説明

反射防止コーティングを有する透明基材

【課題】高屈折率及び低屈折率の誘電材料の薄い層が交互になった積重体により形成された反射防止コーティングを少なくとも一方の面に有するガラス基材を提供する。
【解決手段】基材1が強化、曲げ加工又は徐冷といった熱処理を受ける場合にコーティング6の光学的性質が変化するのを防止するため、ナトリウムイオンのようなアルカリイオンと接触して劣化しやすい積重体の一つ又は複数の層4を当該反射防止コーティング6の一部分を形成していて且つアルカリの拡散に対する遮蔽体として働く少なくとも一つの層により当該基材1から切り離す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止コーティングを備えた透明な、特にガラスの基材に関し、またそれらの製造方法に関する。それはまた、それらの使用、特にガラス材(glazing)としての使用にも関する。反射防止コーティングは通常、薄い干渉層の積重体、一般には低屈折率層と高屈折率層とが交互になったものにより形成される。透明基材上に付着させると、そのようなコーティングは光の反射を減らす機能、すなわち光の透過を増大させる機能を持つ。従って、このようにコーティングされた基材は、透過光と反射光との比が大きくなりやすく、これはその背後にある対象物の可視性を向上させる。
【0002】
それはいろいろな用途で、例えば観察者の背後に置かれたライトにより照らされるパネルを保護するため、あるいは外側の照明に比べて内側の照明が弱い場合にもショーウインドーの中に何があるか見るのを容易にするようショーウインドーの一部分を形成又は構成するために使用することができる。
【背景技術】
【0003】
反射防止コーティングの性能特性は様々な基準に基づいて測定又は評価することができる。明らかに、第一の基準は光学的性質の基準である。「良好」な反射防止コーティングは標準的な透明ガラス基材の光の反射率を所定の値まで、例えば2%まで、あるいは1%以下までさえも低下させることができなくてはならないと考えることができる。そのコーティングは、基材が満足な、すなわち中性の熱的特性、むき出しの基材のそれに非常に近いものを保持するのを保証することも重要といえる。別の二次的な基準を、心に描く用途の関数として、詳しく言えばコーティングの化学的及び/又は機械的耐久性、使用する材料の値段又はそれを製造するのに使用する方法を考慮に入れることができる。
【0004】
国際特許出願公開WO−92/04185号パンフレットには、透明基材に付着させた、酸化ニオブの高屈折率の層と酸化ケイ素の低屈折率の層の交互になったもので構成された反射防止コーティングが開示されている。その光学的性能特性は興味深いものである。工業的観点からは酸化ニオブを使用することが有利である。と言うのは、それが既知の真空法、例えば反応性陰極スパッタリングのようなものを使って酸化チタンタイプの他の高屈折率酸化物より速やかに付着(堆積)させることができる材料であるからである。とは言うものの、そのような積重体は熱処理に敏感であり、且つ高温ではその光学的性質が、特にその反射の色特性に関して、不都合に変更されることが知られている。これは、特にコーティングを既に備えている基材に、ガラスの軟化温度又は軟化点に近づきかねない温度での熱処理によって得ることができるだけである機械的又は美的性質を与えようとする場合に不利である。それは、例えば基材にある一定の曲率を与えるための曲げ加工、それを固化するための徐冷、あるいは粉々になる場合の傷害を防ぐための強化からなることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、良好な光学的性能特性を有し、且つたとえそれの基材が後に熱処理を受けようと受けなかろうとその光学的性能特性を維持する、新しいタイプの反射防止多層コーティングを開発することにより、上記の不都合をなくすことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、高屈折率の誘電材料の薄い層と低屈折率の誘電材料の薄い層が交互になった積重体を取り入れた反射防止コーティングを少なくとも一方の面に有するガラス基材に関する。この発明は、拡散により放出される基材のナトリウムイオンタイプのアルカリイオンと接触して劣化を被ることがある積重体の1又は2以上の層を反射防止コーティングの一部分を形成していて且つアルカリイオンの拡散に対する「遮蔽体(シールド)」を形成している少なくとも一つの層により基材から切り離すのを確実にすることによって、基材が強化、曲げ加工又は徐冷タイプの熱処理を受ける場合にコーティングの光学的性質が変化するのを防止することからなる。
【0007】
このように、驚くべきことには、熱の影響下で反射防止コーティングの光学的見かけが不都合に変化するのはガラスからのアルカリイオンの拡散によるものであり、これらのイオンはコーティングの層のうちの少なくとも一部のものに挿入されそしてそれらを構造的に変更してそれらを劣化させることになるということが分かった。本発明による解決策は、反射防止コーティングからアルカリイオンに「敏感」な物質を取り除かず、その代わりにそれをアルカリ拡散プロセスを阻止する「遮蔽」層によってガラスの表面から隔離することからなる。この層はまた、部分的には反射防止コーティング内で十分な光学的機能を果たすように選ばれる。このように、それは従来の反射防止コーティングの構造をより複雑にする追加の層ではなく、工業的な観点から非常に有利である。
【0008】
こうして、これらの「遮蔽」層は、アルカリに敏感であるが多くの他の利点を提供する物質を取り入れながら、どのような有意の光学的変更も伴わずに熱処理に耐えることができる反射防止コーティングの製造を可能にする。
【0009】
このように、本発明による反射防止コーティングは好ましくは、高屈折率層として酸化ニオブ層(屈折率はおよそ2.30)を取り入れるが、これはコーティング中に、ガラスのアルカリと接触しないように配置される。酸化ニオブは、前述のように反応性陰極スパッタリングにより比較的容易に付着(堆積)させることができ、十分に高い屈折率と特に申し分のない機械的耐久性とを有する興味深い物質である。
【0010】
本発明による反射防止コーティングは、酸化ニオブ以外のアルカリに敏感な物質の層を含むこともできる。実際に、酸化タングステンを使用することが可能であって、これは屈折率が高く(屈折率はおよそ2.17)、その光学的見かけはナトリウムイオンの挿入により変更されることがある。これは、酸化セリウムCeO2に関しても当てはまる。酸化ビスマスも使用することができ、これも高い屈折率(およそ2.30〜2.52)を有する。同様に、多価の酸化物類も使用することができる。
【0011】
好ましくは、本発明による反射防止コーティングは、一方において低屈折率の誘電材料の層が1.35〜1.70、好ましくは1.38〜1.68の屈折率を有し、そして高屈折率の誘電材料層が少なくとも1.80の屈折率を持ち、特に1.80〜2.60、好ましくは2〜2.45、例えば2.10〜2.35の屈折率を持つようなものである。反射防止効果は、交互に配置された高屈折率層と低屈折率層との間に有意の屈折率の差がある場合に十分に得られるだけである。
【0012】
本発明による「遮蔽」層にはいくつかの態様がある。一般的に言えば、それがガラスの表面に近くなればなるほど、それはアルカリイオンが積重体を通って拡散するのを素早く止めることができるようになる。
【0013】
第一に、上記の遮蔽層は積重体の低屈折率層のうちの一つでよく、詳しく言えば「第一」の低屈折率層、すなわちガラスに一番近いそれでよい。好ましくは、この第一の層の光学的厚さは40〜70nm、特におよそ45〜60μmである。それは、全部のものが低屈折率であり且つアルカリの移動を止める、特に酸化ケイ素SiO2、Al23:Fタイプのドープされた酸化アルミニウム(「ドープする」という用語は、ここでは層のフッ素レベルがそれを低屈折率層として使用するのを許容する値までアルミナの屈折率を低下させるのに十分であることを意味する)、あるいはこれらの化合物の混合物から選ばれる異なる材料で構成することができる。
【0014】
反射防止コーティングは、通常、高屈折率層を一番目の層として有する。それゆえに、遮蔽層が低屈折率層である場合には、一般にそれが上に配置される高屈折率層は熱処理の場合において本質的に同じ特性、特に光学的特性を維持することができる材料から作られる。とは言え、その材料がアルカリイオンと接触して劣化してはならない場合には、それをなおわずかに結晶改変することが、特にこれがその光学的性質に有害な影響を及ぼさない場合において、できる。酸化スズSnO2(これは随意にドープされてもよい)、酸化亜鉛ZnO、酸化タンタルTa25又は酸化ジルコニウムZrO2といったような材料が適当なものであり得る。
【0015】
もう一つの態様は、遮蔽層として高屈折率層、特にガラスと接する第一の層を選ぶことからなる。それはまた、積重体の他の層をアルカリイオンの作用から「保護」する。それは、好ましくは25〜50nmの光学的厚さを有する。それは、窒化ケイ素Si34又は窒化アルミニウムAlNを基にして選ぶことができ、両方の材料とも2に近い屈折率を持ち、そしてアルカリイオンを阻止し且つそれに関して不活性である。
【0016】
本発明による反射防止コーティングは、高屈折率層と低屈折率層の連続体を二つ含むだけでもよい。このように、著しい反射防止作用を得るのに四つの層で十分なことがある。この場合には、第一の連続体は遮蔽層(低屈折率層かあるいは高屈折率層)を含まなくてはならず、第二の連続体は、特に光学的厚さが245〜290nmの、酸化タングステン、酸化ビスマス又は酸化ニオブと、そしてまた特に光学的厚さが120〜150nmの、SiO2タイプ又はアルミニウム−ケイ素酸化物の混合物の最終の低屈折率層を含む。
【0017】
この構成の例は、次に掲げる積重体、
【0018】
【化1】

