説明

印刷装置

【課題】受信した圧縮されたイメージデータを連続印刷する場合に、間欠印刷することなく連続印刷を行うことができるようにする。
【解決手段】クライアントPC12から複数ページの印刷データを連続して受信する場合において、受信した印刷データをフレームバッファ34に描画するまでの前処理にかかる所要時間が所定時間以上になったときに、受信される印刷データに含まれる圧縮されたイメージデータを、圧縮イメージエラーチェック部24によって伸張することなく受信バッファ28に格納するように、受信エラーチェック有無セレクタ26を制御する。これにより、前処理の所要時間が短縮され、間欠印刷することなく連続印刷が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、システム系の超高速ページプリンタによる印刷業務では、プリンタの最高性能で連続印刷することにより、決められた印刷時間内に印刷処理が終了することが重要である。連続印刷が行われず、間欠印刷になった場合には、エンジンメカニズムが停止され、再起動が入るため、印刷時間が長くなる。
【0003】
また、システム系の超高速ページプリンタの印刷処理では、請求書等を大量に連続印刷する場合が多く、印刷の正確さが重要となる。つまり、システム系の超高速ページプリンタでは、間欠印刷することなく、連続印刷動作を保ち、高速かつ正確に大量の印刷を行うことが重要である。
【0004】
印刷データの中には、文字、バーコード、図形、イメージデータ等が含まれ、印刷の前処理に最も時間がかかるものは、イメージデータである。また、イメージデータはビットデータであるため、データ量が多く、ホストからの受信に時間がかかる。そのため、イメージデータを圧縮形式とし、データ量を減らしてホストからプリンタに送信する方法が知られている(特許文献1)。
【0005】
また、圧縮されたイメージデータでは、イメージデータが配置される配置座標と矩形領域とが指定され、この指定の後に圧縮イメージデータが続くデータ形式が一般的である。
【0006】
システム系の超高速ページプリンタでは、誤印字を防ぐために、データ受信時に、受信データに誤りがないかチェックを行い、受信データが正しければ、前処理を行って印刷する。例えば、圧縮されたイメージデータを伸張し、伸張時に発生するエラーを検出する方法が知られている(特許文献2)。
【特許文献1】特開平11−003184号公報
【特許文献2】特開平5−030368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
受信した圧縮されたイメージデータを連続印刷する場合に、間欠印刷することなく連続印刷を行うことができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明に係る印刷装置は、印刷情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された印刷情報の種類に応じて第1の前処理を行って格納手段に前記印刷情報を格納するか、又は前記第1の前処理を行なわずに前記格納手段に前記印刷情報を格納するように制御する第1制御手段と、前記格納手段に格納された印刷情報を読み出し、前記読み出した印刷情報が前記第1の前処理が行われた印刷情報である場合には、前記第1の前処理と処理を含む第2の前処理を行なって前記印刷情報を印刷手段に出力し、前記読み出した印刷情報が前記第1の前処理が行われなかった印刷情報である場合には、第3の前処理を行って前記印刷情報を前記印刷手段に出力する出力手段と、前記受信手段によって複数の印刷情報を連続して受信する場合において、前記印刷情報を出力するまでの時間が所定時間以上になったときに、前記第1の前処理を行なわずに前記受信手段によって受信される印刷情報を前記格納手段に格納するように前記第1制御手段を制御する第2制御手段とを含んで構成されている。
【0009】
請求項2記載の発明に係る印刷装置は、印刷情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって圧縮された画像情報を含む印刷情報を受信した場合において、前記画像情報を伸張し、伸張した前記画像情報に誤りがないときに、前記圧縮された画像情報を含む印刷情報を格納手段に格納し、前記受信手段によって前記画像情報を含まない印刷情報を受信した場合に、前記印刷情報を前記格納手段に格納するように制御する第1制御手段と、前記格納手段に格納された前記印刷情報を読み出し、前記読み出した印刷情報が前記画像情報を含む場合において、前記印刷情報に含まれる前記画像情報を伸張し、伸張した画像情報に誤りがないときに、前記伸張した画像情報を含む印刷情報を出力し、前記読み出した印刷情報が前記画像情報を含まない場合に、前記印刷情報を出力する出力手段と、前記出力手段によって出力された前記印刷情報に基づいて印刷を行う印刷手段と、前記受信手段によって複数の印刷情報を連続して受信する場合において、前記印刷情報を出力するまでにかかる所要時間が所定時間以上になったときに、前記受信手段によって受信される前記画像情報を含む印刷情報を、前記画像情報を伸張することなく前記格納手段に格納させるように前記第1制御手段を制御する第2制御手段とを含んで構成されている。
【0010】
請求項3記載の発明では、上記請求項2記載の発明に係る印刷装置において、前記受信手段によって連続して受信された前記複数の印刷情報の各々について、前記受信手段による受信から前記出力手段による出力までにかかる所要時間を順次計測する計測手段と、前記計測手段によって順次計測された前記所要時間の累積和に基づいて、残りの印刷情報について、前記第1制御手段によって前記画像情報を伸張することなく、前記画像情報を含む前記印刷情報を前記格納手段に格納させるように制御した場合に予想される前記複数の印刷情報に対する前記所要時間の総和を算出する予想時間算出手段とを更に含み、前記第2制御手段は、前記予想時間算出手段によって算出された前記所要時間の総和が所定時間以上であるときに、前記残りの印刷情報について、前記画像情報を伸張することなく前記画像情報を含む印刷情報を前記格納手段に格納させるように前記第1制御手段を制御する。
【0011】
