説明

印刷制御装置及び印刷制御方法及びプログラム

【課題】印刷システムにおけるセキュリティ管理とデータ再利用を両立させる。
【解決手段】予め定めた工程が終了したと判定された場合に、当該工程までの処理工程を遂行したデバイスに対して、着目印刷ジョブの処理に使用されたデータに係るジョブチケット及び印刷データを削除するように指示し、着目印刷ジョブから前記描画データに関連する情報をジョブ定義情報から消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば製本処理を実行する製本印刷装置及び製本印刷方法ならびに製本印刷方法を実行するプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の印刷装置やインクジェット方式の印刷装置の高速化、高画質化に伴い、印刷業界に対抗して、プリント・オン・ディマンド(Print On Demand:以下、PODと表記する。)の市場が広まりつつある。PODは、印刷業界で扱うジョブより比較的小ロットのジョブを、大掛かりな装置、システムを用いずに、短納期で取り扱えることを目指して、大規模な印刷機、印刷手法に変わるものである。PODを使用した製本印刷においては、通常、POD装置内のホールドキューと呼ばれるHDDの保存領域に印刷データを記憶する。その後、オペレータはPOD装置からホールドキュー内の印刷データを1部製本印刷を行い、製本状態や印刷内容を確認する。これを試し印刷と呼ぶ。試し印刷にて問題がなければ本印刷を行いたとえば残りの100部について製本印刷を実行する。なおこの明細書ではホールドキューのことをBOXと呼ぶ場合もある。
【0003】
また従来、本印刷が完了した後、即刻データ削除が必要であれば、BOXや各サーバ内に残るデータを削除する。そうでない場合は、再印刷に備えてしばらくの間保持していることが多い。また、機密性の高いデータを印刷する場合は、試し印刷及び本印刷で使用されたBOX内のデータは印刷物の取得と同時にPOD装置において手動で削除される。
【0004】
このように、データ削除を手動で行うのに対し、自動的にデータを削除する仕組が提案されている。たとえば、顧客のデータとデザインテンプレートを顧客の注文に対応したオーダフォルダに格納し、オーダフォルダを注文ごとに管理するオーダデータ管理方式がある。この方式では、オーダフォルダごとに複数の段階にわけて自動化された削除処理を行う。たとえば顧客データは1週間後に削除し、デザインテンプレートは2週間後に削除する(たとえば特許文献1参照)。
【0005】
また、クライアント装置で、印刷データをMFP等の印刷装置に転送完了、不要になった印刷データを電子的に再生不能化処理する技術も提案されている(たとえば特許文献2参照)。この技術ではさらに、印刷データが転送されたプリントサーバ及び印刷装置等の製本デバイスの各々でも、処理の完了後に不要になった印刷データを電子的に再生不能化処理して機密を保持する。
【0006】
また、印刷装置では施せない修正がある場合、製本デバイスを管理するPC等の情報処理装置に修正要求を製本デバイスから送信して、ジョブの書き換えを指示することで、印刷装置からオペレータが離れないですむ技術がある(たとえば特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2005−182176号公報
【特許文献2】特開平11−143658号公報
【特許文献3】特開2007−34846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、印刷終了後にBOX内データの削除を行うため、製本時のミスやジャム・包装や配送時のトラブルがBOX内データの削除後に発覚すると、原稿データの取り込みや製本設定、BOXへデータを格納する処理をやり直す必要があった。また、試し印刷後にデバイス側で微調整した印刷設定や製本設定はBOXのデータ削除の際に削除されるため再印刷のときに再度調整の必要があった。また、印刷ワークフローを定義した情報であるJDF(ジョブ定義ファイル)内にコンテンツ名などが含まれるため、JDFから顧客情報を類推される危険性があった。
【0008】
本発明は上記従来例に鑑みて成されたもので、これら課題を解決することを目的とする。より詳しくは、印刷データに含まれる情報の保護と、印刷時に利用した情報の再利用とを両立させる印刷システムと印刷制御装置および印刷制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。すなわち、
印刷処理の工程を示すジョブ定義情報と印刷に使用される描画データに関する情報を含む印刷ジョブの各工程の処理を遂行するデバイスと接続された印刷制御装置であって、着目印刷ジョブについて、ジョブ定義情報に含まれた各工程の終了を判定する判定手段と、前記判定手段により予め定めた工程が終了したと判定された場合に、当該工程までの処理を遂行したデバイスに対して、前記着目印刷ジョブの処理に使用されたデータを削除するように指示する削除手段と、前記削除手段による指示の後、前記着目印刷ジョブから前記描画データに関する情報を消去する消去手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、印刷データに含まれる情報の保護と、印刷時に利用した情報の再利用とを両立させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[第1実施形態]
<システムの概要説明>
図1は、本発明の第1実施形態を示す画像形成システム(あるいは印刷システム)の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の画像形成システムを構成する各装置はネットワーク101で接続されている。ネットワーク101は一系統であっても、図に示されるように101a、101b及び101cのように複数系統持っていても構わない。
【0012】
画像形成システムは、例えば、スキャナユニットからの電子データやコンピュータ等の外部装置からの電子データをプリント可能な、複数の機能を持つカラーMFP104a、104bや白黒MFP105a−105c等の複合機能デバイスを具備している。さらに、スキャナ106のようにスキャナ機能のみを具備したデバイスや、プリント機能のみを具備するデバイス(不図示)等の単一機能のデバイスも具備している。
【0013】
又、当該画像形成システムには、複合機能デバイス等の印刷デバイスで印刷されたシート(印刷媒体)に対するシート加工処理を実行可能な各種のシート処理(後処理)装置を具備する。尚、シート加工処理とは、印刷された記録紙に対する、断裁処理、ステイプル処理、折り処理、中綴じ製本やくるみ製本等の製本処理、封入処理、丁合処理等の、複数種類の後処理の少なくとも何れかに相当する。例えば、当該システムには、シート処理装置の一例として、印刷デバイスにて印刷された記録紙を、その所定部分(例えば記録紙の右端、上端と右端と下端の三方、或いは記録紙の真中など)を軸に断裁する断裁機121を具備する。又、印刷された記録紙を、記録紙の中央真中部分にステイプルユニットによりステイプル処理を施し、その後、中央真中部分を中心軸として二つに折り畳んで、中綴じ製本物を作成する、中綴じ製本機122を具備する。又、印刷デバイスで印刷された記録紙の背を揃えて(整合処理し)、揃えた背の部分を特製のりで接着し、表紙でくるんでプレス成形するくるみ製本処理を行うくるみ製本機123を具備する。
【0014】
又、印刷デバイスで印刷された記録紙の折り処理が可能な紙折機124を具備する。又、印刷デバイスで印刷され、シート処理装置等でシート加工処理がなされた記録紙を、封筒等の所定の封入物の中に収納して封をする封入機125を具備する。又、印刷デバイスで印刷された記録紙の丁合処理(適正なページ順に記録紙をまとめる処理)を実行可能な丁合機126を具備する。尚、本形態のシステムでは、このように、複数種類のシート加工処理を各シート処理装置毎に実行可能な構成例で説明するが、このような装置構成に限らない。例えば、ある1台のシート処理装置がステイプル処理や製本処理や折り処理等の複数種類のシート加工処理を実行可能な構成でも良いし、1台のシート処理装置が1つのシート加工処理のみを実行可能な機械構成でも良い。いずれにしても、ユーザ(顧客)が望む形態のシート加工処理が実行可能な装置構成、システム構成であれば本形態を適用可能とする。