【0019】
でよく、SiO2「遮蔽」層はそれを覆うNb25層を「保護」し、SnO2層はアルカリに対して不活性のままであり且つ熱の影響を受けて劣化しない。このタイプの積重体は六つの層を持つこともできること、すなわち第三の高屈折率/低屈折率酸化物の連続体を持つこともできることは明らかである。
【0020】
もう一つの構成によれば、本発明による反射防止積重体の二番目の連続体は「総体的な」高屈折率層を含むことができる。「総体的な」という用語は、高屈折率層の重なり、すなわち2又は3の層があることを意味し、そのうちの少なくとも一つは酸化ニオブ、酸化タングステン又は酸化ビスマスである。次に掲げるものがこの構成の例である。
【0021】
【化2】

【0022】
第三の態様によれば、本発明による遮蔽層は高屈折率層及び低屈折率層の第一の連続体が本発明による遮蔽層と完全に取り替えられて、そしてそれは1.7〜1.8の中間的な屈折率を有する。それは、好ましくは80〜120nmの光学的厚さを有する。このような中間的な屈折率の層は、高屈折率/低屈折率層の連続体のそれと非常に似た光学的効果を及ぼし、積重体の層の総数を減らすという利点がある。それは有利には、ケイ素とスズ/ケイ素と亜鉛/ケイ素とチタンの酸化物の混合物に基づくものであり、あるいは酸窒化ケイ素に基づくことができる。これらの材料の異なる成分間の相対的な比率が、層の屈折率を調整するのを可能にする。
【0023】
このような遮蔽層を使用する積重体構成の例は次に掲げるとおりでよい。
【0024】
【化3】

