反応性酸素種およびカルボニル種を阻害し得る組成物
治療組成物が提供される。この組成物は、抗酸化物質特性およびカルボニル捕捉特性の両方を示し得る単一分子を含む。これは、炎症、酸化的ストレスおよびカルボニルストレスを効果的に軽減して、例えば、腎臓病患者における心疾患および炎症性疾患を予防および/または処置し得る。この単一分子は、抗酸化部分、カルボニル捕捉部分ならびに抗酸化部分およびカルボニル捕捉部分を連結するリンカー部分を含み得る。抗酸化部分は、ビタミンE、桂皮酸誘導体、ピリドキサミン、フラボノイド、リポ酸、天然抗酸化物質および合成抗酸化物質を含む抗酸化物質、それらの誘導体、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、一般に、医療処置に関する。より具体的には、本発明は、医療処置(例えば、透析治療)のために使用される治療組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
疾患、障害または他の原因に起因して、ヒトの腎臓系は機能しなくなり得る。腎不全のいくらかの原因には、数種類の生理学的障害が存在する。水、無機物および毎日の代謝負荷の排出のバランスが、腎不全ではもはや実行されない。腎不全の間、窒素代謝の毒性最終産物(例えば、尿素、クレアチニン、尿酸など)が、血液および組織中に蓄積し得る。
【0003】
腎不全および弱まった腎機能は、透析で処置されている。透析は、そうでなければ正常に機能する腎臓によって除去される身体から老廃物、毒素、および過剰な水を除去する。腎機能の代わりのための透析処置は、多くの人々にとって重要である。なぜなら、この処置は生命を救うからである。腎不全を有する人は、少なくとも腎臓の濾過機能を取り替えずに生き続けることができない。
【0004】
血液透析、血液濾過および腹膜透析は、腎機能の損失を処置するために一般に使用される透析治療の3種の型である。血液透析処置は、患者の血液から直接的に老廃物、毒素および過剰な水を除去する。患者は血液透析機器につながれ、患者の血液が、その機器を通して汲み上げられる。例えば、ニードルまたはカテーテルが、患者の静脈内および動脈内に挿入され、血流から血液透析機器に、そして血液透析機器から血流へと連絡し得る。血液が血液透析機器等の透析装置を介して通過する場合、その透析装置は、患者の血液から老廃物、毒素および過剰な水を除去し、その血液を患者の元の位置に注入するために戻す。大量の透析物(例えば、約90〜120リットル)が、単一の血液透析治療の間、血液を透析するために、ほとんどの血液透析機器によって使用される。次いで、使用された透析物は、廃棄される。透析処置は数時間続き、一般に1週間に約3回、処置センターで実施される。
【0005】
血液濾過は、対流ベースの血液清浄技術である。血液への接近は、静静脈(venovenous)または動静脈であり得る。血液濾過器を通して血液が流れる場合、血液区画と限外濾過液区画との間の膜内外の圧力勾配によって、血漿水が、非常に浸透性のある膜を通って濾過される。水が膜を横切るため、その水が、膜を横切る低分子および高分子を対流で循環させ、それによって血液を浄化する。血漿水の過剰な量は、濾過によって除去される。従って、バランスのとれた体内水分を維持するために、体液は、静脈内に注入されるバランスのとれた電解質溶液(交換液体または置換液体)によって連続して置き換えられなければならない。この置換液体は、血液濾過器(希釈調製(predilution))に通じる動脈血ライン、または血液濾過器から出ていく静脈血ラインにのいずれかに注入され得る。
【0006】
腹膜透析は、滅菌透析溶液または「透析物」を利用し、この透析物は、患者の腹膜腔に注入されて、患者の腹膜と接触する。老廃物、毒素および過剰な水は、患者の血流から腹膜を介して透析物の中に移る。老廃物、毒素および過剰な水の血流から透析物への移動は、透析物中の浸透因子が、膜を横切って浸透勾配を引き起こすようにとどまっている間、拡散および浸透に起因して生じる。後で、使用された透析物は、水、毒素および過剰な水を患者から除去するために、患者の腹膜腔から排出される。
【0007】
連続携行式腹膜透析(「CAPD」)および自動化腹膜透析を含む、腹膜透析治療の種々の型が存在する。CAPDは手動の透析処置であり、この処置において患者は、カテーテルを新鮮な透析物バッグにつなぎ、手動でカテーテルまたは他の適切な接近デバイスを介して新鮮な透析物を患者の腹膜腔に注入する。患者は、新鮮な透析物バッグからカテーテルを外し、透析物を腔内にとどまらせることを可能にして、老廃物、毒素および過剰な水を患者の血流から透析物溶液まで移動させる。休止(dwell)期間の後、患者は、使用した透析物を排出し、次いで、手動の透析手順を繰り返す。溶液および排出バッグのための「Y」コネクターを有するチュービングセットが利用可能であり、これは、患者が行わなければならない連結の数を減少させ得る。このチュービングセットは、例えば、空のバッグおよび透析物で充填されたバッグを含む、予め取り付けられたバッグを含み得る。
【0008】
CAPDにおいて、患者は、1日の間に数回(例えば、1日に約4回)の排出、充填および休止のサイクルを行う。排出、充填および休止を含む、各処置サイクルは、約4時間かかる。
【0009】
自動化腹膜透析は、透析処置が排出、充填およびと休止サイクルを含むという点で、連続携行式腹膜透析と類似している。しかしながら、透析機器が、自動的に3回以上のサイクル(代表的に患者の睡眠中の一晩)の腹膜透析処置を行う。
【0010】
自動化腹膜透析については、自動化透析機器が、埋め込まれたカテーテルに流動的に連結する。自動化透析機器はまた、新鮮な透析物の供給源またはバッグ、および液体排出管に流動的に連結する。透析機器は、カテーテルを介して腹膜腔から排出管に使用した透析物を汲み上げる。次いで、透析機器は、カテーテルを介して透析物供給源から患者の腹膜腔内に新鮮な透析物を汲み上げる。自動化機器は、患者の血流から透析物溶液への老廃物、毒素および過剰な水の移動が行われ得るように、透析物を腔内にとどまらせることを可能にする。患者が透析機器に連結されているとき(例えば、患者が睡眠しているとき)、透析処置が自動的に起こるように、コンピューターが自動化透析機器を制御する。つまり、透析システムが、自動的および連続的に液体を腹膜腔内に汲み上げ、休止させ、腹膜腔から汲み上げ、この手順を繰り返す。
【0011】
数回の排出、充填、および休止サイクルが、処置の間に起こる。また、より少量の「最後の充填」は、代表的に自動化透析処置の終わりに用いられ、それは、患者が1日の間に透析機器を外すとき、患者の腹膜腔に残る。自動化腹膜透析は、1日中、患者に手動の排出、休止、および充填の工程をさせない。
【0012】
一般に、標準的な腹膜透析溶液は、腹膜を横切って水および代謝老廃産物の輸送をもたらすために、1.5重量%〜4.25重量%の濃度でデキストロースを含む。一般に、デキストロースは、特に短時間の休止を交換するための安全で効果的な浸透因子として認識されている。
【0013】
腎臓病を罹患する患者を処置するための透析の使用および他の方法は、腎不全を罹患する患者が生き残ることを可能にする処置を提供するが、現在使用されている組成物および方法は、腎不全および他の関連疾患に取り組むために必要な全ての必要な治療因子を提供し得ない。
【0014】
例えば、腎臓病患者における心血管系の死亡率は、一般的な人々より数倍高い。例えば、45歳またはそれより若い透析患者についての心臓病の死亡率は、一般的な人々より100倍高い。高齢者においてでさえ、末期の腎臓病の人々において、心血管系の死亡率は、一般的な人々より少なくとも5倍高い。例えば、非特許文献1を参照のこと。さらに、一般的な人々における心血管系の死亡率についての慣例の危険因子(例えば、高血圧症および高コレステロール血症)は、透析患者において十分な予想値(predictor)ではないが、慣例でない危険因子(例えば、炎症のしるしおよび栄養摂取)は、十分な予想値である。一連の証拠は、酸化的ストレスおよびカルボニルストレスが、透析患者において増大し、炎症性サイトカインを生成する際に主要な役割を果たすことを示唆する。これに関して、腹膜透析のための液体において生体不適合グルコース分解産物(GDP)が、加熱滅菌および貯蔵の間に産生されることが周知である。多くのGDPは、細胞標的に対して高度な反応性カルボニル種(「RCS」)であり、一般的な意味、そしてタンパク質と核酸との間の相互作用を介する意味の両方において有毒である。さらに、カルボニル化合物は、異常な代謝に起因して透析患者において増加し、クリアランスを減少させる。
【0015】
酸化的ストレスは、反応性酸素種(「ROS」)産生と抗酸化物質防御機構との間の不均衡の結果である。酸化的ストレスが、腎不全を罹患する患者において増大すると報告されている。抗酸化物質系は、尿毒性患者においてひどく障害性であり、一般に腎不全の程度を変化させる。
【0016】
ROSおよびRCSの効果は、図1にまとめられている。RCSを除去するためのカルボニル捕捉因子の使用は、一般に報告されている。一般に、抗酸化物質はまた、透析患者において酸化的ストレスを軽減するために使用されている。それらは、互いに独立して使用されている。
【非特許文献1】Foley R、Parfrey PS、Sarnak MJ、「Clinical epidemiology of cardiovascular disease in chronic renal disease」、Am J Kidney Dis、1998年、第32巻、p.S112−S119
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、例えば、腎臓病患者において反応性カルボニル種および反応性酸素種の両方を阻害し得る改良された治療組成物を提供するための必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(発明の要旨)
本発明は、概して、治療組成物に関連する。より具体的には、この組成物は、反応性酸素種および反応性カルボニル種の活性を阻害するために効果的に使用され得る。このことは、治療(例えば、透析治療)の間に組成物を投与される患者に、炎症、酸化的ストレス、カルボニルストレスなどの減少を提供し得る。単一分子は、抗酸化部分、カルボニル捕捉部分、およびリンカー部分を含み得る。このリンカー部分は、抗酸化部分およびカルボニル捕捉部分に結合する。上記組成物は、任意の適切な形態(例えば、溶液形態、経口投与生成物など)で提供され得る。
【0019】
1つの実施形態において、本発明は、反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る単一分子を含む組成物を提供する。
【0020】
1つの実施形態において、上記リンカー分子は、物理化学的特性(例えば、水溶性溶解度、親水性−親油性平衡など)を決定する。このリンカー部分は、例えば、ピペラジン、ポリ(エチレングリコール)、リジン、正電荷を含む有機部分、負電荷を含む有機部分、負電荷および正電荷を含む有機部分、ならびにそれらの組み合わせを含み得る。
【0021】
1つの実施形態において、上記抗酸化物質部分は、例えば、ビタミンE、桂皮酸誘導体、ピリドキサミン、フラボノイド、リポ酸、抗酸化物質、天然抗酸化物質、合成抗酸化物質、それらの誘導体など、およびそれらの組み合わせを含む。
【0022】
1つの実施形態において、上記カルボニル捕捉部分は、例えば、アミノオキシ基および1,2−アミノチオール基(例えば、システイン基)、ペニシラミン基ならびにそれらの組み合わせを含む。
【0023】
1つの実施形態において、上記単一分子は、ビタミンE誘導体を含む。このビタミンE誘導体は、ビタミンEベースの部分およびリンカー部分によって結合されるカルボニル捕捉官能基から構成され得る。あるいは、このビタミンE誘導体は、水溶性形態に改変されているビタミンEベースの化合物を含み得る。
【0024】
別の実施形態において、透析溶液が提供される。この透析溶液は、反応性酸素種および反応性カルボニルを阻害し得る治療有効量の組成物を含む。1つの実施形態において、この組成物は、抗酸化物質部分、カルボニル捕捉部分、ならびに単一分子を形成するために抗酸化物質部分およびカルボニル捕捉部分を連結するリンカー部分を含む。
【0025】
さらなる実施形態において、2つの部分の腹膜透析溶液が提供される。この2つの部分の透析溶液は、浸透因子を含む第1の部分;および緩衝液を含む第2の部分を含む。この第1の部分および第2の部分は、患者へ注入する前に混合され、この第1の部分および第2の部分のうちの少なくとも1つは、反応性カルボニル種および反応性酸素種を阻害し得る治療有効量の組成物を含む。
【0026】
さらなる別の実施形態において、組成物を生成する方法が提供される。この方法は、ビタミンEベースの化合物を調製する工程;およびこのビタミンEベースの化合物を処理して、反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る単一分子を生成する工程を包含する。1つの実施形態において、上記組成物は、2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)−1−(アミノキシ)エタン;N−[2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(アミノアセチル)−ピペラジン;N−[2−(6−ヒドロキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(システイニル)−ピペラジン;N−[2−(6−ヒドロキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(ペニシラミル)−ピペラジン、それらの誘導体など、およびそれらの組み合わせを含む。治療有効量の組成物は、透析溶液に添加され、それによって、すぐに使用可能な(ready−to−use)透析溶液を形成し得、このすぐに使用可能な透析溶液は、血液透析溶液、血液濾過溶液、血液ダイアフィルトレーション溶液、腹膜透析溶液などを含み得る。
【0027】
なおさらに別の実施形態において、患者に透析を提供する方法が提供される。この方法は、治療有効量の組成物を含む透析溶液を提供する工程であって、この組成物は、反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る工程;ならびに透析の間、この透析溶液を使用する工程を包含する。患者は、透析(例えば、血液透析、血液濾過、血液ダイアフィルトレーション、腹膜透析など)を提供され得る。
【0028】
さらなる実施形態において、腎臓病患者において炎症および酸化的ストレスを軽減させる方法が、提供される。この方法は、透析溶液を提供する工程であって、ここで、この透析溶液は、反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る治療有効量の組成物を含む工程;およびこの透析溶液を患者に透析を与えるために使用する工程、を包含する。
【0029】
なおさらなる実施形態において、本発明は、患者において全身性炎症を軽減させる方法を提供する。この方法は、反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る組成物を提供する工程;および治療有効量においてこの組成物を患者に投与して、全身性炎症を軽減させる工程、を包含する。この組成物は、経口経路、静脈内経路、皮下経路、筋肉内経路など、およびそれらの組み合わせによって投与され得る。この組成物は、炎症性疾患を処置するために使用され得る。
【0030】
本発明の利点は、改良された治療組成物を提供することである。
【0031】
本発明の別の利点は、反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る治療組成物を作製および使用する改良された方法を提供することである。
【0032】
本発明のさらに別の利点は、治療組成物を含む改良された透析溶液を提供することである。
【0033】
本発明のなおさらに別の利点は、抗酸化物質特性およびカルボニル捕捉特性の両方を示す治療組成物を投与する工程を包含する、透析を実施する改良された方法を提供することである。
【0034】
本発明のさらなる利点は、透析治療の間、反応性カルボニル種および反応性酸素種の活性を阻害することである。
【0035】
本発明のなおさらなる利点は、腎臓病患者において炎症および酸化的ストレスを軽減させることである。
【0036】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の発明の詳細な説明および図面に記載され、それらから理解される。
【0037】
(発明の詳細な説明)
本発明は、一般に、治療組成物に関する。より具体的には、本発明は、抗酸化物質特性およびカルボニル捕捉特性の両方を有する治療組成物に関する。これに関して、上記治療組成物は、反応性酸素種および反応性カルボニル種の活性を阻害するために効果的に利用され得る。このことは、例えば、透析治療の間、炎症および酸化的ストレスの治療的に有効な軽減を必要とし、そして/またはこのような危険性のある患者に対して、炎症および酸化的ストレスの治療的に有効な軽減を提供する。
【0038】
概して、上記組成物は、反応性酸素種および反応性カルボニル種の両方を阻害する能力を有する単一分子を含む。1つの実施形態において、この単一分子は、抗酸化物質部分、カルボニル捕捉部分、ならびに抗酸化物質部分およびカルボニル捕捉部分を連結するリンカー部分を含む。抗酸化物質部分、カルボニル捕捉部分およびリンカー部分を有する単一分子の概略図を図2に示す。
【0039】
単一分子構造の異なる成分の部分(例えば、抗酸化物質部分、カルボニル捕捉部分およびリンカー部分)は、種々の異なりかつ適切な物質を含み得る。1つの実施形態において、上記抗酸化物質部分としては、ビタミンE、桂皮酸誘導体(カフェー酸、フェルラ酸(ferrulic acid)およびシナピン酸が挙げられる)、ピリドキサミン、フラボノイド(ヘスペレチンおよびジオスミンが挙げられる)、リポ酸、それらの誘導体など、およびそれらの組み合わせが挙げられる。上記リンカー部分は、例えば、ピペラジン、ポリ(エチレングリコール)、リジン、正電荷を有する有機部分、負電荷を有する有機部分、正電荷および負電荷を有する有機部分、それらの誘導体など、ならびにそれらの組み合わせを含む。
【0040】
1つの実施形態において、上記カルボニル捕捉部分は、アミノオキシ基、1,2−アミノチオール基(例えば、システイン基)、ペニシラミン基、それらの誘導体など、およびそれらの組み合わせを含む。このカルボニル捕捉部分または因子は、図3に示すようにカルボニル捕捉因子に依存する多くの異なる機構に基づいて反応性カルボニル種を結合するために作用し得る。例えば、アミン基は、シッフ塩基生成物の形成によって反応性カルボニル種を結合し得;アミノオキシ誘導体は、オキシム生成物の形成によって反応性カルボニル種を結合し得;そして、1,2−アミノチオール誘導体は、チアゾリジン生成物の形成によって反応性カルボニル種を結合し得る。
【0041】
以前に議論したように、上記抗酸化物質およびカルボニル捕捉因子は、リンカー分子を介して一緒に結合されて、抗酸化物質特性およびカルボニル捕捉特性の両方を有する単一分子を形成する。例えば、本発明の単一分子は、リンカー部分または因子を介してカルボニル捕捉部分に結合されるビタミンE化合物から構成されるビタミンE誘導体を含み得る。あるいは、このビタミンE誘導体は、水溶性形態に改変されているビタミンE化合物を含み得る。本発明の実例である種々の異なるビタミンE誘導体の例を、図14A、14Bおよび14Cに示す。1つの実施形態に従う、ビタミンE誘導体の好ましい例としては、2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)−1−(アミノキシ)エタン;N−[2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(アミノアセチル)−ピペラジン;N−[2−(6−ヒドロキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(システイニル)−ピペラジン;N−[2−(6−ヒドロキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(ペニシラミル)−ピペラジン、それらの誘導体など、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
治療組成物およびその治療組成物を調製する方法の例は、本発明の種々の実施形態に従って、限定されずに以下に提供される。
【実施例】
【0043】
(合成および試験手順)
本発明の種々の実施形態に従って、目的のビタミンE誘導体をより詳細に以下に記載するように合成し、化合物VE−ONH2−1、VE−ONH2−2、VE−CYS−1、VE−PEN−1として同定した。次いで、さらに以下に記載するように、そして本発明の実施形態に従って、これらの化合物の上記抗酸化物質特性およびカルボニル捕捉特性を評価するために、試験を行った。
【0044】
VE−ONH2−1の合成:VE−ONH2−1の合成を、図4に例示するようにスキーム1にまとめる。出発クロマン(化合物1)を、米国特許第4,344,886号(その開示は本明細書中に参考として援用される)に開示される手順に従って調製した。続いて、化合物2におけるフタロイルアミノオキシ官能基への化合物1の2−ヒドロキシエチル基の変換を、−20℃にて、N−ヒドロキシフタルイミド、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)およびPPh3を用いてMitsunobu条件下で行った。以下にさらに詳細に記載されるように、化合物2のヒドラジンでの脱保護を、目的の生成物VE−ONH2−1に与えた。
【0045】
中間体(化合物5)の合成:中間体(化合物5)を、図5に例示されるスキーム2に従って合成した。DMF中のNaH、続いてクロロメチルメチルエーテルでのクロマン(化合物1)の処理の後、クロマン(化合物3)を得た。化合物3の2−ヒドロキシエチル基を、クロロホルム中のトリエチルアミンの存在下で化合物3と塩化p−トルエンスルホニルとの反応によって、2−エチルp−トルエンスルホネート基に変換した。続いて、化合物4と過剰のピペラジン(2当量)との反応によって、中間体(化合物5)が生成した。
【0046】
中間体(化合物7)の合成:中間体(化合物7)の合成を、図6に例示するようにスキーム3にまとめた。N−ヒドロキシフタルイミドを、40℃にてN−メチルピロリドン中のK2CO3との反応によって、そのカリウム塩に変換した。続いて、50℃にてカリウムN−ヒドロキシフタルイミドとtert−ブチルブロモアセテートとの処理によって、tert−ブチルフタルイミドオキシアセテート(化合物6)を収率91%で得た。TFA/CHCl3を用いて化合物6からのtert−ブチル基の除去によって、フタルイミドオキシ酢酸(化合物7)が定量的な収率で生成した。
