原料焼成装置及び原料焼成方法
【課題】予熱炉から回転炉への原料投入量を正確に制御することができる原料焼成装置及びその方法を提供する。
【解決手段】原料貯留層4から切出された原料を予熱炉9に設けた原料貯留分配部10に供給し、この原料貯留分配部10で分配された原料を回転駆動される炉床11に堆積させて一次焼成し、一次焼成した原料を複数のプッシャー17で排出孔16に落下させることにより、ロータリキルン20に投入して二次焼成する。このとき、原料貯留層4から原料をロータリキルン20の目標投入量で切出し、原料貯留分配部10の原料レベルを超音波レベル計54で検出し、検出した原料レベルが所定範囲を維持するように制御する。さらに原料貯留分配部10の原料レベルのレベル変化量に基づいてプッシャー17の駆動間隔を制御して、ロータリキルン20への原料投入量を定量制御する。
【解決手段】原料貯留層4から切出された原料を予熱炉9に設けた原料貯留分配部10に供給し、この原料貯留分配部10で分配された原料を回転駆動される炉床11に堆積させて一次焼成し、一次焼成した原料を複数のプッシャー17で排出孔16に落下させることにより、ロータリキルン20に投入して二次焼成する。このとき、原料貯留層4から原料をロータリキルン20の目標投入量で切出し、原料貯留分配部10の原料レベルを超音波レベル計54で検出し、検出した原料レベルが所定範囲を維持するように制御する。さらに原料貯留分配部10の原料レベルのレベル変化量に基づいてプッシャー17の駆動間隔を制御して、ロータリキルン20への原料投入量を定量制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料貯留槽から切り出した石灰石、ドロマイト等の粒塊状の原料を、鉛直線を中心として回転する環状の炉床を有する予熱炉で予熱してから回転胴を有する回転炉に投入して焼成するようにした原料焼成装置及び原料焼成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の原料焼成装置としては、例えば外部から供給される粒塊状の原料を受けて堆積層を形成する堆積面を備え、堆積層の原料を半径方向に押し出すプッシャーを有する予熱装置と、該予熱装置に連通して上記堆積面からプッシャーによって順次落下される原料を受け、回転しつつ該原料を排出部に移動せしめる回転炉とを有し、該回転炉の排出部には加熱ガスを回転炉内に送入する加熱ガス送入管が備えられていて、該加熱ガスが回転炉から上記予熱装置に向け原料の流れに対して向流した後に、上記堆積層を貫流する焼成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3420623号公報(第1頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、予熱炉と回転炉とを連接した原料焼成装置が開示されているが、その制御方法については具体例が全く開示されておらず、原料予熱炉への原料投入量及び予熱炉から回転炉への原料投入量を最適に制御することが困難であるというという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、予熱炉及び回転炉への原料投入量を最適状態に制御することができる原料焼成装置及び原料焼成方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る原料焼成装置は、鉛直線を中心として回転する環状の炉床上に外部の原料貯留槽から切り出されて供給される粒塊状の原料を受ける予熱炉と、該予熱炉に連通して前記炉床から落下する原料を回転胴内に受け、当該回転胴の回転に伴って原料を排出部に移動させる回転炉とを備えた原料焼成装置において、
前記予熱炉は上部に形成した前記原料貯留槽から供給される原料を受けて前記炉床に分配供給する原料貯留分配部と、前記炉床で受けた原料を前記回転炉側に落下させるように押し出す当該炉床の円周方向に配設された複数のプッシャーと、前記原料貯留分配部内の原料レベルを検出する原料レベル検出手段と、前記原料貯留槽から切出される原料の目標切出量を前記回転炉の目標投入量に設定するとともに、前記原料レベル検出手段で検出した原料レベルが所定範囲となるように制御し、さらに前記複数のプッシャーの押し出しタイミングを前記原料レベル検出手段で検出した原料レベルのレベル変化量に基づいて制御する原料制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0006】
また、請求項2に係る原料焼成装置は、請求項1に係る発明において、前記原料レベル検出手段が、原料貯留分配部の頂部内に配設した超音波距離センサで構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項3に係る原料焼成装置は、請求項1又は2に係る発明において、前記原料貯留槽が、下部に原料切り出し量を制御する原料切り出し機構が配設され、該原料切り出し機構から切り出した原料を水平搬送手段及び垂直搬送手段を介して前記原料貯留分配部に供給するようにしたことを特徴としている。
【0007】
さらにまた、請求項4に係る原料焼成装置は、請求項1乃至3の何れかの発明において、前記原料制御手段が、前記プッシャーを順次作動させるための作動間隔を設定して原料押し出しタイミングを制御するプッシャータイマの設定時間の間隔で当該プッシャーを順番に1つずつ押し出し制御するように構成されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項5に係る原料焼成装置は、請求項1乃至4の何れかの発明において、前記原料制御手段は、前記プッシャーが少なくとも一通り押し出し駆動される押し出し制御終了時の原料レベルと前回押し出し制御終了時の原料レベルとのレベル変化量と、目標レベルと前記押し出し制御終了時の原料レベルとの目標レベル偏差とに基づいて原料押し出しタイミングの修正時間を算出する修正時間算出手段を有することを特徴としている。
【0008】
また、請求項6に係る原料焼成装置は、請求項1乃至4の何れかの発明において、前記原料制御手段は、前記プッシャーが一通り押し出し駆動される1サイクル分の押し出し制御を保持サイクル数行った押し出し制御終了時の原料レベルと前回押し出し制御終了時の原料レベルとのレベル変化量と、目標レベルと前記押し出し制御終了時の原料レベルとの目標レベル偏差とに基づいて原料押し出しタイミングの修正時間を算出する修正時間算出手段と、該修正時間算出手段で算出した修正時間に基づいて前記保持サイクル数を設定する修正保持手段とを有することを特徴としている。
【0009】
さらに、請求項7に係る原料焼成装置は、請求項5又は6に係る発明において、前記修正時間算出手段は、前記レベル変化量と、前記目標レベル偏差と、該目標レベル偏差を除算するレベル変化値とに基づいて原料押し出しタイミングの修正時間を算出し、前記レベル変化値を目標レベル偏差の大きさに応じて変更するように構成されていることを特徴としている。
【0010】
さらにまた、請求項8に係る原料焼成方法は、原料貯留槽から切り出した粒塊状の原料を、鉛直線を中心として回転する環状の炉床を有する予熱炉で予熱してから回転胴を有する回転炉に投入して焼成するようにした原料焼成方法において、前記予熱炉の上部に前記原料貯留槽から供給される原料を受けて前記炉床に分配供給する原料貯留分配部を形成すると共に、前記炉床で受けた原料を前記回転炉側に落下させるように押し出す複数のプッシャーを当該炉床の円周方向に配設し、前記原料貯留槽から切出される原料の切出量を前記回転炉の目標投入量に設定するとともに、原料レベルが所定範囲となるように制御し、さらに前記複数のプッシャーの原料押し出しタイミングを前記原料貯留分配部での原料レベルのレベル変化量に基づいて制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1又は8に係る発明によれば、原料貯留槽から切り出す粒塊状の原料の切出量を回転炉に投入する目標投入量に設定し、且つ原料レベルが所定範囲となるように制御することにより、予熱炉の原料貯留分配部に原料が定量供給され、この状態で、プッシャーの押し出しタイミングを原料レベル変化量に基づいて制御することにより、原料分配部での原料レベルを所定範囲内に制御することにより、プッシャーによって予熱炉から回転炉に投入される原料投入量を目標投入量に正確に制御することができるという効果が得られる。
【0012】
また、請求項2に係る発明によれば、原料レベル検出手段が超音波距離センサで構成されているので、原料貯留分配部内の原料レベルを正確に検出することができるという効果が得られる。
さらに、請求項3に係る発明によれば、原料貯留槽が原料切り出し機構によって原料の切り出し量を制御し、この原料切り出し機構から切り出された原料を水平搬送手段及び垂直搬送手段を介して原料貯留分配部に供給するので、高所に配設される原料貯留分配部に原料を安定供給することができるという効果が得られる。
【0013】
さらにまた、請求項4に係る発明によれば、原料制御手段で予熱炉に配設されたプッシャーを1つずつ順次原料押し出しタイミングで押し出し制御するので、予熱炉の堆積層に堆積された原料を順次円周方向に均一に押し出して回転炉に投入することができ、予備焼成時間を均一化することができるという効果が得られる。
なおさらに、請求項5に係る発明によれば、前回の原料レベルと今回の原料レベルとのレベル変化量と、目標レベルと今回の原料レベルとの目標レベル偏差とに基づいて原料押し出しタイミングの修正時間を算出するので、原料レベルの比例及び積分制御を行って回転炉に対する原料投入量を適正に制御することができるという効果が得られる。
【0014】
また、請求項6に係る発明によれば、前回の原料レベルと今回の原料レベルとのレベル変化量と、目標レベルと今回の原料レベルとの目標レベル偏差とに基づいて原料押し出しタイミングの修正時間を算出する修正時間算出手段と、該修正時間算出手段で算出した修正時間に基づいて修正した原料押し出しタイミングを保持する回数を設定する修正保持手段とを有するので、修正時間算出手段で原料レベルの比例・積分制御を行い、修正保持手段で原料レベルの微分制御を行うことができ、回転炉に対する原料投入量をより正確に制御することができるという効果が得られる。
【0015】
さらに、請求項7に係る発明によれば、修正時間算出手段は、前記レベル変化量と、前記目標レベル偏差と、該目標レベル偏差を除算するレベル変化値とに基づいて原料押し出しタイミングの修正時間を算出し、前記レベル変化値を目標レベル偏差の大きさに応じて変更するように構成されているので、目標レベル偏差の大きさに応じて積分制御の制御量を適正状態に変更することができ、さらに正確な回転炉への原料投入量制御を行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示す原料焼成装置のシステム構成図である。
【図2】プッシャーの配置構成を示す平面図である。
【図3】キルン運転監視操作画面の一例を示す図である。
【図4】立ち上げ監視操作画面を示す図である。
【図5】吹き降ろし監視操作画面を示す図である。
【図6】制御装置で実行する原料投入制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】図6の通常原料投入制御処理の具体例を示すフローチャートである。
【図8】プッシャーによる原料投入量を示す図である。
【図9】比例・積分・微分制御を行ったときの原料貯留分配部の原料レベル変化を示すタイムチャートである。
【図10】比例・積分制御を行ったときの原料貯留分配部の原料レベル変化を示すタイムチャートである。
【図11】製品温度トレンドグラフを表示したキルン運転監視操作画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る原料焼成装置を示すシステム構成図であって、図中、1は焼成を行う石灰石やドロマイト等の粒塊状の原料を貯留する原料ホッパーであって、この原料ホッパー1から切り出された原料が水洗篩2で篩分けされて粒径の大きい原料がベルトコンベヤ3によって原料貯留槽4に投入される。この原料貯留槽4は、下部に原料の切り出し量を制御可能なフィーダー5を有し、このフィーダー5で切り出された原料が水平コンベヤ6を介し、さらにバケットコンベヤで構成される垂直コンベヤ7を介し、この垂直コンベヤ7の上端から排出される原料が投入シュート8を介して予熱炉9に供給される。
【0018】
この予熱炉9は、上部に原料貯留槽4から投入される原料を貯留して分配する原料貯留分配部10が形成されていると共に、下部側に鉛直線を中心として所定方向に間欠的に回転駆動される円環板状の炉床11が配設された予焼成室12が形成されている。そして、原料貯留分配部10から複数の分配供給管13を介して原料が予焼成室12を構成する上部の炉蓋14の外周側に供給されることにより、この原料が炉床11上に円周方向に均一な堆積層15を形成する。
【0019】
炉床11の内周側には排出孔16が形成され、この排出孔16と炉蓋14とによって、堆積層15の内周側が擂鉢状の斜面となる。堆積層15の原料は、炉床11の上面より僅かに上方に離間し且つ法線方向に配設された複数例えば11本のプッシャー17によって炉床11の内周側に押し出されて炉床11の内周側に形成された排出孔16に落下し、この排出孔16に連接する斜め下方に傾斜延長する連通管18を介して回転炉としてのロータリキルン20に供給される。
【0020】
ここで、プッシャー17は、図2に示すように、炉床11の円周方向に11本半径方向にストローク可能に配設されており、このうちストロークが炉床11の半分までと短く設定された7本のプッシャー17Sと、ストロークが炉床11の内周縁近傍までと長く設定された4本のプッシャー17Lとで構成されている。そして、短いストロークのプッシャー17Sは2本組で3組構成され、残りが1本組とされ、これらプッシャー17Sの各組間に長いストロークのプッシャー17Lが配置されている。各プッシャー17S及び17Lは、連結板17aで連結された3本の押し出しロッド17bと、連結板17aを進退駆動する油圧シリンダ17cと連結板17aを平行移動させるように案内する案内ロッド17dとで構成されている。
【0021】
また、予焼成室12では、ロータリキルン20から連通管18及び排出孔16を通って供給され加熱ガスによって堆積層15に堆積された原料がこれを貫流する際の対流伝熱と堆積層15の内周側の擂鉢状傾斜面での放射伝熱によって一次焼成される。このように堆積層15の原料を一次焼成した加熱ガスは、予焼成室12の上部に設けられた複数の排気管19を通じて外部に排出される。
【0022】
