説明

印刷装置及び印刷プログラム

【課題】シール状の被印刷媒体を台紙から剥離させる印刷装置であって、剥離されたシール状の被印刷媒体の排出後に周囲に張り付くのを防ぐ印刷装置及び印刷プログラムを提供する。
【解決手段】排出されたラベル812の先端を到達センサ61が検出すると搬送を停止する。そして、ユーザによりラベル812が持ち上げられると、ラベルが受取皿10の底面壁10dに貼り付く可能性はなくなる。そこで、ユーザによりラベル812が持ち上げられ、到達センサ61はラベル812を検出しなくなると、搬送が再開される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷プログラムに関するものであり、詳細には、台紙から剥離されるシール状の被印刷媒体に印刷を行う印刷装置及び当該印刷装置で実行される印刷プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、台紙から剥離されるシール状の被印刷媒体に印刷を行う印刷装置において、印刷されたシールを台紙から剥離する機能を有する印刷装置が知られている。このような印刷装置では、台紙から剥離されたシールが排出口から排出されるので、ユーザはシールを台紙からわざわざ剥がす手間が省けるという利点がある。
【0003】
また、従来、印刷の行われた用紙が排出ビンに排出された後に、別の印刷ジョブの印刷が行われた用紙が同じ排出ビンに排出されると、別々の印刷ジョブの用紙が混在してしまうという問題点から、先に印刷された印刷ジョブの用紙が取り除かれるまで次の印刷ジョブの印刷を停止させる画像形成装置に対して、先に印刷された用紙が取り除かれないことによる印刷ジョブの滞留を防ぐために、特定の条件が満足された場合には次の印刷ジョブの実行開始を許可する画像形成装置が提案されている(特許文献1)。言い換えれば、特許文献1に記載の画像形成装置では、特定の条件が満足されない場合には印刷ジョブの実行を停止している。なお、この特定の条件とは、印刷ジョブが同じユーザであることや、画像形成装置に複数の排出ビンがあり異なる排出ビンを排出先として指定していること、先の印刷ジョブの用紙の排出から所定時間が経過していることである。
【特許文献1】特開2003−320732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、印刷されたシールを台紙から剥離する機能を有する印刷装置では、シールの長さが長い場合などは特に排出口から排出されたシールが垂れ下がり、印刷装置の側面や下に貼り付いてしまうことがあるという問題点があった。これは、特許文献1に記載の印刷装置のように、次の印刷ジョブを停止しても、1つの印刷ジョブの印刷を行ううちに発生する問題点であるので、回避することができない。
【0005】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、シール状の被印刷媒体を台紙から剥離させる印刷装置であって、剥離されたシール状の被印刷媒体の排出後に周囲に張り付くのを防ぐ印刷装置及び印刷プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明の印刷装置では、多数のラベルが台紙に粘着された帯状のラベル用紙に印刷データを印刷する印刷手段と、前記印刷手段による印刷が行われた前記ラベル用紙の前記ラベルを前記台紙から剥離する剥離手段と、当該剥離手段により剥離された前記ラベルを排出する排出口と、当該排出口から排出された前記ラベルを検出するラベル検出手段とを備えた印刷装置であって、前記ラベル検出手段は、前記印刷装置の前記排出口の設けられている側面において、前記排出口よりも下側に設けられ、前記ラベル検出手段により前記ラベルを検出したか否かを判断する検出判断手段と、当該検出判断手段により前記ラベルを検出したと判断された場合には、前記印刷手段による印刷を停止する印刷停止制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明の印刷装置では、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記ラベル検出判断手段による判断は、前記印刷手段により所定量の印刷が実施されるごと、所定量の搬送が実施されるごと、又は、所定時間ごとに実施されることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明の印刷装置では、請求項2に記載の発明の構成に加えて、前記所定量又は前記所定時間は、印刷の開始から終了に向かい一定量又は一定時間ずつ少なくなることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明の印刷装置では、