【0025】
ここでも、SiOxy「遮蔽」層はそれを覆うNb25層を効果的なやり方で「保護」する。
【0026】
どの態様が選ばれようとも、本発明は光の反射率RLが最大で2%、特に最大で1%である反射防止積重体を支持するガラス基材の製造を可能にし、この反射率はガラス基材が後に曲げ加工、強化又は徐冷といったような熱処理を受ける場合に0.5%、あるいは0.3%の範囲内にも、特に0.2%の範囲内に、また±0.1%にも維持される。
【0027】
同じようにして、それらの反射の測色特性は実質的に変化しないままであり(特に青又は青−緑の色相で)、測色系(L*,a*,b*)によれば、反射光のa*とb*の変動は絶対値で最大2、とりわけ最大1.5である。全般的に、熱処理は、人間の目の感度を参照として使用した場合に、このタイプの反射防止積重体の反射の光学的見かけの悪化を引き起こさない。
【0028】
これは、一連の利点をもたらし、すなわち単一の反射防止コーティングの構成で、曲げても曲げなくてもよくそして強化しても強化しなくてもよいガラス材を製造するのに十分である。
【0029】
一方では、熱処理を受ける基材のためにアルカリに敏感な層のないタイプのコーティングを有することが、そして他方では、熱処理を受けない基材のために例えばNb26のタイプの層を持つことができるコーティングタイプを有することが不要になる。これは、積重体の管理を容易にし、そして反射防止コーティングのタイプを心配する必要なしに生産を要求されたとおりに処理されたあるいは未処理のガラス材に非常に迅速に合わせることを可能にする。
【0030】
もう一つの利点は、一部のものは熱処理されておりそして一部のものは熱処理されていない反射防止コーティングを持つガラス材を建物の外面に、例えば展示用の窓に、ランダムなやり方ではめることが可能であることである。肉眼は、このガラス材の集成体の総体的な光学的見かけの不同を見破ることができない。
【0031】
熱処理されていないコーティングのガラス材を販売して、光学的性質が変わらないことを保証しながら購入者に熱処理することを任せることも可能になる。
【0032】
好ましくは、最高の反射防止効果を得るために、ガラス基材の面のおのおのに本発明による反射防止積重体を被覆する。
【0033】
本発明によれば、反射防止積重体の低屈折率層のうちの少なくとも一つは、特に積重体の最後の層は、ケイ素−アルミニウム酸化物混合物(随意にフッ素化される)を基にすることができる。そのような「混合」酸化物層は、特に、純粋なSiO2層よりも良好な化学的耐久性を有する。この層の最適なアルミニウムレベルは、この向上した耐久性を純粋なシリカと比べて層の屈折率を本質的に上昇させずに得るように選ばれ、また反射防止系の光学的性質を劣化させないように選ばれる。アルミナは、およそ1.45であるSiO2の屈折率より高いおよそ1.60〜1.65の屈折率を有する。
【0034】
本発明はまた、一体式であれ、積層式であれ、あるいは挿入されたガス層のある多重式であれ、コーティングされた基材を取り入れたガラス材にも関する。
【0035】
これらのガラス材は、建物内部のガラス材及び外部のガラス材の両方として使用することができ、パネル、展示窓といったような対象物のための保護ガラスとして、カウンターのようなガラス調度品として、冷凍陳列ケースとして、そしたまた積層フロントガラスのような自動車用ガラス材、鏡、コンピュータのためのまぶしさ防止スクリーン、及び装飾用ガラスとして使用することができる。
【0036】
本発明による反射防止コーティング基材を取り入れたガラス材は、興味深い追加の性質を持つことができる。例えば、それは保安機能を有するガラス材、例えばサン−ゴバン・ビトラージュ社によりStadipの名称で市販されている積層ガラス材のようなものや、強化ガラス材、例えばサン−ゴバン・ビトラージュ社によりSekuritの名称で市販されているようなものでよい。それらはまた、盗難防止ガラス材、例えばサン−ゴバン・ビトラージュ社によりContrariscの名称で市販されているようなもの、防音ガラス材、例えばサン−ゴバン・ビトラージュ社によりContrasonor(二重ガラス材)もしくはPhonip(積層ガラス材)の名称で市販されているようなもの、あるいはまた防火ガラス材の如きものでもよい。
【0037】
ガラス材はまた、既に反射防止積重体を備えた、あるいは面の一つに他のガラス材形成基材を備えた基材上に、特定の機能を有する層(又は層の積重体)、例えば日光遮蔽機能もしくは吸熱機能を有するもの、例として窒化チタン層の如きもの、あるいはサン−ゴバン・ビトラージュ社によりAntelioもしくはCool−lite Kの名称で市販されているような層、あるいはまた紫外線防止機能のあるもの、帯電防止機能を持つもの(例としてわずかに導電性の、ドープされた金属酸化物層)、及び低輻射率のもの、例としてサン−ゴバン・ビトラージュ社により市販されるPlanithermタイプの銀を基にした層もしくはEKOタイプのドープされた酸化スズ層のようなもの、が付着されるように選ぶこともできる。帯電防止機能層の場合には、それを反射防止積重体を備えた基材面に配置することが好ましい。層はまた、加熱タイプのもの(適切な電流銅線を備えた金属層)であることもでき、それは表面に曇りが付着するのを防ぐために、冷凍陳列ケースにとって興味深いものである。それはまた、非常に薄いTiO2層のような汚れ防止の性質のある層でもよく、あるいは撥水機能のある疎水性有機層又は曇り防止機能のある親水性層でもよい。疎水性層の例は、米国特許第5368892号及び同第5389427号明細書に記載されているフッ素化されたオルガノシランを基にした層である。
【0038】
それは鏡の機能を持つ銀のコーティングでもよく、全ての構成が可能である。例えば、鏡の機能を備えた一体式ガラス材の場合には、反射防止コーティングを面1(すなわち鏡に向かう人が位置している側)に付着させ、銀コーティングを面2(すなわち鏡が壁に取り付けられる側)に付着させることが有利であって、本発明による反射防止積重体はこうして反射像の分裂するのを防止する。
