説明

半導体製造装置における表示方法及び半導体製造装置

【課題】 各ウエハの処理/未処理だけでなく、処理が正常に終了したかどうかを表示して、正常ウエハと不良ウエハの区別を明確にし、正常ウエハと不良ウエハの混同を防ぐことができ、また、ウエハカセットの有無を表示してオペレータがウエハカセットを確実に搭載することができる半導体製造装置における表示方法及び半導体製造装置を提供する。
【解決手段】 少なくともカセットを格納するカセット室5と、処理を行うプロセスチャンバと、カセット内のウエハをプロセスチャンバ6へ搬送するための搬送室7とを備える半導体製造装置の表示部17に、上から見た当該半導体製造装置イメージを描画し、カセットの有無を表示する表示エリア8が設けられ、表示エリア8には、カセット室内にカセットが存在するかどうかが表示される半導体製造装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CVD装置等の半導体製造装置に係り、特に、ウエハカセット内の個々のウエハの処理が正常に終了したかどうかを表示して、正常ウエハと不良ウエハの区別を明確にし、正常ウエハと不良ウエハの混同を防ぐことができる半導体製造装置における表示方法及び半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハを1枚ずつ処理する枚葉式のCVD装置としては、従来、図11に示すようなものがあった。図11は、従来の枚葉式CVD装置の構成を示す平面図である。図11に示すように、従来の枚葉式CVD装置は、ウエハカセットを格納するカセット室(カセットチャンバ:CC)5a(CC1)及び5b(CC2)と、処理を行う反応炉(プロセスチャンバ:PC)6a(PC1)及び6b(PC2)と、搬送室(ロードロックチャンバ:LC)7とから構成されている。また、上記構成に加えて、反応炉6cとしてPC3を接続することもある。
【0003】
搬送室7には、カセット室5からのウエハの出し入れを行うCCアーム71と、反応炉6に対するウエハの出し入れを行うPCアーム72と、ウエハを待機させておくストレージカセット(SC)73と、ウエハの位置合わせを行うアライメントユニット(AU)74とが設けられている。
【0004】
上記構成の従来のCVD装置では、CCアーム71によってカセット室5aまたは5bから搬送室7に取り込まれたウエハは、ストレージカセット73を介してPCアーム72に移載される。PCアーム72は、予め指定されたレシピに従ってウエハを反応炉6aまたは6bに搬送し、指定された処理が終了すると、ウエハは、PCアーム72によってストレージカセット73に移され、CCアーム71によってカセット室5aまたは5bに搬出される。ここでは、1度搬送室内にとり込んだウエハをカセット室に搬出せずに、複数の処理を連続して行うことができるようになっている。
【0005】
また、カセット室5a及び5bからのウエハの出し入れは、ウエハカセットを上下するカセットエレベータ(図示せず)が、予め指定されたレシピに従って上下することにより、CCアーム71がウエハカセット内の所定の位置(溝)からウエハを取り出したり、所定の位置にウエハを戻すことができるようになっている。
【0006】
そして、枚葉式CVD装置の前面には、装置の状況を表示するCRT等の表示部が設けられており(図示せず)、装置の運転状況や、レシピの設定画面を表示させるようになっている。
【0007】
ここで、上記従来の枚葉式CVD装置における表示例について図12を用いて説明する。図12は、従来の枚葉式CVD装置における表示画面の例を示す説明図である。図12に示すように、従来のCVD装置においては、モニタ画面に上から見た装置イメージを描画し、ウエハが装置内のどこに存在するかをオペレータに知らせるようにしていた。特に、カセット室5のイメージの横に、各カセット室5のウエハの搭載状態を表示するカセット表示エリア8a及び8bを設けて、個々のカセット室5内のウエハ搭載状態を表示するようになっていた。
【0008】
次に、カセット表示エリア8内の表示例について図12を用いて説明する。ウエハカセットには、ウエハを格納するための「溝」が形成されており、通常、1つのウエハカセットには25枚のウエハを格納することができるものである。カセット表示エリア8a及び8bは、このような25枚入りのウエハカセットを想定しており、表示エリア8a内には、25本の溝に対応するウエハ表示エリア9-1〜9-25 が設けられ、表示エリア8b内には、ウエハ表示エリア9-26 〜9-50 が設けられている。そして、カセット内のウエハの搭載状態及び処理状態に対応して、各ウエハ表示エリア9に表示を行うものである。
【0009】
