説明

半導体製造装置および半導体装置の製造方法

【課題】サファイア基板の予熱工程における予熱条件を適正にして、サファイア基板の吸引保持を円滑にする手段を提供する。
【解決手段】サファイア基板2を大気中で昇温するホットプレート3と、サファイア基板2を、その裏面とホットプレート3とを対向させ、所定の間隔を隔てて支持する支持部6a、6bと、ホットプレート3に設けられ、サファイア基板2の中心部に向けて気体を噴出する噴出穴11と、を備え、ホットプレート3で、サファイア基板2を予熱する場合に、サファイア基板2の予熱条件を、所定の間隔を1mm以下、噴出穴からの気体の噴出量を、20L/min以上とし、予熱の終了条件を、サファイア基板2の中心部温度が、外周縁部温度より65℃以上低くなったときとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サファイア基板を用いた半導体装置を製造する工程で、サファイア基板を予熱する必要がある工程に用いる半導体製造装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、サファイア結晶からなる絶縁基板のおもて面上に、シリコン(Si)等の薄膜の半導体層を積層したサファイア基板を用いた半導体装置の製造プロセスは、通常のシリコン基板を用いた半導体装置の製造プロセスをほぼ踏襲することができ、半導体製造装置を共有化してその製造ラインを低コストで製作することができる。
サファイア基板を用いた半導体装置の製造プロセスに、シリコン基板を用いた半導体装置の製造プロセスを流用した場合は、サファイアが透明であるために赤外線等による輻射熱の吸収率が低いことに起因する問題が生ずる。
【0003】
輻射熱の吸収率が低いことに関し、従来の半導体製造装置は、サファイア基板の裏面に光吸収体または導電体からなる薄膜を密着形成し、ランプ加熱法または高周波誘導加熱法等により薄膜を輻射熱または渦電流により加熱して、加熱された薄膜からの熱伝導によりサファイア基板を昇温させ、当該工程におけるサファイア基板の予熱を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような予熱を行う場合に、当該工程における雰囲気温度が低い製造工程、例えば常圧のCVD(Chemical Vapor Deposition)法に用いる常圧CVD装置の予熱工程では、例えば、ホットプレートで、裏面からサファイア基板を加熱するとサファイア基板の表裏に温度差が生じ、昇温させたサファイア基板に、その中心部が持ち上がるホットプレート側に凸の反りが生じ、サファイア基板の裏面を負圧により吸引して保持することが困難になるという問題が生ずる。
【0005】
このような問題点を解決するために、出願人は、特願2006−194789において、サファイア基板の予熱工程におけるホットプレートによるサファイア基板の昇温中に、ホットプレートに設けたサファイア基板を吸引保持するための吸排穴から窒素(N)ガスを噴出させてサファイア基板の中央部の昇温速度を減少させて、反りを抑制しながらサファイア基板を均等に予熱し、その後に吸排穴に負圧を供給して平坦化されたサファイア基板の裏面を吸引保持し、ホットプレートに保持されたサファイア基板をCVD法による成膜工程へ送ってその工程作業を行う技術を提案している。
【特許文献1】特開平10−70313号公報(第4頁段落0019−第5頁段落0032、第3図、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した吸引穴と噴出穴とを兼用した吸排穴から窒素ガスを噴出させて、サファイア基板の中央部を冷却してサファイア基板の反りを抑制する技術は、サファイア基板を均等に予熱することができると共に、平坦化されたサファイア基板の吸引による保持を円滑にして工程作業の効率化を図ることができる技術として有効であるが、まれに、吸着後のサファイア基板の平坦性が不十分な場合があり、サファイア基板を用いた半導体装置の製造における歩留りを低下させる要因になるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、サファイア基板の予熱工程における予熱条件を適正にして、サファイア基板の吸引保持を円滑にする手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、サファイア基板を大気中で昇温するホットプレートと、前記サファイア基板を、その裏面と前記ホットプレートとを対向させ、所定の間隔を隔てて支持する支持部と、前記ホットプレートに設けられ、前記サファイア基板の中心部に向けて気体を噴出する噴出穴と、を備え、前記ホットプレートで、前記サファイア基板を予熱する場合に、前記サファイア基板の予熱条件を、前記所定の間隔を1mm以下、前記噴出穴からの前記気体の噴出量を、20L/min以上とし、前記予熱の終了条件を、前記サファイア基板の中心部温度が、外周縁部温度より65℃以上低くなったとき、としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
