半導体装置
【課題】1つのチップで複数種類のパッケージに容易に組み立て可能にする。また、ボンディングの際、配線の修正を必要とせず、拡散工程の工数を増やすことなく対応する。
【解決手段】2つのパッドで1つのI/Oバッファを共有し、パッケージによりボンディングするパッドを使い分ける。すなわち、本発明の半導体装置は、第1の辺と第2の辺とが角部(コーナー)を形成する矩形のチップ(10)上において、前記第1の辺に沿って設けられた複数のパッド(1)のうち前記角部の近傍に設けられた第1のパッド(1−1)と、前記第2の辺に沿って設けられた複数のパッド(2)のうち前記角部の近傍に設けられた第2のパッド(2−1)と、前記第1のパッド(1−1)及び前記第2のパッド(2−1)の両方に接続された1つのバッファ(3−1)とを具備する。
【解決手段】2つのパッドで1つのI/Oバッファを共有し、パッケージによりボンディングするパッドを使い分ける。すなわち、本発明の半導体装置は、第1の辺と第2の辺とが角部(コーナー)を形成する矩形のチップ(10)上において、前記第1の辺に沿って設けられた複数のパッド(1)のうち前記角部の近傍に設けられた第1のパッド(1−1)と、前記第2の辺に沿って設けられた複数のパッド(2)のうち前記角部の近傍に設けられた第2のパッド(2−1)と、前記第1のパッド(1−1)及び前記第2のパッド(2−1)の両方に接続された1つのバッファ(3−1)とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に2つのパッドで1つのバッファを共有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の様々な機能は、複雑な工程を経て半導体チップ(以下、「チップ」という)上に作り込まれた集積回路が実現している。しかし、チップは非常に繊細なため、そのままの状態で利用すると、塵や水分の影響で動作しなくなる場合や、光や磁気の影響で誤動作する場合がある。こうしたトラブルを防止するため、通常はチップをパッケージで保護する。更に現在では、パッケージは、単に「保護」という役割を超え、最新の高機能製品に必須の技術となり、顧客がチップの採用を決定する上での重要な判断要素にもなっている。
【0003】
現在、半導体装置の製造開発の現場では多様な種類のパッケージが存在する。通常、半導体装置は、パッケージに組み立てた状態で顧客に提供される。顧客が設計する製品(セット)によって必要とされているパッケージの種類は様々であるため、より豊富な種類のピン数やパッケージを用意できれば、それだけ商機も増える。
【0004】
また、より少ないチップで、より多くのパッケージに組むことが可能になれば、チップの開発回数を少なくし、低コストで多くの種類の製品が展開できる。
更に、最近、顧客の要請として、既に顧客が設計している電子装置、例えば回路基板のレイアウトに適合した製品を短期間に供給してほしいというニーズが多くなっている。このような場合、他の顧客用のチップが当該顧客の所望する機能を有するのであれば、それを流用するのが製造者として最も効率的である。
【0005】
また、チップを購入して、それをパッケージに組み立てる顧客、すなわち、半導体装置を製造している顧客も存在する。このような場合にも、様々なパッケージに利用可能な汎用性の高いチップが求められる。
【0006】
また、パッケージングの際、チップ上にあるボンディングパッド(以下、「パッド」という)と、パッケージ上の導体部(リード端子)とをどのようにボンディングするかについても、顧客毎に異なる場合がある。例えば、100ピンのチップを80ピンのパッケージに用いる場合や、パッケージの形状が縦長又は横長の矩形である場合、ボンディングされるパッドは各々異なる。
【0007】
図1に示すように、従来のチップでは、矩形のチップの辺縁部(エッジ)に沿って複数のパッドが配列されており、各々のパッドに対してI/Oバッファが1対1で接続されている。図1では、チップ10上で、チップ10の第1の辺に沿って設けられたパッド1(1−i、i=1〜n:nは任意)、第1の辺と角部(コーナー)を形成する第2の辺に沿って設けられたパッド2(2−i、i=1〜n)、パッド1と接続されたI/Oバッファ3(3−i、i=1〜n)、パッド2と接続されたI/Oバッファ4(4−i、i=1〜n)の配置を示す。図1の配置では、I/Oバッファ毎に機能(接続先の装置)が異なるため、どのパッドにボンディングするかで意味が変わってくる。従って、実際には、パッケージ上で第1の方向に配列された導体部のいくつかと、チップ上で第1の方向に直交する第2の方向に配列されたパッドのいくつかとをボンディングしなければならない場合もある。
【0008】
図2、図3に、従来のチップを用いたパッケージでのボンディング例を示す。
図2、図3では、図1のチップ10に加え、更に、パッケージ20上で、パッケージ20の第1の辺に沿って設けられた導体部5(5−i、i=1〜n)、第1の辺と角部(コーナー)を形成する第2の辺に沿って設けられた導体部6(6−i、i=1〜n)の配置を示す。なお、チップ10の第1の辺とパッケージ20の第1の辺とはチップ10を挟まずに平行であり、チップ10の第2の辺とパッケージ20の第2の辺とはチップ10を挟まずに平行である。
【0009】
図2では、パッケージ20の第1の辺に沿って設けられている導体部5−1と、チップ10の第2の辺に沿って設けられているパッド2−1とがボンディングされている。
上記の導体部5−1とパッド2−1以外は、パッケージ20の第1の辺に沿って設けられている導体部5と、チップ10の第1の辺に沿って設けられているパッド1とがボンディングされ、パッケージ20の第2の辺に沿って設けられている導体部6と、チップ10の第2の辺に沿って設けられているパッド2とがボンディングされている。この場合、特に問題は発生しないため、図2のようなボンディングは許容されている。
【0010】
しかし、図3では、パッケージ20の第2の辺に沿って設けられている導体部6−1と、チップ10の第1の辺に沿って設けられているパッド1−2とがボンディングされ、パッケージ20の第2の辺に沿って設けられている導体部6−2と、チップ10の第1の辺に沿って設けられているパッド1−1とがボンディングされている。
この場合、導体部6−1とパッド1−2を接続するボンディングワイヤ(金細線)と、導体部6−2とパッド1−1を接続するボンディングワイヤとが非常に接近しているため、短絡(ショート)の危険がある。従って、このようなボンディングは避ける必要がある。
【0011】
図4A、図4Bに、図3のようなボンディングを避けるための従来技術を示す。
図4Aでは、図3に示すようなボンディングをしなければならない場合、パッド2−1にパッド1−1と同じ機能を持たせるため、物理的に配線を修正する工程により、I/Oバッファ3−1をパッド2−1に接続する。そして、導体部6−2とパッド2−1とをボンディングさせるようにしている。なお、この場合、導体部6−3以降とパッド2−2以降とがボンディングされる。これにより、ボンディングワイヤ同士の接近を回避しつつ、図3の構成と同じ機能を実現している。