【0015】
以上、本画像形成システムは、印刷デバイス(画像形成装置とも呼ぶ。)やシート処理装置等の複数種類のデバイスを有する。これら複数のデバイスは通信ユニットを具備し、ネットワーク101等の所定の通信媒体を介して、データ(画像データや印刷条件データや制御データ、ステータスリクエストデータ、ステータスデータ等)の授受が可能に構成されている。
【0016】
図1において、工程管理マネージャ111はコンピュータにより実現される。工程管理マネージャ111は、コンピュータやデバイス、あるいは画像形成システムを流れる全てのジョブ(印刷ジョブとも呼ぶ)の工程を管理している。ジョブには、印刷等、ジョブに係る処理を実行中である実行中ジョブ、印刷要求がなされて処理開始を待機する待機中ジョブ、出力処理が完了した終了ジョブ、エラーが発生したエラージョブ等の、様々なステータスのジョブを含む。工程管理マネージャ111は、各デバイスから、ジョブの受け付け状況に関する情報や、デバイスのステータス(動作状況、エラー状況など)に関する情報や、ジョブの処理状況に関わるジョブ進捗情報等の各種のデータを獲得する。それにより、各デバイス及び本システムにおける処理対象のジョブを把握し、各ジョブの工程を管理可能に構成している。なお処理対象のジョブを着目ジョブ(あるいは着目印刷ジョブ)と呼ぶ。受注・入稿マネージャ112は、インターネット等の所定の通信媒体を介して、ユーザ(顧客)のユーザインターフェースユニット(例えば、クライアントコンピュータ)からデータ入稿を受け付ける。原稿編集マネージャ113は、入稿された原稿データやスキャナによって読み取られた画像データに基づくジョブを、ユーザの要求どおりのページ順や配置に加工するためのものである。尚、記録紙に印刷する画像データ(原稿データ)と、印刷部数の設定や画像処理の設定、仕上げ処理の設定等の各種の出力処理条件を含む印刷設定データとを合わせてジョブデータと呼ぶ。
【0017】
プルーフマネージャ114は、インターネット等の通信媒体を介してクライアントコンピュータ等のデバイスとデータ通信可能に構成されている。プルーフマネージャ114は、原稿データをクライアントからの出力処理条件に従って編集したジョブまたはその出力サンプルをクライアントコンピュータのディスプレイ等のユーザインターフェースユニットを介して表示する。これによって印刷物がユーザの意図どおりであるかどうかを、ユーザ(顧客)に確認(プルーフ処理あるいは校正処理)させるためのものである。例えば、プルーフマネージャ114は、クライアントコンピュータから、原稿データ共に、原稿データの処理の仕方を特定する出力処理条件データ(色編集や変倍処理、レイアウト処理等の編集処理、仕上げ処理等に関する各種の処理条件データ)を受信する。プルーフマネージャ114は、自身が具備する編集ユニットや他のデバイスが具備する編集ユニットを用いて、受信した原稿データを、その原稿データの為に設定された出力処理条件データに従って処理する。そして、その処理済原稿データを、印刷デバイスにより実際の印刷する前に、クライアントコンピュータに返信して、クライアントコンピュータのディスプレイにて、クライアントにその処理済結果を確認可能に表示する。当該システムは、ユーザによる確認作業を経たうえで、実際に印刷処理を開始可能に構成されている。そのため、クライアントが所望する出力結果とは異なる不適切な出力結果を生成すること無く、クライアントが所望の出力結果を提供できる。
【0018】
このために、プルーフマネージャ114は、実際に印刷処理を実行する前に、原稿編集処理やプルーフ処理等の印刷前処理を実行可能にする。尚、プルーフマネージャ114は、編集処理済みの画像データをクライアントコンピュータのUIを介してクライアントに提示する。クライアントが、その処理結果で良い旨を示す承諾指示を、該クライアントコンピュータのUIを介して入力されると、それに応じて、次工程であるプリントマネージャ115に当該ジョブの処理を渡すよう制御する。一方、クライアントから承諾指示が得られず、例えば、再編集指示がクライアントコンピュータより入力された場合には、再度編集処理を実行し直す。クライアントが納得する処理済原稿画像データが得られるまで、この工程(処理対象となるジョブのプルーフ工程)を繰り返すことができる。
【0019】
プリントマネージャ115は、プルーフマネージャ114によるプルーフ処理を経て印刷前処理(原稿編集処理,プルーフ処理)された処理対象の原稿データに対して、ラスタライズ処理(ビットマップ画像データに変換する処理)を施す。そして、ラスタライズ処理済み原稿データを、印刷出力先となる印刷デバイスに転送し、出力先の印刷デバイスにて原稿データのプリント出力(印刷処理)を実行させるよう制御する。
【0020】
後処理マネージャ116は、受注・入稿マネージャ112にて受け付けたジョブの出力処理条件データに従った後処理(仕上げ処理)工程を、印刷デバイスで印刷された記録紙に対して施すようにのシート処理装置を制御する。後処理には、断裁処理工程,中綴じ製本処理工程,くるみ製本処理工程,紙折処理工程,封入処理工程,帳合処理工程等の記録紙に対するシート加工処理が含まれる。また、シート処理装置には、断裁機121,中綴じ製本機122,くるみ製本機123,紙折機124,封入機,帳合機126等がある。
【0021】
ファイル保管マネージャ117は、ユーザのジョブ(記録紙への印刷対象となる画像データを含む)の保管や、再プリント依頼に応えるファイルサーバである。例えば、受注・入稿マネージャ112が受信した原稿データを、クライアントの所望の出力形態で印刷し後でも、ファイル保管マネージャ117は、印刷済み画像データをハードディスク等のメモリユニットに保持している。受注・入稿マネージャ112を通じて、印刷済みのジョブの再度の出力要求指示がクライアントからなされた場合に、メモリユニットに保持しておいた印刷済みの原稿データを読み出す。そして、出力要求時にクライアントより新たに設定された所望の出力形態でもって、印刷デバイスにて再度印刷可能に構成されている。このように、印刷済みの画像データの再利用性を向上させ、同じデータを何度もクライアントから受け付けないようにして無駄なデータ通信を極力控えることができる様に構成されている。
【0022】
ファイル保管マネージャ117はデータ削除処理部117aを含んでいる。本実施形態に係る印刷システムの特徴は特にこのデータ削除処理部117aにある。その動作に関しては後に詳細に説明する。
【0023】
納品・発送マネージャ118は、インターネット等の通信媒体を介して他のデバイスとデータ通信可能に構成されている。納品・発送マネージャ118は例えば、本システムのデバイスの何れかのデバイスより印刷物の完成を示す印刷完了通知データを受信したことに応答し、印刷完了の処理を行う。印刷完了の処理には、たとえばデバイスの操作者に対してクライアントに納品するようデバイスのUI等を用いて指示したり、印刷物の納品伝票データや発送履歴データなどの管理も含まれる。
【0024】
スキャンマネージャ119は、紙原稿での入稿に応えるべく、スキャナ106で紙原稿を読み取って、それを、印刷デバイス等にて取扱可能なデータとして電子データ化することができる。
【0025】
なお、各マネージャ111〜118は、それぞれ別個の情報処理装置(例えば、ホストコンピュータやサーバ)で構成されていてもよいし、マネージャ111〜118のいずれか複数又は全ての機能を1の情報処理装置で実現するように構成してもよい。例えば、マネージャ111〜118の機能の全ての機能を実行可能な1台のホストコンピュータやサーバなどを当該システムに組み込んでも良い。これらのマネージャ111〜118の各マネージャ毎にそれぞれ個別のホストコンピュータやサーバなどを当該システムに組み込んでも良い。一部の複数のマネージャの機能を実行可能な1台のホストコンピュータやサーバなどを複数台当該システムに組み込んでも良い。本形態で述べる各種の制御が実行可能な装置構成、システム構成であれば如何なる構成でも良い。
【0026】
