説明

反射防止フィルム及びその製造方法、偏光板、透過型液晶ディスプレイ

【課題】透明基材の少なくとも片面に、該透明基材側から順に、ハードコート層に導電性材料を添加した帯電防止ハードコート層と、低屈折率層を備える反射防止フィルムにおいて、十分な反射防止性能、十分な帯電防止性能を有するだけでなく、光学特性に優れた反射防止フィルムを提供することを課題とする。
【解決手段】透明基材の少なくとも一方の面に、少なくとも帯電防止ハードコート層と低屈折率層を備え、前記帯電防止ハードコート層は導電性粒子とバインダーマトリックスからなり、前記帯電防止ハードコート層は、前記透明基材と前記バインダーマトリックスが勾配をもって混じりあった混合層と、前記バインダーマトリックスと前記導電性粒子を含む偏在層を備え、前記混合層は光学的に分離不可能であり、前記偏在層は光学的に分離可能であり、前記偏在層の光学膜厚が50nm以上400nm以下の範囲であることを特徴とする反射防止フィルムとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓やディスプレイなどの表面に外光が反射することを防止することを目的として設けられる反射防止フィルムに関する。特に、液晶ディスプレイ(LCD)、CRTディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイ(PDP)、表面電界ディスプレイ(SED)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)などのディスプレイの表面に設けられる反射防止フィルムに関する。特に、液晶ディスプレイ(LCD)表面に設けられる反射防止フィルムに関する。さらには、透過型液晶ディスプレイ(LCD)表面に設けられる反射防止フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にディスプレイは、室内外での使用を問わず、外光などが入射する環境下で使用される。この外光等の入射光は、ディスプレイ表面等において正反射され、それによる反射像が表示画像と混合することにより、画面表示品質を低下させてしまう。そのため、ディスプレイ表面等に反射防止機能を付与することは必須であり、反射防止機能の高性能化、反射防止機能以外の機能の複合化が求められている。
【0003】
一般に反射防止機能は、透明基材上に金属酸化物等の透明材料からなる高屈折率層と低屈折率層の繰り返し構造による多層構造の反射防止層を形成することで得られる。これらの多層構造からなる反射防止層は、化学蒸着(CVD)法や、物理蒸着(PVD)法といった乾式成膜法により形成することができる。乾式成膜法を用いて反射防止層を形成する場合にあっては、低屈折率層、高屈折率層の膜厚を精密に制御できるという利点がある一方、成膜を真空中でおこなうため、生産性が低く、大量生産に適していないという問題を抱えている。これに対し、反射防止層の形成方法として、大面積化、連続生産、低コスト化が可能である、反射防止層形成用塗液を用いた湿式成膜法による反射防止層の生産が注目されている。
【0004】
また、これらの反射防止層がフィルム状の透明基材上に設けられている反射防止フィルムにあっては、その表面が比較的柔軟であることから、表面硬度を付与するために、一般にアクリル系材料を硬化して得られるハードコート層を設け、その上に反射防止層を形成するという手法が用いられている。このハードコート層はアクリル系材料により、高い表面硬度、光沢性、透明性、耐擦傷性を有する。
【0005】
しかしながら、アクリル系材料を硬化してなるハードコート層は絶縁性が高いために帯電しやすく、このようなハードコート層を設けた反射防止フィルム表面へ埃等が付着し汚れが発生するといった問題があり、反射防止フィルムに帯電防止機能を有することが要求されている。さらに、液晶ディスプレイ表面にハードコート層及び反射防止層を備える反射防止フィルムを設けるにあっては、ディスプレイ表面の帯電による液晶ディスプレイ内部への影響を取り除くために、反射防止フィルムに帯電防止機能を付与することが要求されている。
【0006】
そこで、ハードコート層及び反射防止層を備える反射防止フィルムに帯電防止機能を付与するため、ハードコート層に導電剤を添加する方法や、基材とハードコート層の間、もしくは、ハードコート層と反射防止層の間に帯電防止層を設ける方法がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−202389号公報
【特許文献2】特開2005−199707号公報
【特許文献3】特開平11−92750号公報
【特許文献4】特開2007−121993号公報
【特許文献5】特開2005−144849号公報
【特許文献6】特開2006−159415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ハードコート層、反射防止層を備える反射防止フィルムをディスプレイ表面に設けることにより、その反射防止機能によって、外光の反射を抑制することができ、明所でのコントラストを向上させることができる。また、同時に透過率を向上させることができることから画像をより明るく表示可能にすることができる。また、バックライトの出力などを抑える省エネ効果も期待できる。
【0009】
導電性物質を添加して反射防止フィルムに帯電防止性能を付与する際にあっては、どのような導電性物質を添加するかによって、得られる反射防止フィルムの光学特性は変化する。導電性物質を添加した反射防止フィルムにあっては、導電性物質の添加により反射防止フィルムの透過率が低下することにより、これを液晶ディスプレイ表面に配してディスプレイを白表示させた際の輝度(以降、「白輝度」と記載する場合がある)が低下し、十分なコントラストが得られないという問題がある。
【0010】
反射防止フィルムに帯電防止層を別途設ける方法では、層数の増加により製造コストは高く生産性は低くなってしまう。また、一般的に屈折率の高い帯電防止層を層間に積層しなければならず、それによる色味の発生や、色ムラが発生することがあった。特に、帯電防止層、低屈折率層(反射防止層)を湿式成膜法で形成する際には、形成される帯電防止層、低屈折率層の面内での膜厚のバラツキを反映して、反射防止フィルムの色ムラが確認されるという問題があった。
【0011】
一方、ハードコート層に導電性材料を添加することで帯電防止機能を備えた反射防止フィルムにあっては、新たに帯電防止層を形成する方法と比較して製造コストを抑えることができる。しかし、良好な導電性を発現させるためには、多量の導電性物質を添加する必要があり、その結果、材料コストの向上、ハードコート層の強度低下、可視光透過率の低下、基材とハードコート層との屈折率差による干渉縞の発生といった問題が発生することがあった。
【0012】
本発明にあっては、透明基材の少なくとも一方の面に、該透明基材側から順に、ハードコート層に導電性材料を添加した帯電防止ハードコート層と、低屈折率層を備える反射防止フィルムにおいて、十分な反射防止性能、十分な帯電防止性能を有するだけでなく、光学特性に優れた反射防止フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本願発明としては、透明基材の少なくとも一方の面に、少なくとも帯電防止ハードコート層と低屈折率層を備える反射防止フィルムであって、前記帯電防止ハードコート層は導電性粒子とバインダーマトリックスからなり、前記帯電防止ハードコート層は、前記透明基材と前記バインダーマトリックスが勾配をもって混じりあった混合層と、前記バインダーマトリックスと前記導電性粒子を含む偏在層を備え、前記混合層は光学的に分離不可能であり、前記偏在層は光学的に分離可能であり、前記偏在層の光学膜厚が50nm以上400nm以下の範囲であることを特徴とする反射防止フィルムとした。
【0014】
さらに、前記偏在層の光学膜厚が200nm以上350nm以下の範囲内である反射防止フィルムとした。
【0015】
さらに、前記帯電防止ハードコート層中の前記導電性粒子の含有率は0.5wt%以上5wt%未満であり、且つ、前記帯電防止ハードコート層中の単位面積あたりの導電性粒子の含有量は0.05g/m以上0.5g/m以下の範囲内である反射防止フィルムとした。
【0016】
さらに、前記混合層と前記偏在層との間に、光学的に分離不可能な中間層を備えている反射防止フィルムとした。
さらに、前記偏在層の屈折率が前記中間層の屈折率よりも高く、その差は0.01以上0.05以下の範囲である反射防止フィルムとした。
【0017】
さらに、前記中間層は前記バインダーマトリックスを95wt%以上含む反射防止フィルムとした。
さらに、前記中間層の厚みは2μm以上である反射防止フィルムとした。
【0018】
さらに、前記帯電防止ハードコート層の厚みは3μm以上15μm以下の範囲である反射防止フィルムとした。
さらに、前記混合層の厚みは0.5μm以上である反射防止フィルムとした。
【0019】
さらに、前記反射防止フィルムの平行光線透過率が93.0%以上97.0%以下であり、前記低屈折率層表面側での表面抵抗が1.0×10Ω/□以上1.0×1011Ω/□以下である反射防止フィルムとした。
【0020】
さらに、前記低屈折率層表面側での視感平均反射率が0.5%以上1.5%以下、前記低屈折率層表面側でのL*a*b*色度系における反射色相が0.00≦a*≦3.00且つ−3.00≦b*≦3.00を満たす反射防止フィルムとした。
【0021】
さらに、前記透明基材がトリアセチルセルロースフィルムからなる反射防止フィルムとした。
【0022】
さらに、本発明の反射防止フィルムと、当該反射防止フィルムの前記低屈折率層非形成面に偏光層、第2の透明基材を順に備える偏光板とした。
【0023】
さらに、本発明の偏光板、液晶セル、第2の偏光板、バックライトユニットをこの順に備える透過型液晶ディスプレイとした。
【0024】
また、本願発明としては、透明基材の少なくとも一方の面に、少なくとも帯電防止ハードコート層と低屈折率層を備える反射防止フィルムの製造方法であって、前記透明基材上にバインダーマトリックス形成材料と導電性粒子と溶媒を含む帯電防止ハードコート層形成用塗液を塗布し塗膜を形成する工程と、前記塗膜を乾燥する工程と、前記帯電防止ハードコート層上に低屈折率層を形成する工程とを順に備え、前記帯電防止ハードコート層形成用塗液に含まれる全溶媒のうち30wt%以上90wt%以下は前記透明基材を溶解または膨潤させる溶媒であり、前記帯電防止ハードコート層は、前記透明基材と前記バインダーマトリックスが勾配をもって混じりあった混合層と、前記バインダーマトリックスと導電性粒子を含む偏在層を備え、前記偏在層は光学的に分離可能であり、前記偏在層の光学膜厚が50nm以上400nm以下の範囲であることを特徴とする反射防止フィルムの製造方法とした。
さらに、前記混合層と前記偏在層との間に、光学的に分離不可能な中間層を備え、前記偏在層の屈折率が当該中間層の屈折率よりも高く、その差は0.01以上0.05以下の範囲である反射防止フィルムの製造方法とした。
【0025】
さらに、前記塗膜を乾燥する工程は、前記帯電防止ハードコート層形成用塗液を前記透明基材に塗布し塗膜を形成後、当該塗膜に含まれる溶媒が10wt%以下となるまでの時間が2秒以上60秒以下である反射防止フィルムの製造方法とした。
【0026】
さらに、前記帯電防止ハードコート層形成用塗液塗液は溶媒を55wt%以上85wt%以下の割合で含む反射防止フィルムの製造方法とした。
【0027】
さらに、前記塗膜を乾燥する工程は、溶媒濃度0.2vol%以上10vol%以下の溶媒雰囲気下でおこなわれる反射防止フィルムの製造方法とした。
【0028】
さらに、前記塗膜を乾燥する工程は、乾燥温度20℃以上30℃以下で行なわれる一次乾燥工程と、乾燥温度50℃以上150℃以下で行われる二次乾燥工程の二段階を含む反射防止フィルムの製造方法とした。
【0029】
さらに、前記第一次乾燥工程が2秒以上60秒以下である反射防止フィルムの製造方法とした。
【0030】
さらに、前記透明基材はトリアセチルセルロースであり、前記帯電防止ハードコート層形成用塗液塗液は溶媒としてN−メチルピロリドンを含む反射防止フィルムの製造方法とした。
【発明の効果】
【0031】
本発明の反射防止フィルムにあっては、透明基材の少なくとも一方の面に、少なくとも帯電防止ハードコート層と低屈折率層を備える反射防止フィルムであって、前記帯電防止ハードコート層は導電性粒子とバインダーマトリックスからなり、前記帯電防止ハードコート層は、前記透明基材と前記バインダーマトリックスが勾配をもって混じりあった混合層と、前記バインダーマトリックスと前記導電性粒子を含む偏在層を備え、前記混合層は光学的に分離不可能であり、前記偏在層は光学的に分離可能であり、前記偏在層の光学膜厚が50nm以上400nm以下の範囲である。導電性粒子を偏在させて偏在層とすることにより十分な帯電防止効果を保ちながら導電性粒子の使用量を抑えることができるため、材料コストを低下させることができ、さらに、導電性粒子の過度の添加によって起こる反射防止フィルム表面の強度低下を防ぐと共に、可視光透過率の低下を防ぐことができる。また、帯電防止層を別途設ける場合と比較して、製造コストを抑えることができる。
そして、本発明の反射防止フィルムにあっては、混合層は光学的に分離不可能である。混合層ではその組成(透明基材成分とバインダーマトリックス)が勾配をもって変化をするため、急峻な屈折率変化がない。従って、混合層の両隣の層(ここでは透明基材と偏在層)の境界の屈折率の変化によって生じる干渉を抑えることができる。
【0032】