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記ラベル検出手段は、前記排出口の開口部の左端及び右端の間の領域の略中央に設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明の印刷装置では、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記ラベル検出手段は、前記排出口の開口部の下端と排出されたラベルを受ける受け部との間の領域の下側下端より略2/3の領域に設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る発明の印刷プログラムでは、請求項1乃至5のいずれかに記載の各種処理手段としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明の印刷装置では、ラベル検出手段は、印刷装置の排出口の設けられている側面において、排出口よりも下側に設けられ、検出判断手段は、ラベル検出手段によりラベルを検出したか否かを判断し、印刷停止制御手段は、検出判断手段によりラベルを検出したと判断された場合には、印刷手段による印刷を停止することができる。したがって、排出され、垂れ下がったラベルが印刷装置の側面や印刷装置の周囲に貼り付いてしまうことがない。
【0013】
また、請求項2に係る発明の印刷装置では、請求項1に記載の発明の効果に加えて、ラベル検出判断手段による判断は、印刷手段により所定量の印刷が実施されるごと、又は、所定時間ごとに実施することができる。したがって、ラベル検出判断手段による判断は1回だけでなく、所定量の印刷が実施されるごと、所定量の搬送が実施されるごと、又は、所定時間ごとに実施されるので、適宜検出が行われ、ラベルが検出される位置まではラベルが排出され、周囲には貼り付かずに、より多くの量を排出することができる。
【0014】
また、請求項3に係る発明の印刷装置では、請求項2に記載の発明の効果に加えて、所定量又は所定時間は、印刷の開始から終了に向かい一定量又は一定時間ずつ少なくなるので、周囲に貼り付く可能性が高くなるにつれ、短い間隔でラベル検出判断手段による判断が行われるので、ラベルが周囲に貼り付く可能性が低い際に頻繁に検出が行われることがないので、負担がかからない。また、ラベル検出判断手段によりラベルが検出されず、次にラベル検出判断手段による判断が行われるまでにラベルが周囲に貼り付いてしまう可能性が低い。
【0015】
また、請求項4に係る発明の印刷装置では、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、ラベル検出手段は、排出口の開口部の左端及び右端の間の領域の略中央に設けられているので、ラベル幅に関係なくラベルを検出することができる。
【0016】
また、請求項5に係る発明の印刷装置では、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、ラベル検出手段は、排出口の開口部の下端と排出されたラベルを受ける受け部との間の領域の下側下端より略2/3の領域に設けられているので、排出口からラベルが排出されてすぐ、つまり、周囲に貼り付く可能性の低い段階でラベル排出を停止してしまうことがない。
【0017】
また、請求項6に係る発明の印刷プログラムでは、請求項1乃至5のいずれかに記載の各種処理手段としてコンピュータを機能させることができ、これによって請求項1乃至5のいずれかに記載の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態かを図面を参照して説明する。本発明の印刷装置では、図1に示すようなテープ状の台紙811に多数のラベル812が等間隔で配置され、粘着されたラベル用紙81を印刷することができる。図1は、ラベル用紙81の平面図である。なお、台紙811のラベル812が粘着されていない面を台紙811の裏面、ラベル812が貼り付けられている面を台紙811の表面といい、ラベル812の台紙811に貼り付けられている面をラベル812の粘着面、印刷される面を表面とする。なお、ラベル812の形状、配置位置、配置数は図1に示す例に限らない。また、本実施の形態のラベル812は白色である。
【0019】
印刷装置1では、このような台紙811に粘着されたラベル812に印刷を行い、ラベル812を台紙811から剥離して、排出口99(図2参照)から排出することができる。ラベル812は剥離されてから排出口99から排出されるので、ラベル812の長さが排出口から受取皿10の底面壁10dまでの長さよりも長いと、底面壁10dや印刷装置1の正面壁2aに貼り付いてしまう(図2参照)。そこで、本発明の印刷装置1では、排出口99から排出されたラベル812が受取皿10の底面壁10dに到達する前に排出を停止させる。なお、印刷装置1は、図1に示すようなラベル用紙以外にも、テープに印刷することができる。
