印刷色管理装置、印刷色管理方法及びプログラム
【課題】印刷システムの装置構成によらず柔軟且つ弾力的なキャリブレーション運用を実現可能とする印刷色管理装置、印刷色管理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】印刷装置14における色の精度管理に関する色管理条件を設定し、印刷装置14により色標本として印刷されたカラーパッチ32a〜32iの測色値をカラーパッチ32a〜32iの印刷時点と対応付けて取得する。複数の印刷時点で取得された複数の測色値と、設定された前記色管理条件とに基づいて、印刷装置14に対するキャリブレーションの推奨実施周期RPを決定する。
【解決手段】印刷装置14における色の精度管理に関する色管理条件を設定し、印刷装置14により色標本として印刷されたカラーパッチ32a〜32iの測色値をカラーパッチ32a〜32iの印刷時点と対応付けて取得する。複数の印刷時点で取得された複数の測色値と、設定された前記色管理条件とに基づいて、印刷装置14に対するキャリブレーションの推奨実施周期RPを決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印刷装置における色の精度管理を実施するための印刷色管理装置、印刷色管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からオフセット印刷において、品質管理(QC;Quality Control)の一環として、国内外の標準規格に沿った印刷装置の運用が図られている。例えば、ISO(International Standard Organization)12647−2によれば、色の精度管理を評価する項目として、許容誤差やトーンカーブ等が列挙されている。
【0003】
近時、デジタルデータから直接的に印刷物を生産する印刷システム(いわゆるデジタル印刷)におけるプルーフにも、上記と同様に、ISO等の規格に沿った精度管理の重要性が認知されつつある。
【0004】
そこで、色のばらつき誤差が少ない安定した印刷物を常時生産するため、印刷装置に自動キャリブレーション手段を組み込むのが効果的である。この自動キャリブレーション手段とは、印刷物の色を定期的に監視し、誤差(色差)が所定の閾値よりも大きくなった場合、色のフィードバック補正制御を自動的に行う手段を意味する。具体的には、所定の繰り返しタイミングで色標本のデータを取得し、このデータと前記色標本の目標値との色差を算出し、この色差をキャンセルするように補正すればよい。
【0005】
特許文献1には、装置内に常設されたセンサによる読取結果を用いて、自動的にキャリブレーションを実施する装置及び方法が開示されている。例えば、印刷ジョブ毎、日毎、又は月毎に、読取値のずれ量に応じてキャリブレーションの実施適否を判断する旨が記載されている。
【0006】
特許文献2には、この自動キャリブレーション手段を備える画像読取装置を組み込んだ画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−112470号公報
【特許文献2】特開2003−224732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、印刷システムの装置構成は、通常、印刷業者の規模や設置場所等に応じてそれぞれ異なる。しかも、色の精度管理の運用方法、管理基準は必ずしも一律ではなく、印刷装置の属性・使用目的によって異なる場合(異ならせた方がよい場合)がある。
【0009】
特許文献1及び2に記載された装置及び方法では、現時点での誤差を算出し、その誤差に基づいてキャリブレーションの適否を判断するので、ユーザによる柔軟な設定が困難であった。
【0010】
また、上記した自動キャリブレーション手段を有しない印刷装置に対して、同様の色の精度管理を行う場合、ユーザは、コントロールストリップを定期的に測色し、その測色結果に基づいてキャリブレーションの要否をその都度判断することがある。しかし、測色期間を短く設定すると、印刷作業及び測色作業の煩に堪えない。一方、測色期間を長く設定すると、色の管理範囲から外れた異常状態を看過するおそれもある。
【0011】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、印刷システムの装置構成によらず柔軟且つ弾力的なキャリブレーション運用を実現可能とする印刷色管理装置、印刷色管理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る印刷色管理装置は、印刷装置における色の精度管理に関する色管理条件を設定する色管理条件設定部と、前記印刷装置により色標本として印刷されたカラーパッチの測色値を該カラーパッチの印刷時点と対応付けて取得する測色値取得部と、前記測色値取得部により複数の印刷時点で取得された複数の測色値と、前記色管理条件設定部により設定された前記色管理条件とに基づいて、前記印刷装置に対するキャリブレーションの実施周期を決定する実施周期決定部とを有することを特徴とする。
【0013】
このように、複数の印刷時点で取得された複数の測色値と色管理条件とに基づいて、印刷装置に対するキャリブレーションの実施周期を決定する実施周期決定部を設けたので、実際の印刷物の色変動特性を考慮しつつ、キャリブレーションの実施時期の目安が得られる。すなわち、単なる現時点での実施要否のみならず、将来の実施要否の見込みも把握可能となり、ユーザにとって便宜である。これにより、印刷システムの装置構成によらず柔軟且つ弾力的なキャリブレーション運用を実現できる。
【0014】
また、前記色管理条件設定部は、前記印刷装置の用途及び/又は標準規格の種類に応じて前記色管理条件を設定することが好ましい。
【0015】
さらに、前記実施周期決定部により決定された前記実施周期を表示するための周期表示画像を作成する周期表示画像作成部をさらに有することが好ましい。
【0016】
さらに、前記測色値取得部により取得された少なくとも1つの測色値が、前記色管理条件に適合する値であるか否かを判定する適否判定部と、前記適否判定部による判定結果を可視化するための結果表示画像を作成する結果表示画像作成部とをさらに有することが好ましい。
【0017】
さらに、前記周期表示画像作成部により作成された前記周期表示画像、及び/又は前記結果表示画像作成部により作成された前記結果表示画像を表示する表示部をさらに有することが好ましい。
【0018】
さらに、前記実施周期決定部は、前記複数の印刷時点及び前記複数の測色値に基づいて作成された予測曲線から前記実施周期を決定することが好ましい。
【0019】
本発明に係る印刷色管理方法は、印刷装置における色の精度管理に関する色管理条件を設定する設定ステップと、前記印刷装置により色標本として印刷されたカラーパッチの測色値を該カラーパッチの印刷時点と対応付けて取得する取得ステップと、複数の印刷時点で取得された複数の測色値と、設定された前記色管理条件とに基づいて、前記印刷装置に対するキャリブレーションの実施周期を決定する決定ステップとを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、印刷装置における色の精度管理に関する色管理条件を設定する色管理条件設定部、前記印刷装置により色標本として印刷されたカラーパッチの測色値を該カラーパッチの印刷時点と対応付けて取得する測色値取得部、前記測色値取得部により複数の印刷時点で取得された複数の測色値と、前記色管理条件設定部により設定された前記色管理条件とに基づいて、前記印刷装置に対するキャリブレーションの実施周期を決定する実施周期決定部として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る印刷色管理装置、印刷色管理方法及びプログラムによれば、複数の印刷時点で取得された複数の測色値と色管理条件とに基づいて、印刷装置に対するキャリブレーションの実施周期を決定するようにしたので、実際の印刷物の色変動特性を考慮しつつ、キャリブレーションの実施時期の目安が得られる。すなわち、単なる現時点での実施要否のみならず、将来の実施要否の見込みも把握可能となり、ユーザに便宜である。これにより、印刷システムの装置構成によらず柔軟且つ弾力的なキャリブレーション運用を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施の形態に係る印刷色管理装置を組み込んだ印刷システムの概略説明図である。
【図2】図2Aは、図1に示す印刷物の部分拡大図である。図2Bは、図2Aに示すカラーパッチの各色の設計例を表す説明図である。
【図3】図1に示す印刷色管理装置の電気的な概略ブロック図である。
【図4】コントロールストリップを付加した印刷物を印刷する第1動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】1つのカラーパッチの色変動特性の一例を表すグラフである。
【図6】キャリブレーションの推奨実施周期を決定する第2動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】測定条件及び判定条件を設定する画像例を表す図である。
【図8】1つのカラーパッチの色変動特性の一例を表すグラフである。
【図9】推奨実施周期の決定方法を表す概略説明図である。
【図10】判定結果を可視化する画面例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る印刷色管理方法について、それを実施する印刷色管理装置及び印刷システムとの関係において好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態に係る印刷色管理装置を組み込んだ印刷システム10の概略説明図である。
【0025】
印刷システム10は、印刷色管理装置12と、印刷装置14と、DTP(Desktop Publishing)装置16と、データベースサーバ18とを基本的に備える。印刷色管理装置12、DTP装置16及びデータベースサーバ18は、有線又は無線によって相互に電気的に接続されている。
【0026】
印刷色管理装置12は、外部装置から入力された各種データ(デバイス色信号又はページ記述データ)を、印刷装置14での印刷に適したデバイス色信号に変換する。また、印刷色管理装置12は、変換された前記デバイス色信号を印刷装置14側に出力する。ここで、デバイス色信号とは、デバイス依存データで定義された画像データを意味し、例えば、4色(CMYK)或いは3色(RGB)のカラーチャンネルを有するラスタ形式データ(TIFF、ビットマップ、RAW等)である。また、印刷装置14に供給されるデバイス色信号として、任意のヘッダを付加した独自のフォーマットデータを用いてもよい。
【0027】
印刷色管理装置12には、測定対象物の色値を測定する測色計20が、第4インターフェース53(図3参照)を介して接続されている。ここで色値とは、三刺激値XYZ、均等色空間の座標値L*a*b*等のみならず、波長に対する光学物理値の特性、例えば、分光放射分布、分光感度分布、分光反射率又は分光透過率が含まれる。以下、測定により取得された色値を「測色値」という場合がある。