クライアントコンピュータ103(クライアント)は、各マネージャにアクセス可能である。例えば、クラインコンピュータ103は印刷作成を望む画像データを、その画像データの印刷出力処理条件データと共に受注・入稿マネージャ112にデータ送信できる。また、クラインコンピュータ103は印刷依頼した原稿の出来栄えを確認すべく、プルーフマネージャ114から編集処理済み原稿画像データを受信できる。またクラインコンピュータ103は、印刷完了の通知を受け取るべく、納品・発送マネージャ118から印刷完了通知データを受信可能に構成されている。そして、クライアントコンピュータ103のディスプレイ等のUIを介してユーザによる各種の印刷設定や画像確認等を実行可能に構成されている。また、各マネージャは、印刷を制御するための装置であるため印刷制御装置と呼ばれることもある。
【0027】
図22は、本実施形態のファイル管理マネージャ117のハードウェア構成を示す図である。なお、本願のマネージャ(サーバ)、クライアントPCは基本的に図22のハードウェア構成である。ファイル保管マネージャ117は、ROM2203あるいは外部メモリ2211に記憶された文書処理プログラム等に基づいて図形、イメージ、文字、表(表計算等を含む)等が混在した文書処理を実行するCPU2201を備える。ファイル保管マネージャ117では、システムバス2204に接続される各デバイスをCPU2201が総括的に制御する。また、このROM2203内のプログラム用ROMあるいは外部メモリ2211には、CPU2201の制御プログラムであるオペレーティングシステムプログラム等が記憶される。ROM2203内のフォント用ROMあるいは外部メモリ2211には上記文書処理の際に使用するフォントデータ等が記憶され、ROM2203内のデータ用ROMあるいは外部メモリ2211には上記文書処理等を行う際に使用する各種データが記憶される。RAM2202は、CPU2201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
【0028】
キーボードコントローラ(KBC)2205は、キーボード2209や不図示のポインティングデバイスからのキー入力を制御する。CRTコントローラ(CRTC)2206は、CRTディスプレイ(CRT)2210の表示を制御する。ディスクコントローラ(DKC)2207は、ファイルを記憶するハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)等の外部メモリ2211とのアクセスを制御する。記憶されるファイルには、ブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、プリンタ制御コマンド生成プログラム(以下プリンタドライバ)等がある。プリンタコントローラ(PRTC)2208は、双方向性インタフェース(インタフェース)2221を介して外部装置に接続されて、外部装置との通信制御処理を実行する。NC2212はネットワークに接続されて、ネットワークに接続された他の機器との通信制御処理を実行する。
【0029】
なお、CPU2201は、例えばRAM2202上に設定された表示情報RAMへのアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行し、CRT2210上でのWYSIWYGを可能としている。また、CPU2201は、CRT2210上の不図示のマウスカーソル等で指示されたコマンドに基づいて登録された種々のウィンドウを開き、種々のデータ処理を実行する。ユーザは印刷を実行する際、印刷の設定に関するウィンドウを開き、外部装置の設定や、印刷モードの選択を含むプリンタドライバに対する印刷処理方法の設定を行える。
【0030】
以下、図1に示した各マネージャの役割に関してさらに詳細に説明する。
<工程管理マネージャ111>
工程管理マネージャ111は、管理情報システム(MIS=Management Information System)と呼ばれる集中的管理システムとして機能する。そのためMISサーバと呼ばれることもある。工程管理マネージャ111は、生産関連データの収集、加工、報告を通して経営計画と管理業務を支援し、情報を蓄積して、必要なとき、必要な部署に提供することができる。
【0031】
工程管理マネージャ111は、この管理情報システムの中心となるコンピュータである。工程管理マネージャ111は、従来人の能力上の制約によって集中管理しきれなかった部分を、各デバイスとのデータ通信や情報のデータベース化等により、情報を集中管理する役割を果たす。従来集中管理しきれなかった部分には、例えば、機械のみで完結する作業以外の、作業者による介入作業を経て実行される処理などが含まれる。
【0032】
工程管理マネージャ111は、蓄えたデータ(例えば、各デバイスが具備する機能情報や能力情報、及び、各デバイスのステータス情報、及び、受け付けたジョブの状況情報や進捗情報等)を参照する。そして、意思決定のアプリケーション、特に生産物(例えば、本システムにて生成される印刷物)のスケジューリングを行って作業者が効率よく作業できるように作業工程を指示したり管理したりして、生産能力計画を高めることに利用される。
【0033】
<受注・入稿マネージャ112>
図1に示した受注・入稿マネージャ112は、いわゆる電子商取引(EC=Electronic Commerce)の仲介役で、例えば、インターネット等の通信媒体を介してクライアントコンピュータからの受注を受け付ける。また、受注・入稿マネージャ112は、ユーザ側から見ると、インターネット上のウェブページを利用した電子店舗である。受注・入稿マネージャ112でユーザ認証を行った後に、所望のファイルを所望の設定と一緒に電子データとして自身のコンピュータから受注・入稿マネージャ112に対して送付し、ジョブの発注を行うことができる。
【0034】
図2は図1を模式的に示した図である。工程管理部211が工程管理マネージャ111に、デジタルプリント部213がプリントマネージャ115及び印刷デバイスに、ポストプレス部214が後処理マネージャ116及びシート処理装置に相当する。プリプレス部212は、図4に示すように、試し印刷のためのスキャナ401,プリプレスサーバ402,クライアントPC403,404,MFP405を含む。
【0035】
図3は、図2の工程管理部を詳細に示した図である。工程管理マネージャは、受注から納品までのシステム全体のワークフローを管理すると共に、様々な経営情報や販売情報を統括的に管理するサーバである。また、ワークフローにおける作業指示が記述されたジョブチケットに相当するJDFデータ(ジョブ定義情報とも呼ぶ。)を作成するためのJDF作成アプリケーションを実行する。本実施形態では、ワークフロー管理サーバとも称する。JDFデータには、ワークフローで定義された各処理工程を実行するデバイスやアプリケーションプログラム、パラメータ等が記述されている。JDFデータはジョブチケットとしてデバイスに送信されると共に、削除されるまでファイル保管マネージャ117に保存される。ジョブチケットを受け取ったデバイス(コンピュータを含む)は、ジョブチケットに記述されたパラメータに従って、指定された処理を行う。デバイスは、処理後には処理後の状態をジョブチケットに書き込んで工程管理マネージャ111に返す。こうして、ジョブチケットは処理工程を遂行するデバイスに順次送信される。たとえば、原稿データの「印刷」、「裁断」、「製本」というワークフローを考える。この場合、印刷デバイスに送信されるジョブチケットには、印刷対象のファイル名や、印刷するデバイス名、印刷設定等が記述されている。印刷デバイスでは印刷を行うと、1部当たりの用紙枚数や部数、用紙サイズなど、出力された印刷物に反映された設定などをジョブチケットに記述して工程管理マネージャ111に返す。工程管理マネージャ111は、次の工程である裁断処理のために、前段の工程から受信したジョブチケットを元に、裁断機のデバイスIDや裁断位置や用紙サイズを記述したジョブチケットを、処理を行うデバイスに送信する。同様の処理を工程毎に行う。
【0036】
図5は、図2のディジタルプリント部を詳細に示した図である。図6は、図2のポストプレス部を詳細に示した図である。
【0037】
図19は、工程管理マネージャ111のワークフローエディタの設定画面1900の例である。ワークフローエディタの設定画面の上側には、「ファイル」「編集」「表示」「ヘルプ」といったようなメニューが配置され、ワークフローエディタにおける各種処理を実行する。