これにより、本発明は、予熱工程における予熱条件を適正にして、サファイア基板の吸引保持時における平坦性を確保しながら、サファイア基板のホットプレートへの吸引保持を円滑に行うことができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、図面を参照して本発明による半導体製造装置および半導体装置の製造方法の実施例について説明する。
【実施例】
【0011】
図1は実施例の半導体製造装置の断面を示す説明図、図2は実施例の半導体製造装置の上面を示す説明図である。
なお、図1は図2に示すA−A断面線に沿った断面を示し、図2は図1に示すホットプレートとサファイア基板とを取り除いた状態を示す上面図である。
図1において、1は半導体製造装置であり、大気中等の比較的低い雰囲気温度でサファイア基板2を予熱し、半導体基板としてのサファイア基板2を昇温させた状態で半導体装置を製造する工程で用いる製造装置である。本実施例の半導体製造装置1は、常圧CVD装置である。
【0012】
サファイア基板2は、サファイア(Al)結晶からなる絶縁基板のおもて面上に、シリコン(Si)等をエピタキシャル成長させて形成された薄膜の半導体層を積層した基板であって、例えば、直径6インチ、厚さ0.3〜0.8mmの円形の薄板である。
3はホットプレートであり、電気ヒータ等によって加熱されるサファイア基板2の直径より大きい直径を有する円盤状部材であって、後述する支持部6aに支持されたサファイア基板2の裏面と対向してその上方に配置されており、サファイア基板2を昇温させると共に、サファイア基板2を昇温させた状態で行われる当該工程(本実施例では、成膜工程)の工程作業の作業台としても用いられる。
【0013】
4aは支持台であり、ホットプレート3に対向配置された、図2に2点鎖線で示すサファイア基板2の直径より大きい直径を有する円盤状の支持板5aの外径部に、図2に示すように、石英ガラス等からなる角柱状の一対の支持部6aが、複数(本実施例では3対)等配に取付けられており、支持部6aに設けられた斜面7aによりサファイア基板2を傾けずにその外周部を支持する機能を有している。
【0014】
4bは支持台であり、支持台4aの支持板5aのホットプレート3側に配置された、支持板5aの直径より小さい直径を有する円盤状の支持板5bの外径部に、図2に示すように、一対の支持部6aの間に収容された石英ガラス等からなる角柱状の支持部6bが、複数(本実施例では3つ)等配に取付けられており、支持部6bに設けられた斜面7bのホットプレート3側の先端によりサファイア基板2を傾けずにその外周縁部を支持する機能を有している。
【0015】
本実施例のサファイア基板2は、その裏面をホットプレート3に対向させて、支持部6aまたは6bにより支持される。
図1において、8は昇降装置であり、先端に支持台4aを接合した円筒状の昇降軸9aと、昇降軸9aの内筒側に挿入され、先端に支持台4bを接合した円柱状の昇降軸9bとをそれぞれ独立に昇降させる機能を有しており、それぞれの昇降軸9a、9bにより支持台4a、4bに設けられた支持部6a、6bを昇降させる。
【0016】
11は吸排穴であり、ホットプレート3の中心部をその厚さ方向に貫通して形成された貫通穴であって、負圧を供給する負圧供給管12に接続して、サファイア基板2を吸引保持するための吸引穴として機能すると共に、後述する気体を噴出させる噴出穴としても機能する。
13は負圧開閉バルブであり、吸排穴11に接続する負圧供給管12の管路を開閉するON/OFFバルブであって、吸引穴としての吸排穴11に供給される負圧の供給、遮断を制御する機能を有している。
【0017】
15は気体供給管であり、負圧開閉バルブ13と吸排穴11との間の負圧供給管12に接続しており、噴出穴としての吸排穴11から噴出させる窒素(N)ガス等の気体を供給するパイプである。
16は気体開閉バルブであり、気体供給管15の管路を開閉するON/OFFバルブであって、吸排穴11に供給される図示しない流量調整バルブで流量を調整された気体の供給、遮断を制御する機能を有している。
【0018】
上記の構成の半導体製造装置1を用いたサファイア基板2の予熱工程、および予熱後のサファイア基板2の保持工程について、以下に、Pで示す工程に従って説明する。
本実施例のサファイア基板2は、直径6インチ、厚さ0.6mmの基板であり、ホットプレート3の設定温度は、380℃に設定されている。
工程P1、昇降装置8の昇降軸9aの先端に取付けた支持台4aの支持部6aの斜面7aに、サファイア基板2の裏面を、380℃に設定されたホットプレート3の下面に対向させて載置し、その外周部を支持部6aの斜面7aに支持させる。
