説明

印刷装置及び印刷方法

【課題】インクジェット等の印刷装置において、循環経路を利用したデカールに際して、循環数を必要最低数とし、印刷物全体に要する時間が長時間化するのを回避する。
【解決手段】複数枚の用紙に複数枚の画像をそれぞれ形成する画像形成部と、給紙経路から給紙された各用紙を排紙経路へと搬送する第1の搬送経路と、前記第1の搬送経路に分岐接続され、前記第1の搬送経路から受け渡された各用紙を前記第1の搬送経路に戻す第2の搬送経路とによって環状に構成された循環経路と、各画像の印字率を印字率検出部と、各画像の印字率に基づき、各用紙の循環数を決定する循環数決定部と、各用紙の循環数に基づき、用紙搬送の運行表を生成する運行表生成部と、前記運行表に基づき、前記循環経路の循環駆動を制御し、前記第1の搬送経路と前記第2の搬送経路との切替えることにより、前記運行表に記載された諸量を制御する搬送駆動制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙搬送経路上を搬送される用紙に画像を形成する印刷装置に係り、特に、印刷後の用紙のカールを防止するデカール機能を備えた印刷装置及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット等の印刷装置では、印刷された用紙がカールする。その理由は、これらの印刷装置で使用される水系インクの着弾により用紙の片面が湿ることにある。しかし、時間が経過すると用紙に着弾したインクが乾燥するので、印刷物のカール量は次第に減少していく。そのため、従来より、印刷直後に印刷物を排紙せずに、インクが乾燥した後にデカールし、印刷物を排紙する方法が提案されている。
【0003】
このようにインクを乾燥させる時間を確保するための技術として、特許文献1には、印刷物をプリンタ内の循環経路上で循環させる技術が開示されている。この技術では、印刷条件に応じて印刷物の循環数を設定し、その循環数分だけ印刷物を循環させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−264828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した方法では、印刷対象が複数枚の原稿からなる場合、そのうち一枚の原稿の印刷物だけを多く循環させると印刷物全体の排紙順序に不整合が生じることから、原稿全体にわたって排紙順序と給紙順序が同じとなるように、原稿全体の中で循環数が一番多く設定された原稿を基準として、当該循環数で印刷物全体を一律に循環させていた。
【0006】
それは、通常、原稿ごとに循環数が異なると、給紙から排紙までの時間が原稿ごとに異なってしまうからである。その場合、排紙予定順序で給紙を行ったとしても、デカールが終了した順に排紙すると、排紙順序が予定された順序とは異なってしまう。それゆえ、上述した方法では、循環数が一番多い印刷物に合わせて、印刷物全体を一律にデカールしていた。
【0007】
このため、上述した方法では、原稿全体にわたって循環数が増えるため、印刷に時間がかかるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために為されたものであって、循環経路を利用した印刷物のデカールに際して、原稿毎に印字率に応じた循環数を設定することにより、印刷物全体の循環数を必要最低数とし、印刷物全体の循環に要する時間が長時間化するのを回避し、生産性を維持できるインクジェット等の印刷装置及び印刷方法を提供することを目的とする。
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の印刷装置は、複数枚の用紙に複数枚の画像をそれぞれ形成する画像形成部と、給紙経路から給紙された各用紙を排紙経路へと搬送する第1の搬送経路と、前記第1の搬送経路に分岐接続され、前記第1の搬送経路から受け渡された各用紙を前記第1の搬送経路に戻す第2の搬送経路とによって環状に構成された循環経路と、前記第1の搬送経路上で前記画像形成部において各用紙に各画像を形成する際に必要となるインクの吐出量又はインクの濃度を解析し、各画像の印字率を検出する印字率検出部と、各画像の印字率に基づいて、各用紙の前記循環搬送経路上での循環数を決定する循環数決定部と、各用紙の循環数に基づいて、各画像の形成速度、各用紙の搬送速度、各用紙の搬送順序、各用紙の給紙タイミング、各用紙の搬送タイミング、及び各用紙の排紙タイミングを記述した運行表を生成する運行表生成部と、前記運行表に基づいて、前記循環経路上に設けられた駆動機構を制御し、前記第1の搬送経路と前記第2の搬送経路とを切替えることにより、各画像の形成速度、各用紙の搬送速度、各用紙の搬送順序、各用紙の給紙タイミング、各用紙の搬送タイミング、及び各用紙の排紙タイミングを制御する搬送駆動制御部とを備える。
【0010】
また、請求項2に記載の印刷装置は、請求項1に記載の印刷装置において、前記運行表生成部は、各用紙の排出タイミングから、各用紙の循環数分だけ各用紙が前記循環経路を循環するのに要する循環時間を減算して得られる各用紙の給紙タイミングに基づいて、前記運行表を生成する。
【0011】
また、請求項3に記載の印刷装置は、請求項2に記載の印刷装置において、 前記運行表生成部は、前記循環経路上に収容可能な用紙数を算出し、各用紙が前記循環経路を一巡するのに要する時間を前記収容可能な用紙数で除算して得られる時間を用紙搬送の単位時間として設定し、前記単位時間を尺度とした自然数列を仮の搬送タイミング数として設定し、前記仮の搬送タイミング数に対して、前記収容可能な用紙数を法とした自然数列を各用紙の搬送のための前記循環経路上のスペース数として割り当て、各用紙を、排紙の遅い用紙から降順に、前記スペース数に対して割り当て、その後、前記仮の搬送タイミング数を逆順に並び替え、並び替えられた数を真の搬送タイミング数として各用紙に割り当て、各用紙に対して割り当てられた真の搬送タイミング数のうち、最も大きい番号の搬送タイミングを各用紙の排紙タイミングとし、最も小さい番号の搬送タイミングを各用紙の給紙タイミングとして設定することによって前記運行表を生成する。
【0012】
また、請求項4に記載の印刷装置は、請求項1に記載の印刷装置において、前記第2の搬送経路は、前記第1の搬送経路に分岐接続され、前記第1の搬送経路から受け渡された各用紙の表裏を反転させて前記第1の搬送経路に戻す反転経路を備え、前記運行表生成部は、用紙の反転、反転後の用紙に対する画像形成の速度、及び画像形成された前記反転後の用紙の搬送タイミングを前記運行表に記述し、前記搬送駆動制御部は、前記運行表に基づいて、用紙の反転、反転後の用紙の裏面に対する画像形成の速度、及び画像形成された前記反転後の用紙の搬送タイミングも制御する。
【0013】
また、請求項5に記載の印刷装置は、請求項1に記載の印刷装置において、前記搬送駆動制御部は、前記給紙経路から給紙された用紙の循環時間と、前記循環経路から受け渡された用紙の再循環時間とが等しくなるように前記循環経路上の制御機構の制御を行う。
【0014】
さらに、請求項6に記載の印刷方法は、給紙経路から給紙された各用紙を排紙経路へと搬送する第1の搬送経路と、前記第1の搬送経路に分岐接続され、前記第1の搬送経路から受け渡された各用紙を前記第1の搬送経路に戻す第2の搬送経路とによって環状に構成された循環経路と、前記循環経路上を搬送される複数枚の用紙に複数枚の画像をそれぞれ形成する画像形成部を備えた印刷装置を準備し、前記第1の搬送経路上で前記画像形成部において各用紙に各画像を形成する際に必要となるインクの吐出量又はインクの濃度を解析し、各画像の印字率を検出し、各画像の印字率に基づいて、各用紙の前記循環経路上での循環数を決定し、各用紙の循環数に基づいて、各画像の形成速度、各用紙の搬送速度、各用紙の搬送順序、各用紙の給紙タイミング、各用紙の搬送タイミング、及び各用紙の排紙タイミングを記述した運行表を生成し、前記運行表に基づいて、前記循環経路上に設けられた駆動機構を制御し、前記第1の搬送経路と前記第2の搬送経路との切替えることにより、各画像の形成速度、各用紙の搬送速度、各用紙の搬送順序、各用紙の給紙タイミング、各用紙の搬送タイミング、及び各用紙の排紙タイミングを制御する。
