説明

印刷装置、印刷制御装置、印刷方法、および印刷のためのコンピュータープログラム

【課題】ネットワークを介して接続された印刷装置を用いた印刷をより容易にする。
【解決手段】印刷装置は、ネットワークを介してユーザーのコンピューターと接続されている。この印刷装置は、ユーザーのメールアドレスを取得して、取得されたメールアドレスを宛先として電子メールを送信する。ユーザーが印刷装置から送信された電子メールに対して所定の操作を行うと、当該操作に応じてデータが印刷装置に送信される。印刷装置は、送信されるデータに応じて印刷を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ネットワークを介して接続された印刷装置を用いて印刷を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置をネットワークに接続し、ネットワークに接続したコンピューターから印刷装置を用いて印刷することが行われている。このようなネットワークを介して印刷を行うことが可能な印刷装置(ネットワークプリンター)を用いて印刷を行う場合、コンピューターと印刷装置との間でデータの授受が可能となるようにネットワークの設定を行うとともに、印刷装置に適合したデバイスドライバー(プリンタードライバー)をコンピューターにインストールすることが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−188192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コンピューターのユーザーがネットワークに関する十分な知識を有していない場合、ネットワークの設定を行うことは、必ずしも容易でない。また、コンピューターにインストールされるプリンタードライバーとしては、コンピューターのオペレーティングシステム(OS)に適合したものを使用することが要求される。そのため、オペレーティングシステムに適合したプリンタードライバーが提供されていない場合等、印刷装置で印刷を行うことができない場合がある。
【0005】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、ネットワークを介して接続された印刷装置を用いた印刷をより容易にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
ユーザーのコンピューターとネットワークを介して接続された印刷装置であって、前記ユーザーのメールアドレスを取得するメールアドレス取得部と、前記メールアドレス取得部により取得された前記メールアドレスを宛先として電子メールを送信する電子メール送信部と、前記電子メール送信部により送信された前記電子メールに対する前記ユーザーの所定の操作に応じて前記印刷装置に送信されるデータに応じて印刷を行う送信データ印刷部とを備える印刷装置。
【0008】
この適用例によれば、印刷装置は、ユーザーのメールアドレスを宛先として電子メールを送信し、当該電子メールに対するユーザーの所定の操作に応じて送信されるデータに応じて印刷を行う。そのため、ユーザーは、電子メールに対して所定の操作を行うことにより印刷を行うことができるので、より容易にネットワークを介して接続された印刷装置を用いて印刷を行うことができる。
【0009】
[適用例2]
適用例1記載の印刷装置であって、さらに、原稿の画像を読み取る画像読取部を備えており、前記メールアドレス取得部は、前記画像読取部が前記原稿として前記ユーザーのメールアドレスが記載された文書を読み取った文書画像に基づいて、前記ユーザーのメールアドレスを取得する印刷装置。
【0010】
この適用例によれば、ユーザーは、画像読み取り部にメールアドレスが記載された文書を読み取らせることにより、印刷のための電子メールを受け取ることが可能となる。
【0011】
[適用例3]
適用例1または2記載の印刷装置であって、さらに、前記印刷装置のメールアドレスを印刷する装置アドレス印刷部を備えており、前記メールアドレス取得部は、前記装置アドレス印刷部により印刷された前記印刷装置のメールアドレスに対して前記ユーザーから送信される電子メールに基づいて、前記ユーザーのメールアドレスを取得する印刷装置。
【0012】
この適用例によれば、ユーザーは、自身のメールアドレスが記載された文書を持っていない場合であっても、印刷装置のメールアドレスに対して電子メールを送信することにより、印刷のための電子メールを受け取ることが可能となる。
【0013】
[適用例4]
適用例1ないし3のいずれか記載の印刷装置であって、前記送信データ印刷部は、前記電子メールに対する返信メールに添付されたデータに応じて印刷を行う印刷装置。
【0014】
この適用例によれば、電子メールにデータを添付することにより印刷が行われるので、印刷装置による印刷がより容易となる。
【0015】
[適用例5]
適用例4記載の印刷装置であって、さらに、前記メールアドレス取得部により取得された前記メールアドレスを登録するユーザー登録部を備えており、前記送信データ印刷部は、前記ユーザー登録部に登録されたメールアドレスから送信されたデータのみについて印刷を行う印刷装置。
【0016】
この適用例によれば、登録されたメールアドレスから送信されたデータのみについて印刷を行うことにより、意図しない第三者からの電子メールにより印刷が行われることを抑制できる。
【0017】
[適用例6]
適用例1ないし3のいずれか記載の印刷装置であって、さらに、前記コンピューターにウェブページを表示させるウェブサーバーを備えており、前記電子メールは、前記ウェブページを特定するウェブページ情報を含んでおり、前記送信データ印刷部は、前記ウェブページ情報に基づいて前記ユーザーによりアクセスされる前記ウェブページを用いて前記ウェブサーバーに送信されるデータに応じて印刷を行う印刷装置。
【0018】
この適用例によれば、コンピューターがウェブページを表示可能であれば、ウェブページを用いてより柔軟に印刷を行うことが可能となる。
【0019】
[適用例7]
適用例6記載の印刷装置であって、さらに、前記メールアドレス取得部により取得された前記メールアドレスを登録するユーザー登録部を備えており、前記電子メールは、前記ユーザー登録部に登録されたユーザーを認証するための認証情報を含み、前記ウェブサーバーは、前記認証情報を用いて認証を行うことにより、前記登録されたユーザー以外からの前記ウェブページへのアクセスを拒否する印刷装置。
【0020】
この適用例によれば、認証されていないユーザのアクセスが拒否されるので、印刷装置のセキュリティーをより高めることができる。
【0021】
[適用例8]
