説明

印刷システム、画像形成装置及びプログラム

【課題】データの送信元とデータの送信先との間で通信ができなくてもデータについての印刷が可能な印刷システム等を提供する。
【解決手段】プリンタの通信部は、送信元が他のプリンタにデータを送信したことを検知すると(S101)、そのデータを取り込んでログを生成させ(S102)、そのデータを記憶部に記憶させる(S103)。データの送信に対して送信先のプリンタの応答があるか否かを判断し(S104)、応答信号を検知しないときは、代替通信を行い(S105)、代替印刷の指示があれば(S106)、代替印刷を行う(S110)。代替印刷の指示がなければ、出力先のプリンタに転送し(S107)、記憶しているデータを削除し(S108)、ログを生成する(S109)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、画像形成装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷すべき印刷データを複数のプリンタに分散出力する技術が従来から提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、分散先の複数のプリンタのいずれかに障害が発生した場合に、分散印刷制御装置が、データ送受信可能に接続される全プリンタの中から分散先となる複数のプリンタを指定し、指定された複数のプリンタに印刷すべき印刷データを分散出力することが開示されている。すなわち、分散印刷制御装置は、印刷について空き状態にある一のプリンタを選択し、当該一のプリンタを、障害が発生したプリンタの代替用プリンタとして印刷データの分散出力を行う。
【0003】
【特許文献1】特開2003−296086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、印刷を実施するにあたり、出力先として指示したプリンタの状態やネットワークの環境による影響で、データの通信が正常に行えずに印刷できない場合がある。このような場合には、通常は出力先への再送を行うことになる。しかし、例えばデータ量が非常に大きいときや、送信元において再送のための手順が煩雑なときには、円滑に印刷を完了することが困難である。
【0005】
本発明の目的は、データの送信元とデータの送信先との間で通信ができなくてもデータについての印刷が可能な印刷システム等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が適用される印刷システムは、情報処理装置と、前記情報処理装置とネットワークで接続され、当該情報処理装置により出力先として指示されて送信されたデータについての印刷を実行する第1の画像形成装置と、前記情報処理装置と前記ネットワークで接続され、当該情報処理装置から前記第1の画像形成装置に向けて送信されるデータを取り込んで蓄積する第2の画像形成装置と、を含むものである。
【0007】
ここで、前記第2の画像形成装置は、前記情報処理装置と代替通信する代替通信手段を有することを特徴とすることができる。また、前記第2の画像形成装置は、蓄積している前記データを前記第1の画像形成装置に転送する転送手段を有することを特徴とすることができる。また、前記第2の画像形成装置は、前記情報処理装置の指示に従って、蓄積している前記データについての印刷を実行することを特徴とすることができる。
【0008】
本発明が適用される画像形成装置は、ネットワークを介して送信されるデータを受信して当該データについての画像を記録媒体に形成する画像形成手段と、前記ネットワークを介して所定の送信元から他の画像形成装置に向けてデータが送信されることを検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果により、前記ネットワークを介して前記他の画像形成装置に送信されるデータを取り込んで蓄積する蓄積手段と、を含むものである。
【0009】
ここで、前記他の画像形成装置へのデータの送信に対して前記所定の送信元に向けた当該他の画像形成装置の応答がないことを前記検知手段が検知すると、当該他の画像形成装置に代わって代替通信する代替通信手段を更に含むことを特徴とすることができる。また、前記検知手段による検知結果のログを作成する作成手段と、前記作成手段により作成したログを保存する保存手段と、を更に含むことを特徴とすることができる。
【0010】