【0012】
図4Bでは、図3とは対照的に、例えば、導体部5−1とパッド2−2とがボンディングされ、導体部5−2とパッド2−1とがボンディングされることにより、パッド2−1にボンディングされているボンディングワイヤと、パッド2−2にボンディングされているボンディングワイヤに短絡(ショート)の危険がある場合の対応について示す。この場合、パッド2−1にパッド1−1と同じ機能を持たせるため、物理的に配線を修正する工程により、I/Oバッファ3−1をパッド1−1に接続する。そして、導体部5−2とパッド1−1とをボンディングさせるようにしている。これにより、図4Aの場合と同様、ボンディングワイヤ同士の接近を回避しつつ、図3の構成と同じ機能を実現している。
【0013】
上記の従来技術により一応はボンディングワイヤの接近による短絡(ショート)の危険を回避することができる。しかし、この従来技術では、ボンディングの際にパッドとI/Oバッファの間の配線を、拡散工程に戻って物理的に修正する必要があり、非常に手間がかかる。
【0014】
関連する技術として、特開昭61−134030号公報に半導体集積回路装置が開示されている。
この従来技術は、パッケージの導体部に電気的に接続するための電極部を半導体チップ上に配列した半導体集積回路装置において、前記電極部のうち、半導体チップのコーナー部近傍に配置された電極部を、パッケージの種類によって異なる信号用の導体部に接続したことを特徴とする。
【0015】
また、特開昭61−032436号公報に半導体装置が開示されている。
この従来技術は、複数の導体部と半導体べレットに形成された複数のボンディングパッド部及び入出力回路部とを各々電気的に接続して成る半導体装置において、ボンディングパッド部の数を入出力回路部の数よりも多くして、設計変更に応じて任意のボンディングパッド部を選択し得るように構成し、かつ、選択したボンディングパッド部と入出力回路部とを電気的に接続して成ることを特徴とする。
【0016】
【特許文献1】特開昭61−134030号公報
【特許文献2】特開昭61−032436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
様々なパッケージで利用可能なチップほど需要が大きいため、1つのチップで複数のパッケージに組み立てることを可能にすることが求められる。この時、例えば、図3に示すように導体部6とパッド1を接続するボンディングワイヤが2本以上になることを防止する。このようなボンディングワイヤが2本以上になるとボンディングワイヤ同士が接近し短絡(ショート)の危険があるためである。また、ボンディングワイヤ同士の接近を防止するためにチップ上の配線を修正するのは非常に手間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。但し、それらの番号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0019】
第1の辺と第2の辺とが角部を形成する矩形のチップ(10)上において、
前記第1の辺に沿って設けられた複数のパッド(1)のうち前記角部の近傍に設けられた第1のパッド(1−1)と、
前記第2の辺に沿って設けられた複数のパッド(2)のうち前記角部の近傍に設けられた第2のパッド(2−1)と、
前記第1のパッド(1−1)及び前記第2のパッド(2−1)の両方に接続された1つのバッファ(3−1)と
を具備する
半導体装置。
【0020】
半導体装置に搭載するチップを、このようなチップ構成とすることにより、チップの汎用性が向上し、チップを顧客から要求された時に、修正や改良を加えることなく、すぐに提供できるようになる。
【発明の効果】
【0021】
チップ上の配線を修正することなくボンディングの際のパッドの選択の自由度を高め、ボンディングワイヤの接近による短絡(ショート)を回避し、チップの汎用性を高める。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の第1実施形態について添付図面を参照して説明する。
図5に示すように、本発明のチップ10は、パッド1(1−i、i=1〜n:nは任意)と、パッド2(2−i、i=1〜n)と、I/Oバッファ3(3−i、i=1〜n)と、I/Oバッファ4(4−i、i=1〜n)を具備する。
基本的な構成として、パッド1は、第1の方向に配列されている。パッド2は、第1の方向と交差する第2の方向に配列されている。交差とは、例えば直交を示す。但し、実際には、直交に限らない。I/Oバッファ3は、パッド1と配線で接続されている。I/Oバッファ4は、パッド2と配線で接続されている。図5では、例として、パッド1は、チップ10の第1の辺に沿って設けられ、パッド2は、第1の辺と角部(コーナー)を形成するチップ10の第2の辺に沿って設けられている。辺に沿って設けられている状態とは、例えば平行、すなわち同一方向に配置されている状態を示す。但し、実際には、完全な平行でなくとも、ほぼ同一方向であれば良い。すなわち、パッドの配列は、辺に対して多少の角度がついていても良い。
【0023】
なお、配線としては、アルミニウムや銅あるいはそれらを主成分とする合金といった金属導体を用いる。また、これら金属導体とバリアメタルを積層した積層配線を用いても良い。
【0024】
本発明のチップ10は、上記の構成において、角部近傍のパッド1−1とパッド2−1が1つのI/Oバッファ3−1に同時に接続されていることを特徴とする。なお、チップ10は矩形であり、チップ10の全ての角部で同じ構成とする。但し、実際には、チップ10の一部の角部のみこのような構成としても良い。
【0025】
図6、図7に、本発明のチップを用いたパッケージでのボンディング例を示す。
図6、図7に示すように、本発明のチップ10は、パッケージ20でパッケージングされる。パッケージ20は、実装基板100に実装される。
パッケージ20は、導体部5(5−i、i=1〜n)と、導体部6(6−i、i=1〜n)を備える。ここでは、導体部5,6は、リードフレームを形成するリード端子を示す。
【0026】
導体部5は、第1の方向に配列されている。導体部6は、第1の方向と交差する第2の方向に配列されている。第1の方向及び第2の方向は、チップ10の場合と同様である。
図6、図7では、例として、導体部5(5−i、i=1〜n)は、パッケージ20の第1の辺に沿って設けられている。導体部6(6−i、i=1〜n)は、第1の辺と角部(コーナー)を形成する第2の辺に沿って設けられる。なお、チップ10の第1の辺とパッケージ20の第1の辺とはチップ10を挟まずに平行であり、チップ10の第2の辺とパッケージ20の第2の辺とはチップ10を挟まずに平行である。但し、実際には、完全な平行でなくとも、ほぼ同一方向であれば良い。すなわち、互いに対面するチップ10の辺とパッケージ20の辺とは、多少の角度がついていても良い。
【0027】