【0038】
ツールバーに配置されている「新規ワークフロー」ボタンは、新規ワークフローを作成するためのボタン、「ワークフロー保存」は、作成したワークフローを保存するためのボタンである。
【0039】
また、ツールバーの次の段に配置されている「すべて選択」ボタンは、下側のワークエリアに存在するすべてのモジュールを選択するためのボタン、「連結」ボタンは、ワークエリアにおいて選択した複数のモジュールを連結するためのボタンである。「連結解除」ボタンは、ワークエリアにおいて選択したモジュールの連結を解除するためのボタン、「削除」ボタンは、ワークエリアにおいて選択したモジュールを削除するためのボタンである。「ズームイン」ボタンは、ワークエリアの表示を拡大するためのボタン、「デフォルト」ボタンは、ワークエリアの表示をデフォルトに戻すためのボタン、「ズームアウト」ボタンは、ワークエリアの表示を縮小するためのボタンである。
【0040】
また、ツールバーのその次の段には、下側のワークエリア1901に各種モジュールを配置するためのボタンが配置されている。ボタンには、「フォルダ入力」「変換」「訂正」「プリフライト」「色管理」「トラップ」「面付け」「承認」「電子メール」「アーカイブ」「フォルダ出力」「表示」「試し印刷」「本印刷」などがある。
【0041】
まず、作業者が新規ワークフローを作成する場合は、「新規ワークフロー」ボタンを押下して、不図示の画面において、雛型となるテンプレートを選択し、ファイル保存に必要となるパス名とワークフロー名を入力する。
【0042】
次に作業者がワークエリアに構成されたワークフローに新たなモジュールを追加する場合は、「フォルダ入力」から「本印刷」までのボタンのいずれかをポインティングデバイスによりドラッグ&ドロップすることにより、新たなモジュールを追加する。2つのモジュールを連結する場合は、ワークエリアにおいて該当する2つのモジュールを選択し、「連結」ボタンを押下する。
【0043】
本画面の例で示すのは次のような場合である。すなわち、「フォルダ入力」したデータに「色管理」を実施してから「アーカイブ」し、「プリフライト」チェックと「面付け」を実施する。さらに「アーカイブ」し、「表示」確認してから「電子メール」で通知し、「試し印刷」してから「本印刷」するというワークフローを作成する。ワークフローの各工程については、ポインティングデバイスにより各モジュールを右クリックで選択することにより表示されるメニューにより、各モジュールにさらに詳細な属性情報を設定することができる。
【0044】
作業者がワークフローの作成を終了したならば、「ワークフロー保存」ボタンを押下することにより、ワークフローが定義されたファイルを保存し、処理を終了する。
【0045】
図7は、ジョブチケットにより実現されるワークフロー構成の一例を示す図である。工程管理マネージャ111は、ワークフローにおける作業指示が記述されたジョブチケットに相当するJDFデータを作成するためのJDF作成アプリケーションを実行する。ワークフローには、たとえば、原稿データを対象として行われる処理及びそのパラメータと、処理の実行主体とが記述される。
【0046】
原稿編集マネージャ113は、作業指示に基づき面付けや製本設定を行うためのサーバであり、JDFデータを解釈するためのJDFパーサ、面つけ・製本設定を行う面つけ・製本アプリケーションにより構成される。
【0047】
プリントマネージャ115は、ディジタルプリント部に投入されるジョブを受信すると共に、ディジタルプリント部全体を管理制御するためのサーバである。プリントマネージャ115は、JDFデータを解釈するためのJDFパーサ、PDF/PS等の各種PDLデータを処理するためのPDLコントローラ、MFP等のプリンタエンジンと接続するためのプリンタインターフェースにより構成される。
【0048】
後処理マネージャ116は、ポストプレス部に投入されるジョブを受信すると共に、ポストプレス部全体を統括管理するためのサーバである。後処理マネージャ116は、JDFデータを解釈するためのJDFパーサ、フィニッシャ−Aとフィニッシャ−Bと接続するためのフィニッシャ−Aインターフェースとフィニッシャ−Bインターフェースにより構成される。もちろんシート処理デバイスが3つ以上ある場合には、それらを接続する構成を有する場合もある。
【0049】
ジョブチケットによるワークフローは、以下のように実現される。工程管理マネージャに受注ジョブが投入されると、作業者は、工程管理マネージャにインストールされているJDF(Job Definition Format)作成アプリケーションが当該ジョブのJDFデータを作成する。JDFデータは、ワークフローにおける作業指示が記述されたジョブチケットに相当する。ジョブチケットには、処理対象のデータと処理工程とそのパラメータ、各工程の実行主体とが記述されている。ジョブチケットは、各工程が完了すると次の工程に回されるが、終了した処理内容に応じてその内容が改変される。たとえば、原稿データが面付けされて印刷されると、印刷後のシート枚数がジョブチケットに記述され、後処理工程に回されて指定枚数ずつ製本される。
【0050】
さて、作成されたJDFデータが原稿編集マネージャ113に渡されると、原稿編集マネージャ113におけるJDFパーサがJDFデータを解釈して、面つけ・製本設定アプリケーションに情報を伝達する。面付け・製本設定アプリケーションは、JDFに記載されている作業指示に基づき面つけ・製本設定を行い、JDFを追加・修正する。その後、JDFデータをプリントマネージャ115へ送信する。なお、JDFパーサは面つけ・製本設定アプリケーション内にあってもかまわない。
【0051】
作成されたJDFデータがプリントマネージャ115に渡されると、プリントマネージャ115におけるJDFパーサがJDFデータを解釈して、ディジタルプリント部に対するジョブを実行する。例えばJDFデータには、出力用紙サイズや両面片面印刷やN−up等の属性が指定されている。このJDFデータの内容に従って、PDLコントローラによりJDFデータにより参照されるPDF/PS等のPDLデータを処理するとともに、プリンタインターフェースを介してMFPに対して印刷を実行する。
【0052】
作成されたJDFデータが後処理マネージャ116に渡されると、後処理マネージャ116におけるJDFパーサがJDFデータを解釈して、ポストプレス部214に対するジョブを実行する。例えばJDFデータにはくるみ製本や中綴じ製本や断裁等の属性が指定されており、その内容に従って、フィニッシャ−Aインターフェースとフィニッシャ−Bインターフェースを介してフィニッシャ−Aとフィニッシャ−Bに対して後処理を実行する。
【0053】
ファイル保管マネージャ117は、エンドユーザからの同一原稿による再発注に備えて、エンドユーザの顧客情報(名前、連絡先、クレジットなどの口座番号など)や、受信したジョブの印刷データなどを保管するサーバである。保管する印刷データには、プリント対象となる文書/原稿データファイルやそれに付随するプリント条件設定やその他のプリント依頼情報等が含まれる。また紙原稿で製本の依頼を受けた場合には、保管する印刷データには、コピー対象となる紙原稿をスキャンしたスキャン画像ファイルやそれに付随するコピー条件設定やその他のコピー依頼情報等を含む。
【0054】
保管された情報は、後で再印刷の要求が入った場合などに、呼び出して顧客情報や前回のジョブなどを照合や参照して迅速に対応するためのものである。ファイルの形態は、アプリケーションファイルデータ、PDLデータ、プリントレディデータ(RIP後のデータで、ビットマップファイルそのものやTiffファイルのように圧縮された形式がある)などがある。あるいは、それらの中間データ(ディスプレイリストのように最終出力ではないが、PDLデータとプリントレディデータとの中間的な存在)など用途に応じてそれらの一つまたは、いくつかを保管しておくことができる。保管にあたっては、プリントレディデータは大容量のため、別の記憶メディア(CD−ROMやMO、ZIPなど)に記録されたり、PDLデータであっても古いものや容量の大きいものは同様に別メディアなどに保管されたりする。また、ユーザが希望した場合には、最終出力と一緒に送り返すことも可能である。
【0055】
