説明

半導体集積回路装置

【課題】SOCチップの面積増加を抑えつつ消費電力を抑制することができる半導体集積回路装置を実現する。
【解決手段】本発明の半導体集積回路装置は、互いに電源配線が分離された第1および第2の回路ブロックと、前記第1および第2の回路ブロックが形成されているSOCチップ12と、前記第1の回路ブロックからの制御信号に基づいて、前記第2の回路ブロックへの電源供給を制御するレギュレータ回路が形成されているSWチップ16a〜16cを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置に係り、特に、大規模なSOC(System On Chip)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体製造プロセスの微細化の進展に伴って、半導体集積回路装置はより大規模化し、システム全体を1つの半導体チップに集積したSOCが開発されている。しかし、微細化プロセスを使用した半導体チップでは回路素子の耐圧が低下する傾向にあり、このため、降圧型レギュレータ回路を別チップに形成し、これをSOCチップと同じパッケージに封入する方法(例えば、「特許文献1」を参照。)が考えられている。
【0003】
一方、微細化の進展、SOCの大規模化とトレードオフの関係でスタンバイ電力(待機電力)の増加が顕著と成ってきている。このスタンバイ電力を抑制するため、回路全体をいくつかの回路ブロックに分割し、SOCの動作状況に応じて不要な回路ブロックへの電源供給を遮断する方法が考えられる。
【0004】
しかしながら、従来の半導体集積回路装置でこのような分割を行うためには、SOCチップ内に回路ブロックごとに制御可能な専用電源回路を形成しなければならず、各専用電源回路の分だけSOCチップの面積が増加し、コストが増加してしまうという問題があった。また、最先端の微細化プロセスを使用したSOCチップの面積を抑制するためにこれら専用電源をパッケージ外部から供給する場合には、回路ブロックごとに専用電源端子が必要となり、パッケージの総端子数が増加し結果的にコストの増大につながるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−261603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、SOCチップの面積増加を抑えつつ消費電力を抑制することができる半導体集積回路装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、互いに電源配線が分離された第1および第2の回路ブロックと、前記第1および第2の回路ブロックが形成されている第1の半導体チップと、前記第1の回路ブロックからの制御信号に基づいて、前記第2の回路ブロックへの電源供給を制御するレギュレータ回路が形成されている第2の半導体チップを有することを特徴とする半導体集積回路装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、SOCチップの面積増加を抑えつつ消費電力を抑制することができるので、製造コストを抑えつつ高品質の半導体集積回路装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例に係る半導体集積回路装置におけるMCP(Multi Chip Package)の構造を示す断面図。
【図2】本発明の実施例に係る半導体集積回路装置の一例を示す回路ブロック図。
【図3】本発明の実施例に係る半導体集積回路装置におけるレギュレータ回路の一例を示す回路図。
【図4】本発明の実施例に係る半導体集積回路装置におけるレギュレータ回路の別の一例を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【実施例】
【0011】
図1は、本発明の実施例に係る半導体集積回路装置におけるMCP(Multi Chip Package)の構造を示す断面図である。ここでは、一例として、レギュレータ回路が搭載された3つの半導体チップ(以下、「SWチップ」という。)をSOCチップ上に表面実装したBGA(Ball Grid Array)パッケージを示した。
【0012】
本発明の実施例に係る半導体集積回路装置は、プリント基板11、SOCチップ12、およびSWチップ16a〜16cを備えている。
【0013】
プリント基板11の片面には外部との接続に用いる複数の半田ボール13が接着され、プリント基板11を挟んで半田ボール13と対向する面にはSOCチップ12が接着され、半田ボール13とSOCチップ12はボンディングワイヤ14とプリント基板11中に形成されたスルー配線とで電気的に接続され、SWチップ16a〜16cはSOCチップ12上にナノボール15を挟んで対向して接着され、SWチップ16a〜16cとSOCチップ12はそれぞれ複数のナノボール15を介して電気的に接続され、SOCチップ12、SWチップ16a〜16c、ボンディングワイヤ14、およびナノボール15はモールド樹脂17に封入されている。
【0014】
SOCチップ12には電源配線が互いに分離された複数の回路ブロックが形成され、それぞれの回路ブロックには、SWチップ16a〜16cのレギュレータ回路から供給される電源、または、外部から供給される電源が接続されている。
【0015】
SWチップ16a〜16cは、それぞれ、SOCチップ12上の対応する回路ブロックに合わせて必要な定電圧を供給するレギュレータ回路を搭載し、制御信号に基づいて対応する回路ブロックに対して電源の供給を停止したり複数の異なる電源電圧を切り替えて供給したりすることができる。
【0016】