【0020】
以下、図2乃至図4を参照して、印刷装置1について説明する。図2は、印刷装置1の斜視図であり、図3は、印刷装置1の右側面図であり、図4は、印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【0021】
図2及び図3に示すように、印刷装置1の本体筐体2は正面視縦長の略長方形の正面壁2a、正面視略正方形の第一右側面壁2b、第一右側面壁2bに対向する正面視略正方形の第一左側面壁(図示外)、第一右側面壁よりもやや中央寄りに位置し、第一右側面壁の奥側に配置された正面視縦長の略長方形の第二右側面壁2f、第二右側面壁2fに対向する正面視縦長の略長方形の第二左側面壁(図示外)、正面視略長方形の第一上面壁2c、第一上面壁2cから連続し、第一上面壁2cの後方、やや低い位置に位置した第二上面壁2e、略長方形の底面(図示外)で囲まれた、略直方体形状をしている。そして、正面壁2aには、略長方形形状の底面壁10d、正面壁10a、右側面壁10b、左側面壁10cで囲まれた受取皿10が設けられている。この受取皿10は、正面壁2a、略長方形形状の底面壁10d、正面壁10a、右側面壁10b、左側面壁10cで囲まれ、上部の開口された略直方体形状をしている。また、正面壁2aには、左右方向に細長く開口し、正面壁2aの上下方向の略中央よりもやや下の位置に設けられている排出口99が設けられている。そして、排出口99から排出されたラベルや、印刷が行われてカットされたテープが受取皿10により受け取られる。
【0022】
また、第一上面壁2cの正面壁2a寄り左側の位置には、印刷されたテープをカットするカットスイッチ9が設けられている。このカットスイッチ9は、図示外の押し切りカッターに接続しており、カットスイッチ9が押下されると印刷済みのテープがカットされる。切断用モータ28(図4参照)に接続しており、カットスイッチ9が押下されると駆動回路25により切断用モータ28が駆動して、図示外のカッターで印刷済みのテープがカットされる。また、正面壁2a寄り右側の位置には、電源ボタン60、印刷ボタン58が前側から後ろ側の順に並んで設けられている。電源ボタン60は、印刷装置1の電源のオフオンを指示するボタンであり、印刷ボタン58は印刷の開始を指示するボタンである。また、図示外の左側面壁には、アルファベットや記号の入力を指示する文字キー群44(図4参照)や各種機能を指示するその他の機能キー群43(図4参照)及びメッセージや文字キー群44により入力された文字が表示されるディスプレイ46(図4参照)が設けられている。
【0023】
そして、本体筐体2の内部には、被印刷媒体であるラベル用紙81やテープが巻回されたテープカセットを収納するテープカセット収納部と、印刷を行うために複数の発熱素子を有するサーマルヘッド31や被印刷媒体を搬送するプラテンローラ26(図5参照)を備えた印刷機構部とが設けられている。そして、印刷機構部で印刷された被印刷媒体は排出口99から排出される。
【0024】
次に、図2を参照して、到達センサ61について説明する。図2に示すように、正面壁2aにおける下部に到達センサ61が設けられている。詳しくは、左右方向には略中央に設けられている。そして、上下方向には、排出口99の高さから本体筐体2の底面までの長さの約1/3の長さ、本体筐体2の底面から上の位置に設けられている。また、受取皿10の正面壁10aの内側、到達センサ61に対向する位置には、表面が黒色の板状の反射部材62が設けられている。到達センサ61は、イメージセンサである。到達センサ61にはLEDが設けられ、このLEDから出力された光の反射光を光学素子で検出するものであり、反射部材62に反射した光であるか否かにより、到達センサ61と反射部材62との間にラベル812があるか否かの判断が行われる。
【0025】
次に、図4を参照して、印刷装置1の電気的構成について説明する。印刷装置1には、主制御基板40が設けられ、当該主制御基板40には、印刷装置1の主制御を司るCPU11が設けられ、CPU11には、文字や記号等のグラフィックデータを記憶したCGROM32と、制御プログラムを記憶したROM33と、フラグ等を記憶するRAM34と、入出力インターフェース35とが、データバス36を介して接続されている。
【0026】
また、図4に示すように、印刷装置1の入出力インターフェース35には、サーマルヘッド31を駆動する駆動回路23と、プラテンローラ26を回転させるテープ送りモータ29を駆動する駆動回路24と、排出口99から排出されたラベルの有無を検出する到達センサ61と、電源の入り切りを指示する電源ボタン60と、印刷の実行を指示する印刷ボタン58と、その他の機能を指示するその他の機能キー群43と、アルファベットや記号の入力を行う文字キー群44と、メッセージや文字キー群44により入力された文字が表示されるディスプレイ46とが接続されている。