【0047】
VE−ONH2−2の合成:VE−ONH2−2の合成を、図7に例示するようにスキーム4にまとめる。塩化メチレン中のDCC/HOSuの存在下においてクロマン(化合物5)と化合物7との縮合によって、2つの保護基:フェノール官能性を保護するためのメトキシメチルおよびオキシアミン官能性を保護するためのフタルイミドを含む化合物8を得た。従って、VE−ONH2−2を得るための化合物8の全脱保護を、以下のように完了した。フタルイミド基を、ヒドラジンによって最初に除去して化合物9を得、続いて化合物9とTFA/AcOH/H2O(1/2.4/0.6、v/v/v)との処理によって、メトキシメチル基を除去した。この経路によって得られた生成物VE−ONH2−2は、少量の生成物(オキシアミン基によるVE−ONH2−2とホルムアルデヒドとの付加物)を混入していた。ホルムアルデヒドは、脱保護の間、メトキシメチル基の分解によって形成した。
【0048】
VE−CYS−1の合成:VE−CYS−1の合成を、図8に例示するようにスキーム5にまとめる。DCC/HOBtの存在下において、化合物5と塩化メチレン中のN−Boc−S−トリチル−システインとの縮合によって、化合物10を収率81%で得た。5分間、TFA、続いて、トリエチルシランを用いる化合物10の処理によって、大部分の生成物として化合物11および少量の生成物としてVE−CYS−1を含む生成物の混合物を得た。これらの生成物をMSによって同定した。化合物11の存在は、TFA中のメトキシメチル基の分解に由来するホルムアルデヒドとVE−CYS−1とのさらなる反応によるものであった。化合物11の形成を避けるために、化合物10の脱保護を2段階で完了した。第1段階において、メトキシメチル基を完全に除去して、1NのHCl(少なくとも19当量のHCl)を用いてBOC基を部分的に除去し;第2段階において、第1段階で分離した粗生成物を、TFA/CH2Cl2、続いてトリエチルシランで処理して、目的の生成物VE−CYS−1を化合物10から収率78%で得た。
【0049】
VE−PEN−1の合成:VE−PEN−1の合成を、図9に示すようにスキーム6にまとめる。DCC/HOBtの存在下において化合物5と塩化メチレン中のN−BOC−S−トリチル−ペニシラミンとの縮合によって、化合物13を収率80%で得た。化合物13の脱保護を2段階で完了した。第1段階において、メトキシメチル基を完全に除去して、HCl−MeOH(1N)を用いてBOC基を部分的に除去し;第2段階において、第1段階から分離した粗生成物(化合物14aと14bとの混合物)を、TFA/CHCl3、続いて、トリエチルシランで処理して、目的の生成物VE−PEN−1を収率80%で得た。
【0050】
2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)−1−(フタルイミドオキシ)エタン(化合物2)の合成:
図4に例示するように、ドライアイスおよびエタノール浴中で−20℃に冷却したTHF(50ml)中の化合物1(3.5g、14mmol)、N−ヒドロキシフタルイミド(2.85g、17.5mmol)およびPPh3(4.77g、18.2mmol)の混合物に、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)(3.67g、18.2mmol)を添加した。この混合物を、1時間室温で攪拌した。溶媒をエバポレートして乾燥し、残渣をEtOAc(250ml)に溶解した。DI水(5×200ml)を用いて有機層を洗浄し、2層を分離した。この有機層をエバポレートして乾燥し、白色ガラス生成物を得、これを溶媒としてヘキサンおよび酢酸エチル(3/1)を用いてシリカゲルカラムで精製した。クロマトグラフィー画分から溶媒を除去した後に得た残渣を、高真空下で乾燥させて、黄色固体(化合物2)(2.4g、44%)を得た。化合物を、以下のように核磁気共鳴および質量分析を用いて特徴付けた:
【0051】
【数1】
2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)−1−(アミノオキシ)エタン(VE−ONH2−1)の合成:
図4にさらに例示するように、化合物2(1.9g、4.8mmol)をエタノール(60ml)中に溶解して、ヒドラジン(4.0g、125mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩攪拌して、白色固体を濾過によって除去した。濾液をエバポレートして乾燥し、残渣を脱イオン(DI)水(100ml)中に溶解した。クロロホルム(100ml)を用いて、DI水から生成物を抽出した。有機層をDI水(2×100ml)によって洗浄し、エバポレートして乾燥した。残渣をHCl/MeOH(1N、10ml)中に溶解し、溶媒をエバポレートして白色固体を得た。この白色固体をエチルエーテル(10ml)中で攪拌して、VE−ONH2−1(960mg、収率66%)を濾過および乾燥した後、得た。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けた:
【0052】
【数2】
2−(6−メトキシメトキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エタノール(化合物3)の合成:
図5に示すように、2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エタノール(化合物1)(13.95g、55.7mmol)を、一定のアルゴンパージを用いてDMF(125mL)中に溶解して、氷浴中で冷却した。水素化ナトリウム(2.27g、94.6mmol)を溶液に添加して、それを氷浴から除去し、室温で45分間攪拌した。溶液を氷浴中で再び冷却し、そしてクロロメチルメチルエーテル(4.23mL、55.7mmol)を、その溶液に添加した。この反応溶液を氷浴から除去し、室温で攪拌した。
【0053】
TLC(シリカゲル60F254プレート;ヘキサン;酢酸エチル(1:1))によって、反応が3時間後に完了することが示され、従って、以下のように反応をワークアップした。反応溶液を2.0Lの水に注ぎ、これを1.0Lのクロロホルムで抽出した。図5に示すように、水層を一晩そのままにし、まだ残っている有機物質をその水層から分離させた。この有機層を水層から分離し、もとの有機画分と混合した。水層をもう1回、1.0Lのクロロホルムで抽出した。2つの有機画分の各々を250mLの水で逆抽出した。有機画分を混合して、重量12.52gの油に濃縮した。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けた:
【0054】
【数3】
2−(6−メトキシメトキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エチルp−トルエンスルホネート(化合物4)の合成:
2−(6−メトキシメトキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エタノール(化合物3)(15.10g、51.3mmol)を60mLのクロロホルム中に希釈し、トリエチルアミン(14.3mL、103mmol)をそれに添加した。この溶液を攪拌しながら氷浴中で冷却した。塩化p−トルエンスルホニル(11.75g、61.6mmol)をこの溶液に添加し、その反応溶液を氷浴から除去し、室温(RT)で攪拌した。
【0055】
TLC(シリカゲル60F254プレート;ヘキサン:酢酸エチル(2:1))によって、この反応が3時間後に完了することが示され、従って、それを以下のようにワークアップした。反応溶液をペーストに濃縮した。このペースト産物を75mLの酢酸エチルで取り、150mLのヘキサンを攪拌しながらゆっくり添加した。溶液から沈殿した塩の副産物を、濾過によって除去した。この濾過したケークを少量の酢酸エチルでリンスした。濾液を、重量24.69gである暗黒油に濃縮した。この油を30mLのヘキサン:酢酸エチル(5:1)で希釈し、寸法約5cm×30cmであるシリカゲル(230〜400メッシュ、60Å)フラッシュカラムベッド上にデカントした。このフラッシュカラムは、ヘキサン:酢酸エチル(5:1)の移動相で溶出し、24×約125mLサイズの画分を回収した。各画分のTLC結果に基づいて、適切な画分を混合し、重量16.15gである透明な油に濃縮した。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けた:
【0056】
【数4】
N−[2−(6−メトキシメトキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]ピペラジン(化合物5)の合成:
図5に示すように、2−(6−メトキシメトキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エチルp−トルエンスルホネート(化合物4)(16.01g、35.7mmol)を、200mLのトルエン中に希釈し、ピペラジン(6.15g、71.4mmol)を、それに添加した。この反応溶液を還流状態で加熱した。TLC(シリカゲル60F254プレート;ヘキサン:酢酸エチル(2:1)およびクロロホルム:メタノール(4:1))によって、この反応が、2.5時間後に完了することが示され、従って、それを以下のようにワークアップした。この反応溶液を室温(RT)に冷却し、残っているピペラジンを沈殿させ、このピペラジンを濾過によって除去した。この濾過したケークをトルエンでリンスして、このリンスしたものを濾液と混合した。この濾液を重量15.79gである油に濃縮した。この油をクロロホルム(25mL)で希釈し、それをクロロホルム:メタノール(6:1)スラリーで調製したシリカゲルカラム(230〜400メッシュ、60Å)上にデカントした。このフラッシュカラムベッドは、寸法約5cm×30cmであった。このフラッシュカラムを、以下の移動相システムで溶出した:1)CHCl3:MeOH(6:1);3L;40×約30mL画分、続いて、8×約100mL画分を回収した;2)CHCl3:MeOH(2:1);1.8L;4×200mL画分、続いて、2×400mL画分を回収した;そして3)CHCl3:MeOH(1:1);0.8L;2×400mL画分を回収した。各画分のTLC結果に基づいて、適切な画分を混合して、重量10.70gである透明な油に濃縮した。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けた:
【0057】
【数5】
tert−ブチルフタルイミドオキシアセテート(化合物6)の合成:N−ヒドロキシフタルイミド(3.87g、23mmol)および炭酸カリウム(2.14g、15.5mmol)を、1−メチル−2−ピロリジノン(23mL)中に懸濁して、40℃に加熱した。t−ブチル−ブロモアセテート(4.58g、23mmol)を添加して、反応温度を50℃に上昇し、4時間この温度を維持した。次いで、50mLの氷水に注ぎ、生成物を沈殿させた。この固体をガラス濾過漏斗上に回収し、その濾液が無色になるまで水で洗浄した。この沈殿物を収容減圧(house vacuum)を用いて、クロロホルムとの共沸によって濾過漏斗上で乾燥させた。これにより、143〜144℃の融点を有する5.92g(収率91%)の生成物を得た。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けた:
【0058】
【数6】
フタルイミドオキシ酢酸(化合物7)の合成:
図6に例示するように、tert−ブチルフタルイミドオキシアセテート(化合物8)(0.5g、1.8mmol)を、ジクロロメタン(5mL)中に溶解して、トリフルオロ酢酸(1.5mL)を添加した。この混合物を1時間室温で攪拌し、エバポレートして乾燥させた。残渣をクロロホルムとともに共沸(3回)して、重量0.393g(収率100%)である白色固体を得た。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けた:
【0059】
【数7】
N−[2−(6−メトキシメトキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(フタルイミドオキシアセチル)−ピペラジン(化合物8)の合成:図7に示すように、ジクロロメタン(30ml)中のクロマン(化合物5)(5.0g、13.8mmol)の溶液に、化合物7(3.5g、16mmol)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(1.8g、16mmol)を添加した。この混合物を透明な溶液を形成するまで室温で攪拌して、次いで、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(ジクロロメタン中16ml、1.0N、16.0mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩攪拌した。白色固体を濾過によって除去して、溶媒を減圧下でエバポレートした。残渣をクロロホルム(100ml)中に溶解して、溶液を飽和NaHCO3(100ml)およびH2O(100ml)で洗浄した。有機溶媒をエバポレートして乾燥させ、黄色のガラスを得た。この黄色のガラスを、MeOH/EtOAc(5/95)を有するシリカカラムに通して、生成物8(5.5g、収率70%)として黄色のガラスを得た。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けた:
【0060】
【数8】
N−[2−(6−メトキシメトキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(アミノオキシアセチル)−ピペラジン(化合物9)の合成:
図7に例示するように、化合物8(2.0g、3.6mmol)をエタノール(50ml)中に溶解して、ヒドラジン(4.0g、250mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩攪拌し、白色固体を濾過によって除去した。濾液をエバポレートして乾燥させ、残渣をメタノール(250ml)中に溶解した。溶媒をエバポレートして白色固体を得た。残渣をHCl/MeOH(1N、10.0ml)中に溶解し、溶媒をエバポレートして、白色固体を得た。この白色固体を、メタノール−エチルエーテル(25ml、4/1)中に懸濁して、化合物9(1.89g、収率95%)を、濾過および乾燥後に得た。この化合物を、以下のようにNMRによって特徴付けた:
【0061】
【数9】
N−[2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(アミノオキシアセチル)−ピペラジン(VE−ONH2−2)の合成:図7にさらに例示するように、化合物9(1.8g、3.4mmol)を酢酸/水(20ml、4/1)中に懸濁して、TFA(10ml)を添加した。この溶液を、TLC(MeOH/CHCl3、10/90)によって反応の完了が示されるまで、室温で攪拌した。溶媒をエバポレートして、乾燥させた。残渣をメタノール(30ml)中に溶解し、溶媒をエバポレートして、白色固体を得た。この残渣をHCl/MeOH(0.5N、40ml)の混合物中に溶解し、溶媒をエバポレートして乾燥させ、黄色固体を得た。この生成物VE−ONH2−2(1.5g、86%)を、エチルエーテル(100ml)で処理した後、明るい白色粉末として得た。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けた:
【0062】
【数10】
N−[2−(6−メトキシメトキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−S−トリチル−システイニル)−ピペラジン(化合物10)の合成:図8に示すように、ジクロロメタン(30ml)中のクロマン(化合物5)(4.0g、11mmol)の溶液に、N−Boc−S−トリチル−システイン(5.7g、12.4mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(540mg、4.0mmol)を添加した。この混合物を、透明な溶液を形成するまで室温で攪拌し、次いで、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(ジクロロメタン中13ml、1.0N、13.0mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩攪拌した。反応の完了時に、白色固体を濾過によって除去して、溶媒をエバポレーション下で除去した。残渣をクロロホルム(20ml)中に溶解し、この溶液を、ヘキサンおよび酢酸エチル(1/1)ならびに酢酸エチルの溶媒を含むシリカカラムに通し、生成物(化合物10)(7.6g、収率81%)として白色固体を得た。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けした:
【0063】
【数11】
化合物10の1N HClでの処理:化合物10(3.0g、3.7mmol)を、MeOH/HCl(1N、70ml)中に溶解し、この混合物を室温で攪拌した。白色固体が攪拌の10分後に形成した。この混合物を室温で3時間さらに攪拌し、メタノール(200mL)を添加して、攪拌を一晩続けた。溶媒をエバポレートして乾燥させ、残渣をメタノール(200ml)中に溶解した。溶媒をエバポレートして乾燥させ、TLCによって示されるように、大部分の生成物として化合物12aおよび少量の生成物として化合物12bを含む白色のガラスを得た。図8に示すように、この混合物(2.9g)を、さらに精製せずに次の段階のために使用した。
【0064】
N−[2−(6−ヒドロキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(システイニル)−ピペラジン(VE−CYS−1)の合成:図8に例示するように、ジクロロメタン(20ml)中の化合物12aおよび12b(2.9g、3.4mmol)の生成物の混合物の溶液に、トリフルオロ酢酸(3ml)を添加した。この溶液は黄色に変わった。この混合物を5分間室温で攪拌した。トリエチルシラン(1ml)をこの溶液に添加し、この混合物を30分間攪拌した。溶媒をエバポレートして乾燥させ、ジクロロメタン(20ml)とともに同時にエバポレート(co−evaporated)した。残渣をDI水(50ml)中に溶解し、ジクロロメタン(50mL)で抽出して、トリチル副産物を除去した。水層をエバポレートし、残渣をHCl/MeOH(1N、10ml)中に溶解した。溶媒をエバポレートして乾燥させ、白色のガラスを得た。この白色のガラスをメタノール(8ml)中に溶解した。この溶液を攪拌しながらエチルエーテル中に注いだ。30分間室温で攪拌後、この混合物を濾過して白色固体を得た。この固体を高真空下で乾燥させ、生成物VE−CYS−1(1.45g、収率78%)を得た。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けした:
【0065】
【数12】
TFA/トリエチルシランでの10の処理:図8に示すように、化合物10(50mg)をトリフルオロ酢酸(0.3ml)に添加した。この溶液は黄色に変わった。この混合物を室温で5分間攪拌した。トリエチルシラン(0.1ml)をこの溶液に添加し、この混合物を30分間攪拌した。この溶媒をエバポレートして乾燥させ、白色沈殿物を得、この白色沈殿物を質量分析によって分析した。MSの結果は、化合物11が大部分の生成物として得られ、少量の生成物としてVE−CYS−1が得られたことを示す。この化合物を、以下のようにMSによって特徴付けした:MS(ESI):422.3[M+H]+(VE−CYS−1),434.2[M+H]+11。
【0066】
N−[2−(6−メトキシメトキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−S−トリチル−ペニシラミル)−ピペラジン(化合物13)の合成:
ジクロロメタン(60mL)中のクロマン(化合物5)(5.0g、13.2mmol)の溶液に、Boc−S−トリチル−ペニシラミン(7.3g、15.0mmol)、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(540mg、4.0mmol)を添加した。この混合物を、透明な溶液が形成するまで室温で攪拌し、次いで、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(ジクロロメタン中15mL、1.0N、15.0mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩攪拌した。反応の終わりに、白色固体を濾過によって除去し、溶媒をエバポレーション下で除去した。残渣をクロロホルム(20mL)中に溶解し、この溶液を、ヘキサンおよび酢酸エチル(1:1)ならびに酢酸エチルの溶媒を含むシリカカラムに通し、生成物(化合物13)(7.5g、収率80%)として白色ガラスを得た。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けた:
【0067】
【数13】
1N HClでの化合物13の処理:化合物13(6.5g、7.2mmol)を、MeOH/HCl(1N、120mL)中に溶解し、室温で攪拌した。10分後、白色固体を形成した。この混合物を室温で一晩攪拌した。この溶液をエバポレートして乾燥させ、残渣をメタノール(200mL)の混合物中に溶解した。この溶媒をエバポレートして乾燥させ、TLCによって示されたように、化合物14a(大部分の生成物)および化合物14b(少量の生成物)を含む白色ガラスを得た。この混合物(6.1g)を、精製せずに次の段階のために使用した。
【0068】
N−[2−(6−ヒドロキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(ペニシラミル)−ピペラジン(VE−PEN−1):クロロホルム(100ml)中の化合物14aおよび14b(6.1g、6.8mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(15mL)を添加した。この溶液は黄色に変わった。この混合物を5分間室温で攪拌した。トリエチルシラン(3mL)をこの溶液に添加し、この混合物を60分間攪拌した。この溶媒をエバポレートして乾燥させ、クロロホルム(100mL)とともに同時にエバポレートした。残渣をメタノール−HCl(1N、120mL)中に溶解した。この溶媒をエバポレートして乾燥させ、白色固体を得た。この白色ガラスをメタノール(20mL)中に溶解した。この溶液を攪拌しながらエチルエーテル(50mL)中に注いだ。この混合物を室温で30分間攪拌し、濾過して、白色固体を得た。この固体を高真空下で乾燥させ、生成物VE−PEN−1(3.0g、収率80%)を得た。1.0gのVE−PEN−1をDI水(100mL)中に溶解し、NaOH(0.1N)を使用して溶液のpHを6.5に調整した。溶液の凍結乾燥により、最終生成物として0.65gの白色ガラスを得た。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けした:
【0069】
【数14】
(抗酸化物質特性およびカルボニル捕捉特性)
本発明の種々の実施形態に従って、治療組成物の抗酸化物質特性およびカルボニル捕捉特性を評価するために、試験を行った。以下により詳細に記載するように、Trolox等価物抗酸化物質活性(TEAC)試験を、抗酸化物質特性を評価するために行った。
【0070】
(TEACアッセイ)
TEAC抗酸化物質活性を、ABTS[2,2’−アジノビス−(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)]脱色アッセイによって測定した。この方法において、安定なラジカル(ABTSラジカルカチオン)が形成され、吸着最大が決定される。例えば、R.Ree,N.Pellegrini,A.Proteggente,A.Pannala,M.YangおよびC.Rice−Evans,Antioxidant activity applying an improved ABTS radical cation decolorization assay,Free Rad.Biol.& Med.,26(9/10),1231−1237(1999)を参照のこと。予め形成されたラジカルカチオンに対する抗酸化物質の付加は、抗酸化物質活性、抗酸化物質の濃度、および反応時間に依存して、ある程度およびタイムスケールでラジカルカチオンを減少させる。従って、ABTSラジカルカチオンの阻害パーセントとして減少(脱色)の程度を、濃度および時間の関数として決定し、同じ条件下での標準物質としてのTroloxの反応性と比較して計算する。標的ビタミンE誘導体の抗酸化物質能力を、以下に示すように表1にまとめる。TEAC値を、抗酸化物質化合物の阻害%/Troloxの阻害%の比によって計算する。
【0071】
【表1】
(カルボニル捕捉分析)
概して、異なる濃度にてカルボニル捕捉試薬を、熱分解された腹膜透析溶液(PD−2)中のカルボニル化合物と室温で反応させた。例えば、C.B.Nilsson−Thorell,N.Muscalu,A.H.G.Andren,P.T.T.Kjellstrand、およびA.P.WieslanderおよびT.MiyataおよびK.Isehara−Shi.Drugs for relieving carbonyl stress and peritoneal dialysates.欧州特許第1108343号、(2000) Heat sterilization of fluids for peritoneal dialysis gives rise to aldehydes.Peritoneal Dialysis International,13,208−213,(1993).D.M.Smith,T.E.KleindienstおよびE.E.Hudgens.を参照のこと。2,4−ジニトロフェニルヒドラジンを使用して、オゾンの存在下におけるアーチファクトを含まないアルデヒドの測定のための高速液体クロマトグラフィー法を行った。J.Chromatogr.,483,431−436(1989)を参照のこと。
【0072】
カルボニル捕捉反応の後、溶液を2,4−ジニトロフェニルヒドラジンで処理して、残りのカルボニル化合物をヒドラゾンに変換した。シクロヘキサノンの2,4−ジニトロフェニルヒドラゾンを含む内部標準を添加し、ヒドラゾンを固相抽出によって単離した。抽出物を電気スプレイLC/UV/MSによって分析した。低いヒドラゾン反応によって、効果的な捕捉試薬が示された。種々の濃度の捕捉試薬と反応させた試験物からの反応を、捕捉試薬で処理されていないコントロールと比較した。コントロールは、熱分解されていないPD−2溶液であった。
【0073】
分析的な試験システム(LC/UV/MS):分析的な試験システムは、正電気スプレイ様式(ES+)において操作するFisons Instruments VG Quattro Mass Spectrometerであった。注入口は、Adsorbosphere UHS C18 5μカラム(Alltech ロット番号105300)、150mm×4.6mmを備えるHP 1090 Liquid Chromatographであった。較正物質は、5μL/分でHarvardシリンジポンプセットによって導入されたAgilent Tuning Mixであった。
【0074】
クロマトグラフィーカラム流速は、1mL/分であった。カラムからの流出は、0.025−in(i.d.)PTFEチュービング(長さ約1m)によって、UV検出器と質量分析計との間に分けた。これは、レストリクター(restrictor)として役立ち、質量分析計に生じる流量は、約0.1mL/分であった。質量分析計操作パラメーターを、以下に示すように表2に記載する。
【0075】
表2:質量分析計操作パラメーター
【0076】
【表2】
HPLC注入量は、100μLであり、溶媒勾配は、以下の表3に記載するように生じた。溶媒Aは水であり;溶媒Bはアセトニトリル中の0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)であり;そして溶媒Cはメタノールであった。
【0077】
表3:溶媒勾配
【0078】
【表3】
内部標準物質:シクロヘキサノン2,4−ジニトロフェニルヒドラゾン
(合成手順)
濃硫酸(2mL)および0.4456gの2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(2,4−DNP)を、25mL三角フラスコ中で混合した。2,4−DNPが溶解するまで、攪拌しながら水を滴下(2〜3mL)添加した。この後、10mLの95%エタノールを添加した。この溶液を、シクロヘキサノン(0.5725g)の溶液に攪拌しながら滴下添加して、20mLの95%エタノール中で溶解した。沈殿物が5分以内に形成した。この混合物を一晩冷凍保存した。この沈殿物を濾過して、黄−橙色の結晶性固体を得た。この生成物を約30mLの無水エタノールから再結晶して、橙色薄片として0.4gのシクロヘキサノン2,4−ジニトロフェニルヒドラゾンを得た。収率は95%であった。
【0079】
(標準溶液の調製)
上記の2,4−ジニトロフェニルヒドラゾン(約20mg)を、50mL容量フラスコ中に正確に秤量して、0.60M HCl(エタノール性)で容量まで希釈した。この混合物を、溶解が完了するまで(約15分)超音波処理した。濃度は約400μg/mLであった。
【0080】
(カルボニル捕捉反応)
サンプルの3つのアリコートを、各々異なる濃度の捕捉試薬で処理した。目的の濃度は、約1.25mM、5mMおよび10mMであった。4番目のアリコートは、捕捉試薬で処理しなかった。捕捉試薬は、3つの別々の風袋VOAバイアル中に正確に秤量した。試験溶液を、エッペンドルフ型ピペットによってバイアルに移した。このバイアルを回転させて試薬を溶解させた。次いで、室温で16〜22時間そのまま静置させた。次いで、それらを以下に記載するように処理した。代表的な捕捉試薬の質量および試験溶液の容量を、500amuのモル質量を有する候補化合物について以下の表4に示した。具体的な質量を、個々の化合物について計算した。
【0081】
表4.候補捕捉試薬についての代表的な質量および試験溶液の代表的な容積
【0082】
【表4】
(2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(2,4−DNP)試薬)
2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(約0.034g)を50mLの0.6M HCl(エタノール性)中に溶解した。2,4−DNPの濃度は、約2.4mMであった(市販の物質の30%の水分を計算した後)。
【0083】
(PD−2溶液中の残っているカルボニル化合物からのヒドラゾン形成)
試験溶液(捕捉試薬で処理されたか、または処理されていない、いずれかの熱分解されたPD−2溶液)、コントロール(分解されていないPD−2)および水(ブランクの方法のため)を以下のように処理した。2mLのアリコートを、上記のように、ねじぶた付きのバイアル中で2mLの2,4−DNP試薬溶液の一部と混合した。この溶液を回転させることによって混合して、室温で60分間静置させた。次いで、上記のように100μLのシクロヘキサノン2,4−ジニトロフェニルヒドラゾン内部標準物質溶液を添加した。この溶液を十分に混合して、以下に記載するように固相抽出によって処理した。ヒドラゾン形成反応において使用した容積を、以下の表5にまとめる。
【0084】
表5.ヒドラゾン形成反応において使用した容積
【0085】
【表5】
a:この容積は、特定の時間の後、2mLアリコートの捕捉反応に添加した。ヒドラゾン誘導体化を、室温で60分間進行させた。
【0086】
(固相抽出)
Baker C18固相抽出カラム(500mg、6mL、広口)を、塩化メチレン(乾燥するまで通す)、メタノール、1%水溶性メタノールおよび水の各々1mLを連続適用および除去によって清浄した。最後の3つの溶媒で清浄している間、カラムのトップを溶媒の薄層で湿らせたままにした。次に、上記のように誘導体化反応溶液の2.00mLアリコートをエッペンドルフ型ピペットで適用し、溶液を収容減圧によってカラムに通し、再びカラムのトップに溶液の薄層を残したままにする。保持した物質を1mLの水で2回洗浄し、最終的にカラムを約3〜5分間収容減圧下のままで乾燥させた。次いで、カラムを1mLのアセトニトリルで溶出した。
【0087】
(定量化および結果)
UVおよびMSデータの両方をこの研究において得た。その作業期間の間、UV応答がより感受性であり、それによって、UVデータが定量化のために使用されることを見出した。単一波長のUVクロマトグラフを、この研究において決定したシクロヘキサノン2,4−ジニトロフェニルヒドラゾンについて365nm、λ最大におけるデータから得た。ピークを積分して、比を、内部標準物質と比較して全てのヒドラゾンピークの合計について得た。この比を捕捉試薬の濃度に対してプロットした。
【0088】
特定の初期溶出ピークは、この合計に含まなかった。これらは、捕捉試薬とカルボニル化合物との反応からのオキシムまたはチアゾリジン生成物によるものであった。このことは、ピークが非常に初期溶出であり、高い水溶性を示し、ピーク面積が捕捉試薬の濃度を増加するにつれて増加したためであった。カルボニル捕捉試験の結果を、図10A(VE−ONH2−1)、図10B(VE−ONH2)−2、図10C(VE−CYS−1)および図10D(VE−PEN−1)においてグラフ形態で示す。
【0089】
(アミノグアニジン試験)
本発明のビタミンE誘導体のカルボニル捕捉特性を、公知のカルボニル捕捉標準組成物(すなわち、アミノグアニジン)と比較してさらに評価した。ビタミンE誘導体は、上に議論したように本発明の実施形態に従って作製されたVE−CYS−1およびVE−PEN−1を含んだ。この試験は、上に議論したように類似のカルボニル捕捉試験手順に従って行われた。この試験結果を図10Eにおいてグラフ形態で示す。
【0090】
抗酸化物質(TEACアッセイ)およびカルボニル捕捉研究は、本発明の実施形態に従って作製されたビタミンE誘導体が、所望かつ効果的な抗酸化物質特性およびカルボニル捕捉特性を示すことを示す。表1に示すように、ビタミンE誘導体(例えば、VE−CYS−1およびVE−PEN−1)は、ビタミンE標準化合物(例えば、Trolox)と比較して増加した抗酸化物質活性を示した。さらに、ビタミンE誘導体は、概して、図10A〜10Dに示すように量を増加するにつれて増加するカルボニル捕捉特性を示した。図10Eに示すように、本発明の実施形態に従って作製されたビタミンE誘導体もまた、公知のカルボニル捕捉標準物質(例えば、アミノグアニジン)と比較して増加したカルボニル捕捉特性を示した。
【0091】
上で議論したように、本発明の組成物は、種々の異なる用途において利用され得る。この組成物は、反応性酸素種および反応性カルボニル種が効果的に阻害され得るように、抗酸化物質特性およびカルボニル捕捉特性の両方を有する。このことは、炎症および酸化的ストレス(例えば、腎臓病患者において)の効果的な軽減を可能にし得る。これに関して、心血管および/または他の関連疾患が、本発明の組成物を用いて(特に透析治療の間に適用される場合)効果的に予防および/または処置され得る。
【0092】
本発明は、腎不全を処置するために種々の異なりかつ適切な透析治療において使用され得ることが、理解されるべきである。本明細書全体を通して使用される用語または同様の用語として透析治療は、老廃物、毒素および過剰な水を患者から除去するために患者の血液を利用する任意および全ての適切な治療形態を意図および包含することを意味する。そのような治療(例えば、血液透析、血液濾過および血液ダイアフィルトレーション)は、間欠治療法および連続腎代償療法(CRRT)のために使用される持続的治療法の両方を包含する。持続的治療法としては、例えば、持続緩徐式限外濾過(slow continuous ultrafiltration)(SCUF)、持続的静静脈血液濾過(CVVH)、持続的静静脈血液透析(CVVHD)、持続的静静脈血液ダイアフィルトレーション(CVVHDF)、持続的動静脈血液濾過(CAVH)、持続的動静脈血液透析(CAVHD)、持続的動静脈血液ダイアフィルトレーション(CAVHDF)、持続的限外濾過定期間欠血液透析(continuous ultrafiltration periodic intermittent hemodialysis)などが挙げられる。好ましくは、透析溶液は、腹膜透析(例えば、自動化腹膜透析、連続携行式腹膜透析、連続フロー腹膜透析など)の間、使用される。さらに、1つの実施形態において、本発明は、慢性腎不全または慢性腎臓病を罹患する患者のための透析治療を提供する方法において利用され得るが、本発明が、急性透析の必要性(例えば、緊急治療室での設置において)のために使用され得ることは理解されるべきである。最後に、当業者は、断続的な治療形態(すなわち、血液濾過、血液透析、腹膜透析および血液ダイアフィルトレーション)が、センター、自己/制限されたケアおよび家庭用設置において使用され得ることを理解する。
【0093】
1つの実施形態において、本発明の治療組成物は、透析溶液(例えば、腹膜透析溶液)に添加される。この治療組成物は、その組成物が透析治療の間、反応性酸素種および反応性カルボニル種の活性を阻害するために効果的に作用し得るように、任意の適切かつ効果的な量で透析溶液に添加され得る。これは、腎臓病患者に関連する心血管系疾患などのような疾患を予防および/または処置し得る。
【0094】
一般に、透析溶液は、任意の適切な量(例えば、約1.5重量%〜約4.25重量%)において浸透因子(例えば、デキストロース、グリセロール、ポリグルコース、ポリペチド、アミノ酸、グルコースポリマーおよび/または他の適切な構成物質)を含む。透析溶液はさらに、任意の適切な量において1種以上の電解質(例えば、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、塩化物など)を含む。透析溶液はまた、緩衝液(乳酸塩、重炭酸塩などが挙げられる)のような他の構成物質および安定剤のような他の構成物質も含み得る。
【0095】
1つの実施形態において、透析溶液は、その構成物質の量および種類が変化し得、種々のpH値を有し得る、複数の溶液成分から作製され得る。複数の部の透析溶液の異なりかつ適切な種類の変更が、利用され得る。例えば、複数の部の重炭酸塩ベースの溶液は、2001年9月17日に出願されたBIOCHEMICALLY BALANCED PERITONEAL DIALYSIS SOLUTIONという発明の名称の米国特許出願第09/955,248号(その開示は本明細書中に参考として援用される)において見出され得る。複数の部の乳酸塩ベースの溶液の例は、2003年7月25日に出願されたDIALYSIS SOLUTIONS WITH REDUCED LEVELS OF GLUCOSE DEGRADATION PRODUCTSという発明の名称の米国特許出願第10/628,065号(その開示は本明細書中に参考として援用される)において見出され得る。
【0096】
重炭酸塩ベースの溶液の別の例は、2002年1月11日に出願されたBICARBONATE−BASED SOLUTIONS FOR DIALYSIS THERAPIESという発明の名称の米国特許出願第10/044,234号において見出され得、さらに米国特許第6,309,673号(それらの開示は本明細書中に参考として援用される)に開示される。重炭酸塩ベースの溶液は、種々のpH条件(例えば、穏やかおよび極度のpH条件下)を有する溶液成分から作製され得る。1つの実施形態において、溶液成分は、pHが約1.0〜約10.0の間で変化し得る。一旦混合されると、混合された溶液の所望のpHは、使用前に生理学的に受容可能なレベル(例えば、約6.5〜約7.6の間(すなわち、血液のpH近く))で維持する。
【0097】
例えば、穏やかなpH条件下で、重炭酸塩ベースの溶液は、約7.2〜約7.9、好ましくは約7.4〜約7.6の範囲のpHを有する重炭酸塩濃縮物と、約3.0〜約5.0の範囲のpHを有するデキストロース濃縮物とを混合することによって処方され得る。極度のpH条件下で、例えば、約8.6〜約10.0の範囲であり得るpHを有する重炭酸塩濃縮物が、約1.0〜約3.0(例えば、約1.7〜約2.2)のpHを有するデキストロース濃縮物と混合される。
【0098】
異なりかつ適切な酸性因子および/または塩基性因子の変更は、重炭酸塩濃縮物、デキストロース濃縮物などのpHを調整するために利用され得る。例えば、種々の無機酸および無機塩基が利用され得る(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素、ヨウ化水素、水酸化ナトリウムなど、およびそれらの組み合わせ)。
【0099】
次いで、溶液成分(例えば、重炭酸塩濃縮物およびデキストロース濃縮物)は、溶液バッグ中で混合され得、それから腹膜透析の間に混合された溶液として患者に投与される。本発明の実施形態に従った透析溶液の溶液成分を別々に含む複数のチャンバ容器の実例を図11に示す。
【0100】
透析溶液が効果的に調製され得、投与され得るように、本発明の透析溶液の成分が、任意の適切な様式において収容され得るか、または含まれ得ることは、理解されるべきである。1つの実施形態において、本発明は、2つ以上の部が形成されて別々に貯蔵され、次いで使用直前に混合される、複数の部の透析溶液を含む。種々の容器が、種々の部の透析溶液を収容するために使用され得る(例えば、適切な流体連絡機構によってつながれる別々の容器(すなわち、フラスコまたはバッグ))。
【0101】
複数のチャンバ容器またはバッグが、溶液の別々の成分(例えば、デキストロース濃縮物および緩衝液濃縮物が挙げられる)を収容するために使用され得る。1つの実施形態において、別々の成分が、腹膜透析の間に適用されるように使用前に複数のチャンババッグ内で混合される。
【0102】
図11は、例えば、本発明の実施形態に従った連続携行式腹膜透析の間に、透析溶液を貯蔵、処方、混合および投与するために適切な容器を示す。複数のチャンババッグ20は、第1のチャンバ22および第2のチャンバ24を有する。容器の内部は、ヒートシール26によって2つのチャンバに分けられる。容器が、任意の適切なシールによって別々のチャンバに分けられ得ることは、理解されるべきである。
【0103】
図11を参照して、複数のチャンバ容器20は、剥がすことが可能なシールの代わりに第1のチャンバ22を第2のチャンバ24に密閉して結合するための脆弱性のコネクター28を有する。複数のチャンババッグ20内で溶液を混合するために、脆弱性のコネクター28が折られる。
【0104】
第1の容器またはチャンバ22は、適切なサイズおよび長さの2つのポートチューブ30を含む。2つより多いかまたは少ないポートチューブが使用され得ることは、理解されるべきである。例えば、必要であれば、ポートチューブの1つは、本発明の溶液を処方している間、他の構成物質を第1のチャンバ22に添加するために利用され得る。例えば、残っているポートチューブは、患者の投与ライン(示さず)を介して患者に第1のチャンバ22を適用可能に連結するために利用され得、さらなる他の構成物質などを添加するために使用され得る。第2の容器またはチャンバ24は、そこから伸びる単一のポートチューブ32を有する。1つの実施形態において、ポートチューブ32は患者の投与ラインに連結され、それを通じて一旦溶液が以下に記載するように混合されると、その溶液が患者に流れ得る。
【0105】
1つの実施形態において、各チャンバの成分が適切に混合されて本発明の透析溶液を形成し得るように、複数のチャンババッグ20内の生成物の移動は、第1のチャンバ22から第2のチャンバ24に開始され得る。1つの実施形態において、デキストロース濃縮物34は、第1のチャンバ22中に含まれ、緩衝液濃縮物36は、第2のチャンバ24中に含まれる。溶液成分の任意の適切な種類または数が、複数のチャンババッグで分けられ得、次いで、患者への投与前に混合されて混合された溶液を形成し得ることが、理解されるべきである。腹膜透析溶液の実例としては、上で議論したように米国特許出願第09/955,298号および同第10/628,065号ならびに米国特許第6,309,673号に記載されるものが挙げられる。
【0106】
一旦、第1のチャンバから第2のチャンバへの移動が起こると、各チャンバの成分が適切に混合され得るように、第1のチャンバ22は、第2のチャンバ24より容積が小さい。従って、複数のチャンババッグ20は、混合後、すぐに使用可能な透析溶液を生じる少なくとも2つの溶液成分部分を収容し得る。複数のチャンバ容器の例は、米国特許第5,431,496号(その開示は本明細書中に参考として援用される)に記載されている。複数のチャンババッグは、ガス透過可能物質(例えば、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなど)から作製され得る。
【0107】