【0019】
工程P2(予熱工程)、昇降装置8により昇降軸9a、9bを同時に上昇させて、支持台4a、4bをホットプレート3の方向に上昇させ、図3に示すように、サファイア基板2の裏面とホットプレート3の下面との間隔Sが所定の間隔(本工程では、2mm)になる位置に停止させる。
そして、サファイア基板2の停止と同時に、気体開閉バルブ16を開作動させて、気体供給管15から供給される、図示しない流量調整バルブで流量を標準状態で29リットル/分(L/minと記す。)に調整された大気温度の気体(窒素ガス)を、ホットプレート3の中心部に開口する噴出穴としての吸排穴11から、サファイア基板2の裏面の中心部に向けて噴出させる。
【0020】
このとき、ホットプレート3により加熱された空気を介した熱伝達により、主にサファイア基板2の裏面から流入した熱でサファイア基板2の温度が上昇し、その中心部は、吸排穴11から噴出させた気体により冷却されて昇温速度が減少する。
工程P3(保持工程)、予熱工程の開始時(サファイア基板2の所定の間隔Sへの停止時)から、2分間経過後に、気体開閉バルブ16を閉作動させて、吸排穴11からの気体の噴出を停止し、昇降装置8により昇降軸9bを上昇させて、その先端に取付けた支持台4bのみをホットプレート3の方向に上昇させ、図4に示すように、支持部6bの先端に外周縁部を支持されたサファイア基板2の裏面をホットプレート3の下面に接触させ、予熱工程の開始時から3分間経過後に、つまり気体の噴出を停止してから1分後に、負圧開閉バルブ13を開作動させて、負圧供給管12から吸排穴11に供給される負圧により吸引して、サファイア基板2をホットプレート3に保持する。
【0021】
上記の1分間の接触時間の間に、サファイア基板2の全体がほぼ均一な温度に昇温され、サファイア基板2の反りが抑制される。
工程P4、サファイア基板2の保持後に、昇降軸9a、9bを降下させ、支持台4a、4bを元の位置(図1参照)に戻して支持部6a、6bをサファイア基板2から退避させ、サファイア基板2を吸引保持したホットプレート3を、当該工程(本実施例では、成膜工程)の所定の作業位置へ移動させて所定の工程作業を行う。
【0022】
上記した工程P2の予熱条件、つまり所定の間隔Sを2mmとし、吸排穴11からの気体を噴出量を29L/minとした場合の、時間経過に伴うサファイア基板2の温度上昇の様子を図5に示す。
この場合の各温度は、サファイア基板2のおもて面の中心に設けた熱電対と、外周縁部の外周から10mm程度中心側の位置に設けた2つの熱電対で測定した。
【0023】
図5に示すように、工程P2における予熱工程の開始時には、およそ大気温度であったサファイア基板2の温度が、時間の経過に伴って、まず中心部が加熱されて外周縁部より温度が高くなり、一旦はホットプレート3に向かって凸の釣鐘状に反るが、その後に気体の噴出による昇温速度の減少により、外周縁部より温度が低くなって、2分間の経過後には、ホットプレート3に向かって凹の椀状に反った状態になり、工程P3における1分間の接触時間の間に、ほぼ均一な温度になることが判る。
【0024】
しかしながら、上記の予熱条件および接触時間で予熱したサファイア基板2の吸着保持時における判定結果は、平坦性不足による「NG」であった。
これは、図5からは明らかではないが、予熱の終了条件である2分間経過後の椀状の反り量が少ないために、1分間の接触時間の間に大気温度に曝されている外周縁部の温度が僅かに低下し、これに伴ってサファイア基板2が僅かに釣鐘状に反り、中心部を吸着したときに、外周縁部の吸着力が低下して、保持時に僅かな反りが残ったためと思われる。
【0025】
このため、予熱条件を適正化すべく、所定の隙間Sと気体の噴出量とをパラメータとして、吸着保持時の平坦性に対する依存性を評価した。その評価試験の結果を図6に示す。
この場合の評価試験は、同じ仕様の2つの半導体製造装置1(号機番号13、14)を用い、気体としては窒素ガスを用いて行った。
また、図6に示す各温度は、予熱開始時から2分間経過後の温度であり、その外周縁部温度は、2つの熱電対の温度の平均値である。
【0026】
なお、図5に示した予熱条件の評価は、13号機を用いたものであり、その評価結果は試験番号9に記載してある。
図6に示すように、同じ13号機を用いて、同じ窒素ガス流量で所定の間隔Sを1mmとした試験番号2に示す評価試験の吸着保持時の平坦性の判定結果は、「OK」となっており、予熱後のサファイア基板2の吸着保持時の平坦性は、所定の間隔Sに依存していることが示唆されている。
【0027】
試験番号2の予熱条件における時間経過に伴うサファイア基板2の温度上昇の様子を図7に示す。