適用例1ないし7のいずれか記載の印刷装置であって、さらに、前記送信されたデータを格納する送信データ格納部と、前記送信データ格納部に格納されたデータと、該データに関する関連情報とを対応付けて登録するログ登録部と、前記関連情報に基づいて、前記格納されたデータを特定するデータ特定部とを備える印刷装置。
【0022】
送信されたデータを格納し、格納されたデータに対応づけられた関連情報に基づいてデータを特定することにより、格納されたデータの再利用がより容易となる。
【0023】
[適用例9]
適用例8記載の印刷装置であって、前記送信データ印刷部は、前記関連情報を表す関連情報画像を印刷された媒体上に記録し、前記データ特定部は、前記関連情報画像を取得し、取得した関連情報画像に基づいて前記格納されたデータを特定する印刷装置。
【0024】
この適用例によれば、印刷媒体上に記録された関連情報画像に基づいて格納されたデータを特定することができるので、所望のデータをより容易に検索することが可能となる。
【0025】
[適用例10]
適用例8記載の印刷装置であって、さらに、前記データ特定部により特定されたデータに応じて印刷を行う特定データ印刷部を備える印刷装置。
【0026】
この適用例によれば、格納されたデータを用いた印刷がより容易となる。
【0027】
[適用例11]
適用例8ないし10のいずれか記載の印刷装置であって、さらに、前記データ特定部により特定されたデータを前記コンピューターに送信する特定データ送信部を備える印刷装置。
【0028】
この適用例によれば、格納されたデータがコンピュータに送信されるので、ユーザーはデータを再利用することができる。
【0029】
[適用例12]
適用例8ないし11のいずれか記載の印刷装置であって、前記ログ登録部は、前記格納されたデータと、前記格納されたデータを用いて印刷された結果を表す印刷画像データとを対応付けて登録し、前記データ特定部により特定されたデータに対応付けられた印刷画像データを前記コンピューター上に表示させる印刷装置。
【0030】
この適用例によれば、印刷画像データにより特定されたデータが所望のデータであるか否かを確認することがより容易となる。
【0031】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、印刷装置と印刷方法、その印刷装置の制御装置や制御方法、それらの装置や方法を実現するためのコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録したコンピューター可読媒体、そのコンピュータープログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の態様で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施例の印刷システムの構成を示す概略構成図。
【図2】複合機と管理サーバーとの構成を示すブロック図。
【図3】第1の印刷態様における処理の流れを示すシーケンス図。
【図4】ユーザーが自分の名刺をスキャンする様子を示す説明図。
【図5】ユーザーに招待メールが送信される様子を示す説明図。
【図6】招待メールへの返信により印刷を行う様子を示す説明図。
【図7】複合機において印刷が実行される様子を示す説明図。
【図8】第2の印刷態様における処理の流れを示すシーケンス図。
【図9】ユーザーがポータルサイトにアクセスする様子を示す説明図。
【図10】ユーザー登録の他の態様における処理の流れを示すシーケンス図。
【図11】複合機の名刺を用いたユーザーの登録方法においてユーザー自身のメールアドレスを登録する様子を示す説明図。
【図12】第2実施例における複合機と管理サーバーとの構成を示すブロック図。
【図13】返信メールにより印刷を行う際の処理の流れを示すシーケンス図。
【図14】ユーザーが印刷ログを参照するためにポータルサイトにアクセスする様子を示す説明図。
【図15】表示ウィンドウ内にログ参照画面が表示されている様子を示す説明図。
【図16】ログ参照画面上でサムネイル画像をクリックした際に表示される選択ログ表示画面を示す説明図。
【図17】第3実施例における複合機と管理サーバーとの構成を示すブロック図
【図18】バーコードを用いて印刷ログが参照される際の処理の流れを示すシーケンス図。
【図19】ユーザーがバーコードが記録された書類をスキャンする様子を示す説明図。
【図20】第3実施例において、管理サーバーから送信されるメールの一例を示す説明図。
【図21】バーコードを用いてファイルを特定する他の態様を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて説明する。
A.第1実施例:
A1.印刷システム:
図1は、第1実施例の印刷システム10の構成を示す概略構成図である。この印刷システム10は、スキャナ・プリンター・コピー複合機100(以下、単に「複合機100」と呼ぶ)と、管理サーバー200と、パーソナルコンピューター300とを有している。複合機100と、管理サーバー200と、パーソナルコンピューター300とは、それぞれ、互いに異なるローカルエリアネットワークLAN1〜LAN3を介してインターネットINETに接続されている。ローカルエリアネットワークLAN1〜LAN3としては、有線や無線などの種々のネットワークを使用することが可能である。なお、第1実施例では、複合機100と、管理サーバー200と、パーソナルコンピューター300とが、それぞれ別個のローカルエリアネットワークLAN1〜LAN3に接続されているが、これらの機器100,200,300のうち任意の2つの機器が同一のローカルエリアネットワークに接続されていても良く、これらの機器100,200,300の全てが同一のローカルエリアネットワークに接続されていても良い。
【0034】
図2は、印刷システム10が有する複合機100と管理サーバー200との構成を示すブロック図である。なお、パーソナルコンピューター300は、電子メール(以下、単に「メール」と呼ぶ)の送受信機能とウェブ(Web)ブラウザー機能とを有する周知のコンピューターであるので、ここではその説明を省略する。
【0035】
複合機100は、CPU110と、RAM120と、ROM130と、操作パネルインターフェース(操作パネルI/F)140と、機構部インターフェース(機構部I/F)150と、ネットワークインターフェース(ネットワークI/F)160とを備えている。操作パネルインターフェース140は、複合機100が有する操作パネル(図示しない)とのデータの授受を行うためのインターフェースである。機構部インターフェース150は、印刷を行う機構であるプリントエンジンや、原稿台(図示しない)に置かれた原稿を読み取る機構であるスキャンエンジン等(いずれも図示しない)の各種の機構部とのデータの授受を行うためのインターフェースである。ネットワークインターフェース160は、ローカルエリアネットワークLAN1とのデータの授受を行うためのインターフェースである。
