説明

原稿読取装置

【課題】 搬送経路の切替による消費電力を低減することができる原稿読取装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 分岐爪21及び22が、回転軸を中心に回転することにより、第1搬送路及び第2搬送路のいずれかへ原稿を案内する。このとき、弾性部材が第1搬送路へ原稿を案内するように分岐爪21,22を付勢し、ソレノイド27及び28が、第2搬送路へ原稿を案内するように、それぞれ分岐爪21,22を回転させる。電源供給制御部44は、ソレノイド27,28への電源供給を制御する。このとき、原稿を第2搬送路へ案内する場合に、原稿先端が分岐点B5,B6へ到達した後であって、原稿後端が分岐点B5,B6を通過する前にソレノイド27,28への電源供給を停止し、第1搬送路へ原稿を案内する場合に、原稿後端が分岐点B5,B6を通過するまでソレノイド27,28への電源供給を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿読取装置に係り、更に詳しくは、2以上の搬送経路を切替可能な原稿読取装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
2以上の原稿を自動搬送し、これらの原稿を順次に読み取ることができる原稿読取装置が広く普及している。また、自動搬送によって原稿の両面読取を行うことができる原稿読取装置も広く普及している。両面読取が可能な原稿読取装置には、例えば、自動搬送中に原稿の表裏を反転させて1つのイメージセンサを用いて原稿の両面読取を行う2パス1スキャナ方式が知られている。
【0003】
自動搬送機構を有する原稿読取装置では、例えば、原稿の搬送路を分岐させることにより、原稿サイズや原稿の読取方式に応じて、異なる搬送路へ原稿を案内することが広く行われている。この様な例として、特許文献1及び2には、搬送経路を切り替えるための分岐爪を2以上の搬送路の分岐点に配置し、ソレノイドによって分岐爪を回転させることにより、いずれかの搬送路へ原稿を案内することが記載されている。
【0004】
特許文献1及び2に記載の分岐爪を用いて原稿をいずれかの搬送路へ案内する場合、分岐爪にソレノイドの付勢力が印加されている状態では、電力が継続的に消費される。このため、搬送経路の切替による消費電力が大きくなってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−116071号公報
【特許文献2】特開平11−263540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、搬送経路の切替による消費電力を低減することができる原稿読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明による原稿読取装置は、搬送中の原稿を検出する原稿検出センサと、上記原稿検出センサによる検出結果に基づいて、搬送経路上における原稿位置を特定する原稿位置特定手段と、搬送経路上の分岐点に配置され、回転軸を中心に回転することにより、第1搬送路及び第2搬送路のいずれかへ原稿を案内する分岐爪と、第1搬送路へ原稿を案内するように上記分岐爪を付勢する弾性部材と、第2搬送路へ原稿を案内するように上記付勢力に抗して上記分岐爪を回転させるソレノイドと、上記原稿位置に基づいて、上記ソレノイドへの電源供給を制御する電源供給制御手段とを備え、上記電源供給制御手段が、第2搬送路へ原稿を案内する場合に、原稿の先端が上記分岐点に到達した後であって、原稿の後端が上記分岐点を通過する前に上記ソレノイドへの電源供給を停止し、第1搬送路へ原稿を案内する場合に、原稿の後端が上記分岐点を通過するまで上記ソレノイドへの電源供給を停止するように構成される。
【0008】
この様な構成によれば、第2搬送路へ原稿を案内するように分岐爪を回転させた後、原稿の先端が分岐点を通過した後であって、原稿の後端が分岐点を通過する前にソレノイドへの電源供給が停止される。このため、弾性部材の付勢力によって分岐爪が第1搬送路へ原稿を案内するように回転するが、仮に原稿が分岐爪と接触したとしても、原稿は、そのまま第2搬送路へ搬送される。従って、原稿を第2搬送路へ案内する場合に、ソレノイドへの電源供給をより早く停止させ、消費電力を低減させることができる。
【0009】
第2の本発明による原稿読取装置は、上記構成に加え、第2搬送路上に原稿を搬送するための1又は2以上の搬送ローラを備え、上記電源供給制御手段が、第2搬送路へ原稿を案内する場合に、原稿の先端が第2搬送路上の最初の上記搬送ローラに到達した後であって、原稿の後端が上記分岐点を通過する前に、上記ソレノイドへの電源供給を停止させるように構成される。
【0010】
この様な構成によれば、原稿の先端が第2搬送路の搬送ローラに挟み込まれた後にソレノイドへの電源供給が停止されるので、より精度良く原稿を第2搬送路へ搬送することができる。
【0011】
第3の本発明による原稿読取装置は、原稿の原稿長を測定する原稿長測定手段と、搬送中の原稿を検出する原稿検出センサと、上記原稿検出センサによる検出結果に基づいて、搬送経路上における原稿位置を特定する原稿位置特定手段と、読取路上の原稿を読み取る原稿読取手段と、第1面の読取後の原稿をUターンさせて、第1面の読取時とは逆方向に上記読取路へそれぞれ進入させる第1及び第2のUターン路とを備え、第1及び第2のUターン路が互いに経路長が異なり、上記原稿読取手段が、上記読取路へ逆方向に進入した原稿の第2面の読取を行う原稿読取装置において、第1及び第2のUターン路の分岐点に配置され、回転軸を中心に回転することにより、第1及び第2のUターン路のいずれかへ原稿を案内する分岐爪と、第1のUターン路へ原稿を案内するように上記分岐爪を付勢する弾性部材と、第2のUターン路へ原稿を案内するように上記付勢力に抗して上記分岐爪を回転させるソレノイドと、上記原稿長に基づいて、第1及び第2のUターン路のいずれかへ原稿を案内するように上記ソレノイドへの電源供給を制御する電源供給制御手段とを備え、上記電源供給制御手段が、第2のUターン路へ原稿を案内する場合に、原稿の先端が上記分岐点に到達した後であって、原稿の後端が上記分岐点を通過する前に上記ソレノイドへの電源供給を停止し、第1のUターン路へ原稿を案内する場合に、原稿の後端が上記分岐点を通過するまで上記ソレノイドへの電源供給を停止するように構成される。
