説明

原稿送り装置および画像形成装置

【課題】安価に原稿を反転して搬送することができる原稿送り装置を提供することである。
【解決手段】原稿送り装置14は、原稿トレイ25と、画像読取り部15と、排出トレイ31と、原稿を搬送する給紙ローラ26および読込ローラ28と、画像読取り部15により読取られる原稿の一方面と他方面とを、原稿送入および原稿送出することにより反転させる反転手段とを備える。反転手段は、相互に当接または離間可能な対向する調整ローラ29および反転ローラ33と、調整ローラ29および反転ローラ33を、原稿送入時には離間させ、原稿送出時には当接させるよう制御する制御手段と、一方方向に回転し、反転ローラ33を駆動する駆動モータ27とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原稿送り装置および画像形成装置に関し、特に、両面原稿を反転して搬送することができる原稿送り装置、およびこのような原稿送り装置を備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、原稿トレイにセットされた原稿を、原稿の読取りを行う画像読取り部に自動的に搬送するADF(Auto Document Feeder)等の原稿送り装置が具備されている。画像形成装置は、原稿送り装置により画像読取り部に搬送された原稿に基づいて画像を形成する。
【0003】
昨今の原稿送り装置においては、表面である一方面および、裏面である他方面に画像が形成された両面原稿を画像読取り部にて読取ることができるよう、自動的に両面原稿を反転して一方面および他方面を画像読取り部に搬送することができる装置がある。
【0004】
このような原稿送り装置は、例えば、特開2004−352434号公報(特許文献1)に開示されている。図14は、特許文献1に記載されている従来の原稿送り装置101の一例を示す図である。図14を参照して、自動的に両面原稿110を反転して一方面および他方面を画像読取り部104に搬送する場合について説明する。
【0005】
まず、原稿トレイ102に両面原稿110がセットされる。このとき、一方面を上に、他方面を下にしてセットされる。そして、両面原稿110は、給紙ローラ109により1枚ずつ給紙され、搬送ドラム106により点線の矢印で示す方向に画像読取り部104まで搬送される。このとき、給紙ローラ109は、時計回り、すなわち、図14中の矢印Bで示す方向に回転する。また、搬送ドラム106は、反時計回り、すなわち、図14中の矢印Aで示す方向に回転する。そして、読取り位置111にて一方面の読取りが行われる。
【0006】
一方面の読取りが終了すると、両面原稿110は、反転ローラ103により一点鎖線の矢印で示す方向にPで示す位置まで搬送される。このとき、反転ローラ103は反時計回りに回転する。Pに到達すると、これまでの後端を先頭として、反転ローラ103により実線の矢印で示す方向にPから搬送ドラム106へ搬送される。ここで、一方面と他方面とが反転して搬送される。このとき、反転ローラ103は時計回りに回転する。そして、画像読取り部104まで搬送されて、読取り位置111にて他方面の読取りが行われる。
【0007】
他方面の読取りが終了すると、両面原稿110は、上記と同様に、反転ローラ103によりPまで搬送され、Pから搬送ドラム106へ搬送される。ここで、他方面と一方面とが反転して搬送される。そして、画像読取り部104まで搬送されるが、ここでは、既に一方面の読取りを終了しているため、読取り位置111にて一方面の読取りを行わない。そして、両面原稿110は、二点鎖線の矢印で示す方向に排出トレイ105に排出される。このとき、一方面を下に、他方面を上にして排出される。
【0008】
このようにして従来は、反転ローラ103が時計回りおよび反時計回りの正逆方向に回転することにより、両面原稿110を反転して一方面および他方面を画像読取り部104に搬送する。なお、反転ローラ103は、搬送モータ107によってその回転を制御されている。
【特許文献1】特開2004−352434号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1によると、原稿を反転するには、反転ローラを正逆方向に回転させている。反転ローラを正逆方向に回転させるには、その回転を制御する搬送モータを正逆方向に回転させる必要がある。この場合、正逆方向に回転可能なモータを必要とするため、このような原稿送り装置は、高価になってしまう虞がある。また、正逆方向に回転可能なモータを使用しない場合には、少なくとも正方向と逆方向とそれぞれの方向に回転する2種類のモータを必要とする。このような原稿送り装置においても同様に、高価になってしまう虞がある。
【0010】
この発明の目的は、安価に原稿を反転して搬送することができる原稿送り装置を提供することである。
