説明

半田付けプレフォーム

本発明に係る、還元ガスの雰囲気中で半田付けするための半田付けプレフォームは、基本的に盤の形状であり、各々が半田付けされる物体(3)に接触するための2つの半田面(2.1、2.2)を有しており、前記物体の面に対して開いているチャンネルを形成するために、少なくとも1つの半田面(2.1、2.2)に少なくとも1つの凹部(6.1乃至6.16)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元ガスの雰囲気の中での広範囲の半田付けのための、半田付けプレフォームに関わる。
【背景技術】
【0002】
半田付けは、2つの金属部材を互いに接続する一般的な技術である。接続される2つの部材の表面、もしくはこれら部材の一方の表面に酸化物が存在することによって、半田付けプロセスの後、半田の中に空隙が生じる。空隙の存在は、電気及び熱の伝導性と、接続の機械的強度とを減じる。また、このことは、濡れの問題として知られている。従って、酸化物の層が、半田付けの前に、クリーニングの工程によって取り除かれ、また、半田付けの間に、半田付けプレフォームと一体化される酸化物クリーニング溶剤、即ち液体によって取り除かれる。残念ながら、この溶剤の成分が、半田の中と半田の上とに残り、この結果、更なるクリーニング工程が、半田付けの後に必要となる。
【0003】
特許文献1は、還元ガスの雰囲気の中での半田付けによって、金属被覆のセラミックの基板上に、複数のピンを、半田ボールによって半田接合することを開示している。この還元ガス、この場合では水素は、酸素と酸化物の層とに強く反応し、かくして、半田付けの領域をクリーニングする。従って、液体の溶剤、即ち前記半田付けプレフォームに一体化される溶剤の使用と溶剤の残りとが、避けられる。このことが、化学溶媒の使用と溶剤の使用とを減じ、かくして、コストと環境への負担とを減じる。開示されているこのような技術は、ピンの接続のような小領域の半田付けに対しては有効であるが、広範囲の半田付けには適用され得ない。広範囲の半田付けには、大きく平坦な半田付けプレフォームが使用され、前記還元ガスの雰囲気が、半田付け部材と半田付けプレフォームとの間の周縁の領域に入り、この結果、接触領域の中央にある酸化物の層が取り除かれず、空隙が、半田付けの間に生じる。
【0004】
更なる半田付けプレフォームは、特許文献2及び特許文献3によって知られている。特許文献2及び特許文献3は、各々、半田付けプレフォームを開示している。この開示されている半田付けプレフォームは、半田付けプロセスの間に、互いに離間されている複数の半田点を形成する連続したプレフォームである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】EP0504601A2
【特許文献2】US5242097
【特許文献3】US5820014
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の半田付けを改良し、従来技術の欠点を解消することである。特に、空隙を形成しないで、且つ液体の溶剤を使用しないで半田付けすることが、本発明の目的である。
【0007】
この目的は、請求項1に記載の半田付けプレフォームによって果たされる。還元ガス中での半田付けのための、本発明に係る半田付けプレフォームは、基本的に盤のような形状である。半田付けプレフォームは、半田付けされる物体にそれぞれ接する2つの半田面を有している。少なくとも1つの半田面には、少なくとも1つのチャンネルが形成されている。前記チャンネルは、前記2つの半田面が前記半田付けされる物体に接している時に、この物体の1面に対して開いており、且つ還元ガスの雰囲気に対して開いている。
【0008】
請求項1に記載の半田付けプレフォームの効果は、還元ガスが、半田付けされる物体と半田付けプレフォームとの間で、酸化還元ガス(oxide reducing gas)のためのチャンネルを通り得、中央の領域でも、前記半田付けされる物体から酸化物の層を有効に取り除き得ることである。この酸化還元ガスは、前記チャンネルから、プレフォームと物体との間に入り得る。このことが、半田付けされる物体と半田との間での空隙の発生を防ぎ、機械的に安定した、電気及び熱の伝導性のある接続が、前記還元ガスの雰囲気にいかなる追加の溶剤も使用しないで、確立され得る。
従属請求項は、本発明の更なる有効な改良点を記載している。
【0009】