例えば、ウエハカセットの溝にウエハがある場合には、対応するウエハ表示エリア9にウエハが存在することを示す横線を表示し、ウエハがない場合には、横線の表示を行わない。図12の例では、表示エリア8bには横線の表示がなく、カセット室5bのウエハカセットにウエハが搭載されていないことを示している。また、ウエハがある場合には、ウエハの処理状態に応じて、「処理済」は表示色A、「未処理」は表示色Bで横線を表示して、処理の状態が一目で分かるようにしている。尚、表示色A及びBは、ユーザが任意に設定することができるものである。
【0010】
次に、上記表示を実現するための従来の半導体製造装置の表示に関与する部分について図13を用いて説明する。図13は、従来の半導体製造装置の表示に関与する部分の構成例を示す構成ブロック図である。図13に示すように、従来の半導体製造装置は、表示データ作成に伴う処理制御を行うモニタ画面制御部1と、表示部17と、表示部17における表示の制御を行う表示制御部16とから構成され、更に、モニタ画面制御部1は、ウエハカセットのどの溝にウエハがあるかを検出するウエハ検出手段11と、処理を終了したウエハがどの溝に戻ったかを検出するプロセス終了監視手段12と、表示データを作成する表示処理手段13と、個々の溝に対応して、ウエハの有無や処理状況等を格納するウエハ状況テーブル14と、表示データを格納する表示メモリ15とから構成されるものがあった。
【0011】
次に、各構成部分について具体的に説明する。モニタ画面制御部1のウエハ検出手段11は、ウエハカセットのどの溝にウエハがあるかを検出するものであり、カセット室5aのウエハカセット(ウエハカセットa)と、カセット室5bのカセット(ウエハカセットb)の各溝についてウエハの有無を検出して、ウエハの有無のデータをウエハ状況テーブル14に格納するものである。この時、カセット室5に設置されたウエハカセットの底部から順に、各溝に番号(溝No. )を付与し、その溝No. とウエハの有無のデータとを対応させて格納するようにしている。また、ウエハカセットaについては、溝No. として1〜25を与え、ウエハカセットbについては、26〜50を与えるようにしている。
【0012】
その際、ウエハ検出手段11は、溝にウエハがある場合には「1」、ウエハがない場合には「0」のデータを、カセットに対応したウエハ状況テーブル14の、該溝No. に対応する「ウエハの有無」に格納し、更に、表示処理手段13に表示データ作成指示を送出する。
【0013】
また、プロセス終了監視手段12は、ウエハが、処理を終えて搬送室7からカセット室5に戻ってきた場合に、どのカセットのどの溝に格納されたかを検出して、ウエハ状況テーブル14の当該溝No. に対応する「処理済フラグ」に、フラグ「1」を格納し、表示処理手段13に表示データ作成指示を送出する。ここで、プロセス終了監視手段12は、搬送室7からカセット室5へのアンロードの際に、カセットエレベータの位置を検出して、ウエハカセットの溝No. を特定する。これにより、どの溝No. のウエハがアンロードされたのか、すなわち、どのウエハが処理済なのかを管理することができるものである。
【0014】
ここで、従来のウエハ状況テーブル14について図14を用いて説明する。図14は、ウエハ状況テーブル14の模式説明図である。図14に示すように、ウエハ状況テーブル14は、ウエハカセットa及びbの各溝に対応して、ウエハ検出手段11から送出された「ウエハの有無」と、プロセス終了監視手段12から送出された「処理済フラグ」とを格納するものである。
【0015】
ウエハ状況テーブル14においては、「ウエハの有無」が「1」の場合には「ウエハ有り」、「0」の場合には「ウエハ無し」を示し、また、「処理済フラグ」が「1」の場合には「処理済」、「0」に場合には「未処理」を示すようになっている。
【0016】
そして、図13に示した表示処理手段13は、ウエハ状況テーブル14を参照して、ウエハ表示エリア9の表示データを作成するものであり、ウエハカセットa及びbの溝No. 1〜50に対応する表示エリア9-1〜9-50 について、ウエハの有無と、ウエハがある場合にはその処理状況を示す表示色を指定する表示データを作成し、表示メモリ15に格納する。
【0017】
具体的に説明すると、表示処理手段13は、ウエハ状況テーブル14から、各溝No. の「ウエハの有無」と「処理済フラグ」とを読み取り、「ウエハの有無」が「0」である溝No. に対応するウエハ表示エリア9ついては、ウエハ無しとして「背景色」のデータを表示メモリ15に格納する。また、「ウエハの有無」が「1」である溝No. については、更に、「処理済フラグ」を読み取り、「1」であれば処理済として表示色Aを格納し、「0」であれば未処理として表示色Bを格納するようになっている。そして、表示制御部16に表示指示を出力する。