図6では、パッケージ20の第1の辺に沿って設けられている導体部5−1と、チップ10の第2の辺に沿って設けられているパッド2−2とがボンディングされている。
この時、導体部5−2とパッド2−1とがボンディングされると、導体部5−1とパッド2−2を接続するボンディングワイヤと、導体部5−2とパッド2−1を接続するボンディングワイヤとが非常に接近することになるため、短絡(ショート)の危険がある。
しかし、本願発明のチップ10では、パッド1−1とパッド2−1とが1つのI/Oバッファ3−1に同時に接続されているため、パッド1−1とパッド2−1は、どちらも同じ機能を持っている。従って、導体部5−2とパッド1−1とがボンディングされると、導体部5−2とパッド2−1とがボンディングされたのと同じ状態になる。よって、図6では、導体部5−2と、チップ10の第1の辺に沿って設けられているパッド1−1とがボンディングされている。
なお、他の導体部やパッドについては、パッケージ20の第1の辺に沿って設けられている導体部5と、チップ10の第1の辺に沿って設けられているパッド1とがボンディングされ、パッケージ20の第2の辺に沿って設けられている導体部6と、チップ10の第2の辺に沿って設けられているパッド2とがボンディングされている。
【0028】
図7では、パッケージ20の第2の辺に沿って設けられている導体部6−1と、チップ10の第1の辺に沿って設けられているパッド1−2とがボンディングされている。
この時、導体部6−2とパッド1−1とがボンディングされると、導体部6−1とパッド1−2を接続するボンディングワイヤと、導体部6−2とパッド1−1を接続するボンディングワイヤとが非常に接近することになるため、短絡(ショート)の危険がある。
しかし、本願発明のチップ10では、パッド1−1とパッド2−1とが1つのI/Oバッファ3−1に同時に接続されているため、パッド1−1とパッド2−1は、どちらも同じ機能を持っている。従って、導体部6−2とパッド2−1とがボンディングされると、導体部6−2とパッド1−1とがボンディングされたのと同じ状態になる。よって、図6では、導体部6−2と、チップ10の第2の辺に沿って設けられているパッド2−1とがボンディングされている。
なお、他の導体部やパッドについては、パッケージ20の第1の辺に沿って設けられている導体部5と、チップ10の第1の辺に沿って設けられているパッド1とがボンディングされ、パッケージ20の第2の辺に沿って設けられている導体部6と、チップ10の第2の辺に沿って設けられているパッド2とがボンディングされている。
【0029】
このように、本発明では、角部近傍のパッド1−1とパッド2−1が1つのI/Oバッファ3−1に同時に接続されていることにより、図6に示すように、パッケージ20の第1の辺に沿って設けられた導体部5と、チップ10の第2の辺に沿って設けられたパッド2を接続するボンディングワイヤが2本以上になることを防止する。また、図7に示すように、パッケージ20の第2の辺に沿って設けられた導体部6と、チップ10の第1の辺に沿って設けられたパッド1を接続するボンディングワイヤが2本以上になることを防止する。このようなボンディングワイヤが2本以上になると、ボンディングワイヤ同士が非常に接近する場合があり、短絡(ショート)の危険があるからである。なお、実際には、ボンディングワイヤの場合に限定されるものではなく、半田ボールを始めとする突起構造(バンプ)の場合についても同じことが言える。
【0030】
また、ボンディングワイヤ同士を接近させずにボンディングすることが可能になるため、ボンディングの自由度が向上し、様々なパッケージに用いられる機会が増大する。従って、パッドやI/Oバッファを本発明のチップ10のように配置することで、汎用性を向上させることが可能になる。
【0031】
更に、予め、角部(コーナー)近傍のパッド1−1とパッド2−1を1つのI/Oバッファ3−1に接続しておくことで、ボンディングのたびにパッドとI/Oバッファを接続する配線を繋ぎかえる工程が不要となるため、当該工程に要する作業時間や労力が不要となり、チップの利便性が向上する。
【0032】
図8を参照して、本発明のパッケージにおけるチップ配置とボンディングされるパッドの関係について説明する。ここでは、例としてチップ10及びパッケージ20は矩形であるものとする。
図8に示すように、パッケージ20の第1の辺の長さを「A」、第1の辺と交差する第2の辺の長さを「B」とする。また、パッケージ20の内部にあるチップ10の第1の辺の長さを「a」、第1の辺と交差する第2の辺の長さを「b」とする。また、パッケージ20の4辺とチップ10との距離をそれぞれ「c」「d」「e」「f」とする。なお、「c」「d」はそれぞれ、パッケージ20の第2の辺とチップ10との距離、第2の辺と対面する辺とチップ10との距離を示し、「e」「f」それぞれ、パッケージ20の第1の辺とチップ10との距離、第1の辺と対面する辺とチップ10との距離を示す。なお、「A」「B」「a」「b」「c」「d」「e」「f」は、長さを示す任意の数値である。
【0033】
図8において、例えば、チップ10とパッケージ20の第1の辺の長さの倍率「A/a」の値と、チップ10とパッケージ20の第2の辺の長さの倍率「B/b」の値とを比較し、「A/a」の値が「B/b」の値よりも大きい場合、導体部5とパッド1とのボンディングを優先し、パッド2−1ではなくパッド1−1を使用する。すなわち、導体部5−1がパッド2−2とボンディングされている場合、導体部5−2はパッド1−1とボンディングされる。逆に、「B/b」の値が「A/a」の値よりも大きい場合、導体部6とパッド2とのボンディングを優先し、パッド1−1ではなくパッド2−1を使用する。すなわち、導体部6−1がパッド1−2とボンディングされている場合、導体部6−2はパッド2−1とボンディングされる。
【0034】
あるいは、「c」の値と「e」の値を比較し、「e」の値の方が小さい場合、導体部5とパッド1とのボンディングを優先し、パッド2−1ではなくパッド1−1を使用する。例えば、導体部5−1がパッド2−2とボンディングされている場合、導体部5−2はパッド1−1とボンディングされるようにする。
逆に、「c」の値と「e」の値を比較し、「c」の値の方が小さい場合、導体部6とパッド2とのボンディングを優先し、パッド1−1ではなくパッド2−1を使用する。例えば、導体部6−1がパッド1−2とボンディングされている場合、導体部6−2はパッド2−1とボンディングされるようにする。
【0035】
他には、「c+d」の値と「e+f」の値を比較し、「e+f」の値の方が小さい場合、導体部5とパッド1とのボンディングを優先し、パッド2−1ではなくパッド1−1を使用するようにしても良い。例えば、導体部5−1がパッド2−2とボンディングされている場合、導体部5−2はパッド1−1とボンディングされるようにする。
逆に、「c+d」の値と「e+f」の値を比較し、「c+d」の値の方が小さい場合、導体部6とパッド2とのボンディングを優先し、パッド1−1ではなくパッド2−1を使用するようにしても良い。例えば、導体部6−1がパッド1−2とボンディングされている場合、導体部6−2はパッド2−1とボンディングされるようにする。
