説明

反応現像画像形成法

【課題】側鎖にヘテロ原子に結合したカルボニル基(C=O)を有し、カルボン酸基を有さないポリマーを用い、かつ現像液にテトラ置換アンモニウムヒドロキシドを含む水溶液を用いてフォトレジストを形成する方法を提供する。
【解決手段】基板上に側鎖にヘテロ原子に結合したカルボニル基を有し、カルボン酸基を有さないポリマー及び光酸発生剤から成るフォトレジスト層を設け、所望のパターンでマスクする段階、このパターン面に紫外線を照射する段階、及び該フォトレジスト層を現像液で処理する現像段階から成る反応現像画像形成法であり、この現像液はテトラ置換アンモニウムヒドロキシド及び低分子アルコールを含む水溶液である。ポリマーの構造により、ポジ型又はネガ型のフォトレジストが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体集積回路、プリント配線基板又は液晶パネル等の製造に用いることのできるフォトレジスト技術に関し、より詳細には、側鎖にヘテロ原子に結合したカルボニル基を有するポリマー及び光酸発生剤を用いて成膜して光照射し、現像工程を経てポジ型又はネガ型画像を形成するフォトレジスト技術に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは通常、写真甲板加工における関連技術において、印刷板プリント電子回路及びプリント回路基板の製造やミクロ電子工学における半導体積層品の製造などのために使用されている。
ミクロ電子工学の半導体集積部品の製造において回路構造を作るために半導体基材はフォトレジストで被覆されるフォトレジスト層の画像形成露光及びこれに続く現像はフォトレジストレリーフ構造を作り出す。このレリーフ構造は半導体基材上に、金属又は他の半導体又は絶縁基材を用いたエッチング−ドーピング、被覆により実際の回路パターンを作るためのマスクとして使用される。その後、フォトレジストマスクは通常除かれる。複数のかかる加工サイクルを用いてマイクロチップのレリーフ構造は基材に形成される。
フォトレジストには2種のフォトレジスト、即ちポジ型レジストとネガ型レジストがある。ポジ型フォトレジストの露光域は現像プロセスにより除去され、未露光域が基材上に層として残る。一方、ネガ型作用フォトレジストの露光域はレリーフ構造として残る。
【0003】
従来のポジ型フォトレジストは、側鎖にカルボン酸基やフェノール性水酸基を有するポリマーと、アルカリ中においてこの樹脂の溶解度を低減させる感光性キノンジアジド化合物を本質的に含有していた。かかる組成物で作られたフォトレジスト層を照射することにより、キノンジアジドのカルボン酸誘導体への光誘起構造変換によって露光域のアルカリ中の溶解度が増大し、このため水性アルカリ現像液中での現像の後、ポジ型フォトレジストレリーフ構造が得られる。
また、一般にカプトンと呼ばれるポリイミドは溶剤に難溶であるため、その前駆体の不安定なポリアミド酸を用い、これにアクリル酸系のエステルを添加した系の光照射によってネガ型の画像が得られていた。
これらの従来のフォトレジスト技術においては、現像液はテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の水溶液を使用するのが一般であり、従来の作業工程を新規のフォトレジスト技術に代えるためには、このような汎用の現像液を使用することが望ましかった。
【0004】
一方、発明者らは、何ら特殊な反応基を樹脂骨格の側鎖に持たせることなしに、ヘテロ原子に結合したカルボニル基(C=O)を主鎖に有する汎用ポリマーを用いて、ポジ型フォトレジストを行う「反応現像画像形成法」という手段を開発した(特許文献1)。しかし、この方法においては、現像液に求核性アミン等のアルカリを用いる必要があった。そのため、発明者らは、ヘテロ原子に結合したカルボニル基(C=O)を主鎖に有する汎用ポリマーを用いて、テトラ置換アンモニウムヒドロキシド、低分子アルコール及び水を含む溶媒から成る現像液を用いることにより、ネガ型フォトレジストを形成する方法を開発した(特許文献2)。
また、発明者らは、側鎖にヘテロ原子に結合したカルボニル基(C=O)を有するポリマーを用いてフォトレジストを形成する方法を検討し、現像液に金属アルコキシドを用いることにより、ポジ型フォトレジストを形成する方法を開発した(特許文献3,4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-076013
【特許文献2】特開2007-328333
【特許文献3】特開2005-140878
【特許文献4】特開2006-221019
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、発明者らが開発した、側鎖にヘテロ原子に結合したカルボニル基(C=O)を有し、カルボン酸基(−COOH)を有さないポリマーを用いてポジ型フォトレジストを形成する方法(特許文献3,4)においても、現像液が汎用の現像液と異なるため、なかなか応用が広がらなかった。
そのため、発明者らは、側鎖にヘテロ原子に結合したカルボニル基(C=O)を有するポリマーを用い、かつ現像液にテトラ置換アンモニウムヒドロキシドを含む水溶液を用いてフォトレジストを形成する方法を検討した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、テトラ置換アンモニウムヒドロキシドと低分子アルコールとの混合により、一部のヒドロキシドルアニオンが低分子アルコールと反応し、アルコキシド種が生成することに着目し、検討を重ねた結果、側鎖にヘテロ原子に結合したカルボニル基(C=O)を有するポリマーを用い、かつ現像液にテトラ置換アンモニウムヒドロキシド及び低分子アルコールを含む水溶液を用いてフォトレジストを形成する方法を完成させた。
即ち、本発明は、基板上に側鎖にヘテロ原子に結合したカルボニル基を有し、カルボン酸基を有さないポリマー及び光酸発生剤から成るフォトレジスト層を設け、所望のパターンでマスクする段階、このパターン面に紫外線を照射する段階、及び該フォトレジスト層を現像液で処理する現像段階から成り、該現像液がテトラ置換アンモニウムヒドロキシド及び低分子アルコールを含む水溶液である、ポジ型画像又はネガ型画像を形成するための反応現像画像形成法である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1〜9において形成されたフォトレジトのSEM写真を示す図である。写真の(1)〜(9)はそれぞれ実施例1〜9で形成されたフォトレジストに対応する。実施例1、2、6〜8においては、矩形部以外をマスクする(矩形部を照射する)パターンを用い、実施例3〜5、9においては、矩形部をマスクする(矩形部以外を照射する)パターンを用いた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で用いるポリマーは側鎖にヘテロ原子に結合したカルボニル基(C=O)を有し、カルボン酸基(−COOH)を有さない。
この側鎖にヘテロ原子に結合したカルボニル基(C=O)を有するポリマーは、そのポリマーがカルボニル基を含む置換基を有すればよく、このような置換基としては、下式
【化1】