請求項4記載の発明では、上記請求項2記載の発明に係る印刷装置において、前記受信手段によって連続して受信された前記複数の印刷情報の各々について、前記受信手段による受信から前記出力手段による出力までにかかる所要時間を順次計測する計測手段を更に含み、前記第2制御手段は、前記計測手段によって順次計測された前記所要時間の累積和が所定時間以上であるときに、又は該所要時間の累積和の平均値が所定の平均時間以上であるときに、前記残りの印刷情報について、前記画像情報を伸張することなく前記画像情報を含む印刷情報を前記格納手段に格納させるように前記第1制御手段を制御する。
【0012】
請求項5記載の発明では、上記請求項2〜請求項4の何れか1項記載の発明に係る印刷装置において、前記格納手段から読み出した印刷情報の数を計数する計数手段と、前記出力手段によって伸張した画像情報に誤りがあるとき、前記計数手段によって計数された数及び前記画像情報に誤りがあることを、前記印刷情報の送信元に通知する誤り通知手段とを更に含んでいる。
【0013】
請求項6記載の発明では、上記請求項2〜請求項4の何れか1項記載の発明に係る印刷装置において、前記受信手段によって受信された印刷情報には、前記印刷情報を識別するための識別情報が付加されており、前記出力手段によって伸張した画像情報に誤りがあるとき、該画像情報を含む印刷情報に付加された識別情報及び前記画像情報に誤りがあることを、前記印刷情報の送信元に通知する誤り通知手段を更に含んでいる。
【0014】
請求項7記載の発明では、上記請求項2〜請求項4の何れか1項記載の発明に係る印刷装置において、前記受信手段によって受信された印刷情報に、前記印刷情報を識別するための識別情報を付加する付加手段と、前記出力手段によって伸張した画像情報に誤りがあるとき、該画像情報を含む印刷情報に付加された識別情報及び前記画像情報に誤りがあることを、前記印刷情報の送信元に通知する誤り通知手段を更に含んでいる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、請求項1記載の印刷装置によれば、受信した印刷情報を連続印刷する場合に、本構成を有していない場合に比較して、間欠印刷することなく連続印刷を行うことができる、という効果が得られる。
【0016】
請求項2記載の印刷装置によれば、受信した印刷情報を連続印刷する場合に、本構成を有していない場合に比較して、間欠印刷することなく連続印刷を行うことができる、という効果が得られる。
【0017】
請求項3記載の印刷装置によれば、本構成を有していない場合に比較して、連続して受信した複数の印刷情報を出力するまでにかかる所要時間を短くすることができる、という効果が得られる。
【0018】
請求項4記載の印刷装置によれば、本構成を有していない場合に比較して、連続して受信した複数の印刷情報を出力するまでにかかる所要時間を短くすることができる、という効果が得られる。
【0019】
請求項5記載の印刷装置によれば、印刷情報の送信元に、どの画像情報に誤りがあるかを通知することができる、という効果が得られる。
【0020】
請求項6記載の印刷装置によれば、印刷情報の送信元に、どの画像情報に誤りがあるかを通知することができる、という効果が得られる。
【0021】
請求項7記載の印刷装置によれば、印刷情報の送信元に、どの画像情報に誤りがあるかを通知することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本実施の形態では、印刷システムに本発明を適用した場合について説明する。
【0023】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る印刷システム10は、クライアントPC12と、印刷データに基づいて記録用紙に画像を印刷する印刷装置14と、LAN(ローカルエリアネットワーク)などのネットワーク16とで構成され、クライアントPC12、及び印刷装置14はネットワーク16を介して相互に接続されている。
【0024】
クライアントPC12は、従来既知のパーソナルコンピュータによって構成されていればよく、ユーザは、キーボード(図示省略)やマウス(図示省略)を操作して、画像データやテキストデータ、図形データを含んだ印刷データを生成する。また、生成された印刷データを印刷する場合には、ネットワーク16を介して、印刷データが印刷装置14に送信される。
【0025】
また、印刷装置14は、ネットワーク16に接続し、かつ、クライアントPC12とデータの送受信を行うためのネットワークインタフェース部20と、受信した印刷データに、圧縮されたイメージデータが含まれているか否かを識別する受信データ識別部22と、印刷データに含まれる圧縮されたイメージデータにエラーがないかをチェックする圧縮イメージエラーチェック部24と、受信時に圧縮されたイメージデータのエラーチェックを行なうか否かを選択する受信エラーチェック有無セレクタ26と、受信した印刷データを一時的に格納するための受信バッファ28と、受信バッファ28から印刷データを読み出し、印刷データに含まれるテキストデータや図形データを複数のフレームバッファ34に書き込む文字図形描画部30と、受信バッファ28から印刷データを読み出し、印刷データに含まれる圧縮されたイメージデータを伸張して、複数のフレームバッファ34に画像を書き込む圧縮イメージ伸張描画部32と、複数のフレームバッファ34に書き込まれた画像や文字、図形をDMA転送により順次取得し、記録用紙に順次印刷するプリントエンジン36とを備えている。
【0026】
また、印刷装置14は、受信バッファ28から読み出された印刷データの数をカウントするページカウント部38と、1ページ毎の前処理にかかる所要時間を順次計測し、計測された前処理にかかる所要時間を累積加算して、所要時間の累積和に基づいて、連続印刷が可能であるか否かを判定するページ処理時間計測判定部40とを備えている。
【0027】
ネットワークインタフェース部20で受信された印刷データに含まれる圧縮されたイメージデータは、例えば、イメージデータが配置される配置座標及び矩形領域を指定した情報と、圧縮イメージデータとが順番に格納されたデータ形式となっている。
【0028】