【0036】
以上のように、本発明のチップ10は、第1の辺と第2の辺とが角部を形成する矩形のチップであり、第1の辺に沿って配列された複数のパッド1のうち角部の近傍に設けられた第1のパッド1−1と、第2の辺に沿って配列された複数のパッド2のうち角部の近傍に設けられた第2のパッド2−1と、第1のパッド1−1及び第2のパッド2−1の両方に接続された1つのバッファ3−1とを備える(図5参照)。
【0037】
また、本発明のパッケージ20は、チップ10の外側で第1の辺と同一方向に配列された複数の導体部5のうち角部の近傍に設けられた第1の導体部5−1と、複数の導体部5のうち第1の導体部5−1の隣に設けられた第2の導体部5−2とを更に具備する。第1の導体部5−1が、第2の辺に沿って配列された複数のパッドのうち第2のパッド2−1の隣に設けられた第3のパッド2−2とボンディングされている場合、第2の導体部5−2は、第1のパッド1−1とボンディングされている(図6参照)。
なお、ワイヤボンディングの場合、本発明のパッケージ20は、第3のパッド2−2と第1の導体部5−1とを接続する第1のボンディングワイヤと、第1のパッド1−1と第2の導体部5−2とを接続する第2のボンディングワイヤとを更に備える。
【0038】
また、本発明の他のパッケージ20は、チップの外側で第2の辺と同一方向に配列された複数の導体部6のうち角部の近傍に設けられた第3の導体部6−1と、複数の導体部6のうち第3の導体部6−1の隣に設けられた第4の導体部6−2とを更に具備する。第3の導体部6−1が、第1の辺に沿って配列された複数のパッドのうち第1のパッド1−1の隣に設けられた第4のパッド1−2とボンディングされている場合、第4の導体部6−2は、第2のパッド2−1とボンディングされている(図7参照)。
なお、ワイヤボンディングの場合、本発明の他のパッケージ20は、第4のパッド1−2と第3の導体部6−1とを接続する第3のボンディングワイヤと、第2のパッド2−1と第4の導体部6−2とを接続する第4のボンディングワイヤとを更に備える。
【0039】
ここで、チップ10の第1の辺の長さをaとし、チップ10の第2の辺の長さをbとし、チップ10の第1の辺と平行なパッケージ20の1辺の長さをAとし、チップ10の第2の辺と平行なパッケージ20の1辺の長さをBとする。
本発明では、A/aの値がB/bの値よりも大きければ、前記第1の導体部5−1と前記第3のパッド2−2とがボンディングされ、前記第2の導体部5−2と前記第1のパッド1−1とがボンディングされている。
また、本発明では、B/bの値がA/aの値よりも大きければ、前記第3の導体部6−1と前記第4のパッド1−2とがボンディングされ、前記第4の導体部6−2と前記第2のパッド2−1とがボンディングされている。
【0040】
このようなチップ構成とすることにより、チップの汎用性が向上し、チップを顧客から要求された時に、修正や改良を加えることなく、すぐに提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、従来のチップの角部近傍を示す第1の構成図である。
【図2】図2は、従来のパッケージの角部近傍を示す第1の構成図である。
【図3】図3は、従来のパッケージの角部近傍を示す第2の構成図である。
【図4A】図4Aは、従来のチップの角部近傍を示す第2の構成図(1)である。
【図4B】図4Bは、従来のチップの角部近傍を示す第2の構成図(2)である。
【図5】図5は、本発明のチップの角部近傍を示す構成図である。
【図6】図6は、本発明のパッケージの角部近傍を示す第1の構成図である。
【図7】図7は、本発明のパッケージの角部近傍を示す第2の構成図である。
【図8】図8は、パッケージ内のチップ配置とボンディングされるパッドとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1(−i、i=1〜n) ボンディングパッド
2(−i、i=1〜n) ボンディングパッド
3(−i、i=1〜n) I/Oバッファ
4(−i、i=1〜n) I/Oバッファ
5(−i、i=1〜n) 導体部(リード端子)
6(−i、i=1〜n) 導体部(リード端子)
10 チップ
20 パッケージ
100 実装基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に2つのパッドで1つのバッファを共有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の様々な機能は、複雑な工程を経て半導体チップ(以下、「チップ」という)上に作り込まれた集積回路が実現している。しかし、チップは非常に繊細なため、そのままの状態で利用すると、塵や水分の影響で動作しなくなる場合や、光や磁気の影響で誤動作する場合がある。こうしたトラブルを防止するため、通常はチップをパッケージで保護する。更に現在では、パッケージは、単に「保護」という役割を超え、最新の高機能製品に必須の技術となり、顧客がチップの採用を決定する上での重要な判断要素にもなっている。
【0003】
現在、半導体装置の製造開発の現場では多様な種類のパッケージが存在する。通常、半導体装置は、パッケージに組み立てた状態で顧客に提供される。顧客が設計する製品(セット)によって必要とされているパッケージの種類は様々であるため、より豊富な種類のピン数やパッケージを用意できれば、それだけ商機も増える。
【0004】
また、より少ないチップで、より多くのパッケージに組むことが可能になれば、チップの開発回数を少なくし、低コストで多くの種類の製品が展開できる。
更に、最近、顧客の要請として、既に顧客が設計している電子装置、例えば回路基板のレイアウトに適合した製品を短期間に供給してほしいというニーズが多くなっている。このような場合、他の顧客用のチップが当該顧客の所望する機能を有するのであれば、それを流用するのが製造者として最も効率的である。
【0005】
また、チップを購入して、それをパッケージに組み立てる顧客、すなわち、半導体装置を製造している顧客も存在する。このような場合にも、様々なパッケージに利用可能な汎用性の高いチップが求められる。
【0006】
また、パッケージングの際、チップ上にあるボンディングパッド(以下、「パッド」という)と、パッケージ上の導体部(リード端子)とをどのようにボンディングするかについても、顧客毎に異なる場合がある。例えば、100ピンのチップを80ピンのパッケージに用いる場合や、パッケージの形状が縦長又は横長の矩形である場合、ボンディングされるパッドは各々異なる。
【0007】
