説明

印刷装置およびプログラム

【課題】多様な操作画面の表示に対応可能な印刷装置を提供する。
【解決手段】複合機の操作画面をページ記述言語で記述した(詳細には、画像をベクトル情報で記述した画面記述部51と、操作画面の機能(操作ボタンの位置や押下されたときの動作)をPJLなどで記述した機能記述部52を含む)表示用印刷データを生成して外部記憶媒体に出力する。別の複合機では、外部記憶媒体から読み込んだ表示用印刷データの画面記述部51をラスタライズして操作画面60のビットマップ画像を生成して表示すると共に、機能記述部52の情報からその操作画面の機能を再現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作表示部を有する印刷装置および印刷装置の操作画面の表示データを作成するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の印刷装置は、多様な機能を備え、様々な設定を細かく行うことができる反面、その設定操作が複雑になる傾向があるため、操作画面をユーザ毎にカスタマイズ可能にして使い勝手の向上が図られている。
【0003】
たとえば、文字サイズや操作ボタンサイズを変更可能とし、標準レイアウトに収まらない文字サイズやボタンサイズが設定された場合は、設定されたサイズで文字や操作ボタンを表示可能なように、表示項目数や操作ボタンの数を減らし、また文字領域を増やすために絵表示を割愛したレイアウトに変更する画像形成装置がある(特許文献1参照。)。
【0004】
また、ユーザが考えた操作キーレイアウトを記載した原稿をスキャナで読み取り、この操作キーレイアウトを操作画面に再現表示すると共に、各操作キーに割り当てる機能をユーザが選択可能にした画像形成装置がある(特許文献2参照。)。
【0005】
また、サーバから基本フォーマットの操作画面を電子機器に送り、電子機器にてその操作画面の編集操作を受け付けることで、ユーザの希望するレイアウトの操作画面を提供するシステムがある(特許文献3参照。)。
【0006】
このほか、所定サイズの画面を異なる表示領域サイズの表示装置に表示する技術がある(たとえば、特許文献4参照。)。また、ページ記述言語の拡張コマンドの1つに電源制御コマンドを含め、端末装置から電源スイッチの操作の無効/有効やスリープ制御の設定の有効/無効を切り替え可能にする技術がある(特許文献5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−180275号公報
【特許文献2】特開2004−7579号公報
【特許文献3】特開2003−150971号公報
【特許文献4】特開2002−182638号公報
【特許文献5】特開平7−84736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
標準レイアウトに収まらない文字サイズやボタンサイズが設定された場合に画面レイアウトを変更する方法では、各種のレイアウトの画面データを予め用意しておく必要がある。
【0009】
ユーザが考えた操作キーレイアウトを記載した原稿をスキャナで読み取り、その操作キーレイアウトの操作画面を再現する方法では、再現に係る処理が複雑であると共に、スキャナの存在が必須になる。
【0010】
サーバから各種の操作画面を装置にネットワークを通じて提供する方法も想定されるが、装置がサーバに接続できない環境にある場合は利用できない。
【0011】
このほか、操作画面の言語を切り替える要請もある。たとえば、海外出張時に現地の機械の操作部を母国語に切り替えて表示させたいといった要望がある。従来は、操作画面を文字部分と文字以外の画像部分に分けておき、文字部分を所望の言語に入れ替えることで各国言語対応が行われるが、言語毎にフォントセットなどを必要とするため、すべての言語に対応することは難しかった。
【0012】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、多様な操作画面の表示に対応可能な印刷装置およびプログラムを提供することを目的としている。また、装置に予め各種レイアウトの画面を用意したり各種言語フォントを用意したりする必要がなく、またサーバ環境にない場合でも様々な操作画面の表示に対応可能な印刷装置およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0014】
[1]操作表示部と、
ページ記述言語で記述された印刷データをラスタライズしてビットマップ画像を生成する展開部と、
操作画面を前記ページ記述言語で記述した表示用印刷データを入力する入力部と、
前記入力部によって入力した前記表示用印刷データを前記展開部にラスタライズさせて得た前記操作画面のビットマップ画像を前記操作表示部に表示させる制御部と、
を有する
ことを特徴とする印刷装置。
【0015】
上記発明では、操作画面をページ記述言語で記述した表示用印刷データを入力し、該表示用印刷データを展開部でラスタライズして得た操作画面のビットマップ画像を操作表示部に表示する。すなわち、印刷言語で記述されたデータを展開して得た画像を操作表示部に表示する。
【0016】
[2]前記表示用印刷データは、前記操作画面を第1の印刷言語で記述した画面部と、前記操作画面に係る機能を第2の印刷言語で記述した機能部とを含み、
前記制御部は、前記操作画面に対する操作に応じて前記機能部に記述されている機能を実行する
ことを特徴とする[1]に記載の印刷装置。
【0017】
上記発明では、操作画面とその機能は別の印刷言語で記述される。たとえば、操作画面は画面の記述に適した第1の印刷言語で記述され、操作画面に係る機能は機能の記述に適した第2の印刷言語で記述される。操作画面とその機能を異なる言語で記述しつつ1つのオブジェクトとして扱うことができる。
【0018】
[3]前記第1の印刷言語は、描画対象をベクトル情報で表わす印刷言語であり、
前記第2の印刷言語は、プリンタ制御用の印刷言語である
ことを特徴とする[2]に記載の印刷装置。
【0019】
上記発明では、操作画面はベクトル情報で記述される。これにより、縦横の変倍などを行って高精彩な操作画面をラスタライズで得ることができる。また、機能はPJL、PDLなどのプリンタ制御用の印刷言語で記述される。
【0020】
[4]前記機能部は、前記操作画面内の操作ボタンの位置情報と、該操作ボタンが操作された場合の動作を規定する情報を含む
ことを特徴とする[2]または[3]に記載の印刷装置。
