説明

印刷物製造方法

【課題】印刷物の製造工程における作業効率を向上させる。
【解決手段】記録基材のつなぎ目部に、印刷画像のカット領域をカットする際に基準となるマークのみを記録し、前記記録基材の非つなぎ目部に、前記印刷画像及び前記マークの双方を記録する第1ステップと、前記非つなぎ目部に、前記つなぎ目部に記録されるべき前記印刷画像と同じ画像を記録する第2ステップと、前記非つなぎ目部に記録された部位、及び、前記つなぎ目部に記録された部位を、前記剥離基材から剥離可能にカットする第3ステップと、前記非つなぎ目部に記録された部位、及び、前記つなぎ目部に記録された部位を、前記剥離基材から夫々剥離させ、前記つなぎ目部の位置に、前記非つなぎ目部に記録された前記同じ画像の前記カット領域に対応する前記記録基材の部位を貼着する第4ステップと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像記録装置の一例として、紙等の媒体にインク等の液体を吐出して印刷を行うインクジェットプリンターが知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−239715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなインクジェットプリンターでは、つなぎ目部を有する媒体に印刷画像を記録する際、つなぎ目部に印刷画像を記録せず、つなぎ目部以外の部分(以下、「非つなぎ目部」という)に印刷画像を記録していた。
そのため、印刷画像に対してナンバリング印刷を行う場合に、非つなぎ目部には連番付きの印刷画像が番号順に一定間隔で並ぶものの、つなぎ目部は未記録の空白領域となるため、印刷後の媒体を全体的に見れば、連番付きの印刷画像が一部に空白領域を挟んで番号順に並んだ状態になる。
また、連番付き印刷画像を印刷すると共に、この連番付き印刷画像のカット領域をカットする際に基準となるマークを印刷する場合には、カット装置においてカット加工を行う際、このマークを基準として連番付き印刷画像を自動的にカットすることが可能となる。
ここで、空白領域となったつなぎ目部にも連番付き印刷画像を配置させて媒体上に連番付き印刷画像を番号順に並べるべく、このつなぎ目部に対してカット加工を行おうとすると、このつなぎ目部には連番付き印刷画像のみならず前記マークも印刷されないため、カット装置を用いて自動的にカットすることができない。その結果、ジグ等を用いた手動によるカット作業が必要となり、画像記録後の製造作業が煩雑となってしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、印刷物の製造工程における作業効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための主たる発明は、
印刷画像を記録可能な記録基材と、粘着層を挟んで前記記録基材と反対側に設けられた剥離基材と、を有し、前記記録基材及び前記剥離基材に形成されたつなぎ目部を有する媒体に、連番付きの印刷画像を記録して印刷物を製造する印刷物製造方法であって、
前記記録基材のつなぎ目部に、記録されるべき前記印刷画像を記録せずに、前記印刷画像のカット領域をカットする際に基準となるマークのみを記録し、前記記録基材の非つなぎ目部に、前記印刷画像及び前記マークの双方を記録することにより、前記記録基材のつなぎ目部に記録されるべき前記印刷画像に付される番号を除いて番号順に前記印刷画像を前記媒体上に並べて配置する第1ステップと、
前記記録基材の未記録の前記非つなぎ目部に、前記記録基材のつなぎ目部に記録されるべき前記印刷画像と同じ画像を記録する第2ステップと、
前記非つなぎ目部に記録された前記同じ画像のカット領域に対応する前記記録基材の部位、及び、前記つなぎ目部に記録された前記マークを基準とするカット領域に対応する前記記録基材の部位を、前記剥離基材から剥離可能にカットする第3ステップと、
前記非つなぎ目部に記録された前記同じ画像の前記カット領域に対応する前記記録基材の部位、及び、前記つなぎ目部に記録された前記マークを基準とする前記カット領域に対応する前記記録基材の部位を、前記剥離基材から夫々剥離させ、前記つなぎ目部に記録された前記マークを基準とする前記カット領域に対応する前記記録基材の部位が貼着されていた前記剥離基材上の位置に、前記非つなぎ目部に記録された前記同じ画像の前記カット領域に対応する前記記録基材の部位を貼着する第4ステップと、
を有することを特徴とする印刷物製造方法である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本実施形態に係るプリンター1の構成を示す概略図である。
【図2】本実施形態に係るプリンター1の構成を示すブロック図である。
【図3】ヘッド31を列方向へ移動させるための機構例を説明するための説明模式図である。
【図4】図4Aは、プラテン20b上のロール紙2を上下方向から見た状態(ロール紙2の平面図)を示す図である。図4Bは、プラテン20b上のロール紙2を前後方向から見た状態(ロール紙2の側面図)を示す図である。
【図5】4パスで印刷するケースにおいて各パスで形成されるラスタラインを示した模式図である。
【図6】本実施形態に係るプリンター1の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】乾燥処理について説明するためのフローチャート
【図8】図8Aは、搬送経路に沿って連続するロール紙2のうち、画像記録領域Rから加熱領域Dまでの部位を抜き出し、これを直線状に展開した状態を示した図である。図8Bは、パス数と乾燥時間との関係を示した表である。
【図9】図9Aは、ロール紙2を36インチ単位で間欠搬送する場合の具体例を示す図である。図9Bは、ロール紙2を18インチ単位で間欠搬送する場合の具体例を示す図である。図9Cは、フレームサイズと乾燥時間との関係を示した表である。
【図10】図10A及び図10Bは、ロール紙2の構成を説明する図である。
【図11】従来の印刷物について説明する図である。
【図12】図12A乃至図12Cは、本実施形態に係る印刷物製造方法について説明する図である。
【図13】図13A乃至図13Cは、本実施形態に係る印刷物製造方法について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
即ち、印刷画像を記録可能な記録基材と、粘着層を挟んで前記記録基材と反対側に設けられた剥離基材と、を有し、前記記録基材及び前記剥離基材に形成されたつなぎ目部を有する媒体に、連番付きの印刷画像を記録して印刷物を製造する印刷物製造方法であって、
前記記録基材のつなぎ目部に、記録されるべき前記印刷画像を記録せずに、前記印刷画像のカット領域をカットする際に基準となるマークのみを記録し、前記記録基材の非つなぎ目部に、前記印刷画像及び前記マークの双方を記録することにより、前記記録基材のつなぎ目部に記録されるべき前記印刷画像に付される番号を除いて番号順に前記印刷画像を前記媒体上に並べて配置する第1ステップと、
前記記録基材の未記録の前記非つなぎ目部に、前記記録基材のつなぎ目部に記録されるべき前記印刷画像と同じ画像を記録する第2ステップと、
前記非つなぎ目部に記録された前記同じ画像のカット領域に対応する前記記録基材の部位、及び、前記つなぎ目部に記録された前記マークを基準とするカット領域に対応する前記記録基材の部位を、前記剥離基材から剥離可能にカットする第3ステップと、
前記非つなぎ目部に記録された前記同じ画像の前記カット領域に対応する前記記録基材の部位、及び、前記つなぎ目部に記録された前記マークを基準とする前記カット領域に対応する前記記録基材の部位を、前記剥離基材から夫々剥離させ、前記つなぎ目部に記録された前記マークを基準とする前記カット領域に対応する前記記録基材の部位が貼着されていた前記剥離基材上の位置に、前記非つなぎ目部に記録された前記同じ画像の前記カット領域に対応する前記記録基材の部位を貼着する第4ステップと、
を有することを特徴とする印刷物製造方法である。
このような印刷物製造方法によれば、つなぎ目部にもマークが記録されるため、前記マークを基準とするカット領域に対応する記録基材の部位を、カット装置等により自動的にカットできる。そのため、ジグ等を用いた手動によるカット作業が不要となり、作業効率を向上させることができる。また、つなぎ目部に記録されたマークを基準とするカット領域に対応する記録基材の部位が貼着されていた剥離基材上の位置に抜き跡を残すことができるため、非つなぎ目部に記録された前記同じ画像のカット領域に対応する記録基材の部位を容易に貼着することができる。
【0008】
また、かかる印刷物製造方法であって、
前記第1ステップは、
前記記録基材に液体を吐出する液体吐出ステップと、前記記録基材に吐出された液体を加熱する加熱ステップと、を含み、
前記加熱ステップにおいて、前記つなぎ目部を加熱する時間が、前記非つなぎ目部を加熱する時間よりも長くなるように加熱時間を変更すること、としてもよい。
このような印刷物製造方法によれば、つなぎ目部に対する乾燥時間を確保し、つなぎ目部を有する媒体を首尾よく乾燥させることができる。
【0009】
また、かかる印刷物製造方法であって、
前記つなぎ目部が前記非つなぎ目部と異なる素材を含み、該素材がフィルムであることとしてもよい。
このような印刷物製造方法によれば、つなぎ目部を有する媒体を素材に合わせて適切に乾燥させることができる。
【0010】
また、かかる印刷物製造方法であって、
前記第3ステップを、前記第1ステップ及び前記第2ステップの後に行い、
前記第4ステップを、前記第3ステップの後に行うこととしてもよい。
このような印刷物製造方法によれば、印刷物の製造作業をより効率的に行うことができる。
以下の実施形態では、画像記録装置としてインクジェットプリンター1(以下、「プリンター1」という)を例に挙げて説明する。
【0011】
===実施の形態===
<<<プリンター1の構成例について>>>
プリンター1の構成例について、図1乃至図3を用いて説明する。図1は、プリンター1の構成を示す概略図である。図2は、プリンター1の構成を示すブロック図である。図3は、ヘッド31を列方向へ移動させるための機構例を説明するための説明模式図である。