【0028】
印刷装置14は、印刷色管理装置12に電気的に接続されている。この接続には、例えば、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワーク等のシリアルインターフェースや、セントロニクス等のパラレルインターフェースを適用することができる。
【0029】
印刷装置14は、メディア22上に画像を形成するための装置である。印刷装置14は、オフセット印刷の際のプルーファであってもよいし、ダイレクト印刷のためのデジタル印刷機であってもよい。プルーファとしては、オフセット印刷機と同等の印刷性能を備えるDDCP(Direct Digital Color Proofer)、インクジェットカラープルーファ、低解像度のカラーレーザプリンタ(電子写真方式)やインクジェットプリンタ等が用いられる。デジタル印刷機としては、インクジェットカラープルーファやカラーレーザプリンタ(電子写真方式)等が用いられる。
【0030】
メディア22の基材には、合成紙・厚紙・アルミ蒸着紙等の紙類、塩化ビニル・PET等の樹脂やターポリン等を用いることができる。印刷装置14により印刷された印刷物24には、裁ち落とし後の実際の画像領域である仕上がり領域26と、裁ち落とし領域内に配置されたコントロールストリップ28とが少なくとも形成される。
【0031】
印刷装置14は、測定対象物の色値を測定可能な測色センサ30を備える。測色センサ30の図示しない検出面は、メディア22の画像形成面(仕上がり領域26側)に指向する。これにより、印刷装置14は、図示しない搬送手段を用いてメディア22を搬送しながら、メディア22上に形成された画像(例えば、コントロールストリップ28)の色を測色可能である。
【0032】
DTP装置16は、文字、図形、絵柄や写真等から構成される素材(コンテンツ)データを編集可能であり、該素材データをページ毎に配置することで、ページ記述言語(以下、PDLという。)による電子原稿を生成する。ここで、PDLとは、印刷や表示等の出力単位である「ページ」内で文字、図形等の書式情報、位置情報、色情報(濃度情報を含む)等の画像情報を記述する言語である。DTP装置16は、PDL形式の電子原稿に対してラスタライズ処理を施す。このラスタライズ処理には、PDL形式からラスタ形式に変換するデータ形式変換処理と、ICC(International Color Consortium)プロファイルを用いた色変換処理とが含まれる。
【0033】
データベースサーバ18は、電子原稿のジョブチケット{例えば、JDF(Job Definition Format)ファイル}、色見本データ、ターゲットプロファイル、又は、印刷装置14及びメディア22の組合せに適したデバイスプロファイルのデータ管理を行う装置である。また、データベースサーバ18は、印刷色管理装置12を介して取得した測色データ(詳細は後述する。)の管理を行ってもよい。
【0034】
図2Aは、図1に示す印刷物24の部分拡大図である。
【0035】
メディア22の左側に印刷されたコントロールストリップ28は、色の異なる複数の略同形状のカラーパッチで構成される。本図には、色標本としてのカラーパッチ32a〜32iが少なくとも9個表記されている。各カラーパッチ32a〜32iは、縦方向(メディア22の搬送方向)に沿って隙間なく配置されている。
【0036】
図2Bは、図2Aに示すカラーパッチ32a〜32iの各色の設計例を表す説明図である。本図では、ISO12647−2で規定されている基準値を示している。例えば、カラーパッチ32aでは、無印字領域(Paper)での色に対して、L*=93、a*=0、b*=−3を基準とする。また、カラーパッチ32fでは、M及びYの2次色(M+Y)に対して、L*=47、a*=66、b*=50を基準とする。
【0037】
ここで、基準値として、入出力装置に依存しない色値(いわゆるデバイス非依存データ)を用いることが好ましい。具体的には、HSV(Hue-Saturation-Value)、HLS(Hue-Lightness-Saturation)、CIELAB、CIELUV、XYZ等の表色系を用いてもよい。
【0038】
図3は、図1に示す印刷色管理装置12の電気的な概略ブロック図である。
【0039】
印刷色管理装置12は、第1インターフェース40と、制御部42と、第2インターフェース44と、メモリ46と、表示制御部48と、第3インターフェース50と、表示部52と、第4インターフェース53とを備える。メモリ46には、本実施の形態に係る印刷色管理装置として機能させるためのプログラム等が格納されている。
【0040】
第1インターフェース40は、外部装置からの電気信号を送受信する。例えば、DTP装置16で編集・作成された各種データ(デバイス色信号、PDLデータ)を取得可能である。また、データベースサーバ18で管理・保存されたICCプロファイル等の各種情報を取得可能である。
【0041】
第2インターフェース44は、外部装置に電気信号を送受信する。例えば、印刷色管理装置12の内部で作成されたデバイス色信号を印刷装置14に供給可能である。また、測色センサ30(図1参照)により取得された測色データを取得可能である。
【0042】
CPU等の情報処理装置で構成される制御部42は、画像処理部54と、色較正データ作成部56と、色管理データ作成部58と、画像作成部60とを備える。
【0043】
画像処理部54は、DTP装置16(図1参照)と同様のラスタライズ機能を有するラスタライズ処理部62と、印刷物24の裁ち落とし領域内にコントロールストリップ28に対応する画像を付加するストリップ付加部64とを備える。
【0044】
色較正データ作成部56は、キャリブレーション(色較正)するための各種データを作成する。本明細書において、キャリブレーションは、ICCプロファイルの再作成のみならず、色変換LUT(トーンカーブ)の補正をも含む概念である。
【0045】
色管理データ作成部58は、印刷物24の印刷動作における所定のタイミング(以下、印刷時点という。)を取得する時間取得部66と、色の監視に用いる測色データを取得する測色データ取得部68(測色値取得部)と、印刷装置14における色の精度管理に関する色管理条件を設定する色管理条件設定部70と、前記測色データに基づいて色変動特性を予測するための予測曲線を作成する予測曲線作成部72と、前記予測曲線に基づいて実施時間間隔TIを算出する実施時間間隔算出部74と、前記実施時間間隔TIに基づいてキャリブレーションの推奨実施周期RP(実施周期)を決定する実施周期決定部76と、測色データ取得部68により取得された少なくとも1つの測色値が、色管理条件設定部70により設定された色管理条件に適合するか否かを判定する適否判定部77とを備える。
【0046】
ここで、実施時間間隔TIは、印刷装置14におけるキャリブレーションの実施時点の間隔をいう。また、推奨実施周期RPは、キャリブレーションを実施する周期(時間間隔)であって、印刷装置14のユーザに提示する推奨値である。したがって、推奨実施周期RPはあくまでも推奨値であるため、この周期でキャリブレーションが適切に実施されるか否かを問わない。
【0047】
画像作成部60は、実施周期決定部76により決定された推奨実施周期RPを表示するための周期表示画像(図7の周期表示欄112)を作成する周期表示画像作成部78と、適否判定部77による判定結果を可視化するための結果表示画像(図10の結果表示欄136)を作成する結果表示画像作成部80とを備える。
【0048】
メモリ46は、複数のターゲットプロファイル、印刷装置14に適したデバイスプロファイルを記録する。メモリ46は、そのほか、印刷装置14毎の測色データ、本発明に係る印刷色管理方法を実行するための各情報を記録してもよい。
【0049】
表示制御部48は、第3インターフェース50を介して、画像作成部60により作成された表示画面を表示部52に表示させる。また、表示部52の表示機能と、図示しないポインティングデバイスの入力機能とを用いることで、ユーザインターフェース(UI部82)を実現する。
【0050】
本実施の形態に係る印刷色管理装置12は以上のように構成される。続いて、印刷色管理装置12の第1動作及び第2動作について、主に図3の概略ブロック図と、図4〜図10を参照しながら説明する。ここで、第1動作とは、コントロールストリップ28(図1及び図2A参照)を付加した印刷物24を印刷するための動作をいう。また、第2動作とは、キャリブレーションの推奨実施周期RPを決定するための動作をいう。
【0051】
以下、第1動作について、図4及び図5を参照しながら説明する。
【0052】
先ず、印刷装置14は、所定の印刷物24を印刷する旨の印刷指示があったか否かを確認する(ステップS11)。例えば、この印刷指示は、UI部82からの入力操作による指示であっても、外部装置(例えば、DPT装置16)から供給される制御信号による指示であってよい。
【0053】
印刷指示があった場合、印刷色管理装置12は、印刷装置14に印刷物24を印刷させる(ステップS12)。このステップS12について、以下、詳細に説明する。
【0054】
ラスタライズ処理部62は、DTP装置16から、第1インターフェース40を介して入力された各種データに対し、所望のラスタライズ処理を施す。ここで、デバイス色信号が第1インターフェース40側に直接入力された場合、本構成要素によるラスタライズ処理は不要である。
【0055】
そして、ストリップ付加部64は、取得されたラスタ形式データに対し、仕上がり領域26の外(例えば、裁ち落とし領域内)にコントロールストリップ28の画像を付加する。その際、ストリップ付加部64は、図2Bに例示する各カラーパッチ32a〜32iの基準値(L*a*b*)を、印刷装置14及びメディア22の組合せに応じたデバイスプロファイルを用いてデバイス色信号の値に変換することで、前記画像の色をそれぞれ算出する。なお、前記基準値は、色管理条件の設定(後述する図6のステップS21)に応じて予め決定される。
【0056】
その後、印刷色管理装置12は、各種画像処理が施されたデバイス色信号を、第2インターフェース44を介して、印刷装置14側に供給する。そして、印刷装置14は、供給されたデバイス色信号に基づいて画像を形成する。すなわち、メディア22上には、仕上がり領域26に形成される所望の画像と併せて、メディア22の搬送方向に延在するコントロールストリップ28が順次形成される。
【0057】
次いで、測色センサ30(図1参照)は、メディア22上に形成されたカラーパッチ32a〜32iを順次測色する(ステップS13)。具体的には、印刷装置14は、図示しない搬送手段によりメディア22を搬送させながら、所定の時間間隔で測色センサ30に読み取らせることで、複数の検出値を時系列データとして取得する。そして、この時系列データを解析することで、各カラーパッチ32a〜32iにそれぞれ対応する測色データ(測色値)を取得可能である。
【0058】