【0011】
この発明の他の目的は、安価に原稿を反転して搬送することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係る原稿送り装置は、搬送する原稿をセットする原稿トレイと、原稿トレイにセットされた原稿の読取りを行う画像読取り部と、画像読取り部により読取られた原稿を排出する排出トレイと、原稿トレイから画像読取り部を経由して排出トレイまで原稿を搬送する搬送手段と、画像読取り部により読取られる原稿の一方面と他方面とを、原稿送入および原稿送出することにより反転させる反転手段とを備える。反転手段は、相互に当接または離間可能な対向する一対のローラと、一対のローラを、原稿送入時には離間させ、原稿送出時には当接させるよう制御する制御手段と、一方方向に回転し、一対のローラを駆動する駆動モータとを含む。
【0013】
好ましくは、搬送手段は、画像読取り部にて原稿を搬送するローラを含む。反転手段は、制御手段により一対のローラを離間させて生じた隙間へ、搬送手段により原稿を送入され、隙間へ送入された原稿の後端部が搬送手段と接した状態で、制御手段により一対のローラを当接させて隙間を閉じ、さらに、隙間へ原稿を送入された経路とは異なる搬送経路で、原稿の後端を先頭として、一対のローラにより原稿を送出させて反転させる。
【0014】
さらに好ましくは、制御手段は、一対のローラのうち、一方のローラを他方のローラに近づく方向に移動して一対のローラを当接させ、一方のローラを他方のローラから遠ざかる方向に移動して一対のローラを離間させるよう制御する。
【0015】
さらに好ましくは、一対のローラのうち、一方のローラは、弾性部材から形成されている。
【0016】
さらに好ましくは、反転手段は、原稿送入時に原稿を案内する案内手段を含む。
【0017】
さらに好ましくは、案内手段は、一対のローラと連動して動作する。
【0018】
この発明の他の局面においては、画像形成装置は、上記のいずれかに記載の原稿送り装置と、原稿送り装置により搬送された原稿に基づいて画像を形成する画像形成部とを備える。
【発明の効果】
【0019】
この発明に係る原稿送り装置は、一対のローラを、原稿送入時には離間させ、原稿送出時には当接させることにより原稿を反転する。一対のローラは、一方方向に回転する駆動モータで駆動する。これにより、正逆方向に回転するモータを必要とせず、一方方向に回転するモータのみで原稿を反転することができる。したがって、安価に原稿を反転して搬送することができる。
【0020】
この発明に係る画像形成装置は、上記した原稿送り装置を備えるため、安価に原稿を反転して搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る原稿送り装置14を備える画像形成装置をデジタル複合機10に適用した場合のデジタル複合機10の構成を示すブロック図である。図1を参照して、デジタル複合機10は、デジタル複合機10全体を制御する制御部11と、画像データ等の書き込みや読出しを行うためのDRAM12と、デジタル複合機10の有する情報を表示する表示画面を含み、デジタル複合機10におけるユーザとのインターフェースとなる操作部13と、原稿を自動的に所定の読取り位置へ搬送し、搬送された原稿をスキャナで読取る画像読取り部15を含む原稿送り装置14と、画像読取り部15で読取られた原稿等から画像を形成し、用紙に出力する画像形成部16と、画像データ等を格納するハードディスク17と、公衆回線20に接続されるFAX通信部18と、ネットワーク21と接続するためのネットワークIF(インターフェース)部19とを備える。
【0022】
デジタル複合機10は、画像読取り部15により読取られた原稿の画像データを用いて、DRAM12を介して画像形成部16において画像を形成することにより、複写機として作動する。また、デジタル複合機10は、ネットワークIF部19を通じて、ネットワーク21に接続されたパソコン22から送信された画像データを用いて、DRAM12を介して画像形成部16において画像を形成することにより、プリンターとして作動する。さらに、デジタル複合機10は、FAX通信部18を通じて、公衆回線20から送信された画像データを用いて、DRAM12を介して画像形成部16において画像を形成することにより、また、画像読取り部15により読取られた原稿の画像データを、FAX通信部18を通じて公衆回線20に画像データを送信することにより、ファクシミリ装置として作動する。すなわち、デジタル複合機10は、画像処理に関し、複写(コピー)機能、プリンター機能、FAX機能等、複数の機能を有する。さらに、各機能に対しても、さらに詳細に設定可能な機能を有する。
【0023】
なお、図1において、太線の矢印は画像データの流れを示しており、細線の矢印は制御信号または制御データの流れを示している。