【0012】
なお、以下の説明において、「上下方向」、「左右方向」をいう場合は、図1に矢印で示した方向を基準として示すものとする。また、「前後方向」をいう場合は、図1において紙面に直交する方向を示すものとする。
【0013】
また、本実施の形態においては、プリンター1が画像を記録する記録媒体として、ロール状に巻かれた用紙やフィルム(以下、ロール紙(連続紙)という)を用いて説明する。
【0014】
本実施の形態に係るプリンター1は、図1及び図2に示すように、搬送部の一例としての搬送ユニット20と、及び、該搬送ユニット20がロール紙2を搬送する搬送経路に沿って、給送ユニット10と、位置決めユニット20aと、プラテン20bと、加熱部の一例としての加熱ユニット70と、巻き取りユニット80と、を有し、さらに、搬送経路上の画像記録領域Rにおいて画像記録を行うヘッド部の一例としてのヘッドユニット30と、ヘッド移動部の一例としてのキャリッジユニット40と、これらのユニット等を制御しプリンター1としての動作を司るコントローラー60と、検出器群50と、を有している。
【0015】
給送ユニット10は、ロール紙2を搬送ユニット20に給送するものである。この給送ユニット10は、ロール紙2が巻かれ回転可能に支持される巻軸18と、巻軸18から繰り出されたロール紙2を巻き掛けて搬送ユニット20に導くための中継ローラー19と、を有している。
【0016】
搬送ユニット20は、給送ユニット10により送られたロール紙2を、予め設定された搬送経路に沿って搬送するものである。この搬送ユニット20は、図1に示すように、中継ローラー19に対して水平右方に位置する中継ローラー21と、中継ローラー21から見て右斜め下方に位置する中継ローラー22と、中継ローラー22から見て右斜め上方に位置する第一搬送ローラー23と、第一搬送ローラー23から見て右方に位置する第二搬送ローラー24と、第二搬送ローラー24から見て鉛直下方に位置する中継ローラー25と、中継ローラー25から見て左方に位置する中継ローラー26と、中継ローラー26から見て鉛直下方に位置する中継ローラー27と、中継ローラー27から見て右方に位置する中継ローラー28と、中継ローラー28から見て鉛直上方に位置する送り出しローラー29と、を有している。
【0017】
中継ローラー22と第一搬送ローラー23との間の搬送経路に沿った領域には、ロール紙2の幅方向(図1に示す前後方向)における位置を調整する位置決めユニット20aが設けられている。また、第一搬送ローラー23と第二搬送ローラー24との間の搬送経路に沿った領域には、搬送経路上の画像記録領域Rに位置するロール紙2の部位を支持するプラテン20bが設けられている。また、中継ローラー25と中継ローラー26との間の搬送経路に沿った領域には、搬送経路上の加熱領域Dに位置する加熱ユニット70が設けられている。
【0018】
中継ローラー21は、中継ローラー19から送られたロール紙2を、左方から巻き掛けて下方に向かって弛ませるローラーである。
中継ローラー22は、中継ローラー21から送られたロール紙2を、左方から巻き掛けて右斜め上方に向かって搬送するローラーである。
【0019】
第一搬送ローラー23は、不図示のモーターにより駆動される第一駆動ローラー23aと、該第一駆動ローラー23aに対してロール紙2を挟んで対向するように配置された第一従動ローラー23bとを有している。この第一搬送ローラー23は、下方に弛ませたロール紙2を上方に引き上げ、プラテン20bに対向する画像記録領域Rへ搬送するローラーである。第一搬送ローラー23は、画像記録領域R上のロール紙2の部位に対して画像印刷がなされている期間、一時的に搬送を停止させるようになっている。なお、コントローラー60の駆動制御により、第一駆動ローラー23aの回転駆動に伴って第一従動ローラー23bが回転することによって、プラテン20b上に位置させるロール紙2の搬送量(ロール紙の部位の長さ)が調整される。
【0020】
第二搬送ローラー24は、不図示のモーターにより駆動され、ヘッドユニット30により画像が記録された後のロール紙2の部位を、プラテン20bの支持面に沿って水平右方向に搬送した後、鉛直下方に搬送するローラーである。なお、コントローラー60の駆動制御により、第二搬送ローラー24の回転駆動によって、プラテン20b上に位置するロール紙2の部位に対して付与される所定の張力が調整される。
【0021】
中継ローラー25は、第二搬送ローラー24から送られたロール紙2を、上方から巻き掛けて左方に向かって搬送するローラーである。中継ローラー25によって搬送方向が転換されたロール紙2は、加熱ユニット70内に供給される。
中継ローラー26は、中継ローラー25から送られたロール紙2を、右方から巻き掛けて鉛直下方に向かって搬送するローラーである。
中継ローラー27は、中継ローラー26から送られたロール紙2を、上方から巻き掛けて右方に向かって搬送するローラーである。
中継ローラー28は、中継ローラー27から送られたロール紙2を、左方から巻き掛けて鉛直上方に向かって搬送するローラーである。
【0022】
加熱ユニット70により加熱された後のロール紙は、これら中継ローラー26、27、28により搬送方向が転換され、送り出しローラー29に向って移動する。
送り出しローラー29は、中継ローラー28から送られたロール紙2を、左側下方から巻き掛けて巻き取りユニット80に送り出すようになっている。
【0023】
このように、ロール紙2が各ローラーを順次経由して移動することにより、ロール紙2を搬送するための搬送経路が形成されることになる。つまり、このロール紙2は、搬送ユニット20により、フレーム単位で間欠的にその搬送経路に沿って搬送されることになる。
【0024】
ここで、フレームとは、間欠搬送されるロール紙2の搬送単位のことであるとともに、間欠搬送が途切れた合間に後述するヘッド31がロール紙2に印刷画像を記録しうる印刷範囲のことである。本実施形態に係るプリンター1にあっては、1フレームの最大サイズが36インチに設定されている。
【0025】
ヘッドユニット30は、搬送ユニット20により搬送経路上の画像記録領域Rに(プラテン20b上に)送り込まれたロール紙2の部位に、インクを吐出するためのものである。このヘッドユニット30は、ヘッド31とバルブユニット34とを有している。
【0026】
ヘッド31は、その下面に、列方向に並んだノズル列を有している。本実施形態においては、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の色ごとにそれぞれ複数のノズル♯1〜♯Nからなるノズル列を有している。各ノズル列の各ノズル♯1〜♯Nは、ロール紙2の搬送方向に交差する交差方向(列方向)に直線状に配列されている。各ノズル列は、当該搬送方向に沿って相互に間隔をあけて平行に配置されている。
【0027】
各ノズル♯1〜♯Nには、インク滴を吐出するための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって各色の各ノズル♯1〜♯Nから吐出される。また、ヘッド31は、搬送方向(左右方向)と列方向に往復移動することができるようになっている。
【0028】
具体的には、図3に示すように、ヘッド31の右側には、列方向に沿うように送りねじであるヘッド用ボールねじ120が配置されている。そして、ヘッド31には、ボールねじ係合部材122が固定されており、したがって、ヘッド用ボールねじ120は、ボールねじ係合部材122を介して、ヘッド31に取り付けられている。そして、ヘッド用ボールねじ120が回転すると、ヘッド31が列方向に移動するようになっている。なお、図示していないが、ヘッドガイドレールが備えられており、当該ヘッドガイドレールがヘッド用ボールねじ120によるヘッド31の列方向における移動を案内するようになっている。
【0029】
バルブユニット34は、インクを一時貯留するためのものであり、不図示のインク供給チューブを介してヘッド31に接続されている。このため、ヘッド31は、バルブユニット34から供給されたインクをノズルからプラテン20b上に搬送されて停止された状態のロール紙2の部位に向けて吐出することにより、画像印刷を行うことができる。
【0030】
キャリッジユニット40は、ヘッド31を移動させるためのものである。このキャリッジユニット40は、左右方向に延びるガイドレール41と(図1に二点鎖線で示す)、ガイドレール41に沿って左右方向(ロール紙2の搬送方向)へ往復移動可能に支持されたキャリッジ42と、不図示のモーターとを有する。
【0031】
キャリッジ42は、不図示のモーターの駆動により、ヘッド31と一体となって移動するよう構成されている。キャリッジ42(ヘッド31又は各ノズル列)のガイドレール41における位置(左右方向の位置)は、コントローラー60が不図示のモーターに設けられたエンコーダーから出力されるパルス信号における立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを検出してこのエッジをカウントすることにより、求めることができる。
【0032】
そして、キャリッジ42は、画像印刷後にヘッド31のクリーニングを行う際、ヘッド31と一体となってガイドレール41に沿って搬送方向の上流側(プラテン20bから見て搬送方向上流側)へ移動し、クリーニングを行うホームポジションHPで停止する(図1参照)。
【0033】
ホームポジションHPには、不図示のクリーニングユニットが設けられている。このクリーニングユニットは、キャップと、吸引ポンプ等とを有している。キャリッジ42がホームポジションHPに位置すると、ヘッド31の下面(ノズル面)に不図示のキャップが密着するようになっている。このようにキャップが密着した状態で吸引ポンプ(不図示)が作動すると、ヘッド31内のインクが、増粘したインクや紙粉と共に吸引される。このようにして、目詰まりしたノズルが不吐出状態から回復することによってヘッドのクリーニングが完了する。
【0034】
