース3を具備する。
【0015】
その情報処理装置1は、コンピュータに例示される。処理部2は、記憶装置(図示されず)に格納され、メモリ(図示されず)に展開され、CPU(図示されず)により実行されるプログラムである。処理部2は、モデルパラメータ設定部11、素子特性計算部12、判定部13、及び、回路設計部14を備える。
【0016】
モデルパラメータ設定部11は、トランジスタのチャネル不純物濃度分布(モデルパラメータ:領域の幅L1、L2、L3、…、不純物濃度N1、N2、N3、…:後述)を設定する。
素子特性計算部12は、モデルパラメータ設定部11で設定された又はモデルパラメータデータベース23に格納されたチャネル不純物濃度分布における空乏層幅(W1、W2、W3、…)を計算し、空乏層1、2、3、…を決定する。そして、そのチャネル不純物濃度分布(空乏層を含む)を修正した実効チャネル不純物濃度を算出する。その後、実効チャネル不純物濃度分布を用いた表面ポテンシャルの算出、及び、その表面ポテンシャルを用いたトランジスタの電気特性の算出をそれぞれ実行する。
判定部13は、素子特性計算部12で算出されたトランジスタの電気特性と、素子特性データベース22に格納されたトランジスタの電気特性の測定値とを比較し、両者が一致するか否かを判定する。
回路設計部14は、素子特性計算部12で算出されたトランジスタの電気特性又は回路設計データベース24に格納されたトランジスタの電気特性を用いた半導体回路の設計(論理設計やレイアウト設計)を実行する。
【0017】
データベース3は、記憶装置(図示されず)に格納され、CPU(図示されず)により読み出しや書き込みが行われるデータ及びプログラムである。データベース3は、条件データベース21、素子特性データベース22、モデルパラメータデータベース23、及び、回路設計データベース24を備える。ただし、データベース3は、情報処理装置1の外部に双方向通信可能に設けられていてもよい。また、データベース3内の各データベースは一体であっても別体であってもよい。
【0018】
条件データベース21は、トランジスタの製造条件(寸法を含む)に関する情報と、トランジスタの動作条件に関する情報とを関連付けて格納している。ここで、トランジスタの動作条件に関する情報は、基板電圧Vb、ゲート電圧Vg、動作温度Tに例示される。また、トランジスタの製造条件に関する情報は、拡散層(ソース領域/ドレイン領域)の製造条件(イオン注入条件、拡散条件)のような製造方法に関する情報や、トランジスタの寸法(ゲート長Lg、ゲート幅wg、酸化膜厚TOX)のようなトランジスタの構成に関する情報に例示される。このように、トランジスタの製造条件(寸法を含む)に関する情報は、トランジスタの構成を特定していると見ることもできるから、構成を特定する情報(構成情報)と見ることも出来る。
素子特性データベース22は、トランジスタの製造条件(寸法を含む)に関する情報と、トランジスタの動作条件に関する情報と、トランジスタの電気特性の測定値に関する情報と、を関連付けて格納している。ここで、トランジスタの電気特性の測定値に関する情報は、実際のトランジスタで測定されたゲート容量Cgg−ゲート電圧Vg特性、及び、閾値電圧Vth−基板電圧Vb特性(又はドレイン電流Id−基板電圧Vb特性)に例示される。
モデルパラメータデータベース23は、モデルパラメータ設定部11で設定され、判定部14で一致判定された実効チャネル不純物濃度分布を示すモデルパラメータ(領域の幅L1、L2、L3、…、不純物濃度N1、N2、N3、…)と、トランジスタの製造条件(寸法を含む)に関する情報とを関連付けて格納している。
回路設計データベース24は、素子特性計算部12で算出されたトランジスタの電気特性に関する情報とトランジスタの製造条件(寸法を含む)に関する情報とを関連付けて格納している。これらの情報は、例えば、基本論理ゲートや論理回路ブロック、セルなどに関するセル/ブロックライブラリの一部として格納されていてもよい。回路設計データベース24は、更に、回路設計に必要な情報を格納している。
【0019】
次に、半導体装置の解析方法(モデルパラメータの設定、実効チャネル不純物濃度分布の算出を含む)について説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係る情報処理装置の動作を示すフロー図である。この情報処理装置1の動作は、半導体装置の解析方法として機能する。
