説明

半導体集積回路

【課題】複数のノイズパルスが連続して印加される場合においてもノイズを除去する能力を高めたノイズ除去回路を含む半導体集積回路を提供する。
【解決手段】この半導体集積回路は、入力信号を遅延する直列接続された複数の遅延回路と、複数の遅延回路によって互いに時間差が与えられた少なくとも3つの信号の論理積を求めることによってセット信号を生成する第1の論理回路と、複数の遅延回路によって互いに時間差が与えられた少なくとも3つの信号の論理和を求めることによってリセット信号を生成する第2の論理回路と、第1の論理回路によって生成されるセット信号によってセットされ、第2の論理回路によって生成されるリセット信号によってリセットされることにより、正論理の入力信号からパルス状のノイズが除去された出力信号を生成するRSラッチ回路とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、マイクロコンピュータから供給されるデータ、クロック信号、制御信号等の入力信号に基づいて動作し、入力信号に混入したノイズを除去するノイズ除去回路を含む半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子機器においては、電源ラインや信号ラインにノイズが発生し、ノイズの影響によって、電子機器に搭載されている半導体集積回路が誤動作するという問題がある。例えば、半導体集積回路のリセット端子にノイズが印加されて半導体集積回路が誤動作すると、内部回路が初期化されてしまうので、電子機器に大きな支障が生じてしまう。
【0003】
半導体集積回路の入力端子にノイズが印加され、入力回路において入力信号の論理レベルが反転しても、内部回路がクロック信号に同期して動作する場合には、内部回路の論理動作によってノイズの影響を排除することが可能であるが、リセット信号や割り込み信号等に対しては、内部回路がクロック信号と非同期に動作するので、そのような信号の論理レベルがノイズによって反転すると、ノイズの影響が内部回路に伝播して半導体集積回路が誤動作してしまう。また、外部からクロック信号を入力するための入力端子にノイズが印加された場合にも、同様に半導体集積回路が誤動作してしまう。
【0004】
そのような問題に対処するために、様々な技術が開発されている。例えば、入力信号が正論理の場合には、外部から供給される入力信号と、これを遅延させて得られた遅延信号との論理積を求めたり、入力信号が負論理の場合には、入力信号と遅延信号との論理和を求めたりすることにより、短期間(数ナノ秒程度)のノイズパルスを除去することができる。
【0005】
関連する技術として、下記の特許文献1には、ノイズのレベルが入力論理回路の閾値を越える場合でもノイズを除去することができ、LSI化により使用部品点数の減少及びシステムボードの小型化を図り、コスト増加を抑制し得る非同期型ノイズフィルタ回路が開示されている。
【0006】
図8は、特許文献1に開示されている非同期型ノイズフィルタ回路の構成を示す回路図である。この非同期型ノイズフィルタ回路は、入力信号IN、及び、入力信号INが遅延素子13によって遅延された遅延信号が入力されるNAND回路12と、入力信号IN及び遅延信号が入力されるOR回路14と、NAND回路12の出力ノード及びOR回路14の出力ノードがそれぞれ対応してセット入力ノードS及びリセット入力ノードRに接続されるRSラッチ回路15と、インバータ回路16と、出力バッファ回路17とを具備する。
【0007】
図9は、図8に示す非同期型ノイズフィルタ回路の動作を示すタイミングチャートである。図9に示すような入力信号INがフィルタ入力ノード11に入力された場合に、遅延素子13の出力ノードには、図示のように、遅延信号が出力される。NAND回路12において、入力信号INと遅延信号とのNAND演算が行われて、そのNAND出力がローレベルになると、RSラッチ回路15がセットされる。また、OR回路14において、入力信号INと遅延信号とのOR演算が行われて、そのOR出力がローレベルになると、RSラッチ回路15がリセットされる。これにより、RSラッチ回路15の出力ノードQには、入力信号INより遅延量αだけ遅れた反転信号が出力され、この反転信号が、インバータ回路16及び出力バッファ回路17を経て、フィルタ出力ノード18の出力信号OUTとなる。
【0008】
そのような動作に際して、図9に示すように、入力信号IN中に、立上がり方向の複数のノイズパルス及び立下がり方向の複数のノイズパルス(各々のパルス幅はα以下)が混入したと仮定する。NAND回路12において、入力信号INと遅延信号とのNAND演算が行われると、NAND出力には、立上がり方向のノイズパルスに対応するパルスは出現せず、立下がり方向のノイズパルスに対応するパルス及びその遅延パルスが出現する。しかし、それらのパルスは、遅延信号の立上がりによってRSラッチ回路15がセットされた期間中に出現するので、誤動作を招くことはない。
