印字装置
【課題】 単一のセンサでテープ部材の先端検出及びジャム検出を可能にするテープ部材への印字装置を提供する。
【解決手段】 プラテンローラ8の正逆双方向への駆動に連動して光学センサ15の向きを変更するように構成し、印字テープ31を上流側に搬送するとき、光学センサ15を印字テープ31の方向に向けて先端検出を可能とし、印字テープ31を下流側に搬送するとき、光学センサ15をプラテンローラ8の方向に向けてジャム検出を可能にする。
【解決手段】 プラテンローラ8の正逆双方向への駆動に連動して光学センサ15の向きを変更するように構成し、印字テープ31を上流側に搬送するとき、光学センサ15を印字テープ31の方向に向けて先端検出を可能とし、印字テープ31を下流側に搬送するとき、光学センサ15をプラテンローラ8の方向に向けてジャム検出を可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ部材に印字を行う印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印字媒体としてのテープ部材に対して、キーボード等の入力手段から入力された、或いは、他の機器から出力された文字、記号、ロゴ、キャラクタ、マーク等を印字することにより、固有のラベルを作成できる印字装置がある。このような印字装置では、装置内のテープ搬送経路にセンサを設けることにより、テープ部材の先端を検出してその情報に基づいて位置決めして印字したり、テープ部材の搬送路内でのジャム発生を検出している。
【0003】
例えば、特開平10−6579号公報(特許文献1)では、テープ部材を搬送するプラテンローラに対するようにして反射型の光学センサを設け、プラテンローラに搬送中のテープ部材が巻き付いて生じるテープ詰りを検出するようにしている。また、特開平11−320993号公報(特許文献2)では、テープ部材の先端を検出するための紙先センサを備え、このセンサの情報に基づいて、テープ部材の先端から所定位置に印字を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−6579号公報
【特許文献2】特開平11−320993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように従来の印字装置では、装置内にセンサを設けて、テープ部材の搬送時におけるテープ送りのトラブルを検出したり、印字開始位置などを決めるためにテープ部材の先端を検出しているが、ジャム検出や先端検出のそれぞれの目的に対応して別個にセンサを設ける必要があり、部品数が多くなり、装置の構成が複雑になるという問題点がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、テープ部材のジャム検出と先端検出を単一のセンサに行うことができるようにして、装置を簡単な構造にした印字装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係る印刷装置は、ローラを正逆双方向に回転駆動することにより、印字媒体としてのテープ部材を搬送経路の下流側及び上流側に向けて搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送経路を下流側に向けて搬送されるテープ部材に印字を行う印字手段と、搬送経路に配置されたテープ部材の方向を向いた第1の検出方向と前記ローラの方向を向いた第2の検出方向に向きを変更可能に設けられる単一の光学センサと、前記搬送手段の動作に連動して、テープ部材が搬送経路を上流側に向けて搬送されるときに前記光学センサの向きを前記第1の検出方向とするとともに、テープ部材が搬送経路を下流側に向けて搬送されるときに前記光学センサの向きを前記第2の検出方向に変更する検出方向変更手段と、前記光学センサが前記第1の検出方向にあるときの検出情報によりテープ部材の先端を判断する第1の判断手段と、前記光学センサが前記第2の検出方向にあるときの検出情報によりテープ部材のジャム発生を判断する第2の判断手段と、前記搬送手段及び前記印字手段を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記搬送手段及び前記印字手段を制御して、印字開始時にテープ部材を搬送経路の上流側に向けて搬送し、前記第1の判断手段によってテープ部材の先端が判断された後に、テープ部材を搬送経路の下流側に向けて搬送しつつ印字を行い、更に、印字中に、前記第2の判断手段によってジャム発生が判断されると、前記搬送手段及び前記印字手段に対してジャム発生に対応した所定の制御を行うことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明は、搬送経路の下流側に向かって順に前記印字手段及び前記光学センサが配設されるとともに、前記光学センサの下流側にテープ部材を切断する切断手段を備え、前記制御手段は、テープ部材への印字終了後に、前記切断手段を制御してテープ部材の印字済部分を切断し、しかる後に、テープ部材を搬送経路の上流側に向けて前記切断手段と前記光学センサの間の距離より少ない所定距離だけ搬送して、検出方向変更手段を介して前記光学センサの向きを前記第2の検出方向から前記第1の検出方向に向けることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3の発明は、前記光学センサは、反射型の光学センサであることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4の発明は、前記制御手段は、前記第2の判断手段によってジャム発生が判断されたときに、ジャム発生を報知することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5の発明は、前記制御手段は、前記第2の判断手段によってジャム発生が判断されたときに、前記搬送手段及び前記印字手段の駆動を停止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光学センサの向きを変更することにより、テープ部材のジャム検出と先端検出を単一のセンサに行うことができるようにして、装置を簡単な構造にした印字装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係る印字装置の平面図である。