【0020】
まず、モデルトランジスタとしてのMOSトランジスタ50を考える。図4は、そのMOSトランジスタ50の構成を示す断面図である。MOSトランジスタ50は、ソース領域55、ドレイン領域53、ゲート酸化膜52、チャネル領域54、及びゲート電極51を有する。ソース領域55及びドレイン領域53は、半導体基板の表面領域に、チャネル領域54を挟んで設けられている。ゲート酸化膜52及びゲート酸化膜52はチャネル領域54を覆うように、この順に積層されている。このMOSトランジスタ50は、上記のトランジスタの製造条件に関する情報により構造及び製造方法が特定される。
【0021】
まず、チャネル領域54は不純物濃度の違いにより複数の領域に分割されていると考える。領域の分割数は、予め設定しても良いし、ユーザによりその都度設定されても良い。分割された複数の領域について、ソース側から各々の領域の幅をそれぞれL1、L2、L3、…、不純物濃度をそれぞれN1、N2、N3、…、とする。この幅L1、L2、L3、…及び不純物濃度N1、N2、N3、…をモデルパラメータとする。図5は、チャネル領域の分割の一例における各領域の幅及び不純物濃度を示すグラフである。この例では、チャネル領域を5つの領域61〜65に分割し、チャネル領域54の中央を基準に左右対象となっている。モデルパラメータは、幅L1、L2、L3、L2、L1、不純物濃度N1、N2、N3、N2、N1である。モデルパラメータ設定部11は、このような条件の下、外部入力される評価対象となるトランジスタの実際のチャネル不純物濃度分布に基づいて、その実際のチャネル不純物濃度分布によく一致するという条件を満たすようにこれらのモデルパラメータを設定(仮定)する(ステップS1)。なお、ユーザの入力に基づいて、これらのモデルパラメータを設定しても良い。
【0022】
図6は、図5の設定のMOSトランジスタ50のチャネル領域を拡大した断面図である。素子特性計算部12は、まず、評価対象となるトランジスタの製造条件(寸法を含む)に関する情報に基づいて、条件データベース21を参照して、トランジスタの動作条件に関する情報を読み出す。そして、読み出した情報(例示:バイアス条件、温度)及び設定されたモデルパラメータに基づいて、領域61〜65の各々について、空乏層幅W1、W2、W3、W2、W1を下記式(1)により計算する。
計算方法は、まず、不純物濃度N1〜N5を用いて、ポアソン方程式(下記式(2):後述)を解き、表面ポテンシャルφs1iを算出する。ただし、ここでは、式(2)において、Ni0(i=1〜5)を設定値であるN1〜N5に置き換えている。また、ステップS3のような空乏層の調整を行わない。次に、得られた表面ポテンシャルφs1i、及び、不純物濃度N1〜N5を用いて、下記(1)式を解き、空乏層幅W1、W2、W3、W2、W1を算出する。
それにより、素子特性計算部12は、領域61において空乏層幅W1の空乏層1、領域62において空乏層幅W2の空乏層2、領域63において空乏層幅W3の空乏層3、領域64において空乏層幅W2の空乏層4、及び、領域65において空乏層幅W1の空乏層5をそれぞれ決定する(ステップS2)。
【0023】
【数1】

ただし、各記号の意味は以下のとおりである。
Wi:(i=1〜5)、空乏層幅W1〜W5
Ni:(i=1〜5)、不純物濃度N1〜N5
q:電荷素量
εSi:シリコンの比誘電率
φs1i:領域6i(i=1〜5)の表面ポテンシャル
β:q/(kT)(k:ボルツマン定数、T:トランジスタの動作温度(絶対温度))
なお、素子特性計算部12は、本ステップS2における上記各記号の示す数値を、MOSトランジスタ50の製造条件に関する情報に基づいて、条件データベース21を参照して読み出して使用する。
【0024】