ロータリキルン20は、横型筒状に形成された回転胴21を有し、この回転胴21はその中心軸線が水平面に対して僅かな角度θだけ右下がりに傾斜しており、図示しない回転駆動機構によって所定速度で回転駆動される。この回転胴21の連通管18が連通された原料供給側端部とは反対側の原料排出側端部にCガス等の燃焼用ガス及び燃焼用一次空気が供給される燃焼バーナ22が配設されており、この燃焼バーナ22から供給される燃焼用ガスが回転胴21の原料排出側端部の近傍で燃焼され、高温の燃焼ガスを発生して、回転胴21の温度を1200℃程度に維持し、回転胴21内の原料を二次焼成する。
【0023】
このとき、排出側端部での製品温度を850℃〜930℃の範囲内に維持して品質の良好な焼成製品を得る。そして、二次焼成された製品は、回転胴21の原料排出側端部に形成された下方に延長する製品クーラー23に排出され、この製品クーラー23に供給される燃焼用二次空気によって高温の製品が200℃以下に冷却され、製品クーラー23の下端に形成されたフィーダー24によって製鋼部署に供給される。このとき、フィーダー24によって切り出された製品の温度は温度計25によって計測される。
【0024】
一方、前述した予熱炉9の排気管19から排出される高温(例えば350℃程度)の排気ガスは排気管19に設けられた温度計26で温度が計測されて調湿塔30に送られる。この調湿塔30では、排気管19から供給される排気ガスに対して還流水と空気とを混合したミストを噴霧することにより、排気ガス温度を電気集塵機で取り扱い可能な温度(例えば140℃以下)に低下させる。
【0025】
そして、調湿塔30から排出される比較的低温の排気ガスが電気集塵機31に供給され、この電気集塵機31で排気ガスに含まれる粉粒体等の塵埃が分離され、塵埃が分離された排気ガスが主排風機32によって煙突33に送られて大気に放散される。ここで、調湿塔30、電気集塵機31、主排風機32及び煙突33で排ガス処理機構が構成されている。
【0026】
また、予熱炉9に対する原料供給制御及び予熱炉9のプッシャー17の駆動制御によるロータリキルン20への原料投入量制御と、ロータリキルン20の温度制御と、予熱炉9からの排ガス温度制御とが制御装置40で実行される。
この制御装置40は、ディスプレイ41に図3に示す焼成装置監視操作画面を表示し、この焼成装置監視操作画面に現在の操業状況を表示すると共に、焼成装置監視操作画面に表示されている操作部を指示することにより、操作部に対応した操作画面を表示する。
【0027】
すなわち、制御装置40には、原料貯留槽4に配設された槽重量を計測するロードセル等の重量計51、貯留レベルを空のときに0%、満タンのときに100%として計測する超音波レベル計52、レベル検出するから切り出される原料の切出量を計測する切出量計53の各計測値が入力されると共に、予熱炉9の原料貯留分配部10に形成した原料レベルを計測する原料レベル検出手段としての超音波レベル計54、調湿塔30の入口の排ガス温度を検出する温度計26、電気集塵機31の入口の排ガス温度を検出する温度計27、プッシャー17S及び17Lの作動状態を検出するプッシャー作動状態検出手段としての作動状態センサ55a及び予焼成室12の出口及び入口の圧力を検出する圧力センサ55b及び55cの各計測値、ロータリキルン20の回転胴21内の温度を検出する赤外線温度計56、回転胴21内の焼成製品温度を検出する赤外線温度計57及び回転胴21の出口における焼成製品温度を検出する赤外線温度計58の各検出値、燃焼用ガスの圧力を検出する圧力計59、流量を検出する流量計60及び燃焼用一次空気の圧力を検出する圧力計61、流量を検出する流量計62の各検出値、並びに調湿塔30に供給する還流水の圧力を検出する圧力計63、流量を検出する流量計64及び空気の流量を検出する流量計65の各検出値塔が入力され、入力された各検出値を運転監視操作画面に表示されたシステム構成図における該当位置に表示する。
【0028】
運転監視走査画面に表示されたシステム構成図は、図3に示すように、原料貯留槽4の原料レベルを表示する原料貯留槽表示部71と、フィーダー5の稼働状態を表示するフィーダー表示部72と、水平コンベヤ6及び垂直コンベヤ7及び投入シュート8の原料供給系を表示する原料供給系統表示部73と、原料貯留分配部10の原料レベルを表示する原料貯留分配部表示部74と、予熱炉9のプッシャー17S及び17Lの稼働状態を表示する予熱炉表示部75と、ロータリキルン20の稼働状態を表示するキルン表示部76と、製品クーラー23の製品レベルを表示するクーラー表示部77と、ロータリキルン20への燃料ガス、燃焼用空気等の燃料供給系統を示す燃料供給系統表示部78と、調湿塔30を表示する調湿塔表示部79と、電気集塵機31の稼働状態を表示する集塵機表示部80と、主排風機32の稼働状態を表示する排風機表示部81と、煙突33を表示する煙突表示部82とを備えている。
【0029】
また、運転監視操作画面には、操業状態を手動修正する操業状態修正指示部83、焼成原料の切替時における各部での切替時刻及び温度管理態様を指示する切替時指示部84、焼成装置を立ち上げる際に使用する立上げ画面の表示を指示する立上げ画面指示部85、焼成装置を停止させる際に使用する吹降し画面の表示を指示する吹降し画面指示部86、キルン速度の設定を指示するキルン速度設定指示部87及び焼成製品温度トレンドグラフの表示を指示する製品温度トレンド指示部88とを備えている。
そして、運転監視操作画面に設けられた各指示部83〜88の何れか1つに例えばマウス42を操作することによってカーソルを移動させてから例えば左クリックを行うことにより、各指示部83〜88に対応する指示操作が実行される。
【0030】
そして、立ち上げ画面指示部85を指示することにより、ロータリキルン20の立ち上げ処理が実行される。この立ち上げ処理は、先ず、主排風機32を駆動して予熱炉9及びロータリキルン20内を負圧にしておき、この負圧状態で、燃料バーナ22に供給される燃焼用ガスを点火して約1時間でロータリキルン20の回転胴21内の温度が200℃に達するように急速加熱制御し、その後200℃から750℃までの間例えば時間当たり35℃の昇温率で昇温するように燃料用ガス流量を自動制御する。この間に回転胴21内温度が約300℃に達するとキルンエンジンを連続運転すると共に、予熱炉9の炉蓋14の空冷を開始し、約500℃に達すると回転胴21を回転駆動する駆動モータの低速回転運転を開始する。
【0031】
そして、回転胴21内温度が750℃に達すると、予熱炉9からロータリキルン20への原料投入を開始させる原料投入指令を出力し、これと同時にロータリキルン20の回転胴21内の昇温率を時間当たり50℃となるように増加する。このとき、原料投入量は、初期状態では時間当たり13t程度で1時間投入し、その後1t/hで増量し、回転胴21内温度が950℃に達すると3t/hに増量し、回転胴21内原料量が33tに達したときに1t/hの増量に戻し、製品品質を見ながら増産し、この間回転胴21の回転速度は原料投入時に正常時の半分位からスタートし、増産に伴い徐々に上昇させ、1200℃近傍で通常操業状態とする後述する原料投入制御処理に対して原料投入制御開始指令を出力する。この立ち上げ処理が開始されると、図4に示す立ち上げ監視操作画面をディスプレイ41の表示画面に表示し、回転胴21内の温度変化をトレドグラフとしてトレンドグラフ表示部91に表示すると共に、回転胴21の昇温設定条件を条件表示部92に表示し、さらに回転胴21の昇温に関する燃料ガス流量、燃焼用1次空気流量、予熱炉9の入口圧力、回転胴温度、予熱炉9の排ガス温度、予熱炉9のプッシャー17による投入量、ロータリキルン回転速度等が計測表示部93に表示されると共に、各制御部の稼働状態が稼働状態表示部94に表示される。
【0032】
一方、吹き下ろし画面指示部86を指示操作することにより、ロータリキルン20を停止させる吹き降ろし処理が実行される。この吹き降ろし処理は、先ず、通常焼成温度(1200℃近傍)で燃焼用ガスを直ちに消火し、自然冷却時にドラフトを絞って予熱炉9内の負圧を−20mmH2Oから−3〜−5mmH2O程度に減少させ、主排風機32及び各送風機を停止して、ドラフトを無くして予熱炉9及びロータリキルン20での保温効果を増大させる。この状態で、予熱炉9のプッシャー17の駆動を停止すると共に、予熱炉9に対する原料投入を停止させる原料投入停止指令を出力する。このとき、予熱炉9からの排ガス温度が上昇する場合には、プッシャー17を単機運転して原料を回転胴21内に投入することにより、排ガス温度を減少させる。そして、回転胴21内の製品の払い出しが完了すると燃焼用の1次及び2次空気の供給を停止させる。そして、回転胴21内温度が600℃に低下するとキルンエンジンへ切替え、予熱炉9におけるプッシャー17の駆動及び炉床11の回転を完全に停止させ、回転胴21内温度が200℃まで低下すると、ロータリキルンを完全停止させる。
【0033】
この吹き降ろし処理でも、処理が開始されると、図5に示す立ち上げ監視操作画面をディスプレイ41の表示画面に表示し、回転胴21内の温度変化をトレドグラフとしてトレンドグラフ表示部101に表示すると共に、回転胴21の昇温設定条件を条件表示部102に表示し、さらに回転胴21の昇温に関する燃料ガス流量、燃焼用1次空気流量、予熱炉9の入口圧力、回転胴温度、予熱炉9の排ガス温度、予熱炉9のプッシャー17Sによる投入量、ロータリキルン回転速度等が計測表示部103に表示されると共に、各制御部の稼働状態が稼働状態表示部104に表示される。
【0034】
一方、制御装置40では、図6に示すロータリキルン20への原料投入量制御処理を実行する。
この原料投入量制御処理は、制御装置40に電源が投入されることにより実行開始され、先ず、ステップS1で、前述した立ち上げ画面指示部85に対して指示操作が行われて、所定の昇温パターンでロータリキルン20を昇温する立ち上げ制御処理が実行され、この立ち上げ制御処理でロータリキルン20の温度が所定温度(例えば1200℃)に達したときに、出力される原料投入制御開始指令が入力されたか否かを判定し、原料投入制御開始指令が入力されていないときには原料投入制御開始指令が入力されるまで待機し、原料投入制御開始指令が入力されたときには、ステップS2に移行して、前述した吹き降ろし画面指示部86に対して指示操作が行われて、所定の降温処理でロータリキルン20を降温する吹き降ろし処理が実行されたときに、この吹き降ろし処理時に出力される原料投入停止指令が入力されたか否かを判定し、原料投入停止指令が入力されたときには前記ステップS1に戻り、原料投入停止指令が入力されていないときにはステップS3に移行する。
【0035】
このステップS3では、原料貯留槽4に設けられたフィーダー5の目標切り出し量として、ロータリキルン20への目標投入量を設定し、次いでステップS4に移行して、プッシャー17を順次作動させるための作動間隔を設定して原料押し出しタイミングを制御するプッシャータイマの設定時間Tを予め設定した基準設定時間Tsに設定してからステップS5に移行する。
【0036】
このステップS5では、原料貯留分配部10の超音波レベル計54で検出した原料レベルLを読込み、次いでステップS6に移行して、読込んだ原料レベルLが予め設定した目標原料レベルLtを下回っているか否かを判定し、L<LtであるときにはステップS7に移行して、原料貯留槽4に設けられたフィーダー5を目標切り出し量となるように駆動開始させてからステップS8に移行し、再度超音波レベル計54で検出した原料レベルLを読込み、次いでステップS9に移行して、原料レベルLが目標原料レベルLt以上となったか否かを判定し、L<Ltであるときには前記ステップS8に戻り、L≧LtであるときにはステップS15に移行する。
【0037】
また、前記ステップS6の判定結果がL≧LtであるときにはステップS10に移行して、原料レベルLが予め設定した上限レベルLuを超えているか否かを判定し、L>LuであるときにはステップS11に移行して、原料貯留槽4のフィーダー5の駆動を停止してからステップS12に移行し、予熱炉9の短いストロークのプッシャー17Sをプッシャータイマに設定された設定時間間隔で順次1サイクル分駆動してから前記ステップS5に戻り、ステップS10の判定結果がL≦LuであるときにはステップS13に移行して、原料レベルLが目標レベルLt以下となったか否かを判定し、L>Ltであるときには前記ステップS12に移行し、L≦LtであるときにはステップS14に移行して原料貯留槽4に設けられたフィーダー5を目標切り出し量で再駆動してからステップS15に移行する。
【0038】
ステップS15では、予熱炉9の原料貯留分配部10の原料レベルを目標レベルに維持しながら予熱炉9からロータリキルン20へ原料を定量投入する通常原料投入制御処理を実行してから前記ステップS1に戻る。
この通常原料投入制御処理は、図7に示すように、先ず、ステップS21で、吹き降ろし処理時に出力される原料投入停止指令が入力されたか否かを判定し、原料投入停止指令が入力されたときには通常原料投入制御処理を終了して図6の原料投入量制御処理に復帰し、原料投入停止指令が入力されていないときにはステップS22に移行する。
【0039】
このステップS22では、超音波レベル計54で検出した原料貯留分配部10の原料レベルLを読込み、次いでステップS23に移行して、原料レベルLが予め設定した原料貯留分配部10の上限レベルLu及び下限レベルLd内の許容範囲内であるか否かを判定し、許容範囲内であるときには直接ステップS27に移行し、許容範囲外であるときにはステップS24に移行して、原料レベルLが上限レベルLuを超えているか否かを判定し、L>LuであるときにはステップS25に移行して、原料貯留槽4のフィーダー5の切出量を目標切出量から所定量だけ減少させた切出量に制御して、原料供給減少制御を行ってからステップS27に移行し、L<Luであるときには原料レベルLが下限レベルLuを下回っているものと判断してステップS26に移行して、フィーダー5の切出量を目標切出量に所定量だけ増加させた切出量に制御して、原料供給増加制御を行ってからステップS27に移行する。
【0040】
ステップS27では、予熱炉9の短いストロークのプッシャー17Sをプッシャータイマで設定された設定時間Tの間隔で順次駆動して全てのプッシャー17Sが一通り押し出し駆動される1サイクル分押し出し制御を行ってからステップS28に移行する。
このステップS28では、サイクル数NをインクリメントしてからステップS29に移行して炉床11を所定角度分回動させ、次いでステップS30に移行して、プッシャーのサイクル数Nが後述するプッシャータイマの設定時間を変更した場合の変更時間に応じて設定される保持する保持サイクル数Nsに達したか否かを判定し、N<Nsであるときには前記ステップS21に戻り、N=NsであるときにステップS31に移行して、サイクル数Nを“0”にクリアしてからステップS32に移行する。
【0041】