【0018】
そして、表示制御部16は、表示メモリ15に格納された表示データを読み取って表示部17に出力し、指定された表示色で表示するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、上記従来の半導体製造装置及びそれにおける表示方法では、各ウエハの処理/未処理の表示を行うことができるが、処理が正常に終了したのかどうかは表示できないため、処理室内で異常が発生して、不良ウエハが回収された場合に、不良ウエハを特定することが困難であり、オペレータが正常ウエハと不良ウエハを混同してしまう恐れがあるという問題点があった。
【0020】
また、上記従来の半導体製造装置及びそれにおける表示方法では、ウエハの有無は表示するようにしているが、ウエハカセット自体が搭載されているかどうかの表示がないため、オペレータがウエハカセットを搭載し忘れる恐れがあるという問題点があった。
【0021】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、各ウエハの処理/未処理だけでなく、処理が正常に終了したかどうかを表示して、正常ウエハと不良ウエハの区別を明確にし、正常ウエハと不良ウエハの混同を防ぐことができ、また、ウエハカセットの有無を表示してオペレータがウエハカセットを確実に搭載することができる半導体製造装置における表示方法及び半導体製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、少なくともカセットを格納するカセット室と、処理を行うプロセスチャンバと、カセット内のウエハをプロセスチャンバへ搬送するための搬送室とを備える半導体製造装置の表示部に、上から見た当該半導体製造装置イメージを描画し、カセットの有無を表示する半導体製造装置における表示方法であって、表示部には、カセットの有無を表示するカセット表示エリアが設けられ、半導体製造装置イメージが表示されると共にカセット表示エリアカセット室にカセットが存在するかどうかが表示されることを特徴とする。
【0023】
本発明は、上記半導体製造装置における表示方法において、カセット表示エリアの所定の位置にウエハが存在するかどうかが表示されることを特徴とする。
【0024】
本発明は、上記半導体製造装置における表示方法において、カセット表示エリアに複数のウエハ表示エリアが設けられ、ウエハ表示エリアは、カセット内の溝にウエハが存在するかどうかが表示されることを特徴とする。
【0025】
本発明は、上記半導体製造装置における表示方法において、ウエハのプロセスが処理済み又は未処理かによってウエハの表示色を違えることを特徴とする。
【0026】
本発明は、上記半導体製造装置における表示方法において、ウエハのプロセス処理結果が正常か又は異常かによってウエハの表示色を違えることを特徴とする。
【0027】
本発明は、少なくともカセットを格納するカセット室と、処理を行うプロセスチャンバと、カセット内のウエハをプロセスチャンバへ搬送するための搬送室とを備える半導体製造装置の表示部に、上から見た当該半導体製造装置イメージを描画し、カセットの有無を表示する半導体製造装置であって、表示部には、カセットの有無を表示するカセット表示エリアが設けられ、半導体製造装置イメージを表示すると共にカセット表示エリアにカセットが存在するかどうか表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、少なくともカセットを格納するカセット室と、処理を行うプロセスチャンバと、カセット内のウエハをプロセスチャンバへ搬送するための搬送室とを備える半導体製造装置の表示部に、上から見た当該半導体製造装置イメージを描画し、カセットの有無を表示する半導体製造装置における表示方法であって、表示部には、カセットの有無を表示するカセット表示エリアが設けられ、半導体製造装置イメージが表示されると共にカセット表示エリアカセット室にカセットが存在するかどうかが表示される半導体製造装置における表示方法としているので、カセット室内のカセットの有無をオペレータに知らせることができる効果がある。
【0029】
本発明によれば、少なくともカセットを格納するカセット室と、処理を行うプロセスチャンバと、カセット内のウエハをプロセスチャンバへ搬送するための搬送室とを備える半導体製造装置の表示部に、上から見た当該半導体製造装置イメージを描画し、カセットの有無を表示する半導体製造装置であって、表示部には、カセットの有無を表示するカセット表示エリアが設けられ、半導体製造装置イメージを表示すると共にカセット表示エリアにカセットが存在するかどうか表示する半導体製造装置としているいので、カセット室内のカセットの有無をオペレータに知らせることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例に係る半導体製造装置である枚葉式CVD装置の概略構成説明図である。