次いで、制御部42は、測色データをメモリ46に記録・保存させる(ステップS14)。印刷装置14は、測色センサ30から取得した測色データを、第2インターフェース44を介して印刷色管理装置12側に送信する。一方、時間取得部66は、適切なタイミングで取得された時間情報から印刷物24の印刷時点を取得する。そして、制御部42は、この測色データを、印刷物24の印刷時点に対応付けてメモリ46に記録させる。前記時間情報は、例えば、印刷指示の受付時点、各種画像処理の時点、デバイス色信号の送信完了時点、測色データの取得時点等を特定する情報であってもよい。また、印刷色管理装置12は、この測色データをデータベースサーバ18側に送信してもよい。すなわち、印刷色管理装置12に代替して、データベースサーバ18にこの測色データを保存・管理させてもよい。
【0059】
次いで、色管理データ作成部58は、印刷物24の色の精度管理を終了したか否かを判別する(ステップS15)。色の精度管理を終了することなく継続すると判別された場合、ステップS11に戻って、以下、ステップS11〜S14を繰り返す。そうすると、印刷の都度、各カラーパッチ32a〜32iにおける測色データが随時蓄積され、時間の経過に伴う色変動特性を表すデータ列が得られる。以下、複数の印刷時点での測色データを「監視データ」という場合がある。
【0060】
図5は、1つのカラーパッチ32iの色変動特性の一例を表すグラフである。グラフの横軸は、キャリブレーションを実施した時点からの経過時間(単位:日)に相当する。グラフの縦軸は、カラーパッチ32iにおける基準値(図2B参照)と実測値との色差、すなわち誤差Δeに相当する。三角形の各マークは、実測値の各プロット、すなわち監視データそのものを表す。なお、実線で示す曲線は、監視データの各値に対して、所定の時間範囲で平均値を取って平滑化した移動平均を表す。
【0061】
本図において、経過時間が0(日)とは、キャリブレーションを実施した時点を意味する。すなわち、キャリブレーションを実施した直後は、誤差Δeが極めて小さく略0に等しい。一方、時間の経過に伴って、印刷装置14に起因する誤差因子の影響を受けることで、誤差Δeが次第に大きくなる。この誤差因子は、画像記録方式、機体差、設置環境等に依存する。
【0062】
このように、測色センサ30を内蔵する印刷装置14を用いる場合、測色データを自動的に取得し随時蓄積することで、色変動特性を監視可能である。一方、測色センサ30を内蔵しない印刷装置14を用いる場合、印刷色管理装置12に接続された測色計20を用いて、測色データを適宜取得してもよい。このとき、測色データをその印刷時点に対応付けて記録することが好ましい。また、印刷時点と測色時点が略同じであれば、測色時点に対応付けてもよい。
【0063】
また、すべての印刷物24に対してコントロールストリップ28の測色を行う必要はなく、予め決定された運用規則に従って適宜測色すればよい。具体的には、所定の時間間隔での測色でもよいし、所定の印刷枚数毎の測色でもよい。
【0064】
ところで、図4に戻って、ステップS11において、印刷指示がないと確認した場合、印刷色管理装置12は、キャリブレーション完了通知があったか否かを確認する(ステップS16)。この通知がなかったと確認した場合、ステップS15を経た後にステップS11に戻る。一方、この通知があったと確認した場合、メモリ46に記録された監視データを初期化する(ステップS17)。すなわち、キャリブレーションを実施した結果、基準値との誤差Δeが0にリセットされたと仮定する。その後、この初期化前と同様に、今回のキャリブレーションの実施時点以降の測色データを随時取得し、色の変動特性を監視していく。
【0065】
なお、キャリブレーションは、例えば、UI部82からの指示を受け付けて実施(いわゆる「マニュアル実施」)されてもよいし、カラーパッチ32a〜32iの測色値が許容誤差を超えたと判別した場合、自動的に実施(いわゆる「オート実施」)されてもよい。
【0066】
以上のように、コントロールストリップ28を付加した印刷物24を印刷し、各カラーパッチ32a〜32iにおける監視データを取得する。
【0067】
続いて、第2動作について、図6〜図10を参照しながら説明する。図6は、キャリブレーションの推奨実施周期RPを決定する方法の説明に供されるフローチャートである。
【0068】
先ず、色管理条件設定部70は、印刷装置14における色の精度管理に関する色管理条件を設定する(ステップS21)。色管理条件とは、測色値を取得するための測定条件、及び前記測色値の適否を判定する判定条件の少なくとも一方が含まれる。具体例として、測色計20の種類、コントロールストリップ28の種類、基準値、許容誤差、管理幅等の各種項目が挙げられる。
【0069】
ユーザの操作に応じて、画像作成部60は、コントロールストリップ28の色の測定条件及び判定条件を設定するためのウィンドウ100の画像を作成する。ここで、周期表示画像作成部78は、推奨実施周期RPを表示するための周期表示画像(図7の周期表示欄112)をあわせて作成する。そして、表示制御部48は、画像作成部60により作成された画像を表示部52に表示させる。
【0070】
図7に示すように、ウィンドウ100上には、第1入力部102と、第2入力部104と、第3入力部106と、第4入力部108、110と、周期表示欄112と、[再計算]と表示されたボタン114と、[設定]と表示されたボタン116とがそれぞれ配置されている。
【0071】
第1入力部102は、所定の操作に応じて、コントロールストリップ28を測色する測色計20の種類を入力する。測色計20の種類には、機種名、予め登録された固有名のみならず、印刷装置14が測色センサ30を備える場合は、その測色値を使用するか否かに関する情報が含まれる。
【0072】
第2入力部104は、所定の操作に応じて、コントロールストリップ28の種類を入力する。コントロールストリップ28の種類には、例えば、「Ugra Fogra-Media Wedge CMYK V3.0」、「IDEAlliance ISO 12647-7」等が含まれる。
【0073】
第3入力部106は、所定の操作に応じて、色の監視に使用するカラーパッチ32a〜32iの種類を入力する。例えば、この種類は、色値であってもよいし、第2入力部104で選択されたコントロールストリップ28のうちの「9番目」(カラーパッチ32i)のように具体的な番号であってもよい。
【0074】
第4入力部108は、所定の操作に応じて、コントロールストリップ28の色の判定条件を入力する。この判定条件には、「ISO 12647-7」、「ISO 12647-8」等の標準規格の種類のみならず、デジタル印刷、コントラクトプルーフ等の印刷物24の用途や、ユーザ独自の判別条件(カスタム)が含まれる。また、ユーザは、カスタムで(自在に)判定条件を変更したい場合、第4入力部110をクリックする。そうすると、図示しないウィンドウが呼び出され、ユーザは、該ウィンドウを介して、基準値、許容誤差、管理幅(例えば、許容誤差の75%以内)等を変更可能である。
【0075】
次いで、実施周期決定部76は、ステップS21で設定された色管理条件に基づいて、推奨実施周期RPの初期値を決定する(ステップS22)。具体的には、[設定]ボタン116(図7参照)のクリック操作に応じて、色管理条件設定部70は、UI部82から色管理条件を取得し、その条件を設定する。そして、実施周期決定部76は、色管理条件設定部70により設定された色管理条件に基づいて、初期値としての推奨実施周期RPを決定する。
【0076】
実施周期決定部76は、例えば、印刷装置14の用途及び/又は標準規格の種類に応じて推奨実施周期RPを決定してもよい。これにより、印刷物24の種類や属性によって異なる管理精度(色再現特性の要求仕様)に適した推奨実施周期RPをそれぞれ決定できる。また、実施周期決定部76は、図7に例示する色管理条件の各項目の組み合わせを推奨実施周期RPに関連付けるテーブルを参照することで、推奨実施周期RPを決定してもよい。
【0077】
例えば、設定された色管理条件は、「監視データの移動平均において、誤差Δeの値が、許容色差ΔEmaxの80%以内に収まること」であったとする。図5に示すように、ΔEmax=5である場合、Δe=4に対応する時間幅(すなわち、RP=86日)を、推奨実施周期RPとして決定する。
【0078】
このように、実施周期決定部76は、推奨実施周期RPの初期値を決定する(ステップS22)。
【0079】
なお、印刷装置14を所定の施設に設置した直後では、印刷を殆ど行っていないため、監視データは存在しない。この場合、実施周期決定部76は、設定された色管理条件に紐付けられたデフォルト値を、推奨実施周期RPとして決定するとよい。
【0080】
図7の周期表示欄112には、ステップS22で決定された推奨実施周期RP(86日間)と、推奨実施周期RPが徒過する時点から起算した残り時間(あと80日後)が表示されている。例えば、[再計算]ボタン114のクリック操作に応じて、実施周期決定部76の再計算により得られた推奨実施周期RPの値を、周期表示欄112に更新・表示してもよい。
【0081】
次いで、色管理データ作成部58は、キャリブレーション完了通知があったか否かを判別する(ステップS23)。この通知がなかったと判別された場合、前記通知があるまで待機する。
【0082】
一方、完了通知があったと判別された場合、測色データ取得部68は、メモリ46(又はデータベースサーバ18)に記録された監視データを取得し、監視データの数が十分あるか否かを判別する(ステップS24)。
【0083】
監視データの数が十分あったと判別された場合、予測曲線作成部72は、測色データ取得部68により取得された監視データに基づいて予測曲線を作成する(ステップS25)。
【0084】
図8は、1つのカラーパッチ32iの色変動特性の一例を表すグラフである。本図は、図5と比べて更に長期間にわたり、且つ、実施時点t1=80、t2=200及びt3=240においてキャリブレーションを3回実施した場合での色変動特性を表している。説明の便宜のため、監視データについては、移動平均のグラフのみを表記し、個々の測色データの表記を割愛する。
【0085】
経過時間が0(日)からt1(日)までの間、キャリブレーションを実施することなく運用し、測色データを順次蓄積することで、(0,0)及び(t1,Δe1)を端点とする監視データWD1(実線で図示)を得たとする。そして、予測曲線作成部72は、監視データWD1に基づいて予測曲線DC1(破線で図示)を作成する。
【0086】
この予測曲線DC1として、線形式、多項式、指数関数、対数関数及び冪乗関数を含む種々の関数を適用してもよい。また、関数の形状を特定する各種パラメータを決定する方法としては、公知の最適化手法、例えば、最小二乗法、最急降下法、ニュートン法、準ニュートン法、シンプレックス法を用いることができる。
【0087】
後述するように、監視データWD1を直接用いることなく、ステップS25で作成された予測曲線DC1から推奨実施周期RPを決定するので、繰り返し変動(誤差因子)に関わらず安定した算出結果が得られる。
【0088】
次いで、実施時間間隔算出部74は、予測曲線作成部72により算出された予測曲線DC1から実施時間間隔TI1を算出する(ステップS26)。図8例では、実施時間間隔算出部74は、予測曲線DC1とΔe=4との交点の座標を計算し、座標(4,86)を得る。これにより、実施時間間隔TI1=86が算出される。そして、制御部42は、実施時間間隔算出部74により算出された実施時間間隔TI1をメモリ46に記録させる。
