説明

印刷システム及び印刷制御方法、プログラム、印刷装置

【課題】 用紙枚数や部数が多かったり、設定が複雑であるような場合には、オフライン処理の再実行の設定を適切に行うのが非常に難しいことが容易に想像できる。
【解決手段】 オフラインジョブ又はインラインジョブが中断された場合、その中断されたジョブがインラインジョブである場合は、そのインラインジョブで未完了の処理を行うためのリカバリ処理を許可する(S24)。一方、中断されたジョブがオフラインジョブである場合は、そのオフラインジョブをキャンセルし(S28)、その中断要因に影響されないジョブがあれば、そのジョブの実行を許可する(S31,S32)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置と後処理装置とを有し、印刷装置と後処理装置によるインラインジョブと、印刷装置による印刷処理を含まない後処理装置による後処理を含むオフラインジョブとを実行可能な印刷システム及び印刷制御方法、プログラム、印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の製版を用いた印刷技術に対抗して、近年、電子写真方式の印刷装置やインクジェット方式の印刷装置を利用したPOD(Print On Demand)印刷システムが提案されている(特許文献1参照)。このようなPOD印刷システムにより、従来の印刷システムにおける版下作成や、その他複雑な作業が不要になる。
【特許文献1】米国特許公開公報2004-0190057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このようなPOD印刷システムの製品実用化を想定すると、まだまだ検討の余地が残されていると考える。例えば、従来の印刷システムは、プリンタに接続されたインラインフィニッシャ(プリンタとフィニッシャ間の紙の搬送経路が物理的に繋がっているフィニッシャ)による後処理を、プリンタによる印刷を伴わずに利用できる構成になっていない。そこで、プリンタに接続された後処理装置による後処理を、プリンタによる印刷を伴わずに利用できるようにした印刷システムが要望されることが予測される。
【0004】
このような印刷システムにおいて、プリンタに接続された後処理装置による後処理をプリンタによる印刷処理を伴わずに行う、オフラインジョブを実行できるようにすると、以下の(1)(2)で示すような問題が発生することが予想される。
(1)処理途中で中断したジョブがオフラインジョブである場合に、その他のジョブの処理が滞るといったトラブルが予想される。例えば、後処理のみを行うオフラインジョブを実行中に問題が発生した場合を考える。このような場合は、後処理を実行しない印刷処理のみのジョブであれば、オフラインジョブのトラブルとは関係なく、そのジョブを実行できる可能性がある。従って、このような場合は、そのオフラインジョブの支障要因が解消されているかどうかに拘わらず、そのジョブを実行することが求められる。
(2)処理途中で中断したジョブがオフラインジョブである場合に、そのジョブを再実行した場合に生じるトラブルが予想される。例えば、1部が10枚からなる印刷物(印刷済用紙)をステープルして5部作成するオフラインジョブを考える。このとき、25枚目の用紙の給紙中に、何らかの原因でオフラインジョブが中断すると、印刷システム内にはステープル済みの2部の用紙の束と、仕掛け中の5枚の用紙、及び給紙前の25枚の用紙が給紙段に存在している。この状態で後処理を再実行するためには、仕掛け中の用紙を印刷システムの給紙段に戻し、その後、それら用紙の枚数などの状態に合わせてオフラインジョブの設定を再設定した後、後処理を再実行するように指示しなければならない。このような操作は非常に煩雑であり、また用紙枚数や部数が多かったり、設定が複雑であるような場合には、再実行の設定を適切に行うのが非常に難しいことが容易に想像できる。
【0005】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決することにある。
【0006】
本願発明の特徴は、印刷装置と後処理装置によるインラインジョブと、印刷装置による印刷処理を含まない後処理装置による後処理を含むオフラインジョブとを実行可能な印刷システムにおいて、オフラインジョブの実行が中断された場合の不具合の発生を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る印刷システムは以下のような構成を備える。即ち、
印刷装置と後処理装置とを有する印刷システムであって、
前記印刷装置による印刷処理を含まない前記後処理装置による後処理を要するオフラインジョブの実行要求を受け付けた場合に、当該オフラインジョブのために前もって作成された印刷物に対する後処理を前記後処理装置により実行させる後処理実行手段と、
前記印刷装置による印刷と前記後処理装置による後処理とを要するインラインジョブの実行要求を受け付けた場合に、当該インラインジョブに応じて前記印刷装置及び前記後処理装置を制御して前記インラインジョブを実行させるジョブ制御手段と、
前記オフラインジョブ又は前記インラインジョブが中断された場合、当該中断されたジョブが前記インラインジョブである場合は当該インラインジョブで未完了の処理を行うためのリカバリ処理を許可し、前記中断されたジョブが前記オフラインジョブである場合は前記リカバリ処理を禁止するリカバリ制御手段と、
を有することを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る印刷システムの印刷制御方法は以下のような工程を備える。即ち、
印刷装置と後処理装置とを有する印刷システムの印刷制御方法であって、
前記印刷装置による印刷処理を含まない前記後処理装置による後処理を要するオフラインジョブの実行要求を受け付けた場合に、当該オフラインジョブのために前もって作成された印刷物に対する後処理を前記後処理装置により実行させる後処理実行工程と、
前記印刷装置による印刷と前記後処理装置による後処理とを要するインラインジョブの実行要求を受け付けた場合に、当該インラインジョブに応じて前記印刷装置及び前記後処理装置を制御して前記インラインジョブを実行させるジョブ制御工程と、
前記オフラインジョブ又は前記インラインジョブが中断された場合、当該中断されたジョブが前記インラインジョブである場合は当該インラインジョブで未完了の処理を行うためのリカバリ処理を許可し、前記中断されたジョブが前記オフラインジョブである場合は前記リカバリ処理を禁止するリカバリ制御工程と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、オフラインジョブの実行が中断された場合における不具合の発生を防止できる。
【0010】
また本発明によれば、ジョブが中断されてジョブを再開する場合に、ユーザの手間を少なくできるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るPODシステムの構成図である。
【0013】
このPODシステム10000は、印刷システム1000,1001、スキャナ102、サーバコンピュータ(PC)103、クライアントコンピュータ(PC)104を有し、それらはネットワーク101を介して接続されている。またPODシステム10000は、紙折り機107、くるみ製本機108、断裁機109、中綴じ製本機110等を有する。
【0014】
印刷システム1000,1001は、図2に示すように印刷装置100とシート処理装置200とを有する。尚、本実施形態では、印刷装置100として、コピー機能及びプリンタ機能等、複数の機能を有する多機能処理装置(MFP)を例にして説明する。しかしながら、印刷装置100は、コピー機能のみ、或は、プリンタ機能のみの単一機能型の印刷装置であっても良い。PC103は、ネットワーク101に接続された各種装置とのデータの送受信を管理する。PC104は、ネットワーク101を介して画像データを印刷装置100やPC103に送信する。また紙折り機107は、印刷装置100で印刷されたシートの折り処理を行う。くるみ製本機108は、印刷装置100で印刷されたシートに対するくるみ製本処理を行う。断裁機109は、複数枚のシートからなるシート束毎に、印刷装置100で印刷されたシートの断裁処理を行う。中綴じ製本機110は、印刷装置100で印刷されたシートに対する中綴じ製本処理を行う。ここで、これら紙折り機107、くるみ製本機108、断裁機109、中綴じ製本機110を利用する場合、ユーザは、印刷システム1000又は印刷システム1001で印刷されたシートを取り出して装置にセットし、その装置によって処理を実行させる。また、このPODシステム10000が有する複数の装置のうち、中綴じ製本機110以外の装置は、ネットワーク101に接続されており、互いに他の装置とデータ通信可能に構成されている。
【0015】
尚、印刷システム1001は、印刷システム1000が具備する仕組みと同じ仕組みを具備するがこれに限定されるものでもない。また、本実施形態の構成は、何れか一方の印刷システム1000又は1001が存在すれば実現される。本実施形態では、一例として印刷システム1000が以下に説明する各種構成要件を具備するものとする。
【0016】
次に、印刷システム1000の構成を説明する。
【0017】
図2は、本実施形態に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。