【0021】
上記発明では、表示用印刷データの中の機能部は、操作画面のどの場所に操作ボタンが存在するかを示す位置情報や、その操作ボタンが押下された場合の機能(動作や画面遷移)を規定する。
【0022】
[5]前記制御部は、前記操作画面のビットマップ画像の前記操作表示部への表示を、表示用印刷データに含まれる機能部とは別に前記第2の印刷言語で記述された制御コマンドに従って制御する
ことを特徴とする[2]乃至[4]のいずれか一項に記載の印刷装置。
【0023】
上記発明では、表示用印刷データとは別に制御コマンドを情報処理装置などから印刷装置に送信すれば、表示操作部に表示される操作画面を個別に制御することができる。
【0024】
[6]前記制御部は、前記操作画面のビットマップ画像を前記操作表示部の表示領域に表示する際の前記表示領域内でのレイアウトを、前記制御コマンドに従って制御する
ことを特徴とする[5]に記載の印刷装置。
【0025】
上記発明では、複数の操作画像を1つに合成したり、合成時にそれぞれが占める比率を設定したり、あるいは、画面の一部だけを拡大表示したりするといったことが可能になる。
【0026】
[7]前記制御部は、前記制御コマンドで指定された操作画面のビットマップ画像を前記操作表示部に表示させる
ことを特徴とする[5]に記載の印刷装置。
【0027】
上記発明では、制御コマンドにより、任意の画面に遷移させることが可能になる。
【0028】
[8]印刷データと前記制御コマンドとを受信し、
前記制御部は、前記印刷データに係る印刷の実行時に前記制御コマンドに従って、前記表示用印刷データをラスタライズして得た操作画面のビットマップ画像の前記操作表示部への表示を制御する
ことを特徴とする[5]に記載の印刷装置。
【0029】
上記発明では、印刷を行う際に、その印刷の実行時(実行後も含む)に表示する操作画面を制御コマンドで指定することができる。
【0030】
[9]前記表示用印刷データから、前記操作表示部の表示領域に応じたサイズの操作画面のビットマップ画像を生成する
ことを特徴とする[1]乃至[8]のいずれか一項に記載の印刷装置。
【0031】
上記発明では、操作表示部の表示領域サイズが様々であっても、その表示領域サイズに合わせたサイズの操作画面がラスタライズにより生成される。
【0032】
[10]操作表示部と、
前記操作表示部に表示される操作画面の表示データを記憶した記憶部と、
前記記憶部に記憶されている表示データから前記操作画面をページ記述言語で記述した表示用印刷データを生成する生成部と、
前記生成部が生成した前記表示用印刷データを外部へ出力する出力部と、
を有する
ことを特徴とする印刷装置。
【0033】
上記発明では、自機の操作表示部に表示する操作画面から該操作画面をページ記述言語で記述した表示用印刷データを生成し、外部に出力することができる。
【0034】
[11]前記表示用印刷データは、前記操作画面を第1の印刷言語で記述した画面部と、前記操作画面に係る機能を第2の印刷言語で記述した機能部とを含む
ことを特徴とする[10]に記載の印刷装置。
【0035】
上記発明では、操作画面とその機能は別の印刷言語で記述される。たとえば、操作画面は画面の記述に適した第1の印刷言語で記述され、操作画面に係る機能は機能の記述に適した第2の印刷言語で記述される。操作画面とその機能を異なる言語で記述しつつ1つのオブジェクトとして扱うことができる。
【0036】
[12]前記第1の印刷言語は、描画対象をベクトル情報で表わす印刷言語であり、
前記第2の印刷言語は、プリンタ制御用の印刷言語である
ことを特徴とする[11]に記載の印刷装置。
【0037】
上記発明では、操作画面はベクトル情報で記述される。これにより、縦横の変倍などを行って高精彩な操作画面をラスタライズで得ることができる。また、機能はPJLなどのプリンタ制御用の印刷言語で記述される。
【0038】
[13]前記機能部は、前記操作画面内の操作ボタンの位置情報と、該操作ボタンが操作された場合の動作を規定する情報を含む
ことを特徴とする[11]または[12]に記載の印刷装置。
【0039】
上記発明では、表示用印刷データの中の機能部は、操作画面のどの場所に操作ボタンが存在するかを示す位置情報や、その操作ボタンが押下された場合の機能(動作や画面遷移)を規定する。
【0040】
[14]情報処理装置を、
印刷装置の操作画面をページ記述言語で記述した表示用印刷データを生成するように動作させる
ことを特徴とするプログラム。
【0041】
上記発明では、情報処理装置は、プログラムに従って動作することで、印刷装置の操作画面をページ記述言語で記述した表示用印刷データを生成する。
【0042】
[15]前記表示用印刷データは、前記操作画面を第1の印刷言語で記述した画面部と、前記操作画面に係る機能を第2の印刷言語で記述した機能部とを含む
ことを特徴とする[14]に記載のプログラム。
【0043】
上記発明では、操作画面とその機能は別の印刷言語で記述される。たとえば、操作画面は画面の記述に適した第1の印刷言語で記述され、操作画面に係る機能は機能の記述に適した第2の印刷言語で記述される。操作画面とその機能を異なる言語で記述しつつ1つのオブジェクトとして扱うことができる。
【0044】
[16]前記第1の印刷言語は、描画対象をベクトル情報で表わす印刷言語であり、
前記第2の印刷言語は、プリンタ制御用の印刷言語である
ことを特徴とする[15]に記載のプログラム。
【0045】
上記発明では、操作画面はベクトル情報で記述される。これにより、縦横の変倍などを行って高精彩な操作画面をラスタライズで得ることができる。また、機能はPJLなどのプリンタ制御用の印刷言語で記述される。
【0046】
[17]前記機能部は、前記操作画面内の操作ボタンの位置情報と、該操作ボタンが操作された場合の動作を規定する情報を含む
ことを特徴とする[15]または[16]に記載のプログラム。
【0047】
上記発明では、表示用印刷データの中の機能部は、操作画面のどの場所に操作ボタンが存在するかを示す位置情報や、その操作ボタンが押下された場合の機能(動作や画面遷移)を規定する。
【0048】
[18]前記情報処理装置を、
印刷装置の操作表示部への、前記表示用印刷データをラスタライズして得られる操作画面のビットマップ画像の表示を制御するための前記第2の印刷言語で記述された制御コマンドを前記表示用印刷データとは別に生成するように動作させる
ことを特徴とする[15]乃至[17]のいずれか一項に記載のプログラム。