1つの実施形態において、容器は、ピールシールによって別々のチャンバ(例えば、2つ以上のチャンバ)に分けられ得る。ピールシールの使用に関して、脆弱性のコネクターまたは他の適切な型のコネクターは、複数のチャンババッグ内で溶液成分を混合するのに必要とされない。ピールシールを含む複数のチャンバ溶液バッグの例は、米国特許第6,319,243号(その開示は本明細書中に参考として援用される)に開示されている。図12に示すように、容器38は、少なくとも3つのチャンバ40、42および44を含む。チャンバ40、42および44は、容器内で混合されてすぐに使用可能な混合された溶液を形成し得る液体および/または溶液の別々の貯蔵のために設計される。3つより多いかまたは少ないチャンバが利用され得ることは、理解されるべきである。
【0108】
剥がすことができるシール46および48は、それぞれチャンバ40、42および44の間に提供される。剥がすことができるシールの例は、「PEELABLE SEAL AND CONTAINER HAVING SAME」という発明の名称の1993年3月16日に出願された米国特許出願第08/033,233号(その開示は本明細書中に参考として援用される)において見出され得る。剥がすことができるシールは、チャンバ内に含まれる液体の選択的な混合を可能にするチャンバの選択的な開口を可能にする。
【0109】
図12に示すように、容器38はまた、管状ポート(例えば、管状ポート50、52および54)を含み得る。管状ポートは、容器および特にチャンバ40、42および44と流体連絡し得るように、容器にはめ込まれる。このために、管状ポート50、52および54は、例えば、患者に対して容器の成分を送達するためのカニューレまたはスパイクまたは投与セットによって穴を開けられる膜を含み得る。3つより多いかまたは少ないポートが利用され得ることは、理解されるべきである。
【0110】
本発明の透析溶液が、任意の適切な様式における薬物療法の間に、患者に効果的に処方されて投与され得るように、複数のチャンババッグが、種々の異なりかつ適切な材料から製造され、多くの適切な様式において構成され得ることは、理解されるべきである。例えば、第1のチャンバは、第2のチャンバより容積が大きくなり得、さらに、本発明の透析溶液が容易かつ効果的に作製されて、患者に投与され得るように適用され得る。
【0111】
上で議論したように、透析治療の間、組成物が効果的に利用され得るように、治療組成物は、有効量で腹膜溶液に添加され得る。1つの実施形態において、透析溶液は、腹膜透析の間(例えば、CAPDの間)、複数のチャンバ溶液バッグに含まれ、複数のチャンバ溶液バッグから投与される。溶液バッグは、上で議論したように混合する前に、透析溶液の別々の成分を各々含む複数のチャンバを含み得る。このことは、使用前に透析溶液に関連する安定性、無菌性、有効性などのために混合する前に適合しない溶液成分を別々に維持するために必要であり得る。治療組成物が、混合する前に溶液成分のうちの少なくとも1つに添加され得ることは、理解されるべきである。あるいは、溶液成分は、混合されて混合された溶液を形成し得、ここで、治療組成物は、使用前に混合された溶液に添加される。
【0112】
別の実施形態において、溶液成分は、別々の容器に調製されて貯蔵され得、次いで、自動化腹膜透析の間に適用されるように、使用前に混合デバイスによって混合され得る。図13に示すように、第1の溶液成分(例えば、デキストロース濃縮物60)および第2の溶液成分(例えば、緩衝液濃縮物62)は、自動化腹膜透析の間の使用に適切な混合デバイス68に流体連絡される、それぞれ別々の容器64および66またはバッグに貯蔵される。第1および第2の成分に加えて、適切な溶液で満たされる第1のバッグ70および最後のバッグ72もまた、一般的に公知のように透析治療の間に使用され得る。
【0113】
1つの実施形態において、有効量の第1の溶液成分60および第2の溶液成分62は、各々、それぞれの容器から、透析治療の間に患者76に注入する前に溶液成分(例えば、デキストロースおよび緩衝液濃縮物)が混合されて加熱され得るヒータバッグ74の中に引き出される。図13にさらに示すように、排出ライン78は混合デバイス68に連結され、治療の間、そこから老廃物の流体が患者から除去され得る。
【0114】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、それを製造している間、任意の適切な段階で透析溶液に添加され得る添加物であり得る。例えば、添加組成物は、任意の適切な溶液部分内、単独または他の適切な成分との組み合わせで組み合わされ得、次いで、混合およびさらに処理されてすぐに使用可能な溶液を形成し得る。1つの実施形態において、添加組成物は、市販の溶液(例えば、BAXTER HEALTHCARE CORPORATIONによって販売されるDIANEAL、EXTRANEAL、NUTRINEALおよびPHYSIONEAL)に添加され得る。これに関して、添加組成物は、任意の他の処方物の詳細を変更せずに、効果的に容器内に含まれる市販の溶液に直接的に添加され得る。図15に示すように、容器は、単一のチャンバ容器80を含み得、ここで、透析溶液82は、例えば、市販の溶液に含まれる。上で議論したように、添加組成物はまた、複数のチャンバのある容器内に含まれる1つ以上の溶液部分に添加され得る。
【0115】
本発明の治療組成物は、多くの異なりかつ適切な用途において利用され得る。上で議論したように、本発明の組成物は、効果的な抗酸化物質特性およびカルボキシ捕捉特性の両方を示す。これに関して、本発明は、全身性炎症を軽減し、それによって炎症疾患を処置するために効果的に利用され得る。治療組成物は、そのような効果を生じるように任意の適切な様式(例えば、経口、静脈内、筋肉内、皮下などが挙げられる)において投与され得る。
【0116】
本発明の組成物は、任意の適切な形態で作製されて使用され得る。例えば、組成物は、上で議論したような溶液形態において提供され得る。しかしながら、組成物が、任意の適切な形態(例えば、経口投与される生成物(丸薬、錠剤、カプセル剤、粉剤、薄膜、溶液などが挙げられる))で提供され得ることは、理解されるべきである。経口投与される生成物は、任意の適切なキャリアとともに作製され得る。
【0117】
本明細書中に記載される現在の好ましい実施形態に対する種々の変更および改変が、当業者に明白であることは、理解されるべきである。そのような変更および改変は、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、そしてその意図される利点を減少せずになされ得る。従って、そのような変更および改変は、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】図1は、ROS、RCSの形成およびそれらの細胞性効果の概略図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に従う、治療組成物の化学構造の概略図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に従う、カルボニル捕捉因子の反応経路の概略図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に従う、治療組成物に関する合成手順の概略図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に従う、治療組成物に関する合成手順の概略図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態に従う、治療組成物に関する合成手順の概略図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態に従う、治療組成物に関する合成手順の概略図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態に従う、治療組成物に関する合成手順の概略図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態に従う、治療組成物に関する合成手順の概略図である。
【図10A】図10Aは、本発明の種々の実施形態に従う、治療組成物のカルボニル捕捉特性のグラフ図である。
【図10B】図10Bは、本発明の種々の実施形態に従う、治療組成物のカルボニル捕捉特性のグラフ図である。
【図10C】図10Cは、本発明の種々の実施形態に従う、治療組成物のカルボニル捕捉特性のグラフ図である。
【図10D】図10Dは、本発明の種々の実施形態に従う、治療組成物のカルボニル捕捉特性のグラフ図である。
【図10E】図10Eは、本発明の種々の実施形態に従う、治療組成物のカルボニル捕捉特性のグラフ図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態に従う、治療組成物を含む複数の部分の透析溶液を含有する複数のチャンバ溶液バッグを示す。
【図12】図12は、本発明の実施形態に従う、治療組成物を含む複数の部分の透析溶液を含有するピールシールを有する複数チャンバ溶液バッグを示す。
【図13】図13は、本発明の実施形態に従う、透析を実施する方法を示す。
【図14A】図14Aは、本発明の種々の実施形態に従う、治療組成物を表す化学式を示す。
【図14B】図14Bは、本発明の種々の実施形態に従う、治療組成物を表す化学式を示す。
【図14C】図14Cは、本発明の種々の実施形態に従う、治療組成物を表す化学式を示す。
【図15】図15は、本発明の実施形態に従う、溶液形態の組成物を含む単一チャンバ容器を示す。
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、一般に、医療処置に関する。より具体的には、本発明は、医療処置(例えば、透析治療)のために使用される治療組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
疾患、障害または他の原因に起因して、ヒトの腎臓系は機能しなくなり得る。腎不全のいくらかの原因には、数種類の生理学的障害が存在する。水、無機物および毎日の代謝負荷の排出のバランスが、腎不全ではもはや実行されない。腎不全の間、窒素代謝の毒性最終産物(例えば、尿素、クレアチニン、尿酸など)が、血液および組織中に蓄積し得る。
【0003】
腎不全および弱まった腎機能は、透析で処置されている。透析は、そうでなければ正常に機能する腎臓によって除去される身体から老廃物、毒素、および過剰な水を除去する。腎機能の代わりのための透析処置は、多くの人々にとって重要である。なぜなら、この処置は生命を救うからである。腎不全を有する人は、少なくとも腎臓の濾過機能を取り替えずに生き続けることができない。
【0004】
血液透析、血液濾過および腹膜透析は、腎機能の損失を処置するために一般に使用される透析治療の3種の型である。血液透析処置は、患者の血液から直接的に老廃物、毒素および過剰な水を除去する。患者は血液透析機器につながれ、患者の血液が、その機器を通して汲み上げられる。例えば、ニードルまたはカテーテルが、患者の静脈内および動脈内に挿入され、血流から血液透析機器に、そして血液透析機器から血流へと連絡し得る。血液が血液透析機器等の透析装置を介して通過する場合、その透析装置は、患者の血液から老廃物、毒素および過剰な水を除去し、その血液を患者の元の位置に注入するために戻す。大量の透析物(例えば、約90〜120リットル)が、単一の血液透析治療の間、血液を透析するために、ほとんどの血液透析機器によって使用される。次いで、使用された透析物は、廃棄される。透析処置は数時間続き、一般に1週間に約3回、処置センターで実施される。
【0005】
血液濾過は、対流ベースの血液清浄技術である。血液への接近は、静静脈(venovenous)または動静脈であり得る。血液濾過器を通して血液が流れる場合、血液区画と限外濾過液区画との間の膜内外の圧力勾配によって、血漿水が、非常に浸透性のある膜を通って濾過される。水が膜を横切るため、その水が、膜を横切る低分子および高分子を対流で循環させ、それによって血液を浄化する。血漿水の過剰な量は、濾過によって除去される。従って、バランスのとれた体内水分を維持するために、体液は、静脈内に注入されるバランスのとれた電解質溶液(交換液体または置換液体)によって連続して置き換えられなければならない。この置換液体は、血液濾過器(希釈調製(predilution))に通じる動脈血ライン、または血液濾過器から出ていく静脈血ラインにのいずれかに注入され得る。
【0006】
腹膜透析は、滅菌透析溶液または「透析物」を利用し、この透析物は、患者の腹膜腔に注入されて、患者の腹膜と接触する。老廃物、毒素および過剰な水は、患者の血流から腹膜を介して透析物の中に移る。老廃物、毒素および過剰な水の血流から透析物への移動は、透析物中の浸透因子が、膜を横切って浸透勾配を引き起こすようにとどまっている間、拡散および浸透に起因して生じる。後で、使用された透析物は、水、毒素および過剰な水を患者から除去するために、患者の腹膜腔から排出される。
【0007】
連続携行式腹膜透析(「CAPD」)および自動化腹膜透析を含む、腹膜透析治療の種々の型が存在する。CAPDは手動の透析処置であり、この処置において患者は、カテーテルを新鮮な透析物バッグにつなぎ、手動でカテーテルまたは他の適切な接近デバイスを介して新鮮な透析物を患者の腹膜腔に注入する。患者は、新鮮な透析物バッグからカテーテルを外し、透析物を腔内にとどまらせることを可能にして、老廃物、毒素および過剰な水を患者の血流から透析物溶液まで移動させる。休止(dwell)期間の後、患者は、使用した透析物を排出し、次いで、手動の透析手順を繰り返す。溶液および排出バッグのための「Y」コネクターを有するチュービングセットが利用可能であり、これは、患者が行わなければならない連結の数を減少させ得る。このチュービングセットは、例えば、空のバッグおよび透析物で充填されたバッグを含む、予め取り付けられたバッグを含み得る。
【0008】
CAPDにおいて、患者は、1日の間に数回(例えば、1日に約4回)の排出、充填および休止のサイクルを行う。排出、充填および休止を含む、各処置サイクルは、約4時間かかる。
【0009】
自動化腹膜透析は、透析処置が排出、充填およびと休止サイクルを含むという点で、連続携行式腹膜透析と類似している。しかしながら、透析機器が、自動的に3回以上のサイクル(代表的に患者の睡眠中の一晩)の腹膜透析処置を行う。
【0010】
自動化腹膜透析については、自動化透析機器が、埋め込まれたカテーテルに流動的に連結する。自動化透析機器はまた、新鮮な透析物の供給源またはバッグ、および液体排出管に流動的に連結する。透析機器は、カテーテルを介して腹膜腔から排出管に使用した透析物を汲み上げる。次いで、透析機器は、カテーテルを介して透析物供給源から患者の腹膜腔内に新鮮な透析物を汲み上げる。自動化機器は、患者の血流から透析物溶液への老廃物、毒素および過剰な水の移動が行われ得るように、透析物を腔内にとどまらせることを可能にする。患者が透析機器に連結されているとき(例えば、患者が睡眠しているとき)、透析処置が自動的に起こるように、コンピューターが自動化透析機器を制御する。つまり、透析システムが、自動的および連続的に液体を腹膜腔内に汲み上げ、休止させ、腹膜腔から汲み上げ、この手順を繰り返す。
【0011】
数回の排出、充填、および休止サイクルが、処置の間に起こる。また、より少量の「最後の充填」は、代表的に自動化透析処置の終わりに用いられ、それは、患者が1日の間に透析機器を外すとき、患者の腹膜腔に残る。自動化腹膜透析は、1日中、患者に手動の排出、休止、および充填の工程をさせない。
【0012】
一般に、標準的な腹膜透析溶液は、腹膜を横切って水および代謝老廃産物の輸送をもたらすために、1.5重量%〜4.25重量%の濃度でデキストロースを含む。一般に、デキストロースは、特に短時間の休止を交換するための安全で効果的な浸透因子として認識されている。
【0013】
腎臓病を罹患する患者を処置するための透析の使用および他の方法は、腎不全を罹患する患者が生き残ることを可能にする処置を提供するが、現在使用されている組成物および方法は、腎不全および他の関連疾患に取り組むために必要な全ての必要な治療因子を提供し得ない。
【0014】
例えば、腎臓病患者における心血管系の死亡率は、一般的な人々より数倍高い。例えば、45歳またはそれより若い透析患者についての心臓病の死亡率は、一般的な人々より100倍高い。高齢者においてでさえ、末期の腎臓病の人々において、心血管系の死亡率は、一般的な人々より少なくとも5倍高い。例えば、非特許文献1を参照のこと。さらに、一般的な人々における心血管系の死亡率についての慣例の危険因子(例えば、高血圧症および高コレステロール血症)は、透析患者において十分な予想値(predictor)ではないが、慣例でない危険因子(例えば、炎症のしるしおよび栄養摂取)は、十分な予想値である。一連の証拠は、酸化的ストレスおよびカルボニルストレスが、透析患者において増大し、炎症性サイトカインを生成する際に主要な役割を果たすことを示唆する。これに関して、腹膜透析のための液体において生体不適合グルコース分解産物(GDP)が、加熱滅菌および貯蔵の間に産生されることが周知である。多くのGDPは、細胞標的に対して高度な反応性カルボニル種(「RCS」)であり、一般的な意味、そしてタンパク質と核酸との間の相互作用を介する意味の両方において有毒である。さらに、カルボニル化合物は、異常な代謝に起因して透析患者において増加し、クリアランスを減少させる。
【0015】
酸化的ストレスは、反応性酸素種(「ROS」)産生と抗酸化物質防御機構との間の不均衡の結果である。酸化的ストレスが、腎不全を罹患する患者において増大すると報告されている。抗酸化物質系は、尿毒性患者においてひどく障害性であり、一般に腎不全の程度を変化させる。
【0016】
ROSおよびRCSの効果は、図1にまとめられている。RCSを除去するためのカルボニル捕捉因子の使用は、一般に報告されている。一般に、抗酸化物質はまた、透析患者において酸化的ストレスを軽減するために使用されている。それらは、互いに独立して使用されている。
【非特許文献1】Foley R、Parfrey PS、Sarnak MJ、「Clinical epidemiology of cardiovascular disease in chronic renal disease」、Am J Kidney Dis、1998年、第32巻、p.S112−S119
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、例えば、腎臓病患者において反応性カルボニル種および反応性酸素種の両方を阻害し得る改良された治療組成物を提供するための必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(発明の要旨)
本発明は、概して、治療組成物に関連する。より具体的には、この組成物は、反応性酸素種および反応性カルボニル種の活性を阻害するために効果的に使用され得る。このことは、治療(例えば、透析治療)の間に組成物を投与される患者に、炎症、酸化的ストレス、カルボニルストレスなどの減少を提供し得る。単一分子は、抗酸化部分、カルボニル捕捉部分、およびリンカー部分を含み得る。このリンカー部分は、抗酸化部分およびカルボニル捕捉部分に結合する。上記組成物は、任意の適切な形態(例えば、溶液形態、経口投与生成物など)で提供され得る。
【0019】
1つの実施形態において、本発明は、反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る単一分子を含む組成物を提供する。
【0020】
1つの実施形態において、上記リンカー分子は、物理化学的特性(例えば、水溶性溶解度、親水性−親油性平衡など)を決定する。このリンカー部分は、例えば、ピペラジン、ポリ(エチレングリコール)、リジン、正電荷を含む有機部分、負電荷を含む有機部分、負電荷および正電荷を含む有機部分、ならびにそれらの組み合わせを含み得る。
【0021】
1つの実施形態において、上記抗酸化物質部分は、例えば、ビタミンE、桂皮酸誘導体、ピリドキサミン、フラボノイド、リポ酸、抗酸化物質、天然抗酸化物質、合成抗酸化物質、それらの誘導体など、およびそれらの組み合わせを含む。
【0022】
1つの実施形態において、上記カルボニル捕捉部分は、例えば、アミノオキシ基および1,2−アミノチオール基(例えば、システイン基)、ペニシラミン基ならびにそれらの組み合わせを含む。
【0023】
1つの実施形態において、上記単一分子は、ビタミンE誘導体を含む。このビタミンE誘導体は、ビタミンEベースの部分およびリンカー部分によって結合されるカルボニル捕捉官能基から構成され得る。あるいは、このビタミンE誘導体は、水溶性形態に改変されているビタミンEベースの化合物を含み得る。
【0024】
別の実施形態において、透析溶液が提供される。この透析溶液は、反応性酸素種および反応性カルボニルを阻害し得る治療有効量の組成物を含む。1つの実施形態において、この組成物は、抗酸化物質部分、カルボニル捕捉部分、ならびに単一分子を形成するために抗酸化物質部分およびカルボニル捕捉部分を連結するリンカー部分を含む。
【0025】
さらなる実施形態において、2つの部分の腹膜透析溶液が提供される。この2つの部分の透析溶液は、浸透因子を含む第1の部分;および緩衝液を含む第2の部分を含む。この第1の部分および第2の部分は、患者へ注入する前に混合され、この第1の部分および第2の部分のうちの少なくとも1つは、反応性カルボニル種および反応性酸素種を阻害し得る治療有効量の組成物を含む。
【0026】
さらなる別の実施形態において、組成物を生成する方法が提供される。この方法は、ビタミンEベースの化合物を調製する工程;およびこのビタミンEベースの化合物を処理して、反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る単一分子を生成する工程を包含する。1つの実施形態において、上記組成物は、2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)−1−(アミノキシ)エタン;N−[2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(アミノアセチル)−ピペラジン;N−[2−(6−ヒドロキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(システイニル)−ピペラジン;N−[2−(6−ヒドロキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(ペニシラミル)−ピペラジン、それらの誘導体など、およびそれらの組み合わせを含む。治療有効量の組成物は、透析溶液に添加され、それによって、すぐに使用可能な(ready−to−use)透析溶液を形成し得、このすぐに使用可能な透析溶液は、血液透析溶液、血液濾過溶液、血液ダイアフィルトレーション溶液、腹膜透析溶液などを含み得る。
【0027】