次に、素子特性計算部12は、ソース領域及び55及びドレイン領域53の影響により実効的なチャネル不純物濃度が減少する効果を取り込むために、ステップS2で求めた空乏層を調整する。図7は、図6のチャネル領域の空乏層の調整を示す断面図である。まず、ソース領域55の端部からチャネル領域54に向かう直角二等辺三角形である領域Aを定義する。この領域Aは、ソース領域55の端部を底辺とし、その底辺の長さがソース領域55の厚みtsと等しい直角二等辺三角形である。直角二等辺三角形という形状は、一辺が決まると全体が一義的に決まるので設定が容易である点や実態に適合させ易いという点で好ましい。この領域Aでは実効的な不純物濃度が0であると考える(実際に0でなくても、計算上0とみなせる場合を含む)。ここで、空乏層1と領域Aとの双方に属する領域を領域Bとし、その面積をSBとする。また、空乏層1の面積をS1(=L1×W1)とする。空乏層1の不純物濃度は上述のようにN1である。そのとき、空乏層1の実効不純物濃度N10は、N10=N1×(S1−SB)/S1とすることができる。同様に、空乏層2、3、…についても実効不純物濃度N20、N30、…を計算することができる。また、ドレイン領域53の側についても同様である。図7の場合、このようにして、空乏層1、2、3、4、5について実効不純物濃度N10、N20、N30、N40、N50が計算される(ステップS3)。
【0025】
次に、素子特性計算部12は、MOSトランジスタ50のチャネル領域54において、領域61〜65の空乏層1〜5において、実効不純物濃度N10〜N50を用いて、ポアソン方程式(下記の式(2))を表面ポテンシャルφsについて解き、各領域61〜65において表面ポテンシャルφsの解φs10〜φs50を得る。
【0026】
【数2】

ただし、各記号の意味は以下のとおりである。
ox:ゲート容量
Vg:ゲート電圧
FB:フラットバンド電圧
i0:空乏層i(i=1〜5)の実効不純物濃度
φsi0:領域6i(i=1〜5)の表面ポテンシャル
Vb:基板電圧
β:kT(k:ボルツマン定数、T:トランジスタの動作温度(絶対温度))
:真性半導体のキャリア密度
Vf:擬フェルミ準位
なお、素子特性計算部12は、ステップS3、及び本計算における上記各記号の示す数値を、MOSトランジスタ50の製造条件に関する情報に基づいて、条件データベース21を参照して読み出して使用する。
【0027】
その後、素子特性計算部12は、領域61〜65の表面ポテンシャルφs10〜φs50を、ソース領域55の端部からドレイン領域53の端部まで、滑らかな曲線でつないだ表面ポテンシャルφs(チャネル領域内の位置の関数)を算出する。チャネル領域54内の複数の表面ポテンシャルφs10〜φs50を滑らかな曲線でつなぐ方法は、Pangに記載の方法を用いることができる。
【0028】
続いて、素子特性計算部12は、得られた解の表面ポテンシャルφs用いてトランジスタの電気特性(例示:ゲート容量Cgg−ゲート電圧Vg特性、及び、閾値電圧Vth−基板電圧Vb特性(又はドレイン電流Id−基板電圧Vb特性))を計算する(ステップS4)。表面ポテンシャルφsからトランジスタの電気特性を計算する方法については、上記Pang(非特許文献1)に記載の方法や上記Miura(非特許文献2)に記載の方法を用いることができる。なお、素子特性計算部12は、本ステップS4における上記各記号の示す数値を、MOSトランジスタ50の製造条件に関する情報に基づいて、条件データベース21を参照して読み出して使用する。
【0029】
次に、判定部13は、得られたトランジスタの電気特性の計算値と実際のトランジスタの電気特性の測定値とを比較する(ステップS5)。ただし、判定部13は、本ステップS5における実際のトランジスタの電気特性の測定値を、MOSトランジスタ50のトランジスタの製造条件に関する情報に基づいて、素子特性データベース22を参照して読み出して使用する。
【0030】
ここで、トランジスタの電気特性の計算値と測定値とが一致しない場合(ステップS5:No)、判定部13は、処理をステップS1へ戻す。そして、ユーザの入力に基づいて、モデルパラメータ設定部11は、上記の所定の条件を満たしながら電気特性の計算値と測定値とが一致するように、前回選択したモデルパラメータを調整して新たなモデルパラメータを設定する(ステップS1)。以下、同様にステップS2〜S4を実行する。このように、トランジスタの電気特性の計算値と測定値とが一致する(ステップS5:Yes)まで、モデルパラメータを調整しながらステップS1〜S4を繰り返す。
【0031】