で表される置換基、好ましくは下式
【化2】

で表される置換基が挙げられる。これらの式中、Rとして、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基が挙げられ、Rとしては、アルキル基、アリール基が挙げられる。
【0010】
なお、上記ポリマーを構成する各モノマーが全て側鎖にヘテロ原子に結合したカルボニル基(C=O)を有する必要はなく、上記ポリマーは側鎖にヘテロ原子に結合したカルボニル基(C=O)を有するモノマーとその他のモノマーとのコポリマーであってもよい。
なお本願発明の方法においては、ポリマーの構造により、ポジ型又はネガ型のフォトレジストが得られる。即ち、ポリマーが側鎖に芳香環、好ましくはフェニル基を多く有する場合には、ポジ型のフォトレジストが得られ、ポリマーが側鎖に芳香環を少なく有する又は有しない場合には、ネガ型のフォトレジストが得られる傾向がある。
【0011】
ベースとなるポリマーとしては、好ましくはポリビニル、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリオキシフェニレン、ポリスルフィド、ポリケトン等が挙げられる。ポリビニルとしては、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ニトロフェニル、α−シアノアクリル酸メチル、スチレン、イソブテン、アルキルビニルエーテル、アリールビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、ブタジエンを付加重合させたもの、又はこれらから成る共重合体が挙げられる。主鎖にイミド、カーボナート、エステル、ウレタン又はアミド結合を有するポリマーであってもよい。
このポリマーにヘテロ原子に結合したカルボニル基を導入するために、このポリマーにヘテロ原子に結合したカルボニル基を有する置換基を公知の方法で導入してもよいし無水マレイン酸、マレインアニリド、マレインアニル(N-フェニルマレイミド)、マレインアミド、マレイミド、又はこれらの誘導体等のヘテロ原子に結合したカルボニル基を有するモノマーを付加重合させてポリマーを得てもよい。
本発明のポリマーとして、これらポリマーを構成するモノマーを複数種重合させたコポリマーを用いてもよい。
【0012】
本発明で用いる光酸発生剤(感光剤)は、光照射により酸を発生するものであればよい。この光酸発生剤として、キノンジアジド化合物、オニウム塩、スルホン酸エステル類、有機ハロゲン化合物等が挙げられる。キノンジアジド化合物としては1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸と低分子芳香族ヒドロキノン化合物、例えば2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンや2,3,4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン及びトリヒドロキシベンゼン、例えば1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、又はクレゾールのエステル生成化合物が挙げられる。オニウム塩としては、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。これらは安息香酸t−ブチルなどのエステルと一緒に使用される。これらの中で、下式
【化3】