【図2】本発明の実施例に係る印字装置の内部拡大図及びテープカセットの斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係る印字装置の機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施例に係る印字装置の印字処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例に係る印字装置の印字機構の説明図である。
【図6】図5の矢印Aから見た矢視図である。
【図7】図5のB−B線における一部の断面図である。
【図8】本発明の実施例に係る印字装置のテープ印字機構の動作を示す説明図である。
【図9】本発明の実施例に係る印字装置のテープ印字機構の動作を示す説明図である。
【図10】本発明の実施例に係る印字装置のテープ印字機構の動作を示す説明図である。
【図11】本発明の実施例に係る印字装置のテープ印字機構の動作を示す説明図である。
【図12】本発明の実施例に係る印字装置のテープ印字機構の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態に係る印字装置の外観を示す平面図、図2はその印字装置に使用するテープカセットの外観及び印字装置の内部構造の一部を示す斜視図である。図1及び図2に示すように、印字装置1は、装置本体2の上面に入力部3、表示部4、および開閉蓋5を備えている。開閉蓋5の内側には印字テープ(テープ部材)31及びインクリボン35を収容したテープカセット21を装填するためのカセット装填部6が形成されている。
【0015】
入力部3には、文字情報を入力するための文字キー、数字キー、記号キー等の文字入力キーが備えられ、さらに、電源キー、表示部4上に表示されるカーソルを移動させるカーソルキー、印字モードを設定するための印字モード設定キー、入力された文字情報により作成された文書情報の登録処理を行なう際に操作される登録キー、各種入力情報や選択データの確定、所定機能の開始の指示等を行なうときに操作される実行キー、入力された文字情報により作成された文書情報の印字処理を実行する際に操作される印字キー等が備えられる。表示部4は液晶表示装置であり、入力された文字情報や各種設定のための選択メニュー画面や処理に関するメッセージなどが表示されるとともに、作成されるラベルの長さや印字モードの状態などの各種の情報が表示される。
【0016】
カセット装填部6内には、印字素子が印字テープ31の幅方向に対応する縦方向に配列され印字テープ31に印字を行う印字ヘッド(サーマルヘッド)7と、サーマルヘッド7との間で印字テープ31及びインクリボン35を挟んでこれを搬送するプラテンローラ8と、印字に使用したインクリボン35をテープカセット21内に巻き取るリボン巻取軸9とを備えたテープ印字機構が設けられている。プラテンローラ8はテープ搬送モータによって正逆双方向に回転駆動され、印字テープ31を搬送経路の下流側に向け(順方向)、あるいは上流側に向けて(逆方向)搬送可能になっている。更に、テープカセット21をカセット装填部6内の所定の位置に支持するためのカセット受部10を備えている。また、カセット装填部6の一端部には装置本体2外に通じる排出口12が形成されており、この排出口12には、固定刃13aと可動刃13bとを備え、印字テープ31を切断するためのカッタ13が設けられている。また、印字位置であるサーマルヘッド7の下流側には、プラテンローラ8に隣接して印字テープ31のジャム検出及び先端検出を行うための光学センサユニット(光学センサ)15が設けられている。
【0017】
光学センサ15は、発光素子と受光素子とからなる反射型のものであり、約90度の角度の範囲で回転可能に設けられており、搬送経路に配置される印字テープ31の印字面の反対面側の方向を向いた第1の検出方向とプラテンローラ8の方向を向いた第2の検出方向とに検出方向を変更可能に設けられている。光学センサ15が第1の検出方向を向いた状態では印字テープ31の先端を検出する先端検出センサとして働き、第2の検出方向を向いた状態では印字テープ31がプラテンローラ8に巻き込まれたことを検出するテープ詰りセンサとして働く。すなわち、プラテンローラ8はゴム材からなりその表面の色は黒色であり、黒色以外である印字テープ31の印字面及びその反対面とは反射光量が異なるため、受光量の変化により印字テープ31がプラテンローラ8に巻き込まれたことを検出することができる。また、同様に印字テープ31の先端エッジがセンサの検出領域を通過するときの受光量の変化に基づいて印字テープ31の先端も検出することができる。
【0018】
一方、テープカセット21は、カセットケース22を備え、このカセットケース22の内部には、印字テープ31を巻回したテープコア23、未使用のインクリボン35を巻回したリボン供給コア24、印字に使用済のインクリボン35を巻き取るリボン巻取コア25がそれぞれ収納されている。前記印字テープ31は、印字が行われる印字テープ層と貼着剤層と剥離テープ層の積層構造を有している。また、カセットケース22には、カセット装填部6内にテープカセット21を装填したときにサーマルヘッド7が配置されるヘッド配置部27が形成されており、また、カセットケース22の隅部には、カセット装填部6のカセット受部10に係合してそれに支持される被係合部29が形成されている。
【0019】
図5乃至図7は印字装置のテープ印字機構の説明図である。この図で説明するように、印字装置1では、テープ印字機構のテープ搬送に連動して光学センサ15の検出方向を変更するようにしている。図5乃至図7において、符号7、8、9、13は夫々サーマルヘッド、プラテンローラ、リボン巻取軸、カッタを示している。また、40は印字テープ31を搬送するための、ステップモータからなるテープ搬送モータである。41はテープ搬送モータ40の出力軸に設けられるモータギア、42は減速ギア、43はギアが3段に設けられ中心にプラテンローラ8を設けたプラテン軸43aが設けられるプラテンギア、44はリボン巻取りギア、45は遊星接続ギア、15は光学センサユニット、50はセンサギア、51はセンサユニットストッパーである。