図1に示すように、従来のチップでは、矩形のチップの辺縁部(エッジ)に沿って複数のパッドが配列されており、各々のパッドに対してI/Oバッファが1対1で接続されている。図1では、チップ10上で、チップ10の第1の辺に沿って設けられたパッド1(1−i、i=1〜n:nは任意)、第1の辺と角部(コーナー)を形成する第2の辺に沿って設けられたパッド2(2−i、i=1〜n)、パッド1と接続されたI/Oバッファ3(3−i、i=1〜n)、パッド2と接続されたI/Oバッファ4(4−i、i=1〜n)の配置を示す。図1の配置では、I/Oバッファ毎に機能(接続先の装置)が異なるため、どのパッドにボンディングするかで意味が変わってくる。従って、実際には、パッケージ上で第1の方向に配列された導体部のいくつかと、チップ上で第1の方向に直交する第2の方向に配列されたパッドのいくつかとをボンディングしなければならない場合もある。
【0008】
図2、図3に、従来のチップを用いたパッケージでのボンディング例を示す。
図2、図3では、図1のチップ10に加え、更に、パッケージ20上で、パッケージ20の第1の辺に沿って設けられた導体部5(5−i、i=1〜n)、第1の辺と角部(コーナー)を形成する第2の辺に沿って設けられた導体部6(6−i、i=1〜n)の配置を示す。なお、チップ10の第1の辺とパッケージ20の第1の辺とはチップ10を挟まずに平行であり、チップ10の第2の辺とパッケージ20の第2の辺とはチップ10を挟まずに平行である。
【0009】
図2では、パッケージ20の第1の辺に沿って設けられている導体部5−1と、チップ10の第2の辺に沿って設けられているパッド2−1とがボンディングされている。
上記の導体部5−1とパッド2−1以外は、パッケージ20の第1の辺に沿って設けられている導体部5と、チップ10の第1の辺に沿って設けられているパッド1とがボンディングされ、パッケージ20の第2の辺に沿って設けられている導体部6と、チップ10の第2の辺に沿って設けられているパッド2とがボンディングされている。この場合、特に問題は発生しないため、図2のようなボンディングは許容されている。
【0010】
しかし、図3では、パッケージ20の第2の辺に沿って設けられている導体部6−1と、チップ10の第1の辺に沿って設けられているパッド1−2とがボンディングされ、パッケージ20の第2の辺に沿って設けられている導体部6−2と、チップ10の第1の辺に沿って設けられているパッド1−1とがボンディングされている。
この場合、導体部6−1とパッド1−2を接続するボンディングワイヤ(金細線)と、導体部6−2とパッド1−1を接続するボンディングワイヤとが非常に接近しているため、短絡(ショート)の危険がある。従って、このようなボンディングは避ける必要がある。
【0011】
図4A、図4Bに、図3のようなボンディングを避けるための従来技術を示す。
図4Aでは、図3に示すようなボンディングをしなければならない場合、パッド2−1にパッド1−1と同じ機能を持たせるため、物理的に配線を修正する工程により、I/Oバッファ3−1をパッド2−1に接続する。そして、導体部6−2とパッド2−1とをボンディングさせるようにしている。なお、この場合、導体部6−3以降とパッド2−2以降とがボンディングされる。これにより、ボンディングワイヤ同士の接近を回避しつつ、図3の構成と同じ機能を実現している。
【0012】
図4Bでは、図3とは対照的に、例えば、導体部5−1とパッド2−2とがボンディングされ、導体部5−2とパッド2−1とがボンディングされることにより、パッド2−1にボンディングされているボンディングワイヤと、パッド2−2にボンディングされているボンディングワイヤに短絡(ショート)の危険がある場合の対応について示す。この場合、パッド2−1にパッド1−1と同じ機能を持たせるため、物理的に配線を修正する工程により、I/Oバッファ3−1をパッド1−1に接続する。そして、導体部5−2とパッド1−1とをボンディングさせるようにしている。これにより、図4Aの場合と同様、ボンディングワイヤ同士の接近を回避しつつ、図3の構成と同じ機能を実現している。
【0013】
上記の従来技術により一応はボンディングワイヤの接近による短絡(ショート)の危険を回避することができる。しかし、この従来技術では、ボンディングの際にパッドとI/Oバッファの間の配線を、拡散工程に戻って物理的に修正する必要があり、非常に手間がかかる。
【0014】
関連する技術として、特開昭61−134030号公報に半導体集積回路装置が開示されている。
この従来技術は、パッケージの導体部に電気的に接続するための電極部を半導体チップ上に配列した半導体集積回路装置において、前記電極部のうち、半導体チップのコーナー部近傍に配置された電極部を、パッケージの種類によって異なる信号用の導体部に接続したことを特徴とする。
【0015】
また、特開昭61−032436号公報に半導体装置が開示されている。
この従来技術は、複数の導体部と半導体べレットに形成された複数のボンディングパッド部及び入出力回路部とを各々電気的に接続して成る半導体装置において、ボンディングパッド部の数を入出力回路部の数よりも多くして、設計変更に応じて任意のボンディングパッド部を選択し得るように構成し、かつ、選択したボンディングパッド部と入出力回路部とを電気的に接続して成ることを特徴とする。
【0016】
【特許文献1】特開昭61−134030号公報
【特許文献2】特開昭61−032436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
様々なパッケージで利用可能なチップほど需要が大きいため、1つのチップで複数のパッケージに組み立てることを可能にすることが求められる。この時、例えば、図3に示すように導体部6とパッド1を接続するボンディングワイヤが2本以上になることを防止する。このようなボンディングワイヤが2本以上になるとボンディングワイヤ同士が接近し短絡(ショート)の危険があるためである。また、ボンディングワイヤ同士の接近を防止するためにチップ上の配線を修正するのは非常に手間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。但し、それらの番号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0019】
第1の辺と第2の辺とが角部を形成する矩形のチップ(10)上において、
前記第1の辺に沿って設けられた複数のパッド(1)のうち前記角部の近傍に設けられた第1のパッド(1−1)と、
前記第2の辺に沿って設けられた複数のパッド(2)のうち前記角部の近傍に設けられた第2のパッド(2−1)と、
前記第1のパッド(1−1)及び前記第2のパッド(2−1)の両方に接続された1つのバッファ(3−1)と
を具備する
半導体装置。
【0020】
半導体装置に搭載するチップを、このようなチップ構成とすることにより、チップの汎用性が向上し、チップを顧客から要求された時に、修正や改良を加えることなく、すぐに提供できるようになる。
【発明の効果】
【0021】
チップ上の配線を修正することなくボンディングの際のパッドの選択の自由度を高め、ボンディングワイヤの接近による短絡(ショート)を回避し、チップの汎用性を高める。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の第1実施形態について添付図面を参照して説明する。