で表される置換基を有する化合物が好ましい。この化合物はこの置換基を複数有していてもよい。このような化合物として、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸−p−クレゾールエステル、α,α,α'-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼンの3つのヒドロキシ基のうち1〜3個が1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸エステルである化合物等が挙げられ、好ましくはα,α,α'-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼンの3つのヒドロキシ基のうち1〜3個が1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸エステルである化合物である。
光酸発生剤はフォトレジスト中に全固形含量に対して5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは15〜30重量%用いられる。
【0013】
フォトレジスト溶液の製造に適する溶剤は原則としてフォトレジストの不揮発成分、例えばポリマー及び光酸発生剤及びその他の添加剤が十分に可溶であり、かつこれらの成分と不可逆的に反応しない全ての溶剤である。適する溶媒は、例えば、非プロトン性極性溶媒、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」という。)、ブチロラクトン、シクロヘキサノン、ジアセトキシエチレングリコール、スルホラン、テトラメチル尿素、N,N'−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジグライム、フェノール、クレゾール、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン等である。
【0014】
本発明のポジ型フォトレジスト中に存在し得る別の慣用の改良添加剤としては、カップリング剤、均添剤、可塑剤、別の膜形成樹脂、界面活性剤及び安定剤よりなる。これらの改質剤は当業者にとって周知である。かかる改質剤の量は全て合わせてもフォトレジスト溶剤の固形分全含有量に基づいて25重量%を超えることはない。
本発明のフォトレジストはそれ自身公知の方法により成分を溶剤又は溶剤混合物中に混合又は溶解することにより配合される。一旦成分は溶液中に溶解され、得られたフォトレジスト溶液は0.1〜1μmの細孔を有するろ過膜を用いてろ過してもよい。
【0015】
このようなフォトレジスト溶液を用いて基板上にフォトレジスト層を形成することができる。この基板として、樹脂等有機物、無機物、金属などいずれを用いてもよいが、銅基板やシリコン基板が好ましい。
基板上への被覆は通常、浸漬、噴霧、ロール塗り又はスピンコーティングによって行われる。生じた層の厚さはフォトレジスト溶液の粘度、固形分含量及びスピンコーティング速度に依存する。本発明のフォトレジストは0.1〜500μm、好ましくは1〜100μmの層厚を持つ層及びレリーフ構造を作ることができる。多層回路における薄層は一時の間に合わせのフォトレジストとして又は絶縁層として1〜50μmにすることができる。
フォトレジストを基材に塗布した後、これに普通50〜120℃の温度範囲で予備乾燥させる。オーブン又は加熱プレートを使用できる。オーブン中での乾燥時間は5〜60分である。
【0016】
その後、所望のパターンでマスクされた上で、フォトレジスト層は紫外線の照射を受ける。紫外線とはその中心波長が250〜450nm、好ましくは300〜400nmにある電磁波をいう。通常、化学線の光が使用されるが、また高エネルギー放射線、例えばX線又は電子ビーム線を試用することができる。直接照射又は露光マスクを介して行うことができる。また、輻射線ビームをフォトレジスト層の表面に当てることもできる。
普通、輻射は紫外線ランプを用いて行われる。市販で入手できる輻射装置、例えば接触又は非接触露光機、走査投光型露光装置又はウエハステッパーを使用することが好ましい。