さらに、本発明の反射防止フィルムにあっては、偏在層は光学的に分離可能であり、前記偏在層の光学膜厚が50nm以上400nm以下の範囲とすることにより、偏在層が高屈折率層として機能し、反射防止フィルムに反射防止機能を付与すると共に、反射防止フィルムに色ムラが発生するのを抑えることができる。さらに、前記混合層と前記偏在層との間に、光学的に分離不可能な中間層を備えていることで、反射防止フィルムのハードコート性能を確実に保つとともに、干渉縞の発生を抑えることができる。そして、偏在層の屈折率が中間層の屈折率よりも高く、その差は0.01以上0.05以下の範囲とすることで、偏在層をよりすぐれた高屈折率層として機能させることができる。本発明の反射防止フィルムにあっては、帯電防止ハードコート層中に形成される偏在層と、偏在層と隣接して設けられる低屈折率層の光学干渉により高い光学特性を備える反射防止フィルムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は本発明の反射防止フィルムの断面模式図である。
【図2】図2は本発明の反射防止フィルムの断面模式図である。
【図3】図3は本発明の反射防止フィルムを用いた本発明の偏光板の断面模式図である。
【図4】図4は本発明の反射防止フィルムを備える本発明の透過型液晶ディスプレイの断面模式図である。
【図5】図5は本発明の反射防止フィルムの屈折率の変化を模式的に示した図である。(a)は光学的に分離不可能な混合層と、光学的に分離不可能な中間層を備えている例、(b)はほぼ混合層のみで中間層が形成されていない例、(c)は薄い混合層と、光学的に分離可能な中間層を備えている例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の反射防止フィルムについて説明する。
【0035】
図1に本発明の反射防止フィルムの断面模式図を示した。
本発明の反射防止フィルム1にあっては、透明基材11の少なくとも一方の面に帯電防止ハードコート層12と低屈折率層13を順に備える。透明基材11に帯電防止ハードコート層12を設けることにより、反射防止フィルム表面に高い表面硬度を付与することができ、耐擦傷性に優れた反射防止フィルムとすることができる。また、ハードコート層に導電性粒子を添加し帯電防止ハードコート層12とすることより、反射防止フィルムに帯電防止機能を付与することができる。
【0036】
本発明の反射防止フィルム1にあっては、帯電防止ハードコート層12はバインダーマトリックスと導電性粒子を備える。本発明の帯電防止ハードコート層にあってはバインダーマトリックスとは導電性粒子以外の部分を指す。本発明の帯電防止ハードコート層は、帯電防止ハードコート層形成用塗液を用い透明基材に塗布することにより形成されるが、帯電防止ハードコート層形成用塗液の固形分のうち、導電性粒子を除いたものがバインダーマトリックス形成材料となる。
【0037】
本発明の反射防止フィルムにあっては、導電性粒子が層厚方向で低屈折率層13側に偏在し、偏在層12cを形成していることを特徴とする。導電性粒子を低屈折率層13側に偏在させることにより、帯電防止ハードコート層全体としては少ない導電性粒子の含有量で高い帯電防止性を付与することができ、高い帯電防止性と高い透過率を実現することができる。一方、透明基材11側の混合層12aはほとんど導電性粒子を含まない層となる。本発明の反射防止フィルム1の帯電防止ハードコート層12のうち、偏在層12cは導電性粒子とバインダーマトリックスによって形成され、混合層12aは導電性粒子をほとんど含まず主にバインダーマトリックスと透明基材成分によって形成される。
【0038】
混合層12aにあっては、厚さ方向で透明基材11側から帯電防止ハードコート層12側に向かって、その屈折率が透明基材11の屈折率から帯電防止ハードコート層12のバインダーマトリックスの屈折率まで漸次変化する。すなわち、透明基材成分とバインダーマトリックスが勾配をもって混じりあっている。
本発明の反射防止フィルムにあっては、透明基材の屈折率から帯電防止ハードコート層のバインダーマトリックスの屈折率まで漸次変化する混合層12aを設けることにより、帯電防止ハードコート層と透明基材界面との屈折率の差により発生する干渉縞の発生を防ぐことができる。また、混合層12aは透明基材11と帯電防止ハードコート層12間の密着性を向上させることができる。
【0039】
図5に、本発明の反射防止フィルムの厚みと屈折率の変化を模式的に示す。図5は縦軸が屈折率(n)、横軸が反射防止フィルムの厚みを表し、左から右へ行くに従い、透明基材11側から帯電防止ハードコート層12表面(偏在層12c)側へと変化をする。
本発明の反射防止フィルムは、透明基材11の少なくとも一方の面に、少なくとも帯電防止ハードコート層12と低屈折率層13を備えており、帯電防止ハードコート層12は、透明基材成分とバインダーマトリックスが勾配をもって混じりあった混合層12aと、バインダーマトリックスと導電性粒子を含む偏在層12cを備えている(図5(a)、(b))。
【0040】
ここで、偏在層12cは光学的に分離可能である。(あるいは、光学的に分離している。)「光学的に分離可能である」あるいは、「光学的に分離している」とは、本発明の反射防止フィルムの低屈折率層側から5°の入射角で可視光(380nm以上800nm以下)での分光反射率を求め、この分光反射率について光学シミュレーションを行った際に、低屈折率層13の他に偏在層12cに起因する干渉ピークを観測することができる状態を指す。
【0041】
通常、反射防止フィルム等の製造において、各機能層(ハードコート層、帯電防止層など)の厚みは塗液の組成と単位面積あたりの塗布量から予測することができる。本発明の反射防止フィルムでもその原則は変わらないため、帯電防止ハードコート層の厚みは想定可能である。しかし、実際にシミュレーションにより求められた結果が、その想定される厚み(以下、想定膜厚とする)よりもかなり薄い厚みを示すピークであることから、当該ピークが偏在層12cに起因する(すなわち、偏在層の存在を示す)ものであることがわかる。そしてこの結果は、想定膜厚から偏在層の厚みを差し引いた程度の厚みの他の層の存在を示唆する。
【0042】
この「他の層」には、本発明の反射防止フィルムが備える混合層12a(帯電防止ハードコート層を構成するバインダーマトリックス成分と透明基材成分が勾配をもって混じりあった層)が含まれる。
ここで、「他の層」にはバインダーマトリックスにさらに透明基材成分が含まれていることから、厳密に言えばその分だけ、その厚みは帯電防止ハードコート層12の想定膜厚から偏在層12cを差し引いた厚みより厚くなる。
【0043】
反射防止フィルムから得られる分光反射率から帯電防止ハードコート層12の想定膜厚に対応した干渉ピークが確認された場合は、バインダーマトリックスにさらに透明基材成分が含まれている「他の層」が存在しないということであり、これは混合層12aが存在しないということを意味する。
【0044】
混合層12aでは(帯電防止ハードコート層12に由来する)バインダーマトリックスと透明基材11に由来する成分とが混じりあい勾配をもって変化をするため、急峻な屈折率変化がない(図5(a)及び(b)参照)。従って、混合層12aの両隣の層(図5(a)では透明基材11と中間層12b、図5(b)では透明基材11と偏在層12c)では、その境界の屈折率の変化によって生じる干渉を抑えることができ、これが本発明の反射防止フィルムに優れた光学特性を付与する。このように干渉が抑えられるということは、「光学的に分離が不可能」(分光反射率測定では対応するピークが観測できない)ということでもある。
【0045】
(帯電防止)ハードコート層は、ハードコート性能を発揮するバインダーマトリックス成分を一定量以上含むことによって、反射防止フィルムにハードコート性能を付与している。本発明の反射防止フィルムでも、バインダーマトリックス成分は帯電防止ハードコート層12を構成する偏在層12cと混合層12aとにそれぞれ含まれている。しかし、混合層に占める透明基材由来成分の割合が多い場合、バインダーマトリックスが透明基材由来成分で希釈され、反射防止フィルムに必要とされるハードコート性能を発揮できなくなることがある。
【0046】
従って、本発明の反射防止フィルムでは、偏在層12cと混合層12aの間に中間層12bが形成されていることが好ましい(図2及び図5(a)参照)。中間層12bはハードコート性能を発揮するバインダーマトリックス成分濃度が混合層12aよりも濃く、中間層を構成する成分の組成比がほぼ一定に保たれた層であるため、本発明の反射防止フィルムに確実にハードコート性能を付与することができる。さらに確実にハードコート性能を担保するために、中間層12bでは95vol%のバインダーマトリックスを含むことが好ましい。
【0047】
また、本発明の中間層12aがバインダーマトリックスを95wt%以上の割合で含むということは、偏在層12cに含まれる導電性粒子の割合がとても多い(すなわち、より高い度合いで偏在している)ということでもあり、本発明の反射防止フィルムが備える反射防止効果及び帯電防止効果をより高いものとすることができる。
なお、この中間層12bも帯電防止ハードコート層12を構成し、「他の層」に含まれる層である。
【0048】
本発明の反射防止フィルムを構成する帯電防止ハードコート層12各層におけるバインダーマトリックスの存在量は蛍光X線分析およびラマン分光分析により求めることができる。
各層に占める導電性粒子の存在量(含有率)は、蛍光X線分析により測定することができる。また、各層に占める透明基材成分の存在量(含有率)についてはラマン分光分析による断面プロファイルの測定により求めることができる。そして、各層に占める導電性粒子及び透明基材成分の存在量を全体から差し引くことで各層におけるバインダーマトリックスの存在量(含有率)を求めることができる。
なお、本明細書中で述べる各層(帯電防止ハードコート層、混合層、中間層、偏在層)の成分の濃度とは、特に断りのない限り、各層全体での平均された成分の濃度を指す。特に、混合層ではその組成が勾配をもって変化しているため、濃度といってもその計測部分によって組成が変化してしまい定まらないためである。
【0049】
偏在層12cと混合層12aの間に中間層12b(成分の組成比がほぼ横ばいである層)がほとんど形成されていない場合(図5(b)参照)でも、混合層の上層(偏在層側)におけるバインダーマトリックスの含有量が反射防止フィルムにハードコート性を付与するために十分である場合もある。しかし、より確実なハードコート性能を得るために、本発明の反射防止フィルムでは中間層を2μm以上の厚みで備えていることが好ましい。中間層の厚みの上限は特にないが、あまり厚すぎるとフィルムとしての可撓性が失われ、また不必要な材料を費やすため、帯電防止ハードコート層とあわせて15μm程度までが好ましい。
【0050】
中間層12bを構成する成分と混合層12aを構成する成分はほぼ同様であるが、その組成変化に違いがある。先に述べたとおり、混合層12aはその組成が厚さ方向に勾配をもって変化をするため、急峻な屈折率変化がない。従って、混合層12a自体は常に光学的に分離不可能である。これに対し、中間層12bでは混合された組成ではあるが勾配変化をもたない(図5(a))。厳密に言えば、中間層はまったく勾配変化を持たないわけではないが、その変化の度合いは隣接する層との干渉ピークを打ち消すほどではない。従って、中間層12bが光学的に分離可能であるかどうかは、隣接する層がどのような状態であるかに依存する。
【0051】
混合層12aが極端に薄く、中間層12bの占める割合が多い場合、混合層12aでは両隣の層の屈折率変化を吸収しきれず、隣接する層との屈折率の違いによる干渉ピークが検出されるようになる。具体的には、偏在層と同様に、低屈折率層13側から5°の入射角で可視光(380nm以上800nm以下)での分光反射率を求め、この分光反射率について光学シミュレーションを行った際に低屈折率層13、偏在層12cの他に中間層12bに起因する干渉ピークを観測することができる。すなわち、隣接する層である中間層12bが「光学的に分離可能」になる(図5(c))。
【0052】
ここで、ある層が光学的に分離不可能であることは、その層が形成されていないということではない。
反射防止フィルムが光学的に分離可能な中間層12bを備える場合に、同時に混合層12aも備えているかどうかは分光反射率の測定から判断できる。光学的に分離可能な中間層12bを備える反射防止フィルムの分光反射率を測定すると、想定膜厚よりもかなり薄い層を示すはっきりとした干渉ピークと、想定膜厚よりも少し薄い層を示すぼんやりとしたピークを確認することができる(図5(c))。前者のピークは先に述べたとおり偏在層12cを示すものである。先に述べたように、混合層12aと中間層12bを合わせた「他の層」は、帯電防止ハードコート層の想定膜厚から偏在層12cを差し引いた厚みより厚くなることから、後者のピークは中間層12cの存在を示すものであることがわかり、残りの厚みは混合層12aの存在を示唆する。
【0053】
このような(光学的に分離可能な中間層を備える)層構成になると、反射防止フィルムはハードコート性能を確実に備えることになるが、干渉縞が発生するようになり、光学的には好ましくない状態となる。
【0054】
従って、本発明の反射防止フィルムにおいては、帯電防止ハードコート層の層構成として、光学的に分離可能な偏在層と、光学的に分離不可能な混合層を備えていることに加えて、光学的に分離不可能な中間層を備えていることが好ましい。
混合層12aが十分な厚みを備えていれば、混合層12aは、その両隣の層の境界との屈折率の変化によって生じる干渉を抑えることができるため、中間層12bを備えていても、中間層は「光学的に分離不可能」となり、その干渉ピークは検出されない(図5(a))。
光学的に分離不可能な中間層を備えていることで、干渉を抑えつつ、ハードコート性能を保つことができる。
【0055】