このステップS32では、所定の今回レベル記憶領域に記憶されている前回読込んだ原料レベルL(n) を前回値L(n-1) として前回レベル記憶領域に更新記憶すると共に、超音波レベル計54で検出した今回の原料レベルをL(n)として今回レベル記憶領域に記憶してからステップS33に移行する。
このステップS33では、今回の原料レベルL(n) から前回の原料レベルL(n-1) を減算した値の絶対値(|L(n) −L(n-1) |)をレベル変化量ΔLとして算出し、次いでステップS34に移行して、レベル変化量ΔLが所定値ΔLs(例えば2%)未満であるか否かを判定し、ΔL<ΔLsであるときには原料レベルが殆ど変化しないものと判断してステップS35に移行し、保持サイクル数Nsを“1”に設定してから前記ステップS21に戻り、ΔL≧ΔLsであるときにはステップS36に移行する。
【0042】
このステップS36では、目標原料レベルLtから今回の原料レベルL(n) を減算した値の絶対値(|Lt−L(n) |)でなる目標レベル偏差ΔLtを算出し、次いでステップS37に移行して、目標レベル偏差ΔLtが第1の設定値ΔLt1(例えば8%)以上であるか否かを判定し、ΔLt≧ΔLt1であるときにはステップS38に移行して、レベル制御変化値Aを“2”に設定してからステップS42に移行する。また、ステップS37の判定結果が、ΔLt<ΔLt1であるときにはステップS39に移行して、偏差ΔLtが第1の設定値ΔLt1より小さい第2の設定値ΔLt2(例えば5%)以上であるか否かを判定し、ΔLt≧ΔLt2であるときにはステップS40に移行して、レベル制御変化値Aを“4”に設定してからステップS42に移行し、ΔLt<ΔLt2であるときにはステップS41に移行して、レベル変化値Aを“6”に設定してからステップS42に移行する。
【0043】
このステップS42では、今回の原料レベルL(n) と前回の原料レベルL(n-1) とに基づいて下記(1)式の演算を行ってプッシャータイマ修正時間Xを算出する。
X=(L(n) −L(n-1) )+{(Lt−L(n) )/A)}×0.2 …………(1)
次いで、ステップS43に移行して、算出されたプッシャータイマ修正時間Xの絶対値|X|が設定値Xs(例えば4秒)を超えているか否かを判定し、|X|>XsであるときにはステップS44に移行して、X=XsとしてからステップS45に移行し、|X|≦XsであるときにはそのままステップS45に移行する。
【0044】
このステップS45では、プッシャータイマの基準時間Tsからプッシャータイマ修正時間Xを減算した値を設定時間Tとして設定し、次いでステップS46に移行して、プッシャータイマ修正時間XがX≧1であるか否かを判定し、X<1であるときにはステップS47に移行して保持サイクル数Nsを“1”に設定してから前記ステップS21に戻り、X≧1であるときにはステップS48に移行して、プッシャータイマ修正時間XがX≧2であるか否かを判定し、X<2であるときにはステップS49に移行して、保持サイクル数Nsを“2”に設定してから前記ステップS21に戻り、X≧2であるときにはステップS50に移行して、プッシャータイマ修正時間XがX≧3であるか否かを判定し、X<3であるときにはステップS51に移行して、保持サイクル数Nsを“3”に設定してから前記ステップS21に戻り、X≧3であるときにはステップS52に移行して、保持サイクル数Nsを“4”に設定してから前記ステップS21に戻る。
この図6及び図7の処理が原料制御手段に対応し、図7のステップS34乃至S42の処理が修正時間算出手段に対応し、ステップS28、S30、S45〜S52処理が修正保持手段に対応している。
【0045】
次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、原料貯留層4のフィーダー5、水平コンベヤ6、垂直コンベヤ7、予熱炉9、ロータリキルン20、調湿塔30、電気集塵機31及び主排風機32が停止して、原料焼成システムが停止しているものとし、この状態で、制御装置40に電源を投入すると、表示制御処理が実行開始される。
【0046】
この表示制御処理では、原料焼成システムの各部の計測データを収集するが、この場合には原料焼成システム全体が停止状態にあるので、各部の計測データは原料貯留層4及び予熱炉9の原料貯留分配部10に設けた超音波レベル計52及び54では現在の原料レベルの実測データが出力されるが、その他の計測データでは、各部の温度データが該当部署の温度データを出力し、燃焼用ガス等の流量計測データは零となっている。
【0047】
そして、これら計測データがキルン運転監視操作画面の該当表示箇所に表示データとして組込んだ運転監視操作画面表示情報が形成され、この運転監視操作画面表示情報がディスプレイ41に出力されて、ディスプレイ41の表示画面に図3に示す運転監視操作画面が表示される。
この原料焼成システムの停止状態からシステムを立ち上げるには、マウス42を操作してディスプレイ41に表示されている運転監視操作画面に表示されている立ち上げ画面指示部85にカーソルを移動させ、この状態で、左クリックすることにより、立ち上げ画面指示部85を選択すると、立ち上げ処理が実行開始される。
この立ち上げ処理では、図4に示す立ち上げ監視操作画面が表示され、昇温設定条件を設定する条件表示部92に予め設定された昇温設定条件即ち例えば750℃までの昇温時間及び昇温率と1000℃までの昇温時間及び昇温率とが表示され、その下側のトレンドグラフ表示部91にロータリキルン20の温度変化が表示される。
【0048】
この立ち上げ処理では、先ず、主排風機32を駆動して、予熱炉9及びロータリキルン20内を負圧にする。この負圧状態で、燃料バーナ22に供給される燃料用ガスに点火して初期状態として約1時間でロータリキルン20の回転胴21内の温度を200℃まで昇温し、その後750℃まで設定昇温率(例えば35℃/h)で昇温する。この間に、回転胴21内温度が300℃に達するとキルンエンジンを連続運転とするとともに予熱炉9の炉蓋14の空冷を開始し、500℃に達すると回転胴21を回転駆動する駆動モータの低速回転運転を開始する。その後、回転胴21内の温度が750℃に達すると、予熱炉9からロータリキルン20への原料投入を開始させ、これと同時に回転胴21内の昇温率を例えば50℃/h程度に増加する。
【0049】
原料投入量は初期状態では時間当たり13t/h程度で1時間投入し、その後1t/hで増量し、回転胴21内の温度が950℃に達すると3t/hに増量し、回転胴21内の原料量が33tに達したときに1t/hの増量に戻し、製品品質を見ながら増産する。この間に回転胴21の回転速度は初期状態で正常操業時の半分位からスタートし、製品の増産に伴い徐々に上昇させ、回転胴21内温度が1200℃に達したときに立ち上げ処理を終了して通常操業状態に移行し、原料投入制御開始指令を出力する。
【0050】
この通常操業状態では、図6に示す原料投入制御処理が実行され、原料投入制御開始指令が入力されることにより、原料貯留槽4からフィーダー5によって切出される原料の目標切出量がロータリキルン20の通常時の目標投入量に設定され(ステップS3)、次いで短いストロークのプッシャー17Sを順次駆動する時間間隔を設定して原料押し出しタイミングを制御するプッシャータイマの設定時間Tを基準時間Tsに設定する(ステップS4)。
【0051】
このとき、予熱炉9の原料貯留分配部10の原料レベルLを超音波レベル計54で検出し、検出した原料レベルLが目標レベルLtより少ないときには原料貯留槽4のフィーダー5を目標切出量で駆動することにより、この原料貯留層4から切出される原料が水平コンベヤ6、垂直コンベヤ7及び投入シュート8を通って予熱炉9の原料貯留分配部10に定量供給し、原料貯留分配部10の原料レベルLが目標レベルLtに達したときに通常原料投入制御処理に移行する(ステップS7〜S9)。
【0052】
しかしながら、原料レベルLが目標レベルLtより多い場合には、原料レベルLが上限レベルLuより多いか否かを判定し(ステップS10)、原料レベルLが上限レベルLuより多い場合には、フィーダー5の駆動を一旦停止してから短いストロークのプッシャー17Sをプッシャータイマで設定される設定時間Tの間隔で順次1サイクル分駆動して炉床11の堆積層15に堆積している原料をロータリキルン20に投入することにより、原料レベルLを目標レベルLtまで低下させ、目標レベルLtに達したときに、フィーダー5を再駆動してからステップS15の通常原料投入制御処理に移行する。
【0053】
この通常原料投入制御処理では、原料投入停止指令が入力されていないので、先ず、超音波レベル計54で検出した原料貯留分配部10の原料レベルLを読込み(ステップS22)、この原料レベルLが上限レベルLu及び下限レベルLd間の許容範囲内であるか否かを判定し、前述した前処理で原料レベルLが略目標レベルLtに制御されているので、直接ステップS27に移行して、短いストロークの7本のプッシャー17Sを順次プッシャータイマの基準設定時間Tsに設定された設定時間Tの時間間隔で1サイクル分押し出し駆動する。
【0054】
このように短いストロークのプッシャー17Sを1サイクル分順次押し出し駆動することにより、予焼成室12の炉床11上に堆積した原料が内周側に押し出されて排出孔16に落下し、連通管18を介してロータリキルン20の回転胴21に投入される。このときのロータリキルン20への投入量は、図8で実線図示のように、各プッシャー17Sが作動される毎に所定量の原料が投入されることになり、ロータリキルン20への原料投入が連続的に行われ、原料投入が偏ることなく安定した原料投入を確保することができる。
【0055】
因みに、ストロークの長いプッシャー17Lを駆動する場合には、図8で点線図示のように、1つのプッシャー17Lを作動させたときの投入量がストロークの短いプッシャー17Sを作動させたとの約3倍程度となるため、単位時間当たりの投入量が等しくするためにストロークの短いプッシャー17Sを4回作動させる間にストロークの長いプッシャー17Lを1回作動させることになり、ロータリキルン20への原料投入が間欠的となってロータリキルン20の負荷変動を生じることになる。
このプッシャー17Sによる押し出し量即ちロータリキルン20への原料投入量が原料貯留分配部10に供給される原料供給量と一致すれば、超音波レベル計54で検出される原料貯留分配部10の原料レベルLが目標レベルLtを細かな変動はあるが略維持することができる。
【0056】
そして、予熱炉9に堆積する原料は堆積層15に堆積している間にロータリキルン20から供給される燃焼ガスによって一次焼成され、この一次焼成された原料がプッシャー17Sによってロータリキルン20の回転胴21に供給され、この回転胴21内で排出側に徐々に向かいながら二次焼成されて、製品温度が所定品質を維持する850℃〜950℃の範囲に調整されて製品クーラー23に排出され、この製品クーラー23で二次空気によって空冷されてフィーダー24によって製鋼所に送られる。
【0057】
一方、予熱炉9に供給されたロータリキルン20からの燃焼ガスは、堆積層15で熱交換した後高温(例えば350℃)の排ガスとして排気管19を介して調湿塔30に供給され、この調湿塔30で排ガスに還流水に空気を混合して形成したミストを吹きかけることにより、電気集塵機31での許容温度となる140℃以下に冷却し、この冷却した排ガスを電気集塵機31に供給して排ガスに含まれるダストを分離し、ダストを分離して清浄化された排ガスが主排風機32を介して煙突33から大気に放散される。
【0058】
また、短いストロークのプッシャー17Sの1サイクル分の押し出し駆動が終了すると、初期設定で“0”に設定されたサイクル数Nがインクリメントされて“1”となり(ステップS28)、次いで炉床11を所定角度分だけ回動させる(ステップS29)。
このとき、サイクル数Nが初期設定時に“1”に設定された保持サイクル数Nsに一致すると、サイクル数Nを“0”にクリアし(ステップS31)、次いで前回の原料レベルL(n) を前回原料レベルL(n-1) として記憶すると共に、今回の原料レベルLを読込んで、これを今回の原料レベルL(n) として記憶する(ステップS32)。
【0059】
そして、記憶された今回の原料レベルL(n) から前回の原料レベルL(n-1) を減算した値の絶対値をレベル変化量ΔLとして算出し(ステップS33)、算出したレベル変化量ΔLが予め設定した設定値ΔLsより小さいとき即ち原料貯留分配部10のレベル変化が少ないときにはステップS35で保持サイクル数Nsを“1”に設定してからステップS21に戻り、短いストロークのプッシャー17Sを基準設定時間Tsに設定されたプッシャータイマの設定時間Tで順次1サイクル分駆動し、次いで炉床11を所定角度だけ回動させる原料投入処理を繰り返す。
【0060】
この原料投入処理を繰り返しているうちに、レベル変化量ΔLが増加して、設定値ΔLs以上となると、レベル変化が大きいものと判断して、今回の原料レベルL(n) と目標レベルLtとの偏差の絶対値を目標レベル偏差ΔLtとして算出する(ステップS36)。
このとき、算出した目標レベル偏差ΔLtの大きさによって、レベル変化値Aを設定する。このレベル変化値Aは目標レベル偏差ΔLtが一番大きな値の第1の設定値ΔLt1以上であるときには“2”に設定され(ステップS38)、この第1の設定値ΔLt1より小さい第2の設定値ΔLt2以上であるときには“4”に設定され(ステップS40)、第2の設定値ΔLt2未満であるときには“6”に設定される(ステップS41)。
【0061】
そして、今回の原料レベルL(n) 、前回の原料レベルL(n-1) 、目標レベルLt及びレベル変化値Aに基づいて前記(1)式の演算を行うことにより、プッシャータイマ修正時間Xを算出する(ステップS42)。
算出したプッシャータイマ修正時間Xの絶対値|X|が予め設定した設定時間Xs(例えば4秒)より長いときには、プッシャータイマ修正時間Xを設定時間Xsに制限し(ステップS44)、このプッシャータイマ修正時間Xを基準設定時間Tsに加算してプッシャータイマの設定時間Tを算出する(ステップS45)。
【0062】
このため、例えば原料貯留槽4から供給される原料の粒度が大きくなることにより、短いストロークのプッシャー17Sの1サイクル分の押し出し動作によるロータリキルン20への原料投入量が原料貯留槽4から原料貯留分配部10に供給される原料供給量に比較して多くなって、今回の原料レベルL(n) が前回の原料レベルL(n-1) より減少している場合即ちレベル変化量ΔLが負である場合で且つ今回の原料レベルL(n) が目標原料レベルLtより大きい場合即ち目標レベル偏差ΔLtが負である場合には、前記(1)式で算出されるプッシャータイマ修正時間Xが負の値となることから、プッシャータイマの設定時間Tが基準設定時間Tsより増加することになる。このため、プッシャー17Sの1サイクル分の時間が基準設定時間Tsに設定されている場合に比較して長くなることにより、ロータリキルン20への原料投入量が原料貯留分配部10に供給される原料供給量に近づくように減少し、目標原料レベルLtを維持しながら原料供給量と原料投入量とをバランスさせてロータリキルン20への原料定量投入を確保することができる。
