半田接合構造及びこれを用いた電子装置並びに半田接合方法
【課題】半田による端子間の短絡を防止することを課題とする。
【解決手段】端子接合構造は、隣接する複数の第1端子導体が設けられた第1端子部と、この第1端子部と対向配置されるとともに、第1端子導体に接合される第2端子導体が設けられた第2端子部を有する。また、前記第1端子導体と前記第2端子導体とを電気的に接続する半田を備えるとともに、この半田の流動抑制手段を備える。流動抑制手段は、第1端子部と第2端子部との間に配置される間隔調整部材である。この間隔調整部材が存在することにより、第1端子部と第2端子部とが接近することにより生じる半田の流動を抑制することができ、短絡を防止することができる。
【解決手段】端子接合構造は、隣接する複数の第1端子導体が設けられた第1端子部と、この第1端子部と対向配置されるとともに、第1端子導体に接合される第2端子導体が設けられた第2端子部を有する。また、前記第1端子導体と前記第2端子導体とを電気的に接続する半田を備えるとともに、この半田の流動抑制手段を備える。流動抑制手段は、第1端子部と第2端子部との間に配置される間隔調整部材である。この間隔調整部材が存在することにより、第1端子部と第2端子部とが接近することにより生じる半田の流動を抑制することができ、短絡を防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田接合構造及びこれを用いた電子装置並びに半田接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半田による電気的導通の確保は電子装置の各部において行われている。例えば、第1端子導体が設けられた第1端子部と、第1端子導体に接合される第2端子導体が設けられた第2端子部とを対向配置し、第1端子導体と第2端子導体との電気的導通を半田によって行うことがある。ここで、第1端子導体が隣接して複数設けられることがある。例えば、第1端子導体と第2端子導体とを半田で接合する技術が開示されている(特許文献1参照)。前記のように第1端子導体と第2端子導体とを半田によって接合する場合、予め、いずれかの端子導体に半田をプリコートしておき、第1端子導体と第2端子導体とを対向配置して圧着することが行われる。圧着は、熱と圧力を加えて半田を溶融させることによって第1端子導体と第2端子導体とを接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−300594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、隣接する端子導体の数は増加する傾向にある。隣接する端子導体の数が増加すると、端子間の短絡のおそれが増す。特に、電子装置自体の小型化、搭載される電子部品との兼ね合い等から半田接合エリアの縮小化、端子のファインピッチ化が求められる設計条件下では、半田による短絡が発生し易い。端子間の短絡を防止しつつ、十分な半田接合を行うためには、適量の半田を供給することが求められるが、半田供給量の制御自体が困難な場合も想定される。
【0005】
そこで、本発明は、半田による端子間の短絡を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書開示の半田接合構造は、隣接する複数の第1端子導体が設けられた第1端子部と、当該第1端子部と対向配置されるとともに、前記第1端子導体に接合される第2端子導体が設けられた第2端子部と、前記第1端子導体と前記第2端子導体とを電気的に接続する半田と、当該半田の流動抑制手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
半田の流動は、第1端子部と第2端子部とを対向配置し、圧着するときに生じる。すなわち、第1端子部と第2端子部との間隔が狭くなるに従って半田の流動が生じやすくなる。
本明細書開示の半田接合構造は、このようにして生じる半田の流動を、半田の流動抑制手段により抑制する。この結果、隣接する第1端子導体側への半田の流動を抑制し、端子間の短絡を防止することができる。
【発明の効果】
【0008】
本明細書開示の半田接合構造によれば、半田の流動を抑制し、端子間の短絡を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施例1の半田接合構造が適用される磁気ディスク装置の内部構造を示した説明図である。
【図2】図2は、磁気ディスク装置が備えるロータリアクチュエータを取り出し、一部省略した状態で示した説明図である。
【図3】図3は、ロータリアクチュエータが備えるFPCを取り出し、FPC端子部の拡大図とともに示した説明図である。
【図4】図4は、ロータリアクチュエータが備えるヘッドジンバルアセンブリィを取り出して示した説明図である。
【図5】図5は、サスペンション端子導体を拡大して示した説明図である。
【図6】図6は、半田プリコートが施された比較例のFPC端子部を模式的に示した説明図である。
【図7】図7は、半田プリコートが施された比較例のFPC端子部を模式的に示した斜視図である。
【図8】図8(A)は、半田プリコートが施された比較例のFPC端子部にサスペンション端子部が対向配置される様子を模式的に示した説明図である。図8(B)は、FPC端子部とサスペンション端子部とが半田接合された状態を示す説明図である。
【図9】図9は、半田プリコートが施された実施例1のFPC端子部を模式的に示した説明図である。
【図10】図10は、実施例1におけるFPCとサスペンション端子部とが半田接合された状態を示す説明図である。
【図11】図11は、実施例1の半田接合方法の工程図である。
【図12】図12は、他の実施例におけるFPC端子部とサスペンション端子部とが半田接合された状態を示す説明図である。
【図13】図13は、半田プリコートが施された実施例2のFPC端子部を模式的に示した斜視図である。
【図14】図14は、半田プリコートが施された実施例3のFPC端子部を模式的に示した斜視図である。
【図15】図15は、実施例3におけるFPC端子部とサスペンション端子部とが半田接合された状態を示す説明図である。
【図16】図16は、実施例3の半田接合方法の工程図である。
【図17】図17(A)は、他の実施例におけるサスペンション端子部を模式的に示した斜視図であり、図17(B)は、半田プリコートが施されたFPC端子部を模式的に示した斜視図である。図17(C)は、図17(A)に示したサスペンション端子部の断面図である。
【図18】図18は、半田プリコートが施された実施例4のFPC端子部を模式的に示した斜視図である。
【図19】図19は、実施例4におけるFPC端子部とサスペンション端子部とが半田接合された状態を示す説明図である。
【図20】図20は、実施例4の半田接合方法の工程図である。
【図21】図21は、実施例4のFPC端子部を模式的に示した斜視図である。
【図22】図22は、半田プリコートが施された実施例5のFPC端子部とサスペンション端子部の一部とを模式的に示した斜視図である。
【図23】図23は、実施例5におけるFPC端子部とサスペンション端子部とが半田接合された状態を示す説明図である。
【図24】図24は、実施例5の半田接合方法の工程図である。
【図25】図25は、半田プリコートが施された実施例6のFPC端子部を模式的に示した斜視図である。
【図26】図26は、実施例6におけるFPC端子部とサスペンション端子部とが半田接合された状態を示す説明図である。
【図27】図27は、実施例6の半田接合方法の工程図である。
【図28】図28は、半田プリコートが施された実施例7のFPC端子部とサスペンション端子部の一部とを模式的に示した斜視図である。
【図29】図29は、半田プリコートが施された実施例7のFPC端子部に半田プリコートが施されたサスペンション端子部が対向配置される様子を模式的に示した説明図である。
【図30】図30は、実施例7におけるFPC端子部とサスペンション端子部とが半田接合された状態を示す説明図である。
【図31】図31は、実施例7の半田接合方法の工程図である。
【図32】図32は、半田プリコートが施された実施例8のFPC端子部とサスペンション端子部の一部とを模式的に示した斜視図である。
【図33】図33は、実施例8におけるFPC端子部とサスペンション端子部とが半田接合された状態を示す説明図である。
【図34】図34は、実施例9のFPC端子部を模式的に示した斜視図である。
【図35】図35は、図34に示したFPC端子部の断面図である。
【図36】図36は、実施例9の半田接合方法の工程図である。
【図37】図37は、実施例10のFPC端子部を模式的に示した斜視図である。
【図38】図38は、図37に示したFPC端子部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては細部が省略されている場合もある。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1の半田接合構造が適用される磁気ディスク装置1000の筐体カバーを取り外し、筐体ベース側の内部構造を示した説明図である。磁気ディスク装置1000は、本明細書における電子装置の一例であり、電子装置は、他の装置であってもよい。
【0012】
図1に示すように、磁気ディスク装置1000は、筐体ベース3内に、スピンドルモータにより一定速度で回転される磁気ディスク1を有している。磁気ディスク1に対しては、ロータリアクチュエータ2が設けられている。
【0013】
ロータリアクチュエータ2は軸部4により筐体ベース3に回転自在に支持されている。また、ロータリアクチュエータ2は、アーム5を介して先端側にヘッドジンバルアセンブリィ6を備え、ヘッド26に支持されている。ロータリアクチュエータ2の後端側にはコイル8が装着されている。
【0014】
ロータリアクチュエータ2のコイル8側には、筐体ベース3に固定された磁気回路部が設けられている。そして、コイル8と磁気回路部によりロータリアクチュエータ2を駆動するボイスコイルモータが構成されている。
【0015】
筐体ベース3側の磁気回路部に含まれる磁石10は、筐体ベース3に固定された下ヨーク9の上部に配置されている。磁石10はロータリアクチュエータ2によるコイル8の回動範囲をカバーする形状を有している。
【0016】
磁石10の上側にはロータリアクチュエータ2の後部に位置するコイル8が軸部4を中心に回動自在に配置されている。コイル8の上部には下ヨーク9に対向して同一形状を持つ上ヨークが配置されているが、図1において、上ヨークは取り外して省略した状態で示されている。
ロータリアクチュエータ2の側面から固定側の回路実装部に対し、FPC(Flexible Print Circuit)12が引き出されている。FPC12には、ヘッド7に対する信号線及びコイル8に対する信号線がフレキシブルプリントパターンとして形成されている。また、FPC12には、ヘッド7の記録素子と読取素子に対する信号処理を行うライトドライバやプリアンプを備えたヘッドICが実装されている。そして、FPC12は、筐体ベース3側に配置されているコントロールボードとの間で、制御信号、ライト信号、リード信号などのやり取りを行う。なお、図1中、参照番号11は、ランプロード機構である。
【0017】
図2は、磁気ディスク装置1000が備えるロータリアクチュエータ2を取り出し、一部省略した状態で示した説明図である。図2において、ロータリアクチュエータ2は、軸部4より延設させたアーム5にカシメ加工で固定されたヘッドジンバルアセンブリィ6を備えている。ヘッドジンバルアセンブリィ6はサスペンション取付アーム15とロングテールサスペンション16を有している。
【0018】
ロングテールサスペンション16の先端側は、サスペンション取付アーム15の下側に配置され、先端に記録素子、読取素子及びスライダを備えたヘッド7が支持されている。また、ロングテールサスペンション16の後端は、アーム5の側面に装着されている。そして、ロングテールサスペンション16の後端には、ロータリアクチュエータ2の軸部4の側面に支持固定されているFPC12に電気的に接続するためのサスペンション端子部14が設けられている。
【0019】
ロータリアクチュエータ2の軸部4の側面にはFPC12の一端が固定され、ここにヘッドIC13が実装されている。FPC12の一端には、ヘッドジンバルアセンブリィ6に設けたロングテールサスペンション16のサスペンション端子部14を電気的に接続するためのFPC端子部100−1〜100−4が形成されている。
【0020】
ここでFPC12に設けられたFPC端子部100−1〜100−4は、本明細書における第1端子部の一例である。また、サスペンション端子部14は、本明細書における第2端子部の一例である。もちろん、FPC端子部100−1〜100−4を、本明細書における第2端子部の一例とし、サスペンション端子部14を本明細書における第1端子部の一例とすることもできる。
【0021】
図3は、ロータリアクチュエータ2が備えるFPC12を取り出し、FPC端子部100−1〜100−4の拡大図とともに示した説明図である。図3(A)はFPC12のロータリアクチュエータ側を示しており、FPC12の先端にFPC端子部100−1〜100−4が形成されている。そして、FPC端子部100−1〜100−4の背後にヘッドIC13が実装されている。FPC12は、図3(B)、図9さらには図10に示すように可撓性のベースフィルム21上に回路及びFPC端子導体18−1〜18−6を構成する配線パターン17が形成されている。また、配線パターン17の非接続部分にはカバーフィルム22が積層配置されている。
【0022】
図3(B)は、図3(A)のFPC端子部100−1を拡大して示している。FPC端子部100−1には、隣接する複数のFPC端子導体18−1〜18−6が設けられている。ここで、FPC端子導体18−1〜18−6は、本明細書における第1端子導体の一例である。なお、他の図面において、一部のFPC端子導体18−1〜18−3のみが描かれている場合がある。
【0023】
FPC端子導体18−1〜18−6に対しては、図3(B)に示すように破線で示すカバーフィルム開口が位置し、カバーフィルム開口の部分でFPC端子導体18−1〜18−6が導体面を外部に露出している。またFPC端子導体18−1〜18−6のそれぞれからは配線パターン17が引き出され、配線パターン群として筐体ベース側に引き出されている。
【0024】
図4は、ロータリアクチュエータ12が備えるヘッドジンバルアセンブリィ6を取り出して示した説明図である。図4(A)は、ヘッドジンバルアセンブリィ6の平面図であり、図4(B)は裏側を示した背面図である。
【0025】
ヘッドジンバルアセンブリィ6は、サスペンション取付アーム15の裏面側に接着により固定されたロングテールサスペンション16を備えている。ロングテールサスペンション16は先端にヘッド7を備え、テール側にサスペンション端子部14を備えている。ヘッド7とサスペンション端子部14とは回路パターンで接続されている。即ちロングテールサスペンション16は、ヘッド7と図2に示したFPC12のヘッドIC13を電気的に接続する機能を果たしている。ロングテールサスペンション16上の伝送路は、金属箔として例えばステンレス箔の上に絶縁層をコートした後にCuめっきなどにより回路層を形成し、更に回路層に保護層を形成した後に、ステンレス層のエッジングを行って製造されており、半導体製造プロセスによる薄膜回路として形成されている。