このように、ファイル保管マネージャ117は、エンドユーザからの再印刷要求がなされる度に、その都度、そのユーザのジョブデータを、所望の印刷出力条件でもって、上記記憶媒体から読み出して再印刷可能に制御する。
【0056】
一方で、保管されたデータをユーザがリストアして再印刷要求をかける事もある。例えば、受注入稿マネージャ112がエンドユーザ環境のクライアントPCより受信したプリントジョブの原稿データをそのままファイル保管マネージャ117のメモリユニットに格納しておく。それを一定期間保持しておくことにより、エンドユーザからの同一原稿によるプリントジョブの再発注時には、エンドユーザから原稿データを再度送信してもらうことなく、再発注を処理することが可能となる。
【0057】
また、原稿データを、エンドユーザから受け取った紙原稿をスキャンして画像データとして取り込んだ後、ファイル保管マネージャ117に画像データを保持しておくこともできる。それにより、同一原稿の再発注時には、エンドユーザから紙原稿を再度送付してもらうことなく、再発注を処理することが可能となる。
【0058】
さらに、エンドユーザが所望する出力形態でプリントジョブやコピージョブを印刷処理した後に、作業者が編集加工した印刷前の最終文書/画像ファイルや印刷処理済みの最終印刷データをファイル保管マネージャ117に一定期間保持しておく。こうすることにより、エンドユーザからの再発注時における編集加工の工程の作業を軽減することが可能となる。なお出力形態は、プリント条件設定やその他のプリント依頼情報等、コピー条件設定やその他のコピー依頼情報等で指定される。
【0059】
<ジョブの実行手順例>
以下、図7乃至図9を用いて本件の特徴であるデータ削除処理部の動き(図8のステップS808)を説明する。図8は定義済みのワークフローを実行した際の印刷システム内における処理手順を示す。図8は、図7の例に従ってワークフローが定義されているものとしている。
【0060】
まずジョブチケット(すなわちJDF)が受注・入稿マネージャ112に送信されると、ジョブチケットに従って受注・入稿マネージャ112が原稿の入力を行う。入力が済むと、たとえばJDFで指定されたフォルダに原稿データを保存する。本実施形態では、受注・入稿マネージャ112で受けた原稿データをコンピュータ(PC)で実行されている原稿編集マネージャ113に取り込む。そして工程管理マネージャ111は、原稿入力処理が終了したことを示すジョブチケットを受け付ける。また、データ削除処理部117aもワークフローの処理工程の終了の報告(処理後のジョブチケット)を受けて後述のように処理を行うが、この報告は工程管理マネージャ111から受けても良いし、各デバイスから直接受けても良い。デバイスにおいてパラメータ値が調整(変更)された場合には、調整されたパラメータ(すなわち印刷設定の設定項目)と、調整後(変更後)の設定値(変更量)も工程管理マネージャ111(またはデータ削除処理部117aあるいはそれら両方)に送信される。なお、ジョブチケットの送信と処理終了の報告に関しては各処理工程で同様(内容は異なる)なので、これ以降の処理工程の説明に当たってはそれを省略する。
【0061】
次にステップS802で、製本設定を原稿編集マネージャ113で行う。
【0062】
次にステップS803で、原稿編集マネージャ113は、プリントマネージャ115を介して、印刷に使用する印刷装置(たとえばカラーMFP等のMFP)内のHDDであるBOXに印刷データを転送する。
【0063】
次にステップS804で、印刷装置は、BOXから試し印刷・製本を行う。例えば、ユーザが、ユーザインターフェースを介してBOX内のドキュメントの印刷データを選択してプリントボタンを選択することにより、プリンタやMFPなどの印刷装置が試し印刷・製本を行う。製本はインラインのフィニッシャもしくはニアラインのフィニッシャを用いる。これら印刷装置やフィニッシャ(後処理装置)を、本明細書では、製本デバイスあるいは単にデバイスと呼ぶ。
【0064】
次にステップS805で、印刷装置は、微調整が必要か判定する。試し印刷・製本の結果から印字位置の微調整や製本にかかわる位置を微調整する。微調整を行った場合は、ステップS804に戻って再び試し印刷・製本を行う。微調整を行わないとき、印刷装置は、本印刷・製本を行う。本印刷・製本では、本来必要とする部数、例えば100部を印刷・製本する。微調整が行われると、調整されたデバイス名や項目名と調整量とが工程管理マネージャ111に報告として送信される(S806)。
【0065】
次にステップS807で、工程管理マネージャ111は、即刻データ削除が必要か判定する。機密情報の印刷の場合、工程管理マネージャ111は、ステップS808にてBOXや各サーバ内に残るデータを指定された削除モードに従って削除するように指示する。そうでない場合は、再印刷に備えてしばらくの間保持していることが多い。なおステップS808は図9で詳述する。
【0066】
次にステップS809で包装、配送を行い、一連の印刷・製本処理を終了する。
【0067】
機密性の高いデータを印刷する場合は、顧客立会いの下で印刷が行われることが多い。その際には、ステップS807,S808に示すように、試し印刷及び本印刷で使用されたBOX内のデータは印刷物の取得と同時にPOD機において手動で削除を行い確認する。
【0068】
ここで、図9を用いてステップS808を詳しく説明する。まずステップS901で、ファイル保管マネージャ117は、オペレータにより指定された削除モードを記憶する。削除モードは自動削除モードのON/OFF、自動削除モードONの場合は逐次削除モードON/OFFを選択できる。
【0069】
オペレータからの削除モードの指示は、ファイル保管マネージャ内のファイル保管アプリケーションのUI、原稿編集マネージャ113内の面付け・製本設定アプリケーションのUI、印刷のためのMFPのUIのいずれのUIから設定してもかまわない。設定されたデータはファイル保管マネージャ内のデータ削除処理部内に保持されている。
【0070】
ファイル保管マネージャ117、工程管理マネージャ111、原稿編集マネージャ113、プリントマネージャ115、後処理マネージャ116は、図1、図2に示すようにネットワークで接続されており、必要に応じて情報をやり取りしている。
【0071】
次に図8のステップS806で本印刷が終了してMFPのBOXのUIで本印刷が終了したドキュメントを選択して消去ボタンが押されると、ファイル保管マネージャ117は、ステップS902で自動削除が指定されているか判定する。自動削除が指定されていればステップS903に進む。指定されていない場合は、ステップS910に進む。
【0072】
次にステップS903で、ファイル保管マネージャ117は、逐次削除モードかどうか判定する。逐次削除モードとは、デバイスでの処理が一工程進むごとに印刷データ等を削除していくことでデバイス内に顧客の機密データに関連するデータが残る時間が最小となるモードである。以下、逐次削除モードを説明する。
【0073】
ステップS904において、ファイル保管マネージャ117は、一つの機器(デバイス)の処理が終了したかどうかを判定する。たとえば、図7のプリントマネージャ115からJDFが出力されることで終了判定を行っても良いし、MFPの状況をモニタリングして終了判定を行っても良い。カラー・モノクロ分散印刷のように複数のMFPを使用するような場合は、それぞれを監視して終了判定を行う。なお、一つの機器で複数の連続する工程を遂行する場合には、それら工程が全て完了したことが判定される。
【0074】
次にステップS905で、ファイル保管マネージャ117は、機器での微調整があったか判定する。微調整の例としては、図12にあるように各機器において発生する。微調整のUIの例としては、図20がくるみ製本の表紙の位置調整、図21が中綴じの位置調整である。微調整があった場合は、ステップS906へ進む。微調整がない場合は、ステップS907へ進む。
【0075】
ステップS906において、ファイル保管マネージャ117は、各機器で微調整された値で更新されたジョブチケットを回収する。回収するとは、各機器から工程管理マネージャ111を介して、ファイル保管マネージャ117が微調整内容が記述されたジョブチケットを受け付けることである。これは再印刷の際に同一の微調整をしなくて済むようにすることで無駄な試し印刷の削減と作業効率を上げるためである。