【0036】
CPU110は、ROM130に格納されたプログラムコード、あるいは、ROM130からRAM120に転送されたプログラムコードを実行する。これによりCPU110は、スキャン処理部510と、プリント処理部520と、OCR処理部530と、メールアドレス送信部540と、名刺印刷部550と、印刷指示受信部560としての機能を実現する。
【0037】
スキャン処理部510は、機構部インターフェース150を介して、スキャンエンジンを制御するとともに、スキャンエンジンから出力されるスキャンデータを取得する。スキャン処理部510は、取得したスキャンデータから所定の形式(例えば、JPEGやTIFF)の画像データを生成する。また、スキャン処理部510を、スキャンデータあるいは画像データからPDF形式等の所定の形式の文書データを生成するように構成しても良い。プリント処理部520は、ネットワークインターフェース160やUSBインターフェース(図示しない)を介して転送されてきた画像データや文書データ、あるいは、スキャン処理部510が取得したスキャンデータから、印刷データを生成する。プリント処理部520は、機構部インターフェース150を介して、プリントエンジンを制御するとともに、プリントエンジンに生成された印刷データを出力する。これにより、プリントエンジンは、印刷を実行する。なお、スキャン処理部510やプリント処理部520における具体的な処理と、スキャンエンジンやプリントエンジン等の機構部の具体的な構成とは、本発明と直接関連しないので、それらの説明を省略する。
【0038】
OCR処理部530は、スキャン処理部510が取得したスキャンデータ、あるいは、スキャン処理部510が生成した画像データや文書データを解析することにより、原稿に記載された文字を認識する。メールアドレス送信部540と、名刺印刷部550と、印刷指示受信部560との機能については、後述する。
【0039】
管理サーバー200は、CPU210と、RAM220と、ROM230と、ユーザーデータベースが格納されたハードディスクドライブ(HDD)240と、入出力インターフェース(I/F)250と、ネットワークインターフェース(I/F)260とを備えている。入出力インターフェース250は、管理サーバー200が有するディスプレイやキーボード等(いずれも図示しない)とのデータの授受を行うためのインターフェースである。ネットワークインターフェース260は、ローカルエリアネットワークLAN2とのデータの授受を行うためのインターフェースである。
【0040】
管理サーバー200のCPU210は、ROM230に格納されたプログラムコード、あるいは、ROM230やHDD240からRAM120に転送されたプログラムコードを実行する。これによりCPU210は、メール送信部610と、メール解析部620と、HTTP処理部630と、ユーザー登録部640と、印刷指示送信部650としての機能を実現する。これらの各機能部610〜650の具体的な機能については、後述する。
【0041】
なお、第1実施例では、メール送信部610と、メール解析部620と、HTTP処理部630と、ユーザー登録部640と、印刷指示送信部650としての機能は、管理サーバー200のCPU210により実現されている。この場合、複合機100と管理サーバー200とは、併せて「印刷装置」とも言うことができる。また、CPU10により実現される種々の機能を複合機100のCPU110により実現することも可能である。この場合、印刷装置としての複合機100には、ユーザーデータベースを格納するためのハードディスクドライブが設けられ、管理サーバー200は省略される。
【0042】
A2.印刷態様1:
図3は、印刷システム10において印刷が行われる一態様において、複合機100、管理サーバー200、およびパーソナルコンピューター300により行われる処理の流れを示すシーケンス図である。
【0043】
第1の印刷態様では、まず、ユーザーが自分の名刺をスキャンする(ステップ[U102])。図4は、ユーザーが自分の名刺をスキャンする様子を示す説明図である。図4(a)に示すように、ユーザーは、自分の名刺NCUを複合機100の原稿台810に置く。次いで、図4(b)に示すように、ユーザーは、複合機100に設けられた操作パネル820のメール送信ボタン822を押す。ユーザーがメール送信ボタン822を押すと、複合機100のスキャン処理部510(図2)は、原稿としての名刺NCUのスキャンを行い、名刺NCUの画像を取得する。なお、スキャンする原稿は必ずしも名刺でなくともよく、一般に、ユーザーは、メールアドレスが記載された文書であれば、任意の文書をスキャンするものとしてもよい。
【0044】
図3のステップ[M104]において、複合機100のOCR処理部530(図2)は、スキャンした名刺の画像から文字を認識してユーザーのメールアドレスを取得する。OCR処理部530により取得されたユーザーのメールアドレスは、メールアドレス送信部540(図2)に供給される。メールアドレス送信部540は、供給されたメールアドレスを管理サーバー200に送信する(ステップ[M106])。
【0045】
管理サーバー200がメールアドレスを受信すると、ユーザー登録部640(図2)は、ユーザーのメールアドレスを登録し、ユーザーのポータルサイトを生成する(ステップ[S108])。具体的には、ポータルサイトとなるウェブページを表すHTML(Hyper Text Markup Language)のデータを生成するとともに、生成したHTMLデータをHDD240の所定の領域に格納する。また、HDD240に格納されたユーザーデータベースに、ユーザーのメールアドレスと、HTMLデータの格納場所を表す情報とを対応付けて登録する。なお、以下では、ユーザーのメールアドレスを登録することを、「ユーザーを登録する」ともいう。
【0046】
ポータルサイトの生成(ステップ[S108])の後、メール送信部610(図2)は、ユーザーのメールアドレスを宛先として、ユーザーが登録された旨のメールを送信する(ステップ[S110])。なお、このメールは、複合機100側からユーザーを招き入れるメールである。そのため、以下では、ステップ[S110]で送信されるメールを「招待メール」とも呼ぶ。
【0047】
図5は、ステップ[S110]においてユーザーに招待メールが送信される様子を示している。図5(a)に示すように、ユーザーのパーソナルコンピューター300には、メールが送信される。なお、管理サーバー200から送信される招待メールは、ユーザーには、複合機100から送信されたものとして認識されている。図5(b)は、ステップ[S110]においてユーザーに送信される招待メールの一例を示している。この招待メールには、プリンター(すなわち、複合機100)にユーザー(図5(b)の例では、「dekoboko」)が登録された旨の標題SBIと、差出人が複合機100を表す「プリンター 2F−A」であり、宛先がユーザー「dekoboko」であることを示すアドレスADIと、メールの本文TXIとを含んでいる。