例えば、図2のような、展開座標が(x0、y0)、展開エリアの横の大きさがnドット、展開エリアの縦の大きさがpドットである2次元圧縮形式(たとえばMR形式)のイメージデータは、図3に示すようなデータ形式で構成される。上記図3に示すように、圧縮されたイメージデータは、イメージデータ識別コード、配置座標(x0、y0)、矩形サイズ(n、p)、及び圧縮イメージデータから構成されている。
【0029】
圧縮イメージエラーチェック部24は、誤印字を防ぐために、圧縮されたイメージデータを含む印刷データを受信したときに、圧縮されたイメージデータにエラーがあるか否かをチェックする。これは、クライアントPC12とネットワークインタフェース部20との間でのデータロストや、クライアントPC12側での圧縮イメージデータの生成ミス等を検出するためである。
【0030】
圧縮形式が、2次元圧縮形式、例えば、MR形式データである場合には、仮に圧縮されたイメージデータを伸張し、伸張されたイメージデータが、指定された矩形のイメージ展開エリア(pドット×nドットの矩形領域)に正しく展開できるかどうかをチェックして、伸張されたイメージデータに誤りがないか否かをチェックことによって、圧縮されたイメージデータにエラーがあるか否かをチェックする。伸張されたイメージデータが、横方向のnドットに対して足りない場合、又ははみ出す場合に、クライアントPC12に対してエラー通知を行ない、また、伸張されたイメージデータが、縦方向のpドットに対して足りない場合、又ははみ出す場合に、クライアントPC12に対してエラー通知を行なう。
【0031】
クライアントPC12では、印刷装置14からエラーが通知されると、印刷データの送信を停止し、キャンセル処理を行う。
【0032】
なお、受信された印刷データにテキストデータが含まれている場合には、定義エリア内の印刷可能文字コードがどうかをチェックすればよい。この場合には、未定義コードであれば、クライアントPC12にエラー通知を行い、送信された印刷データのテキストデータにエラーがあることを知らせる。
【0033】
ここで、1ページ分の印刷データの前処理にかかる所要時間について説明する。なお、簡単化のため、受信された印刷データに含まれるデータが、圧縮されたイメージデータのみである場合について説明する。
【0034】
1ページ分の印刷データの前処理にかかる所要時間Tpは、以下の(1)式で表わされる。
Tp=Ti+Tr+Tc1+Tc2 ・・・(1)
ここで、Tiはネットワークインタフェース部20によるデータ受信にかかる処理時間、Trは受信データ識別部22による処理にかかる処理時間、Tc1は圧縮イメージエラーチェック部24による処理にかかる処理時間、Tc2は圧縮イメージ伸張描画部32による圧縮伸張処理及びフレームバッファ描画処理にかかる処理時間である。
【0035】
上記(1)式のように、印刷処理の前処理では、圧縮イメージエラーチェック部24と圧縮イメージ伸張描画部32とにおいて、エラーチェックのために、圧縮されたイメージデータが2回伸張されるため、2回の伸張処理にかかる時間が、前処理にかかる所要時間に含まれている。
【0036】
また、連続印刷を行うためには、全ページの印刷データの前処理の各々が、連続印刷時の1ページ分の印刷処理時間以内になる必要はなく、印刷装置14のフレームバッファ34がNページ分とすると、Nページ分の前処理にかかる所要時間の平均時間が、連続印刷時の1ページ分の印刷処理時間以内であれば良い。そこで、間欠印刷になることなく連続印刷を行うために必要な条件が、以下の(2)式で表わされる。
Tp1+Tp2+Tp3+・・・+TpN≦T0*N ・・・(2)
ただし、Tp1は1ページ目の前処理にかかる所要時間、Tp2は2ページ目の前処理にかかる所要時間、TpNはNページ目の前処理にかかる所要時間、T0は印刷装置14のプリントエンジン36による連続印刷時の1ページ分の印刷処理時間、Nはフレームバッファ34の枚数である。
【0037】
印刷処理の開始時には、受信時に圧縮イメージエラーチェック部24でエラーチェックするが、ページ処理時間計測判定部40は、1ページごとの前処理にかかる所要時間を順次計測して、その所要時間を累積加算し、所要時間の累積和に基づいて、間欠印刷となることが予想されると、圧縮イメージエラーチェック部24によるエラーチェックを行わないように制御し、圧縮イメージデータの処理速度を上げるようにして、間欠印刷とならない連続印刷を確保する。
【0038】
次に、間欠印刷とならない連続印刷ができるかどうかの予想方法について説明する。1ページ目の前処理の所要時間をTp1、2ページ目の前処理の所要時間をTp2、3ページ目の前処理の所要時間をTp3、4ページ目の前処理の所要時間をTp4、5ページ目の前処理の所要時間をTp5、・・・、Nページ目の前処理の所要時間をTpNとすると、ページ処理時間計測判定部40に備えられた1ページ毎の所要時間を累積加算する計測カウンタによって、次のように計測される。
1ページ目の前処理後 Tp1
2ページ目の前処理後 Tp1+Tp2
3ページ目の前処理後 Tp1+Tp2+Tp3
4ページ目の前処理後 Tp1+Tp2+Tp3+Tp4
5ページ目の前処理後 Tp1+Tp2+Tp3+Tp4+Tp5
・・・・・・
Nページ目の前処理後 Tp1+Tp2+Tp3+Tp4+Tp5+・・+TpN
【0039】
また、各ページの前処理が終了したときに、1ページ当たりの前処理にかかる所要時間の平均値を算出する。例えば、4ページ処理後の計測値CT(=Tp1+Tp2+Tp3+Tp4)をもとに、1〜4ページまでの1ページの前処理の所要時間の平均値Tav4を以下の(3)式によって算出する。
Tav4=(Tp1+Tp2+Tp3+Tp4)/4 ・・・(3)
【0040】
ここで、上記の(3)式によって算出された平均値Tav4が、T0より小さければ問題がないが、受信された圧縮されたイメージデータのデータ量が多く、算出された平均値Tav4がT0より大きい場合は、間欠印刷となる可能性がある。そこで、間欠印刷とならない連続印刷を確保するために、次に前処理の対象となるページ以降に対して圧縮イメージエラーチェック部24による受信時のエラーチェックをやめた場合に、間欠印刷とならない連続印刷ができるか否かを判断する。
【0041】