トランジスタの電気特性の計算値と測定値とが一致した場合(ステップS5:Yes)、判定部13は、モデルパラメータを実際のトランジスタのチャネル不純物濃度分布を示すモデルパラメータと設定する。そして、判定部13は、モデルパラメータを、MOSトランジスタ50のトランジスタの製造条件に関する情報に関連付けて、モデルパラメータデータベース23に格納する(ステップS6)。なお、一致に関しては、誤差を考慮して、例えば、両者の差が所定の範囲(例示:±5%)に収まることとする。
【0032】
以上の半導体装置の解析方法により、チャネル不純物濃度分布を適切に表現可能なモデルパラメータを精密に算出することができる。それにより、チャネル不純物濃度の二次元分布や表面ポテンシャルを的確に再現することが出来る。
【0033】
上記半導体装置の解析方法では、一つのMOSトランジスタ50のトランジスタの製造条件に関する情報に対して、一組のモデルパラメータ(チャネル不純物濃度分布)を算出している。このようなモデルパラメータの算出(上記ステップS1〜S6)を、更に、回路設計において想定し得る種々の製造方法及び構成(寸法を含む)ごとに実行する。それにより、モデルパラメータデータベース23には、回路設計において想定し得る種々のトランジスタに関するモデルパラメータを記憶することが出来る。
【0034】
本発明により、MOSトランジスタにおいて、実際のトランジスタの電気特性に対応したモデルパラメータ(チャネル不純物濃度分布)をより精密に設定することが可能となる。そのようなモデルパラメータを用いたチャネル不純物濃度分布は、表面ポテンシャルを正確に計算可能なため、それを用いて算出されるトランジスタの電気特性を高精度に再現することが可能となる。その結果、より誤差の少ない半導体素子の解析や半導体回路の設計が可能となる。なお、上記実施の形態ではチャネル領域の分割数が5の場合を示しているが、本発明はこの例に限定されるものではない。
【0035】
次に、半導体装置の設計方法(トランジスタの電気特性の算出及び回路設計を含む)について説明する。
図8は、本発明の実施の形態に係る情報処理装置の動作を示すフロー図である。この情報処理装置1の動作は、半導体装置の設計方法として機能する。
【0036】
まず、素子特性計算部12は、外部入力された対象となるMOSトランジスタの製造方法や構成(寸法を含む)に基づいて、モデルパラメータデータベース23を参照して、適切なモデルパラメータを抽出する(ステップS11)。外部入力は、ユーザ入力や設計に関するデータからの抽出に例示される。
【0037】
次に、素子特性計算部12は、トランジスタの製造条件(寸法を含む)に関する情報に基づいて、条件データベース21を参照して、トランジスタの動作条件に関する情報を読み出す。そして、読み出した情報(バイアス条件、温度)及び設定されたモデルパラメータに基づいて、領域61〜65の各々について、空乏層幅W1、W2、W3、W2、W1を計算する。
計算方法は、まず、不純物濃度N1〜N5を用いて、ポアソン方程式(上記式(2))を解き、表面ポテンシャルφs1iを算出する。ただし、ここでは、式(2)において、Ni0(i=1〜5)を設定値であるN1〜N5に置き換えている。また、ステップS13での空乏層の調整を行わない。次に、得られた表面ポテンシャルφs1i、及び、不純物濃度N1〜N5を用いて、上記(1)式を解き、空乏層幅W1、W2、W3、W2、W1を算出する。
それにより、素子特性計算部12は、領域61〜65において空乏層1(空乏層幅W1)〜空乏層5(空乏層幅W1)をそれぞれ決定する(ステップS12)。
【0038】
次に、素子特性計算部12は、ソース領域及び55及びドレイン領域53の影響により実効的なチャネル不純物濃度が減少する効果を取り込むために、ステップS12で求めた空乏層を調整する。そして、素子特性計算部12は、空乏層1〜5(領域61〜65)について実効不純物濃度N10〜N50を算出する(ステップS13)。
【0039】