【0026】
図5は、サスペンション端子部14を拡大して示した説明図である。図5において、ロングテールサスペンション16のテール側の端部には本明細書におけるの第2端子部の一例としてのサスペンション端子部14が設けられている。
【0027】
サスペンション端子部14には、図10に示すようにベースフィルム24上にサスペンション端子導体20−1〜20−6が一定間隔で配列されており、サスペンション端子導体20−1〜20−6からは配線パターン19が引き出され、図4に示すヘッド7に接続されている。また配線パターン19については、サスペンション端子導体20−1〜20−6の露出部分を除いて保護層が設けられている。
【0028】
実施例1のロングテールサスペンション16にあっては、図4に示したヘッド7に、記録素子、読取素子に加え、更に、ヘッド浮上量を、熱膨張を利用して制御するためのヒータ素子が設けられている。このため、記録素子、読取素子、ヒータ素子のそれぞれにつき2本ずつの配線パターンを必要とし、サスペンション端子部14には6つのサスペンション端子導体20−1〜20−6が設けられている。
ここで、サスペンション端子導体20−1〜20−6は本明細書における第2端子導体の一例である。
【0029】
次に、以上のようなヘッドジンバルアセンブリィ6におけるFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とを電気的に接合する半田接合について説明する。実施例1の半田接合について説明する前に、図6乃至図8を参照しつつ半田接合の比較例について説明する。なお、比較例において、実施例1と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号が付されている。
【0030】
図6は、比較例において接合前に予めFPC端子導体18−1〜18−3上に半田23を配置した状態、すなわち、半田プリコートしたFPC端子部100−1の状態を模式的に示して説明図である。図7は、同じく、比較例のFPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。FPC端子部100−1は、上述のように、可撓性のベースフィルム21上に設けられており、カバーフィルム22が積層配置されている。カバーフィルム22には、開口部22aが設けられており、この開口部22aから露出したFPC端子導体18−1〜18−3に半田23がプリコートされている。
【0031】
図8(A)は、半田プリコートが施された比較例のFPC端子部100−1にサスペンション端子部14が対向配置される様子を模式的に示した説明図である。図8(B)は、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14とが半田接合された状態を示す説明図である。FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との接合は、半田23を熱により溶融させ、対向配置させたFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とを押し付け合うように圧力をかけることによって行われる。このため、溶融した半田23は、周辺へ流動する。この半田23の流動は、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間隔が狭くなるほど発生しやすくなり、半田23の流動範囲も広くなる。半田23の流動範囲が広くなると、FPC端子導体18−1〜18−6間で短絡が発生しやすくなる。
【0032】
このように比較例においては、対向配置させたFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とに圧力をかけたときに半田23の流動に起因する短絡の発生が懸念される。
【0033】
次に、実施例1の半田接合について図9乃至図11を参照しつつ説明する。図9は、半田プリコートが施されたFPC端子部100−1を模式的に示した説明図である。図10は、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14とが半田接合された状態を示す説明図である。
【0034】
実施例1の半田接合は、比較例と異なり、半田23内に半田の流動抑制手段の一例としての金属ボール25を有している。半田接合されたとき、金属ボール25は、図10に示すようにFPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間に位置する。これにより、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14とに圧力がかけられたときに両者が近づき過ぎることが抑制され、両者間に適切なスタンドオフ量が確保される。適切なスタンドオフ量が確保されることにより、溶融した半田23の過度の流動を抑制することができる。この結果、FPC端子導体18−1〜18−6間の短絡を防止することができる。このように、金属ボール25は、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間隔調整部材ということができる。
【0035】
ここで、金属ボール25の材料としては、Cu、Ni、Fe等を採用することができる。金属ボール25は、溶融する半田23内に置かれても溶融することがなく、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間で圧力をかけられたときに破損することがない剛性を有していることが望ましい。このような性質を有していれば、金属に限らず、他の材質からなるボールを流動抑制手段、間隔調整部材とすることができる。半田23とは組成の異なる他の半田材料であって、半田23よりも高温の融点を有する半田材料を用いることもできる。例えば、半田23として、融点が140℃程度であるSn−Bi−Ag系の半田材料を用い、他の半田として、融点が180℃程度であるSn−Pb系の半田材料を用いることができる。また、他の半田材料として、融点が218℃程度であるSn−Ag−Cu系の半田材料を用いることができる。このように融点が異なる材料を用いれば、半田23だけを溶融させ、他の半田を間隔調整部材として機能させることができる。
【0036】
また、金属ボール25の直径は、カバーフィルム22の厚さよりも大きく、接合時に半田23内に埋没する大きさとすることが望ましい。半田23内に金属ボール25が埋没することにより、半田23の接合面積を確保することができる。
【0037】
次に、実施例1における半田接合方法につき、図11に示す工程図を参照しつつ説明する。
【0038】
まず、ステップS1において、パターン形成が行われる。パターン形成は、FPC端子部100−1、サスペンション端子部14の双方に行われる。具体的には、FPC端子部100−1のベースフィルム21に、FPC端子導体18−1〜18−6、配線パターン17を含むパターンが印刷される。一方、サスペンション端子部14のベースフィルム24に、サスペンション端子導体20−1〜20−6を含むパターンが印刷される。
このようにして、FPC端子導体18−1〜18−6とサスペンション端子導体20−1〜20−6とが形成される。
【0039】
ステップS2では、FPC端子部100−1のベースフィルム21にカバーフィルム22が積層され、貼付される。なお、実施例1では、省略されているが、サスペンション端子部14側にもベースフィルムを貼付しておくこともできる。
【0040】
次に、ステップS3において、FPC端子導体18−1〜18−6のカバーフィルム22から露出した部分に半田23が配置される。半田23は、プリコートにより配置される。
【0041】
次に、ステップS4において、金属ボール25を半田23上に搭載する。その後、ステップS5において、半田23を加熱し、半田23を溶融させる。これにより、金属ボール25は、半田23内に埋没する。このようにして、流動抑制手段が形成される。金属ボール25は、半田23内に埋没するため、脱落のおそれが低い。
【0042】
ステップS5の処理を行った後は、ステップS6へ進む。ステップS6では、FPC端子導体18−1〜18−6と、サスペンション端子導体20−1〜20−6の位置を合わせてFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とを対向配置させ、両者に圧力をかける。これにより、両者を圧着接合する。
【0043】
このとき、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間には金属ボール25が存在するので、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡が防止される。
【0044】
なお、金属ボール25に代えて、図12に示すように、カバーフィルム22上に配置される他の金属ボール26を採用することもできる。このような金属ボール26であっても間隔調整部材として機能し、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量を確保することができる。金属ボール26は、金属ボール25と同様に他の材質からなるものであってもよい。
【実施例2】
【0045】
次に、実施例2について、図13を参照しつつ説明する。図13は、半田プリコートが施された実施例2のFPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。なお、実施例2において、実施例1と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0046】
実施例2が実施例1と異なるのは、以下の点である。すなわち、実施例2は、実施例1における金属ボール25に代えて、金属線27を用いている。金属線に求められる性質は、金属ボール25とほぼ同一であり、例えば、銅線等を用いることができる。金属線27は、適度な長さに切断することにより利用可能な状態となるので、準備が容易である。金属線27は、間隔調整部材の一例である。
【0047】
このような実施例2は、実施例1と同様に、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡を防止することができる。
【実施例3】
【0048】
次に、実施例3について、図14乃至16を参照しつつ説明する。図14は、半田プリコートが施されたFPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。図15は、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14とが半田接合された状態を示す説明図である。図16は、実施例3における半田接合方法の工程図である。なお、実施例3において、実施例1と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0049】
実施例3が実施例1と異なるのは、以下の点である。すなわち、実施例3は、実施例1における金属ボール25に代えて、めっき処理により形成された突起部28を備えている。突起部28は、FPC端子導体18−1の表面に設けられている。突起部28は、FPC端子導体18−1〜18−6と同一の材料を用いら形成されている。すなわち、FPC端子導体18−1〜18−6がCuによって形成されている場合には、突起部28もCuによって形成される。これにより、突起部28形成のための他の材料を準備する煩わしさから開放される。但し、他の材料を用いて突起部28を形成することもできる。材料としてはNi等を採用することができる。突起部28に求められる性質は、金属ボール25とほぼ同一である。突起部28は、間隔調整部材の一例である。
【0050】
このような実施例3は、実施例1と同様に、図15に示すようにFPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡を防止することができる。
【0051】
次に、実施例3における半田接合方法につき、図16に示す工程図を参照しつつ説明する。
【0052】
まず、ステップS11において、パターン形成が行われる。パターン形成は、FPC端子部100−1、サスペンション端子部14の双方に行われる。具体的には、FPC端子部100−1のベースフィルム21に、FPC端子導体18−1〜18−6、配線パターン17を含むパターンが印刷される。一方、サスペンション端子部14のベースフィルム24に、サスペンション端子導体20−1〜20−6を含むパターンが印刷される。
このようにして、FPC端子導体18−1〜18−6とサスペンション端子導体20−1〜20−6とが形成される。
【0053】
このようなステップS11とともに、ステップS12の処理が行われる。すなわち、突起部28がめっき処理によって形成される。配線パターン17と突起部28の材料を同一のものとする場合は、両者を一の工程で形成することができる。配線パターン17と突起部28の材料を異ならせる場合には、配線パターン17を形成した後に、突起部28を形成する。この突起部28を形成する工程は、本明細書における流動抑制手段を形成する工程の一例である。
【0054】
ステップS11、ステップS12に引き続き行われるステップS13では、FPC端子部100−1のベースフィルム21にカバーフィルム22が積層され、貼付される。
【0055】
次に、ステップS14において、FPC端子導体18−1〜18−6のカバーフィルム22から露出した部分に半田23が配置される。半田23は、プリコートにより配置される。このとき、半田プリコートは、突起部28を覆うように行われる。
【0056】
次に、ステップS15において、半田23を加熱し、半田23を溶融させる。そして、ステップS16において、FPC端子導体18−1〜18−6と、サスペンション端子導体20−1〜20−6の位置を合わせてFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とを対向配置させ、両者に圧力をかける。これにより、両者を圧着接合する。
【0057】
このとき、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間には突起部28が存在するので、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡が防止される。
【0058】