【0012】
この様な構成によれば、第1面の読取後の原稿をUターンさせて第2面の読取を行うUターン方式の両面読取を行う場合に、原稿長に基づいて、経路長の異なる2つのUターン路のいずれかを選択することができる。このため、原稿の搬送時間をより短縮することができる。また、第2のUターン路へ原稿を案内するように分岐爪を回転させた後、原稿の先端が分岐点を通過した後であって、原稿の後端が分岐点を通過する前にソレノイドへの電源供給が停止される。このため、原稿を第2のUターン路へ案内する場合に、ソレノイドへの電源供給をより早く停止させ、消費電力を低減させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明による原稿読取装置は、第2搬送路へ原稿を案内するように分岐爪を回転させた後、原稿の先端が分岐点を通過した後であって、原稿の後端が分岐点を通過する前にソレノイドへの電源供給が停止される。このため、弾性部材の付勢力によって分岐爪が第1搬送路へ原稿を案内するように回転するが、仮に原稿が分岐爪と接触したとしても、原稿は、そのまま第2搬送路へ搬送される。従って、原稿を第2搬送路へ案内する場合に、ソレノイドへの電源供給をより早く停止させ、消費電力を低減させることができる。
【0014】
また、原稿の先端が第2搬送路上の搬送ローラに挟み込まれた後にソレノイドへの電源供給が停止されるので、より精度良く原稿を第2搬送路へ搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態による原稿読取装置の一構成例を示した外観図である。
【図2】図1の複合機100の要部の一構成例を示した断面図である。
【図3】図2のADF装置10を用いて、原稿の読取を行う場合の様子を示した説明図である。
【図4】図2のADF装置10を用いて、原稿の読取を行う場合の様子を示した説明図である。
【図5】図2のADF装置10を用いて、原稿の読取を行う場合の様子を示した説明図である。
【図6】図2のADF装置10を用いて、原稿の読取を行う場合の様子を示した説明図である。
【図7】図2のADF装置10を用いて、原稿の読取を行う場合の様子を示した説明図である。
【図8】図2のADF装置10を用いて、原稿の読取を行う場合の様子を示した説明図である。
【図9】図2のADF装置10を用いて、原稿の読取を行う場合の様子を示した説明図である。
【図10】図2のADF装置10を用いて、原稿の読取を行う場合の様子を示した説明図である。
【図11】図1の複合機100の要部の一例を示した斜視図である。
【図12】図1の複合機100の要部について一構成例を示した機能ブロック図である。
【図13】分岐爪21及び22の切替動作の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態による原稿読取装置の一構成例を示した外観図であり、原稿読取装置の一例として複合機100が示されている。複合機(MFP:Multifunction Peripheral)100は、画像読取時に原稿の自動搬送を行うADF(Auto Document Feeder)装置10と、画像読取、印刷、ファクシミリ送受信などを行うMFP本体部30とによって構成される。
【0017】
MFP本体部30の操作パネル31には、ユーザが操作入力を行うためのスタートキー、テンキーなどの操作入力部31aと、ユーザに対し、動作状態を表示出力するためのディスプレイ31bが設けられている。例えば、ユーザは、操作入力部31aへの操作入力を行うことにより、原稿の片面読取及び両面読取のいずれかを指定することができる。
【0018】
また、MFP本体部30の上面には、図示しないコンタクトガラスが形成され、このコンタクトガラス上にADF装置10が開閉可能に配置されている。つまり、この複合機100は、コンタクトガラス上に載置された原稿を読み取るフラットベッド方式、ADF装置10により自動搬送中の原稿を読み取るADF方式のいずれの方式でも原稿を読み取ることができる。
【0019】
ADF装置10は、原稿トレイ11及び排出トレイ12を備え、その内部には搬送路が形成されている。原稿トレイ11内の原稿は、1枚ずつ分離して繰り込まれ、搬送路に沿って搬送され、排出トレイ12へ排出される。この搬送路は、MFP本体部30のコンタクトガラス上を通過するように形成されており、原稿は、コンタクトガラス上を通過する際にMFP本体部30によって読み取られる。
【0020】
図2は、図1の複合機100の要部の一構成例を示した断面図であり、主としてADF装置10の内部構造が模式的に示されている。図中のA1〜A11は原稿の搬送路である。B2は原稿の読取位置であり、B1及びB3〜B8は、2以上の搬送路の分岐点、合流点又は交差部である。
【0021】
<原稿読取部32>
原稿読取部32は、読取位置B2を通過する原稿の画像を読み取るイメージセンサであり、投光器32a及びラインセンサ32bからなるスキャナユニットを構成している。投光器32aからの照射光はコンタクトガラス上の原稿によって反射され、多数の受光素子が直線状に配置されたラインセンサ32bによって検出される。この配列方向と交差する方向に、原稿又はラインセンサ32bを相対的に移動させれば、2次元画像を読み取ることができる。ADF方式で画像読取を行う場合、スキャナユニットを静止させ、搬送中の原稿について画像読取が行われる。
【0022】
この複合機100では、2パス1スキャナ方式を採用し、1個の原稿読取部32を用いて原稿の両面読取を行っている。2パス1スキャナ方式とは、原稿の表裏を反転させ、同じ原稿読取部32で原稿を2回読み取らせる両面読取の方法である。一般的な2パス1スキャナ方式の原稿読取装置では、原稿をスイッチバックさせることにより原稿の表裏を反転させ、別の搬送路を通って原稿読取部32の手前に合流させ、原稿読取部32を同じ方向に2回通過させる。これに対し、複合機100では、原稿をUターンさせることによって原稿の表裏を反転させ、原稿読取部32を2回通過させる。このとき、原稿が原稿読取部32を通過する方向は、1回目及び2回目で逆方向となる。