【図2】本実施例のCVD装置における表示例を示す説明図である。
【図3】本実施例の半導体製造装置の構成を示す構成ブロック図である。
【図4】本実施例のウエハ状況テーブル24の模式説明図である。
【図5】プロセス管理テーブル28の模式説明図である。
【図6】表示メモリ25の模式説明図である。
【図7】プロセス終了監視手段22におけるプロセス監視開始時の処理を示すフローチャート図である。
【図8】プロセス終了監視手段22が処理の終了を検出した場合の処理を示すフローチャート図である。
【図9】表示処理手段23における表示データ作成処理の概略フローチャート図である。
【図10】表示処理手段23におけるウエハ表示エリア9の表示データ作成処理のフローチャート図である。
【図11】従来の枚葉式CVD装置の構成を示す平面図である。
【図12】従来の枚葉式CVD装置における表示画面の例を示す説明図である。
【図13】従来の半導体製造装置の表示に関与する部分の構成例を示す構成ブロック図である。
【図14】従来のウエハ状況テーブル14の模式説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る半導体製造装置である枚葉式CVD装置の概略構成説明図である。本実施の形態の枚葉式CVD装置は、モニタ画面にカセット室内のウエハカセットの有無とウエハの搭載状況を表示し、更に、個々のウエハについて処理/未処理だけでなく、処理が正常に終了したか否かを色によって区別して表示するようにしたものである。
【0032】
図1に示すように、本実施の形態の枚葉式CVD装置の基本的な構成は、図11に示した従来の枚葉式CVD装置とほぼ同様であり、カセット室5a及び5bと、反応炉6a(PC1)及び6b(PC2)と、搬送室7と、反応炉6から取り出したウエハを冷却する冷却室31a及び31bとから構成されており、各カセット室5には、ウエハカセットを出し入れするカセットローダ32と、ウエハカセットを上下するカセットエレベータ33とが設けられている。更に、反応炉6にガスを供給する配管部や、各反応炉6の制御系が設けられ、装置前面のパネルには、表示部17が設けられている。
【0033】
また、本実施の形態のCVD装置は、従来と同様に、1回装置内に搬入したウエハについて、反応炉6及び冷却室15での複数の処理(ここでは4処理まで)を連続して行うことができるものである。そして、搬送順や各々の処理室での処理の内容等は予めレシピによって設定されており、それに従って処理が行われるものである。
【0034】
次に、本実施の形態のCVD装置における表示例について図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態のCVD装置における表示例を示す説明図である。本実施の形態の表示例は、図2に示すように、従来と同様に装置イメージを描画し、カセット室5a及び5bのイメージの横に、表示エリア8a及び8bを設け、各カセット室5におけるウエハカセット及びウエハの搭載状況を表示するものである。従来例と同様に、表示エリア8aの内部に個々のウエハに対応したウエハ表示エリア9-1〜9-25 が設けられ、表示エリア8b内にウエハ表示エリア9-26 〜9-50 が設けられている。
【0035】
そして、従来と同様にウエハがある溝については対応するウエハ表示エリア9に横線を表示し、ウエハがない溝についてはウエハ表示エリア9に横線を表示しない。また、本実施の形態の特徴として、「未処理」のウエハを表示色Cで表示し、「処理済」のウエハのうち、正常に処理が終了したウエハを表示色Dで表示し、異常があったウエハを表示色Eで表示するようにしている。このように、正常ウエハと異常ウエハとの区別を明確に表示することにより、正常ウエハと異常ウエハとの混同を防ぐことができるものである。
【0036】
更に、本実施の形態では、ウエハカセットが搭載されている場合のみ、ウエハの処理状況を分かり易くするために、ウエハ5枚、つまり溝5本毎に目印となるスケールを表示している。すなわち、スケール表示の有無により、オペレータにカセットが搭載されているかどうかを知らせることができるものである。
【0037】