【0089】
次いで、実施周期決定部76は、推奨実施周期RPを決定し、必要に応じて更新する(ステップS27)。例えば、実施周期決定部76は、実施時間間隔算出部74により算出された実施時間間隔TIに基づいて算出してもよい。
【0090】
次いで、色管理データ作成部58は、印刷物24の色の精度管理を終了したか否かを判別する(ステップS28)。色の精度管理を終了することなく継続すると判別された場合、ステップS23に戻り、以下、ステップS23〜S27を順次繰り返す。
【0091】
図8に示すように、経過時間がt1(日)からt2(日)までの間、キャリブレーションを実施することなく運用し、測色データを順次蓄積することで、(t1,0)及び(t2,Δe2)を端点とする監視データWD2(実線で図示)を得たとする。
【0092】
2回目のステップS25において、Δe2>ΔEmaxを満たしているので、予測曲線作成部72は、監視データWD2そのものを、予測曲線DC2としてもよい。
【0093】
2回目のステップS26において、実施時間間隔算出部74は、予測曲線作成部72により算出された予測曲線DC2から実施時間間隔TI2を算出する。実施時間間隔算出部74は、予測曲線DC2とΔe=4との交点の座標を計算し、座標(4,172)を得る。これにより、実施時間間隔TI2=172−86=86が算出される。
【0094】
また、経過時間がt2(日)からt3(日)までの間、キャリブレーションを実施することなく運用し、測色データを順次蓄積することで、(t2,0)及び(t3,Δe3)を端点とする監視データWD3(実線で図示)を得たとする。
【0095】
ところが、経過時間がt3−t2=40日と少なく、予測曲線DC3による予測精度が十分でない場合がある。例えば、3回目のステップS24において、誤差Δeと所定の閾値との大小関係から、監視データの数が十分であるか否かを判別してもよい。本図例では、許容誤差ΔEmaxの50%に相当する値(Δe=2.5)を閾値として決定しているが、決定方法はこれに限定されない。
【0096】
本図例では、誤差Δe2<2.5を満たすので、測色データ取得部68は、監視データWD3の数が十分でないと判別し、ステップS25及びS26をスキップする。すなわち、実施時点t3では実施時間間隔TIを算出することなく、新たな色の監視を開始する。
【0097】
このようにして、順次取得した実施時間間隔TIを考慮することで、印刷装置14の現時点での印刷性能に応じた実施周期を決定・更新できる。以下、実施周期決定部76による推奨実施周期RPの決定例を説明する。
【0098】
図9は、推奨実施周期RPの決定方法を表す概略説明図である。ここで、合計8回のキャリブレーションが有効であると過去に判別され、それぞれの実施時間間隔TI(プロットP1〜P8)を取得した事例に基づいて説明する。ここで、原点に近い方(プロットP1)が過去の実施時点であり、原点から遠ざかるほど直近の実施時点に近づいている。
【0099】
第1例として、実施周期決定部76は、最後にキャリブレーションが実施された時点(8番目に相当)から遡って所定の期間内(図例では1年以内)でのプロットP5〜P8を選択し、その平均値を、新たな推奨実施周期RPと決定してもよい。
【0100】
第2例として、最後にキャリブレーションが実施された時点から直近の回数(例えば、3回)でのプロットP6〜P8を選択し、その平均値を、新たな推奨実施周期RPとして決定してもよい。
【0101】
そのほか、種々の決定方法に従って、推奨実施周期RPを決定してもよい。また、推奨実施周期RPの算出式は、上記した平均値に限ることなく、最大値、最小値、中央値、最頻値等を含む種々の統計的手法を用いてもよい。
【0102】
また、1つのカラーパッチ32iに限らず、他のカラーパッチ32a〜32h等に対しても、同一の又は異なる方法を用いて色を監視してもよい。例えば、色変動量が相対的に大きいカラーパッチを選択してもよいし、キャリブレーションの実施直後において誤差Δeが大きいカラーパッチを選択してもよい。
【0103】
このように、決定・更新された推奨実施周期RPを目安にして、キャリブレーションを適宜実施することができる。
【0104】
例えば、「オート実施」の場合、時間取得部66は、所定のタイミングで現在の時点を取得し、最後のキャリブレーションの実施時点からの経過時間を計算する。そして、その経過時間が推奨実施周期RPを超えたと判別された場合、自動的にキャリブレーションを実施すればよい。
【0105】
また、「マニュアル実施」の場合、ユーザは、図7の周期表示欄112の情報を適時参照しながら、必要に応じて、キャリブレーションを手動で実施する。このほか、推奨実施周期RPを徒過した場合、ウィンドウ100上に警告の旨を表示させてもよい。
【0106】
さらに、コントロールストリップ28の実際の測色結果及び/又は判定結果を一覧にして表示部52に表示させてもよい。この場合、適否判定部77は、測色データ取得部68により取得された測色データが、設定された色管理条件に適合するか否かを判定する。そして、画像作成部60は、この判定結果を表示するためのウィンドウ130の画像を作成する。ここで、結果表示画像作成部80は、適否判定部77から取得した判定結果を用いて結果表示画像(図10の結果表示欄136)をあわせて作成する。そして、表示制御部48は、画像作成部60により作成された画像を表示部52に表示させる。
【0107】
図10に示すように、ウィンドウ130上には、コントロールストリップ28が測色(あるいは、その適合性が判定)された時点の履歴を表示する時間表示欄132と、現時点で設定されている判定条件(図例では、「ISO 12647-7」)を表示する条件表示欄134と、カラーパッチ32a〜32i毎の判定結果を表示する結果表示欄136とがそれぞれ配置されている。
【0108】
結果表示欄136は、基準色の属性(カラーパッチ32a〜32iの種類等)を表す小欄138と、各基準色における目標値、実測値及び判定結果(○又は×)を表す小欄140とから構成されている。これにより、ユーザは、現時点(又は過去)での印刷装置14の状態を一見して把握できる。
【0109】
なお、結果表示欄136の形態は本図に限られず、図5又は図8に示すようなグラフの形態であってもよい。また、判定結果は、「○」「×」に限られず、例えば表示色を異ならせる等、判定結果(適否)を容易に把握可能であればよい。さらに、各印刷時点での判定結果のみを表示するのみならず、複数の印刷時点での平均的な判定結果を表示してもよい。
【0110】
以上のように、印刷装置14における色の精度管理に関する色管理条件を設定する色管理条件設定部70と、印刷装置14により色標本として印刷されたカラーパッチ32a〜32iの測色値をカラーパッチ32a〜32iの印刷時点と対応付けて取得する測色データ取得部68と、複数の印刷時点で取得された複数の測色値と、設定された前記色管理条件とに基づいて、印刷装置14に対するキャリブレーションの推奨実施周期RPを決定する実施周期決定部76とを設けたので、実際の印刷物24の色変動特性を考慮しつつ、キャリブレーションの実施時期の目安が得られる。すなわち、単なる現時点での実施要否のみならず、将来の実施要否の見込みも把握可能となり、ユーザに便宜である。これにより、印刷システム10の装置構成によらず柔軟且つ弾力的なキャリブレーション運用を実現できる。
【0111】
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0112】
10…印刷システム 12…印刷色管理装置
14…印刷装置 16…DTP装置
18…データベースサーバ 20…測色計
24…印刷物 28…コントロールストリップ
30…測色センサ 32a〜32i…カラーパッチ
42…制御部 46…メモリ
52…表示部 56…色較正データ作成部
58…色管理データ作成部 64…ストリップ付加部
66…時間取得部 68…測色データ取得部
70…色管理条件設定部 72…予測曲線作成部
74…実施時間間隔算出部 76…実施周期決定部
RP…推奨実施周期
【技術分野】
【0001】
この発明は、印刷装置における色の精度管理を実施するための印刷色管理装置、印刷色管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からオフセット印刷において、品質管理(QC;Quality Control)の一環として、国内外の標準規格に沿った印刷装置の運用が図られている。例えば、ISO(International Standard Organization)12647−2によれば、色の精度管理を評価する項目として、許容誤差やトーンカーブ等が列挙されている。
【0003】
近時、デジタルデータから直接的に印刷物を生産する印刷システム(いわゆるデジタル印刷)におけるプルーフにも、上記と同様に、ISO等の規格に沿った精度管理の重要性が認知されつつある。
【0004】
そこで、色のばらつき誤差が少ない安定した印刷物を常時生産するため、印刷装置に自動キャリブレーション手段を組み込むのが効果的である。この自動キャリブレーション手段とは、印刷物の色を定期的に監視し、誤差(色差)が所定の閾値よりも大きくなった場合、色のフィードバック補正制御を自動的に行う手段を意味する。具体的には、所定の繰り返しタイミングで色標本のデータを取得し、このデータと前記色標本の目標値との色差を算出し、この色差をキャンセルするように補正すればよい。
【0005】
特許文献1には、装置内に常設されたセンサによる読取結果を用いて、自動的にキャリブレーションを実施する装置及び方法が開示されている。例えば、印刷ジョブ毎、日毎、又は月毎に、読取値のずれ量に応じてキャリブレーションの実施適否を判断する旨が記載されている。
【0006】
特許文献2には、この自動キャリブレーション手段を備える画像読取装置を組み込んだ画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−112470号公報
【特許文献2】特開2003−224732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、印刷システムの装置構成は、通常、印刷業者の規模や設置場所等に応じてそれぞれ異なる。しかも、色の精度管理の運用方法、管理基準は必ずしも一律ではなく、印刷装置の属性・使用目的によって異なる場合(異ならせた方がよい場合)がある。
【0009】
特許文献1及び2に記載された装置及び方法では、現時点での誤差を算出し、その誤差に基づいてキャリブレーションの適否を判断するので、ユーザによる柔軟な設定が困難であった。
【0010】
また、上記した自動キャリブレーション手段を有しない印刷装置に対して、同様の色の精度管理を行う場合、ユーザは、コントロールストリップを定期的に測色し、その測色結果に基づいてキャリブレーションの要否をその都度判断することがある。しかし、測色期間を短く設定すると、印刷作業及び測色作業の煩に堪えない。一方、測色期間を長く設定すると、色の管理範囲から外れた異常状態を看過するおそれもある。