また、キャリッジ42は、画像印刷後にヘッド31のフラッシングを行う際には、ヘッド31と一体となって、プラテン20b側からホームポジションHP側へ向かって移動する。この際、ヘッド31は、キャリッジ42と共に移動しながら、プラテン20bとホームポジションHPとの間に配置されるフラッシングユニット35においてフラッシング動作を行う。
【0035】
フラッシングユニット35は、ヘッド31にフラッシング動作を行わせるためのものであり、フラッシング時にノズルから吐出されたインクを貯留するフラッシングボックスを有している。このフラッシングとは、ノズル付近のインクの粘性によりノズルが目詰まりしたり、ノズル内に気泡が混入したりして、適正な量のインクが吐出されなくなってしまうことを防止すべく、ノズルを回復させるためのメンテナンスのことである。具体的には、ロール紙2に記録する印刷画像とは関係のない駆動信号をピエゾ素子に印加することにより、各ノズルから強制的にインクを吐出させる動作である。
【0036】
加熱ユニット70は、搬送経路上の画像記録領域Rよりも下流側の加熱領域Dに設けられ、搬送ユニット20により加熱領域Dに送り込まれたロール紙2の部位を加熱することにより、印刷画像を形成するインクを乾燥させるものである。この加熱ユニット70は、ニクロム線を有するヒーター(不図示)を内部に配置してなる乾燥炉であり、通電されることによってニクロム線自体が発熱し、加熱領域Dに位置するロール紙2(乾燥炉内のロール紙2)の部位に熱を伝導させることができる。このヒーターは、加熱ユニット70の全域にニクロム線を内蔵させて構成されているため、加熱領域Dに位置するロール紙2の部位に対して熱を均一に伝導することができる。このため、該ロール紙2の部位に着弾された複数のインク滴を万遍なく乾燥させることができる。
【0037】
巻き取りユニット80は、搬送ユニット20により送られたロール紙2(画像印刷済みのロール紙)を巻き取るためのものである。この巻き取りユニット80は、送り出しローラー29から送られたロール紙2を、左側上方から巻き掛けて右斜め下方へ搬送するための中継ローラー81と、回転可能に支持され中継ローラー81から送られたロール紙2を巻き取る巻き取り駆動軸82と、を有している。
【0038】
コントローラー60は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。このコントローラー60は、図2に示すように、インターフェース部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64と、を有している。インターフェース部61は、外部装置であるホストコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、プリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従ったユニット制御回路64により各ユニットを制御する。
【0039】
検出器群50は、プリンター1内の状況を監視するものであり、例えば、搬送ローラーに取り付けられてロール紙2の搬送などの制御に利用されるロータリー式エンコーダー、搬送されるロール紙2の有無を検出する用紙検出センサー、キャリッジ42(又はヘッド31)の移動方向(左右方向)の位置を検出するためのリニア式エンコーダー、ロール紙2のつなぎ目部2aを検出するつなぎ目部検出センサー51などがある。
【0040】
<<<つなぎ目について>>>
ここで、ロール紙2が有するつなぎ目部2aについて、図4A及び図4Bを用いて説明する。図4A及び図4Bは、ロール紙2が有するつなぎ目部2aを説明する図である。ここでは、プラテン20b上のロール紙2を上下方向から見た状態(ロール紙2の平面図)を図4Aに示し、プラテン20b上のロール紙2を前後方向から見た状態(ロール紙2の側面図)を図4Bに示している。
【0041】
本実施形態に係るロール紙2は、図4Aに示すように、つなぎ目部2aと非つなぎ目部2bとを有している。つなぎ目部2aは、一のロール紙の端部と他のロール紙の端部とをつなぎ合わせることにより一体化した1つのロール紙を形成するためのものである。そして、このつなぎ目部2aは、図4A及び図4Bに示すように、検出部の一例としてのつなぎ目部検出センサー51によって検出されるようになっている。本実施形態に係るつなぎ目検出センサー51は、一対の発光素子と受光素子とを有しており、赤外線が発光素子からつなぎ目部2aに向けて照射され、つなぎ目部2aから反射された赤外線が受光素子に受光されることによってつなぎ目部2aを検出することができる。非つなぎ目部2bは、つなぎ目部2a以外のロール紙の部位である。
【0042】
本実施形態にかかるつなぎ目部2aはフィルム(例えば、赤色のカラーフィルム)からなり、紙からなる非つなぎ目部2bとは素材が異なる。そのため、つなぎ目部2a及び非つなぎ目部2bの双方にインクを吐出して印刷画像を形成する際、フィルムは紙よりも吸水性が低いことから、非つなぎ目部2bに比べてつなぎ目部2aに着弾したインクは定着されにくい。すなわち、つなぎ目部2aに着弾したインクが乾燥するまでの乾燥時間は、非つなぎ目部2bに着弾したインクが乾燥するまでの乾燥時間よりも長くなる傾向がある。
【0043】
しかしながら、従来のプリンターでは、印刷画像を記録した後のロール紙2を乾燥させる際に、つなぎ目部2aと非つなぎ目部2bとを区別することなく乾燥させることになるため、つなぎ目部2aに対する乾燥時間が不足し、十分に乾燥されなくなるおそれがあった。
【0044】
これに対し、本実施の形態におけるプリンター1では、つなぎ目部検出センサー51によってつなぎ目部2aを検出し、つなぎ目部2aの乾燥時間が非つなぎ目部2bの乾燥時間よりも長くなるように制御するようにした。その結果、つなぎ目部2aにマーク(基準画像)のみを記録し、かつ、非つなぎ目部2bに印刷画像及びマークを記録した場合であっても、記録後のロール紙2を首尾よく乾燥させることができるようになる。
【0045】
以下では、つなぎ目部2aを有するロール紙2を印刷後に首尾よく乾燥させるために行われる、プリンター1の動作例を具体的に説明する。
【0046】
<<<プリンター1の動作例について>>>
<画像形成方法>
上述した通り、本実施の形態に係るプリンター1には、列方向(前後方向)にノズルが並んだノズル列を有するヘッド31が設けられている。そして、コントローラー60が、ヘッド31を搬送方向(左右方向)に移動させながら、ノズルからインクを吐出させ、搬送方向(左右方向)に沿ったラスタラインを形成することにより、画像記録領域R上のロール紙2の部位に1ページ分(1フレーム分)の画像記録を行う。
【0047】
ここで、本実施形態に係るコントローラー60は、複数パス(4パス、6パス、8パス等)の印刷を実行する。すなわち、列方向における画像の解像度を高くするために、パス毎に列方向におけるヘッド31の位置を少しずつ変えて印刷を行う。また、画像形成方法としては、例えば、公知のインターレース印刷が実行される。
【0048】
これについて、図5を用いてより具体的に説明する。図5は、4パスで印刷するケースにおいて各パスで形成されるラスタラインを示した模式図である。
【0049】
図5の左側にはヘッド31のノズル列(ノズル)が表されており、ヘッド31(ノズル列)が搬送方向に移動しながらノズルからインクが吐出されることにより、ラスタラインが形成される。図に示されているヘッド31(ノズル列)の列方向における位置は、1パス目のときの位置であり、かかる位置を維持したままヘッド31(ノズル列)が搬送方向に移動すると、1パス目の印刷が実行され、図に示された3つのラスタライン(右端にパス1と書かれているラスタラインL1)が形成される。
【0050】
そして、次に、ヘッド31(ノズル列)が列方向に移動して、移動後の位置を維持したままヘッド31(ノズル列)が搬送方向に移動すると、2パス目の印刷が実行され、図に示された2つのラスタライン(ラスタラインL2)が形成される。なお、インターレース印刷が採用されているため、前記ラスタラインL1に隣接するラスタラインL2は、ラスタラインL1を形成するインクが吐出されたノズルとは異なるノズルから吐出されたインクにより形成されることとなる。そのため、ヘッド31(ノズル列)の列方向への移動距離は、ノズル間距離(例えば、1/180インチ)の1/4分(1/180×1/4=1/720インチ)ではなく、これより大きな距離となる。
【0051】
以下、同様の動作が行なわれることにより、3〜4パス目の印刷が実行されて、図に表された残りのラスタライン(ラスタラインL3〜L4)が形成される。このように、4パスでラスタラインが形成されることにより、列方向における画像の解像度を4倍(=720÷180)の解像度とすることが可能となる。同様に、6パスで印刷するケースでは6倍の解像度、8パスで印刷するケースでは8倍の解像度とすることが可能となるため、パス数を増やすことによって画像の解像度をさらに高めることができる。
【0052】
<フレームに対する一連の動作について>
次に、ロール紙2のうちの1つのフレームに着目し、当該フレームに対してプリンター1が行う一連の各種動作について、図6を用いて説明する。図6は、プリンター1がフレーム毎に行う一連の動作を説明するためのフローチャートである。
【0053】
なお、プリンター1の各種動作は、主としてコントローラー60により実現される。特に、本実施の形態においては、メモリー63に格納されたプログラムをCPU62が処理することにより実現される。そして、このプログラムは、以下に説明する各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0054】
コントローラー60は、コンピューター110からインターフェース部61を介して、印刷命令を受信する(S101)。
この印刷命令は、コンピューター110から送信される印刷データのヘッダに含まれている。
そして、コントローラー60は、受信した印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の処理等を行う。
【0055】