前記少なくとも1つの半田面のすべての点が、所定の距離より短い前記半田面のチャンネルへの、最長距離を有するように、少なくとも1つのチャンネルを形成することが、特に有効である。前記所定の距離が良好に選択されると、還元ガスは、半田付けされる物体の各点に到達して、この半田中の空隙の発生が防がれ得る。良好に選択された所定の距離は、好ましくは6mmより短く、しかし好ましくは1mmより長い。
【0010】
好ましくは、前記少なくとも1つのチャンネルは、半田付けプレフォームの外側の境界に対して開いている。このことによって、還元ガスが前記チャンネルに容易に入り得る、という効果が得られる。
【0011】
少なくとも1つのチャンネルを、前記外側の境界にある最大の開口部から半田付けプレフォームの内側へ、テーパーの形状にすることが、更に有効である。テーパーの形状にすることによって、毛管力が、半田付けプレフォームの内側から始まって前記外側の境界にある最大幅の開口部まで行われる半田付けプレフォームの溶解プロセスの間に、前記チャンネルを閉じる。実験が、半田付けプレフォームの前記外側の境界にある最大の開口部が、約3mmであることが特に有効であることを、示した。これは、一方では、還元ガスが、依然として有効に前記チャンネルに入って、溶解中の半田が、3mmの前記開口部を閉じ、この半田中に空隙を形成しないからである。
【0012】
少なくとも1つの半田面が複数のチャンネルを有していることが、非常に有効である。かくして、これらチャンネルは、独立、且つ互いに離間されており、還元ガスを、半田付けプレフォームと半田付けされる物体との間に導く。チャンネルが1つのみの場合、このチャンネルは、接触面の領域のすべてに到達するように、全体的に曲線状に、例えば螺旋状に形成されなければならない。このような曲線は、還元ガスが前記チャンネル中を有効に速く流れることを妨げる。更に、この単一のチャンネルが前記外側の境界への通路を1つしか有していない場合、この通路の初期の閉鎖によって、前記チャンネル全体の空間を塞ぐ可能性がある。
【0013】
前記複数のチャンネルの各々が、前記半田面の、即ち半田付けプレフォームの中央の点を通って延びる長軸を有することが、更に有効である。かくして、各チャンネルは、還元ガスを、前記外側の境界から前記半田面の中心の領域に、すばやく、問題なく運ぶ。
【0014】
また、各チャンネルが、他のチャンネルから離間されていることが、有効である。前記チャンネルが、半田付けプレフォームの切除(cut throughs)によって形成されている場合、この形成は、半田付けプレフォームが別れることを防ぐ。従って、このことは、扱いやすい1つの部品プレフォームをもたらす。
【0015】
半田付けプレフォームを、チャンネルを形成するために、一方の半田面から他方の半田面へと切断させることが、非常に有効である。このことは、半田付けプレフォームをダイカットもしくは押し出し成型するような簡単で安価な方法で、半田付けプレフォームを形成することを、可能にする。更に、前記チャンネルは、半田付けプレフォームの両半田面で、酸化物還元手段として、同時に機能する。
【0016】
半田付けプレフォームの厚みは、最終的な半田の厚みより大きいことが、有効である。この方法によって、前記少なくとも1つのチャンネルに半田を詰めることによる、半田の厚みのロスが、補償され得る。
【0017】
また、半田付けプレフォームの半田の体積を、最終的な体積より大きく選択することが、有効である。このことによって、前記半田の流出による半田の量のロスが、補償され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の第1乃至第4の実施形態に係る半田付けプレフォームの原形、即ち基本形の、立体的な概略図である。
【図2】図2は、本発明に係る半田付けプレフォームの第1の実施形態の、半田面の第1の図である。
【図3】図3は、本発明に係る半田付けプレフォームの第1の実施形態の断面図である。
【図4】図4は、本発明に係る半田付けプレフォームの第2及び第3の実施形態の半田面の図である。
【図5】図5は、本発明に係る半田付けプレフォームの第2の実施形態の断面図である。
【図6】図6は、本発明に係る半田付けプレフォームの第3の実施形態の断面図である。
【図7】図7は、本発明に係る半田付けプレフォームの第4の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る半田付けの異なる実施形態が、図面を使用して説明される。
【0020】