【0024】
制御部11は、画像読取り部15から与えられる原稿の画像データをDRAM12に圧縮符号化して書き込み、DRAM12に書き込んだデータを読出し、伸張復号化して画像形成部16により出力する。
【0025】
図2は、原稿送り装置14の詳細を示す図である。図2中の点線の矢印は、原稿の搬送方向を示している。図1〜図2を参照して、原稿送り装置14は、搬送する原稿をセットする原稿トレイ25と、原稿トレイ25にセットされた原稿の読取りを行う画像読取り部15と、画像読取り部15により読取られた原稿を排出する排出トレイ31と、原稿トレイ25にセットされた原稿を1枚ずつ給紙する給紙ローラ26と、給紙ローラ26により給紙された原稿を、画像読取り部15を経由して、排出トレイ31まで搬送する読込ローラ28と、読込ローラ28により搬送される原稿の搬送経路上であって、原稿トレイ25と排出トレイ31との間に位置し、相互に当接および離間可能な一対のローラ29,33と、原稿を案内する搬送ガイド板30と、給紙ローラ26、読込ローラ28および一対のローラ29,33のうちの他方のローラ33を駆動する駆動モータ27とを備える。
【0026】
給紙ローラ26は、図2中の矢印Bで示す方向、すなわち、図2においては時計回りに回転される。そして、原稿トレイ25にセットされた原稿を1枚ずつ給紙する。
【0027】
読込ローラ28は、図2中の矢印Aで示す方向、すなわち、図2においては反時計回りに回転される。読込ローラ28の周囲には、所定の間隔で読込ローラ28に従動して回転する複数の従動ローラが配置されている。読込ローラ28は、給紙ローラ26により給紙された原稿を、画像読取り部15を経由して、排出トレイ31まで搬送する。ここで、給紙ローラ26および読込ローラ28は、搬送手段として作動する。
【0028】
一対のローラ29,33は、一方の調整ローラ29と、他方の反転ローラ33から構成される。反転ローラ33は、読込ローラ28と同じ方向、すなわち、反時計回りに回転される。調整ローラ29は、反転ローラ33に対向する位置に設けられ、弾性部材から形成されている。調整ローラ29は、上下方向に移動可能である。図2中の点線で上方向に移動した状態を示し、実線で下方向に移動した状態を示している。
【0029】
調整ローラ29が上方向に移動して反転ローラ33から遠ざかると、調整ローラ29と反転ローラ33とは離間して、図2中のPで示す隙間Pが生じる。このとき、読込ローラ28により隙間Pへ原稿を送入することが可能となる。また、調整ローラ29が下方向に移動して反転ローラ33に近づくと、調整ローラ29と反転ローラ33とは当接して、上記において生じた隙間Pを閉じる。このとき、調整ローラ29は、反転ローラ33の回転に伴って反転ローラ33と逆の方向に回転する。すなわち、時計回りに回転する。そうすると、隙間Pへ原稿が送入されている場合、原稿は、調整ローラ29および反転ローラ33と当接することにより、原稿の後端を先頭として、隙間Pから読込ローラ28側へ送出することが可能となる。ここで、調整ローラ29および反転ローラ33は、制御手段として作動する。
【0030】
搬送ガイド板30は、調整ローラ29と連動して上下方向に移動可能である。すなわち、調整ローラ29が上方向に移動すると、搬送ガイド板30も上方向に移動し、調整ローラ29が下方向に移動すると、搬送ガイド板30も下方向に移動する。なお、図2中の点線で上方向に移動した状態を示し、実線で下方向に移動した状態を示している。搬送ガイド板30は、上方向に移動すると、上記した調整ローラ29と反転ローラ33との隙間Pへ原稿を案内する。すなわち、搬送ガイド板30は、原稿送入時に原稿を案内する。また、搬送ガイド板30は、下方向に移動すると、排出トレイ31へ原稿を案内する。ここで、搬送ガイド板30は、案内手段として作動する。
【0031】
駆動モータ27は、一方方向に回転して、給紙ローラ26、読込ローラ28および反転ローラ33を駆動する。これにより、原稿送り装置14は、複数のモータを設ける必要がないため、安価に原稿を搬送することができる。
【0032】
画像読取り部15は、読込ローラ28等の下部に設けられている。画像読取り部15は、いずれも図示しない光源と、複数のミラーと、レンズと、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサとを含む。画像読取り部15は、読込ローラ28により搬送される原稿の画像を読取り位置32にて読取る。具体的には、光源が読取り位置32に対して光を照射すると、照射された光は、読取り位置32にて搬送される原稿に当たって反射する。その反射光は、複数のミラーおよびレンズによって集光される。この集光された光を、CCDイメージセンサで読取る。このようにして、画像読取り部15は、原稿の画像を読取り位置32にて読取る。
【0033】