【0063】
逆に、例えば原料貯留槽4から供給される原料の粒度が小さくなることにより、短いストロークのプッシャー17Sの1サイクル分の押し出し動作によるロータリキルン20への原料投入量が原料貯留槽4から原料貯留分配部10に供給される原料供給量に比較して少なくなって、今回の原料レベルL(n) が前回の原料レベルL(n-1) より増加している場合即ちレベル変化量ΔLが正である場合で且つ今回の原料レベルL(n) が目標原料レベルLtより大きい場合即ち目標レベル偏差ΔLtが正である場合には、前記(1)式で算出されるプッシャータイマ修正時間Xが正の値となることから、プッシャータイマの設定時間Tが基準設定時間Tsより減少することになる。このため、プッシャー17Sの1サイクル分の時間が基準設定時間Tsに設定されている場合に比較して短くなることにより、ロータリキルン20への原料投入量が原料貯留分配部10に供給される原料供給量に近づくように増加し、目標原料レベルLtを維持しながら原料供給量と原料投入量とをバランスさせてロータリキルン20への原料定量投入を確保することができる。
【0064】
しかも、目標レベル偏差ΔLtの値が大きくなる程レベル制御変化値Aが減少するので、前記(1)式における積分項を表す右辺第2項の値が大きくなり、目標レベル偏差ΔLtを“0”とするように即ち原料レベルLが目標原料レベルLtを維持するように積分制御される。
さらに、算出されたプッシャータイマ修正時間Xの大きさが大きくなるに従って、保持サイクル数Nsも順次“1”から“4”まで増加することになり、プッシャータイマの設定時間Tが変更された場合にプッシャータイマ修正時間Xが大きくなる程変更されたプッシャータイマの設定時間Tを維持するプッシャー17Sのサイクル数が増加することになり、原料投入量の修正幅も大きくなってロータリキルン20への投入量を素早く修正する所謂微分制御を行うことができる。
【0065】
このように、前記(1)式に従って、プッシャータイマ修正時間Xを算出することにより、比例・積分制御を行い、且つ算出したプッシャータイマ修正時間Xに基づいて保持サイクル数を設定する微分制御を行うので、原料粒度が変わることによるプッシャー17Sの原料投入量の変化が生じても、原料貯留分配部10内の原料レベルLを図9に示すように、目標原料レベルLtを略維持することができる。
【0066】
因みに、保持サイクル数Nsを変更する微分制御を行わず、レベル変化量ΔLによるプッシャータイマ修正時間の比率を増加させることによる比例・積分制御を行う場合には、図10に示すように原料レベルLが上限レベルLu及び下限レベルLdの許容範囲内ではあるが目標原料レベルLtに対して上下に大きく変動することになり、ロータリキルン20への原料投入量を正確に制御することができないものであった。
【0067】
また、通常操業状態で、炉床11の内周縁側にダスト等が固着した場合を想定して、例えば1週間に1度程度長いストロークのプッシャー17Lを1サイクル分押し出し駆動することにより、プッシャー17Lの先端を炉床11の内周縁近傍まで移動させることにより、ダスト等の固着物を剥がして排出孔16に落下させる長いストロークのプッシャー駆動制御を行うことが好ましい。この場合、長いストロークのプッシャー17Lの駆動間隔を制御するために短いストロークのプッシャー17Sを制御するプッシャータイマを、長いストロークのプッシャー17Lによる原料投入量が短いストロークのプッシャー17Sによる原料投入量と一致する設定時間に設定する。なお、プッシャータイマとしては別途長いストロークのプッシャー17L用のプッシャータイマを設けるようにしてもよい。
【0068】
さらには、プッシャータイマの設定時間Tと原料レベルLの変化量とを監視して、原料レベルLの変化量が通常制御時の変化量より所定量以上少なくなったときに、炉床11の内周縁部にダスト固着等が発生したものと判断して、自動的に長いストロークのプッシャー17Lを1サイクル分駆動するようにしてもよい。
また、通常操業状態で、製品温度のトレンドグラフを表示したい場合には、製品温度トレンド指示部88をマウス42によって選択することにより、図11に示すように、製品温度のトレンドグラフをキルン運転監視操作画面の左下側に表示することができ、製品温度の推移を一目瞭然に表示することができ、オペレータが容易に視認することができる。
【0069】
さらに、通常操業状態において、原料貯留槽4に貯留されている原料が例えばドロマイトであり、このドロマイトを予熱炉9を介してロータリキルン20に供給して焼成している状態で、焼成原料を例えば石灰石に変更する場合には、この原料の変更に応じてロータリキルン20での焼成温度も変更する必要があるので、原料貯留槽4内のドロマイトが空になって新たに石灰石を投入する状態となった時点で、切替時指示部84をマウス42で選択して、その焼成切替表示部84aに焼成切替を行うドロマイト→石灰石右を設定すると共に、切り替えた原料が焼成される時刻を焼成時刻表示部84bに表示し、この昇温率又は降温率が昇温率表示部84c又は降温率表示部84dに生じされ、さらにロータリキルン20から排出される切替え前の原料と切替え後の原料比が50%ずつとなるまでの時間が製品切替時間表示部84fに表示される。このため、原料切替え時にオペレータが交代した場合に原料切替えの申し送りを忘れた場合でも、この切替時指示部84に表示されているデータを視認することにより、原料切替中であることを直ちに把握することができる。
【0070】
その後、正常操業状態から原料焼成システムを停止させる場合には、図3に示すキルン運転監視操作画面で、吹き下ろし画面指示部86をマウス42によって選択することにより、図5に示す吹き降ろし監視操作画面がディスプレイ41の表示部に表示され、この吹き降ろし監視操作画面で停止ボタンを操作することにより、ロータリキルン20の回転胴21に設けた燃焼バーナ22で燃焼用ガスが直ちに消火され、これと同時にドラフトを絞って予熱炉9内の負圧を減少させると共に、主排風機32及び各種送風機を停止して、ドラフトを無くして予熱炉9及びロータリキルン20での保温効果を増大させる。この状態で、予熱炉9のプッシャー17の駆動を停止させる。このとき、予熱炉9からの排ガス温度を監視してこれが増加する場合にはプッシャー17を単機運転してロータリキルン20内に原料を投入することにより、排ガス温度上昇を低下させる。その後、回転胴21内に残留する製品の払い出しが全て完了すると、燃焼用の一次空気及び二次空気の供給を停止し、回転胴21内の温度600℃まで低下すると駆動モータからキルンエンジンに切替え、予熱炉9のプッシャー17の駆動及び炉床11の回転を完全に停止され、回転胴21内温度が200℃まで低下するとロータリキルン20を完全に停止させる。
【0071】
なお、上記実施形態においては、キルン運転監視操作画面の各指示部をマウス42によって選択指示する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、キーボード43からカーソルを操作して、実行キーで選択することもでき、さらにはディスプレイ41の表示画面にタッチセンサを設け、このタッチセンサでオペレータのタッチ位置を検出して、指示部の選択を入力するようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態においては、予熱炉9からの排ガスを処理するために電気集塵機を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、他の機械式集塵機を適用することもでき、この場合には許容温度が高いため、調湿塔30を省略することができる。
さらに、上記実施形態においては、ロータリキルン20の燃焼用バーナ22に燃焼用ガスを供給する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、重油、石炭等の他の液体又は固体燃料を使用するようにしてもよい。
【0073】
さらに、上記実施形態においては、キルン運転監視操作画面に原料焼成システムの全体構成図を表示する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、原料焼成システムの構成を分割表示し、所望の表示を選択するようにしてもよい。
さらにまた、上記実施形態においては、ストロークの短いプッシャー17Sを1つずつ順次押し出し駆動する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、複数のプッシャー17Sを同時に押し出し駆動するようにしてもよい。この場合には、プッシャータイマの設定時間Tを、プッシャー17Sを1つずつ押し出し駆動する場合の複数倍とすればよく、ロータリキルン20への原料投入量が間欠的に変化することになるが、所定時間当たりの原料投入量の変化は抑制することができる。同様に、ストロークの長いプッシャー17Lを順次押し出し駆動するようにしてもよい。
【0074】
なおさらに、上記実施形態においては、原料貯留分配部10の原料レベルLを超音波レベル計54で検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、レーザー距離計等の他のレベル検出器を適用することができる。
また、上記実施形態においては、原料貯留分配部10の原料レベルを目標原料レベルLtを維持するように制御する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、目標原料レベルLtに許容範囲を設け、この許容範囲を維持するように原料レベルを制御するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…原料ホッパー、2…水洗篩、4…原料貯留槽、5…フィーダー、6…水平コンベヤ、7…垂直コンベヤ、8…投入シュート、9…予熱炉、10…原料貯留分配部、11…炉床、12…予焼成室、13…分配供給管、14…炉蓋、15…堆積層、16…排出孔、17…プッシャー、17S…短ストロークプッシャー、17L…長ストロークプッシャー、18…連通管、19…排気管、20…ロータリキルン、21…回転胴、22…燃焼用バーナ、23…製品クーラー、30…調湿塔、31…電気集塵機、32…主排風機、33…煙突、40…制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料貯留槽から切り出した石灰石、ドロマイト等の粒塊状の原料を、鉛直線を中心として回転する環状の炉床を有する予熱炉で予熱してから回転胴を有する回転炉に投入して焼成するようにした原料焼成装置及び原料焼成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の原料焼成装置としては、例えば外部から供給される粒塊状の原料を受けて堆積層を形成する堆積面を備え、堆積層の原料を半径方向に押し出すプッシャーを有する予熱装置と、該予熱装置に連通して上記堆積面からプッシャーによって順次落下される原料を受け、回転しつつ該原料を排出部に移動せしめる回転炉とを有し、該回転炉の排出部には加熱ガスを回転炉内に送入する加熱ガス送入管が備えられていて、該加熱ガスが回転炉から上記予熱装置に向け原料の流れに対して向流した後に、上記堆積層を貫流する焼成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3420623号公報(第1頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、予熱炉と回転炉とを連接した原料焼成装置が開示されているが、その制御方法については具体例が全く開示されておらず、原料予熱炉への原料投入量及び予熱炉から回転炉への原料投入量を最適に制御することが困難であるというという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、予熱炉及び回転炉への原料投入量を最適状態に制御することができる原料焼成装置及び原料焼成方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る原料焼成装置は、鉛直線を中心として回転する環状の炉床上に外部の原料貯留槽から切り出されて供給される粒塊状の原料を受ける予熱炉と、該予熱炉に連通して前記炉床から落下する原料を回転胴内に受け、当該回転胴の回転に伴って原料を排出部に移動させる回転炉とを備えた原料焼成装置において、
前記予熱炉は上部に形成した前記原料貯留槽から供給される原料を受けて前記炉床に分配供給する原料貯留分配部と、前記炉床で受けた原料を前記回転炉側に落下させるように押し出す当該炉床の円周方向に配設された複数のプッシャーと、前記原料貯留分配部内の原料レベルを検出する原料レベル検出手段と、前記原料貯留槽から切出される原料の目標切出量を前記回転炉の目標投入量に設定するとともに、前記原料レベル検出手段で検出した原料レベルが所定範囲となるように制御し、さらに前記複数のプッシャーの押し出しタイミングを前記原料レベル検出手段で検出した原料レベルのレベル変化量に基づいて制御する原料制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0006】
また、請求項2に係る原料焼成装置は、請求項1に係る発明において、前記原料レベル検出手段が、原料貯留分配部の頂部内に配設した超音波距離センサで構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項3に係る原料焼成装置は、請求項1又は2に係る発明において、前記原料貯留槽が、下部に原料切り出し量を制御する原料切り出し機構が配設され、該原料切り出し機構から切り出した原料を水平搬送手段及び垂直搬送手段を介して前記原料貯留分配部に供給するようにしたことを特徴としている。
【0007】
さらにまた、請求項4に係る原料焼成装置は、請求項1乃至3の何れかの発明において、前記原料制御手段が、前記プッシャーを順次作動させるための作動間隔を設定して原料押し出しタイミングを制御するプッシャータイマの設定時間の間隔で当該プッシャーを順番に1つずつ押し出し制御するように構成されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項5に係る原料焼成装置は、請求項1乃至4の何れかの発明において、前記原料制御手段は、前記プッシャーが少なくとも一通り押し出し駆動される押し出し制御終了時の原料レベルと前回押し出し制御終了時の原料レベルとのレベル変化量と、目標レベルと前記押し出し制御終了時の原料レベルとの目標レベル偏差とに基づいて原料押し出しタイミングの修正時間を算出する修正時間算出手段を有することを特徴としている。