また、SWチップ16a〜16cには、SOCチップ12より緩いデザインルールが用いられている。これにより、動作時の消費電流が大きくかつ比較的高耐圧が要求されるSWチップ16a〜16cを安価に製造することができる。
【0017】
図2は、本発明の実施例に係る半導体集積回路装置を示す回路ブロック図である。ここでは、一例として、互いに電源配線が分離された3つの回路ブロックとそれらにかかわる2つのレギュレータ回路を示した。
【0018】
本発明の実施例に係る半導体集積回路装置は、SOCチップ12上に回路ブロック21〜23、およびアイソレーション回路24a〜24dを備え、SWチップ上にレギュレータ回路25、26を備えている。
【0019】
回路ブロック21の出力OUTはアイソレーション回路24aの入力に接続され、回路ブロック21の入力INにはアイソレーション回路24bの出力が接続され、回路ブロック21の電源入力PSには半田ボール13からなる電源端子27が接続され、回路ブロック21の制御出力/CE2はレギュレータ回路25の制御入力に接続され、回路ブロック21の制御出力/CE3はレギュレータ回路26の第1の制御入力に接続され、回路ブロック21の制御出力SELはレギュレータ回路26の第2の制御入力に接続され、レギュレータ回路25および26の入力には電源端子27が接続されている。
【0020】
回路ブロック22の出力OUT1はアイソレーション回路24bの入力に接続され、回路ブロック22の入力IN1にはアイソレーション回路24aの出力が接続され、回路ブロック22の出力OUT2はアイソレーション回路24cの入力に接続され、回路ブロック22の入力IN2にはアイソレーション回路24dの出力が接続され、回路ブロック22の電源入力PSにはレギュレータ回路25の出力が接続されている。
【0021】
回路ブロック23の出力OUTはアイソレーション回路24dの入力に接続され、回路ブロック23の入力INにはアイソレーション回路24cの出力が接続され、回路ブロック23の電源入力PSにはレギュレータ回路26の出力が接続されている。
【0022】
回路ブロック21は、電源端子27から供給される外部電源電圧(例えば、1.2V。以下、「Vdd」という。)で動作し、SOCの動作状態に応じてレギュレータ回路25および26を制御する機能を備えている。
【0023】
すなわち、回路ブロック21は、必要に応じて回路ブロック22または23への電源供給をオン/オフする制御信号(/CE2、/CE3)を生成する。また、回路ブロック21は、回路ブロック23の動作状態に応じて高い電圧(例えば、1.2V。:高速動作モード)、または、低い電圧(例えば、0.8V。:低速動作モードもしくは待機モード)を選択する制御信号SELを生成する。
【0024】
レギュレータ回路25〔以下、「SW_TypeA」ともいう。〕は、回路ブロック21からの/CE2に基づいて、回路ブロック22への電源供給をオン/オフする。
【0025】
レギュレータ回路26〔以下、「SW_TypeB」ともいう。〕は、回路ブロック21からの/CE3に基づいて回路ブロック23への電源供給をオン/オフし、さらに、回路ブロック21からのSELに基づいて回路ブロック23への電源電圧〔例えば、1.2V/0.8V。)を選択して供給する。
【0026】
アイソレーション回路24a〜24dは、回路ブロック22または23に電源が供給されていない時に入力INを固定する機能を備えている。例えば、回路ブロック22と回路ブロック21との間にあるアイソレーション回路24bは、回路ブロック22に電源が供給されていない時に回路ブロック22から回路ブロック21へ出力される信号が不定となるため、回路ブロック21の入力INを固定する。
【0027】
図3は、本発明の実施例に係る半導体集積回路装置におけるレギュレータ回路25(SW_TypeA)の一例を示す回路図である。
本発明の実施例に係る半導体集積回路装置は、定電流源31、抵抗32(Vref)、制御入力付きのOPアンプ33、およびp型MOSFETの出力トランジスタ34を備えている。
【0028】
定電流源31の一端はVddに接続され、定電流源31の他端は抵抗32の一端およびOPアンプ33の(−)入力に接続され、抵抗32の他端は接地電位(以下、「GND」という。)に接続され、OPアンプ33の制御入力には回路ブロック21からの/CE2が接続され、OPアンプ33の出力は出力トランジスタ34のゲートに接続され、出力トランジスタ34のソースおよびバックゲートはVddに接続され、出力トランジスタ34のドレインはOPアンプ33の(+)入力に接続されるとともにレギュレータ回路25の出力Voutとして回路ブロック22の電源入力PSに接続されている。
【0029】
レギュレータ回路25は、図3の表に示したように、/CE2が“Low”である時にVref基準電圧に応じた電圧をVoutに出力し、/CE2が“High”である時にVout出力をオフする。
【0030】
図4は、本発明の実施例に係る半導体集積回路装置におけるレギュレータ回路26(SW_TypeB)の一例を示す回路図である。
本発明の実施例に係る半導体集積回路装置は、定電流源41、抵抗42a(Vref1)および抵抗42b(Vref2)、制御入力付きのOPアンプ43、p型MOSFETの出力トランジスタ44、および選択スイッチ45を備えている。
【0031】