【0017】
露光の後、フォトレジスト層を現像液で現像処理を行う。
本発明で用いる現像液は、テトラ置換アンモニウムヒドロキシド、低分子アルコール及び水を含む溶媒から成る。
このテトラ置換アンモニウムヒドロキシドは、現像液中のアルコール成分をアルコキシドにさせる。
このテトラ置換アンモニウムヒドロキシドは、下式で表される。
NR'OH
式中、R'は、それぞれ同じであっても異なってもよく、炭化水素基、好ましくはアルキル基、より好ましくは炭素数が1〜3のアルキル基を表す。
好ましいテトラ置換アンモニウムヒドロキシドとしては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドが挙げられる。
【0018】
この低分子アルコールは、現像液中で一部がアルコキシドになる。そのため、分子量が150以下のアルコール、特に水酸基あたりの炭素数が1〜8、好ましくは1〜3のアルキルアルコールが好ましく用いられる。このような低分子アルコールとして、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、オクタノール、エチレングリコール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール等が挙げられる。
【0019】
現像液は、更に、水又は低分子アルコールと相溶し、かつポリマー及び光酸発生剤を溶解させる性能を持つ有機溶媒を含んでもよく、このような溶媒として、NMP、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ブチロラクトン、ジアセトキシエチレングリコール、シクロヘキサノン、ポリエチレングリコール(数平均分子量500程度以下)等が挙げられる。
【0020】
好ましい現像液の組成は、テトラ置換アンモニウムヒドロキシド(TMAHなど)/有機溶媒(NMPなど)/水/アルコール(メタノールなど)であり、これらの重量比は、通常1/0〜20/1〜30/3〜50、好ましくは1/0〜8/1〜10/3〜25、より好ましくは1/0〜3/2.5〜4/8〜10である。
【0021】
現像は、ポリマーやその他の成分の種類、現像液の種類、露光エネルギー、現像の形式、予備乾燥温度、現像温度、現像時間を考慮して行う。
現像後、適当な溶媒で洗浄してもよい。
本発明のフォトレジストは0.1〜500μm、好ましくは1〜100μmの層厚を有するポリマー被膜及び鋭い輪郭丸みを付けられたれレリーフ構造をとることができる。
【実施例】
【0022】
以下、実施例にて本発明を例証するが、本発明を限定することを意図するものではない。本実施例においては、以下の方法でフォトレジストを形成させて観察した。フォトレジストは、各実施例のフォトレジスト配合物を、3μm細孔径のろ過膜でろ過し、表面処理がされた直径10cmの銅箔の表面上に、スピンコート法で塗布した。次いで、遠赤外線熱風循環式乾燥機(いすゞ製作所:DSSF-111)で乾燥した。このフォトレジスト配合物塗布膜上に、ポジ型およびネガ型フォトマスク用のテストパターン(3-200μmのラインアンドスペースパターン)を置き、2kw超高圧水銀灯照射装置(オーク製作所:JP-2000G)を用いて、画像が得られる露光量で照射した。
現像液中に、上記照射後の塗布膜を浸漬した後、イオン交換水で洗浄し、赤外線ランプで乾燥後、解像度を観察した。いくつかの実施例においては、形成したフォトレジストをSEM(日本電子、走査型電子顕微鏡:JSM-6390LV、加速電圧:1.2kV)により観察した。
また、現像時間は、可溶部が完全に溶解するまでに要した時間とし、膜厚は接触式膜厚計(ニコン、デジマイクロ:MF-501)により測定した。
【0023】
実施例1
N-フェニルマレイミドとスチレンをラジカル共重合させて合成したN-フェニルマレイミド‐スチレン共重合体(以下、「PMS」という。数平均分子量:172,000、下式、式中、m及びnはこの数平均分子量に対応する重合度に相当する数字であり、この式は量比のみを表す。以下同様。m:n = 50:50)0.5gを、NMP 2.1gに溶解させた。
【化4】