【0049】
上記発明では、表示用印刷データとは別の制御コマンドにより、表示操作部に表示される操作画面を制御することができる。
【0050】
[19]前記制御コマンドは、前記印刷装置の操作表示部の表示領域に前記表示用印刷データに基づく操作画面を表示させる際の前記表示領域内でのレイアウトを制御する命令を含む
ことを特徴とする[18]に記載のプログラム。
【0051】
上記発明では、複数の操作画像を1つに合成したり、合成時にそれぞれが占める比率を設定したり、あるいは、画面の一部だけを拡大表示したりするといったことが可能になる。
【0052】
[20]前記制御コマンドは、印刷装置の操作表示部に表示させる操作画面を指定する命令を含む
ことを特徴とする[18]に記載のプログラム。
【0053】
上記発明では、制御コマンドにより、任意の画面に遷移させることが可能になる。
【0054】
[21]前記情報処理装置を、
印刷データに基づく印刷が印刷装置で実行されている時に前記表示用印刷データに基づく操作画面の前記印刷装置での表示を制御するための制御コマンドを生成し、前記印刷データと前記制御コマンドとを前記印刷装置に送信するように動作させる
ことを特徴とする[18]に記載のプログラム。
【0055】
上記発明では、印刷を行う際に、その印刷の実行時(実行後も含む)に表示する操作画面を制御コマンドで指定することができる。
【発明の効果】
【0056】
本発明に係る印刷装置およびプログラムによれば、装置に予め各種レイアウトの画面を用意したり各種言語フォントを用意したりすることなく、またサーバ環境にない場合でも、多様な操作画面の表示が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷装置としての複合機を含むシステムの構成例を示す説明図である。
【図2】複合機の概略構成を示すブロック図である。
【図3】情報処理装置の概略構成例を示すブロック図である。
【図4】表示用印刷データの一例と、表示用印刷データから再生される操作画面例を示す説明図である。
【図5】複合機が自機の操作画面をページ記述言語で記述した表示用印刷データを生成する際の動作を示す流れ図である。
【図6】外部記憶媒体などから表示用印刷データを読み取って利用する場合の複合機の動作を示す流れ図である。
【図7】複合機のハードディスク装置に操作画面のビットマップ画像と機能情報が複数組保存された状態を例示した説明図である。
【図8】情報処理装置から印刷データと制御コマンドとを受信した複合機の動作を示す流れ図である。
【図9】例1の動作を行う場合にシステムで行われる作業の流れを示す流れ図である。
【図10】例1にて操作表示部に表示される操作画面の遷移を示している。
【図11】例2の動作を行う場合の複合機の動作を示す流れ図である。
【図12】パスワード入力画面とサムネイル画面の合成画面を示す説明図である。
【図13】制御コマンドによって画面を遷移させた場合と遷移させない場合とを対比して表示した説明図である。
【図14】情報処理装置から制御コマンドのみ受信した複合機の動作を示している。
【図15】情報処理装置から複数の複合機に対して、所定の個人ボックスに係るサムネイル画面の表示を指示する制御コマンドを送信した場合を例示した説明図である。
【図16】情報処理装置から複数の複合機に対して、個人ボックスのサムネイル画面を表示させる制御コマンドを送信して表示させる場合の作業の流れを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0059】
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷装置としての複合機10を含むシステム5の構成例を示している。このシステム5では、複合機10Aの操作画面にかかわる情報をUSBメモリやICカードなどの外部記憶媒体6に出力し、出張先などにある別の複合機10Bで外部記憶媒体6から情報を読み出して複合機10Aの操作画面を再現することができるようになっている。
【0060】
詳細には、複合機10Aは自機の操作画面をページ記述言語で記述した表示用印刷データを生成して外部記憶媒体6に出力する。複合機10Bは外部記憶媒体6から入力した表示用印刷データをラスタライズして操作画面のビットマップ画像を生成し、該ビットマップ画像を操作表示部に表示する。
【0061】
また、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置30にて任意の操作画面に係る表示用印刷データを生成し、これを複合機10に送信して、あるいは外部記憶媒体6経由で転送して表示させることも可能になっている。さらに、情報処理装置30からページ記述言語で記述した制御コマンドを複合機10に送信することで、複合機10で表示される操作画面を指定の画面に遠隔操作で遷移させることができる。また情報処理装置30から印刷データと制御コマンドとを複合機10に送信することで、該印刷データに係る印刷の実行時(実行中または実行後)に指定の操作画面を表示させることも可能に構成されている。
【0062】
図2は、複合機10の概略構成を示すブロック図である。複合機10は、当該複合機10の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)11にバス12を介して、読取部13と、印刷部14と、ROM(Read Only Memory)15と、RAM(Random Access Memory)16と、不揮発メモリ17と、操作表示部18と、展開部21と、画像処理部22と、ネットワーク通信部23と、記録媒体I/F部24と、ハードディスク装置25などが接続されて構成されている。
【0063】
読取部13は、原稿画像を光学的に読み取って画像データを取得する。読取部13は、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学系のほか、ミラーや光源を移動させてライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動機構などを備えて構成されている。
【0064】