次に、上記表示例を実現する本実施の形態の半導体製造装置の構成について図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態の半導体製造装置の構成を示す構成ブロック図である。図3に示すように、本実施の形態の半導体製造装置は、従来の半導体製造装置と同様に、モニタ画面制御部2と、表示制御部16と、表示部17とから構成されている。更に、モニタ画面制御部2は、従来と同様のウエハ検出手段21と、表示メモリ25とを備え、更に、各プロセスの処理結果を監視するプロセス終了監視手段22と、溝No. 毎のウエハの有無や処理結果等を格納するウエハ状況テーブル24と、表示データを作成する表示処理手段23と、ウエハカセットの有無を検出するカセット検出手段26と、どのウエハカセットのどの溝からウエハが搬送室7内に搬送されたかを監視するローダ監視手段27と、ウエハ毎に各プロセスの処理結果を格納するプロセス管理テーブル28とから構成されている。
【0038】
次に、各構成部分について具体的に説明する。ウエハ検出手段21は、従来と同様の部分であり、一定時間毎に、ウエハカセットa及びbの各溝のウエハの有無を検出して、結果をウエハ状況テーブル24の「ウエハの有無」に溝No. 毎に格納し、表示処理手段23に表示データ作成指示を送出するものである。
【0039】
次に、ウエハ状況テーブル24について図4を用いて説明する。図4は、本実施の形態のウエハ状況テーブル24の模式説明図である。図4に示すように、本実施の形態のウエハ状況テーブル24は、カセット室5a及びカセット室5bのそれぞれについてカセットが搭載されているかどうかを示す「カセット」と、ウエハカセットの個々の溝に対応する「溝No. 」と、それぞれの溝No. に対応して、「ウエハの有無」と、処理が終わったかどうかを示す「処理済フラグ」と、全ての処理が正常に終了したかどうかを示す「処理結果」の各エリアから構成されている。これらのエリアの内、「溝No. 」と「ウエハの有無」と「処理済フラグ」は、図14に示した従来のウエハ状況テーブル14と同様の部分である。
【0040】
ウエハ状況テーブル24において、「カセット」は、溝No. 1〜25に対応する部分がウエハカセットa、溝No. 26〜50に対応する部分がウエハカセットbの検出結果となっている。そして、「1」が「ウエハカセット有り」、「0」が「ウエハカセット無し」を示している。また、「処理結果」は、プロセス終了監視手段22から送出された処理結果のデータを格納するエリアであり、各溝No. のウエハについて、全てのプロセスが正常に終了した場合には「正常(OK)」、異常のプロセスが1つでもあった場合には「異常(NG)」とする。これにより、ウエハカセットの溝No. 毎に、当該溝に格納されているウエハのプロセスが正常に終了したかどうかを管理することができるものである。
【0041】
次に、本実施の形態の特徴部分であるカセット検出手段26と、ローダ監視手段27と、プロセス監視手段22と、表示処理手段23について図3を用いて説明する。カセット検出手段26は、カセット室5a及び5bにウエハカセットが搭載されているかどうかを検出するものである。そして、ウエハカセットa,bそれぞれについて検出データをウエハ状況テーブル24の「カセット」に格納し、表示処理手段23に表示データ作成指示を送出する。
【0042】
また、ローダ監視手段27は、ウエハが、ウエハカセットa又はbのどの溝から搬送室7内に搬送されたかを検出して、その溝No. をプロセス終了監視手段22に送出し、搬送室7に搬送されたウエハに固有の番号を与えるものである。つまり、本実施の形態では溝No. をそのままウエハの固有番号として処理に用いるようにしている。
【0043】
また、プロセス終了監視手段22は、従来と同様に、処理が終了したウエハがウエハカセットのどの溝に戻ったかを検出すると共に、本実施の形態の特徴として、各処理室(反応炉6a,6b及び冷却室31a,31b)におけるプロセスが正常に終了したか否かを検出して、プロセス結果としてプロセス管理テーブル28に格納し、更に、個々のウエハについて、全てのプロセスが正常に終了したかどうかを判断して、処理結果としてウエハ状況テーブル24に格納するものである。
【0044】
ここで、本実施の形態の特徴部分であるプロセス管理テーブル28について、図5を用いて説明する。図5は、プロセス管理テーブル28の模式説明図である。図5に示すように、プロセス管理テーブル28は、ウエハカセットa及びbの溝No. と、プロセス結果を対応させて格納するものであり、各溝から取り出された個々のウエハについて、プロセス結果を記憶しておくようになっている。本実施の形態では連続4処理まで行うことができるので、溝No. 1〜50に対応して、「プロセス1」、「プロセス2」、「プロセス3」、「プロセス4」のエリアを設け、プロセス終了監視手段22から送出されたプロセス結果として、「正常(OK)」または「異常(NG)」を格納するようになっている。
【0045】