例えば、5ページ〜Nページに対して、受信時のエラーチェックをやめた場合の前処理にかかる所要時間の累積和の予想値は、以下の(4)式で表わされる。
(所要時間の累積和の予想値)=(N−4)*(Tav4−Tc1) ・・・(4)
【0042】
上記(4)式から、Nページ分の前処理にかかる所要時間は以下の(5)式で計算される。
(Nページ分の所要時間)=Tav4*4+(N−4)*(Tav4−Tc1)
・・・(5)
【0043】
上記(5)式で算出される値がT0*Nより十分小さい場合は、間欠印刷とならない連続印刷が可能であると予想し、圧縮イメージエラーチェック部24による受信時でのエラーチェックを、次ページに対しても行なう。
【0044】
一方、あるページの前処理後、予想されるNページ分の前処理に係る所要時間がT0*Nに近づいた場合は、次のページ以降に対して、受信時でのエラーチェックを行なわないように受信エラーチェック有無セレクタ26を切り替え、間欠印刷とならない連続印刷を確保するように制御する。
【0045】
次に、上記(5)式の一般式について説明する。まず、Xページ目の処理後において予想されるNページ分の前処理の所要時間は、以下の(6)式で表わされる。
(Nページ分の所要時間)=TavX*X+(N−X)*(TavX−Tc1)
・・・(6)
【0046】
そして、以下の(7)式によって、間欠印刷とならない連続印刷が可能であるか否かを判定する。
(TavX*X+(N−X)*(TavX−Tc1))≧T0*N*M ・・・(7)
【0047】
ただし、Mはマージン係数で1未満の値である。また、Mはどれだけ余裕を持って受信時のエラーチェックをやめるかを決定するための係数であり、例えば、0.8や0.7が設定される。Mを0.7に設定すると、0.8を設定する場合より余裕を持って早めに受信時のエラーチェックをやめるように制御される。
【0048】
上記(7)式の判定条件が成立する場合には、X+1ページ目以降に対して、圧縮イメージエラーチェック部24による受信時のエラーチェックをやめるように制御される。一方、上記(7)式の判定条件が成立しない場合には、次ページ以降も受信時のエラーチェックが行なわれる。
【0049】
受信エラーチェック有無セレクタ26は、圧縮イメージエラーチェック部24での圧縮イメージチェックを行なうか否かを選択する。ページ処理時間計測判定部40によって、間欠印刷とならない連続印刷が困難となると判定された場合には、圧縮イメージエラーチェック部24での圧縮イメージチェックを行なわないように、受信エラーチェック有無セレクタ26が切り替えられる。この場合、受信データ識別部22によって圧縮されたイメージデータが含まれていると識別された印刷データは、圧縮イメージエラーチェック部24でのエラーチェックを受けずに、受信バッファ28に格納される。
【0050】
受信バッファ28は、例えば、リングバッファ形式であり、受信された印刷データは逐次、受信バッファ28に格納される。そして、受信バッファ28への格納と並行して、受信バッファ28に格納された印刷データが、文字図形描画部30又は圧縮イメージ伸張描画部32によって読み出される。印刷データに含まれるテキストデータは、文字図形描画部30によって読み出され、文字図形描画部30によって、フレームバッファ34に文字が描画される。また、印刷データに含まれるテキストデータは、圧縮イメージ伸張描画部32によって読み出され、伸張されてフレームバッファ34に画像が描画される。
【0051】
圧縮イメージ伸張描画部32は、圧縮イメージエラーチェック部24と同様に、圧縮されたイメージデータが、指定された矩形エリアに過不足なく伸張されるか否かをチェックして、イメージデータが指定された矩形エリアに過不足なく伸張されない場合には、エラーとして印刷処理を停止し、クライアントPC12に対して、後述するページ数と共にエラー通知を行う。
【0052】
ページカウント部38は、受信バッファ28から読み出される印刷データから、ページの終わりを検出し、ページの終わりの検出回数をカウントする。圧縮イメージ伸張描画部32で圧縮されたイメージデータのエラーを検出したとき、ページカウント部38のカウント値、つまり、クライアントPC12が印刷装置14に送信した正常な印刷データのページ数が、エラー通知情報としてクライアントPC12に通知される。クライアントPC12は、印刷装置14によって通知されたエラー通知情報のページ数によって、エラーが発生したページを認識し、印刷処理の最初のページから送信し直すのではなく、エラーが発生したページから、送信し直す。
【0053】
なお、第1の実施の形態では、第1の前処理として、受信時の圧縮されたイメージデータの伸張とエラーチェックを行い、第1制御手段として、受信データ識別部22、受信エラーチェック有無セレクタ、及び圧縮イメージエラーチェック部24を用いている。また、出力手段として、文字図形描画部30及び圧縮イメージ伸張描画部32を用い、第2制御手段として、ページ処理時間計測判定部40を用いている。また、印刷手段として、フレームバッファ34及びプリントエンジン36を用いている。
【0054】
次に、第1の実施の形態に係る印刷システム10の作用について説明する。なお、以下では、複数ページの印刷データを連続して受信し、複数ページの印刷データに基づいて、連続印刷を行う場合を例に説明する。
【0055】
まず、クライアントPC12において、ユーザがキーボードやマウスを操作して、印刷データを作成し、作成された印刷データの印刷を指示すると、クライアントPC12から印刷装置14に印刷指示と印刷データとが送信される。印刷装置14において印刷指示が受信されると、印刷装置14によって印刷処理を開始し、図4、5に示す印刷処理ルーチンを実行する。
【0056】
まず、ステップ100において、ページカウント部38のページカウンタPCを初期値の0に設定すると共に、各ページの前処理の所要時間の累積和を表わす値RPTを初期値の0に設定し、ステップ102において、圧縮イメージエラーチェック部24による受信時の圧縮イメージデータのエラーチェックを行なうか否かを表わす受信時イメージチェックフラグを初期値1に設定し、圧縮イメージエラーチェック部24によるエラーチェックを行なうように設定する。
【0057】