【0048】
本文TXIには、「プリンター 2F−A」で印刷する方法が記載されている。具体的には、印刷したいファイルを添付して招待メールに返信することにより印刷が可能であることと、ユーザーがポータルサイト(MyPage)にアクセスすることにより印刷が可能であることとが記載されている。
【0049】
図3のステップ[U112]において、ユーザーは、印刷を行うファイルを添付して招待メールに返信する。図6は、ユーザーが招待メールに返信する様子を示している。図6(a)に示すように、ユーザーはパーソナルコンピューター300から、招待メールの差出人としての複合機100に返信する。ユーザーがパーソナルコンピューター300上で招待メールに返信すると、図3に示すように、パーソナルコンピューター300は、管理サーバー200に返信メールを送信する(ステップ[P114])。なお、返信メールの宛先は、実際には管理サーバー200であるが、ユーザーは、複合機100にメールを返信していると認識している。
【0050】
図6(b)は、ユーザーが招待メールに対して返信する返信メールの一例を示している。返信メールは、招待メールと同様に、標題SBRとアドレスADRと本文TXRとを含んでいる。また、返信メールには、印刷の対象となるファイル(図6(b)の例では、「図形.psd」)が添付されている。返信メールの標題SBRは、招待メールの標題SBI(図5(b))に、返信であることを示す文字列「RE:」が付加されている。アドレスADRは、招待メールのアドレスADIの差出人と宛先とが反転している。そして、返信メールの本文TXRには、印刷条件を表す文字列「A4、両面、3部」が含まれている。
【0051】
図3のステップ[S116]において、管理サーバー200のメール解析部620(図2)は、返信メールの本文TXRを解析して、印刷条件を取得する。図6(b)の例では、本文TXRに印刷条件を表す文字列「A4、両面、3部」が含まれている。そのため、複合機100における印刷条件として、印刷用紙がA4であり、印刷面が両面であり、印刷部数が3部であるという条件が取得される。
【0052】
次いで、ステップ[S118]において、管理サーバー200の印刷指示送信部650(図2)は、返信メールに添付されてきたファイル(図6(b)の例では、「図形.psd」)を複合機100に転送するとともに、ステップ[S116]において取得された印刷条件での印刷を複合機100に指示する。ステップ[S118]において、複合機100の印刷指示受信部560(図2)は、転送されてきたファイルと、印刷指示とを受信する。これらのファイルと印刷指示とは、プリント処理部520に供給される。ステップ[M120]において、複合機100のプリント処理部520は、ステップ[S118]において転送されてきたファイルの印刷を行う。これにより、複合機100は、図7に示すように、紙などの印刷媒体PMD上にファイルの内容を印刷する。なお、第1実施例では、管理サーバー200の印刷指示送信部650は、返信メールに添付されたファイルをそのまま複合機100に転送しているが(ステップ[S118])、管理サーバー200側において添付ファイルを複合機100で処理可能なデータ形式に変換するものとしてもよい。また、管理サーバー200側において複合機100のプリントエンジンに供給する印刷データを生成するものとしてもよい。
【0053】
A3.印刷態様2:
図8は、第2の印刷態様において、複合機100、管理サーバー200、およびパーソナルコンピューター300により行われる処理の流れを示すシーケンス図である。図8に示す第2の印刷態様における処理の流れは、パーソナルコンピューター300におけるユーザーの操作がステップ[U112]からステップ[U212]に置き換えられている点と、ステップ[P114],[S116]がステップ[H214]に置き換えられている点とで、図3に示す第1の印刷形態における処理の流れと異なっている。具体的には、第2の印刷態様では、ユーザーが招待メールに対して返信を行わず、ユーザーが招待メールに記載されたポータルサイト(MyPage)にアクセスすることにより印刷が行われる。他の点は、第1の印刷態様と同様である。
【0054】
図8のステップ[S212]において、ユーザーは、ウェブブラウザを用いてポータルサイトにアクセスする。図9は、ユーザーがポータルサイトにアクセスする様子を示す説明図である。図9(a)は、ユーザー(dekoboko)が招待メールに記載されたポータルサイトのURL(Unified Resource Locator)をクリックする様子を示している。なお、図9(a)は、マウスカーソルが表示されている他は、図5(b)と同じ図面である。ユーザーが招待メールに記載されたURLをクリックすると、パーソナルコンピューター300上では、ウェブブラウザが起動される。そして、パーソナルコンピューター300のウェブブラウザは、管理サーバー200のHTTP処理部630との間で、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)に準拠したデータの授受を行う(ステップ[H214])。これにより、ウェブブラウザ上には、クリックされたURLで示されるウェブページ(dekobokoさんのMyPage)が表示される。そして、パーソナルコンピューター300とHTTP処理部630との間で種々のメッセージのやり取りを行うことにより、種々の機能が実現される。なお、HTTP処理部630は、HTTPによりクライアントであるパーソナルコンピューター300にウェブページを表示させるので、HTTPサーバーとも呼ばれる。また、一般に、ウェブページを表示させる機能を有しているので、ウェブサーバーとも言うことができる。
【0055】
図9(b)は、ポータルサイトの一例を示す説明図である。ウェブブラウザの画面WBS上には、ウェブページのタイトルTTL(図9(b)の例では、dekobokoさんのMyPage)と、アドレスバーABRと、表示ウィンドウWNDとが表示される。アドレスバーABRは、表示中のウェブページのURLを示すテキストボックスTBUを有している。表示ウィンドウWNDは、プレビュー画面PVWと、印刷条件を設定するためのテキストボックスTBP,TBS,TBNと、印刷ボタンBNPとを含んでいる。
【0056】