中間層を光学的に分離不可能とするためには、混合層の厚みは0.5μm以上であることが好ましい。混合層が厚いほどその組成変化の勾配が緩やかになるため干渉ピークを吸収するという観点からは好ましいが、厚すぎる場合はバインダーマトリックスの割合が少ない層が多くなってしまい、反射防止フィルムのハードコート性能に影響を及ぼす。従って、10μm以下が好ましく、中間層が形成されるためには5μm以下であることが好ましい。
【0056】
混合層及び中間層が光学的に分離不可能である場合であっても、各層の形成は帯電防止ハードコート層の想定膜厚及び分光反射率の光学シミュレーションによる偏在層の膜厚の差から推定することができる。さらに、ラマン分光分析による断面プロファイルを測定することで、混合層と中間層の存在を確認することができ、混合層ではその組成が勾配をもって変化していることを、中間層では組成比がほぼ一定であることを、それぞれ確認することができる。
【0057】
本発明の反射防止フィルムにあっては、帯電防止ハードコート層12は光学的に分離不可能な混合層12aと光学的に分離可能な偏在層12cを備えていることを特徴とする。そして、偏在層12cの光学膜厚が50nm以上400nm以下の範囲であることを特徴とする。光学膜厚(nd)は対象となる層の屈折率(n)とその層厚(d)をかけることにより得られる値である。
【0058】
本発明の反射防止フィルムにあっては、帯電防止ハードコート層中で反射フィルム表面側に導電性粒子を偏在させることにより形成される偏在層12cは「光学的に分離」しており高屈折率層として機能することができる。このとき、低屈折率層側から測定される分光反射率は、低屈折率層と帯電防止ハードコート層の2層による分光反射率曲線ではなく、低屈折率層と偏在層の2層による分光反射率曲線を確認することができる。
【0059】
本発明の反射防止フィルム1にあっては、帯電防止ハードコート層の一部である偏在層12cを高屈折率層として機能させることにより、低屈折率層とハードコート層のみ、あるいは低屈折率層と帯電防止ハードコート層全体によって反射防止機能を発現させた場合と比較して、より優れた光学性能を付与することができる。具体的には、高屈折率層/低屈折率層の光学2層とすることでより反射防止フィルム表面における可視光反射率をさらに低くしたり、広範囲波長領域で反射率を下げることができ反射色を無色化することができるといった点で光学特性を向上させることができる。
【0060】
本発明の反射防止フィルム1において、偏在層12cの屈折率を混合層12a及び中間層12bの屈折率よりも小さくすることは材料特性の点で困難である。帯電防止ハードコート層に含まれ、偏在層に偏在する導電性粒子はバインダーマトリックスよりも高い屈折率を有するためである。
【0061】
本発明の反射防止フィルム1にあっては、偏在層12cの屈折率と中間層12bの屈折率の屈折率差が0.01以上0.05以下の範囲内であることを特徴とする。屈折率差がこの範囲にあることによって、偏在層が十分な高屈折率層の機能を兼ね備えることになり、当該反射防止フィルムに優れた反射防止機能を付与する。両者の屈折率差が0.01に満たない場合であっても、混合層12aとの屈折率差により偏在層12cが光学的に分離可能となり、偏在層を高屈折率層として機能させることが可能である場合もあるが、中間層12bを備え、かつ当該中間層との屈折率差が0.01以上である場合に、より好適に偏在層を高屈折率層として機能させることができる。一方、両者の屈折率差が0.05を超える偏在層12cを形成するには、多量の導電性粒子を添加する必要があり得られる反射防止フィルムの可視光透過率を低下させてしまうおそれがある。
【0062】
また、本発明の反射防止フィルム1にあっては、偏在層12cの光学膜厚は50nm以上400nm以下の範囲内であることを特徴とする。偏在層12cの光学膜厚が50nmに満たない場合にあっては帯電防止機能に必要な導電性が不足したり、反射防止フィルムの高屈折率層としての効果が期待できない。一方、偏在層の光学膜厚が400nmを超える場合にあっては、干渉による干渉縞が発生し外観不良となってしまう。
【0063】
各層の光学膜厚及び屈折率は、分光光度計を用い反射防止フィルムの低屈折率層側から入射角度5°での測定により求められる分光反射率曲線から光学シミュレーション法により求めることができる。このようにして求められた各層の屈折率は平均値である。本明細書中で述べる各層の屈折率とは、特に断りのない限り、このようにして求めた平均値である。
【0064】
特に、中間層12bを備える場合に当該中間層が光学的に分離不可能であり、分光反射率曲線から光学シミュレーション法により求められる偏在層12cの屈折率が中間層12bの屈折率よりも高く屈折率差が0.01以上0.05以下の範囲内であり、偏在層12cの光学膜厚が50nm以上400nm以下の範囲内である場合には、偏在層12cは反射防止フィルムの光学特性として好適に光学的に分離しているとすることができる。
【0065】
本発明の反射防止フィルム1にあっては、偏在層12cの光学膜厚が200nm以上350nm以下の範囲内であることがさらに好ましい。偏在層12cの光学膜厚を200nm以上350nm以下の範囲内とすることにより、偏在層12cは可視光波長の1/2波長の光学膜厚を有する高屈折率層とすることができる。このように、低屈折率層と光学膜厚が200nm以上350nm以下の高屈折率層である偏在層12cを組みあわせることにより、反射防止フィルムの光反射率を低下させることができ、さらに、色味、色ムラのない反射防止フィルムとすることができる。偏在層12cの光学膜厚が200nmに満たない場合にあっては、色味、色ムラの低減が困難となってしまう場合がある。一方、偏在層の光学膜厚が350nmを超える場合にあっては、偏在層による干渉縞が発生してしまう場合がある。
【0066】
なお、本発明の反射防止フィルムにおいて色ムラとは高屈折率層、低屈折率層の膜厚ムラに起因する反射色ムラのことであり、面内の色バラツキが大きくなると外観不良となる現象である。一方、干渉縞とは光学干渉による色むらの一種であるが主に基材とハードコート層の屈折率差などに起因するもので、膜厚が厚い場合に複数の光学干渉が同時に発生し虹色状に色ムラが観察される現象である。
【0067】
また、本発明の反射防止フィルムにあっては、帯電防止ハードコート層12全体における導電性粒子の含有率は0.5wt%以上5.0wt%未満であり、且つ、前記帯電防止ハードコート層中の単位面積あたりの導電性粒子の含有量は0.05g/m以上0.50g/m以下の範囲内であることが好ましい。本発明にあっては、帯電防止ハードコート層中の導電性粒子を低屈折率層側に偏在させ偏在層12cを形成することにより、帯電防止ハードコート層12全体に含有される量としては少ない含有率で(すなわち、帯電防止ハードコート層に対して少ない添加量で)十分な帯電防止性能を発現させることができ、導電性粒子の添加による反射防止フィルムの可視光透過率の低下を防ぐことができる。
【0068】
帯電防止ハードコート層12中の導電性粒子の含有率は0.5wt%に満たない場合にあっては、十分な量の導電性粒子を偏在層に偏在させることができず、反射防止フィルムが十分な帯電防止性能を得られなくなってしまう場合がある。一方、導電性粒子の含有率が5.0wt%を超える場合にあっては、得られる反射防止フィルムの可視光透過率が低下してしまう場合がある。また、コスト高となる。また、帯電防止ハードコート層中の単位面積あたりの導電性粒子の含有量は0.05g/mに満たない場合にあっては、十分な量の導電性粒子を偏在層に偏在させることができず、反射防止フィルムが十分な帯電防止性能を得られなくなってしまう場合がある。一方、帯電防止ハードコート層中の単位面積あたりの導電性粒子の含有量は0.50g/mを超える場合にあっては、得られる反射防止フィルムの可視光透過率が低下してしまう場合がある。
【0069】
帯電防止ハードコート層中の導電性粒子の含有率(wt%)及び単位面積あたりの導電性粒子の含有量(g/m)は、製造に際しては使用した材料から計算によって求めることができる。また、反射防止フィルムの状態からは、例えば蛍光X線分析により帯電防止ハードコート層を構成する各層に含まれる導電性粒子の存在量(wt%)を測定することができる。この値と各層の厚みから、単位面積あたりの導電性粒子の含有量(g/m)を求めることができる。
【0070】
また、本発明の反射防止フィルムにあっては、帯電防止ハードコート層の厚みが3μm以上15μm以下の範囲内であることが好ましい。帯電防止ハードコート層の層厚が3μmに満たない場合にあっては十分なハードコート性を備えず、反射防止フィルムの硬度が不十分となってしまうことがある。反射防止フィルムにハードコート性能を付与するためには、帯電防止ハードコート層全体(混合層、中間層、偏在層)の厚みが3μm以上であることが好ましい。あるいは、中間層の厚みが2μm以上であることが好ましい。また、光学的特性の面からは厚みの上限に特に制限はないが、必要以上に分厚いとコストがかさみ、また可撓性も失われてしまうので帯電防止ハードコート層の厚みは15μm程度であることが好ましい。帯電防止ハードコート層の層厚が15μmを超える場合にあっては、帯電防止ハードコート層の硬化収縮による反射防止フィルムのカールが大きくなってしまい、後加工性が不適であったり、また後加工においてクラックが発生するといったことがある。
【0071】
また、本発明の反射防止フィルムにあっては、反射防止フィルムの平行光線透過率が93.0%以上97.0%以下の範囲内であり、且つ、反射防止フィルムの低屈折率層表面での表面抵抗が1.0×10Ω/□以上1.0×1011Ω/□以下の範囲内であることが好ましい。本発明にあっては、帯電防止ハードコート層に少量の導電性粒子を添加し、導電性粒子を偏在させて偏在層12cを形成することにより、高い可視光透過率と十分な帯電防止性を両立することができる。反射防止フィルムの平行光線透過率が93.0%に満たない場合にあっては、十分な可視光透過率を備える反射防止フィルムとすることができない場合がある。一方、平行光線透過率が97.0%を超える反射防止フィルムを製造することは困難である。また、低屈折率層表面での表面抵抗が1.0×1011Ω/□を超える場合にあっては、十分な帯電防止性能を備える反射防止フィルムとすることができない。一方、反射防止フィルムの平行光線透過率を93.0%以上とした際に、低屈折率層表面での表面抵抗を1.0×10Ω/□未満とすることは困難である。
【0072】
また、本発明の反射防止フィルムにあっては低屈折率層側の反射防止フィルム表面での視感平均反射率が0.5%以上1.5%以下の範囲内であり、低屈折率層側の反射防止フィルム表面でのL*a*b*色度系における反射色相が0.00≦a*≦3.00且つ−3.00≦b*≦3.00を満たすことが好ましい。本発明の反射防止フィルムにあっては、偏在層を高屈折率層とすることにより優れた光学特性を備える反射防止フィルムとすることができる。低屈折率層表面での視感平均反射率が0.5%以上1.5%以下の範囲内とすることにより十分な反射防止性能を備える反射防止フィルムとすることができる。
【0073】
低屈折率層表面での視感平均反射率が1.5%を超える場合にあっては、十分な反射防止性能を備える反射防止フィルムとすることができない。一方、低屈折率層表面での視感平均反射率が0.5%より小さい反射防止フィルムを偏在層12cと低屈折率層13の2層の光学干渉により実現することは困難である。
【0074】
反射色相は、a*、b*が0に近いほど無色に近い。しかしながら、−3.00≦a*<0.00は比視感度の高い緑色の領域であり、観察者にとって色味が認識されやすい傾向にある。したがって、本発明の反射防止フィルムにあっては、0.00≦a*≦3.00且つ−3.00≦b*≦3.00とすることが好ましく、a*、b*を上記範囲内とすることにより観察者に色味の視認されにくい反射防止フィルムとすることができる。
【0075】
また、本発明の反射防止フィルムにあっては透明基材11がトリアセチルセルロースフィルムからなることが好ましい。トリアセチルセルロースフィルムにあっては、複屈折率が小さく、透明性が良好なフィルムである、特に、本発明の反射防止フィルムを液晶ディスプレイ表面に設けるにあっては透明基材としてトリアセチルセルロースフィルムを好適に用いることができる。
【0076】
次に、本発明の反射防止フィルムを用いた偏光板について説明する。
図3に本発明の反射防止フィルムを用いた偏光板の断面模式図を示した。本発明の偏光板2は2つの透明基材(第1の透明基材11及び第2の透明基材22)間に偏光層23が狭持された構造をとる。本発明の偏光板2にあっては、反射防止フィルム1を構成する第1の透明基材11の一方の面に帯電防止ハードコート層12及び低屈折率層13が設けられ、他方の面に、偏光層23、透明基材22を順に備える。すなわち、反射防止フィルム1を構成する第1の透明基材11が、偏光層23を狭持するための透明基材を兼ねる構造となっている。
【0077】
次に、本発明の反射防止フィルムを用いた透過型液晶ディスプレイについて説明する。
図4に本発明の反射防止フィルムを備える透過型液晶ディスプレイの断面模式図を示した。図4の本発明に係る透過型液晶ディスプレイにおいては、バックライトユニット5、第2の偏光板4、液晶セル3、本発明の偏光板である、反射防止フィルム1を含む第1の偏光板2をこの順に備えている。このとき、反射防止フィルム側が観察側すなわちディスプレイ表面となる。
【0078】
バックライトユニットは、光源と光拡散板を備える(図示せず)。液晶セルは、一方の透明基材に電極が設けられ、もう一方の透明基材に電極及びカラーフィルターを備えており、両電極間に液晶が封入された構造となっている(図示せず)。第2の偏光板4は第3の透明基材41と第4の透明基材42との間に第2の偏光層43を狭持した構造となっている。第1の偏光板2と第2の偏光板4は液晶セル3を挟むように設けられる。