なお、突起部28に代えて、図17に示すように、サスペンション端子部14側に設けられた突起部29を採用することもできる。図17(A)は、サスペンション端子部14を模式的に示した斜視図であり、図17(B)は、半田プリコートが施されたFPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。図17(C)は、図17(A)に示したサスペンション端子部14の断面図である。このように、サスペンション端子部14側に突起部29を設けた場合であってもFPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡が防止される。
突起部29の形成は、突起部28と同様にめっき処理によって行うことができる。
【実施例4】
【0059】
次に、実施例4について、図18乃至21を参照しつつ説明する。図18は、半田プリコートが施されたFPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。図19は、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14とが半田接合された状態を示す説明図である。図20は、実施例4における半田接合方法の工程図である。なお、実施例4において、実施例1と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0060】
実施例4が実施例1と異なるのは、以下の点である。すなわち、実施例4は、実施例1における金属ボール25に代えて、FPC端子導体18−1〜18−6を隆起させるように設けられた突起部30を備えている。突起部30は、ベースフィルム21に金属片を配置することによって設けられている。ベースフィルム21上に金属片を配置し、その上側にFPC端子導体18−1〜18−6が形成されている。突起部30は、FPC端子導体18−1〜18−6毎に設けられている。突起部30を形成する部材は金属片に限定されず、他の材質からなる部材であってもよい。
【0061】
このような実施例4は、実施例1と同様に、図19に示すようにFPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡を防止することができる。
【0062】
次に、実施例4の半田接合方法につき、図20に示す工程図を参照しつつ説明する。
【0063】
まず、ステップS21において、突起部30を形成する部材となる金属片をベースフィルム21上に配置する。そして、ステップS22においてパターン形成が行われる。パターン形成は、FPC端子部100−1、サスペンション端子部14の双方に行われる。具体的には、FPC端子部100−1のベースフィルム21に、FPC端子導体18−1〜18−6、配線パターン17を含むパターンが印刷される。このとき、金属片の上側にFPC端子部180−1〜18−6が配置される。この結果、FPC端子導体18−1〜18−6に隆起し、突起部30が形成される。一方、サスペンション端子部14のベースフィルム24に、サスペンション端子導体20−1〜20−6を含むパターンが印刷される。このように金属片を配置し、FPC端子導体18−1〜18−6を隆起させる工程は、本明細書における流動抑制手段を形成する工程の一例である。
このようにして、FPC端子導体18−1〜18−6とサスペンション端子導体20−1〜20−6とが形成される。
【0064】
ステップS22に引き続き行われるステップS23では、FPC端子部100−1のベースフィルム21にカバーフィルム22が積層され、貼付される。
【0065】
次に、ステップS24において、FPC端子導体18−1〜18−6のカバーフィルム22から露出した部分に半田23が配置される。半田23は、プリコートにより配置される。このとき、半田プリコートは、突起部30を覆うように行われる。
【0066】
次に、ステップS25において、半田23を加熱し、半田23を溶融させる。そして、ステップS26において、FPC端子導体18−1〜18−6と、サスペンション端子導体20−1〜20−6の位置を合わせてFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とを対向配置させ、両者に圧力をかける。これにより、両者を圧着接合する。
【0067】
このとき、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間にはと突起部30が存在するので、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡が防止される。
【0068】
なお、突起部30に代えて、図21に示すように、線材を配置することによって形成される突起部31を採用することもできる。突起部31を形成する線材は、隣接するFPC端子導体18−1〜18−6に亘って配置されている。FPC端子導体18−1〜18−6は、線材上に設けられ、隆起し、突起部31が形成される。図21に示すような形態であれば、一本の線材を配置すればよく、容易に突起部31を形成することができる。線材としては、金属等、種々の材料を用いることができるが、導電性を有する材料を用いる場合には、その表面に亜鉛めっきやニッケルめっき等の絶縁処理を施しておく。線材としてニクロム線等、熱伝導性の高い材料を用いることにより、半田23の溶融に利用することができる。これにより、隣接するFPC端子導体18−1〜18−6上の半田23を溶融することができ、特定の端子導体の列を取り外したい場合等に都合がよい。
【0069】
このようにFPC端子部100−1に設けられる突起部30や突起部31に代えてサスペンション端子部14側に突起部を設ける形態とすることもできる。サスペンション端子部14側に突起部を設けた場合であっても、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡が防止される。
【実施例5】
【0070】
次に、実施例5について、図22乃至24を参照しつつ説明する。図22(A)は、サスペンション端子部14を模式的に示した斜視図であり、図22(B)は、半田プリコートが施されたFPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。図23はFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とが半田接合された状態を示す説明図である。図24は、実施例5における半田接合方法の工程図である。なお、実施例5において、実施例1と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0071】
実施例5が実施例1と異なるのは、以下の点である。すなわち、実施例5は、実施例1における金属ボール25に代えて、半田23の側方に間隔調整部材の一例としての線材32が配置されている。線材32は、カバーフィルム22上に配置されている。線材32は、半田23の両側に配置されているが、片側のみに配置することもできる。線材としては、金属等、種々の材料を用いることができるが、導電性を有する材料を用いる場合には、その表面に亜鉛めっきやニッケルめっき等の絶縁処理を施しておく。また、耐熱樹脂をコーティングしておくことも有効である。さらに、ポリイミド等の耐熱性樹脂単体を採用することもできる。
【0072】
このような実施例5は、実施例1と同様に、図23に示すようにFPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡を防止することができる。
【0073】
次に、実施例5の半田接合方法につき、図24に示す工程図を参照しつつ説明する。
【0074】
まず、ステップS31において、パターン形成が行われる。パターン形成は、FPC端子部100−1、サスペンション端子部14の双方に行われる。具体的には、FPC端子部100−1のベースフィルム21に、FPC端子導体18−1〜18−6、配線パターン17を含むパターンが印刷される。一方、サスペンション端子部14のベースフィルム24に、サスペンション端子導体20−1〜20−6を含むパターンが印刷される。
このようにして、FPC端子導体18−1〜18−6とサスペンション端子導体20−1〜20−6とが形成される。
【0075】
ステップS32では、FPC端子部100−1のベースフィルム21にカバーフィルム22が積層され、貼付される。
【0076】
次に、ステップS33において、FPC端子導体18−1〜18−6のカバーフィルム22から露出した部分に半田23が配置される。半田23は、プリコートにより配置される。
【0077】
次に、ステップS34において、半田23を加熱し、半田23を溶融させる。その後、ステップS35において、カバーフィルム22上に線材32を配置する。この線材32を配置する工程は、本明細書における流動抑制手段を形成する工程の一例である。なお、カバーフィルム22上に線材32を配置する工程は、カバーフィルム22を貼付した後からFPC端子部100−1とサスペンション端子部14との圧着接合(ステップS36)までのいずれのタイミングで行ってもよい。
【0078】
ステップS35の処理を行った後は、ステップS36へ進む。ステップS36では、FPC端子導体18−1〜18−6と、サスペンション端子導体20−1〜20−6の位置を合わせてFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とを対向配置させ、両者に圧力をかける。これにより、両者を圧着接合する。
【0079】
このとき、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間には線材32が存在するので、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡が防止される。
【実施例6】
【0080】
次に、実施例6について、図25乃至27を参照しつつ説明する。図25は、半田プリコートが施されたFPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。図26はFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とが半田接合された状態を示す説明図である。図27は、実施例6における半田接合方法の工程図である。なお、実施例6において、実施例1と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0081】
実施例6が実施例1と異なるのは、以下の点である。すなわち、実施例6は、実施例1における金属ボール25に代えて、半田23の側方に間隔調整部材の一例としての線材33が配置されている。線材33は、ベースフィルム21とカバーフィルム22との間、すなわち、カバーフィルム22の下側に配置されている。この点は、カバーフィルム22上に線材32が配置されている実施例5とは異なっている。線材33は、半田23の両側に配置されているが、片側のみに配置することもできる。線材としては、金属等、種々の材料を用いることができるが、導電性を有する材料を用いる場合には、その表面に亜鉛めっきやニッケルめっき等の絶縁処理を施しておく。また、耐熱樹脂をコーティングしておくことも有効である。さらに、ポリイミド等の耐熱性樹脂単体を採用することもできる。
【0082】
このような実施例6は、実施例1と同様に、図26に示すようにFPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量を確保することができる。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡を防止することができる。
【0083】
次に、実施例6の半田接合方法につき、図27に示す工程図を参照しつつ説明する。
【0084】
まず、ステップS41において、パターン形成が行われる。パターン形成は、FPC端子部100−1、サスペンション端子部14の双方に行われる。具体的には、FPC端子部100−1のベースフィルム21に、FPC端子導体18−1〜18−6、配線パターン17を含むパターンが印刷される。一方、サスペンション端子部14のベースフィルム24に、サスペンション端子導体20−1〜20−6を含むパターンが印刷される。このようにして、FPC端子導体18−1〜18−6とサスペンション端子導体20−1〜20−6とが形成される。そして、ステップS42において線材33をベースフィルム21上に配置する。この線材33を配置する工程は、本明細書における流動抑制手段を形成する工程の一例である。なお、線材33をベースフィルム21上に配置する工程は、パターン形成前に行うこともできる。
【0085】
ステップS43では、FPC端子部100−1のベースフィルム21にカバーフィルム22が積層され、貼付される。
【0086】
次に、ステップS44において、FPC端子導体18−1〜18−6のカバーフィルム22から露出した部分に半田23が配置される。半田23は、プリコートにより配置される。
【0087】
次に、ステップS45において、半田23を加熱し、半田23を溶融させる。その後、ステップS46へ進む。ステップS46では、FPC端子導体18−1〜18−6と、サスペンション端子導体20−1〜20−6の位置を合わせてFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とを対向配置させ、両者に圧力をかける。これにより、両者を圧着接合する。
【0088】
このとき、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間には線材33が存在するので、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡が防止される。
【実施例7】
【0089】
次に、実施例7について、図28乃至31を参照しつつ説明する。図28(A)は、サスペンション端子部14を模式的に示した斜視図であり、図28(B)は、半田プリコートが施されたFPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。図29は、半田プリコートが施されたFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とが対向配置される様子を模式的に示した説明図である。図30はFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とが半田接合された状態を示す説明図である。図31は、実施例7における半田接合方法の工程図である。なお、実施例7において、実施例1と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0090】
実施例7が実施例1と異なるのは、以下の点である。すなわち、FPC端子部100−1に設けられた第1半田23以外に、サスペンション端子部14に設けられた第2半田37を備えている。そして、第1半田23と第2半田37として、溶融温度の異なる材料が選定されている。実施例7では、第1半田23の溶融温度が、第2半田37の溶融温度よりも低い。このため、第1半田23は溶融に至っているが、第2半田37は溶融に至っていない状態を創出することができる。溶融に至っていない第2半田37は、流動抑制手段の一例となる。すなわち、溶融することなく残存する第2半田37は、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間で、間隔調整部材として機能することができる。これとは逆に、第1半田23の溶融温度を、第2半田37の溶融温度よりも高くすることもできる。