【0027】
次に、図5の模式図を参照して、本発明の要部である印刷装置1においてラベル用紙81を印刷した際のラベル812の搬送について説明する。図5は、印刷装置1の構造を示す模式図である。なお、図5における紙面左が印刷装置1の前方向、紙面右が印刷装置1の後ろ方向となっている。図5に示すように、第一回転軸48に未印刷のラベル用紙81が巻回されており、第一回転軸48に巻回されたラベル用紙81が引き出されて、複数の発熱素子を有するサーマルヘッド31と印刷装置1の左右方向に配設された円柱形状のプラテンローラ26との間に導かれている。そして、サーマルヘッド31の左には、ラベル剥離部材51とラベル案内部材52とが印刷装置1の左右方向に配設されている。このラベル剥離部材51及びラベル案内部材52は円柱形状の部材である。そして、サーマルヘッド31により印字が行われたラベル用紙81は、プラテンローラ26の回転により前方向に搬送され、台紙811はラベル剥離部材51により上方向に導かれて第二回転軸49に巻回される。しかしながら、台紙811に粘着されているラベル812は、その剛性から台紙811から剥離されてそのまま前方向へ搬送され、排出口99から排出されることとなる。そして、本発明の印刷装置1では、排出されたラベル812の先端を到達センサ61が検出すると搬送を停止する。そして、ユーザによりラベル812が持ち上げられると、ラベルが受取皿10の底面壁10dに貼り付く可能性はなくなる。そこで、ユーザによりラベル812が持ち上げられ、到達センサ61がラベル812を検出しなくなると、搬送が再開される。
【0028】
ここで、印刷装置1の本体筐体2の正面壁2aに設けられている到達センサ61について説明する。到達センサ61の検出値は0〜255の値を取る。そして、反射部材62の到達センサ61に対向する反射面は黒色に彩色されており、到達センサ61の値が0〜255の中間値である「127」以下であれば、「黒色」でない、ラベル812が存在すると判断され、「127」より大きければ、「黒色」である、即ちラベル812が存在しないと判断されるものとする。ラベル812が存在すると判断されれば、そのまま搬送を続けると、受取皿10の底面壁10dや印刷装置1の正面壁10aに貼り付いてしまう可能性があるので、搬送を停止する。
【0029】
次に、図6及び図7のフローチャートを参照して、印刷装置1での処理について説明する。図6は、印刷装置1のメイン処理のフローチャートであり、図7は、メイン処理の中で行われる印刷処理のフローチャートである。
【0030】
図6に示すメイン処理は、印刷装置1に電源が投入されると開始され、電源が切られるまで繰り返し実施される。まず、印刷機構部の動作確認やCGROM32,ROM33,RAM34の動作確認等の初期処理が行われる(S1)。そして、キー入力を受け付けたか否かの判断が行われる(S2)。キー入力を受け付けていなければ(S2:NO)、その他の処理が行われて(S11)、S2へ戻る。また、キー入力を受け付けていれば(S2:YES)、入力を受け付けたキーが機能キーであるか否かの判断が行われる(S3)。
【0031】
キーが機能キーでなければ(S3:NO)、文字キー群44のいずれかのキーであるので、文字キーからの入力が受け付けられ(S6)、受け付けられた内容がディスプレイ46に表示される(S7)。そして、S2へ戻る。また、キーが機能キーであれば(S3:YES)、機能キーの種類が印刷ボタン58であるか否かの判断が行われ(S5)、印刷ボタン58であれば(S5:YES)、印刷処理が行われる(S9、図7参照)。
【0032】
図7に示すように、まず、印刷データがCGROM32から読み込まれる(S21)。そして、印刷開始位置までラベル用紙81が搬送される(S22)。そして、搬送したライン数をカウントする変数nに初期値の「0」がセットされる(S23)。そして、1ライン分の印刷が実行される(S24)。ここでは、サーマルヘッド31により1ラインの印刷が行われ、次の行の印刷のために、プラテンローラ26が回転されて1ライン分ラベル用紙81が搬送される。なお、印刷の必要がない行である場合には、印刷は行われずに、ラベル用紙81の送り動作のみが行われる。そして、変数nに「1」が加算される(S25)。そして、一定量の搬送が終了したか否かの判断が行われる(S26)。本実施の形態では、一定量は10ライン分の搬送とする。そこで、変数nの値が「10」よりも大きく、一定量の搬送が終了していれば(S26:YES)、S28へ進み、ラベル812の先端が到達センサ61により検出されているか否かの判断が行われる(S28,S29)。