そして、ステップ104において、クライアントPC12から印刷データを受信し、ステップ106において、上記ステップ104で受信した印刷データが、ページの先頭データであるか否かを判定し、先頭データでない場合には、ステップ110に移行するが、一方、受信した印刷データが、ページの先頭データである場合には、ステップ108において、1ページの前処理にかかる所要時間を計測するタイマ(図示省略)の計測を開始し、ステップ110へ移行する。
【0058】
ステップ110では、上記ステップ104で受信した印刷データに圧縮されたイメージデータが含まれているか否かを判定し、印刷データに圧縮されたイメージデータが含まれていない場合には、ステップ120へ移行するが、圧縮されたイメージデータが含まれている場合には、ステップ112において、受信時イメージチェックフラグが1であるか否かを判定する。
【0059】
上記ステップ112において、受信時イメージチェックフラグが0であると、受信時の圧縮されたイメージデータに対するエラーチェックが行なわれないように、受信エラーチェック有無セレクタ26が制御されているため、ステップ120へ移行する。一方、受信時イメージチェックフラグが1であると、受信時の圧縮されたイメージデータに対するエラーチェックを行なうように受信エラーチェック有無セレクタ26が制御されているため、ステップ114で、圧縮イメージエラーチェック部24によって、圧縮されたイメージデータを伸張して、伸張したイメージデータに対してエラーチェックを行なう。
【0060】
そして、ステップ116において、上記ステップ114でエラーが検出されたか否かを判定し、エラーが検出されなかった場合には、ステップ120へ移行するが、エラーが検出された場合には、ステップ118で、クライアントPC12に対してエラー通知を行い、印刷処理ルーチンを終了する。
【0061】
ステップ120では、上記ステップ104で受信された圧縮されたイメージデータを含む印刷データ又は圧縮されたイメージデータを含まない印刷データを受信バッファ28に格納し、次のステップ122において、受信バッファ28から印刷データを読み出し、ステップ124で、上記ステップ122で読み出された印刷データが、ページの先頭データであるか否かを判定する。
【0062】
上記ステップ124において、読み出された印刷データが、ページの先頭データでない場合には、ステップ128へ移行するが、読み出された印刷データが、ページの先頭データである場合には、次のページが検出されたと判断し、ステップ126において、ページカウンタPCをインクリメントして、ステップ128へ移行する。
【0063】
ステップ128では、上記ステップ122で読み出された印刷データに、圧縮されたイメージデータが含まれているか否かを判定し、読み出された印刷データに圧縮されたイメージデータが含まれていない場合には、ステップ130で、文字図形描画部30によって、印刷データに含まれるテキストデータや図形データに基づいて、文字や図形をフレームバッファ34に描画し、ステップ140へ移行する。一方、読み出された印刷データに圧縮されたイメージデータが含まれている場合には、ステップ132で、圧縮されたイメージデータを伸張して、伸張したイメージデータに誤りがないかをチェックし、フレームバッファ34に画像を描画して、次のステップ134において、上記ステップ132で伸張したイメージデータにエラーがなかったかを判定する。
【0064】
上記ステップ132で伸張したイメージデータにエラーがなかった場合には、ステップ140へ移行するが、伸張したイメージデータにエラーがあった場合には、ステップ138において、クライアントPC12に対して、ページカウント部38によってカウントされたカウント値と共にエラー通知を行って、印刷処理ルーチンを終了する。
【0065】
ステップ140では、上記ステップ104で受信された印刷データが、ページの最終データであるか否かを判定し、ページの最終データでない場合には、ステップ104へ戻るが、一方、ページの最終データである場合には、ステップ142において、1ページの前処理にかかる所要時間を計測するタイマを停止し、1ページの前処理にかかる所要時間PTを取得する。
【0066】
そして、ステップ144では、所要時間の累積和を表わす値RPTに上記ステップ142で取得した所要時間PTを加算し(RPT=RPT+PT)、ステップ146において、この時点における1ページの前処理の所要時間の平均時間Tav(=RPT/PC)を算出する。
【0067】
そして、ステップ148において、前処理が完了したPCページ目の次ページ以降に対して、受信時の圧縮されたイメージデータのエラーチェックを行わないように制御した場合における、Nページ分の前処理の予想所要時間TNYを、上記(6)式を用いて算出し、ステップ150において、上記(7)式の判定条件を用いて、上記ステップ148で算出された予想所要時間TNYが、(T0*N*M)以上であるか否かを判定し、予想所要時間TNYが、(T0*N*M)未満である場合には、予想所要時間がT0*Nよりとても小さく、現状のままでも間欠印刷とならない連続印刷が可能であると判断し、ステップ104へ戻る。
【0068】
一方、予想所要時間TNYが、(T0*N*M)以上である場合には、予想所要時間がT0*Nに近づいており、現状のままでは間欠印刷とならない連続印刷を確保することができないと判断し、ステップ152において、受信時イメージチェックフラグを0に設定し、受信時の圧縮されたイメージデータに対するエラーチェックが行なわれないように、受信エラーチェック有無セレクタ26を制御して、上記ステップ104へ戻る。
【0069】
プリントエンジン36は、各フレームバッファ34について、順番に、フレームバッファ34に描画された画像や文字、図形を記録用紙に印刷して、複数ページの印刷データに基づいて連続印刷を行う。
【0070】
上記のように印刷処理ルーチンが実行されると、間欠印刷とならない連続印刷を確保することができないと判断された時点で次に対象となるページ以降について、圧縮イメージエラーチェック部24による受信時の圧縮されたイメージデータのエラーチェックをやめて、イメージデータを伸張することなく、受信バッファ28に格納するように印刷処理の前処理が制御され、前処理の所要時間が短縮されることにより、間欠印刷とならない連続印刷が確保される。