【0079】
また、本発明の透過型液晶ディスプレイにあっては、他の機能性部材を備えても良い。他の機能性部材としては、例えば、バックライトから発せられる光を有効に使うための、拡散フィルム、プリズムシート、輝度向上フィルムや、液晶セルや偏光板の位相差を補償するための位相差フィルムが挙げられるが、本発明の透過型液晶ディスプレイはこれらに限定されるものではない。
【0080】
次に、本発明の反射防止フィルムの製造方法について説明する。
本発明の反射防止フィルムの製造方法にあっては、透明基材上にバインダーマトリックス形成材料と導電性粒子を含む帯電防止ハードコート層形成用塗液を塗布し塗膜を形成する工程と、塗膜を乾燥する工程と、塗膜に電離放射線を照射し、帯電防止ハードコート層を形成する工程と、帯電防止ハードコート層上に低屈折率層を形成する工程により形成される。
【0081】
本発明の反射防止フィルムは、帯電防止ハードコート層を形成する際に帯電防止ハードコート層形成用塗液に透明基材を溶解または膨潤させる溶媒を含ませることにより、偏在層及び混合層を形成することができる。
すなわち、本発明の反射防止フィルムの製造方法にあっては、帯電防止ハードコート層形成用塗液に含まれる全溶媒のうち30wt%以上90wt%以下の範囲内の溶媒が透明基材を溶解または膨潤させる溶媒であることを特徴とする。
【0082】
帯電防止ハードコート層形成用塗液に含まれる全溶媒のうち30wt%以上90wt%以下の範囲内で透明基材を溶解または膨潤させる溶媒を用いることにより、導電性粒子が偏在した偏在層と、バインダーマトリックス成分及び透明基材成分が勾配をもって混じりあった混合層とを形成することができる。
【0083】
本発明の反射防止フィルム及びその製造方法にあって偏在層の形成機構は明確ではないが、透明基材上に帯電防止ハードコート層形成用塗液を塗布してから乾燥するまでの工程で、塗液に含まれている「透明基材を溶解あるいは膨潤させる溶媒」が透明基材へと浸透し、それにともないバインダーマトリックス形成材料成分も透明基材へと浸透し、透明基材を形成している材料と混合され混合層が形成され、一方、導電性粒子は透明基材には浸透しがたいため、透明基材側とは反対の低屈折率層側へと偏析し偏在層を形成するものと考えられる。
【0084】
帯電防止ハードコート層形成用塗液に含まれる全溶媒のうち30wt%以上90wt%以下の範囲内で透明基材を溶解または膨潤させる溶媒を用いることにより、透明基材と帯電防止ハードコート層間に透明基材成分とバインダーマトリックス成分からなる中間層も形成することができる。
【0085】
帯電防止ハードコート層形成用塗液に含まれる全溶媒のうち透明基材を溶解または膨潤させる溶媒が30wt%を下回る場合にあっては、光学的に分離した偏在層を形成することができなくなってしまう。一方、全溶媒のうち透明基材を溶解または膨潤させる溶媒が90wt%を上回る場合にあっては、混合層の厚みが増大して反射防止フィルムの硬度が低下したり、偏在層の導電性粒子が凝集して必要以上のヘイズが発生してしまうことがあり不適である。
【0086】
なお、本発明の反射防止フィルムの製造方法においては、帯電防止ハードコート層形成用塗液に含まれる全溶媒のうち40wt%以上80wt%以下の範囲内の溶媒が、透明基材を溶解または膨潤させる溶媒であることがより好ましい。さらには、帯電防止ハードコート層形成用塗液に含まれる全溶媒のうち50wt%以上70wt%以下の範囲内の溶媒が、透明基材を溶解または膨潤させる溶媒であることがより好ましい。
【0087】
また、本発明の反射防止フィルムの製造方法にあっては、帯電防止ハードコート層形成用塗液からなる塗膜を透明基材上に形成してから、前記透明基材上の塗膜中に含まれる溶媒が10wt%以下となるまでの時間が2秒以上60秒以下の範囲内であることが好ましい。ここでいう溶媒とは、透明基材を溶解または膨潤させる溶媒も含む全溶媒である。
【0088】
帯電防止ハードコート層となる塗膜を透明基材上に形成してから、前記透明基材上の塗膜中に含まれる溶媒が10wt%以下となるまでの時間が2秒以上60秒以下の範囲内とすることにより、塗膜中の導電性粒子が偏在して偏在層を形成するまでの時間を十分にとることができ、偏在層と混合層を備えた本発明の反射防止フィルムを容易に製造することができる。塗膜中に含まれる溶媒が10wt%以下となるまでの時間が2秒に満たない場合にあっては、塗膜の急激な乾燥により偏在層を形成することができなくなってしまう恐れがある。また、本発明の反射防止フィルムにあってはロール・ツー・ロール方式により帯電防止ハードコート層が連続形成される。塗膜中に含まれる溶媒が10wt%以下となるまでの時間が60秒を超える場合にあっては、時間がかかりすぎてしまい現実的でない。枚葉方式においても、タクトタイムが長くなり生産性が低下するため好ましくない。
塗膜中に含まれる溶媒の量は、重量を測定することにより求めることができる。また、赤外線モニタによっても測定することができる。
【0089】
また、本発明の反射防止フィルムの製造方法にあっては、帯電防止ハードコート層形成用塗液中に含まれる全溶媒が55wt%以上85wt%以下の割合であることが好ましい。塗液中の溶媒量を上記範囲内とすることにより、塗膜中の導電性粒子が偏在して偏在層を形成するまでの時間を十分とすることができ、偏在層と混合層を備えた本発明の反射防止フィルムを容易に製造することができる。帯電防止ハードコート層形成用塗液中の溶媒量が55wt%に満たない場合にあっては、塗膜が急激に乾燥してしまい偏在層を形成することができなくなってしまう恐れがある。一方、帯電防止ハードコート層形成用塗液中の溶媒量が85wt%を越える場合にあっては、乾燥時間を長くする必要があり大量生産に不向きとなってしまう。
【0090】
また、本発明の反射防止フィルムの製造方法にあっては、帯電防止ハードコート層となる塗膜を乾燥する工程を溶媒濃度0.2vol%以上10vol%以下の溶媒雰囲気下でおこなうことが好ましい。塗膜を乾燥する工程を0.2vol%以上10vol%以下の溶媒雰囲気下でおこなうことにより、塗膜中の導電性粒子が偏在して偏在層を形成するまでの時間を十分とすることができ、偏在層と混合層を備えた本発明の反射防止フィルムを容易に製造することができる。なお、このとき乾燥雰囲気に用いられる溶媒としては、帯電防止ハードコート層形成用塗液に含まれる溶媒のうち少なくとも1種類が用いられる。溶媒雰囲気下が0.2vol%に満たない場合にあっては、塗膜が急激に乾燥してしまい偏在層を形成することができなくなってしまう場合がある。一方、溶媒雰囲気下が10vol%を超える場合にあっては、乾燥時間を長くする必要があり大量生産に不向きとなってしまう。
【0091】
また、本発明の反射防止フィルムの製造方法にあっては、帯電防止ハードコート層となる塗膜を透明基材に塗布後、乾燥を行う。この乾燥工程は、帯電防止ハードコート層形成用塗液の塗布直後に乾燥温度20℃以上30℃以下の範囲内で一次乾燥工程をおこなうことが好ましい。一次乾燥温度を20℃以上30℃以下の範囲内とすることにより、塗膜中の導電性粒子が偏在して偏在層を形成するまでの時間を十分とすることができ、偏在層と混合層を備えた本発明の反射防止フィルムを容易に製造することができる。乾燥温度が30℃を超える場合にあっては、塗膜が急激に乾燥してしまい偏在層を形成することができなくなってしまう恐れがある。一方、乾燥温度が20℃を下回る場合にあっては、乾燥時間を長くする必要があり連続生産に不向きとなってしまう。またこれらの一次乾燥工程のみでは乾燥が不十分の場合があり、二次乾燥工程として乾燥温度50℃以上150℃以下の範囲内の加熱乾燥で、適度な加熱乾燥を行うことがこのましい。
【0092】
また、一次乾燥工程にかかる時間は2秒以上60秒以下の範囲内でおこなわれることが好ましい。一次乾燥の時間が2秒に満たない場合にあっては、塗膜が急激に乾燥してしまい偏在層を形成することができなくなってしまう場合がある。また、本発明の反射防止フィルムにあってはロール・ツー・ロール方式により帯電防止ハードコート層が連続形成される。一次乾燥工程時間が60秒を超える場合にあっては、透明基材の搬送速度を低下させる必要や、塗膜を乾燥するための乾燥ユニットを長くする必要があり、現実的でない。
【0093】
帯電防止ハードコート層形成用塗液中に含まれる溶媒は、沸点の高い揮発性溶媒が好ましい。好ましくは100℃以上、より好ましくは200℃以上である。沸点が高いほうが、混合層及び中間層の形成に重要な要素となる一次乾燥工程の時間を調整しやすいからである。
また、本発明の反射防止フィルムの製造方法にあっては、透明基材がトリアセチルセルロースフィルムの際に帯電防止ハードコート層形成用塗液中に含まれる溶媒がN−メチルピロリドンを含むことが好ましい。N−メチルピロリドンは沸点が高く、またトリアセチルセルロースとN−メチルピロリドンとの相性がとりわけ良いため、帯電防止ハードコート層形成用塗液中に含まれる溶媒がN−メチルピロリドンを含むことにより、偏在層と混合層を備えた本発明の反射防止フィルムを容易に製造することができる。
【0094】
本発明の反射防止フィルム及びその製造方法についてさらに詳細に説明する。
本発明の反射防止フィルムにおける透明基材としては、種々の有機高分子からなるフィルムまたはシートを用いることができる。例えば、ディスプレイ等の光学部材に通常使用される基材が挙げられ、透明性や光の屈折率等の光学特性、さらには耐衝撃性、耐熱性、耐久性などの諸物性を考慮して、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロファン等のセルロース系、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド系、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、エチレンビニルアルコール等の有機高分子からなるものが用いられる。特に、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートが好ましい。中でも、トリアセチルセルロースにあっては、複屈折率が小さく、透明性が良好であることから液晶ディスプレイに対し好適に用いることができる。
【0095】
なお、透明基材の厚みは25μm以上200μm以下の範囲内にあることが好ましく、さらには、40μm以上80μm以下の範囲内にあることが好ましい
【0096】
さらに、これらの有機高分子に公知の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等を添加することにより機能を付加させたものも使用できる。また、透明基材は上記の有機高分子から選ばれる1種または2種以上の混合物、または重合体からなるものでもよく、複数の層を積層させたものであってもよい。
【0097】
次に、帯電防止ハードコート層の形成方法について述べる。帯電防止ハードコート層は、導電性粒子とバインダーマトリックス形成材料と溶媒を含む塗液を透明基材上に塗布し、透明基材上に帯電防止ハードコート層となる塗膜を形成し、該塗膜に対し乾燥をおこない、その後、紫外線や電子線といった電離放射線を照射して塗膜を硬化することにより、帯電防止ハードコート層とすることができる。
【0098】
本発明の帯電防止ハードコート層形成用塗液に含まれる導電性粒子としては、酸化インジウム、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、リンドープ酸化スズ(PTO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)といった電子電導型の導電性粒子を好適に用いることができる。ハードコート層に帯電防止機能を付与するにあっては導電性粒子を添加する必要があるが、このとき電子電導型の導電性粒子とイオン電導型の導電性粒子に大別される。ここで、電子電導型の導電性材料の方が低湿度下であっても帯電防止機能を安定的に発揮することができる。
また、このような導電性粒子は透明基材成分には分散しづらいため、帯電防止ハードコート層を構成するバインダーマトリックス形成材料が透明基材へ浸透する際に、バインダーマトリックス形成材料が透明基材成分と混じりあった部分(混合層及び中間層)から押し出される。こうして偏在層を形成することができる。
【0099】
本発明の帯電防止ハードコート層形成用塗液に含まれる導電性粒子としては、粒径が1nm以上100nm以下であることが好ましい。粒径が100nmを超える場合、レイリー散乱によって光が著しく反射され、導電層が白くなって反射防止フィルムの可視光透過率が低下する傾向にある。また、粒径が100nmを超える場合、反射防止フィルムのヘイズが上昇し、ヘイズを0.5%以下とすることが困難となる。一方、粒径が1nm未満の場合、導電性が低下し、反射防止フィルムの表面抵抗が大きくなったり、粒子が凝集して帯電防止ハードコート層内での粒子の分散が不均一になるなどの問題が生じることがある。これらの導電性粒子は、各々単独で用いても、材質や粒径の異なる複数種類を組み合わせてもなんら差し支えない。
【0100】
帯電防止ハードコート層を形成するためのバインダーマトリックス形成材料としては電離放射線硬化型材料を含む。電離放射線硬化型材料としては、アクリル系材料を好ましく用いることができる。アクリル系材料としては、多価アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルのような多官能または多官能の(メタ)アクリレート化合物、ジイソシアネートと多価アルコール及びアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシエステル等から合成されるような多官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。またこれらの他にも、電離放射線硬化型材料として、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができる。