なおさらに別の実施形態において、患者に透析を提供する方法が提供される。この方法は、治療有効量の組成物を含む透析溶液を提供する工程であって、この組成物は、反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る工程;ならびに透析の間、この透析溶液を使用する工程を包含する。患者は、透析(例えば、血液透析、血液濾過、血液ダイアフィルトレーション、腹膜透析など)を提供され得る。
【0028】
さらなる実施形態において、腎臓病患者において炎症および酸化的ストレスを軽減させる方法が、提供される。この方法は、透析溶液を提供する工程であって、ここで、この透析溶液は、反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る治療有効量の組成物を含む工程;およびこの透析溶液を患者に透析を与えるために使用する工程、を包含する。
【0029】
なおさらなる実施形態において、本発明は、患者において全身性炎症を軽減させる方法を提供する。この方法は、反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る組成物を提供する工程;および治療有効量においてこの組成物を患者に投与して、全身性炎症を軽減させる工程、を包含する。この組成物は、経口経路、静脈内経路、皮下経路、筋肉内経路など、およびそれらの組み合わせによって投与され得る。この組成物は、炎症性疾患を処置するために使用され得る。
【0030】
本発明の利点は、改良された治療組成物を提供することである。
【0031】
本発明の別の利点は、反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る治療組成物を作製および使用する改良された方法を提供することである。
【0032】
本発明のさらに別の利点は、治療組成物を含む改良された透析溶液を提供することである。
【0033】
本発明のなおさらに別の利点は、抗酸化物質特性およびカルボニル捕捉特性の両方を示す治療組成物を投与する工程を包含する、透析を実施する改良された方法を提供することである。
【0034】
本発明のさらなる利点は、透析治療の間、反応性カルボニル種および反応性酸素種の活性を阻害することである。
【0035】
本発明のなおさらなる利点は、腎臓病患者において炎症および酸化的ストレスを軽減させることである。
【0036】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の発明の詳細な説明および図面に記載され、それらから理解される。
【0037】
(発明の詳細な説明)
本発明は、一般に、治療組成物に関する。より具体的には、本発明は、抗酸化物質特性およびカルボニル捕捉特性の両方を有する治療組成物に関する。これに関して、上記治療組成物は、反応性酸素種および反応性カルボニル種の活性を阻害するために効果的に利用され得る。このことは、例えば、透析治療の間、炎症および酸化的ストレスの治療的に有効な軽減を必要とし、そして/またはこのような危険性のある患者に対して、炎症および酸化的ストレスの治療的に有効な軽減を提供する。
【0038】
概して、上記組成物は、反応性酸素種および反応性カルボニル種の両方を阻害する能力を有する単一分子を含む。1つの実施形態において、この単一分子は、抗酸化物質部分、カルボニル捕捉部分、ならびに抗酸化物質部分およびカルボニル捕捉部分を連結するリンカー部分を含む。抗酸化物質部分、カルボニル捕捉部分およびリンカー部分を有する単一分子の概略図を図2に示す。
【0039】
単一分子構造の異なる成分の部分(例えば、抗酸化物質部分、カルボニル捕捉部分およびリンカー部分)は、種々の異なりかつ適切な物質を含み得る。1つの実施形態において、上記抗酸化物質部分としては、ビタミンE、桂皮酸誘導体(カフェー酸、フェルラ酸(ferrulic acid)およびシナピン酸が挙げられる)、ピリドキサミン、フラボノイド(ヘスペレチンおよびジオスミンが挙げられる)、リポ酸、それらの誘導体など、およびそれらの組み合わせが挙げられる。上記リンカー部分は、例えば、ピペラジン、ポリ(エチレングリコール)、リジン、正電荷を有する有機部分、負電荷を有する有機部分、正電荷および負電荷を有する有機部分、それらの誘導体など、ならびにそれらの組み合わせを含む。
【0040】
1つの実施形態において、上記カルボニル捕捉部分は、アミノオキシ基、1,2−アミノチオール基(例えば、システイン基)、ペニシラミン基、それらの誘導体など、およびそれらの組み合わせを含む。このカルボニル捕捉部分または因子は、図3に示すようにカルボニル捕捉因子に依存する多くの異なる機構に基づいて反応性カルボニル種を結合するために作用し得る。例えば、アミン基は、シッフ塩基生成物の形成によって反応性カルボニル種を結合し得;アミノオキシ誘導体は、オキシム生成物の形成によって反応性カルボニル種を結合し得;そして、1,2−アミノチオール誘導体は、チアゾリジン生成物の形成によって反応性カルボニル種を結合し得る。
【0041】
以前に議論したように、上記抗酸化物質およびカルボニル捕捉因子は、リンカー分子を介して一緒に結合されて、抗酸化物質特性およびカルボニル捕捉特性の両方を有する単一分子を形成する。例えば、本発明の単一分子は、リンカー部分または因子を介してカルボニル捕捉部分に結合されるビタミンE化合物から構成されるビタミンE誘導体を含み得る。あるいは、このビタミンE誘導体は、水溶性形態に改変されているビタミンE化合物を含み得る。本発明の実例である種々の異なるビタミンE誘導体の例を、図14A、14Bおよび14Cに示す。1つの実施形態に従う、ビタミンE誘導体の好ましい例としては、2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)−1−(アミノキシ)エタン;N−[2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(アミノアセチル)−ピペラジン;N−[2−(6−ヒドロキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(システイニル)−ピペラジン;N−[2−(6−ヒドロキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(ペニシラミル)−ピペラジン、それらの誘導体など、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
治療組成物およびその治療組成物を調製する方法の例は、本発明の種々の実施形態に従って、限定されずに以下に提供される。
【実施例】
【0043】
(合成および試験手順)
本発明の種々の実施形態に従って、目的のビタミンE誘導体をより詳細に以下に記載するように合成し、化合物VE−ONH2−1、VE−ONH2−2、VE−CYS−1、VE−PEN−1として同定した。次いで、さらに以下に記載するように、そして本発明の実施形態に従って、これらの化合物の上記抗酸化物質特性およびカルボニル捕捉特性を評価するために、試験を行った。
【0044】
VE−ONH2−1の合成:VE−ONH2−1の合成を、図4に例示するようにスキーム1にまとめる。出発クロマン(化合物1)を、米国特許第4,344,886号(その開示は本明細書中に参考として援用される)に開示される手順に従って調製した。続いて、化合物2におけるフタロイルアミノオキシ官能基への化合物1の2−ヒドロキシエチル基の変換を、−20℃にて、N−ヒドロキシフタルイミド、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)およびPPh3を用いてMitsunobu条件下で行った。以下にさらに詳細に記載されるように、化合物2のヒドラジンでの脱保護を、目的の生成物VE−ONH2−1に与えた。
【0045】
中間体(化合物5)の合成:中間体(化合物5)を、図5に例示されるスキーム2に従って合成した。DMF中のNaH、続いてクロロメチルメチルエーテルでのクロマン(化合物1)の処理の後、クロマン(化合物3)を得た。化合物3の2−ヒドロキシエチル基を、クロロホルム中のトリエチルアミンの存在下で化合物3と塩化p−トルエンスルホニルとの反応によって、2−エチルp−トルエンスルホネート基に変換した。続いて、化合物4と過剰のピペラジン(2当量)との反応によって、中間体(化合物5)が生成した。
【0046】
中間体(化合物7)の合成:中間体(化合物7)の合成を、図6に例示するようにスキーム3にまとめた。N−ヒドロキシフタルイミドを、40℃にてN−メチルピロリドン中のK2CO3との反応によって、そのカリウム塩に変換した。続いて、50℃にてカリウムN−ヒドロキシフタルイミドとtert−ブチルブロモアセテートとの処理によって、tert−ブチルフタルイミドオキシアセテート(化合物6)を収率91%で得た。TFA/CHCl3を用いて化合物6からのtert−ブチル基の除去によって、フタルイミドオキシ酢酸(化合物7)が定量的な収率で生成した。
【0047】
VE−ONH2−2の合成:VE−ONH2−2の合成を、図7に例示するようにスキーム4にまとめる。塩化メチレン中のDCC/HOSuの存在下においてクロマン(化合物5)と化合物7との縮合によって、2つの保護基:フェノール官能性を保護するためのメトキシメチルおよびオキシアミン官能性を保護するためのフタルイミドを含む化合物8を得た。従って、VE−ONH2−2を得るための化合物8の全脱保護を、以下のように完了した。フタルイミド基を、ヒドラジンによって最初に除去して化合物9を得、続いて化合物9とTFA/AcOH/H2O(1/2.4/0.6、v/v/v)との処理によって、メトキシメチル基を除去した。この経路によって得られた生成物VE−ONH2−2は、少量の生成物(オキシアミン基によるVE−ONH2−2とホルムアルデヒドとの付加物)を混入していた。ホルムアルデヒドは、脱保護の間、メトキシメチル基の分解によって形成した。
【0048】
VE−CYS−1の合成:VE−CYS−1の合成を、図8に例示するようにスキーム5にまとめる。DCC/HOBtの存在下において、化合物5と塩化メチレン中のN−Boc−S−トリチル−システインとの縮合によって、化合物10を収率81%で得た。5分間、TFA、続いて、トリエチルシランを用いる化合物10の処理によって、大部分の生成物として化合物11および少量の生成物としてVE−CYS−1を含む生成物の混合物を得た。これらの生成物をMSによって同定した。化合物11の存在は、TFA中のメトキシメチル基の分解に由来するホルムアルデヒドとVE−CYS−1とのさらなる反応によるものであった。化合物11の形成を避けるために、化合物10の脱保護を2段階で完了した。第1段階において、メトキシメチル基を完全に除去して、1NのHCl(少なくとも19当量のHCl)を用いてBOC基を部分的に除去し;第2段階において、第1段階で分離した粗生成物を、TFA/CH2Cl2、続いてトリエチルシランで処理して、目的の生成物VE−CYS−1を化合物10から収率78%で得た。
【0049】
VE−PEN−1の合成:VE−PEN−1の合成を、図9に示すようにスキーム6にまとめる。DCC/HOBtの存在下において化合物5と塩化メチレン中のN−BOC−S−トリチル−ペニシラミンとの縮合によって、化合物13を収率80%で得た。化合物13の脱保護を2段階で完了した。第1段階において、メトキシメチル基を完全に除去して、HCl−MeOH(1N)を用いてBOC基を部分的に除去し;第2段階において、第1段階から分離した粗生成物(化合物14aと14bとの混合物)を、TFA/CHCl3、続いて、トリエチルシランで処理して、目的の生成物VE−PEN−1を収率80%で得た。
【0050】
2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)−1−(フタルイミドオキシ)エタン(化合物2)の合成:
図4に例示するように、ドライアイスおよびエタノール浴中で−20℃に冷却したTHF(50ml)中の化合物1(3.5g、14mmol)、N−ヒドロキシフタルイミド(2.85g、17.5mmol)およびPPh3(4.77g、18.2mmol)の混合物に、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)(3.67g、18.2mmol)を添加した。この混合物を、1時間室温で攪拌した。溶媒をエバポレートして乾燥し、残渣をEtOAc(250ml)に溶解した。DI水(5×200ml)を用いて有機層を洗浄し、2層を分離した。この有機層をエバポレートして乾燥し、白色ガラス生成物を得、これを溶媒としてヘキサンおよび酢酸エチル(3/1)を用いてシリカゲルカラムで精製した。クロマトグラフィー画分から溶媒を除去した後に得た残渣を、高真空下で乾燥させて、黄色固体(化合物2)(2.4g、44%)を得た。化合物を、以下のように核磁気共鳴および質量分析を用いて特徴付けた:
【0051】
【数1】
2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)−1−(アミノオキシ)エタン(VE−ONH2−1)の合成:
図4にさらに例示するように、化合物2(1.9g、4.8mmol)をエタノール(60ml)中に溶解して、ヒドラジン(4.0g、125mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩攪拌して、白色固体を濾過によって除去した。濾液をエバポレートして乾燥し、残渣を脱イオン(DI)水(100ml)中に溶解した。クロロホルム(100ml)を用いて、DI水から生成物を抽出した。有機層をDI水(2×100ml)によって洗浄し、エバポレートして乾燥した。残渣をHCl/MeOH(1N、10ml)中に溶解し、溶媒をエバポレートして白色固体を得た。この白色固体をエチルエーテル(10ml)中で攪拌して、VE−ONH2−1(960mg、収率66%)を濾過および乾燥した後、得た。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けた:
【0052】
【数2】
2−(6−メトキシメトキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エタノール(化合物3)の合成:
図5に示すように、2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エタノール(化合物1)(13.95g、55.7mmol)を、一定のアルゴンパージを用いてDMF(125mL)中に溶解して、氷浴中で冷却した。水素化ナトリウム(2.27g、94.6mmol)を溶液に添加して、それを氷浴から除去し、室温で45分間攪拌した。溶液を氷浴中で再び冷却し、そしてクロロメチルメチルエーテル(4.23mL、55.7mmol)を、その溶液に添加した。この反応溶液を氷浴から除去し、室温で攪拌した。
【0053】
TLC(シリカゲル60F254プレート;ヘキサン;酢酸エチル(1:1))によって、反応が3時間後に完了することが示され、従って、以下のように反応をワークアップした。反応溶液を2.0Lの水に注ぎ、これを1.0Lのクロロホルムで抽出した。図5に示すように、水層を一晩そのままにし、まだ残っている有機物質をその水層から分離させた。この有機層を水層から分離し、もとの有機画分と混合した。水層をもう1回、1.0Lのクロロホルムで抽出した。2つの有機画分の各々を250mLの水で逆抽出した。有機画分を混合して、重量12.52gの油に濃縮した。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けた:
【0054】
【数3】
2−(6−メトキシメトキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エチルp−トルエンスルホネート(化合物4)の合成:
2−(6−メトキシメトキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エタノール(化合物3)(15.10g、51.3mmol)を60mLのクロロホルム中に希釈し、トリエチルアミン(14.3mL、103mmol)をそれに添加した。この溶液を攪拌しながら氷浴中で冷却した。塩化p−トルエンスルホニル(11.75g、61.6mmol)をこの溶液に添加し、その反応溶液を氷浴から除去し、室温(RT)で攪拌した。
【0055】
TLC(シリカゲル60F254プレート;ヘキサン:酢酸エチル(2:1))によって、この反応が3時間後に完了することが示され、従って、それを以下のようにワークアップした。反応溶液をペーストに濃縮した。このペースト産物を75mLの酢酸エチルで取り、150mLのヘキサンを攪拌しながらゆっくり添加した。溶液から沈殿した塩の副産物を、濾過によって除去した。この濾過したケークを少量の酢酸エチルでリンスした。濾液を、重量24.69gである暗黒油に濃縮した。この油を30mLのヘキサン:酢酸エチル(5:1)で希釈し、寸法約5cm×30cmであるシリカゲル(230〜400メッシュ、60Å)フラッシュカラムベッド上にデカントした。このフラッシュカラムは、ヘキサン:酢酸エチル(5:1)の移動相で溶出し、24×約125mLサイズの画分を回収した。各画分のTLC結果に基づいて、適切な画分を混合し、重量16.15gである透明な油に濃縮した。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けた:
【0056】
【数4】
N−[2−(6−メトキシメトキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]ピペラジン(化合物5)の合成:
図5に示すように、2−(6−メトキシメトキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エチルp−トルエンスルホネート(化合物4)(16.01g、35.7mmol)を、200mLのトルエン中に希釈し、ピペラジン(6.15g、71.4mmol)を、それに添加した。この反応溶液を還流状態で加熱した。TLC(シリカゲル60F254プレート;ヘキサン:酢酸エチル(2:1)およびクロロホルム:メタノール(4:1))によって、この反応が、2.5時間後に完了することが示され、従って、それを以下のようにワークアップした。この反応溶液を室温(RT)に冷却し、残っているピペラジンを沈殿させ、このピペラジンを濾過によって除去した。この濾過したケークをトルエンでリンスして、このリンスしたものを濾液と混合した。この濾液を重量15.79gである油に濃縮した。この油をクロロホルム(25mL)で希釈し、それをクロロホルム:メタノール(6:1)スラリーで調製したシリカゲルカラム(230〜400メッシュ、60Å)上にデカントした。このフラッシュカラムベッドは、寸法約5cm×30cmであった。このフラッシュカラムを、以下の移動相システムで溶出した:1)CHCl3:MeOH(6:1);3L;40×約30mL画分、続いて、8×約100mL画分を回収した;2)CHCl3:MeOH(2:1);1.8L;4×200mL画分、続いて、2×400mL画分を回収した;そして3)CHCl3:MeOH(1:1);0.8L;2×400mL画分を回収した。各画分のTLC結果に基づいて、適切な画分を混合して、重量10.70gである透明な油に濃縮した。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けた:
【0057】
【数5】
tert−ブチルフタルイミドオキシアセテート(化合物6)の合成:N−ヒドロキシフタルイミド(3.87g、23mmol)および炭酸カリウム(2.14g、15.5mmol)を、1−メチル−2−ピロリジノン(23mL)中に懸濁して、40℃に加熱した。t−ブチル−ブロモアセテート(4.58g、23mmol)を添加して、反応温度を50℃に上昇し、4時間この温度を維持した。次いで、50mLの氷水に注ぎ、生成物を沈殿させた。この固体をガラス濾過漏斗上に回収し、その濾液が無色になるまで水で洗浄した。この沈殿物を収容減圧(house vacuum)を用いて、クロロホルムとの共沸によって濾過漏斗上で乾燥させた。これにより、143〜144℃の融点を有する5.92g(収率91%)の生成物を得た。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けた:
【0058】
【数6】
フタルイミドオキシ酢酸(化合物7)の合成:
図6に例示するように、tert−ブチルフタルイミドオキシアセテート(化合物8)(0.5g、1.8mmol)を、ジクロロメタン(5mL)中に溶解して、トリフルオロ酢酸(1.5mL)を添加した。この混合物を1時間室温で攪拌し、エバポレートして乾燥させた。残渣をクロロホルムとともに共沸(3回)して、重量0.393g(収率100%)である白色固体を得た。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けた:
【0059】
【数7】
N−[2−(6−メトキシメトキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(フタルイミドオキシアセチル)−ピペラジン(化合物8)の合成:図7に示すように、ジクロロメタン(30ml)中のクロマン(化合物5)(5.0g、13.8mmol)の溶液に、化合物7(3.5g、16mmol)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(1.8g、16mmol)を添加した。この混合物を透明な溶液を形成するまで室温で攪拌して、次いで、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(ジクロロメタン中16ml、1.0N、16.0mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩攪拌した。白色固体を濾過によって除去して、溶媒を減圧下でエバポレートした。残渣をクロロホルム(100ml)中に溶解して、溶液を飽和NaHCO3(100ml)およびH2O(100ml)で洗浄した。有機溶媒をエバポレートして乾燥させ、黄色のガラスを得た。この黄色のガラスを、MeOH/EtOAc(5/95)を有するシリカカラムに通して、生成物8(5.5g、収率70%)として黄色のガラスを得た。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けた:
【0060】
【数8】
N−[2−(6−メトキシメトキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(アミノオキシアセチル)−ピペラジン(化合物9)の合成:
図7に例示するように、化合物8(2.0g、3.6mmol)をエタノール(50ml)中に溶解して、ヒドラジン(4.0g、250mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩攪拌し、白色固体を濾過によって除去した。濾液をエバポレートして乾燥させ、残渣をメタノール(250ml)中に溶解した。溶媒をエバポレートして白色固体を得た。残渣をHCl/MeOH(1N、10.0ml)中に溶解し、溶媒をエバポレートして、白色固体を得た。この白色固体を、メタノール−エチルエーテル(25ml、4/1)中に懸濁して、化合物9(1.89g、収率95%)を、濾過および乾燥後に得た。この化合物を、以下のようにNMRによって特徴付けた:
【0061】
【数9】
N−[2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(アミノオキシアセチル)−ピペラジン(VE−ONH2−2)の合成:図7にさらに例示するように、化合物9(1.8g、3.4mmol)を酢酸/水(20ml、4/1)中に懸濁して、TFA(10ml)を添加した。この溶液を、TLC(MeOH/CHCl3、10/90)によって反応の完了が示されるまで、室温で攪拌した。溶媒をエバポレートして、乾燥させた。残渣をメタノール(30ml)中に溶解し、溶媒をエバポレートして、白色固体を得た。この残渣をHCl/MeOH(0.5N、40ml)の混合物中に溶解し、溶媒をエバポレートして乾燥させ、黄色固体を得た。この生成物VE−ONH2−2(1.5g、86%)を、エチルエーテル(100ml)で処理した後、明るい白色粉末として得た。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けた:
【0062】
【数10】
N−[2−(6−メトキシメトキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−S−トリチル−システイニル)−ピペラジン(化合物10)の合成:図8に示すように、ジクロロメタン(30ml)中のクロマン(化合物5)(4.0g、11mmol)の溶液に、N−Boc−S−トリチル−システイン(5.7g、12.4mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(540mg、4.0mmol)を添加した。この混合物を、透明な溶液を形成するまで室温で攪拌し、次いで、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(ジクロロメタン中13ml、1.0N、13.0mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩攪拌した。反応の完了時に、白色固体を濾過によって除去して、溶媒をエバポレーション下で除去した。残渣をクロロホルム(20ml)中に溶解し、この溶液を、ヘキサンおよび酢酸エチル(1/1)ならびに酢酸エチルの溶媒を含むシリカカラムに通し、生成物(化合物10)(7.6g、収率81%)として白色固体を得た。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けした:
【0063】
【数11】
化合物10の1N HClでの処理:化合物10(3.0g、3.7mmol)を、MeOH/HCl(1N、70ml)中に溶解し、この混合物を室温で攪拌した。白色固体が攪拌の10分後に形成した。この混合物を室温で3時間さらに攪拌し、メタノール(200mL)を添加して、攪拌を一晩続けた。溶媒をエバポレートして乾燥させ、残渣をメタノール(200ml)中に溶解した。溶媒をエバポレートして乾燥させ、TLCによって示されるように、大部分の生成物として化合物12aおよび少量の生成物として化合物12bを含む白色のガラスを得た。図8に示すように、この混合物(2.9g)を、さらに精製せずに次の段階のために使用した。
【0064】
N−[2−(6−ヒドロキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(システイニル)−ピペラジン(VE−CYS−1)の合成:図8に例示するように、ジクロロメタン(20ml)中の化合物12aおよび12b(2.9g、3.4mmol)の生成物の混合物の溶液に、トリフルオロ酢酸(3ml)を添加した。この溶液は黄色に変わった。この混合物を5分間室温で攪拌した。トリエチルシラン(1ml)をこの溶液に添加し、この混合物を30分間攪拌した。溶媒をエバポレートして乾燥させ、ジクロロメタン(20ml)とともに同時にエバポレート(co−evaporated)した。残渣をDI水(50ml)中に溶解し、ジクロロメタン(50mL)で抽出して、トリチル副産物を除去した。水層をエバポレートし、残渣をHCl/MeOH(1N、10ml)中に溶解した。溶媒をエバポレートして乾燥させ、白色のガラスを得た。この白色のガラスをメタノール(8ml)中に溶解した。この溶液を攪拌しながらエチルエーテル中に注いだ。30分間室温で攪拌後、この混合物を濾過して白色固体を得た。この固体を高真空下で乾燥させ、生成物VE−CYS−1(1.45g、収率78%)を得た。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けした:
【0065】
【数12】
TFA/トリエチルシランでの10の処理:図8に示すように、化合物10(50mg)をトリフルオロ酢酸(0.3ml)に添加した。この溶液は黄色に変わった。この混合物を室温で5分間攪拌した。トリエチルシラン(0.1ml)をこの溶液に添加し、この混合物を30分間攪拌した。この溶媒をエバポレートして乾燥させ、白色沈殿物を得、この白色沈殿物を質量分析によって分析した。MSの結果は、化合物11が大部分の生成物として得られ、少量の生成物としてVE−CYS−1が得られたことを示す。この化合物を、以下のようにMSによって特徴付けした:MS(ESI):422.3[M+H]+(VE−CYS−1),434.2[M+H]+11。
【0066】
N−[2−(6−メトキシメトキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−S−トリチル−ペニシラミル)−ピペラジン(化合物13)の合成:
ジクロロメタン(60mL)中のクロマン(化合物5)(5.0g、13.2mmol)の溶液に、Boc−S−トリチル−ペニシラミン(7.3g、15.0mmol)、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(540mg、4.0mmol)を添加した。この混合物を、透明な溶液が形成するまで室温で攪拌し、次いで、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(ジクロロメタン中15mL、1.0N、15.0mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩攪拌した。反応の終わりに、白色固体を濾過によって除去し、溶媒をエバポレーション下で除去した。残渣をクロロホルム(20mL)中に溶解し、この溶液を、ヘキサンおよび酢酸エチル(1:1)ならびに酢酸エチルの溶媒を含むシリカカラムに通し、生成物(化合物13)(7.5g、収率80%)として白色ガラスを得た。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けた:
【0067】
【数13】
1N HClでの化合物13の処理:化合物13(6.5g、7.2mmol)を、MeOH/HCl(1N、120mL)中に溶解し、室温で攪拌した。10分後、白色固体を形成した。この混合物を室温で一晩攪拌した。この溶液をエバポレートして乾燥させ、残渣をメタノール(200mL)の混合物中に溶解した。この溶媒をエバポレートして乾燥させ、TLCによって示されたように、化合物14a(大部分の生成物)および化合物14b(少量の生成物)を含む白色ガラスを得た。この混合物(6.1g)を、精製せずに次の段階のために使用した。
【0068】
N−[2−(6−ヒドロキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(ペニシラミル)−ピペラジン(VE−PEN−1):クロロホルム(100ml)中の化合物14aおよび14b(6.1g、6.8mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(15mL)を添加した。この溶液は黄色に変わった。この混合物を5分間室温で攪拌した。トリエチルシラン(3mL)をこの溶液に添加し、この混合物を60分間攪拌した。この溶媒をエバポレートして乾燥させ、クロロホルム(100mL)とともに同時にエバポレートした。残渣をメタノール−HCl(1N、120mL)中に溶解した。この溶媒をエバポレートして乾燥させ、白色固体を得た。この白色ガラスをメタノール(20mL)中に溶解した。この溶液を攪拌しながらエチルエーテル(50mL)中に注いだ。この混合物を室温で30分間攪拌し、濾過して、白色固体を得た。この固体を高真空下で乾燥させ、生成物VE−PEN−1(3.0g、収率80%)を得た。1.0gのVE−PEN−1をDI水(100mL)中に溶解し、NaOH(0.1N)を使用して溶液のpHを6.5に調整した。溶液の凍結乾燥により、最終生成物として0.65gの白色ガラスを得た。この化合物を、以下のようにNMRおよびMSによって特徴付けした:
【0069】
【数14】
(抗酸化物質特性およびカルボニル捕捉特性)
本発明の種々の実施形態に従って、治療組成物の抗酸化物質特性およびカルボニル捕捉特性を評価するために、試験を行った。以下により詳細に記載するように、Trolox等価物抗酸化物質活性(TEAC)試験を、抗酸化物質特性を評価するために行った。
【0070】
(TEACアッセイ)
TEAC抗酸化物質活性を、ABTS[2,2’−アジノビス−(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)]脱色アッセイによって測定した。この方法において、安定なラジカル(ABTSラジカルカチオン)が形成され、吸着最大が決定される。例えば、R.Ree,N.Pellegrini,A.Proteggente,A.Pannala,M.YangおよびC.Rice−Evans,Antioxidant activity applying an improved ABTS radical cation decolorization assay,Free Rad.Biol.& Med.,26(9/10),1231−1237(1999)を参照のこと。予め形成されたラジカルカチオンに対する抗酸化物質の付加は、抗酸化物質活性、抗酸化物質の濃度、および反応時間に依存して、ある程度およびタイムスケールでラジカルカチオンを減少させる。従って、ABTSラジカルカチオンの阻害パーセントとして減少(脱色)の程度を、濃度および時間の関数として決定し、同じ条件下での標準物質としてのTroloxの反応性と比較して計算する。標的ビタミンE誘導体の抗酸化物質能力を、以下に示すように表1にまとめる。TEAC値を、抗酸化物質化合物の阻害%/Troloxの阻害%の比によって計算する。
【0071】
【表1】
(カルボニル捕捉分析)
概して、異なる濃度にてカルボニル捕捉試薬を、熱分解された腹膜透析溶液(PD−2)中のカルボニル化合物と室温で反応させた。例えば、C.B.Nilsson−Thorell,N.Muscalu,A.H.G.Andren,P.T.T.Kjellstrand、およびA.P.WieslanderおよびT.MiyataおよびK.Isehara−Shi.Drugs for relieving carbonyl stress and peritoneal dialysates.欧州特許第1108343号、(2000) Heat sterilization of fluids for peritoneal dialysis gives rise to aldehydes.Peritoneal Dialysis International,13,208−213,(1993).D.M.Smith,T.E.KleindienstおよびE.E.Hudgens.を参照のこと。2,4−ジニトロフェニルヒドラジンを使用して、オゾンの存在下におけるアーチファクトを含まないアルデヒドの測定のための高速液体クロマトグラフィー法を行った。J.Chromatogr.,483,431−436(1989)を参照のこと。
【0072】
カルボニル捕捉反応の後、溶液を2,4−ジニトロフェニルヒドラジンで処理して、残りのカルボニル化合物をヒドラゾンに変換した。シクロヘキサノンの2,4−ジニトロフェニルヒドラゾンを含む内部標準を添加し、ヒドラゾンを固相抽出によって単離した。抽出物を電気スプレイLC/UV/MSによって分析した。低いヒドラゾン反応によって、効果的な捕捉試薬が示された。種々の濃度の捕捉試薬と反応させた試験物からの反応を、捕捉試薬で処理されていないコントロールと比較した。コントロールは、熱分解されていないPD−2溶液であった。
【0073】
分析的な試験システム(LC/UV/MS):分析的な試験システムは、正電気スプレイ様式(ES+)において操作するFisons Instruments VG Quattro Mass Spectrometerであった。注入口は、Adsorbosphere UHS C18 5μカラム(Alltech ロット番号105300)、150mm×4.6mmを備えるHP 1090 Liquid Chromatographであった。較正物質は、5μL/分でHarvardシリンジポンプセットによって導入されたAgilent Tuning Mixであった。
【0074】
クロマトグラフィーカラム流速は、1mL/分であった。カラムからの流出は、0.025−in(i.d.)PTFEチュービング(長さ約1m)によって、UV検出器と質量分析計との間に分けた。これは、レストリクター(restrictor)として役立ち、質量分析計に生じる流量は、約0.1mL/分であった。質量分析計操作パラメーターを、以下に示すように表2に記載する。
【0075】
表2:質量分析計操作パラメーター
【0076】
【表2】
HPLC注入量は、100μLであり、溶媒勾配は、以下の表3に記載するように生じた。溶媒Aは水であり;溶媒Bはアセトニトリル中の0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)であり;そして溶媒Cはメタノールであった。
【0077】
表3:溶媒勾配
【0078】
【表3】
内部標準物質:シクロヘキサノン2,4−ジニトロフェニルヒドラゾン
(合成手順)
濃硫酸(2mL)および0.4456gの2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(2,4−DNP)を、25mL三角フラスコ中で混合した。2,4−DNPが溶解するまで、攪拌しながら水を滴下(2〜3mL)添加した。この後、10mLの95%エタノールを添加した。この溶液を、シクロヘキサノン(0.5725g)の溶液に攪拌しながら滴下添加して、20mLの95%エタノール中で溶解した。沈殿物が5分以内に形成した。この混合物を一晩冷凍保存した。この沈殿物を濾過して、黄−橙色の結晶性固体を得た。この生成物を約30mLの無水エタノールから再結晶して、橙色薄片として0.4gのシクロヘキサノン2,4−ジニトロフェニルヒドラゾンを得た。収率は95%であった。
【0079】
(標準溶液の調製)
上記の2,4−ジニトロフェニルヒドラゾン(約20mg)を、50mL容量フラスコ中に正確に秤量して、0.60M HCl(エタノール性)で容量まで希釈した。この混合物を、溶解が完了するまで(約15分)超音波処理した。濃度は約400μg/mLであった。
【0080】
(カルボニル捕捉反応)
サンプルの3つのアリコートを、各々異なる濃度の捕捉試薬で処理した。目的の濃度は、約1.25mM、5mMおよび10mMであった。4番目のアリコートは、捕捉試薬で処理しなかった。捕捉試薬は、3つの別々の風袋VOAバイアル中に正確に秤量した。試験溶液を、エッペンドルフ型ピペットによってバイアルに移した。このバイアルを回転させて試薬を溶解させた。次いで、室温で16〜22時間そのまま静置させた。次いで、それらを以下に記載するように処理した。代表的な捕捉試薬の質量および試験溶液の容量を、500amuのモル質量を有する候補化合物について以下の表4に示した。具体的な質量を、個々の化合物について計算した。
【0081】
表4.候補捕捉試薬についての代表的な質量および試験溶液の代表的な容積
【0082】
【表4】
(2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(2,4−DNP)試薬)
2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(約0.034g)を50mLの0.6M HCl(エタノール性)中に溶解した。2,4−DNPの濃度は、約2.4mMであった(市販の物質の30%の水分を計算した後)。
【0083】
(PD−2溶液中の残っているカルボニル化合物からのヒドラゾン形成)
試験溶液(捕捉試薬で処理されたか、または処理されていない、いずれかの熱分解されたPD−2溶液)、コントロール(分解されていないPD−2)および水(ブランクの方法のため)を以下のように処理した。2mLのアリコートを、上記のように、ねじぶた付きのバイアル中で2mLの2,4−DNP試薬溶液の一部と混合した。この溶液を回転させることによって混合して、室温で60分間静置させた。次いで、上記のように100μLのシクロヘキサノン2,4−ジニトロフェニルヒドラゾン内部標準物質溶液を添加した。この溶液を十分に混合して、以下に記載するように固相抽出によって処理した。ヒドラゾン形成反応において使用した容積を、以下の表5にまとめる。
【0084】
表5.ヒドラゾン形成反応において使用した容積
【0085】
【表5】
a:この容積は、特定の時間の後、2mLアリコートの捕捉反応に添加した。ヒドラゾン誘導体化を、室温で60分間進行させた。
【0086】
(固相抽出)
Baker C18固相抽出カラム(500mg、6mL、広口)を、塩化メチレン(乾燥するまで通す)、メタノール、1%水溶性メタノールおよび水の各々1mLを連続適用および除去によって清浄した。最後の3つの溶媒で清浄している間、カラムのトップを溶媒の薄層で湿らせたままにした。次に、上記のように誘導体化反応溶液の2.00mLアリコートをエッペンドルフ型ピペットで適用し、溶液を収容減圧によってカラムに通し、再びカラムのトップに溶液の薄層を残したままにする。保持した物質を1mLの水で2回洗浄し、最終的にカラムを約3〜5分間収容減圧下のままで乾燥させた。次いで、カラムを1mLのアセトニトリルで溶出した。
【0087】
(定量化および結果)
UVおよびMSデータの両方をこの研究において得た。その作業期間の間、UV応答がより感受性であり、それによって、UVデータが定量化のために使用されることを見出した。単一波長のUVクロマトグラフを、この研究において決定したシクロヘキサノン2,4−ジニトロフェニルヒドラゾンについて365nm、λ最大におけるデータから得た。ピークを積分して、比を、内部標準物質と比較して全てのヒドラゾンピークの合計について得た。この比を捕捉試薬の濃度に対してプロットした。
【0088】
特定の初期溶出ピークは、この合計に含まなかった。これらは、捕捉試薬とカルボニル化合物との反応からのオキシムまたはチアゾリジン生成物によるものであった。このことは、ピークが非常に初期溶出であり、高い水溶性を示し、ピーク面積が捕捉試薬の濃度を増加するにつれて増加したためであった。カルボニル捕捉試験の結果を、図10A(VE−ONH2−1)、図10B(VE−ONH2)−2、図10C(VE−CYS−1)および図10D(VE−PEN−1)においてグラフ形態で示す。
【0089】
(アミノグアニジン試験)
本発明のビタミンE誘導体のカルボニル捕捉特性を、公知のカルボニル捕捉標準組成物(すなわち、アミノグアニジン)と比較してさらに評価した。ビタミンE誘導体は、上に議論したように本発明の実施形態に従って作製されたVE−CYS−1およびVE−PEN−1を含んだ。この試験は、上に議論したように類似のカルボニル捕捉試験手順に従って行われた。この試験結果を図10Eにおいてグラフ形態で示す。
【0090】
抗酸化物質(TEACアッセイ)およびカルボニル捕捉研究は、本発明の実施形態に従って作製されたビタミンE誘導体が、所望かつ効果的な抗酸化物質特性およびカルボニル捕捉特性を示すことを示す。表1に示すように、ビタミンE誘導体(例えば、VE−CYS−1およびVE−PEN−1)は、ビタミンE標準化合物(例えば、Trolox)と比較して増加した抗酸化物質活性を示した。さらに、ビタミンE誘導体は、概して、図10A〜10Dに示すように量を増加するにつれて増加するカルボニル捕捉特性を示した。図10Eに示すように、本発明の実施形態に従って作製されたビタミンE誘導体もまた、公知のカルボニル捕捉標準物質(例えば、アミノグアニジン)と比較して増加したカルボニル捕捉特性を示した。
【0091】
上で議論したように、本発明の組成物は、種々の異なる用途において利用され得る。この組成物は、反応性酸素種および反応性カルボニル種が効果的に阻害され得るように、抗酸化物質特性およびカルボニル捕捉特性の両方を有する。このことは、炎症および酸化的ストレス(例えば、腎臓病患者において)の効果的な軽減を可能にし得る。これに関して、心血管および/または他の関連疾患が、本発明の組成物を用いて(特に透析治療の間に適用される場合)効果的に予防および/または処置され得る。
【0092】
本発明は、腎不全を処置するために種々の異なりかつ適切な透析治療において使用され得ることが、理解されるべきである。本明細書全体を通して使用される用語または同様の用語として透析治療は、老廃物、毒素および過剰な水を患者から除去するために患者の血液を利用する任意および全ての適切な治療形態を意図および包含することを意味する。そのような治療(例えば、血液透析、血液濾過および血液ダイアフィルトレーション)は、間欠治療法および連続腎代償療法(CRRT)のために使用される持続的治療法の両方を包含する。持続的治療法としては、例えば、持続緩徐式限外濾過(slow continuous ultrafiltration)(SCUF)、持続的静静脈血液濾過(CVVH)、持続的静静脈血液透析(CVVHD)、持続的静静脈血液ダイアフィルトレーション(CVVHDF)、持続的動静脈血液濾過(CAVH)、持続的動静脈血液透析(CAVHD)、持続的動静脈血液ダイアフィルトレーション(CAVHDF)、持続的限外濾過定期間欠血液透析(continuous ultrafiltration periodic intermittent hemodialysis)などが挙げられる。好ましくは、透析溶液は、腹膜透析(例えば、自動化腹膜透析、連続携行式腹膜透析、連続フロー腹膜透析など)の間、使用される。さらに、1つの実施形態において、本発明は、慢性腎不全または慢性腎臓病を罹患する患者のための透析治療を提供する方法において利用され得るが、本発明が、急性透析の必要性(例えば、緊急治療室での設置において)のために使用され得ることは理解されるべきである。最後に、当業者は、断続的な治療形態(すなわち、血液濾過、血液透析、腹膜透析および血液ダイアフィルトレーション)が、センター、自己/制限されたケアおよび家庭用設置において使用され得ることを理解する。