印刷部14は、画像データに基づく画像を電子写真プロセスによって記録紙上に形成して出力する。印刷部14は、たとえば、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、入力される画像データに応じて点灯制御されるLD(Laser Diode)と、LDから射出されたレーザ光を感光体ドラム上で走査させる走査ユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有する、いわゆるレーザープリンタとして構成されている。レーザ光に代えてLED(Light Emitting Diode)で感光体ドラムを照射するLEDプリンタのほか他の方式のプリンタであってもかまわない。
【0065】
ROM15には各種プログラムや固定データが格納され、CPU11はこれらのプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM16はCPU11がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを一時記憶する画像メモリとして使用される。
【0066】
操作表示部18は、各種の操作画面を表示する機能と、ユーザから各種の操作を受ける機能を果たす。操作表示部18は、表示器としての液晶ディスプレイと、モード選択ボタン、スタートボタン、ストップボタン、テンキーなどの各種ボタン類と、液晶ディスプレイの表面に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルなどで構成される。
【0067】
展開部21は、ページ記述言語で記述された印刷データをラスタライズしてビットマップ画像を生成する機能を果たす。画像処理部22は画像データに対して、画像補正、回転、拡大/縮小、圧縮/伸張など各種の画像処理を施す。
【0068】
ネットワーク通信部23は、LAN(Local Area Network)などのネットワークを通じて情報処理装置30などの外部装置と各種のデータを送受信する機能を果たす。
【0069】
記録媒体I/F部24は、外部記憶媒体6が着脱され、挿着された外部記憶媒体6へデータを書き込む機能および外部記憶媒体6からデータを読み取る機能を果たす。
【0070】
ハードディスク装置25は、大容量不揮発の記憶装置である。ハードディスク装置25は、読取部13で読み取られた原稿の画像データ、情報処理装置30などから受信した印刷データ、表示用印刷データおよび表示用印刷データをラスタライズして得た操作画面のビットマップ画像データやその操作画面の機能を示す機能情報などの保存に使用される。不揮発メモリ17には、各種の設定情報やユーザ情報のほか、操作表示部18が有する液晶ディスプレイの表示画面のサイズ情報(縦横のドット数)などが記憶される。
【0071】
図3は、情報処理装置30の概略構成例を示すブロック図である。情報処理装置30は、ネットワーク通信機能を備えた汎用のコンピュータ装置にOS(Operating System)プログラムやアプリケーションプログラム、複合機10のドライバプログラムなどをインストールして構成される。情報処理装置30は、CPU31にバス32を通じてROM33と、RAM34と、ハードディスク装置35と、表示部36と、操作部37と、ネットワーク通信部38などを接続して構成される。
【0072】
ROM33には、CPU31によって実行される起動プログラムや各種の固定データが記憶されている。ハードディスク装置35には、OSプログラムのほか、該OS上で動作する各種のアプリケーションプログラム、複合機10のドライバプログラム39などが記憶されている。ドライバプログラム39やアプリケーションプログラムは実行時にはハードディスク装置35から読み出されてRAM34に展開され、CPU31はRAM34上に展開されたそれらのプログラムを実行する。また、RAM34は、CPU31がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや送受信に係るデータを一時的に保存する通信バッファなどにも使用される。
【0073】
表示部36は液晶ディスプレイなどで構成され、操作部37はキーボード、マウス(ポインティングデバイス)などで構成される。ネットワーク通信部38は、LANなどのネットワークを通じて複合機10などの外部装置と各種のデータを送受信する機能を果たす。このほか外部記憶媒体6が着脱され、挿着された外部記憶媒体6へデータを書き込む機能および外部記憶媒体6からデータを読み取るI/F部を備えている。
【0074】
情報処理装置30における表示用制御データの生成や制御コマンドの生成および送信に関する機能は、CPU31がドライバプログラム39を実行することで実現される。
【0075】
図4は、印刷形式のページ記述言語で記述された表示用印刷データ50の一例と、表示用印刷データ50に基づく操作画面の表示例を示している。表示用印刷データ50は、操作画面の画像を第1の印刷言語で記述した画面記述部51と、操作画面に係る機能(機能情報)を第2の印刷言語で記述した機能記述部52とを含む。
【0076】
画面記述部51の記述に使用される第1の印刷言語は、図形や文字などの描画対象をベクトル情報で表わす印刷言語であり、たとえば、PCL(Printer Control Language)、PS(PostScript(登録商標))、XML(Extensible Markup Language)などが使用される。機能記述部52を記述する第2の印刷言語はプリンタ制御用の印刷言語であり、PJL(Printer Job Language)、PDL(Page Description Language)などが使用される。機能記述部52は、操作画面内の操作ボタンの位置(画面左上などの基点に対する相対的な位置)を示す情報、操作ボタンが操作された場合の動作を規定する情報などが含まれる。動作の規定には、たとえば、押下された操作ボタンの色を変化させること(色の変更指示とその色の指定)、次の操作画面に遷移させること(画面遷移の指示と遷移先の画面の指定)、パラメータの値を変更すること、ジョブの実行を開始させる指示などがある。
【0077】
上記のような印刷言語を使用して操作画面の画像および機能を記述することで、印刷用の印刷データを生成するプリンタドライバプログラムや受信した印刷データを複合機10側で解析するプログラムとの親和性が良く、またこれらのプログラムを拡張することで操作画面の表示に対応させることができる。
【0078】