【0009】
また、OR回路14において、入力信号INと遅延信号とのOR演算が行われると、OR出力には、立下がり方向のノイズパルスに対応するパルスは出現せず、立上がり方向のノイズパルスに対応するパルス及びその遅延パルスが出現する。しかし、それらのパルスは、RSラッチ回路15がリセットされた期間中に出現するので、誤動作を招くことはない。
【0010】
一方、遅延素子13における遅延量と連続するノイズパルスの間隔との関係によっては、ノイズを除去できないこともある。図10は、図8に示す非同期型ノイズフィルタ回路の別の動作を示すタイミングチャートである。図10においては、遅延素子13における遅延量α'が、連続するノイズパルスの間隔に近い場合が示されている。そのような場合には、NAND回路12の出力に、立上がり方向のノイズパルスに対応するパルスが出現し、それによりRSラッチ回路15がセットされて、出力信号OUTに残留ノイズが生じてしまう。また、OR回路14の出力に、立下がり方向のノイズパルスに対応するパルスが出現し、それによりRSラッチ回路15がリセットされて、出力信号OUTに残留ノイズが生じてしまう。
【特許文献1】特開2003−163583号公報(第1−3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、複数のノイズパルスが連続して印加される場合においてもノイズを除去する能力を高めたノイズ除去回路を含む半導体集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点に係る半導体集積回路は、入力信号を遅延する直列接続された複数の遅延回路と、複数の遅延回路によって互いに時間差が与えられた少なくとも3つの信号の論理積を求めることによってセット信号を生成する第1の論理回路と、複数の遅延回路によって互いに時間差が与えられた少なくとも3つの信号の論理和を求めることによってリセット信号を生成する第2の論理回路と、第1の論理回路によって生成されるセット信号によってセットされ、第2の論理回路によって生成されるリセット信号によってリセットされることにより、正論理の入力信号からパルス状のノイズが除去された出力信号を生成するRSラッチ回路とを具備する。
【0013】
ここで、第1の論理回路がNAND回路であり、第2の論理回路がOR回路であり、RSラッチ回路が、2つのNAND回路によって構成され、第1の論理回路によってセット信号がローレベルにされたときにセットされて出力信号をローレベルに活性化し、第2の論理回路によってリセット信号がローレベルにされたときにリセットされて出力信号をハイレベルに非活性化するようにしても良い。
【0014】
あるいは、第1の論理回路がAND回路であり、第2の論理回路がNOR回路であり、RSラッチ回路が、2つのNOR回路によって構成され、第1の論理回路によってセット信号がハイレベルにされたときにセットされて出力信号をハイレベルに活性化し、第2の論理回路によってリセット信号がハイレベルにされたときにリセットされて出力信号をローレベルに非活性化するようにしても良い。
【0015】
また、本発明の第2の観点に係る半導体集積回路は、入力信号を遅延する直列接続された複数の遅延回路と、複数の遅延回路によって互いに時間差が与えられた少なくとも3つの信号の論理和を求めることによってセット信号を生成する第1の論理回路と、複数の遅延回路によって互いに時間差が与えられた少なくとも3つの信号の論理積を求めることによってリセット信号を生成する第2の論理回路と、第1の論理回路によって生成されるセット信号によってセットされ、第2の論理回路によって生成されるリセット信号によってリセットされることにより、負論理の入力信号からパルス状のノイズが除去された出力信号を生成するRSラッチ回路とを具備する。
【0016】
ここで、第1の論理回路がOR回路であり、第2の論理回路がNAND回路であり、RSラッチ回路が、2つのNAND回路によって構成され、第1の論理回路によってセット信号がローレベルにされたときにセットされて出力信号をローレベルに活性化し、第2の論理回路によってリセット信号がローレベルにされたときにリセットされて出力信号をハイレベルに非活性化するようにしても良い。
【0017】