【0018】
図2に示す各ユニットの内、シート処理装置200以外のユニットは、印刷装置100に含まれる。印刷装置100には、任意の台数のシート処理装置200を接続することができる。この印刷システムは、印刷装置100で印刷されたシートに対するシート処理を、印刷装置100に接続されたシート処理装置200により実行できるように構成されている。但し、シート処理装置200を接続せずに印刷装置100のみで印刷システム1000を構成することも可能である。
【0019】
シート処理装置200は、印刷装置100と通信可能に構成され、印刷装置100からの指示を受け、後述するようなシート処理を実行することができる。スキャナ部201は、原稿上の画像を読み取って画像データに変換し、他のユニットに転送する。外部I/F202は、ネットワーク101に接続された他の装置との間でデータの送受信を行う。プリンタ部203は、入力された画像データに基づく画像をシート上に印刷する。操作部204は、図4を参照して後述するハードキー入力部(キー入力部)402や、タッチパネル部401を有し、それらを介してユーザからの指示を受付ける。また操作部204は、操作部204が有するタッチパネルに各種表示を行う。
【0020】
制御部205は、この印刷システムが有する各種ユニットの処理や動作等を統括的に制御する。即ち、印刷装置100及び印刷装置100に接続されたシート処理装置200の動作も制御する。ROM207は、制御部205によって実行される各種コンピュータプログラムを記憶する。例えば、ROM207は、後述するフローチャートの各種処理を制御部205に実行させるためのプログラムや、後述する各種設定画面を表示するために必要な表示制御プログラムを記憶する。またROM207は、PC103やPC104等から受信したPDL(ページ記述言語)コードデータを、制御部205が解釈し、ラスタイメージデータに展開する動作を実行するためのプログラムを記憶する。他にもROM207は、ブートシーケンスやフォント情報等を記憶する。RAM208は、スキャナ部201や外部I/F202から送られてきた画像データや、ROM207からロードされた各種プログラムや設定情報を記憶する。またRAM208は、シート処理装置200に関する情報(印刷装置100に接続されたシート処理装置200の台数(0からn台)と、各シート処理装置200の機能に関する情報、また、各シート処理装置200の接続順序等)を記憶する。HDD(ハードディスクドライブ)209は、ハードディスクとハードディスクへのデータの読み書きを行う駆動部等で構成される。HDD209は、スキャナ部201や外部I/F202から入力され、圧縮伸張部210によって圧縮された画像データを記憶するための大容量の記憶装置である。制御部205は、ユーザからの指示に基づいて、HDD209に格納された画像データをプリンタ部203によって印刷することができる。また制御部205は、ユーザからの指示に基づいて、HDD209に格納された画像データを、外部I/F202を介してPC103、他の印刷システム等の外部装置へ送信することもできる。また制御部205はまた、外部I/F202を介してPC103、他の印刷システム等の外部装置から、画像データを獲得することもできる。また制御部205は外部I/F202を介して、ネットワーク101に接続された外部装置を探索することもできる。圧縮伸張部210は、JBIGやJPEG等といった各種圧縮方式によってRAM208、HDD209に記憶されている画像データ等の圧縮・伸張動作を行う。
【0021】
次に、印刷システム1000の構成について図3を用いて説明する。
【0022】
図3は、本実施形態に係る印刷システムにおける印刷装置と、その印刷装置に接続されたシート処理装置の断面図である。
【0023】
自動原稿搬送装置(ADF)301は、原稿トレイの積載面にセットされた原稿束を1頁目の原稿から、ページ順に、順番に分離して、スキャナ部201によって原稿走査するために原稿台ガラス上へ搬送する。スキャナ部201は、原稿台ガラス上に搬送された原稿の画像を読み取り、CCDによって画像データに変換する。回転多面鏡(ポリゴンミラー等)303は、画像データに応じて変調された、例えばレーザ光などの光線を入射し反射ミラーを介して反射走査光として感光ドラム304上に照射する。感光ドラム304上にレーザ光によって形成された潜像はトナーによって現像され、転写ドラム305上に貼り付けられたシートに対してトナー像を転写する。この一連の画像形成プロセスをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーに対して順次実行することによりフルカラー画像が形成される。4回の画像形成プロセスの後に、フルカラー画像形成された転写ドラム305上のシートは、分離爪306によって分離され、定着前搬送器307によって定着器308へ搬送される。定着器308は、ローラやベルトの組合せを含み、ハロゲンヒータなどの熱源を内蔵し、トナー像が転写されたシート上のトナーを熱と圧力によって溶解、定着させる。排紙フラッパ309は、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、シートの搬送方向を規定する。排紙フラッパ309が図中時計回りの方向に揺動しているときには、シートは真直ぐに搬送され、排紙ローラ310によって機外へ排出される。制御部205は、以上のような一連のシーケンスによって、片面印刷を実行するように印刷装置100を制御する。
【0024】
一方、シートの両面に画像を形成する場合には、排紙フラッパ309が図中反時計回りの方向に揺動し、シートは下方向に進路を変更され両面搬送部へと送り込まれる。両面搬送部は、反転フラッパ311、反転ローラ312、反転ガイド313および両面トレイ314を備える。反転フラッパ311は、揺動軸を中心に揺動し、シートの搬送方向を規定する。制御部205は、両面印刷ジョブを実行する場合、反転フラッパ311を図中反時計回りの方向に揺動し、反転ローラ312を介して、プリンタ部203でシートの第1面にプリント済みのシートを反転ガイド313へと送り込むよう制御する。そして、シート後端が反転ローラ312に狭持された状態で反転ローラ312を一旦停止させ、引き続き反転フラッパ311を図中時計回りの方向に揺動させ、且つ、反転ローラ312を逆方向に回転させる。これにより、シートスイッチバックして搬送させ、シートの後端と先端が入れ替わった状態で、このシートを両面トレイ314へと導くよう制御する。両面トレイ314ではシートを一旦積載し、その後、再給紙ローラ315によってシートは再びレジストローラ316へと送り込まれる。このときシートは、1面目の転写工程とは反対の面が感光ドラム304と対向する側になって送られてきている。そして、先述したプロセスと同様に、そのシートの第2面に対して2面目の画像を形成させる。そして、シートの両面に画像が形成され、定着工程を経て排紙ローラ310を介して印刷装置100本体内部から機外へとシートを排出させる。制御部205は、以上のような一連のシーケンスによって、両面印刷を実行するように印刷装置100を制御する。
【0025】
また印刷装置100は、印刷処理に要するシートを収納する給紙部を有する。給紙部には、給紙カセット317,318(例えば、それぞれ500枚のシートを収容可能)、給紙デッキ319(例えば、5000枚のシートを収納可能)、手差しトレイ320等がある。給紙カセット317,318、給紙デッキ319は、サイズや材質の異なる各種シートを、給紙部ごとに区別してセットできる。また手差しトレイ320には、OHPシート等の特殊なシートを含む各種シートをセットすることができる。給紙カセット317,318、給紙デッキ319、手差しトレイ320には、それぞれに給紙ローラが設けられており、給紙ローラによってシートは1枚単位で連続的に給送される。
【0026】
次に、図3に示すシート処理装置200ついて説明する。
【0027】
本実施形態の印刷システムにおけるシート処理装置200は、上流の装置から下流の装置にシート搬送路を介してシートを搬送できるのであれば、任意の種類の装置を任意の台数だけ連結することができる。例えば、図3に示すように、印刷装置100に近い順に、大容量スタッカ200−3a、インサータ200−3d、糊付け製本機200−3b、中綴じ製本機200−3cの順序で連結し、これらを印刷システムでそれぞれ選択的に利用することができる。またシート処理装置200のそれぞれがシート排出部を備え、ユーザは、シート処理がなされたシートを、それぞれのシート処理装置のシート排出部から取出すことができる。
【0028】
制御部205は、印刷装置100に接続されたシート処理装置200にて実行可能な種類のシート処理の候補から、ユーザが所望する種類のシート処理の実行要求を、操作部204を介して印刷実行要求と共に受付ける。そして操作部204を介して処理対象となるジョブの印刷実行要求をユーザから受付けたことに応じて、制御部205は、そのジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203で実行させる。そして制御部205は、この印刷処理がなされたジョブのシートを、ユーザが所望するシート処理を実行可能なシート処理装置までシート搬送路を介して搬送させ、そのシート処理装置でシート処理(後処理)を実行させることができる。
【0029】