【0015】
また、請求項7に記載の印刷方法は、請求項6に記載の印刷方法において、前記運行表は、各用紙の排出タイミングから、各用紙の循環数分だけ各用紙が前記循環経路を循環するのに要する循環時間を減算して得られる各用紙の給紙タイミングに基づいて、生成される。
【0016】
また、請求項8に記載の印刷方法は、請求項7に記載の印刷方法において、前記運行表は、前記循環経路上に収容可能な用紙数を算出し、各用紙が前記循環経路を一巡するのに要する時間を前記収容可能な用紙数で除算して得られる時間を用紙搬送の単位時間として設定し、前記単位時間を尺度とした自然数列を仮の搬送タイミング数として設定し、前記仮の搬送タイミング数に対して、前記収容可能な用紙数を法とした自然数列を各用紙の搬送のための前記循環経路上のスペース数として割り当て、各用紙を、排紙の遅い用紙から降順に、前記スペース数に対して割り当て、その後、前記仮の搬送タイミング数を逆順に並び替え、並び替えられた数を真の搬送タイミング数として各用紙に割り当て、各用紙に対して割り当てられた真の搬送タイミング数のうち、最も大きい番号の搬送タイミングを各用紙の排紙タイミングとし、最も小さい番号の搬送タイミングを各用紙の給紙タイミングとして設定することによって生成される。
【0017】
また、請求項9に記載の印刷方法は、請求項6に記載の印刷方法において、前記第2の搬送経路は、前記第1の搬送経路に分岐接続され、前記第1の搬送経路から受け渡された各用紙の表裏を反転させて前記第1の搬送経路に戻す反転経路を備え、用紙の反転、反転後の用紙に対する画像形成の速度、及び画像形成された前記反転後の用紙の搬送タイミングが前記運行表に記述され、前記運行表に基づき、用紙の反転、反転後の用紙に対する画像形成の速度、及び画像形成された前記反転後の用紙の搬送タイミングが制御される。
【0018】
また、請求項10に記載の印刷方法は、請求項6に記載の印刷方法において、前記搬送経路上の前記駆動機構は、前記給紙経路から給紙された用紙の循環時間と、前記循環経路から受け渡された用紙の再循環時間とが等しくなるように制御される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、インクジェット等の印刷装置において、循環経路を利用した印刷された用紙のデカールに際して、用紙毎に原稿の印字率に応じた循環数を決定することにより、循環数を必要最低数とし、印刷物全体に要する時間が長時間化するのを回避し、印刷物の生産性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示した印刷装置の搬送径路を示した図である。
【図3】図1に示した印刷装置における演算処理部のデカール処理に係る機能モジュールを示すブロック図である。
【図4】図1に示した印刷装置における印刷処理の全体動作を示すフローチャートである。
【図5】図1に示した印刷装置における用紙搬送の概要を示す図である。
【図6】図1に示した印刷装置におけるデカール時の運行表の一例を示す図である。
【図7】図1に示した印刷装置における搬送スペースと搬送タイミングの関係を示す図である。
【図8A】図1に示した印刷装置における運行表の作成手順の一例を示す図である。
【図8B】図1に示した印刷装置における運行表の作成手順の一例を示す図である。
【図9】図1に示した印刷装置における運行表の作成手順の他の例をマトリックス状に表現した図である。
【図10】図1に示した印刷装置の変形例の概略構成を示す図である。
【図11】図10に示した印刷装置における循環数の決定手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態について図1〜11を参照して説明する。
(印刷装置の全体構成)
図1は、本実施形態に係る印刷装置100の概略構成を示す図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態における用紙搬送経路は、用紙が給紙される給紙系搬送経路FRと、用紙が排紙される排紙系搬送経路DRと、給紙系搬送経路FRから受け渡された用紙を排紙系搬送経路DRに搬送する通常搬送径路(第1の搬送経路)PRと、通常搬送径路PRに分岐接続され、通常搬送径路PRから受け渡された用紙をそのまま通常搬送径路PRに戻すバイパス経路BRと、通常搬送径路PRに分岐接続され、通常搬送径路PRから受け渡された用紙の表裏を反転させて通常搬送径路PRに戻す反転(スイッチバック)経路SRとから構成されている。なお、バイパス経路BR又は反転経路SRのことを接続経路(第2の搬送経路)と称し、通常搬送径路(第1の搬送経路)PRと接続経路(第2の搬送経路)とによって構成される環状の経路のことを循環経路CRと称する。
【0023】
印刷装置100は、用紙の供給を行う給紙機構として、筐体側面の外部に露出したサイド給紙台120と、筐体内部に設けられた複数の給紙トレイ130(130a、130b、130c、130d)とを備えている。また、印刷装置100は、印刷された用紙(片面印刷物又は両面印刷物)を排出する排紙機構として排紙口140を備えている。
【0024】
印刷装置100は、用紙の幅方向に多数のノズルが形成された4本のインクヘッドを有する印字ヘッドユニット(画像形成部)110を備え、それぞれのインクヘッドから黒(K)、黄色(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)のインクを吐出してライン単位で印刷を行い、搬送ベルト160上の用紙に複数の画像を互いに重なり合うように形成するインクジェット方式のラインカラープリンタである。
【0025】
サイド給紙台120、給紙トレイ130のいずれかの給紙機構から給紙された用紙は、ローラ等の駆動機構によって筐体内の給紙系搬送径路FRに沿って搬送され、用紙の先端部分の位置合わせと用紙の斜行修正を行うためのレジスト部Rに導かれる。レジスト部Rの下流側には、印字ヘッドユニット110が設けられている。用紙は、印字ヘッドユニット110に対向して設けられた搬送ベルト160によって印刷条件により定められる速度で搬送されながら、各インクヘッドから吐出されたインクによりライン単位で画像形成される。
【0026】
印刷された用紙は、さらに、ローラ等の駆動機構によって筐体内を搬送される。片面印刷の場合には、印刷物はそのまま排紙口140に導かれて、排紙口140の受台として設けられた排紙台150に印刷面を下にして積載されていく。排紙台150は、筐体から突出したトレイ形状をしており、ある程度の厚みを有している。排紙台150は傾斜しており、傾斜の下位置に形成された壁により、排紙口140から排紙された印刷用紙が自然に整えられて重なっていくようになっている。
【0027】
一方、両面印刷の場合は、表面(最初に印刷される面を「表面」、次に印刷される面を「裏面」とする)印刷終了時には排紙口140に導かれずに、さらに筐体内を搬送される。このため、印刷装置100は、裏面印刷用に搬送径路を切り替えるための切替機構170,171,172を備えている。
【0028】
切替機構170は、通常搬送径路PRから分岐接続された反転経路SRと、排紙系搬送経路DRとを、選択的に通常搬送径路PRへと接続する切替手段である。それにより、切替機構170は、通常搬送径路PRを搬送中の用紙を、反転経路SRへと導くか、又は排紙系搬送径路DRへと導く。切替機構170によって排出されなかった用紙は、反転経路SRに引き込まれ、反転経路SRにおいて表裏が反転させられて、通常搬送径路PRに戻される。