【0008】
また、請求項6に係る原料焼成装置は、請求項1乃至4の何れかの発明において、前記原料制御手段は、前記プッシャーが一通り押し出し駆動される1サイクル分の押し出し制御を保持サイクル数行った押し出し制御終了時の原料レベルと前回押し出し制御終了時の原料レベルとのレベル変化量と、目標レベルと前記押し出し制御終了時の原料レベルとの目標レベル偏差とに基づいて原料押し出しタイミングの修正時間を算出する修正時間算出手段と、該修正時間算出手段で算出した修正時間に基づいて前記保持サイクル数を設定する修正保持手段とを有することを特徴としている。
【0009】
さらに、請求項7に係る原料焼成装置は、請求項5又は6に係る発明において、前記修正時間算出手段は、前記レベル変化量と、前記目標レベル偏差と、該目標レベル偏差を除算するレベル変化値とに基づいて原料押し出しタイミングの修正時間を算出し、前記レベル変化値を目標レベル偏差の大きさに応じて変更するように構成されていることを特徴としている。
【0010】
さらにまた、請求項8に係る原料焼成方法は、原料貯留槽から切り出した粒塊状の原料を、鉛直線を中心として回転する環状の炉床を有する予熱炉で予熱してから回転胴を有する回転炉に投入して焼成するようにした原料焼成方法において、前記予熱炉の上部に前記原料貯留槽から供給される原料を受けて前記炉床に分配供給する原料貯留分配部を形成すると共に、前記炉床で受けた原料を前記回転炉側に落下させるように押し出す複数のプッシャーを当該炉床の円周方向に配設し、前記原料貯留槽から切出される原料の切出量を前記回転炉の目標投入量に設定するとともに、原料レベルが所定範囲となるように制御し、さらに前記複数のプッシャーの原料押し出しタイミングを前記原料貯留分配部での原料レベルのレベル変化量に基づいて制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1又は8に係る発明によれば、原料貯留槽から切り出す粒塊状の原料の切出量を回転炉に投入する目標投入量に設定し、且つ原料レベルが所定範囲となるように制御することにより、予熱炉の原料貯留分配部に原料が定量供給され、この状態で、プッシャーの押し出しタイミングを原料レベル変化量に基づいて制御することにより、原料分配部での原料レベルを所定範囲内に制御することにより、プッシャーによって予熱炉から回転炉に投入される原料投入量を目標投入量に正確に制御することができるという効果が得られる。
【0012】
また、請求項2に係る発明によれば、原料レベル検出手段が超音波距離センサで構成されているので、原料貯留分配部内の原料レベルを正確に検出することができるという効果が得られる。
さらに、請求項3に係る発明によれば、原料貯留槽が原料切り出し機構によって原料の切り出し量を制御し、この原料切り出し機構から切り出された原料を水平搬送手段及び垂直搬送手段を介して原料貯留分配部に供給するので、高所に配設される原料貯留分配部に原料を安定供給することができるという効果が得られる。
【0013】
さらにまた、請求項4に係る発明によれば、原料制御手段で予熱炉に配設されたプッシャーを1つずつ順次原料押し出しタイミングで押し出し制御するので、予熱炉の堆積層に堆積された原料を順次円周方向に均一に押し出して回転炉に投入することができ、予備焼成時間を均一化することができるという効果が得られる。
なおさらに、請求項5に係る発明によれば、前回の原料レベルと今回の原料レベルとのレベル変化量と、目標レベルと今回の原料レベルとの目標レベル偏差とに基づいて原料押し出しタイミングの修正時間を算出するので、原料レベルの比例及び積分制御を行って回転炉に対する原料投入量を適正に制御することができるという効果が得られる。
【0014】
また、請求項6に係る発明によれば、前回の原料レベルと今回の原料レベルとのレベル変化量と、目標レベルと今回の原料レベルとの目標レベル偏差とに基づいて原料押し出しタイミングの修正時間を算出する修正時間算出手段と、該修正時間算出手段で算出した修正時間に基づいて修正した原料押し出しタイミングを保持する回数を設定する修正保持手段とを有するので、修正時間算出手段で原料レベルの比例・積分制御を行い、修正保持手段で原料レベルの微分制御を行うことができ、回転炉に対する原料投入量をより正確に制御することができるという効果が得られる。
【0015】
さらに、請求項7に係る発明によれば、修正時間算出手段は、前記レベル変化量と、前記目標レベル偏差と、該目標レベル偏差を除算するレベル変化値とに基づいて原料押し出しタイミングの修正時間を算出し、前記レベル変化値を目標レベル偏差の大きさに応じて変更するように構成されているので、目標レベル偏差の大きさに応じて積分制御の制御量を適正状態に変更することができ、さらに正確な回転炉への原料投入量制御を行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示す原料焼成装置のシステム構成図である。
【図2】プッシャーの配置構成を示す平面図である。
【図3】キルン運転監視操作画面の一例を示す図である。
【図4】立ち上げ監視操作画面を示す図である。
【図5】吹き降ろし監視操作画面を示す図である。
【図6】制御装置で実行する原料投入制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】図6の通常原料投入制御処理の具体例を示すフローチャートである。
【図8】プッシャーによる原料投入量を示す図である。
【図9】比例・積分・微分制御を行ったときの原料貯留分配部の原料レベル変化を示すタイムチャートである。
【図10】比例・積分制御を行ったときの原料貯留分配部の原料レベル変化を示すタイムチャートである。
【図11】製品温度トレンドグラフを表示したキルン運転監視操作画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る原料焼成装置を示すシステム構成図であって、図中、1は焼成を行う石灰石やドロマイト等の粒塊状の原料を貯留する原料ホッパーであって、この原料ホッパー1から切り出された原料が水洗篩2で篩分けされて粒径の大きい原料がベルトコンベヤ3によって原料貯留槽4に投入される。この原料貯留槽4は、下部に原料の切り出し量を制御可能なフィーダー5を有し、このフィーダー5で切り出された原料が水平コンベヤ6を介し、さらにバケットコンベヤで構成される垂直コンベヤ7を介し、この垂直コンベヤ7の上端から排出される原料が投入シュート8を介して予熱炉9に供給される。
【0018】
この予熱炉9は、上部に原料貯留槽4から投入される原料を貯留して分配する原料貯留分配部10が形成されていると共に、下部側に鉛直線を中心として所定方向に間欠的に回転駆動される円環板状の炉床11が配設された予焼成室12が形成されている。そして、原料貯留分配部10から複数の分配供給管13を介して原料が予焼成室12を構成する上部の炉蓋14の外周側に供給されることにより、この原料が炉床11上に円周方向に均一な堆積層15を形成する。
【0019】
炉床11の内周側には排出孔16が形成され、この排出孔16と炉蓋14とによって、堆積層15の内周側が擂鉢状の斜面となる。堆積層15の原料は、炉床11の上面より僅かに上方に離間し且つ法線方向に配設された複数例えば11本のプッシャー17によって炉床11の内周側に押し出されて炉床11の内周側に形成された排出孔16に落下し、この排出孔16に連接する斜め下方に傾斜延長する連通管18を介して回転炉としてのロータリキルン20に供給される。
【0020】
ここで、プッシャー17は、図2に示すように、炉床11の円周方向に11本半径方向にストローク可能に配設されており、このうちストロークが炉床11の半分までと短く設定された7本のプッシャー17Sと、ストロークが炉床11の内周縁近傍までと長く設定された4本のプッシャー17Lとで構成されている。そして、短いストロークのプッシャー17Sは2本組で3組構成され、残りが1本組とされ、これらプッシャー17Sの各組間に長いストロークのプッシャー17Lが配置されている。各プッシャー17S及び17Lは、連結板17aで連結された3本の押し出しロッド17bと、連結板17aを進退駆動する油圧シリンダ17cと連結板17aを平行移動させるように案内する案内ロッド17dとで構成されている。
【0021】
また、予焼成室12では、ロータリキルン20から連通管18及び排出孔16を通って供給され加熱ガスによって堆積層15に堆積された原料がこれを貫流する際の対流伝熱と堆積層15の内周側の擂鉢状傾斜面での放射伝熱によって一次焼成される。このように堆積層15の原料を一次焼成した加熱ガスは、予焼成室12の上部に設けられた複数の排気管19を通じて外部に排出される。
【0022】
ロータリキルン20は、横型筒状に形成された回転胴21を有し、この回転胴21はその中心軸線が水平面に対して僅かな角度θだけ右下がりに傾斜しており、図示しない回転駆動機構によって所定速度で回転駆動される。この回転胴21の連通管18が連通された原料供給側端部とは反対側の原料排出側端部にCガス等の燃焼用ガス及び燃焼用一次空気が供給される燃焼バーナ22が配設されており、この燃焼バーナ22から供給される燃焼用ガスが回転胴21の原料排出側端部の近傍で燃焼され、高温の燃焼ガスを発生して、回転胴21の温度を1200℃程度に維持し、回転胴21内の原料を二次焼成する。
【0023】
このとき、排出側端部での製品温度を850℃〜930℃の範囲内に維持して品質の良好な焼成製品を得る。そして、二次焼成された製品は、回転胴21の原料排出側端部に形成された下方に延長する製品クーラー23に排出され、この製品クーラー23に供給される燃焼用二次空気によって高温の製品が200℃以下に冷却され、製品クーラー23の下端に形成されたフィーダー24によって製鋼部署に供給される。このとき、フィーダー24によって切り出された製品の温度は温度計25によって計測される。
【0024】
一方、前述した予熱炉9の排気管19から排出される高温(例えば350℃程度)の排気ガスは排気管19に設けられた温度計26で温度が計測されて調湿塔30に送られる。この調湿塔30では、排気管19から供給される排気ガスに対して還流水と空気とを混合したミストを噴霧することにより、排気ガス温度を電気集塵機で取り扱い可能な温度(例えば140℃以下)に低下させる。
【0025】
そして、調湿塔30から排出される比較的低温の排気ガスが電気集塵機31に供給され、この電気集塵機31で排気ガスに含まれる粉粒体等の塵埃が分離され、塵埃が分離された排気ガスが主排風機32によって煙突33に送られて大気に放散される。ここで、調湿塔30、電気集塵機31、主排風機32及び煙突33で排ガス処理機構が構成されている。
【0026】
また、予熱炉9に対する原料供給制御及び予熱炉9のプッシャー17の駆動制御によるロータリキルン20への原料投入量制御と、ロータリキルン20の温度制御と、予熱炉9からの排ガス温度制御とが制御装置40で実行される。
この制御装置40は、ディスプレイ41に図3に示す焼成装置監視操作画面を表示し、この焼成装置監視操作画面に現在の操業状況を表示すると共に、焼成装置監視操作画面に表示されている操作部を指示することにより、操作部に対応した操作画面を表示する。
【0027】
すなわち、制御装置40には、原料貯留槽4に配設された槽重量を計測するロードセル等の重量計51、貯留レベルを空のときに0%、満タンのときに100%として計測する超音波レベル計52、レベル検出するから切り出される原料の切出量を計測する切出量計53の各計測値が入力されると共に、予熱炉9の原料貯留分配部10に形成した原料レベルを計測する原料レベル検出手段としての超音波レベル計54、調湿塔30の入口の排ガス温度を検出する温度計26、電気集塵機31の入口の排ガス温度を検出する温度計27、プッシャー17S及び17Lの作動状態を検出するプッシャー作動状態検出手段としての作動状態センサ55a及び予焼成室12の出口及び入口の圧力を検出する圧力センサ55b及び55cの各計測値、ロータリキルン20の回転胴21内の温度を検出する赤外線温度計56、回転胴21内の焼成製品温度を検出する赤外線温度計57及び回転胴21の出口における焼成製品温度を検出する赤外線温度計58の各検出値、燃焼用ガスの圧力を検出する圧力計59、流量を検出する流量計60及び燃焼用一次空気の圧力を検出する圧力計61、流量を検出する流量計62の各検出値、並びに調湿塔30に供給する還流水の圧力を検出する圧力計63、流量を検出する流量計64及び空気の流量を検出する流量計65の各検出値塔が入力され、入力された各検出値を運転監視操作画面に表示されたシステム構成図における該当位置に表示する。
【0028】
運転監視走査画面に表示されたシステム構成図は、図3に示すように、原料貯留槽4の原料レベルを表示する原料貯留槽表示部71と、フィーダー5の稼働状態を表示するフィーダー表示部72と、水平コンベヤ6及び垂直コンベヤ7及び投入シュート8の原料供給系を表示する原料供給系統表示部73と、原料貯留分配部10の原料レベルを表示する原料貯留分配部表示部74と、予熱炉9のプッシャー17S及び17Lの稼働状態を表示する予熱炉表示部75と、ロータリキルン20の稼働状態を表示するキルン表示部76と、製品クーラー23の製品レベルを表示するクーラー表示部77と、ロータリキルン20への燃料ガス、燃焼用空気等の燃料供給系統を示す燃料供給系統表示部78と、調湿塔30を表示する調湿塔表示部79と、電気集塵機31の稼働状態を表示する集塵機表示部80と、主排風機32の稼働状態を表示する排風機表示部81と、煙突33を表示する煙突表示部82とを備えている。
【0029】
また、運転監視操作画面には、操業状態を手動修正する操業状態修正指示部83、焼成原料の切替時における各部での切替時刻及び温度管理態様を指示する切替時指示部84、焼成装置を立ち上げる際に使用する立上げ画面の表示を指示する立上げ画面指示部85、焼成装置を停止させる際に使用する吹降し画面の表示を指示する吹降し画面指示部86、キルン速度の設定を指示するキルン速度設定指示部87及び焼成製品温度トレンドグラフの表示を指示する製品温度トレンド指示部88とを備えている。
そして、運転監視操作画面に設けられた各指示部83〜88の何れか1つに例えばマウス42を操作することによってカーソルを移動させてから例えば左クリックを行うことにより、各指示部83〜88に対応する指示操作が実行される。
【0030】