図7に示すように、工程P2における予熱工程の開始時には、およそ大気温度であったサファイア基板2の温度が、時間の経過に伴って、まず中心部が加熱されて外周縁部より温度が高くなるが、直ぐに気体の噴出による昇温速度の減少により、外周縁部より温度が低くなって、2分間(120秒)の経過後には、図5に示す場合に較べて温度差が大きくなって椀状に大きく反った状態になり、工程P3における1分間の接触時間の間においても、中心部温度が僅かに低くなっていることが判る。
【0028】
これらの相違は、主に外周縁部の温度上昇の相違にあり、図6の試験番号2と9とを比較すれば、その中心部温度が同等であるのに対して、外周縁部温度は327℃と233℃との相違があり、この結果温度差が、115℃と22℃とになって椀状の反り量が異なり、結果として吸着保持時に僅かな椀状の反りが残って、吸着保持時の平坦性が確保されたものと思われる。
【0029】
これを確認するために更なる比較試験、つまり13号機を用いて、窒素ガス流量を32L/minで同一とし、間隔Sを1mm(試験番号1)および2mm(試験番号8)とした比較試験と、14号機を用いて、窒素ガス流量を図5に示した29L/minで同一とし、間隔Sを1mm(試験番号4)および2mm(試験番号10)とした比較試験とを実施した。
【0030】
これらから判るように、試験番号2と9との比較を含むいずれの場合においても、間隔Sが1mmの場合は判定結果が「OK」、間隔Sが2mmの場合は判定結果が「NG」となっており、予熱後のサファイア基板2の吸着保持時の平坦性は、予熱工程におけるホットプレート3とサファイア基板2との間隔Sに依存していることが判る。
このように、吸着保持時の平坦性は間隔Sに依存していることが判ったので、次に間隔Sを1mmとして窒素ガス流量に対する依存性を評価した。
【0031】
その結果を図6の試験番号1〜7、およびそれら各温度と、窒素ガス流量に対する依存性を示したグラフを図8に示す。
なお、図8に示す白抜きの記号は、図6に示す判定結果「OK」を示し、黒塗りの記号は判定結果「NG」を示す。
図8に示すように、間隔Sを1mmとした場合に、窒素ガス流量を増加させていけば、予熱工程の終了時における温度は、主に中心部温度が低下して、外周縁部温度との温度差が増加していくことが判る。
【0032】
このことは、上記した椀状の反り量が、窒素ガス流量に依存していくことを示しており、図8から判るように、その下限は、流量20L/minであり、そのときのサファイア基板2の中心部温度は、外周縁部温度より65℃以上低くなっている。
従って、適正な予熱条件は、所定の間隔Sを1mmとし、窒素ガス流量を20L/min以上とすることが望ましく、予熱の終了条件を中心部温度が、外周縁部温度より65℃以上低くなったとき、温度計測をしない場合には予熱条件設定後に2分間経過したとき、とすることが望ましい。
【0033】
また、予熱終了後の接触時間は、1分間(60秒間)以下に設定することが望ましい。
このようにすれば、予熱工程における予熱条件を適正にして、サファイア基板2の吸引保持時における平坦性を確保しながら、ホットプレート3への吸引保持を円滑に行うことができる。
なお、上記の所定の間隔Sは、0.7mm以上、1.2mm以下とすることが望ましい。更に好ましくは1mm以下とすることが望ましい。
【0034】
間隔Sを0.7mmより狭くすると、予熱の初期の釣鐘状の反りによって、サファイア基板2がホットプレート3に接触する虞があり、1.2mmより拡げると、外周縁部が冷却されて、中心部と外周縁部の温度差を確保することが困難になるからである。
また、窒素ガス流量の上限は、窒素ガス流量の増加に伴う中心部と外周縁部の温度差の拡大により、椀状の反りが過大になって、サファイア基板2にクラックまたは割れが生じる流量を上限とするとよい。
【0035】
以上説明したように、本実施例では、設定温度380℃のホットプレートで、サファイア基板を裏面から予熱する場合に、サファイア基板の予熱条件を、ホットプレートとサファイア基板との所定の間隔Sを1mm以下、吸排穴からの大気温度の窒素ガスの噴出量を20L/min以上とし、その予熱の終了条件を、サファイア基板の中心部温度が、外周縁部温度より65℃以上低くなったとき、または予熱条件設定後に2分間経過したとき、としたことによって、予熱工程における予熱条件を適正にして、サファイア基板の吸引保持時における平坦性を確保しながら、ホットプレートへの吸引保持を円滑に行うことができる。
【0036】
なお、上記実施例においては、サファイア基板の温度を制御するために噴出させる気体は窒素ガスであるとして説明したが、アルゴン(Ar)等の不活性ガスであればどのような気体であってもよい。
また、上記実施例においては、半導体製造装置で昇温させる半導体基板はサファイア基板であるとして説明したが、半導体基板は前記に限らず、シリコン基板に埋込み酸化膜を挟んでシリコンからなる薄膜の半導体層を形成したSOI構造のSOI基板等の半導体基板であってもよい。要は予熱工程において反りを抑制するための気体の噴出を必要とし、かつ吸引保持された半導体基板に成膜することが必要な半導体基板であれば、どのような半導体基板であっても上記と同様の効果を得ることができる。
