受信装置、受信制御方法、及び受信制御プログラム
【課題】再同期処理や他の同期信号の受信処理等の処理を減らすことができ、その処理で消費する電力を削減すること。
【解決手段】送信装置から送信された時間同期に用いる少なくとも2種類以上の同期信号を間欠受信する受信装置において、前記時間同期のための時間を測定する受信制御部と、前記間欠受信した同期信号と予め記憶する同期信号との相違により、前記受信制御部が測定する時間のずれを検出する時間ずれ検出部と、前記受信制御部における時間の測定精度と、前記同期信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定する時間ずれ検出信号決定部と、を備える
【解決手段】送信装置から送信された時間同期に用いる少なくとも2種類以上の同期信号を間欠受信する受信装置において、前記時間同期のための時間を測定する受信制御部と、前記間欠受信した同期信号と予め記憶する同期信号との相違により、前記受信制御部が測定する時間のずれを検出する時間ずれ検出部と、前記受信制御部における時間の測定精度と、前記同期信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定する時間ずれ検出信号決定部と、を備える
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置、受信制御方法、及び受信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、第3世代移動体通信システムの周波数帯に第4世代向けに検討されていた技術の一部を導入することによって、通信速度の高速化を目的としたEvolved Universal Terrestrial Radio Access(以下、EUTRAと称する)が標準化団体3GPP(3rd Generation Partnership Project:第三世代パートナーシッププロジェクト)にて検討されている(非特許文献1)。
EUTRAでは、通信方式として、マルチパス干渉に強く、高速伝送に適したOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access:直交周波数分割多重)方式を採用することが決まっている。また、EUTRAに関するデータ転送制御やリソース管理制御といった上位レイヤの動作に関する詳細仕様は、低遅延、低オーバーヘッド化を実現し、更に可能な限り簡易な技術の採用が進められている。
【0003】
セルラ移動通信方式では、移動局装置が基地局装置の通信エリアであるセルまたはセクタ内において、基地局装置から送信される信号を受信するため、基地局装置の無線フレームにおけるスロットとフレームとの同期をとる必要がある。基地局装置は、既定の構成から成る同期チャネルSCHを送信し、移動局装置にて予め記憶する同期チャネルSCHとの相関をとり、同期チャネルSCHを検出することで、基地局装置と同期をとる。EUTRAでは、同期チャネルSCHとしてプライマリ同期チャネルP−SCH(Primary SCH)とセカンダリ同期チャネルS−SCH(Secondary SCH)が用意されている。
【0004】
図9に示すように、移動局装置は、プライマリ同期チャネルP−SCHのレプリカ信号と受信信号とで時間領域での相関をとることによってスロット同期(ステップ1)を取得し、更にセカンダリ同期チャネルS−SCHのレプリカ信号と受信信号とで、時間領域あるいは周波数領域での相関をとり、得られたセカンダリ同期チャネルS−SCHの送信パターンによってフレーム同期を取得すると共に、基地局装置を識別するためのセルID(Identification:識別情報)を特定する(ステップ2)。セルIDを特定することにより、下り信号の復調や、受信品質の測定、さらには同期の維持のために利用される下りリファレンス信号の系列を一意に特定することが可能である。
このような一連の制御、つまり、移動局装置が基地局装置と同期をとり、更にその基地局装置のセルIDを特定するまでのステップをセルサーチ処理と呼ぶ。
【0005】
また、移動局装置は、基地局装置を通じて携帯電話網等の移動通信システムに対して自装置が在圏するセルの情報を通知し、移動通信システムが、移動局装置が在圏するセルの情報を登録(以下、位置登録という)する。これにより、移動通信システムが移動局装置宛の信号を、当該位置登録を行ったセルの基地局装置に送信し、移動局装置は、当該基地局装置から、自装置宛の信号を受信することが可能となる。
位置登録を行なった移動局装置は、ページングチャネル(PCH)を復調することで、自装置宛の通信の呼び出し(以下、ページング要求)の有無を検出することが可能となる。
【0006】
通信システムにおいて、移動局装置に対して着信があった場合、その旨を移動局装置に通知する必要がある。ネットワークは、移動局装置の位置情報を位置登録エリアで管理しており、移動局装置が位置登録している位置登録エリア内の全移動局装置に対して着信があったことを同報的に通知する。この手順をページングと呼ぶ。ページングは、登録された位置登録エリアに収容されているすべての基地局装置から移動局装置に対して行なわれる。移動局装置は、アイドルモード(待ち受け状態)の場合には、PCHの信号を常に監視しているため、自装置に対するページングを認識することが可能であり、ページング要求に含まれる位置登録エリアやIDと、自分の記憶する位置登録エリアやIDなどの既定のパラメータが合致した場合にネットワークに応答を返す。
【0007】
次に、ページングに関係するWCDMAの主な物理チャネルとトランスポートチャネルの概要を簡単に説明する。
ページングインジケーターチャネルPICHは、下りリンクの共通チャネルであり、ページングのための信号がマッピングされる第二共通制御物理チャネルS−CCPCHに対応したトランスポートチャネルのページングチャネルPCH(Paging Channel)と対で存在し、移動局装置の集まりである各着信群に対する音声呼(CS:Circuit Switch)またはパケット呼(PS:Packet Switch)着信情報の有無を送信する。着信群#n番に属する移動局装置は、ページングインジケーターチャネルPICHにて着信群#n番に対する着信がありと通知された場合に、第二共通制御物理チャネルS−CCPCHにマッピングされた対応する無線フレーム内のページングチャネルPCHを受信し、着信の有無を判断する。
【0008】
ページングインジケーターチャネルPICHは、移動局装置のバッテリーセービングの向上のため、間欠受信IR(Intermittent Reception)比率を低減することを目的として設定されたチャネルである。ページングインジケーターチャネルPICHは移動局装置に対する着信の有無を通知するための、着信群#n番に属する移動局装置に対して短いページングインジケータPI(Paging Indicator)を送信しており、アイドルモードの移動局装置は通常このページングインジケータPIのみを受信する。移動局装置は、ページングインジケータPIにて着信があることを知らされた場合のみ、ページングインジケータPIに対応するページングチャンルPCHを受信する。
ページングインジケータPIは複数の着信群#n番に群分けされており、1つの着信群#n番あたりの着信頻度を極めて低くできるため、アイドルモードの移動局装置は短いページングインジケータPIのみを受信すればよく、長い(情報量が多い)ページングチャネルPCHの信号を受信する頻度を極めて低くできる。
【0009】
さらに、EUTRAにおけるページングについて説明を行なう。ページングについての説明を行なう前に、EUTRAにおける下り信号の無線フレーム構成の一例を図10に示す。
図10では、横軸に時間軸をとっており、縦軸に周波数軸をとっている。無線フレームは、周波数軸を複数のサブキャリアの集合で構成される一定の周波数領域(BR)と、一定の送信時間(スロット)で構成される領域を一単位として構成されている。(非特許文献1)
また、1スロットの整数倍から構成される送信時間をサブフレームと呼ぶ。更に、複数のサブフレームをまとめたものをフレームと呼ぶ。図10では、1サブフレームが2スロットから構成される場合を示している。この一定の周波数領域(BR)と1スロット長で区切られた領域を、リソースブロックと呼ぶ。また、1フレームは10サブフレームから構成される。図10中のBWはシステム帯域幅を示しており、BRはリソースブロックの帯域幅を示している。
【0010】
図11はEUTRAのフレーム内におけるプライマリ同期チャネルP−SCH、セカンダリ同期チャネルS−SCH、下りリファレンス信号の一例を示した図である。図において1サブフレームは14OFDMシンボルで構成されるものとする。また、1BRは12サブキャリアで構成されるものとする。図11に示すように、セカンダリ同期チャネルS−SCH、プライマリ同期チャネルP−SCHは、基地局装置の送信周波数帯域中心の6BRで、サブフレーム#0と#5のそれぞれ6、7OFDMシンボル目で送信される。下りリファレンス信号は基地局装置の送信アンテナ数によって異なるが、いずれのアンテナ数においても各サブフレームの1OFDMシンボル目には必ず配置される。また、各サブフレームの先頭のn OFDMシンボル(1≦n≦3)には物理下り制御信号が、下りリファレンス信号以外の場所に配置される。
【0011】
EUTRAのページングの処理は前記フレーム構成において、移動局装置が各サブフレームの先頭に配置されている物理下り制御信号に含まれるページングインジケータPIに相当する信号を受信する。前記信号を受信した移動局装置は、当該サブフレームの物理下り制御信号以降のOFDMシンボルに含まれるページングチャンルPCHに相当する情報を復調し、自装置宛の信号の有無を確認する。
【0012】
移動局装置はページングのための信号を監視する必要があるが、音声通話の呼び出しやメールの着信の場合などでは、数百msから数秒の遅延があっても大きな問題にはならない。つまり、数百msから数秒の間隔でページングを配置することが可能であり、移動局装置はそのページングの配置されている区間のみ電波を受信して自装置宛のページングの有無を確認することができる。この間欠受信の受信期間以外における無線送受信動作を停止させることにより省電力化を図ることが可能となる。
【0013】
上述のセルサーチ処理により、同期処理を行った移動局装置は、間欠受信処理により、下りリファレンス信号、同期チャネルSCH、及びページング信号(通信要求信号)の受信処理を行う。このとき、基地局装置、移動局装置各々で行なっている時間の測定精度は異なるので、それぞれの装置の時間の測定精度により、同期の時間のずれ(以下、同期時間ずれという)が生じる場合がある。
この同期時間ずれを補正するため、移動局装置は、基地局装置から既知のタイミングで送られる既知の信号(例えば、プライマリ同期チャネルP−SCH、セカンダリ同期チャネルS−SCH、又は下りリファレンス信号)を受信し、この既知の信号を用いて同期時間ずれを検出して、同期時間ずれを補正することによって同期維持処理を行う。
なおWCDMAでは、同期時間のずれを補正するための既知の信号は、ロングコードPN符号等である。
【0014】
WCDMAにおける同期タイミングずれの補正のひとつの方法が特許文献1に記載されている。特許文献1には、移動局装置は間欠受信開始時にロングコードPN符号を64チップ長受信・保持し、間欠受信タイミングから時間mだけ前で受信が想定される符号を初期位相として設定する。その後、保持している受信符号と、初期位相から時間2mまでの位相を用いて順に逆拡散してエンベロープ値を蓄積する。蓄積されたエンベロープ値から最大値を検出することで、間欠受信の理想タイミング±mの範囲における実際の受信タイミングが検出できる。ここで最大値が既定の閾値を下回る場合は、±mの範囲から外れたものとみなして、セルの再度の同期処理である再同期処理(サーチ動作)を行なう。
このようにWCDMAでは長周期の信号が常に受信可能であるため、同期の補正は比較的容易に行なうことができるが、EUTRAにおいては、既知の信号として長周期の信号は用いられていないため、上記の手法を用いることができないため、同期チャネルや下りリファレンス信号を用いて補正を行なう必要がある。
【0015】
EUTRAでは通常、受信信号はFFT処理が施されて周波数領域の信号として扱うため、同期時間ずれの検出も周波数領域で検出できることが望ましい。
周波数領域での下りリファレンス信号の受信信号F’は、正しいタイミングより時間τずれている場合、移動局装置が予め記憶する時間ずれがないときの下りリファレンス信号の受信信号F(式(1))を用いて、式(2)で示される。
【0016】
【数1】
【0017】
【数2】
【0018】
ここで、eはネイピア数(自然対数の底)、jは虚数単位、ωはサブキャリアの周波数(角速度)であり、f(t)は時間領域での受信信号である。
移動局装置は、下りリファレンス信号の受信信号F’(ω)を検出し、F(ω)を除算することで、ejθ(ω)を検出する。ここで、位相θ(ω)は周期的な値となることから、同期時間ずれτを一意に検出するためには、ある周波数ω1とω2での位相θ(ω1)、θ(ω2)の位相差、つまり、θ(ω1)−θ(ω2)が、−π<θ(ω1)−θ(ω2)<πである必要がある。この場合、式(2)より、同期時間ずれτは、τ=−(θ(ω1)−θ(ω2))/(ω1−ω2)として一意に検出することができる。
【0019】