【0071】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る印刷システムによれば、圧縮イメージデータ量が多く、間欠印刷することなく連続印刷を行うことが困難になると予想された場合、受信時の圧縮イメージデータのエラーチェックをやめて、イメージデータを伸張することなく、受信バッファに格納し、フレームバッファへの描画処理におけるイメージデータのエラーチェックのみを行うように制御する。これによって、間欠印刷とならない連続印刷が困難になると予想されるときに、2重にエラーチェックを行う場合よりも、前処理の処理速度が上がり、圧縮されたイメージデータを含む複数の印刷データに基づいて、間欠印刷になることなく連続印刷することができる。
【0072】
次に第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態に係る印刷システムの構成は、第1の実施の形態と同一構成であるので、同一符号を付して、構成に関する説明を省略する。
【0073】
第2の実施の形態では、計測された各ページの前処理の所要時間の累積和が、所定値以上になったときに、受信時の圧縮されたイメージデータのエラーチェックをやめるように制御している点が第1の実施の形態と異なっている。
【0074】
第2の実施の形態に係る印刷装置14のページ処理時間計測判定部40では、1ページ毎の前処理の所要時間を順次計測して、計測された前処理の所要時間を累積加算し、所要時間の累積和に基づいて、間欠印刷とならない連続印刷が可能であるか否かを判定する。
【0075】
Nページ目まで前処理した場合にかかった所要時間が、Nページ分を連続印刷した場合の印刷処理時間以内であれば、間欠印刷することなく、連続印刷が行われる。そこで、ページ処理時間計測判定部は、以下の(8)式で表わされる判定条件を用いて、間欠印刷とならない連続印刷が可能であるか否かを判定する。
Tp1+Tp2+Tp3+・・・+TpN<T0*N ・・・(8)
ただし、Tp1は1ページ目の前処理にかかる所要時間、Tp2は2ページ目の前処理にかかる所要時間、TpNはNページ目の前処理にかかる所要時間、T0は印刷装置のプリントエンジン36による連続印刷時の1ページ分の印刷処理時間、Nは前処理を行なったページ数である。
【0076】
ページ処理時間計測判定部40は、1ページごとの前処理にかかる所要時間を計測して、その所要時間を累積加算し、所要時間の累積和に基づいて、上記(8)式の判定条件が成立するか否かを判定し、成立しない場合には、間欠印刷とならない連続印刷が出来ないと判断され、自動的に圧縮イメージエラーチェック部24によるエラーチェックを行わないように受信エラーチェック有無セレクタ26を切り替え、圧縮イメージデータの処理速度を上げて、間欠印刷とならない連続印刷を確保する。一方、上記(8)式の判定条件が成立する場合には、現状のままでも間欠印刷とならない連続印刷が可能であると判断し、次ページ以降も受信時のエラーチェックを行なう。
【0077】
第2の実施の形態に係る印刷処理ルーチンでは、1ページの前処理に係る所要時間PTを取得し、所要時間の累積和を表わす値RPTに取得した所要時間PTを加算する。そして、連続印刷時の1ページ分の印刷処理時間に、前処理を行なったページ数を乗算して、前処理したページ数を連続印刷した場合の印刷処理時間を算出する。
【0078】
そして、上記(8)式の判定条件を用いて、所要時間の累積和を表わす値RPTが、前処理したページ数を連続印刷した場合の印刷処理時間未満であるか否かを判定し、所要時間の累積和RPTが、前処理したページ数を連続印刷した場合の印刷処理時間未満であり、上記(8)式の判定条件が成立する場合には現状のままでも間欠印刷になることなく連続印刷が可能であると判断する。一方、所要時間の累積和RPTが、前処理したページ数を連続印刷した場合の印刷処理時間以上であり、上記(8)式の判定条件が成立しない場合には、現状のままでは間欠印刷とならない連続印刷を確保することができないと判断し、受信時イメージチェックフラグを0に設定し、受信時の圧縮されたイメージデータに対するエラーチェックが行なわれないように、受信エラーチェック有無セレクタ26を制御する。
【0079】
なお、上述した処理の以外の処理については、第1の実施の形態の印刷処理ルーチンと同様であるため、説明を省略する。
【0080】
上記の第2の実施の形態では、所要時間の累積和を表わす値RPTが、前処理したページ数を連続印刷した場合の印刷処理時間未満であるか否かを判定する場合を例に説明したが、前処理したページ数を連続印刷した場合の印刷処理時間に、1未満のマージン係数Mを乗算した以下の式を判定条件として用いて、余裕を持って早めに受信時のエラーチェックをやめるように制御してもよい。
Tp1+Tp2+Tp3+・・・+TpN<T0*N*M
【0081】
次に第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態に係る印刷システムの構成は、第1の実施の形態と同一構成であるので、同一符号を付して、構成に関する説明を省略する。
【0082】
第3の実施の形態では、計測された各ページの前処理の所要時間の平均値が、所定値以上になったときに、受信時の圧縮されたイメージデータのエラーチェックをやめるように制御している点が第1の実施の形態と異なっている。
【0083】
第3の実施の形態に係る印刷装置14のページ処理時間計測判定部40では、1ページ毎の前処理の所要時間を順次計測して、計測された前処理の所要時間の平均値を算出し、所要時間の平均値に基づいて、間欠印刷とならない連続印刷が可能であるか否かを判定する。
【0084】
ここで、Nページ目まで前処理した場合にかかった所要時間の1ページあたりの平均値が、連続印刷時の1ページ分の印刷処理時間以内であれば、間欠印刷になることなく連続印刷を行うことができる。そこで、ページ処理時間計測判定部40は、以下の(9)式で表わされる判定条件を用いて、間欠印刷とならない連続印刷が可能であるか否かを判定する。
(Tp1+Tp2+Tp3+・・・+TpN)/N<T0 ・・・(9)
【0085】