そして、立ち上げ画面指示部85を指示することにより、ロータリキルン20の立ち上げ処理が実行される。この立ち上げ処理は、先ず、主排風機32を駆動して予熱炉9及びロータリキルン20内を負圧にしておき、この負圧状態で、燃料バーナ22に供給される燃焼用ガスを点火して約1時間でロータリキルン20の回転胴21内の温度が200℃に達するように急速加熱制御し、その後200℃から750℃までの間例えば時間当たり35℃の昇温率で昇温するように燃料用ガス流量を自動制御する。この間に回転胴21内温度が約300℃に達するとキルンエンジンを連続運転すると共に、予熱炉9の炉蓋14の空冷を開始し、約500℃に達すると回転胴21を回転駆動する駆動モータの低速回転運転を開始する。
【0031】
そして、回転胴21内温度が750℃に達すると、予熱炉9からロータリキルン20への原料投入を開始させる原料投入指令を出力し、これと同時にロータリキルン20の回転胴21内の昇温率を時間当たり50℃となるように増加する。このとき、原料投入量は、初期状態では時間当たり13t程度で1時間投入し、その後1t/hで増量し、回転胴21内温度が950℃に達すると3t/hに増量し、回転胴21内原料量が33tに達したときに1t/hの増量に戻し、製品品質を見ながら増産し、この間回転胴21の回転速度は原料投入時に正常時の半分位からスタートし、増産に伴い徐々に上昇させ、1200℃近傍で通常操業状態とする後述する原料投入制御処理に対して原料投入制御開始指令を出力する。この立ち上げ処理が開始されると、図4に示す立ち上げ監視操作画面をディスプレイ41の表示画面に表示し、回転胴21内の温度変化をトレドグラフとしてトレンドグラフ表示部91に表示すると共に、回転胴21の昇温設定条件を条件表示部92に表示し、さらに回転胴21の昇温に関する燃料ガス流量、燃焼用1次空気流量、予熱炉9の入口圧力、回転胴温度、予熱炉9の排ガス温度、予熱炉9のプッシャー17による投入量、ロータリキルン回転速度等が計測表示部93に表示されると共に、各制御部の稼働状態が稼働状態表示部94に表示される。
【0032】
一方、吹き下ろし画面指示部86を指示操作することにより、ロータリキルン20を停止させる吹き降ろし処理が実行される。この吹き降ろし処理は、先ず、通常焼成温度(1200℃近傍)で燃焼用ガスを直ちに消火し、自然冷却時にドラフトを絞って予熱炉9内の負圧を−20mmH2Oから−3〜−5mmH2O程度に減少させ、主排風機32及び各送風機を停止して、ドラフトを無くして予熱炉9及びロータリキルン20での保温効果を増大させる。この状態で、予熱炉9のプッシャー17の駆動を停止すると共に、予熱炉9に対する原料投入を停止させる原料投入停止指令を出力する。このとき、予熱炉9からの排ガス温度が上昇する場合には、プッシャー17を単機運転して原料を回転胴21内に投入することにより、排ガス温度を減少させる。そして、回転胴21内の製品の払い出しが完了すると燃焼用の1次及び2次空気の供給を停止させる。そして、回転胴21内温度が600℃に低下するとキルンエンジンへ切替え、予熱炉9におけるプッシャー17の駆動及び炉床11の回転を完全に停止させ、回転胴21内温度が200℃まで低下すると、ロータリキルンを完全停止させる。
【0033】
この吹き降ろし処理でも、処理が開始されると、図5に示す立ち上げ監視操作画面をディスプレイ41の表示画面に表示し、回転胴21内の温度変化をトレドグラフとしてトレンドグラフ表示部101に表示すると共に、回転胴21の昇温設定条件を条件表示部102に表示し、さらに回転胴21の昇温に関する燃料ガス流量、燃焼用1次空気流量、予熱炉9の入口圧力、回転胴温度、予熱炉9の排ガス温度、予熱炉9のプッシャー17Sによる投入量、ロータリキルン回転速度等が計測表示部103に表示されると共に、各制御部の稼働状態が稼働状態表示部104に表示される。
【0034】
一方、制御装置40では、図6に示すロータリキルン20への原料投入量制御処理を実行する。
この原料投入量制御処理は、制御装置40に電源が投入されることにより実行開始され、先ず、ステップS1で、前述した立ち上げ画面指示部85に対して指示操作が行われて、所定の昇温パターンでロータリキルン20を昇温する立ち上げ制御処理が実行され、この立ち上げ制御処理でロータリキルン20の温度が所定温度(例えば1200℃)に達したときに、出力される原料投入制御開始指令が入力されたか否かを判定し、原料投入制御開始指令が入力されていないときには原料投入制御開始指令が入力されるまで待機し、原料投入制御開始指令が入力されたときには、ステップS2に移行して、前述した吹き降ろし画面指示部86に対して指示操作が行われて、所定の降温処理でロータリキルン20を降温する吹き降ろし処理が実行されたときに、この吹き降ろし処理時に出力される原料投入停止指令が入力されたか否かを判定し、原料投入停止指令が入力されたときには前記ステップS1に戻り、原料投入停止指令が入力されていないときにはステップS3に移行する。
【0035】
このステップS3では、原料貯留槽4に設けられたフィーダー5の目標切り出し量として、ロータリキルン20への目標投入量を設定し、次いでステップS4に移行して、プッシャー17を順次作動させるための作動間隔を設定して原料押し出しタイミングを制御するプッシャータイマの設定時間Tを予め設定した基準設定時間Tsに設定してからステップS5に移行する。
【0036】
このステップS5では、原料貯留分配部10の超音波レベル計54で検出した原料レベルLを読込み、次いでステップS6に移行して、読込んだ原料レベルLが予め設定した目標原料レベルLtを下回っているか否かを判定し、L<LtであるときにはステップS7に移行して、原料貯留槽4に設けられたフィーダー5を目標切り出し量となるように駆動開始させてからステップS8に移行し、再度超音波レベル計54で検出した原料レベルLを読込み、次いでステップS9に移行して、原料レベルLが目標原料レベルLt以上となったか否かを判定し、L<Ltであるときには前記ステップS8に戻り、L≧LtであるときにはステップS15に移行する。
【0037】
また、前記ステップS6の判定結果がL≧LtであるときにはステップS10に移行して、原料レベルLが予め設定した上限レベルLuを超えているか否かを判定し、L>LuであるときにはステップS11に移行して、原料貯留槽4のフィーダー5の駆動を停止してからステップS12に移行し、予熱炉9の短いストロークのプッシャー17Sをプッシャータイマに設定された設定時間間隔で順次1サイクル分駆動してから前記ステップS5に戻り、ステップS10の判定結果がL≦LuであるときにはステップS13に移行して、原料レベルLが目標レベルLt以下となったか否かを判定し、L>Ltであるときには前記ステップS12に移行し、L≦LtであるときにはステップS14に移行して原料貯留槽4に設けられたフィーダー5を目標切り出し量で再駆動してからステップS15に移行する。
【0038】
ステップS15では、予熱炉9の原料貯留分配部10の原料レベルを目標レベルに維持しながら予熱炉9からロータリキルン20へ原料を定量投入する通常原料投入制御処理を実行してから前記ステップS1に戻る。
この通常原料投入制御処理は、図7に示すように、先ず、ステップS21で、吹き降ろし処理時に出力される原料投入停止指令が入力されたか否かを判定し、原料投入停止指令が入力されたときには通常原料投入制御処理を終了して図6の原料投入量制御処理に復帰し、原料投入停止指令が入力されていないときにはステップS22に移行する。
【0039】
このステップS22では、超音波レベル計54で検出した原料貯留分配部10の原料レベルLを読込み、次いでステップS23に移行して、原料レベルLが予め設定した原料貯留分配部10の上限レベルLu及び下限レベルLd内の許容範囲内であるか否かを判定し、許容範囲内であるときには直接ステップS27に移行し、許容範囲外であるときにはステップS24に移行して、原料レベルLが上限レベルLuを超えているか否かを判定し、L>LuであるときにはステップS25に移行して、原料貯留槽4のフィーダー5の切出量を目標切出量から所定量だけ減少させた切出量に制御して、原料供給減少制御を行ってからステップS27に移行し、L<Luであるときには原料レベルLが下限レベルLuを下回っているものと判断してステップS26に移行して、フィーダー5の切出量を目標切出量に所定量だけ増加させた切出量に制御して、原料供給増加制御を行ってからステップS27に移行する。
【0040】
ステップS27では、予熱炉9の短いストロークのプッシャー17Sをプッシャータイマで設定された設定時間Tの間隔で順次駆動して全てのプッシャー17Sが一通り押し出し駆動される1サイクル分押し出し制御を行ってからステップS28に移行する。
このステップS28では、サイクル数NをインクリメントしてからステップS29に移行して炉床11を所定角度分回動させ、次いでステップS30に移行して、プッシャーのサイクル数Nが後述するプッシャータイマの設定時間を変更した場合の変更時間に応じて設定される保持する保持サイクル数Nsに達したか否かを判定し、N<Nsであるときには前記ステップS21に戻り、N=NsであるときにステップS31に移行して、サイクル数Nを“0”にクリアしてからステップS32に移行する。
【0041】
このステップS32では、所定の今回レベル記憶領域に記憶されている前回読込んだ原料レベルL(n) を前回値L(n-1) として前回レベル記憶領域に更新記憶すると共に、超音波レベル計54で検出した今回の原料レベルをL(n)として今回レベル記憶領域に記憶してからステップS33に移行する。
このステップS33では、今回の原料レベルL(n) から前回の原料レベルL(n-1) を減算した値の絶対値(|L(n) −L(n-1) |)をレベル変化量ΔLとして算出し、次いでステップS34に移行して、レベル変化量ΔLが所定値ΔLs(例えば2%)未満であるか否かを判定し、ΔL<ΔLsであるときには原料レベルが殆ど変化しないものと判断してステップS35に移行し、保持サイクル数Nsを“1”に設定してから前記ステップS21に戻り、ΔL≧ΔLsであるときにはステップS36に移行する。
【0042】
このステップS36では、目標原料レベルLtから今回の原料レベルL(n) を減算した値の絶対値(|Lt−L(n) |)でなる目標レベル偏差ΔLtを算出し、次いでステップS37に移行して、目標レベル偏差ΔLtが第1の設定値ΔLt1(例えば8%)以上であるか否かを判定し、ΔLt≧ΔLt1であるときにはステップS38に移行して、レベル制御変化値Aを“2”に設定してからステップS42に移行する。また、ステップS37の判定結果が、ΔLt<ΔLt1であるときにはステップS39に移行して、偏差ΔLtが第1の設定値ΔLt1より小さい第2の設定値ΔLt2(例えば5%)以上であるか否かを判定し、ΔLt≧ΔLt2であるときにはステップS40に移行して、レベル制御変化値Aを“4”に設定してからステップS42に移行し、ΔLt<ΔLt2であるときにはステップS41に移行して、レベル変化値Aを“6”に設定してからステップS42に移行する。
【0043】
このステップS42では、今回の原料レベルL(n) と前回の原料レベルL(n-1) とに基づいて下記(1)式の演算を行ってプッシャータイマ修正時間Xを算出する。
X=(L(n) −L(n-1) )+{(Lt−L(n) )/A)}×0.2 …………(1)
次いで、ステップS43に移行して、算出されたプッシャータイマ修正時間Xの絶対値|X|が設定値Xs(例えば4秒)を超えているか否かを判定し、|X|>XsであるときにはステップS44に移行して、X=XsとしてからステップS45に移行し、|X|≦XsであるときにはそのままステップS45に移行する。
【0044】
このステップS45では、プッシャータイマの基準時間Tsからプッシャータイマ修正時間Xを減算した値を設定時間Tとして設定し、次いでステップS46に移行して、プッシャータイマ修正時間XがX≧1であるか否かを判定し、X<1であるときにはステップS47に移行して保持サイクル数Nsを“1”に設定してから前記ステップS21に戻り、X≧1であるときにはステップS48に移行して、プッシャータイマ修正時間XがX≧2であるか否かを判定し、X<2であるときにはステップS49に移行して、保持サイクル数Nsを“2”に設定してから前記ステップS21に戻り、X≧2であるときにはステップS50に移行して、プッシャータイマ修正時間XがX≧3であるか否かを判定し、X<3であるときにはステップS51に移行して、保持サイクル数Nsを“3”に設定してから前記ステップS21に戻り、X≧3であるときにはステップS52に移行して、保持サイクル数Nsを“4”に設定してから前記ステップS21に戻る。
この図6及び図7の処理が原料制御手段に対応し、図7のステップS34乃至S42の処理が修正時間算出手段に対応し、ステップS28、S30、S45〜S52処理が修正保持手段に対応している。
【0045】
次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、原料貯留層4のフィーダー5、水平コンベヤ6、垂直コンベヤ7、予熱炉9、ロータリキルン20、調湿塔30、電気集塵機31及び主排風機32が停止して、原料焼成システムが停止しているものとし、この状態で、制御装置40に電源を投入すると、表示制御処理が実行開始される。
【0046】
この表示制御処理では、原料焼成システムの各部の計測データを収集するが、この場合には原料焼成システム全体が停止状態にあるので、各部の計測データは原料貯留層4及び予熱炉9の原料貯留分配部10に設けた超音波レベル計52及び54では現在の原料レベルの実測データが出力されるが、その他の計測データでは、各部の温度データが該当部署の温度データを出力し、燃焼用ガス等の流量計測データは零となっている。
【0047】
そして、これら計測データがキルン運転監視操作画面の該当表示箇所に表示データとして組込んだ運転監視操作画面表示情報が形成され、この運転監視操作画面表示情報がディスプレイ41に出力されて、ディスプレイ41の表示画面に図3に示す運転監視操作画面が表示される。
この原料焼成システムの停止状態からシステムを立ち上げるには、マウス42を操作してディスプレイ41に表示されている運転監視操作画面に表示されている立ち上げ画面指示部85にカーソルを移動させ、この状態で、左クリックすることにより、立ち上げ画面指示部85を選択すると、立ち上げ処理が実行開始される。
この立ち上げ処理では、図4に示す立ち上げ監視操作画面が表示され、昇温設定条件を設定する条件表示部92に予め設定された昇温設定条件即ち例えば750℃までの昇温時間及び昇温率と1000℃までの昇温時間及び昇温率とが表示され、その下側のトレンドグラフ表示部91にロータリキルン20の温度変化が表示される。
【0048】