【0039】
二重ガラス材(慣習に従ってガラス基材の面に一番外側の面から始まる番号が付けられる)の場合には、こうして、反射防止積重体を面1に配置し、そしてこのほかの機能性層を、紫外線防止又は日光遮蔽用の層については面2に、低輻射層については面3に配置することが可能である。このように、二重ガラス材においては、基材の面のうちの一つに少なくとも一つの反射防止積重体を有し、そして補足的な機能を提供する少なくとも一つの層又は層の積重体を有することが可能である。二重ガラス材は、いくつかの反射防止コーティングを有することができ、特に少なくとも面2又は3に有することができる。一体式のガラス材について言えば、帯電防止機能層を第二の反射防止積重体とともに付着させることが可能であろう。
【0040】
同じように、本発明による積重体で覆われる基材のためにあるいはガラス材を形成するためそれと組み合わされるそのほかの基材のために選ばれるガラスは、特に、例えばPlaniluxタイプの特別透明なものあるいはParsolタイプの着色ガラスでよく、これらの製品は両方ともサン−ゴバン・ビトラージュ社により市販されている。それは、紫外線に関してフィルター機能をそれ自体が有する。これらの一つ又は複数の基材を、本発明による反射防止積重体が耐えることができる例えば強化、曲げ加工あるいは折り加工、すなわち非常に小さな曲率半径の曲げ作用(店舗のカウンター用途)のような熱処理にかけることができる。
【0041】
基材はまた、表面処理、特に研削(つや消し)を受けてもよく、反射防止積重体は研削した面にあるいは反対側の面に付着可能である。
【0042】
基材、あるいは組み合わされた基材のうちの一つは、印刷されたもの、装飾ガラスタイプのもの、例としてサン−ゴバン・ビトラージュ社により市販されているAlbarinoといったようなものでもよく、あるいはスクリーン法で印刷することができる。
【0043】
基材を本発明による反射防止コーティングと合体させた特に興味深いガラス材は、2枚のガラス基材をポリビニルブチラールタイプの集成ポリマーシートで組み合わせた積層構造を有するガラス材である。少なくとも一方の基材、好ましくは両方の基材が本発明による反射防止コーティングを、好ましくは外側の面に、詳しく言うと反射防止コーティング/ガラス/PVB/ガラス/反射防止コーティングの順番で、備えている。
【0044】
この構成は、特に2枚の湾曲及び/又は強化基材の場合にあっては、非常に有利な性質の自動車用ガラス材、特にフロントガラスを得るのを可能にする。例えば、標準規格は自動車が法線入射で少なくとも75%の高い光の透過率を持つフロントガラスを有することを要求する。通常のフロントガラスの積層構造に反射防止コーティングを取り入れることから、ガラス材の光の透過率を、なおも光の透過率の標準規格の範囲内にとどめながら、そのエネルギー透過率をわずかに低下させることができる。こうして、フロントガラスの日光遮蔽効果を、例えばガラス基材の吸収によって、向上させることができる。例えば、標準の積層フロントガラスの光の反射率の値を、そのエネルギー透過率を例えばそれを85〜81%通過させることにより1〜10%低下させながら8%から1%未満にすることができる。
【0045】
本発明はまた、反射防止コーティングを有するガラス基材の製造方法にも関する。この方法は、真空プロセス、特に磁場に支援される陰極スパッタリングを利用して、層を連続して付着させることからなる。このように、当の金属の反応性スパッタリングにより酸素の存在下で酸化物層を、そして窒素の存在下で窒化物層を付着させることが可能である。
【0046】
もう一つの選択は、積重体の層の全部又は一部を、特に最初の1又は2以上の層を、適当な前駆物質の熱分解により付着させることからなる。実際には、それは前駆物質(例えば酸化スズを生成するためのスズジブチルジフルオリド)を粉末形態で使用しての固相熱分解でよく、例えば前駆物質を溶媒に溶解させることにより液体の形態で使用しても、あるいはガスの形態で使用してもよい。後者の場合には、前駆物質はガスの形態にされる。それは、酸化ケイ素の生成について言えばテトラオルトシリケート(TEOS)又はSiH4でよい。熱分解は高温のフロートガラスの帯上で直接且つ連続的に行うことができ、その後これに続く層を既に切断したガラス上に陰極スパッタリング法を使って付着させる。
【実施例】
【0047】
本発明の詳細と有利な特徴は、図1に関連して以下に示される非限定の例から明らかになろう。非常に図式的な図1は、本発明による反射防止積重体を上に載せた基材を断面図で示している(基材の厚さと層のそれらとの比率は理解を容易にするために図に示されていない)。例えば、基材の各面に同一の積重体が設けられるが、分かりやすくするために一つだけが示されている。基材の面のおのおのでコーティングを使用することは、以下の例の全てにおいて規定されるものである。
【0048】
これらの例では、磁場に支援される反応性陰極スパッタリングによって薄い層の連続付着を行うが、得られる層の厚さをうまく制御するのを可能にするこのほかの任意の真空法又は熱分解法を使用することも可能であろうということが指摘される。
【0049】
反射防止コーティングをその上に付着させる基材は、Planiluxタイプの透明なソーダ−石灰−シリカガラスの基材であり、厚さは3〜6mm、特に4mmである。
【0050】
図1は、第一の態様に従って、その二つの面に高屈折率の薄い層2、4と低屈折率の薄い層3、5が交互になったものからなる4層積重体6が被覆されたガラス基材1を示している。もう一つの態様は、二つの層2、3を中間的な屈折率の層7と取り替えることからなる。
【0051】
〔比較例〕
この例は、下記の順番のものからなる4層コーティングを使用する。
【0052】
【化4】