本発明が適用されるプログラムは、情報処理装置に接続される画像形成装置が備えるコンピュータ装置に、ネットワークを介して送信されるデータを受信して当該データについての画像を記録媒体に形成する画像形成機能と、前記ネットワークを介して所定の送信元から他の画像形成装置に向けてデータが送信されることを検知する検知機能と、前記検知機能の検知結果により、前記ネットワークを介して前記他の画像形成装置に送信されるデータを取り込んで蓄積する蓄積機能と、を実現させるものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1によれば、データの送信元とデータの送信先との間で通信ができなくてもデータについての印刷が可能になる。
請求項2によれば、データの送信元とデータの送信先との間で通信ができなくても、データの送信元がデータの送信を済ませることが可能になる。
請求項3によれば、データの送信元からの再送の負担を軽減することが可能になる。
請求項4によれば、データの送信元とデータの送信先との間で通信ができなくても、データについての印刷を早期に行うことが可能になる。
請求項5によれば、出力先への再送の指示がユーザにより行われなくても印刷が可能になる。
請求項6によれば、データの送信元とデータの送信先との間で通信ができなくても、データの送信元がデータの送信を済ませることが可能になる。
請求項7によれば、本発明を適用しない場合に比べて、発生した通信障害の解析を容易に行うことが可能になる。
請求項8によれば、出力先への再送の指示がユーザにより行われなくても印刷が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る印刷システムを示す概略構成図である。
図1に示すように、クライアント(情報処理装置)Cと複数のプリンタ(ネットワークプリンタ)P1,P2,P3とがネットワークNW上で互いに接続されている。すなわち、クライアントCと複数のプリンタP1〜P3との間で双方向の通信が可能なようにネットワークNWが構成されている。このため、クライアントCは、ネットワークNW上の複数のプリンタP1〜P3のいずれかに対して印刷を指示することができる。本実施の形態では、専用のプリントサーバを備えていない。
【0013】
また、3つのプリンタP1〜P3は、1つのグループとしてのプリンタ群を構成している。また、3つのプリンタP1〜P3の各々には、予め優先度(優先順位)がユーザにより定められている。すなわち、3つのプリンタP1〜P3は、優先順位付けされている。予め定められた優先度の情報を相互に共有している。この優先度の情報は、各プリンタP1〜P3における図2に図示の記憶部14に記憶されている。具体的に説明すると、本実施の形態の場合には、プリンタP1の優先順位が最も高く、その次にプリンタの優先順位P2が高く、プリンタP3の優先順位が最も低いと定められている。
【0014】
更に説明すると、送信元であるクライアントCが複数のプリンタP1〜P3の中の例えばプリンタ(第1の画像形成装置)P1に対してデータ(ジョブデータ、プリントジョブ)を送信し、送信先(印刷の出力先)のプリンタP1がデータを受信すると、そのデータについての印刷を行う。なお、ネットワークNWでの通信プロトコルとして、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)を用いることができるが、他のプロトコルを用いてもよい。
【0015】
この場合の送信先以外のプリンタ(第2の画像形成装置)P2,P3は、クライアントCと送信先のプリンタP1との間の通信を監視する。さらには、プリンタP2,P3は、状況に応じて様々な振る舞いを行う。例えば、プリンタP2は、クライアントCと他のプリンタP1,P3との間の通信のデータを蓄積したり、蓄積したデータを削除したり、他のプリンタP1,P3の代わりに代替通信したり、蓄積したデータを本来の送信先のプリンタP1,P3に転送したり、他のプリンタP1,P3の代わりに印刷(リカバリ印刷)したり、通信ログを記憶したりする。これについては後述する。同様に、プリンタP3は、クライアントCと他のプリンタP1,P2との間の通信のデータを蓄積したり、蓄積したデータを削除したり、他のプリンタP1,P2の代わりに代替通信したり、蓄積したデータを本来の送信先のプリンタP1,P2に転送したり、他のプリンタP1,P2の代わりに印刷(リカバリ印刷)したり、通信ログを記憶したりする。
【0016】
図2は、プリンタP2の機能を説明するためのブロック図である。なお、プリンタP1〜P3の基本的な機能は同じであり、その代表例として、プリンタP2の機能及び処理手順を以下説明するものである。
