説明

単結晶製造装置

【課題】単結晶を成長させる際の着液検出精度を向上させ得る単結晶製造装置を提供する。
【解決手段】原料融液2から種結晶3基板上に単結晶を成長させるための種結晶3を有する成長炉4と、下端に種結晶3が保持されたシード軸5と、原料融液2を収容する坩堝7と、成長炉4を囲んで成長炉4外に配置されたエネルギー放出体8とを備えた単結晶製造装置1であって、坩堝7とシード軸5との間に電圧を印加する電源回路9と、電源回路9に流れる電流値を測定する測定回路11と、電源回路9に、定電圧回路9Bおよびカットオフ回路9Cとを備え、カットオフ回路9Cは液面接触時の電流値よりも低く設定された設定値より大きい電流値が測定されたときには電流をカットする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単結晶製造装置に関し、さらに詳しくは単結晶成長させる際の着液検出精度を向上させて多結晶の生成を抑制し得る単結晶、特にSiC単結晶を製造するための単結晶製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、SiC単結晶の成長法の1つとして溶液法が知られている。この溶液法は、溶媒を入れる坩堝、例えば黒鉛坩堝、溶媒、高周波コイルなどの外部エネルギー放出体、断熱材、昇降可能な基板支持用の炭素棒および炭素棒の先端に取付けた種結晶基板からなる基本的構造を有するSiC単結晶の製造装置を用いて、坩堝中、Si融液又はさらに金属を融解したSi合金融液(溶液ともいう)などのSi含有融液中にC(炭素)供給源、例えば黒鉛坩堝からCを溶解させて、例えば低温部に設置したSiC種結晶基板上に原料融液からSiC単結晶を融液析出によって成長させる方法である。
【0003】
この溶液法によるSiC単結晶製造装置では、結晶形の良好な単結晶を得るために、種結晶近傍の融液温度が他の部分の融液温度より低温になるように融液に温度勾配を設けて成長させる方法、又は融液全体を徐冷して成長させる方法のいずれかのSiC単結晶成長法が用いられるが、いずれも融液の冷却の際の融液中の温度分布や濃度分布によって多結晶の生成が避けられないことが知られている。
この単結晶を成長させる際に多結晶の生成のような欠陥の発生を防止乃至は抑制することの必要性は半導体の結晶製造装置において共通する課題であり、その解決策の1つとして固液界面の位置を正確に把握することが重要であることが認識され、様々な技術が検討されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、容器の底部に種結晶を配置し、前記種結晶の上層に原料融液と封止用液体を下から順に配置し、当該容器を所定の温度分布内において当該温度分布に対して相対的に移動させて、容器内の原料融液の下部から上方に向けて結晶を成長させる縦型ボード法が行われる半導体単結晶の製造装置であって、前記容器内の原料融液の上界面の位置又は前記封止用液体の上界面の位置を測定する、下端面が揃えられた2つの電極と、当該2つの電極に電位差を与える電源と、前記電極を前記上界面に接触させるために上下動させる昇降機構を備えた半導体単結晶の製造装置が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、原料融液が収容される坩堝と、下端に種結晶が保持されたシード軸と、絶縁膜で被覆された第1電極と、第2電極とを備え、原料融液の液面に対して上方からシード軸と下端面を揃えた第1電極とを一体的に下降させ、前記絶縁膜が原料融液の液面に接触して溶融したときに、第1電極と第2電極との間に原料融液を介して流れる電流を検出することにより種結晶と原料融液との接触界面の位置を特定する、単結晶製造装置が記載されている。そして、具体例として種結晶が保持されるシード軸と、別に設けた融液とは異なる種類の物質からなる絶縁膜で被覆された第1電極と、坩堝の下部に配置された第2電極とを備えたSiC単結晶製造装置が示されている。
【0006】
また、特許文献3には、引き上げ軸の昇降機構と、引き上げ軸と、引き上げ軸の先端に取付けた種結晶と、石英ガラス坩堝と、ヒーターと、坩堝と引き上げ軸との間に電圧を印加する電源装置と、昇降機構、ヒーターおよび電源装置を制御する制御装置とを備え、前記制御装置が、引き上げ軸を降下させて種結晶をシリコン融液に着液させると共に、坩堝側をマイナス極、引き上げ軸をプラス極とする第1の電圧を印加しながら電圧を監視することで種結晶の着液状態を検出する着液制御部を備えたシリコン単結晶引き上げ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−104767号公報