【0053】
屈折率がおよそ2.3の二つのNb25層は、ニオブのターゲットから酸素の存在下での反応性スパッタリングにより得られ、屈折率がおよそ1.47の二つのSiO2層はホウ素又はアルミニウムをドープされたケイ素のターゲットから酸素の存在下での反応性スパッタリングにより得られる。
【0054】
次に掲げる表1は、図1に従って番号を付けた、積重体の各層の幾何学的な厚さをナノメートルで示している。
【0055】
【表1】

【0056】
〔実施例1〕
この例は、下記の順番に従う4層の反射防止コーティングを使用する。
【0057】
【化5】

【0058】
最後の3層は先のとおりに得られ、同じ屈折率を持つ。最初のものは、スズのターゲットから酸素の存在下での反応性陰極スパッタリングにより得られ、その屈折率はおよそ2である。
【0059】
次に掲げる表2は、図1に従って番号を付した積重体の各層について、nmで表した好ましい幾何学的厚さの範囲と、これらの範囲内から選ばれた実際の厚さを示している。
【0060】
【表2】

【0061】
その後、比較例及び実施例1に従って被覆した基材に550℃で1時間加熱することからなる徐冷処理を施す。
次に掲げる表3と表4は、この熱処理の前後での二つの基材のおのおのについて、次の測光データを示している。
・法線入射下でのD65光源による光の反射率の値RL(%)。
・測色系(L,a*,b*)による反射のa*(R)、b*(R)及びL*(R)の値(無次元)。
【0062】
【表3】

【0063】
【表4】

【0064】
更に、表2に明示した積重体をおのおのが片方の面に備えた2枚の基材を用いて、下記の順番に従うフロントガラスを製造するため標準的なPVBシートで集成した。
【0065】
【化6】

【0066】
同じ順番であるが二つの反射防止コーティング(6)を持たないものと比べると、RL は8.1%に代わって0.4%になり、エネルギー透過率TEは85%に代わって81.5%になる。
【0067】
〔実施例2〕
この例は、次に掲げる順番を持つ3層反射防止コーティングを使用する。
【0068】
【化7】

【0069】
最後の2層は、先の例のNb25層及びSiO2層と同じように形成される。最初の層は、ホウ素又はアルミニウムをドープされたケイ素のターゲットからO2/N2雰囲気の存在下での反応性陰極スパッタリングによって得られる。
【0070】
このSiOxy層はおよそ1.75の屈折率を有する。表5は、三つの層のそれぞれについてそれらの好ましい幾何学的厚さの範囲とそれらの実際の厚さを示している。
【0071】
【表5】