印刷するファイルは、例えば、プレビュー画面PVW上に選択したファイルをドラッグ・アンド・ドロップすることにより指定することができる。ここで、ドラッグ・アンド・ドロップとは、ファイルのリストから特定のファイルをマウスのボタンを押して選択し、マウスのボタンを押した状態を維持しながらマウスカーソルを移動し、移動先においてマウスのボタンを離すことを言う。ユーザーは、ウェブブラウザ上でテキストボックスTBP,TBS,TBNに入力を行うことにより印刷条件を設定する。図9(b)の例では、印刷条件として、印刷用紙がA4であり、印刷面が両面であり、印刷部数が1部であるという条件が設定されている。
【0057】
印刷条件の設定後、ユーザーが印刷ボタンBNPをクリックすると、第1の印刷形態と同様に、ステップ[S118]では、指定されたファイルの複合機100への転送と、ステップ[H214]において設定された印刷条件での印刷指示とが行われ、ステップ[M120]において、複合機100で印刷が実行される。
【0058】
A4.ユーザー登録の他の態様:
図10は、ユーザー登録の他の態様において、複合機100、管理サーバー200、およびパーソナルコンピューター300により行われる処理の流れを示すシーケンス図である。図10に示す他の態様における処理の流れは、ステップ[U102]〜[M106]が、ステップ[U302]〜[P308]に置き換えられている点で、図3に示す処理の流れと異なっている。具体的には、この態様におけるユーザー登録は、ユーザーが自分の名刺をスキャンするのに換えて、複合機100の名刺を印刷し、名刺に印刷されたメールアドレスにメールを送信することによってユーザー登録が行われる。他の点は、ユーザー自身の名刺を用いた場合の処理の流れと同様である。図11は、図10に示す複合機100の名刺を用いたユーザーの登録方法において、ユーザーがユーザー自身のメールアドレスを登録する様子を示す説明図である。
【0059】
図10のステップ[U302]において、ユーザーは、複合機100に名刺の印刷を指示する。具体的には、図11(a)に示すように、ユーザーは、複合機100の操作パネル820に設けられた名刺印刷ボタン824を押す。ユーザーが名刺印刷ボタン824を押すと、ステップ[M304]において、複合機100の名刺印刷部550(図2)は、図11(b)に示すように、複合機100に割り当てられたメールアドレスを含む名刺NCMを印刷する。図11(b)に示す名刺NCMには、複合機100に割り当てられたメールアドレス「2FA@printer.xxxxxx.co.jp」と、複合機100の名称「プリンター 2F−A」とが印刷されている。
【0060】
次いで、図10のステップ[U306]において、ユーザーは、名刺NCMに印刷されたメールアドレスに宛てて空のメールを送信する。これにより、パーソナルコンピューター300は、管理サーバー200に空のメールを送信する(ステップ[P308])。なお、このユーザー登録方法においても、図11(c)に示すように、ユーザーは複合機100をメールの宛先と認識している。
【0061】
このように、空のメールを送信することにより、管理サーバー200は、ユーザーのメールアドレスを取得することができる。したがって、ユーザー自身の名刺によるユーザー登録後と同じ処理(図3および図8のステップ[S108]〜[M120])により、ユーザーは複合機100を用いて印刷することが可能となる。
【0062】
なお、第1実施例では、ユーザー自身の名刺を用いたユーザー登録方法と、複合機100の名刺を用いたユーザー登録方法との双方の方法を使用可能としているが、少なくとも一方のユーザー登録方法が使用可能であればよい。
【0063】
また、第1実施例では、ユーザーが返信メールにファイルを添付して印刷を行う第1の印刷態様と、ユーザーがポータルサイトにアクセスして印刷を行う第2の印刷態様との2つの印刷態様を使用可能としているが、少なくとも一方の印刷態様が使用可能であればよい。
【0064】
このように、第1実施例では、ユーザーにメールを送信し、送信したメールに対するユーザーの所定の操作状態を取得し、取得した操作状態に基づいて印刷を行っている。そのため、ユーザーは、電子メールに対する操作を行うことにより印刷を行うことができるので、印刷のための設定が不要となり、ネットワークの知識を十分に持たない場合でも印刷を行うことが可能となる。また、電子メールが使用可能であれば印刷が可能となるので、プリンタードライバーが提供されていない機器を用いて印刷を行うことが可能となる。
【0065】
また、第1の印刷態様によれば、返信メールの本文中に指示を書くことにより印刷条件を設定でき、第2の印刷態様によれば、ウェブブラウザを用いて印刷条件を設定する。そのため、所望の条件で印刷を行うことがより容易となる。
【0066】
なお、第1の印刷態様では、返信メールを受信した場合に印刷が行われる。また、第2の印刷態様では、ユーザーがポータルサイトのURLをクリックすることにより、ユーザーは印刷のためのポータルサイトにアクセスすることが可能となっている。このように、第1実施例では、ユーザーの認証を行っていないが、ユーザーの認証を行うことも可能である。第1の印刷態様では、例えば、登録されたメールアドレスからの返信メールに対してのみ印刷を行うものとしてもよい。また、招待メールにパスワードを埋め込み、埋め込まれたパスワードを用いて、返信メールあるいはポータルサイトへのアクセスの認証を行うことができる。返信メールの認証は、返信メールの本文あるいはヘッダーにパスワードを埋め込むことにより行うことができる。また、ポータルサイトへのアクセスの認証は、URLのパラメータへのパスワードの付加や、HTTPに基づく所定のメッセージ(GETメッセージ)等を用いて行うことができる。
【0067】
B.第2実施例:
B1.ログの登録:
図12は、第2実施例の印刷システム12が有する複合機100と管理サーバー202との構成を示すブロック図である。第2実施例の印刷システム12は、管理サーバー202のCPU210が、ログ登録部660とログ参照部670との機能を実現している点と、HDD240にログデータベースが格納されている点とで、図2に示す第1実施例の印刷システム10と異なっている。他の点は、第1実施例と同様である。
【0068】
図13は、第2実施例の印刷システム12において、ユーザーが返信メールにファイルを添付することにより印刷を行う際の処理の流れを示すシーケンス図である。図13に示す処理の流れは、ステップ[S118]の後、複合機100における印刷(ステップ[M120])と並行して、管理サーバー202において行われるステップ[S122]が付加されている点で、第1実施例と異なっている。
【0069】