定電流源41の一端はVddに接続され、定電流源41の他端は選択スイッチ45の入力およびOPアンプ43の(−)入力に接続され、選択スイッチ45の制御入力には回路ブロック21からのSELが接続され、選択スイッチ45の一方の出力は抵抗42aの一端に接続され、選択スイッチ45の他方の出力は抵抗42bの一端に接続され、抵抗42aの他端および抵抗42bの他端はGNDに接続され、OPアンプ43の制御入力には回路ブロック21からの/CE3が接続され、OPアンプ43の出力は出力トランジスタ44のゲートに接続され、出力トランジスタ44のソースおよびバックゲートはVddに接続され、出力トランジスタ44のドレインはOPアンプ43の(+)入力に接続されるとともにレギュレータ回路26の出力Voutとして回路ブロック23の電源入力PSに接続されている。
【0032】
レギュレータ回路26は、図4の表に示したように、/CE3が“Low”である時にVref1またはVref2基準電圧に応じた電圧をVoutに出力し、/CE3が“High”である時にVout出力をオフする。
【0033】
また、レギュレータ回路26は、/CE3が“Low”でかつSELが“Low”である時にVref1基準電圧に応じた電圧をVoutに出力し、/CE3が“Low”でかつSELが“High”である時にVref2基準電圧に応じた電圧をVoutに出力する。
【0034】
上記実施例によれば、SOCチップ12の表面にレギュレータ回路内蔵のSWチップ16a〜16cを表面実装(MCP)しているので、SOCチップ面積およびパッケージ面積を増加させずに各回路ブロック単位で必要に応じて電源をオン/オフすることができ、半導体集積回路装置の低消費電力を実現することができる。
【0035】
また、上記実施例によれば、SWチップ16a〜16cはレギュレータ機能を有しているので、単に電源供給のオン/オフだけでなく動作状態に応じて各回路ブロックで必要とする最低限の電圧を制御しながら供給することができ、半導体集積回路装置の低消費電力と高性能を同時に達成することができる。
【0036】
さらに、上記実施例によれば、SWチップ16a〜16cの制御はSOCチップ12の内部で行われるため、パッケージに回路ブロック単位での専用電源端子や専用制御端子が不要となり、端子数を削減することができるので、より小型で安価なパッケージを使用することができる。
【0037】
さらに、上記実施例によれば、付加するSWチップ16a〜16cは、SOCチップ12と同一の微細プロセスを使う必要が無いので、安価なプロセスでSWチップ16a〜16cを製造でき、半導体集積回路装置のコストを抑えることが可能となる。
【0038】
さらに、上記実施例によれば、SOCチップ12の面積増加を抑えつつ消費電力を抑制することができるので、製造コストを抑えつつ高品質の半導体集積回路装置を実現することができる。
【0039】
上述の実施例では、レギュレータ回路26(SW_TypeB)は、2つの異なる電源電圧を選択的に出力するとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、原理的には3以上の電源電圧に対しても適用可能である。
【0040】
また、上述の実施例では、3つのSWチップ16a〜16cを用いるとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、原理的には1つ以上のSWチップに対して適用可能である。
【0041】
さらに、上述の実施例では、SWチップ16a〜16cはSOCチップ12上に表面実装するとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、一般的なマルチチップパッケージの実装方法に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
11 プリント基板
12 SOCチップ
13 半田ボール
14 ボンディングワイヤ
15 ナノボール
16a〜16c SWチップ
17 モールド樹脂
21〜23 回路ブロック
24a〜24d アイソレーション回路
25、26 レギュレータ回路
/CE2、/CE3、SEL 制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに電源配線が分離された第1および第2の回路ブロックと、
前記第1および第2の回路ブロックが形成されている第1の半導体チップと、
前記第1の回路ブロックからの制御信号に基づいて、前記第2の回路ブロックへの電源供給を制御するレギュレータ回路が形成されている第2の半導体チップを有することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
前記レギュレータ回路は、前記制御信号に基づいて前記第2の回路ブロックへの電源供給をオン/オフすることを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路装置。
【請求項3】
前記レギュレータ回路は、前記制御信号に基づいて複数の電源電圧の中から1つを選択し前記第2の回路ブロックへ供給することを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路装置。
【請求項4】
前記第2の半導体チップは、前記第1の半導体チップのデザインルールより緩いデザインルールが用いられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路装置。
【請求項5】
前記第1および第2の半導体チップがモールド樹脂に封入されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−245413(P2010−245413A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94532(P2009−94532)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】