図2に示すように、プリンタP2は、ネットワークNWに接続され、ネットワークNW内の通信を監視する通信部11と、通信部11が取得したデータないし情報について判断する判断部12と、通信部11及び判断部12の動作ごとにログデータを生成するログ生成部13と、判断部12の指示により所定の情報を記憶する記憶部14と、を備えている。また、プリンタP2は、ネットワークNWを介して送信されるデータについての画像を用紙(記録媒体)に形成する画像形成部16と、画像形成部16の動作を制御する制御部15と、を備えている。ログ生成部13で生成されたログデータは、記憶部14に記憶される。なお、判断部12及び制御部15を例えばCPUで構成することができ、また、記憶部14を例えばメモリで構成することができる。
【0017】
図3は、クライアントCからプリンタP1に対してデータが送信された場合の処理手順を示すフローチャートである。図4、図5、図6及び図7は、クライアントCによるデータの送信状態を示す本実施の形態に係る印刷システムの概略構成図である。なお、図4〜図7の破線は、データの送信状態を示している。
プリンタP2の通信部11(図2参照)がネットワークNW内の通信を監視している。そして、図4に示すように、クライアントCからプリンタP1に向けて所定のデータがネットワークNWにて送信された場合には、通信部11がデータの送信を検知する(ステップ101)。すなわち、プリンタP2の通信部11は、クライアントCから送信される通信パケットの中身を確認し、プリンタP1〜P3のいずれかが送信先であるときには、通信パケットを抽出して拾い上げる。また、プリンタP3も同様に、クライアントCから送信される通信パケットの中身を確認し、プリンタP1〜P3のいずれかが送信先であるときには、通信パケットを抽出して拾い上げる。以下、プリンタP2についての処理手順を説明するが、プリンタP3についても同様の処理手順を行うものであり、その説明を省略する。
【0018】
通信部11は、送信元のクライアントCが自己以外のプリンタP1にデータを送信したことを検知すると、そのデータを取り込んで(キャプチャ)、ログ生成部13(図2参照)にそのログを生成させる(ステップ102)。その場合のログとしては、例えば、発信元、送信先、発信日時、受信日時、文書名ないしファイル名、データの中身及び指示内容等のデータが考えられる。ログ生成部13で生成されたログは、記憶部14に記憶される。
また、通信部11は、データを判断部12に送る。判断部12は、そのデータを記憶部14に送って記憶させる(ステップ103)。
【0019】
なお、プリンタP2は、クライアントCから自己に対してデータが送信されたことを検知すると、判断部12は、制御部15に画像形成を指示し、制御部15は、画像形成部16の制御を開始する。その場合には、判断部12は、ログ生成部13にログを生成させる。ログデータとしては、データの受信日時、文書名ないしファイル名、及び印刷完了日時が考えられる。
このようなプリンタP2の振舞いは、プリンタP3においても同様に行われる。すなわち、クライアントCからプリンタP1へ送信されたデータを監視し、キャプチャし、蓄える。また、自己に対してデータが送信されると、画像形成を行う。
【0020】
〔通常の場合〕
プリンタP2の通信部11は、データの送信に対してプリンタP1の応答があったか否かを監視する(ステップ104)。通信部11がプリンタP1からクライアントCへの応答信号を検知することで、プリンタP2は、クライアントCからのデータをプリンタP1が受信したことを把握する。
【0021】
更に説明すると、プリンタP1はデータを受信すると(図4参照)、送信元であるクライアントCに向けて応答信号を送信する。この応答信号により、クライアントCは、送信したデータがプリンタP1に受信されたことを認識し、プリンタP1への再送信が不要であることを認識する。クライアントCは、送信すべきデータがあれば、そのデータを送信し、送信すべきデータをすべて送信したときには、送信処理を終了する。上述したように、プリンタP2は、この応答信号を受信することで、ステップ104についての判断を行う。
【0022】
通信部11が送信元のクライアントCへの応答信号を受け取ると、ステップ108に進む。すなわち、判断部12は、記憶部14に記憶されているデータ(プリンタP1への送信データ)を削除する(ステップ108)。具体的な処理手順を説明すると、プリンタP2の通信部11が、応答信号を検知すると、記憶部14に対して記憶しているデータを削除するように指示する。指示を受けた記憶部14は、そのデータを削除する。なお、データを削除する場合のほかに、削除せずにそのまま記憶しておき、データを後に再利用する場合も考えられる。
そして、通信部11は、ログ生成部13にログを生成させて(ステップ109)、一連の処理を終了する。
【0023】
ここで、プリンタP1は、クライアントCからのデータをすべて受信すると、そのデータについての印刷を実行する。クライアントCは、例えばSNMP(Simple Network Management Protocol)等の通信手段を使用して、出力先のプリンタP1での印刷の完了を認識することが可能である。