あるいは、第1の論理回路がNOR回路であり、第2の論理回路がAND回路であり、RSラッチ回路が、2つのNOR回路によって構成され、第1の論理回路によってセット信号がハイレベルにされたときにセットされて出力信号をハイレベルに活性化し、第2の論理回路によってリセット信号がハイレベルにされたときにリセットされて出力信号をローレベルに非活性化するようにしても良い。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の遅延回路によって互いに時間差が与えられた少なくとも3つの信号の論理積又は論理和を求めることによってRSラッチ回路のセット信号又はリセット信号を生成することにより、複数のノイズパルスが連続して印加される場合においてもノイズを除去する能力を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の第1〜3の実施形態に係る半導体集積回路の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、半導体集積回路100は、複数の入出力端子と、複数の入出力回路が形成された入出力セル領域1と、ノイズ除去回路2と、内部回路3とを有している。内部回路3は、例えば、液晶パネルを駆動するためのドライバ回路を含んでいる。
【0020】
実際のレイアウトにおいては、入出力セル領域1がチップの周辺部に形成され、複数の入出力端子がチップの4辺に沿って配置される。なお、複数の入出力回路及び入出力端子は、入力専用と出力専用とに分けて設けられても良いし、入出力兼用として設けられても良い。以下においては、入力専用の入力回路及び入力端子が設けられている場合について説明する。
【0021】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路に内蔵されているノイズ除去回路周辺の構成を示す回路図である。外部から入力端子(パッド)に入力される入力信号INは、入力バッファ回路1aによってバッファされ、ノイズ除去回路2に供給される。本実施形態においては、入力信号が正論理(ハイアクティブ)であるものとする。
【0022】
ノイズ除去回路2は、入力信号を遅延して複数の遅延信号を生成する直列接続された複数の遅延回路20と、入力信号及び複数の遅延信号に基づいてセット信号を生成する第1の論理回路21と、入力信号及び複数の遅延信号に基づいてリセット信号を生成する第2の論理回路22と、セット信号及びリセット信号に基づいて出力信号を生成するRSラッチ回路23と、RSラッチ回路23の出力信号を反転するインバータ24と、インバータ24から出力される信号をバッファして内部回路3(図1)に供給する出力バッファ回路25とを含んでいる。
【0023】
図3は、図2に示す遅延回路の構成例を示す回路図である。図3に示すように、遅延回路20は、PチャネルMOSトランジスタQP1〜QP3と、NチャネルMOSトランジスタQN1〜QN3とを含んでいる。この遅延回路20は、第1の電源電位VDD及び第2の電源電位VSSが供給されて動作する。トランジスタQP1〜QP2及びQN1〜QN2によって構成される回路は、入力信号を遅延させながら反転する。トランジスタQP3及びQN3は、通常のインバータを構成している。
【0024】
例えば、3つの遅延回路20を直列に接続する場合に、トータルの遅延量αを90nsとするためには、各々の遅延回路における遅延時間を30nsとすれば良い。あるいは、複数の遅延回路20が、互いに異なる遅延時間を有するようにしても良い。例えば、第1の遅延回路における遅延時間を20nsとし、第2の遅延回路における遅延時間を30nsとし、第3の遅延回路における遅延時間を40nsとすることができる。このように、複数の遅延回路20が互いに異なる遅延時間を有する場合には、一定の周期で連続するパルスノイズを有効に除去することができる。
【0025】
再び図2を参照すると、本実施形態においては、第1の論理回路21としてNAND回路が用いられており、NAND回路21は、複数の遅延回路20によって互いに時間差が与えられた少なくとも3つの信号の論理積を求めることによって、負論理(ローアクティブ)のセット信号を生成する。また、第2の論理回路22としてOR回路が用いられており、OR回路22は、複数の遅延回路20によって互いに時間差が与えられた少なくとも3つの信号の論理和を求めることによって、負論理のリセット信号を生成する。
【0026】
RSラッチ回路23は、2つのNAND回路23a及び23bによって構成される。NAND回路23aの出力端子は、NAND回路23bの一方の入力端子に接続され、NAND回路23bの出力端子は、NAND回路23aの一方の入力端子に接続される。NAND回路23aの他方の入力端子(セット端子S)には、NAND回路21の出力端子が接続され、NAND回路23bの他方の入力端子(リセット端子R)には、OR回路22の出力端子が接続される。
【0027】