図5に示すように、本発明のチップ10は、パッド1(1−i、i=1〜n:nは任意)と、パッド2(2−i、i=1〜n)と、I/Oバッファ3(3−i、i=1〜n)と、I/Oバッファ4(4−i、i=1〜n)を具備する。
基本的な構成として、パッド1は、第1の方向に配列されている。パッド2は、第1の方向と交差する第2の方向に配列されている。交差とは、例えば直交を示す。但し、実際には、直交に限らない。I/Oバッファ3は、パッド1と配線で接続されている。I/Oバッファ4は、パッド2と配線で接続されている。図5では、例として、パッド1は、チップ10の第1の辺に沿って設けられ、パッド2は、第1の辺と角部(コーナー)を形成するチップ10の第2の辺に沿って設けられている。辺に沿って設けられている状態とは、例えば平行、すなわち同一方向に配置されている状態を示す。但し、実際には、完全な平行でなくとも、ほぼ同一方向であれば良い。すなわち、パッドの配列は、辺に対して多少の角度がついていても良い。
【0023】
なお、配線としては、アルミニウムや銅あるいはそれらを主成分とする合金といった金属導体を用いる。また、これら金属導体とバリアメタルを積層した積層配線を用いても良い。
【0024】
本発明のチップ10は、上記の構成において、角部近傍のパッド1−1とパッド2−1が1つのI/Oバッファ3−1に同時に接続されていることを特徴とする。なお、チップ10は矩形であり、チップ10の全ての角部で同じ構成とする。但し、実際には、チップ10の一部の角部のみこのような構成としても良い。
【0025】
図6、図7に、本発明のチップを用いたパッケージでのボンディング例を示す。
図6、図7に示すように、本発明のチップ10は、パッケージ20でパッケージングされる。パッケージ20は、実装基板100に実装される。
パッケージ20は、導体部5(5−i、i=1〜n)と、導体部6(6−i、i=1〜n)を備える。ここでは、導体部5,6は、リードフレームを形成するリード端子を示す。
【0026】
導体部5は、第1の方向に配列されている。導体部6は、第1の方向と交差する第2の方向に配列されている。第1の方向及び第2の方向は、チップ10の場合と同様である。
図6、図7では、例として、導体部5(5−i、i=1〜n)は、パッケージ20の第1の辺に沿って設けられている。導体部6(6−i、i=1〜n)は、第1の辺と角部(コーナー)を形成する第2の辺に沿って設けられる。なお、チップ10の第1の辺とパッケージ20の第1の辺とはチップ10を挟まずに平行であり、チップ10の第2の辺とパッケージ20の第2の辺とはチップ10を挟まずに平行である。但し、実際には、完全な平行でなくとも、ほぼ同一方向であれば良い。すなわち、互いに対面するチップ10の辺とパッケージ20の辺とは、多少の角度がついていても良い。
【0027】
図6では、パッケージ20の第1の辺に沿って設けられている導体部5−1と、チップ10の第2の辺に沿って設けられているパッド2−2とがボンディングされている。
この時、導体部5−2とパッド2−1とがボンディングされると、導体部5−1とパッド2−2を接続するボンディングワイヤと、導体部5−2とパッド2−1を接続するボンディングワイヤとが非常に接近することになるため、短絡(ショート)の危険がある。
しかし、本願発明のチップ10では、パッド1−1とパッド2−1とが1つのI/Oバッファ3−1に同時に接続されているため、パッド1−1とパッド2−1は、どちらも同じ機能を持っている。従って、導体部5−2とパッド1−1とがボンディングされると、導体部5−2とパッド2−1とがボンディングされたのと同じ状態になる。よって、図6では、導体部5−2と、チップ10の第1の辺に沿って設けられているパッド1−1とがボンディングされている。
なお、他の導体部やパッドについては、パッケージ20の第1の辺に沿って設けられている導体部5と、チップ10の第1の辺に沿って設けられているパッド1とがボンディングされ、パッケージ20の第2の辺に沿って設けられている導体部6と、チップ10の第2の辺に沿って設けられているパッド2とがボンディングされている。
【0028】
図7では、パッケージ20の第2の辺に沿って設けられている導体部6−1と、チップ10の第1の辺に沿って設けられているパッド1−2とがボンディングされている。
この時、導体部6−2とパッド1−1とがボンディングされると、導体部6−1とパッド1−2を接続するボンディングワイヤと、導体部6−2とパッド1−1を接続するボンディングワイヤとが非常に接近することになるため、短絡(ショート)の危険がある。
しかし、本願発明のチップ10では、パッド1−1とパッド2−1とが1つのI/Oバッファ3−1に同時に接続されているため、パッド1−1とパッド2−1は、どちらも同じ機能を持っている。従って、導体部6−2とパッド2−1とがボンディングされると、導体部6−2とパッド1−1とがボンディングされたのと同じ状態になる。よって、図6では、導体部6−2と、チップ10の第2の辺に沿って設けられているパッド2−1とがボンディングされている。
なお、他の導体部やパッドについては、パッケージ20の第1の辺に沿って設けられている導体部5と、チップ10の第1の辺に沿って設けられているパッド1とがボンディングされ、パッケージ20の第2の辺に沿って設けられている導体部6と、チップ10の第2の辺に沿って設けられているパッド2とがボンディングされている。
【0029】
このように、本発明では、角部近傍のパッド1−1とパッド2−1が1つのI/Oバッファ3−1に同時に接続されていることにより、図6に示すように、パッケージ20の第1の辺に沿って設けられた導体部5と、チップ10の第2の辺に沿って設けられたパッド2を接続するボンディングワイヤが2本以上になることを防止する。また、図7に示すように、パッケージ20の第2の辺に沿って設けられた導体部6と、チップ10の第1の辺に沿って設けられたパッド1を接続するボンディングワイヤが2本以上になることを防止する。このようなボンディングワイヤが2本以上になると、ボンディングワイヤ同士が非常に接近する場合があり、短絡(ショート)の危険があるからである。なお、実際には、ボンディングワイヤの場合に限定されるものではなく、半田ボールを始めとする突起構造(バンプ)の場合についても同じことが言える。
【0030】
また、ボンディングワイヤ同士を接近させずにボンディングすることが可能になるため、ボンディングの自由度が向上し、様々なパッケージに用いられる機会が増大する。従って、パッドやI/Oバッファを本発明のチップ10のように配置することで、汎用性を向上させることが可能になる。
【0031】
更に、予め、角部(コーナー)近傍のパッド1−1とパッド2−1を1つのI/Oバッファ3−1に接続しておくことで、ボンディングのたびにパッドとI/Oバッファを接続する配線を繋ぎかえる工程が不要となるため、当該工程に要する作業時間や労力が不要となり、チップの利便性が向上する。
【0032】
図8を参照して、本発明のパッケージにおけるチップ配置とボンディングされるパッドの関係について説明する。ここでは、例としてチップ10及びパッケージ20は矩形であるものとする。