例えば、この印刷システム1000が図3に示すシステム構成である場合、ユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、大容量スタッカ200−3aによる大量積載処理を行うように指示されたジョブであるとする。このジョブを「スタッカジョブ」と呼ぶ。このスタッカジョブを処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷されたこのジョブのシートを、図3のA点を通過させて、大容量スタッカ200−3a内部へ搬送させる。その後、制御部205は、このジョブの積載処理を大容量スタッカ200−3aで実行させる。そして制御部205は、大容量スタッカ200−3aで積載処理がなされたこのジョブの印刷物を、他の装置(例えば後段の装置)へ搬送せずに、大容量スタッカ200−3a内部の排紙先Xに保持させる。
【0030】
これによりユーザは、この排紙先Xに保持されたスタッカジョブの印刷物を、排紙先Xから直接取出すことができる。それにより、図3のシート搬送方向、最下流の排紙先Zまでシートを搬送して、排紙先Zからスタッカジョブの印刷物を取り出すといった、一連の装置の動作やユーザの操作が不要になる。
【0031】
また図3のシステム構成で、ユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、糊付け製本機200−3bによるシート処理(例えば、くるみ製本処理、又は天糊製本処理の何れかの糊付け製本処理)を行うように指示されたジョブであるとする。このジョブを「糊付け製本ジョブ」と呼ぶ。この糊付け製本ジョブを処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷されたシートを、図3のA点、A'点及びB点を介して糊付け製本機200−3bの内部へ搬送させる。その後、制御部205は、このジョブの糊付け製本処理を糊付け製本機200−3bで実行させる。そして制御部205は、糊付け製本機200−3bで糊付け製本処理がなされたこのジョブの印刷物を、他の装置(例えば後段の装置)へ搬送させずに、そのまま、糊付け製本機200−3b内部の排紙先Yに保持させる。
【0032】
更に、例えば、ユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、中綴じ製本機200−3cによるシート処理を行うように指示されたジョブであるとする。中綴じ製本機200−3cによるシート処理には、例えば、中綴じ製本、パンチ処理、断裁処理、シフト排紙処理、折り処理等がある。ここでは、このジョブを「中綴じ製本ジョブ」と呼ぶ。この中綴じ製本ジョブを処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷されたこのジョブのシートを、A点、A'点及びB点及びC点を通過させて中綴じ製本機200−3cに搬送する。その後、制御部205は、このジョブのシート処理を中綴じ製本機200−3cで実行させる。そして制御部205は、この中綴じ製本機200−3cによるシート処理がなされた中綴じ製本ジョブの印刷物を、中綴じ製本装置200−3cの排紙先Zに保持させる。尚、排紙先Zには複数の排紙先候補がある。これは、中綴じ製本機200−3cが複数種類のシート処理を実行することができ、シート処理ごとに排紙先を分ける際に用いられるものである。
【0033】
以上図1〜図3を参照して説明したように、本実施形態に係る印刷システムは、印刷装置100に対して、複数台のシート処理装置を接続することができる。そして、これら複数台のシート処理装置は、任意の組合せで、印刷装置100に対して接続できる。また、これら複数台のシート処理装置の接続順序も、装置同士のシート搬送路がつながる範囲内において自由に変更することができる。また印刷装置100に接続可能なシート処理装置の候補も複数種類存在する。
【0034】
次に、図4を用いて、操作部204の構成を説明する。
【0035】
図4は、本実施形態に係る印刷装置100の操作部204を示す外観図である。
【0036】
操作部204は、タッチパネル部401と、キー入力部402とを備える。タッチパネル部401は、液晶表示部とその上に貼られた透明電極を有し、ユーザから指示を受付けるための各種設定画面を表示する。このタッチパネル部401は、各種画面を表示する機能とユーザからの指示を受付ける指示入力機能を兼ね備える。キー入力部402は、電源キー501やスタートキー503や、ストップキー502やユーザモード設定ボタン505、テンキー506を備える。スタートキー503は、コピージョブや、送信ジョブの実行を印刷装置100に開始させる場合に用いられる。テンキー506は、印刷部数等の数値入力の設定を行う場合に用いられる。制御部205は、このタッチパネル部401に表示される各種画面を介して受付けたユーザ指示やキー入力部402を介して受付けたユーザ指示に基いた各種処理を行うように印刷システムを制御する。
【0037】
図5は、本発明の実施形態に係る印刷装置により印刷されたシートに対して実行すべきシート処理の種類をユーザに選択させるための設定画面の表示例を示す図である。
【0038】
制御部205は、タッチパネル部401に表示される画面上の図4に示すシート処理設定のキー609がユーザにより押されると、この図5に示す画面をタッチパネル部401に表示させる。この図5の画面は、この印刷システムに含まれるシート処理装置200を用いて実行可能なシート処理の種類をユーザが選択できるように構成された設定画面である。制御部205は、この図5の画面を介して、処理対象となるジョブで実行すべきシート処理の設定をユーザから受付け、その設定に従ったシート処理をシート処理装置200で実行させる。
【0039】
尚、印刷装置100にシート処理装置200が接続される場合で、どのような種類のシート処理装置をどのような接続順序で何台接続するのか等を特定するための情報を、オペレータが登録できるように構成としてもよい。
【0040】
例えば、印刷システム1000を図3に示すようなシステム構成にする場合を考える。この時、大容量スタッカ、インサータ、糊付け製本機、中綴じ製本機の4台のシート処理装置を大容量スタッカから順番に印刷装置100に接続する旨を示す登録情報を設定する。制御部205は、オペレータにより設定されたシート処理装置200に係る情報をシステム構成情報としてRAM208に保持させ、適宜読み出して参照する。これにより制御部205は、印刷装置100に対してどのようなシート処理装置をどのような接続順序で何台接続するのか等を確認する。
【0041】
尚、ストレートパスを持たない中綴じ製本機を複数台のシート処理装置の途中に接続するような設定がユーザにより行われたとする。この場合、制御部205は、その設定を無効とする旨を通知するためのエラー表示をタッチパネル部401に行わせる。又、制御部205は、このような設定を行うことなしに中綴じ製本機は最後尾に接続するようにオペレータに通知するガイダンス情報を表示させる。
【0042】
本実施形態では、印刷システム1000に適用されるユーザインタフェース部の一例として印刷装置100に具備される操作部204を例示しているが、これ以外でも良い。例えば、PC103やPC104等の外部装置に具備されるユーザインタフェース部からの指示に基づいた処理を印刷システム1000で実行できるように構成されても良い。このように、外部装置から印刷システム1000を遠隔操作する場合、その装置の表示部に印刷システム1000に関する設定画面を表示させる。
【0043】
例として、PC104を用いて説明する。PC104が備えるCPUは、ユーザから印刷要求を受付けた場合に、ディスプレイに設定画面を表示させ、この画面を介して印刷処理条件の設定をPC104のオペレータから受付ける。そして、オペレータからの印刷実行要求を受付けた場合、PC104が備えるCPUは、この画面を介して受付けた印刷処理条件と印刷されるべき画像データとを関連付ける。そして、1つのジョブとして印刷システム1000に対してネットワーク101経由で送信するよう制御する。
【0044】
一方、印刷システム1000にて、制御部205は、このジョブの印刷実行要求を外部I/F202を介して受付けると、このPC104からのジョブをこのPC104からの印刷処理条件に基づいて処理するように印刷システム1000を制御する。このように、印刷システム1000のユーザインタフェースとして種々のユニットが提供できる。
【0045】
次に、本実施形態の制御部の一例に該当する制御部205が印刷システム1000のために実行する各種制御に関して、以下に説明する。
【0046】
印刷システム1000は、複数のジョブのデータを記憶可能なHDD209のデータの印刷処理を実行可能なプリンタ部203を有する印刷装置100を具備する。また印刷システム1000は、印刷装置100と複数台のシート処理装置200が接続できるように構成されている。また印刷装置100に接続可能なこれら複数台のシート処理装置200はそれぞれ、プリンタ部203で印刷がなされたジョブのシート(印刷物又は印刷媒体とも呼ぶ)に対するシート処理(フィニッシング又は後処理とも呼ぶ)を実行可能に構成されている。また、これらのシート処理装置200は、装置毎に自装置でシート処理を施した印刷物をオペレータが取出すことができるように構成されている。またこれらのシート処理装置200の一つである、インサータ200−3dから、複数台のシート処理装置200に対して、インサータ200−3dの給紙デッキに設定されたシートを、選択的に供給できるように構成されている。