【0101】
なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」と「メタクリレート」の両方を示している。たとえば、「ウレタン(メタ)アクリレート」は「ウレタンアクリレート」と「ウレタンメタアクリレート」の両方を示している。
【0102】
単官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−アダマンタンおよびアダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレートなどのアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0103】
前記2官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0104】
前記3官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0105】
アクリル系材料の中でも、所望する分子量、分子構造を設計でき、形成されるハードコート層の物性のバランスを容易にとることが可能であるといった理由から、多官能ウレタンアクリレートを好適に用いることができる。ウレタンアクリレートは、多価アルコール、多価イソシアネート及び水酸基含有アクリレートを反応させることによって得られる。具体的には、共栄社化学社製、UA−306H、UA−306T、UA−306I等、日本合成化学社製、UV−1700B、UV−6300B、UV−7600B、UV−7605B、UV−7640B、UV−7650B等、新中村化学社製、U−4HA、U−6HA、UA−100H、U−6LPA、U−15HA、UA−32P、U−324A等、ダイセルユーシービー社製、Ebecryl−1290、Ebecryl−1290K、Ebecryl−5129等、根上工業社製、UN−3220HA、UN−3220HB、UN−3220HC、UN−3220HS等を挙げることができるがこの限りではない。
【0106】
またこれらの他にも、電離放射線硬化型材料として、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができる。
【0107】
また、帯電防止ハードコート層形成用塗液を紫外線により硬化させる場合にあっては、帯電防止ハードコート層形成用塗液に光重合開始剤を添加する。光重合開始剤としては、紫外線が照射された際にラジカルを発生するものであれば良く、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類を用いることができる。また、光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化型材料100重量部に対して0.1重量部以上10重量部以下の範囲内であることが好ましく、さらには1重量部以上7重量部以下であることが好ましい。
【0108】
帯電防止ハードコート層形成用塗液にあっては、溶媒が加えられる。本発明の帯電防止ハードコート層形成用塗液にあっては、全溶媒のうち30wt%以上80wt%以下の範囲内で透明基材を溶解または膨潤させる溶媒が用いられる。
【0109】
透明基材としてトリアセチルセルロースフィルムを用いた際の透明基材を溶解または膨潤させる溶媒としては、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、ジオキサン、ジオキソラン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトール等のエーテル類、またアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノン等の一部のケトン類、また蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−プチロラクトン等のエステル類、さらには、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類、その他としてN−メチル−2−ピロリドン(N−メチルピロリドン)、炭酸ジメチルが挙げられる。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0110】
トリアセチルセルロースフィルムを溶解または膨潤させない溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキシルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、n−ヘキサンなどの炭化水素類、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、ジアセトンアルコールなどの一部のケトン類などが挙げられる。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0111】
また、バインダーマトリックス形成材料としては、電離放射線硬化型材料の他に熱可塑性樹脂等を加えることもできる。熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニル及びその共重合体、塩化ビニル及びその共重合体、塩化ビニリデン及びその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、アクリル樹脂及びその共重合体、メタクリル樹脂及びその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等を使用できる。熱可塑性樹脂を加えることにより、製造される防眩フィルムのカールを抑制することができる。
【0112】
また、帯電防止ハードコート層形成用塗液には添加剤として、表面調整剤、屈折率調整剤、密着性向上剤、硬化剤等を加えることもできる。
【0113】
以上のような材料を含む帯電防止ハードコート層形成用塗液は透明基材上に塗布され、塗膜を形成する。帯電防止ハードコート層形成用塗液を透明基材上に塗布するための方法としては、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーターを用いた塗布方法を用いることができる。
【0114】
次に、透明基材上に形成された帯電防止ハードコート層となる塗膜は乾燥工程により、塗膜中の溶媒が除去される。このとき乾燥手段としては、加熱、送風、熱風等を用いることができる。
【0115】
帯電防止ハードコート層形成用塗液を透明基材上に塗布することにより得られる塗膜に対し、電離放射線を照射することにより、帯電防止ハードコート層が形成される。電離放射線としては、紫外線、電子線を用いることができる。紫外線硬化の場合は、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク等の光源が利用できる。また、電子線硬化の場合はコックロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される電子線が利用できる。電子線は、50〜1000KeVのエネルギーを有するのが好ましい。100〜300KeVのエネルギーを有する電子線がより好ましい。
【0116】
本発明の帯電防止ハードコート層はロール・ツー・ロール方式により連続形成される。ウェブ状の透明基材を塗布装置の巻き出し部から巻き取り部まで連続走行させ、このとき、透明基材を塗布ユニット、乾燥ユニット、電離放射線照射ユニットを通過させることにより、透明基材上に帯電防止ハードコート層が連続形成される。
【0117】
次に、帯電防止ハードコート層上に設けられる低屈折率層の形成方法について述べる。低屈折率層は、低屈折率粒子とバインダーマトリックス形成材料と溶媒を含む低屈折率層形成用塗液を帯電防止ハードコート層上に塗布して塗膜を形成し、これを硬化させる湿式成膜法により、低屈折率層を形成することができる。
【0118】
低屈折率粒子としては、LiF、MgF、3NaF・AlFまたはAlF(いずれも、屈折率1.4)、または、NaAlF(氷晶石、屈折率1.33)等の低屈折率材料からなる低屈折率粒子を用いることができる。また、粒子内部に空隙を有する粒子を好適に用いることができる。粒子内部に空隙を有する粒子にあっては、空隙の部分を空気の屈折率(≒1)とすることができるため、非常に低い屈折率を備える低屈折率粒子とすることができる。具体的には、内部に空隙を有する低屈折率シリカ粒子を用いることができる。
【0119】
本発明の低屈折率層に用いられる低屈折率粒子としては、粒径が1nm以上100nm以下であることが好ましい。粒径が100nmを超える場合、レイリー散乱によって光が著しく反射され、低屈折率層が白化して反射防止フィルムの透明性が低下する傾向にある。一方、粒径が1nm未満の場合、低屈折率粒子が凝集して、低屈折率層における低屈折率粒子の分散が不均一になるなどの問題が生じる。
【0120】
低屈折率層形成用塗液を構成するバインダーマトリックス形成材料としては、ケイ素アルコキシドの加水分解物を用いることができる。さらには、一般式(1)RSi(OR)4−x(但し、式中Rはアルキル基を示し、xは0≦x≦3を満たす整数である)で示されるケイ素アルコキシドの加水分解物を用いることができる。
【0121】
一般式(1)で表されるケイ素アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等を用いることができる。ケイ素アルコキシドの加水分解物は、一般式(1)で示される金属アルコキシドを原料として得られるものであればよく、例えば塩酸にて加水分解することで得ることができる。
【0122】
さらには、低屈折率層のバインダーマトリックス形成材料としては、一般式(1)で表されるケイ素アルコキシドに、一般式(2)R´Si(OR)4−z(但し、式中R´はアルキル基、フルオロアルキル基又はフルオロアルキレンオキサイド基を有する非反応性官能基を示し、zは1≦z≦3を満たす整数である)で示されるケイ素アルコキシドの加水分解物をさらに含ませることができる。これにより反射防止フィルムの低屈折率層表面に防汚性を付与することができ、さらに、低屈折率層の屈折率をさらに低下させることができる。
【0123】
一般式(2)で示されるケイ素アルコキシドとしては、例えば、オクタデシルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0124】
また、低屈折率層形成用塗液を構成するバインダーマトリックス形成材料として、電離放射線硬化型材料を用いることもできる。電離放射線硬化型材料としては、帯電防止ハードコート層形成用塗液で挙げた電離放射線硬化型材料を用いることができる。また、低屈折率のフッ素系電離放射線硬化型材料を用いて低屈折率層を形成する場合にあっては、必ずしも低屈折率粒子を添加する必要はない。また、バインダーマトリックス形成材料として電離放射線硬化型材料を用いる場合にあっても、低屈折率層表面に防汚性を発現するフッ素系材料またはシリコーン系材料を添加することが好ましい。
【0125】
なお、低屈折率層を形成するための塗液には、必要に応じて、溶媒や各種添加剤を加えることができる。溶媒としては、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキシルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、n−ヘキサンなどの炭化水素類、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、ジオキサン、ジオキソラン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトール等のエーテル類、また、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノン等のケトン類、また蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−プチロラクトン等のエステル類、さらには、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、水等の中から塗工適正等を考慮して適宜選択される。また、塗液には添加剤として、防汚剤、表面調整剤、レベリング剤、屈折率調整剤、密着性向上剤、光増感剤等を加えることもできる。
【0126】
なお、バインダーマトリックス形成材料として電離放射線硬化型材料を用い、紫外線を照射することにより低屈折率層を形成する場合には、塗液に光重合開始剤が加えられる。用いることのできる光重合開始剤としては、帯電防止ハードコート層形成用塗液で挙げたものを用いることができ、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類等が挙げられる。
【0127】
低屈折率層形成用塗液を構成するバインダーマトリックス形成材料としてケイ素アルコキシドの加水分解物を用いた場合には、ケイ素アルコキシドの加水分解物と低屈折率粒子とを含む低屈折率層形成用塗液を帯電防止ハードコート層が形成された透明基材上に塗布して塗膜を形成し、該塗膜に対し乾燥・加熱し、ケイ素アルコキシドの脱水縮合反応をおこなうことにより低屈折率層を形成することができる。また、バインダーマトリックス形成材料として電離放射線硬化型材料を用いた場合には、電離放射線硬化型材料と低屈折率粒子とを含む低屈折率層形成用塗液を帯電防止ハードコート層が形成された透明基材上に塗布して塗膜を形成し、該塗膜に対し、必要に応じて乾燥をおこない、その後、紫外線、電子線といった電離放射線を照射することにより電離放射線硬化型材料の硬化反応をおこなって低屈折率層を形成することができる。