図8に示すように、パッケージ20の第1の辺の長さを「A」、第1の辺と交差する第2の辺の長さを「B」とする。また、パッケージ20の内部にあるチップ10の第1の辺の長さを「a」、第1の辺と交差する第2の辺の長さを「b」とする。また、パッケージ20の4辺とチップ10との距離をそれぞれ「c」「d」「e」「f」とする。なお、「c」「d」はそれぞれ、パッケージ20の第2の辺とチップ10との距離、第2の辺と対面する辺とチップ10との距離を示し、「e」「f」それぞれ、パッケージ20の第1の辺とチップ10との距離、第1の辺と対面する辺とチップ10との距離を示す。なお、「A」「B」「a」「b」「c」「d」「e」「f」は、長さを示す任意の数値である。
【0033】
図8において、例えば、チップ10とパッケージ20の第1の辺の長さの倍率「A/a」の値と、チップ10とパッケージ20の第2の辺の長さの倍率「B/b」の値とを比較し、「A/a」の値が「B/b」の値よりも大きい場合、導体部5とパッド1とのボンディングを優先し、パッド2−1ではなくパッド1−1を使用する。すなわち、導体部5−1がパッド2−2とボンディングされている場合、導体部5−2はパッド1−1とボンディングされる。逆に、「B/b」の値が「A/a」の値よりも大きい場合、導体部6とパッド2とのボンディングを優先し、パッド1−1ではなくパッド2−1を使用する。すなわち、導体部6−1がパッド1−2とボンディングされている場合、導体部6−2はパッド2−1とボンディングされる。
【0034】
あるいは、「c」の値と「e」の値を比較し、「e」の値の方が小さい場合、導体部5とパッド1とのボンディングを優先し、パッド2−1ではなくパッド1−1を使用する。例えば、導体部5−1がパッド2−2とボンディングされている場合、導体部5−2はパッド1−1とボンディングされるようにする。
逆に、「c」の値と「e」の値を比較し、「c」の値の方が小さい場合、導体部6とパッド2とのボンディングを優先し、パッド1−1ではなくパッド2−1を使用する。例えば、導体部6−1がパッド1−2とボンディングされている場合、導体部6−2はパッド2−1とボンディングされるようにする。
【0035】
他には、「c+d」の値と「e+f」の値を比較し、「e+f」の値の方が小さい場合、導体部5とパッド1とのボンディングを優先し、パッド2−1ではなくパッド1−1を使用するようにしても良い。例えば、導体部5−1がパッド2−2とボンディングされている場合、導体部5−2はパッド1−1とボンディングされるようにする。
逆に、「c+d」の値と「e+f」の値を比較し、「c+d」の値の方が小さい場合、導体部6とパッド2とのボンディングを優先し、パッド1−1ではなくパッド2−1を使用するようにしても良い。例えば、導体部6−1がパッド1−2とボンディングされている場合、導体部6−2はパッド2−1とボンディングされるようにする。
【0036】
以上のように、本発明のチップ10は、第1の辺と第2の辺とが角部を形成する矩形のチップであり、第1の辺に沿って配列された複数のパッド1のうち角部の近傍に設けられた第1のパッド1−1と、第2の辺に沿って配列された複数のパッド2のうち角部の近傍に設けられた第2のパッド2−1と、第1のパッド1−1及び第2のパッド2−1の両方に接続された1つのバッファ3−1とを備える(図5参照)。
【0037】
また、本発明のパッケージ20は、チップ10の外側で第1の辺と同一方向に配列された複数の導体部5のうち角部の近傍に設けられた第1の導体部5−1と、複数の導体部5のうち第1の導体部5−1の隣に設けられた第2の導体部5−2とを更に具備する。第1の導体部5−1が、第2の辺に沿って配列された複数のパッドのうち第2のパッド2−1の隣に設けられた第3のパッド2−2とボンディングされている場合、第2の導体部5−2は、第1のパッド1−1とボンディングされている(図6参照)。
なお、ワイヤボンディングの場合、本発明のパッケージ20は、第3のパッド2−2と第1の導体部5−1とを接続する第1のボンディングワイヤと、第1のパッド1−1と第2の導体部5−2とを接続する第2のボンディングワイヤとを更に備える。
【0038】
また、本発明の他のパッケージ20は、チップの外側で第2の辺と同一方向に配列された複数の導体部6のうち角部の近傍に設けられた第3の導体部6−1と、複数の導体部6のうち第3の導体部6−1の隣に設けられた第4の導体部6−2とを更に具備する。第3の導体部6−1が、第1の辺に沿って配列された複数のパッドのうち第1のパッド1−1の隣に設けられた第4のパッド1−2とボンディングされている場合、第4の導体部6−2は、第2のパッド2−1とボンディングされている(図7参照)。
なお、ワイヤボンディングの場合、本発明の他のパッケージ20は、第4のパッド1−2と第3の導体部6−1とを接続する第3のボンディングワイヤと、第2のパッド2−1と第4の導体部6−2とを接続する第4のボンディングワイヤとを更に備える。
【0039】
ここで、チップ10の第1の辺の長さをaとし、チップ10の第2の辺の長さをbとし、チップ10の第1の辺と平行なパッケージ20の1辺の長さをAとし、チップ10の第2の辺と平行なパッケージ20の1辺の長さをBとする。
本発明では、A/aの値がB/bの値よりも大きければ、前記第1の導体部5−1と前記第3のパッド2−2とがボンディングされ、前記第2の導体部5−2と前記第1のパッド1−1とがボンディングされている。
また、本発明では、B/bの値がA/aの値よりも大きければ、前記第3の導体部6−1と前記第4のパッド1−2とがボンディングされ、前記第4の導体部6−2と前記第2のパッド2−1とがボンディングされている。
【0040】
このようなチップ構成とすることにより、チップの汎用性が向上し、チップを顧客から要求された時に、修正や改良を加えることなく、すぐに提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、従来のチップの角部近傍を示す第1の構成図である。
【図2】図2は、従来のパッケージの角部近傍を示す第1の構成図である。
【図3】図3は、従来のパッケージの角部近傍を示す第2の構成図である。
【図4A】図4Aは、従来のチップの角部近傍を示す第2の構成図(1)である。
【図4B】図4Bは、従来のチップの角部近傍を示す第2の構成図(2)である。
【図5】図5は、本発明のチップの角部近傍を示す構成図である。
【図6】図6は、本発明のパッケージの角部近傍を示す第1の構成図である。
【図7】図7は、本発明のパッケージの角部近傍を示す第2の構成図である。
【図8】図8は、パッケージ内のチップ配置とボンディングされるパッドとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1(−i、i=1〜n) ボンディングパッド
2(−i、i=1〜n) ボンディングパッド
3(−i、i=1〜n) I/Oバッファ
4(−i、i=1〜n) I/Oバッファ