【0033】
しかし、まだ変数nの値は「1」であるので、「10」より大きいとは判断されない(S26:NO)。そこで、印刷が終了したか否かの判断が行われる(S27)。全てのラインの印刷が終了し、ラベル812の排出のための搬送まで終了している場合には(S27:YES)、印刷処理は終了し、メイン処理へ戻り、S2へ戻る。しかし、印刷が終了していないので(S27:NO)、S24へ戻り、次の1ラインの印刷、搬送が行われる(S24)。そして、S24〜S27の処理が繰り返し行われ、変数nの値が「10」よりも大きくなったら(S26:YES)、到達センサ61の値が取得される(S28)。そして、取得された値がラベル812のあることを意味する値(127以下)でなければ(S29:NO)、搬送を継続してもよいので、S23へ戻り、変数nの値に「0」がセットされてクリアされる(S23)。そして、S24〜S27の処理が繰り返し実施される。
【0034】
繰り返しS24〜S27の処理が行われ、印刷及び搬送が実施されて、ラベル812が到達センサ61により検出されたら(S29:YES)、繰り返し到達センサ61の値の取得(S28)、取得された値がラベル812のあることを意味する値であるか否かの判断行われる(S29)。すなわち、到達センサ61の値が、ラベル812のあることを示す値でなくなるまでは(S29:NO)、S28,S29の処理が繰り返し実施されるので、印刷及び搬送は停止されることとなる。そして、ユーザによりラベル812が取り上げられたら、到達センサ61の値はラベル812のあることを示す値でなくなるので(S29:NO)、S23へ戻り、変数nが「0」にクリアされて(S23)、次の1ラインの印刷及び搬送が行われることとなる(S24)。そして、S24〜S27の処理及び、状況に応じてS28,S29の処理が繰り返し実施されて、印刷が終了したら(S27:YES)、印刷処理は終了し、メイン処理へ戻り、S2へ戻る。
【0035】
また、メイン処理において、機能キーの入力を受け付け(S2:YES、S3:YES)、機能キーの種類が印刷ボタン58でなければ(S5:NO)、その他の機能キーに応じた機能処理が行われる(S10)。そして、S2へ戻る。
【0036】
以上のようにして、ラベル812の搬送が進み、ラベル812が到達センサ61に検出されると、それ以上搬送をすると底面壁10dや印刷装置1の正面壁2aに貼り付く可能性があるとして、印刷及び搬送を停止させることができる。そして、ユーザがラベル812を取り上げ、到達センサ61がラベル812を検出しなくなれば、底面壁10dや印刷装置1の正面壁2aに貼り付く可能性がなくなったとして、残りの印刷や搬送が開始される。したがって、排出口99から排出されたラベル812が周囲に貼り付いてしまい、印刷したラベル812が使用できなくなってしまうことがない。
【0037】
なお、上記実施の形態のサーマルヘッド31が「印刷手段」に該当し、ラベル剥離部材51が「剥離手段」に該当し、到達センサ61が「ラベル検出手段」に該当する。そして、図7の印刷処理のS29の処理を行うCPU11が「検出判断手段」に相当し、S23,S25,S26,S28,S29の処理を行うCPU11が「印刷停止制御手段」に相当する。
【0038】
なお、本発明の印刷装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。上記実施の形態では、印刷装置1としてテープ形状の被印刷媒体を印刷する印刷装置を例にあげ、被印刷媒体としてラベル用紙81を例にあげたが、被印刷媒体はテープ形状でなく、カット紙や連続用紙にラベルが貼付されているものであってもよい。また、印刷装置1も他の種類のメディアを印刷するレーザプリンタ、インクジェットプリンタ、熱転写プリンタ、ドットプリンタ等であってもよいことはいうまでもない。また、上記実施の形態では、文字キー群44を備え、文字キー群44から入力された文字を印刷したり、予めCGROM32に記憶されている印刷データを印刷したりする印刷装置1を例にあげたが、パーソナルコンピュータに接続して、パーソナルコンピュータから送信される印刷データを印刷する印刷装置であってもよい。
【0039】
また、上記実施の形態では、到達センサ61を正面壁2aにおける排出口99の下部、
左右方向には略中央、上下方向には、排出口99の高さから本体筐体2の底面までの長さの約1/3の長さ、本体筐体2の底面から上の位置に設けられている。しかしながら、到達センサ61の配置はこれに限らない。排出口99より下であれば、上記実施の形態の位置よりも高い位置であってもよい。また、左右方向においても略中央でなくともよい。また、到達センサ61は1つのイメージセンサで構成するのではなく、複数のイメージセンサにより構成し、左右方向に並べて配置してもよい。