【0091】
ここで、溶融温度の低い材料として、例えば、Sn−58Bi(溶融温度140℃、「58」は、Biの重量パーセント)や、Sn−52In(溶融温度117℃、「52」はInの重量パーセント)等を採用することができる。また、溶融温度の高い材料として、Sn−37Pb(溶融温度183℃、「37」は、Pbの重量パーセント)や、Sn−3.0Ag−0.5Cu(溶融温度218℃、「3.0」はAgの重量パーセント、「0.5」はCuの重量パーセント)等を採用することができる。これらの材料を適宜、第1半田23、第2半田37とすることができる。なお、溶融温度が高い半田は、溶融させることを目的としてないため、高温めっきとすることもできる。
【0092】
このような実施例7は、実施例1と同様に、図30に示すようにFPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量を確保することができる。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡を防止することができる。
【0093】
次に、実施例7の半田接合方法につき、図31に示す工程図を参照しつつ説明する。
【0094】
まず、ステップS51において、パターン形成が行われる。パターン形成は、FPC端子部100−1、サスペンション端子部14の双方に行われる。具体的には、FPC端子部100−1のベースフィルム21に、FPC端子導体18−1〜18−6、配線パターン17を含むパターンが印刷される。一方、サスペンション端子部14のベースフィルム24に、サスペンション端子導体20−1〜20−6を含むパターンが印刷される。
このようにして、FPC端子導体18−1〜18−6とサスペンション端子導体20−1〜20−6とが形成される。
【0095】
ステップS52では、FPC端子部100−1のベースフィルム21にカバーフィルム22が積層され、貼付される。
【0096】
次に、ステップS53において、FPC端子導体18−1〜18−6のカバーフィルム22から露出した部分に半田23が配置される。半田23は、プリコートにより配置される。次に、ステップS54において、半田23を加熱し、半田23を溶融させる。
【0097】
一方、この段階までに、ステップS55として、第2半田37をサスペンション端子導体20−1〜20−6にプリコートしておく。すなわち、図29に示すような状態としおく。
【0098】
ステップS55までの処理が完了した後、ステップS56へ進む。ステップS56では、FPC端子導体18−1〜18−6と、サスペンション端子導体20−1〜20−6の位置を合わせてFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とを対向配置させ、両者に圧力をかける。これにより、両者を圧着接合する。なお、両者が圧着接合されるとき、溶融温度が低い第1半田23が優先して溶融し、溶融温度の高い第2半田37から若干の金属拡散が起こり、両者が接合される。
【0099】
このとき、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間には図30に示すように完全には溶融していない第2半田37が存在するので、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡が防止される。
【実施例8】
【0100】
次に、実施例8について、図32、図33を参照しつつ説明する。図32は、半田プリコートが施されたFPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。図33は、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14とが半田接合された状態を示す説明図である。なお、実施例8において、実施例1と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0101】
実施例8が実施例1と異なるのは、以下の点である。すなわち、実施例8は、実施例1における金属ボール25に代えて、間隔調整部材の一例として線材38が配置されている。線材38は、熱伝導性を有するとともに表面に絶縁処理がなされ、FPC端子導体18−1〜18−6にそれぞれ設けられる複数の半田23に接触するように配置されている。線材38は、FPC端子導体18−1〜18−6の上側に位置する点で、図21に示した例とも異なる。
【0102】
線材38は、金属等、種々の材料を用いることができるが、導電性を有する材料を用いる場合には、その表面に亜鉛めっきやニッケルめっき等の絶縁処理を施しておく。また、耐熱樹脂をコーティングしておくことも有効である。
【0103】
このような線材38は、半田接合時、半田23の列に沿って半田23上に搭載される。そして、その上にサスペンション端子部14を配置した後、線材38を加熱しつつ、圧着接合が行われる。このように線材38を加熱することにより、半田23の優先的かつ局所的に加熱することできる。この結果、FPC端子導体18−1〜18−6の周辺の部位、部材への熱ストレスを緩和することができる。また、半田接合を取り外す場合にも、同様に線材38を加熱することによって半田23を優先的かつ局所的に加熱することができる。この結果、部材への熱ダメージを軽減することができ、部材を再利用可能な状態に維持することができる。なお、線材38の加熱は、線材に半田ごてをあてることによって行ってもよいし、線材38へ通電することによって行ってもよい。
【0104】
このような実施例8は、実施例1と同様に、図33に示すようにFPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量を確保することができる。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡を防止することができる。
【実施例9】
【0105】
次に、実施例9について、図34乃至36を参照しつつ説明する。図34は、FPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。図35は、図34に示したFPC端子部の断面図である。但し、図35には、半田バンプ23が描かれている。図36は、実施例9における半田接合方法の工程図である。なお、実施例9において、実施例1と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0106】
実施例9は、実施例1乃至8とは異なり、流動抑制手段の一例として、間隔調整部材に代えて、FPC端子導体18−1〜18−6の側方に設けられた凹部34を備えている。上述のように半田23は、対向配置させたFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とを押し付け合うように圧力をかけたときに流動し、これにより、短絡を生じさせるおそれがある。凹部34は、流動する半田23を捕捉して収容することによって端子導体間の短絡を防止するものである。凹部34は、図35に示すように、予めベースフィルム21に設けておくことができる。
【0107】
次に、実施例5の半田接合方法につき、図36に示す工程図を参照しつつ説明する。
【0108】
まず、ステップS61においてベースフィルム21に凹部34を形成しておく。この凹部34を形成する工程は、本明細書における流動抑制手段を形成する工程の一例である。そして、ステップS62において、パターン形成を行う。パターン形成は、FPC端子部100−1、サスペンション端子部14の双方に行われる。具体的には、FPC端子部100−1のベースフィルム21に、FPC端子導体18−1〜18−6、配線パターン17を含むパターンが印刷される。一方、サスペンション端子部14のベースフィルム24に、サスペンション端子導体20−1〜20−6を含むパターンが印刷される。
このようにして、FPC端子導体18−1〜18−6とサスペンション端子導体20−1〜20−6とが形成される。
【0109】
ステップS63では、FPC端子部100−1のベースフィルム21にカバーフィルム22が積層され、貼付される。
【0110】
次に、ステップS64において、FPC端子導体18−1〜18−6のカバーフィルム22から露出した部分に半田23が配置される。半田23は、プリコートにより配置される。
【0111】
次に、ステップS65において、半田23を加熱し、半田23を溶融させる。ステップS65の処理を行った後は、ステップS66へ進む。ステップS66では、FPC端子導体18−1〜18−6と、サスペンション端子導体20−1〜20−6の位置を合わせてFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とを対向配置させ、両者に圧力をかける。これにより、両者を圧着接合する。
【0112】
このとき、FPC端子導体18−1〜18−6の側方には凹部34が設けられているので、流動する半田23は、凹部23によって捕捉され、さらなる流動が抑制される。これにより短絡が防止される。
【実施例10】
【0113】
次に、実施例10について、図37乃至38を参照しつつ説明する。図37は、FPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。図38は、図34に示したFPC端子部の断面図である。但し、図38には、半田バンプ23が描かれている。なお、実施例10において、実施例1と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0114】
実施例10が、実施例9と異なる点は、以下の点である。すなわち、実施例10は、実施例9の凹部34に代えて、凹部36を備えている。凹部36は、ベースフィルム21上に板状のスペーサー35を配置することによって形成されている。FPC端子導体18−1〜18−6は、このスペーサー35上に形成されている。
【0115】
このような凹部36は、実施例9における凹部34と同様に流動する半田23を捕捉することができ、半田23の流動を抑制することができる。これにより、短絡を防止することができる。
【0116】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0117】
以上の実施例で詳述したように、本発明の特徴をまとめると以下の通りとなる。
【0118】
(付記1)
隣接する複数の第1端子導体が設けられた第1端子部と、
当該第1端子部と対向配置されるとともに、前記第1端子導体に接合される第2端子導体が設けられた第2端子部と、
前記第1端子導体と前記第2端子導体とを電気的に接続する半田と、
当該半田の流動抑制手段と、
を備えたことを特徴とした半田接合構造。
【0119】
(付記2)
前記流動抑制手段は、対向配置される前記第1端子部と前記第2端子部との間に配置された間隔調整部材であることを特徴とした付記1記載の半田接合構造。
【0120】
(付記3)
前記流動抑制手段は、前記半田内に配置される間隔調整部材であることを特徴とした付記1記載の半田接合構造。
【0121】
(付記4)
前記流動抑制手段は、前記第1端子導体及び/又は前記第2端子導体の表面にめっき処理により形成された突起部であることを特徴とした付記1記載の半田接合構造。
【0122】
(付記5)
前記流動抑制手段は、前記第1端子導体及び/又は前記第2端子導体を隆起さるように設けられた突起部であることを特徴とした付記1記載の半田接合構造。
【0123】
(付記6)
前記流動抑制手段は、前記半田の側方に配置された間隔調整部材であることを特徴とした付記1記載の半田接合構造。
【0124】
(付記7)
前記流動抑制手段は、前記第1端子部に設けられた第1半田と、前記第2端子部に設けられた第2半田のうち、溶融温度が高い半田としたことを特徴とした付記1記載の半田接合構造。
【0125】
(付記8)
前記流動抑制手段は、熱伝導性を有するとともに表面に絶縁処理がなされ、前記第1端子導体にそれぞれ設けられる複数の前記半田に接触するように配置された間隔調整部材であることを特徴とした付記1記載の半田接合構造。
【0126】
(付記9)
前記流動抑制手段は、前記第1端子導体及び/又は第2端子導体の側方に設けられた凹部であることを特徴とした付記1記載の半田接合構造。
【0127】
(付記10)
付記1乃至9のいずれか一項記載の半田接合構造を備えた電子装置。
【0128】
(付記11)
第1端子部に第1端子導体を形成する工程と、
第2端子部に第2端子導体を形成する工程と、
前記第1端子導体及び/又は第2端子導体に半田を配置する工程と、
前記半田の流動抑制手段を形成する工程と、
前記半田を溶融する工程と、
対向配置した前記第1端子部と前記第2端子部とを圧着する工程と、
を有する半田接合方法。
【符号の説明】
【0129】
1…磁気ディスク
2…ロータリアクチュエータ
3…筐体ベース
4…軸部
5…アーム
6…ヘッドジンバルアセンブリィ
7…ヘッド
8…コイル
9…下ヨーク
10…磁石
11…ランプロード機構
12…FPC
13…ヘッドIC
14…サスペンション端子部
15…サスペンション取付アーム
16 ロングテールサスペンション
17 配線パターン
18−1〜18−6…FPC端子導体
100−1〜100−4 FPC端子部
20−1〜20−6…サスペンション端子導体
21 ベースフィルム
22 カバーフィルム
22a カバーフィルム開口部
23 半田(第1半田)
25,26 金属ボール
27,32,33,38 線材
28,30,31 突起部
34,36…凹部
37 第2半田
1000…磁気ディスク装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田接合構造及びこれを用いた電子装置並びに半田接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半田による電気的導通の確保は電子装置の各部において行われている。例えば、第1端子導体が設けられた第1端子部と、第1端子導体に接合される第2端子導体が設けられた第2端子部とを対向配置し、第1端子導体と第2端子導体との電気的導通を半田によって行うことがある。ここで、第1端子導体が隣接して複数設けられることがある。例えば、第1端子導体と第2端子導体とを半田で接合する技術が開示されている(特許文献1参照)。前記のように第1端子導体と第2端子導体とを半田によって接合する場合、予め、いずれかの端子導体に半田をプリコートしておき、第1端子導体と第2端子導体とを対向配置して圧着することが行われる。圧着は、熱と圧力を加えて半田を溶融させることによって第1端子導体と第2端子導体とを接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−300594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、隣接する端子導体の数は増加する傾向にある。隣接する端子導体の数が増加すると、端子間の短絡のおそれが増す。特に、電子装置自体の小型化、搭載される電子部品との兼ね合い等から半田接合エリアの縮小化、端子のファインピッチ化が求められる設計条件下では、半田による短絡が発生し易い。端子間の短絡を防止しつつ、十分な半田接合を行うためには、適量の半田を供給することが求められるが、半田供給量の制御自体が困難な場合も想定される。