また、画面記述部51は操作画面の画像をベクトル情報で記述しているので、精密なビットマップ画像に展開することができる。また、展開時に縦横を自在に変倍できるので、様々な表示領域サイズにあわせたサイズの操作画面の画像を生成することができる。さらに、表示用印刷データ50の中に操作画面の画像を記述した画面記述部51と操作ボタンに係る機能を記述した機能記述部52が含まれるので、操作画面の画像操作画面(特に、アイコンや操作ボタン)の機能とを1つのオブジェクトとして扱うことができる。
【0079】
図4の例では、画面記述部51の内容をラスタライズすることで、複合機の図柄55や操作ボタン(右ステープルボタン56)などを含む操作画面60のビットマップ画像が生成される。また機能記述部52は、右ステープルボタン56の位置情報(右ステープルボタン56の存在領域も示す)と機能(押下された場合に右ステイプルの設定値をオンにすることなど)を示している。
【0080】
図5は、複合機10が自機の操作画面をページ記述言語で記述した表示用印刷データを生成する際の動作を示している。まず、操作表示部18を通じてユーザから保存対象の操作画面の指定と(ステップS101)表示用印刷データの保存先の指定を受ける(ステップS102)。その後、操作画面の保存動作の実行指示を受けると、CPU11は、指定された操作画面の画像(背景、文字、図形など)をPCLやPSなどの言語を使用してベクトル情報で記述した画面記述部51を生成する(ステップS103)。次に、指定された操作画面に係る機能をPJLなどのプリンタ制御用言語で記述した機能記述部52を生成する(ステップS104)。そして、ステップS103で生成した画面記述部51とステップS104で生成した機能記述部52とを含む(関連付けした)表示用印刷データ50を生成し(ステップS105)、これをステップS102で指定された保存先(ここでは外部記憶媒体6とする)に出力して保存する(ステップS106)。各操作画面には画面IDが割り当てられており、表示用印刷データ50に当該表示用印刷データ50が示す操作画面の画面IDを含めるようになっている。
【0081】
情報処理装置30で表示用印刷データを作成する場合も同様に行われる。たとえば、情報処理装置30では、ドローソフトなどで描画された操作画面を、ドライバプログラム39が取り込み、プリンタドライバの画面上で各操作ボタンに係る機能の設定(操作ボタンへの機能の割り当てや画面IDの設定、遷移先の画面の設定など)を受け付け、これらの情報から図4の形式の表示用印刷データ50を作成する。作成された表示用印刷データ50は外部記憶媒体6へ出力される、あるいは複合機10へネットワークを通じて送信される。
【0082】
図6は、外部記憶媒体6などから表示用印刷データ50を読み取って利用する場合の複合機10の動作を示している。複合機10は外部記憶媒体6などから表示用印刷データ50を読み取り(ステップS201)、その画面記述部51をラスタライズして操作画面のビットマップ画像を生成し、これを操作表示部18に表示する(ステップS202)。また、読み込んだ表示用印刷データ50の機能記述部52を解析し、その内容(操作ボタンの位置、機能情報、次画面の遷移情報など)を示す機能情報を内部で利用可能なデータ形式にして記憶する(ステップS203)。
【0083】
なお、画面記述部51をラスタライズする際には、生成されるビットマップ画像のサイズ(縦横のドット数)が操作表示部18の表示領域サイズ(縦横のドット数)に一致するように、必要に応じて縦横変倍が行われる。
【0084】
また、後の利用のために、展開後の操作画面のビットマップ画像とその操作画面に係る機能情報と該操作画面の画面IDとを互いに関連付けてハードディスク装置25などに保存する。さらに、再度のラスタライズが必要となる場合に備えて、展開前の表示用印刷データ50も上記各データに対応付けて保存される。なお、読み込み展開時には操作表示部18への表示は行わず、保存のみ行われるように構成されてもよい。
【0085】
情報処理装置30で作成された表示用印刷データ50を読み込んで複合機10で利用する場合の動作も図6と同一でありその説明は省略する。ただし、読み込み方法はネットワークを通じて情報処理装置30から受信する方法と、情報処理装置30で外部記憶媒体6に表示用印刷データ50を書き込み、これを外部記憶媒体6から読み込む方法がある。
【0086】
図7は、表示用印刷データから生成された操作画面のビットマップ画像と機能情報が複数組、複合機10のハードディスク装置25に保存された状態を示している。各操作画面のビットマップ画像とその操作画面の機能情報は紐付けされて記憶される。また機能情報は、操作ボタンが押下された場合の遷移先の操作画面を示すので、該情報により操作画面の遷移関係(階層構造やリンク関係)も登録されることになる。図7の例では、操作画面1で操作ボタンAを押下すると操作画面2に遷移し、操作画面1で操作ボタンBを押下すると操作画面4に遷移するといった遷移関係を矢印で示している。これらの遷移関係は機能情報により特定される。機能情報は遷移先の操作画面をその画面IDで特定するようになっている。
【0087】
この保存された操作画面のビットマップ画像や機能情報(これらを操作画面データと呼ぶものとする)は次のように使用される。保存されている操作画面データを使用する表示モードに切り替える操作および初期画面の指定操作を受けると、その指定された初期画面を操作画面データに基づいて表示し、該初期画面に対応する機能情報を有効にする。すなわち、表示中の操作画面内の存在する各操作ボタンの位置を機能情報に基づいて認識し、いずれかの操作ボタンに該当する領域が操作(押下)された場合は機能情報によって規定されているその操作に対応する動作を実行する状態になる。以後は、操作ボタンの操作を受ける毎に、機能情報に応じた動作や画面の遷移を行い、かつ遷移先の操作画面に対応する機能情報を有効にする、ように動作する。
【0088】
このような使用方法のほか、ドライバプログラム39に基づいて動作する情報処理装置30から制御コマンドを送信することで複合機10の操作表示部18に表示する操作画面を指定することも可能になっている。たとえば、図7の操作画面1が表示されている状態で情報処理装置30から操作画面3の表示を指示する制御コマンドを送信すると、操作画面1から操作画面3に(操作画面2を飛ばして)遷移させることができるようになっている。制御コマンドは、表示用印刷データ50の機能記述部52と同じ印刷言語(たとえば、PJL)で記述される。また、制御コマンドにおいても遷移先の画面はその画面の画面IDで指定される。
【0089】