【0029】
さらに、切替機構170の下流側には、バイパス経路BRが設けられ、切替機構171により、用紙が通常搬送径路PRから、反転経路SR又はバイパス経路BRに選択的に導かれるようになっている。そして、バイパス経路BRでは、用紙は、反転せず、そのまま通常搬送径路PRに受け渡される。このため、バイパス経路BRを経由することにより、表面を上にしたままの状態で用紙を循環搬送することができ、当該状態のままで用紙をヘッドユニット110に複数回通過させることができる。他方、反転経路SRでは、用紙は、往復され、切替機構172により切り替えられて通常搬送径路PRに戻されることによって、その表裏が反転される。
【0030】
そして、ローラ等の駆動機構によって、反転経路SR又はバイパス経路BRのいずれかを経由した用紙は、再度レジスト部Rに導かれ、表面と同様の手順によって用紙の裏面の印刷が行われる。裏面の印刷が行われ、両面に画像が形成された用紙は、排紙口140に導かれて、排紙口140の受台として設けられた排紙台150に積載されていく。
【0031】
なお、本実施形態では、両面印刷時におけるスイッチバックを、排紙台150の内部に設けられた空間を利用して行うようにしている。当該空間は、スイッチバック時に用紙が外部から取り出せないように覆われた構成となっている。これにより、利用者が誤ってスイッチバック動作中の用紙を引き抜いてしまうことを防ぐことができる。また、排紙台150は、本来、印刷装置100に備えられているものであり、排紙台150の空間を利用してスイッチバックを行うことにより、印刷装置100内に、別途スイッチバック用の空間を設ける必要がなくなる。したがって、筐体のサイズが増大することを防ぐことができる。さらには、排紙口140と反転経路SRとを共用しないため、スイッチバック処理と排紙とを並行して行うことができる。
【0032】
印刷装置100では、給紙された用紙の先端部分の基準位置を決めるレジスト部Rには、両面印刷時に表面印刷された用紙も搬送されてくる。このため、レジスト部Rの直前位置には、給紙された用紙が搬送されてくる経路と、表面印刷された用紙が循環して搬送されてくる経路とが合流する合流地点が存在する。
【0033】
図2は、給紙系搬送径路FR、通常搬送径路PR、反転経路SR等の搬送経路を模式的に示した図である。なお、同図では、便宜上、駆動部を構成するローラの個数は適宜省略している。
【0034】
給紙系搬送径路FRには、サイド給紙台120から用紙の給紙を行うためのサイド給紙駆動部220、給紙トレイ130(130a,130b,…)から用紙の給紙を行うためのトレイ1駆動部230a、トレイ2駆動部230b、…が備えられている。いずれの駆動部も複数のローラ等で構成された駆動機構を備え、サイド給紙台120又は給紙トレイ130に積載された用紙を1枚ずつ取り込んで、レジスト部Rに搬送する。各駆動部は独立に駆動することが可能であり、用紙の給紙を行う給紙機構に応じて必要な駆動部の動作が行われる。
【0035】
また、給紙系搬送径路FRには、搬送センサが複数個配置され、給紙系搬送径路FRにおける搬送ジャムを検出できるようになっている。各搬送センサは、用紙の有無又は用紙の先端部分を検出するためのセンサであり、例えば、給紙系搬送経路FR上に複数の搬送センサを適当な間隔で並べ、上流側に設けられた搬送センサが印刷用紙を検出してから所定時間内に下流側の搬送センサが印刷用紙を検出しない場合に、搬送ジャムが発生したと判断することができる。
【0036】
さらに、サイド給紙台120や給紙トレイ130の給紙部付近に搬送センサを設け、サイド給紙駆動部220、トレイ1駆動部230a等を駆動させてから所定時間内に搬送センサが用紙を検出しない場合に搬送ジャム(給紙エラー)が発生したと判断することができる。搬送センサを上記の各給紙部に対応して配置することで、給紙系搬送径路FRにおいて搬送ジャムが発生したことのみならず、給紙系搬送径路FRのどこで搬送ジャムが発生したかを特定することができるようになっている。
【0037】
また、上述したように、本実施形態では、両面印刷を行う用紙とデカールが必要な用紙とが、反転経路SR又はバイパス経路BRを経て、通常搬送径路PRに循環搬送され、印字ヘッドユニット110を複数回通過する。
【0038】
具体的に、通常搬送径路PRには、レジスト部Rに用紙を導くレジスト駆動部240、印字ヘッドユニット110に対向して設けられた搬送ベルト160を無端移動させるベルト駆動部250、用紙搬送方向の上流から下流に向けて順に配置される第1搬送駆動部260及び第2搬送駆動部265、排紙口140に印刷された用紙(印刷物)を導く排紙駆動部270、裏面印刷のために用紙を反転経路SRに引き込んで、反転させて合流地点に導く反転(スイッチバック)経路駆動部280が備えられている。これらの駆動部240,250,260,265,270,280は、1又は複数のローラ等で構成された駆動機構を備え、搬送経路に沿って用紙を1枚ずつ搬送する。各駆動部は独立に駆動することが可能であり、用紙の搬送状況に応じて必要な駆動部の動作が行われる。
【0039】
さらに、通常搬送径路PRにも搬送センサが複数個配置され、通常搬送径路PRにおける搬送ジャムを検出できるようになっている。さらに、レジスト部Rにおいても適切に用紙が搬送されていることを確認できるようになっている。通常搬送径路PRでは、駆動部ごとに搬送センサが設けられており、通常搬送径路PRのどの駆動部で搬送ジャムが発生したかを特定することができるようになっている。
【0040】
反転経路SRは、通常搬送径路PRに分岐接続され、通常搬送径路PRから受け渡された用紙を反転させて通常搬送径路PRに戻すことにより、用紙の表裏を反転させるための経路である。反転経路SRでは、通常搬送径路PRと異なる速度で用紙の搬送が可能で、通常搬送径路PRから用紙を引き継ぐ際に、加速・減速させたり、スイッチバックの際の停止時間を延長したり短縮したりすることができる。
【0041】
そして、本実施形態においては、ある用紙を給紙した後、その用紙に印刷が施され排紙されるのを待ってから次の用紙を給紙するのではなく、運行表により、先行する用紙が排紙される前に、後続の用紙を給紙して、所定の間隔で連続的に印刷することができるようになっている。
【0042】
印刷装置100においては、通常の両面印刷では、図5(a)〜5(c)に示すように、用紙は、印字ヘッドユニット110において表面印刷された後(図5(a))、通常搬送経路PRを循環し、反転経路SRを経由して表裏が反転され、再度、印字ヘッドユニット110に戻り(図5(b))、裏面印刷された後、排出される(図5(c))。このような両面印刷において、反転経路SRを経由して表裏が反転された用紙(図中の用紙(1'))は、図5(b)に示すように、表面印刷を行う用紙(図中の用紙(3)と(4))の間に挿入される。
【0043】
したがって、両面印刷時の通常の運行表では、サイド給紙台120や給紙トレイ130の給紙部から用紙を給紙する際に、反転経路SRから戻ってきた用紙が挿入される場所を確保するように、通常搬送径路PR上に予めスペースを確保しておく。これにより、印刷装置100では、表面印刷と裏面印刷とを並行させることができ、片面印刷時に対して1/2の生産性を確保することができる。
【0044】
搬送ベルト160は、用紙搬送方向の上流及び下流側の端部にそれぞれ配設された駆動ローラ161及び従動ローラ162に掛け渡されており、図中時計回りの方向に回転移動する。なお、搬送ベルト160に微細な貫通孔を多数開けるとともに、搬送ベルト160の当該貫通孔に負圧を生じさせ、搬送ベルト160上の用紙を搬送ベルト160に吸着させて拘束することによって、デカールを促進させるようにしてもよい。
【0045】
