説明

双羽根車動力式冷却塔水力タービン及び冷却塔

【課題】冷却塔内の送水管を流れる被冷却水の余剰運動エネルギー及びポテンシャルエネルギーを十分に利用して水エネルギーの変換効率をさらに向上させると共に、既存の冷却塔の構造を大幅に変更することなく簡単な改造で省電力を実現する双羽根車動力式冷却塔水力タービン及び冷却塔を提供する。
【解決手段】水力タービン30の冷却塔ファン回転主軸4は、ベアリングを介してハウジング3の中央位置に設置され、その冷却塔ファン回転主軸4にはハウジング3の外側にファンギア5が装着されており、水力タービン羽根車1,2はハウジング3内の両側に中心が対称になるように配置され、その2つの水力タービン羽根車1,2は独立した吸水口11,21と排水口12,22とをそれぞれ有し、水力タービン羽根車1,2それぞれの回転軸の外延伸端には水羽根車ギア13,23が設置されており、水羽根車ギア13,23とファンギア5とは互いに噛み合っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双羽根車動力式冷却塔水力タービン及び冷却塔に関し、より具体的には水エネルギーを用いて冷却塔ファンを回転駆動させるための双羽根車動力式冷却塔水力タービンと、これを利用した冷却塔に関する。
【背景技術】
【0002】
大型冷房空調システムや工業用温水冷却水システムにおいて冷却に使用される水は、徐々にその温度が上昇する。この温度が上昇した水を冷却し再利用するための装置として冷却塔がある。
【0003】
図4は、従来における一般的な開放式冷却塔の縦断面図の一例である。この冷却塔は、上部から滴下する被冷却水に向かって、下部から上方に空気を通風して向流接触を行わせるタイプのものである。
【0004】
この冷却塔には、タワーケーシング50の下部から上方に空気を強制的に通風させるための冷却塔ファン52と、この冷却塔ファン52を回転駆動させるための駆動用モータ54と、冷却塔ファン52の回転速度を減速させるための減速器55と、ポンプ(不図示)により被冷却水が送水されてくる送水管56と、この送水管56からの被冷却水を散水する散水器60とが設けられている。
【0005】
また、タワーケーシング50の中央部には、タワーケーシング50内での水の自由落下を阻止し、被冷却水と空気との接触時間を延ばすと共に被冷却水と空気の接触面積を大きくし、冷却効果を高めるための充填材62が設けられている。
【0006】
このような構成からなる冷却塔は、送水管56から送水された被冷却水を散水器60で充填材62にまき、充填材62によって冷却効果を高め、冷却塔の下部に設けられた水槽(不図示)に落下した冷却水を排水管(不図示)によって冷却塔の外部へ導くようになっている。
【0007】
被冷却水が散水器60で充填材62にまかれるとき、タワーケーシング50の上部に設けられた冷却塔ファン52は、タワーケーシング50の下部から流入する空気をタワーケーシング50の上部へと強制通風させているため、被冷却水はこの充填材62に滴下し、多量の空気と接触する。これにより、被冷却水の一部が蒸発することにより残りの被冷却水から蒸発熱が奪われるため、被冷却水は冷却される。
【0008】
上記のような冷却塔では、冷却動作中、冷却塔ファン52を回転させるために駆動用モータ54に電力を供給し続ける必要があり、ランニングコストがかかるとともにモータによる騒音が発生するという問題点があった。さらに、爆発の危険性がある建物や設備等においては特殊モータを用いるため、通常のモータよりも数倍コストがかかるという問題点があった。また、駆動用モータ54の耐用年数は2〜3年と短いという問題点があった。このような問題点を解決するために、駆動用モータの代わりに水エネルギーを利用して冷却塔ファンを回転駆動させる技術が存在する。
【0009】
例えば、特許文献1では、タワーケーシング内に上下に複数の部屋を形成しておき、タワーケーシング内の最上部の部屋にノズルとバケット型の水車を設け、ノズルから噴射される被冷却水が水車のバケット型羽根車に衝突する時の衝突力を利用して水車を回転させ、これに連動して最上部の部屋以外の部屋に設けられた攪拌翼を回転させることにより、冷却塔ファンや充填材を設けることなく被冷却水を冷却できるようにしている。
【0010】
また、大型冷房空調システムや工業用温水冷却水システムにおいて冷却塔内の送水管を流れる被冷却水の余剰運動エネルギー及びポテンシャルエネルギーを十分に利用するために、軸流式水力タービンによってそれらのエネルギーを機械エネルギーに変換し、冷却塔ファンの回転を駆動することで、温水と空気の熱交換を加速させる技術も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平5−322483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載の冷却塔は、既存の冷却塔と構造がかなり異なっているため、既存の冷却塔を改造するだけでは特許文献1に記載の冷却塔を製作することはできず、製作コストがかかる。