【0023】
<搬送路A1〜A11>
ADF装置10内には、搬送路A1〜A11が形成され、片面読取、短原稿の両面読取及び長原稿の両面読取の場合に原稿の搬送経路がそれぞれ異なる。片面読取を行う場合、原稿は搬送路A1,A2,A3,A4,A9,A10の順に搬送される。この搬送経路を片面パスと呼ぶことにする。また、短原稿の両面読取を行う場合、A1,A2,A3,A4,A9,A11,A7,A2,A8,A4,A9,A10の順に搬送される。この搬送経路を短原稿用両面パスと呼ぶことにする。長原稿の両面読取を行う場合、A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A2,A8,A4,A9,A10の順に搬送される。この搬送経路を長原稿用両面パスと呼ぶことにする。
【0024】
搬送路A1及び搬送路A2は横向きU字状の搬送路を構成しており、搬送路A1を図中の右から左へ搬送された原稿が、読取位置B2を左から右へ通過する。搬送路A1は、原稿トレイ11から繰り込まれた原稿を分岐点B1まで搬送する導入路であり、いずれの搬送経路にも共通して用いられる。
【0025】
搬送路A2は、原稿を双方向に搬送可能な読取路であり、原稿読取部32により、搬送路A2上の読取位置B2を通過する原稿の読取が行われる。搬送路A2では、搬送路A1から進入した原稿を分岐点B3まで搬送し、搬送路A3側へ進入させる。また、搬送路A7から進入した原稿を分岐点B1まで搬送し、搬送路A8側へ進入させる。ここでは、分岐点B1から読取位置B2を通過して分岐点B3へ至る搬送方向を順方向とし、分岐点B3から分岐点B1へ至る搬送方向を逆方向とする。
【0026】
原稿トレイ11内に収容された原稿の上面を第1面、下面を第2面とすれば、順方向に読取位置B2を通過する原稿の第1面の読取が行われ、逆方向に読取位置B2を通過する原稿の第2面の読取が行われる。
【0027】
搬送路A3,A4,A5,A6,A7は、この順に、搬送路A2を順方向に通過した長原稿をUターンさせて表裏を反転させる長原稿用Uターン路を構成しており、この長原稿用Uターン路を通過した原稿は、分岐点B3から搬送路A2へ逆方向に進入する。搬送路A3は、順方向に搬送路A2を通過した原稿を分岐点B3からほぼ直線的に合流点B4へ搬送する搬送路である。搬送路A4は、搬送路A3又は搬送路A8を通過した原稿を分岐点B5へ直線的に搬送し、搬送路A9又は搬送路A5の上側へ進入させる搬送路である。搬送路A5は、搬送路A4を通過した原稿を交差部B8へ搬送し、搬送路A6へ進入させる横向きU字状の搬送路であり、時計回りに原稿を搬送することによって表裏を反転させる。搬送路A6は、搬送路A5を通過した原稿を合流点B7へ直線的に搬送する搬送路である。搬送路A7は、搬送路A6を通過した原稿を分岐点B3へほぼ直線的に搬送し、搬送路A2へ逆方向に進入させる搬送路である。
【0028】
搬送路A3,A4,A9,A11,A7は、この順に、搬送路A2を順方向に通過した短原稿をUターンさせて表裏を反転させる短原稿用Uターン路を構成しており、この短原稿用Uターン路を通過した原稿は、長原稿用Uターン路を通過した原稿と同様、分岐点B3から搬送路A2へ逆方向に進入する。搬送路A9は、搬送路A4を通過した原稿を分岐点B6へ搬送し、搬送路A10又は搬送路A11へ進入させる搬送路である。搬送路A11は、搬送路A9を通過した原稿を合流点B7へ搬送する搬送路である。搬送路A9及びA11は、それぞれ横向きU字状の上半分及び下半分に相当する搬送路であり、時計回りに原稿を搬送することによって表裏を反転させる。
【0029】
搬送路A8,A4,A9,A10は、この順に、搬送路A2を逆方向に通過した長原稿又は短原稿を排出口24へ搬送する排出路を構成している。搬送路A8は、逆方向に搬送路A2を通過した原稿を分岐点B1からほぼ直線的に合流点B4へ搬送する搬送路である。搬送路A10は、搬送路A9を通過した原稿を交差部B8へほぼ直線的に搬送し、排出口24から排出する搬送路である。すなわち、交差部B8では、排出路及び長原稿用Uターン路が交差している。
【0030】
<原稿トレイ11>
原稿トレイ11は、原稿を積み重ねて載置する原稿台13と、これらの原稿を位置決めするための原稿ストッパ14とを備えている。原稿台13上の原稿は、送り方向の先端(図中では左端)が原稿ストッパ14によって位置決めされており、最上部の原稿の先端付近が繰込ローラ15に接触した状態となっている。
【0031】
複合機100では、繰込ローラ15により原稿の繰込が行われ、原稿を搬送するための複数の搬送ローラにより原稿の搬送が行われる。ここでは、繰込ローラ15,分離ローラ16a,リタードローラ16b及びレジストローラ17が、第1搬送モータにより駆動され、複数の搬送ローラ18、切替ローラ19、レジストローラ20及び排出ローラ23が第2搬送モータにより駆動されるものとする。
【0032】
<繰込ローラ15>
繰込ローラ15は、原稿トレイ11内の原稿を搬送路へ繰り込む原稿繰込手段である。繰込ローラ15及び分離ローラ16aは原稿の送り方向に回転駆動され、リタードローラ16bは戻り方向に回転駆動される。このため、原稿トレイ11内の原稿は、上から順に繰込ローラ15によって搬送路A1へ繰り込まれ、原稿が重送状態で繰り込まれた場合、互いに逆回転している分離ローラ16a及びリタードローラ16bによって最上部の原稿のみが分離され、送り方向に搬送される。
【0033】
<レジストローラ17>
レジストローラ17は、繰込ローラ15及び分離ローラ16aと非同期に回転させることが可能な搬送ローラであり、分離ローラ16a及び分岐点B1に挟まれた搬送路A1上に配置されている。このレジストローラ17は、繰込ローラ15及び分離ローラ16aの駆動中に停止させることができる。レジストローラ17を停止させることにより、搬送中の原稿先端の搬送速度を急激に低下させ、原稿を弛ませて斜行を矯正することができる。ここでは、クラッチを用いて第1搬送モータから伝達される駆動力を遮断することにより、レジストローラ17を停止させるものとする。