【0076】
次にステップS907で、ファイル保管マネージャ117は、当該印刷ジョブに関わる機器内の関連データをすべて削除するように各デバイスに指示する。関連データとは印刷や製本に使用した印刷データ、あるいは他の一時的に使用したデータ、JDFなど顧客にかかわるすべてのデータである。削除は、ステップS906でジョブチケットをファイル保管マネージャ117(特にデータ削除処理部117a)が受信したことの確認応答を受けて行う。
【0077】
次にステップS908で、ファイル保管マネージャ117は、すべての処理が終了したか判定する。印刷・製本を含め工程管理マネージャ111、原稿編集マネージャ113などで決めた作業指示をすべて終えていればステップS909に進む。終了していない処理があれば、ステップS904に戻って同様に処理を繰り返す。
【0078】
ステップS909において、ファイル保管マネージャ117は、再印刷に備えて保存しているJDFを微調整されたJDFに置き換える。
【0079】
次にステップS910で、ファイル保管マネージャ117は、S909により置き換えたJDF内の顧客データ名を消去もしくは変更する。以下にJDFの修正例を示す。
【0080】
(元のJDF)
<JDF>
<JDF Type="LayoutPreparation" ID="id001">
<ResourcePool>
<RunList>
<LayoutElement>
<FileSpec URL="http://www.insatsu_ya.com/customer/kaisha/soshiki_hyou.pdf"/>
</LayoutElement>
</RunList>
...
</ResourcePool>
</JDF>。
【0081】
(修正後のJDF)
<JDF>
<JDF Type="LayoutPreparation" ID="id001">
<ResourcePool>
<RunList>
<LayoutElement>
<FileSpec URL=""/>
</LayoutElement>
</RunList>
...
</ResourcePool>
</JDF>。
【0082】
このようにファイル保管マネージャ117は、現在処理対象となっている着目印刷ジョブのJDFから描画データに関する情報を削除することによって、顧客情報漏えいもしくは顧客情報の類推を防ぐ。上記例では、 タグ<FileSpec URL=""/> から原稿データのファイル名が消去されている。
【0083】
ステップS911で、ファイル保管マネージャ117は、オリジナル顧客データ、印刷データなどを削除する。なお、JDFは、ステップS910にて顧客情報を削除しているので、再印刷のために保持する。
【0084】
次にステップS903で、逐次削除モードではなかった場合の処理について説明する。逐次モードではない場合は、オペレータにより設定された処理工程まで終了すると顧客に関連するデータを削除する。たとえば、配送まで終了したことを確認したらデータの削除を行うというように設定した場合を説明する。
【0085】
ステップS912で、ファイル保管マネージャ117は、工程管理マネージャを介して印刷、製本、梱包、配送など作業指示されている処理が実行されたことを確認する。次にステップS913で、ファイル保管マネージャ117は、各処理工程を実行した機器において微調整があったか判定する。ステップS914において、ファイル保管マネージャ117は、微調整されたジョブチケット、すなわちJDFを回収して保持する。図12の例ではタブ紙への印刷が0.4mm内側にずれたので外側に0.4mmずらして印刷されるようにユーザが微調整を行った。すなわちプリントマネージャ115もしくはMFPは外側に0.4mmずれるような数値にJDFを修正する。
【0086】
ステップS915において、ファイル保管マネージャ117は、設定された処理まで終了したか判定する。ここでは、配送まで終了したらデータの削除と設定されているので、プリントマネージャ115のMFPでの印刷、後処理マネージャ116のフィニッシャによる製本処理、梱包処理、配送と処理を進める。この間は顧客データおよび関連するデータの削除は行われていない。
【0087】
ファイル保管マネージャ117は、配送処理が終了したことを示すJDFを工程管理マネージャ111を介して受け付けると、設定された処理工程(ここでは配送)までの機器内のすべての関連データを削除するように指示する(S916)。すなわち、S916の指示に従って各サーバ、面付け・製本アプリケーション、MFP、フィニッシャなどの機器は、印刷データやJDFファイルを削除する。次にステップS909に進んで前述と同様に処理を進める。
【0088】
<再印刷処理の例>
次に、本印刷して配送後、しばらくしてから追加注文が来た場合の再印刷処理について説明する。なお、再印刷時に顧客は再印刷に使用したいJDFの識別情報と前回使用したコンテンツデータに関する情報とを送信する。なお、コンテンツデータに関する情報とは、コンテンツデータ(例えばpdfデータ)の実体でも良いし、コンテンツデータが保存されているパス名でも良い。ファイル保管マネージャ117は、再印刷時に受け付けた識別情報に基づいて再印刷に使用するJDFを検索する。
【0089】
以下、機密性が高い注文の追加注文について説明する。機密性が高く顧客のオリジナルデータ、印刷データなどすべてのデータを削除している場合、ファイル保管マネージャはJDFの識別情報を用いて再印刷に使用されるJDFを検索する。図9にて上述したようにS909にて顧客データ名等は削除されているがJDFの識別情報は残っているので、ファイル保管マネージャ117は再印刷に使用するJDFを検索できる。
【0090】
次にJDF内の原稿を示す部分に、再印刷時に通知されたコンテンツデータに関する情報を入れる。次に、ファイル保管マネージャ117は、コンテンツデータに関する情報が記述されたJDFを原稿編集マネージャ113に送信して、面付け・製本設定の確認を行い、次にプリントマネージャ115にJDFを流す。プリントマネージャ115に接続したMFPは、受信したJDFに従って印刷を行い、同様に後処理マネージャ116に接続したフィニッシャーで製本処理を行う。
【0091】
このようにして、機密性の高い注文も、通常の注文についても追加注文を扱うことができる。そして追加注文の際の作業は、最初の注文の際の作業に比べて、機密性の高い印刷物についても軽減される。
【0092】
以上の処理により、顧客データ・印刷データの完全削除、またJDFからの顧客データの類推を防ぐと共に再印刷時に再設定する手間をなくす。また、処理がひとつ終了するごとにデバイスに残っているデータを削除することでより安全性を高める効果がある。
【0093】
なお、機密関連の情報の削除は、着目印刷ジョブのジョブチケットに含まれる全工程が完了したときに、消去してもよいし、ワークフローの最初の工程のデバイスにジョブチケットを送信した直後に消去してもよい。
【0094】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。第1実施形態では、データ削除処理部がファイル保管マネージャ117に存在する例について説明したが、特に存在場所は限定されない。たとえば、原稿編集マネージャ113、プリントマネージャ115、MFP内など他のサーバやデバイス内に存在しても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0095】
[第3実施形態]
次に実施形態3について説明する。図10は、第3実施形態のデータ削除処理と共に動作するデータ補正処理のフローチャートである。図12は、第3実施形態の各機器の必要な微調整を示す概念図である。図13は第3実施形態の処理概要を示す概念図である。図16は、ファイル保管マネージャ117によって保持される微調整DB内のデータの例である。以下、これらを用いて実施形態3について説明する。
【0096】
第1実施形態では、各機器で行った微調整後の値が反映されたJDFを再印刷の際にも使えるようにファイル保管マネージャ117に保持して、再印刷の際の手間を軽減した。本実施形態では、再印刷ではなく新しい発注においても過去の微調整量を生かして微調整の手間を削減する例を説明する。たとえば印刷・製本処理において面つけ・製本設定アプリケーションで設定した所望の結果を得るために各機器において微調整が必要になる場合を考える。