制御コマンドで指示する動作の内容は、情報処理装置30のドライバプログラム39の設定画面にて設定を受け付け、対応する制御コマンドをドライバプログラム39が作成して複合機10へ送信するようになっている。
【0090】
制御コマンドの利用例としては、印刷データと共に制御コマンドを送信する場合と、制御コマンドのみを送信する場合がある。以下それぞれについて説明する。
【0091】
<印刷データと制御コマンドを送る場合>
図8は、情報処理装置30から印刷データと制御コマンドを受信した複合機10の動作を示している。複合機10はネットワークを通じて情報処理装置30から印刷データと制御コマンドを受信する(ステップS301)。続いて、該受信した印刷データに基づく印刷動作を実行する(ステップS302)。この印刷の実行時に、制御コマンドを実行し、該制御コマンドで指定された操作画面を表示すると共に該画面の機能情報を有効にする(ステップS303)。制御コマンドでは、印刷実行中の操作画面を指定したり、印刷実行後に遷移して表示する操作画面を指定したりすることができる。
【0092】
上記動作の具体例を説明する。
【0093】
[例1]セキュリティ印刷の実行後にセキュリティボックスが選択状態となった操作画面に自動的に遷移させる場合
図9は例1の動作を行う場合にシステム5で行われる作業の流れを示し、図10は操作表示部18に表示される操作画面の遷移を示している。ドライバプログラム39に基づいて動作する情報処理装置30は、セキュリティ印刷を指示する印刷ジョブ(印刷データ)と該印刷ジョブの実行後にセキュリティボックスの表示画面に遷移しかつセキュリティ文書ボックスの操作ボタンが選択された状態にすることを指示する制御コマンドを作成し、これらを関連付けて複合機10に送信する(図9:ステップS401、図10:P1)。
【0094】
これらを受信した複合機10のCPU11は、印刷ジョブの実行を各部に指示して、セキュリティ印刷を開始させる(ステップS402)。セキュリティ印刷は、展開部21が印刷データをラスタライズしてビットマップ画像を作成し、この展開されたビットマップ画像をCPU11が指定されたセキュリティボックスに保存することで行われる(ステップS403)。たとえば、セキュリティ印刷中は、図10に示すような、コピー待機中と同じ操作画面70が操作表示部18に表示される。なお、セキュリティボックスは、ユーザ毎やグループ毎に設けられた画像データの保存領域であり、保存された画像データの利用(閲覧や印刷、送信など)がパスワードなどで認証された場合のみに制限されている。後述する個人ボックスは個人用のセキュリティボックスである。セキュリティボックスや個人ボックスなどを単にボックスと呼ぶ場合もある。
【0095】
セキュリティ印刷が終了すると(ステップS404)、CPU11は先ほど受信した制御コマンドを解析し(ステップS405)、該制御コマンドの指示に従って、操作表示部18に、図10に示すようなセキュリティボックス画面72を表示させ、かつ該画面72に対応する機能情報を有効にする(ステップS406)。セキュリティボックス画面72では、セキュリティ文書ボックスの選択ボタン73が選択された状態になっている。
【0096】
[例2]ボックス印刷の実行後にボックス画面に自動的に遷移させる、もしくはボックス印刷の実行後にパスワード入力画面とサムネイル画面とを合成した画面に自動的に遷移させる場合
図11は例2の動作を行う場合の複合機10の動作を示している。ドライバプログラム39に基づいて動作する情報処理装置30は、ボックス印刷を指示する印刷ジョブ(印刷データ)と該印刷ジョブの実行後に所望の操作画面に遷移させる制御コマンドを作成し、これらを関連付けて複合機10に送信し、複合機10はこれを受信する(図11:ステップS501)。
【0097】
複合機10は、受信した印刷ジョブ(ボックス印刷)を実行し(ステップS502)、その印刷終了後、ステップS501で受信した制御コマンドを解析する(ステップS503)。該制御コマンドが、単体画面(サムネイル画面のみ)の表示を指示するものである場合は(ステップS504;単体)、単体画面(サムネイル画面)を操作表示部18に表示し、かつ該画面に対応する機能情報を有効にする(ステップS505)。
【0098】
制御コマンドが、合成画面(パスワード入力画面とサムネイル画面の合成画面)の表示を指示するものである場合は(ステップS504;合成)、パスワード入力画面とサムネイル画面の合成画面をラスタライズして展開して操作表示部18に表示する(ステップS506)。たとえば、図12に示すように、単体画面としてのパスワード入力画面81を縮小して操作表示部18の表示領域の左半分に収まるように配置し、単体画面としてのサムネイル画面82を縮小して操作表示部18の表示領域の右半分に収まるように配置することで、これらの合成画面80を生成する。
【0099】
また、合成した各操作画面の機能情報が示す操作ボタンの位置情報をその操作画面の合成後の縮小サイズおよび配置に応じて変換し、該合成された複数の操作画面に係る変換後の機能情報をすべて有効にする(ステップS507)。たとえば、図12の合成画面80の場合、パスワード入力画面81の操作ボタンの位置情報が示す相対位置をX方向について2分の1にすると共に、サムネイル画面82の操作ボタンの位置情報が示す相対位置をX方向について2分の1にしかつ縮小後のパスワード入力画面のX方向のサイズ分加算してX方向にオフセットさせる、といった処理を行う。
【0100】
図13は、複合機10が情報処理装置30から、(1)ボックス印刷ジョブのみを受信した場合と、(2)ボックス印刷ジョブ86と単体画面(サムネイル画面)への遷移を指示する制御コマンド87とを受信した場合と、(3)ボックス印刷ジョブと合成画面(パスワード入力画面とサムネイル画面の合成画面)への遷移を指示する制御コマンドとを受信した場合、における表示画面の遷移を対比して示したものである。
【0101】
(1)の場合はボックス印刷ジョブが終了すると、操作メニュー画面83が表示され所定の操作をユーザが行うと文書選択画面84に遷移し、さらにパスワード入力画面81へ遷移し、正規のパスワードが入力されるとサムネイル画面82へ移行する。
【0102】
これに対して(2)の場合はボックス印刷ジョブが終了するとサムネイル画面82へ直接遷移する。また(3)の場合はボックス印刷ジョブが終了すると合成画面80(パスワード入力画面とサムネイル画面の合成画面)へ遷移するようになる。これにより、印刷後のユーザによる操作負担が軽減される。
【0103】
<制御コマンドのみを送信する場合>