なお、本実施形態においては、ユーザーがコンピューター110の設定画面において印刷画像の解像度を設定すると、プリンタードライバーはその解像度に応じた印刷データを形成する。すなわち、この印刷データには、その設定された解像度の画素データと、ヘッド31に対し搬送方向に沿う往復移動をその解像度に応じた回数分だけ動作するように指示するためのコマンドデータとが含まれることになる。例えば、通常画質の場合、4パスで印刷を行うべく、ヘッド31(キャリッジ42)が前記往復移動を4回行うようにコマンドデータが設定される。高画質の場合には、8パスで印刷を行うべく、ヘッド31(キャリッジ42)が前記往復移動を8回行うようにコマンドデータが設定される。また、ユーザーがコンピューター110の設定画面においてフレームサイズを設定すると、プリンタードライバーは自動的に印刷画像の面付けを行ってそのフレームサイズに応じた印刷データを形成する。すなわち、この印刷データには、面付けされる印刷画像の画素データと、搬送ユニット20に対しロール紙2を搬送方向に沿ってそのフレームごとに間欠搬送するように指示するためのコマンドデータとが含まれることになる。例えば、フレームサイズを36インチに設定した場合、搬送ユニット20が36インチ単位で間欠搬送するように指示するためのコマンドデータが設定される。
【0056】
先ず、コントローラー60は、給送処理を行う(S102)。
給送処理とは、ロール紙2を搬送方向に沿ってプラテン20b側へ給送し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)に位置決めする処理である。
【0057】
コントローラー60は、搬送モーターを駆動し、搬送ローラー23を回転させてロール紙2を搬送方向に沿って搬送し、ロール紙2を印刷開始位置に位置決めする。これにより、ロール紙2のうちの最初に印刷対象となる部位(印刷対象となるフレーム。以下、「当該フレーム」という)が、画像記録領域Rに(プラテン20b上に)停止した状態でセットされる。
【0058】
次いで、コントローラー60は、画像記録領域Rに停止するロール紙2の部位(当該フレーム)に対してインク吐出処理を行う(S103)。
インク吐出処理とは、搬送方向(左右方向)に沿って移動するヘッド31からインクを断続的に吐出させ、プラテン20b上のロール紙2の部位(当該フレーム)にドットを形成する処理である。
【0059】
コントローラー60は、キャリッジモーターを駆動し、ホームポジションHPに位置していたキャリッジ42を搬送方向に沿って移動させる。なお、キャリッジ42(ヘッド31)はパス数に応じて搬送方向に沿う往復移動を繰り返す。
そして、コントローラー60は、キャリッジ42が移動している間に、印刷データに基づいてヘッド31からインクを吐出させる。
【0060】
このように、ヘッド31が搬送方向に沿う往復移動を繰り返しながらインクを吐出することにより、吐出されたインク滴がロール紙上に着弾して印刷画像が形成されることになる。すなわち、プラテン20b上のロール紙2の部位に対し、つなぎ目部2aにマーク(基準画像)のみが形成され、かつ、非つなぎ目部2bには印刷画像及びマークが形成されることになる。
【0061】
次いで、コントローラー60は、搬送処理を行う(S104)。
搬送処理とは、印刷画像を記録した後のロール紙2の部位(S103にて画像印刷された後の当該フレーム)を、フレーム単位で間欠的に搬送方向に沿って移動させる処理である。コントローラー60は、搬送モーターを駆動して搬送ローラー23を回転させ、フレームサイズに相当する移動量(例えば、36インチ)だけロール紙2を搬送方向に移動させる。
この搬送処理により、印刷画像を記録した後のロール紙2の部位(S103にて画像印刷された後の当該フレーム)は、画像記録領域Rでの停止状態から解放され、画像記録領域Rから下流側の加熱領域Dへ向って移動することになる(図1参照)。
【0062】
次いで、コントローラー60は、乾燥処理を行う(S105)。
乾燥処理とは、搬送処理によって搬送され加熱領域D上に到達したロール紙2の部位(S103にて画像印刷された後の当該フレーム)を加熱ユニット70により加熱し、当該フレーム上の印刷画像を形成するインクを乾燥させる処理である。
【0063】
これについて、図7を用いてより具体的に説明する。図7は、乾燥処理について説明するためのフローチャートである。
先ず、コントローラー60は、加熱領域D上のロール紙2の部位(S103にて画像印刷された後の当該フレーム)に、つなぎ目部2aが存在するか否かを判定する(S201)。
【0064】
具体的には、搬送ユニット20によるロール紙2の搬送に伴ってつなぎ目部2aがつなぎ目部検出センサー51を通過すると(図4A参照)、コントローラー60はつなぎ目部検出センサー51からの検出信号を受信する。
すると、コントローラー60は、つなぎ目部2aが画像記録領域R上に到達したことを認識することができる。
その後、コントローラー60は、ロール紙2がフレーム単位で間欠搬送されるため、この間欠搬送の回数をカウントすることにより、画像記録領域R上にあったつなぎ目部2aがどのタイミングで加熱領域Dに到達するのかを認識することができる。
【0065】
本実施形態では、つなぎ目部2aが画像記録領域R上にある状態からフレーム単位の間欠搬送が2回行われると、コントローラー60は当該つなぎ目部2aが加熱領域Dに到達したことを認識できるようになっている。
【0066】
次に、つなぎ目部2aが加熱領域Dに存在する場合には(S201:YES)、画像記録領域Rに停止した状態のロール紙2の部位(当該フレームと異なる他のフレーム)に対して印刷動作が行われている間、コントローラー60は加熱ユニット70により当該つなぎ目部2aを加熱する第一加熱処理を行う(S202)。
この第一加熱処理が終了しても、つなぎ目部2aに着弾したインクはまだ完全に乾燥していない状態にある。
そのため、コントローラー60は、画像記録領域Rにおける前記印刷動作が終了した後も引き続き、加熱ユニット70により当該つなぎ目部2aを所定時間加熱する第二加熱処理を行う(S203)。
【0067】
この第二加熱処理が終了すると、つなぎ目部2aに対する乾燥時間が延長されることになり、つなぎ目部2aに着弾したインクが乾燥した状態となる。
その後、コントローラー60は、搬送ユニット20による搬送を再開させ、加熱ユニット70内に停止していたロール紙2の部位(乾燥後の当該フレーム)が加熱領域Dから下流側へ向って移動することになる。
【0068】
なお、この第二加熱処理についての具体例については、追って詳述する。
このように、つなぎ目部2aを検出した場合には、つなぎ目部2aに対する乾燥時間を十分に確保することができるようになるため、当該ロール紙2を首尾よく乾燥させることが可能となる。
一方で、つなぎ目部2aが加熱領域Dに存在しない場合には(S201:NO)、上述した第一加熱処理のみを行う(S204)。
この際、加熱領域Dには非つなぎ目部2bが存在することになるため、加熱ユニット70は、非つなぎ目部2bに着弾したインクを乾燥させるべく、つなぎ目部2aを加熱する時間よりも短い時間だけ非つなぎ目部2bに対して加熱を行う。
【0069】
次いで、図6に戻り、コントローラー60は、巻き取り処理を行う(S106)。
巻き取り処理とは、乾燥後のロール紙2の部位(乾燥後の当該フレーム)を巻き取りユニット80に巻き取らせる処理である。コントローラー60は、巻き取りモーターを駆動し、巻取軸82を回転させることにより、乾燥後のロール紙2の部位を巻き取る。このようにして、つなぎ目部2aを有するロール紙2に印刷画像が記録された印刷物がロール状に巻かれた状態で得られる。
その後、コントローラー60は、これら一連の動作が終了すると、キャリッジ42をホームポジションHPへ移動させる。
【0070】
<<<第二加熱処理の具体例1>>>
ここでは、上述した第二加熱処理において、つなぎ目部2aを加熱する所定時間を、ヘッド31が行う往復移動の回数に応じて変更する場合について、図8A及び図8Bを用いて説明する。図8Aは、搬送経路に沿って連続するロール紙2のうち、画像記録領域Rから加熱領域Dまでの部位を抜き出し、これを直線状に展開した状態を示した図である。図8Bは、パス数と乾燥時間との関係を示した表である。
【0071】
本実施形態では、図8Aに示すように、1フレームのサイズは36インチであり、ロール紙2はフレーム単位で(36インチごとに)搬送方向に沿って間欠搬送される。すなわち、搬送ユニット20の搬送方向への間欠搬送により、M番目のフレーム、M+1番目のフレーム、M+2番目のフレームの順番で画像記録領域R(プラテン20b)を通過した後、この順番のまま加熱領域Dを順次通過することになる。
【0072】
M番目のフレームは、つなぎ目部検出センサー51を通過した後、画像記録領域Rに停止していた状態から搬送方向へ2回目の間欠搬送により加熱領域Dに到達し、その加熱領域Dに停止している状態である。このM番目のフレームは、つなぎ目部2aを有している。したがって、つなぎ目部2aも加熱領域Dに停止している状態となっている。
【0073】
M+1番目のフレームは、M番目のフレームに続く次のフレームであり、画像記録領域Rに停止していた状態から搬送方向へ1回目の間欠搬送によって加熱領域Dと画像記録領域Rとの間の位置に到達し、その位置に停止している状態である。
【0074】
M+2番目のフレームは、M+1番目のフレームに続く次のフレームであり、つなぎ目部検出センサー51を通過した後、画像記録領域Rに停止している状態である。
【0075】
ここで、M番目のフレームが有するつなぎ目部2aに着目し、このつなぎ目部2aに対する乾燥処理について説明する。
【0076】
図7に示すように、このつなぎ目部2aに対する乾燥処理では、第一加熱処理(S202)と第二加熱処理(S203)が実行される。
【0077】
先ず、第一加熱処理においては、M番目のフレームが静止している際に加熱ユニット70が加熱領域Dに位置するつなぎ目部2aを加熱する。この間、ヘッド31は、搬送方向に沿う往復移動を複数回行って画像記録領域Rに位置するM+2番目のフレームに対してインクを吐出することにより印刷動作を行う。なお、ヘッド31が行う往復移動の回数は、印刷データに含まれるコマンドデータに基づいて設定される。