【特許文献2】特開2008−030969号公報
【特許文献3】特開2010−275139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、これら公知の技術をSiC単結晶のような高温環境での種結晶成長装置に適用すると、高温液面から蒸気が発生して至近距離では導通状態となり、検出される電圧が連続的な変化を示す傾向にあり、値自体の変動も合算されて正確な着液検出と成長面の把握が困難となる。このため、従来の技術を適用して着液の検出が遅れた場合、融液が過度に着き過ぎて軸にまで結晶成長が進み多結晶化の一因にもなり得る。
従って、本発明の目的は、単結晶を成長させる際の着液検出精度を向上させ得る単結晶製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、原料融液から種結晶基板上に単結晶を成長させるための種結晶を有する成長炉と、下端に種結晶が保持されたシード軸と、前記原料融液を収容する坩堝と、成長炉を囲んで成長炉外に配置されたエネルギー放出体とを備えた単結晶製造装置であって、
前記坩堝とシード軸との間に電圧を印加する電源回路と、前記電源回路に流れる電流値を測定する測定回路と、前記電源回路に、定電圧回路およびカットオフ回路とを備え、前記カットオフ回路は液面接触時の電流値よりも低く設定された設定値より大きい電流値が測定されたときには電流をカットすることを特徴とする、前記装置に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、単結晶を成長させる際の着液検出精度を向上させ得る単結晶製造装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施態様の溶液法によるSiC単結晶製造装置の概略図である。
【図2】図2は、従来の溶液法によるSiC単結晶製造装置の概略図である。
【図3】図3は、従来の他の溶液法によるSiC単結晶製造装置の概略図である。
【図4】図4は、従来技術によるSiC単結晶成長装置を用いた場合の測定電流と種結晶の位置との関係を模式的に示すグラフ。
【図5】図5は、本発明の実施態様および従来技術によるSiC単結晶成長装置を用いて融液有りの条件で坩堝内の融液面と種結晶との距離に対する測定回路の電圧の変化値(ΔV)とを比較して示すグラフである。
【図6】図6は、本発明の実施態様の溶液法によるSiC単結晶製造装置での着液状態を示す模式図である。
【図7】図7は、従来の溶液法によるSiC単結晶製造装置での着液状態の一例を示す模式図である。
【図8】図8は、従来の溶液法によるSiC単結晶製造装置での結晶成長の状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
特に、本発明において、以下の実施態様を好適に挙げることができる。
1)前記設定値が、非接触時に流れる電流値よりも大きい、前記装置。
2)SiC単結晶を製造するための装置である、前記装置。
【0013】
本発明においては、原料融液から種結晶基板上に単結晶を成長させるための種結晶を有する成長炉と、下端に種結晶が保持されたシード軸と、前記原料融液を収容する坩堝と、成長炉を囲んで成長炉外に配置されたエネルギー放出体とを備えた単結晶製造装置であって、前記坩堝とシード軸との間に電圧を印加する電源回路と、前記電源回路に流れる電流値を測定する測定回路と、前記電源回路に、定電圧回路および液面接触時の電流値よりも低く設定された設定値より大きい電流値が測定されたときには電流をカットするカットオフ回路とを備えてなることが必要であり、これによって単結晶成長させる際の着液検出精度を向上させて多結晶の生成を抑制し得る。
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳説する。