ステップ[S122]では、管理サーバー202のログ登録部660が、印刷ログをHDD240に格納されたログデータベースに登録する。具体的には、印刷したファイルをHDD240の所定の領域に格納するとともに、ファイルの格納位置と、印刷したファイルのサムネイル画像と、印刷の際に指定された印刷条件とを、印刷日時に関連付けてログデータベースに登録する。印刷ログの登録は、ユーザーがポータルサイトにアクセスして印刷を行った場合においても、図13の処理と同様に行われる。なお、HDD240には、必ずしも印刷を行ったデータのみでなく、ユーザーから送信され、印刷が行われなかったデータも格納するものとしてもよい。この場合、ログデータベースには、ファイルの格納位置とサムネイル画像とが登録される。また、ログデータベースには、格納されたファイルの特定に利用可能であれば、ファイルに関する任意の情報(例えば、ログのID)を登録するものとしてもよい。
【0070】
B2.ログの参照:
図14は、ユーザーが印刷ログを参照するためにポータルサイトにアクセスする様子を示す説明図である。図14(a)は、図9(a)と同じ図であり、ユーザー(dekoboko)が招待メールに記載されたポータルサイトのURL(Unified Resource Locator)をクリックする様子を示している。図14(b)は、第2実施例におけるポータルサイト(dekobokoさんのMyPage)の一例を示している。第2実施例では、ウェブブラウザの画面WBS上に表示される表示ウィンドウWNDa内には、「印刷」と「ログ」との2つのタブが表示されている。図14(b)に示すように、ファイルの印刷を行うためのタブ「印刷」が選択されている場合には、第1実施例における表示ウィンドウWNDと同様の内容が表示される。
【0071】
図14(b)に示すように、ユーザーが「ログ」のタブをクリックすると、管理サーバー202(図13)のHTTP処理部630は、ログ参照部670を介してログデータベースにアクセスする。これにより、最近(例えば、アクセス当日から2日前まで)印刷されたファイルのサムネイル画像を取得する。そして、取得したサムネイル画像を印刷日順に並べて表示するように、表示ウィンドウWNDa内にログ参照画面を表示するHTMLデータを作成し、パーソナルコンピューター300に送信する。
【0072】
図15は、表示ウィンドウWNDa内にログ参照画面WLRが表示されている様子を示す説明図である。ログ参照画面WLRには、アクセスの当日(7月3日)から2日前(7月1日)までの期間に印刷された11個のファイルのサムネイル画像TN11〜TN34が、時系列的に日付DT1〜DT3の横に表示されている。また、日付DT1〜DT3の上下には、印刷ログの表示範囲を変更するためのスクロールボタンBS1,BS2が表示されている。ユーザーがこれらのスクロールボタンBS1,BS2のいずれかをクリックすると、ログ参照画面に表示される印刷ログの範囲が変更される。なお、図15の例では、アクセス当日(7月3日)のサムネイル画像が表示されているため、スクロールボタンBS2が機能しない。そのため、スクロールボタンBS2は、淡色表示(グレイアウト)されている。
【0073】
ユーザーがログ参照画面WLRに表示されたサムネイル画像TN11〜TN34のいずれをクリックすると、クリックされたサムネイル画像に対応する印刷ログが選択され、印刷ログに登録されたファイルをダウンロードあるいは印刷するための選択ログ表示画面が表示される。
【0074】
図16は、ユーザーが図15に示すログ参照画面WLR上でサムネイル画像TN23をクリックした際に表示される選択ログ表示画面WLDを示す説明図である。選択ログ表示画面WLDには、印刷結果を表す印刷状態画像IPSと、印刷条件を表す情報IPCと、ダウンロードボタンBNDと、印刷ボタンBNPとが含まれている。ユーザーが選択ログ表示画面WLD上においてダウンロードボタンBNDをクリックすると、ファイルが管理サーバー200からパーソナルコンピューター300に転送される。一方、ユーザーが選択ログ表示画面WLD上において印刷ボタンBNPをクリックすると、図13のステップ[S118]以降と同様の手順によって、ファイルの印刷が行われる。
【0075】
このように、第2実施例によれば、印刷したファイルが保存され、印刷ログを用いてファイルの際印刷やダウンロードが可能となる。そのため、データの再利用をより容易に行うことが可能となる。
【0076】
C.第3実施例:
C1.バーコードの記録:
図17は、第3実施例の印刷システム14が有する複合機104と管理サーバー204との構成を示すブロック図である。第3実施例の印刷システム14は、複合機104のCPU110が、スキャン画像送信部570の機能を実現している点と、管理サーバー204のCPU210により実現されるメール送信部614と印刷指示送信部654とログ参照部674との機能が異なっている点とで、図12に示す第2実施例の印刷システム12と異なっている。他の点は、第2実施例と同様である。
【0077】
印刷指示送信部654は、ステップ[M118](図13)において複合機104に返信メールに添付されたファイルを転送する際に、印刷したファイルを特定するためのバーコードを転送するファイルに埋め込む。バーコードの埋め込みは、バーコードがファイルが印刷された書類の端部に記録されるように行われる。なお、管理サーバー204側において添付ファイルを複合機104で処理可能なデータ形式に変換する場合等においては、管理サーバー204が生成するデータにバーコードを埋め込むものとしてもよい。また、バーコードの記録位置は、必ずしも書類の端部でなくとも良く、書類の裏面等、書類の印刷に影響を与えない任意の位置に記録することが可能である。
【0078】
C2.バーコードによる印刷ログの参照:
図18は、書類に記録されたバーコードを用いて印刷ログが参照される際の処理の流れを示すシーケンス図である。図19は、ユーザーがバーコードが記録された書類をスキャンする様子を示す説明図である。
【0079】
ステップ[U402]において、ユーザーは、バーコードが記録された書類を複合機104を用いてスキャンする。図19(a)は、ユーザーが記録された書類をスキャンする様子を示している。図19(a)に示すように、ユーザーは、バーコードが記録された書類DCMを複合機104の原稿台810に置いて、複合機104に設けられたメール送信ボタンを押す。
【0080】
ユーザーがメール送信ボタンを押すと、原稿台810に置かれた原稿が名刺か否かが判断される。原稿が名刺であると判断された場合には、図3のステップ[M104]において名刺の画像からメールアドレスが取得される。原稿が名刺でないと判断された場合には、複合機104のスキャン処理部510(図17)は、原稿としての書類DCMのスキャンを行い、書類DCMをスキャンした画像(スキャン画像)を取得する。取得されたスキャン画像は、ステップ[M404]において、複合機104のスキャン画像送信部570により、管理サーバー204に送信される。なお、原稿台810に置かれた原稿が名刺であるか否かは、例えば、原稿の大きさ等に基づいて判断することができる。但し、複合機104に、書類DCMをスキャンするための別個のボタンを設けるものとしてもよい。