【0078】
例えば、4パスで印刷を行うようにコマンドデータが設定されている場合(図5参照)、ヘッド31が搬送方向に沿う往復移動を4回行う間に、つなぎ目部2aは加熱ユニット70により加熱されることになる。
【0079】
ここで、図9Bに示すように、4パスで印刷する場合には、その印刷動作が完了するまでの印字時間は10秒かかる。つまり、画像記録領域Rにおける印字時間は加熱領域Dにおける乾燥時間に等しいため、つなぎ目部2aに対する加熱時間(乾燥時間)は10秒となる。また、6パスで印刷を行う場合は、ヘッド31が搬送方向に沿う往復移動を6回行う間に、つなぎ目部2aは15秒間加熱されることになる。また、8パスで印刷を行う場合には、ヘッド31が搬送方向に沿う往復移動を8回行う間に、つなぎ目部2aは20秒間加熱されることになる。
【0080】
また、図9Bに示すように、4パス、6パス、8パスのいずれも、つなぎ目部2aを乾燥させるために必要な乾燥時間(確保すべき乾燥時間)は35秒である。したがって、4パスで印刷する場合には、35秒−10秒=25秒の乾燥時間が不足することになる。6パスで印刷する場合は、35秒−15秒=20秒の乾燥時間が不足することになる。8パスで印刷する場合は、35秒−20秒=15秒の乾燥時間が不足することになる。
【0081】
このように、各パスともに乾燥時間が不足するため、第一加熱処理の終了時では、つなぎ目部2aに吐出されたインクはまだ乾燥していない状態にある。
したがって、つなぎ目部2aに吐出されたインクを乾燥させるべく、乾燥時間を延長する必要があることから、第一加熱処理の終了後に第二加熱処理が開始される。
【0082】
次に、第二加熱処理では、引き続き、M番目のフレームが静止している際に加熱ユニット70が加熱領域Dに位置するつなぎ目部2aを所定時間だけ加熱する。この間、画像記録領域Rに位置するM+2番目のフレームに対する印刷動作は終了しているため、ヘッド31(キャリッジ42)はホームポジションHPにて待機する(図1参照)。
【0083】
この所定時間(乾燥延長時間)は、4パスで印刷する場合、第一加熱処理の終了時に25秒の乾燥時間が不足しているため、25秒に設定される。同様に、6パスで印刷する場合は20秒、8パスで印刷する場合は15秒に設定される。
したがって、第二加熱処理においてこの所定時間が経過すれば、つなぎ目部2aに吐出されたインクは十分に乾燥した状態となる。
このように、第二加熱処理においてつなぎ目部2aに対する乾燥時間をパス数(往復移動の回数)に応じて延長することにより、つなぎ目部2aに着弾したインクを効率良く乾燥させることが可能となる。
【0084】
なお、第二加熱処理において、M番目のフレームが静止している状態でつなぎ目部2aを所定時間加熱している間に、ヘッド31がフラッシング動作を行うようにしてもよい。これにより、つなぎ目部2aの乾燥時間をヘッド31の待機時間とすることなく有効利用できるとともに、ノズルの目詰まり等によって生ずる印刷不良を抑えることができる。
【0085】
なお、上述した加熱処理は、本実施形態にかかる印刷物の製造時において、つなぎ目部2aを有するロール紙2に対して後述する連番付き印刷画像及びマークMの印刷を行った後にも、同様に行われる。
【0086】
<<<第二加熱処理の具体例2>>>
次に、上述した第二加熱処理において、つなぎ目部2aを加熱する所定時間を、フレーム単位の大きさに応じて変更する場合について、図9A乃至図9Cを用いて説明する。図9Aは、1フレームのサイズを36インチに設定し、ロール紙2をこのフレーム単位で間欠搬送する場合の具体例を示している。図9Bは、フレームサイズを18インチに設定し、ロール紙2をこのフレーム単位で間欠搬送する場合の具体例を示している。図9Cは、フレームサイズと乾燥時間との関係を示した表である。
【0087】
本実施形態では、図9A乃至図9Cに示すように、ロール紙2はフレーム単位で搬送方向に沿って間欠搬送される。すなわち、搬送ユニット20による搬送方向への間欠搬送によって、M番目のフレーム、M+1番目のフレーム、M+2番目のフレーム…の順番で画像記録領域Rを通過した後、この順番のまま加熱領域Dを順次通過することになる。なお、間欠搬送されるロール紙2のフレーム単位は、印刷データに含まれるコマンドデータに基づいて設定される。
【0088】
ロール紙2を36インチ毎に間欠搬送する場合は、図9Aに示すように、M番目のフレームは、つなぎ目部検出センサー51を通過した後、画像記録領域Rに停止していた状態から搬送方向へ2回目の間欠搬送により加熱領域Dに到達し、この加熱領域Dに停止する。そして、M番目のフレームはつなぎ目部2aを有している。したがって、つなぎ目部2aも加熱領域Dに停止している状態となっている。
【0089】
かかる場合におけるつなぎ目部2aに対する乾燥処理は、図7に示すように、第一加熱処理(S202)と第二加熱処理(S203)が実行されるが、これは上述した具体例1(図8A及び図8B参照)の4パスで印刷する場合と同様である。すなわち、図9Cに示すとおり、36インチで間欠搬送する場合(4パスで印刷)、つなぎ目部2aに対して、1回の第一加熱処理を10秒行い、1回の第二加熱処理を25秒行うことになる。その結果、第二加熱処理が終了すれば、つなぎ目部2aに着弾したインクの乾燥に必要な乾燥時間35秒が経過したことになるため、つなぎ目部2aに吐出されたインクは十分に乾燥した状態になることができる。
【0090】
一方で、ロール紙2を18インチ毎に間欠搬送する場合では、図9Bに示すように、M番目のフレームは、つなぎ目部検出センサー51を通過した後、搬送方向へ2回の間欠搬送により画像記録領域Rを通過し、さらに3回の間欠搬送により加熱領域Dに到達する。その後、このM番目のフレームは2回の間欠搬送により加熱領域Dを通過する。
【0091】
M番目のフレーム及びM+1番目のフレームは、図9Bに示すとおり、それぞれつなぎ目部2aを有している。すなわち、つなぎ目部2aはこの2つのフレームに跨った状態でロール紙2に形成されている。したがって、M番目のフレーム及びM+1番目のフレームに対する乾燥処理が終了した時点で、つなぎ目部2aに対する乾燥処理が終了することになる。
【0092】
このように、18インチ毎に間欠搬送する場合では、M番目のフレーム及びM+1番目のフレームがつなぎ目部検出センサー51を通過することによりつなぎ目部2aが連続して検出され、このつなぎ目部2aに対する乾燥処理が行われる。そして、この乾燥処理では、このつなぎ目部2aが加熱領域Dにおいて移動及び静止を複数回繰り返しながら加熱ユニット70によって加熱されることになる。
【0093】
ここで、連続する2つのフレームに跨るつなぎ目部2aに着目し、このつなぎ目部2aに対する乾燥処理について説明する。
【0094】
図9Bに示すように、加熱領域Dのサイズは36インチであるため、ロール紙2を18インチ毎に間欠搬送する場合には、加熱領域DにおいてM番目のフレームに対する乾燥処理は2回に分けて行われる。すなわち、このM番目のフレームはつなぎ目部2aを有しているため、このつなぎ目部2aに対する乾燥処理も2回に分けて行われる。
【0095】
図7に示すように、つなぎ目部2aに対する乾燥処理では、第一加熱処理(S202)と第二加熱処理(S203)が実行される。
【0096】
本実施形態では、ロール紙2を18インチ毎に間欠搬送する場合、つなぎ目部2aに対して、1回目の第一加熱処理と1回目の第二加熱処理、及び、2回目の第一加熱処理と2回目の第二加熱処理が行われることになる。
【0097】
先ず、図9Bに示すように、M番目のフレームが加熱領域D(搬送方向上流側のD1領域)に静止している際に、1回目の第一加熱処理が行われる。1回目の第一加熱処理においては、加熱ユニット70はD1領域に位置するつなぎ目部2aを加熱する。一方で、ヘッド31は、この1回目の第一加熱処理の間、搬送方向に沿う往復移動を複数回行って画像記録領域R(搬送方向上流側のR1領域)に位置するM+4番目のフレームに対してインクを吐出することにより印刷動作を行う。すなわち、画像記録領域R(搬送方向下流側のR2領域)に位置するM+3番目のフレームに対して印刷動作は行われない。なお、ヘッド31が行う往復移動の回数は、印刷データに含まれるコマンドデータに基づいて設定される。ここでは、4パスで印刷する場合のコマンドデータが設定されているものとする。
【0098】
M+4番目のフレームに対する印刷動作終了後、ヘッド31(キャリッジ42)はホームポジションHPに待機する(図1参照)。そして、この印刷動作の終了と同時に1回目の第一加熱処理も終了し、1回目の第二加熱処理が開始される。1回目の第二加熱処理においては、引き続き、加熱ユニット70はD1領域に位置するつなぎ目部2aを所定時間だけ加熱する。この間、R1領域に位置するM+4番目のフレームに対する印刷動作は終了しているため、ヘッド31はホームポジションHPに待機したままの状態である。そして、1回目の第二加熱処理が終了すると、搬送ユニット20による間欠搬送が行われ、M番目のフレームは加熱領域D(搬送方向下流側のD2領域)に到達する。なお、この間欠搬送により、M+1番目のフレームはD1領域に到達し、M+4番目のフレームはR2領域に到達し、後続するM+5番目のフレームはR1領域に到達することになる。
【0099】
次に、M番目のフレームがD2領域に静止している際に、2回目の第一加熱処理が行われる。2回目の第一加熱処理においては、加熱ユニット70はD2領域に位置するつなぎ目部2aを加熱する。一方で、ヘッド31は、この2回目の第一加熱処理の間、搬送方向に沿う往復移動を複数回行ってR1領域に位置するM+5番目のフレームに対してインクを吐出することにより印刷動作を行う。すなわち、R2領域に位置するM+4番目のフレームに対して印刷動作は行われない。
【0100】