【0013】
また、水エネルギーを利用して冷却塔ファンを回転駆動させる従来技術においては、水エネルギーの変換効率が低く、水力タービンの回転数、すなわち冷却塔ファンの回転数も定格値要求に達しないという課題が今も存在しており、こうした状況下では、ポンプの効率を向上させて水流動力を増大させる必要が常にあり、その結果、電力エネルギーが増加し、省エネ要求を満たすことが困難になっている。
【0014】
本発明の目的は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、冷却塔内の送水管を流れる被冷却水の余剰運動エネルギー及びポテンシャルエネルギーを十分に利用して、水エネルギーの変換効率をさらに向上させる双羽根車動力式冷却塔水力タービン及び冷却塔を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、既存の冷却塔の構造を大幅に変更することなく、簡単な改造で省電力を実現することを可能とする冷却塔を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、下記構成により実現される。
本発明に係る双羽根車動力式冷却塔水力タービンは、水力タービン羽根車、ハウジング、冷却塔ファン回転主軸を備える双羽根車動力式冷却塔水力タービンであって、前記冷却塔ファン回転主軸はベアリングを介してハウジングの中央位置に設置され、その主軸には外側にファンギアが装着され、前記水力タービン羽根車はハウジング内の両側に中心が対称になるように配置され、その2つの羽根車は独立した吸水口と排水口をそれぞれ有し、2つの羽根車の回転軸の外延伸端には水羽根車ギアが設置され、前記水羽根車ギアと前記ファンギアを互いに噛み合わせてなることを特徴とする。
【0016】
前記双羽根車動力式冷却塔水力タービンにおいて、前記水羽根車ギアとファンギアの中心距離が一定であり、これにより2つのギアの伝達比を調整し、前記ギア伝達比が1.85:1〜2.05:1であることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る冷却塔は、冷却水を冷熱源とする冷却水適用設備との間で水を循環させる冷却塔であって、下部から上方に空気を通風させるための冷却塔ファンと、前記冷却水適用設備からポンプにより揚水された被冷却水の送水管と、前記被冷却水を散水する散水器と、前記冷却塔ファンと前記散水器との間に設けられ、前記送水管に接続された水力タービンとを有し、前記水力タービンは複数の水力タービン羽根車と、前記送水管に接続され被冷却水を前記水力タービン羽根車に入射可能に開口された吸水口と、当該水力タービン羽根車の回転により駆動され前記冷却塔ファンの回転軸を形成する冷却塔ファン回転主軸を備えるとともに、前記水力タービン羽根車に回転動力を与えた被冷却水を前記散水器に導出する排水口を備えてなることを特徴とする。
【0018】
前記冷却塔において、前記複数の水力タービン羽根車は、前記冷却塔ファン回転主軸に対して回転対称に配置されていることを特徴とする。
前記冷却塔において、前記冷却塔ファン回転主軸にはファンギアが装着され、前記複数の水力タービン羽根車それぞれの回転軸の外延伸端には水羽根車ギアが設置され、前記水羽根車ギアと前記ファンギアとは互いに噛み合うことを特徴とする。
前記冷却塔において、前記水力タービン羽根車は2つ設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る双羽根車動力式冷却塔水力タービンは、冷却塔ファン回転主軸がベアリングを介してハウジングの中央位置に設置され、その主軸にはその外側にファンギアが装着されており、前記水力タービン羽根車はハウジング内の両側に中心が対称になるように配置され、その2つの水力タービンは独立した吸水口と排水口をそれぞれ有し、2つの水力タービン羽根車の回転軸の外延伸端には水羽根車ギアが設置されており、前記2つの水羽根車ギアと前記ファンギアは互いに噛み合っている。本発明は、従来の冷却塔内水路の余剰運動エネルギーおよびポテンシャルエネルギーを十分に利用しており、2つの羽根車動力を形成し冷却塔ファン回転主軸の回転を帯動することで、冷却塔ファン回転主軸上に作用するトルクが増加し、ファンギアが受ける力を均一化し、水力タービンの振動を減少させ、さらに水羽根車ギアとファンギアの歯数比を調節することにより、冷却塔ファンの回転数を増加させて、空調水システムまたは工業用温水システムにおける温水と空気の熱交換効率を増大し、装置全体の水エネルギー変換効率をさらに向上させることができる。
【0020】
