説明

原稿搬送装置

【課題】 原稿を自動的に取り込み、その画情報を読み取る自動原稿搬送装置(ADF)において、該ADF内のメンテナンスを容易にすることを課題とする。
【解決手段】 プラテンガラス8上に設けられ、原稿の搬送をガイドするインナーガイド23と、プラテンガラス8から排紙トレイ4まで原稿をガイドするインナーガイド22とをそれぞれ別の回転軸35a・39aに取り付け、該インナーガイド22・23を連結具25・25を介して連結し、インナーガイド22の回動によりインナーガイド23を連動して回動させ、プラテンガラス8上方を開放し、清掃等のメンテナンスを行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機やファクシミリ等、あるいは、その両機能を有する画像形成装置に付設される自動原稿搬送装置(ADF)の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、複写機やファクシミリ等、あるいは、その両機能を有する画像形成装置の上部には、自動原稿搬送装置(ADF)が付設されている。このADFの取込口にセットされた原稿は、始動操作により自動的にADF内へ取り込まれ、搬送経路に沿ってUターンし、読取位置であるプラテンガラス上を通過して、その画情報が読み取られ、該取込口の下方の排紙口より排出されていた。
【0003】この種のADFは原稿搬送経路に沿った幾つかのカバーに分割して構成され、原稿ジャム等が発生した場合、該カバーを開放して、メンテナンスを行う。これらのカバーは原稿の搬送経路のガイド面を兼ねており、プラテンガラス上に設けられたガイドカバーと、プラテンガラスから排紙口まで原稿を案内する案内カバーと、給紙口からプラテンガラス付近まで原稿を案内する上部カバー等から成り、それぞれ別の軸に回動自在に取り付けられている。また、これらのカバーには原稿を繰り送る搬送ローラが取り付けられ、該搬送ローラは、各カバーを閉じた状態で、原稿搬送経路に沿って適宜位置に配列される。
【0004】しかし、上記構成では、回動する各カバーに搬送ローラが取り付けられているため、ADFの剛性や、各ローラへの駆動伝達、ローラの位置が一定とならない等の問題から、原稿の送りムラが発生しやすい。そこで、前記搬送ローラをADF側方の固定フレームで軸支し、さらにプラテンガラスに対してはガイドカバーを押し当て、特にプラテンガラス上では送りムラが発生しないようにして、改良がなされた。こうして原稿の送りムラを減少させて読取精度の向上が図られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、プラテンガラス付近で紙詰まりが発生した場合等、ADFの上部カバーを開放し、案内カバーを開放した上で、その奥のガイドカバーを開放しなければならず、その処理がなかなか面倒であった。本発明では、この点を鑑み、プラテンガラスの清掃等、ADF内のメンテナンスを容易にすることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は以上のような課題を解決すべく、次のような手段を用いるものである。すなわち、請求項1記載の如く、プラテンガラス上に設けられた原稿のガイド部材と、プラテンガラスから排出トレイまで原稿を案内する案内部材とを、それぞれ別の軸に回動自在に取り付け、該ガイド部材と該案内部材とを連結具を介して連結し、案内部材の回動によりガイド部材を連動して回動させ、該ガイド部材をプラテンガラスに接離させる。
【0007】また、請求項2記載の如く、前記連結具を、前記ガイド部材又は前記案内部材の少なくともいずれか一方に対し係脱自在に取り付ける。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、ファクシミリ装置1を参照しながら説明する。図1はファクシミリ装置1の斜視図、図2はADF2の斜視図、図3はADFカバー21が閉じられた状態でのADF2の側面図、図4はADFカバー21を開放した状態でのADF2の側面図、図5ADFカバー21、及びインナーガイド22・23を開放した状態でのADF2の側面図、図6R>6連結具25の側面図、図7は同じく正面図である。
【0009】尚、以下の説明では、図1における矢視F方向を前方として、各構造体の前後左右位置を説明する。また、その他の図面における各構造体の前後左右位置も図1に準ずるものとする。
【0010】図1及び図3に示すように、ファクシミリ装置1の上部一端には、原稿を自動的に読取装置へ給送する自動原稿搬送装置(以下「ADF」)2が付設されている。
【0011】給紙トレイ3に載置された原稿は、一枚ずつ分離されてADF2内の原稿搬送路9へと取り込まれ、プラテンガラス8位置で装置本体側の読取装置により原稿の画情報が読み取られた後に、排紙口2bから排出されて、排紙トレイ4上に積載される。そして、この読み取られた画情報は電気信号に変換され、電話線を介して相手先に送信される。
【0012】図2乃至図5に示すように、前記ADF2は開放可能に構成され、原稿搬送路9で紙詰まりが発生した場合等、装置上方からのメンテナンスが可能に構成されている。
【0013】前記ADF2は図2に示すように、原稿搬送路9のガイド面を形成するADF本体20、ADFカバー21、インナーガイド22・23等の枠体と、該原稿搬送路9に沿って配置されるローラ30・31・32・33・34・35・36・37・38・・・等から成り、該ADFカバー21、及び該インナーガイド22・23は、ADF本体20に対して上下回動可能に取り付けられている。
【0014】図3に示すように、ADFカバー21はADF本体20後端部の回動支点軸29で軸支され、一方のインナーガイド22・23はそれぞれその一端部を、ADF本体20側方のフレームに軸支された前記ローラ35・・の回転軸35a・39aに係合させて、着脱自在な構成で取り付けられている。