【0011】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、印刷システムの装置構成によらず柔軟且つ弾力的なキャリブレーション運用を実現可能とする印刷色管理装置、印刷色管理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る印刷色管理装置は、印刷装置における色の精度管理に関する色管理条件を設定する色管理条件設定部と、前記印刷装置により色標本として印刷されたカラーパッチの測色値を該カラーパッチの印刷時点と対応付けて取得する測色値取得部と、前記測色値取得部により複数の印刷時点で取得された複数の測色値と、前記色管理条件設定部により設定された前記色管理条件とに基づいて、前記印刷装置に対するキャリブレーションの実施周期を決定する実施周期決定部とを有することを特徴とする。
【0013】
このように、複数の印刷時点で取得された複数の測色値と色管理条件とに基づいて、印刷装置に対するキャリブレーションの実施周期を決定する実施周期決定部を設けたので、実際の印刷物の色変動特性を考慮しつつ、キャリブレーションの実施時期の目安が得られる。すなわち、単なる現時点での実施要否のみならず、将来の実施要否の見込みも把握可能となり、ユーザにとって便宜である。これにより、印刷システムの装置構成によらず柔軟且つ弾力的なキャリブレーション運用を実現できる。
【0014】
また、前記色管理条件設定部は、前記印刷装置の用途及び/又は標準規格の種類に応じて前記色管理条件を設定することが好ましい。
【0015】
さらに、前記実施周期決定部により決定された前記実施周期を表示するための周期表示画像を作成する周期表示画像作成部をさらに有することが好ましい。
【0016】
さらに、前記測色値取得部により取得された少なくとも1つの測色値が、前記色管理条件に適合する値であるか否かを判定する適否判定部と、前記適否判定部による判定結果を可視化するための結果表示画像を作成する結果表示画像作成部とをさらに有することが好ましい。
【0017】
さらに、前記周期表示画像作成部により作成された前記周期表示画像、及び/又は前記結果表示画像作成部により作成された前記結果表示画像を表示する表示部をさらに有することが好ましい。
【0018】
さらに、前記実施周期決定部は、前記複数の印刷時点及び前記複数の測色値に基づいて作成された予測曲線から前記実施周期を決定することが好ましい。
【0019】
本発明に係る印刷色管理方法は、印刷装置における色の精度管理に関する色管理条件を設定する設定ステップと、前記印刷装置により色標本として印刷されたカラーパッチの測色値を該カラーパッチの印刷時点と対応付けて取得する取得ステップと、複数の印刷時点で取得された複数の測色値と、設定された前記色管理条件とに基づいて、前記印刷装置に対するキャリブレーションの実施周期を決定する決定ステップとを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、印刷装置における色の精度管理に関する色管理条件を設定する色管理条件設定部、前記印刷装置により色標本として印刷されたカラーパッチの測色値を該カラーパッチの印刷時点と対応付けて取得する測色値取得部、前記測色値取得部により複数の印刷時点で取得された複数の測色値と、前記色管理条件設定部により設定された前記色管理条件とに基づいて、前記印刷装置に対するキャリブレーションの実施周期を決定する実施周期決定部として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る印刷色管理装置、印刷色管理方法及びプログラムによれば、複数の印刷時点で取得された複数の測色値と色管理条件とに基づいて、印刷装置に対するキャリブレーションの実施周期を決定するようにしたので、実際の印刷物の色変動特性を考慮しつつ、キャリブレーションの実施時期の目安が得られる。すなわち、単なる現時点での実施要否のみならず、将来の実施要否の見込みも把握可能となり、ユーザに便宜である。これにより、印刷システムの装置構成によらず柔軟且つ弾力的なキャリブレーション運用を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施の形態に係る印刷色管理装置を組み込んだ印刷システムの概略説明図である。
【図2】図2Aは、図1に示す印刷物の部分拡大図である。図2Bは、図2Aに示すカラーパッチの各色の設計例を表す説明図である。
【図3】図1に示す印刷色管理装置の電気的な概略ブロック図である。
【図4】コントロールストリップを付加した印刷物を印刷する第1動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】1つのカラーパッチの色変動特性の一例を表すグラフである。
【図6】キャリブレーションの推奨実施周期を決定する第2動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】測定条件及び判定条件を設定する画像例を表す図である。
【図8】1つのカラーパッチの色変動特性の一例を表すグラフである。
【図9】推奨実施周期の決定方法を表す概略説明図である。
【図10】判定結果を可視化する画面例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る印刷色管理方法について、それを実施する印刷色管理装置及び印刷システムとの関係において好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態に係る印刷色管理装置を組み込んだ印刷システム10の概略説明図である。
【0025】
印刷システム10は、印刷色管理装置12と、印刷装置14と、DTP(Desktop Publishing)装置16と、データベースサーバ18とを基本的に備える。印刷色管理装置12、DTP装置16及びデータベースサーバ18は、有線又は無線によって相互に電気的に接続されている。
【0026】
印刷色管理装置12は、外部装置から入力された各種データ(デバイス色信号又はページ記述データ)を、印刷装置14での印刷に適したデバイス色信号に変換する。また、印刷色管理装置12は、変換された前記デバイス色信号を印刷装置14側に出力する。ここで、デバイス色信号とは、デバイス依存データで定義された画像データを意味し、例えば、4色(CMYK)或いは3色(RGB)のカラーチャンネルを有するラスタ形式データ(TIFF、ビットマップ、RAW等)である。また、印刷装置14に供給されるデバイス色信号として、任意のヘッダを付加した独自のフォーマットデータを用いてもよい。
【0027】
印刷色管理装置12には、測定対象物の色値を測定する測色計20が、第4インターフェース53(図3参照)を介して接続されている。ここで色値とは、三刺激値XYZ、均等色空間の座標値L*a*b*等のみならず、波長に対する光学物理値の特性、例えば、分光放射分布、分光感度分布、分光反射率又は分光透過率が含まれる。以下、測定により取得された色値を「測色値」という場合がある。
【0028】
印刷装置14は、印刷色管理装置12に電気的に接続されている。この接続には、例えば、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワーク等のシリアルインターフェースや、セントロニクス等のパラレルインターフェースを適用することができる。
【0029】
印刷装置14は、メディア22上に画像を形成するための装置である。印刷装置14は、オフセット印刷の際のプルーファであってもよいし、ダイレクト印刷のためのデジタル印刷機であってもよい。プルーファとしては、オフセット印刷機と同等の印刷性能を備えるDDCP(Direct Digital Color Proofer)、インクジェットカラープルーファ、低解像度のカラーレーザプリンタ(電子写真方式)やインクジェットプリンタ等が用いられる。デジタル印刷機としては、インクジェットカラープルーファやカラーレーザプリンタ(電子写真方式)等が用いられる。
【0030】
メディア22の基材には、合成紙・厚紙・アルミ蒸着紙等の紙類、塩化ビニル・PET等の樹脂やターポリン等を用いることができる。印刷装置14により印刷された印刷物24には、裁ち落とし後の実際の画像領域である仕上がり領域26と、裁ち落とし領域内に配置されたコントロールストリップ28とが少なくとも形成される。
【0031】
印刷装置14は、測定対象物の色値を測定可能な測色センサ30を備える。測色センサ30の図示しない検出面は、メディア22の画像形成面(仕上がり領域26側)に指向する。これにより、印刷装置14は、図示しない搬送手段を用いてメディア22を搬送しながら、メディア22上に形成された画像(例えば、コントロールストリップ28)の色を測色可能である。
【0032】
DTP装置16は、文字、図形、絵柄や写真等から構成される素材(コンテンツ)データを編集可能であり、該素材データをページ毎に配置することで、ページ記述言語(以下、PDLという。)による電子原稿を生成する。ここで、PDLとは、印刷や表示等の出力単位である「ページ」内で文字、図形等の書式情報、位置情報、色情報(濃度情報を含む)等の画像情報を記述する言語である。DTP装置16は、PDL形式の電子原稿に対してラスタライズ処理を施す。このラスタライズ処理には、PDL形式からラスタ形式に変換するデータ形式変換処理と、ICC(International Color Consortium)プロファイルを用いた色変換処理とが含まれる。
【0033】
データベースサーバ18は、電子原稿のジョブチケット{例えば、JDF(Job Definition Format)ファイル}、色見本データ、ターゲットプロファイル、又は、印刷装置14及びメディア22の組合せに適したデバイスプロファイルのデータ管理を行う装置である。また、データベースサーバ18は、印刷色管理装置12を介して取得した測色データ(詳細は後述する。)の管理を行ってもよい。
【0034】
図2Aは、図1に示す印刷物24の部分拡大図である。
【0035】
メディア22の左側に印刷されたコントロールストリップ28は、色の異なる複数の略同形状のカラーパッチで構成される。本図には、色標本としてのカラーパッチ32a〜32iが少なくとも9個表記されている。各カラーパッチ32a〜32iは、縦方向(メディア22の搬送方向)に沿って隙間なく配置されている。
【0036】
図2Bは、図2Aに示すカラーパッチ32a〜32iの各色の設計例を表す説明図である。本図では、ISO12647−2で規定されている基準値を示している。例えば、カラーパッチ32aでは、無印字領域(Paper)での色に対して、L*=93、a*=0、b*=−3を基準とする。また、カラーパッチ32fでは、M及びYの2次色(M+Y)に対して、L*=47、a*=66、b*=50を基準とする。
【0037】
ここで、基準値として、入出力装置に依存しない色値(いわゆるデバイス非依存データ)を用いることが好ましい。具体的には、HSV(Hue-Saturation-Value)、HLS(Hue-Lightness-Saturation)、CIELAB、CIELUV、XYZ等の表色系を用いてもよい。
【0038】
図3は、図1に示す印刷色管理装置12の電気的な概略ブロック図である。