また、既存の冷却塔に対して、駆動用モータを水力タービンに置き換え、送水管を水力タービンと接続するのみで、本発明に係る冷却塔を製作することができるため、既存の冷却塔の構造を大幅に変更することなく、簡単な改造のみで省電力を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る冷却塔を備えた冷房空調システムの全体構成を示す図である。
【図2】同実施形態に係る水力タービンの構造を平面的に示す説明図である。
【図3】同実施形態に係る水力タービンの斜視図である。
【図4】従来における冷却塔の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る双羽根車動力式冷却塔水力タービン及び冷却塔を、冷却水適用設備としての冷房空調システムに利用した場合の実施形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は、冷房空調システムの全体構成を示す図である。同図に示すように、冷房空調システムは、冷房装置本体112と、冷凍機132と、冷却塔10とを備えている。
【0024】
冷房装置本体112は、冷却コイル122と再熱コイル120とを備えている。夏季などの高温多湿な時期には、取入れ空気114を冷却コイル112で過冷却することによって除湿した後に再熱コイル120で加熱し、給気116として図示しない被空調エリアに送り込む。冷却コイル122には冷凍機132で冷却された冷水134が供給される。冷却コイル122で取入れ空気114との熱交換によって昇温した冷水134は冷凍機132に戻り、再冷却されて循環使用される。冷凍機132には冷却塔10が接続し、冷却塔10で冷却された冷却水が冷凍機132の冷熱源として利用される。冷凍機132での熱交換によって昇温した水は被冷却水として冷却塔10に戻り、再冷却されて循環使用される。再熱コイル120には温水又は蒸気などの熱媒130を供給し、空気を加熱する。
【0025】
冷却コイル122用の冷水134を冷却する冷凍機132は圧縮式冷凍機であり、主に圧縮機136、凝縮器138、膨張弁140及び蒸発器142によって構成される。凝縮器138は、出力管66を介して冷却塔10と接続している。これらの機器を閉ループで循環する冷媒148はガス状で圧縮機136によって昇圧され、凝縮器138で冷却塔10からの冷却水によって冷却されて凝縮する。凝縮した冷媒148は膨張弁140で断熱膨張して温度が急低下し、蒸発器142に送られる。蒸発器142では冷媒148と冷水134とが熱交換し、冷水134は冷却され冷却コイル122に送られる。冷却コイル122で取入れ空気114との熱交換によって昇温した冷水は蒸発器142に戻り、循環使用される。蒸発器142で冷水134と熱交換した冷媒148は蒸発し、ガス状で圧縮機136に戻る。
【0026】
上述のように、冷却水を冷熱源とする冷却水適用設備(冷凍機132)との間で水を循環させる冷却塔10は、上下端に開口を有する円筒状のタワーケーシング31を備えている。タワーケーシング31の中心部には支柱32が立設されており、当該支柱32の上部であってタワーケーシング31の上部開口部分にタワーケーシング31の下部から吸引し、上方に空気を強制的に通風させるための冷却塔ファン33が装備されている。また、前記支柱32の上端部にはタワーケーシング31の内部通風路を横断するように散水器35が配置され、この散水器35に導入された被冷却水を下方に向けて散水するようにしている。
【0027】
この冷却塔10では、前記冷凍機132側からポンプにより吸い上げられた被冷却水のエネルギーを利用して冷却塔ファン33を回転駆動するようにしており、このため、前記冷却塔ファン33と前記散水器35の間に水力タービン30を配置している。この水力タービン30に被冷却水を導入するために、前記冷凍機132から排出された被冷却水がポンプ145により揚水されてくる2つの送水管34a,34bがタワーケーシング31の外壁に沿って延在している。この送水管34a,34bを前記水力タービン30に接続し、被冷却水の水力を受けて内蔵されている水力タービン羽根車(後述)を回転させ、この水力タービン羽根車の回転動力により冷却塔ファン33に接続される冷却塔ファン回転主軸を回転駆動させるようにしている。そして、回転動力を与えた被冷却水を水力タービン30から前記散水器35に供給し、タワーケーシング31の内部に散水させるようにしている。
【0028】
タワーケーシング31の内部には、前記散水器35から散水されて水粒子となった被冷却水を吸収し、タワーケーシング31内での水の自由落下を阻止しつつ、被冷却水と空気との接触時間を延ばすと共に、被冷却水と空気の接触面積を大きくし、冷却効果を高めるための充填材36が通風路を横断するように設けられている。また、タワーケーシング31の下部には、冷却された冷却水を貯留する水槽37及び水槽37に貯留された冷却水を冷凍機132に送水するための出力管66が設けられている。