【0047】
また本実施形態に係る印刷システム1000は、プリンタ部203からこれら複数台のシート処理装置200に対して、プリンタ部203により印刷がなされたジョブのシートを、選択的に供給できるように構成されている。
【0048】
また、この印刷システム1000は、印刷装置100を使用せず、シート処理装置200のみを用いてジョブを処理する機能を有している。制御部205は、このシート処理装置200のみを用いた処理と、印刷装置100も用いた処理を、処理対象となるジョブ毎に、ユーザインタフェース部(UI部)からのオペレータ指示に基いて選択的に実行できるように印刷システム1000を制御する。また、制御部205は、これら2つの処理を場合によっては複合させて実行できるように、印刷システム1000を制御することもできる。
【0049】
そして、本実施形態に係る印刷システム1000は、印刷装置に接続された後処理装置による後処理を、その印刷装置による印刷を伴わずに利用できるようにした柔軟性及び/又は利便性に富んだ仕組みを具備している。例えば、この仕組みに関し、本実施形態にて印刷システム1000は、印刷装置による印刷を行わずに該印刷装置に接続された後処理装置による後処理を行う特定種類のジョブの実行要求を受け付けるための実行要求受付手段を備える。
【0050】
尚、本実施形態では、印刷装置は、プリンタ部203及び/又は印刷装置100に該当し、この印刷装置に接続されるシート処理装置200が後処理装置として機能する構成を例示する。そして本実施形態では、この特定種類のジョブとして、前述のような、プリンタ部203による印刷を要さずにシート処理装置200によるシート処理(以下、後処理)を要するジョブを例示する。例えば、印刷装置100による印刷を伴わずにシート処理装置200による後処理を実行するジョブは、この特定種類のジョブに該当する。
【0051】
このように本実施形態では、印刷装置100による印刷処理とは独立に(非同期/非連動で)シート処理装置200による後処理の実行を要するジョブを特定種類のジョブとして取り扱う。そして、このような特定種類のジョブを印刷システム1000により処理可能に制御部205により制御する。尚、本実施形態にてこの特定種類のジョブにて実行を許可する後処理は、以下である。
(1)ステープル処理
(2)パンチ処理
(3)断裁処理
(4)中綴じ製本処理
(5)折り処理
(6)くるみ製本処理
(7)天糊製本処理
(8)インサート処理
本実施形態では、上記(1)〜(6)の後処理は、シート処理装置200−3cの中綴じ製本機により選択的に実行できるように構成している。また(6)と(7)の後処理は、シート処理装置200−3bの糊付け製本機により選択的に実行できるように構成している。また(8)の後処理は、図3のシート処理装置200−3dの大容量インサータにより実行できるように構成している。
【0052】
また本実施形態では、印刷装置100による印刷を伴わずに実行を許可する後処理として複数の選択候補をユーザインタフェースにて表示するよう制御部205により制御する。このシート処理(後処理)の具体例としては、後述する図8に示すようなシート処理を実施できる構成を具備している。
【0053】
以上の点に関し、これらは例示的なものであり、印刷を伴わずに実行できるシート処理として如何なる種類のシート処理を採用しても良い。また本実施形態のように、これら複数種類のシート処理を選択的に実行できるように構成していないものでも良く、これに限定されない。例えば、印刷を行わずに実行できるシート処理の種類が1種類しかない構成のものでも本発明に包含される。
【0054】
また本実施形態では、印刷システム1000により提供されるユーザインタフェースであって、オペレータの操作に対してインタラクティブに応答可能に構成された各種のユーザインタフェースが、前述の実行要求受付手段として機能する。例えば、操作部204及び/又は、この操作部204に具備されるソフトキーやハードキー及び/又は図に示す各種のユーザインタフェース画面などは、この実行要求受付手段の一例である。尚、これは例示的なものでありこれに限定されるものでもない。
【0055】
例えば、印刷システム1000とは異なる外部の装置からも前述の特定種類のジョブの実行要求を受け付けるように構成しても良い。この場合、例えば、ネットワークスキャナ102やPC103やPC104等の外部のデータ発生源に具備されるユーザインタフェースが、この実行要求受付手段として機能する。また、この場合、このような特定種類のジョブを印刷システム1000が外部から受け付けるために必要な外部I/F202などのユニットも、この実行要求受付手段として機能する。このように本実施形態は、各種の変形応用が可能であって、本実施形態に係る印刷システム1000のように以下に例示する構成に相当する構成を少なくとも有するものは如何なるものも適用可能である。例えば、前述の特定種類のジョブの実行要求を前述のユーザインタフェースを介して制御部205が受け付けたとする。この場合、この実行要求に応答し制御部205は、印刷装置100による印刷は行わずにその特定種類のジョブのために前もって作成された印刷物(第1の印刷物)に対するシート処理をシート処理装置200によって実行させるよう制御する。
【0056】
このように印刷システム1000は、前述の特定種類のジョブの実行要求を受け付けた場合、印刷装置による印刷を行わずに、そのジョブのために前もって作成された第1の印刷物に対するシート処理を、シート処理装置により実行させることができる。本実施形態では、この機能を実現する制御手段として制御部205が機能する構成を例示している。
【0057】
尚、本実施形態では、この第1の印刷物として予め印刷が施された複数の印刷媒体(印刷物)を供給できるように構成された所定の供給手段をシート処理装置200自身が具備している。シート処理装置200として例示した大容量スタッカ及び中綴じ製本機並びに大容量インサータには、それぞれインサータや給紙デッキなどが備えられる。本実施形態では、これらのユニットが、冒頭で説明した機能を果たすだけでなく、この所定の供給手段としても機能する。そして、この所定の給紙手段に対して前述の特定種類のジョブにて必要な第1の印刷物がオペレータによりセットされる。
【0058】
そして本実施形態では、この特定種類のジョブの実行要求をオペレータから指示された場合、制御部205は、この第1の印刷物を該供給手段からシート処理装置200内部のシート処理部へ前述の印刷装置を介すことなしに供給するよう制御する。その後、制御部205は、第1の印刷物に対するシート処理をそのシート処理装置によって実行させる。このような方法で、制御部205は、印刷装置による印刷を伴うことなしに、そのジョブのためにユーザが指示したシート処理をシート処理装置200によって実行可能にする。
【0059】
尚、前述の特定種類のジョブを実行する場合、該ジョブで利用する前述の第1の印刷物を印刷装置に具備される所定の供給手段としての給紙カセットから供給する構成でも良い。この場合、印刷装置の内部の搬送路を経由して該第1の印刷物がシート処理装置200内部へ導入されるが、この際、印刷装置で、第1の印刷物に対する印刷を行わないように制御部205により制御する。そして、この印刷物が前述のシート処理装置200に導入されたら、該印刷物に対してユーザが指示したシート処理を施すように制御部205により制御する。このような構成でも良い。
【0060】
[実施形態1]
以下に本発明の実施形態1について説明する。この実施形態1に係る印刷システム1000では、制御部205が操作部204においてユーザが設定するインラインジョブ設定とオフラインジョブ設定を受け付けて、その設定に従って印刷処理とそのシート処理を実行する場合について説明する。
【0061】
図6は、本実施形態1に係る印刷システムにおける処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムはROM207に記憶されており、制御部205のCPUの制御の下に実行される。
【0062】
先ずステップS1で、印刷装置100の制御部205は、操作部204のタッチパネル部401にインライン印刷処理UIを表示してステップS2に進む。
【0063】
図7は、このインライン印刷処理UIの表示例を示す図である。
【0064】
このUI画面には、コピー、送信/ファクス、ボックス機能を選択するボタンに加えて、オフラインでの仕上げ処理を指示するボタン702が表示されている。また701は、インラインでの仕上げ処理を指示するボタンである。
【0065】
ステップS2では、制御部205は、操作部204のタッチパネル部401に表示された図7に示すインライン印刷処理UIで、インライン仕上げキー701が押下されたか、或は、オフライン仕上げボタン702が押下されたかどうかを判断する。ここでインライン仕上げキー701が押下されたと判断した場合はステップS3に進み、ユーザによるインラインジョブのシート処理設定を受付ける。一方、ステップS2で、オフライン仕上げボタン702が押下されたと判断した場合はステップS11に進み、ユーザによるオフラインジョブのシート処理設定を受付ける。
【0066】
以下、インラインジョブの設定及び処理について説明する。このインラインジョブは、用紙の印刷からシート処理までを一貫して行うジョブ制御処理である。
【0067】