【0039】
印刷色管理装置12は、第1インターフェース40と、制御部42と、第2インターフェース44と、メモリ46と、表示制御部48と、第3インターフェース50と、表示部52と、第4インターフェース53とを備える。メモリ46には、本実施の形態に係る印刷色管理装置として機能させるためのプログラム等が格納されている。
【0040】
第1インターフェース40は、外部装置からの電気信号を送受信する。例えば、DTP装置16で編集・作成された各種データ(デバイス色信号、PDLデータ)を取得可能である。また、データベースサーバ18で管理・保存されたICCプロファイル等の各種情報を取得可能である。
【0041】
第2インターフェース44は、外部装置に電気信号を送受信する。例えば、印刷色管理装置12の内部で作成されたデバイス色信号を印刷装置14に供給可能である。また、測色センサ30(図1参照)により取得された測色データを取得可能である。
【0042】
CPU等の情報処理装置で構成される制御部42は、画像処理部54と、色較正データ作成部56と、色管理データ作成部58と、画像作成部60とを備える。
【0043】
画像処理部54は、DTP装置16(図1参照)と同様のラスタライズ機能を有するラスタライズ処理部62と、印刷物24の裁ち落とし領域内にコントロールストリップ28に対応する画像を付加するストリップ付加部64とを備える。
【0044】
色較正データ作成部56は、キャリブレーション(色較正)するための各種データを作成する。本明細書において、キャリブレーションは、ICCプロファイルの再作成のみならず、色変換LUT(トーンカーブ)の補正をも含む概念である。
【0045】
色管理データ作成部58は、印刷物24の印刷動作における所定のタイミング(以下、印刷時点という。)を取得する時間取得部66と、色の監視に用いる測色データを取得する測色データ取得部68(測色値取得部)と、印刷装置14における色の精度管理に関する色管理条件を設定する色管理条件設定部70と、前記測色データに基づいて色変動特性を予測するための予測曲線を作成する予測曲線作成部72と、前記予測曲線に基づいて実施時間間隔TIを算出する実施時間間隔算出部74と、前記実施時間間隔TIに基づいてキャリブレーションの推奨実施周期RP(実施周期)を決定する実施周期決定部76と、測色データ取得部68により取得された少なくとも1つの測色値が、色管理条件設定部70により設定された色管理条件に適合するか否かを判定する適否判定部77とを備える。
【0046】
ここで、実施時間間隔TIは、印刷装置14におけるキャリブレーションの実施時点の間隔をいう。また、推奨実施周期RPは、キャリブレーションを実施する周期(時間間隔)であって、印刷装置14のユーザに提示する推奨値である。したがって、推奨実施周期RPはあくまでも推奨値であるため、この周期でキャリブレーションが適切に実施されるか否かを問わない。
【0047】
画像作成部60は、実施周期決定部76により決定された推奨実施周期RPを表示するための周期表示画像(図7の周期表示欄112)を作成する周期表示画像作成部78と、適否判定部77による判定結果を可視化するための結果表示画像(図10の結果表示欄136)を作成する結果表示画像作成部80とを備える。
【0048】
メモリ46は、複数のターゲットプロファイル、印刷装置14に適したデバイスプロファイルを記録する。メモリ46は、そのほか、印刷装置14毎の測色データ、本発明に係る印刷色管理方法を実行するための各情報を記録してもよい。
【0049】
表示制御部48は、第3インターフェース50を介して、画像作成部60により作成された表示画面を表示部52に表示させる。また、表示部52の表示機能と、図示しないポインティングデバイスの入力機能とを用いることで、ユーザインターフェース(UI部82)を実現する。
【0050】
本実施の形態に係る印刷色管理装置12は以上のように構成される。続いて、印刷色管理装置12の第1動作及び第2動作について、主に図3の概略ブロック図と、図4〜図10を参照しながら説明する。ここで、第1動作とは、コントロールストリップ28(図1及び図2A参照)を付加した印刷物24を印刷するための動作をいう。また、第2動作とは、キャリブレーションの推奨実施周期RPを決定するための動作をいう。
【0051】
以下、第1動作について、図4及び図5を参照しながら説明する。
【0052】
先ず、印刷装置14は、所定の印刷物24を印刷する旨の印刷指示があったか否かを確認する(ステップS11)。例えば、この印刷指示は、UI部82からの入力操作による指示であっても、外部装置(例えば、DPT装置16)から供給される制御信号による指示であってよい。
【0053】
印刷指示があった場合、印刷色管理装置12は、印刷装置14に印刷物24を印刷させる(ステップS12)。このステップS12について、以下、詳細に説明する。
【0054】
ラスタライズ処理部62は、DTP装置16から、第1インターフェース40を介して入力された各種データに対し、所望のラスタライズ処理を施す。ここで、デバイス色信号が第1インターフェース40側に直接入力された場合、本構成要素によるラスタライズ処理は不要である。
【0055】
そして、ストリップ付加部64は、取得されたラスタ形式データに対し、仕上がり領域26の外(例えば、裁ち落とし領域内)にコントロールストリップ28の画像を付加する。その際、ストリップ付加部64は、図2Bに例示する各カラーパッチ32a〜32iの基準値(L*a*b*)を、印刷装置14及びメディア22の組合せに応じたデバイスプロファイルを用いてデバイス色信号の値に変換することで、前記画像の色をそれぞれ算出する。なお、前記基準値は、色管理条件の設定(後述する図6のステップS21)に応じて予め決定される。
【0056】
その後、印刷色管理装置12は、各種画像処理が施されたデバイス色信号を、第2インターフェース44を介して、印刷装置14側に供給する。そして、印刷装置14は、供給されたデバイス色信号に基づいて画像を形成する。すなわち、メディア22上には、仕上がり領域26に形成される所望の画像と併せて、メディア22の搬送方向に延在するコントロールストリップ28が順次形成される。
【0057】
次いで、測色センサ30(図1参照)は、メディア22上に形成されたカラーパッチ32a〜32iを順次測色する(ステップS13)。具体的には、印刷装置14は、図示しない搬送手段によりメディア22を搬送させながら、所定の時間間隔で測色センサ30に読み取らせることで、複数の検出値を時系列データとして取得する。そして、この時系列データを解析することで、各カラーパッチ32a〜32iにそれぞれ対応する測色データ(測色値)を取得可能である。
【0058】
次いで、制御部42は、測色データをメモリ46に記録・保存させる(ステップS14)。印刷装置14は、測色センサ30から取得した測色データを、第2インターフェース44を介して印刷色管理装置12側に送信する。一方、時間取得部66は、適切なタイミングで取得された時間情報から印刷物24の印刷時点を取得する。そして、制御部42は、この測色データを、印刷物24の印刷時点に対応付けてメモリ46に記録させる。前記時間情報は、例えば、印刷指示の受付時点、各種画像処理の時点、デバイス色信号の送信完了時点、測色データの取得時点等を特定する情報であってもよい。また、印刷色管理装置12は、この測色データをデータベースサーバ18側に送信してもよい。すなわち、印刷色管理装置12に代替して、データベースサーバ18にこの測色データを保存・管理させてもよい。
【0059】
次いで、色管理データ作成部58は、印刷物24の色の精度管理を終了したか否かを判別する(ステップS15)。色の精度管理を終了することなく継続すると判別された場合、ステップS11に戻って、以下、ステップS11〜S14を繰り返す。そうすると、印刷の都度、各カラーパッチ32a〜32iにおける測色データが随時蓄積され、時間の経過に伴う色変動特性を表すデータ列が得られる。以下、複数の印刷時点での測色データを「監視データ」という場合がある。
【0060】
図5は、1つのカラーパッチ32iの色変動特性の一例を表すグラフである。グラフの横軸は、キャリブレーションを実施した時点からの経過時間(単位:日)に相当する。グラフの縦軸は、カラーパッチ32iにおける基準値(図2B参照)と実測値との色差、すなわち誤差Δeに相当する。三角形の各マークは、実測値の各プロット、すなわち監視データそのものを表す。なお、実線で示す曲線は、監視データの各値に対して、所定の時間範囲で平均値を取って平滑化した移動平均を表す。
【0061】
本図において、経過時間が0(日)とは、キャリブレーションを実施した時点を意味する。すなわち、キャリブレーションを実施した直後は、誤差Δeが極めて小さく略0に等しい。一方、時間の経過に伴って、印刷装置14に起因する誤差因子の影響を受けることで、誤差Δeが次第に大きくなる。この誤差因子は、画像記録方式、機体差、設置環境等に依存する。
【0062】
このように、測色センサ30を内蔵する印刷装置14を用いる場合、測色データを自動的に取得し随時蓄積することで、色変動特性を監視可能である。一方、測色センサ30を内蔵しない印刷装置14を用いる場合、印刷色管理装置12に接続された測色計20を用いて、測色データを適宜取得してもよい。このとき、測色データをその印刷時点に対応付けて記録することが好ましい。また、印刷時点と測色時点が略同じであれば、測色時点に対応付けてもよい。
【0063】
また、すべての印刷物24に対してコントロールストリップ28の測色を行う必要はなく、予め決定された運用規則に従って適宜測色すればよい。具体的には、所定の時間間隔での測色でもよいし、所定の印刷枚数毎の測色でもよい。
【0064】
ところで、図4に戻って、ステップS11において、印刷指示がないと確認した場合、印刷色管理装置12は、キャリブレーション完了通知があったか否かを確認する(ステップS16)。この通知がなかったと確認した場合、ステップS15を経た後にステップS11に戻る。一方、この通知があったと確認した場合、メモリ46に記録された監視データを初期化する(ステップS17)。すなわち、キャリブレーションを実施した結果、基準値との誤差Δeが0にリセットされたと仮定する。その後、この初期化前と同様に、今回のキャリブレーションの実施時点以降の測色データを随時取得し、色の変動特性を監視していく。
【0065】
なお、キャリブレーションは、例えば、UI部82からの指示を受け付けて実施(いわゆる「マニュアル実施」)されてもよいし、カラーパッチ32a〜32iの測色値が許容誤差を超えたと判別した場合、自動的に実施(いわゆる「オート実施」)されてもよい。
【0066】
以上のように、コントロールストリップ28を付加した印刷物24を印刷し、各カラーパッチ32a〜32iにおける監視データを取得する。
【0067】
続いて、第2動作について、図6〜図10を参照しながら説明する。図6は、キャリブレーションの推奨実施周期RPを決定する方法の説明に供されるフローチャートである。
【0068】