M+5番目のフレームに対する印刷動作終了後、ヘッド31(キャリッジ42)はホームポジションHPに待機する(図1参照)。そして、この印刷動作の終了と同時に2回目の第一加熱処理も終了し、2回目の第二加熱処理が開始される。2回目の第二加熱処理においては、引き続き、加熱ユニット70はD2領域に位置するつなぎ目部2aを所定時間だけ加熱する。この間、R1領域に位置するM+5番目フレームに対する印刷動作が終了しているため、ヘッド31はホームポジションHPに待機したままの状態である。そして、2回目の第二加熱処理が終了すると、搬送ユニット20による間欠搬送が行われ、M番目のフレームは加熱領域Dからさらに下流側へ移動する。
【0101】
このように、M番目フレームに含まれるつなぎ目部2aに対する乾燥処理について説明したが、M+1番目のフレームに含まれるつなぎ目部2aに対しても、これと同様の乾燥処理が行われる。
【0102】
ここで、このつなぎ目部2aに対する乾燥処理について、より具体的に説明する。
図9Cに示すように、4パスで印刷する場合には、2回の印刷動作(M+4番目フレームに対する印刷動作、及び、M+5番目フレームに対する印刷動作)が完了するまでの印字時間は5秒×2回=10秒かかる。つまり、画像記録領域R(R1領域)における印字時間は加熱領域D(D1領域、D2領域)における乾燥時間に等しいため、第一加熱処理におけるつなぎ目部2aの加熱時間(乾燥時間)は1回目及び2回目の合計で10秒となる。
【0103】
また、図9Cに示すように、18インチで間欠搬送する場合、つなぎ目部2aを乾燥させるために必要な乾燥時間(確保すべき乾燥時間)は35秒である。したがって、35秒−10秒=25秒の乾燥時間が不足することになる。
【0104】
このように、つなぎ目部2aに対する乾燥時間が不足するため、第一加熱処理を2回繰り返しただけでは、つなぎ目部2aに吐出されたインクは乾燥していない状態である。
したがって、つなぎ目部2aに吐出されたインクを乾燥させるべく、乾燥時間を延長する必要があることから、1回目及び2回目それぞれの第一加熱処理の終了後に1回目及び2回目の第二加熱処理が開始される。そして、1回目及び2回目それぞれの第二加熱処理において、つなぎ目部2aは所定時間加熱されることになる。
【0105】
この所定時間(乾燥延長時間)は、1回目及び2回目の第一加熱処理の終了時に25秒の乾燥時間が不足しており、第二加熱処理は2回に分けて行われるため、1回当り12.5秒(25秒/2回)に設定される。
したがって、18インチで間欠搬送する場合、つなぎ目部2aに対して、1回目の第一加熱処理を5秒と1回目の第二加熱処理を12.5秒行って、18インチの間欠搬送後、2回目の第一加熱処理を5秒と2回目の第二加熱処理を12.5秒行うことになる。その結果、2回目の第二加熱処理が終了すれば、つなぎ目部2aに着弾したインクの乾燥に必要な乾燥時間35秒が経過したことになるため、つなぎ目部2aに吐出されたインクは十分に乾燥した状態となる。
【0106】
このように、18インチで間欠搬送する場合には、36インチで間欠搬送する場合よりも、第二加熱処理における1回あたりの乾燥延長時間を短くすることができる。したがって、第二加熱処理においてつなぎ目部2aに対する乾燥時間を間欠搬送時の単位フレームの大きさに応じて変更することにより、つなぎ目部2aに着弾したインクを効率良く乾燥させることが可能となる。
【0107】
なお、上述の第二加熱処理において、M番目のフレーム(又はM+1番目のフレーム)が静止している状態でつなぎ目部2aを所定時間加熱している間に、ヘッド31がフラッシング動作を行うようにしてもよい。これにより、つなぎ目部2aの乾燥時間をヘッド31の待機時間とすることなく有効利用できるとともに、ノズルの目詰まり等によって生ずる印刷不良を抑えることができる。
【0108】
また、上述の第二加熱処理では、1回目及び2回目の第一加熱処理の終了時に不足している乾燥時間25秒を均等に分配し、1回当りの乾燥延長時間を12.5秒(25秒/2回)に設定したが、これに限定されることはない。たとえば、1回目の第二加熱処理を20秒行って、2回目の第二加熱処理を5秒行うように設定してもよいし、1回目の第二加熱処理を10秒行って、2回目の第二加熱処理を15秒行うように設定してもよい。
【0109】
なお、上述した加熱処理は、本実施形態にかかる印刷物の製造時において、つなぎ目部2aを有するロール紙2に対して後述する連番付き印刷画像及びマークMの印刷を行った後にも、同様に行われる。
【0110】
<<<印刷物について>>>
ここでは、本実施形態にかかる印刷物について、図4A及び図4B、図10A及び図10B、図11を用いて説明する。図10A及び図10Bは、ロール紙2の構成を説明する図である。図11は、従来の印刷物について説明する図である。
【0111】
本実施形態に係るロール紙2は、図10Aに示すように、印刷画像を記録可能な記録紙(記録基材)と、粘着層を挟んで記録紙と反対側に設けられたセパレーター(剥離基材)と、を有している。この記録紙は、裏面が粘着層になっており、この粘着層を覆っているセパレーターに対して剥離可能に形成されている。したがって、印刷画像が記録された記録紙の部位をセパレーターから剥離させて裏面の粘着層を接触させることにより、印刷画像が付されたシールが対象商品等に貼着されることになる。
【0112】
また、このロール紙2は、図10Bに示すように、記録紙及びセパレーターに形成されたつなぎ目部2aを有している。本実施形態にかかるつなぎ目部2aはフィルムからなり、紙からなる非つなぎ目部2bとは素材が異なっている。よって、非つなぎ目部2bに記録された印刷画像が良品として対象商品等に貼着されることになる(つなぎ目部2aに印刷画像が記録された場合には不良品となる)。なお、つなぎ目部2aのフィルムは、樹脂(例えば、ポリエステル樹脂やポリイミド樹脂等)をフィルム状に加工したものであっても良く、また金属(例えば、アルミニウムや銅等)をフィルム上に圧延等により加工したものであっても良い。
【0113】
本実施形態においては、このつなぎ目部2aを有するロール紙2に対してナンバリング印刷を行う際、つなぎ目部2aには連番付き印刷画像が記録されず、非つなぎ目部2bに連番付き印刷画像が記録される。その結果、連番付きの印刷画像が一部に空白領域を挟んでロール紙2上に並んだ状態となる。その後、画像記録後の加工によって、このロール紙2上に連番付きの印刷画像が番号順に並ぶように配置することにより、本実施形態にかかる印刷物が得られる。なお、この印刷物の具体的な製造方法については、追って詳述する。
【0114】
ここで、従来のプリンターでは、つなぎ目部2aを有するロール紙2に印刷画像を記録する際、センサーによってつなぎ目部2aが検出されると、つなぎ目部2aに印刷画像を記録せず、非つなぎ目部2bに印刷画像を記録するように制御していた。
【0115】
そのため、ナンバリング印刷を行う場合に、非つなぎ目部2bには連番付きの印刷画像が番号順に一定のピッチ(一定間隔)で並ぶものの、つなぎ目部2aは未記録の空白領域となるため、印刷後のロール紙2を全体的に見れば、連番付きの印刷画像が一部に空白領域を挟んで番号順に並んだ状態となる(図11参照)。
【0116】
このようにして得られた印刷物は、ロール紙2上に記録された連番付きの印刷画像が連続して配置されていない状態であるため、自動貼着機を用いて連番付き印刷画像が付されたシールを対象製品に貼着すると、当該シールを番号順に連続して貼着することができない。これは、図11に示すように、空白領域については印刷画像が記録されていないため、シールが貼着されない対象製品が存在することになるからである。具体的には、「4」番の印刷画像のシールが貼着された対象製品と、「5」番の印刷画像のシールが貼着された対象製品との間に、シールが貼着されていない対象製品が存在することになる。このため、かかる状態の印刷物を用いると、対象製品に対して当該シールを番号順に連続して貼着することができないことになる。その結果、シールが貼着されていない対象製品を全体から探し出して抜き取る検品作業が必要になってしまう。
【0117】
この作業を避けるための手法として、自動貼着機を用いてシールを対象製品に貼着する前に、図11に示す空白領域をカッター等により切り落とし、隣り合う連番付き印刷画像のいずれもが一定のピッチ(一定間隔)で並ぶように調整しながらつなぎ合わせて、再び一体化したロール紙2を形成する方法も考えられる。
【0118】
しかしながら、いったん切り離したロール紙を再びつなぎ合せる際に、隣り合う連番付き印刷画像のいずれもが一定のピッチ(一定間隔)で並ぶように調整する調整作業には手間がかかるため、画像記録後の製造作業が煩雑となってしまう。
【0119】
これに対して以下の手法が考えられる。すなわち、つなぎ目部2a(図11の空白領域に相当する部分)には記録されるべき連番付き印刷画像を記録せずに、非つなぎ目部2bに連番付き印刷画像を記録することにより、つなぎ目部2aに記録されるべき連番付き印刷画像に付される番号を除いて番号順に連番付き印刷画像をロール紙上に並べるようにする。その後、未記録の非つなぎ目部2bに、つなぎ目部2aに記録されるべき連番付き印刷画像と同じ画像を記録する印刷作業を別途行う。そして、空白領域となっているつなぎ目部2aに対して前記同じ画像を貼り合わせる。これにより、ロール紙上の空白領域にも連番付き印刷画像を配置させることができると共に、ロール紙上に連番付き印刷画像を番号順に一定間隔で並べることができるようになる。
【0120】
ここで、連番付き印刷画像を番号順に並べるべく、前記同じ画像を空白領域となっているつなぎ目部2aに貼り合わせるためには、非つなぎ目部2bに記録された前記同じ画像のカット領域をカットし、つなぎ目部2a(空白領域)においては前記同じ画像のカット領域と同じ大きさの領域をカットしておく必要がある。
【0121】
一般的に、プリンターは、印刷画像に設定されたカット領域をカット装置により自動的にカットできるようにするため、印刷画像を印刷すると共に、当該印刷画像のカット領域をカットする際に基準となる基準画像(マーク)を印刷することができる。これにより、カット装置は、そのマークをセンサーで検出することにより、このマークを基準とする印刷画像のカット領域を認識し(マークを基準とする印刷画像のカット領域の座標を算出し)、当該印刷画像の輪郭をカッターでカットすることができる。