先ずステップS3で、制御部205は操作部204のタッチパネル部401に、図8に示すシート処理の種類選択UI801を表示する。ここで制御部205は、シート処理の種類選択UI801に、インラインジョブに設定可能なシート処理の一覧を表示する。次にステップS4に進み、制御部205は、このシート処理の種類選択UI801上でユーザにより指示されたインラインジョブのシート処理設定を判断する。このとき制御部205は、ユーザにより、図8の各シート処理の項目を特定するボタンが押下されると、そのシート処理に対応する設定UI画面(不図示)を表示して、より詳細な設定を受け付ける。
【0068】
図8は、本実施形態に係るシート処理の種類選択UI表示の一例を示す図である。
【0069】
ここではシート処理として、「ステイプル」「パンチ」「断裁」「中綴じ製本」「折り」「くるみ製本」「天糊製本」及び「インサート処理」が設定可能である。尚、ここでは複数のシート処理を指定することも可能である。
【0070】
次にステップS5に進み、制御部205はシート処理の種類選択UI801を使用して設定されたインラインジョブの設定を、RAM208或はHDD209に格納して管理する。次にステップS6に進み、制御部205はタッチパネル部401のスタートキー503(図4)が押下されてジョブの実行が指示されたどうかを判定する。スタートキー503が押下されてジョブの実行が指示されるとステップS7に進み、制御部205は、ステップS5で管理されたインラインジョブの設定に基づいて、印刷ジョブによる印刷処理を実行する。次にステップS8に進み、制御部205はステップS5で管理されたインラインジョブの設定に基づいて、印刷ジョブのシート処理を実行する。そしてステップS9で、ここまでの処理でインラインジョブが完了しているかを判断し、ジョブが完了するとステップS10に進む。一方、ジョブが未完了の場合はステップS9でジョブの完了を待ってステップS10に進む。ステップS10では、制御部205はジョブの完了に伴って、ステップS5で管理されたインラインジョブの設定を更新して、この処理を終了する。
【0071】
次に、オフラインジョブの設定及び処理について説明する。このオフラインジョブは、印刷済の用紙に対してシート処理を行うジョブで、印刷処理を伴わないジョブである。
【0072】
先ずステップS11で、制御部205は操作部204のタッチパネル部401に、図9に示すオフラインジョブ設定UI900を表示する。ここで制御部205は、このオフラインジョブ設定UI900に、オフラインジョブに設定可能なシート処理の一覧を表示する。
【0073】
図9は、本実施形態に係るオフラインジョブの設定UIの表示例を示す図である。
【0074】
ここではオフラインジョブで実行される後処理条件(シート処理の詳細設定)が表示される。
【0075】
次にステップS12に進み、制御部205はタッチパネル部401のオフラインジョブ設定UI900上で選択されたオフラインジョブのシート処理の設定を受け付ける。制御部205は、その選択されたシート処理について、各シート処理設定のボタンの押下を検知することで設定UIを表示して、より詳細な設定を受け付けることができる。こうして設定されたシート処理は図9の901で示すように表示される。
【0076】
このステップS12において、例えば図9のオフラインジョブ設定UI900で、ユーザがくるみ製本を設定する場合を説明する。
【0077】
制御部205は、オフラインジョブ設定UI900上のくるみ製本ボタン902が押下されたと判断すると、図10に示すようなくるみ製本の仕上がりサイズ設定UI1100を表示する。これによりユーザは、この仕上がりサイズ設定UI1100を使用し、製本される成果物の仕上がりサイズを指定することができる。
【0078】
図10は、本実施形態1に係るくるみ製本の仕上がりサイズ設定UI画面の表示例を示す図である。
【0079】
この図10で、くるみ製本の仕上がりサイズ設定UI1100のボタン1101が押下されると、図11に示すくるみ製本の給紙箇所と断裁方法の選択UIを表示する。
【0080】
図11は、本実施形態に係るくるみ製本の給紙箇所と断裁方法の選択UI画面の表示例を示す図である。
【0081】
ユーザは、この給紙箇所と断裁方法の選択UI1102を使用し、製本される成果物に使用される用紙の給紙箇所と、小口、もしくは小口と天地方向の断裁を選択することができる。制御部205は、この給紙箇所と断裁方法の選択UI1102のボタン1103が押下されたと判断すると、図9のオフラインジョブ設定UI900を表示する。このとき制御部205は、くるみ製本の仕上がりサイズ設定UI1100、或は、くるみ製本の給紙箇所と断裁方法の選択UI1102において、くるみ製本の印刷設定を受け付ける。
【0082】
次にステップS13に進み、制御部205はオフラインジョブ設定UI900で設定されたオフラインジョブ設定を、RAM208或はHDD209、或はその両方に格納して管理する。またオフラインジョブ設定UI900の各シート処理ボタンの押下時に設定されるシート処理の詳細設定もまた、RAM208或ははHDD209、或はその両方に格納する。次にステップS14に進み、制御部205はタッチパネル部401のスタートキー503が押下されたどうか判定する。スタートキー503が押下されると制御部205はステップS15に進むが、スタートキー503が押下されていなければ制御部205はステップS14で待機する。ステップS15では、制御部205はステップS13で管理されたオフラインジョブの設定に基づいて、印刷ジョブを伴わないシート処理を実行する(後処理実行)。次にステップS16に進み、制御部205は、ここまでの処理でオフラインジョブが完了しているか判定する。ジョブが完了していればステップS17に進むが、ジョブが未完了の場合はステップS16で待機してジョブの完了を待つ。ステップS17では、制御部205はジョブの完了により、ステップS13で管理されたオフラインジョブ設定を更新して、終了する。
【0083】
次に本実施形態の特徴である、インラインジョブ或はオフラインジョブで中断が発生したときの処理について説明する。
【0084】
図12は、本実施形態1に係る印刷システムにおけるジョブの中断が発生した場合の処理を説明するフローチャートである。尚、この処理を実行するプログラムはROM207に記憶されており、制御部205のCPUの制御の下に実行される。
【0085】
先ずステップS21で、制御部205は、処理を実行中のジョブの中断要因が発生したかどうかを判断し、中断要因が発生したときはステップS22に進むが、そうでないときは何もせずにこの処理を抜ける。この場合のジョブの中断要因としては、例えば、用紙搬送中の紙詰まりや、定着器の不良、機械の故障等の機械的な要因や、用紙切れ、インク切れ等の印刷リソースの不足がある。更にまた、ユーザによるドアの開閉等のようなユーザ操作に起因する要因が考えられる。本実施形態に係る中断要因としては、これらのいずれであっても良い。
【0086】
制御部205が中断要因が発生したと判断するとステップS22で、制御部205は実行中のジョブの処理を中断し、中断要因が発生したことをタッチパネル部401に表示する。
【0087】
図13は、紙詰まりが発生したためにジョブを中断した場合に表示される画面例を示す図である。
【0088】
この図13では、紙詰まりが発生し、その紙詰まり箇所がマーク1300で示されている。更にこの画面には、その中断発生要因に加えて、その中断要因を解消する手順が表示される。従ってユーザは、その表示された手順に従って中断要因を取り除くことが可能である。また制御部205は、このジョブ中断画面上に表示される「後で処理」ボタン1301が押下されたと判断すると、このジョブ中断画面を終了させる。但し、このジョブ中断画面の表示が終了された後も、その中断要因が解消されていなければ、中断状態は継続される。
【0089】
こうしてステップS22からステップS23に進み、制御部205は、その中断したジョブの設定を参照して、中断したジョブがインラインジョブか、それともオフラインジョブであるかを判定する。インラインジョブである場合はステップS24に進むが、オフラインジョブである場合はステップS28に進む。ステップS24では、制御部205は、そのジョブをリカバリ許可対象のジョブとして印刷装置100のRAM208もしくはHDD209もしくはその両方に記憶して管理しつつ、中断状態を維持する。ここでリカバリ許可とは、インラインジョブにおいてジョブ処理の中断が発生したために未完了となっている処理を継続して実行させるリカバリ処理を許可することを意味している。次にステップS25に進み、制御部205は、そのインラインジョブの中断要因が解消されたか否かを判断する。ここでユーザが、その中断要因が解消されたと判断した場合は、制御部205はリカバリ処理を行うためステップS26に進むが、中断要因が解消されていない場合はステップS30に進む。ステップS26では、制御部205は印刷システム1000のプリンタ部203に対して、そのジョブの印刷が完了していない場合は、それらページの印刷を行うよう指示する。また後処理に必要なページに関するリカバリ処理として、必要なページに遡って印刷する等の指示を出す。例えば用紙の両面印刷が設定されていて片面のみの印刷が完了しているときに中断が発生したときは、印刷未完了のページのみを印刷するのではなく、指示されている後処理が可能なように、再度、両面印刷を行うよう2ページ単位で印刷を指示する。この指示を受けたプリンタ部203は、その印刷指示を受けたページの印刷を行う。また、このステップS26で制御部205は、未実行の印刷処理のリカバリ処理を実行するだけでなく、未実行の後処理(シート処理)のリカバリ処理を実行するリカバリ制御を実施する。ここでもし、インラインジョブの印刷処理が完了していて、後処理の全て或はその一部だけが未実行である場合には、その未実行の後処理のリカバリ処理だけを実行することになる。こうしてステップS27に進み、制御部205は、インラインジョブが終了したかどうかを判断し、インラインジョブを完了したと判断すると、制御部205は、そのインラインジョブを終了して待機状態に戻る。尚、ステップS27で、制御部205が、このインラインジョブのリカバリ処理を終了していないと判断するとステップS26に処理を戻し、リカバリ処理を継続する。