ここで、Tp1は1ページ目の前処理にかかる所要時間、Tp2は2ページ目の前処理にかかる所要時間、TpNはNページ目の前処理にかかる所要時間、Nは前処理を行なったページ数、T0は印刷装置のプリントエンジン36による連続印刷時の1ページ分の印刷処理時間である。
【0086】
ページ処理時間計測判定部40は、1ページごとの前処理にかかる所要時間を計測し、その所要時間の累積和を、前処理したページ数で除算して、所要時間の平均値を算出し、所要時間の平均値が、連続印刷時の1ページ分の印刷処理時間以上であり、上記(9)式の判定条件が成立しない場合には、間欠印刷とならない連続印刷が出来ないと判断され、自動的に圧縮イメージエラーチェック部24によるエラーチェックを行わないように受信エラーチェック有無セレクタ26を切り替え、圧縮イメージデータの処理速度を上げて、間欠印刷とならない連続印刷を確保する。一方、所要時間の平均値が、連続印刷時の1ページ分の印刷処理時間未満であり、上記(9)式の判定条件が成立する場合には、次ページ以降も受信時のエラーチェックを行なう。
【0087】
第3の実施の形態に係る印刷処理ルーチンでは、1ページの前処理に係る所要時間PTを取得し、所要時間の累積和を表わす値RPTに取得した所要時間PTを加算する。そして、累積和を表わす値RPTを、前処理を行なったページ数で除算して、1ページの前処理にかかる所要時間の平均値を算出する。
【0088】
そして、上記(9)式の判定条件を用いて、所要時間の平均値が、連続印刷した場合の1ページの印刷処理時間未満であるか否かを判定し、上記(9)式の判定条件が成立する場合には現状のままでも間欠印刷とならない連続印刷が可能であると判断する。一方、上記(9)式の判定条件が成立しない場合には、現状のままでは間欠印刷とならない連続印刷を確保することができないと判断し、受信時イメージチェックフラグを0に設定し、受信時の圧縮されたイメージデータに対するエラーチェックが行なわれないように、受信エラーチェック有無セレクタ26を制御する。
【0089】
なお、上述した処理の以外の処理については、第1の実施の形態の印刷処理ルーチンと同様であるため、説明を省略する。
【0090】
上記の第3の実施の形態では、所要時間の平均値が、連続印刷した場合の1ページの印刷処理時間未満であるか否かを判定する場合を例に説明したが、連続印刷した場合の1ページの印刷処理時間に、1未満のマージン係数Mを乗算した以下の式を判定条件として用いて、余裕を持って早めに受信時のエラーチェックをやめるように制御してもよい。
(Tp1+Tp2+Tp3+・・・+TpN)/N<T0*M
【0091】
次に第4の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0092】
第4の実施の形態では、受信した印刷データに、ページ番号を付加している点と、付加されたページ番号を用いてエラー通知を行なっている点とが主に第1の実施の形態と異なっている。
【0093】
図6に示すように、第4の実施の形態に係る印刷システム410の印刷装置414は、ネットワークインタフェース部20と、受信した印刷データに、ページ単位の識別情報としてのページ番号を付加するページ番号付加部421と、受信データ識別部22と、圧縮イメージエラーチェック部24と、受信エラーチェック有無セレクタ26と、受信バッファ28と、文字図形描画部30と、受信バッファ28から印刷データを読み出し、印刷データに含まれる圧縮されたイメージデータを伸張して、フレームバッファ34に書き込む圧縮イメージ伸張描画部432と、プリントエンジン36と、ページ処理時間計測判定部40とを備えている。
【0094】
圧縮イメージ伸張描画部432では、圧縮イメージエラーチェック部24と同様に、圧縮されたイメージデータが、指定された矩形エリアに過不足なく伸張されるか否かをチェックして、指定された矩形エリアに過不足なく伸張されない場合には、エラーとして停止し、クライアントPC12に対して、印刷データに付加されたページ番号と共にエラー通知を行う。
【0095】
第4の実施の形態に係る印刷処理ルーチンでは、クライアントPC12から印刷データを受信すると、受信した印刷データのページ数をカウントして設定されるページ番号を、印刷データに付加する。なお、ページ数のカウントについて、受信した印刷データがページの先頭データであると判定されたときに、カウント数をインクリメントすればよい。
【0096】
また、圧縮イメージ伸張描画部432におけるイメージデータの伸張及び描画時に、伸張したイメージデータにエラーがあった場合には、クライアントPC12に対して、印刷データに付加されたページ番号と共にエラー通知を行う。
【0097】
なお、上述した処理の以外の処理については、第1の実施の形態の印刷処理ルーチンと同様であるため、説明を省略する。
【0098】
次に第5の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0099】
第5の実施の形態では、ページカウント部を備えていない点と、クライアントPCにおいて印刷データにページ番号を付加している点とが主に第1の実施の形態と異なっている。
【0100】
第5の実施の形態に係る印刷システムのクライアントPCでは、ユーザによって、作成された印刷データの印刷が指示されると、送信する印刷データにページ単位の識別情報としてのページ番号を付加し、印刷装置14に印刷指示と印刷データとを送信する。
【0101】
第5の実施の形態に係る印刷処理ルーチンでは、圧縮イメージ伸張描画部432におけるイメージデータの伸張及び描画時に、伸張したイメージデータにエラーがあった場合には、クライアントPC12に対して、印刷データに付加されたページ番号と共にエラー通知を行う。
【0102】
なお、上述した処理の以外の処理については、第1の実施の形態の印刷処理ルーチンと同様であるため、説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。
【図2】伸張したイメージデータを展開した様子を示すイメージ図である。