【0128】
なお、低屈折率層を形成する際の塗布方法、乾燥方法、電離放射線照射方法は帯電防止ハードコート層と同様のものを用いることができる。
以上のような材料を含む低屈折率層形成用塗液は帯電防止ハードコート層が形成された透明基材上に塗布され、塗膜を形成する。低屈折率層形成用塗液を透明基材上に塗布するための塗工方法としては、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーターを用いた塗布方法を用いることができる。
【0129】
次に、帯電防止ハードコート層上に形成された低屈折率層となる塗膜は乾燥工程により、塗膜中の溶媒が除去される。このとき乾燥手段としては、加熱、送風、熱風等を用いることができる。偏在層を形成する必要がないため、溶媒を十分に除くことができれば条件に制限はないが、帯電防止ハードコート層と同じ条件でもよい。
【0130】
低屈折率層形成用塗液が電離放射線硬化型材料を含む場合、低屈折率層形成用塗液を帯電防止ハードコート層上に塗布することにより得られる塗膜に対し、電離放射線を照射することにより、低屈折率層が形成される。電離放射線としては、紫外線、電子線を用いることができる。紫外線硬化の場合は、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク等の光源が利用できる。また、電子線硬化の場合はコックロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される電子線が利用できる。電子線は、50〜1000KeVのエネルギーを有するのが好ましい。100〜300KeVのエネルギーを有する電子線がより好ましい。
【0131】
また、本発明の反射防止フィルムが備える低屈折率層は酸化ケイ素等の低屈折率材料を真空蒸着法やスパッタリング法といった真空プロセスにより積層して形成することも可能であるが、コスト高となる。
【0132】
本発明の反射防止フィルムが備える低屈折率層の屈折率は、1.30以上1.44以下の範囲内である。また、低屈折率層の屈折率(n)と低屈折率層の層厚(d)をかけることにより得られる低屈折率層の光学膜厚(nd)は可視光波長の1/4となるように設けられる。このとき、低屈折率層の光学膜厚は115nm以上135nm以下の範囲内であることが好ましい。低屈折率層の光学膜厚を115nm以上135nm以下の範囲内とし、λ=500nmとしたときλ/4付近となるように低屈折率層の光学膜厚を設計することにより、反射色相を小さくすることができる。また、低屈折率層は湿式塗布法により形成されるために多少の膜厚の変動があるが、光学膜厚をこの範囲に調整することで、低屈折率層の膜厚変動による色ムラの発生の少ない反射防止フィルムとすることができる。
【0133】
以上により、本発明の反射防止フィルムは形成される。なお、本発明の反射防止フィルムは、低屈折率層、帯電防止ハードコート層の他に、必要に応じて、防汚性能、電磁波シールド性能、赤外線吸収性能、紫外線吸収性能、色補正性能等を有する機能層が設けられる。これらの機能層としては、防汚層、電磁波遮蔽層、赤外線吸収層、紫外線吸収層、色補正層等が挙げられる。なお、これらの機能層は単層であってもかまわないし、複数の層であってもかまわない。機能層は、1層で複数の機能を有していても構わない。また、これらの機能層は、各層間に設けても良いし、反射防止フィルム表面に設けても良い。また、本発明にあっては、各種層間の接着性向上のために、各層間にプライマー層や接着層等を設けても良い。
【0134】
本発明の低屈折率層はロール・ツー・ロール方式により連続形成される。前工程で帯電防止ハードコート層が形成されているウェブ状の透明基材を巻き出し部から巻き取り部まで連続走行させ、このとき、透明基材を塗布ユニット、乾燥ユニット(加熱ユニット)、電離放射線照射ユニットを必要に応じて通過させることにより、透明基材上に低屈折率層が連続形成される。なお、帯電防止ハードコート層と低屈折率層をロール・ツー・ロール方式により連続形成することも可能である。
【0135】
本発明の反射防止フィルムにあっては、低屈折率層が形成されている側の反対側の透明基材側の面(他方の面)に偏光層と第2の透明基材を設けることにより、偏光板とすることができる。偏光層としては、例えば、ヨウ素を加えた延伸ポリビニルアルコール(PVA)を用いることができる。また、もう第2の透明基材としては、本発明の反射防止フィルムに透明基材として用いる基材を選択することができ、トリアセチルセルロースからなるフィルムを好適に用いることができる。
【0136】
また、本発明の反射防止フィルムを構成要素の一部として用いた偏光板は、透過型液晶ディスプレイの一部を構成することができる。このとき、当該偏光板は、観察者側から、当該偏光板、液晶セル、第2の偏光板、バックライトユニットの順で配置される。すなわち、観察側に低屈折率層が最表面となるように設けられる。本発明の反射防止フィルム、あるいは偏光板を液晶ディスプレイ表面に設けることにより、優れた帯電防止機能、反射防止機能を有し光学特性に優れる透過型液晶ディスプレイとすることができる。
【実施例】
【0137】
(実施例1)
<透明基材>
透明基材として、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用意した。
<帯電防止ハードコート層の形成>
導電性粒子としてアンチモンドープ酸化スズ粒子分散液(ATO/平均粒子径8nm/固形分比30wt%/分散媒イソプロピルアルコール)4.0重量部を用意し、電離放射線硬化型材料としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)7.8重量部とペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA)7.8重量部とウレタンアクリレートUA−306T(共栄社化学社製)23.3重量部を用意し、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバ・ジャパン社製)2.0重量部を用意し、溶媒としてメチルエチルケトンと炭酸ジメチルとジアセトンアルコールを重量比で4:4:2で混合した混合溶媒57.2重量部を用意し、これらを混合することにより固形分40wt%の帯電防止ハードコート層形成用塗液を得た。
得られた塗液を透明基材上にワイヤーバーコーターにより塗布し、塗膜を形成し、2〜5vol%の溶剤雰囲気下の半密閉空間にて30秒25℃で室温乾燥をおこなった(一次乾燥工程)。室温乾燥工程で透明基材上の塗膜中に含まれる溶媒が10wt%以下となるまでの時間は4秒であった。室温乾燥後、オーブンで80℃1分乾燥をおこない(二次乾燥工程)、乾燥後、コンベア式紫外線硬化装置で露光量400mJ/cmで紫外線照射をおこなうことにより透明基材上に厚さ5μmの帯電防止ハードコート層を形成した。
<低屈折率層の形成>
有機ケイ素化合物としてテトラエトキシシランと1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシランをmol比で95:5となるように混合したものを用い、これにイソプロピルアルコール、0.1N塩酸を加え、加水分解させることより、有機ケイ素化合物の重合体を含む溶液を得た。この溶液に内部に空隙を有する低屈折率シリカ微粒子分散液(一次粒子径30nm/固形分20wt%)を混合し、イソプロピルアルコールを加え、塗液100重量部中に有機ケイ素化合物2.0重量部、低屈折率シリカ微粒子2.0重量部を含む低屈折率層形成用塗液を得た。得られた低屈折率層形成用塗液を帯電防止ハードコート層上にワイヤーバーコーターにて塗布し、オーブンで120℃で1分間加熱乾燥をおこない、光学膜厚(nd)が可視光波長の1/4となるような低屈折率層を形成した。
以上により、透明基材上に帯電防止ハードコート層、低屈折率層を順に備える反射防止フィルムを作製した。
【0138】
(実施例2)
<透明基材>
透明基材として、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用意した。
<帯電防止ハードコート層の形成>
導電性粒子としてアンチモンドープ酸化スズ粒子分散液(ATO/平均粒子径8nm/固形分比30wt%/分散媒イソプロピルアルコール)1.7重量部を用意し、電離放射線硬化型材料としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)4.9重量部とペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA)4.9重量部とウレタンアクリレートUA−306T(共栄社化学社製)14.7重量部を用意し、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバ・ジャパン社製)1.5重量部を用意し、溶媒としてメチルエチルケトンと炭酸ジメチルとジアセトンアルコールを重量比で4:4:2で混合した混合溶媒73.8重量部を用意し、これらを混合することにより固形分25wt%の帯電防止ハードコート層形成用塗液を得た。
得られた塗液を透明基材上にワイヤーバーコーターにより塗布し、塗膜を形成し、溶媒雰囲気0.1vol%以下の開放空間で30秒25℃で室温乾燥をおこなった(一次乾燥工程)。室温乾燥工程で透明基材上の塗膜中に含まれる溶媒が10wt%以下となるまでの時間は6秒であった。室温乾燥後、オーブンで80℃1分乾燥をおこない(二次乾燥工程)、乾燥後、コンベア式紫外線硬化装置で露光量400mJ/cmで紫外線照射をおこなうことにより透明基材上に厚さ5μmの帯電防止ハードコート層を形成した。
<低屈折率層の形成>
有機ケイ素化合物としてテトラエトキシシランと1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシランをmol比で95:5となるように混合したものを用い、これにイソプロピルアルコール、0.1N塩酸を加え、加水分解させることより、有機ケイ素化合物の重合体を含む溶液を得た。この溶液に内部に空隙を有する低屈折率シリカ微粒子分散液(一次粒子径30nm/固形分20wt%)を混合し、イソプロピルアルコールを加え、塗液100重量部中に有機ケイ素化合物2.0重量部、低屈折率シリカ微粒子2.0重量部を含む低屈折率層形成用塗液を得た。得られた低屈折率層形成用塗液を帯電防止ハードコート層上にワイヤーバーコーターにて塗布し、オーブンで120℃で1分間加熱乾燥をおこない、光学膜厚(nd)が可視光波長の1/4となるような低屈折率層を形成した。
以上により、透明基材上に帯電防止ハードコート層、低屈折率層を順に備える反射防止フィルムを作製した。
【0139】
(実施例3)
<透明基材>
透明基材として、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用意した。
<帯電防止ハードコート層の形成>
導電性粒子としてリンドープ酸化スズ粒子分散液(PTO/平均粒子径20nm/固形分比30wt%/分散媒イソプロピルアルコール)4.0重量部を用意し、電離放射線硬化型材料としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)7.8重量部とペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA)7.8重量部とウレタンアクリレートUA−306T(共栄社化学社製)23.3重量部を用意し、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバ・ジャパン社製)2.0重量部を用意し、溶媒としてメチルエチルケトンと炭酸ジメチルとジアセトンアルコールを重量比で4:4:2で混合した混合溶媒57.2重量部を用意し、これらを混合することにより固形分40wt%の帯電防止ハードコート層形成用塗液を得た。
得られた塗液を透明基材上にワイヤーバーコーターにより塗布し、塗膜を形成し、2〜5vol%の溶剤雰囲気下の半密閉空間にて30秒25℃で室温乾燥をおこなった(一次乾燥工程)。室温乾燥工程で透明基材上の塗膜中に含まれる溶媒が10wt%以下となるまでの時間は4秒であった。室温乾燥後、オーブンで80℃1分乾燥をおこない(二次乾燥工程)、乾燥後、コンベア式紫外線硬化装置で露光量400mJ/cmで紫外線照射をおこなうことにより透明基材上に厚さ5μmの帯電防止ハードコート層を形成した。
<低屈折率層の形成>
低屈折率シリカ微粒子分散液(平均粒子径30nm/固形分20重量%)8.0重量部、電離放射線硬化型材料としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)2.4重量部を用意し、シリコーン系添加剤としてTSF44(東芝GEシリコーン社製)0.2重量部を用意し、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバ・ジャパン社製)0.2重量部を用意し、溶媒としてメチルイソブチルケトン89.6重量部を用意し、これらを混合して低屈折率層形成用塗液を調整した。
得られた低屈折率層形成用塗液を帯電防止ハードコート層上にワイヤーバーコーターにより塗布し、塗膜を形成し、その後、オーブンで乾燥をおこない、乾燥後、コンベア式紫外線硬化装置により露光量500mJ/cmで硬化し、光学膜厚(nd)が可視光波長の1/4となるような低屈折率層を形成した。