5(−i、i=1〜n) 導体部(リード端子)
6(−i、i=1〜n) 導体部(リード端子)
10 チップ
20 パッケージ
100 実装基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の辺と第2の辺とが角部を形成する矩形のチップ上において、
前記第1の辺に沿って配列された複数のパッドのうち前記角部の近傍に設けられた第1のパッドと、
前記第2の辺に沿って配列された複数のパッドのうち前記角部の近傍に設けられた第2のパッドと、
前記第1のパッド及び前記第2のパッドの両方に接続された1つのバッファと
を具備する
半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記チップの外側で前記第1の辺と同一方向に配列された複数の導体部のうち前記角部の近傍に設けられた第1の導体部と、
前記複数の導体部のうち前記第1の導体部の隣に設けられた第2の導体部と
を更に具備し、
前記第1の導体部が、前記第2の辺に沿って配列された複数のパッドのうち前記第2のパッドの隣に設けられた第3のパッドとボンディングされている場合、前記第2の導体部は、前記第1のパッドとボンディングされている
半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記チップの外側で前記第2の辺と同一方向に配列された複数の導体部のうち前記角部の近傍に設けられた第3の導体部と、
前記複数の導体部のうち前記第3の導体部の隣に設けられた第4の導体部と
を更に具備し、
前記第3の導体部が、前記第1の辺に沿って配列された複数のパッドのうち前記第1のパッドの隣に設けられた第4のパッドとボンディングされている場合、前記第4の導体部は、前記第2のパッドとボンディングされている
半導体装置。
【請求項4】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第1の辺の長さをaとし、
前記第2の辺の長さをbとし、
前記第1の辺と平行なパッケージの1辺の長さをAとし、
前記第2の辺と平行な前記パッケージの1辺の長さをBとした場合、
A/aの値がB/bの値よりも大きければ、前記第1の導体部と前記第3のパッドとがボンディングされ、前記第2の導体部と前記第1のパッドとがボンディングされている
半導体装置。
【請求項5】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記第1の辺の長さをaとし、
前記第2の辺の長さをbとし、
前記第1の辺と平行なパッケージの1辺の長さをAとし、
前記第2の辺と平行な前記パッケージの1辺の長さをBとした場合、
B/bの値がA/aの値よりも大きければ、前記第3の導体部と前記第4のパッドとがボンディングされ、前記第4の導体部と前記第2のパッドとがボンディングされている
半導体装置。
【請求項6】
第1の辺と第2の辺とが角部を形成する矩形のチップ上において、
(a)前記第1の辺に沿って配列された複数のパッドのうち前記角部の近傍に設けられた第1のパッドを1つのバッファに接続するステップと、
(b)前記第1のパッドを前記1つのバッファに接続した状態で、前記第2の辺に沿って配列された複数のパッドのうち前記角部の近傍に設けられた第2のパッドを前記1つのバッファに接続するステップと
を具備する
半導体装置の製造方法。
【請求項1】
第1の辺と第2の辺とが角部を形成する矩形のチップ上において、
前記第1の辺に沿って配列された複数のパッドのうち前記角部の近傍に設けられた第1のパッドと、
前記第2の辺に沿って配列された複数のパッドのうち前記角部の近傍に設けられた第2のパッドと、
前記第1のパッド及び前記第2のパッドの両方に接続された1つのバッファと
を具備する
半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記チップの外側で前記第1の辺と同一方向に配列された複数の導体部のうち前記角部の近傍に設けられた第1の導体部と、
前記複数の導体部のうち前記第1の導体部の隣に設けられた第2の導体部と
を更に具備し、
前記第1の導体部が、前記第2の辺に沿って配列された複数のパッドのうち前記第2のパッドの隣に設けられた第3のパッドとボンディングされている場合、前記第2の導体部は、前記第1のパッドとボンディングされている
半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記チップの外側で前記第2の辺と同一方向に配列された複数の導体部のうち前記角部の近傍に設けられた第3の導体部と、
前記複数の導体部のうち前記第3の導体部の隣に設けられた第4の導体部と
を更に具備し、
前記第3の導体部が、前記第1の辺に沿って配列された複数のパッドのうち前記第1のパッドの隣に設けられた第4のパッドとボンディングされている場合、前記第4の導体部は、前記第2のパッドとボンディングされている
半導体装置。
【請求項4】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第1の辺の長さをaとし、
前記第2の辺の長さをbとし、
前記第1の辺と平行なパッケージの1辺の長さをAとし、
前記第2の辺と平行な前記パッケージの1辺の長さをBとした場合、
A/aの値がB/bの値よりも大きければ、前記第1の導体部と前記第3のパッドとがボンディングされ、前記第2の導体部と前記第1のパッドとがボンディングされている
半導体装置。
【請求項5】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記第1の辺の長さをaとし、
前記第2の辺の長さをbとし、
前記第1の辺と平行なパッケージの1辺の長さをAとし、
前記第2の辺と平行な前記パッケージの1辺の長さをBとした場合、
B/bの値がA/aの値よりも大きければ、前記第3の導体部と前記第4のパッドとがボンディングされ、前記第4の導体部と前記第2のパッドとがボンディングされている
半導体装置。
【請求項6】
第1の辺と第2の辺とが角部を形成する矩形のチップ上において、
(a)前記第1の辺に沿って配列された複数のパッドのうち前記角部の近傍に設けられた第1のパッドを1つのバッファに接続するステップと、
(b)前記第1のパッドを前記1つのバッファに接続した状態で、前記第2の辺に沿って配列された複数のパッドのうち前記角部の近傍に設けられた第2のパッドを前記1つのバッファに接続するステップと
を具備する
半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2007−214188(P2007−214188A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29745(P2006−29745)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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