【0090】
次にオフラインジョブの実行中に中断が発生した場合について説明する。
【0091】
ステップS28では、制御部205は、そのオフラインジョブをリカバリ禁止のジョブとしてキャンセルしてステップS29に進む。これによりオフラインジョブの場合は、例え中断要因が解消されても、未実行の後処理(シート処理)が実行されないことを意味している。次にステップS29に進み、制御部205は、そのオフラインジョブの中断要因が解消されたかを判断し、解消されていないときはステップS30に進む。ここでユーザが、例えば図13の中断画面を参照して、その中断要因を解消した場合は、制御部205は、このジョブに関する処理を終了する。
【0092】
一方、中断要因が解消されていない場合はステップS30で、制御部205は、未実行のジョブが存在するか否かを判断する。ここで未実行のジョブ(後続ジョブ)が存在する場合はステップS31に進む。一方、後続ジョブが無い場合は、そのジョブがインラインジョブであればステップS25に、オフラインジョブである場合はステップS29に進む。ステップS31では、制御部205は、その中断要因に影響されずに実行可能な印刷設定である後続ジョブが存在するか否かを判定する。
【0093】
これは例えば、中断要因がシート処理装置200で発生し、例えばステープルを行うシート処理装置でステープルの針が無くなってしまったことに起因している場合であれば、後続ジョブのシート処理設定がステープルに関連していなければ処理可能と判断する。また例えば、中断要因がプリンタ部203において紙搬送中の不良により紙詰まりが発生したことに起因していると、後続ジョブが印刷を伴うジョブである場合は、その中断要因を解消しない限り、その後続ジョブが実行できないと判断する。一方、プリンタ部203における紙詰まりであっても、後続ジョブが印刷を伴わないオフラインジョブである場合は、その中断要因に影響されることなく後続ジョブが実行可能であると判断する。
【0094】
また、中断したジョブがオフラインジョブである場合、未実行のジョブがインラインジョブであれば、そのインラインジョブの印刷処理は、このジョブの中断要因に影響されるずに実行できると判断できる。よって、この場合は、ステップS32に進んで、そのインラインジョブの印刷処理を実行することができる。こうしてステップS31で、全ての後続ジョブが中断要因により影響を受けると判断すると、制御部205は、中断しているジョブがインラインジョブか、オフラインジョブであるかに応じてステップS25或はステップS29に処理を進める。
【0095】
一方、後続ジョブのうちに中断要因により影響を受けないジョブがあると判断するとステップS32に処理を進め、制御部205は、中断要因の影響を受けない後続ジョブの処理を許可して開始可能にする。ここで中断要因の影響を受けない後続ジョブが印刷を伴うインラインジョブである場合、その実行許可を受けたプリンタ部203及びシート処理装置200は後続ジョブを処理する。また後続ジョブがオフラインジョブである場合、その実行許可を受けたシート処理装置200が後続ジョブを処理する。こうしてステップS32の後続ジョブの処理完了後、中断しているジョブがインラインジョブである場合はステップS25に進み、中断要因が解消されたかどうかを判断する。また中断ジョブがオフラインジョブである場合はステップS29に進み、中断要因が解消されたかどうかを判定する。
【0096】
以上説明したように本実施形態1によれば、印刷処理を伴うインラインジョブにおいて中断が発生し、その中断要因が解消されるまでに、その中断要因に影響されないジョブが入力されていれば、その中断要因の解消を待たずにそのジョブを優先して実行できる。また印刷処理を伴わないオフラインジョブで中断が発生すると、そのオフラインジョブをキャンセルし、その中断要因に影響されない後続ジョブが入力されていると、その中断要因の解消を待たずにその後続ジョブを優先して実行することができる。
【0097】
これにより、中断したジョブがオフラインジョブであることが原因で、その他のジョブの処理が不用意に滞るといった不具合を解消できる。
【0098】
また、中断したジョブがオフラインジョブであるにも拘らず、不用意にそのオフラインジョブをやり直そうとしたことによる不具合を防止できる。この不具合としては、印刷システムによって作成対象となる成果物自身及び/又は印刷システム自身に直接係る、ユーザの意図しないトラブルが考えられる。
【0099】
[実施形態2]
次に本発明の実施形態2について説明する。この実施形態2では、印刷システム1000において、オフラインジョブ中断時の後処理設定のUIへの反映処理を説明する。尚、この実施形態2に係る印刷システム及び印刷装置の構成は前述の実施形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0100】
図14は、本実施形態2に係るオフラインジョブの状況画面の一例を示す図である。
【0101】
ここではオフラインジョブの一覧が表示されており、「結果」が「NG」であるのは中断されたオフラインジョブを示している。このようにして、この画面は中断されたジョブを識別可能に表示している。
【0102】
ここでリフィニッシングボタン1401が押下されると、制御部205は、図9に示すオフラインジョブ設定UI900の設定に、その中断したオフラインジョブの後処理設定をコピーする。そして、制御部205は、そのコピーした設定を、そのオフラインジョブ設定UI900の表示に反映させる。そして制御部205は、操作部204のスタートキー503が押下されたと判断すると、そのオフラインジョブ設定UI900に表示されているオフラインジョブの処理をシート処理装置200に行わせる。
【0103】
以上説明したように本実施形態2によれば、ユーザは中断したオフラインジョブのシート処理(後処理)の設定を再度使用して、中断により未処理となっているシート処理を実行できる。これにより、失敗したオフラインジョブの設定を再度行う手間が省け、容易にオフラインジョブを再度実行させることができるため、ユーザの利便性が向上する。
【0104】
[実施形態3]
次に本発明の実施形態3に係る、中断したオフラインジョブのリカバリ処理について説明する。尚、この実施形態3に係る印刷システム及び印刷装置の構成は前述の実施形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0105】
図15は、本実施形態3に係る印刷システムにおけるオフラインジョブのリカバリ処理を説明するフローチャートである。尚、この処理を実行するプログラムはROM207に記憶されており、制御部205のCPUの制御の下に実行される。
【0106】
先ずステップS41で、制御部205は、タッチパネル部401で、ユーザモード設定ボタン505(図4)が押下されたかどうかを判断する。このユーザモード設定ボタン505が押されたと判断するとステップS42に進み、図16に示す共通仕様設定画面1600を表示する。
【0107】
図16は、実施形態3に係る共通仕様設定画面の表示例を示す図である。
【0108】
この画面は、タッチパネル部401に表示され、オフラインジョブのリカバリ処理のための各種設定を行うように指示するオフラインジョブリカバリ設定ボタン1601が設けられている。
【0109】
次にステップS42からステップS43に進み、制御部205は、この共通仕様設定画面1600でオフラインジョブリカバリ設定ボタン1601が押下されたかどうかを判断する。このオフラインジョブリカバリ設定ボタン1601が押されれるとステップS44に進み、制御部205は、図17に示すジョブ復帰後の動作設定画面1700を表示する。
【0110】
図17は、実施形態3に係るオフラインのリカバリ処理によるジョブ復帰後の動作設定画面の表示例を示す図である。
【0111】
ここではジョブ復帰後、中断しているオフラインジョブを自動的に再開するかどうかを設定できる。
【0112】
次にステップS45に進み、制御部205は、ジョブ復帰後の動作設定画面1700でOKボタン1702が押下されたかどうかを判断する。OKボタン1702が押されないときはステップS48に進んで、キャンセルボタン1703が押されたかどうかを判断する。キャンセルボタン1703が押されると、この処理を終了するが、そうでないときはステップS45に戻る。ステップS45でOKボタン1702が押下されるステップS46に進み、ONボタン1701が押されて中断ジョブの自動再開モードが設定されているかを判断し、そうであればステップS47に進み、中断ジョブ自動再開フラグをONにセットする。一方、中断ジョブの自動再開モードが設定されていないときは、そのまま処理を終了する。この中断ジョブ自動再開フラグはRAM208に記憶されている。