【0072】
この基材は、その反射の見かけに有意の変化を生じることなく先の例におけるのと同じタイプの熱処理に耐えることができる。
【0073】
〔実施例3〕
実施例1と同様に、この例は次に掲げる順番を持つ4層反射防止コーティングを使用する。
【0074】
【化8】

【0075】
酸化ビスマスは、ビスマスターゲットから反応性陰極スパッタリングにより付着させる。
【0076】
表6は、各層についてそれらの好ましい幾何学的厚さの範囲と実際の幾何学的厚さをナノメートルで示している。
【0077】
【表6】

【0078】
こうして被覆された基材の光の反射率RLは0.50%である。反射のa*(R)とb*(R)の値はそれぞれおよそ−3とおよそ−1である。
【0079】
〔実施例4〕
この例は、6層の反射防止積重体を使用する。基材から出発して2番目の高屈折率層は、実際のところ屈折率が2に等しいかそれより高い三つの酸化物層から形成される。この積重体は次に示すとおりである(各層の下に幾何学的厚さをナノメートルで示す)。
【0080】
【化9】

【0081】
こうして被覆された基材の光の反射率RLは0.45%である。反射のa*とb*の値はそれぞれおよそ−3と−1である。
【0082】
〔実施例5〕
この例は、5層の反射防止積重体を使用し、基材から出発して2番目の高屈折率層は屈折率が2より高い二つの重なった酸化物層により構成される。この積重体は次に示すとおりである(厚さに関しては実施例4と同様である)。
【0083】
【化10】

【0084】
この基材の光の反射率は0.60%であり、反射のa*とb*の値はおよそ−3と−1である。
【0085】
〔実施例6〕
この例は、構造が実施例5のそれと同様である一方、二つの重なった高屈折率層の順番を逆にして、積重体が次に示すとおりとなった反射防止積重体を使用する。
【0086】
【化11】

【0087】
この基材の光の反射率は約0.50%であり、反射のa*とb*の値はおよそ−3と−1である。
【0088】
実施例4〜6では、反射防止積重体の構成層のおのおのの厚さを、反射光で負のa*とb*の値に相当し且つ絶対値で余り大きくない測色値が得られるように選んだこと、これは快くてそれほど強くない青−緑の反射光の色を意味することが指摘される。層の厚さがわずかに異なる、例えば10〜20%厚いかあるいは薄い同様の積重体構造を選択する場合、本発明の範囲から逸脱しないことは明らかである。このように、厚さを変えることにより反射光の測色特性を必要に応じて適合させることが可能である。
【0089】
実施例3〜6の積重体は、有意の光学的な変化なしに実施例1の積重体が受ける熱処理に耐えることができることも強調されなくてはならない。
【0090】
本発明による例の積重体の最後のSiO2層を、この層をより硬質にし且つ特に化学的により耐性(耐湿性)にする(これは反射防止積重体をガラス材の外面に配置しなくてはならない場合に有益である)ように、混合アルミニウム−ケイ素酸化物の層と取り替えることが都合よく可能であることも注目すべきである。とは言え、アルミニウム量は、層の屈折率を過度に上昇させないように制御されなくてはならない。SiO2を基にして例えば8〜12重量%のアルミニウム量が申し分ないものである。
【0091】
これらの全ての結果から以下に掲げる結論を引き出すことができる。表4からは次のことを理解することが可能である。
・本発明による反射防止コーティングはガラスに1%未満の非常に低い光の反射率の値を与え(コーティングなしのこれらの基材が有するおよそ8%の光反射率と比較のこと)、
・それらの反射の色は非常に中性であり、例1に関して言えば青−緑で非常に低く、これは特に建築物用のガラス材について、現在求められている美観上の色相であり、
・それらの光学的特性は、基材が高温の処理を受けた場合にほとんどあるいは全く変化を被らず、これはそれらの反射の見かけに、よりとりわけ当てはまる。
【0092】
このように、ΔRLで示されるRLの値の変動は最小限のものであり、0.3%未満、そしておおよそ0.1%である。一層重要なのは、それらの反射の好都合な測色特性が維持されることである。Δa*で示されるファクターa*の変動は絶対値で2.0未満、詳しく言えば1.36である。Δb*で示されるファクターb*の変動は同じ程度である。表4のデータを基に、
【0093】
【数1】