この立ち上げ処理では、先ず、主排風機32を駆動して、予熱炉9及びロータリキルン20内を負圧にする。この負圧状態で、燃料バーナ22に供給される燃料用ガスに点火して初期状態として約1時間でロータリキルン20の回転胴21内の温度を200℃まで昇温し、その後750℃まで設定昇温率(例えば35℃/h)で昇温する。この間に、回転胴21内温度が300℃に達するとキルンエンジンを連続運転とするとともに予熱炉9の炉蓋14の空冷を開始し、500℃に達すると回転胴21を回転駆動する駆動モータの低速回転運転を開始する。その後、回転胴21内の温度が750℃に達すると、予熱炉9からロータリキルン20への原料投入を開始させ、これと同時に回転胴21内の昇温率を例えば50℃/h程度に増加する。
【0049】
原料投入量は初期状態では時間当たり13t/h程度で1時間投入し、その後1t/hで増量し、回転胴21内の温度が950℃に達すると3t/hに増量し、回転胴21内の原料量が33tに達したときに1t/hの増量に戻し、製品品質を見ながら増産する。この間に回転胴21の回転速度は初期状態で正常操業時の半分位からスタートし、製品の増産に伴い徐々に上昇させ、回転胴21内温度が1200℃に達したときに立ち上げ処理を終了して通常操業状態に移行し、原料投入制御開始指令を出力する。
【0050】
この通常操業状態では、図6に示す原料投入制御処理が実行され、原料投入制御開始指令が入力されることにより、原料貯留槽4からフィーダー5によって切出される原料の目標切出量がロータリキルン20の通常時の目標投入量に設定され(ステップS3)、次いで短いストロークのプッシャー17Sを順次駆動する時間間隔を設定して原料押し出しタイミングを制御するプッシャータイマの設定時間Tを基準時間Tsに設定する(ステップS4)。
【0051】
このとき、予熱炉9の原料貯留分配部10の原料レベルLを超音波レベル計54で検出し、検出した原料レベルLが目標レベルLtより少ないときには原料貯留槽4のフィーダー5を目標切出量で駆動することにより、この原料貯留層4から切出される原料が水平コンベヤ6、垂直コンベヤ7及び投入シュート8を通って予熱炉9の原料貯留分配部10に定量供給し、原料貯留分配部10の原料レベルLが目標レベルLtに達したときに通常原料投入制御処理に移行する(ステップS7〜S9)。
【0052】
しかしながら、原料レベルLが目標レベルLtより多い場合には、原料レベルLが上限レベルLuより多いか否かを判定し(ステップS10)、原料レベルLが上限レベルLuより多い場合には、フィーダー5の駆動を一旦停止してから短いストロークのプッシャー17Sをプッシャータイマで設定される設定時間Tの間隔で順次1サイクル分駆動して炉床11の堆積層15に堆積している原料をロータリキルン20に投入することにより、原料レベルLを目標レベルLtまで低下させ、目標レベルLtに達したときに、フィーダー5を再駆動してからステップS15の通常原料投入制御処理に移行する。
【0053】
この通常原料投入制御処理では、原料投入停止指令が入力されていないので、先ず、超音波レベル計54で検出した原料貯留分配部10の原料レベルLを読込み(ステップS22)、この原料レベルLが上限レベルLu及び下限レベルLd間の許容範囲内であるか否かを判定し、前述した前処理で原料レベルLが略目標レベルLtに制御されているので、直接ステップS27に移行して、短いストロークの7本のプッシャー17Sを順次プッシャータイマの基準設定時間Tsに設定された設定時間Tの時間間隔で1サイクル分押し出し駆動する。
【0054】
このように短いストロークのプッシャー17Sを1サイクル分順次押し出し駆動することにより、予焼成室12の炉床11上に堆積した原料が内周側に押し出されて排出孔16に落下し、連通管18を介してロータリキルン20の回転胴21に投入される。このときのロータリキルン20への投入量は、図8で実線図示のように、各プッシャー17Sが作動される毎に所定量の原料が投入されることになり、ロータリキルン20への原料投入が連続的に行われ、原料投入が偏ることなく安定した原料投入を確保することができる。
【0055】
因みに、ストロークの長いプッシャー17Lを駆動する場合には、図8で点線図示のように、1つのプッシャー17Lを作動させたときの投入量がストロークの短いプッシャー17Sを作動させたとの約3倍程度となるため、単位時間当たりの投入量が等しくするためにストロークの短いプッシャー17Sを4回作動させる間にストロークの長いプッシャー17Lを1回作動させることになり、ロータリキルン20への原料投入が間欠的となってロータリキルン20の負荷変動を生じることになる。
このプッシャー17Sによる押し出し量即ちロータリキルン20への原料投入量が原料貯留分配部10に供給される原料供給量と一致すれば、超音波レベル計54で検出される原料貯留分配部10の原料レベルLが目標レベルLtを細かな変動はあるが略維持することができる。
【0056】
そして、予熱炉9に堆積する原料は堆積層15に堆積している間にロータリキルン20から供給される燃焼ガスによって一次焼成され、この一次焼成された原料がプッシャー17Sによってロータリキルン20の回転胴21に供給され、この回転胴21内で排出側に徐々に向かいながら二次焼成されて、製品温度が所定品質を維持する850℃〜950℃の範囲に調整されて製品クーラー23に排出され、この製品クーラー23で二次空気によって空冷されてフィーダー24によって製鋼所に送られる。
【0057】
一方、予熱炉9に供給されたロータリキルン20からの燃焼ガスは、堆積層15で熱交換した後高温(例えば350℃)の排ガスとして排気管19を介して調湿塔30に供給され、この調湿塔30で排ガスに還流水に空気を混合して形成したミストを吹きかけることにより、電気集塵機31での許容温度となる140℃以下に冷却し、この冷却した排ガスを電気集塵機31に供給して排ガスに含まれるダストを分離し、ダストを分離して清浄化された排ガスが主排風機32を介して煙突33から大気に放散される。
【0058】
また、短いストロークのプッシャー17Sの1サイクル分の押し出し駆動が終了すると、初期設定で“0”に設定されたサイクル数Nがインクリメントされて“1”となり(ステップS28)、次いで炉床11を所定角度分だけ回動させる(ステップS29)。
このとき、サイクル数Nが初期設定時に“1”に設定された保持サイクル数Nsに一致すると、サイクル数Nを“0”にクリアし(ステップS31)、次いで前回の原料レベルL(n) を前回原料レベルL(n-1) として記憶すると共に、今回の原料レベルLを読込んで、これを今回の原料レベルL(n) として記憶する(ステップS32)。
【0059】
そして、記憶された今回の原料レベルL(n) から前回の原料レベルL(n-1) を減算した値の絶対値をレベル変化量ΔLとして算出し(ステップS33)、算出したレベル変化量ΔLが予め設定した設定値ΔLsより小さいとき即ち原料貯留分配部10のレベル変化が少ないときにはステップS35で保持サイクル数Nsを“1”に設定してからステップS21に戻り、短いストロークのプッシャー17Sを基準設定時間Tsに設定されたプッシャータイマの設定時間Tで順次1サイクル分駆動し、次いで炉床11を所定角度だけ回動させる原料投入処理を繰り返す。
【0060】
この原料投入処理を繰り返しているうちに、レベル変化量ΔLが増加して、設定値ΔLs以上となると、レベル変化が大きいものと判断して、今回の原料レベルL(n) と目標レベルLtとの偏差の絶対値を目標レベル偏差ΔLtとして算出する(ステップS36)。
このとき、算出した目標レベル偏差ΔLtの大きさによって、レベル変化値Aを設定する。このレベル変化値Aは目標レベル偏差ΔLtが一番大きな値の第1の設定値ΔLt1以上であるときには“2”に設定され(ステップS38)、この第1の設定値ΔLt1より小さい第2の設定値ΔLt2以上であるときには“4”に設定され(ステップS40)、第2の設定値ΔLt2未満であるときには“6”に設定される(ステップS41)。
【0061】
そして、今回の原料レベルL(n) 、前回の原料レベルL(n-1) 、目標レベルLt及びレベル変化値Aに基づいて前記(1)式の演算を行うことにより、プッシャータイマ修正時間Xを算出する(ステップS42)。
算出したプッシャータイマ修正時間Xの絶対値|X|が予め設定した設定時間Xs(例えば4秒)より長いときには、プッシャータイマ修正時間Xを設定時間Xsに制限し(ステップS44)、このプッシャータイマ修正時間Xを基準設定時間Tsに加算してプッシャータイマの設定時間Tを算出する(ステップS45)。
【0062】
このため、例えば原料貯留槽4から供給される原料の粒度が大きくなることにより、短いストロークのプッシャー17Sの1サイクル分の押し出し動作によるロータリキルン20への原料投入量が原料貯留槽4から原料貯留分配部10に供給される原料供給量に比較して多くなって、今回の原料レベルL(n) が前回の原料レベルL(n-1) より減少している場合即ちレベル変化量ΔLが負である場合で且つ今回の原料レベルL(n) が目標原料レベルLtより大きい場合即ち目標レベル偏差ΔLtが負である場合には、前記(1)式で算出されるプッシャータイマ修正時間Xが負の値となることから、プッシャータイマの設定時間Tが基準設定時間Tsより増加することになる。このため、プッシャー17Sの1サイクル分の時間が基準設定時間Tsに設定されている場合に比較して長くなることにより、ロータリキルン20への原料投入量が原料貯留分配部10に供給される原料供給量に近づくように減少し、目標原料レベルLtを維持しながら原料供給量と原料投入量とをバランスさせてロータリキルン20への原料定量投入を確保することができる。
【0063】
逆に、例えば原料貯留槽4から供給される原料の粒度が小さくなることにより、短いストロークのプッシャー17Sの1サイクル分の押し出し動作によるロータリキルン20への原料投入量が原料貯留槽4から原料貯留分配部10に供給される原料供給量に比較して少なくなって、今回の原料レベルL(n) が前回の原料レベルL(n-1) より増加している場合即ちレベル変化量ΔLが正である場合で且つ今回の原料レベルL(n) が目標原料レベルLtより大きい場合即ち目標レベル偏差ΔLtが正である場合には、前記(1)式で算出されるプッシャータイマ修正時間Xが正の値となることから、プッシャータイマの設定時間Tが基準設定時間Tsより減少することになる。このため、プッシャー17Sの1サイクル分の時間が基準設定時間Tsに設定されている場合に比較して短くなることにより、ロータリキルン20への原料投入量が原料貯留分配部10に供給される原料供給量に近づくように増加し、目標原料レベルLtを維持しながら原料供給量と原料投入量とをバランスさせてロータリキルン20への原料定量投入を確保することができる。
【0064】
しかも、目標レベル偏差ΔLtの値が大きくなる程レベル制御変化値Aが減少するので、前記(1)式における積分項を表す右辺第2項の値が大きくなり、目標レベル偏差ΔLtを“0”とするように即ち原料レベルLが目標原料レベルLtを維持するように積分制御される。
さらに、算出されたプッシャータイマ修正時間Xの大きさが大きくなるに従って、保持サイクル数Nsも順次“1”から“4”まで増加することになり、プッシャータイマの設定時間Tが変更された場合にプッシャータイマ修正時間Xが大きくなる程変更されたプッシャータイマの設定時間Tを維持するプッシャー17Sのサイクル数が増加することになり、原料投入量の修正幅も大きくなってロータリキルン20への投入量を素早く修正する所謂微分制御を行うことができる。
【0065】
このように、前記(1)式に従って、プッシャータイマ修正時間Xを算出することにより、比例・積分制御を行い、且つ算出したプッシャータイマ修正時間Xに基づいて保持サイクル数を設定する微分制御を行うので、原料粒度が変わることによるプッシャー17Sの原料投入量の変化が生じても、原料貯留分配部10内の原料レベルLを図9に示すように、目標原料レベルLtを略維持することができる。
【0066】
因みに、保持サイクル数Nsを変更する微分制御を行わず、レベル変化量ΔLによるプッシャータイマ修正時間の比率を増加させることによる比例・積分制御を行う場合には、図10に示すように原料レベルLが上限レベルLu及び下限レベルLdの許容範囲内ではあるが目標原料レベルLtに対して上下に大きく変動することになり、ロータリキルン20への原料投入量を正確に制御することができないものであった。
【0067】
また、通常操業状態で、炉床11の内周縁側にダスト等が固着した場合を想定して、例えば1週間に1度程度長いストロークのプッシャー17Lを1サイクル分押し出し駆動することにより、プッシャー17Lの先端を炉床11の内周縁近傍まで移動させることにより、ダスト等の固着物を剥がして排出孔16に落下させる長いストロークのプッシャー駆動制御を行うことが好ましい。この場合、長いストロークのプッシャー17Lの駆動間隔を制御するために短いストロークのプッシャー17Sを制御するプッシャータイマを、長いストロークのプッシャー17Lによる原料投入量が短いストロークのプッシャー17Sによる原料投入量と一致する設定時間に設定する。なお、プッシャータイマとしては別途長いストロークのプッシャー17L用のプッシャータイマを設けるようにしてもよい。
【0068】
さらには、プッシャータイマの設定時間Tと原料レベルLの変化量とを監視して、原料レベルLの変化量が通常制御時の変化量より所定量以上少なくなったときに、炉床11の内周縁部にダスト固着等が発生したものと判断して、自動的に長いストロークのプッシャー17Lを1サイクル分駆動するようにしてもよい。
また、通常操業状態で、製品温度のトレンドグラフを表示したい場合には、製品温度トレンド指示部88をマウス42によって選択することにより、図11に示すように、製品温度のトレンドグラフをキルン運転監視操作画面の左下側に表示することができ、製品温度の推移を一目瞭然に表示することができ、オペレータが容易に視認することができる。
【0069】
さらに、通常操業状態において、原料貯留槽4に貯留されている原料が例えばドロマイトであり、このドロマイトを予熱炉9を介してロータリキルン20に供給して焼成している状態で、焼成原料を例えば石灰石に変更する場合には、この原料の変更に応じてロータリキルン20での焼成温度も変更する必要があるので、原料貯留槽4内のドロマイトが空になって新たに石灰石を投入する状態となった時点で、切替時指示部84をマウス42で選択して、その焼成切替表示部84aに焼成切替を行うドロマイト→石灰石右を設定すると共に、切り替えた原料が焼成される時刻を焼成時刻表示部84bに表示し、この昇温率又は降温率が昇温率表示部84c又は降温率表示部84dに生じされ、さらにロータリキルン20から排出される切替え前の原料と切替え後の原料比が50%ずつとなるまでの時間が製品切替時間表示部84fに表示される。このため、原料切替え時にオペレータが交代した場合に原料切替えの申し送りを忘れた場合でも、この切替時指示部84に表示されているデータを視認することにより、原料切替中であることを直ちに把握することができる。