【0037】
更に、上記実施例においては、半導体製造装置は常圧CVD装置であるとして説明したが、半導体製造装置は前記に限らず、減圧CVD装置等であってもよい。要はサファイア基板の予熱時に吸排穴から反りを抑制するための気体を噴出させ、吸排穴に供給された負圧により吸引保持した半導体基板に成膜を行う半導体製造装置であればどのような半導体製造装置であっても上記と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施例の半導体製造装置の断面を示す説明図
【図2】実施例の半導体製造装置の上面を示す説明図
【図3】実施例の半導体製造装置の予熱工程を示す説明図
【図4】実施例の半導体製造装置の保持工程を示す説明図
【図5】実施例の試験番号9のサファイア基板の温度上昇の様子を示すグラフ
【図6】実施例の予熱後のサファイア基板の吸着保持の評価試験結果を示す表
【図7】実施例の試験番号2のサファイア基板の温度上昇の様子を示すグラフ
【図8】実施例の評価試験の予熱終了時の温度の流量依存性を示すグラフ
【符号の説明】
【0039】
1 半導体製造装置
2 サファイア基板
3 ホットプレート
4a、4b 支持台
5a、5b 支持板
6a、6b 支持部
7a、7b 斜面
8 昇降装置
9a、9b 昇降軸
11 吸排穴
12 負圧供給管
13 負圧開閉弁
15 気体供給管
16 気体開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サファイア基板を大気中で昇温するホットプレートと、
前記サファイア基板を、その裏面と前記ホットプレートとを対向させ、所定の間隔を隔てて支持する支持部と、
前記ホットプレートに設けられ、前記サファイア基板の中心部に向けて気体を噴出する噴出穴と、を備え、
前記ホットプレートで、前記サファイア基板を予熱する場合に、
前記サファイア基板の予熱条件を、前記所定の間隔を1mm以下、前記噴出穴からの前記気体の噴出量を、20L/min以上とし、
前記予熱の終了条件を、前記サファイア基板の中心部温度が、外周縁部温度より65℃以上低くなったとき、としたことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記予熱の終了条件に代えて、予熱の終了条件を、前記予熱条件設定後に2分間経過したとき、としたことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記ホットプレートの設定温度が、380℃であることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項4】
サファイア基板を大気中で昇温するホットプレートと、
前記ホットプレートと前記サファイア基板の裏面とを対向させて支持する支持部を設けた支持台と、
前記ホットプレートに設けられ、前記サファイア基板の中心部に向けて気体を噴出する噴出穴と、
前記支持台を昇降させる昇降装置と、を備えた半導体製造装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
前記支持部に、前記サファイア基板を、その裏面を前記ホットプレートに対向させて支持させる工程と、
前記昇降装置により前記支持台を上昇させ、前記サファイア基板の裏面と前記ホットプレートとの間隔が1mm以下となる位置に停止させると共に、前記サファイア基板の中心部に向けて、前記噴出穴から、20L/min以上の気体を噴出させる予熱工程と、
前記サファイア基板の中心部温度が、外周縁部温度より65℃以上低くなったときに、前記噴出穴からの気体の噴出を停止する工程と、を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記噴出穴からの気体の噴出を停止する工程に代えて、
前記予熱工程の開始時から、2分間経過後に前記噴出穴からの気体の噴出を停止する工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5において、
前記ホットプレートの設定温度が、380℃であることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−135315(P2009−135315A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311083(P2007−311083)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(308033711)OKIセミコンダクタ株式会社 (898)
【出願人】(390008855)OKIセミコンダクタ宮崎株式会社 (151)
【Fターム(参考)】