【0024】
また、プリンタP1は、そのデータについての印刷が完了すると、印刷完了の通知をクライアントCに送信するように構成することも考えられる。そのような場合には、印刷完了の通知を通信部11が検知することで、プリンタP2は、クライアントCから送信されたデータが出力先で印刷されたことを把握することになる。
【0025】
なお、通信部11は、その検知内容をログ生成部13に送って、ログ生成部13にログデータを生成させることも考えられる。通信部11がプリンタP1からの印刷完了の通知を検知した場合には、ログ生成部13が、印刷完了通知を受信したことのログを生成することも考えられる。そのような場合のログデータとしては、例えば、印刷完了通知の発信元、印刷完了通知の受信日時及び指示内容等が考えられる。
また、上述したステップ108におけるデータを削除するタイミングとして、印刷完了の通知を検知した後に行うことも考えられる。
【0026】
〔障害発生の場合〕
一方、ステップ104において、通信部11は、データの送信に対するプリンタP1の応答信号を検知しなかったとき、すなわち、送信元への応答がなかったときには、代替通信を行う(ステップ105)。具体的には、通信部11は、応答信号をクライアントCに対して送信する。このような代替通信が行われることにより、クライアントCは、同じデータを複数回送信する必要がない。また、プリンタP1に対して送信されたデータは、プリンタP2,P3に記憶されることになるので、データの再送をすることなく、データの送信処理を終える。
【0027】
このような代替通信を行う際に、プリンタP2の通信部11は、プリンタP1の代わりに行っていることを通知することも考えられる。この場合には、クライアントCは、送信先であるプリンタP1がデータを受信するのに何らかの障害が発生していることを把握することができる。言い換えると、そのような通知を行わないときには、クライアントCは、障害の発生を把握することなく、データの送信処理を終えることになる。
【0028】
また、このような代替通信を行うタイミングとしては、クライアントCから同一内容が同一送信先に複数回送信されたことを通信部11が検知した場合や、最初は応答信号を検知したものの全てのデータが送信される前にプリンタP1からの応答信号がなくなった場合等が考えられる。具体的に説明すると、例えば、送信先のプリンタP1の電源が落ちていたときや、ネットワークNWの一部に問題が発生してクライアントCと送信先のプリンタP1との間の通信ができないときには、プリンタP1は、クライアントCからのデータを受信することができず、また、受信完了通知もクライアントCに送信することができない。図5に示すように、このような何らかの障害が発生した場合に、プリンタP2は代替通信を行う。
【0029】
なお、プリンタP2の優先順位は、プリンタP1の次であることから、プリンタP1の代替通信は、プリンタP2が担うことになる。このため、例えば、図7に示すように、プリンタP1のみならずプリンタP2もクライアントCとの間で通信が確立できない場合には、優先順位に基づいて、プリンタP3がプリンタP1の代替通信を行うことになる。
このように、複数のプリンタP1〜P3がネットワークNWに接続されている場合に、何らかの障害が発生したときには、予め定められた優先度に従って代替通信等を行うプリンタが自動的に決定される。また、代替通信を行ったときには、通信部11は、ログ生成部13にログを生成させる。
【0030】
プリンタP2の通信部11が代替通信を実行すると、プリンタP2に対して代替印刷の指示があるか否かを監視する(ステップ106)。プリンタP2が、プリンタP1と同じ機能(カラー印刷機能や後処理機能等)を有している場合等には、プリンタP1の代わりにプリンタP2が印刷(リカバリ印刷)しても問題がないことがある。そのような場合には、プリンタP2は代替印刷を行うことが可能である。
【0031】
具体的に説明すると、プリンタP1の電源がオンになったりネットワークNW上の問題が解消したりしてプリンタP1が復帰したときには、プリンタP2の通信部11がプリンタP1の復帰を検知する。すると、プリンタP2は、ログ生成部13で生成したログをプリンタP1に送信する。プリンタP1は、このログを参照することにより、クライアントCから自己に対してデータ送信があったことを知ると共に、そのデータがプリンタP2に記憶されていることを知る。