【0070】
その後、正常操業状態から原料焼成システムを停止させる場合には、図3に示すキルン運転監視操作画面で、吹き下ろし画面指示部86をマウス42によって選択することにより、図5に示す吹き降ろし監視操作画面がディスプレイ41の表示部に表示され、この吹き降ろし監視操作画面で停止ボタンを操作することにより、ロータリキルン20の回転胴21に設けた燃焼バーナ22で燃焼用ガスが直ちに消火され、これと同時にドラフトを絞って予熱炉9内の負圧を減少させると共に、主排風機32及び各種送風機を停止して、ドラフトを無くして予熱炉9及びロータリキルン20での保温効果を増大させる。この状態で、予熱炉9のプッシャー17の駆動を停止させる。このとき、予熱炉9からの排ガス温度を監視してこれが増加する場合にはプッシャー17を単機運転してロータリキルン20内に原料を投入することにより、排ガス温度上昇を低下させる。その後、回転胴21内に残留する製品の払い出しが全て完了すると、燃焼用の一次空気及び二次空気の供給を停止し、回転胴21内の温度600℃まで低下すると駆動モータからキルンエンジンに切替え、予熱炉9のプッシャー17の駆動及び炉床11の回転を完全に停止され、回転胴21内温度が200℃まで低下するとロータリキルン20を完全に停止させる。
【0071】
なお、上記実施形態においては、キルン運転監視操作画面の各指示部をマウス42によって選択指示する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、キーボード43からカーソルを操作して、実行キーで選択することもでき、さらにはディスプレイ41の表示画面にタッチセンサを設け、このタッチセンサでオペレータのタッチ位置を検出して、指示部の選択を入力するようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態においては、予熱炉9からの排ガスを処理するために電気集塵機を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、他の機械式集塵機を適用することもでき、この場合には許容温度が高いため、調湿塔30を省略することができる。
さらに、上記実施形態においては、ロータリキルン20の燃焼用バーナ22に燃焼用ガスを供給する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、重油、石炭等の他の液体又は固体燃料を使用するようにしてもよい。
【0073】
さらに、上記実施形態においては、キルン運転監視操作画面に原料焼成システムの全体構成図を表示する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、原料焼成システムの構成を分割表示し、所望の表示を選択するようにしてもよい。
さらにまた、上記実施形態においては、ストロークの短いプッシャー17Sを1つずつ順次押し出し駆動する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、複数のプッシャー17Sを同時に押し出し駆動するようにしてもよい。この場合には、プッシャータイマの設定時間Tを、プッシャー17Sを1つずつ押し出し駆動する場合の複数倍とすればよく、ロータリキルン20への原料投入量が間欠的に変化することになるが、所定時間当たりの原料投入量の変化は抑制することができる。同様に、ストロークの長いプッシャー17Lを順次押し出し駆動するようにしてもよい。
【0074】
なおさらに、上記実施形態においては、原料貯留分配部10の原料レベルLを超音波レベル計54で検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、レーザー距離計等の他のレベル検出器を適用することができる。
また、上記実施形態においては、原料貯留分配部10の原料レベルを目標原料レベルLtを維持するように制御する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、目標原料レベルLtに許容範囲を設け、この許容範囲を維持するように原料レベルを制御するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…原料ホッパー、2…水洗篩、4…原料貯留槽、5…フィーダー、6…水平コンベヤ、7…垂直コンベヤ、8…投入シュート、9…予熱炉、10…原料貯留分配部、11…炉床、12…予焼成室、13…分配供給管、14…炉蓋、15…堆積層、16…排出孔、17…プッシャー、17S…短ストロークプッシャー、17L…長ストロークプッシャー、18…連通管、19…排気管、20…ロータリキルン、21…回転胴、22…燃焼用バーナ、23…製品クーラー、30…調湿塔、31…電気集塵機、32…主排風機、33…煙突、40…制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直線を中心として回転する環状の炉床上に外部の原料貯留槽から切り出されて供給される粒塊状の原料を受ける予熱炉と、該予熱炉に連通して前記炉床から落下する原料を回転胴内に受け、当該回転胴の回転に伴って原料を排出部に移動させる回転炉とを備えた原料焼成装置において、
前記予熱炉は上部に形成した前記原料貯留槽から供給される原料を受けて前記炉床に分配供給する原料貯留分配部と、前記炉床で受けた原料を前記回転炉側に落下させるように押し出す当該炉床の円周方向に配設された複数のプッシャーと、前記原料貯留分配部内の原料レベルを検出する原料レベル検出手段と、前記原料貯留槽から切出される原料の目標切出量を前記回転炉の目標投入量に設定するとともに、前記原料レベル検出手段で検出した原料レベルが所定範囲となるように制御し、さらに前記複数のプッシャーの押し出しタイミングを前記原料レベル検出手段で検出した原料レベルのレベル変化量に基づいて制御する原料制御手段とを備えたことを特徴とする原料焼成装置。
【請求項2】
前記原料レベル検出手段は、原料貯留分配部の頂部内に配設した超音波距離センサで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の原料焼成装置。
【請求項3】
前記原料貯留槽は、下部に原料切り出し量を制御する原料切り出し機構が配設され、該原料切り出し機構から切り出した原料を水平搬送手段及び垂直搬送手段を介して前記原料貯留分配部に供給するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の原料焼成装置。
【請求項4】
前記原料制御手段は、前記プッシャーを順次作動させるための作動間隔を設定して原料押し出しタイミングを制御するプッシャータイマの設定時間の間隔で当該プッシャーを順番に1つずつ押し出し制御するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の原料焼成装置。
【請求項5】
前記原料制御手段は、前記プッシャーが少なくとも一通り押し出し駆動される押し出し制御終了時の原料レベルと前回押し出し制御終了時の原料レベルとのレベル変化量と、目標レベルと前記押し出し制御終了時の原料レベルとの目標レベル偏差とに基づいて原料押し出しタイミングの修正時間を算出する修正時間算出手段を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1つに記載の原料焼成装置。
【請求項6】
前記原料制御手段は、前記プッシャーが一通り押し出し駆動される1サイクル分の押し出し制御を保持サイクル数行った押し出し制御終了時の原料レベルと前回押し出し制御終了時の原料レベルとのレベル変化量と、目標レベルと前記押し出し制御終了時の原料レベルとの目標レベル偏差とに基づいて原料押し出しタイミングの修正時間を算出する修正時間算出手段と、該修正時間算出手段で算出した修正時間に基づいて前記保持サイクル数を設定する修正保持手段とを有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1つに記載の原料焼成装置。
【請求項7】
前記修正時間算出手段は、前記レベル変化量と、前記目標レベル偏差と、該目標レベル偏差を除算するレベル変化値とに基づいて原料押し出しタイミングの修正時間を算出し、前記レベル変化値を目標レベル偏差の大きさに応じて変更するように構成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の原料焼成装置。
【請求項8】
原料貯留槽から切り出した粒塊状の原料を、鉛直線を中心として回転する環状の炉床を有する予熱炉で予熱してから回転胴を有する回転炉に投入して焼成するようにした原料焼成方法において、
前記予熱炉の上部に前記原料貯留槽から供給される原料を受けて前記炉床に分配供給する原料貯留分配部を形成すると共に、前記炉床で受けた原料を前記回転炉側に落下させるように押し出す複数のプッシャーを当該炉床の円周方向に配設し、前記原料貯留槽から切出される原料の切出量を前記回転炉の目標投入量に設定するとともに、原料レベルが所定範囲となるように制御し、さらに前記複数のプッシャーの原料押し出しタイミングを前記原料貯留分配部での原料レベルのレベル変化量に基づいて制御することを特徴とする原料焼成方法。
【請求項1】
鉛直線を中心として回転する環状の炉床上に外部の原料貯留槽から切り出されて供給される粒塊状の原料を受ける予熱炉と、該予熱炉に連通して前記炉床から落下する原料を回転胴内に受け、当該回転胴の回転に伴って原料を排出部に移動させる回転炉とを備えた原料焼成装置において、
前記予熱炉は上部に形成した前記原料貯留槽から供給される原料を受けて前記炉床に分配供給する原料貯留分配部と、前記炉床で受けた原料を前記回転炉側に落下させるように押し出す当該炉床の円周方向に配設された複数のプッシャーと、前記原料貯留分配部内の原料レベルを検出する原料レベル検出手段と、前記原料貯留槽から切出される原料の目標切出量を前記回転炉の目標投入量に設定するとともに、前記原料レベル検出手段で検出した原料レベルが所定範囲となるように制御し、さらに前記複数のプッシャーの押し出しタイミングを前記原料レベル検出手段で検出した原料レベルのレベル変化量に基づいて制御する原料制御手段とを備えたことを特徴とする原料焼成装置。
【請求項2】
前記原料レベル検出手段は、原料貯留分配部の頂部内に配設した超音波距離センサで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の原料焼成装置。
【請求項3】
前記原料貯留槽は、下部に原料切り出し量を制御する原料切り出し機構が配設され、該原料切り出し機構から切り出した原料を水平搬送手段及び垂直搬送手段を介して前記原料貯留分配部に供給するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の原料焼成装置。
【請求項4】
前記原料制御手段は、前記プッシャーを順次作動させるための作動間隔を設定して原料押し出しタイミングを制御するプッシャータイマの設定時間の間隔で当該プッシャーを順番に1つずつ押し出し制御するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の原料焼成装置。
【請求項5】
前記原料制御手段は、前記プッシャーが少なくとも一通り押し出し駆動される押し出し制御終了時の原料レベルと前回押し出し制御終了時の原料レベルとのレベル変化量と、目標レベルと前記押し出し制御終了時の原料レベルとの目標レベル偏差とに基づいて原料押し出しタイミングの修正時間を算出する修正時間算出手段を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1つに記載の原料焼成装置。
【請求項6】
前記原料制御手段は、前記プッシャーが一通り押し出し駆動される1サイクル分の押し出し制御を保持サイクル数行った押し出し制御終了時の原料レベルと前回押し出し制御終了時の原料レベルとのレベル変化量と、目標レベルと前記押し出し制御終了時の原料レベルとの目標レベル偏差とに基づいて原料押し出しタイミングの修正時間を算出する修正時間算出手段と、該修正時間算出手段で算出した修正時間に基づいて前記保持サイクル数を設定する修正保持手段とを有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1つに記載の原料焼成装置。
【請求項7】
前記修正時間算出手段は、前記レベル変化量と、前記目標レベル偏差と、該目標レベル偏差を除算するレベル変化値とに基づいて原料押し出しタイミングの修正時間を算出し、前記レベル変化値を目標レベル偏差の大きさに応じて変更するように構成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の原料焼成装置。
【請求項8】
原料貯留槽から切り出した粒塊状の原料を、鉛直線を中心として回転する環状の炉床を有する予熱炉で予熱してから回転胴を有する回転炉に投入して焼成するようにした原料焼成方法において、
前記予熱炉の上部に前記原料貯留槽から供給される原料を受けて前記炉床に分配供給する原料貯留分配部を形成すると共に、前記炉床で受けた原料を前記回転炉側に落下させるように押し出す複数のプッシャーを当該炉床の円周方向に配設し、前記原料貯留槽から切出される原料の切出量を前記回転炉の目標投入量に設定するとともに、原料レベルが所定範囲となるように制御し、さらに前記複数のプッシャーの原料押し出しタイミングを前記原料貯留分配部での原料レベルのレベル変化量に基づいて制御することを特徴とする原料焼成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−158242(P2011−158242A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19859(P2011−19859)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【分割の表示】特願2004−143818(P2004−143818)の分割
【原出願日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(000200301)JFEミネラル株式会社 (79)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【分割の表示】特願2004−143818(P2004−143818)の分割
【原出願日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(000200301)JFEミネラル株式会社 (79)
【Fターム(参考)】
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