ここで、デジタル複合機10を利用して、表面と裏面に画像が形成された両面原稿を反転して搬送する場合について説明する。図3は、デジタル複合機10を利用して、両面原稿35を反転して搬送する場合の動作を示すフローチャートである。図1〜図3を参照して、まず、原稿トレイ25に両面原稿35がセットされる(図3において、ステップS11、以下ステップを省略する)。このとき、両面原稿35の表面である一方面を面S、裏面である他方面を面Sとすると、面Sを上に、面Sを下にしてセットされる。そして、両面原稿35の画像形成の要求を受け付ける。このとき、搬送ガイド板30および調整ローラ29は、上方向に移動する(S12)。そうすると、調整ローラ29と反転ローラ33とが離間して、隙間Pが生じる(S13)。
【0034】
そして、両面原稿35が、給紙ローラ26により給紙される(S14)。このとき、両面原稿35の両端部を給紙方向に、端部C、端部Dとすると、両面原稿35は、端部Cを先頭とし、端部Dを後にして給紙される。なお、図4は、両面原稿35が給紙ローラ26により給紙される状態を示す図である。
【0035】
そして、両面原稿35が、引き続き読込ローラ28により搬送される(S15)。このとき、面Sを読取り側にして搬送される。両面原稿35が、画像読取り部15に搬送されると、画像読取り部15は、両面原稿35の画像形成が他方面である裏面から行われるために、ここでは、面Sの読取りを行わない(S16)。なお、図5は、両面原稿35が画像読取り部15に搬送された状態を示す図である。
【0036】
そして、そのまま両面原稿35は、搬送ガイド板30に案内され、読込ローラ28により、ステップ13において生じた調整ローラ29と反転ローラ33との隙間Pへ送入される(S17)。このとき、両面原稿35は、隙間Pによって反転ローラ33の回転の影響を受けることなく送入される。なお、図6は、両面原稿35が隙間Pへ送入されている状態を示す図である。
【0037】
ここで、両面原稿35の端部Dは、読込ローラ28と接した状態でそのまま読込ローラ28が回転する方向、すなわち、図6中の矢印Aで示す方向に移動する。具体的には、両面原稿35の端部Dは、読込ローラ28と接した状態で、読込ローラ28の下部から上部に向かって移動する。
【0038】
そして、両面原稿35の端部Dが読込ローラ28と接した状態で、搬送ガイド板30および調整ローラ29が下方向に移動する(S18)。そうすると、ステップ13において生じた調整ローラ29と反転ローラ33との隙間Pを閉じ、隙間Pへ送入された両面原稿35は、調整ローラ29および反転ローラ33と当接する。これにより、両面原稿35の隙間Pへ送入は止まる。なお、図7は、隙間Pへの送入が止まった状態を示す図である。
【0039】
そして、両面原稿35は、調整ローラ29および反転ローラ33により端部Dを先頭として、隙間Pへ送入された経路とは異なる搬送経路に送出される(S19)。具体的には、読込ローラ28の上部に送出される。なお、図8は、両面原稿35が、端部Dを先頭として送出される状態を示す図である。そして、両面原稿35は、引き続き読込ローラ28により搬送される(S20)。このとき、面Sを読取り側にして搬送される。すなわち、両面原稿35は、ステップ15の場合と、面Sと面Sとを反転されて搬送されている。ここで、制御部11、読込ローラ28、調整ローラ29および反転ローラ33は、反転手段として作動する。
【0040】
そして、両面原稿35が、端部Dを先頭として、読込ローラ28により再度画像読取り部15に搬送されると、画像読取り部15は、読取り位置32にて面Sの読取りを行う(S21)。なお、図9は、面Sの読取りを行う状態を示す図である。面Sの読取りが終了すると、ここでは、まだ面Sの読取りが終了していないため(S22において、NO)、搬送ガイド板30および調整ローラ29は、上方向に移動する(S23)。そうすると、調整ローラ29と反転ローラ33とが離間して、隙間Pが生じる(S24)。
【0041】
両面原稿35は、上記と同様に、搬送ガイド板30に案内され、読込ローラ28により隙間Pへ送入される(S17)。なお、図10は、両面原稿35が隙間Pへ送入されている状態を示す図である。そして、両面原稿35の端部Cが読込ローラ28と接した状態で、搬送ガイド板30および調整ローラ29が下方向に移動する(S18)。そうすると、ステップ24において生じた調整ローラ29と反転ローラ33との隙間Pを閉じ、隙間Pへ送入された両面原稿35は、調整ローラ29および反転ローラ33と当接する。
【0042】
そして、両面原稿35は、調整ローラ29および反転ローラ33により端部Cを先頭として、隙間Pへ送入された経路とは異なる搬送経路に送出される(S19)。なお、図11は、両面原稿35が、端部Cを先頭として送出される状態を示す図である。そして、両面原稿35は、引き続き読込ローラ28により搬送される(S20)。このとき、面Sを読取り側にして搬送される。すなわち、両面原稿35は、上記と同様に、面Sと面Sとを反転されて搬送されている。