更に、プロセス管理テーブル28には、「現在プロセス」のエリアが設けられ、処理中のウエハについては、現在実行中のプロセスの番号1〜4を示すようになっている。
【0046】
そして、図3に示したプロセス終了監視手段22は、全ての処理が終了したウエハについて、プロセス管理テーブル28からプロセス結果を読み取って、全てのプロセス結果が「正常」であるかどうかを判断し、ウエハ状況テーブル24の「処理結果」に「正常(OK)」か「異常(NG)」かを格納し、表示処理手段23に表示データ作成指示を送出するものである。尚、プロセス終了監視手段22の処理については、後で詳細に説明する。
【0047】
また、表示処理手段23は、ウエハ状況テーブル24を参照して、表示エリア8の表示データを作成し、表示メモリ25に格納するものである。本実施の形態では、ウエハ状況テーブル24の「カセット」に対応して、表示エリア8のスケール表示を行うようにしており、カセット有りの場合には、スケール表示を行い、カセット無しの場合は、スケール表示を行わない。カセット無しの場合には、当然、ウエハも無いので、表示エリア8には何も表示されないことになる。
【0048】
更に、カセット有りの場合には、表示処理手段23は、ウエハ状況テーブル24を参照して、各溝No. に対応したウエハ表示エリア9の表示色を指定する表示データを作成し、表示メモリ25に格納する。つまり、溝No. 毎に、ウエハ状況テーブル24から「ウエハの有無」と、「処理済フラグ」と、「処理結果」とを読み取って、それに対応した表示色のデータを作成し、表示メモリ25に格納するものである。本実施の形態では、ウエハが格納されている溝については、個々のウエハの処理結果に応じて「未処理」は表示色C、「処理済、正常」は表示色D、「処理済、異常」は表示色Eの表示データを作成するようにしている。尚、表示処理手段23の処理については、後で詳細に説明する。
【0049】
ここで、表示メモリ25について図6を用いて説明する。図6は、表示メモリ25の模式説明図である。図6に示すように、表示メモリ25は、図2に示した表示エリア8a(図6では表示エリアa)と、表示エリア8b(表示エリアb)に対応する「スケール表示」と、「ウエハ表示エリア」と、各「ウエハ表示エリア」に対応する「表示色」とを格納するものである。
【0050】
「スケール表示」は、表示エリア8a及び8bにおけるスケール表示の有無(ウエハカセットの有無)を指定するものであり、「ウエハ表示エリア」は、表示エリアa及びb内に設けられたウエハ表示エリア9の番号を格納している。前述したように、表示エリア9は、ウエハカセットa及びウエハカセットb内の溝No. に対応して、個々の溝に格納されているウエハの状況を表示するようになっており、図6では、表示エリアaにはウエハ表示エリア1〜25が対応し、表示エリアbにはウエハ表示エリア26〜50が対応している。また、「表示色」は、各「ウエハ表示エリア」に対応する表示色を格納しているものである。
【0051】
そして、表示制御部16が、従来と同様に、表示メモリ25から、「スケール表示」と「ウエハ表示エリア」に対応する「表示色」の表示データを読み取って表示部17に出力し、表示させるようになっている。
【0052】
次に、プロセス終了監視手段22の処理について、図7及び図8を用いて説明する。図7は、プロセス終了監視手段22におけるプロセス監視開始時の処理を示すフローチャート図であり、図8は、処理の終了を検出した場合の処理を示すフローチャート図である。図7に示すように、プロセス終了監視手段22は、ローダ監視手段27から溝No. を受信する(100)と、図5のプロセス管理テーブル28の当該溝No. に対応する「現在プロセス」に「1」を格納する(102)。つまり、当該溝No.で表されるウエハが、プロセス1を実行中であることを示すものである。これによりプロセス終了監視手段22は当該溝No. のウエハの監視状態に入る。
【0053】
次に、プロセス終了を検出した場合の処理について図8を用いて説明する。図8に示すように、監視状態において、プロセス終了監視手段22が、プロセスi(i=1〜4)の正常終了または異常終了を検出する(200)と、図5のプロセス管理テーブル28から「現在プロセス」が「i」になっている溝No. を特定する(202)。そして、当該溝No. のプロセスiの「プロセス結果」として、検出結果(「正常」または「異常」)を格納し(204)、全てのプロセスが終了したかどうかを判断する(206)。全てのプロセスが終了していない場合には、当該溝No. の「現在プロセス」に1を加え(208)、引き続き監視を続ける。
【0054】
また、処理206で、全てのプロセスが終了したと判断された場合には、「現在プロセス」をブランクに設定し(212)、図5のプロセス管理テーブル28を参照して当該溝No. の全てのプロセス結果が「正常」であるかどうかを判断する(220)。