図14は、情報処理装置30から制御コマンドのみ(印刷データと同時でなく)受信した場合の複合機10の動作を示している。複合機10はネットワークを通じて情報処理装置30から制御コマンドを受信すると(ステップS601)、その受信した制御コマンドを実行し、該制御コマンドで指定された操作画面に遷移して表示すると共に、該画面の機能情報を有効にする(ステップS602)。
【0104】
上記動作の具体例を、個人ボックスに係るサムネイル画面82を表示させる場合について説明する。
【0105】
図15は、情報処理装置30から複数の複合機10B、10Cのそれぞれに対して、所定の個人ボックスに係るサムネイル画面82の表示を指示する制御コマンドを送信する場合を示している。たとえば、あるユーザが複合機10Bと複合機10Cのいずれに所望のファイルが格納されているかを忘れてしまったような場合、そのユーザの個人ボックスのサムネイル画面82を表示させる制御コマンドを複合機10Bと複合機10Cにそれぞれ送信すれば、該ユーザは複合機10Bに表示されたサムネイル画面82Bと複合機10Cの表示されたサムネイル画面82Cをチェックするだけで、目的のファイルの格納場所を確認して印刷させる、といったことが可能になる。3台以上の複合機10に送信する場合も同様である。
【0106】
図16は、情報処理装置30から複数の複合機10に対して、個人ボックスのサムネイル画面82を表示させる制御コマンドを送信して表示させる場合の作業の流れを示している。情報処理装置30にてユーザは、制御コマンドの送信先の複合機10を選択し(ステップS701)、情報処理装置30は該選択を受けて、その選択された複合機10に対して、ボックス画面を表示する(前面に出す)ための制御コマンドにボックスIDとパスワードを付加して送信する(ステップS702)。この制御コマンドを受信した情報処理装置30は、ボックスIDで指定されたボックスに係るサムネイル画面82に遷移してこれを表示する(ステップS703)。ユーザは他の複合機10にも制御コマンドを送信したい場合は(ステップS704;Yes)、ステップS701に戻り、他の複合機10のチェックが必要ない場合は(ステップS704;No)、作業を終了させる。なお、個人ボックスの表示にIDやパスワードを必要としない場合についても同様の作業の流れになる。ただし、IDやパスワードの送信は不要である。
【0107】
このように、印刷用のページ記述言語を使用して操作画面の画像や操作画面に係る機能を記述した表示用印刷データを生成し、複合機10はこれを読み込みラスタライズにより操作画面を生成して表示するので、プリンタドライバプログラムや受信した印刷データを複合機10側で解析して展開する処理およびプログラムとの親和性が良い。またこれらのプログラムを拡張することで操作画面の表示に対応させることができる。
【0108】
また、操作画面の画像をベクトル情報で記述するので、表示領域サイズにあわせたサイズの操作画面を再現したり、複数の操作画面を縮小して合成した合成画面をラスタライズにより作成したりすることができ、操作表示部18の表示領域サイズに柔軟に対応することができる。また合成により多様な画面をユーザに提供することができる。
【0109】
さらに、表示用印刷データ50の中に操作画面の画像を記述した画面記述部51と操作ボタンに係る機能を記述した機能記述部52とが含まれるので、操作画面の画像と操作画面(特に、アイコンや操作ボタン)の機能とを1つのオブジェクトとして扱うことができる。
【0110】
また、情報処理装置30から制御コマンドを送信することで、複合機10の操作表示部18に表示される操作画面を、印刷の実行時(特に実行後)に階層の深い所望の操作画面に直接遷移させたり、ジョブを伴うことなく操作画面だけを任意の画面に遷移させたりすることをダイナミックに行うことができる、また制御コマンドも印刷用のページ記述言語で記述されるので、表示用印刷データと同様にプリンタドライバなどとの親和性が良好となる。
【0111】
また、たとえば、日本語の複合機10でその操作画面に対応する表示用印刷データを作成し、外部記憶媒体6に記憶させ、海外出張先でこの外部記憶媒体6から表示用印刷データを読み込むことで、海外においても日本語の操作画面を表示することが可能になる。すなわち、操作画面中の文字についても画像としてベクトル情報で記述されるので、日本語のフォントを具備しない複合機10においても日本語の操作画面を表示することができる。他の言語についても同様である。
【0112】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0113】
たとえば、制御コマンドについて、画面の遷移(階層の変更)や画面合成を例に説明したが、メッセージ文字の色やフォントのタイプを変更したり、アイコンや操作ボタンの色、大きさを個別に変更したりする機能を制御コマンドで指示可能に構成されてもよい。
【0114】
実施の形態では複合機10は、表示用印刷データを作成する機能と表示用印刷データを読み込んで操作画面を再現する機能の双方を備えることが好ましいが、一方の機能のみを具備するように構成されてもよい。
【0115】
また、複合機10を例に説明したがスキャナなどを具備しない印刷装置でもかまわない。
【符号の説明】
【0116】
5…システム
6…外部記憶媒体
10、10A、10B、10C…複合機
11…CPU
12…バス
13…読取部
14…印刷部
15…ROM
16…RAM
17…不揮発メモリ
18…操作表示部
21…展開部
22…画像処理部
23…ネットワーク通信部
24…記録媒体I/F部
25…ハードディスク装置
30…情報処理装置
31…CPU
32…バス
33…ROM
34…RAM
35…ハードディスク装置
36…表示部
37…操作部
38…ネットワーク通信部
39…ドライバプログラム
50…表示用印刷データ
51…画面記述部
52…機能記述部
55…複合機の図柄
56…右ステープルボタン
60…操作画面
70…操作画面
72…セキュリティボックス画面
73…セキュリティ文書ボックスの選択ボタン
80…合成画面
81…パスワード入力画面
82、82B、82C…サムネイル画面
83…操作メニュー画面
84…文書選択画面
86…ボックス印刷ジョブ
87…制御コマンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作表示部と、
ページ記述言語で記述された印刷データをラスタライズしてビットマップ画像を生成する展開部と、