【0005】
そこで、本発明は、半田による端子間の短絡を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書開示の半田接合構造は、隣接する複数の第1端子導体が設けられた第1端子部と、当該第1端子部と対向配置されるとともに、前記第1端子導体に接合される第2端子導体が設けられた第2端子部と、前記第1端子導体と前記第2端子導体とを電気的に接続する半田と、当該半田の流動抑制手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
半田の流動は、第1端子部と第2端子部とを対向配置し、圧着するときに生じる。すなわち、第1端子部と第2端子部との間隔が狭くなるに従って半田の流動が生じやすくなる。
本明細書開示の半田接合構造は、このようにして生じる半田の流動を、半田の流動抑制手段により抑制する。この結果、隣接する第1端子導体側への半田の流動を抑制し、端子間の短絡を防止することができる。
【発明の効果】
【0008】
本明細書開示の半田接合構造によれば、半田の流動を抑制し、端子間の短絡を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施例1の半田接合構造が適用される磁気ディスク装置の内部構造を示した説明図である。
【図2】図2は、磁気ディスク装置が備えるロータリアクチュエータを取り出し、一部省略した状態で示した説明図である。
【図3】図3は、ロータリアクチュエータが備えるFPCを取り出し、FPC端子部の拡大図とともに示した説明図である。
【図4】図4は、ロータリアクチュエータが備えるヘッドジンバルアセンブリィを取り出して示した説明図である。
【図5】図5は、サスペンション端子導体を拡大して示した説明図である。
【図6】図6は、半田プリコートが施された比較例のFPC端子部を模式的に示した説明図である。
【図7】図7は、半田プリコートが施された比較例のFPC端子部を模式的に示した斜視図である。
【図8】図8(A)は、半田プリコートが施された比較例のFPC端子部にサスペンション端子部が対向配置される様子を模式的に示した説明図である。図8(B)は、FPC端子部とサスペンション端子部とが半田接合された状態を示す説明図である。
【図9】図9は、半田プリコートが施された実施例1のFPC端子部を模式的に示した説明図である。
【図10】図10は、実施例1におけるFPCとサスペンション端子部とが半田接合された状態を示す説明図である。
【図11】図11は、実施例1の半田接合方法の工程図である。
【図12】図12は、他の実施例におけるFPC端子部とサスペンション端子部とが半田接合された状態を示す説明図である。
【図13】図13は、半田プリコートが施された実施例2のFPC端子部を模式的に示した斜視図である。
【図14】図14は、半田プリコートが施された実施例3のFPC端子部を模式的に示した斜視図である。
【図15】図15は、実施例3におけるFPC端子部とサスペンション端子部とが半田接合された状態を示す説明図である。
【図16】図16は、実施例3の半田接合方法の工程図である。
【図17】図17(A)は、他の実施例におけるサスペンション端子部を模式的に示した斜視図であり、図17(B)は、半田プリコートが施されたFPC端子部を模式的に示した斜視図である。図17(C)は、図17(A)に示したサスペンション端子部の断面図である。
【図18】図18は、半田プリコートが施された実施例4のFPC端子部を模式的に示した斜視図である。
【図19】図19は、実施例4におけるFPC端子部とサスペンション端子部とが半田接合された状態を示す説明図である。
【図20】図20は、実施例4の半田接合方法の工程図である。
【図21】図21は、実施例4のFPC端子部を模式的に示した斜視図である。
【図22】図22は、半田プリコートが施された実施例5のFPC端子部とサスペンション端子部の一部とを模式的に示した斜視図である。
【図23】図23は、実施例5におけるFPC端子部とサスペンション端子部とが半田接合された状態を示す説明図である。
【図24】図24は、実施例5の半田接合方法の工程図である。
【図25】図25は、半田プリコートが施された実施例6のFPC端子部を模式的に示した斜視図である。
【図26】図26は、実施例6におけるFPC端子部とサスペンション端子部とが半田接合された状態を示す説明図である。
【図27】図27は、実施例6の半田接合方法の工程図である。
【図28】図28は、半田プリコートが施された実施例7のFPC端子部とサスペンション端子部の一部とを模式的に示した斜視図である。
【図29】図29は、半田プリコートが施された実施例7のFPC端子部に半田プリコートが施されたサスペンション端子部が対向配置される様子を模式的に示した説明図である。
【図30】図30は、実施例7におけるFPC端子部とサスペンション端子部とが半田接合された状態を示す説明図である。
【図31】図31は、実施例7の半田接合方法の工程図である。
【図32】図32は、半田プリコートが施された実施例8のFPC端子部とサスペンション端子部の一部とを模式的に示した斜視図である。
【図33】図33は、実施例8におけるFPC端子部とサスペンション端子部とが半田接合された状態を示す説明図である。
【図34】図34は、実施例9のFPC端子部を模式的に示した斜視図である。
【図35】図35は、図34に示したFPC端子部の断面図である。
【図36】図36は、実施例9の半田接合方法の工程図である。
【図37】図37は、実施例10のFPC端子部を模式的に示した斜視図である。
【図38】図38は、図37に示したFPC端子部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては細部が省略されている場合もある。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1の半田接合構造が適用される磁気ディスク装置1000の筐体カバーを取り外し、筐体ベース側の内部構造を示した説明図である。磁気ディスク装置1000は、本明細書における電子装置の一例であり、電子装置は、他の装置であってもよい。
【0012】
図1に示すように、磁気ディスク装置1000は、筐体ベース3内に、スピンドルモータにより一定速度で回転される磁気ディスク1を有している。磁気ディスク1に対しては、ロータリアクチュエータ2が設けられている。
【0013】
ロータリアクチュエータ2は軸部4により筐体ベース3に回転自在に支持されている。また、ロータリアクチュエータ2は、アーム5を介して先端側にヘッドジンバルアセンブリィ6を備え、ヘッド26に支持されている。ロータリアクチュエータ2の後端側にはコイル8が装着されている。
【0014】
ロータリアクチュエータ2のコイル8側には、筐体ベース3に固定された磁気回路部が設けられている。そして、コイル8と磁気回路部によりロータリアクチュエータ2を駆動するボイスコイルモータが構成されている。
【0015】
筐体ベース3側の磁気回路部に含まれる磁石10は、筐体ベース3に固定された下ヨーク9の上部に配置されている。磁石10はロータリアクチュエータ2によるコイル8の回動範囲をカバーする形状を有している。
【0016】
磁石10の上側にはロータリアクチュエータ2の後部に位置するコイル8が軸部4を中心に回動自在に配置されている。コイル8の上部には下ヨーク9に対向して同一形状を持つ上ヨークが配置されているが、図1において、上ヨークは取り外して省略した状態で示されている。
ロータリアクチュエータ2の側面から固定側の回路実装部に対し、FPC(Flexible Print Circuit)12が引き出されている。FPC12には、ヘッド7に対する信号線及びコイル8に対する信号線がフレキシブルプリントパターンとして形成されている。また、FPC12には、ヘッド7の記録素子と読取素子に対する信号処理を行うライトドライバやプリアンプを備えたヘッドICが実装されている。そして、FPC12は、筐体ベース3側に配置されているコントロールボードとの間で、制御信号、ライト信号、リード信号などのやり取りを行う。なお、図1中、参照番号11は、ランプロード機構である。
【0017】
図2は、磁気ディスク装置1000が備えるロータリアクチュエータ2を取り出し、一部省略した状態で示した説明図である。図2において、ロータリアクチュエータ2は、軸部4より延設させたアーム5にカシメ加工で固定されたヘッドジンバルアセンブリィ6を備えている。ヘッドジンバルアセンブリィ6はサスペンション取付アーム15とロングテールサスペンション16を有している。
【0018】
ロングテールサスペンション16の先端側は、サスペンション取付アーム15の下側に配置され、先端に記録素子、読取素子及びスライダを備えたヘッド7が支持されている。また、ロングテールサスペンション16の後端は、アーム5の側面に装着されている。そして、ロングテールサスペンション16の後端には、ロータリアクチュエータ2の軸部4の側面に支持固定されているFPC12に電気的に接続するためのサスペンション端子部14が設けられている。
【0019】
ロータリアクチュエータ2の軸部4の側面にはFPC12の一端が固定され、ここにヘッドIC13が実装されている。FPC12の一端には、ヘッドジンバルアセンブリィ6に設けたロングテールサスペンション16のサスペンション端子部14を電気的に接続するためのFPC端子部100−1〜100−4が形成されている。
【0020】
ここでFPC12に設けられたFPC端子部100−1〜100−4は、本明細書における第1端子部の一例である。また、サスペンション端子部14は、本明細書における第2端子部の一例である。もちろん、FPC端子部100−1〜100−4を、本明細書における第2端子部の一例とし、サスペンション端子部14を本明細書における第1端子部の一例とすることもできる。
【0021】
図3は、ロータリアクチュエータ2が備えるFPC12を取り出し、FPC端子部100−1〜100−4の拡大図とともに示した説明図である。図3(A)はFPC12のロータリアクチュエータ側を示しており、FPC12の先端にFPC端子部100−1〜100−4が形成されている。そして、FPC端子部100−1〜100−4の背後にヘッドIC13が実装されている。FPC12は、図3(B)、図9さらには図10に示すように可撓性のベースフィルム21上に回路及びFPC端子導体18−1〜18−6を構成する配線パターン17が形成されている。また、配線パターン17の非接続部分にはカバーフィルム22が積層配置されている。
【0022】
図3(B)は、図3(A)のFPC端子部100−1を拡大して示している。FPC端子部100−1には、隣接する複数のFPC端子導体18−1〜18−6が設けられている。ここで、FPC端子導体18−1〜18−6は、本明細書における第1端子導体の一例である。なお、他の図面において、一部のFPC端子導体18−1〜18−3のみが描かれている場合がある。
【0023】
FPC端子導体18−1〜18−6に対しては、図3(B)に示すように破線で示すカバーフィルム開口が位置し、カバーフィルム開口の部分でFPC端子導体18−1〜18−6が導体面を外部に露出している。またFPC端子導体18−1〜18−6のそれぞれからは配線パターン17が引き出され、配線パターン群として筐体ベース側に引き出されている。
【0024】
図4は、ロータリアクチュエータ12が備えるヘッドジンバルアセンブリィ6を取り出して示した説明図である。図4(A)は、ヘッドジンバルアセンブリィ6の平面図であり、図4(B)は裏側を示した背面図である。
【0025】
ヘッドジンバルアセンブリィ6は、サスペンション取付アーム15の裏面側に接着により固定されたロングテールサスペンション16を備えている。ロングテールサスペンション16は先端にヘッド7を備え、テール側にサスペンション端子部14を備えている。ヘッド7とサスペンション端子部14とは回路パターンで接続されている。即ちロングテールサスペンション16は、ヘッド7と図2に示したFPC12のヘッドIC13を電気的に接続する機能を果たしている。ロングテールサスペンション16上の伝送路は、金属箔として例えばステンレス箔の上に絶縁層をコートした後にCuめっきなどにより回路層を形成し、更に回路層に保護層を形成した後に、ステンレス層のエッジングを行って製造されており、半導体製造プロセスによる薄膜回路として形成されている。
【0026】
図5は、サスペンション端子部14を拡大して示した説明図である。図5において、ロングテールサスペンション16のテール側の端部には本明細書におけるの第2端子部の一例としてのサスペンション端子部14が設けられている。
【0027】
サスペンション端子部14には、図10に示すようにベースフィルム24上にサスペンション端子導体20−1〜20−6が一定間隔で配列されており、サスペンション端子導体20−1〜20−6からは配線パターン19が引き出され、図4に示すヘッド7に接続されている。また配線パターン19については、サスペンション端子導体20−1〜20−6の露出部分を除いて保護層が設けられている。
【0028】
実施例1のロングテールサスペンション16にあっては、図4に示したヘッド7に、記録素子、読取素子に加え、更に、ヘッド浮上量を、熱膨張を利用して制御するためのヒータ素子が設けられている。このため、記録素子、読取素子、ヒータ素子のそれぞれにつき2本ずつの配線パターンを必要とし、サスペンション端子部14には6つのサスペンション端子導体20−1〜20−6が設けられている。
ここで、サスペンション端子導体20−1〜20−6は本明細書における第2端子導体の一例である。
【0029】
次に、以上のようなヘッドジンバルアセンブリィ6におけるFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とを電気的に接合する半田接合について説明する。実施例1の半田接合について説明する前に、図6乃至図8を参照しつつ半田接合の比較例について説明する。なお、比較例において、実施例1と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号が付されている。
【0030】
図6は、比較例において接合前に予めFPC端子導体18−1〜18−3上に半田23を配置した状態、すなわち、半田プリコートしたFPC端子部100−1の状態を模式的に示して説明図である。図7は、同じく、比較例のFPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。FPC端子部100−1は、上述のように、可撓性のベースフィルム21上に設けられており、カバーフィルム22が積層配置されている。カバーフィルム22には、開口部22aが設けられており、この開口部22aから露出したFPC端子導体18−1〜18−3に半田23がプリコートされている。