【0034】
<搬送ローラ18>
搬送ローラ18は、回転駆動される駆動ローラと、搬送路を挟んで駆動ローラに対向して配置された従動ローラからなる。搬送路A1〜A11には、最短の原稿長より短い間隔で多数の搬送ローラ18が配置され、これらの搬送ローラ18によって原稿が搬送路上を搬送される。ここでは、各搬送ローラ18が互いに同期して回転するものとする。
【0035】
第2搬送モータは、搬送ローラ18、レジストローラ20、切替ローラ19及び排出ローラ23をそれぞれ駆動する。このとき、切替ローラ19、レジストローラ20及び排出ローラ23は、搬送ローラ18とは非同期に駆動される。
【0036】
<切替ローラ19>
切替ローラ19は、回転方向を切替可能な搬送ローラであり、ここでは、読取位置B2と分岐点B1とに挟まれた搬送路A2上に配置されている。この切替ローラ19は、正転時には原稿を順方向に搬送し、逆転時には原稿を逆方向に搬送する。切替ローラ19の回転方向は、例えば、切替ローラ19に回転力を伝達するクラッチのオンオフを切り替えることによって反転される。
【0037】
<レジストローラ20>
レジストローラ20は、他の搬送ローラ18と非同期に回転速度を低下させることが可能な搬送ローラであり、搬送路A7上に配置されている。このレジストローラ20は、例えば、クラッチを用いて第2搬送モータから伝達される駆動力を遮断することにより、回転速度が低下した状態となる。回転速度を低下させることにより、原稿先端の搬送速度を急激に低下させ、原稿の斜行を矯正することができる。
【0038】
<排出ローラ23>
排出ローラ23は、回転方向を切替可能な搬送ローラであり、搬送路A5と搬送路A10との交差部B8に配置されている。この排出ローラ23は、正転時には、搬送路A10上の原稿を排出口24から排出トレイ12へ排出する。逆転時には、搬送路A5上の原稿を搬送路A6へ進入させる。排出ローラ23は、例えば、ソレノイド及びクラッチを用いることにより、その回転方向が反転される。
【0039】
<分岐爪21,22>
分岐爪21及び22は、回転軸を中心に回転することにより、2以上の搬送路のうち、いずれかを原稿の搬送先として選択する爪状の回転部材であり、図示しないソレノイドとともに搬送経路の切替手段を構成している。ここでは、ソレノイドが分岐爪21及び22を回動させることによって、搬送先が選択されるものとする。
【0040】
分岐爪21は、分岐点B5に配置され、搬送路A4上の原稿を搬送路A5及びA9のいずれかへ案内する。具体的には、長原稿用Uターン路へ原稿を案内する場合には、原稿を搬送路A5側へ進入させる。一方、短原稿用Uターン路又は排出路へ原稿を案内する場合には、原稿を搬送路A9側へ進入させる。
【0041】
分岐爪22は、分岐点B6に配置され、搬送路A9上の原稿を搬送路A10及びA11のいずれかへ案内する。具体的には、短原稿用Uターン路へ原稿を案内する場合には、原稿を搬送路A11側へ進入させる。一方、排出路へ原稿を案内する場合には、原稿を搬送路A10側へ進入させる。
【0042】
原稿トレイ11内に収容された原稿の上面を第1面、下面を第2面とすれば、長原稿用両面パス及び短原稿用両面パスでは、第1面及び第2面の順で原稿が2回読み取られ、片面パスでは、原稿の第1面のみが読み取られる。すなわち、長原稿用両面パスが選択されている場合、原稿は、搬送路A1を経由して、搬送路A2上を順方向に搬送され、原稿読取部32により、搬送路A2上の読取位置B2においてその第1面が読み取られる。その後、原稿は、搬送路A3,A4,A5,A6,A7からなる長原稿用Uターン路を経由して、搬送路A2へ逆方向に進入し、その第2面が読み取られる。第2面の読取後、原稿は、搬送路A8,A4,A9,A10からなる排出路を経て排出口24から排出される。長原稿用両面パスでは、短原稿用両面パスに比べてUターン路の経路長が長く、より原稿長の長い原稿の両面読取を行うことができる。
【0043】
短原稿用両面パスでは、原稿が、長原稿用Uターン路の代わりに、搬送路A3,A4,A9,A11,A7からなる短原稿用Uターン路を搬送される点を除き、長原稿用両面パスと同じ搬送路を搬送される。短原稿用両面パスは、長原稿用両面パスに比べてUターン路の経路長が短く、Uターン路上の搬送時間を短くすることができる。このため、原稿長の短い原稿であれば、長原稿用両面パスに比べて原稿の搬送効率を向上させることができる。
【0044】
片面パスでは、第1面の読取までの搬送経路は長原稿用両面パス及び短原稿用両面パスと共通であるが、その後、原稿がUターンすることなく、搬送路A3,A4,A9,A10を順に経由して排出口24へ排出される。
【0045】
<原稿検出センサDS1〜DS6>
ADF装置10には、複数の原稿検出センサDS1〜DS6が設けられている。原稿検出センサDS1及びDS2は、原稿トレイ11に設けられ、原稿台13に載置された原稿を検出している。一方、原稿検出センサDS3〜DS6は、それぞれ異なる検出位置で搬送中の原稿の到着又は通過を検出している。なお、これらの原稿検出センサDS1〜DS6には光センサを用いることができる。
【0046】
原稿検出センサDS1は、原稿トレイ11上に原稿が載置されているか否かを検出する原稿載置検出手段である。例えば、反射型の光センサを原稿ストッパ14付近の原稿台13に埋設し、原稿の先端付近を検出すれば、原稿の有無を判別することができる。
【0047】
原稿検出センサDS2は、原稿の送り方向の長さを検出する原稿長検出手段である。例えば、原稿検出センサDS1より後方の原稿台13に光センサを埋設しておくことにより、原稿長が所定の長さ以上であるか否かを判別することができる。この場合、サイズの異なる2以上の原稿が積み重ねて載置されていれば、最大の原稿長が検出される。また、送り方向の位置を互いに異ならせて2以上の原稿検出センサDS2を配置すれば、原稿長が所定範囲内の長さであることを検出することもできる。
【0048】