【0020】
また、光学センサユニット15は図6及び図7に図示するように、発光素子及び受光素子を備える反射型の光学センサからなるセンサ部15aと、プラテンギア43と噛み合うセンサギア50及び回転軸部52を備えてセンサ部15aを支持する支持部15bを備え、センサ部15aと支持部15bの間にはクラッチ部15cが設けられている。そして、センサ部15aがセンサストッパー51に当接しない状態では、センサ部15aは支持部15bに支持されて共に回転するが、センサ部15aがセンサストッパー51に当接してその回転が規制されると、クラッチ部材15cによりセンサ部15aと支持部15bの間で滑りが生じて支持部15bだけが回転するようになっている。
【0021】
本発明の印字装置1では、印字開始時にテープ搬送モータを逆転してプラテンローラ8を逆転駆動して印字テープ31を搬送経路の上流側に向けて搬送し、その逆方向への搬送時に印字テープ31の先端を光学センサ15で検出し、その先端検出の後、テープ搬送モータを正転してプラテンローラ8を正転駆動して印字テープ31を搬送経路の下流側に向けて搬送しつつ、その順方向への搬送時に印字を行う一方、回転可能に設けた光学センサ15の向きを、初期状態及び印字テープ31の先端検出のための逆方向への搬送時には印字テープ31に向けた第1の検出方向とし、印字テープ31の順方向への搬送時の印字動作中にはジャム検出のためにプラテンローラ8に向けた第2の検出方向とする。
【0022】
次に、図5、図8−12によって、印字装置1のテープ印字機構の動作について説明する。図5は、テープ印字機構の印刷開始直前の待機状態(初期状態)を示している。また、図8はテープ印字機構の印字開始直後に印字テープの先端を検出する動作を示している。また、図9及び図10はテープ印字機構の印字動作の開始及び印字動作中の状態を示している。また、図11はテープ印字機構の印字終了時の状態を示している。また、図12はテープ印字機構が印字終了後に待機状態に復帰する様子を示している。
【0023】
図5に示す待機状態(初期状態)から、次に、図8に示すように、テープ搬送モータ40が逆転駆動されると、テープ搬送モータ40の駆動がモータギア41、減速ギア42を介してプラテンギア43に伝達され、プラテンローラ8が時計方向に回転し、印字テープ31は搬送経路の上流側に向けて搬送される。このとき、プラテンギア43と噛み合うセンサギア50は反時計方向に回転し、光センサユニット15は反時計方向に回転しようとするが、センサ部15aの右側一端部がセンサストッパー51に当接しており、センサストッパー51によって回転を阻止されるため、センサ部15aとクラッチ部15cを介して接続されている支持部15aのみが反時計方向に回転し、センサ部15aは印字テープ31の方向を向いた第1の検出方向を向いた状態に保持される。そして、印字テープ31の先端が光学センサ15の位置を下流側から上流側に通過することにより先端検出が行われる。
【0024】
印字テープ31の先端検出の後、図9及び図10のように、印字テープ31への印字が行われる。すなわち、印字開始とともにテープ搬送モータ40が正転駆動されると、プラテンローラ8が反時計方向に回転し印字テープ31が搬送経路の下流側に向けて搬送される。また、プラテンギア43の反時計方向の回転によって遊星接続ギア45がプラテンギア43とリボン巻取ギア44とを接続し、テープ搬送モータ40の駆動がリボン巻取軸9に伝達されてインクリボンの巻取りが行われる。このとき、プラテンギア43と噛み合うセンサギア50が時計方向に回転し、光学センサユニット15の支持部15b及びセンサ部15aが一体となって時計方向に回転する。図10に図示のように、センサ部15aがプラテンローラ8を向いた方向(第2の検出方向)の所定位置まで回転すると、センサ部15aの左側他端部がセンサストッパー51に当接してセンサ部15aのそれ以上の時計方向への回転が制限される。そして、印字テープ31が搬送経路の下流側に向けて搬送される印字中の状態では、光学センサ15は図10に示す第2の検出方向を向いた状態を保持される。
【0025】
印字テープ31に対する印字が終了すると、印字テープ31の印字済部分をカッタ13により切断して作成したラベルを切り離す。その後、更に、テープ搬送モータ40を逆転駆動して印字テープ31を搬送経路の上流側に向けて所定距離だけ搬送し、光学センサ15を印字テープ31に向けた第1の検出方向とした状態(図5に示す状態)として一連の印字動作を終了する。なお、印字終了後の印字テープ31の上流側への搬送距離は、カッタ13と光学センサ15の間の距離より少ない距離であり、印字テープ31の先端が光学センサ15より下流側となるような距離とする。以下、追加してラベルの印字を行う場合には、同様にして図5、図8−図12の動作を繰り返す。
【0026】
この印字装置1では、入力部3から文字データ等の印字すべき情報を入力し、その印字を指示すると、印字テープ31とインクリボン35とがテープカセット21から引き出され、重ね合わせた状態でプラテンローラ8とサーマルヘッド7の間に挟まれて共に搬送されるとともに、サーマルヘッド7が入力された印字すべき文書情報の印字データに基づいて発熱駆動されてインクリボン35のインクが印字テープ31に熱転写されて印字テープ31に印字が行われる。印字が終了すると、カッタ13が作動して印字テープ31が切断されて1枚のラベルが作成される。
【0027】
図3はこの印字装置の電子回路の構成を示すブロック図である。この印字装置1の電子回路には、コンピュータであるCPUからなる制御部60が備えられる。制御部60は、入力部3からのキー操作信号に応じてROM61に予め記憶されているシステムプログラムを起動させ、RAM62をワークメモリとして回路各部の動作を制御する。この制御部60には、前記入力部3、前記表示部4が接続され、ROM61、RAM62が接続される。また、駆動回路63、64、65を介してサーマルヘッド7、テープ搬送モータ40、カッタモータ66に接続される。また、制御部60には、カセット装填部6内に設けられる光学センサユニット15が接続される。