また、搬送ベルト160の移動方向に沿って、印字ヘッドユニット110を構成するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つのインクヘッドが順に配置されている。
【0046】
(演算処理部)
さらに、図1に示すように、印刷装置100には、演算処理部330が備えられている。演算処理部330は、CPUやDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ、メモリ、及びその他の電子回路等のハードウェア、或いは上記の機能を持ったプログラム等のソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成された演算モジュールである。演算処理部330は、プログラムを適宜読み込んで実行することにより種々の機能モジュールを仮想的に構築し、構築された各機能モジュールによって、画像データに関する処理や、各部の動作制御、ユーザー操作に対する種々の処理を行う。また、演算処理部330には、操作パネル330aが接続されており、操作パネル330aを通じて、ユーザーによる指示や設定操作を受け付けることができる。
【0047】
そして、印刷装置100には、反転経路SR又はバイパス経路BRを経由して、原稿の印字率に応じた回数だけ用紙を循環させることにより、印刷された用紙を乾燥させてデカールを行う機能が備えられている。なお、本実施形態において、片面印刷時には、片面印刷後にバイパス経路BRを介して用紙を所定回数循環させることによりデカールを行い、両面印刷時には、反転経路SRを使用して裏面印刷を行い、必要があれば反転経路SRを使用して用紙の排紙順を揃えた後に、次の循環からはバイパス経路BRを使用してデカールを行う。そして、循環後に用紙の排紙を行う。
【0048】
(デカール処理制御)
本実施形態におけるデカール処理は、演算処理部330によって、画像データを解析したり、ヘッドユニット110、及び上述した各駆動モータや各切替機構等の搬送径路駆動手段(図3)の動作を制御したりすることにより行われる。図3は、演算処理部330におけるデカール処理に係る機能モジュールを示すブロック図である。
【0049】
図3に示すように、演算処理部330は、画像処理部331と、デカール処理部332と、画像データ受信部333と、搬送制御部334と、運行表生成部335とを備えている。
【0050】
画像データ受信部333は、ジョブデータを受信する通信インターフェースであり、受信したジョブデータに含まれる画像データを画像処理部331、デカール処理部332、及び運行表生成部335に受け渡すモジュールである。
【0051】
画像処理部331は、画像処理に特化したディジタル信号処理を行う演算処理装置であり、印刷に必要な画像データの変換等を行い、画像形成処理を実行するモジュールである。画像処理部331は、画像形成制御部331a、色変換回路331bとを備えている。
【0052】
色変換回路331bは、RGB印刷画像をCMYK印刷画像に変換する回路であり、各色についての印刷画像に基づいて、画像形成制御部331aに印刷を実行させる。また、画像形成制御部331aは、各色のインクヘッドの駆動や、搬送経路の駆動手段の動作を制御し、画像形成処理全体を制御するモジュールであり、運行表生成部335でスケジューリングされたタイミング及び印字速度で画像形成を行う。
【0053】
デカール処理部332には、操作信号取得部332aと、循環数決定部332bと、印字率検出部332cとが備えられている。
【0054】
操作信号取得部332aは、操作パネル330aからユーザーによる操作信号を受信するモジュールであり、受信した操作信号を解析し、ユーザー操作に応じた処理を他のモジュールに実行させる。特に、本実施形態において、操作信号取得部332aは、画像形成に関し、ユーザーがカールの発生を回避すべくデカール処理を実行するか否かの指示操作や設定操作を受け付け、デカール処理の要否を循環数決定部332bに出力する機能を担っている。そして、操作信号取得部332aにおいて、デカール処理が不要であると設定されている場合、循環数決定部332bは、デカールのための循環数の加算を行わず、通常通りの循環数をそのまま出力する。
【0055】
印字率検出部332cは、印刷対象となる複数枚の原稿のそれぞれについて用紙に対する印字率を計数するモジュールであり、画像データ受信部333によって受信されたジョブデータに含まれる画像データに応じて、画像形成処理におけるインクの吐出量又はインクの濃度のいずれかを含む画像特性を解析し、各色の印字率及び印字の分布などを検出し、検出結果を出力する。また、印字率検出部332cは、印刷ジョブに複数枚の原稿が含まれているとき、全原稿を画像データとして展開するとともに、両面印刷にあっては各画像データを用紙の表と裏に割り当て、用紙にカールが発生しそうな原稿を全て選択し、選択された原稿の画像特性とともに、循環数決定部332bに出力する。なお、印字率の計数に際しては、原稿の画像データを複数エリアに分割し、一番印字率の高いエリアや一番条件の悪いエリアの情報を基に判断するようにしてもよい。
【0056】
循環数決定部332bは、各原稿の印字率に従って用紙のカールの発生を推測し、原稿毎に循環数を決定するモジュールであり、決定された循環数は、運行表生成部335に入力される。循環数決定部332bは、各原稿の表面と裏面のそれぞれについて、印字率検出部332cから印字率等の画像特性に関する情報を取得し、それをしきい値と比較して、各原稿の印字率がしきい値を超えるような場合に用紙のカールの発生を推測し、その推測結果に基づき決定した循環数を運行表生成部335に出力する。
【0057】
さらに、循環数決定部332bは、各原稿の表面と裏面のそれぞれの印字率に応じて、表裏それぞれの面の循環数を算出したのち、表裏いずれの面の循環数が多いかを判断し、循環数が多い面が表裏のいずれであるかに応じて、その原稿を印刷する用紙の循環数を算出する。
【0058】
本実施形態では、循環数決定部332bには、搬送経路上の用紙の乾燥状態を検出する乾燥検出部336aが接続されており、用紙が、当初予定していた循環数の前に乾燥した場合に、決定した循環数を変更し、その後の運行(給紙、排紙等)を再構成させる機能を備えている。乾燥検出部336aとしては、湿度センサや透光センサなど、用紙の含水量を測定できる種々の手段を採用することができる。
【0059】
なお、循環数決定部332bには、搬送経路周辺の温度又は湿度を測定する温度・湿度センサ等を接続してもよく、これらのセンサから温度・湿度を取得し、取得された温度又は湿度に応じて、しきい値を変更してもよい。
【0060】
搬送制御部334は、運行表生成部335のスケジューリングに応じて、通常搬送径路PR、反転経路SRにおける搬送動作、切替機構170の動作を制御するモジュールである。搬送制御部334は、循環数決定部332bが決定した循環数に従って、通常搬送径路PR上の用紙を排紙系搬送経路DRへ導出する排紙制御や、用紙の搬送間隔に応じて、レジスト部Rに用紙を印刷順に供給する給紙制御を行う。本実施形態に係る排紙制御では、通常搬送経路PR上の用紙が、排紙系搬送経路DRと反転経路SRとの切替えポイントに到達したときに、用紙の排紙順序、用紙の循環回数、及び用紙の表裏の整合性を判断し、この判断結果に基づいて、反転経路SRと排紙系搬送経路DEとの切替えを制御する。
【0061】
(運行表作成)
運行表生成部335は、表面印刷を行う用紙の給紙及び排紙のタイミング、反転経路を経て表裏が反転された用紙の給紙及び排紙のタイミング、画像形成の速度、用紙搬送の速度、用紙の搬送順序、及び用紙の搬送タイミングを決定し、運行表として生成するモジュールである。運行表生成部335では、循環数決定部332bが決定した循環数に従って、運行表を生成する。
【0062】
印刷装置100における用紙搬送経路上の用紙の運行を記述した運行表の一例を図6に示す。図6(a)は、従来の運行表であり、図6(b)は、本発明の一実施例に係る運行表である。