原稿検出センサDS3〜DS6は、搬送路上の予め定められた検出位置を監視し、搬送中の原稿を検出する搬送状態検出手段であり、上記検出位置に対する原稿の到達又は通過を検出している。つまり、原稿の先端を検出している場合には、原稿が検出位置に到達したことを判別することができ、原稿の後端を検出している場合には、原稿が検出位置を通過したことを判別することができる。また、原稿検出センサDS3〜DS6による原稿検出後の搬送距離を測定することにより、搬送中の原稿の位置を特定することができる。
【0049】
原稿検出センサDS3は、分離ローラ16a及びレジストローラ17に挟まれた搬送路A1上に配置され、繰込ローラ15によって原稿トレイ11から搬送路A1に繰り込まれた原稿を検出している。原稿検出センサDS3は、例えば、停止中のレジストローラ17を駆動させるタイミングを求めるために用いられる。
【0050】
原稿検出センサDS4は、搬送路A2上に配置されており、ここでは、分岐点B1及び切替ローラ19に挟まれた位置に配置されている。原稿検出センサDS4は、原稿読取部32による第1面の読取開始及び読取終了のタイミングを求めるためのセンサであり、順方向の搬送時には読取位置B2への到達又は通過直前の原稿を検出している。また、逆方向の搬送時には、読取位置B2への到達又は通過直後の原稿を検出している。
【0051】
原稿検出センサDS5は、長原稿用Uターン路上に配置され、搬送中の原稿を検出する。ここでは、原稿検出センサDS5が、合流点B7及びレジストローラ20に挟まれた搬送路A7上に配置されており、レジストローラ20及び読取位置B2に到達する直前の原稿を検出するものとする。この原稿検出センサDS5は、原稿読取部32による第2面の読取開始及び読取終了のタイミングを求めるためのセンサであり、更に、レジストローラ20による斜行補正の終了タイミングを求めるために用いられる。
【0052】
原稿検出センサDS6は、搬送路A10上の排出ローラ23よりも上流に配置されており、排出口24から排出される直前の原稿を検出している。
【0053】
この複合機100では、Uターン方式により、原稿をスイッチバックさせることなく原稿の両面読取を行うため、原稿の高速搬送を実現することができる。また、原稿が2回通過する搬送路A2上に切替ローラ19が配置され、原稿を双方向に搬送するため、搬送ローラの数を減少させることができる。このため、複合機100をより小型化することができる。
【0054】
図3〜図10は、図2のADF装置10を用いて、原稿の読取を行う場合の様子を示した説明図である。ADF装置10では、片面読取及び両面読取のいずれかをユーザが選択する。更に、両面読取が選択された場合には、原稿検出センサDS2が検出した原稿長に基づいて、短原稿用両面パス及び長原稿用両面パスのいずれかの搬送経路が選択される。なお、両面読取を行う場合に、短原稿用両面パス及び長原稿用両面パスのいずれかの搬送経路がユーザによって選択されるようにしてもよい。
【0055】
<片面読取>
図3の(a)及び(b)は、片面読取についての説明図であり、搬送路A1〜A11上における原稿の搬送状態が時系列順に示されている。片面読取では、原稿が、搬送路A1を経由し、搬送路A2を順方向に搬送されて読取位置B2を通過した後、搬送路A3,A4,A9,A10を順に経由して排出される。つまり、原稿は、読取位置B2を1回のみ通過し、排出トレイ12へ排出される。この場合、分岐点B5では、原稿が分岐爪21により搬送路A9側へ案内され、分岐点B6では、分岐爪22により搬送路A10側へ案内される。また、片面読取では、切替ローラ19及び排出ローラ23は正転にのみ駆動され、回転方向の切替は行われない。また、図中の(b)に示した通り、後続の原稿の繰込は、先行する原稿が排出される前に開始される。
【0056】
<短原稿の両面読取>
図4〜図6の(a)〜(h)は、短原稿の両面読取についての説明図であり、搬送路A1〜A11上における原稿の搬送状態が時系列順に示されている。図4(a)に示すとおり、原稿は、搬送路A1を経由し、搬送路A2を順方向に搬送されて読取位置B2に到達する。
【0057】
次に、図4(b)〜図5(d)に示すとおり、原稿は、搬送路A3,A4,A9,A11,A7からなる短原稿用Uターン路を搬送される。すなわち、分岐点B5では、原稿が分岐爪21により搬送路A9側へ案内され、分岐点B6では、分岐爪22により搬送路A11側へ案内される。この場合、図4(b)に示すとおり、原稿の先端が搬送路A9上の基準位置E1に到達したときに、分岐点B6の分岐爪22に付勢するソレノイドへの電源供給が開始され、分岐爪22が、原稿を搬送路A11側に案内するように切り替わる。原稿先端の基準位置E1への到達は、例えば、原稿検出センサDS4による原稿先端の検出後の搬送距離を測定することによって判別される。
【0058】
更に、分岐点B5から搬送路A11側への原稿先端の進入直後に、このソレノイドへの電源供給が停止される。この場合、図4(c)に示すとおり、図示しないバネなどの弾性部材の付勢力により、原稿を搬送路A10側に案内するように分岐爪22が回転し、搬送中の原稿に接触する。しかしながら、弾性部材の付勢力は、接触中に原稿を搬送可能な程度に小さく、原稿はそのまま搬送路A11側に搬送される。また、図4(c)に示すとおり、原稿の先端が搬送路A7上の基準位置E2に到達したときに、切替ローラ19の回転方向が正転から逆転に切り替わる。
【0059】
更に、図5(d)に示すとおり、レジストローラ20による原稿の斜行の矯正が行われる。斜行の矯正は、回転速度を低下させたレジストローラ20に搬送中の原稿先端を接触させ、原稿を弛ませることによって行われる。斜行の矯正後、レジストローラ20の回転速度を上昇させ、原稿を搬送路A2へ逆方向に進入させる。
【0060】