【0122】
ところが、プリンターは、連番付き印刷画像を非つなぎ目部2bのみに記録するため、非つなぎ目部2bにおいてはこの連番付き印刷画像と共に前記マークを記録することができるが、つなぎ目部2aにおいては連番付き印刷画像が記録されずに空白領域のままの状態となるため、連番付き印刷画像を記録すると共に前記マークを記録することはない。そのため、カット装置は、非つなぎ目部2bについては、前記同じ画像のカット領域を自動的にカットすることができるが、つなぎ目部2aについては、前記マークを検出することができずにカット動作を停止することになるため、前記同じ画像のカット領域と同じ大きさの領域を自動的にカットすることができない。したがって、つなぎ目部2aにおいて前記同じ画像のカット領域と同じ大きさの領域をカットするためには、作業者(ユーザー)が隣り合う印刷画像との間隔が一定のピッチとなるように注意しつつこの空白領域にジグを当ててカッターでカットする作業が必要となる。このように、手動によるカット作業には手間がかかるため、画像記録後の製造作業が煩雑となってしまう。
【0123】
これに対して、本実施形態に係るプリンター1においては、つなぎ目部2a(図11の空白領域に相当する部分)については、記録されるべき連番付き印刷画像を記録せずに、カット加工用のマーク(マークM)のみを記録し、非つなぎ目部2bについては、連番付き印刷画像及びカット加工用のマークの双方を記録するようにした。このことにより、カット装置は、つなぎ目部2aにおいても、前記マークを基準とするカット領域(前記同じ画像のカット領域と同じ大きさの領域)を自動的にカットすることができるようになる。すなわち、従来において煩雑であった手動によるカット作業が不要になるため、作業効率を向上させることが可能となる。以下では、本実施形態に係る印刷物の製造方法を具体的に説明する。
【0124】
<<<印刷物の製造方法について>>>
本実施形態にかかる印刷物の製造方法について、図12及び図13を用いて説明する。図12及び図13は、印刷物製造方法について説明する図である。
【0125】
先ず、プリンター1は、ヘッド31を搬送方向に沿って往復移動させながらプラテン20b上に位置するロール紙2の部位に印刷画像を記録する印刷動作と、ロール紙2をフレーム単位で間欠搬送する搬送動作とを交互に繰り返し、つなぎ目部2aには、記録されるべき印刷画像を記録せずに、印刷画像のカット領域をカットする際に基準となるマークMのみを記録し、非つなぎ目部2bに、印刷画像及びマークMの双方を記録する。
【0126】
本実施形態においては、製造番号「1」番〜「100」番までナンバリング印刷が行われる。そして、つなぎ目部2aには印刷画像を記録しないようにするため、つなぎ目部2aに記録されるべき連番付き印刷画像に付される番号を除いて番号順に連番付き印刷画像がロール紙2上に並べて配置されることになる。具体的には、図12Aに示すように、つなぎ目部2aを含むロール紙2の部位がプラテン20b上に位置するときに、プリンター1は当該部位に対して印刷動作を行う。この際、コントローラー60は、つなぎ目部検出センサー51からの検出信号、及び、ロール紙2の搬送制御に利用されるロータリー式エンコーダーからの出力信号を受信することにより、プラテン20b上におけるつなぎ目部2aの位置(座標)を認識することができる。そして、コントローラー60は、印刷データを参照することにより、プラテン20b上におけるつなぎ目部2aの位置に記録すべき連番付き印刷画像として「50」番の連番付き印刷画像を特定することができる。この際、コントローラー60は、特定した「50」番の連番付き印刷画像がつなぎ目部2aに記録される連番付き印刷画像であることをメモリー63に記憶しておく。また、コントローラー60は、そのつなぎ目部2の両側に位置する非つなぎ目部2bに、「51」番の連番付き印刷画像及び「49」番の連番付き印刷画像のそれぞれを記録すべきことを同時に特定することができる。そして、コントローラー60は、つなぎ目部2aには、記録されるべき印刷画像(「50」番の連番付き印刷画像)を記録せずに、記録されるべき印刷画像(「50」番の連番付き印刷画像)のカット領域をカットする際に基準となるマークMのみを記録し、非つなぎ目部2bには、「51」番の連番付き印刷画像及び「49」番の連番付き印刷画像をマークMと共に記録するように、ヘッド31に印刷動作を実行させる。なお、本実施形態では、マークMが連番付き印刷画像の周囲(予め設定された位置)に記録されるようにマークMの記録位置情報(座標等)が印刷データに設定されている。
【0127】
そして、ヘッド31による印刷動作が実行されると、図12Bに示すように、非つなぎ目部2bには「51」番の連番付き印刷画像及びマークMが記録され、その下流側の非つなぎ目部2bには「49」番の連番付き印刷画像及びマークMが記録される。そして、「51」番の連番付き印刷画像と「49」番の連番付き印刷画像との間に位置するつなぎ目部2aには、記録されるべき連番付き印刷画像(「50」番の連番付き印刷画像)は記録されず、記録されるべき連番付き印刷画像(「50」番の連番付き印刷画像)のカット領域をカットする際に基準となるマークMのみが記録されることになる。このように、つなぎ目部2aに記録されるべき連番付き印刷画像に付される番号(「50」番)を除いて番号順(「49」番→空白→「51」番)に連番付き印刷画像がロール紙2上に並べて配置されることになる。
【0128】
次いで、プリンター1は、つなぎ目部2aに記録されるべき連番付き印刷画像(「50」番の連番付き印刷画像)と同じ画像を未記録の非つなぎ目部2bに記録する。本実施形態においては、図12B及び図12Cに示すように、2つのつなぎ目部2aに記録されるべき連番付き印刷画像は、それぞれ「50」番と「100」番の連番付き印刷画像であるため、これと同じ画像(「50」番の連番付き印刷画像、及び、「100」番の連番付き印刷画像)をそれぞれ未記録の非つなぎ目部2bに記録する。具体的には、コントローラー60は、つなぎ目部2aに記録すべき連番付き印刷画像として「50」番の連番付き印刷画像がメモリー63に記憶されているため、メモリー63を参照することによって製造番号「50」番の連番付き印刷画像を特定し、これと同じ画像(すなわち、「50」番の連番付き印刷画像)を、最終番号「100」番の連番付き印刷画像が記録されるべきつなぎ目部2a(図11の空白領域に相当する部分)よりも上流側の非つなぎ目部2bに記録するようにヘッド31を制御する(図12C参照)。同様に、コントローラー60は、最終番号「100」番の連番付き印刷画像についても、「50」番の連番付き印刷画像よりも上流側の非つなぎ目部2bに記録するようにヘッド31を制御する(図12C参照)。
【0129】
次いで、カッター等を備えたカット装置(自動切断装置)により、ロール紙2のカット領域に対してハーフカットを行う。本実施形態においては、図13Aに示すように、ロール紙2の非つなぎ目部2bについては、連番付き印刷画像と共にマークMが記録されているため、このマークMを基準とする連番付き印刷画像のカット領域をカット装置によりカットする際、セパレーターをカットせずに記録紙をカット(ハーフカット)し、連番付き印刷画像に対応する記録紙の部位をセパレーターから剥離できるようにする。例えば、「49」番の連番付き印刷画像、「51」番の連番付き印刷画像、「50」番の連番付き印刷画像、及び、「100」番の連番付き印刷画像に対し、それぞれのカット領域に沿うカットラインを形成する。
【0130】
一方で、ロール紙2のつなぎ目部2aについては、マークMのみが記録されているため、このマークMを基準とするカット領域をカット装置によりカットする際、セパレーターをカットせずに記録紙をカット(ハーフカット)し、このマークMを基準とするカット領域に対応する記録紙の部位をセパレーターから剥離できるようにする。例えば、マークMを基準とするカット領域、すなわち、「50」番の連番付き印刷画像のカット領域と同じ大きさのカット領域、及び、最終番号「100」番の連番付き印刷画像のカット領域と同じ大きさのカット領域のそれぞれに沿ってカットラインを形成する。
【0131】
次いで、図13B及び図13Cに示すように、ユーザーが、つなぎ目部2aに記録されたマークMを基準とするカット領域に対応する記録紙の部位、及び、非つなぎ目部2bに記録された前記同じ画像(つなぎ目部2aに記録されるべき連番付き印刷画像と同じ画像)のカット領域に対応する記録紙の部位を、セパレーターから夫々剥離させ、つなぎ目部2aに記録されたマークMを基準とするカット領域に対応する記録紙の部位が貼着されていたセパレーター上の位置に、非つなぎ目部2bに記録された前記同じ画像のカット領域に対応する記録紙の部位を貼着する。
【0132】
本実施形態においては、図13Bに示すように、2つのつなぎ目部2aに記録されるべき連番付き印刷画像はそれぞれ「50」番と「100」番の連番付き印刷画像であるため、ユーザーは、「50」番の連番付き印刷画像のカット領域と同じ大きさのカット領域に対応する記録紙の部位、及び、「100」番の連番付き印刷画像のカット領域と同じ大きさのカット領域に対応する記録紙の部位を、セパレーターから夫々剥離させる。このように、連番付き印刷画像が記録されていないつなぎ目部2aを予めカットしておくことで、ロール紙2上には、セパレーターから記録紙を剥離させた場所に抜き跡ができるため、ユーザーはジグ等を用いることなく後述する張り替え作業を簡単に行うことが可能となる。
【0133】
そして、ユーザーは、図13Cに示すように、非つなぎ目部2bに記録された「50」番の連番付き印刷画像及び「100」番の連番付き印刷画像について、それぞれのカット領域に対応する記録紙の部位をセパレーターから夫々剥離させた後、本来記録されるべきセパレーター上の位置にそれぞれ貼着する。このように貼り替え作業を行うことで、ロール紙2上のつなぎ目部2aは連番付き印刷画像が記録されずに空白領域となっていたが、これに代わって良品となる連番付き印刷画像がつなぎ目部2aに配置されることになる。その結果、ロール紙2上において、良品となる連番付き印刷画像が連続して番号順に一定間隔で並ぶように配置されることになる。