操作画面を前記ページ記述言語で記述した表示用印刷データを入力する入力部と、
前記入力部によって入力した前記表示用印刷データを前記展開部にラスタライズさせて得た前記操作画面のビットマップ画像を前記操作表示部に表示させる制御部と、
を有する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記表示用印刷データは、前記操作画面を第1の印刷言語で記述した画面部と、前記操作画面に係る機能を第2の印刷言語で記述した機能部とを含み、
前記制御部は、前記操作画面に対する操作に応じて前記機能部に記述されている機能を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第1の印刷言語は、描画対象をベクトル情報で表わす印刷言語であり、
前記第2の印刷言語は、プリンタ制御用の印刷言語である
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記機能部は、前記操作画面内の操作ボタンの位置情報と、該操作ボタンが操作された場合の動作を規定する情報を含む
ことを特徴とする請求項2または3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記操作画面のビットマップ画像の前記操作表示部への表示を、表示用印刷データに含まれる機能部とは別に前記第2の印刷言語で記述された制御コマンドに従って制御する
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記操作画面のビットマップ画像を前記操作表示部の表示領域に表示する際の前記表示領域内でのレイアウトを、前記制御コマンドに従って制御する
ことを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記制御コマンドで指定された操作画面のビットマップ画像を前記操作表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項8】
印刷データと前記制御コマンドとを受信し、
前記制御部は、前記印刷データに係る印刷の実行時に前記制御コマンドに従って、前記表示用印刷データをラスタライズして得た操作画面のビットマップ画像の前記操作表示部への表示を制御する
ことを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記表示用印刷データから、前記操作表示部の表示領域に応じたサイズの操作画面のビットマップ画像を生成する
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項10】
操作表示部と、
前記操作表示部に表示される操作画面の表示データを記憶した記憶部と、
前記記憶部に記憶されている表示データから前記操作画面をページ記述言語で記述した表示用印刷データを生成する生成部と、
前記生成部が生成した前記表示用印刷データを外部へ出力する出力部と、
を有する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
前記表示用印刷データは、前記操作画面を第1の印刷言語で記述した画面部と、前記操作画面に係る機能を第2の印刷言語で記述した機能部とを含む
ことを特徴とする請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記第1の印刷言語は、描画対象をベクトル情報で表わす印刷言語であり、
前記第2の印刷言語は、プリンタ制御用の印刷言語である
ことを特徴とする請求項11に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記機能部は、前記操作画面内の操作ボタンの位置情報と、該操作ボタンが操作された場合の動作を規定する情報を含む
ことを特徴とする請求項11または12に記載の印刷装置。
【請求項14】
情報処理装置を、
印刷装置の操作画面をページ記述言語で記述した表示用印刷データを生成するように動作させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項15】
前記表示用印刷データは、前記操作画面を第1の印刷言語で記述した画面部と、前記操作画面に係る機能を第2の印刷言語で記述した機能部とを含む
ことを特徴とする請求項14に記載のプログラム。
【請求項16】
前記第1の印刷言語は、描画対象をベクトル情報で表わす印刷言語であり、
前記第2の印刷言語は、プリンタ制御用の印刷言語である
ことを特徴とする請求項15に記載のプログラム。
【請求項17】
前記機能部は、前記操作画面内の操作ボタンの位置情報と、該操作ボタンが操作された場合の動作を規定する情報を含む
ことを特徴とする請求項15または16に記載のプログラム。
【請求項18】
前記情報処理装置を、
印刷装置の操作表示部への、前記表示用印刷データをラスタライズして得られる操作画面のビットマップ画像の表示を制御するための前記第2の印刷言語で記述された制御コマンドを前記表示用印刷データとは別に生成するように動作させる
ことを特徴とする請求項15乃至17のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項19】
前記制御コマンドは、前記印刷装置の操作表示部の表示領域に前記表示用印刷データに基づく操作画面を表示させる際の前記表示領域内でのレイアウトを制御する命令を含む
ことを特徴とする請求項18に記載のプログラム。
【請求項20】
前記制御コマンドは、印刷装置の操作表示部に表示させる操作画面を指定する命令を含む
ことを特徴とする請求項18に記載のプログラム。
【請求項21】
前記情報処理装置を、
印刷データに基づく印刷が印刷装置で実行されている時に前記表示用印刷データに基づく操作画面の前記印刷装置での表示を制御するための制御コマンドを生成し、前記印刷データと前記制御コマンドとを前記印刷装置に送信するように動作させる
ことを特徴とする請求項18に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−221422(P2010−221422A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68562(P2009−68562)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】