その後、ジアゾナフトキノン系光酸発生剤BADNQ1(α,α,α'-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼンのヒドロキシ基の1つが1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸エステルの化合物、下式)0.1gを添加して、スターラーを用いて室温で約1時間撹拌し、フォトレジスト配合物を調製した。
【化5】

この溶液を35μmの電解銅箔上(マット面)にスピンコート法にて塗布し、赤外線熱風乾燥機(いすゞ製作所製)でプリベーク(90℃/10分)した後、膜厚10.0μmの感光性PMS被塗膜を得た。
この感光性被塗膜に対し、紫外線露光機(オーク製作所製)を用い、PET製フォトマスク(パターンの部分が露光されるタイプ)を介してi線からg線帯域の光を300mJ/cm2(i線帯域用の照度計で測定)照射した。
露光後、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)/ 水/NMP/メタノール(重量比:2/5/5/18)から成る現像液5gに、50℃/超音波処理下で一定時間浸漬させた後、イオン交換水100gで1分間洗浄し、ポジ型の像を得た。このとき現像時間は5分1秒であった。解像度はラインアンドスペースパターンで25μmであった。このフォトレジストのSEM画像を図1(1)に示す。
【0024】
実施例2
光酸発生剤としてBADNQ1の代わりに、BADNQ2(α,α,α'-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼンのヒドロキシ基の2つが1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸エステルの化合物、下式)を用い、実施例1と同様にして膜厚9.9μmの感光性被塗膜を得た。
【化6】

この感光性被塗膜に対し、実施例1と同様に紫外線を照射し、現像処理を行い、その結果、ポジ型の像を得た。現像時間は49分56秒であり、解像度はラインアンドスペースパターンで40μmであった。このフォトレジストのSEM画像を図1(2)に示す。
【0025】
実施例3
ポリマーとしてPMSの代わりに、N-フェニルマレイミドとn-ブチルビニルエーテルをラジカル共重合させて合成したN-フェニルマレイミド‐n-ブチルビニルエーテル共重合体(以下、「PMnBE」という。数平均分子量:37,000、下式、m:n = 40:60)を用い、実施例2と同様にして膜厚8.6μmの感光性被塗膜を得た。
【化7】

この感光性被塗膜に対し、実施例1と同様に紫外線を照射し、現像処理を行い、その結果、ポジ型の像を得た。このとき現像時間は53秒であった。解像度はラインアンドスペースパターンで30μmであった。このフォトレジストのSEM画像を図1(3)に示す。
【0026】
実施例4
光酸発生剤としてBADNQ2の代わりに、BADNQ3(α,α,α'-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼンのヒドロキシ基の3つが1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸エステルの化合物、下式)を用い、実施例3と同様にして膜厚8.5μmの感光性被塗膜を得た。
【化8】