図5(e)〜図6(h)に示すとおり、搬送路A2を通過した原稿は搬送路A8,A4,A9,A10からなる排出路を搬送される。分岐点B5に対する原稿後端の通過後、図5(e)に示すとおり、分岐爪22が弾性部材の付勢力によって原稿を搬送路A9側に案内するように切り替わる。また、図5(f)に示すとおり、原稿の先端が搬送路A4上の基準位置E3へ到達したときに、次の原稿の繰込が開始され、図6(g)に示すとおり、原稿先端が搬送路A9上の基準位置E4に到達したときに、切替ローラ19の回転方向が逆転から正転に再度切り替わる。更に、分岐点B6の分岐爪22により、原稿が搬送路A9から搬送路A10側に案内され、排出トレイ12へ排出される(図6(h))。また、図6(i)に示すとおり、次の原稿が、切替ローラ19により、搬送路A2上を順方向に搬送され、その第1面が読み取られる。
【0061】
<長原稿の両面読取>
図7〜図10の(a)〜(j)は、長原稿の両面読取についての説明図であり、搬送路A1〜A11上における原稿の搬送状態が時系列順に示されている。原稿は、短原稿の両面読取の場合と同様に、搬送路A2を順方向に搬送されて読取位置B2に到達する(図7(a))。
【0062】
次に、図7(b)〜図8(e)に示すとおり、原稿は搬送路A3,A4,A5,A6,A7からなる長原稿用Uターン路を搬送される。すなわち、分岐点B5では、原稿が分岐爪21により搬送路A5側へ案内される。この場合、図7(b)に示すとおり、原稿の先端が搬送路A4上の基準位置E5に到達したときに、分岐点B5の分岐爪21に付勢するソレノイドへの電源供給が開始され、分岐爪21が、原稿を搬送路A5側に案内するように切り替わる。基準位置E5への原稿前端の到達は、例えば、原稿検出センサDS4の検出位置からの原稿後端の搬送距離を測定することによって判別される。また、分岐点B6から搬送路A5側への原稿先端の進入直後に、このソレノイドへの電源供給が停止され、図7(c)に示すとおり、図示しないバネなどの弾性部材の付勢力により、原稿を搬送路A9側へ案内するように分岐爪21が回転し、搬送中の原稿に接触した状態となる。
【0063】
また、図7(c)に示すとおり、原稿の先端が搬送路A5上の基準位置E6に到達したときに、排出ローラ23が回転方向を正転から逆転に切り替える。排出ローラ23の回転方向の切替タイミングはより早くてもよい。
【0064】
更に、図8(d)に示すとおり、原稿の後端が搬送路A3上の基準位置E7を通過したときに、切替ローラ19の回転方向が正転から逆転に切り替わる。また、図8(e)に示すとおり、レジストローラ20による原稿の斜行の矯正が行われる。斜行の矯正後、レジストローラ20の回転速度を上昇させ、原稿を搬送路A2へ逆方向に進入させる。
【0065】
また、図8(f)〜図9(h)に示すとおり、搬送路A2を通過した原稿は搬送路A8,A4,A9,A10からなる排出路を搬送される。図8(f)に示すように、分岐点B5に対する原稿後端の通過後に、弾性部材の付勢力により、原稿を搬送路A9側へ案内するように分岐爪21が切り替えられる。
【0066】
また、図9(g)に示すとおり、原稿先端が搬送路A9上の基準位置E8に到達したときに、排出ローラ23の回転方向が逆転から正転に切り替わる。更に、図9(h)に示すとおり、分岐点B6の分岐爪22により、原稿が搬送路A10側へ案内される。また、原稿後端が読取位置B2を通過したときに、繰込ローラ15による次の原稿の繰込が開始される。また、図9(i)に示すとおり、原稿後端が搬送路A2上の基準位置E9を通過したときに、切替ローラ19の回転方向が逆転から正転に切り替わる。基準位置E9は、原稿検出センサDS4の検出位置と一致する構成であってもよい。その後、図10(j)に示すとおり、切替ローラ19により、次の原稿が順方向に搬送路A2上を搬送され、その第1面が読み取られる。
【0067】
図11は、図1の複合機100の要部の一例を示した斜視図であり、分岐爪21又は22を回動させるパス切替部43の一例を示している。パス切替部43は、分岐爪21、回転軸25、バネ26及びソレノイド27により構成される。分岐爪21は、回転軸25を中心に回転することにより、原稿の搬送先を選択する爪状部材である。バネ26は、分岐爪21を一方向に付勢する弾性部材であり、ここでは、バネ26が収縮する方向に分岐爪21を付勢している。ソレノイド27は、電源が供給されている場合に、バネ26の付勢力に抗して分岐爪21を回転させる駆動手段である。一方、電源が供給されていない場合、分岐爪21は、バネ26によって付勢される方向に回転する。また、分岐爪22は、分岐爪21と同じ構成であるため、説明を省略する。
<複合機100の機能構成>
【0068】
図12は、図1の複合機100の要部について一構成例を示した機能ブロック図である。この複合機100は、原稿検出センサDS2、原稿検出センサDS4、原稿長測定部41、先端位置特定部42、パス切替部43、電源供給制御部44及び原稿読取部32により構成される。
【0069】
原稿検出センサDS2は、原稿台13上に載置された原稿の送り方向の長さを検出する原稿長検出手段である。サイズの異なる2以上の原稿が積み重ねて載置されていれば、最大の原稿長を検出する。
【0070】
原稿検出センサDS4は、搬送中の原稿を検出する搬送状態検出手段であり、原稿の先端及び後端を検出すれば、先端検出信号及び後端検出信号をそれぞれ出力する。原稿検出センサDS4は、読取路である搬送路A2上の検出位置を監視し、搬送路A2を順方向及び逆方向に搬送される原稿をそれぞれ検出する。ここでは、原稿検出センサDS4が搬送路A2上の読取位置B2の近傍に配置され、順方向の搬送時には、読取位置B2に進入する直前の原稿を検出するものとする。
【0071】
原稿長測定部41は、原稿検出センサDS2の検出結果に基づいて、原稿長を測定する測定手段である。この原稿長測定部41は、測定された原稿長を閾値と比較することにより、搬送中の原稿が長原稿及び短原稿のいずれであるかを判別する。また、原稿検出センサDS4の先端検出信号が入力されてから後端検出信号が入力されるまでの搬送量を測定することにより、原稿長を測定する構成であっても良い。
【0072】