図1は、以下に説明されている実施形態のための基礎である半田付けプレフォーム1の原形、即ち基本形を概略的に示している。図1は、半田付けプレフォーム1の構造について、即ち形状について詳しく示しておらず、半田付けプレフォーム1の大まかな形状のみを示している。半田付けプレフォーム1は、2つの平行な半田面2.1及び2.2を有しており、半田面2.2は、この斜視図では見えない。前記半田面2.1及び2.2は、半田付けプレフォーム1の側面であり、半田付けプロセスの前とこのプロセスの間とに、互いに半田付けされる物体、即ち接合される物体にそれぞれ接する。この例では、半田付けされる物体は、銅の基板3であり、この銅の基板3に、接触領域を有するパワーモジュール(図示されていない)が、半田付けされる。しかしながら、他の物体もまた可能である。図1、図3、図5、図6、図7では、基板3のみが示されている。銅の基板以外には、ニッケル、銀、もしくは金、もしくはこれらの合金のような他の基板、もしくは半導体技術、特にパワー半導体技術に使用される他のいかなる基板が、選択され得る。
【0021】
半田付けプレフォーム1の原形、即ち基本形は、幅aと、長さbと、厚みcとを有する直方体である。この厚みcは、前記幅aと長さbとより小さい、少なくとも1オーダーの、好ましくは2オーダーの寸法を有している。以下の実施形態では、厚みcは0.3mmであり、幅aは47mmであり、長さbは56mmであるが、本発明はこれに制限されない。前記半田面2.1と2.2とに加えて、この例では矩形の形状の4つの外側の境界面4.1、4.2、4.3、4.4から成る半田付けプレフォーム1の外側の境界4が、設けられている。
【0022】
図示されている形状は、本発明を限定しない。半田付けプレフォーム1の原形、即ち基本形は、半田付けプレフォームの長さ及び幅より小さい厚みを有するように規定されているいかなる種類の盤形状も有し得る。好ましくは、この厚みは、半田付けプレフォームの長さ及び幅より小さい、少なくとも1オーダーの、好ましくは2オーダーの寸法である。好ましくは、前記半田面2.1及び2.2は、互いに平行である。更に、前記原形、即ち基本形の前記半田面2.1及び2.2は、好ましくは円形、楕円形、三角形、四角形、他の多角形、もしくは更なる任意の形状を有している。後述されるような半田付けプレフォーム1と同様に、半田付けプレフォーム1の原形、即ち基本形は、貫通孔を有していない。言い換えると、半田付けプレフォーム1は、(数学的な意味で)単純接続される。半田付けプレフォームは、互いに半田付けされる物体間に連続した半田の層を形成するためのものである。半田付けプレフォーム1は、少なくとも80mm、好ましくは少なくとも120mm、最も好ましくは少なくとも1000mmの広範囲の領域の半田付けのために、特に有効である。このような領域は、連続した領域である。前記半田付け領域のサイズ、及び/もしくは形状は、前記半田付けプレフォームの原形、即ち基本形のグラウンド領域と少なくとも同様である。このグラウンド領域は、第1の特徴となる寸法として見なされ得る。前記グラウンドの領域は、図1乃至図7に示されているように、矩形の形状を有し得るが、円形もしくは楕円形のような他の形状も可能であり得る。
【0023】
図2は、半田付けプレフォーム1の半田面2.2の上面図である。本発明に従えば、互いに離間されたチャンネル6.1乃至6.16が、半田付けプレフォーム1に形成されている。この実施形態では、前記チャンネル6.1乃至6.16は、図1に示されているような原形の形状から材料を切除することによって形成され得る。かくして、第1の実施形態のチャンネルは、凹部によって形成されている。前記チャンネル6.1乃至6.16は、半田付けプレフォーム1の切除部分である。これは、例えば打ち抜きによって、容易に且つ安価に為され得る。更に、前記チャンネル6.1乃至1.16の構成は、半田面2.1及び2.2の双方に、同様に適用される。
【0024】
代わって、チャンネルは、半田付けプレフォーム1の切除部分の形成の代わりに、半田付けプレフォーム1の厚みを減じることによっても形成され得る。このことは、図4乃至図7を参照して説明される。
【0025】
前記チャンネル6.1乃至6.16を形成している凹部の幾何学形状は、前記半田面2.1、2.2のすべての点が、前記チャンネル6.1乃至6.16、もしくは半田付けプレフォームの前記外側の境界4の最も近い点から、所定の距離内の最長距離を有するように、選択されている。概して、還元ガスの雰囲気の前記銅の基板3と前記半田面2.1、2.2との間への標準の浸透深さとして前記所定の距離が選択されると、半田付けプレフォーム1によって覆われている前記銅の基板3の領域全体に、還元ガスの雰囲気が達する。
【0026】