【0081】
管理サーバー204がスキャン画像を受信すると、管理サーバー204のログ参照部674は、スキャン画像を解析してバーコードを読み取り、バーコードの記録内容に基づいて印刷ログを特定する(ステップ[S406])。次いで、ステップ[S408]において、ステップ管理サーバー204のメール送信部614は、特定された印刷ログに対応付けられたファイルをダウンロードするためのメールを、ユーザーのパーソナルコンピューター300に送信する。これにより、ユーザーは、図19(b)に示すように、メールを受信する。この場合においても、管理サーバー204から送信されるメールは、招待メールと同様に、ユーザーには複合機104から送信されたものとして認識されている。
【0082】
図20は、ステップ[S408]において管理サーバー204から送信されるメールの一例を示す説明図である。図20(a)は、バーコードを用いて特定されたファイルの大きさが所定のサイズ(例えば、1MByte)以下である場合に送信されるメールを示している。図20(a)のメールは、ファイルが取得可能である旨の標題SBDと、差出人が複合機104を表す「プリンター 2F−A」であり、宛先がユーザー「dekoboko」であることを示すアドレスADDと、メールにファイルが添付されている旨の本文TXAとを含んでいる。そして、メールには、バーコードを用いて特定されたファイル「図形.psd」が添付されている。この場合、ユーザーは、例えば、添付ファイルを示すアイコンをクリックすることにより、添付ファイルを取得することができる。
【0083】
一方、特定されたファイルの大きさが所定のサイズよりも大きい場合には、図20(b)に示すメールが送信される。図20(b)のメールは、ファイルが添付されていない点と、本文TXDがファイルのダウンロード先のURLを示している点とで、図20(a)のメールと異なっている。他の点は、図20(a)のメールと同じである。この場合、ユーザーが本文TXDに記載されたダウンロード先のURLをクリックすることにより、ウェブブラウザが起動される。そして、ユーザーは、ウェブブラウザを用いてファイルをダウンロードすることができる。
【0084】
第3実施例では、ファイルが大きい場合にファイルをメールに添付しないようにすることにより、メールのデータサイズが大きいためにメールが受信されないことを回避することが可能となる。なお、第3実施例では、ファイルの大きさが所定のサイズ以下である場合には、図20(a)に示すようにメールにファイルを添付しているが、ファイルの大きさにかかわらず、図20(b)に示すようにファイルと添付しないものとしてもよい。
【0085】
C3.バーコードを用いる他の態様:
図21は、バーコードを用いてファイルを特定する他の態様を示す説明図である。図21(a)では、ユーザーが、バーコードが記録された書類DCMをカメラCAMが搭載されたパーソナルコンピューター306にかざしている。パーソナルコンピューター306のウェブブラウザにより図15に示すログ参照画面WLRが表示されている場合、カメラCAMで取得された画像が、管理サーバー204のHTTP処理部630に送信される。なお、カメラCAMによる画像の取得と、取得した画像のHTTP処理部630への送信は、ログ参照画面WLRを表すHTMLデータに埋め込まれたアプレットや、パーソナルコンピューター306にインストールされたアプリケーションプログラムにより実現される。
【0086】
HTTP処理部630により受信された画像は、ログ参照部674に供給される。ログ参照部674は、複合機104で取得されたスキャン画像から印刷ログを特定する上述の処理と同様の処理を行い、印刷ログを特定する。
【0087】
このように特定された印刷ログは、HTTP処理部630に供給される。そして、HTTP処理部630は、印刷ログに登録されている日付を取得し、ログ参照画面WLRに表示される印刷ログの範囲を変更する。具体的には、スクロールボタンBS1,BS2がクリックされた際に表示される画面と同様な画面が順次表示され、特定されたファイルの印刷日がログ参照画面WLRに表示されるようにログ参照画面WLRがスクロールされる。但し、ログ参照画面WLRをスクロールすることなく、直ちに特定されたファイルの印刷日がログ参照画面WLRに表示されるように、印刷ログの範囲を変更するものとしてもよい。
【0088】
図21(b)は、このようにログ参照画面WLRがスクロールされ、バーコードにより特定されたファイルのサムネイル画像TNDが表示されている様子を示している。図21(b)に示すように、バーコードにより特定されたファイルが印刷された日(6月12日)がログ参照画面WLRの中央に位置している。そして、当該ファイルのサムネイル画像TNDが、印刷の日付DTDの右側に表示される。このときユーザーがサムネイル画像TNDをクリックすると、バーコードにより特定されたファイルをダウンロードあるいは印刷するための選択ログ表示画面WLD(図16)が表示される。
【0089】
なお、第3実施例においては、印刷書類にバーコードを埋め込み、埋め込まれたバーコードを用いて印刷ログを特定しているが、印刷書類が特定可能であれば種々の方法を用いることが可能である。例えば、バーコードに換えて、QRコード(株式会社デンソーウェーブの登録商標)等の二次元コードや、特定の文字列を書類に埋め込むものとしてもよい。さらに、種類自体を画像認識することにより印刷ログを特定することも可能である。例えば、印刷書類に記載された文字を認識し、認識した文字を用いて印刷ログを特定することも可能である。また、印刷書類の画像と、保存されたファイルの画像やサムネイル画像との類似率を評価し、評価された類似率に基づいて印刷ログを特定することもできる。類似率は、例えば、印刷書類の画像とファイルの画像等とを揺すらせ処理により位置を合わせ、排他的論理和を取ることにより評価することができる。ここで揺すらせ処理とは、2つの画像の位置関係をずらすことにより2つの画像の位置を合わせる処理のことをいう。
【符号の説明】
【0090】
10,12,14…印刷システム
100,104…複合機
110…CPU
120…RAM
130…ROM
140…操作パネルインターフェース
150…機構部インターフェース
160…ネットワークインターフェース
200,202,204…管理サーバー
210…CPU
220…RAM
230…ROM
240…HDD
250…入出力インターフェース
260…ネットワークインターフェース
300,306…パーソナルコンピューター
510…スキャン処理部
520…プリント処理部
530…OCR処理部
540…メールアドレス送信部
550…名刺印刷部
560…印刷指示受信部
570…スキャン画像送信部