【0029】
図2は実施形態に係る水力タービン30の構造を平面的に示す説明図、図3は水力タービン30の斜視図である。
この実施形態に係る水力タービン30は双羽根車動力式冷却塔水力タービンとして構成されている。2つの水力タービン羽根車1,2と、この水力タービン羽根車1,2を収容するハウジング3と、冷却塔ファン回転主軸4とを備えている。冷却塔ファン回転主軸4は、図示せぬベアリングを介してハウジング3の中央位置に設置されている。その冷却塔ファン回転主軸4には、外側にファンギア5が装着されている。また、その冷却塔ファン回転主軸4の上端には冷却塔ファン33を接続できるようにしている。2つの水力タービン羽根車1,2は、ハウジング3内の両側に中心が対称になるように配置されている。その2つの水力タービン羽根車1,2は、独立した吸水口11,21と排水口12,22とをそれぞれ有している。2つの水力タービン羽根車1,2それぞれの回転軸の外延伸端には、水羽根車ギア13,23が設置されている。水羽根車ギア13,23はファンギア5と互いに噛み合っている。水羽根車ギア13,23とファンギア5との中心距離は一定である。これにより2つのギア(水羽根車ギア13,23とファンギア5)の伝達比を調整し、冷却塔ファン回転主軸4の回転数を、好ましくは、ギア伝達比1.85:1〜2.05:1に調整する。
【0030】
このような水力タービン30を備えた冷却塔10を使用するとき、冷房空調水システムで使用されて温度が上昇した被冷却水は、ポンプ145で送水管34a,34bに送水され、2路に分かれて、それぞれ吸水口11,21から水力タービン羽根車1,2に進入し、水流は2つの水力タービン羽根車1,2を反対方向に回転させ、その2つのタービン羽根動力トルクが冷却塔ファン回転主軸4のファンギア5に重畳される。水羽根車ギア13,23とファンギア5との歯数比を調節することで、冷却塔ファン回転主軸4の回転数を最適値にすることができる。
【0031】
このような水力タービン30を使用することで、従来技術に比べて、送水管34a,34bを流れる被冷却水の余剰運動エネルギー及びポテンシャルエネルギーが十分に利用される。2つの羽根車動力を形成し冷却塔ファン回転主軸4の回転を帯動することで、冷却塔ファン回転主軸4上に作用するトルクが増加し、ファンギア5が受ける力を均一化し、水力タービン30の振動を減少させ、さらに、水羽根車ギア13,23とファンギア5の歯数比を調整することにより、冷却塔ファン33の回転数を増加させて、冷房空調水システムにおける温水と空気との熱交換効率を増大させ、冷却塔10全体の水エネルギー変換効率をさらに向上させることができる。
【0032】
また、水力タービン30は、複数の水力タービン羽根車1,2と、送水管34a,34bに接続され被冷却水を水力タービン羽根車1,2に入射可能に開口された吸水口11,12と、当該水力タービン羽根車1,2の回転により駆動され冷却塔ファン33の回転軸を形成する冷却塔ファン回転主軸4を備えるとともに、水力タービン羽根車1,2に回転動力を与えた被冷却水を前記散水器に導出する排水口12,22を備えてなるため、既存の冷却塔の駆動用モータを水力タービン30に置き換えて、簡単に既存冷却塔を省エネルギータイプに改変することができる。すなわち、従来のモータ付き冷却塔ファンを取り外し、水力タービン30の排水口12,22を散水器35に接続し、冷凍機132からの送水管34を吸水口11,21に接続する。そして、冷却塔ファン33のボス部分に冷却塔ファン回転主軸4を装着するだけで改造作業を完了させることができる。したがって、本実施形態に係る冷却塔10を容易に製作することができ、既存の冷却塔の構造を大幅に変更することなく、簡単な改造のみで省電力を実現することが可能となる。
【0033】
また、2つの水力タービン羽根車1,2全体をハウジングで覆うことで、水エネルギーを水力タービン羽根車1,2に効率的に伝達することができ、エネルギー変換効率を高めることができる。
【0034】
また、電動モータの耐用年数は2〜3年であるのに対して、水力タービン30の耐用年数は10年以上であるため、水力タービン30を用いることで耐用年数が長くなる。
【0035】
また、電力モータを用いた場合には機種によって3〜200KW/hourの電力を消費するが、水力タービン30を用いることでこの消費電力を削減することができる。さらに、消費電力1KW/hour当たり0.39kgのCOが排出されるが、水力タービン30を用いることで1.17〜78kgのCOの排出削減効果がある。
【0036】
水力タービン30は、他のタイプの水力タービンに比べ、ポンプ145の効率を別途増加させることなく水流動力を増大させ、配置が合理的で、簡単かつ効果的であり、あらゆるタイプの冷却塔に適用でき、またあらゆる旧式の冷却塔に対して改造を行うことができる。