なお、θ(ω1)−θ(ω2)が、−π<θ(ω1)−θ(ω2)<π以外の値をとる場合、−π以下の値であるのかπ以上の値であるのかを判断できないため、同期時間ずれτを一意に検出できなくなる。この場合、移動局装置は、同期の維持ができず、再度の同期処理(以下、再同期処理という)が必要となる。
また、この同期時間ずれτの検出方法は、同期チャネルSCHでも同じである。また、より広い同期時間ずれτを検出したい場合、ω2−ω1=Δωを小さくとる必要がある。また、以下、この同期時間ずれτの補正(信号の受信タイミングをτずらすことによりτを0に近づける処理)を同期時間ずれ補正という。
【0020】
現在EUTRAで検討されている前記プライマリ同期チャネルP−SCH、セカンダリ同期チャネルS−SCH、下りリファレンス信号のうち、プライマリ同期チャネルP−SCHとセカンダリ同期チャネルS−SCHは全サブキャリアに信号が配置されるが、下りリファレンス信号については、6サブキャリアごとの配置が検討されている。単純に比較した場合、プライマリ同期チャネルP−SCHやセカンダリ同期チャネルS−SCHを用いた同期時間ずれτを検出できる、つまり、同期時間ずれ補正可能な範囲は、下りリファレンス信号の6倍と考えることができる。
また、下りリファレンス信号として位相回転を用いた複数の直交符号を用いた場合、例えば位相回転が、[0,0,0,0,0,・・・]、[0,2/3π,4/3π,6/3π(=0),8/3π(=2/3π),・・・]、[0,4/3π,8/3π,12/3π(=0),16/3π(=4/3π),・・・]となる2/3πずつずれた3つの直交符号を下りリファレンス信号として用いた場合、複数のセクタや基地局装置からの下りリファレンス信号(干渉電波)を受信すると、θ(ω1)−θ(ω2)の値が、位相差2/3πの半分であるπ/3以上となると、下りリファレンス信号に施されている位相回転と同期時間ずれによって生じる位相回転の識別ができなくなる。そのため、同期時間ずれτを検出できる範囲は−π/3<Δωτ<π/3となり、下りリファレンス信号を用いた同期時間ずれ補正可能な範囲は狭くなることになる。
【0021】
上記手法を考慮した場合のEUTRAにおける同期時間ずれ補正可能な範囲は、非特許文献2に記載されており、その値は下りリファレンス信号に位相回転を用いた直交符号を用いた場合で±1.9[μs]、直交符号を用いない場合で±5.6[μs]である。また、WCDMAでは、同期時間ずれ補正可能な範囲は、±33[μs]である。
以上述べたように、同期時間ずれτが小さい場合には、下りリファレンス信号を用いて同期時間ずれτを補正できるが、ずれが大きい場合には、1フレームに2箇所(5msに1箇所)置かれる同期チャネルSCHを用いて補正する必要がある。これは自移動局装置がデータを受信するサブフレーム以外にも前記同期チャネルSCHの含まれるサブフレームを復調する必要があることを意味する。
【0022】
また、特許文献2ではタイマ計時を行って、その前後のずれからDRXサイクル計時の補正を行なう手法や、通信時に用いられる高精度なクロックを用いてDRXサイクルを計時する低精度なクロックを補正する手法などが記載されている。
【非特許文献1】3GPP TS(Technical Specification)36.211、Physical Channels and Modulaltion.V8.0.0http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html−info/36211.htm
【非特許文献2】Nokia,“Performance of Orthogonal Sequences for Reference signals”,R1−080289,3GPP TSG−RAN WG1 Meeting #51bis,Seville, Spain, 14−18 January 2008
【特許文献1】特開平11−284599号公報
【特許文献2】特開平9−93185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかし、同期の維持において、同期時間ずれの検出に用いる同期信号の符号の種類により、検出可能な時間ずれの大きさの範囲が異なる。従来の技術では、同期信号の符号の種類に基づき同期時間ずれを検出していないため、従来の受信装置は、同期時間ずれが大き過ぎて検出できない場合、同期を維持することができず、再度の同期処理(以下、再同期処理という)や、同期時間ずれを検出できる他の同期信号の受信処理等の処理に電力が消費されてしまうという欠点があった。
また、特許文献2に記載の技術では、受信装置で用いるタイマの水晶振動子の精度の違い等、時間の測定精度の違いにより、同一通信システム内における受信装置であっても、再同期処理が必要となる受信装置と必要とならない受信装置があり、再同期処理が必要となる受信装置では、その処理に電力を消費してしまうという欠点があった。
このように、従来の技術の受信装置では、同期時間ずれの検出に用いる同期信号の符号の種類によっては、再同期処理や他の同期信号の受信処理等の処理をする必要があり、その処理に電力を消費してしまうという欠点があった。
【0024】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、再同期処理や他の同期信号の受信処理等の処理を減らすことができ、その処理で消費する電力を削減することができる受信装置、受信制御方法、及び受信制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
(1)本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その一態様は、送信装置から送信された時間同期に用いる少なくとも2種類以上の同期信号を間欠受信する受信装置において、前記時間同期のための時間を測定する受信制御部と、前記間欠受信した同期信号と予め記憶する同期信号との相違により、前記受信制御部が測定する時間のずれを検出する時間ずれ検出部と、前記受信制御部における時間の測定精度と、前記同期信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定する時間ずれ検出信号決定部と、を備える。
上記構成によると、前記受信装置は、自装置における時間の測定精度と、同期信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、前記送信装置との時間同期のために測定する時間のずれを検出ために用いる前記同期信号を決定するので、同期を維持することができる適切な信号を用いて時間同期を行うことができ、再同期処理を減らすことによって消費電力を減らすことができる。
【0026】
(2)また、本発明の一態様は、前記時間ずれ検出信号決定部は、前記時間ずれ検出部が、前記受信制御部が測定する時間のずれを一意に検出できるように、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定する。
上記構成によると、前記受信装置は、前記受信制御部が測定する時間のずれを一意に検出できるように、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定するので、正確な時間のずれを確実に検出して同期を維持することができ、他の手段による同期処理や、再同期処理にかかる消費電力を減らすことができる。
【0027】
(3)また、本発明の一態様は、前記送信装置が信号を送信する送信間隔であるサブフレームのいずれかに配置されて送信される通信要求信号を受信し、前記少なくとも2種類以上の同期信号は、前記サブフレーム毎に配置される第1の同期信号と、予め定められた前記サブフレームに配置される第2の同期信号であって、配置されるサブキャリアの間隔が第1の同期信号が配置されるサブキャリアの間隔よりも小さい第2の同期信号と、を含み、前記時間ずれ検出信号決定部は、前記第2の同期信号より、前記第1の同期信号を優先して、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号とする。
上記構成によると、前記受信装置は、サブフレーム毎に配置され、前記通信要求信号が配置されるサブフレームに配置される第1の同期信号を優先して、時間のずれを検出する同期信号とするので、前記第1の同期信号と前記通信要求信号とを、同じ受信処理で受信することができ、それぞれの信号を異なるサブフレームで個別に受信する場合と比べ、受信に係る電力を削減することができる。
【0028】
(4)また、本発明の一態様は、前記受信装置は、前記送信装置に隣接する他の送信装置が送信する前記同期信号に用いられる符号の種類を表わす情報を受信し、前記時間ずれ検出信号決定部は、前記受信制御部における時間の測定精度、前記同期信号に用いられる符号の種類、及び前記受信した情報が表わす符号の種類、に基づいて、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定する。
上記構成によると、前記受信装置は、前記送信装置に隣接する他の送信装置が送信する前記同期信号に用いられる符号の種類に基づいて、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定するので、前記他の送信装置が送信する前記同期信号に用いられる符号の種類により時間のずれを検出できる範囲が異なる場合であっても、正確な時間のずれを確実に検出して同期を維持することができ、他の手段による同期処理や、再同期処理にかかる消費電力を減らすことができる。
【0029】
(5)また、本発明の一態様は、他の送信装置が送信する前記同期信号に用いられる符号の種類を表わす情報は、前記他の送信装置が送信する信号の種類であり、前記時間ずれ検出信号決定部は、前記受信制御部における時間の測定精度、前記同期信号に用いられる符号の種類、及び前記他の送信装置が送信する信号の種類、基づいて、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定する。
【0030】
(6)また、本発明の一態様は、前記同期信号に用いられる符号は、位相回転を用いた直交符号を含み、前記同期信号に用いられる符号の種類は、前記位相回転量を表わす種類を含む。
上記構成によると、前記受信装置は、前記同期信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号であるか否かに応じて、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定することができるので、位相回転を用いた直交符号を用いた場合であっても、正確な時間のずれを確実に検出して同期を維持することができ、他の手段による同期処理や、再同期処理にかかる消費電力を減らすことができる。
【0031】
(7)また、本発明の一態様は、送信装置から送信された時間同期に用いる少なくとも2種類以上の同期信号を間欠受信する受信装置における受信制御方法おいて、前記受信装置が、前記時間同期のための時間を測定する第1の過程と、前記受信装置が、前記間欠受信した同期信号と予め記憶する同期信号との相違により、前記第1の過程にて測定する時間のずれを検出する第2の過程と、前記受信装置が、前記第1の過程における時間の測定精度と、前記同期信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、前記第2の過程にて検出に用いる前記同期信号を決定する第3の過程と、を有する。
【0032】
(8)また、本発明の一態様は、送信装置から送信された時間同期に用いる少なくとも2種類以上の同期信号を間欠受信する受信装置のコンピュータに、前記時間同期のための時間を測定する受信制御手段、前記間欠受信した同期信号と予め記憶する同期信号との相違により、前記受信制御手段にて測定する時間のずれを検出する時間ずれ検出手段、前記受信制御手段における時間の測定精度と、前記同期信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、前記時間ずれ検出手段にて検出に用いる前記同期信号を決定する時間ずれ検出信号決定手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、受信装置は、自装置における時間の測定精度と、同期信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、送信装置との時間同期のために測定する時間のずれを検出ために用いる同期信号を決定するので、同期を維持することができる適切な信号を用いて時間同期を行うことができ、再度の時間同期をとる再同期処理を減らすことによって消費電力を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
<通信システムについて>
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、この発明の実施形態による通信システム1の概念図である。
この図において、通信システム1は、基地局装置A1、A2(送信装置)と移動局装置B1〜B3(受信装置)とを含んで構成される。また、この図において、基地局装置A1と基地局装置A2とは、互いに隣接する基地局装置であり、携帯電話網Cを介して通信をする。
以下、基地局装置A1と移動局装置B1、B2について説明をするが、基地局装置A2と移動局装置B3についても同様である。
【0035】