この感光性被塗膜に対し、実施例1と同様に紫外線を照射し、現像処理を行い、その結果、ポジ型の像を得た。このとき現像時間は1分37秒であった。解像度は30μmであった。このフォトレジストのSEM画像を図1(4)に示す。
実施例5
光酸発生剤としてBADNQ2の代わりに、ジアゾナフトキノン系光酸発生剤PC-5(東洋合成製、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸-p-クレゾールエステル、下式)を用い、実施例3と同様にして膜厚9.1μmの感光性被塗膜を得た。
【化9】

この感光性被塗膜に対し、実施例1と同様に紫外線を照射し、現像処理を行い、その結果、ポジ型の像を得た。現像時間は1分9秒であり、解像度はラインアンドスペースパターンで30μmであった。このフォトレジストのSEM画像を図1(5)に示す。
【0027】
実施例6
ポリマーとしてPMSの代わりに、N-メチルマレイミドとn-ブチルビニルエーテルをラジカル共重合させて合成したN-メチルマレイミド‐n-ブチルビニルエーテル共重合体(以下、「MMnBE」という。数平均分子量:43,000、下式、m:n = 37:63)を用い、実施例1と同様にして膜厚9.7μmの感光性被塗膜を得た。
【化10】

この感光性被塗膜に対し、実施例1と同様に紫外線を照射し、現像処理を行い、その結果、ネガ型の像を得た。このとき現像時間は59秒であった。解像度はラインアンドスペースパターンで30μmであった。このフォトレジストのSEM画像を図1(6)に示す。
【0028】
実施例7
光酸発生剤としてBADNQ1の代わりに、BADNQ2を用い、実施例6と同様にして膜厚9.1μmの感光性被塗膜を得た。
この感光性被塗膜に対し、実施例1と同様に紫外線を照射し、現像処理を行い、その結果、ネガ型の像を得た。このとき現像時間は1分51秒であった。解像度はラインアンドスペースパターンで45μmであった。このフォトレジストのSEM画像を図1(7)に示す。
実施例8
光酸発生剤としてBADNQ1の代わりに、PC-5を用い、実施例6と同様にして膜厚6.8μmの感光性被塗膜を得た。
この感光性被塗膜に対し、実施例1と同様に紫外線を照射し、現像処理を行い、その結果、ネガ型の像を得た。このとき現像時間は2分3秒であった。解像度はラインアンドスペースパターンで50μmであった。このフォトレジストのSEM画像を図1(8)に示す。
実施例9
実施例5と同様にして得た膜厚9.2μmの感光性被塗膜に対し、実施例5と同様に紫外線を照射した。露光後、TMAH/水/エタノール(重量比:2/6/18)から成る現像液5gに、50℃/超音波処理下で一定時間浸漬させた後、イオン交換水100gで1分間洗浄し、ポジ型の像を得た。このとき現像時間は5分23秒であった。解像度はラインアンドスペースパターンで120μmであった。このフォトレジストのSEM画像を図1(9)に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に側鎖にヘテロ原子に結合したカルボニル基を有し、カルボン酸基を有さないポリマー及び光酸発生剤から成るフォトレジスト層を設け、所望のパターンでマスクする段階、このパターン面に紫外線を照射する段階、及び該フォトレジスト層を現像液で処理する現像段階から成り、該現像液がテトラ置換アンモニウムヒドロキシド及び低分子アルコールを含む水溶液である、ポジ型画像又はネガ型画像を形成するための反応現像画像形成法。
【請求項2】
前記ポリマーが、側鎖に下式
【化1】

(式中、Rは、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基又はアリールアミノ基を表し、基Rは、アルキル基又はアリール基を表す。)の置換基を有するポリマーである請求項1に記載の反応現像画像形成法。
【請求項3】
前記現像液が更に、水又は低分子アルコールと相溶し、かつポリマー及び光酸発生剤を溶解させる性能を持つ有機溶媒を含有する請求項1又は2に記載の反応現像画像形成法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−57864(P2013−57864A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197067(P2011−197067)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(504182255)国立大学法人横浜国立大学 (429)
【Fターム(参考)】