【0037】
なお、上記実施形態は本発明を限定するものではなく、同等の置換や同等効果の変更の形態によって得られる技術案はいずれも、本発明の保護範囲内に含まれる。
例えば、上述した実施形態では、冷却水適用設備として冷房空調システムについて説明したが、これに限定されることはなく、冷却水適用設備としては例えば鋳造品を冷却する工業用温水システムであってもよい。
【0038】
また、上述した実施形態では、水力タービン羽根車を2つ設けたが、これに限定されることはなく、3つ以上設けてもよい。この場合には、水力タービン羽根車の数に対応させて、送水管を水力タービン羽根車の数だけ設けるのが好ましい。水力タービン羽根車を3つ以上設ける場合には、ファンギア5が受ける力を均一化して冷却塔ファン回転主軸4上に作用するトルクを増加させるために、冷却塔ファン回転主軸4に対して3つ以上の水力タービン羽根車を回転対称に配置するのが好ましい。
【符号の説明】
【0039】
1………水力タービン羽根車、2………水力タービン羽根車、3………ハウジング、4………冷却塔ファン回転主軸、5………ファンギア、10………冷却塔、11………吸水口、12………排水口、13………水羽根車ギア、21………吸水口、22………排水口、23………水羽根車ギア、30………水力タービン、31………タワーケーシング、32………支柱、33………冷却塔ファン、34a,34b………送水管、35………散水器、36………充填材、37………水槽、50………タワーケーシング、52………冷却塔ファン、54………駆動用モータ、55………減速器、56………送水管、60………散水器、62………充填材、66………出力管、112………冷房装置本体、114………取入れ空気、116………給気、120………再熱コイル、122………冷却コイル、130………熱媒、132………冷凍機、134………冷水、136………圧縮機、138………凝縮器、140………膨張弁、142………蒸発器、145………ポンプ、148………冷媒。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水力タービン羽根車、ハウジング、冷却塔ファン回転主軸を備える双羽根車動力式冷却塔水力タービンであって、前記冷却塔ファン回転主軸はベアリングを介してハウジングの中央位置に設置され、その主軸には外側にファンギアが装着され、前記水力タービン羽根車はハウジング内の両側に中心が対称になるように配置され、その2つの羽根車は独立した吸水口と排水口をそれぞれ有し、2つの羽根車の回転軸の外延伸端には水羽根車ギアが設置され、前記水羽根車ギアと前記ファンギアを互いに噛み合わせてなることを特徴とする双羽根車動力式冷却塔水力タービン。
【請求項2】
前記水羽根車ギアとファンギアの中心距離が一定であり、これにより2つのギアの伝達比を調整し、前記ギア伝達比が1.85:1〜2.05:1であることを特徴とする請求項1に記載の前記双羽根車動力式冷却塔水力タービン。
【請求項3】
冷却水を冷熱源とする冷却水適用設備との間で水を循環させる冷却塔であって、下部から上方に空気を通風させるための冷却塔ファンと、前記冷却水適用設備からポンプにより揚水された被冷却水の送水管と、前記被冷却水を散水する散水器と、前記冷却塔ファンと前記散水器との間に設けられ、前記送水管に接続された水力タービンとを有し、前記水力タービンは複数の水力タービン羽根車と、前記送水管に接続され被冷却水を前記水力タービン羽根車に入射可能に開口された吸水口と、当該水力タービン羽根車の回転により駆動され前記冷却塔ファンの回転軸を形成する冷却塔ファン回転主軸を備えるとともに、前記水力タービン羽根車に回転動力を与えた被冷却水を前記散水器に導出する排水口を備えてなることを特徴とする冷却塔。
【請求項4】
前記複数の水力タービン羽根車は、前記冷却塔ファン回転主軸に対して回転対称に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の冷却塔。
【請求項5】
前記水力タービン羽根車は2つ設けられていることを特徴とする請求項4に記載の冷却塔。
【請求項6】
前記冷却塔ファン回転主軸にはファンギアが装着され、前記複数の水力タービン羽根車それぞれの回転軸の外延伸端には水羽根車ギアが設置され、前記水羽根車ギアと前記ファンギアとは互いに噛み合うことを特徴とする請求項3に記載の冷却塔。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−122745(P2011−122745A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278895(P2009−278895)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(509338581)
【Fターム(参考)】