移動局装置B1、B2は、基地局装置A1と通信をするため、後述するように、セルサーチ処理により基地局装置A1とスロット及びフレームの同期を行う(以下、同期処理という)。
この同期処理を行った後、移動局装置B1、B2は、自装置宛の着呼等、自装置宛の通信の呼び出し(以下、ページング要求という)があるまでの間、基地局装置A1からの信号を受信して通信可能な状態とする。このとき、移動局装置B1、B2は、消費電力を低減するため、基地局装置A1からの信号を間欠的に受信(以下、間欠受信という)する。
また、移動局装置B1、B2は、基地局装置A1との同期の維持を行うため、自装置の計時機能により時間を測定する。この時間の測定精度は、移動局装置B1、B2各々の機能や品質により異なる。
【0036】
一方、移動局装置B1、B2が間欠受信する信号には、後述するように、時間同期に用いる既知の信号である下りリファレンス信号(第1の同期信号)と同期チャネルSCH(Synchronization Channel、第2の同期信号)とが含まれる。なお、下りリファレンス信号は、伝搬路補償に用いられる信号でもある。
【0037】
移動局装置B1、B2は、まず、基地局装置A1が送信する下りリファレンス信号を用いて、時間の測定精度によって生ずる基地局装置A1との時間同期の時間のずれ(以下、同期時間ずれという)を検出して、その同期時間ずれを補正(以下、同期時間ずれ補正という)することで、同期の維持を行う(以下、同期維持処理という)。この同期時間ずれを検出可能な時間ずれの大きさの範囲は、移動局装置B1、B2各々の時間の測定精度、及び、同期時間ずれの検出に用いる同期信号によって、限りがある。なお、同期時間ずれを検出することができない場合は、移動局装置B1、B2は、再同期処理を行う必要がある。
【0038】
本実施形態では、移動局装置B1、B2は、自装置の時間の測定精度と、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、下りリファレンス信号を用いて同期時間ずれを検出することができるか否かを判定する。
判定の結果、移動局装置B1、B2は、下りリファレンス信号を用いて同期時間ずれを検出することができる場合、ページング信号と同じサブフレームに配置される下りリファレンス信号を用いて同期時間ずれの検出し、同期維持処理をしてページング信号を受信する。なお、判定の結果、移動局装置B1、B2は、下りリファレンス信号を用いて同期時間ずれを検出することができない場合、ページング信号が配置される予定のサブフレームとは異なるサブフレームで同期チャネルSCHを受信して、受信した同期チャネルSCHを用いて同期時間ずれの検出し、同期維持処理をしてページング信号を受信する。
このように、通信システム1は、自装置の時間の測定精度と、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、同期時間ずれを検出することができる適切な同期信号を用いて同期維持処理を行うことができ、再同期処理や、同期チャネルSCHの受信処理を減らすことによって消費電力を減らすことができる。
【0039】
以下、移動局装置B1、B2と基地局装置A1とのセルサーチ処理(同期処理)、基地局装置A1からの信号を間欠受信する処理、無線フレームの構成、及び同期維持処理について説明し、次に、本実施形態に係る装置の構成、動作を説明する。
【0040】
<セルサーチ処理について>
以下、セルサーチ処理について説明をする。
通信システム1では、移動局装置B1、B2が基地局装置A1の通信エリアであるセルまたはセクタ内において、基地局装置A1から送信される信号を受信するため、後述する基地局装置A1の無線フレームにおけるスロットとフレームとの同期をとる必要がある。基地局装置A1は、既定の構成から成る同期チャネルSCHを送信し、移動局装置B1、B2にて予め記憶する同期チャネルSCHとの相関をとり、同期チャネルSCHを検出することで、基地局装置A1と同期をとる。ここで、同期チャネルSCHとしてプライマリ同期チャネルP−SCH(Primary SCH)とセカンダリ同期チャネルS−SCH(Secondary SCH)がある。
【0041】
図2は、本実施形態に係るセルサーチ処理を示すフロー図である。
移動局装置B1、B2は、プライマリ同期チャネルP−SCHのレプリカ信号と受信信号とで時間領域での相関をとることによってスロット同期(ステップ1)を取得し、更にセカンダリ同期チャネルS−SCHのレプリカ信号と受信信号とで、時間領域あるいは周波数領域での相関をとり、得られたセカンダリ同期チャネルS−SCHの送信パターンによってフレーム同期をと得すると共に、基地局装置A1を識別するためのセルID(Identification:識別情報)を特定する(ステップ2)。セルIDを特定することにより、下り信号の復調や、受信品質の測定、さらには同期の維持のために利用される下りリファレンス信号の系列を一意に特定することが可能である。
このような一連の制御、つまり、移動局装置B1、B2が基地局装置A1と同期をとり、更にその基地局装置A1のセルIDを特定するまでのステップをセルサーチ処理と呼ぶ。
【0042】
また、移動局装置B1、B2は、基地局装置A1を通じて携帯電話網等の移動通信システム1に対して自装置が在圏するセルの情報を通知し、移動通信システム1が移動局装置B1、B2が在圏するセルの情報を登録(以下、位置登録という)する。これにより、移動通信システム1が移動局装置B1、B2宛の信号を、位置登録を行ったセルの基地局装置A1に送信し、移動局装置B1、B2は、当該基地局装置A1から、自装置宛の信号を受信することが可能となる。
位置登録を行なっていない移動局装置B1、B2、又は、位置登録を行なったセルから別のセルへ移った移動局装置B1、B2は、セルサーチ処理により検出したセルの基地局装置A1に対して通信をして、位置登録を行なう。
位置登録を行なった移動局装置B1、B2は、ページングチャネル(PCH)に配置されたページング信号を復調することで、ページング要求の有無を検出することが可能となる。
【0043】
<間欠受信処理について>
以下、間欠受信処理について説明をする。
図3は、本実施形態に係る間欠受信処理について説明するタイミングチャートである。この図において、横軸は時間軸である。
この図は、移動局装置B1が、消費電力低減のため、受信とスリープを繰り返し、基地局装置A1からの信号を間欠受信することを示す。また、移動局装置B1は、この間欠受信を周期的に行なう。この受信する時点から、次に受信する時点までの時間をDRXサイクルという。
【0044】
この図は、移動局装置B1が、基地局装置A1が送信した移動局装置B1宛てのページング信号p1を受信し、その後、送信される移動局装置B1宛てのデータ信号p2を受信することを示す。
このように、移動局装置B1は、自装置宛てのページング信号を検出し、検出した場合のみ、受信可能とする間隔を長くして自装置宛てのデータ信号を受信することで、受信可能とする時間を減らすことができ、受信可能とする電力の消費を削減することができる。
なお、基地局装置A1は、ページング信号p1を、移動局装置B1が間欠受信をしている際に、ページング信号p1を受信できるように配置する。
【0045】
<無線フレームの構成について>
以下、本実施形態に係る無線フレーム構成について説明をする。
図4は、本実施形態に係る無線フレームの構成を説明する説明図である。この図において、横軸は時間軸であり、縦軸は、周波数軸である。
無線フレームは、周波数軸を複数のサブキャリアの集合で構成される一定の周波数領域(BR)と、一定の送信時間(スロット)で構成される領域を一単位として構成されている。また、1スロットの整数倍から構成される送信時間をサブフレームと呼ぶ。さらに、複数のサブフレームをまとめたものをフレームと呼ぶ。
図4では、1サブフレームが2スロットから構成される場合を示している。この一定の周波数領域(BR)と1スロット長で区切られた領域を、リソースブロックと呼ぶ。また、1フレームは10サブフレームから構成される。図4中のBWはシステム帯域幅を示しており、BRはリソースブロックの帯域幅を示している。
【0046】
図5は、本実施形態に係る信号の配置を説明する説明図である。この図において、縦軸は周波数軸、横軸は時間軸である。
この図は、フレーム内におけるプライマリ同期チャネルP−SCH、セカンダリ同期チャネルS−SCH、下りリファレンス信号の配置の一例を示している。また、この図において、1サブフレームは14OFDMシンボルで構成される。また、1BRは12サブキャリアで構成される。
【0047】
この図は、セカンダリ同期チャネルS−SCH、プライマリ同期チャネルP−SCHは、基地局装置の送信周波数帯域中心の6BRで、サブフレーム#0と#5のそれぞれ6、7OFDMシンボル目に配置されることを示す。また、報知情報チャネルは、同期チャネルSCHと同じサブフレームに配置される。
また、この図は、下りリファレンス信号は、各サブフレームの1OFDMシンボル目には必ず配置される。また、各サブフレームの先頭のn OFDMシンボル(1≦n≦3)には物理下り制御信号が、下りリファレンス信号以外の場所に配置されることを示す。
なお、TDD(Time Division Duplex:時分割複信)のシステムにおいても、下りに割り当てられたサブフレームについては上記配置が適用される。
【0048】
ここで、プライマリ同期チャネルP−SCHとセカンダリ同期チャネルS−SCHは、全サブキャリアに信号が配置される。また、下りリファレンス信号は、6サブキャリアごとに配置される。
なお、後述するように、このサブキャリアの配置の違いにより、同期チャネルSCHと下りリファレンス信号とでは、同期時間ずれを検出できる範囲が異なる。
【0049】
<同期維持処理について>
上述のセルサーチ処理により、同期処理を行った移動局装置B1、B2は、間欠受信処理により、下りリファレンス信号、同期チャネルSCH、及びページング信号の受信処理を行う。このとき、基地局装置A1、移動局装置B1、B2各々で行なっている時間の測定精度は異なるので、それぞれの装置の時間の測定精度により、同期時間ずれが生じる場合がある。
この同期時間ずれを補正するため、移動局装置B1、B2は、基地局装置A1から既知のタイミングで送られる既知の信号(例えば、プライマリ同期チャネルP−SCH、セカンダリ同期チャネルS−SCH、又は下りリファレンス信号)を受信し、この既知の信号を用いて同期時間ずれを検出して、同期時間ずれ補正をすることによって同期維持処理を行う。
【0050】
例えば、移動局装置B1、B2は、下りリファレンス信号を用いて、以下のように同期時間ずれを検出することができる。
周波数領域での下りリファレンス信号の受信信号F’(ω)は、時間の測定精度によって正しいタイミングより時間τずれている場合、つまり、同期時間ずれがτである場合、移動局装置B1、B2が予め記憶する同期時間ずれτがないときの下りリファレンス信号の受信信号F(ω)(式(3))を用いて、式(4)で示される。
【0051】
【数3】
【0052】
【数4】
【0053】
ここで、eはネイピア数(自然対数の底)、jは虚数単位、ωはサブキャリアの周波数(角速度)であり、f(t)は時間領域での受信信号である。
移動局装置B1、B2は、下りリファレンス信号の受信信号F’(ω)を検出し、F(ω)を除算することで、ejθ(ω)を検出する。ここで、位相θ(ω)は周期的な値となることから、同期時間ずれτを一意に検出するためには、ある周波数ω1とω2での位相θ(ω1)、θ(ω2)の位相差、つまり、θ(ω1)−θ(ω2)が、−π<θ(ω1)−θ(ω2)<πである必要がある。この場合、式(4)より、同期時間ずれτは、τ=−(θ(ω1)−θ(ω2))/(ω1−ω2)として一意に検出することができる。
【0054】
なお、θ(ω1)−θ(ω2)が、−π<θ(ω1)−θ(ω2)<π以外の値をとる場合、−π以下の値であるのかπ以上の値であるのかを判断できないため、同期時間ずれτを一意に検出できなくなる。この場合、移動局装置は、同期の維持ができず、再同期処理が必要となる。
ここで、−ωτは位相回転であることから、ある周波数ω1とω2での位相差、つまり、ω2τ−ω1τ=Δωτが、−π<Δωτ<πであれば、θ(ω1)、θ(ω2)を検出することにより、同期時間ずれτを一意に検出することができる。
なお、Δωτが、−π<Δωτ<π以外の値をとる場合、−π以下の値であるのかπ以上の値であるのかを判断できないため、同期時間ずれτを一意に検出できなくなる。この場合、移動局装置は、同期の維持ができず、再度の同期処理(以下、再同期処理という)が必要となる。
【0055】
また、周波数領域でのサンプル間隔Δω=ω2−ω1は、下りリファレンス信号と同期チャネルSCHで異なる。全サブキャリアに配置される同期チャネルSCHは、6サブキャリア毎に配置される下りリファレンス信号より、Δωが小さく、つまり、同期時間ずれτを一意に検出することができる範囲が広い。
【0056】
また、下りリファレンス信号に直交符号を用いる場合、2π/m(mは自然数)ずつずれたm個の符号(以下、2π/mシフト符号という)を用いる。この場合、他のセクタや基地局装置からの干渉電波を考慮すると、同期時間ずれτを検出できる範囲は−π/m<Δωτ<π/mとなる。