以上により、透明基材、帯電防止ハードコート層、低屈折率層を順に備える反射防止フィルムを作製した。
【0140】
(実施例4)
<透明基材>
透明基材として、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用意した。
<帯電防止ハードコート層の形成>
導電性粒子としてアンチモンドープ酸化スズ粒子分散液(ATO/平均粒子径8nm/固形分比30重量%/分散媒イソプロピルアルコール)4.0重量部を用意し、電離放射線硬化型材料としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)7.8重量部とペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA)7.8重量部とウレタンアクリレートUA−306T(共栄社化学社製)23.3重量部を用意し、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバ・ジャパン社製)2.0重量部を用意し、溶媒としてメチルエチルケトンとN−メチルピロリドンとジアセトンアルコールを重量比で5:2:3で混合した混合溶媒57.2重量部を用意し、これらを混合することにより固形分40wt%の帯電防止ハードコート層形成用塗液を得た。
得られた塗液を透明基材上にワイヤーバーコーターにより塗布し、塗膜を形成し、溶媒雰囲気0.1vol%以下の開放空間で30秒25℃で室温乾燥をおこなった(一次乾燥工程)。室温乾燥工程で透明基材上の塗膜中に含まれる溶媒が10wt%以下となるまでの時間は25秒であった。室温乾燥後、オーブンで80℃1分乾燥をおこない(二次乾燥工程)、乾燥後、コンベア式紫外線硬化装置で露光量400mJ/cmで紫外線照射をおこなうことにより透明基材上に厚さ5μmの帯電防止ハードコート層を形成した。
<低屈折率層の形成>
低屈折率シリカ微粒子分散液(平均粒子径30nm/固形分20重量%)8.0重量部、電離放射線硬化型材料としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)2.4重量部を用意し、シリコーン系添加剤としてTSF44(東芝GEシリコーン社製)0.2重量部を用意し、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバ・ジャパン社製)0.2重量部を用意し、溶媒としてメチルイソブチルケトン89.6重量部を用意し、これらを混合して低屈折率層形成用塗液を調整した。
得られた低屈折率層形成用塗液を帯電防止ハードコート層上にワイヤーバーコーターにより塗布し、塗膜を形成し、その後、オーブンで乾燥をおこない、乾燥後、コンベア式紫外線硬化装置により露光量500mJ/cmで硬化し、光学膜厚(nd)が可視光波長の1/4となるような低屈折率層を形成した。
以上により、透明基材、帯電防止ハードコート層、低屈折率層を順に備える反射防止フィルムを作製した。
【0141】
(比較例1)
<透明基材>
透明基材として、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用意した。
<ハードコート層の形成>
電離放射線硬化型材料としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10重量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート10重量部、ウレタンアクリレート(共栄社化学株式会社製UA−306T)30重量部、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバジャパン株式会社製(光重合開始剤)2.5重量部、溶媒としてメチルエチルケトン25重量部、酢酸ブチル25重量部を混合したハードコート層形成用塗液を用いた。得られたハードコート層形成用塗液をトリアセチルセルロースフィルム上にワイヤーバーコーターにより塗布した。ハードコート層形成用塗液を塗布したトリアセチルセルロースフィルムをオーブンで80℃1分乾燥をおこない、乾燥後、コンベア式紫外線硬化装置で露光量400mJ/cmで紫外線照射をおこなうことにより透明基材上に厚さ5μmのハードコート層を形成した。
<帯電防止層の形成>
有機ケイ素化合物としてテトラエトキシシランを原料とし、これにイソプロピルアルコール、0.1N塩酸を加え、加水分解させることより、テトラエトキシシランの重合体を含む溶液を得た。この溶液に一次粒子径が8nmのアンチモンドープ酸化スズ(ATO)微粒子を混合し、イソプロピルアルコールを加え、塗液100重量部中にテトラエトキシシランの重合体2.5重量部、アンチモンドープ酸化スズ微粒子2.5重量部を含む帯電防止層形成用塗液を得た。得られた帯電防止層形成用塗液をアルカリ処理したハードコート層上にワイヤーバーコーターにて塗布し、オーブンで120℃1分間加熱乾燥をおこない、光学膜厚(nd)が可視光波長の1/4となるように帯電防止層を形成した。
<低屈折率層の形成>
有機ケイ素化合物としてテトラエトキシシランと1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシランをmol比で95:5となるように混合したものを用い、これにイソプロピルアルコール、0.1N塩酸を加え、加水分解させることより、有機ケイ素化合物の重合体を含む溶液を得た。この溶液に内部に空隙を有する低屈折率シリカ微粒子分散液(一次粒子径30nm/固形分20重量%)を混合し、イソプロピルアルコールを加え、塗液100重量部中に有機ケイ素化合物2.0重量部、低屈折率シリカ微粒子2.0重量部を含む低屈折率層形成用塗液を得た。得られた低屈折率層形成用塗液を帯電防止ハードコート層上にワイヤーバーコーターにて塗布し、オーブンで120℃で1分間加熱乾燥をおこない、光学膜厚(nd)が可視光波長の1/4となるような低屈折率層を形成した。
以上により、透明基材、ハードコート層、帯電防止層、低屈折率層を順に備える反射防止フィルムを作製した。
【0142】
(比較例2)
<透明基材>
透明基材として、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用意した。
<帯電防止ハードコート層の形成>
導電性粒子としてアンチモンドープ酸化スズ粒子分散液(ATO/平均粒子径8nm/固形分比30重量%/分散媒イソプロピルアルコール)33.3重量部を用意し、電離放射線硬化型材料としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート8.3重量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート8.3重量部、ウレタンアクリレート(共栄社化学株式会社製UA−306T)25重量部、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバジャパン株式会社製(光重合開始剤)2.1重量部、溶媒としてトルエン23重量部を用意し、これらを混合することにより固形分75wt%の帯電防止ハードコート層形成用塗液を得た。
得られた帯電防止ハードコート層形成用塗液をトリアセチルセルロースフィルム上にワイヤーバーコーターにより塗布した。帯電防止ハードコート層形成用塗液を塗布したトリアセチルセルロースフィルムをオーブンで80℃1分乾燥をおこない、乾燥後、コンベア式紫外線硬化装置で露光量400mJ/cmで紫外線照射をおこなうことにより透明基材上に厚さ5μmの帯電防止ハードコート層を形成した。
<低屈折率層の形成>
有機ケイ素化合物としてテトラエトキシシランと1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシランをmol比で95:5となるように混合したものを用い、これにイソプロピルアルコール、0.1N塩酸を加え、加水分解させることより、有機ケイ素化合物の重合体を含む溶液を得た。この溶液に内部に空隙を有する低屈折率シリカ微粒子分散液(一次粒子径30nm/固形分20重量%)を混合し、イソプロピルアルコールを加え、塗液100重量部中に有機ケイ素化合物2.0重量部、低屈折率シリカ微粒子2.0重量部を含む低屈折率層形成用塗液を得た。得られた低屈折率層形成用塗液を帯電防止ハードコート層上にワイヤーバーコーターにて塗布し、オーブンで120℃で1分間加熱乾燥をおこない、光学膜厚(nd)が可視光波長の1/4となるような低屈折率層を形成した。
以上により、透明基材上に帯電防止ハードコート層、低屈折率層を順に備える反射防止フィルムを作製した。
【0143】
(比較例3)
<透明基材>
透明基材として、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用意した。
<帯電防止ハードコート層の形成>
導電性粒子としてアンチモンドープ酸化スズ粒子分散液(ATO/平均粒子径8nm/固形分比30重量%/分散媒イソプロピルアルコール)4.0重量部を用意し、電離放射線硬化型材料としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)7.8重量部とペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA)7.8重量部とウレタンアクリレートUA−306T(共栄社化学社製)23.3重量部を用意し、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバ・ジャパン社製)2.0重量部を用意し、溶媒としてトルエン57.2重量部を用意し、これらを混合することにより固形分40wt%の帯電防止ハードコート層形成用塗液を得た。
得られた塗液を透明基材上にワイヤーバーコーターにより塗布し、塗膜を形成し、溶媒雰囲気0.1vol%以下の開放空間で30秒25℃で室温乾燥をおこなった(一次乾燥工程)。室温乾燥工程で透明基材上の塗膜中に含まれる溶媒が10wt%以下となるまでの時間は4秒であった。室温乾燥後、オーブンで80℃1分乾燥をおこない(二次乾燥工程)、乾燥後、コンベア式紫外線硬化装置で露光量400mJ/cmで紫外線照射をおこなうことにより透明基材上に厚さ5μmの帯電防止ハードコート層を形成した。
<低屈折率層の形成>
有機ケイ素化合物としてテトラエトキシシランと1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシランをmol比で95:5となるように混合したものを用い、これにイソプロピルアルコール、0.1N塩酸を加え、加水分解させることより、有機ケイ素化合物の重合体を含む溶液を得た。この溶液に内部に空隙を有する低屈折率シリカ微粒子分散液(一次粒子径30nm/固形分20重量%)を混合し、イソプロピルアルコールを加え、塗液100重量部中に有機ケイ素化合物2.0重量部、低屈折率シリカ微粒子2.0重量部を含む低屈折率層形成用塗液を得た。得られた低屈折率層形成用塗液を帯電防止ハードコート層上にワイヤーバーコーターにて塗布し、オーブンで120℃で1分間加熱乾燥をおこない、光学膜厚(nd)が可視光波長の1/4となるような低屈折率層を形成した。
以上により、透明基材上に帯電防止ハードコート層、低屈折率層を順に備える反射防止フィルムを作製した。
【0144】
(比較例4)
<透明基材>
透明基材として、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用意した。
<帯電防止ハードコート層の形成>
導電性粒子としてアンチモンドープ酸化スズ粒子分散液(ATO/平均粒子径8nm/固形分比30重量%/分散媒イソプロピルアルコール)5.0重量部を用意し、電離放射線硬化型材料としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)4.7重量部とペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA)4.7重量部とウレタンアクリレートUA−306T(共栄社化学社製)14.1重量部を用意し、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバ・ジャパン社製)1.5重量部を用意し、溶媒としてメチルエチルケトンとイソプロピルアルコールを重量比で1:3で混合した混合溶媒71.5重量部を用意し、これらを混合することにより固形分25wt%の帯電防止ハードコート層形成用塗液を得た。
得られた塗液を透明基材上にワイヤーバーコーターにより塗布し、塗膜を形成し、溶媒雰囲気0.1vol%以下の開放空間で30秒25℃で室温乾燥をおこなった(一次乾燥工程)。室温乾燥工程で透明基材上の塗膜中に含まれる溶媒が10wt%以下となるまでの時間は2秒であった。室温乾燥後、オーブンで80℃1分乾燥をおこない(二次乾燥工程)、乾燥後、コンベア式紫外線硬化装置で露光量400mJ/cmで紫外線照射をおこなうことにより透明基材上に厚さ5μmの帯電防止ハードコート層を形成した。
<低屈折率層の形成>
有機ケイ素化合物としてテトラエトキシシランと1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシランをmol比で95:5となるように混合したものを用い、これにイソプロピルアルコール、0.1N塩酸を加え、加水分解させることより、有機ケイ素化合物の重合体を含む溶液を得た。この溶液に内部に空隙を有する低屈折率シリカ微粒子分散液(一次粒子径30nm/固形分20重量%)を混合し、イソプロピルアルコールを加え、塗液100重量部中に有機ケイ素化合物2.0重量部、低屈折率シリカ微粒子2.0重量部を含む低屈折率層形成用塗液を得た。得られた低屈折率層形成用塗液を帯電防止ハードコート層上にワイヤーバーコーターにて塗布し、オーブンで120℃で1分間加熱乾燥をおこない、光学膜厚(nd)が可視光波長の1/4となるような低屈折率層を形成した。