続いて、素子特性計算部12は、各領域61〜65において、実効不純物濃度N10〜N50を用いて、ポアソン方程式(上記の式(2))を表面ポテンシャルφsについて解き、表面ポテンシャルφsの解φs10〜φs50を得る。そして、得られた表面ポテンシャルφs10〜φs50を滑らかな曲線でつなぎ、チャネル領域54全域での表面ポテンシャルφs(チャネル領域内の位置の関数)を算出する。その後、得られた解の表面ポテンシャルφs用いてトランジスタの電気特性(例示:ゲート容量Cgg−ゲート電圧Vg特性、及び、閾値電圧Vth−基板電圧Vb特性(又はドレイン電流Id−基板電圧Vb特性))を計算する(ステップS14)。表面ポテンシャルφsからトランジスタの電気特性を計算する方法については、上記Pang(非特許文献1)に記載の方法や上記Miura(非特許文献2)に記載の方法を用いることができる。なお、素子特性計算部12は、本ステップS13,S14における各数値を、MOSトランジスタ50の製造条件に関する情報に基づいて、条件データベース21を参照して読み出して使用する。
【0040】
素子特性計算部12は、得られたトランジスタの電気特性に関する情報を、トランジスタの製造条件(寸法を含む)に関する情報に関連付けて、基本論理ゲートや論理回路ブロック、セルなどをまとめたライブラリの一部として回路設計データベース24に格納する。
【0041】
次に、回路設計部14は、対象となるトランジスタの製造方法や構成(寸法を含む)に基づいて、回路設計データベース24を参照して、適切なトランジスタの電気特性、及びその他の回路設計に必要な情報を読み出し、そのトランジスタを用いた回路の設計を実行する(ステップS15)。回路の設計は、例えば、アーキテクチャ設計、論理回路設計及びトランジスタ回路設計(基本回路設計)のような論理設計や、フロアプランニング/配置・配線及びレイアウト検証のようなレイアウト設計に例示される。
【0042】
以上の半導体装置の解析方法及び半導体回路の設計方法では、より精密に求められたチャネル不純物濃度分布(モデルパラメータ)を用いてより精密な表面ポテンシャルφsを算出し、それらを用いることでより精密なトランジスタの電気特性を算出することが可能となる。そして、算出されたより精密な電気特性を用いることで、より誤差の少ない半導体回路の設計が可能となる。
【0043】
本発明により、MOSトランジスタにおいて、モデルパラメータを用いてチャネル不純物濃度分布をより精密に設定することができる。また、より精密に設定されたチャネル不純物濃度分布に応じて表面ポテンシャルを正確に計算可能なため、それを用いて算出されるトランジスタの電気特性を高精度に再現することが可能となる。その結果、より誤差の少ない半導体回路の設計が可能となる。
【0044】
本発明のプログラム、データ構造は、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記録され、その記憶媒体から情報処理装置1に読み込まれても良い。
【0045】
本発明は上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1はPangに記載のMOSトランジスタのモデル構成を示す断面図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態に係る情報処理装置の動作を示すフロー図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態に係るMOSトランジスタのモデル構成を示す断面図である。
【図5】図5はチャネル領域の分割の一例における各領域の幅及び不純物濃度を示すグラフである。
【図6】図6は図5の設定のMOSトランジスタのチャネル領域を拡大した断面図である。
【図7】図7は図6のチャネル領域の空乏層の調整を示す断面図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態に係る情報処理装置の動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0047】
1 情報処理装置
2 処理部
3 データベース
11 モデルパラメータ設定部
12 素子特性計算部
13 判定部
14 回路設計部
21 条件データベース
22 素子特性データベース
23 モデルパラメータデータベース
24 回路設計データベース
50 MOSトランジスタ
51 ゲート電極
52 ゲート酸化膜
53 ドレイン領域
54 チャネル領域
55 ソース領域
61、62、63、64、65 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタの構成を示す構成情報と前記トランジスタの電気特性の測定値とを関連付けて格納する記憶部と、