【0094】
すなわちa*、b*、L*の変動の自乗の合計の平方根で定義されるΔEの値を計算すると、3未満の値、詳しく言えば2.2の値が得られ、この値は人間の目の限界に達し、両方とも青−緑の色相にとどまっている熱処理された反射防止積重体を有する基材と未処理の同じ基材とを見分けることができずあるいは辛うじて見分けることができる。
【0095】
比較例の場合にはそう言えない。表3を参照すると、熱処理が基材の反射の見かけを有意に変更することが分かる。本発明による例では青−緑の色相が維持されるのに対し、比較例では反射の色が緑からふじ/紫へ揺れ動き、この色相は美観上評価されない。この色の変化は観察者が認めることができる。この比較例について先に定義したΔEの値を計算すると、およそ7.7の値が得られ、これは人間の目の感度の範囲内に入る。
【0096】
この外観が変化する理由は、第一の酸化ニオブ層、すなわちガラスに一番近い層が高温でナトリウムイオンNa+の拡散の影響を受けて非常にかなりの構造変化を被り、ナトリウムとニオブの混合化合物に変えられてもはや最初の酸化物の性質を持たなくなることである。同じことが酸化ビスマス又は酸化タングステンについて当てはまり、酸化タングステンはナトリウムイオンの挿入の結果として強く着色することも知られている。
【0097】
このように、本発明は、反射防止積重体の付着後に安全に硬化、曲げ加工又は強化することができるガラス材を製造することを目的として、反射防止積重体中にアルカリに対して敏感であるNb25、WO3、CeO2又はBi23タイプの酸化物を保持するが、それらを適当な「遮蔽」層によりガラスから隔離することによって折衷を図るのを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】二面を4層積重体で被覆された本発明によるガラス基材を示す図である。
【符号の説明】
【0099】
1 ガラス基材
2、4 高屈折率層
3、5 低屈折率層
6 積重体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高屈折率の誘電材料の薄い層と低屈折率の誘電材料の薄い層が交互になった積重体により形成された反射防止コーティング(6)を少なくとも一方の面に有するガラス基材(1)であって、当該基材(1)が強化、曲げ加工又は徐冷のような熱処理を受ける場合に当該コーティング(6)の光学的性質が変化するのを防止するため、ナトリウムイオンのようなアルカリイオンと接触して劣化しやすい積重体の一つ又は複数の層(4)を当該反射防止コーティング(6)の一部分を形成していて且つアルカリの拡散に対する遮蔽体として働く少なくとも一つの層により当該基材(1)から切り離すことを特徴とするガラス基材。
【請求項2】
前記低屈折率の誘電材料層(3、5)の屈折率が1.35〜1.70、特に1.38〜1.65であり、前記高屈折率の誘電材料層(2、4)の屈折率が少なくとも1.80、特に1.80〜2.60、好ましくは2.10〜2.35であることを特徴とする、請求項1記載のガラス基材。
【請求項3】
前記アルカリイオンと接触して劣化しやすい一つ又は複数の層(4)が高い屈折率を持ち、且つ酸化ニオブNb25、酸化タングステンWO3、酸化ビスマスBi23又は酸化セリウムCeO2に基づいていることを特徴とする、請求項1又は2記載のガラス基材。
【請求項4】
遮蔽層が前記積重体(6)の低屈折率層、特に一番目の層(3)であり、好ましくは40〜70nm、特におよそ45〜60nmの光学的厚さを有することを特徴とする、請求項1から3までの一つに記載のガラス基材。
【請求項5】
前記低屈折率の遮蔽層(3)が酸化ケイ素、Al23:Fタイプのドープされた酸化アルミニウム、又はこれらの物質の混合物を基にしたものであることを特徴とする、請求項4記載のガラス基材。
【請求項6】
前記低屈折率の遮蔽層(3)が、基材を熱処理する場合に同じ特性を、特に光学的特性を実質的に維持する物質、特に、ドープされていてもよい酸化スズSnO2、酸化亜鉛ZnO、酸化タンタルTa25又は酸化ジルコニウムZrO2である物質から選ばれた高屈折率の層(2)の上に配置されることを特徴とする、請求項4又は5記載のガラス基材。
【請求項7】
前記遮蔽層が前記積重体(6)の高屈折率の層、特に一番目の層(2)であり、好ましくは25〜60nmの光学的厚さを有することを特徴とする、請求項1から3までの一つに記載のガラス基材。
【請求項8】
前記高屈折率の遮蔽層が窒化ケイ素Si34又は窒化アルミニウムAlNの基づくものであることを特徴とする、請求項7記載のガラス基材。
【請求項9】
前記反射防止コーティング(6)が高屈折率層と低屈折率層の連続体を二つ含んでなり、第一の連続体(2、3)が前記遮蔽層を含み、第二の連続体(4、5)が、特に光学的厚さが245〜290nmである、酸化ニオブ又は酸化ビスマス又は酸化タングステンの層と、特に光学的厚さが120〜150nmである、SiO2タイプ又は酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合物の低屈折率層を含むことを特徴とする、請求項1から8までの一つに記載のガラス基材。
【請求項10】
前記反射防止コーティング(6)が、SnO2/SiO2/Nb25/SiO2、SnO2/SiO2/Bi23/SiO2又はSnO2/SiO2/WO3/SiO2の積重体を含むことを特徴とする、請求項9記載のガラス基材。
【請求項11】