【0043】
そして、両面原稿35は、端部Cを先頭として、読込ローラ28により再度画像読取り部15に搬送されると、画像読取り部15は、読取り位置32にて面Sの読取りを行う(S21)。なお、図12は、面Sの読取りを行う状態を示す図である。面Sの読取りが終了すると、面Sおよび面Sの両面の読取りが終了しているため(S22において、YES)、搬送ガイド板30に案内されて、排出トレイ31に両面原稿35が排出される(S25)。このとき、面Sを下に、面Sを上にして排出される。なお、図13は、両面原稿35が、搬送ガイド板30によって排出トレイ31に案内される状態を示す図である。
【0044】
こうすることにより、原稿送り装置14は、一対のローラ、すなわち、調整ローラ29および反転ローラ33を、原稿送入時には離間させ、原稿送出時には当接させることにより原稿を反転する。反転ローラ33は、一方方向に回転する駆動モータ27で駆動する。これにより、正逆方向に回転するモータを必要とせず、一方方向に回転するモータのみで原稿を反転することができる。したがって、安価に原稿を反転して搬送することができる。
【0045】
また、デジタル複合機10は、上記した原稿送り装置14を備えるため、安価に両面原稿35を反転して搬送することができる。
【0046】
なお、上記の実施の形態においては、調整ローラ29が上下方向に移動して、反転ローラ33と離間および当接する例について説明したが、これに限らず、例えば、反転ローラ33が上下方向に移動することにより、調整ローラ29と離間および当接してもよい。
【0047】
また、上記の実施の形態においては、調整ローラ29は、弾性部材から構成される例について説明したが、これに限らず、原稿と当接した際に、反転ローラ33と共に適切に原稿を送入および送出できるような部材であれば、他の部材であってもよい。
【0048】
また、上記の実施の形態においては、搬送ガイド板30を設ける例について説明したが、原稿送り装置14が、調整ローラ29と反転ローラ33との隙間Pに原稿を適切に案内することができるような構成であれば、特に設ける必要はない。
【0049】
また、上記の実施の形態においては、搬送ガイド板30を下方向に移動させて、排出トレイ31に原稿を案内する例について説明したが、これに限らず、排出トレイ31に原稿を案内する手段を他に設けることによって、排出トレイ31に原稿を案内してもよい。
【0050】
また、上記の実施の形態においては、搬送ガイド板30は、調整ローラ29に連動する例について説明したが、これに限らず、常に連動する必要はない。例えば、排出トレイ31に原稿を排出する際には、調整ローラ29は、下方向に移動させる必要はない。
【0051】
また、上記の実施の形態においては、1枚の両面原稿35を搬送する例について説明したが、これに限らず、複数枚の両面原稿を搬送する場合にも適用できる。この場合、図3中のステップ25において、複数枚の両面原稿を排出する場合、1枚目の上に2枚目を積み重ねるようにして排出される。
【0052】
また、上記の実施の形態においては、調整ローラ29等が上方向に移動するタイミングを、図3中のステップ12における両面原稿35の画像形成の要求を受け付けたタイミングや、ステップ23における面Sの読取りを終了したタイミングである例について説明したが、これに限らず、両面原稿35の読取りを開始するタイミング等、適切に両面原稿35を反転させることができるようなタイミングであれば、その他のタイミングであってもよい。
【0053】
また、上記の実施の形態においては、図3中のステップ16において、両面原稿35の画像形成の順序のために、一方面の読取りを行わない例について説明したが、これに限らず、一方面の読取りを行ってもよい。この場合、読取った一方面の画像データをDRAM12等に格納し、後に読取った他方面の画像データと画像形成の順序を入れ替えて、両面の画像を形成する。
【0054】
また、上記の実施の形態においては、一対のローラ29,33は、一方の調整ローラ29と、他方の反転ローラ33から構成されている例について説明したが、これに限らず、一対のローラのうち、一方の調整ローラ29は、ローラでなくてもよい。具体的には、一対のローラは、反転ローラ33と、反転ローラ33と対向する位置に設けられる部材から構成されてもよい。部材とは、例えば、板状の部材である。これにより、ローラと部材とが離間して、その隙間に原稿を送入することができる。また、ローラと部材とが当接して、ローラの回転力により、隙間に送入された原稿を送出することができる。
【0055】
また、上記の実施の形態においては、制御部11は、デジタル複合機10に備えられる構成の例について説明したが、これに限らず、原稿送り装置14に備えられる構成としてもよい。