【0040】
到達センサ61を用いて、ラベル812が検出されるか否かの判断を行う際の搬送量を10ラインとしているが、搬送量はこれに限らない。少なくとも、受取皿10の底面壁10dから到達センサ61までの距離よりも短ければよい。また、ラベル812の検出判断を行うタイミングも、上記実施の形態のように一定量の搬送ではなく、徐々に検出判断を行うまでの搬送量を短くしてもよい(図8参照)。また、上記実施の形態では、搬送量に基づいて到達センサ61によるラベル812の検出処理のタイミングを決定していたが、搬送量でなく、印刷開始からの経過時間を計測し、一定時間ごとに検出判断を行ったり(図9参照)、徐々に間隔を短くして検出判断を行ったりしてもよい。また、印刷量によりタイミングを決定してもよい。ただし、この場合においても印刷終了後のラベル用紙81の送り搬送時には、搬送量にてタイミングが決定されることとなる。
【0041】
ここで、変形例1として、徐々に検出判断を行うまでの搬送量を短くした場合の印刷処理を説明し、変形例2として、一定時間ごとに検出判断を行う印刷処理を説明する。図8は、変形例1の印刷処理のフローチャートであり、図9は、変形例2の印刷処理のフローチャートである。
【0042】
まず、図8を参照して、変形例1の徐々に検出判断を行うまでの搬送量を短くした場合の印刷処理について説明する。ここでは、到達センサ61によるラベル812の検出を行うタイミングを判断するための変数としてNが使用される。Nの値は初期値が「100」であり、最初の判断は100ライン搬送した後に行われ、変数Nの値は「10」減算されて、2回目の判断は90ライン搬送した後に行われ、3回目の判断は80ライン搬送した後に行われる。
【0043】
まず、印刷データがCGROM32から読み込まれる(S41)。そして、印刷開始位置までラベル用紙81が搬送される(S42)。そして、搬送したライン数をカウントする変数nに初期値の「0」がセットされ、変数Nには初期値の「100」がセットされる(S43)。そして、1ライン分の印刷が実行される(S44)。ここでは、サーマルヘッド31により1ラインの印刷が行われ、次の行の印刷のために、プラテンローラ26が回転されて1ライン分ラベル用紙81が搬送される。なお、印刷の必要がない行である場合には、印刷は行われずに、ラベル用紙81の送り動作のみが行われる。そして、変数nに「1」が加算される(S45)。そして、変数Nだけの搬送が終了したか否かの判断が行われる(S46)。そこで、変数nの値が変数Nの値「100」よりも大きく、一定量の搬送が終了していれば(S46:YES)、S48へ進み、変数Nの値の更新が行われた後に、ラベル812の先端が到達センサ61により検出されているか否かの判断の処理が行われる(S51,S52)。
【0044】
しかし、まだ変数nの値は「1」であるので、「10」より大きいとは判断されない(S46:NO)。そこで、印刷が終了したか否かの判断が行われる(S47)。全てのラインの印刷が終了し、ラベル812の排出のための搬送まで終了している場合には(S47:YES)、印刷処理は終了し、メイン処理へ戻り、S2へ戻る。しかし、印刷が終了していないので(S47:NO)、S44へ戻り、次の1ラインの印刷、搬送が行われる(S44)。そして、S44〜S47の処理が繰り返し行われ、変数nの値が変数Nの値「100」よりも大きくなったら(S46:YES)、ライン数をカウントする変数nの値が「0」にクリアされ(S48)、次いで、変数Nの値が「10」より大きいか否かの判断が行われて(S49)、「10」よりも大きいので(S49:YES)、変数Nから「10」が減算され、「100−10=90」とされる(S50)。そして、到達センサ61の値が取得される(S51)。
【0045】
そして、取得された値がラベル812のあることを意味する値(127以下)でなければ(S52:NO)、搬送を継続してもよいので、S44へ戻り、次のラインの印刷及び搬送が行われ(S44)、変数nに「1」が加算され(S45)、変数nの値が変数Nの値と比較される(S46)。ここでは、変数Nの値は「90」となっている。変数nの値は「1」であるので、変数nの値は変数Nの値よりも大きくないと判断され(S46:NO)、印刷が終了していないので(S47:NO)、S44へ戻る。このようにして、そして、S44〜S47の処理が繰り返し実施される。
【0046】