この実施形態では、このような幾何学形状は、半田付けプレフォーム1の外側の境界4から前記半田面2.2の、即ちプレフォーム1の中心点Cに到るN本のチャンネル6.i(i=1、2、3…N)によって、実現されている。前記チャンネル6.i間は、切除されず、前記中心点に達しない。この例では、N=16本のチャンネル6.1乃至6.16が、これらの長軸が前記中心点Cを通るように、配置されている。各チャンネル6.iは、前記外側の境界4への開口部7.iとチャンネルの端部8.iとを有しており、チャンネルの端部8.iは、前記開口部7.iへの方向に、前記中心部Cから所定の距離で位置されている。参照符号7.iと8.iとは、図2に、チャンネル6.5に対してのみ、それぞれ示されているが、チャンネル6.1乃至6.16のすべてに当てはまる。
【0027】
チャンネル6.1乃至6.Nの数Nは、前記半田面2.1、2.2のすべての点の、最も近いチャンネル6.iまで、もしくは前記外側の境界4までの最大距離を有する前述の所定の幾何学形状によって決定される。この距離は、所定の距離より短いか、これと同じであり、かくして、前記還元ガスの雰囲気の浸透深さと、前記半田面2.2の寸法と形状とに対応している。前記幾何学形状は、前記開口部7.1乃至7.4を介して前記外側の境界側面4.3、4.2、4.1、4.4の中心点から前記半田面2.2の前記中心点Cに至るチャンネル6.1乃至6.4を切除することによって構成される。前記チャンネルの端部8.1乃至8.4は、長くとも浸透深さである前記中心部Cへの距離を有している。前記外側の境界4へ、もしくは前記半田面の前記チャンネル6.iのうちの1つへ前記所定の距離より長い距離を有している領域が、前記半田面2.1、2.2にまだある場合、更なるチャンネル6.5乃至6.8が切除される。このような領域の点は、下記ではホワイトポイント(white points)と称される。
【0028】
前記更なるチャンネル6.5乃至6.8は、前記開口部7.5乃至7.8によって前記半田面2.2の4つの頂点から始まり、前記中心点Cに向かう。前記チャンネル6.1乃至6.4は、半田付けプロセスの間に還元ガスの雰囲気で前記中心の領域を既に覆わらせているので、前記チャンネル6.5乃至6.8は、前記チャンネル6.1乃至6.4と同様に、前記中心点Cに達する必要がない。4つのチャンネルの端部8.5乃至8.8は、前記中心点Cにそれぞれ最も近い4つの前記ホワイトポイント間が、前記チャンネル6.5乃至6.8によって導かれる還元ガスの雰囲気が到達する距離であるように、即ち、前記中心点Cに最も近いそれぞれのホワイトポイントから最も近いチャンネルの端部8.5乃至8.8までの距離が、所定の距離より短いか、これと同じであるように、選択され得る。
【0029】
2つのチャンネル間、例えば6.3、6.6間にホワイトポイントがまだある場合、更なるチャンネル6.12が、前記チャンネル6.3と6.6との間に切除される。このチャンネル6.12の開口部7.12が、前記開口部7.3と7.6との中間に位置される。このチャンネル6.12は、前記中心点Cに向かって延びており、これのチャンネルの端部8.12は、2つのチャンネル6.3と6.12との間の、前記中心点Cに最も近いホワイトポイントまでの所定の距離と長くとも同じ距離を有している。代わって、前記チャンネル6.iは、前記中心点Cに向かう代わりに、2つの隣接したチャンネル6.i間の中心点Cに最も近いホワイトポイントに向かって延び得る。前記チャンネル6.1乃至6.8は、対称性のために違いがない。かくして、この幾何学形状に対する構造のルールが、以下のようにまとめられ得る。(1)前記外側の境界4から前記中心点Cに向かって、所定の距離より短いか等しい前記中心点Cまでの距離で等距離に、即ち対称に前記半田面2.2に配置されるn個のチャンネルを切除する。(2)前記中心点Cに最も近いホワイトポイントを見つける。(3)見つけたホワイトポイントのために、隣接した前記チャンネルの2つの開口部の中間から始まる新しいチャンネルを、対応する前記ホワイトポイントに向かって、このチャンネルの端部の前記ホワイトポイントへの距離が所定の距離より小さくなるところまで、切除する。(4)すべてのホワイトポイントがなくなるまで、工程(2)、(3)を繰り返す。
【0030】
上述の条件を実現するために、代わりの可能な幾何学形状が多数ある。代わりの単純な幾何学形状は、2つの対向する側面、例えば、外側の境界4に対して直角の外側の境界側面4.1、4.3から、半田面の中心ラインへとチャンネルをそれぞれ切除され得る。前記中心ラインは、側面4.2、4.4のそれぞれの中心点と、中心点Cとを通って延びている。対向する前記チャンネルは、前記中心ラインに対して対称に、もしくは、前記中心ラインの方向にオフセットして、配置され得る。