【0113】
図18は、本実施形態3に係る印刷システムにおけるジョブの中断が発生した場合の処理を説明するフローチャートである。尚、この処理を実行するプログラムはROM207に記憶されており、制御部205のCPUの制御の下に実行される。この実施形態3では、中断ジョブ自動再開フラグがONの場合、その中断ジョブがオフラインジョブであっても、ユーザが指定した場合ジョブをキャンセルしないようにしている。尚、図18において、ステップS51〜S57,S60,S62,S66〜SS68は、前述の図12のステップS21〜S27,S28,S29,S30〜S32と共通しているため、簡単に説明する。
【0114】
先ずステップS51で、制御部205は処理中のジョブの中断要因が発生したかどうかを判断し、中断要因が発生したと判断した場合はステップS52に進んで、実行中のジョブの処理を停止する。このジョブ停止時では、制御部205はタッチパネル部401上に、前述した図13に示すようなジョブが実行処理中に中断したことを示す画面を表示する。次にステップS53に進み、制御部205は、中断したジョブの設定を参照して、中断したジョブがインラインジョブか、それともオフラインジョブかを判断する。インラインジョブの場合はステップS54に進み、制御部205は、そのインラインジョブをリカバリ許可対象のジョブとして印刷装置100のRAM208もしくはHDD209もしくはその両方に記憶して管理しつつ、中断状態を維持する。そしてステップS55で、制御部205は、そのジョブの中断要因が解消されたか否かを判断し、その中断要因が解消されていると、制御部205は、リカバリ処理を行うためステップS56に進む。一方、中断要因が解消されていない場合はステップS66に進む。ステップS56では、前述のステップS26(図12)と同様に、制御部205は、プリンタ部203に当該ジョブの印刷が完了していないページの印刷指示や、シート処理装置200に未処理のシート処理を行うように指示する。こうして全てのリカバリ処理が終了するとステップS57の処理を抜けてステップS58に進み、制御部205は、プリント履歴画面を更新して、このインラインジョブに関する処理を終了して待機状態に戻る。
【0115】
一方、ステップS53で、中断ジョブがオフラインジョブであると判断するとステップS59に進み、制御部205は、中断ジョブの自動再開モードがオンにセットされているかどうかを判断する。自動再開モードがセットされているときはステップS63に進み、制御部205は、そのオフラインジョブの中断要因が解消されたか否かを判断する。ここでユーザが中断要因を解消していると判断するとステップS64に進み、シート処理装置200で、未処理のシート処理を実行するリカバリ処理を実行させる。そしてステップS65に進み、制御部205は、プリント履歴画面を更新して、このオフラインジョブに関する処理を終了して待機状態に戻る。
【0116】
一方、ステップS59で、中断ジョブの自動再開モードがオンでないときは前述の図12のステップS29以降と同様に、ステップS60で、そのオフラインジョブをリカバリ禁止のジョブとしてキャンセルする。次にステップS61に進み、プリント履歴画面を更新する。次にステップS62に進み、制御部205は、そのオフラインジョブの中断要因が解消されたかを判定する。ユーザがその中断要因を解消している場合は、制御部205は、そのオフラインジョブに関する処理を終了する。
【0117】
一方ステップS62で、その中断要因が解消されていない場合は前述の図12と同様に、ステップS66で、制御部205は、そのジョブの後に、後続のジョブが存在するか判定する。後続ジョブが存在する場合はステップS67に進む。ステップS66で、後続ジョブが無い場合、そのジョブがインラインジョブであればステップS55に進み、オフラインジョブであればステップS62に進む。後続ジョブがある場合ステップS67で制御部205は、前述のステップS31と同様に、その中断要因に影響されずに実行可能な印刷設定である後続ジョブが存在するか判定する。ここで全ての後続ジョブが中断要因により影響を受けると判断すると、制御部205は、その中断しているジョブがインラインジョブであればステップS55に進み、そのジョブがオフラインジョブであればステップS62に進む。一方、ステップS67で、後続ジョブの中に中断要因により影響を受けないジョブがあると判断するとステップS68に進み、制御部205は、その中断要因の影響を受けない後続ジョブの処理を許可する。そしてステップS69に進み、プリント履歴を更新して、インラインジョブ或はオフラインジョブの中断であるかに応じてステップS55或はステップS62に進む。
【0118】
以上説明したように本実施形態3によれば、オフラインジョブが中断された場合であっても、ユーザの選択指示に応じて、中断要因が解消されると、その中断されていたオフラインジョブを自動的に再開することができる。このようにオフラインジョブの中断からの自動再開をユーザが選択できるようにすることにより、不用意にその中断されたオフラインジョブが再開されることによるユーザの意図しないトラブルの発生を防止できる。
【0119】
(他の実施形態)
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムを読み出して実行することによっても達成され得る。その場合、プログラムの機能を有していれば、形態は、プログラムである必要はない。
【0120】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明のクレームでは、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータ実行可能なプログラム自体も含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0121】
プログラムを供給するための記録媒体としては、様々なものが使用できる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などである。
【0122】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページからハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。その場合、ダウンロードされるのは、本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルであってもよい。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明のクレームに含まれるものである。
【0123】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布する形態としても良い。その場合、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムが実行可能な形式でコンピュータにインストールされるようにする。
【0124】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される形態以外の形態でも実現可能である。例えば、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0125】
更に、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれるようにしてもよい。この場合、その後で、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0126】
また、上述した各実施形態では、印刷システム1000の印刷装置100が具備する制御部205によって前述した実施形態の機能を実現する形態を説明した。これにより、シート処理装置200として適用される装置がオプションとして印刷装置100に接続される構成においても、印刷装置100が主体となって上述の各実施形態の構成を実現できる。このように、印刷装置100自身に主要となる仕組みを持たせることで、様々なシステム構成に対処できるという効果が得えられる。但し、これ以外の構成でもかまわない。例えば、コンピュータ103、104など、印刷装置100とは別途独立した装置(107、108、109、200等も含む)の制御部が、制御部205のかわりに機能することで、上述した各実施形態の仕組みを実現するよう構成してもよい。このように構成することで、様々な印刷環境に柔軟に対応できる本実施形態の効果が一層向上可能となる。なお、これらについても例示的なものであってこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の実施形態に係るPODシステムの構成図である。
【図2】本実施形態に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る印刷システムにおける印刷装置と、その印刷装置に接続されたシート処理装置の断面図である。
【図4】本実施形態に係る印刷装置の操作部を示す外観図である。
【図5】本発明の実施形態に係る印刷装置により印刷されたシートに対して実行すべきシート処理の種類をユーザに選択させるための設定画面の表示例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態1に係る印刷システムにおける処理を説明するフローチャートである。