【0028】
ROM61には、入力部3から入力された文書情報を印字するためのプログラムが記憶されている。また、RAM42には、入力された文書情報を記憶する入力データメモリ、印字する文書情報の印字パターンデータ(印字データ)が記憶される印字データメモリ、表示部4に表示されるパターンデータが記憶される表示データメモリの各領域が確保され、印字処理などに必要なデータを一時的に記憶するレジスタやカウンタなどが設けられている。
【0029】
次に、本発明の印字装置の印字処理を図4のフローチャートに従い、図5、図8−図12を参照して説明する。先ず、図5に示す待機状態にある印刷装置において、入力部3の印字キーが操作されて、所定の印字データの印字開始が指示されると、この印字装置1のテープ搬送モータ40を1ステップ分だけ逆転駆動し、プラテンローラ8を逆転駆動して印字テープ31を搬送経路の上流側に向けて搬送する(ステップS1)。そのとき、光学センサ15の検出情報により印字テープ31の先端の検出を判断する(ステップS2)。ステップS2で印字テープ31の先端の検出を判断しない場合には、先端を検出するまで印字テープ31を搬送経路の上流側に向けて搬送する。印字テープ31の先端の検出を判断すると(ステップS2のYES)、テープ搬送モータ40を停止し(ステップS3)、次に印字データを1ライン分だけサーマルヘッド7に転送して発熱体を駆動し、インクリボン35のインクを印字テープ31に転写するとともに(ステップS4)、テープ搬送モータ40を1ステップ分だけ正転駆動し(ステップS5)、プラテンローラ8を正転駆動して印字テープ31を搬送経路の下流側に向けて搬送する。更に、光学センサ15の検出情報に基づいてジャム発生を判断する(ステップS6)。ジャム発生が判断されない場合(ステップS6のNO)、、印字データの印字すべき全ての印字が終了したか否かを判断し(ステップS7)、印字が終了していなければ(ステップS7のNO)、印字が終了するまでステップS4乃至S7の処理を繰り返し、印字が終了すれば(ステップS7のYES)、テープ搬送モータ40を停止し(ステップS8)、カッタモータ66を駆動してカッタ13を動作させて印字テープ31の印字済部分を切断する(ステップS9)。その後テープ搬送モータ40を所定ステップ数だけ逆転駆動することにより所定距離だけ上流側に搬送し(ステップS10)、処理を終了する(エンド)。一方、ステップS6において、ジャム発生を判断すると、表示部4にジャム発生のエラー表示を行い(ステップS11)、テープ搬送モータ40及びサーマルヘッド7の駆動を停止して(ステップS12)、処理を終了する(エンド)。
【0030】
この実施の形態によれば、テープ搬送モータ40(プラテンローラ8)の正逆の駆動に連動して、印字テープ31の搬送方向に応じて光学センサ15の向きを変更することにより、印字テープ31のジャム検出と先端検出を単一のセンサに行うことができ、装置を簡単な構造にした印字装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0031】
1…印字装置 3…入力部 4…表示部 6…カセット装填部 7…サーマルヘッド
8…プラテンローラ 13…カッタ 15…光学センサ 15a…センサ部
15b…支持部 15c…クラッチ部 21…テープカセット 31…印字テープ
60…制御部 61…ROM 62…RAM
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ部材に印字を行う印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印字媒体としてのテープ部材に対して、キーボード等の入力手段から入力された、或いは、他の機器から出力された文字、記号、ロゴ、キャラクタ、マーク等を印字することにより、固有のラベルを作成できる印字装置がある。このような印字装置では、装置内のテープ搬送経路にセンサを設けることにより、テープ部材の先端を検出してその情報に基づいて位置決めして印字したり、テープ部材の搬送路内でのジャム発生を検出している。
【0003】
例えば、特開平10−6579号公報(特許文献1)では、テープ部材を搬送するプラテンローラに対するようにして反射型の光学センサを設け、プラテンローラに搬送中のテープ部材が巻き付いて生じるテープ詰りを検出するようにしている。また、特開平11−320993号公報(特許文献2)では、テープ部材の先端を検出するための紙先センサを備え、このセンサの情報に基づいて、テープ部材の先端から所定位置に印字を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−6579号公報
【特許文献2】特開平11−320993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように従来の印字装置では、装置内にセンサを設けて、テープ部材の搬送時におけるテープ送りのトラブルを検出したり、印字開始位置などを決めるためにテープ部材の先端を検出しているが、ジャム検出や先端検出のそれぞれの目的に対応して別個にセンサを設ける必要があり、部品数が多くなり、装置の構成が複雑になるという問題点がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、テープ部材のジャム検出と先端検出を単一のセンサに行うことができるようにして、装置を簡単な構造にした印字装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係る印刷装置は、ローラを正逆双方向に回転駆動することにより、印字媒体としてのテープ部材を搬送経路の下流側及び上流側に向けて搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送経路を下流側に向けて搬送されるテープ部材に印字を行う印字手段と、搬送経路に配置されたテープ部材の方向を向いた第1の検出方向と前記ローラの方向を向いた第2の検出方向に向きを変更可能に設けられる単一の光学センサと、前記搬送手段の動作に連動して、テープ部材が搬送経路を上流側に向けて搬送されるときに前記光学センサの向きを前記第1の検出方向とするとともに、テープ部材が搬送経路を下流側に向けて搬送されるときに前記光学センサの向きを前記第2の検出方向に変更する検出方向変更手段と、前記光学センサが前記第1の検出方向にあるときの検出情報によりテープ部材の先端を判断する第1の判断手段と、前記光学センサが前記第2の検出方向にあるときの検出情報によりテープ部材のジャム発生を判断する第2の判断手段と、前記搬送手段及び前記印字手段を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記搬送手段及び前記印字手段を制御して、印字開始時にテープ部材を搬送経路の上流側に向けて搬送し、前記第1の判断手段によってテープ部材の先端が判断された後に、テープ部材を搬送経路の下流側に向けて搬送しつつ印字を行い、更に、印字中に、前記第2の判断手段によってジャム発生が判断されると、前記搬送手段及び前記印字手段に対してジャム発生に対応した所定の制御を行うことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明は、搬送経路の下流側に向かって順に前記印字手段及び前記光学センサが配設されるとともに、前記光学センサの下流側にテープ部材を切断する切断手段を備え、前記制御手段は、テープ部材への印字終了後に、前記切断手段を制御してテープ部材の印字済部分を切断し、しかる後に、テープ部材を搬送経路の上流側に向けて前記切断手段と前記光学センサの間の距離より少ない所定距離だけ搬送して、検出方向変更手段を介して前記光学センサの向きを前記第2の検出方向から前記第1の検出方向に向けることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3の発明は、前記光学センサは、反射型の光学センサであることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4の発明は、前記制御手段は、前記第2の判断手段によってジャム発生が判断されたときに、ジャム発生を報知することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5の発明は、前記制御手段は、前記第2の判断手段によってジャム発生が判断されたときに、前記搬送手段及び前記印字手段の駆動を停止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光学センサの向きを変更することにより、テープ部材のジャム検出と先端検出を単一のセンサに行うことができるようにして、装置を簡単な構造にした印字装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係る印字装置の平面図である。
【図2】本発明の実施例に係る印字装置の内部拡大図及びテープカセットの斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係る印字装置の機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施例に係る印字装置の印字処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例に係る印字装置の印字機構の説明図である。
【図6】図5の矢印Aから見た矢視図である。
【図7】図5のB−B線における一部の断面図である。
【図8】本発明の実施例に係る印字装置のテープ印字機構の動作を示す説明図である。
【図9】本発明の実施例に係る印字装置のテープ印字機構の動作を示す説明図である。
【図10】本発明の実施例に係る印字装置のテープ印字機構の動作を示す説明図である。
【図11】本発明の実施例に係る印字装置のテープ印字機構の動作を示す説明図である。
【図12】本発明の実施例に係る印字装置のテープ印字機構の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態に係る印字装置の外観を示す平面図、図2はその印字装置に使用するテープカセットの外観及び印字装置の内部構造の一部を示す斜視図である。図1及び図2に示すように、印字装置1は、装置本体2の上面に入力部3、表示部4、および開閉蓋5を備えている。開閉蓋5の内側には印字テープ(テープ部材)31及びインクリボン35を収容したテープカセット21を装填するためのカセット装填部6が形成されている。
【0015】
入力部3には、文字情報を入力するための文字キー、数字キー、記号キー等の文字入力キーが備えられ、さらに、電源キー、表示部4上に表示されるカーソルを移動させるカーソルキー、印字モードを設定するための印字モード設定キー、入力された文字情報により作成された文書情報の登録処理を行なう際に操作される登録キー、各種入力情報や選択データの確定、所定機能の開始の指示等を行なうときに操作される実行キー、入力された文字情報により作成された文書情報の印字処理を実行する際に操作される印字キー等が備えられる。表示部4は液晶表示装置であり、入力された文字情報や各種設定のための選択メニュー画面や処理に関するメッセージなどが表示されるとともに、作成されるラベルの長さや印字モードの状態などの各種の情報が表示される。
【0016】
カセット装填部6内には、印字素子が印字テープ31の幅方向に対応する縦方向に配列され印字テープ31に印字を行う印字ヘッド(サーマルヘッド)7と、サーマルヘッド7との間で印字テープ31及びインクリボン35を挟んでこれを搬送するプラテンローラ8と、印字に使用したインクリボン35をテープカセット21内に巻き取るリボン巻取軸9とを備えたテープ印字機構が設けられている。プラテンローラ8はテープ搬送モータによって正逆双方向に回転駆動され、印字テープ31を搬送経路の下流側に向け(順方向)、あるいは上流側に向けて(逆方向)搬送可能になっている。更に、テープカセット21をカセット装填部6内の所定の位置に支持するためのカセット受部10を備えている。また、カセット装填部6の一端部には装置本体2外に通じる排出口12が形成されており、この排出口12には、固定刃13aと可動刃13bとを備え、印字テープ31を切断するためのカッタ13が設けられている。また、印字位置であるサーマルヘッド7の下流側には、プラテンローラ8に隣接して印字テープ31のジャム検出及び先端検出を行うための光学センサユニット(光学センサ)15が設けられている。