【0031】
前記チャンネルの、もしくは複数のチャンネルの2次元の幾何学形状を前記半田面2.2の上面図で示しているように、前記外側の境界側面4.1乃至4.4は、外側の境界ラインとして、前記2次元の外側の境界側面4.1乃至4.4にいかなる制限も与えないで、使用され得る。これは、前記外側の境界側面4.1乃至4.4が、前記半田面2.2に対して直角であり、かくして前記半田面2.2上の突出部が、境界ラインであるからである。
【0032】
好ましくは、チャンネルの開口部7.iは、チャンネルの端部8.iより広く、即ち、前記半田面2.2の層のチャンネル6.1乃至6.16の幅は、前記中心点Cに向かって徐々に狭くなっている。前記チャンネル6.iの幅は、チャンネル6.iの長軸に対して直角である前記チャンネル6.iの側壁間の距離として、規定されている。例えば、前記チャンネル6.1乃至6.16の幅は、これらチャンネルの端部8.1乃至8.16で1mmであり、これらの開口部7.1乃至7.16で3mmである。好ましくは、前記チャンネル6.1乃至6.16の幅は、前記開口部7.1乃至7.16のところで1mm乃至5mmであり、より好ましくは2mm乃至4mmであり、最も好ましくは2.5mm乃至3.5mmである。更に、前記チャンネルの開口部7.iは、少なくとも前記チャンネルの幅だけ、互いに離間されている。確実に、このような幅の選択は、半田材料と半田工程とのような半田の条件に依存している。テーパーが形成された前記チャンネル6.1乃至6.16は、半田付けの間に、半田が溶解すると、この半田が、狭いチャンネルの端部8.1乃至8.16から始まって広い開口部7.1乃至7.16へと前記チャンネル6.1乃至6.16を閉じる、という効果を有している。これは、毛管力によって生じる。かくして、前記開口部7.iからか、前記チャンネルの端部8.iと前記開口部7.iとの間のどこかから始まるチャンネル6.iの閉じによって、空間を塞ぐことが、防がれる。更に、前記チャンネル6.1乃至6.16のテーパーの形成は、前記チャンネルの端部8.1乃至8.16のところより多い量の前記還元ガスの雰囲気が、前記開口部7.1乃至7.16から運ばれることを、考慮している。
【0033】
半田付けプレフォームの半田材料の量に対する、前記チャンネルの容積の比率は、好ましくは1:1、より好ましくは1:1.2、最も好ましくは1:1.5である。
【0034】
図3は、図2に示されている半田付けプレフォーム1のA−Aで切断されている断面図である。半田付けプレフォーム1のこの断面図は、半田付けプレフォーム1の固体部分を、この半田付けプレフォーム1の中心の領域5で、前記中心点Cを通るように切断している。この断面図は、同じように、前記チャンネル6.2と6.4とを通って延びている。
【0035】
下記に、本発明の更なる実施形態が、説明される。違いのみが、詳細に説明される。以下の説明と同様に図面で、同じ参照符号と用語とが、異なる実施形態の同じ、もしくは類似した用語に対して使用されている。
【0036】
本発明の第2及び第3の実施形態は、図1に示されている半田付けプレフォーム1とほぼ同じ形状と、本発明の第1の実施形態で説明されており図2に示されているチャンネルと基本的に同じ幾何学形状とを有している。図5は、本発明の第2の実施形態に関して、図4のA−Aで切断された断面図である。第1の実施形態のように厚み全体に渡って形成されているチャンネル6.1乃至6.16に代わって、第2の実施形態では、チャンネル6.1乃至6.16が、溝によって形成されている。前記チャンネル6.1乃至6.16を形成しており、前記半田面2.1、2.2に直交している溝に隣接した領域では、本発明の第2の実施形態に係る半田付けプレフォーム1は、半田面2.2に隣接しておりこれに直交している半田付けプレフォームの領域の、前記厚みcより小さい所定の厚みdを有している。この領域は、図5では中心の領域5である。
【0037】
図6は、本発明の第3の実施形態に関して、図4のA−Aで切断された断面図である。半田付けプレフォーム1は、前記チャンネル6.1乃至6.16を構成しているテーパーが形成された溝を有している。前記チャンネル6.1乃至6.16は、第1の実施形態に関して示されているように前記溝6.1乃至6.16の幅の方向へのテーパーが形成されていることに加えて、もしくはこれに代わって、溝6.1乃至6.16の深さ方向へのテーパーが形成されている。本発明の第1及び第2の実施形態と同様に、前記チャンネル6.1乃至6.16の深さは、前記開口部7.1乃至7.16から前記チャンネルの端部8.1乃至8.16へと、それぞれテーパー状に形成されている。かくして、半田付けプレフォーム1の厚みは、各チャンネル6.iに沿って、前記開口部7.iでの厚みeから、前記チャンネルの端部8.iでの厚みcまで、連続して大きくなっている。従って、前記チャンネル6.1乃至6.16の幅方向のテーパーの形成の効果が、この場合に得られる。