610,614…メール送信部
620…メール解析部
630…HTTP処理部
640…ユーザー登録部
650,654…印刷指示送信部
660…ログ登録部
670,674…ログ参照部
810…原稿台
820…操作パネル
822…メール送信ボタン
824…名刺印刷ボタン
CAM…カメラ
DCM…書類
INET…インターネット
NCM,NCU…名刺
PMD…印刷媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーのコンピューターとネットワークを介して接続された印刷装置であって、
前記ユーザーのメールアドレスを取得するメールアドレス取得部と、
前記メールアドレス取得部により取得された前記メールアドレスを宛先として電子メールを送信する電子メール送信部と、
前記電子メール送信部により送信された前記電子メールに対する前記ユーザーの所定の操作に応じて前記印刷装置に送信されるデータに応じて印刷を行う送信データ印刷部と
を備える印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置であって、さらに、
原稿の画像を読み取る画像読取部を備えており、
前記メールアドレス取得部は、前記画像読取部が前記原稿として前記ユーザーのメールアドレスが記載された文書を読み取った前記文書の画像に基づいて、前記ユーザーのメールアドレスを取得する
印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の印刷装置であって、さらに、
前記印刷装置のメールアドレスを印刷する装置アドレス印刷部を備えており、
前記メールアドレス取得部は、前記装置アドレス印刷部により印刷された前記印刷装置のメールアドレスに対して前記ユーザーから送信される電子メールに基づいて、前記ユーザーのメールアドレスを取得する
印刷装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか記載の印刷装置であって、
前記送信データ印刷部は、前記電子メールに対する返信メールに添付されたデータに応じて印刷を行う印刷装置。
【請求項5】
請求項4記載の印刷装置であって、さらに、
前記メールアドレス取得部により取得された前記メールアドレスを登録するユーザー登録部を備えており、
前記送信データ印刷部は、前記ユーザー登録部に登録されたメールアドレスから送信されたデータのみについて印刷を行う
印刷装置。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれか記載の印刷装置であって、さらに、
前記コンピューターにウェブページを表示させるウェブサーバーを備えており、
前記電子メールは、前記ウェブページを特定するウェブページ情報を含んでおり、
前記送信データ印刷部は、前記ウェブページ情報に基づいて前記ユーザーによりアクセスされる前記ウェブページを用いて前記ウェブサーバーに送信されるデータに応じて印刷を行う
印刷装置。
【請求項7】
請求項6記載の印刷装置であって、さらに、
前記メールアドレス取得部により取得された前記メールアドレスを登録するユーザー登録部を備えており、
前記電子メールは、前記ユーザー登録部に登録されたユーザーを認証するための認証情報を含み、
前記ウェブサーバーは、前記認証情報を用いて認証を行うことにより、前記登録されたユーザー以外からの前記ウェブページへのアクセスを拒否する
印刷装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか記載の印刷装置であって、さらに、
前記送信されたデータを格納する送信データ格納部と、
前記送信データ格納部に格納されたデータと、該データに関する関連情報とを対応付けて登録するログ登録部と、
前記関連情報に基づいて、前記格納されたデータを特定するデータ特定部と
を備える印刷装置。
【請求項9】
請求項8記載の印刷装置であって、
前記送信データ印刷部は、前記関連情報を表す関連情報画像を印刷された媒体上に記録し、
前記データ特定部は、前記関連情報画像を取得し、取得した関連情報画像に基づいて前記格納されたデータを特定する
印刷装置。
【請求項10】
請求項8記載の印刷装置であって、さらに、
前記データ特定部により特定されたデータに応じて印刷を行う特定データ印刷部を備える印刷装置。
【請求項11】
請求項8ないし10のいずれか記載の印刷装置であって、さらに、
前記データ特定部により特定されたデータを前記コンピューターに送信する特定データ送信部を備える印刷装置。
【請求項12】
請求項8ないし11のいずれか記載の印刷装置であって、
前記ログ登録部は、前記格納されたデータと、前記格納されたデータを用いて印刷された結果を表す印刷画像データとを対応付けて登録し、
前記データ特定部により特定されたデータに対応付けられた印刷画像データを前記コンピューター上に表示させる
印刷装置。
【請求項13】
ユーザーのコンピューターとネットワークを介して接続され、印刷装置を制御する印刷制御装置であって、
前記ユーザーのメールアドレスを取得するメールアドレス取得部と、
前記メールアドレス取得部により取得された前記メールアドレスを宛先として電子メールを送信する電子メール送信部と、
前記電子メール送信部により送信された前記電子メールに対する前記ユーザーの所定の操作に応じて前記印刷制御装置に送信されるデータに応じた印刷を、前記印刷装置に行わせる送信データ印刷制御部と
を備える印刷制御装置。
【請求項14】
ネットワークを介して接続されたユーザーのコンピューターと通信を行うことにより印刷を実行する印刷方法であって、
前記ユーザーのメールアドレスを取得し、
取得した前記メールアドレスを宛先として電子メールを送信し、
送信した前記電子メールに対する前記ユーザーの所定の操作に応じて送信されてくるデータに応じて印刷を行う
印刷方法。
【請求項15】
ネットワークを介して接続されたユーザーのコンピューターと通信を行うことにより印刷を実行するためのコンピュータープログラムであって、
前記ユーザーのメールアドレスを取得する機能と
取得した前記メールアドレスを宛先として電子メールを送信する機能と、
送信した前記電子メールに対する前記ユーザーの所定の操作に応じて送信されてくるデータに応じて印刷を行う機能と
をコンピューターに実行させるコンピュータープログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−211503(P2010−211503A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56728(P2009−56728)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】