【0063】
なお、図6(a),6(b)において、横軸が経過時間であり、縦軸がプロセス時間を示す。縦軸について、値“0”が給紙プロセスを表し、値“0”から値“2”までのプロセスが通常搬送経路PRから排紙系搬送経路DRの手前までを示し、プロセス“1”において印字がなされる。なお、プロセス“1”では、デカール中の用紙については、印字を行わずに単に通過させる。また、通常モードでは、プロセス“2”において用紙が排紙され、両面印刷では、用紙は、プロセス“2(=−3)”においては排紙されずに、反転経路SR又はバイパス経路BRを経由してプロセス“0”のレジスト部Rまで戻り、さらに、通常搬送系路PRを経て、所定回数循環した後、プロセス“2”において排紙される。
【0064】
本実施形態において、運行表生成部335は、各用紙の排出タイミングから、循環数決定部332bにより原稿ごとに決定された循環数分だけ各用紙が循環経路CRを循環するのに要する循環時間を減算して得られる給紙タイミングに基づいて、運行表を生成する。図7〜図9に、運行表生成部335による運行表の作成処理の概要を例示する。
【0065】
まず、図7(a)に示すような循環径路CRにおいて、循環経路CR上を搬送される用紙の間隔を算出し、用紙を置くための搬送スペースを循環経路CR上に確保するとともに、算出された間隔で循環経路CRの経路長を分割し、循環経路CR上に収容可能な用紙の枚数を算出し、循環時間を循環経路CR上に収容可能な用紙の枚数で分割した時間を、用紙の搬送タイミングを決める単位時間とする。なお、図7(a)において、通過用紙とは、レジストローラを通過する用紙のことであり、搬送タイミング数とは、用紙の搬送タイミングを表す数である。
【0066】
ここで、図7(b)〜7(g)に示すように、循環経路CR上に収容可能な用紙の枚数を5枚としているので、循環周期は5単位時間となる。また、図7(b)〜7(f)では、収容可能な用紙の枚数に対応して、搬送スペースを“1”〜“5”で番号付けしている。また、図7(b)では、用紙が新規に給紙される瞬間の搬送タイミング数を“1”とし、その後、図7(c)〜7(f)で示すように、用紙の循環に従って、用紙が収容される毎に、搬送タイミング数を“2”〜“5”と増大させている。そして、5単位時間後には、図7(g)に示すように、元の搬送タイミング数“1”と同じ状態に戻る。
【0067】
なお、本実施形態では、搬送制御部334は、給紙系搬送経路FRから給紙された用紙の循環時間と、循環経路CRから受け渡された用紙の再循環時間とが等しくなるように用紙搬送経路上の駆動機構を制御する。したがって、新規に給紙された用紙についての単位時間と、循環中の用紙についての単位時間とが一律に扱われている。
【0068】
図8A(a)〜8B(f)に例示するように、始めに、仮の搬送タイミング数を、用紙の搬送タイミングを決める単位時間に対する自然数列として、昇順に番号付けする。また、通過用紙を、排紙の順番が早い用紙から昇順に(つまり、排紙の順番が遅い用紙から降順に)、収容可能な枚数を周期として、周期的に番号付けする。また、この例では、通過用紙を6枚とし、循環経路CR上に全部で5枚の用紙が収容可能とする(つまり、搬送スペース数を5とする)。
【0069】
次いで、各搬送スペース“1”〜“5”に通過用紙“1”〜“6”を割り当て、それらの通過用紙により搬送スペース“1”〜“5”が占有されている時間をスケジューリングする。具体的には、図8A(b)〜8A(d)に示すように、循環数決定部332bによって原稿ごとに決定された循環数分だけ、各搬送スペース“1”〜“5”に対して通過用紙“1”〜“6”を番号の大きい方から降順に割り当ててゆく。図8A(a)〜8A(d)に示した例では、通過用紙“6”は3周分のデカールが必要であり、通過用紙“5”及び“3”は2周分のデカールが必要であり、その他の通過用紙はデカールが必要ないものとする。
【0070】
そして、図8B(e)、図8B(f)に示すように、用紙割り当て済みの搬送スペース間の空き搬送スペースについても、残った通過用紙を番号の大きい方から降順に割り当ててゆく。すなわち、既に通過用紙が割り当て済みの搬送スペースはスキップして、次の空き搬送スペースを検索して、その搬送スペースに残りの通過用紙を割り当てる。ここでは、通過用紙“1”,“2”及び“4”についてはデカールが必要ないため、搬送タイミング数を1単位時間ずつ割り当てている。
【0071】
このようにして、全ての通過用紙について仮の搬送タイミング数の割り当てが終了したら(図8B(f))、仮の搬送タイミング数(及び、搬送スペースの番号)を逆順に再番号付けし(図8B(g))、各通過用紙に対して再番号付けされた搬送タイミング数(真のタイミング数:簡略化のため、以下では単に搬送タイミング数と称する場合もある)のうち最も大きい番号の搬送タイミングを各通過用紙の排紙タイミングとし、最も小さい搬送タイミングを各通過用紙の給紙タイミングとする。なお、搬送スペース数はあくまでもダミー数なので、搬送スペースの再番号付けは絶対に必要というわけではない。ただ、真の搬送タイミング数と搬送スペース数との始まりの数を共に“1”とすると運行表が見やすくなる利点があるので、ここではそのようにしている。このことは以下の記載においても同様である。
【0072】
図8B(g)では、先ず、搬送タイミング数“1”において通過用紙“6”が給紙され、搬送タイミング数“2”で1単位時間分待機した後、搬送タイミング数“3”で搬送用紙“3”が給紙され、搬送タイミング数“4”で1単位時間分待機した後、搬送タイミング数“5”で通過用紙“5”が給紙される。なお、搬送タイミング数“6”では、通過用紙“6”により搬送スペース“1”が占有されていることから、このタイミングをスキップする。そして、搬送タイミング数“7”で再び1単位時間分待機する。搬送タイミング数“8”では通過用紙“3”により搬送スペース“3”が占有されていることから、このタイミングをスキップする。そして、搬送タイミング数“9”において通過用紙“1”が給紙される。排紙は、所定の循環が終了した順に行われる。図8B(g)では、先行されて給紙された通過用紙“6”,“3”,“5”が循環されている間に、その後に給紙されたデカール不要な通過用紙“1”が即座に排紙され、その後、所定の順序で、排紙される。
【0073】
(デカール処理時の動作)
以上の構成を有する印刷装置100を動作させることによって、以下のようなデカール方法を実施することができる。なお、印刷装置100は用紙の上下が反転する反転排紙を行うものであるが、用紙の上下が反転せずに排紙できるストレート排紙を行う印刷装置についても以下に説明するデカール処理は適用可能である。図4は、印刷装置100における印刷処理の全体動作を示すフローチャートである。図4(a)は、印刷装置100のデカール処理時における全体動作を示すフローチャート図であり、図4(b)は、印刷装置100における運行表作成処理を示すフローチャート図である。
【0074】
先ず、図4(a)に示すように、画像データ受信部333により画像データを含むジョブデータが取得されると、画像処理部331により画像データが展開され、色変換回路331bにより色変換が行われるとともに、印字率検出部332cにより印刷画像に基づいて印字率の検出が行われ(S101)、循環数決定部332bにより、印字率がしきい値を超えているか否かが段階的に判断され、その印字率に応じて各用紙の循環数が決定される(S102)。このしきい値は、乾燥検出部336aから取得される用紙の乾燥度(湿度や透光度等)に応じて、適宜変更される。
【0075】
ステップS102における循環数の決定プロセスにおいて、具体的に、ストレート排紙か反転排紙か、フェイスアップかフェイスダウンかによって、印字制御条件を決定する。
【0076】
この印字制御条件は、
・ 用紙の表面と裏面のどちらを先に印字するか?