【0097】
図12は、各機器において用紙などの条件とずれがどのように起こったかを示す概念図である。たとえば、試し印刷(製本)において、紙折り機では厚紙の場合に0.5mm右にずれたので、ユーザは左に0.5mmずらした位置で折るように微調整をおこなった。同様に断裁機では薄紙の場合、0.6mm奥にずれ、普通紙の場合に0.2mm奥にずれるので、ユーザはそれぞれ0.6mm、0.2mm手前で断裁されるように微調整を行った。
【0098】
ファイル保管マネージャ117は、そのような微調整の結果が反映されたJDFを、図9のステップS906やステップS914にて回収している。
【0099】
回収したJDFから微調整が行われた設定項目と調整量をデータベースに登録した結果の一部が図16に示されている。たとえば、一番上のデータはPrint−Aにおいてタブ紙画設定されたときに印刷において内側に0.4mmずれて印刷されたことが過去に1回起きたことをしめす。
【0100】
図10のフローチャートを用いて、印刷設定(製本設定)を補正するデータ補正部の補正動作の一例を説明する。データ補正部は、たとえば工程管理マネージャ111により実行され、各処理工程のデバイスにジョブチケットを送信する前に補正を行う。たとえば、原稿編集マネージャ113による工程においてオペレータの確認を受けるように、受注入稿マネージャによる処理完了直後に行うことができる。もちろん他のマネージャにおいて異なるタイミングで実行しても良い。
【0101】
ステップS1001で、データ補正部は、断裁機で右端から10mmの位置に断裁設定を行い、用紙銘柄は普通紙Aを使用することを示すJDFを受信する。
【0102】
ステップS1002で、データ補正部は、微調整データベースを用紙種類に関する属性を条件として検索する。この場合には「用紙銘柄=普通紙A」で検索する。たとえば図16に示す微調整データベースでは断裁機で普通紙Aの条件が存在するので、ステップS1003に進む。
【0103】
ステップS1003で、データ補正部は、検索された項目に含まれる累積度数を参照し、累積頻度が10回以上かどうか判定する。10回以上であればステップS1004に進む。なければステップS1007に進む。図16の例では、普通紙Aを用いた断裁時に奥側に0.2mmずれたことが10回あることが分かるのでステップS1004に進む。
【0104】
ステップS1004で、データ補正部は、原稿編集マネージャ113の面つけ・製本設定アプリケーションに「指定の断裁機は微調整履歴が10回以上存在します。自動補正しますか?」と表示させる。
【0105】
次にステップS1005で、データ補正部は、原稿マネージャ113からの指示を受け付けて、自動補正が指示されたか否かを判定する。
【0106】
ステップS1006において、データ補正部は、10mmの断裁位置を0.2mmを補正して10−0.2=9.8mmとし、手前から9.8mmの位置で断裁されるようなジョブチケット(JDF)を生成してプリントマネージャ115に送信する。
【0107】
次にステップS1007で、ジョブチケット(JDF)に従い、印刷および断裁を行う。
【0108】
以上説明したように、データ補正部が存在する場合にも、第1実施形態と同様の効果がある。加えて、再印刷時だけではなく新しい注文時にもデバイスにおける微調整の手間を軽減する効果がある。
【0109】
[第4実施形態]
次に実施形態4について説明する。図14は、本実施形態のファイル保管マネージャ117もしくはネットワークトラブルが起きた時の概念図である。
【0110】
第1実施形態においては、顧客の機密情報を確実に削除し、かつ再印刷時にも微調整の手間を軽減できる。しかし、ファイル保管マネージャ117のトラブル等でデータ削除処理部からの処理の終了確認(機器の状況モニタリング)や印刷データ等の削除命令が来ないで顧客の印刷データがいつまでもデバイスに残るという課題がある。
【0111】
そこで本実施形態では、たとえばMFP内のBOX制御部は、機器の処理後に(例えばMFPであれば本印刷終了後に)所定時間の経過を測定する。所定時間内にデータ削除処理部から処理の終了確認や印刷データ等の削除命令がこない場合は、その機器の後段の機器の処理状況を判定する。後段の処理が終了している場合は、データを削除しても良いと判断し、該当する機器内のデータの自動削除を行う。必要があれば、微調整後のJDFの回収と保持を行う。
【0112】
なお、この処理を行うのは、プリントマネージャ115など他のマネージャや面つけ・製本設定アプリケーション、あるいはそれら複数のモジュールであってもよい。また、当該機機の後段の機器の処理状況とは、たとえば製本作業を行うフィニッシャ、梱包・配送処理状況等である。また、処理を終了している他の機器のデータも削除するかどうか、どのデータを削除するかなどはオペレータが前もって行った設定による。
【0113】
このように第4実施形態においても実施形態1と同様の効果を得ることができる。加えて、ファイル保管マネージャの障害や、ファイル保管マネージャとの間のネットワーク障害等により印刷データの削除をし損ねることを防止でき、データ保護の程度をさらに向上させることができる。
【0114】
[第5実施形態]
次に実施形態5について説明する。図15は、実施形態5の機器もしくはネットワークトラブルが起きた時の概念図である。
【0115】
第1実施形態1では、顧客の機密情報を確実に削除し、かつ再印刷時にも微調整の手間を軽減できる。しかし、ある機器にトラブルがあってデータ削除処理部の終了確認(機器の状況モニタリング)に返答が来ないで(電源が落ちている、ネットワークトラブルなど)、顧客の印刷データがいつまでもデバイスに残るという課題がある。
【0116】
本実施形態では、データ削除処理部は、返答が来ない機器(たとえばMFP)もしくは各マネージャ(サーバ)の後段の機器(たとえばフィニッシャー)もしくは後段のマネージャ(サーバ)に終了確認を行う。終了通知が来たときには返答が来ない機器もしくはマネージャ(サーバ)での処理が終了したと判断し、データの削除処理を行う。終了通知が来ない機器についてはオペレータに直接確認するようにファイル保管マネージャ(サーバ)上もしくは面つけ・製本設定アプリケーション、もしくはMFPなどのUIパネルなどに警告を出す。
【0117】
このように第5実施形態においても実施形態1と同様の効果を得ることができる。加えて、デバイスの障害や、デバイスとファイル保管マネージャとの間のネットワーク障害等により印刷データの削除をし損ねることを防止でき、データ保護の程度をさらに向上させることができる。
【0118】
[第6実施形態]
次に実施形態6について説明する。図17は、実施形態6の再印刷時に顧客がもってきた原稿データが更新されてページ構成が異なっていた場合の概念図である。
【0119】
第1実施形態では、顧客の機密情報を確実に削除し、かつ再印刷時にも微調整の手間を軽減できる。しかし、再印刷時に顧客が持ってきた原稿データが更新されており、気がつかずに誤った製本印刷を行ってしまうことがある。特にページ構成が変わってしまった場合など製本構成に影響がある問題がある。
【0120】
本実施形態では、データ削除処理部は、ページ数、文字列の外接矩形、イメージ・図の位置、章構成、バリアブルのフォーム、アノテーションの位置など、ドキュメントの構成を製本設定と共に記憶しておき、原稿データのハッシュ値をとる。再印刷時に顧客が持参した原稿データのハッシュ値をとり保持しているハッシュ値と比較する。比較対照は、新たな原稿データと、顧客が指定した条件を満たす原稿データである。
【0121】
そして再印刷時に顧客が持ち込んだデータのハッシュ値が以前のデータのハッシュ値と異なる場合は、データは異なると判断できる。そこで、面つけ・製本設定アプリケーション上で、警告すると共に、比較対照として保存されたハッシュ値に関連づけられた製本設定を原稿プレビュー上に表示し、クライアントに確認させる。これにより、原稿データの修正もしくは印刷・製本設定等の修正が容易になる。
【0122】
[第7実施形態]
次に実施形態7について説明する。図18は、実施形態7の顧客の機密データをすべてデバイス側に移す場合の概念図である。
【0123】