【図7】本実施形態に係るインライン印刷処理UIの表示例を示す図である。
【図8】本実施形態に係るシート処理の種類を選択するシート処理選択UI表示の一例を示す図である。
【図9】本実施形態に係るオフラインジョブの設定UI画面の表示例を示す図である。
【図10】本実施形態に係るくるみ製本の仕上がりサイズ設定UI画面の表示例を示す図である。
【図11】本実施形態に係るくるみ製本の給紙箇所と断裁方法の選択UI画面の表示例を示す図である。
【図12】本実施形態1に係る印刷システムにおけるジョブの中断が発生した場合の処理を説明するフローチャートである。
【図13】紙詰まりが発生したためにジョブを中断した場合に表示される画面例を示す図である。
【図14】本実施形態2に係るプリント状況画面の一例を示す図である。
【図15】本実施形態3に係る印刷システムにおけるオフラインジョブのリカバリ処理を説明するフローチャートである。
【図16】実施形態3に係る共通仕様設定画面の表示例を示す図である。
【図17】実施形態3に係るオフラインリカバリ処理によるジョブ復帰後の動作設定画面の表示例を示す図である。
【図18】本実施形態3に係る印刷システムにおけるジョブの中断が発生した場合の処理を説明するフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置と後処理装置とを有する印刷システムであって、
前記印刷装置による印刷処理を含まない前記後処理装置による後処理を要するオフラインジョブの実行要求を受け付けた場合に、当該オフラインジョブのために前もって作成された印刷物に対する後処理を前記後処理装置により実行させる後処理実行手段と、
前記印刷装置による印刷と前記後処理装置による後処理とを要するインラインジョブの実行要求を受け付けた場合に、当該インラインジョブに応じて前記印刷装置及び前記後処理装置を制御して前記インラインジョブを実行させるジョブ制御手段と、
前記オフラインジョブ又は前記インラインジョブが中断された場合、当該中断されたジョブが前記インラインジョブである場合は当該インラインジョブで未完了の処理を行うためのリカバリ処理を許可し、前記中断されたジョブが前記オフラインジョブである場合は前記リカバリ処理を禁止するリカバリ制御手段と、
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記オフラインジョブが中断されたときに、当該中断されたオフラインジョブにおける後処理に関する後処理条件を表示する手段と、
前記表示された後処理条件に基づいて、前記中断されたオフラインジョブとは異なる他のオフラインジョブで当該後処理条件に基づいた後処理を前記後処理装置によって実行可能にする手段と、
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記中断されたジョブが存在する場合、前記中断の要因が解消されない状態で実行可能な他のオフラインジョブ或いはインラインジョブが存在するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により存在すると判定された前記他のオフラインジョブ或いはインラインジョブを、前記中断の要因の解消を待たずに前記印刷装置または前記後処理装置によって開始可能にする手段と、
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記オフラインジョブが中断されたときに、当該中断されたオフラインジョブの前にインラインジョブが指示されていると、前記印刷装置による当該インラインジョブの印刷処理を自動的に開始させる手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記リカバリ制御手段は、
前記中断されたジョブが前記インラインジョブである場合に、当該インラインジョブの中断要因が解消されたのを条件に前記リカバリ処理を自動的に開始することを許可し、
前記中断されたジョブが前記オフラインジョブである場合、当該オフラインジョブの中断要因が解消されても前記リカバリ処理を自動的に開始することを禁止することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記中断されたジョブが前記オフラインジョブである場合に、中断要因が解消されたときに当該オフラインジョブのための前記リカバリ処理を許可するための指示を入力するための指示手段を更に有し、
前記指示手段による指示に応じて、前記リカバリ制御手段は、前記オフラインジョブのための前記リカバリ処理を許可することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記中断されたジョブが前記オフラインジョブである場合に、当該オフラインジョブにおいて未完了の後処理をユーザにより識別可能に表示する手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項8】
印刷装置と後処理装置とを有する印刷システムの印刷制御方法であって、
前記印刷装置による印刷処理を含まない前記後処理装置による後処理を要するオフラインジョブの実行要求を受け付けた場合に、当該オフラインジョブのために前もって作成された印刷物に対する後処理を前記後処理装置により実行させる後処理実行工程と、
前記印刷装置による印刷と前記後処理装置による後処理とを要するインラインジョブの実行要求を受け付けた場合に、当該インラインジョブに応じて前記印刷装置及び前記後処理装置を制御して前記インラインジョブを実行させるジョブ制御工程と、
前記オフラインジョブ又は前記インラインジョブが中断された場合、当該中断されたジョブが前記インラインジョブである場合は当該インラインジョブで未完了の処理を行うためのリカバリ処理を許可し、前記中断されたジョブが前記オフラインジョブである場合は前記リカバリ処理を禁止するリカバリ制御工程と、
を有することを特徴とする印刷システムの印刷制御方法。
【請求項9】
前記オフラインジョブが中断されたときに、当該中断されたオフラインジョブにおける後処理に関する後処理条件を表示する工程と、
前記表示された後処理条件に基づいて、前記中断されたオフラインジョブとは異なる他のオフラインジョブで当該後処理条件に基づいた後処理を前記後処理装置によって実行可能にする工程と、
を更に有することを特徴とする請求項8に記載の印刷システムの印刷制御方法。
【請求項10】
前記中断されたジョブが存在する場合、前記中断の要因が解消されない状態で実行可能な他のオフラインジョブ或いはインラインジョブが存在するか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程で存在すると判定された前記他のオフラインジョブ或いはインラインジョブを、前記中断の要因の解消を待たずに前記印刷装置または前記後処理装置によって開始可能にする工程と、
を更に有することを特徴とする請求項8に記載の印刷システムの印刷制御方法。
【請求項11】
前記オフラインジョブが中断されたときに、当該中断されたオフラインジョブの前にインラインジョブが指示されていると、前記印刷装置による当該インラインジョブの印刷処理を自動的に開始させる工程を更に有することを特徴とする請求項8に記載の印刷システムの印刷制御方法。
【請求項12】
前記リカバリ制御工程は、
前記中断されたジョブが前記インラインジョブである場合に、当該インラインジョブの中断要因が解消されたのを条件に前記リカバリ処理を自動的に開始することを許可し、
前記中断されたジョブが前記オフラインジョブである場合、当該オフラインジョブの中断要因が解消されても前記リカバリ処理を自動的に開始することを禁止することを特徴とする請求項8に記載の印刷システムの印刷制御方法。
【請求項13】
前記中断されたジョブが前記オフラインジョブである場合に、中断要因が解消されたときに当該オフラインジョブのための前記リカバリ処理を許可するための指示を入力するための指示工程を更に有し、
前記指示工程による指示に応じて、前記リカバリ制御工程は、前記オフラインジョブのための前記リカバリ処理を許可することを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の印刷システムの印刷制御方法。
【請求項14】
前記中断されたジョブが前記オフラインジョブである場合に、当該オフラインジョブにおいて未完了の後処理をユーザにより識別可能に表示する工程を更に有することを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項に記載の印刷システムの印刷制御方法。
【請求項15】
請求項8乃至14のいずれか1項に記載の印刷制御方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ実行可能なプログラム。
【請求項16】
請求項8乃至14のいずれか1項に記載の印刷制御方法を実行するための印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−12718(P2010−12718A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175907(P2008−175907)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】