そのような場合のプリンタP1の対応として、データを記憶しているプリンタP2に対して代替印刷の指示がある。プリンタP1がこの対応を選択すると、プリンタP1は、プリンタP2に対して代替印刷を指示し、その指示を受けたプリンタP2は、代替印刷を実行する(ステップ110)。すなわち、プリンタP2の通信部11は、プリンタP1から、代替印刷の指示があれば、それを判断部12に送る。そして、判断部12は、プリンタP1に代わって、記憶しているデータについての印刷を行うように制御部15に対して指示を出す。画像形成部16による代替印刷が完了すると、判断部12は、記憶部14に記憶されているデータを削除し(ステップ108)、ログ生成部13にそのログを生成させて(ステップ109)、一連の処理を終了する。
なお、プリンタP1の障害発生をクライアントCが把握しているときには、クライアントCを通じたユーザからの指示により、プリンタP2が代替印刷を実行することも考えられる。
【0032】
また、クライアントCは、例えばSNMP等の通信手段を使用して、プリンタP2での印刷完了を認識することが可能である。そして、そのような代替印刷の完了を認識すると、他にデータを記憶しているプリンタP3に対してデータの削除を指示するように構成することも考えられる。
また、プリンタP2での代替印刷が完了したときに、プリンタP2の通信部11が印刷完了通知をクライアントCに対して送信するように構成することも考えられる。
【0033】
一方、ステップ106において、通信部11は、プリンタP1またはクライアントCからの代替印刷の指示がなければ、ネットワークNWを監視しながら待機する。
そして、プリンタP2の通信部11がプリンタP1の復帰を検知した後にプリンタP1から、プリンタP1へのデータ転送の指示があれば、判断部12は、クライアントCがプリンタP1宛てに送信したデータを記憶部14から読み出して、通信部11に渡す。そして、図6に示すように、プリンタP2の通信部11は、ネットワークNWを介して出力先のプリンタP1に転送する(ステップ107)。
なお、プリンタP2の通信部11がプリンタP1の復帰を検知し、かつ、プリンタP1からの代替印刷の指示がないときにも、記憶しているデータをプリンタP1に転送するように構成することも考えられる。
【0034】
そして、プリンタP2の判断部12は、記憶部14に記憶されているデータを削除した後に(ステップ108)、通信部11は、転送後にログ生成部13にログを生成させて(ステップ109)、一連の処理を終了する。
【0035】
このような転送を行うことによって、出力先のプリンタP1は、クライアントCから送信されたデータを取得する。すなわち、プリンタP1は、クライアントCからのデータをクライアントCから直接取得するのではなく、そのデータを記憶しているプリンタP2から取得することになる。その後、出力先のプリンタP1は、印刷を開始する。
【0036】
ここで、プリンタP1は、その印刷が完了すると、印刷完了の通知をクライアントCに向けて送信するように構成することも考えられる。なお、記憶部14に記憶されているデータを削除するタイミングとして、プリンタP1からクライアントCに向けた印刷完了の通知をプリンタP2の通信部11が検知したときに行うように構成することも考えられる。
【0037】
本実施の形態では、出力先のプリンタP1にデータを転送しているが、プリンタP1又はクライアントCからの指示によって、ネットワークNW上の他の任意のプリンタ(不図示)に転送することも考えられる。この場合には、他の任意のプリンタがデータについての印刷を行うことになる。
【0038】
ここで、クライアントCからプリンタP1への送信中にエラーが発生してプリンタP1で受信ができなくなった場合には、プリンタP1〜P3からなるプリンタ群に記録されているジョブに関する通信ログの情報から問題がどの箇所で発生したかを特定するための情報をユーザに提供することができる。すなわち、通信障害が発生した場合に、プリンタ群を形成する各プリンタP1〜P3のログ情報を解析することでクライアントCからプリンタP1までの経路のどの箇所で障害が発生したかの分析が可能になる。
【0039】
上述した本実施の形態に示す各種処理は、プリンタP1,P2,P3の作業用メモリとしての記憶部14を用いて実行され、また、記憶部14等を用いて実行されるアプリケーションプログラムで実現される。このアプリケーションプログラムは、コンピュータ装置であるプリンタP1,P2,P3を顧客(ユーザを含む)に対して提供する際に、装置の中にインストールされた状態にて提供される場合の他、コンピュータに実行させるプログラムをコンピュータが読取可能に記憶した記憶媒体等にて提供する形態が考えられる。この記憶媒体としては、例えばCD−ROM媒体等が該当し、CD−ROM読取装置(図示せず)等によってプログラムが読み取られて実行される。また、これらのプログラムは、例えばプログラム伝送装置(図示せず)によってネットワークを介し、ネットワークインタフェースを経由して提供される形態がある。このプログラム伝送装置としては、例えば、プリンタP1,P2,P3に設けられ、プログラムを格納するメモリと、ネットワークを介してプログラムを提供するプログラム伝送手段とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施の形態に係る印刷システムを示す概略構成図である。