原稿位置特定部42は、原稿検出センサDS4による検出結果に基づいて、搬送経路上における原稿位置を特定する位置特定手段である。具体的には、原稿検出センサDS4の先端検出信号の入力後に、検出位置からの搬送距離を測定することにより、原稿先端の位置を算出している。ここでは、第2搬送モータがステッピングモータからなり、このステッピングモータに供給されるステップ数を計数することにより、原稿の搬送距離を測定するものとする。また、原稿検出センサDS2により検出された原稿長を加算することにより、原稿検出センサDS4の後端検出信号に基づいて原稿先端の位置を特定することができ、その逆を特定することもできる。なお、タイマーを用いて原稿の搬送時間を計測することにより、搬送距離を測定する構成であってもよい。
【0073】
パス切替部43は、原稿の搬送経路を選択する選択手段であり、電源の供給状態に基づいて、原稿の搬送経路を切り替える動作を行う。このパス切替部43は、ソレノイド27,28、分岐爪21及び22により構成される。ソレノイド27は、長原稿用Uターン路である搬送路A5側へ原稿を案内するように分岐爪21を回転させる駆動手段である。すなわち、ソレノイド27への電源供給が行われている場合、ソレノイド27が分岐爪21へ付勢することにより、分岐爪21が長原稿用Uターン路である搬送路A5側へ原稿を案内する状態となる。一方、バネ26が、短原稿用Uターン路又は排出路である搬送路A9側へ原稿を案内するように、分岐爪21を付勢している。このため、ソレノイド27への電源供給が停止されている場合、このバネ26の付勢力により、分岐爪21が搬送路A9側へ原稿を案内する状態となる。
【0074】
また、ソレノイド28は、短原稿Uターン路である搬送路A11側へ原稿を案内するように分岐爪22を回転させる駆動手段である。すなわち、ソレノイド28への電源供給が行われている場合、ソレノイド28が分岐爪22を付勢することにより、分岐爪22が、搬送路A11側へ原稿を案内する状態となる。一方、図示しないバネなどの弾性部材が、排出路である搬送路A10側へ原稿を案内するように分岐爪22を付勢している。このため、ソレノイド28への電源供給が停止されている場合、このバネの付勢力により、分岐爪22が搬送路A10側へ原稿を案内する状態となる。
【0075】
電源供給制御部44は、ソレノイド27,28への電源供給を制御する制御手段である。この電源供給制御部44は、ソレノイド27,28を制御して分岐爪21及び22を切り替えることにより、原稿の搬送経路を選択する。例えば、原稿の第1面読取後に、原稿長測定部41により測定された原稿長に基づいて、長原稿用Uターン路及び短原稿用Uターン路のいずれかへ原稿を案内するように搬送経路を選択する。例えば、原稿が長原稿であると判別されれば、ソレノイド27への電源供給を開始することにより、原稿を長原稿用Uターン路へ案内するように分岐爪21を回転させる。
【0076】
更に、電源供給制御部44は、原稿位置に基づいて、ソレノイド27,28への電源供給を制御する。例えば、第1面の読取後と、第2面の読取後とでは原稿が異なる搬送路を搬送されるように、分岐爪21,22の切替を行う。具体的には、長原稿の第1面の読取後にソレノイド27への電源供給を開始し、搬送路A5側へ原稿を案内するように分岐爪21を回動させる。一方、長原稿の第2面の読取後には、ソレノイド27への電源供給を停止し、原稿を排出路側へ案内する。
【0077】
同様に、短原稿の第1面の読取後にソレノイド28への電源供給を開始し、搬送路A11側へ原稿を案内するように分岐爪22を回動させる。一方、短原稿の第2面の読取後には、ソレノイド28への電源供給を停止し、搬送路A10側へ原稿を案内する。
【0078】
電源供給制御部44は、長原稿の第1面読取後の分岐爪21の切替時には、ソレノイド27の消費電力を低減させるため、ソレノイド27への電源の供給期間をなるべく短くするものとする。すなわち、搬送路A5側へ原稿を案内する場合には、分岐点B5への原稿先端の到達前にソレノイド27への電源供給を開始し、原稿先端が分岐点B5に到達した後であって、原稿後端が分岐点B5を通過する前にソレノイド27への電源供給を停止する。例えば、搬送路A5側への原稿先端の進入直後に、直ちに電源供給を停止する。
【0079】
一方、短原稿の第1面読取後の分岐爪21の切替時や、長原稿及び短原稿の第2面読取後の分岐爪21の切替時には、ソレノイド27への電源供給を停止し、搬送路A9側へ原稿を案内する。この場合には、少なくとも、原稿の後端が分岐点B5を通過するまで電源の供給を停止し、例えば、次に搬送路A5側へ案内される原稿の先端が分岐点B5へ到達する直前に電源の供給を開始する。
【0080】
また、分岐点B5通過後の最初の搬送ローラの位置へ原稿先端が到達した後であって、原稿の後端が分岐点B5を通過する前に、ソレノイド27への電源供給を停止させる構成であってもよい。この場合、原稿の先端が搬送路A5上の搬送ローラに挟み込まれた後に、ソレノイド27への電源供給が停止されるので、より精度良く原稿を搬送路A5側へ搬送することができる。
【0081】
同様に、短原稿の第1面読取後の分岐爪22の切替時には、ソレノイド28への電源の供給期間をなるべく短くするものとする。
【0082】
原稿読取部32は、搬送路A2上の読取位置B2を通過する原稿の読取を行うスキャナユニットである。この原稿読取部32は、順方向に搬送中の原稿の第1面の読取を行い、逆方向に搬送中の原稿の第2面の読取を行う。
【0083】
この様な構成を採用することにより、搬送路A5側へ原稿を案内するように分岐爪21を回転させた後、原稿の先端が分岐点B5を通過した後であって、原稿の後端が分岐点B5を通過する前にソレノイド27への電源供給が停止される。このため、弾性部材の付勢力によって分岐爪21が搬送路A9側へ原稿を案内するように回転するが、仮に原稿が分岐爪21と接触したとしても、原稿は、そのまま搬送路A5上を搬送される。従って、搬送路A5側へ原稿を案内する場合に、ソレノイド27への電源供給をより早く停止させ、消費電力を低減させることができる。
【0084】