【0031】
図8(A)は、半田プリコートが施された比較例のFPC端子部100−1にサスペンション端子部14が対向配置される様子を模式的に示した説明図である。図8(B)は、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14とが半田接合された状態を示す説明図である。FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との接合は、半田23を熱により溶融させ、対向配置させたFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とを押し付け合うように圧力をかけることによって行われる。このため、溶融した半田23は、周辺へ流動する。この半田23の流動は、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間隔が狭くなるほど発生しやすくなり、半田23の流動範囲も広くなる。半田23の流動範囲が広くなると、FPC端子導体18−1〜18−6間で短絡が発生しやすくなる。
【0032】
このように比較例においては、対向配置させたFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とに圧力をかけたときに半田23の流動に起因する短絡の発生が懸念される。
【0033】
次に、実施例1の半田接合について図9乃至図11を参照しつつ説明する。図9は、半田プリコートが施されたFPC端子部100−1を模式的に示した説明図である。図10は、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14とが半田接合された状態を示す説明図である。
【0034】
実施例1の半田接合は、比較例と異なり、半田23内に半田の流動抑制手段の一例としての金属ボール25を有している。半田接合されたとき、金属ボール25は、図10に示すようにFPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間に位置する。これにより、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14とに圧力がかけられたときに両者が近づき過ぎることが抑制され、両者間に適切なスタンドオフ量が確保される。適切なスタンドオフ量が確保されることにより、溶融した半田23の過度の流動を抑制することができる。この結果、FPC端子導体18−1〜18−6間の短絡を防止することができる。このように、金属ボール25は、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間隔調整部材ということができる。
【0035】
ここで、金属ボール25の材料としては、Cu、Ni、Fe等を採用することができる。金属ボール25は、溶融する半田23内に置かれても溶融することがなく、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間で圧力をかけられたときに破損することがない剛性を有していることが望ましい。このような性質を有していれば、金属に限らず、他の材質からなるボールを流動抑制手段、間隔調整部材とすることができる。半田23とは組成の異なる他の半田材料であって、半田23よりも高温の融点を有する半田材料を用いることもできる。例えば、半田23として、融点が140℃程度であるSn−Bi−Ag系の半田材料を用い、他の半田として、融点が180℃程度であるSn−Pb系の半田材料を用いることができる。また、他の半田材料として、融点が218℃程度であるSn−Ag−Cu系の半田材料を用いることができる。このように融点が異なる材料を用いれば、半田23だけを溶融させ、他の半田を間隔調整部材として機能させることができる。
【0036】
また、金属ボール25の直径は、カバーフィルム22の厚さよりも大きく、接合時に半田23内に埋没する大きさとすることが望ましい。半田23内に金属ボール25が埋没することにより、半田23の接合面積を確保することができる。
【0037】
次に、実施例1における半田接合方法につき、図11に示す工程図を参照しつつ説明する。
【0038】
まず、ステップS1において、パターン形成が行われる。パターン形成は、FPC端子部100−1、サスペンション端子部14の双方に行われる。具体的には、FPC端子部100−1のベースフィルム21に、FPC端子導体18−1〜18−6、配線パターン17を含むパターンが印刷される。一方、サスペンション端子部14のベースフィルム24に、サスペンション端子導体20−1〜20−6を含むパターンが印刷される。
このようにして、FPC端子導体18−1〜18−6とサスペンション端子導体20−1〜20−6とが形成される。
【0039】
ステップS2では、FPC端子部100−1のベースフィルム21にカバーフィルム22が積層され、貼付される。なお、実施例1では、省略されているが、サスペンション端子部14側にもベースフィルムを貼付しておくこともできる。
【0040】
次に、ステップS3において、FPC端子導体18−1〜18−6のカバーフィルム22から露出した部分に半田23が配置される。半田23は、プリコートにより配置される。
【0041】
次に、ステップS4において、金属ボール25を半田23上に搭載する。その後、ステップS5において、半田23を加熱し、半田23を溶融させる。これにより、金属ボール25は、半田23内に埋没する。このようにして、流動抑制手段が形成される。金属ボール25は、半田23内に埋没するため、脱落のおそれが低い。
【0042】
ステップS5の処理を行った後は、ステップS6へ進む。ステップS6では、FPC端子導体18−1〜18−6と、サスペンション端子導体20−1〜20−6の位置を合わせてFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とを対向配置させ、両者に圧力をかける。これにより、両者を圧着接合する。
【0043】
このとき、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間には金属ボール25が存在するので、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡が防止される。
【0044】
なお、金属ボール25に代えて、図12に示すように、カバーフィルム22上に配置される他の金属ボール26を採用することもできる。このような金属ボール26であっても間隔調整部材として機能し、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量を確保することができる。金属ボール26は、金属ボール25と同様に他の材質からなるものであってもよい。
【実施例2】
【0045】
次に、実施例2について、図13を参照しつつ説明する。図13は、半田プリコートが施された実施例2のFPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。なお、実施例2において、実施例1と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0046】
実施例2が実施例1と異なるのは、以下の点である。すなわち、実施例2は、実施例1における金属ボール25に代えて、金属線27を用いている。金属線に求められる性質は、金属ボール25とほぼ同一であり、例えば、銅線等を用いることができる。金属線27は、適度な長さに切断することにより利用可能な状態となるので、準備が容易である。金属線27は、間隔調整部材の一例である。
【0047】
このような実施例2は、実施例1と同様に、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡を防止することができる。
【実施例3】
【0048】
次に、実施例3について、図14乃至16を参照しつつ説明する。図14は、半田プリコートが施されたFPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。図15は、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14とが半田接合された状態を示す説明図である。図16は、実施例3における半田接合方法の工程図である。なお、実施例3において、実施例1と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0049】
実施例3が実施例1と異なるのは、以下の点である。すなわち、実施例3は、実施例1における金属ボール25に代えて、めっき処理により形成された突起部28を備えている。突起部28は、FPC端子導体18−1の表面に設けられている。突起部28は、FPC端子導体18−1〜18−6と同一の材料を用いら形成されている。すなわち、FPC端子導体18−1〜18−6がCuによって形成されている場合には、突起部28もCuによって形成される。これにより、突起部28形成のための他の材料を準備する煩わしさから開放される。但し、他の材料を用いて突起部28を形成することもできる。材料としてはNi等を採用することができる。突起部28に求められる性質は、金属ボール25とほぼ同一である。突起部28は、間隔調整部材の一例である。
【0050】
このような実施例3は、実施例1と同様に、図15に示すようにFPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡を防止することができる。
【0051】
次に、実施例3における半田接合方法につき、図16に示す工程図を参照しつつ説明する。
【0052】
まず、ステップS11において、パターン形成が行われる。パターン形成は、FPC端子部100−1、サスペンション端子部14の双方に行われる。具体的には、FPC端子部100−1のベースフィルム21に、FPC端子導体18−1〜18−6、配線パターン17を含むパターンが印刷される。一方、サスペンション端子部14のベースフィルム24に、サスペンション端子導体20−1〜20−6を含むパターンが印刷される。
このようにして、FPC端子導体18−1〜18−6とサスペンション端子導体20−1〜20−6とが形成される。
【0053】
このようなステップS11とともに、ステップS12の処理が行われる。すなわち、突起部28がめっき処理によって形成される。配線パターン17と突起部28の材料を同一のものとする場合は、両者を一の工程で形成することができる。配線パターン17と突起部28の材料を異ならせる場合には、配線パターン17を形成した後に、突起部28を形成する。この突起部28を形成する工程は、本明細書における流動抑制手段を形成する工程の一例である。
【0054】
ステップS11、ステップS12に引き続き行われるステップS13では、FPC端子部100−1のベースフィルム21にカバーフィルム22が積層され、貼付される。
【0055】
次に、ステップS14において、FPC端子導体18−1〜18−6のカバーフィルム22から露出した部分に半田23が配置される。半田23は、プリコートにより配置される。このとき、半田プリコートは、突起部28を覆うように行われる。
【0056】
次に、ステップS15において、半田23を加熱し、半田23を溶融させる。そして、ステップS16において、FPC端子導体18−1〜18−6と、サスペンション端子導体20−1〜20−6の位置を合わせてFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とを対向配置させ、両者に圧力をかける。これにより、両者を圧着接合する。
【0057】
このとき、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間には突起部28が存在するので、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡が防止される。
【0058】
なお、突起部28に代えて、図17に示すように、サスペンション端子部14側に設けられた突起部29を採用することもできる。図17(A)は、サスペンション端子部14を模式的に示した斜視図であり、図17(B)は、半田プリコートが施されたFPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。図17(C)は、図17(A)に示したサスペンション端子部14の断面図である。このように、サスペンション端子部14側に突起部29を設けた場合であってもFPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡が防止される。
突起部29の形成は、突起部28と同様にめっき処理によって行うことができる。
【実施例4】
【0059】
次に、実施例4について、図18乃至21を参照しつつ説明する。図18は、半田プリコートが施されたFPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。図19は、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14とが半田接合された状態を示す説明図である。図20は、実施例4における半田接合方法の工程図である。なお、実施例4において、実施例1と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0060】
実施例4が実施例1と異なるのは、以下の点である。すなわち、実施例4は、実施例1における金属ボール25に代えて、FPC端子導体18−1〜18−6を隆起させるように設けられた突起部30を備えている。突起部30は、ベースフィルム21に金属片を配置することによって設けられている。ベースフィルム21上に金属片を配置し、その上側にFPC端子導体18−1〜18−6が形成されている。突起部30は、FPC端子導体18−1〜18−6毎に設けられている。突起部30を形成する部材は金属片に限定されず、他の材質からなる部材であってもよい。
【0061】
このような実施例4は、実施例1と同様に、図19に示すようにFPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡を防止することができる。
【0062】
次に、実施例4の半田接合方法につき、図20に示す工程図を参照しつつ説明する。
【0063】
まず、ステップS21において、突起部30を形成する部材となる金属片をベースフィルム21上に配置する。そして、ステップS22においてパターン形成が行われる。パターン形成は、FPC端子部100−1、サスペンション端子部14の双方に行われる。具体的には、FPC端子部100−1のベースフィルム21に、FPC端子導体18−1〜18−6、配線パターン17を含むパターンが印刷される。このとき、金属片の上側にFPC端子部180−1〜18−6が配置される。この結果、FPC端子導体18−1〜18−6に隆起し、突起部30が形成される。一方、サスペンション端子部14のベースフィルム24に、サスペンション端子導体20−1〜20−6を含むパターンが印刷される。このように金属片を配置し、FPC端子導体18−1〜18−6を隆起させる工程は、本明細書における流動抑制手段を形成する工程の一例である。