本発明の実施態様のSiC単結晶成長装置1は、図1に示すように、溶液法により原料融液2からSiC種結晶基板上にSiC単結晶を成長させるための種結晶3を有する成長炉4と、下端に種結晶が保持されたシード軸5と、シード軸を昇降させる昇降機構6と、前記原料融液を収容する坩堝7と、成長炉を囲んで成長炉外に配置されたエネルギー放出体8とを備えていて、前記坩堝とシード軸との間に、通常シード軸をプラス(+)とし坩堝をマイナス(−)として、電圧を印加する電源回路9と、前記電源回路の電流値を測定する測定回路11と、前記電源回路9に、定電圧回路9Bおよび液面接触時の電流値よりも低く設定された設定値より大きい電流値が測定されたときは電流値をカットするカットオフ回路9Cとを備えてなる。
【0015】
そして、測定回路11で測定された測定電流は、通常サブコントローラ12に送られて電圧差として表示され、サブコントローラの指示に基き昇降機構6は昇降速度が制御され、一方サブコントローラ12の情報はコントローラ13に送られ、コントローラの指示に基きエネルギー放出体8の一部の加熱条件が維持又は変更される。
【0016】
一方、従来技術のSiC単結晶成長装置10は、図2に示すように、溶液法により原料融液2からSiC種結晶基板上にSiC単結晶を成長させるための種結晶3を有する成長炉4と、下端に種結晶が保持されたシード軸5と、シード軸を昇降させる昇降機構6と、前記原料融液を収容する坩堝7と、成長炉を囲んで成長炉外に配置されたエネルギー放出体8とを備えていて、前記坩堝とシード軸との間に電圧を印加する電源回路9と、前記電源回路の電流値測定回路14と前記電源回路9に定電圧回路9Bを備えてなる。
【0017】
また、従来技術の他のSiC単結晶成長装置10は、図3に示すように、溶液法により原料融液2からSiC種結晶基板上にSiC単結晶を成長させるための種結晶3を有する成長炉4と、下端に種結晶が保持されたシード軸5と、シード軸を昇降させる昇降機構6と、前記原料融液を収容する坩堝7と、成長炉を囲んで成長炉外に配置されたエネルギー放出体8とを備えていて、前記坩堝とシード軸との間に電圧を印加する電源回路9と、前記電源回路の電圧測定回路15と、前記電源回路9に定電圧回路9Bを備えてなる。
【0018】
そして、従来技術のSiC単結晶成長装置10においても、電流値測定回路14又は電圧測定回路15で測定された値は、通常サブコントローラ12に送られて電圧差として表示され、サブコントローラの指示に基き昇降機構6は昇降速度が制御され、一方サブコントローラ12の情報はコントローラ13に送られ、コントローラの指示に基きエネルギー放出体8の一部の加熱条件が維持又は変更される。
【0019】
そして、従来技術の図2示すSiC単結晶成長装置における電流値測定回路によれば、図4に示すように、坩堝内の融液面と種結晶との距離(L)の変動に対して測定電流(A)が着液(軸の位置=0)に近づくにつれて上下に変動しつつ上昇している。これは、通常1800℃以上の高温に加熱される融液から出る蒸気によってわずかに導電性となるため、着液の前から坩堝→融液からの蒸気→融液→シード軸の間に若干の電流が流れるためであると考えられる。
このため、従来技術によれば、電流から着液の位置を正確に把握することが困難であり成長面の位置を0.1mm以下の精度で制御することが求められるSiC単結晶のような単結晶成長装置には適していないと考えられる。
この着液の前から若干の電流値が流れることによる着液の位置を正確に把握することが困難な点は電圧測定回路を用いる従来技術においても共通で、縦軸を電圧とし横軸を軸の位置として同様のグラフが得られ、電圧の変動から着液の位置を正確に把握することは困難である。
【0020】
本発明のSiC単結晶成長装置によれば、図5に示すように、坩堝内の融液面と種結晶との距離に対する測定回路で測定された電流から後述の実施例の欄に詳述する換算法により換算される電圧の変化値(ΔV)のグラフおいて、図5の線1に示すように着液点で変化値が急激に変化している。
このため、本発明のSiC単結晶成長装置によれば、図6に示すように、電圧の変化値(ΔV)をモニターすることにより種結晶と融液とが接する位置を正確に把握し得て、単結晶の成長が種結晶の表面から徐々に始めることが可能となり、多結晶の形成を抑制し得る。
【0021】