RSラッチ回路23は、NAND回路21によってセット信号がローレベルにされたときにセットされて、出力ノードQにおける出力信号をローレベルに活性化し、OR回路22によってリセット信号がローレベルにされたときにリセットされて、出力ノードQにおける出力信号をハイレベルに非活性化する。
【0028】
図4は、図2に示すノイズ除去回路の動作を示すタイミングチャートである。図4においては、図10に示す従来の非同期型ノイズフィルタ回路の動作と比較するために、複数の遅延素子20における遅延量α'が、連続するノイズパルスの間隔に近い場合が示されている。ここでは、3つの遅延回路20を直列に接続する場合について説明する。
【0029】
図4に示すような入力信号INがノイズ除去回路2に入力された場合に、3つの遅延回路20の出力ノードには、遅延信号A〜Cがそれぞれ出力される。NAND回路21において、入力信号INと遅延信号A〜CとのNAND演算が行われて、そのNAND出力がローレベルになると、RSラッチ回路23がセットされる。また、OR回路22において、入力信号INと遅延信号とのOR演算が行われて、そのOR出力がローレベルになると、RSラッチ回路23がリセットされる。これにより、RSラッチ回路23の出力ノードQには、入力信号INより遅延量α'だけ遅れた反転信号が出力され、この反転信号が、インバータ回路24及び出力バッファ回路25を経て、ノイズ除去回路2の出力信号OUTとなる。
【0030】
そのような動作に際して、図4に示すように、入力信号INがローレベルである期間中に立上がり方向の複数のノイズパルスが混入し、入力信号INがハイレベルである期間中に立下がり方向の複数のノイズパルスが混入したと仮定する(各々のパルス幅はα'以下)。NAND回路21において、入力信号INと遅延信号A〜CとのNAND演算が行われると、NAND出力には、立上がり方向のノイズパルスに対応するパルスは出現せず、立下がり方向のノイズパルスに対応するパルス及びその遅延パルスが出現する。比較として、図10に示す従来の非同期型ノイズフィルタ回路の場合を破線で示す。しかし、それらのパルスは、RSラッチ回路23がセットされた期間中に出現するので、誤動作を招くことはない。
【0031】
また、OR回路22において、入力信号INと遅延信号A〜CとのOR演算が行われると、OR出力には、立下がり方向のノイズパルスに対応するパルスは出現せず、立上がり方向のノイズパルスに対応するパルス及びその遅延パルスが出現する。比較として、図10に示す従来の非同期型ノイズフィルタ回路の場合を破線で示す。しかし、それらのパルスは、RSラッチ回路23がリセットされた期間中に出現するので、誤動作を招くことはない。このようにして、RSラッチ回路23は、入力信号からパルス状のノイズが除去された出力信号を生成し、RSラッチ回路23の出力信号が反転されて、ノイズ除去回路2の出力信号OUTとして内部回路3(図1)に供給される。
【0032】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る半導体集積回路に内蔵されているノイズ除去回路周辺の構成を示す回路図である。外部から入力端子(パッド)に入力される入力信号INは、入力バッファ回路1aによってバッファされ、ノイズ除去回路2に供給される。本実施形態においては、入力信号が正論理(ハイアクティブ)であるものとする。
【0033】
ノイズ除去回路2は、入力信号を遅延して複数の遅延信号を生成する直列接続された複数の遅延回路20と、入力信号及び複数の遅延信号に基づいてセット信号を生成する第1の論理回路31と、入力信号及び複数の遅延信号に基づいてリセット信号を生成する第2の論理回路32と、セット信号及びリセット信号に基づいて出力信号を生成するRSラッチ回路33と、RSラッチ回路33の出力信号をバッファして内部回路3(図1)に供給する出力バッファ回路25とを含んでいる。
【0034】
本実施形態においては、第1の論理回路31としてAND回路が用いられており、AND回路31は、複数の遅延回路20によって互いに時間差が与えられた少なくとも3つの信号の論理積を求めることによって、正論理のセット信号を生成する。また、第2の論理回路32としてNOR回路が用いられており、NOR回路32は、複数の遅延回路20によって互いに時間差が与えられた少なくとも3つの信号の論理和を求めることによって、正論理のリセット信号を生成する。
【0035】
RSラッチ回路33は、2つのNOR回路33a及び33bによって構成される。NOR回路33aの出力端子は、NOR回路33bの一方の入力端子に接続され、NOR回路33bの出力端子は、NOR回路33aの一方の入力端子に接続される。NOR回路33aの他方の入力端子(セット端子S)には、OR回路31の出力端子が接続され、NOR回路33bの他方の入力端子(リセット端子R)には、NOR回路32の出力端子が接続される。