例えば、セルを3つのセクタに分けて2π/3ずつずれた3つの符号を用いた場合、位相回転が、[0,0,0,0,0,・・・]、[0,2/3π,4/3π,6/3π(=0),8/3π(=2/3π),・・・]、[0,4/3π,8/3π,12/3π(=0),16/3π(=4/3π),・・・]となる2/3πずつずれた3つの直交符号を下りリファレンス信号として用いると、複数のセクタや基地局装置からの下りリファレンス信号(干渉電波)を受信すると、θ(ω1)−θ(ω2)の値が、位相差2π/3の半分であるπ/3以上となると、下りリファレンス信号に施されている位相回転と同期時間ずれによって生じる位相回転の識別ができなくなる。そのため、同期時間ずれτを検出できる範囲は−π/3<Δωτ<π/3となり、下りリファレンス信号を用いた同期時間ずれ補正可能な範囲は狭くなることになる。
なお、この同期時間ずれτの検出方法は、既知の信号、例えば同期チャネルSCHでも同じである。
【0057】
<基地局装置の構成について>
以下、本実施形態に係る基地局装置A1、A2(以下、基地局装置a1とする)の構成について説明をする。
図6は、本実施形態に係る基地局装置a1の構成を説明する概略的ブロック図である。
基地局装置a1は、上位レイヤa11、符号部a12、変調部a13、送信部a14、制御部a15、受信部a16、復調部a17、及びデータ処理部a18を含んで構成される。なお、図6においては、本実施形態の説明に関連する構成の概略のみを示す。
【0058】
上位レイヤa11は、各部の動作を統括的に制御する。また、上位レイヤa11は、送信信号情報通知部a111を含んで構成される。
送信信号情報通知部a111は、下りリファレンス信号の種別、DRXサイクル、同期チャネルSCHの送信時刻、及びページング信号の位置情報を含む送信信号情報を、符号部a12、変調部a13、及び送信部a14を介し、移動局装置B1、B2に送信する。ここで、下りリファレンス信号の種別は、例えば、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号であるときに、2π/mシフト符号を用いる場合、「m」であり、また、位相回転を用いた直交符号でない場合には、「1」である。
【0059】
符号部a12は、上位レイヤa11から入力されたトラフィックデータ、制御データ等のデータを、制御部a15から入力された送信制御情報に基づき符号化する。なお、制御データには、報知情報チャネル、下り共用制御チャネルなどが含まれる。
符号部a12は、符号化したデータを変調部a13に出力する。
【0060】
変調部a13は、符号部a12から入力されたデータを、制御部a15から入力された送信制御情報に基づき変調し、送信部a14に出力する。
送信部a14は、変調部a13から入力されたデータを、制御部a15から入力された送信制御情報に基づいて、適切に電力制御した後、下りリファレンス信号や同期チャネルSCHと多重し、チャネルに配置してアンテナ(図示せず)を介し、移動局装置B1、B2に送信する。
【0061】
制御部a15は、上位レイヤa11から入力された制御情報に含まれる上述の送信制御情報を、送信に係る各部(符号部a12、変調部a13、及び送信部a14)に出力する。
また、制御部a15は、上位レイヤa11から入力された制御情報に含まれる受信制御情報を、受信に係る各部(受信部a16、復調部a17、及びデータ処理部a18)に出力する。
【0062】
受信部a16は、移動局装置B1、B2から送信された信号を、制御部a15から入力された受信制御情報が示す周波数で、アンテナ(図示せず)を介して受信する。受信部a16は、受信した信号を、ベースバンドの信号にダウンコンバートして復調部a17に出力する。
復調部a17は、受信部a16から入力された信号を、制御部a15から入力された受信制御情報と上りリファレンス信号を用いた伝播路推定結果とに基づいて復調し、復調したデータをデータ処理部a18に出力する。
【0063】
データ処理部a18は、復調部a17から入力されたデータからトラフィックデータや制御データを取り出して上位レイヤa11に出力する。なお、この制御データには、上述の移動局装置B1、B2が測定した基地局装置a1の品質情報(基地局装置データ)、また、周辺セルのセルID、周辺セルの品質情報、周辺セルが用いる下りリファレンス信号に用いられる符号の種類、MBMS(Multimedia Broadcast Multicast Service;マルチメディアブロードキャスト/マルチキャストサービス)の信号のみを送信するセルであるか否かを示す情報などの隣接する周辺基地局装置に関するデータ(周辺基地局装置データ)が含まれる。
例えば、図1の基地局装置A1における制御データには、周辺基地局装置データとして基地局装置A2に関するデータが含まれる。
【0064】
<移動局装置の構成について>
以下、本実施形態に係る移動局装置B1〜B3(以下、移動局装置b1という)の構成について説明をする。
図7は、本実施形態に係る移動局装置b1の構成を説明する概略的ブロック図である。
移動局装置b1は、上位レイヤb11、符号部b12、変調部b13、送信部b14、制御部b15、受信制御部b16、受信部b17、復調部b18、同期部b19、データ処理部b20、及び同期維持部b21(時間ずれ検出部)を含んで構成される。なお、上位レイヤb11の送信信号情報受信部b111、検出可能サイクル記憶部b112、同期維持処理決定部b113(時間ずれ検出信号決定部)、同期補正部b114、受信制御部b16、受信部b17、復調部b18、同期部b19、データ処理部b20、及び同期維持部b21が、受信装置E1に相当する。また、図7においては、本実施形態の説明に関連する構成の概略のみを示す。
【0065】
上位レイヤb11は、各部の動作を統括的に制御する。また、上位レイヤb11は、送信信号情報受信部b111、検出可能サイクル記憶部b112、同期維持処理決定部b113、及び同期補正部b114を含んで構成される。
送信信号情報受信部b111は、受信部b17、復調部b18、及びデータ処理部b20を介し、基地局装置a1から送信された送信信号情報を受信する。送信信号情報受信部b111は、受信した送信信号情報を同期維持処理決定部b113に出力する。
【0066】
検出可能サイクル記憶部b112は、下りリファレンス信号の種別と、その種別の信号について、同期時間ずれτを一意に検出可能となる最大のDRXサイクル(以下、検出可能最大DRXサイクルという)とを対応付けて予め記憶する。
【0067】
例えば、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号である場合、下りリファレンス信号の種別(値が「1」以外)に対応する検出可能最大DRXサイクルT1[s]は、受信制御部b16が備えるタイマの水晶振動子の精度が、P[ppm]であるとき、T1=τ1/Pである。ここで、τ1は、Δωτ1=π/mを満たすτ1である。本実施形態では、下りリファレンス信号の種別=3とした場合のT1を用い、例えば、P=1.17ppmとした場合、T1=1.59[s]である。
また、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号でない場合、下りリファレンス信号の種別(値が「1」)に対応する検出可能最大DRXサイクルT2[s]は、受信制御部b16が備えるタイマの水晶振動子の精度が、P[ppm]であるとき、T2=τ2/Pである。ここで、τ2は、Δωτ2=πを満たすτ2である。本実施形態では、例えば、P=1.17ppmであるとき、T2=4.78[s]である。
【0068】
なお、本実施形態では、上述のように予め算出した検出可能最大DRXサイクルを予め記憶しているが、本発明はこれに限らず、移動局装置b1は、タイマの水晶振動子の精度Pを予め記憶し、記憶するPから検出可能最大DRXサイクルを算出してもよいし、タイマの水晶振動子の精度Pを測定して、測定したPから検出可能最大DRXサイクルを算出してもよい。
また、本実施形態では、時間の測定精度は計時精度とし、タイマの水晶振動子の精度としているが、本発明はこれに限らず、移動局装置b1内での受信時刻のカウントに対する補正処理を行った際の時間情報や、前記情報にGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)・ドップラーシフト量などから求められる移動速度情報を付加した情報であってもよく、同期時間ずれτの最大値を算出できる情報であればよい。
【0069】
同期維持処理決定部b113には、送信信号情報受信部b111から送信信号情報として、下りリファレンス信号の種別、DRXサイクル、同期チャネルSCHの送信時刻、及びページング信号の位置情報が入力される。同期維持処理決定部b113は、入力された下りリファレンス信号の種別に対応する検出可能最大DRXサイクルを、検出可能サイクル記憶部b112から読み出し、入力されたDRXサイクルと比較して、後述する同期維持部b21に同期時間ずれτの検出に用いる同期信号(本実施形態では、下りリファレンス信号、又は、同期チャネルSCH)を決定する(以下、決定した同期信号を、時間ずれ検出信号という)。なお、時間ずれ検出信号の決定方法についての詳細は、後述する。
同期維持処理決定部b113は、時間ずれ検出信号を用いて同期時間ずれτを検出させる制御情報を同期維持部b21に出力する。
【0070】
また、同期維持処理決定部b113は、時間ずれ検出信号の情報と、時間ずれ検出信号を受信する受信タイミングとを受信制御部b16に出力する。具体的に、同期維持処理決定部b113は、時間ずれ検出信号を下りリファレンス信号とした場合、同期処理又は再同期処理をした時刻からDRXサイクルが示す時間が経過した受信時刻(以下、間欠受信時間という)を、受信タイミングとして出力する。一方、同期維持処理決定部b113は、時間ずれ検出信号を同期チャネルSCHとした場合、同期チャネルSCHの送信時刻から算出した同期チャネルSCHの受信時刻であって、ページング信号の位置情報が示すページング信号の受信タイミング直前の受信時刻(以下、ページング前SCH受信時刻という)を、受信タイミングとして出力する。
また、同期維持処理決定部b113は、データ処理部b20から入力されるデータのCRCチェック等の誤り検出により、データ誤りが予め定めた回数以上続く場合に、同期外れとみなして同期チャネルSCHを用いた再同期処理を行う制御情報を、制御部b15に出力する。
【0071】
同期補正部b114は、同期維持部b21が出力した同期信号に含まれる同期時間ずれτを検出し、累積した同期時間の同期時間ずれ補正をさせる制御情報を、制御部b15を介して受信部b17に出力する。なお、同期補正部b114は、同期維持部b21から同期信号が入力される毎に、同期時間ずれ補正をさせる制御情報を出力する。例えば、下りリファレンス信号を用いて同期時間ずれτを検出する場合、間欠受信毎に、同期時間ずれ補正をさせる制御情報を出力する。
【0072】
符号部b12は、上位レイヤb11から入力されたユーザデータ、トラフィックデータ、制御データ等のデータを、制御部b15から入力された送信制御情報に基づき符号化する。
なお、制御データには、上りリファレンス信号や上り共用制御チャネルのデータなどが含まれ、また、移動局装置b1が測定した基地局装置a1の品質情報(基地局装置データ)、周辺セルのセルID、周辺セルの品質情報などの周辺基地局装置に関するデータ(周辺基地局装置データ)が含まれる。また、送信制御情報は、上りチャネルに関する送信タイミングや多重方法、各チャネルの送信データの配置情報、変調や送信電力に関する情報が含まれている。
符号部b12は、符号化したデータを変調部b13に出力する。
【0073】
変調部b13は、符号部b12から入力されたデータを、制御部b15から入力された送信制御情報に基づき変調し、送信部b14に出力する。
送信部b14は、変調部b13から入力されたデータを、制御部b15から入力された送信制御情報に基づいて、適切に電力制御し、各チャネルに配置してアンテナ(図示せず)を介し、基地局装置a1に送信する。
【0074】
制御部b15は、上位レイヤb11から入力された制御情報に含まれる上述の送信制御情報を、送信に係る各部(符号部b12、変調部b13、及び送信部b14)に出力する。
また、制御部b15は、上位レイヤb11から入力された制御情報に含まれる受信制御情報を、受信に係る各部(受信制御部b16、受信部b17、復調部b18、同期部b19、データ処理部b20、及び同期維持部b21)に出力する。受信制御情報には、例えば、基地局装置a1の送信信号を受信する周波数の情報、下りチャネルに関する受信時刻や多重方法、各チャネルの受信データの配置情報、変調や送信電力に関する情報が含まれる。
【0075】
受信制御部b16は、同期維持処理決定部b113から入力された受信タイミングの受信時刻に、受信部b17に、時間ずれ検出信号を受信させる制御をする。
また、受信制御部b16は、受信部b17に時間同期させるための時間を測定する。すなわち、受信制御部b16は、時間同期のための時間を測定する。
【0076】
受信部b17は、基地局装置a1から送信された信号を、制御部b15から入力された受信制御情報が示す周波数で、アンテナ(図示せず)を介して受信する。受信部b17は、受信した信号を、ベースバンドの信号にダウンコンバートして復調部b18と同期部b19とに出力する。
また、受信部b17は、受信制御部b16の制御に従って、間欠受信、又は、SCHの受信をする。
また、受信部b17は、同期補正部b114から制御部b15を介して入力された制御情報に従い、同期時間ずれ補正を行う。
【0077】