このようにして、FPC端子導体18−1〜18−6とサスペンション端子導体20−1〜20−6とが形成される。
【0064】
ステップS22に引き続き行われるステップS23では、FPC端子部100−1のベースフィルム21にカバーフィルム22が積層され、貼付される。
【0065】
次に、ステップS24において、FPC端子導体18−1〜18−6のカバーフィルム22から露出した部分に半田23が配置される。半田23は、プリコートにより配置される。このとき、半田プリコートは、突起部30を覆うように行われる。
【0066】
次に、ステップS25において、半田23を加熱し、半田23を溶融させる。そして、ステップS26において、FPC端子導体18−1〜18−6と、サスペンション端子導体20−1〜20−6の位置を合わせてFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とを対向配置させ、両者に圧力をかける。これにより、両者を圧着接合する。
【0067】
このとき、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間にはと突起部30が存在するので、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡が防止される。
【0068】
なお、突起部30に代えて、図21に示すように、線材を配置することによって形成される突起部31を採用することもできる。突起部31を形成する線材は、隣接するFPC端子導体18−1〜18−6に亘って配置されている。FPC端子導体18−1〜18−6は、線材上に設けられ、隆起し、突起部31が形成される。図21に示すような形態であれば、一本の線材を配置すればよく、容易に突起部31を形成することができる。線材としては、金属等、種々の材料を用いることができるが、導電性を有する材料を用いる場合には、その表面に亜鉛めっきやニッケルめっき等の絶縁処理を施しておく。線材としてニクロム線等、熱伝導性の高い材料を用いることにより、半田23の溶融に利用することができる。これにより、隣接するFPC端子導体18−1〜18−6上の半田23を溶融することができ、特定の端子導体の列を取り外したい場合等に都合がよい。
【0069】
このようにFPC端子部100−1に設けられる突起部30や突起部31に代えてサスペンション端子部14側に突起部を設ける形態とすることもできる。サスペンション端子部14側に突起部を設けた場合であっても、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡が防止される。
【実施例5】
【0070】
次に、実施例5について、図22乃至24を参照しつつ説明する。図22(A)は、サスペンション端子部14を模式的に示した斜視図であり、図22(B)は、半田プリコートが施されたFPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。図23はFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とが半田接合された状態を示す説明図である。図24は、実施例5における半田接合方法の工程図である。なお、実施例5において、実施例1と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0071】
実施例5が実施例1と異なるのは、以下の点である。すなわち、実施例5は、実施例1における金属ボール25に代えて、半田23の側方に間隔調整部材の一例としての線材32が配置されている。線材32は、カバーフィルム22上に配置されている。線材32は、半田23の両側に配置されているが、片側のみに配置することもできる。線材としては、金属等、種々の材料を用いることができるが、導電性を有する材料を用いる場合には、その表面に亜鉛めっきやニッケルめっき等の絶縁処理を施しておく。また、耐熱樹脂をコーティングしておくことも有効である。さらに、ポリイミド等の耐熱性樹脂単体を採用することもできる。
【0072】
このような実施例5は、実施例1と同様に、図23に示すようにFPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡を防止することができる。
【0073】
次に、実施例5の半田接合方法につき、図24に示す工程図を参照しつつ説明する。
【0074】
まず、ステップS31において、パターン形成が行われる。パターン形成は、FPC端子部100−1、サスペンション端子部14の双方に行われる。具体的には、FPC端子部100−1のベースフィルム21に、FPC端子導体18−1〜18−6、配線パターン17を含むパターンが印刷される。一方、サスペンション端子部14のベースフィルム24に、サスペンション端子導体20−1〜20−6を含むパターンが印刷される。
このようにして、FPC端子導体18−1〜18−6とサスペンション端子導体20−1〜20−6とが形成される。
【0075】
ステップS32では、FPC端子部100−1のベースフィルム21にカバーフィルム22が積層され、貼付される。
【0076】
次に、ステップS33において、FPC端子導体18−1〜18−6のカバーフィルム22から露出した部分に半田23が配置される。半田23は、プリコートにより配置される。
【0077】
次に、ステップS34において、半田23を加熱し、半田23を溶融させる。その後、ステップS35において、カバーフィルム22上に線材32を配置する。この線材32を配置する工程は、本明細書における流動抑制手段を形成する工程の一例である。なお、カバーフィルム22上に線材32を配置する工程は、カバーフィルム22を貼付した後からFPC端子部100−1とサスペンション端子部14との圧着接合(ステップS36)までのいずれのタイミングで行ってもよい。
【0078】
ステップS35の処理を行った後は、ステップS36へ進む。ステップS36では、FPC端子導体18−1〜18−6と、サスペンション端子導体20−1〜20−6の位置を合わせてFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とを対向配置させ、両者に圧力をかける。これにより、両者を圧着接合する。
【0079】
このとき、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間には線材32が存在するので、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡が防止される。
【実施例6】
【0080】
次に、実施例6について、図25乃至27を参照しつつ説明する。図25は、半田プリコートが施されたFPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。図26はFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とが半田接合された状態を示す説明図である。図27は、実施例6における半田接合方法の工程図である。なお、実施例6において、実施例1と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0081】
実施例6が実施例1と異なるのは、以下の点である。すなわち、実施例6は、実施例1における金属ボール25に代えて、半田23の側方に間隔調整部材の一例としての線材33が配置されている。線材33は、ベースフィルム21とカバーフィルム22との間、すなわち、カバーフィルム22の下側に配置されている。この点は、カバーフィルム22上に線材32が配置されている実施例5とは異なっている。線材33は、半田23の両側に配置されているが、片側のみに配置することもできる。線材としては、金属等、種々の材料を用いることができるが、導電性を有する材料を用いる場合には、その表面に亜鉛めっきやニッケルめっき等の絶縁処理を施しておく。また、耐熱樹脂をコーティングしておくことも有効である。さらに、ポリイミド等の耐熱性樹脂単体を採用することもできる。
【0082】
このような実施例6は、実施例1と同様に、図26に示すようにFPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量を確保することができる。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡を防止することができる。
【0083】
次に、実施例6の半田接合方法につき、図27に示す工程図を参照しつつ説明する。
【0084】
まず、ステップS41において、パターン形成が行われる。パターン形成は、FPC端子部100−1、サスペンション端子部14の双方に行われる。具体的には、FPC端子部100−1のベースフィルム21に、FPC端子導体18−1〜18−6、配線パターン17を含むパターンが印刷される。一方、サスペンション端子部14のベースフィルム24に、サスペンション端子導体20−1〜20−6を含むパターンが印刷される。このようにして、FPC端子導体18−1〜18−6とサスペンション端子導体20−1〜20−6とが形成される。そして、ステップS42において線材33をベースフィルム21上に配置する。この線材33を配置する工程は、本明細書における流動抑制手段を形成する工程の一例である。なお、線材33をベースフィルム21上に配置する工程は、パターン形成前に行うこともできる。
【0085】
ステップS43では、FPC端子部100−1のベースフィルム21にカバーフィルム22が積層され、貼付される。
【0086】
次に、ステップS44において、FPC端子導体18−1〜18−6のカバーフィルム22から露出した部分に半田23が配置される。半田23は、プリコートにより配置される。
【0087】
次に、ステップS45において、半田23を加熱し、半田23を溶融させる。その後、ステップS46へ進む。ステップS46では、FPC端子導体18−1〜18−6と、サスペンション端子導体20−1〜20−6の位置を合わせてFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とを対向配置させ、両者に圧力をかける。これにより、両者を圧着接合する。
【0088】
このとき、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間には線材33が存在するので、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡が防止される。
【実施例7】
【0089】
次に、実施例7について、図28乃至31を参照しつつ説明する。図28(A)は、サスペンション端子部14を模式的に示した斜視図であり、図28(B)は、半田プリコートが施されたFPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。図29は、半田プリコートが施されたFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とが対向配置される様子を模式的に示した説明図である。図30はFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とが半田接合された状態を示す説明図である。図31は、実施例7における半田接合方法の工程図である。なお、実施例7において、実施例1と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0090】
実施例7が実施例1と異なるのは、以下の点である。すなわち、FPC端子部100−1に設けられた第1半田23以外に、サスペンション端子部14に設けられた第2半田37を備えている。そして、第1半田23と第2半田37として、溶融温度の異なる材料が選定されている。実施例7では、第1半田23の溶融温度が、第2半田37の溶融温度よりも低い。このため、第1半田23は溶融に至っているが、第2半田37は溶融に至っていない状態を創出することができる。溶融に至っていない第2半田37は、流動抑制手段の一例となる。すなわち、溶融することなく残存する第2半田37は、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間で、間隔調整部材として機能することができる。これとは逆に、第1半田23の溶融温度を、第2半田37の溶融温度よりも高くすることもできる。
【0091】
ここで、溶融温度の低い材料として、例えば、Sn−58Bi(溶融温度140℃、「58」は、Biの重量パーセント)や、Sn−52In(溶融温度117℃、「52」はInの重量パーセント)等を採用することができる。また、溶融温度の高い材料として、Sn−37Pb(溶融温度183℃、「37」は、Pbの重量パーセント)や、Sn−3.0Ag−0.5Cu(溶融温度218℃、「3.0」はAgの重量パーセント、「0.5」はCuの重量パーセント)等を採用することができる。これらの材料を適宜、第1半田23、第2半田37とすることができる。なお、溶融温度が高い半田は、溶融させることを目的としてないため、高温めっきとすることもできる。
【0092】
このような実施例7は、実施例1と同様に、図30に示すようにFPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量を確保することができる。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡を防止することができる。
【0093】
次に、実施例7の半田接合方法につき、図31に示す工程図を参照しつつ説明する。
【0094】
まず、ステップS51において、パターン形成が行われる。パターン形成は、FPC端子部100−1、サスペンション端子部14の双方に行われる。具体的には、FPC端子部100−1のベースフィルム21に、FPC端子導体18−1〜18−6、配線パターン17を含むパターンが印刷される。一方、サスペンション端子部14のベースフィルム24に、サスペンション端子導体20−1〜20−6を含むパターンが印刷される。
このようにして、FPC端子導体18−1〜18−6とサスペンション端子導体20−1〜20−6とが形成される。
【0095】
ステップS52では、FPC端子部100−1のベースフィルム21にカバーフィルム22が積層され、貼付される。
【0096】
次に、ステップS53において、FPC端子導体18−1〜18−6のカバーフィルム22から露出した部分に半田23が配置される。半田23は、プリコートにより配置される。次に、ステップS54において、半田23を加熱し、半田23を溶融させる。
【0097】
一方、この段階までに、ステップS55として、第2半田37をサスペンション端子導体20−1〜20−6にプリコートしておく。すなわち、図29に示すような状態としおく。