【0036】
RSラッチ回路33は、AND回路31によってセット信号がハイレベルにされたときにセットされて、出力ノードQにおける出力信号をハイレベルに活性化し、NOR回路32によってリセット信号がハイレベルにされたときにリセットされて、出力ノードQにおける出力信号をローレベルに非活性化する。
【0037】
そのような動作に際して、入力信号INがローレベルである期間中に立上がり方向の複数のノイズパルスが混入し、入力信号INがハイレベルである期間中に立下がり方向の複数のノイズパルスが混入したと仮定する(各々のパルス幅はα'以下)。AND回路31において、入力信号INと遅延信号A〜CとのAND演算が行われると、AND出力には、立上がり方向のノイズパルスに対応するパルスは出現せず、立下がり方向のノイズパルスに対応するパルス及びその遅延パルスが出現する。しかし、それらのパルスは、RSラッチ回路33がセットされた期間中に出現するので、誤動作を招くことはない。
【0038】
また、NOR回路32において、入力信号INと遅延信号A〜CとのNOR演算が行われると、NOR出力には、立下がり方向のノイズパルスに対応するパルスは出現せず、立上がり方向のノイズパルスに対応するパルス及びその遅延パルスが出現する。しかし、それらのパルスは、RSラッチ回路33がリセットされた期間中に出現するので、誤動作を招くことはない。このようにして、RSラッチ回路33は、入力信号からパルス状のノイズが除去された出力信号を生成する。
【0039】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図6は、本発明の第3の実施形態に係る半導体集積回路に内蔵されているノイズ除去回路周辺の構成を示す回路図である。外部から入力端子(パッド)に入力される入力信号INは、入力バッファ回路1aによってバッファされ、ノイズ除去回路2に供給される。本実施形態においては、入力信号が負論理(ローアクティブ)であるものとする。
【0040】
ノイズ除去回路2は、入力信号を遅延して複数の遅延信号を生成する直列接続された複数の遅延回路20と、入力信号及び複数の遅延信号に基づいてセット信号を生成する第1の論理回路41と、入力信号及び複数の遅延信号に基づいてリセット信号を生成する第2の論理回路42と、セット信号及びリセット信号に基づいて出力信号を生成するRSラッチ回路43と、RSラッチ回路43の出力信号をバッファして内部回路3(図1)に供給する出力バッファ回路25とを含んでいる。
【0041】
本実施形態においては、第1の論理回路41としてOR回路が用いられており、OR回路41は、複数の遅延回路20によって互いに時間差が与えられた少なくとも3つの信号の論理和を求めることによって、負論理のセット信号を生成する。また、第2の論理回路42としてNAND回路が用いられており、NAND回路42は、複数の遅延回路20によって互いに時間差が与えられた少なくとも3つの信号の論理積を求めることによって、負論理のリセット信号を生成する。
【0042】
RSラッチ回路43は、2つのNAND回路43a及び43bによって構成される。NAND回路43aの出力端子は、NAND回路43bの一方の入力端子に接続され、NAND回路43bの出力端子は、NAND回路43aの一方の入力端子に接続される。NAND回路43aの他方の入力端子(セット端子S)には、OR回路41の出力端子が接続され、NAND回路43bの他方の入力端子(リセット端子R)には、NAND回路42の出力端子が接続される。
【0043】
RSラッチ回路43は、OR回路41によってセット信号がローレベルにされたときにセットされて、出力ノードQにおける出力信号をローレベルに活性化し、NAND回路42によってリセット信号がローレベルにされたときにリセットされて、出力ノードQにおける出力信号をハイレベルに非活性化する。
【0044】
そのような動作に際して、入力信号INがハイレベルである期間中に立下がり方向の複数のノイズパルスが混入し、入力信号INがローレベルである期間中に立上がり方向の複数のノイズパルスが混入したと仮定する(各々のパルス幅はα'以下)。OR回路41において、入力信号INと遅延信号A〜CとのOR演算が行われると、OR出力には、立下がり方向のノイズパルスに対応するパルスは出現せず、立上がり方向のノイズパルスに対応するパルス及びその遅延パルスが出現する。しかし、それらのパルスは、RSラッチ回路43がセットされた期間中に出現するので、誤動作を招くことはない。
【0045】