復調部b18は、受信部b17から入力された信号を、制御部b15から入力された受信制御情報と下りリファレンス信号を用いた伝播路推定結果とに基づいて、OFDMシンボルを復調し、復調したOFDMシンボルのデータを、データ処理部b20に出力する。また、復調部b18は、復調した下りリファレンス信号を同期維持部b21に出力する。
【0078】
同期部b19は、受信部b17から入力された同期チャネルSCHより、時間同期およびセルIDの同定を行う。同期部b19は、同期チャネルSCHを同期維持部b21に出力し、また、同期部b19は、同定結果である同期信号を上位レイヤb11に出力する。
データ処理部b20は、復調部b18から入力されたデータからトラフィックデータや制御データを取り出して上位レイヤb11に出力する。
【0079】
同期維持部b21は、制御部b15を介して入力される同期維持処理決定部b113が出力した制御情報に従い、復調部b18から入力された下りリファレンス信号、又は、同期部b19から入力された同期チャネルSCH、を用いて、それぞれ、予め記憶する下りリファレンス信号、又は、同期チャネルSCHとの相関を検出する。同期維持部b21は、検出した相関により、位相回転θ(ω1)、θ(ω2)を検出して、制御部b15から入力される下りリファレンス信号、又は、同期チャネルSCHが配置されているサブキャリアの周波数間隔Δωを用いて、τを算出する。すなわち、同期維持部b21は、受信部b17が間欠受信した同期信号と、予め記憶する同期信号との相違により、受信制御部b16が測定する同期時間ずれτを検出する。
【0080】
なお、同期維持部b21は、同期維持処理決定部b113が出力した制御情報が示す同期チャネルSCH、又は、下りリファレンス信号が、受信部b17で受信され復調部b18又は同期部b19を介して入力される毎に、同期時間ずれτを検出する。
同期維持部b21は、検出した同期時間ずれτを含む同期信号を上位レイヤb11に出力する。
【0081】
<移動局装置の動作について>
以下、移動局装置b1の動作について説明をする。
図8は、本実施形態に係る移動局装置b1の動作を説明するフロー図である。なお、この図の動作を開始する前、移動局装置b1は間欠受信を行う前の状態である。
移動局装置b1は、検出可能最大DRXサイクルT1、T2を読み出す(S1001)。なお、通常T1<T2と設定であるが、移動局装置b1の水晶振動子の精度が低い場合、T1=T2となる場合もある。
【0082】
移動局装置b1は、自装置が在圏するセルの基地局装置a1よりDRXサイクル、フレーム内におけるページングの位置情報、下りリファレンス信号の種別を取得する(S1002)。なお、下りリファレンス信号の種別は、基地局装置a1が報知する報知情報に含まれてもよいし、基地局装置a1で用いられているフレーム構成(通常の移動局装置b1宛の送信に用いられる通常フレーム構成を用いる場合とMBMSなどのサービスのために用いられる拡張フレーム構成を用いる場合など)によって種別を識別してもよい。
【0083】
次に、移動局装置b1は、基地局装置a1から取得した下りリファレンス信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号であるか否かを判定する(S1003)。
ステップ1003の判定にて、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号でないと判定された場合(No)、移動局装置b1は、検出可能最大DRXサイクルTをT2とする(S1004)。一方、ステップS1003の判定にて、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号であると判定された場合(Yes)、移動局装置b1は、検出可能最大DRXサイクルTをT1とする(S1005)。
【0084】
次に、移動局装置b1は、基地局装置a1から取得したDRXサイクルが検出可能最大DRXサイクルTより大きいか否かを判定する(S1006)。
ステップS1006の判定にて、基地局装置a1から取得したDRXサイクルが検出可能最大DRXサイクルTより大きいと判定された場合(Yes)、移動局装置b1は、受信処理を停止後、次回受信処理を起床する時刻Twa(受信タイミング)を、ページング前SCH受信時刻とする(S1007)。
一方、ステップS1006の判定にて、基地局装置a1から取得したDRXサイクルが検出可能最大DRXサイクルT以下と判定された場合(No)、移動局装置b1は、時刻Twaを、間欠受信時間とする(S1008)。
【0085】
移動局装置b1は、受信処理を停止してタイマでの計時を開始する(S1009)。移動局装置b1は、タイマが示す時刻が時刻Twaより前の時刻か否かを判定する(S1011)。
ステップS1011の判定にて、タイマが示す時刻が時刻Twaより前の時刻であると判定された場合(Yes)、移動局装置b1は、S1011の判定処理を行う。一方、ステップS1011の判定にて、タイマが示す時刻が時刻Twa以降の時刻であると判定された場合(No)、移動局装置b1は、基地局装置a1から取得したDRXサイクルが、自装置における時間の測定精度に基づいて定まる検出可能最大DRXサイクルTより大きいか否かを判定する(S1012)。
【0086】
ステップS1012の判定にて、基地局装置a1から取得したDRXサイクルが検出可能最大DRXサイクルTより大きいと判定された場合(Yes)、移動局装置b1は、基地局装置a1から同期チャネルSCHを受信する(S1013)。移動局装置b1は、受信した同期チャネルSCHを用いて同期維持処理を行う(S1014)。
【0087】
一方、ステップS1012の判定にて、基地局装置a1から取得したDRXサイクルが検出可能最大DRXサイクルT以下と判定された場合(No)、移動局装置b1は、ページングが配置される予定のサブフレームに配置された下りリファレンス信号を受信し、受信した下りリファレンス信号を用いて同期維持処理を行う(S1015)。
下りリファレンス信号を用いて同期維持処理を行う場合、下りリファレンス信号は全てのサブフレームの1OFDMシンボル目に配置されているので、ページング信号が配置されるサブフレームと同一のサブフレームの最初のOFDMシンボルで受信をすることができる。この場合、下りリファレンス信号とページング信号とを、同じ受信処理で受信することができるので、それぞれの信号を個別に受信する場合と比べ、受信に係る電力を削減することができる。また、同期維持処理の直後にページング信号を受信することができるので、同期維持処理直後に、ページング信号を受信することができ、正確なページング信号を受信することができる。
【0088】
このように、本実施形態によれば、移動局装置b1は、自装置における時間の測定精度に基づいて、基地局装置a1との時間同期のために測定する時間のずれを検出するために用いる同期信号を決定する。これにより、移動局装置b1の時間の測定精度に応じて、同期を維持することができる適切な信号を用いて時間同期を行うことができ、再度の時間同期をとる再同期処理を減らすことによって消費電力を減らすことができる。
【0089】
なお、上記実施形態において、移動局装置b1は、自装置が在圏する基地局装置a1が用いる下りリファレンス信号に用いられる符号の種類に応じて、同期維持部b21が検出に用いる前記同期信号を決定する。さらに、移動局装置b1は、周辺セル、つまり、隣接する基地局装置が用いる下りリファレンス信号に用いられる符号の種類に応じて、同期維持部b21が検出に用いる前記同期信号を決定してもよい。
【0090】
この場合、移動局装置b1は、図8のステップS1003の判定に加え、制御データに含まれる周辺セルが用いる下りリファレンス信号に用いられる符号の種類に、位相回転を用いた直交符号が含まれるか否かを判定し、在圏するセル及び周辺セルが用いる下りリファレンス信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号が含まれる場合は、ステップS1005の処理を行う。
すなわち、移動局装置b1は、基地局装置a1に隣接する他の基地局装置a1が送信する下りリファレンス信号に用いられる符号の種類の情報を受信し、同期維持処理決定部b113は、受信した下りリファレンス信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号であるか否かに応じて、同期維持部b21が検出に用いる同期信号を決定する。
【0091】
また、移動局装置b1は、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類を、MBMSの信号のみを送信するセルであるか否かを示す情報に基づいて判定してもよい。すなわち、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類を、基地局装置a1が送信する信号の種類により判定する。
例えば、MBMSの信号のみを送信するセルでは、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号である可能性が高いので、検出可能最大DRXサイクルTを短い時間とすることで、同期を維持することができる適切な信号を用いて時間同期を行うことができ、再度の時間同期をとる再同期処理を減らすことによって消費電力を減らすことができる。
【0092】
また、上記実施形態において、移動局装置b1は、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号であるか否かに応じて、検出可能最大DRXサイクルTの値を選択し、同期維持部b21が検出に用いる前記同期信号を決定しているが、本発明はこれに限らず、例えば、2π/mシフト符号ごとに、検出可能最大DRXサイクルTの値を選択してもよい。
例えば、移動局装置b1は、P=1.17ppmとした場合、図8のステップS1001に変えて、2π/3シフト符号に対応する検出可能最大DRXサイクルT1を、T1=1.59[s]、π/3(2π/6)シフト符号に対応する検出可能最大DRXサイクルT3を、T3=0.79[s]、また、位相回転を用いた直交符号でない場合の検出可能最大DRXサイクルT2を、T2=4.78[s]として読み出す。そして、移動局装置b1は、図8のステップS1003に変えて、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類を判定し、ステップS1004、S1005に変えて、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類に応じて、検出可能最大DRXサイクルTに、T1〜T3のいずれかを設定する。
【0093】
また、上記実施形態において、移動局装置b1は、下りリファレンス信号の符号の種類により判定を行っているが、本発明はこれに限らず、同期チャネルP−SCHが位相回転を用いた直交符号を用いているか否かにより、T1,T2の値を変更することも可能である。さらに、位相回転を用いた直交符号のP−SCHが用いられる場合、S−SCHのみを用いて同期補正処理を行うことで、同期ずれの補正範囲を広くとることも可能である。
【0094】
なお、上述した実施形態における移動局装置b1の一部、例えば、送信信号情報受信部b111、同期維持処理決定部b113、同期補正部b114、同期維持部b21をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムを移動局装置に内蔵させたコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0095】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】この発明の実施形態に係る通信システムの概念図である。
【図2】本実施形態に係るセルサーチ処理を示すフロー図である。
【図3】本実施形態に係る間欠受信処理について説明するタイミングチャートである。
【図4】本実施形態に係る無線フレームの構成を説明する説明図である。
【図5】本実施形態に係る信号の配置を説明する説明図である。
【図6】本実施形態に係る基地局装置の構成を説明する概略的ブロック図である。
【図7】本実施形態に係る移動局装置の構成を説明する概略的ブロック図である。
【図8】本実施形態に係る移動局装置の動作を説明するフロー図である。
【図9】従来技術に係るセルサーチ処理を示すフロー図である。
【図10】従来技術に係る無線フレームの構成を説明する説明図である。
【図11】従来技術に係る信号の配置を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0097】
A1、A2、a1・・・基地局装置、B1〜B3、b1・・・移動局装置
a11・・・上位レイヤ、a12・・・符号部、a13・・・変調部、a14・・・送信部、a15・・・制御部、a16・・・受信部、a17・・・復調部、a18・・・データ処理部、a111・・・送信信号情報通知部
b11・・・上位レイヤ、b12・・・符号部、b13・・・変調部、b14・・・送信部、b15・・・制御部、b16・・・受信制御部、b17・・・受信部、b18・・・復調部、b19・・・同期部、b20・・・データ処理部、b21・・・同期維持部(時間ずれ検出部)、b111・・・送信信号情報受信部、b112・・・検出可能サイクル記憶部、b113・・・同期維持処理決定部(時間ずれ検出信号決定部)、b114・・・同期補正部