図13のステップS101〜S107は、分岐爪21及び22の切替動作の一例を示したフローチャートである。まず、原稿長測定部41が、原稿検出センサDS2の検出結果に基づいて、搬送される原稿の原稿長を測定する(ステップS101)。搬送される原稿が長原稿であると判別された場合、原稿先端が基準位置E5へ到達したと先端位置特定部42により判別されると、電源供給制御部44がソレノイド27への電源供給を開始する。この場合、ソレノイド27が分岐爪21を付勢し、長原稿用Uターン路である搬送路A5側へ原稿が案内されるように、分岐爪21が切り替えられる(ステップS102)。更に、原稿先端が分岐点B5へ到達したと先端位置特定部42により判別されると、電源供給制御部44がソレノイド27への電源供給を停止する(ステップS103,S104)。このとき、弾性部材の付勢力により、搬送路A9側へ原稿が案内されるように、分岐爪21が切り替えられる。
【0085】
一方、搬送される原稿が短原稿であると判別された場合、原稿先端が基準位置E1へ到達したと先端位置特定部42により判別されると、電源供給制御部44がソレノイド28への電源供給を開始する。この場合、ソレノイド28が分岐爪22を付勢し、短原稿用Uターン路である搬送路A11側へ原稿が案内されるように、分岐爪22が切り替えられる(ステップS105)。更に、原稿先端が分岐点B6へ到達したと先端位置特定部42により判別されると、電源供給制御部44がソレノイド28への電源供給を停止する(ステップS106,S107)。このとき、弾性部材の付勢力により、排出路である搬送路A11側へ原稿が案内されるように、分岐爪22が切り替えられる。
【0086】
本実施の形態によれば、第1面の読取後の原稿をUターンさせて第2面の読取を行うUターン方式の両面読取を行う場合に、原稿長に基づいて、経路長の異なる2つのUターン路のいずれかを選択することができる。このため、原稿の搬送時間をより短縮することができる。また、長原稿用Uターン路側へ原稿を案内するように分岐爪21を回転させた後、原稿の先端が分岐点21を通過した後であって、原稿の後端が分岐点21を通過する前にソレノイド27への電源供給が停止される。このため、原稿を長原稿用Uターン路へ案内する場合に、ソレノイド27への電源供給をより早く停止させ、消費電力を低減させることができる。
【符号の説明】
【0087】
10 ADF装置
11 原稿トレイ
12 排出トレイ
13 原稿台
14 原稿ストッパ
15 繰込ローラ
16a 分離ローラ
16b リタードローラ
17,20 レジストローラ
18 搬送ローラ
19 切替ローラ
21,22 分岐爪
23 排出ローラ
24 排出口
25 回転軸
26 バネ
27,28 ソレノイド
30 本体部
31 操作パネル
31a 操作入力部
31b ディスプレイ
32 原稿読取部
32a 投光器
32b ラインセンサ
41 原稿長測定部
42 先端位置特定部
43 パス切替部
44 電源供給制御部
100 複合機
B1,B3,B5,B6 分岐点
B2 読取位置
B4,B7 合流点
B8 交差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送中の原稿を検出する原稿検出センサと、
上記原稿検出センサによる検出結果に基づいて、搬送経路上における原稿位置を特定する原稿位置特定手段と、
搬送経路上の分岐点に配置され、回転軸を中心に回転することにより、第1搬送路及び第2搬送路のいずれかへ原稿を案内する分岐爪と、
第1搬送路へ原稿を案内するように上記分岐爪を付勢する弾性部材と、
第2搬送路へ原稿を案内するように上記付勢力に抗して上記分岐爪を回転させるソレノイドと、
上記原稿位置に基づいて、上記ソレノイドへの電源供給を制御する電源供給制御手段とを備え、
上記電源供給制御手段は、第2搬送路へ原稿を案内する場合に、原稿の先端が上記分岐点に到達した後であって、原稿の後端が上記分岐点を通過する前に上記ソレノイドへの電源供給を停止し、第1搬送路へ原稿を案内する場合に、原稿の後端が上記分岐点を通過するまで上記ソレノイドへの電源供給を停止することを特徴とする原稿読取装置。
【請求項2】
第2搬送路上に原稿を搬送するための1又は2以上の搬送ローラを備え、
上記電源供給制御手段は、第2搬送路へ原稿を案内する場合に、原稿の先端が第2搬送路上の最初の上記搬送ローラに到達した後であって、原稿の後端が上記分岐点を通過する前に、上記ソレノイドへの電源供給を停止させることを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項3】
原稿の原稿長を測定する原稿長測定手段と、
搬送中の原稿を検出する原稿検出センサと、
上記原稿検出センサによる検出結果に基づいて、搬送経路上における原稿位置を特定する原稿位置特定手段と、
読取路上の原稿を読み取る原稿読取手段と、
第1面の読取後の原稿をUターンさせて、第1面の読取時とは逆方向に上記読取路へそれぞれ進入させる第1及び第2のUターン路とを備え、
第1及び第2のUターン路が互いに経路長が異なり、
上記原稿読取手段が、上記読取路へ逆方向に進入した原稿の第2面の読取を行う原稿読取装置において、
第1及び第2のUターン路の分岐点に配置され、回転軸を中心に回転することにより、第1及び第2のUターン路のいずれかへ原稿を案内する分岐爪と、
第1のUターン路へ原稿を案内するように上記分岐爪を付勢する弾性部材と、
第2のUターン路へ原稿を案内するように上記付勢力に抗して上記分岐爪を回転させるソレノイドと、
上記原稿長に基づいて、第1及び第2のUターン路のいずれかへ原稿を案内するように上記ソレノイドへの電源供給を制御する電源供給制御手段とを備え、
上記電源供給制御手段は、第2のUターン路へ原稿を案内する場合に、原稿の先端が上記分岐点に到達した後であって、原稿の後端が上記分岐点を通過する前に上記ソレノイドへの電源供給を停止し、第1のUターン路へ原稿を案内する場合に、原稿の後端が上記分岐点を通過するまで上記ソレノイドへの電源供給を停止することを特徴とする原稿読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−82520(P2013−82520A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222636(P2011−222636)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】