前記第二の連続体(4、5)が、少なくとも一つは酸化ニオブ、酸化ビスマス又は酸化タングステン層である高屈折率層を、特に2又は3の層を重ねることで形成された総体的な高屈折率層を含むことを特徴とする、請求項9記載のガラス基材。
【請求項12】
前記反射防止コーティング(6)がSnO2/SiO2/Bi23/SnO2/Bi23/SiO2又はSnO2/SiO2/Nb25/SnO2/Nb25/SiO2の積重体を含むことを特徴とする、請求項11記載のガラス基材。
【請求項13】
高屈折率層と低屈折率層の第一の連続体(2、3)が、1.7〜1.8の中間的な屈折率を持ち好ましくは80〜120nmの光学的厚さを持つ遮蔽層(7)と置き換えられていることを特徴とする、請求項1から3までの一つに記載のガラス基材。
【請求項14】
前記中間的屈折率を持つ遮蔽層(7)がケイ素とスズ/ケイ素と亜鉛/ケイ素とチタンの酸化物の混合物を基にしており、あるいは酸窒化ケイ素を基にしていることを特徴とする、請求項13記載のガラス基材。
【請求項15】
前記反射防止コーティング(6)がSiOxy/Nb25/SiO2連続体を含むことを特徴とする、請求項14記載のガラス基材。
【請求項16】
前記反射防止積重体(6)の低屈折率層のうちの少なくとも一つが、特に当該積重体の最後の層(5)が、酸化ケイ素と酸化アルミニウムの混合物を基にしていることを特徴とする、請求項1から15までの一つに記載のガラス基材。
【請求項17】
各面に反射防止コーティング(6)を有することを特徴とする、請求項1から16までの一つに記載のガラス基材。
【請求項18】
光の反射率RLが最高で2%、特に最高で1%で且つ反射の色が青又は青−緑であり、曲げ加工、強化又は徐冷タイプの熱処理後に、RLの変動が最大で0.3%、特に最大で0.1%であり、反射のa*とb*の変動が最大で2、特に最大で1.5であることを特徴とする、請求項1から17までの一つに記載のガラス基材。
【請求項19】
請求項1から18までの一つに記載された反射防止コーティング(6)を備えた基材を取り入れてなることを特徴とする、一体式、積層式又はガス層を間に入れた多重式のガラス材。
【請求項20】
日除け、保安、盗難防止、防音又は防火機能を有することを特徴とする、請求項19記載のガラス材。
【請求項21】
当該ガラス材の前記反射防止コーティング(6)を備えた基材(1)にあるいは他の構成基材のうちの少なくとも一つに、日除け、吸収、紫外線防止、帯電防止、低輻射、加熱又は汚染防止機能を有する層(又は層の積重体)、あるいは撥水機能を持つ疎水性有機層もしくは曇り防止機能を持つ親水性層、あるいは鏡の機能を備えた銀コーティングを付着させてなることを特徴とする、請求項19又は20記載のガラス材。
【請求項22】
当該ガラス材の前記反射防止コーティング(6)を備えた基材(1)あるいは他の構成基材のうちの少なくとも一つが、研削(つや消し)タイプの表面処理を受けており、あるいは印刷あるいはスクリーン法印刷されることを特徴とする、請求項19又は20記載のガラス材。
【請求項23】
当該ガラス材の前記反射防止コーティング(6)を備えた基材(1)あるいは他の構成基材のうちの少なくとも一つが、特別透明ガラス製、全体として着色された、又は強化された、又は補強された、又は曲げられたもしくは折り曲げられた、又は紫外線をフィルターにかけるガラス製であることを特徴とする、請求項19から22までの一つに記載のガラス材。
【請求項24】
ポリビニルブチラールタイプのポリマー集成シートで組み合わされた2枚のガラス基材を備えた積層構造を有し、これらの基材のうちの少なくとも一方、好ましくは両方が、好ましくは外側の面に、反射防止コーティング(6)を、特に反射防止コーティング(6)/ガラス/PVB/ガラス/反射防止コーティング(6)の連続体で、備えてなることを特徴とする、請求項19から23までの一つに記載のガラス材。
【請求項25】
前記基材が、自動車用ガラス材、特にフロントガラスを製造するために、曲げ加工され及び/又は強化されることを特徴とする、請求項24記載のガラス材。
【請求項26】
建物内部のガラス材もしくは外部のガラス材、あるいはパネルのような対象物保護ガラス材、積層フロントガラスのような自動車用ガラス材、鏡、コンピュータのためのまぶしさ防止スクリーン、装飾用ガラス、展示窓ガラス、店舗のカウンターのようなガラス調度品、あるいは冷凍陳列ケースの製造への、請求項1から18までの一つに記載の反射防止コーティング(6)を備えた基材(1)又は請求項19から24までの一つに記載のガラス材の適用。
【請求項27】
コーティングの最初の単数又は複数の層を適当な前駆物質の熱分解により、好ましくはフロートガラスの帯へ直接、付着させること、そしてそれに続く層を、当該ガラスを切断したら陰極スパッタリングのような真空法により付着させることを特徴とする、請求項1から18までの一つに記載の反射防止コーティング(6)を備えたガラス基材の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−84143(P2009−84143A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−227358(P2008−227358)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【分割の表示】特願平8−75070の分割
【原出願日】平成8年2月23日(1996.2.23)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】