【0098】
ステップS55までの処理が完了した後、ステップS56へ進む。ステップS56では、FPC端子導体18−1〜18−6と、サスペンション端子導体20−1〜20−6の位置を合わせてFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とを対向配置させ、両者に圧力をかける。これにより、両者を圧着接合する。なお、両者が圧着接合されるとき、溶融温度が低い第1半田23が優先して溶融し、溶融温度の高い第2半田37から若干の金属拡散が起こり、両者が接合される。
【0099】
このとき、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間には図30に示すように完全には溶融していない第2半田37が存在するので、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量が確保される。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡が防止される。
【実施例8】
【0100】
次に、実施例8について、図32、図33を参照しつつ説明する。図32は、半田プリコートが施されたFPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。図33は、FPC端子部100−1とサスペンション端子部14とが半田接合された状態を示す説明図である。なお、実施例8において、実施例1と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0101】
実施例8が実施例1と異なるのは、以下の点である。すなわち、実施例8は、実施例1における金属ボール25に代えて、間隔調整部材の一例として線材38が配置されている。線材38は、熱伝導性を有するとともに表面に絶縁処理がなされ、FPC端子導体18−1〜18−6にそれぞれ設けられる複数の半田23に接触するように配置されている。線材38は、FPC端子導体18−1〜18−6の上側に位置する点で、図21に示した例とも異なる。
【0102】
線材38は、金属等、種々の材料を用いることができるが、導電性を有する材料を用いる場合には、その表面に亜鉛めっきやニッケルめっき等の絶縁処理を施しておく。また、耐熱樹脂をコーティングしておくことも有効である。
【0103】
このような線材38は、半田接合時、半田23の列に沿って半田23上に搭載される。そして、その上にサスペンション端子部14を配置した後、線材38を加熱しつつ、圧着接合が行われる。このように線材38を加熱することにより、半田23の優先的かつ局所的に加熱することできる。この結果、FPC端子導体18−1〜18−6の周辺の部位、部材への熱ストレスを緩和することができる。また、半田接合を取り外す場合にも、同様に線材38を加熱することによって半田23を優先的かつ局所的に加熱することができる。この結果、部材への熱ダメージを軽減することができ、部材を再利用可能な状態に維持することができる。なお、線材38の加熱は、線材に半田ごてをあてることによって行ってもよいし、線材38へ通電することによって行ってもよい。
【0104】
このような実施例8は、実施例1と同様に、図33に示すようにFPC端子部100−1とサスペンション端子部14との間の適切なスタンドオフ量を確保することができる。これにより、半田23の流動が抑制され、短絡を防止することができる。
【実施例9】
【0105】
次に、実施例9について、図34乃至36を参照しつつ説明する。図34は、FPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。図35は、図34に示したFPC端子部の断面図である。但し、図35には、半田バンプ23が描かれている。図36は、実施例9における半田接合方法の工程図である。なお、実施例9において、実施例1と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0106】
実施例9は、実施例1乃至8とは異なり、流動抑制手段の一例として、間隔調整部材に代えて、FPC端子導体18−1〜18−6の側方に設けられた凹部34を備えている。上述のように半田23は、対向配置させたFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とを押し付け合うように圧力をかけたときに流動し、これにより、短絡を生じさせるおそれがある。凹部34は、流動する半田23を捕捉して収容することによって端子導体間の短絡を防止するものである。凹部34は、図35に示すように、予めベースフィルム21に設けておくことができる。
【0107】
次に、実施例5の半田接合方法につき、図36に示す工程図を参照しつつ説明する。
【0108】
まず、ステップS61においてベースフィルム21に凹部34を形成しておく。この凹部34を形成する工程は、本明細書における流動抑制手段を形成する工程の一例である。そして、ステップS62において、パターン形成を行う。パターン形成は、FPC端子部100−1、サスペンション端子部14の双方に行われる。具体的には、FPC端子部100−1のベースフィルム21に、FPC端子導体18−1〜18−6、配線パターン17を含むパターンが印刷される。一方、サスペンション端子部14のベースフィルム24に、サスペンション端子導体20−1〜20−6を含むパターンが印刷される。
このようにして、FPC端子導体18−1〜18−6とサスペンション端子導体20−1〜20−6とが形成される。
【0109】
ステップS63では、FPC端子部100−1のベースフィルム21にカバーフィルム22が積層され、貼付される。
【0110】
次に、ステップS64において、FPC端子導体18−1〜18−6のカバーフィルム22から露出した部分に半田23が配置される。半田23は、プリコートにより配置される。
【0111】
次に、ステップS65において、半田23を加熱し、半田23を溶融させる。ステップS65の処理を行った後は、ステップS66へ進む。ステップS66では、FPC端子導体18−1〜18−6と、サスペンション端子導体20−1〜20−6の位置を合わせてFPC端子部100−1とサスペンション端子部14とを対向配置させ、両者に圧力をかける。これにより、両者を圧着接合する。
【0112】
このとき、FPC端子導体18−1〜18−6の側方には凹部34が設けられているので、流動する半田23は、凹部23によって捕捉され、さらなる流動が抑制される。これにより短絡が防止される。
【実施例10】
【0113】
次に、実施例10について、図37乃至38を参照しつつ説明する。図37は、FPC端子部100−1を模式的に示した斜視図である。図38は、図34に示したFPC端子部の断面図である。但し、図38には、半田バンプ23が描かれている。なお、実施例10において、実施例1と共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0114】
実施例10が、実施例9と異なる点は、以下の点である。すなわち、実施例10は、実施例9の凹部34に代えて、凹部36を備えている。凹部36は、ベースフィルム21上に板状のスペーサー35を配置することによって形成されている。FPC端子導体18−1〜18−6は、このスペーサー35上に形成されている。
【0115】
このような凹部36は、実施例9における凹部34と同様に流動する半田23を捕捉することができ、半田23の流動を抑制することができる。これにより、短絡を防止することができる。
【0116】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0117】
以上の実施例で詳述したように、本発明の特徴をまとめると以下の通りとなる。
【0118】
(付記1)
隣接する複数の第1端子導体が設けられた第1端子部と、
当該第1端子部と対向配置されるとともに、前記第1端子導体に接合される第2端子導体が設けられた第2端子部と、
前記第1端子導体と前記第2端子導体とを電気的に接続する半田と、
当該半田の流動抑制手段と、
を備えたことを特徴とした半田接合構造。
【0119】
(付記2)
前記流動抑制手段は、対向配置される前記第1端子部と前記第2端子部との間に配置された間隔調整部材であることを特徴とした付記1記載の半田接合構造。
【0120】
(付記3)
前記流動抑制手段は、前記半田内に配置される間隔調整部材であることを特徴とした付記1記載の半田接合構造。
【0121】
(付記4)
前記流動抑制手段は、前記第1端子導体及び/又は前記第2端子導体の表面にめっき処理により形成された突起部であることを特徴とした付記1記載の半田接合構造。
【0122】
(付記5)
前記流動抑制手段は、前記第1端子導体及び/又は前記第2端子導体を隆起さるように設けられた突起部であることを特徴とした付記1記載の半田接合構造。
【0123】
(付記6)
前記流動抑制手段は、前記半田の側方に配置された間隔調整部材であることを特徴とした付記1記載の半田接合構造。
【0124】
(付記7)
前記流動抑制手段は、前記第1端子部に設けられた第1半田と、前記第2端子部に設けられた第2半田のうち、溶融温度が高い半田としたことを特徴とした付記1記載の半田接合構造。
【0125】
(付記8)
前記流動抑制手段は、熱伝導性を有するとともに表面に絶縁処理がなされ、前記第1端子導体にそれぞれ設けられる複数の前記半田に接触するように配置された間隔調整部材であることを特徴とした付記1記載の半田接合構造。
【0126】
(付記9)
前記流動抑制手段は、前記第1端子導体及び/又は第2端子導体の側方に設けられた凹部であることを特徴とした付記1記載の半田接合構造。
【0127】
(付記10)
付記1乃至9のいずれか一項記載の半田接合構造を備えた電子装置。
【0128】
(付記11)
第1端子部に第1端子導体を形成する工程と、
第2端子部に第2端子導体を形成する工程と、
前記第1端子導体及び/又は第2端子導体に半田を配置する工程と、
前記半田の流動抑制手段を形成する工程と、
前記半田を溶融する工程と、
対向配置した前記第1端子部と前記第2端子部とを圧着する工程と、
を有する半田接合方法。
【符号の説明】
【0129】
1…磁気ディスク
2…ロータリアクチュエータ
3…筐体ベース
4…軸部
5…アーム
6…ヘッドジンバルアセンブリィ
7…ヘッド
8…コイル
9…下ヨーク
10…磁石
11…ランプロード機構
12…FPC
13…ヘッドIC
14…サスペンション端子部
15…サスペンション取付アーム
16 ロングテールサスペンション
17 配線パターン
18−1〜18−6…FPC端子導体
100−1〜100−4 FPC端子部
20−1〜20−6…サスペンション端子導体
21 ベースフィルム
22 カバーフィルム
22a カバーフィルム開口部
23 半田(第1半田)
25,26 金属ボール
27,32,33,38 線材
28,30,31 突起部
34,36…凹部
37 第2半田
1000…磁気ディスク装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する複数の第1端子導体が設けられた第1端子部と、
当該第1端子部と対向配置されるとともに、前記第1端子導体に接合される第2端子導体が設けられた第2端子部と、
前記第1端子導体と前記第2端子導体とを電気的に接続する半田と、
当該半田の流動抑制手段と、
を備えたことを特徴とした半田接合構造。
【請求項2】
前記流動抑制手段は、対向配置される前記第1端子部と前記第2端子部との間に配置された間隔調整部材であることを特徴とした請求項1記載の半田接合構造。
【請求項3】
前記流動抑制手段は、前記第1端子部に設けられた第1半田と、前記第2端子部に設けられた第2半田のうち、溶融温度が高い半田としたことを特徴とした請求項1記載の半田接合構造。
【請求項4】
前記流動抑制手段は、熱伝導性を有するとともに表面に絶縁処理がなされ、前記第1端子導体にそれぞれ設けられる複数の前記半田に接触するように配置された間隔調整部材であることを特徴とした請求項1記載の半田接合構造。
【請求項5】
前記流動抑制手段は、前記第1端子導体及び/又は第2端子導体の側方に設けられた凹部であることを特徴とした請求項1記載の半田接合構造。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項記載の半田接合構造を備えた電子装置。
【請求項7】
第1端子部に第1端子導体を形成する工程と、
第2端子部に第2端子導体を形成する工程と、
前記第1端子導体及び/又は第2端子導体に半田を配置する工程と、
前記半田の流動抑制手段を形成する工程と、
前記半田を溶融する工程と、
対向配置した前記第1端子部と前記第2端子部とを圧着する工程と、
を有する半田接合方法。
【請求項1】
隣接する複数の第1端子導体が設けられた第1端子部と、
当該第1端子部と対向配置されるとともに、前記第1端子導体に接合される第2端子導体が設けられた第2端子部と、
前記第1端子導体と前記第2端子導体とを電気的に接続する半田と、
当該半田の流動抑制手段と、
を備えたことを特徴とした半田接合構造。
【請求項2】
前記流動抑制手段は、対向配置される前記第1端子部と前記第2端子部との間に配置された間隔調整部材であることを特徴とした請求項1記載の半田接合構造。
【請求項3】
前記流動抑制手段は、前記第1端子部に設けられた第1半田と、前記第2端子部に設けられた第2半田のうち、溶融温度が高い半田としたことを特徴とした請求項1記載の半田接合構造。
【請求項4】
前記流動抑制手段は、熱伝導性を有するとともに表面に絶縁処理がなされ、前記第1端子導体にそれぞれ設けられる複数の前記半田に接触するように配置された間隔調整部材であることを特徴とした請求項1記載の半田接合構造。
【請求項5】
前記流動抑制手段は、前記第1端子導体及び/又は第2端子導体の側方に設けられた凹部であることを特徴とした請求項1記載の半田接合構造。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項記載の半田接合構造を備えた電子装置。
【請求項7】
第1端子部に第1端子導体を形成する工程と、
第2端子部に第2端子導体を形成する工程と、
前記第1端子導体及び/又は第2端子導体に半田を配置する工程と、
前記半田の流動抑制手段を形成する工程と、
前記半田を溶融する工程と、
対向配置した前記第1端子部と前記第2端子部とを圧着する工程と、
を有する半田接合方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公開番号】特開2011−9335(P2011−9335A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149532(P2009−149532)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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