また、NAND回路42において、入力信号INと遅延信号A〜CとのNAND演算が行われると、NAND出力には、立上がり方向のノイズパルスに対応するパルスは出現せず、立下がり方向のノイズパルスに対応するパルス及びその遅延パルスが出現する。しかし、それらのパルスは、RSラッチ回路43がリセットされた期間中に出現するので、誤動作を招くことはない。このようにして、RSラッチ回路43は、入力信号からパルス状のノイズが除去された出力信号を生成する。
【0046】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図7は、本発明の第4の実施形態に係る半導体集積回路に内蔵されているノイズ除去回路周辺の構成を示す回路図である。外部から入力端子(パッド)に入力される入力信号INは、入力バッファ回路1aによってバッファされ、ノイズ除去回路2に供給される。本実施形態においては、入力信号が負論理(ローアクティブ)であるものとする。
【0047】
ノイズ除去回路2は、入力信号を遅延して複数の遅延信号を生成する直列接続された複数の遅延回路20と、入力信号及び複数の遅延信号に基づいてセット信号を生成する第1の論理回路51と、入力信号及び複数の遅延信号に基づいてリセット信号を生成する第2の論理回路52と、セット信号及びリセット信号に基づいて出力信号を生成するRSラッチ回路53と、RSラッチ回路53の出力信号を反転するインバータ24と、インバータ24から出力される信号をバッファして内部回路3(図1)に供給する出力バッファ回路25とを含んでいる。
【0048】
本実施形態においては、第1の論理回路51としてNOR回路が用いられており、NOR回路51は、複数の遅延回路20によって互いに時間差が与えられた少なくとも3つの信号の論理和を求めることによって、正論理(ハイアクティブ)のセット信号を生成する。また、第2の論理回路52としてAND回路が用いられており、AND回路52は、複数の遅延回路20によって互いに時間差が与えられた少なくとも3つの信号の論理積を求めることによって、正論理のリセット信号を生成する。
【0049】
RSラッチ回路53は、2つのNOR回路53a及び53bによって構成される。NOR回路53aの出力端子は、NOR回路53bの一方の入力端子に接続され、NOR回路53bの出力端子は、NOR回路53aの一方の入力端子に接続される。NOR回路53aの他方の入力端子(セット端子S)には、NOR回路51の出力端子が接続され、NOR回路53bの他方の入力端子(リセット端子R)には、AND回路52の出力端子が接続される。
【0050】
RSラッチ回路53は、NOR回路51によってセット信号がハイレベルにされたときにセットされて、出力ノードQにおける出力信号をハイレベルに活性化し、AND回路52によってリセット信号がハイレベルにされたときにリセットされて、出力ノードQにおける出力信号をローレベルに非活性化する。
【0051】
そのような動作に際して、入力信号INがハイレベルである期間中に立下がり方向の複数のノイズパルスが混入し、入力信号INがローレベルである期間中に立上がり方向の複数のノイズパルスが混入したと仮定する(各々のパルス幅はα'以下)。NOR回路51において、入力信号INと遅延信号A〜CとのNOR演算が行われると、NOR出力には、立下がり方向のノイズパルスに対応するパルスは出現せず、立上がり方向のノイズパルスに対応するパルス及びその遅延パルスが出現する。しかし、それらのパルスは、RSラッチ回路53がセットされた期間中に出現するので、誤動作を招くことはない。
【0052】
また、AND回路52において、入力信号INと遅延信号A〜CとのAND演算が行われると、AND出力には、立上がり方向のノイズパルスに対応するパルスは出現せず、立下がり方向のノイズパルスに対応するパルス及びその遅延パルスが出現する。しかし、それらのパルスは、RSラッチ回路53がリセットされた期間中に出現するので、誤動作を招くことはない。このようにして、RSラッチ回路53は、入力信号からパルス状のノイズが除去された出力信号を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1〜3の実施形態に係る半導体集積回路の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるノイズ除去回路周辺の構成を示す回路図。
【図3】図2に示す遅延回路の構成例を示す回路図。
【図4】図2に示すノイズ除去回路の動作を示すタイミングチャート。
【図5】本発明の第2の実施形態におけるノイズ除去回路周辺の構成を示す回路図。
【図6】本発明の第3の実施形態におけるノイズ除去回路周辺の構成を示す回路図。
【図7】本発明の第4の実施形態におけるノイズ除去回路周辺の構成を示す回路図。