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置、受信制御方法、及び受信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、第3世代移動体通信システムの周波数帯に第4世代向けに検討されていた技術の一部を導入することによって、通信速度の高速化を目的としたEvolved Universal Terrestrial Radio Access(以下、EUTRAと称する)が標準化団体3GPP(3rd Generation Partnership Project:第三世代パートナーシッププロジェクト)にて検討されている(非特許文献1)。
EUTRAでは、通信方式として、マルチパス干渉に強く、高速伝送に適したOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access:直交周波数分割多重)方式を採用することが決まっている。また、EUTRAに関するデータ転送制御やリソース管理制御といった上位レイヤの動作に関する詳細仕様は、低遅延、低オーバーヘッド化を実現し、更に可能な限り簡易な技術の採用が進められている。
【0003】
セルラ移動通信方式では、移動局装置が基地局装置の通信エリアであるセルまたはセクタ内において、基地局装置から送信される信号を受信するため、基地局装置の無線フレームにおけるスロットとフレームとの同期をとる必要がある。基地局装置は、既定の構成から成る同期チャネルSCHを送信し、移動局装置にて予め記憶する同期チャネルSCHとの相関をとり、同期チャネルSCHを検出することで、基地局装置と同期をとる。EUTRAでは、同期チャネルSCHとしてプライマリ同期チャネルP−SCH(Primary SCH)とセカンダリ同期チャネルS−SCH(Secondary SCH)が用意されている。
【0004】
図9に示すように、移動局装置は、プライマリ同期チャネルP−SCHのレプリカ信号と受信信号とで時間領域での相関をとることによってスロット同期(ステップ1)を取得し、更にセカンダリ同期チャネルS−SCHのレプリカ信号と受信信号とで、時間領域あるいは周波数領域での相関をとり、得られたセカンダリ同期チャネルS−SCHの送信パターンによってフレーム同期を取得すると共に、基地局装置を識別するためのセルID(Identification:識別情報)を特定する(ステップ2)。セルIDを特定することにより、下り信号の復調や、受信品質の測定、さらには同期の維持のために利用される下りリファレンス信号の系列を一意に特定することが可能である。
このような一連の制御、つまり、移動局装置が基地局装置と同期をとり、更にその基地局装置のセルIDを特定するまでのステップをセルサーチ処理と呼ぶ。
【0005】
また、移動局装置は、基地局装置を通じて携帯電話網等の移動通信システムに対して自装置が在圏するセルの情報を通知し、移動通信システムが、移動局装置が在圏するセルの情報を登録(以下、位置登録という)する。これにより、移動通信システムが移動局装置宛の信号を、当該位置登録を行ったセルの基地局装置に送信し、移動局装置は、当該基地局装置から、自装置宛の信号を受信することが可能となる。
位置登録を行なった移動局装置は、ページングチャネル(PCH)を復調することで、自装置宛の通信の呼び出し(以下、ページング要求)の有無を検出することが可能となる。
【0006】
通信システムにおいて、移動局装置に対して着信があった場合、その旨を移動局装置に通知する必要がある。ネットワークは、移動局装置の位置情報を位置登録エリアで管理しており、移動局装置が位置登録している位置登録エリア内の全移動局装置に対して着信があったことを同報的に通知する。この手順をページングと呼ぶ。ページングは、登録された位置登録エリアに収容されているすべての基地局装置から移動局装置に対して行なわれる。移動局装置は、アイドルモード(待ち受け状態)の場合には、PCHの信号を常に監視しているため、自装置に対するページングを認識することが可能であり、ページング要求に含まれる位置登録エリアやIDと、自分の記憶する位置登録エリアやIDなどの既定のパラメータが合致した場合にネットワークに応答を返す。
【0007】
次に、ページングに関係するWCDMAの主な物理チャネルとトランスポートチャネルの概要を簡単に説明する。
ページングインジケーターチャネルPICHは、下りリンクの共通チャネルであり、ページングのための信号がマッピングされる第二共通制御物理チャネルS−CCPCHに対応したトランスポートチャネルのページングチャネルPCH(Paging Channel)と対で存在し、移動局装置の集まりである各着信群に対する音声呼(CS:Circuit Switch)またはパケット呼(PS:Packet Switch)着信情報の有無を送信する。着信群#n番に属する移動局装置は、ページングインジケーターチャネルPICHにて着信群#n番に対する着信がありと通知された場合に、第二共通制御物理チャネルS−CCPCHにマッピングされた対応する無線フレーム内のページングチャネルPCHを受信し、着信の有無を判断する。
【0008】
ページングインジケーターチャネルPICHは、移動局装置のバッテリーセービングの向上のため、間欠受信IR(Intermittent Reception)比率を低減することを目的として設定されたチャネルである。ページングインジケーターチャネルPICHは移動局装置に対する着信の有無を通知するための、着信群#n番に属する移動局装置に対して短いページングインジケータPI(Paging Indicator)を送信しており、アイドルモードの移動局装置は通常このページングインジケータPIのみを受信する。移動局装置は、ページングインジケータPIにて着信があることを知らされた場合のみ、ページングインジケータPIに対応するページングチャンルPCHを受信する。
ページングインジケータPIは複数の着信群#n番に群分けされており、1つの着信群#n番あたりの着信頻度を極めて低くできるため、アイドルモードの移動局装置は短いページングインジケータPIのみを受信すればよく、長い(情報量が多い)ページングチャネルPCHの信号を受信する頻度を極めて低くできる。
【0009】
さらに、EUTRAにおけるページングについて説明を行なう。ページングについての説明を行なう前に、EUTRAにおける下り信号の無線フレーム構成の一例を図10に示す。
図10では、横軸に時間軸をとっており、縦軸に周波数軸をとっている。無線フレームは、周波数軸を複数のサブキャリアの集合で構成される一定の周波数領域(BR)と、一定の送信時間(スロット)で構成される領域を一単位として構成されている。(非特許文献1)
また、1スロットの整数倍から構成される送信時間をサブフレームと呼ぶ。更に、複数のサブフレームをまとめたものをフレームと呼ぶ。図10では、1サブフレームが2スロットから構成される場合を示している。この一定の周波数領域(BR)と1スロット長で区切られた領域を、リソースブロックと呼ぶ。また、1フレームは10サブフレームから構成される。図10中のBWはシステム帯域幅を示しており、BRはリソースブロックの帯域幅を示している。
【0010】
図11はEUTRAのフレーム内におけるプライマリ同期チャネルP−SCH、セカンダリ同期チャネルS−SCH、下りリファレンス信号の一例を示した図である。図において1サブフレームは14OFDMシンボルで構成されるものとする。また、1BRは12サブキャリアで構成されるものとする。図11に示すように、セカンダリ同期チャネルS−SCH、プライマリ同期チャネルP−SCHは、基地局装置の送信周波数帯域中心の6BRで、サブフレーム#0と#5のそれぞれ6、7OFDMシンボル目で送信される。下りリファレンス信号は基地局装置の送信アンテナ数によって異なるが、いずれのアンテナ数においても各サブフレームの1OFDMシンボル目には必ず配置される。また、各サブフレームの先頭のn OFDMシンボル(1≦n≦3)には物理下り制御信号が、下りリファレンス信号以外の場所に配置される。
【0011】
EUTRAのページングの処理は前記フレーム構成において、移動局装置が各サブフレームの先頭に配置されている物理下り制御信号に含まれるページングインジケータPIに相当する信号を受信する。前記信号を受信した移動局装置は、当該サブフレームの物理下り制御信号以降のOFDMシンボルに含まれるページングチャンルPCHに相当する情報を復調し、自装置宛の信号の有無を確認する。
【0012】
移動局装置はページングのための信号を監視する必要があるが、音声通話の呼び出しやメールの着信の場合などでは、数百msから数秒の遅延があっても大きな問題にはならない。つまり、数百msから数秒の間隔でページングを配置することが可能であり、移動局装置はそのページングの配置されている区間のみ電波を受信して自装置宛のページングの有無を確認することができる。この間欠受信の受信期間以外における無線送受信動作を停止させることにより省電力化を図ることが可能となる。
【0013】
上述のセルサーチ処理により、同期処理を行った移動局装置は、間欠受信処理により、下りリファレンス信号、同期チャネルSCH、及びページング信号(通信要求信号)の受信処理を行う。このとき、基地局装置、移動局装置各々で行なっている時間の測定精度は異なるので、それぞれの装置の時間の測定精度により、同期の時間のずれ(以下、同期時間ずれという)が生じる場合がある。
この同期時間ずれを補正するため、移動局装置は、基地局装置から既知のタイミングで送られる既知の信号(例えば、プライマリ同期チャネルP−SCH、セカンダリ同期チャネルS−SCH、又は下りリファレンス信号)を受信し、この既知の信号を用いて同期時間ずれを検出して、同期時間ずれを補正することによって同期維持処理を行う。
なおWCDMAでは、同期時間のずれを補正するための既知の信号は、ロングコードPN符号等である。
【0014】
WCDMAにおける同期タイミングずれの補正のひとつの方法が特許文献1に記載されている。特許文献1には、移動局装置は間欠受信開始時にロングコードPN符号を64チップ長受信・保持し、間欠受信タイミングから時間mだけ前で受信が想定される符号を初期位相として設定する。その後、保持している受信符号と、初期位相から時間2mまでの位相を用いて順に逆拡散してエンベロープ値を蓄積する。蓄積されたエンベロープ値から最大値を検出することで、間欠受信の理想タイミング±mの範囲における実際の受信タイミングが検出できる。ここで最大値が既定の閾値を下回る場合は、±mの範囲から外れたものとみなして、セルの再度の同期処理である再同期処理(サーチ動作)を行なう。
このようにWCDMAでは長周期の信号が常に受信可能であるため、同期の補正は比較的容易に行なうことができるが、EUTRAにおいては、既知の信号として長周期の信号は用いられていないため、上記の手法を用いることができないため、同期チャネルや下りリファレンス信号を用いて補正を行なう必要がある。
【0015】
EUTRAでは通常、受信信号はFFT処理が施されて周波数領域の信号として扱うため、同期時間ずれの検出も周波数領域で検出できることが望ましい。
周波数領域での下りリファレンス信号の受信信号F’は、正しいタイミングより時間τずれている場合、移動局装置が予め記憶する時間ずれがないときの下りリファレンス信号の受信信号F(式(1))を用いて、式(2)で示される。
【0016】
【数1】
【0017】
【数2】
【0018】
ここで、eはネイピア数(自然対数の底)、jは虚数単位、ωはサブキャリアの周波数(角速度)であり、f(t)は時間領域での受信信号である。
移動局装置は、下りリファレンス信号の受信信号F’(ω)を検出し、F(ω)を除算することで、ejθ(ω)を検出する。ここで、位相θ(ω)は周期的な値となることから、同期時間ずれτを一意に検出するためには、ある周波数ω1とω2での位相θ(ω1)、θ(ω2)の位相差、つまり、θ(ω1)−θ(ω2)が、−π<θ(ω1)−θ(ω2)<πである必要がある。この場合、式(2)より、同期時間ずれτは、τ=−(θ(ω1)−θ(ω2))/(ω1−ω2)として一意に検出することができる。
【0019】
なお、θ(ω1)−θ(ω2)が、−π<θ(ω1)−θ(ω2)<π以外の値をとる場合、−π以下の値であるのかπ以上の値であるのかを判断できないため、同期時間ずれτを一意に検出できなくなる。この場合、移動局装置は、同期の維持ができず、再度の同期処理(以下、再同期処理という)が必要となる。
また、この同期時間ずれτの検出方法は、同期チャネルSCHでも同じである。また、より広い同期時間ずれτを検出したい場合、ω2−ω1=Δωを小さくとる必要がある。また、以下、この同期時間ずれτの補正(信号の受信タイミングをτずらすことによりτを0に近づける処理)を同期時間ずれ補正という。
【0020】
現在EUTRAで検討されている前記プライマリ同期チャネルP−SCH、セカンダリ同期チャネルS−SCH、下りリファレンス信号のうち、プライマリ同期チャネルP−SCHとセカンダリ同期チャネルS−SCHは全サブキャリアに信号が配置されるが、下りリファレンス信号については、6サブキャリアごとの配置が検討されている。単純に比較した場合、プライマリ同期チャネルP−SCHやセカンダリ同期チャネルS−SCHを用いた同期時間ずれτを検出できる、つまり、同期時間ずれ補正可能な範囲は、下りリファレンス信号の6倍と考えることができる。