【0038】
本発明の第4の実施形態が、以下に説明される。図7は、本発明の第4の実施形態に係る半田付けプレフォーム1を示している。この半田付けプレフォーム1の全体の形状は、図1の第1の実施形態に関して説明された形状と同じであり、従って、図1の側面に対する参照符号が、この半田付けプレフォーム1に適用される。第1の領域10と第2の領域11とが、半田付けプレフォーム1の側面に形成されている。第1の領域10は、第2の領域11に突出している小領域として、互いに離間されたくぼみ10.1乃至10.5に分かれている。かくして、半田付けプレフォーム1は、半田付けの前とこの間とに、前記銅の基板3の前記半田面2.2として、前記くぼみ10.1乃至10.5を有している。この横断面図は、くぼみ10.1乃至10.5のみを示している。更なるくぼみが、これらくぼみ10.1乃至10.5の後ろ及び前に、一列に配置されている。
【0039】
このことは、前記第2の領域11が所定の厚みfを有している場合のみ、可能である。前記第2の領域11が切り取られて前記第1の領域10が接続されていない場合、半田付けプレフォーム1は、崩れる可能性がある。前記第2の領域11の厚みfは、前記第1の領域10の厚みcより小さい。前記くぼみ10.1乃至10.5間に、チャンネル6が形成されている。この結果、第4の実施形態に係るチャンネルは、互いに平行であるように、及び/もしくは互いに直交するように延びている。くぼみ10.1乃至10.5に代わって、連続したバンクが、前記第2の領域11を複数の小領域に分けるように、使用され得る。
【0040】
第1の及び第2の実施形態と同様に、前記第4の実施形態のチャンネルの幅、及び/もしくは厚みは、徐々に小さくなり得る。このテーパー部分は、半田付けプレフォームの外側の境界4から半田付けプレフォーム1の中心部まで形成されている。各チャンネルが、前記境界4.1から境界4.3まで、もしくは前記境界4.2から境界4.4まで通じるように、各チャンネルは、まず前記境界4.1もしくは4.2から前記チャンネルの中心へとテーパー状に形成されており、そして、各チャンネルは、前記チャンネルの中心部から前記他の境界4.3もしくは4.4まで広がっている。
【0041】
以下に、半田付けプロセスが、本発明の第1の実施形態に基づいて説明される。半田付けのために、半田付けプレフォーム1が、銅の基板3と図示されていないパワーモジュールとのような、互いに接続される2つの物体間の半田付け位置に配置される。前記銅の基板3と、半田付けプレフォーム1と、前記パワーモジュールとの集合体が、これら銅の基板3と、半田付けプレフォーム1と、前記パワーモジュールとをこれらの接触領域のところで加熱し得る半田付けの雰囲気中に配置される。この雰囲気は、半田接合領域の周りに、蟻酸のような還元ガスの雰囲気を形成し得る。半田付けプレフォーム1の周りの蟻酸ガスは、前記開口部7.1乃至7.16から前記チャンネル6.1乃至6.16中に入り、前記チャンネルの端部8.1乃至8.16に至る。この蟻酸ガスは、前記チャンネル6.1乃至6.16の境界と、半田付けされる物体と半田付けプレフォーム1の前記半田面2.1、2.1との間の外側の境界4とを越えて、半田条件に応じた所定の浸透深さまで、それぞれ入る。前記チャンネルの幾何学形状は、前記半田面2.1、2.2のすべての点から前記外側の境界4への、もしくは少なくとも1つのチャンネル6.1乃至6.16への最も近い距離が、前記浸透深さより小さくなるように選択されているので、前記蟻酸ガスは、前記パワーモジュールと前記銅の基板3との完全な接触領域に至る。かくして、前記パワーモジュールと前記銅の基板3との酸化物の層が、前記接触面から十分に取り除かれ得、半田付けの間に前記半田接合部に空隙が発生することが、有効に防がれ得る。
【0042】
このようなクリーニングの工程の後に、前記パワーモジュールと半田付けプレフォーム1と前記銅の基板3との接触領域が、半田付け温度まで加熱され、半田付けプレフォーム1の半田が溶解し始める。テーパー状に形成されている前記チャンネル6.1乃至6.16、及び/もしくは毛管力によって、前記チャンネル6.1乃至6.16は、狭いチャンネルの端部8.1乃至8.16から前記開口部7.1乃至7.16まで閉じる。かくして、この半田の接合部中には、いかなる空隙も残らない。冷却プロセスの後、機械的に安定した、電気及び熱の伝導性のある接続が、本発明に係る半田付けプレフォーム1によって、前記銅の基板3と前記パワーモジュールとの間に、設けられる。