本発明において、前記の電流値の設定値として、液面接触時の電流値よりも低く、好適には非接触時に流れる電流値よりも大きい値を設定することが必要である。前記の設定値を設けることにより、従来技術において避けられなかった図4におけるノイズを除くことが可能となり、且つ前記の電圧差(ΔV)−溶液面と種結晶の融液からの距離の関係を示すグラフにおいて、図5に示すような着液での大きな電圧差を正確に把握することが可能となり得る。
【0022】
本発明の実施態様のSiC単結晶成長装置において、前記定電圧回路における定電圧としては、好適には1〜20Vの範囲内の電圧、例えば5Vであり得る。また、前記の測定回路において、好適には抵抗値が20〜30Ωであり得る。前記定電圧として5Vを設定した場合、前記の電流値の設定値は0.17〜0.25Aの範囲であり得る。
そして、前記の測定回路における抵抗値を30Ωとした場合、前記の設定電流値は0.17Aであり得る。
この場合、本発明の実施態様のSiC単結晶成長装置によれば、種結晶が融液から少しでも離れていると回路に流れる電流が小さいため、カットオフ回路のカットオフ機能が働かず電圧は5Vで、電圧差(ΔV:5V−回路に流れる電流に基く電圧)は0Vとして表示される。
一方、種結晶が融液に接すると、流れる電流>0.17Aとなり、電流が流れすぎるので電圧を自動的に一定電圧(例えば1.5V)に落すカットオフ機能が作用し、電圧の変化値(ΔV)3.5Vが表示される。
【0023】
一方、従来技術のSiC単結晶成長装置によれば、図5の線2に示すように着液点でも変化値がなだらかに変化しており、変化値(ΔV)をモニターしていても正確な着液位置を把握することが出来ない。
このため、従来技術のSiC単結晶成長装置によれば、図7に示すように、電圧の変化値(ΔV)をモニターしても種結晶と融液とが接する位置を正確に把握し得ず、単結晶の成長が種結晶の表面だけでなく種結晶の周囲、場合によりシード軸にまで一度に始まる。このため、従来技術のSiC単結晶成長装置によれば、図8に示すように、多結晶の形成を抑制し得ない。
【0024】
本発明の実施態様のSiC単結晶成長装置において、前記種結晶は任意のSiC単結晶、例えば4H−SiC、6H−SiCや3C−SiCなどであり得る。
また、本発明の前記実施態様のSiC単結晶成長装置において、坩堝は通常炭素製であって原料融液に炭素(C)を溶出してSiCの炭素源となり得る。そして、この坩堝は単一の構成材からなるものであってもよいが、中坩堝および外坩堝から構成されてもよい。
【0025】
また、本発明の実施態様のSiC単結晶成長装置において、シード軸は耐熱性が必要なことからSUS製又は炭素棒であり得て、種結晶から熱を外部に伝達するために炉外に冷却機構(図示せず)が設けられていてもよい。また、シード軸は昇降機構によって上下の動きをさせられる。
また、本発明の実施態様のSiC単結晶成長装置において、複数の異なるエネルギーを放出可能なエネルギー放出体としては高周波エネルギーを放出する高周波コイルが挙げられる。
【0026】
また、本発明の実施態様のSiC単結晶成長装置において、前記構成に加えて、前記成長炉が坩堝の少なくとも上方に空間を有し得る。
そして、本発明の実施態様のSiC単結晶製造装置を用いれば、少なくとも2個の高周波コイルのエネルギー出力比率、例えば電流比率を変えることにより、坩堝内の融液中の深さ方向の温度分布を狭い範囲で付与することが可能となり、融液内での対流を起こし易くなり、炭素(C)濃度の均一化が達成し得て、経時的なSiC単結晶成長の変化を抑制し得る。
【0027】
本発明の実施態様における原料融液としては、SiとCとを必須成分とする任意の融液を挙げることができる。例えば、Si含有融液として、さらにTiおよび/又はCrを含むもの、例えばSi−Ti−C融液又はNiおよびCrを含むもの、さらに前記Si、Cr、NiおよびC以外の元素であって希土類元素、遷移金属元素およびアルカリ土類金属元素のうちから選ばれるいずれか1種の元素を含むもの、例えば前記の元素がCeであるものが挙げられる。また、半導体材料用に任意のドーパントを含有し得る。
前記の原料融液の温度は1800〜2100℃、特に1850〜2050℃程度であり得る。
【0028】
本発明の実施態様のSiC単結晶製造装置において、着液位置を測定後の融液の温度の制御は、例えば放射温度計による融液面の温度観察および/又は炭素棒内側に設置した熱電対、例えばW−Re(タングステン/レニューム)熱電対を用いて温度測定を行って求められた測定温度に基づいて、前記サブコントローラによって行うことができる。