【図2】プリンタの機能を説明するためのブロック図である。
【図3】クライアントからプリンタに対してデータが送信された場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】クライアントによるデータの送信状態を示す本実施の形態に係る印刷システムの概略構成図である。
【図5】クライアントによるデータの送信状態を示す本実施の形態に係る印刷システムの概略構成図である。
【図6】クライアントによるデータの送信状態を示す本実施の形態に係る印刷システムの概略構成図である。
【図7】クライアントによるデータの送信状態を示す本実施の形態に係る印刷システムの概略構成図である。
【符号の説明】
【0041】
11…通信部、12…判断部、13…ログ生成部、14…記憶部、C…クライアント、P1,P2,P3…プリンタ、NW…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と、
前記情報処理装置とネットワークで接続され、当該情報処理装置により出力先として指示されて送信されたデータについての印刷を実行する第1の画像形成装置と、
前記情報処理装置と前記ネットワークで接続され、当該情報処理装置から前記第1の画像形成装置に向けて送信されるデータを取り込んで蓄積する第2の画像形成装置と、
を含む印刷システム。
【請求項2】
前記第2の画像形成装置は、前記情報処理装置と代替通信する代替通信手段を有することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記第2の画像形成装置は、蓄積している前記データを前記第1の画像形成装置に転送する転送手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記第2の画像形成装置は、前記情報処理装置の指示に従って、蓄積している前記データについての印刷を実行することを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項5】
ネットワークを介して送信されるデータを受信して当該データについての画像を記録媒体に形成する画像形成手段と、
前記ネットワークを介して所定の送信元から他の画像形成装置に向けてデータが送信されることを検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果により、前記ネットワークを介して前記他の画像形成装置に送信されるデータを取り込んで蓄積する蓄積手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項6】
前記他の画像形成装置へのデータの送信に対して前記所定の送信元に向けた当該他の画像形成装置の応答がないことを前記検知手段が検知すると、当該他の画像形成装置に代わって代替通信する代替通信手段を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記検知手段による検知結果のログを作成する作成手段と、
前記作成手段により作成したログを保存する保存手段と、
を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
情報処理装置に接続される画像形成装置が備えるコンピュータ装置に、
ネットワークを介して送信されるデータを受信して当該データについての画像を記録媒体に形成する画像形成機能と、
前記ネットワークを介して所定の送信元から他の画像形成装置に向けてデータが送信されることを検知する検知機能と、
前記検知機能の検知結果により、前記ネットワークを介して前記他の画像形成装置に送信されるデータを取り込んで蓄積する蓄積機能と、
を実現させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−45743(P2009−45743A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−210799(P2007−210799)
【出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】