繰り返しS44〜S47の処理が行われ、印刷及び搬送が実施されて、ラベル812が到達センサ61により検出されたら(S52:YES)、繰り返し到達センサ61の値の取得(S51)、取得された値がラベル812のあることを意味する値であるか否かの判断行われる(S52)。すなわち、到達センサ61の値が、ラベル812のあることを示す値でなくなるまでは(S52:NO)、S51、S52の処理が繰り返し実施されるので、印刷及び搬送は停止されることとなる。そして、ユーザによりラベル812が取り上げられたら、到達センサ61の値はラベル812のあることを示す値でなくなるので(S52:NO)、S44へ戻り、次の1ラインの印刷及び搬送が行われることとなる(S44)。そして、S44〜S47の処理及び、状況に応じてS48〜S52の処理が繰り返し実施されて、印刷が終了したら(S47:YES)、印刷処理は終了し、メイン処理へ戻り、S2へ戻る。
【0047】
なお、S44〜S47の処理が繰り返される中で、到達センサ61の検出が行われる場合に(S46:YES)、変数Nの値が「10」以下の値となっていれば(S49:NO)、これ以上検出の間隔を短くしないために、変数Nの値から「10」減算する処理(S50)を行わずに、S51へ進む。
【0048】
以上のようにして、徐々に短い間隔で到達センサ61によるラベル812の検出処理を行うことができる。これにより、まだラベル812の先端が受取皿10の底面壁10dに到達することがない状態で細かなチェックをして印刷処理への付加が増大するのを防ぐことができる。なお、本変形例の印刷処理のS52の処理を行うCPU11が「検出判断手段」に相当し、S45、S46,S48〜S52の処理を行うCPU11が「印刷停止制御手段」に相当する。
【0049】
なお、この変形例においても、ラベル812が検出されるか否かの判断を行う際の搬送量は例示した値(100から10ずつ減算される)に限らないことはいうまでもない。また、本変形例では、変数Nから減算する値を「10」と固定値としているが、減算する値も徐々に少なくしていってもよい。例えば、変数Nの初期値が「100」である場合を考えると、1回目の判断が行われる際には「70」を減算して「30」とし、2回目には「15」を減算して「15」とし、3回目には「5」を減算して「10」とし、4回目には「3」を減算して「7」とし、5回目にも「3」を減算して「4」とし、6回目には「2」を減算して「2」とし、7回目には「1」を減算して「1」とし、それ以上は減算しない様にしてもよい。
【0050】
次に、図9を参照して、変形例2の一定時間ごとに検出判断を行う印刷処理について説明する。ここでは、時間を計測する計時手段が使用される。図4には図示していないが、この計時手段はデータバス36を介してCPU11に接続しており、CPU11は時間の経過を計測することができる。そして、CPU11では、メイン処理とは別に時間の経過を計測するためのタイマ(RAM34に記憶エリアが設けられている)を更新するタイマ更新処理が行われており、このタイマ更新処理では、所定時間(例えば、1秒)ごとにタイマを加算している。
【0051】
まず、印刷データがCGROM32から読み込まれる(S61)。そして、印刷開始位置までラベル用紙81が搬送される(S62)。そして、タイマがクリアされる(S63)。そして、1ライン分の印刷が実行される(S64)。ここでは、サーマルヘッド31により1ラインの印刷が行われ、次の行の印刷のために、プラテンローラ26が回転されて1ライン分ラベル用紙81が搬送される。なお、印刷の必要がない行である場合には、印刷は行われずに、ラベル用紙81の送り動作のみが行われる。そして、所定時間が経過したか否かの判断が行われる(S66)。本実施の形態では、所定時間を2秒とする。そこで、所定時間が経過していれば(S66:YES)、S68へ進み、ラベル812の先端が到達センサ61により検出されているか否かの判断が行われる(S68,S69)。
【0052】
しかし、まだ所定時間を経過していないので(S66:NO)、印刷が終了したか否かの判断が行われる(S67)。全てのラインの印刷が終了し、ラベル812の排出のための搬送まで終了している場合には(S67:YES)、印刷処理は終了し、メイン処理へ戻り、S2へ戻る。しかし、印刷が終了していないので(S67:NO)、S64へ戻り、次の1ラインの印刷、搬送が行われる(S64)。そして、S64〜S67の処理が繰り返し行われ、所定時間が経過したら(S66:YES)、到達センサ61の値が取得される(S68)。そして、取得された値がラベル812のあることを意味する値(127以下)でなければ(S69:NO)、搬送を継続してもよいので、S63へ戻り、次の判断処理のためにタイマがクリアされる(S63)。そして、S64〜S67の処理が繰り返し実施される。
【0053】