先ず、色管理条件設定部70は、印刷装置14における色の精度管理に関する色管理条件を設定する(ステップS21)。色管理条件とは、測色値を取得するための測定条件、及び前記測色値の適否を判定する判定条件の少なくとも一方が含まれる。具体例として、測色計20の種類、コントロールストリップ28の種類、基準値、許容誤差、管理幅等の各種項目が挙げられる。
【0069】
ユーザの操作に応じて、画像作成部60は、コントロールストリップ28の色の測定条件及び判定条件を設定するためのウィンドウ100の画像を作成する。ここで、周期表示画像作成部78は、推奨実施周期RPを表示するための周期表示画像(図7の周期表示欄112)をあわせて作成する。そして、表示制御部48は、画像作成部60により作成された画像を表示部52に表示させる。
【0070】
図7に示すように、ウィンドウ100上には、第1入力部102と、第2入力部104と、第3入力部106と、第4入力部108、110と、周期表示欄112と、[再計算]と表示されたボタン114と、[設定]と表示されたボタン116とがそれぞれ配置されている。
【0071】
第1入力部102は、所定の操作に応じて、コントロールストリップ28を測色する測色計20の種類を入力する。測色計20の種類には、機種名、予め登録された固有名のみならず、印刷装置14が測色センサ30を備える場合は、その測色値を使用するか否かに関する情報が含まれる。
【0072】
第2入力部104は、所定の操作に応じて、コントロールストリップ28の種類を入力する。コントロールストリップ28の種類には、例えば、「Ugra Fogra-Media Wedge CMYK V3.0」、「IDEAlliance ISO 12647-7」等が含まれる。
【0073】
第3入力部106は、所定の操作に応じて、色の監視に使用するカラーパッチ32a〜32iの種類を入力する。例えば、この種類は、色値であってもよいし、第2入力部104で選択されたコントロールストリップ28のうちの「9番目」(カラーパッチ32i)のように具体的な番号であってもよい。
【0074】
第4入力部108は、所定の操作に応じて、コントロールストリップ28の色の判定条件を入力する。この判定条件には、「ISO 12647-7」、「ISO 12647-8」等の標準規格の種類のみならず、デジタル印刷、コントラクトプルーフ等の印刷物24の用途や、ユーザ独自の判別条件(カスタム)が含まれる。また、ユーザは、カスタムで(自在に)判定条件を変更したい場合、第4入力部110をクリックする。そうすると、図示しないウィンドウが呼び出され、ユーザは、該ウィンドウを介して、基準値、許容誤差、管理幅(例えば、許容誤差の75%以内)等を変更可能である。
【0075】
次いで、実施周期決定部76は、ステップS21で設定された色管理条件に基づいて、推奨実施周期RPの初期値を決定する(ステップS22)。具体的には、[設定]ボタン116(図7参照)のクリック操作に応じて、色管理条件設定部70は、UI部82から色管理条件を取得し、その条件を設定する。そして、実施周期決定部76は、色管理条件設定部70により設定された色管理条件に基づいて、初期値としての推奨実施周期RPを決定する。
【0076】
実施周期決定部76は、例えば、印刷装置14の用途及び/又は標準規格の種類に応じて推奨実施周期RPを決定してもよい。これにより、印刷物24の種類や属性によって異なる管理精度(色再現特性の要求仕様)に適した推奨実施周期RPをそれぞれ決定できる。また、実施周期決定部76は、図7に例示する色管理条件の各項目の組み合わせを推奨実施周期RPに関連付けるテーブルを参照することで、推奨実施周期RPを決定してもよい。
【0077】
例えば、設定された色管理条件は、「監視データの移動平均において、誤差Δeの値が、許容色差ΔEmaxの80%以内に収まること」であったとする。図5に示すように、ΔEmax=5である場合、Δe=4に対応する時間幅(すなわち、RP=86日)を、推奨実施周期RPとして決定する。
【0078】
このように、実施周期決定部76は、推奨実施周期RPの初期値を決定する(ステップS22)。
【0079】
なお、印刷装置14を所定の施設に設置した直後では、印刷を殆ど行っていないため、監視データは存在しない。この場合、実施周期決定部76は、設定された色管理条件に紐付けられたデフォルト値を、推奨実施周期RPとして決定するとよい。
【0080】
図7の周期表示欄112には、ステップS22で決定された推奨実施周期RP(86日間)と、推奨実施周期RPが徒過する時点から起算した残り時間(あと80日後)が表示されている。例えば、[再計算]ボタン114のクリック操作に応じて、実施周期決定部76の再計算により得られた推奨実施周期RPの値を、周期表示欄112に更新・表示してもよい。
【0081】
次いで、色管理データ作成部58は、キャリブレーション完了通知があったか否かを判別する(ステップS23)。この通知がなかったと判別された場合、前記通知があるまで待機する。
【0082】
一方、完了通知があったと判別された場合、測色データ取得部68は、メモリ46(又はデータベースサーバ18)に記録された監視データを取得し、監視データの数が十分あるか否かを判別する(ステップS24)。
【0083】
監視データの数が十分あったと判別された場合、予測曲線作成部72は、測色データ取得部68により取得された監視データに基づいて予測曲線を作成する(ステップS25)。
【0084】
図8は、1つのカラーパッチ32iの色変動特性の一例を表すグラフである。本図は、図5と比べて更に長期間にわたり、且つ、実施時点t1=80、t2=200及びt3=240においてキャリブレーションを3回実施した場合での色変動特性を表している。説明の便宜のため、監視データについては、移動平均のグラフのみを表記し、個々の測色データの表記を割愛する。
【0085】
経過時間が0(日)からt1(日)までの間、キャリブレーションを実施することなく運用し、測色データを順次蓄積することで、(0,0)及び(t1,Δe1)を端点とする監視データWD1(実線で図示)を得たとする。そして、予測曲線作成部72は、監視データWD1に基づいて予測曲線DC1(破線で図示)を作成する。
【0086】
この予測曲線DC1として、線形式、多項式、指数関数、対数関数及び冪乗関数を含む種々の関数を適用してもよい。また、関数の形状を特定する各種パラメータを決定する方法としては、公知の最適化手法、例えば、最小二乗法、最急降下法、ニュートン法、準ニュートン法、シンプレックス法を用いることができる。
【0087】
後述するように、監視データWD1を直接用いることなく、ステップS25で作成された予測曲線DC1から推奨実施周期RPを決定するので、繰り返し変動(誤差因子)に関わらず安定した算出結果が得られる。
【0088】
次いで、実施時間間隔算出部74は、予測曲線作成部72により算出された予測曲線DC1から実施時間間隔TI1を算出する(ステップS26)。図8例では、実施時間間隔算出部74は、予測曲線DC1とΔe=4との交点の座標を計算し、座標(4,86)を得る。これにより、実施時間間隔TI1=86が算出される。そして、制御部42は、実施時間間隔算出部74により算出された実施時間間隔TI1をメモリ46に記録させる。
【0089】
次いで、実施周期決定部76は、推奨実施周期RPを決定し、必要に応じて更新する(ステップS27)。例えば、実施周期決定部76は、実施時間間隔算出部74により算出された実施時間間隔TIに基づいて算出してもよい。
【0090】
次いで、色管理データ作成部58は、印刷物24の色の精度管理を終了したか否かを判別する(ステップS28)。色の精度管理を終了することなく継続すると判別された場合、ステップS23に戻り、以下、ステップS23〜S27を順次繰り返す。
【0091】
図8に示すように、経過時間がt1(日)からt2(日)までの間、キャリブレーションを実施することなく運用し、測色データを順次蓄積することで、(t1,0)及び(t2,Δe2)を端点とする監視データWD2(実線で図示)を得たとする。
【0092】
2回目のステップS25において、Δe2>ΔEmaxを満たしているので、予測曲線作成部72は、監視データWD2そのものを、予測曲線DC2としてもよい。
【0093】
2回目のステップS26において、実施時間間隔算出部74は、予測曲線作成部72により算出された予測曲線DC2から実施時間間隔TI2を算出する。実施時間間隔算出部74は、予測曲線DC2とΔe=4との交点の座標を計算し、座標(4,172)を得る。これにより、実施時間間隔TI2=172−86=86が算出される。
【0094】
また、経過時間がt2(日)からt3(日)までの間、キャリブレーションを実施することなく運用し、測色データを順次蓄積することで、(t2,0)及び(t3,Δe3)を端点とする監視データWD3(実線で図示)を得たとする。
【0095】
ところが、経過時間がt3−t2=40日と少なく、予測曲線DC3による予測精度が十分でない場合がある。例えば、3回目のステップS24において、誤差Δeと所定の閾値との大小関係から、監視データの数が十分であるか否かを判別してもよい。本図例では、許容誤差ΔEmaxの50%に相当する値(Δe=2.5)を閾値として決定しているが、決定方法はこれに限定されない。
【0096】
本図例では、誤差Δe2<2.5を満たすので、測色データ取得部68は、監視データWD3の数が十分でないと判別し、ステップS25及びS26をスキップする。すなわち、実施時点t3では実施時間間隔TIを算出することなく、新たな色の監視を開始する。
【0097】
このようにして、順次取得した実施時間間隔TIを考慮することで、印刷装置14の現時点での印刷性能に応じた実施周期を決定・更新できる。以下、実施周期決定部76による推奨実施周期RPの決定例を説明する。
【0098】
図9は、推奨実施周期RPの決定方法を表す概略説明図である。ここで、合計8回のキャリブレーションが有効であると過去に判別され、それぞれの実施時間間隔TI(プロットP1〜P8)を取得した事例に基づいて説明する。ここで、原点に近い方(プロットP1)が過去の実施時点であり、原点から遠ざかるほど直近の実施時点に近づいている。
【0099】
第1例として、実施周期決定部76は、最後にキャリブレーションが実施された時点(8番目に相当)から遡って所定の期間内(図例では1年以内)でのプロットP5〜P8を選択し、その平均値を、新たな推奨実施周期RPと決定してもよい。
【0100】
第2例として、最後にキャリブレーションが実施された時点から直近の回数(例えば、3回)でのプロットP6〜P8を選択し、その平均値を、新たな推奨実施周期RPとして決定してもよい。
【0101】
そのほか、種々の決定方法に従って、推奨実施周期RPを決定してもよい。また、推奨実施周期RPの算出式は、上記した平均値に限ることなく、最大値、最小値、中央値、最頻値等を含む種々の統計的手法を用いてもよい。
【0102】
また、1つのカラーパッチ32iに限らず、他のカラーパッチ32a〜32h等に対しても、同一の又は異なる方法を用いて色を監視してもよい。例えば、色変動量が相対的に大きいカラーパッチを選択してもよいし、キャリブレーションの実施直後において誤差Δeが大きいカラーパッチを選択してもよい。
【0103】
このように、決定・更新された推奨実施周期RPを目安にして、キャリブレーションを適宜実施することができる。