・ どのタイミングで用紙を反転させるか?
・ 何巡目でどの画像を印字するか?
に基づいて算出される。この結果、本実施形態における排紙処理の制御条件は、具体的には、
・ 用紙の表面の印字は完了したか?
・ 用紙の裏面の印字は完了したか?
・ 所定循環数完了したか?
・ 用紙は現在何巡目であるか?
を監視することにある。この制御条件の例を下表に示す。なお、以下の表では、排紙直前にある用紙が印字ヘッドユニット110を通過したとき、画像を形成したか否かにかかわらず、その用紙の印字ヘッドユニット100と対向する面をA面、対向する面の裏面をB面とする。
【表1】

【0077】
表1は、用紙の排紙順と、A面に対応する各用紙の面との関係を示している。ここで、排紙される順番に1枚目、2枚目、3枚目、…、N枚目の用紙と番号付けする。また、ここでは、1枚目の用紙から順番に表面と裏面(裏面印刷時の場合)に対して小さい方から順に原稿の番号を1,2,3,…と割り付けている。
【表2】

【0078】
表2は、印字と反転制御の方法を示しており、各面の循環数及び印字の有無と、最終的な用紙毎の循環数との対応を示している。ここで、A面についてデカールに必要な循環数をa、B面についてデカールに必要な循環数をbとしている。
【表3】

【0079】
表3は、A面とB面の循環数に応じた全体の循環数の対応を示しており、A面とB面のいずれを先に印字するかも、この対応に基づいて定められる。表3において、斜体の文字又は数字はA面を先に印字する場合を示し、太字の文字又は数字はB面を先に印字する場合を示している。なお、(*1)で示したa=1、b=0(印字あり)の場合は、2通りの場合がある。
【表4】

【0080】
表4は、10枚の通過用紙(10枚の原稿の印刷物に対応)において、各用紙のA面及びB面の循環数と、それらの循環数に応じた各通過用紙の循環数総計の算出結果の例を示したものである。なお、表4において、(*2)で示した値“0”はB面に印字なしの場合の循環数を示している。ここで、通過用紙は、排紙の順番が早い用紙から昇順に番号付けされている。また、循環経路CR上に収容可能な用紙の枚数は5枚としているので、循環5単位時間となる。また、これにより、搬送スペースを“1”〜“5”で番号付けする。
次いで、このように決定された循環数に従って、運行表を生成する(S103)。表4に示した条件における運行表作成の手順を図9(a)〜9(f)に示す。図9(a)〜9(f)では、搬送スペースと周期数との関係をマトリックス形式に表現しており、横軸には1周期に含まれる搬送スペースを表し、縦軸には周期数を表す。
【0081】
次いで、搬送タイミング数を、通過用紙“1”〜“10”の搬送タイミングを決める単位時間に対する自然数列として、昇順に番号付けする。表5においては、搬送タイミング数は“1”〜“32”である。そして、各搬送スペース“1”〜“5”に通過用紙“1”〜“10”を割り当てる(図4(b)におけるステップS201)。
【0082】
具体的には、図9(b)〜9(d)に示すように、表4のように決定された循環数分だけ、各搬送スペース“1”〜“5”に対して通過用紙“1”〜“10”を番号の大きい方から降順に割り当て、それらの通過用紙により搬送スペース“1”〜“5”が占有されている時間をスケジューリングする。このとき、割当済みの搬送タイミング数間の空き搬送タイミングについても、残った通過用紙を番号の大きい方から降順に割り当ててゆく。すなわち、既に割り当て済みの搬送タイミング数はスキップして、次の空き搬送タイミング数を検索して、その搬送スペースに残りの通過用紙を割り当てる。
【0083】
その後、全ての通過用紙について搬送タイミング数の割り当てが終了したら、図9(e)に示すように、当該搬送タイミング数(及び、搬送スペースの番号)を逆順に再番号付けし、さらに、図9(f)に示すように、各通過用紙に対して再番号付けされた搬送タイミング数のうち最も大きい番号の搬送タイミングを排紙タイミングとし、最も小さい搬送タイミングを給紙タイミングとする(図4(b)におけるS203)。この結果を、表5及び表6に示す。なお、表6において、(*3)で示した値“0”はB面に印字なしの場合の循環数を示している。
【表5】

【表6】

【0084】
表6をダイアグラム形式で表したものが、図6(b)である。また、図6(a)は、この例における従来の運行表を表している。表6より、A面とB面の双方の乾燥に必要な循環数総計が最大値(この例では、“3”)を取る通過用紙は通過用紙“3”であることがわかる。従って、この場合、図6(a)に示された従来の運行表においては、全ての通過用紙を3回循環させることになる。一方、運行表生成部335により上記のようにして作成された運行表(図6(b))では、図6(a)と比較して、経過時間が大幅に短縮(“8”単位時間)されていることがわかる。
【0085】
そして、この運行表に従って、印刷処理を開始し(図4(a)におけるS104)全ての用紙について、所定回数循環させた後、印刷処理を終了する。
【0086】
(作用・効果)
このような本実施形態によれば、各原稿を用紙に印刷するために必要なインクの吐出量又はインクの濃度に基づいて、各原稿の印字率を検出し、各原稿の印字率に応じた回数だけ各用紙を循環させる運行表を用いるため、デカールの不要な用紙の循環を回避し、印刷処理全体が長時間化するのを防止できる。この際、印刷された用紙ごとにデカールのために十分な循環数を設定することから、用紙毎に給紙から排紙までの時間が異なるが、上記のようにして作成された運行表によれば、給紙を行う順序とタイミングを調整することができるので、所定の循環数を循環してデカールが終了した順に用紙を排紙しても、本来の印刷順序と整合させることができる。
【0087】
特に、本実施形態では、運行表生成部335は、各用紙の排出タイミングから、原稿ごとに決定された循環数分だけ各用紙が循環経路CRを循環するのに要する循環時間を減算して得られる給紙タイミングに基づいて運行表を生成する(つまり、排紙タイミングを先に設定し、そのタイミングから逆算して給紙タイミングを決める)ことによって、印刷物が所定の循環数を循環するのを終了する順序と、排紙の順序とを同じにすることができ、不要な循環をなくして生産性を確保することができる。
【0088】
詳細には、本実施形態では、運行表生成部335は、前記循環経路上に収容可能な用紙数を算出し、各用紙が循環経路を一巡するのに要する時間を前記収容可能な用紙数で除算して得られる時間を用紙搬送の単位時間として設定し、前記単位時間を尺度とした自然数列を仮の搬送タイミング数として設定し、前記仮の搬送タイミング数に対して、前記収容可能な用紙数を法とした自然数列を各用紙の搬送のための前記循環経路上のスペース数として割り当て、各用紙を、排紙の遅い用紙から降順に、前記スペース数に対して割り当て、その後、前記仮の搬送タイミング数を逆順に並び替え、並び替えられた数を真の搬送タイミング数として各用紙に割り当て、各用紙に対して割り当てられた真の搬送タイミング数のうち,最も大きい番号の搬送タイミングを各用紙の排紙タイミングとし,最も小さい番号の搬送タイミングを各用紙の給紙タイミングとして設定する。そのため、効率よく適切な運行表を作成することができる。
【0089】
また、本実施形態では、この場合に、反転経路CRを経由して表裏が反転された用紙を、表面を印刷する用紙の間に挿入し、表面の印刷と裏面の印刷とを並行させるようにスケジューリングして運行表を作成するため、両面印刷時の生産性を向上させつつ、十分なデカール処理を実行することができる。