また、下りリファレンス信号として位相回転を用いた複数の直交符号を用いた場合、例えば位相回転が、[0,0,0,0,0,・・・]、[0,2/3π,4/3π,6/3π(=0),8/3π(=2/3π),・・・]、[0,4/3π,8/3π,12/3π(=0),16/3π(=4/3π),・・・]となる2/3πずつずれた3つの直交符号を下りリファレンス信号として用いた場合、複数のセクタや基地局装置からの下りリファレンス信号(干渉電波)を受信すると、θ(ω1)−θ(ω2)の値が、位相差2/3πの半分であるπ/3以上となると、下りリファレンス信号に施されている位相回転と同期時間ずれによって生じる位相回転の識別ができなくなる。そのため、同期時間ずれτを検出できる範囲は−π/3<Δωτ<π/3となり、下りリファレンス信号を用いた同期時間ずれ補正可能な範囲は狭くなることになる。
【0021】
上記手法を考慮した場合のEUTRAにおける同期時間ずれ補正可能な範囲は、非特許文献2に記載されており、その値は下りリファレンス信号に位相回転を用いた直交符号を用いた場合で±1.9[μs]、直交符号を用いない場合で±5.6[μs]である。また、WCDMAでは、同期時間ずれ補正可能な範囲は、±33[μs]である。
以上述べたように、同期時間ずれτが小さい場合には、下りリファレンス信号を用いて同期時間ずれτを補正できるが、ずれが大きい場合には、1フレームに2箇所(5msに1箇所)置かれる同期チャネルSCHを用いて補正する必要がある。これは自移動局装置がデータを受信するサブフレーム以外にも前記同期チャネルSCHの含まれるサブフレームを復調する必要があることを意味する。
【0022】
また、特許文献2ではタイマ計時を行って、その前後のずれからDRXサイクル計時の補正を行なう手法や、通信時に用いられる高精度なクロックを用いてDRXサイクルを計時する低精度なクロックを補正する手法などが記載されている。
【非特許文献1】3GPP TS(Technical Specification)36.211、Physical Channels and Modulaltion.V8.0.0http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html−info/36211.htm
【非特許文献2】Nokia,“Performance of Orthogonal Sequences for Reference signals”,R1−080289,3GPP TSG−RAN WG1 Meeting #51bis,Seville, Spain, 14−18 January 2008
【特許文献1】特開平11−284599号公報
【特許文献2】特開平9−93185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかし、同期の維持において、同期時間ずれの検出に用いる同期信号の符号の種類により、検出可能な時間ずれの大きさの範囲が異なる。従来の技術では、同期信号の符号の種類に基づき同期時間ずれを検出していないため、従来の受信装置は、同期時間ずれが大き過ぎて検出できない場合、同期を維持することができず、再度の同期処理(以下、再同期処理という)や、同期時間ずれを検出できる他の同期信号の受信処理等の処理に電力が消費されてしまうという欠点があった。
また、特許文献2に記載の技術では、受信装置で用いるタイマの水晶振動子の精度の違い等、時間の測定精度の違いにより、同一通信システム内における受信装置であっても、再同期処理が必要となる受信装置と必要とならない受信装置があり、再同期処理が必要となる受信装置では、その処理に電力を消費してしまうという欠点があった。
このように、従来の技術の受信装置では、同期時間ずれの検出に用いる同期信号の符号の種類によっては、再同期処理や他の同期信号の受信処理等の処理をする必要があり、その処理に電力を消費してしまうという欠点があった。
【0024】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、再同期処理や他の同期信号の受信処理等の処理を減らすことができ、その処理で消費する電力を削減することができる受信装置、受信制御方法、及び受信制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
(1)本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その一態様は、送信装置から送信された時間同期に用いる少なくとも2種類以上の同期信号を間欠受信する受信装置において、前記時間同期のための時間を測定する受信制御部と、前記間欠受信した同期信号と予め記憶する同期信号との相違により、前記受信制御部が測定する時間のずれを検出する時間ずれ検出部と、前記受信制御部における時間の測定精度と、前記同期信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定する時間ずれ検出信号決定部と、を備える。
上記構成によると、前記受信装置は、自装置における時間の測定精度と、同期信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、前記送信装置との時間同期のために測定する時間のずれを検出ために用いる前記同期信号を決定するので、同期を維持することができる適切な信号を用いて時間同期を行うことができ、再同期処理を減らすことによって消費電力を減らすことができる。
【0026】
(2)また、本発明の一態様は、前記時間ずれ検出信号決定部は、前記時間ずれ検出部が、前記受信制御部が測定する時間のずれを一意に検出できるように、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定する。
上記構成によると、前記受信装置は、前記受信制御部が測定する時間のずれを一意に検出できるように、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定するので、正確な時間のずれを確実に検出して同期を維持することができ、他の手段による同期処理や、再同期処理にかかる消費電力を減らすことができる。
【0027】
(3)また、本発明の一態様は、前記送信装置が信号を送信する送信間隔であるサブフレームのいずれかに配置されて送信される通信要求信号を受信し、前記少なくとも2種類以上の同期信号は、前記サブフレーム毎に配置される第1の同期信号と、予め定められた前記サブフレームに配置される第2の同期信号であって、配置されるサブキャリアの間隔が第1の同期信号が配置されるサブキャリアの間隔よりも小さい第2の同期信号と、を含み、前記時間ずれ検出信号決定部は、前記第2の同期信号より、前記第1の同期信号を優先して、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号とする。
上記構成によると、前記受信装置は、サブフレーム毎に配置され、前記通信要求信号が配置されるサブフレームに配置される第1の同期信号を優先して、時間のずれを検出する同期信号とするので、前記第1の同期信号と前記通信要求信号とを、同じ受信処理で受信することができ、それぞれの信号を異なるサブフレームで個別に受信する場合と比べ、受信に係る電力を削減することができる。
【0028】
(4)また、本発明の一態様は、前記受信装置は、前記送信装置に隣接する他の送信装置が送信する前記同期信号に用いられる符号の種類を表わす情報を受信し、前記時間ずれ検出信号決定部は、前記受信制御部における時間の測定精度、前記同期信号に用いられる符号の種類、及び前記受信した情報が表わす符号の種類、に基づいて、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定する。
上記構成によると、前記受信装置は、前記送信装置に隣接する他の送信装置が送信する前記同期信号に用いられる符号の種類に基づいて、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定するので、前記他の送信装置が送信する前記同期信号に用いられる符号の種類により時間のずれを検出できる範囲が異なる場合であっても、正確な時間のずれを確実に検出して同期を維持することができ、他の手段による同期処理や、再同期処理にかかる消費電力を減らすことができる。
【0029】
(5)また、本発明の一態様は、他の送信装置が送信する前記同期信号に用いられる符号の種類を表わす情報は、前記他の送信装置が送信する信号の種類であり、前記時間ずれ検出信号決定部は、前記受信制御部における時間の測定精度、前記同期信号に用いられる符号の種類、及び前記他の送信装置が送信する信号の種類、基づいて、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定する。
【0030】
(6)また、本発明の一態様は、前記同期信号に用いられる符号は、位相回転を用いた直交符号を含み、前記同期信号に用いられる符号の種類は、前記位相回転量を表わす種類を含む。
上記構成によると、前記受信装置は、前記同期信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号であるか否かに応じて、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定することができるので、位相回転を用いた直交符号を用いた場合であっても、正確な時間のずれを確実に検出して同期を維持することができ、他の手段による同期処理や、再同期処理にかかる消費電力を減らすことができる。
【0031】
(7)また、本発明の一態様は、送信装置から送信された時間同期に用いる少なくとも2種類以上の同期信号を間欠受信する受信装置における受信制御方法おいて、前記受信装置が、前記時間同期のための時間を測定する第1の過程と、前記受信装置が、前記間欠受信した同期信号と予め記憶する同期信号との相違により、前記第1の過程にて測定する時間のずれを検出する第2の過程と、前記受信装置が、前記第1の過程における時間の測定精度と、前記同期信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、前記第2の過程にて検出に用いる前記同期信号を決定する第3の過程と、を有する。
【0032】
(8)また、本発明の一態様は、送信装置から送信された時間同期に用いる少なくとも2種類以上の同期信号を間欠受信する受信装置のコンピュータに、前記時間同期のための時間を測定する受信制御手段、前記間欠受信した同期信号と予め記憶する同期信号との相違により、前記受信制御手段にて測定する時間のずれを検出する時間ずれ検出手段、前記受信制御手段における時間の測定精度と、前記同期信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、前記時間ずれ検出手段にて検出に用いる前記同期信号を決定する時間ずれ検出信号決定手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、受信装置は、自装置における時間の測定精度と、同期信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、送信装置との時間同期のために測定する時間のずれを検出ために用いる同期信号を決定するので、同期を維持することができる適切な信号を用いて時間同期を行うことができ、再度の時間同期をとる再同期処理を減らすことによって消費電力を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
<通信システムについて>
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、この発明の実施形態による通信システム1の概念図である。
この図において、通信システム1は、基地局装置A1、A2(送信装置)と移動局装置B1〜B3(受信装置)とを含んで構成される。また、この図において、基地局装置A1と基地局装置A2とは、互いに隣接する基地局装置であり、携帯電話網Cを介して通信をする。
以下、基地局装置A1と移動局装置B1、B2について説明をするが、基地局装置A2と移動局装置B3についても同様である。
【0035】
移動局装置B1、B2は、基地局装置A1と通信をするため、後述するように、セルサーチ処理により基地局装置A1とスロット及びフレームの同期を行う(以下、同期処理という)。
この同期処理を行った後、移動局装置B1、B2は、自装置宛の着呼等、自装置宛の通信の呼び出し(以下、ページング要求という)があるまでの間、基地局装置A1からの信号を受信して通信可能な状態とする。このとき、移動局装置B1、B2は、消費電力を低減するため、基地局装置A1からの信号を間欠的に受信(以下、間欠受信という)する。
また、移動局装置B1、B2は、基地局装置A1との同期の維持を行うため、自装置の計時機能により時間を測定する。この時間の測定精度は、移動局装置B1、B2各々の機能や品質により異なる。
【0036】
一方、移動局装置B1、B2が間欠受信する信号には、後述するように、時間同期に用いる既知の信号である下りリファレンス信号(第1の同期信号)と同期チャネルSCH(Synchronization Channel、第2の同期信号)とが含まれる。なお、下りリファレンス信号は、伝搬路補償に用いられる信号でもある。
【0037】
移動局装置B1、B2は、まず、基地局装置A1が送信する下りリファレンス信号を用いて、時間の測定精度によって生ずる基地局装置A1との時間同期の時間のずれ(以下、同期時間ずれという)を検出して、その同期時間ずれを補正(以下、同期時間ずれ補正という)することで、同期の維持を行う(以下、同期維持処理という)。この同期時間ずれを検出可能な時間ずれの大きさの範囲は、移動局装置B1、B2各々の時間の測定精度、及び、同期時間ずれの検出に用いる同期信号によって、限りがある。なお、同期時間ずれを検出することができない場合は、移動局装置B1、B2は、再同期処理を行う必要がある。