【0134】
このようにして、つなぎ目部2aを有するロール紙2上に、連番付き印刷画像が番号順に一定間隔で配置された印刷物を得ることができると共に、従来において煩雑であったカット作業が不要となり、印刷物の製造工程における作業効率を向上させることが可能となる。
【0135】
<<<本実施形態に係る印刷物製造方法の有効性について>>>
上述したとおり、本実施形態に係る印刷物製造方法は、印刷画像を記録可能な記録紙と、粘着層を挟んで前記記録紙と反対側に設けられたセパレーターと、を有し、前記記録紙及び前記セパレーターに形成されたつなぎ目部2aを有するロール紙2に、連番付きの印刷画像を記録して印刷物を製造する印刷物製造方法であって、記録紙のつなぎ目部2aに、記録されるべき前記印刷画像を記録せずに、前記印刷画像のカット領域をカットする際に基準となるマークMのみを記録し、記録紙の非つなぎ目部2bに、前記印刷画像及びマークMの双方を記録することにより、記録紙のつなぎ目部2aに記録されるべき前記印刷画像に付される番号を除いて番号順に前記印刷画像を前記ロール紙上に並べて配置する第1ステップと、記録紙の未記録の非つなぎ目部2bに、記録紙のつなぎ目部2aに記録されるべき前記印刷画像と同じ画像を記録する第2ステップと、非つなぎ目部2bに記録された前記同じ画像のカット領域に対応する記録紙の部位、及び、つなぎ目部2aに記録されたマークMを基準とするカット領域に対応する記録紙の部位を、セパレーターから剥離可能にカットする第3ステップと、非つなぎ目部2bに記録された前記同じ画像の前記カット領域に対応する記録紙の部位、及び、つなぎ目部2aに記録されたマークMを基準とする前記カット領域に対応する記録紙の部位を、セパレーターから夫々剥離させ、つなぎ目部2aに記録されたマークMを基準とする前記カット領域に対応する記録紙の部位が貼着されていたセパレーター上の位置に、非つなぎ目部2bに記録された前記同じ画像の前記カット領域に対応する記録紙の部位を貼着する第4ステップと、を有している。そして、このことにより、つなぎ目部2aに記録されるマークMを基準とするカット領域(つなぎ目部2aに記録されるべき連番付き印刷画像のカット領域)をカット装置により自動的にカットすることができるようになるため、従来において煩雑であった手動によるカット作業が不要になり、作業効率を向上させることが可能となる。また、つなぎ目部2aに記録されたマークMを基準とするカット領域に対応する記録紙の部位が貼着されていたセパレーター上の位置に抜き跡を残すことができるため、ユーザーは非つなぎ目部2bに記録された前記同じ画像のカット領域に対応する記録紙の部位をその抜き跡に合わせることで簡単に貼着することができる。
【0136】
また、前記第1ステップは、記録基材にインクを吐出するインク吐出ステップと、前記記録基材に吐出されたインクを加熱する加熱ステップと、を含み、前記加熱ステップにおいて、つなぎ目部2aを加熱する時間が、非つなぎ目部2bを加熱する時間よりも長くなるように加熱時間を変更してもよい。このため、つなぎ目部2aに対する乾燥時間を確保し、つなぎ目部2aに着弾したインクを定着させることできるため、つなぎ目部2aを有するロール紙2を首尾よく乾燥させることが可能となる。
【0137】
また、つなぎ目部2aが非つなぎ目部2bと異なる素材を含み、該素材がフィルムであることとしてもよい。このため、つなぎ目部2aが非つなぎ目部2bと異なるフィルム素材であっても、つなぎ目部2aを有するロール紙2をその素材に合わせて適切に乾燥させることができる。
【0138】
また、前記第3ステップを、前記第1ステップ及び前記第2ステップの後に行い、前記第4ステップを、前記第3ステップの後に行ってもよい。このため、印刷とカットを交互に繰り返す必要がなくなる等、印刷物の製造作業をより効率的に行うことができる。
【0139】
===その他の実施の形態===
本実施形態は、主として画像記録装置について記載されているが、画像記録方法等の開示も含まれる。また、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0140】
<画像記録装置>
上記の実施形態においては、画像記録装置としてインクジェット式プリンターを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、インク以外の他の液体を吐出する画像記録装置であってもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の画像記録装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記画像記録装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、画像記録装置が吐出させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。画像記録装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する画像記録装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する画像記録装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する画像記録装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する画像記録装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する画像記録装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する画像記録装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の画像記録装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0141】
1 プリンター、2 ロール紙、
2a つなぎ目部、2b 非つなぎ目部、
10 給送ユニット、18 巻軸、
19 中継ローラー、20 搬送ユニット、
20a 位置決めユニット、20b プラテン、
21 中継ローラー、22 中継ローラー、
23 第一搬送ローラー、24 第二搬送ローラー、
25 中継ローラー、26 中継ローラー、
27 中継ローラー、28 中継ローラー、
29 送り出しローラー、30 ヘッドユニット、
31 ヘッド、34 バルブユニット、
35 フラッシングユニット、40 キャリッジユニット、
41 ガイドレール、42 キャリッジ、
50 検出器群、51 つなぎ目部検出センサー、
60 コントローラー、70 加熱ユニット、
80 巻き取りユニット、81 中継ローラー、
82 巻き取り駆動軸、110 コンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷画像を記録可能な記録基材と、粘着層を挟んで前記記録基材と反対側に設けられた剥離基材と、を有し、前記記録基材及び前記剥離基材に形成されたつなぎ目部を有する媒体に、連番付きの印刷画像を記録して印刷物を製造する印刷物製造方法であって、
前記記録基材のつなぎ目部に、記録されるべき前記印刷画像を記録せずに、前記印刷画像のカット領域をカットする際に基準となるマークのみを記録し、前記記録基材の非つなぎ目部に、前記印刷画像及び前記マークの双方を記録することにより、前記記録基材のつなぎ目部に記録されるべき前記印刷画像に付される番号を除いて番号順に前記印刷画像を前記媒体上に並べて配置する第1ステップと、
前記記録基材の未記録の前記非つなぎ目部に、前記記録基材のつなぎ目部に記録されるべき前記印刷画像と同じ画像を記録する第2ステップと、
前記非つなぎ目部に記録された前記同じ画像のカット領域に対応する前記記録基材の部位、及び、前記つなぎ目部に記録された前記マークを基準とするカット領域に対応する前記記録基材の部位を、前記剥離基材から剥離可能にカットする第3ステップと、
前記非つなぎ目部に記録された前記同じ画像の前記カット領域に対応する前記記録基材の部位、及び、前記つなぎ目部に記録された前記マークを基準とする前記カット領域に対応する前記記録基材の部位を、前記剥離基材から夫々剥離させ、前記つなぎ目部に記録された前記マークを基準とする前記カット領域に対応する前記記録基材の部位が貼着されていた前記剥離基材上の位置に、前記非つなぎ目部に記録された前記同じ画像の前記カット領域に対応する前記記録基材の部位を貼着する第4ステップと、
を有することを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷物製造方法であって、
前記第1ステップは、
前記記録基材に液体を吐出する液体吐出ステップと、前記記録基材に吐出された液体を加熱する加熱ステップと、を含み、
前記加熱ステップにおいて、前記つなぎ目部を加熱する時間が、前記非つなぎ目部を加熱する時間よりも長くなるように加熱時間を変更すること、
を特徴とする印刷物製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の印刷物製造方法であって、
前記つなぎ目部が前記非つなぎ目部と異なる素材を含み、該素材がフィルムであることを特徴とする印刷物製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の印刷物製造方法であって、
前記第3ステップを、前記第1ステップ及び前記第2ステップの後に行い、
前記第4ステップを、前記第3ステップの後に行うこと、
を特徴とする印刷物製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−39684(P2013−39684A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176207(P2011−176207)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】