【0017】
光学センサ15は、発光素子と受光素子とからなる反射型のものであり、約90度の角度の範囲で回転可能に設けられており、搬送経路に配置される印字テープ31の印字面の反対面側の方向を向いた第1の検出方向とプラテンローラ8の方向を向いた第2の検出方向とに検出方向を変更可能に設けられている。光学センサ15が第1の検出方向を向いた状態では印字テープ31の先端を検出する先端検出センサとして働き、第2の検出方向を向いた状態では印字テープ31がプラテンローラ8に巻き込まれたことを検出するテープ詰りセンサとして働く。すなわち、プラテンローラ8はゴム材からなりその表面の色は黒色であり、黒色以外である印字テープ31の印字面及びその反対面とは反射光量が異なるため、受光量の変化により印字テープ31がプラテンローラ8に巻き込まれたことを検出することができる。また、同様に印字テープ31の先端エッジがセンサの検出領域を通過するときの受光量の変化に基づいて印字テープ31の先端も検出することができる。
【0018】
一方、テープカセット21は、カセットケース22を備え、このカセットケース22の内部には、印字テープ31を巻回したテープコア23、未使用のインクリボン35を巻回したリボン供給コア24、印字に使用済のインクリボン35を巻き取るリボン巻取コア25がそれぞれ収納されている。前記印字テープ31は、印字が行われる印字テープ層と貼着剤層と剥離テープ層の積層構造を有している。また、カセットケース22には、カセット装填部6内にテープカセット21を装填したときにサーマルヘッド7が配置されるヘッド配置部27が形成されており、また、カセットケース22の隅部には、カセット装填部6のカセット受部10に係合してそれに支持される被係合部29が形成されている。
【0019】
図5乃至図7は印字装置のテープ印字機構の説明図である。この図で説明するように、印字装置1では、テープ印字機構のテープ搬送に連動して光学センサ15の検出方向を変更するようにしている。図5乃至図7において、符号7、8、9、13は夫々サーマルヘッド、プラテンローラ、リボン巻取軸、カッタを示している。また、40は印字テープ31を搬送するための、ステップモータからなるテープ搬送モータである。41はテープ搬送モータ40の出力軸に設けられるモータギア、42は減速ギア、43はギアが3段に設けられ中心にプラテンローラ8を設けたプラテン軸43aが設けられるプラテンギア、44はリボン巻取りギア、45は遊星接続ギア、15は光学センサユニット、50はセンサギア、51はセンサユニットストッパーである。
【0020】
また、光学センサユニット15は図6及び図7に図示するように、発光素子及び受光素子を備える反射型の光学センサからなるセンサ部15aと、プラテンギア43と噛み合うセンサギア50及び回転軸部52を備えてセンサ部15aを支持する支持部15bを備え、センサ部15aと支持部15bの間にはクラッチ部15cが設けられている。そして、センサ部15aがセンサストッパー51に当接しない状態では、センサ部15aは支持部15bに支持されて共に回転するが、センサ部15aがセンサストッパー51に当接してその回転が規制されると、クラッチ部材15cによりセンサ部15aと支持部15bの間で滑りが生じて支持部15bだけが回転するようになっている。
【0021】
本発明の印字装置1では、印字開始時にテープ搬送モータを逆転してプラテンローラ8を逆転駆動して印字テープ31を搬送経路の上流側に向けて搬送し、その逆方向への搬送時に印字テープ31の先端を光学センサ15で検出し、その先端検出の後、テープ搬送モータを正転してプラテンローラ8を正転駆動して印字テープ31を搬送経路の下流側に向けて搬送しつつ、その順方向への搬送時に印字を行う一方、回転可能に設けた光学センサ15の向きを、初期状態及び印字テープ31の先端検出のための逆方向への搬送時には印字テープ31に向けた第1の検出方向とし、印字テープ31の順方向への搬送時の印字動作中にはジャム検出のためにプラテンローラ8に向けた第2の検出方向とする。
【0022】
次に、図5、図8−12によって、印字装置1のテープ印字機構の動作について説明する。図5は、テープ印字機構の印刷開始直前の待機状態(初期状態)を示している。また、図8はテープ印字機構の印字開始直後に印字テープの先端を検出する動作を示している。また、図9及び図10はテープ印字機構の印字動作の開始及び印字動作中の状態を示している。また、図11はテープ印字機構の印字終了時の状態を示している。また、図12はテープ印字機構が印字終了後に待機状態に復帰する様子を示している。
【0023】
図5に示す待機状態(初期状態)から、次に、図8に示すように、テープ搬送モータ40が逆転駆動されると、テープ搬送モータ40の駆動がモータギア41、減速ギア42を介してプラテンギア43に伝達され、プラテンローラ8が時計方向に回転し、印字テープ31は搬送経路の上流側に向けて搬送される。このとき、プラテンギア43と噛み合うセンサギア50は反時計方向に回転し、光センサユニット15は反時計方向に回転しようとするが、センサ部15aの右側一端部がセンサストッパー51に当接しており、センサストッパー51によって回転を阻止されるため、センサ部15aとクラッチ部15cを介して接続されている支持部15aのみが反時計方向に回転し、センサ部15aは印字テープ31の方向を向いた第1の検出方向を向いた状態に保持される。そして、印字テープ31の先端が光学センサ15の位置を下流側から上流側に通過することにより先端検出が行われる。
【0024】