【0043】
従って、前記還元性のガスは、本発明の第2及び第3の実施形態では、前記チャンネル6.1乃至6.16を通り、もしくは、本発明の第4の実施形態では、半田付けプレフォーム1の第2の領域を通り、前記銅の基板の接触面から酸化物の層を取り除く。
【0044】
半田付けプロセスの後に、所定の半田の距離が前記パワーモジュールと前記基板3との間に求められる場合、半田付けプレフォーム1の厚みcは、所望の所定の半田の距離よりわずかに大きくなるように選択される。半田付けプレフォーム1の半田の量は、この量が、前記距離に対応する厚みと領域a*bとを有する半田付け後の半田接合部の量に対応するように、選択される。半田付けプレフォーム1の厚みcは、この半田付けプレフォーム1が前記半田接合部の領域a*bに所望の厚みまで半田を充填するために必要な量と同じ量を有するように、選択される。更に、通例、半田のいくつかが前記半田接合部から押し出されることが考えられ得、半田付けプレフォーム1の半田の量は、所望の量よりわずかに多くなるように、選択される。
【0045】
この説明は、第2及び第3の実施形態のための前記半田面2.2の前記第2の領域11の、もしくはチャンネル6.1乃至6.16の形態及び幾何学形状に、限定されている。本発明の第1の実施形態では、前記チャンネル6.1乃至6.16が、切除されており、前記半田面2.1上のチャンネル6.1乃至6.16は、前記半田面2.2のチャンネルと同じである。他の実施形態では、前記チャンネル6.1乃至6.16の、もしくは第2の領域11の形状と幾何学形状とは、半田付けプレフォームの中心の層に対して対称になるように、前記半田面2.1に適用され得る。前記中心の層は、互いにほぼ平行な前記半田面2.1と2.2との間の中間にある層である。高度な接続が半田付けプレフォームの一方の半田面にのみ必要とされる場合、第2及び第3の実施形態の第2の領域11、もしくは前記チャンネル6.1乃至6.16は、前記2つの半田面2.1及び2.2の一方にのみ、与えられ得る。第2及び第3の実施形態に係る、両半田面2.1及び2.2上の前記第2の領域11、及び/もしくは前記チャンネル6.1乃至6.16は、半田付けされる物体に、個々に適用され得る。
【0046】
半田付けプレフォーム1は、半田付けされるいかなる特定の物体にも制限されない。この半田付けプレフォーム1は、全ての広範の半田接合に、特に、少なくとも80mmの、好ましくは少なくとも120mmの、最も好ましくは少なくとも1000mmの半田接合部の形成に、適用可能である。
【0047】
本発明は、上記の実施形態に制限されない。上記の実施形態の特徴は、有効な方法で、各々組み合わされ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元ガスの雰囲気中で半田付けするための半田付けプレフォームであって、
この半田付けプレフォーム(1)は、基本的に盤の形状であり、各々が半田付けされる物体(3)に接触するための2つの半田面(2.1、2.2)を有しており、
この半田付けプレフォーム(1)は、半田付けの後に、前記物体(3)間に、少なくとも80mmの、好ましくは少なくとも120mm、最も好ましくは少なくとも1000mmの連続した半田の層を形成するためのものであり、半田付けプレフォーム(1)に形成されている少なくとも1つのチャンネル(6.1乃至6.16)を有しており、
少なくとも1つのチャンネル(6.1乃至6.16)は、前記2つの半田面(2.1、2.2)が、半田付けされる前記物体(3)に接触している時に、前記半田面(2.1、2.2)の少なくとも一方に対して開いており、且つ、前記還元ガスの雰囲気に対して開いている、半田付けプレフォーム。
【請求項2】
貫通孔を有していないことを特徴とする請求項1に記載の半田付けプレフォーム(1)。
【請求項3】
単純接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載の半田付けプレフォーム(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのチャンネル(6.1乃至6.16)は、前記半田面(2.1、2.2)の少なくとも1つの全ての点の、前記チャンネル(6.1乃至6.16)の境界への最長距離を有する幾何学形状を、前記半田面(2.1、2.2)の少なくとも1つに有しており、この最長距離は、前記還元ガスの雰囲気の標準の浸透深さによって規定される所定の距離より短いことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1に記載の半田付けプレフォーム。