【0090】
さらに、本実施形態では、搬送駆動制御部は、給紙系搬送経路FRからの循環時間と、循環経路CRからの再循環時間とが等しくなるように用紙搬送経路上の駆動機構の制御を行うため、新規に給紙された用紙の単位時間と、循環中の用紙の単位時間とを一律に扱うことができ、運行表作成時の演算処理を簡易化することができ、処理の高速化を図ることができる。
【0091】
(変更例)
次いで、上述した実施形態に係る印刷装置100の変更例について説明する。図10は、変更例に係る印刷装置200の印刷用紙搬送経路の概要を示す図である。なお、同図に関し、上述した実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付す.そして、それらの機能等は特に言及しない限り、上述した実施形態の機能と同一であるので、その説明は省略する。
【0092】
印刷装置200には、印刷装置100の構成要素の一つであるバイパス経路BRが備えられておらず、用紙が再循環されるときには常に反転されることを要旨とする。
【0093】
つまり、図10に示すように、印刷装置200においては、用紙は常に通常搬送経路PRから反転経路SRに導かれるようになっている。
【0094】
このような変更例におけるデカール時における動作制御は、上述した実施形態と同様に、図4(a)に示した手順で行い、その際の、運行表作成処理も、図4(b)に示した手順により行われる。
【0095】
具体的には、先ず、図4(a)に示すように、ジョブデータの受信等により画像データが取得されると、画像処理部331により画像データの展開や色変換回路331bによる色変換が行われるとともに、印刷画像に基づいて印字率の検出が行われ(S101)、印字率がしきい値を超えているか否かを段階的に判断し、その印字率に応じて各用紙の循環数が決定される(S102)。このしきい値は、乾燥検出部336aから取得される用紙の乾燥度(湿度や透光度等)に応じて、適宜変更される。
【0096】
ステップS102における循環数の決定は、図11に示した手順により行う。ここで、変更例においても、排紙直前に印字ヘッドユニット110を通過したとき、画像を形成したか否かにかかわらず、印字ヘッドユニット110と対向する面をA面、対向する面の裏面をB面とする。また、A面についてデカールに必要な循環数をa、B面についてデカールに必要な循環数をbとしている。
【0097】
そして、排紙ステップで、用紙の印字可能な面がA面となり、ステップをさかのぼるごとに、用紙の印字可能な面が、B面、A面と交互に入れ替わる。実際には、これらの一連のステップは、「給紙ステップ→…B→A→B→A→B→A(排紙ステップ)」となる。よって、排紙ステップの奇数回手前のステップでは用紙のB面が印字可能な面になり、排紙ステップの偶数回手前のステップでは用紙のA面が印字可能な面になる。
【0098】
本変更例では、このような印字面を考慮したうえで、循環数の決定を行う。具体的には、B面に印字がない場合であり、且つ、A面の循環回数が0回若しくは印字なしの場合は、A面とB面の循環に必要な回数は0回となる。その他の場合、用紙のA面の印字ステップは、排紙ステップよりa回以上手前のステップである必要があり、aが奇数であるか否かに応じて必要回数を決定する。循環数aが奇数の場合(S301における“Y”)、排紙のa回手前のステップでは用紙のB面しか印字できないため、用紙の循環数はa+1となり(S302)、印字のタイミングから用紙はa+1回後に排紙されることとなる。一方、循環数aが偶数の場合(S301における“N”)には、用紙の循環数はaのままであり(S303)、印字のタイミングから用紙はa回後に排紙される。
【0099】
次いで、用紙のB面の印字ステップは、排紙ステップよりb回以上手前のステップである必要があり、用紙のA面の印字ステップとは循環数が1だけずれるため、循環数bが奇数の場合は(S304における“Y”)、用紙の循環数はbのままであり(S305)、循環数bが偶数の場合(S304における“N”)、用紙の循環数はb+1となる(S306)。
【0100】
このように算出された用紙のA面とB面のそれぞれの循環数aとbとを比較し、そのうちの大きい方が用紙の循環数として決定される(S307〜S109)。
【0101】
次いで、このように決定された循環数に従って、運行表を生成する(S103)。このときの運行表作成の手順は図9(a)〜9(f)に示すとおりである。図9(a)〜9(f)では、搬送スペースと周期数との関係をマトリックス形式で表現しており、横軸には1周期に含まれる搬送スペース“1”〜“5”を表し、縦軸には周期数を表している。次いで、搬送タイミング数を、通過用紙“1”〜“10”の搬送タイミングを決める単位時間に対する自然数列として、昇順に番号付けする。表5においては、搬送タイミング数は“1”〜“32”である。そして、各搬送スペース“1”〜“5”に通過用紙“1”〜“10”を割り当てる(図4(b)におけるステップS201)。
【0102】
具体的には、図9(b)〜9(d)に示すように、表4のように決定された循環数分だけ、各搬送スペース“1”〜“5”に対して通過用紙“1”〜“10”を番号の大きい方から降順に割り当て、それらの通過用紙により搬送スペース“1”〜“5”が占有されている時間をスケジューリングする。このとき、割当済みの搬送タイミング数間の空き搬送タイミングについても、残った通過用紙を番号の大きい方から降順に割り当ててゆく。すなわち、既に割り当て済みの搬送タイミング数はスキップして、次の空き搬送タイミング数を検索して、その搬送スペースに残りの通過用紙を割り当てる。
【0103】
その後、全ての用紙について割当が終了したら、図9(e)に示すように、当該搬送タイミング数(及び、搬送スペースの番号)を逆順に再番号付けし、さらに、図9(f)に示すように、各通過用紙対して再番号付けされた搬送タイミングのうち最も大きい番号の搬送タイミングを排紙タイミングとし、最も小さい番号の搬送タイミングを給紙タイミングとする(図4(b)におけるS203)。
【0104】
そして、このように生成された運行表に従って、印刷処理を開始し(図4(a)におけるS104)全ての用紙について、所定回数循環させた後、印刷処理を終了する。
【0105】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することができる。
【符号の説明】
【0106】
BR…バイパス経路
PR…通常搬送経路
CR…循環搬送径路
FR…給紙系搬送径路
DR…排紙系搬送経路
SR…反転(スイッチバック)経路
R…レジスト部
100,200…印刷装置
110…印字ヘッドユニット
120…サイド給紙台
130…給紙トレイ
140…排紙口
150…排紙台
160…搬送ベルト
161…駆動ローラ
162…従動ローラ
170,171,172…切替機構
220…サイド給紙駆動部
230a,230b…トレイ駆動部
240…レジスト駆動部
250…ベルト駆動部
260…第1搬送駆動部
265…第2搬送駆動部
270…排紙駆動部
280…反転(スイッチバック)経路駆動部
330…演算処理部
330a…操作パネル
331…画像処理部
331a…画像形成制御部
331b…色変換回路
332…デカール処理部
332a…操作信号取得部
332b…循環数決定部
332c…印字率検出部