繰り返しS64〜S67の処理が行われ、印刷及び搬送が実施されて、ラベル812が到達センサ61により検出されたら(S69:YES)、繰り返し到達センサ61の値の取得(S68)、取得された値がラベル812のあることを意味する値であるか否かの判断行われる(S69)。すなわち、到達センサ61の値が、ラベル812のあることを示す値でなくなるまでは(S69:NO)、S68,S69の処理が繰り返し実施されるので、印刷及び搬送は停止されることとなる。そして、ユーザによりラベル812が取り上げられたら、到達センサ61の値はラベル812のあることを示す値でなくなるので(S69:NO)、S63へ戻り、タイマがクリアされ(S63)、次の1ラインの印刷及び搬送が行われることとなる(S64)。そして、S64〜S67の処理及び、状況に応じてS68,S69の処理が繰り返し実施されて、印刷が終了したら(S67:YES)、印刷処理は終了し、メイン処理へ戻り、S2へ戻る。
【0054】
以上のようにして、所定時間ごとに到達センサ61によるラベル812の検出処理を行うことができる。なお、本変形例の印刷処理のS69の処理を行うCPU11が「検出判断手段」に相当し、S63,S66,S68,S69の処理を行うCPU11が「印刷停止制御手段」に相当する。また、本変形例2においては、所定時間を2秒としたが、これより長い時間であってもよいし、短い時間であってもよく、印刷装置1の印刷及び搬送の速度に基づいて決定すればよい。また、変形例2においては、所定時間を一定の時間としたが、徐々に短くなるように所定時間を設定してもよい。
【0055】
本発明の印刷装置は、台紙に剥離可能なラベルが貼付されているラベル用紙を印刷する印刷装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態におけるラベル用紙の平面図である。
【図2】印刷装置の斜視図である。
【図3】印刷装置の右側面図である。
【図4】印刷装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】印刷装置の構造を示す模式図である。
【図6】印刷装置のメイン処理のフローチャートである。
【図7】メイン処理の中で行われる印刷処理のフローチャートである。
【図8】変形例1の印刷処理のフローチャートである。
【図9】変形例2の印刷処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1 印刷装置
2 本体筐体
2a 正面壁
11 CPU
10 受取皿
10d 底面壁
31 サーマルヘッド
51 ラベル剥離部材
61 到達センサ
62 反射部材
81 ラベル用紙
99 排出口
811 台紙
812 ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のラベルが台紙に粘着された帯状のラベル用紙に印刷データを印刷する印刷手段と、前記印刷手段による印刷が行われた前記ラベル用紙の前記ラベルを前記台紙から剥離する剥離手段と、当該剥離手段により剥離された前記ラベルを排出する排出口と、当該排出口から排出された前記ラベルを検出するラベル検出手段とを備えた印刷装置であって、
前記ラベル検出手段は、前記印刷装置の前記排出口の設けられている側面において、前記排出口よりも下側に設けられ、
前記ラベル検出手段により前記ラベルを検出したか否かを判断する検出判断手段と、
当該検出判断手段により前記ラベルを検出したと判断された場合には、前記印刷手段による印刷を停止する印刷停止制御手段と
を備えていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記ラベル検出判断手段による判断は、前記印刷手段により所定量の印刷が実施されるごと、所定量の搬送が実施されるごと、又は、所定時間ごとに実施されることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記所定量又は前記所定時間は、印刷の開始から終了に向かい一定量又は一定時間ずつ少なくなることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記ラベル検出手段は、前記排出口の開口部の左端及び右端の間の領域の略中央に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記ラベル検出手段は、前記排出口の開口部の下端と排出されたラベルを受ける受け部との間の領域の下側下端より略2/3の領域に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の各種処理手段としてコンピュータを機能させるための印刷プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−245559(P2007−245559A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−72626(P2006−72626)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】