【0029】
本発明の実施態様のSiC単結晶製造装置を用いてSiC単結晶を製造する方法においては、着液の位置を正確に制御することを除いて、それ自体公知の単結晶製造装置、例えば溶液法におけるそれ自体公知の製造装置、例えば黒鉛坩堝の形状、加熱手段、雰囲気、昇温速度および冷却速度を適用することができる。
例えば、雰囲気としては希ガス、例えばHe、Ne、Arなどの不活性ガスやそれらの一部をNやメタンガスで置き換えたものが挙げられる。
本発明の実施態様のSiC単結晶製造装置を用いることによって、2000℃程度の高温、例えば1800〜2100℃、特に1850〜2050℃程度の融液温度で、多結晶の成長を防止乃至は抑制したSiC単結晶を得ることができる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明の実施態様のSiC単結晶製造装置と従来の溶液法によるSiC単結晶製造装置を用いて融液有りの条件で、坩堝内の融液面と種結晶との距離に対する測定回路で測定された電流から、以下の換算法により換算される電圧の変化値(ΔV)を求め、シミュレーションを行った。
ΔV=ΔIxR
または
ΔV=[(R1/(R1+R2))−(R1’/(R1’+R2’))]E
R1:シード軸回りの抵抗(Ω)
R2:回路の抵抗(Ω)
R1’:種結晶が融液に着液したときのシード軸回りの抵抗(Ω)
R2’:種結晶が融液に着液したときの回路の抵抗(Ω)
E:定電圧(5V)
以下の各例において、シミュレーションは以下の条件で行った。
融液温度:1900℃
定電圧=5V
【0031】
シミュレーション1
図1に示す本発明の実施態様のSiC単結晶製造装置を用いて、シミュレーションを行った。
得られた坩堝内の融液面と種結晶との距離と、電圧の変化値(ΔV)との関係を示すグラフを図5に示す。
【0032】
比較シミュレーション1
図2に示す従来の溶液法によるSiC単結晶製造装置を用いて、シミュレーションを行った。
得られた坩堝内の融液面と種結晶との距離と、電圧の変化値(ΔV)との関係を示すグラフを図5に示す。
【0033】
図5の結果は、本発明の実施態様のSiC単結晶製造装置を用いれば、正確な種結晶の融液への着液位置が把握し得ることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の単結晶製造装置によって、単結晶成長させる際の着液検出精度を向上させて多結晶の生成を抑制し得る。
【符号の説明】
【0035】
1 本発明の実施態様のSiC単結晶製造装置
2 原料融液
3 種結晶
4 成長炉
5 シード軸
6 昇降機構
7 坩堝
8 エネルギー放出体
9 電源回路
9B 定電圧回路
9C カットオフ回路
10 従来技術のSiC単結晶成長装置
11 測定回路
12 サブコントローラ
13 コントローラ
14 電流値測定回路
15 電圧測定回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料融液から種結晶基板上に単結晶を成長させるための種結晶を有する成長炉と、下端に種結晶が保持されたシード軸と、前記原料融液を収容する坩堝と、成長炉を囲んで成長炉外に配置されたエネルギー放出体とを備えた単結晶製造装置であって、
前記坩堝とシード軸との間に電圧を印加する電源回路と、前記電源回路に流れる電流値を測定する測定回路と、前記電源回路に、定電圧回路およびカットオフ回路とを備え、前記カットオフ回路は液面接触時の電流値よりも低く設定された設定値より大きい電流値が測定されたときには電流をカットすることを特徴とする、前記装置。
【請求項2】
前記設定値が、非接触時に流れる電流値よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
SiC単結晶を製造するための装置であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−240854(P2012−240854A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109388(P2011−109388)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】