333…画像データ受信部
334…搬送制御部
335…運行表生成部
336a…乾燥検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の用紙に複数枚の画像をそれぞれ形成する画像形成部と、
給紙経路から給紙された各用紙を排紙経路へと搬送する第1の搬送経路と、前記第1の搬送経路に分岐接続され、前記第1の搬送経路から受け渡された各用紙を前記第1の搬送経路に戻す第2の搬送経路とによって環状に構成された循環経路と、
前記第1の搬送経路上で前記画像形成部において各用紙に各画像を形成する際に必要となるインクの吐出量又はインクの濃度を解析し、各画像の印字率を検出する印字率検出部と、
各画像の印字率に基づいて、各用紙の前記循環搬送経路上での循環数を決定する循環数決定部と、
各用紙の循環数に基づいて、各画像の形成速度、各用紙の搬送速度、各用紙の搬送順序、各用紙の給紙タイミング、各用紙の搬送タイミング、及び各用紙の排紙タイミングを記述した運行表を生成する運行表生成部と、
前記運行表に基づいて、前記循環経路上に設けられた駆動機構を制御し、前記第1の搬送経路と前記第2の搬送経路とを切替えることにより、各画像の形成速度、各用紙の搬送速度、各用紙の搬送順序、各用紙の給紙タイミング、各用紙の搬送タイミング、及び各用紙の排紙タイミングを制御する搬送駆動制御部とを備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記運行表生成部は、各用紙の排出タイミングから、各用紙の循環数分だけ各用紙が前記循環経路を循環するのに要する循環時間を減算して得られる各用紙の給紙タイミングに基づいて、前記運行表を生成することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記運行表生成部は、
前記循環経路上に収容可能な用紙数を算出し、
各用紙が前記循環経路を一巡するのに要する時間を前記収容可能な用紙数で除算して得られる時間を用紙搬送の単位時間として設定し、
前記単位時間を尺度とした自然数列を仮の搬送タイミング数として設定し、
前記仮の搬送タイミング数に対して、前記収容可能な用紙数を法とした自然数列を各用紙の搬送のための前記循環経路上のスペース数として割り当て、
各用紙を、排紙の遅い用紙から降順に、前記スペース数に対して割り当て、
その後、前記仮の搬送タイミング数を逆順に並び替え、
並び替えられた数を真の搬送タイミング数として各用紙に割り当て、
各用紙に対して割り当てられた真の搬送タイミング数のうち、最も大きい番号の搬送タイミングを各用紙の排紙タイミングとし、最も小さい番号の搬送タイミングを各用紙の給紙タイミングとして設定する、
ことによって前記運行表を生成することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第2の搬送経路は、前記第1の搬送経路に分岐接続され、前記第1の搬送経路から受け渡された各用紙の表裏を反転させて前記第1の搬送経路に戻す反転経路を備え、
前記運行表生成部は、用紙の反転、反転後の用紙に対する画像形成の速度、及び画像形成された前記反転後の用紙の搬送タイミングを前記運行表に記述し、
前記搬送駆動制御部は、前記運行表に基づいて、用紙の反転、反転後の用紙の裏面に対する画像形成の速度、及び画像形成された前記反転後の用紙の搬送タイミングも制御することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記搬送駆動制御部は、前記給紙経路から給紙された用紙の循環時間と、前記循環経路から受け渡された用紙の再循環時間とが等しくなるように前記循環経路上の制御機構の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
給紙経路から給紙された各用紙を排紙経路へと搬送する第1の搬送経路と、前記第1の搬送経路に分岐接続され、前記第1の搬送経路から受け渡された各用紙を前記第1の搬送経路に戻す第2の搬送経路とによって環状に構成された循環経路と、前記循環経路上を搬送される複数枚の用紙に複数枚の画像をそれぞれ形成する画像形成部を備えた印刷装置を準備し、
前記第1の搬送経路上で前記画像形成部において各用紙に各画像を形成する際に必要となるインクの吐出量又はインクの濃度を解析し、各画像の印字率を検出し、
各画像の印字率に基づいて、各用紙の前記循環経路上での循環数を決定し、
各用紙の循環数に基づいて、各画像の形成速度、各用紙の搬送速度、各用紙の搬送順序、各用紙の給紙タイミング、各用紙の搬送タイミング、及び各用紙の排紙タイミングを記述した運行表を生成し、
前記運行表に基づいて、前記循環経路上に設けられた駆動機構を制御し、前記第1の搬送経路と前記第2の搬送経路との切替えることにより、各画像の形成速度、各用紙の搬送速度、各用紙の搬送順序、各用紙の給紙タイミング、各用紙の搬送タイミング、及び各用紙の排紙タイミングを制御することを特徴とする印刷方法。
【請求項7】
前記運行表は、各用紙の排出タイミングから、各用紙の循環数分だけ各用紙が前記循環経路を循環するのに要する循環時間を減算して得られる各用紙の給紙タイミングに基づいて、生成されることを特徴とする請求項6に記載の印刷方法。
【請求項8】
前記運行表は、
前記循環経路上に収容可能な用紙数を算出し、
各用紙が前記循環経路を一巡するのに要する時間を前記収容可能な用紙数で除算して得られる時間を用紙搬送の単位時間として設定し、
前記単位時間を尺度とした自然数列を仮の搬送タイミング数として設定し、
前記仮の搬送タイミング数に対して、前記収容可能な用紙数を法とした自然数列を各用紙の搬送のための前記循環経路上のスペース数として割り当て、
各用紙を、排紙の遅い用紙から降順に、前記スペース数に対して割り当て、
その後、前記仮の搬送タイミング数を逆順に並び替え、
並び替えられた数を真の搬送タイミング数として各用紙に割り当て、
各用紙に対して割り当てられた真の搬送タイミング数のうち、最も大きい番号の搬送タイミングを各用紙の排紙タイミングとし、最も小さい番号の搬送タイミングを各用紙の給紙タイミングとして設定することによって生成されることを特徴とする請求項7に記載の印刷方法。
【請求項9】
前記第2の搬送経路は、前記第1の搬送経路に分岐接続され、前記第1の搬送経路から受け渡された各用紙の表裏を反転させて前記第1の搬送経路に戻す反転経路を備え、
用紙の反転、反転後の用紙に対する画像形成の速度、及び画像形成された前記反転後の用紙の搬送タイミングが前記運行表に記述され、
前記運行表に基づき、用紙の反転、反転後の用紙に対する画像形成の速度、及び画像形成された前記反転後の用紙の搬送タイミングが制御されることを特徴とする請求項6に記載の印刷方法。
【請求項10】
前記搬送経路上の前記駆動機構は、前記給紙経路から給紙された用紙の循環時間と、前記循環経路から受け渡された用紙の再循環時間とが等しくなるように制御されることを特徴とする請求項6に記載の印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−30296(P2010−30296A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157085(P2009−157085)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】