【図8】特許文献1の非同期型ノイズフィルタ回路の構成を示す回路図。
【図9】図8に示す非同期型ノイズフィルタ回路の動作を示すタイミングチャート。
【図10】図8に示すノイズフィルタ回路の別の動作を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0054】
1 入出力セル領域、 1a 入力バッファ回路、 2 ノイズ除去回路、 3 内部回路、 20 遅延回路、 21、31、41、51 第1の論理回路、 22、32、42、52 第2の論理回路、 23、33、43、53 RSラッチ回路、 23a、23b、43a、43b NAND回路、 33a、33b、53a、53b NOR回路、 100 半導体集積回路、 QP1〜QP3 PチャネルMOSトランジスタ、 QN1〜QN3 NチャネルMOSトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を遅延する直列接続された複数の遅延回路と、
前記複数の遅延回路によって互いに時間差が与えられた少なくとも3つの信号の論理積を求めることによってセット信号を生成する第1の論理回路と、
前記複数の遅延回路によって互いに時間差が与えられた少なくとも3つの信号の論理和を求めることによってリセット信号を生成する第2の論理回路と、
前記第1の論理回路によって生成されるセット信号によってセットされ、前記第2の論理回路によって生成されるリセット信号によってリセットされることにより、正論理の入力信号からパルス状のノイズが除去された出力信号を生成するRSラッチ回路と、
を具備する半導体集積回路。
【請求項2】
前記第1の論理回路がNAND回路であり、前記第2の論理回路がOR回路であり、前記RSラッチ回路が、2つのNAND回路によって構成され、前記第1の論理回路によってセット信号がローレベルにされたときにセットされて出力信号をローレベルに活性化し、前記第2の論理回路によってリセット信号がローレベルにされたときにリセットされて出力信号をハイレベルに非活性化する、請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記第1の論理回路がAND回路であり、前記第2の論理回路がNOR回路であり、前記RSラッチ回路が、2つのNOR回路によって構成され、前記第1の論理回路によってセット信号がハイレベルにされたときにセットされて出力信号をハイレベルに活性化し、前記第2の論理回路によってリセット信号がハイレベルにされたときにリセットされて出力信号をローレベルに非活性化する、請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項4】
入力信号を遅延する直列接続された複数の遅延回路と、
前記複数の遅延回路によって互いに時間差が与えられた少なくとも3つの信号の論理和を求めることによってセット信号を生成する第1の論理回路と、
前記複数の遅延回路によって互いに時間差が与えられた少なくとも3つの信号の論理積を求めることによってリセット信号を生成する第2の論理回路と、
前記第1の論理回路によって生成されるセット信号によってセットされ、前記第2の論理回路によって生成されるリセット信号によってリセットされることにより、負論理の入力信号からパルス状のノイズが除去された出力信号を生成するRSラッチ回路と、
を具備する半導体集積回路。
【請求項5】
前記第1の論理回路がOR回路であり、前記第2の論理回路がNAND回路であり、前記RSラッチ回路が、2つのNAND回路によって構成され、前記第1の論理回路によってセット信号がローレベルにされたときにセットされて出力信号をローレベルに活性化し、前記第2の論理回路によってリセット信号がローレベルにされたときにリセットされて出力信号をハイレベルに非活性化する、請求項4記載の半導体集積回路。
【請求項6】
前記第1の論理回路がNOR回路であり、前記第2の論理回路がAND回路であり、前記RSラッチ回路が、2つのNOR回路によって構成され、前記第1の論理回路によってセット信号がハイレベルにされたときにセットされて出力信号をハイレベルに活性化し、前記第2の論理回路によってリセット信号がハイレベルにされたときにリセットされて出力信号をローレベルに非活性化する、請求項4記載の半導体集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−278476(P2009−278476A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129014(P2008−129014)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】