【0093】
1つの実施形態において、本発明の治療組成物は、透析溶液(例えば、腹膜透析溶液)に添加される。この治療組成物は、その組成物が透析治療の間、反応性酸素種および反応性カルボニル種の活性を阻害するために効果的に作用し得るように、任意の適切かつ効果的な量で透析溶液に添加され得る。これは、腎臓病患者に関連する心血管系疾患などのような疾患を予防および/または処置し得る。
【0094】
一般に、透析溶液は、任意の適切な量(例えば、約1.5重量%〜約4.25重量%)において浸透因子(例えば、デキストロース、グリセロール、ポリグルコース、ポリペチド、アミノ酸、グルコースポリマーおよび/または他の適切な構成物質)を含む。透析溶液はさらに、任意の適切な量において1種以上の電解質(例えば、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、塩化物など)を含む。透析溶液はまた、緩衝液(乳酸塩、重炭酸塩などが挙げられる)のような他の構成物質および安定剤のような他の構成物質も含み得る。
【0095】
1つの実施形態において、透析溶液は、その構成物質の量および種類が変化し得、種々のpH値を有し得る、複数の溶液成分から作製され得る。複数の部の透析溶液の異なりかつ適切な種類の変更が、利用され得る。例えば、複数の部の重炭酸塩ベースの溶液は、2001年9月17日に出願されたBIOCHEMICALLY BALANCED PERITONEAL DIALYSIS SOLUTIONという発明の名称の米国特許出願第09/955,248号(その開示は本明細書中に参考として援用される)において見出され得る。複数の部の乳酸塩ベースの溶液の例は、2003年7月25日に出願されたDIALYSIS SOLUTIONS WITH REDUCED LEVELS OF GLUCOSE DEGRADATION PRODUCTSという発明の名称の米国特許出願第10/628,065号(その開示は本明細書中に参考として援用される)において見出され得る。
【0096】
重炭酸塩ベースの溶液の別の例は、2002年1月11日に出願されたBICARBONATE−BASED SOLUTIONS FOR DIALYSIS THERAPIESという発明の名称の米国特許出願第10/044,234号において見出され得、さらに米国特許第6,309,673号(それらの開示は本明細書中に参考として援用される)に開示される。重炭酸塩ベースの溶液は、種々のpH条件(例えば、穏やかおよび極度のpH条件下)を有する溶液成分から作製され得る。1つの実施形態において、溶液成分は、pHが約1.0〜約10.0の間で変化し得る。一旦混合されると、混合された溶液の所望のpHは、使用前に生理学的に受容可能なレベル(例えば、約6.5〜約7.6の間(すなわち、血液のpH近く))で維持する。
【0097】
例えば、穏やかなpH条件下で、重炭酸塩ベースの溶液は、約7.2〜約7.9、好ましくは約7.4〜約7.6の範囲のpHを有する重炭酸塩濃縮物と、約3.0〜約5.0の範囲のpHを有するデキストロース濃縮物とを混合することによって処方され得る。極度のpH条件下で、例えば、約8.6〜約10.0の範囲であり得るpHを有する重炭酸塩濃縮物が、約1.0〜約3.0(例えば、約1.7〜約2.2)のpHを有するデキストロース濃縮物と混合される。
【0098】
異なりかつ適切な酸性因子および/または塩基性因子の変更は、重炭酸塩濃縮物、デキストロース濃縮物などのpHを調整するために利用され得る。例えば、種々の無機酸および無機塩基が利用され得る(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素、ヨウ化水素、水酸化ナトリウムなど、およびそれらの組み合わせ)。
【0099】
次いで、溶液成分(例えば、重炭酸塩濃縮物およびデキストロース濃縮物)は、溶液バッグ中で混合され得、それから腹膜透析の間に混合された溶液として患者に投与される。本発明の実施形態に従った透析溶液の溶液成分を別々に含む複数のチャンバ容器の実例を図11に示す。
【0100】
透析溶液が効果的に調製され得、投与され得るように、本発明の透析溶液の成分が、任意の適切な様式において収容され得るか、または含まれ得ることは、理解されるべきである。1つの実施形態において、本発明は、2つ以上の部が形成されて別々に貯蔵され、次いで使用直前に混合される、複数の部の透析溶液を含む。種々の容器が、種々の部の透析溶液を収容するために使用され得る(例えば、適切な流体連絡機構によってつながれる別々の容器(すなわち、フラスコまたはバッグ))。
【0101】
複数のチャンバ容器またはバッグが、溶液の別々の成分(例えば、デキストロース濃縮物および緩衝液濃縮物が挙げられる)を収容するために使用され得る。1つの実施形態において、別々の成分が、腹膜透析の間に適用されるように使用前に複数のチャンババッグ内で混合される。
【0102】
図11は、例えば、本発明の実施形態に従った連続携行式腹膜透析の間に、透析溶液を貯蔵、処方、混合および投与するために適切な容器を示す。複数のチャンババッグ20は、第1のチャンバ22および第2のチャンバ24を有する。容器の内部は、ヒートシール26によって2つのチャンバに分けられる。容器が、任意の適切なシールによって別々のチャンバに分けられ得ることは、理解されるべきである。
【0103】
図11を参照して、複数のチャンバ容器20は、剥がすことが可能なシールの代わりに第1のチャンバ22を第2のチャンバ24に密閉して結合するための脆弱性のコネクター28を有する。複数のチャンババッグ20内で溶液を混合するために、脆弱性のコネクター28が折られる。
【0104】
第1の容器またはチャンバ22は、適切なサイズおよび長さの2つのポートチューブ30を含む。2つより多いかまたは少ないポートチューブが使用され得ることは、理解されるべきである。例えば、必要であれば、ポートチューブの1つは、本発明の溶液を処方している間、他の構成物質を第1のチャンバ22に添加するために利用され得る。例えば、残っているポートチューブは、患者の投与ライン(示さず)を介して患者に第1のチャンバ22を適用可能に連結するために利用され得、さらなる他の構成物質などを添加するために使用され得る。第2の容器またはチャンバ24は、そこから伸びる単一のポートチューブ32を有する。1つの実施形態において、ポートチューブ32は患者の投与ラインに連結され、それを通じて一旦溶液が以下に記載するように混合されると、その溶液が患者に流れ得る。
【0105】
1つの実施形態において、各チャンバの成分が適切に混合されて本発明の透析溶液を形成し得るように、複数のチャンババッグ20内の生成物の移動は、第1のチャンバ22から第2のチャンバ24に開始され得る。1つの実施形態において、デキストロース濃縮物34は、第1のチャンバ22中に含まれ、緩衝液濃縮物36は、第2のチャンバ24中に含まれる。溶液成分の任意の適切な種類または数が、複数のチャンババッグで分けられ得、次いで、患者への投与前に混合されて混合された溶液を形成し得ることが、理解されるべきである。腹膜透析溶液の実例としては、上で議論したように米国特許出願第09/955,298号および同第10/628,065号ならびに米国特許第6,309,673号に記載されるものが挙げられる。
【0106】
一旦、第1のチャンバから第2のチャンバへの移動が起こると、各チャンバの成分が適切に混合され得るように、第1のチャンバ22は、第2のチャンバ24より容積が小さい。従って、複数のチャンババッグ20は、混合後、すぐに使用可能な透析溶液を生じる少なくとも2つの溶液成分部分を収容し得る。複数のチャンバ容器の例は、米国特許第5,431,496号(その開示は本明細書中に参考として援用される)に記載されている。複数のチャンババッグは、ガス透過可能物質(例えば、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなど)から作製され得る。
【0107】
1つの実施形態において、容器は、ピールシールによって別々のチャンバ(例えば、2つ以上のチャンバ)に分けられ得る。ピールシールの使用に関して、脆弱性のコネクターまたは他の適切な型のコネクターは、複数のチャンババッグ内で溶液成分を混合するのに必要とされない。ピールシールを含む複数のチャンバ溶液バッグの例は、米国特許第6,319,243号(その開示は本明細書中に参考として援用される)に開示されている。図12に示すように、容器38は、少なくとも3つのチャンバ40、42および44を含む。チャンバ40、42および44は、容器内で混合されてすぐに使用可能な混合された溶液を形成し得る液体および/または溶液の別々の貯蔵のために設計される。3つより多いかまたは少ないチャンバが利用され得ることは、理解されるべきである。
【0108】
剥がすことができるシール46および48は、それぞれチャンバ40、42および44の間に提供される。剥がすことができるシールの例は、「PEELABLE SEAL AND CONTAINER HAVING SAME」という発明の名称の1993年3月16日に出願された米国特許出願第08/033,233号(その開示は本明細書中に参考として援用される)において見出され得る。剥がすことができるシールは、チャンバ内に含まれる液体の選択的な混合を可能にするチャンバの選択的な開口を可能にする。
【0109】
図12に示すように、容器38はまた、管状ポート(例えば、管状ポート50、52および54)を含み得る。管状ポートは、容器および特にチャンバ40、42および44と流体連絡し得るように、容器にはめ込まれる。このために、管状ポート50、52および54は、例えば、患者に対して容器の成分を送達するためのカニューレまたはスパイクまたは投与セットによって穴を開けられる膜を含み得る。3つより多いかまたは少ないポートが利用され得ることは、理解されるべきである。
【0110】
本発明の透析溶液が、任意の適切な様式における薬物療法の間に、患者に効果的に処方されて投与され得るように、複数のチャンババッグが、種々の異なりかつ適切な材料から製造され、多くの適切な様式において構成され得ることは、理解されるべきである。例えば、第1のチャンバは、第2のチャンバより容積が大きくなり得、さらに、本発明の透析溶液が容易かつ効果的に作製されて、患者に投与され得るように適用され得る。
【0111】
上で議論したように、透析治療の間、組成物が効果的に利用され得るように、治療組成物は、有効量で腹膜溶液に添加され得る。1つの実施形態において、透析溶液は、腹膜透析の間(例えば、CAPDの間)、複数のチャンバ溶液バッグに含まれ、複数のチャンバ溶液バッグから投与される。溶液バッグは、上で議論したように混合する前に、透析溶液の別々の成分を各々含む複数のチャンバを含み得る。このことは、使用前に透析溶液に関連する安定性、無菌性、有効性などのために混合する前に適合しない溶液成分を別々に維持するために必要であり得る。治療組成物が、混合する前に溶液成分のうちの少なくとも1つに添加され得ることは、理解されるべきである。あるいは、溶液成分は、混合されて混合された溶液を形成し得、ここで、治療組成物は、使用前に混合された溶液に添加される。
【0112】
別の実施形態において、溶液成分は、別々の容器に調製されて貯蔵され得、次いで、自動化腹膜透析の間に適用されるように、使用前に混合デバイスによって混合され得る。図13に示すように、第1の溶液成分(例えば、デキストロース濃縮物60)および第2の溶液成分(例えば、緩衝液濃縮物62)は、自動化腹膜透析の間の使用に適切な混合デバイス68に流体連絡される、それぞれ別々の容器64および66またはバッグに貯蔵される。第1および第2の成分に加えて、適切な溶液で満たされる第1のバッグ70および最後のバッグ72もまた、一般的に公知のように透析治療の間に使用され得る。
【0113】
1つの実施形態において、有効量の第1の溶液成分60および第2の溶液成分62は、各々、それぞれの容器から、透析治療の間に患者76に注入する前に溶液成分(例えば、デキストロースおよび緩衝液濃縮物)が混合されて加熱され得るヒータバッグ74の中に引き出される。図13にさらに示すように、排出ライン78は混合デバイス68に連結され、治療の間、そこから老廃物の流体が患者から除去され得る。
【0114】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、それを製造している間、任意の適切な段階で透析溶液に添加され得る添加物であり得る。例えば、添加組成物は、任意の適切な溶液部分内、単独または他の適切な成分との組み合わせで組み合わされ得、次いで、混合およびさらに処理されてすぐに使用可能な溶液を形成し得る。1つの実施形態において、添加組成物は、市販の溶液(例えば、BAXTER HEALTHCARE CORPORATIONによって販売されるDIANEAL、EXTRANEAL、NUTRINEALおよびPHYSIONEAL)に添加され得る。これに関して、添加組成物は、任意の他の処方物の詳細を変更せずに、効果的に容器内に含まれる市販の溶液に直接的に添加され得る。図15に示すように、容器は、単一のチャンバ容器80を含み得、ここで、透析溶液82は、例えば、市販の溶液に含まれる。上で議論したように、添加組成物はまた、複数のチャンバのある容器内に含まれる1つ以上の溶液部分に添加され得る。
【0115】
本発明の治療組成物は、多くの異なりかつ適切な用途において利用され得る。上で議論したように、本発明の組成物は、効果的な抗酸化物質特性およびカルボキシ捕捉特性の両方を示す。これに関して、本発明は、全身性炎症を軽減し、それによって炎症疾患を処置するために効果的に利用され得る。治療組成物は、そのような効果を生じるように任意の適切な様式(例えば、経口、静脈内、筋肉内、皮下などが挙げられる)において投与され得る。
【0116】
本発明の組成物は、任意の適切な形態で作製されて使用され得る。例えば、組成物は、上で議論したような溶液形態において提供され得る。しかしながら、組成物が、任意の適切な形態(例えば、経口投与される生成物(丸薬、錠剤、カプセル剤、粉剤、薄膜、溶液などが挙げられる))で提供され得ることは、理解されるべきである。経口投与される生成物は、任意の適切なキャリアとともに作製され得る。
【0117】
本明細書中に記載される現在の好ましい実施形態に対する種々の変更および改変が、当業者に明白であることは、理解されるべきである。そのような変更および改変は、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、そしてその意図される利点を減少せずになされ得る。従って、そのような変更および改変は、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】図1は、ROS、RCSの形成およびそれらの細胞性効果の概略図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に従う、治療組成物の化学構造の概略図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に従う、カルボニル捕捉因子の反応経路の概略図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に従う、治療組成物に関する合成手順の概略図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に従う、治療組成物に関する合成手順の概略図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態に従う、治療組成物に関する合成手順の概略図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態に従う、治療組成物に関する合成手順の概略図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態に従う、治療組成物に関する合成手順の概略図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態に従う、治療組成物に関する合成手順の概略図である。
【図10A】図10Aは、本発明の種々の実施形態に従う、治療組成物のカルボニル捕捉特性のグラフ図である。
【図10B】図10Bは、本発明の種々の実施形態に従う、治療組成物のカルボニル捕捉特性のグラフ図である。
【図10C】図10Cは、本発明の種々の実施形態に従う、治療組成物のカルボニル捕捉特性のグラフ図である。
【図10D】図10Dは、本発明の種々の実施形態に従う、治療組成物のカルボニル捕捉特性のグラフ図である。
【図10E】図10Eは、本発明の種々の実施形態に従う、治療組成物のカルボニル捕捉特性のグラフ図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態に従う、治療組成物を含む複数の部分の透析溶液を含有する複数のチャンバ溶液バッグを示す。
【図12】図12は、本発明の実施形態に従う、治療組成物を含む複数の部分の透析溶液を含有するピールシールを有する複数チャンバ溶液バッグを示す。
【図13】図13は、本発明の実施形態に従う、透析を実施する方法を示す。
【図14A】図14Aは、本発明の種々の実施形態に従う、治療組成物を表す化学式を示す。
【図14B】図14Bは、本発明の種々の実施形態に従う、治療組成物を表す化学式を示す。
【図14C】図14Cは、本発明の種々の実施形態に従う、治療組成物を表す化学式を示す。
【図15】図15は、本発明の実施形態に従う、溶液形態の組成物を含む単一チャンバ容器を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る単一分子を含む、組成物。
【請求項2】
前記単一分子が、抗酸化部分、カルボニル捕捉部分ならびに該抗酸化部分および該カルボニル捕捉部分を連結するリンカー部分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記抗酸化部分が、ビタミンE、桂皮酸誘導体、ピリドキサミン、フラボノイド、リポ酸、天然抗酸化物質および合成抗酸化物質を含む抗酸化物質、それらの誘導体、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記カルボニル捕捉部分が、アミノオキシ基、システイン基を含む1,2−アミノチオール基、ペニシラミン基、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記リンカー部分が、ピペラジン、ポリ(エチレングリコール)、リジン、それらの誘導体およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記単一分子が、ビタミンE誘導体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ビタミンE誘導体が、水溶性形態に改変されているビタミンE化合物を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ビタミンE誘導体が、2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)−1−(アミノキシ)エタン;N−[2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(アミノアセチル)−ピペラジン;N−[2−(6−ヒドロキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(システイニル)−ピペラジン;N−[2−(6−ヒドロキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(ペニシラミル)−ピペラジン、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、経口投与される生成物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、溶液形態で提供される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る治療有効量の組成物を含む、透析溶液。
【請求項12】
前記組成物が、抗酸化部分、カルボニル捕捉部分、ならびに単一分子を形成するために該抗酸化部分および該カルボニル捕捉部分を連結するリンカー部分を含む、請求項11に記載の透析溶液。
【請求項13】
前記抗酸化部分が、ビタミンE、桂皮酸誘導体、ピリドキサミン、フラボノイド、リポ酸、抗酸化物質、天然抗酸化物質、合成抗酸化物質、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項12に記載の透析溶液。
【請求項14】
前記カルボニル捕捉部分が、アミノオキシ基、システイン基を含む1,2−アミノチオール基、ペニシラミン基およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項12に記載の透析溶液。
【請求項15】
前記リンカー部分が、ピペラジン、ポリ(エチレングリコール)、リジン、正電荷を含む有機部分、負電荷を含む有機部分、正電荷および負電荷を含む有機部分、それらの誘導体ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項12に記載の透析溶液。
【請求項16】
前記組成物が、ビタミンE誘導体を含む、請求項12に記載の透析溶液。
【請求項17】
前記ビタミンE誘導体が、水溶性形態に改変されているビタミンE化合物を含む、請求項16に記載の透析溶液。
【請求項18】
前記透析溶液が、血液透析溶液、血液濾過溶液、血液ダイアフィルトレーション溶液、および腹膜透析溶液からなる群より選択される、請求項11に記載の透析溶液。
【請求項19】
前記透析溶液が、前記組成物が添加された市販の透析溶液を含む、請求項11に記載の透析溶液。
【請求項20】
2つの部分の腹膜透析溶液であって、該2つの部分の腹膜透析溶液は、浸透因子を含む第1の部分;および
緩衝液を含む第2の部分を含み、該第1の部分および該第2の部分は使用前に混合され、該第1の部分および該第2の部分の少なくとも1つは、反応性カルボニル種および反応性酸素種を阻害し得る治療有効量の組成物を含む、2つの部分の腹膜透析溶液。
【請求項21】
前記組成物が、ビタミンE誘導体を含む単一分子を含む、請求項20に記載の2つの部分の腹膜透析溶液。
【請求項22】
前記組成物が、抗酸化部分、カルボニル捕捉部分、ならびに単一分子を形成するために該抗酸化部分および該カルボニル捕捉部分を連結するリンカー部分を含む、請求項20に記載の2つの部分の腹膜透析溶液。