印字テープ31の先端検出の後、図9及び図10のように、印字テープ31への印字が行われる。すなわち、印字開始とともにテープ搬送モータ40が正転駆動されると、プラテンローラ8が反時計方向に回転し印字テープ31が搬送経路の下流側に向けて搬送される。また、プラテンギア43の反時計方向の回転によって遊星接続ギア45がプラテンギア43とリボン巻取ギア44とを接続し、テープ搬送モータ40の駆動がリボン巻取軸9に伝達されてインクリボンの巻取りが行われる。このとき、プラテンギア43と噛み合うセンサギア50が時計方向に回転し、光学センサユニット15の支持部15b及びセンサ部15aが一体となって時計方向に回転する。図10に図示のように、センサ部15aがプラテンローラ8を向いた方向(第2の検出方向)の所定位置まで回転すると、センサ部15aの左側他端部がセンサストッパー51に当接してセンサ部15aのそれ以上の時計方向への回転が制限される。そして、印字テープ31が搬送経路の下流側に向けて搬送される印字中の状態では、光学センサ15は図10に示す第2の検出方向を向いた状態を保持される。
【0025】
印字テープ31に対する印字が終了すると、印字テープ31の印字済部分をカッタ13により切断して作成したラベルを切り離す。その後、更に、テープ搬送モータ40を逆転駆動して印字テープ31を搬送経路の上流側に向けて所定距離だけ搬送し、光学センサ15を印字テープ31に向けた第1の検出方向とした状態(図5に示す状態)として一連の印字動作を終了する。なお、印字終了後の印字テープ31の上流側への搬送距離は、カッタ13と光学センサ15の間の距離より少ない距離であり、印字テープ31の先端が光学センサ15より下流側となるような距離とする。以下、追加してラベルの印字を行う場合には、同様にして図5、図8−図12の動作を繰り返す。
【0026】
この印字装置1では、入力部3から文字データ等の印字すべき情報を入力し、その印字を指示すると、印字テープ31とインクリボン35とがテープカセット21から引き出され、重ね合わせた状態でプラテンローラ8とサーマルヘッド7の間に挟まれて共に搬送されるとともに、サーマルヘッド7が入力された印字すべき文書情報の印字データに基づいて発熱駆動されてインクリボン35のインクが印字テープ31に熱転写されて印字テープ31に印字が行われる。印字が終了すると、カッタ13が作動して印字テープ31が切断されて1枚のラベルが作成される。
【0027】
図3はこの印字装置の電子回路の構成を示すブロック図である。この印字装置1の電子回路には、コンピュータであるCPUからなる制御部60が備えられる。制御部60は、入力部3からのキー操作信号に応じてROM61に予め記憶されているシステムプログラムを起動させ、RAM62をワークメモリとして回路各部の動作を制御する。この制御部60には、前記入力部3、前記表示部4が接続され、ROM61、RAM62が接続される。また、駆動回路63、64、65を介してサーマルヘッド7、テープ搬送モータ40、カッタモータ66に接続される。また、制御部60には、カセット装填部6内に設けられる光学センサユニット15が接続される。
【0028】
ROM61には、入力部3から入力された文書情報を印字するためのプログラムが記憶されている。また、RAM42には、入力された文書情報を記憶する入力データメモリ、印字する文書情報の印字パターンデータ(印字データ)が記憶される印字データメモリ、表示部4に表示されるパターンデータが記憶される表示データメモリの各領域が確保され、印字処理などに必要なデータを一時的に記憶するレジスタやカウンタなどが設けられている。
【0029】
次に、本発明の印字装置の印字処理を図4のフローチャートに従い、図5、図8−図12を参照して説明する。先ず、図5に示す待機状態にある印刷装置において、入力部3の印字キーが操作されて、所定の印字データの印字開始が指示されると、この印字装置1のテープ搬送モータ40を1ステップ分だけ逆転駆動し、プラテンローラ8を逆転駆動して印字テープ31を搬送経路の上流側に向けて搬送する(ステップS1)。そのとき、光学センサ15の検出情報により印字テープ31の先端の検出を判断する(ステップS2)。ステップS2で印字テープ31の先端の検出を判断しない場合には、先端を検出するまで印字テープ31を搬送経路の上流側に向けて搬送する。印字テープ31の先端の検出を判断すると(ステップS2のYES)、テープ搬送モータ40を停止し(ステップS3)、次に印字データを1ライン分だけサーマルヘッド7に転送して発熱体を駆動し、インクリボン35のインクを印字テープ31に転写するとともに(ステップS4)、テープ搬送モータ40を1ステップ分だけ正転駆動し(ステップS5)、プラテンローラ8を正転駆動して印字テープ31を搬送経路の下流側に向けて搬送する。更に、光学センサ15の検出情報に基づいてジャム発生を判断する(ステップS6)。ジャム発生が判断されない場合(ステップS6のNO)、、印字データの印字すべき全ての印字が終了したか否かを判断し(ステップS7)、印字が終了していなければ(ステップS7のNO)、印字が終了するまでステップS4乃至S7の処理を繰り返し、印字が終了すれば(ステップS7のYES)、テープ搬送モータ40を停止し(ステップS8)、カッタモータ66を駆動してカッタ13を動作させて印字テープ31の印字済部分を切断する(ステップS9)。その後テープ搬送モータ40を所定ステップ数だけ逆転駆動することにより所定距離だけ上流側に搬送し(ステップS10)、処理を終了する(エンド)。一方、ステップS6において、ジャム発生を判断すると、表示部4にジャム発生のエラー表示を行い(ステップS11)、テープ搬送モータ40及びサーマルヘッド7の駆動を停止して(ステップS12)、処理を終了する(エンド)。
【0030】
この実施の形態によれば、テープ搬送モータ40(プラテンローラ8)の正逆の駆動に連動して、印字テープ31の搬送方向に応じて光学センサ15の向きを変更することにより、印字テープ31のジャム検出と先端検出を単一のセンサに行うことができ、装置を簡単な構造にした印字装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0031】
1…印字装置 3…入力部 4…表示部 6…カセット装填部 7…サーマルヘッド
8…プラテンローラ 13…カッタ 15…光学センサ 15a…センサ部
15b…支持部 15c…クラッチ部 21…テープカセット 31…印字テープ
60…制御部 61…ROM 62…RAM