【0104】
例えば、「オート実施」の場合、時間取得部66は、所定のタイミングで現在の時点を取得し、最後のキャリブレーションの実施時点からの経過時間を計算する。そして、その経過時間が推奨実施周期RPを超えたと判別された場合、自動的にキャリブレーションを実施すればよい。
【0105】
また、「マニュアル実施」の場合、ユーザは、図7の周期表示欄112の情報を適時参照しながら、必要に応じて、キャリブレーションを手動で実施する。このほか、推奨実施周期RPを徒過した場合、ウィンドウ100上に警告の旨を表示させてもよい。
【0106】
さらに、コントロールストリップ28の実際の測色結果及び/又は判定結果を一覧にして表示部52に表示させてもよい。この場合、適否判定部77は、測色データ取得部68により取得された測色データが、設定された色管理条件に適合するか否かを判定する。そして、画像作成部60は、この判定結果を表示するためのウィンドウ130の画像を作成する。ここで、結果表示画像作成部80は、適否判定部77から取得した判定結果を用いて結果表示画像(図10の結果表示欄136)をあわせて作成する。そして、表示制御部48は、画像作成部60により作成された画像を表示部52に表示させる。
【0107】
図10に示すように、ウィンドウ130上には、コントロールストリップ28が測色(あるいは、その適合性が判定)された時点の履歴を表示する時間表示欄132と、現時点で設定されている判定条件(図例では、「ISO 12647-7」)を表示する条件表示欄134と、カラーパッチ32a〜32i毎の判定結果を表示する結果表示欄136とがそれぞれ配置されている。
【0108】
結果表示欄136は、基準色の属性(カラーパッチ32a〜32iの種類等)を表す小欄138と、各基準色における目標値、実測値及び判定結果(○又は×)を表す小欄140とから構成されている。これにより、ユーザは、現時点(又は過去)での印刷装置14の状態を一見して把握できる。
【0109】
なお、結果表示欄136の形態は本図に限られず、図5又は図8に示すようなグラフの形態であってもよい。また、判定結果は、「○」「×」に限られず、例えば表示色を異ならせる等、判定結果(適否)を容易に把握可能であればよい。さらに、各印刷時点での判定結果のみを表示するのみならず、複数の印刷時点での平均的な判定結果を表示してもよい。
【0110】
以上のように、印刷装置14における色の精度管理に関する色管理条件を設定する色管理条件設定部70と、印刷装置14により色標本として印刷されたカラーパッチ32a〜32iの測色値をカラーパッチ32a〜32iの印刷時点と対応付けて取得する測色データ取得部68と、複数の印刷時点で取得された複数の測色値と、設定された前記色管理条件とに基づいて、印刷装置14に対するキャリブレーションの推奨実施周期RPを決定する実施周期決定部76とを設けたので、実際の印刷物24の色変動特性を考慮しつつ、キャリブレーションの実施時期の目安が得られる。すなわち、単なる現時点での実施要否のみならず、将来の実施要否の見込みも把握可能となり、ユーザに便宜である。これにより、印刷システム10の装置構成によらず柔軟且つ弾力的なキャリブレーション運用を実現できる。
【0111】
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0112】
10…印刷システム 12…印刷色管理装置
14…印刷装置 16…DTP装置
18…データベースサーバ 20…測色計
24…印刷物 28…コントロールストリップ
30…測色センサ 32a〜32i…カラーパッチ
42…制御部 46…メモリ
52…表示部 56…色較正データ作成部
58…色管理データ作成部 64…ストリップ付加部
66…時間取得部 68…測色データ取得部
70…色管理条件設定部 72…予測曲線作成部
74…実施時間間隔算出部 76…実施周期決定部
RP…推奨実施周期
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置における色の精度管理に関する色管理条件を設定する色管理条件設定部と、
前記印刷装置により色標本として印刷されたカラーパッチの測色値を該カラーパッチの印刷時点と対応付けて取得する測色値取得部と、
前記測色値取得部により複数の印刷時点で取得された複数の測色値と、前記色管理条件設定部により設定された前記色管理条件とに基づいて、前記印刷装置に対するキャリブレーションの実施周期を決定する実施周期決定部と
を有することを特徴とする印刷色管理装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷色管理装置において、
前記色管理条件設定部は、前記印刷装置の用途及び/又は標準規格の種類に応じて前記色管理条件を設定することを特徴とする印刷色管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の印刷色管理装置において、
前記実施周期決定部により決定された前記実施周期を表示するための周期表示画像を作成する周期表示画像作成部をさらに有することを特徴とする印刷色管理装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷色管理装置において、
前記測色値取得部により取得された少なくとも1つの測色値が、前記色管理条件に適合する値であるか否かを判定する適否判定部と、
前記適否判定部による判定結果を可視化するための結果表示画像を作成する結果表示画像作成部と
をさらに有することを特徴とする印刷色管理装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の印刷色管理装置において、
前記周期表示画像作成部により作成された前記周期表示画像、及び/又は前記結果表示画像作成部により作成された前記結果表示画像を表示する表示部をさらに有することを特徴とする印刷色管理装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷色管理装置において、
前記実施周期決定部は、前記複数の印刷時点及び前記複数の測色値に基づいて作成された予測曲線から前記実施周期を決定することを特徴とする印刷色管理装置。
【請求項7】
印刷装置における色の精度管理に関する色管理条件を設定する設定ステップと、
前記印刷装置により色標本として印刷されたカラーパッチの測色値を該カラーパッチの印刷時点と対応付けて取得する取得ステップと、
複数の印刷時点で取得された複数の測色値と、設定された前記色管理条件とに基づいて、前記印刷装置に対するキャリブレーションの実施周期を決定する決定ステップと
を備えることを特徴とする印刷色管理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
印刷装置における色の精度管理に関する色管理条件を設定する色管理条件設定部、
前記印刷装置により色標本として印刷されたカラーパッチの測色値を該カラーパッチの印刷時点と対応付けて取得する測色値取得部、
前記測色値取得部により複数の印刷時点で取得された複数の測色値と、前記色管理条件設定部により設定された前記色管理条件とに基づいて、前記印刷装置に対するキャリブレーションの実施周期を決定する実施周期決定部
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
印刷装置における色の精度管理に関する色管理条件を設定する色管理条件設定部と、
前記印刷装置により色標本として印刷されたカラーパッチの測色値を該カラーパッチの印刷時点と対応付けて取得する測色値取得部と、
前記測色値取得部により複数の印刷時点で取得された複数の測色値と、前記色管理条件設定部により設定された前記色管理条件とに基づいて、前記印刷装置に対するキャリブレーションの実施周期を決定する実施周期決定部と
を有することを特徴とする印刷色管理装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷色管理装置において、
前記色管理条件設定部は、前記印刷装置の用途及び/又は標準規格の種類に応じて前記色管理条件を設定することを特徴とする印刷色管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の印刷色管理装置において、
前記実施周期決定部により決定された前記実施周期を表示するための周期表示画像を作成する周期表示画像作成部をさらに有することを特徴とする印刷色管理装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷色管理装置において、
前記測色値取得部により取得された少なくとも1つの測色値が、前記色管理条件に適合する値であるか否かを判定する適否判定部と、
前記適否判定部による判定結果を可視化するための結果表示画像を作成する結果表示画像作成部と
をさらに有することを特徴とする印刷色管理装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の印刷色管理装置において、
前記周期表示画像作成部により作成された前記周期表示画像、及び/又は前記結果表示画像作成部により作成された前記結果表示画像を表示する表示部をさらに有することを特徴とする印刷色管理装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷色管理装置において、
前記実施周期決定部は、前記複数の印刷時点及び前記複数の測色値に基づいて作成された予測曲線から前記実施周期を決定することを特徴とする印刷色管理装置。
【請求項7】
印刷装置における色の精度管理に関する色管理条件を設定する設定ステップと、
前記印刷装置により色標本として印刷されたカラーパッチの測色値を該カラーパッチの印刷時点と対応付けて取得する取得ステップと、
複数の印刷時点で取得された複数の測色値と、設定された前記色管理条件とに基づいて、前記印刷装置に対するキャリブレーションの実施周期を決定する決定ステップと
を備えることを特徴とする印刷色管理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
印刷装置における色の精度管理に関する色管理条件を設定する色管理条件設定部、
前記印刷装置により色標本として印刷されたカラーパッチの測色値を該カラーパッチの印刷時点と対応付けて取得する測色値取得部、
前記測色値取得部により複数の印刷時点で取得された複数の測色値と、前記色管理条件設定部により設定された前記色管理条件とに基づいて、前記印刷装置に対するキャリブレーションの実施周期を決定する実施周期決定部
として機能させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−217054(P2012−217054A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81185(P2011−81185)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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