第1トランジスタのチャネル領域を複数の領域に分割し、前記複数の領域における不純物濃度をパラメータとして設定するパラメータ設定部と、
前記パラメータに基づいて、前記チャネル領域の両端における所定の領域での不純物濃度を減少させた前記複数の領域の実効不純物濃度を算出し、前記実効不純物濃度を用いた前記ポアソン方程式を解くことにより表面ポテンシャルを計算し、前記表面ポテンシャルを用いて前記第1トランジスタの電気特性の第1計算値を求める素子特性計算部と、
前記第1トランジスタの構成を示す第1構成情報に基づいて、前記記憶部を参照して、前記第1構成情報に対応する前記測定値を読み出し、前記測定値と前記第1計算値とが一致する場合、当該パラメータを前記第1トランジスタの前記パラメータと判定し、前記記憶部に前記構成情報と関連付けて格納する判定部とを具備し、
前記パラメータ設定部と前記素子特性計算部とは、前記第1計算値と前記測定値とが一致するまで動作を実行する
半導体装置の解析及び設計装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の解析及び設計装置において、
前記素子特性計算部は、前記複数の領域の各々について、
前記パラメータを用いて空乏層幅を算出し、
前記パラメータと前記空乏層幅とに基づいて、前記不純物濃度のうち、前記チャネル領域の両端における所定の領域での不純物濃度を減少させて実効不純物濃度を算出する
半導体装置の解析及び設計装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置の解析及び設計装置において、
前記所定の領域は、前記チャネル領域の端部を底辺とし、前記チャネル領域内部に直角部分を有する直角二等辺三角形の形状である
半導体装置の解析及び設計装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置の解析及び設計装置において、
前記素子特性計算部は、第2トランジスタの構成を示す第2構成情報に基づいて、前記記憶部を参照して、前記第2構成情報に対応したチャネル領域の複数の領域におけるパラメータを読み出し、前記パラメータに基づいて、前記チャネル領域の両端における所定の領域での不純物濃度を減少させた前記複数の領域の実効不純物濃度を算出し、前記実効不純物濃度を用いた前記ポアソン方程式を解くことにより表面ポテンシャルを計算し、前記表面ポテンシャルを用いて前記第2トランジスタの電気特性の第2計算値を求め、
前記半導体装置の解析及び設計装置は、前記第2計算値に基づいて、前記第2トランジスタを用いた回路の設計を行う回路設計部を更に具備する
半導体装置の解析及び設計装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置の解析及び設計装置において、
前記所定の領域は、前記チャネル領域の端部を底辺とし、前記チャネル領域内部に直角部分を有する直角二等辺三角形の形状である
半導体装置の解析及び設計装置。
【請求項6】
第1トランジスタのチャネル領域を複数の領域に分割し、前記複数の領域における不純物濃度をパラメータとして設定するステップと、
前記パラメータに基づいて、前記チャネル領域の両端における所定の領域での不純物濃度を減少させた前記複数の領域の実効不純物濃度を算出し、前記実効不純物濃度を用いた前記ポアソン方程式を解くことにより表面ポテンシャルを計算し、前記表面ポテンシャルを用いて前記第1トランジスタの電気特性の第1計算値を求めるステップと、
前記第1トランジスタの構成を示す第1構成情報に基づいて、トランジスタの構成を示す構成情報と前記トランジスタの電気特性の測定値とを関連付けて格納する記憶部を参照して、前記第1構成情報に対応する前記測定値を読み出し、前記測定値と前記第1計算値とが一致する場合、当該パラメータを前記第1トランジスタの前記パラメータと判定し、前記記憶部に前記構成情報と関連付けて格納するステップとを具備し、
前記パラメータを設定するステップと前記第1計算値を求めるステップとは、前記第1計算値と前記測定値とが一致するまで動作を実行される
半導体装置の解析及び設計方法。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置の解析及び設計方法において、