【図3】圧縮されたイメージデータのデータ形式を示すイメージ図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る印刷システムの印刷装置における印刷処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る印刷システムの印刷装置における印刷処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0104】
10、410 印刷システム
12 クライアントPC
14、414 印刷装置
16 ネットワーク
24 圧縮イメージエラーチェック部
26 受信エラーチェック有無セレクタ
28 受信バッファ
30 文字図形描画部
32、432 圧縮イメージ伸張描画部
34 フレームバッファ
36 プリントエンジン
38 ページカウント部
40 ページ処理時間計測判定部
421 ページ番号付加部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された印刷情報の種類に応じて第1の前処理を行って格納手段に前記印刷情報を格納するか、又は前記第1の前処理を行なわずに前記格納手段に前記印刷情報を格納するように制御する第1制御手段と、
前記格納手段に格納された印刷情報を読み出し、前記読み出した印刷情報が前記第1の前処理が行われた印刷情報である場合には、前記第1の前処理を含む第2の前処理を行なって前記印刷情報を印刷手段に出力し、前記読み出した印刷情報が前記第1の前処理が行われなかった印刷情報である場合には、第3の前処理を行って前記印刷情報を前記印刷手段に出力する出力手段と、
前記受信手段によって複数の印刷情報を連続して受信する場合において、前記印刷情報を出力するまでの時間が所定時間以上になったときに、前記第1の前処理を行なわずに前記受信手段によって受信される印刷情報を前記格納手段に格納するように前記第1制御手段を制御する第2制御手段と、
を含む印刷装置。
【請求項2】
印刷情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって圧縮された画像情報を含む印刷情報を受信した場合において、前記画像情報を伸張し、伸張した前記画像情報に誤りがないときに、前記圧縮された画像情報を含む印刷情報を格納手段に格納し、前記受信手段によって前記画像情報を含まない印刷情報を受信した場合に、前記印刷情報を前記格納手段に格納するように制御する第1制御手段と、
前記格納手段に格納された前記印刷情報を読み出し、前記読み出した印刷情報が前記画像情報を含む場合において、前記印刷情報に含まれる前記画像情報を伸張し、伸張した画像情報に誤りがないときに、前記伸張した画像情報を含む印刷情報を出力し、前記読み出した印刷情報が前記画像情報を含まない場合に、前記印刷情報を出力する出力手段と、
前記出力手段によって出力された前記印刷情報に基づいて印刷を行う印刷手段と、
前記受信手段によって複数の印刷情報を連続して受信する場合において、前記印刷情報を出力するまでにかかる所要時間が所定時間以上になったときに、前記受信手段によって受信される前記画像情報を含む印刷情報を、前記画像情報を伸張することなく前記格納手段に格納させるように前記第1制御手段を制御する第2制御手段と、
を含む印刷装置。
【請求項3】
前記受信手段によって連続して受信された前記複数の印刷情報の各々について、前記受信手段による受信から前記出力手段による出力までにかかる所要時間を順次計測する計測手段と、
前記計測手段によって順次計測された前記所要時間の累積和に基づいて、残りの印刷情報について、前記第1制御手段によって前記画像情報を伸張することなく、前記画像情報を含む前記印刷情報を前記格納手段に格納させるように制御した場合に予想される前記複数の印刷情報に対する前記所要時間の総和を算出する予想時間算出手段とを更に含み、
前記第2制御手段は、前記予想時間算出手段によって算出された前記所要時間の総和が所定時間以上であるときに、前記残りの印刷情報について、前記画像情報を伸張することなく前記画像情報を含む印刷情報を前記格納手段に格納させるように前記第1制御手段を制御する請求項2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記受信手段によって連続して受信された前記複数の印刷情報の各々について、前記受信手段による受信から前記出力手段による出力までにかかる所要時間を順次計測する計測手段を更に含み、
前記第2制御手段は、前記計測手段によって順次計測された前記所要時間の累積和が所定時間以上であるときに、又は該所要時間の累積和の平均値が所定の平均時間以上であるときに、前記残りの印刷情報について、前記画像情報を伸張することなく前記画像情報を含む印刷情報を前記格納手段に格納させるように前記第1制御手段を制御する請求項2記載の印刷装置。
【請求項5】
前記格納手段から読み出した印刷情報の数を計数する計数手段と、
前記出力手段によって伸張した画像情報に誤りがあるとき、前記計数手段によって計数された数及び前記画像情報に誤りがあることを、前記印刷情報の送信元に通知する誤り通知手段とを更に含む請求項2〜請求項4の何れか1項記載の印刷装置。
【請求項6】
前記受信手段によって受信された印刷情報には、前記印刷情報を識別するための識別情報が付加されており、
前記出力手段によって伸張した画像情報に誤りがあるとき、該画像情報を含む印刷情報に付加された識別情報及び前記画像情報に誤りがあることを、前記印刷情報の送信元に通知する誤り通知手段を更に含む請求項2〜請求項4の何れか1項記載の印刷装置。
【請求項7】
前記受信手段によって受信された印刷情報に、前記印刷情報を識別するための識別情報を付加する付加手段と、
前記出力手段によって伸張した画像情報に誤りがあるとき、該画像情報を含む印刷情報に付加された識別情報及び前記画像情報に誤りがあることを、前記印刷情報の送信元に通知する誤り通知手段を更に含む請求項2〜請求項4の何れか1項記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−18546(P2009−18546A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184666(P2007−184666)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】