【0055】
処理220で全てのプロセス結果が「正常」であれば、ウエハ状況テーブル24の「処理結果」に「正常」を格納し(222)、処理226に移行する。また、処理220で、プロセス結果に1つでも「異常」があれば、ウエハ状況テーブル24の「処理結果」に「異常」を格納し(224)、処理を終了する。
【0056】
また、プロセス終了監視手段22が、処理が終了したウエハのアンロードを検出した場合には、従来と同様に、図4のウエハ状況テーブル24の当該溝No. に対応する「処理済フラグ」に「1」を格納し、表示処理手段23に表示データ作成指示を送出し、当該溝No. のウエハの監視を終了する。このようにしてプロセス終了監視手段22の処理が行われるものである。
【0057】
次に、表示処理手段23の処理について図9及び図10を用いて説明する。図9は、表示データ作成処理の概略フローチャート図であり、図10は、図9の処理310に示したウエハ表示エリア9の表示データ作成処理のフローチャート図である。図9に示すように、スケール表示の表示データ作成処理では、まず、表示処理手段23が、図4のウエハ状況テーブル24から「カセット室」と「カセット」を読み取り(300)、カセットが搭載されているかどうかを判断し(302)、カセットが有る場合には、図6の表示メモリ25の当該カセット室の表示エリアに対応する「スケール表示」にスケール表示「有」を設定し(304)、そして当該ウエハカセットに対応するウエハ表示エリアの表示データの作成処理を行い(310)、処理316に移行する。
【0058】
また、処理302で、カセット無しの場合には、表示メモリ25の当該カセット室の表示エリアに対応する「スケール表示」にスケール表示「無」を設定し(312)、表示メモリ25の当該カセット室に対応する全てのウエハ表示エリアの「表示色」に「背景色」を格納し(314)、表示エリアa,b共に表示データの作成が終了したかどうかを判断し(316)、終わっていなければ他方について同様の処理を行う。表示エリアa,b共に終わっていれば、表示制御部16に表示指示を送出して、処理を終了する。このようにして表示データの作成処理を行うものである。
【0059】
次に、図9の処理310に示したウエハ表示エリアの表示データ作成処理について図10を用いて説明する。図10に示すように、表示処理手段23は、図4のウエハ状況テーブル24から先頭の溝No. について「溝No. 」と「ウエハの有無」と「処理済フラグ」と「処理結果」を読み取る(400)。そして「ウエハの有無」が「0」か「1」かを判断し(402)、「0」であれば表示メモリ25の当該溝No. に対応するウエハ表示エリアの「表示色」に「背景色」を格納し(404)、処理420に移行する。これにより、ウエハのない溝については、ウエハを示す横線を背景色で表示することになり、表示をしていないように見えるものである。
【0060】
また、処理402で「ウエハの有無」が「1」であった場合には、「処理済フラグ」が「0」か「1」かを判断し(406)、「0」であれば未処理として表示メモリ25に表示色Cを格納し(408)、処理420に移行する。
【0061】
処理406で「処理済フラグ」が「1」であった場合には、更に、「処理結果」が「正常」であるか「異常」であるかを判断する(410)。「正常」であれば表示メモリ25に表示色Dを格納し(412)、「異常」であれば表示色Eを格納する(414)。
【0062】
そして、全ての溝No. について表示データを作成したかどうかを判断し(420)、作成した場合には処理を終了し、作成していない場合には、処理400に戻って次の溝No. について同様の処理を繰り返す。このようにして表示処理手段23における処理が行われるものである。
【0063】
本実施の形態の半導体製造装置及びそれにおける表示方法によれば、ウエハが搬出された溝No. を検出して、ウエハに固有番号を与えるローダ監視手段27と、個々のウエハについて全てのプロセスが正常に終了したかどうかを判断して、プロセス結果としてウエハ状況テーブル24に格納するプロセス終了監視手段22と、ウエハ状況テーブル24を参照して、各ウエハのプロセス結果に対応して表示色を指定する表示データを作成する表示処理手段23とを設けているので、表示エリア8内のウエハ表示エリア9に、ウエハカセットの溝No. 毎に、当該溝に格納されているウエハのプロセス結果に対応した表示色で表示を行うことができ、正常ウエハと不良ウエハの区別を明確にして、混同を防ぐことができる効果がある。
【0064】