以上により、透明基材上に帯電防止ハードコート層、低屈折率層を順に備える反射防止フィルムを作製した。
【0145】
得られた反射防止フィルムについて、以下の測定・評価をおこなった。
・分光反射率の測定
実施例及び比較例で得られた反射防止フィルムの低屈折率層形成面と反対側の面を黒色艶消しスプレーにより黒色に塗布した。スプレー塗布後、自動分光光度計(日立製作所製、U−4000)を用い、C光源、2度視野の条件下で、低屈折率層形成面について入射角5°における分光反射率を測定した。そして、得られた分光反射率曲線から光学シミュレーション法により、帯電防止ハードコート層中の偏在層の有無、偏在層の光学膜厚、偏在層の屈折率、中間層の屈折率、低屈折率層の屈折率と光学膜厚を求めた。また、得られた分光反射率曲線から混合層の存在の確認をおこなった。また、(比較例1)にあっては帯電防止層の屈折率、光学膜厚を求めた。
【0146】
(表1)に、分光反射率から得られた帯電防止ハードコート層中の偏在層の有無、偏在層の光学膜厚、偏在層の屈折率、中間層の屈折率、低屈折率層の屈折率と光学膜厚を示す。なお、(比較例1)にあってはハードコート層の屈折率を中間層の屈折率の箇所に、帯電防止層の屈折率と光学膜厚を偏在層の欄に記載した。また、(比較例2)及び(比較例3)にあっては帯電防止ハードコート層の屈折率を中間層の屈折率の箇所に記載した。
【0147】
【表1】

【0148】
また、帯電防止ハードコート層に占める導電性粒子の含有率(wt%)、帯電防止ハードコート層中の単位面積あたりの導電性粒子の含有量(g/m)、帯電防止ハードコート層形成用塗液に含まれる溶媒の割合(wt%)及び当該塗液に含まれる全溶媒中に占める透明基材を溶解または膨潤させる溶媒の割合(wt%)をそれぞれ「導電性粒子の含有率(wt%)」、「単位面積あたりの含有量(g/m)」、「塗液に含まれる溶媒の割合(wt%)」、「塗液に含まれる全溶媒に占める溶解/膨潤溶媒の割合(wt%)」として、(表2)にまとめた。
【0149】
【表2】

【0150】
・視感平均反射率、反射色相の測定
実施例及び比較例で得られた反射防止フィルムの低屈折率層形成面と反対側の面を黒色艶消しスプレーにより黒色に塗布した。塗布後、自動分光光度計(日立製作所製、U−4000)を用い、測定した低屈折率層形成面についてC光源、2度視野の条件下での入射角5°における分光反射率から平均視感反射率(Y%)、反射色相(a*、b*)を算出した。また、比視感度は明所視標準比視感度を用いた。
【0151】
・ヘイズ(H)、平行光線透過率の測定
実施例及び比較例で得られた反射防止フィルムについて、写像性測定器(日本電色工業製、NDH−2000)を使用してヘイズ(H)、平行光線透過率を測定した。
【0152】
・表面抵抗の測定
実施例及び比較例で得られた反射防止フィルムの低屈折率層表面についてJIS K6911に準拠して高抵抗抵抗率計(株式会社ダイアインスツルメンツ製ハイレスターMCP−HT260)にて測定をおこなった。
【0153】
・色ムラ、干渉縞の確認
実施例及び比較例で得られた反射防止フィルムについて、低屈折率層表面に蛍光灯を映りこませて、反射光を確認することにより色ムラの確認、干渉ムラの確認をおこなった。
【0154】
・混合層の確認及び中間層のバインダーマトリックス成分の測定
(実施例1)〜(実施例4)で得られた反射防止フィルムについて、ミクロトームによる断面出しをおこなった。得られた断面について透明基材との境界を観察し、不明りょうである(混合層が形成されている)ことを確認した。さらに混合層の断面プロファイルが0.5μm以上であることを確認した。また、得られた断面についてラマン分光分析装置により中間層におけるトリアセチルセルロース成分量の算出をおこない、さらに、エネルギー分散型蛍光分析装置により中間層における導電性粒子の成分量の算出をおこなった。そして、中間層を100wt%として、中間層からトリアセチルセルロース成分量(wt%)と導電性粒子の成分量(wt%)を差し引くことによりバインダーマトリックス成分の割合(wt%)を求めた。
【0155】
(表3)に得られた反射防止フィルムの視感平均反射率、平行光線透過率、ヘイズ、反射色相、表面抵抗、中間層のバインダーマトリックス成分の含有割合の測定結果を示す。また、色ムラ、干渉縞の評価結果を示す。なお、(比較例2)、(比較例3)については、干渉縞の度合いが強く、色ムラの発生の確認についてはおこなわなかった。
【0156】
【表3】

【0157】
比較例1はハードコート層と帯電防止層を別々に形成した例であるが、この例では帯電防止層と低屈折率層との膜厚のばらつきに起因する色ムラが発生してしまった。
比較例2及び比較例3は帯電防止ハードコート層形成用塗液が、透明基材を溶解又は膨潤させる溶媒を含まない例である。また、比較例2は導電性粒子の含有量が高い例である。比較例2では表面抵抗は十分であったが、多量の導電性粒子の添加によって平行光線透過率の著しい低下が見られ、ヘイズも大きい傾向がみられた。比較例3では帯電防止ハードコート層に含まれる導電性粒子の量が不十分で、十分な帯電防止性能を得ることができなかった。また、これらの例では基材との屈折率差に起因する干渉縞が発生してしまった。
比較例4は混合層及び偏在層は形成されたが、偏在層の形成が不十分で適切な厚みではなかったため、干渉縞が発生してしまった。
【0158】
これに対し、(実施例)で得られた反射防止フィルムにあっては、導電性粒子の添加量を少なくすることができるため、平行光線透過率を低下させたり、ヘイズを上昇させることなく、十分な帯電防止機能を製造することができた。また、(実施例)で得られた反射防止フィルムにあっては、帯電防止層を別途設ける場合(比較例1)と比較して、製造コストを抑えることができる。また、(実施例)で得られた反射防止フィルムにあっては、偏在層を高屈折率層として機能させることにより光学特性を向上させることができ、具体的には色ムラがなく、反射色相の小さい反射防止フィルムとすることができた。
【符号の説明】
【0159】
1 反射防止フィルム
11 第1の透明基材
12 帯電防止ハードコート層
12a 混合層
12b 中間層
12c 偏在層
13 低屈折率層
2 偏光板
22 第2の透明基材
23 偏光層
3 液晶セル
4 第2の偏光板
41 第3の透明基材
42 第4の透明基材
43 第2の偏光層
5 バックライトユニット
A 変化が急なためピークが検出される(光学的に分離可能)
B 勾配をもって変化するため検出されない(光学的に分離不可能)
C 勾配が急であるため薄いピークが検出される(光学的に分離可能)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材の少なくとも一方の面に、少なくとも帯電防止ハードコート層と低屈折率層を備える反射防止フィルムであって、
前記帯電防止ハードコート層は導電性粒子とバインダーマトリックスからなり、
前記帯電防止ハードコート層は、前記透明基材と前記バインダーマトリックスが勾配をもって混じりあった混合層と、前記バインダーマトリックスと前記導電性粒子を含む偏在層を備え、
前記混合層は光学的に分離不可能であり、前記偏在層は光学的に分離可能であり、
前記偏在層の光学膜厚が50nm以上400nm以下の範囲であることを特徴とする反射防止フィルム。
【請求項2】
前記偏在層の光学膜厚が200nm以上350nm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルム。
【請求項3】
前記帯電防止ハードコート層中の前記導電性粒子の含有率は0.5wt%以上5wt%未満であり、且つ、前記帯電防止ハードコート層中の単位面積あたりの導電性粒子の含有量は0.05g/m以上0.5g/m以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の反射防止フィルム。
【請求項4】
前記混合層と前記偏在層との間に、光学的に分離不可能な中間層を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の反射防止フィルム。
【請求項5】
前記偏在層の屈折率が前記中間層の屈折率よりも高く、その差は0.01以上0.05以下の範囲であることを特徴とする請求項4記載の反射防止フィルム。
【請求項6】
前記中間層は前記バインダーマトリックスを95wt%以上含むことを特徴とする請求項4または5記載の反射防止フィルム。
【請求項7】
前記中間層の厚みは2μm以上であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の反射防止フィルム。
【請求項8】
前記帯電防止ハードコート層の厚みは3μm以上15μm以下の範囲であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の反射防止フィルム。
【請求項9】
前記混合層の厚みは0.5μm以上であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の反射防止フィルム。
【請求項10】
前記反射防止フィルムの平行光線透過率が93.0%以上97.0%以下であり、前記低屈折率層表面側での表面抵抗が1.0×10Ω/□以上1.0×1011Ω/□以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の反射防止フィルム。
【請求項11】
前記低屈折率層表面側での視感平均反射率が0.5%以上1.5%以下、前記低屈折率層表面側でのL*a*b*色度系における反射色相が0.00≦a*≦3.00且つ−3.00≦b*≦3.00を満たすことを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の反射防止フィルム。
【請求項12】
前記透明基材がトリアセチルセルロースフィルムからなることを特徴とする反射防止フィルム。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかに記載の反射防止フィルムと、当該反射防止フィルムの前記低屈折率層非形成面に偏光層、第2の透明基材を順に備えることを特徴とする偏光板。
【請求項14】
請求項13記載の偏光板、液晶セル、第2の偏光板、バックライトユニットをこの順に備えることを特徴とする透過型液晶ディスプレイ。
【請求項15】
透明基材の少なくとも一方の面に、少なくとも帯電防止ハードコート層と低屈折率層を備える反射防止フィルムの製造方法であって、
前記透明基材上にバインダーマトリックス形成材料と導電性粒子と溶媒を含む帯電防止ハードコート層形成用塗液を塗布し塗膜を形成する工程と、
前記塗膜を乾燥する工程と、
前記帯電防止ハードコート層上に低屈折率層を形成する工程とを順に備え、
前記帯電防止ハードコート層形成用塗液に含まれる全溶媒のうち30wt%以上90wt%以下は前記透明基材を溶解または膨潤させる溶媒であり、
前記帯電防止ハードコート層は、前記透明基材と前記バインダーマトリックスが勾配をもって混じりあった混合層と、前記バインダーマトリックスと導電性粒子を含む偏在層を備え、
前記偏在層は光学的に分離可能であり、前記偏在層の光学膜厚が50nm以上400nm以下の範囲であることを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
【請求項16】
前記混合層と前記偏在層との間に、光学的に分離不可能な中間層を備え、
前記偏在層の屈折率が当該中間層の屈折率よりも高く、その差は0.01以上0.05以下の範囲であることを特徴とする請求項15記載の反射防止フィルムの製造方法。
【請求項17】
前記塗膜を乾燥する工程は、前記帯電防止ハードコート層形成用塗液を前記透明基材に塗布し塗膜を形成後、当該塗膜に含まれる溶媒が10wt%以下となるまでの時間が2秒以上60秒以下であることを特徴とする請求項15または16記載の反射防止フィルムの製造方法。
【請求項18】
前記帯電防止ハードコート層形成用塗液塗液は溶媒を55wt%以上85wt%以下の割合で含むことを特徴とする請求項15乃至17のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
【請求項19】
前記塗膜を乾燥する工程は、溶媒濃度0.2vol%以上10vol%以下の溶媒雰囲気下でおこなわれることを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
【請求項20】
前記塗膜を乾燥する工程は、乾燥温度20℃以上30℃以下で行なわれる一次乾燥工程と、乾燥温度50℃以上150℃以下で行われる二次乾燥工程の二段階を含むことを特徴とする請求項15乃至19のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
【請求項21】
前記第一次乾燥工程が2秒以上60秒以下であることを特徴とする請求項20に記載の反射防止フィルムの製造方法。
【請求項22】
前記透明基材はトリアセチルセルロースであり、
前記帯電防止ハードコート層形成用塗液塗液は溶媒としてN−メチルピロリドンを含むことを特徴とする請求項15乃至21のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−217873(P2010−217873A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11911(P2010−11911)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】