【請求項23】
前記抗酸化部分が、ビタミンE、桂皮酸誘導体、ピリドキサミン、フラボノイド、リポ酸、抗酸化物質、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項22に記載の2つの部分の腹膜透析溶液。
【請求項24】
前記カルボニル捕捉部分が、アミノオキシ基、システイン基を含む1,2−アミノチオール基、ペニシラミン基、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項22に記載の2つの部分の腹膜透析溶液。
【請求項25】
前記リンカー部分が、ピペラジン、ポリ(エチレングリコール)、リジン、正電荷および/または負電荷を含む有機部分、それらの誘導体、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項22に記載の2つの部分の腹膜透析溶液。
【請求項26】
組成物を生成する方法であって、該方法は、以下の工程:
ビタミンEベースの化合物を調製する工程;および
該ビタミンEベースの化合物を処理して、反応性カルボニル種および反応性酸素種を阻害し得る単一分子を可溶な形態で生成する工程、
を包含する、方法。
【請求項27】
前記単一分子が、2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)−1−(アミノキシ)エタン;N−[2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(アミノアセチル)−ピペラジン;N−[2−(6−ヒドロキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(システイニル)−ピペラジン;N−[2−(6−ヒドロキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(ペニシラミル)−ピペラジン、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、ビタミンE誘導体由来である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
治療有効量の前記組成物を透析溶液に添加する工程;およびすぐに使用可能な(ready−to−use)透析溶液を形成する工程をさらに包含する、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記すぐに使用可能な透析溶液は、血液透析溶液、血液濾過溶液、血液ダイアフィルトレーション溶液、および腹膜透析溶液からなる群より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
患者に透析を提供する工程を包含する方法であって、該方法は以下の工程:
反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る治療有効量の組成物を含む透析溶液を提供する工程;および透析の間、該透析溶液を使用する工程、
を包含する、方法。
【請求項31】
前記患者が、血液透析、血液濾過、血液ダイアフィルトレーション、および腹膜透析からなる群より選択される透析を提供される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が、ビタミンE誘導体を含む単一分子を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物が、抗酸化部分、カルボニル捕捉部分、ならびに単一分子を形成するために該抗酸化部分および該カルボニル捕捉部分を連結するリンカー部分を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記抗酸化部分が、ビタミンE、桂皮酸誘導体、ピリドキサミン、フラボノイド、リポ酸、抗酸化物質、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記カルボニル捕捉部分が、アミノオキシ基、システイン基を含む1,2−アミノチオール基、ペニシラミン基、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記リンカー部分が、ピペラジン、ポリ(エチレングリコール)、リジン、正電荷および/または負電荷を含む有機部分、それらの誘導体、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
腎臓病患者における炎症および酸化的ストレスを軽減させる方法であって、該方法は、以下の工程:
反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る治療有効量の組成物を含む透析溶液を提供する工程;ならびに
該透析溶液を用いて該患者に透析を与える工程、
を包含する、方法。
【請求項38】
前記患者が、血液透析、血液濾過、血液ダイアフィルトレーションおよび腹膜透析からなる群より選択される透析を与えられる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記組成物が、ビタミンE誘導体を含む単一分子を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記組成物が、抗酸化部分、カルボニル捕捉部分、ならびに単一分子を形成するために該抗酸化部分および該カルボニル捕捉部分を連結するリンカー部分を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記抗酸化部分が、ビタミンE、桂皮酸誘導体、ピリドキサミン、フラボノイド、リポ酸、抗酸化物質、合成抗酸化物質、天然抗酸化物質、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記カルボニル捕捉部分が、アミノオキシ基、システイン基を含む1,2−アミノチオール基、ペニシラミン基およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記リンカー部分が、ピペラジン、ポリ(エチレングリコール)、リジン、正電荷および/または負電荷を含む有機部分、それらの誘導体ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記組成物が、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、皮下経路およびそれらの組み合わせからなる群より選択される経路によって投与される、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
患者における全身性炎症を軽減させる方法であって、該方法は、以下の工程:
反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る組成物を提供する工程;および
治療有効量において該組成物を該患者に投与して、全身性炎症を軽減させる工程、
を包含する、方法。
【請求項46】
前記組成物が、ビタミンE誘導体を含む単一分子を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記組成物が、抗酸化部分、カルボニル捕捉部分、ならびに単一分子を形成するために該抗酸化部分および該カルボニル捕捉部分を連結するリンカー部分を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記抗酸化部分が、ビタミンE、桂皮酸誘導体、ピリドキサミン、フラボノイド、リポ酸、抗酸化物質、それらの誘導体およびそれらの組み合わせからなる群より選択され;前記カルボニル捕捉部分が、アミノオキシ基、システイン基を含む1,2−アミノチオール基、ペニシラミン基、それらの誘導体およびそれらの組み合わせからなる群より選択され;そして前記リンカー部分が、ピペラジン、ポリ(エチレングリコール)、リジン、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項49】
前記組成物が、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、皮下経路およびそれらの組み合わせからなる群より選択される経路によって投与される、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記組成物が、炎症性疾患を処置するために使用され得る、請求項45に記載の方法。
【請求項1】
反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る単一分子を含む、組成物。
【請求項2】
前記単一分子が、抗酸化部分、カルボニル捕捉部分ならびに該抗酸化部分および該カルボニル捕捉部分を連結するリンカー部分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記抗酸化部分が、ビタミンE、桂皮酸誘導体、ピリドキサミン、フラボノイド、リポ酸、天然抗酸化物質および合成抗酸化物質を含む抗酸化物質、それらの誘導体、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記カルボニル捕捉部分が、アミノオキシ基、システイン基を含む1,2−アミノチオール基、ペニシラミン基、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記リンカー部分が、ピペラジン、ポリ(エチレングリコール)、リジン、それらの誘導体およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記単一分子が、ビタミンE誘導体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ビタミンE誘導体が、水溶性形態に改変されているビタミンE化合物を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ビタミンE誘導体が、2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)−1−(アミノキシ)エタン;N−[2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(アミノアセチル)−ピペラジン;N−[2−(6−ヒドロキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(システイニル)−ピペラジン;N−[2−(6−ヒドロキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(ペニシラミル)−ピペラジン、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、経口投与される生成物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、溶液形態で提供される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る治療有効量の組成物を含む、透析溶液。
【請求項12】
前記組成物が、抗酸化部分、カルボニル捕捉部分、ならびに単一分子を形成するために該抗酸化部分および該カルボニル捕捉部分を連結するリンカー部分を含む、請求項11に記載の透析溶液。
【請求項13】
前記抗酸化部分が、ビタミンE、桂皮酸誘導体、ピリドキサミン、フラボノイド、リポ酸、抗酸化物質、天然抗酸化物質、合成抗酸化物質、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項12に記載の透析溶液。
【請求項14】
前記カルボニル捕捉部分が、アミノオキシ基、システイン基を含む1,2−アミノチオール基、ペニシラミン基およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項12に記載の透析溶液。
【請求項15】
前記リンカー部分が、ピペラジン、ポリ(エチレングリコール)、リジン、正電荷を含む有機部分、負電荷を含む有機部分、正電荷および負電荷を含む有機部分、それらの誘導体ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項12に記載の透析溶液。
【請求項16】
前記組成物が、ビタミンE誘導体を含む、請求項12に記載の透析溶液。
【請求項17】
前記ビタミンE誘導体が、水溶性形態に改変されているビタミンE化合物を含む、請求項16に記載の透析溶液。
【請求項18】
前記透析溶液が、血液透析溶液、血液濾過溶液、血液ダイアフィルトレーション溶液、および腹膜透析溶液からなる群より選択される、請求項11に記載の透析溶液。
【請求項19】
前記透析溶液が、前記組成物が添加された市販の透析溶液を含む、請求項11に記載の透析溶液。
【請求項20】
2つの部分の腹膜透析溶液であって、該2つの部分の腹膜透析溶液は、浸透因子を含む第1の部分;および
緩衝液を含む第2の部分を含み、該第1の部分および該第2の部分は使用前に混合され、該第1の部分および該第2の部分の少なくとも1つは、反応性カルボニル種および反応性酸素種を阻害し得る治療有効量の組成物を含む、2つの部分の腹膜透析溶液。
【請求項21】
前記組成物が、ビタミンE誘導体を含む単一分子を含む、請求項20に記載の2つの部分の腹膜透析溶液。
【請求項22】
前記組成物が、抗酸化部分、カルボニル捕捉部分、ならびに単一分子を形成するために該抗酸化部分および該カルボニル捕捉部分を連結するリンカー部分を含む、請求項20に記載の2つの部分の腹膜透析溶液。
【請求項23】
前記抗酸化部分が、ビタミンE、桂皮酸誘導体、ピリドキサミン、フラボノイド、リポ酸、抗酸化物質、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項22に記載の2つの部分の腹膜透析溶液。
【請求項24】
前記カルボニル捕捉部分が、アミノオキシ基、システイン基を含む1,2−アミノチオール基、ペニシラミン基、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項22に記載の2つの部分の腹膜透析溶液。
【請求項25】
前記リンカー部分が、ピペラジン、ポリ(エチレングリコール)、リジン、正電荷および/または負電荷を含む有機部分、それらの誘導体、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項22に記載の2つの部分の腹膜透析溶液。
【請求項26】
組成物を生成する方法であって、該方法は、以下の工程:
ビタミンEベースの化合物を調製する工程;および
該ビタミンEベースの化合物を処理して、反応性カルボニル種および反応性酸素種を阻害し得る単一分子を可溶な形態で生成する工程、
を包含する、方法。
【請求項27】
前記単一分子が、2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)−1−(アミノキシ)エタン;N−[2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(アミノアセチル)−ピペラジン;N−[2−(6−ヒドロキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(システイニル)−ピペラジン;N−[2−(6−ヒドロキシ−テトラメチルクロマン−2−イル)エチル]−N’−(ペニシラミル)−ピペラジン、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、ビタミンE誘導体由来である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
治療有効量の前記組成物を透析溶液に添加する工程;およびすぐに使用可能な(ready−to−use)透析溶液を形成する工程をさらに包含する、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記すぐに使用可能な透析溶液は、血液透析溶液、血液濾過溶液、血液ダイアフィルトレーション溶液、および腹膜透析溶液からなる群より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
患者に透析を提供する工程を包含する方法であって、該方法は以下の工程:
反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る治療有効量の組成物を含む透析溶液を提供する工程;および透析の間、該透析溶液を使用する工程、
を包含する、方法。
【請求項31】
前記患者が、血液透析、血液濾過、血液ダイアフィルトレーション、および腹膜透析からなる群より選択される透析を提供される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が、ビタミンE誘導体を含む単一分子を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物が、抗酸化部分、カルボニル捕捉部分、ならびに単一分子を形成するために該抗酸化部分および該カルボニル捕捉部分を連結するリンカー部分を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記抗酸化部分が、ビタミンE、桂皮酸誘導体、ピリドキサミン、フラボノイド、リポ酸、抗酸化物質、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記カルボニル捕捉部分が、アミノオキシ基、システイン基を含む1,2−アミノチオール基、ペニシラミン基、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記リンカー部分が、ピペラジン、ポリ(エチレングリコール)、リジン、正電荷および/または負電荷を含む有機部分、それらの誘導体、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
腎臓病患者における炎症および酸化的ストレスを軽減させる方法であって、該方法は、以下の工程:
反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る治療有効量の組成物を含む透析溶液を提供する工程;ならびに
該透析溶液を用いて該患者に透析を与える工程、
を包含する、方法。
【請求項38】
前記患者が、血液透析、血液濾過、血液ダイアフィルトレーションおよび腹膜透析からなる群より選択される透析を与えられる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記組成物が、ビタミンE誘導体を含む単一分子を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記組成物が、抗酸化部分、カルボニル捕捉部分、ならびに単一分子を形成するために該抗酸化部分および該カルボニル捕捉部分を連結するリンカー部分を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記抗酸化部分が、ビタミンE、桂皮酸誘導体、ピリドキサミン、フラボノイド、リポ酸、抗酸化物質、合成抗酸化物質、天然抗酸化物質、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記カルボニル捕捉部分が、アミノオキシ基、システイン基を含む1,2−アミノチオール基、ペニシラミン基およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記リンカー部分が、ピペラジン、ポリ(エチレングリコール)、リジン、正電荷および/または負電荷を含む有機部分、それらの誘導体ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記組成物が、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、皮下経路およびそれらの組み合わせからなる群より選択される経路によって投与される、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
患者における全身性炎症を軽減させる方法であって、該方法は、以下の工程:
反応性酸素種および反応性カルボニル種を阻害し得る組成物を提供する工程;および
治療有効量において該組成物を該患者に投与して、全身性炎症を軽減させる工程、
を包含する、方法。
【請求項46】
前記組成物が、ビタミンE誘導体を含む単一分子を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記組成物が、抗酸化部分、カルボニル捕捉部分、ならびに単一分子を形成するために該抗酸化部分および該カルボニル捕捉部分を連結するリンカー部分を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記抗酸化部分が、ビタミンE、桂皮酸誘導体、ピリドキサミン、フラボノイド、リポ酸、抗酸化物質、それらの誘導体およびそれらの組み合わせからなる群より選択され;前記カルボニル捕捉部分が、アミノオキシ基、システイン基を含む1,2−アミノチオール基、ペニシラミン基、それらの誘導体およびそれらの組み合わせからなる群より選択され;そして前記リンカー部分が、ピペラジン、ポリ(エチレングリコール)、リジン、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項49】
前記組成物が、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、皮下経路およびそれらの組み合わせからなる群より選択される経路によって投与される、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記組成物が、炎症性疾患を処置するために使用され得る、請求項45に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【公表番号】特表2008−507580(P2008−507580A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523607(P2007−523607)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/024913
【国際公開番号】WO2006/019855
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/024913
【国際公開番号】WO2006/019855
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]