【請求項5】
前記所定の距離は、6mmより短いことを特徴とする請求項4に記載の半田付けプレフォーム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのチャンネル(6.1乃至6.16)は、基本的に盤の形状の半田付けプレフォーム(1)の外側の境界(4)に対して開いていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の半田付けプレフォーム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのチャンネル(6.1乃至6.16)は、前記外側の境界(4)のところで、最大の開口部からテーパー状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の半田付けプレフォーム。
【請求項8】
前記外側の境界(4)のところの最大の開口部(7.1乃至7.16)の幅は、1mm乃至5mm、好ましくは2mm乃至4mm、最も好ましくは2.5mm乃至3.5mmであることを特徴とする請求項7に記載の半田付けプレフォーム。
【請求項9】
複数のチャンネル(6.1乃至6.16)を有していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1に記載の半田付けプレフォーム。
【請求項10】
前記チャンネル(6.1乃至6.16)の各々は、前記半田面(2.1、2.2)の、もしくは半田付けプレフォーム(1)の中心点(C)を通って延びている長軸を有することを特徴とする請求項9に記載の半田付けプレフォーム。
【請求項11】
前記チャンネル(6.1乃至6.16)の各々は、他のチャンネル(6.1乃至6.16)から離間されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の半田付けプレフォーム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのチャンネル(6.1乃至6.16)は、前記半田面(2.1、2.1)の一方から、前記半田面(2.1、2.1)の他方に延びている切除部分であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1に記載の半田付けプレフォーム。
【請求項13】
互いに平行であるように、及び/もしくは直交するように延びている複数のチャンネル(6.1乃至6.16)を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1に記載の半田付けプレフォーム。
【請求項14】
半田付けプレフォーム(1)の厚み(c)は、最終的な半田の厚み(g)より大きいことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1に記載の半田付けプレフォーム。
【請求項15】
半田付けプレフォーム(1)の体積は、最終的な半田の体積より大きいことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1に記載の半田付けプレフォーム。
【請求項16】
半田付けプレフォームの半田材料の量に対する、前記少なくとも1つのチャンネルの総容量の比率は、好ましくは1:1、より好ましくは1:1.2、最も好ましくは1:1.5であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1に記載の半田付けプレフォーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−523322(P2012−523322A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504030(P2012−504030)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054708
【国際公開番号】WO2010/115982
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(505063441)アーベーベー・テヒノロギー・アーゲー (96)
【Fターム(参考)】