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラを正逆双方向に回転駆動することにより、印字媒体としてのテープ部材を搬送経路の下流側及び上流側に向けて搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送経路を下流側に向けて搬送されるテープ部材に印字を行う印字手段と、
搬送経路に配置されたテープ部材の方向を向いた第1の検出方向と前記ローラの方向を向いた第2の検出方向に向きを変更可能に設けられる単一の光学センサと、
前記搬送手段の動作に連動して、テープ部材が搬送経路を上流側に向けて搬送されるときに前記光学センサの向きを前記第1の検出方向とするとともに、テープ部材が搬送経路を下流側に向けて搬送されるときに前記光学センサの向きを前記第2の検出方向に変更する検出方向変更手段と、
前記光学センサが前記第1の検出方向にあるときの検出情報によりテープ部材の先端を判断する第1の判断手段と、
前記光学センサが前記第2の検出方向にあるときの検出情報によりテープ部材のジャム発生を判断する第2の判断手段と、
前記搬送手段及び前記印字手段を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記搬送手段及び前記印字手段を制御して、印字開始時にテープ部材を搬送経路の上流側に向けて搬送し、前記第1の判断手段によってテープ部材の先端が判断された後に、テープ部材を搬送経路の下流側に向けて搬送しつつ印字を行い、更に、印字中に、前記第2の判断手段によってジャム発生が判断されると、前記搬送手段及び前記印字手段に対してジャム発生に対応した所定の制御を行うことを特徴とする印字装置。
【請求項2】
搬送経路の下流側に向かって順に前記印字手段及び前記光学センサが配設されるとともに、前記光学センサの下流側にテープ部材を切断する切断手段を備え、
前記制御手段は、テープ部材への印字終了後に、前記切断手段を制御してテープ部材の印字済部分を切断し、しかる後に、テープ部材を搬送経路の上流側に向けて前記切断手段と前記光学センサの間の距離より少ない所定距離だけ搬送して、検出方向変更手段を介して前記光学センサの向きを前記第2の検出方向から前記第1の検出方向に向けることを特徴とする請求項1記載の印字装置。
【請求項3】
前記光学センサは、反射型の光学センサであることを特徴とする請求項1又は2記載の印字装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2の判断手段によってジャム発生が判断されたときに、ジャム発生を報知することを特徴とする請求項1ないし3記載の印字装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第2の判断手段によってジャム発生が判断されたときに、前記搬送手段及び前記印字手段の駆動を停止させることを特徴とする請求項1ないし3記載の印字装置。
【請求項1】
ローラを正逆双方向に回転駆動することにより、印字媒体としてのテープ部材を搬送経路の下流側及び上流側に向けて搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送経路を下流側に向けて搬送されるテープ部材に印字を行う印字手段と、
搬送経路に配置されたテープ部材の方向を向いた第1の検出方向と前記ローラの方向を向いた第2の検出方向に向きを変更可能に設けられる単一の光学センサと、
前記搬送手段の動作に連動して、テープ部材が搬送経路を上流側に向けて搬送されるときに前記光学センサの向きを前記第1の検出方向とするとともに、テープ部材が搬送経路を下流側に向けて搬送されるときに前記光学センサの向きを前記第2の検出方向に変更する検出方向変更手段と、
前記光学センサが前記第1の検出方向にあるときの検出情報によりテープ部材の先端を判断する第1の判断手段と、
前記光学センサが前記第2の検出方向にあるときの検出情報によりテープ部材のジャム発生を判断する第2の判断手段と、
前記搬送手段及び前記印字手段を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記搬送手段及び前記印字手段を制御して、印字開始時にテープ部材を搬送経路の上流側に向けて搬送し、前記第1の判断手段によってテープ部材の先端が判断された後に、テープ部材を搬送経路の下流側に向けて搬送しつつ印字を行い、更に、印字中に、前記第2の判断手段によってジャム発生が判断されると、前記搬送手段及び前記印字手段に対してジャム発生に対応した所定の制御を行うことを特徴とする印字装置。
【請求項2】
搬送経路の下流側に向かって順に前記印字手段及び前記光学センサが配設されるとともに、前記光学センサの下流側にテープ部材を切断する切断手段を備え、
前記制御手段は、テープ部材への印字終了後に、前記切断手段を制御してテープ部材の印字済部分を切断し、しかる後に、テープ部材を搬送経路の上流側に向けて前記切断手段と前記光学センサの間の距離より少ない所定距離だけ搬送して、検出方向変更手段を介して前記光学センサの向きを前記第2の検出方向から前記第1の検出方向に向けることを特徴とする請求項1記載の印字装置。
【請求項3】
前記光学センサは、反射型の光学センサであることを特徴とする請求項1又は2記載の印字装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2の判断手段によってジャム発生が判断されたときに、ジャム発生を報知することを特徴とする請求項1ないし3記載の印字装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第2の判断手段によってジャム発生が判断されたときに、前記搬送手段及び前記印字手段の駆動を停止させることを特徴とする請求項1ないし3記載の印字装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−228834(P2010−228834A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75869(P2009−75869)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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