第1実施形態1では、顧客の機密情報を確実に削除し、かつ再印刷時にも微調整の手間を軽減できる。しかし、PODのワークフローではアプリケーションや各機器を同一メーカーが作っているとは限らず、他社デバイスに出力する他社連携のケースで他社デバイス内のファイル削除等の制御ができないことがある。
【0124】
本実施形態では、データ削除処理部は、他社デバイス連携など機器内、特にMFP内の印刷データの削除制御ができない場合は、顧客のオリジナルの原稿データを含むすべての機密情報を、JDFと共にプリントマネージャ115を介してMFPに送信する。ファイル保管マネージャ117や原稿編集マネージャ113の面付け・製本設定アプリケーションに残されたデータは削除する。機密情報をJDFとひとつにまとめる方式としては、たとえば原稿データであるPDF内に内部添付する形でまとめることで従来とまったく同様に作業を行うことができる。
【0125】
そして、MFPにおいて本印刷が終了した際、もしくは製本が終了した際に図11に示すようにBOX内のデータを削除することにより、顧客のすべてのデータを一括して削除することが可能になる。こうして、サーバ等にデータを残すことなくすべてのデータを完全に削除できる。
【0126】
なお本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。また本発明の目的は、前述の実施形態の機能を実現するプログラムを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが記憶媒体に格納されたプログラムを読み出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラム自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラム自体およびプログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0127】
また、本発明には、プログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた場合についても、本発明は適用される。その場合、書き込まれたプログラムの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明のシステム全体を示すブロック図
【図2】本発明のシステム構成図
【図3】本発明の工程管理部の構成図
【図4】本発明のプリプレス部の構成図
【図5】本発明のプリント部の構成図
【図6】本発明のポストプレス部の構成図
【図7】本発明のJDFデータの流れを示す例
【図8】本発明の印刷・製本処理のフローチャート
【図9】本発明のデータ削除処理のフローチャート
【図10】本発明のデータ補正処理のフローチャート
【図11】本発明のBOXのUIの例
【図12】本発明の微調整量を示す例
【図13】本発明の補正処理の例
【図14】本発明のファイル保管マネージャ117にトラブルが生じた例
【図15】本発明の機器にトラブルが生じた例
【図16】本発明の微調整のデータベースの例
【図17】本発明の再印刷時に顧客原稿データが異なる例
【図18】本発明のデータをMFPに集中させる例
【図19】本発明のワークフローエディタのUIの例
【図20】本発明の微調整の例
【図21】本発明の微調整の例
【図22】本発明のサーバ、クライアントPCのハードウェア構成の一例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷処理の工程を示すジョブ定義情報と印刷に使用される描画データに関する情報を含む印刷ジョブの各工程の処理を遂行するデバイスと接続された印刷制御装置であって、
着目印刷ジョブについて、ジョブ定義情報に含まれた各工程の終了を判定する判定手段と、
前記判定手段により予め定めた工程が終了したと判定された場合に、当該工程までの処理を遂行したデバイスに対して、前記着目印刷ジョブの処理に使用されたデータを削除するように指示する削除手段と、
前記削除手段による指示の後、前記着目印刷ジョブから前記描画データに関する情報を消去する消去手段と
を備えることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記消去手段は、前記着目印刷ジョブのジョブ定義情報に含まれる全工程が完了したときに、前記描画データに関する情報を消去することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記消去手段は、前記着目印刷ジョブのジョブ定義情報に含まれる最初の工程を遂行するデバイスにジョブチケットを送信した直後に、前記描画データに関する情報を消去することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記削除手段によるデータの削除の前に、デバイスにおける処理内容が前記ジョブ定義情報において定義された処理内容から変更されたか判定し、変更されている場合には、変更後のジョブ定義情報を回収する回収手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項5】
前記削除手段によるデータの削除の前に、デバイスにおける処理内容が前記ジョブ定義情報において定義された処理内容から変更されたか判定し、変更されている場合には、変更された設定項目及び変更量を、当該印刷ジョブで使用される印刷媒体の属性と関連づけてデータベースに保存する保存手段と、
ジョブ定義情報に含まれた各工程の処理を遂行するデバイスにおいて、新たな印刷ジョブの実行が指示された場合には、当該新たな印刷ジョブで使用する印刷媒体の属性と前記データベースとに基づいて、当該印刷ジョブの処理内容を変更するか否かを決定する決定手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項6】
前記消去手段は、前記着目印刷ジョブに関連する情報として、印刷設定を除く情報を前記ジョブ定義情報から消去し、
前記印刷設定を除く情報が削除されたジョブ定義情報とともに、当該着目印刷ジョブの原稿データのハッシュ値を保存し、
前記原稿データが再印刷のために読み込まれた場合には、該原稿データのハッシュ値と、保存されている原稿データのハッシュ値とを比較し、異なる場合には、印刷設定の変更のためのユーザインターフェースを表示することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項7】
印刷処理の工程を示すジョブ定義情報と印刷に使用される描画データに関する情報を含む印刷ジョブの各工程の処理を遂行するデバイスと接続された印刷制御装置による印刷制御方法であって、
前記印刷制御装置の判定手段が、着目印刷ジョブについて、ジョブ定義情報に含まれた各工程の終了を判定する判定工程と、
前記印刷制御装置の削除手段が、前記判定工程により予め定めた工程が終了したと判定された場合に、当該工程までの処理を遂行したデバイスに対して、前記着目印刷ジョブの処理に使用されたデータを削除するように指示する削除工程と、
前記印刷制御装置の消去手段が、前記削除工程による指示の後、前記着目印刷ジョブから前記描画データに関する情報を消去する消去工程と
を有することを特徴とする印刷制御方法。
【請求項8】
印刷処理の工程を示すジョブ定義情報と印刷に使用される描画データに関する情報を含む印刷ジョブの各工程の処理を遂行するデバイスと接続されたコンピュータを、
着目印刷ジョブについて、ジョブ定義情報に含まれた各工程の終了を判定する判定手段と、
前記判定手段により予め定めた工程が終了したと判定された場合に、当該工程までの処理を遂行したデバイスに対して、前記着目印刷ジョブの処理に使用されたデータを削除するように指示する削除手段と、
前記削除手段による指示の後、前記着目印刷ジョブから前記描画データに関する情報を消去する消去手段と
して機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−271793(P2009−271793A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122778(P2008−122778)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】