第2トランジスタの構成を示す第2構成情報に基づいて、前記記憶部を参照して、前記第2構成情報に対応したチャネル領域の複数の領域におけるパラメータを読み出すステップと、
前記パラメータに基づいて、前記チャネル領域の両端における所定の領域での不純物濃度を減少させた前記複数の領域の実効不純物濃度を算出するステップと、
前記実効不純物濃度を用いた前記ポアソン方程式を解くことにより表面ポテンシャルを計算し、前記表面ポテンシャルを用いて前記第2トランジスタの電気特性の第2計算値を求めるステップと、
前記第2計算値に基づいて、前記第2トランジスタを用いた回路の設計を行うステップとを更に具備する
半導体装置の解析及び設計方法。
【請求項8】
第1トランジスタのチャネル領域を複数の領域に分割し、前記複数の領域における不純物濃度をパラメータとして設定するステップと、
前記パラメータに基づいて、前記チャネル領域の両端における所定の領域での不純物濃度を減少させた前記複数の領域の実効不純物濃度を算出し、前記実効不純物濃度を用いた前記ポアソン方程式を解くことにより表面ポテンシャルを計算し、前記表面ポテンシャルを用いて前記第1トランジスタの電気特性の第1計算値を求めるステップと、
前記第1トランジスタの構成を示す第1構成情報に基づいて、トランジスタの構成を示す構成情報と前記トランジスタの電気特性の測定値とを関連付けて格納する記憶部を参照して、前記第1構成情報に対応する前記測定値を読み出し、前記測定値と前記第1計算値とが一致する場合、当該パラメータを前記第1トランジスタの前記パラメータと判定し、前記記憶部に前記構成情報と関連付けて格納するステップとを具備し、
前記パラメータを設定するステップと前記第1計算値を求めるステップとは、前記第1計算値と前記測定値とが一致するまで動作を実行される
半導体装置の解析及び設計方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムにおいて、
前記第1計算値を求めるステップは、前記複数の領域の各々について、
前記パラメータを用いて空乏層幅を算出するステップと、
前記パラメータと前記空乏層幅とに基づいて、前記不純物濃度のうち、前記チャネル領域の両端における所定の領域での不純物濃度を減少させて実効不純物濃度を算出するステップとを備える
プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムにおいて、
前記所定の領域は、前記チャネル領域の端部を底辺とし、前記チャネル領域内部に直角部分を有する直角二等辺三角形の形状である
プログラム。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
第2トランジスタの構成を示す第2構成情報に基づいて、前記記憶部を参照して、前記第2構成情報に対応したチャネル領域の複数の領域におけるパラメータを読み出すステップと、
前記パラメータに基づいて、前記チャネル領域の両端における所定の領域での不純物濃度を減少させた前記複数の領域の実効不純物濃度を算出するステップと、
前記実効不純物濃度を用いた前記ポアソン方程式を解くことにより表面ポテンシャルを計算し、前記表面ポテンシャルを用いて前記第2トランジスタの電気特性の第2計算値を求めるステップと、
前記第2計算値に基づいて、前記第2トランジスタを用いた回路の設計を行うステップとを更に具備する
プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記所定の領域は、前記チャネル領域の端部を底辺とし、前記チャネル領域内部に直角部分を有する直角二等辺三角形の形状である
プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−3770(P2010−3770A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159702(P2008−159702)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 「次世代半導体材料・プロセス基盤(MIRAI)プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】