また、本実施の形態の半導体製造装置及びそれにおける表示方法によれば、ウエハカセットが搭載されているかどうかを検出するカセット検出手段26を設け、表示処理手段23がカセットの有無に対応してスケール表示の表示データを作成するようにしているので、ウエハカセットが搭載されている場合のみ、表示エリア8にスケール表示を行うことができ、ウエハカセットが搭載されているかどうかを明確に表示して、オペレータのカセット搭載忘れを防止することができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、各ウエハの処理/未処理だけでなく、処理が正常に終了したかどうかを表示して、正常ウエハと不良ウエハの区別を明確にし、正常ウエハと不良ウエハの混同を防ぐことができ、また、ウエハカセットの有無を表示してオペレータがウエハカセットを確実に搭載することができる半導体製造装置における表示方法及び半導体製造装置に好適である。
【符号の説明】
【0066】
1、2...モニタ画面制御部、 5...カセット室、 6...反応炉、 7...搬送室、 8...表示エリア、 9...ウエハ表示エリア、 11...ウエハ検出手段、 12...プロセス終了監視手段、 13...表示処理手段、 14...ウエハ状況テーブル、 15...表示メモリ、 16...表示制御部、 17...表示部、 21...ウエハ検出手段、 22...プロセス終了監視手段、 23...表示処理手段、 24...ウエハ状況テーブル、 25...表示メモリ、 26...カセット検出手段、 27...ローダ監視手段、 28...プロセス管理テーブル、 31...冷却室、 32...カセットローダ、 33...カセットエレベータ、 71...CCアーム、 72...PCアーム、 73...ストレージカセット、 74...アライメントユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともカセットを格納するカセット室と、処理を行うプロセスチャンバと、前記カセット内のウエハを前記プロセスチャンバへ搬送するための搬送室とを備える半導体製造装置の表示部に、上から見た当該半導体製造装置イメージを描画し、前記カセットの有無を表示する半導体製造装置における表示方法であって、
前記表示部には、カセットの有無を表示するカセット表示エリアが設けられ、前記半導体製造装置イメージが表示されると共に前記カセット表示エリアに前記カセット室にカセットが存在するかどうかが表示されることを特徴とする半導体製造装置における表示方法。
【請求項2】
前記カセット表示エリアの所定の位置にウエハが存在するかどうかが表示されることを特徴とする請求項1記載の半導体製造装置における表示方法。
【請求項3】
前記カセット表示エリアに複数のウエハ表示エリアが設けられ、
前記ウエハ表示エリアは、前記カセット内の溝に前記ウエハが存在するかどうかが表示されることを特徴とする請求項2記載の半導体製造装置における表示方法。
【請求項4】
前記ウエハのプロセスが処理済みか又は未処理かによってウエハの表示色を違えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つ記載の半導体製造装置における表示方法。
【請求項5】
前記ウエハのプロセスの処理結果が正常又は異常かによってウエハの表示色を違えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つ記載の半導体製造装置における表示方法。
【請求項6】
少なくともカセットを格納するカセット室と、処理を行うプロセスチャンバと、前記カセット内のウエハを前記プロセスチャンバへ搬送するための搬送室とを備える半導体製造装置の表示部に、上から見た当該半導体製造装置イメージを描画し、前記カセットの有無を表示する半導体製造装置であって、
前記表示部には、カセットの有無を表示するカセット表示エリアが設けられ、前記半導体製造装置イメージを表示すると共に前記カセット表示エリアにカセットが存在するかどうかを表示することを特徴とする半導体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−228739(P2011−228739A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150774(P2011−150774)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【分割の表示】特願2009−258862(P2009−258862)の分割
【原出願日】平成7年1月11日(1995.1.11)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】