【0015】また、他のローラ30・31・32・33・34・36・37・38・・・の回転軸もADF本体20両側方のフレーム28・28に取り付けられており、これにより各ローラ30・31・32・33・34・35・36・37・38・・・が一定位置に配置されて、原稿の送りムラを発生させず、精確に繰り送ることができる。
【0016】そして、インナーガイド22・23とは、その両端で連結具25・25により連結され、インナーガイド22を回動させると、連動してインナーガイド23も回動する構成である。
【0017】図6及び図7に示すように、前記連結具25は、略釣り針状のプレートで、フック部25aと胴部25bとから成り、該胴部25bの内側面には孔部25cが形成されている。
【0018】また一方、図3に示すように、インナーガイド22の一側面の後端部には凸起部22aが凸設され、また、インナーガイド23の両側面の前端部には凸起部23aが形成されている。図示は省略するが、インナーガイド22・23の他側の側面においても同様に、凸起部22a・23aがそれぞれ形成されている。
【0019】このような構成で、連結具25の胴部25bの孔部25cをインナーガイド23の凸起部23aに嵌め込み、そのフック部25aをインナーガイド22の凸起部22aに引っ掛ける。こうして連結具25・25をインナーガイド22・23に容易に取り付けることができる。また、フック部25aを凸起部22aから外すことで、連結具25を簡単に取り外すことができる構成にもなっている。
【0020】以上のようにADF2を構成し、該ADF2内のメンテナンスをするときには、まず、図4に示すように、ADFカバー21を開放し、そして、図5に示すように、インナーガイド22を上方へ回動する。このとき、インナーガイド22の凸起部22aと係合する連結具25が引き上げられ、これにより該連結具25と嵌合するインナーガイド23の凸起部23aも引き上げられ、インナーガイド23が上方回動される。こうして、簡単にプラテンガラス8の上方付近が開放されて、装置上方からインナーガイド22・23の背面(下面)、並びにプラテンガラス8の上面を覗き込むことができ、ジャム処理や清掃等が容易に行え、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0021】さらに、連結具25・25をインナーガイド22・23から取り外せば、該インナーガイド22・23をそれぞれの回転軸35a・39aから取り外すことができ、これによりプラテンガラス8の上方付近がより広く開放されて、さらにメンテナンスがし易くなる。
【0022】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、以下のような効果を奏ずるものである。すなわち、請求項1のように、プラテンガラス上に設けられた原稿のガイド部材と、プラテンガラスから排出トレイまで原稿を案内する案内部材とを、それぞれ別の軸に回動自在に取り付け、該ガイド部材と該案内部材とを連結具を介して連結し、案内部材の回動によりガイド部材を連動して回動させ、該ガイド部材をプラテンガラスに接離させることで、簡単にプラテンガラスの上方付近が開放され、装置上方からガイド部材、案内部材の背面(下面)、並びにプラテンガラスの上面を覗き込むことができ、ジャム処理や清掃等が容易に行え、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0023】また、請求項2のように、前記連結具を、前記ガイド部材又は前記案内部材の少なくともいずれか一方に対し係脱自在に取り付けたので、該連結具を、該ガイド部材、又は該案内部材から容易に取り外すことができ、必要に応じて、該ガイド部材、又は該案内部材を取り外して、プラテンガラス上方付近をより広く開放することができ、ジャム処理や清掃等のメンテナンスをさらに容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ファクシミリ装置1の斜視図。
【図2】ADF2の斜視図。
【図3】ADFカバー21が閉じられた状態でのADF2の側面図。
【図4】ADFカバー21を開放した状態でのADF2の側面図。
【図5】ADFカバー21、及びインナーガイド22・23を開放した状態でのADF2の側面図。
【図6】連結具25の側面図。
【図7】同じく正面図。
【符号の説明】
1 ファクシミリ装置
2 ADF
8 プラテンガラス
21 ADFカバー
22 インナーガイド
22a 凸起部
23 インナーガイド
23a 孔部
25 連結具
25a フック部
25b 胴部
25c 凸起部
35a 回転軸
39a 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】 プラテンガラス上に設けられた原稿のガイド部材と、プラテンガラスから排出トレイまで原稿を案内する案内部材とを、それぞれ別の軸に回動自在に取り付け、該ガイド部材と該案内部材とを連結具を介して連結し、案内部材の回動によりガイド部材を連動して回動させ、該ガイド部材をプラテンガラスに接離させることを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】 前記連結具を、前記ガイド部材又は前記案内部材の少なくともいずれか一方に対し係脱自在に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の原稿搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2002−274694(P2002−274694A)
【公開日】平成14年9月25日(2002.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−77059(P2001−77059)
【出願日】平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】