【0056】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の一実施形態に係る原稿送り装置を備える画像形成装置をデジタル複合機に適用した場合のデジタル複合機の構成を示すブロック図である。
【図2】原稿送り装置の詳細を示す図である。
【図3】デジタル複合機を利用して、両面原稿を反転して搬送する場合の動作を示すフローチャートである。
【図4】両面原稿が給紙ローラにより給紙される状態を示す図である。
【図5】両面原稿が画像読取り部に搬送された状態を示す図である。
【図6】両面原稿が隙間へ送入されている状態を示す図である。
【図7】隙間への送入が止まった状態を示す図である。
【図8】両面原稿が、端部Dを先頭として送出される状態を示す図である。
【図9】面Sの読取りを行う状態を示す図である。
【図10】両面原稿が隙間へ送入されている状態を示す図である。
【図11】両面原稿が、端部Cを先頭として送出される状態を示す図である。
【図12】面Sの読取りを行う状態を示す図である。
【図13】両面原稿が、搬送ガイド板によって排出トレイに案内される状態を示す図である。
【図14】従来の原稿送り装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
10 デジタル複合機、11 制御部、12 DRAM、13 操作部、14 原稿送り装置、15 画像読取り部、16 画像形成部、17 ハードディスク、18 FAX通信部、19 ネットワークIF部、20 公衆回線、21 ネットワーク、22 パソコン、25 原稿トレイ、26 給紙ローラ、27 駆動モータ、28 読込ローラ、29 調整ローラ、30 搬送ガイド板、31 排出トレイ、32 読取り位置、33 反転ローラ、35 両面原稿。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送する原稿をセットする原稿トレイと、前記原稿トレイにセットされた原稿の読取りを行う画像読取り部と、前記画像読取り部により読取られた原稿を排出する排出トレイと、前記原稿トレイから前記画像読取り部を経由して前記排出トレイまで原稿を搬送する搬送手段と、前記画像読取り部により読取られる原稿の一方面と他方面とを、原稿送入および原稿送出することにより反転させる反転手段とを備える原稿送り装置であって、
前記反転手段は、相互に当接または離間可能な対向する一対のローラと、
前記一対のローラを、原稿送入時には離間させ、原稿送出時には当接させるよう制御する制御手段と、
一方方向に回転し、前記一対のローラを駆動する駆動モータとを含む、原稿送り装置。
【請求項2】
前記搬送手段は、前記画像読取り部にて原稿を搬送するローラを含み、
前記反転手段は、前記制御手段により前記一対のローラを離間させて生じた隙間へ、前記搬送手段により原稿を送入され、前記隙間へ送入された原稿の後端部が前記搬送手段と接した状態で、前記制御手段により前記一対のローラを当接させて前記隙間を閉じ、さらに、前記隙間へ原稿を送入された経路とは異なる搬送経路で、原稿の後端を先頭として、前記一対のローラにより原稿を送出させて反転させる、請求項1に記載の原稿送り装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記一対のローラのうち、一方のローラを他方のローラに近づく方向に移動して前記一対のローラを当接させ、一方のローラを他方のローラから遠ざかる方向に移動して前記一対のローラを離間させるよう制御する、請求項1または2に記載の原稿送り装置。
【請求項4】
前記一対のローラのうち、一方のローラは、弾性部材から形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の原稿送り装置。
【請求項5】
前記反転手段は、原稿送入時に原稿を案内する案内手段を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の原稿送り装置。
【請求項6】
前記案内手段は、前記一対のローラと連動して動作する、請求項5に記載の原稿送り装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の原稿送り装置と、
前記原稿送り装置により搬送された原稿に基づいて画像を形成する画像形成部とを備える、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−256009(P2009−256009A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104689(P2008−104689)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】