【0038】
本実施形態では、移動局装置B1、B2は、自装置の時間の測定精度と、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、下りリファレンス信号を用いて同期時間ずれを検出することができるか否かを判定する。
判定の結果、移動局装置B1、B2は、下りリファレンス信号を用いて同期時間ずれを検出することができる場合、ページング信号と同じサブフレームに配置される下りリファレンス信号を用いて同期時間ずれの検出し、同期維持処理をしてページング信号を受信する。なお、判定の結果、移動局装置B1、B2は、下りリファレンス信号を用いて同期時間ずれを検出することができない場合、ページング信号が配置される予定のサブフレームとは異なるサブフレームで同期チャネルSCHを受信して、受信した同期チャネルSCHを用いて同期時間ずれの検出し、同期維持処理をしてページング信号を受信する。
このように、通信システム1は、自装置の時間の測定精度と、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、同期時間ずれを検出することができる適切な同期信号を用いて同期維持処理を行うことができ、再同期処理や、同期チャネルSCHの受信処理を減らすことによって消費電力を減らすことができる。
【0039】
以下、移動局装置B1、B2と基地局装置A1とのセルサーチ処理(同期処理)、基地局装置A1からの信号を間欠受信する処理、無線フレームの構成、及び同期維持処理について説明し、次に、本実施形態に係る装置の構成、動作を説明する。
【0040】
<セルサーチ処理について>
以下、セルサーチ処理について説明をする。
通信システム1では、移動局装置B1、B2が基地局装置A1の通信エリアであるセルまたはセクタ内において、基地局装置A1から送信される信号を受信するため、後述する基地局装置A1の無線フレームにおけるスロットとフレームとの同期をとる必要がある。基地局装置A1は、既定の構成から成る同期チャネルSCHを送信し、移動局装置B1、B2にて予め記憶する同期チャネルSCHとの相関をとり、同期チャネルSCHを検出することで、基地局装置A1と同期をとる。ここで、同期チャネルSCHとしてプライマリ同期チャネルP−SCH(Primary SCH)とセカンダリ同期チャネルS−SCH(Secondary SCH)がある。
【0041】
図2は、本実施形態に係るセルサーチ処理を示すフロー図である。
移動局装置B1、B2は、プライマリ同期チャネルP−SCHのレプリカ信号と受信信号とで時間領域での相関をとることによってスロット同期(ステップ1)を取得し、更にセカンダリ同期チャネルS−SCHのレプリカ信号と受信信号とで、時間領域あるいは周波数領域での相関をとり、得られたセカンダリ同期チャネルS−SCHの送信パターンによってフレーム同期をと得すると共に、基地局装置A1を識別するためのセルID(Identification:識別情報)を特定する(ステップ2)。セルIDを特定することにより、下り信号の復調や、受信品質の測定、さらには同期の維持のために利用される下りリファレンス信号の系列を一意に特定することが可能である。
このような一連の制御、つまり、移動局装置B1、B2が基地局装置A1と同期をとり、更にその基地局装置A1のセルIDを特定するまでのステップをセルサーチ処理と呼ぶ。
【0042】
また、移動局装置B1、B2は、基地局装置A1を通じて携帯電話網等の移動通信システム1に対して自装置が在圏するセルの情報を通知し、移動通信システム1が移動局装置B1、B2が在圏するセルの情報を登録(以下、位置登録という)する。これにより、移動通信システム1が移動局装置B1、B2宛の信号を、位置登録を行ったセルの基地局装置A1に送信し、移動局装置B1、B2は、当該基地局装置A1から、自装置宛の信号を受信することが可能となる。
位置登録を行なっていない移動局装置B1、B2、又は、位置登録を行なったセルから別のセルへ移った移動局装置B1、B2は、セルサーチ処理により検出したセルの基地局装置A1に対して通信をして、位置登録を行なう。
位置登録を行なった移動局装置B1、B2は、ページングチャネル(PCH)に配置されたページング信号を復調することで、ページング要求の有無を検出することが可能となる。
【0043】
<間欠受信処理について>
以下、間欠受信処理について説明をする。
図3は、本実施形態に係る間欠受信処理について説明するタイミングチャートである。この図において、横軸は時間軸である。
この図は、移動局装置B1が、消費電力低減のため、受信とスリープを繰り返し、基地局装置A1からの信号を間欠受信することを示す。また、移動局装置B1は、この間欠受信を周期的に行なう。この受信する時点から、次に受信する時点までの時間をDRXサイクルという。
【0044】
この図は、移動局装置B1が、基地局装置A1が送信した移動局装置B1宛てのページング信号p1を受信し、その後、送信される移動局装置B1宛てのデータ信号p2を受信することを示す。
このように、移動局装置B1は、自装置宛てのページング信号を検出し、検出した場合のみ、受信可能とする間隔を長くして自装置宛てのデータ信号を受信することで、受信可能とする時間を減らすことができ、受信可能とする電力の消費を削減することができる。
なお、基地局装置A1は、ページング信号p1を、移動局装置B1が間欠受信をしている際に、ページング信号p1を受信できるように配置する。
【0045】
<無線フレームの構成について>
以下、本実施形態に係る無線フレーム構成について説明をする。
図4は、本実施形態に係る無線フレームの構成を説明する説明図である。この図において、横軸は時間軸であり、縦軸は、周波数軸である。
無線フレームは、周波数軸を複数のサブキャリアの集合で構成される一定の周波数領域(BR)と、一定の送信時間(スロット)で構成される領域を一単位として構成されている。また、1スロットの整数倍から構成される送信時間をサブフレームと呼ぶ。さらに、複数のサブフレームをまとめたものをフレームと呼ぶ。
図4では、1サブフレームが2スロットから構成される場合を示している。この一定の周波数領域(BR)と1スロット長で区切られた領域を、リソースブロックと呼ぶ。また、1フレームは10サブフレームから構成される。図4中のBWはシステム帯域幅を示しており、BRはリソースブロックの帯域幅を示している。
【0046】
図5は、本実施形態に係る信号の配置を説明する説明図である。この図において、縦軸は周波数軸、横軸は時間軸である。
この図は、フレーム内におけるプライマリ同期チャネルP−SCH、セカンダリ同期チャネルS−SCH、下りリファレンス信号の配置の一例を示している。また、この図において、1サブフレームは14OFDMシンボルで構成される。また、1BRは12サブキャリアで構成される。
【0047】
この図は、セカンダリ同期チャネルS−SCH、プライマリ同期チャネルP−SCHは、基地局装置の送信周波数帯域中心の6BRで、サブフレーム#0と#5のそれぞれ6、7OFDMシンボル目に配置されることを示す。また、報知情報チャネルは、同期チャネルSCHと同じサブフレームに配置される。
また、この図は、下りリファレンス信号は、各サブフレームの1OFDMシンボル目には必ず配置される。また、各サブフレームの先頭のn OFDMシンボル(1≦n≦3)には物理下り制御信号が、下りリファレンス信号以外の場所に配置されることを示す。
なお、TDD(Time Division Duplex:時分割複信)のシステムにおいても、下りに割り当てられたサブフレームについては上記配置が適用される。
【0048】
ここで、プライマリ同期チャネルP−SCHとセカンダリ同期チャネルS−SCHは、全サブキャリアに信号が配置される。また、下りリファレンス信号は、6サブキャリアごとに配置される。
なお、後述するように、このサブキャリアの配置の違いにより、同期チャネルSCHと下りリファレンス信号とでは、同期時間ずれを検出できる範囲が異なる。
【0049】
<同期維持処理について>
上述のセルサーチ処理により、同期処理を行った移動局装置B1、B2は、間欠受信処理により、下りリファレンス信号、同期チャネルSCH、及びページング信号の受信処理を行う。このとき、基地局装置A1、移動局装置B1、B2各々で行なっている時間の測定精度は異なるので、それぞれの装置の時間の測定精度により、同期時間ずれが生じる場合がある。
この同期時間ずれを補正するため、移動局装置B1、B2は、基地局装置A1から既知のタイミングで送られる既知の信号(例えば、プライマリ同期チャネルP−SCH、セカンダリ同期チャネルS−SCH、又は下りリファレンス信号)を受信し、この既知の信号を用いて同期時間ずれを検出して、同期時間ずれ補正をすることによって同期維持処理を行う。
【0050】
例えば、移動局装置B1、B2は、下りリファレンス信号を用いて、以下のように同期時間ずれを検出することができる。
周波数領域での下りリファレンス信号の受信信号F’(ω)は、時間の測定精度によって正しいタイミングより時間τずれている場合、つまり、同期時間ずれがτである場合、移動局装置B1、B2が予め記憶する同期時間ずれτがないときの下りリファレンス信号の受信信号F(ω)(式(3))を用いて、式(4)で示される。
【0051】
【数3】
【0052】
【数4】
【0053】
ここで、eはネイピア数(自然対数の底)、jは虚数単位、ωはサブキャリアの周波数(角速度)であり、f(t)は時間領域での受信信号である。
移動局装置B1、B2は、下りリファレンス信号の受信信号F’(ω)を検出し、F(ω)を除算することで、ejθ(ω)を検出する。ここで、位相θ(ω)は周期的な値となることから、同期時間ずれτを一意に検出するためには、ある周波数ω1とω2での位相θ(ω1)、θ(ω2)の位相差、つまり、θ(ω1)−θ(ω2)が、−π<θ(ω1)−θ(ω2)<πである必要がある。この場合、式(4)より、同期時間ずれτは、τ=−(θ(ω1)−θ(ω2))/(ω1−ω2)として一意に検出することができる。
【0054】
なお、θ(ω1)−θ(ω2)が、−π<θ(ω1)−θ(ω2)<π以外の値をとる場合、−π以下の値であるのかπ以上の値であるのかを判断できないため、同期時間ずれτを一意に検出できなくなる。この場合、移動局装置は、同期の維持ができず、再同期処理が必要となる。
ここで、−ωτは位相回転であることから、ある周波数ω1とω2での位相差、つまり、ω2τ−ω1τ=Δωτが、−π<Δωτ<πであれば、θ(ω1)、θ(ω2)を検出することにより、同期時間ずれτを一意に検出することができる。
なお、Δωτが、−π<Δωτ<π以外の値をとる場合、−π以下の値であるのかπ以上の値であるのかを判断できないため、同期時間ずれτを一意に検出できなくなる。この場合、移動局装置は、同期の維持ができず、再度の同期処理(以下、再同期処理という)が必要となる。
【0055】
また、周波数領域でのサンプル間隔Δω=ω2−ω1は、下りリファレンス信号と同期チャネルSCHで異なる。全サブキャリアに配置される同期チャネルSCHは、6サブキャリア毎に配置される下りリファレンス信号より、Δωが小さく、つまり、同期時間ずれτを一意に検出することができる範囲が広い。
【0056】
また、下りリファレンス信号に直交符号を用いる場合、2π/m(mは自然数)ずつずれたm個の符号(以下、2π/mシフト符号という)を用いる。この場合、他のセクタや基地局装置からの干渉電波を考慮すると、同期時間ずれτを検出できる範囲は−π/m<Δωτ<π/mとなる。
例えば、セルを3つのセクタに分けて2π/3ずつずれた3つの符号を用いた場合、位相回転が、[0,0,0,0,0,・・・]、[0,2/3π,4/3π,6/3π(=0),8/3π(=2/3π),・・・]、[0,4/3π,8/3π,12/3π(=0),16/3π(=4/3π),・・・]となる2/3πずつずれた3つの直交符号を下りリファレンス信号として用いると、複数のセクタや基地局装置からの下りリファレンス信号(干渉電波)を受信すると、θ(ω1)−θ(ω2)の値が、位相差2π/3の半分であるπ/3以上となると、下りリファレンス信号に施されている位相回転と同期時間ずれによって生じる位相回転の識別ができなくなる。そのため、同期時間ずれτを検出できる範囲は−π/3<Δωτ<π/3となり、下りリファレンス信号を用いた同期時間ずれ補正可能な範囲は狭くなることになる。
なお、この同期時間ずれτの検出方法は、既知の信号、例えば同期チャネルSCHでも同じである。
【0057】
<基地局装置の構成について>
以下、本実施形態に係る基地局装置A1、A2(以下、基地局装置a1とする)の構成について説明をする。
図6は、本実施形態に係る基地局装置a1の構成を説明する概略的ブロック図である。
基地局装置a1は、上位レイヤa11、符号部a12、変調部a13、送信部a14、制御部a15、受信部a16、復調部a17、及びデータ処理部a18を含んで構成される。なお、図6においては、本実施形態の説明に関連する構成の概略のみを示す。
【0058】
上位レイヤa11は、各部の動作を統括的に制御する。また、上位レイヤa11は、送信信号情報通知部a111を含んで構成される。
送信信号情報通知部a111は、下りリファレンス信号の種別、DRXサイクル、同期チャネルSCHの送信時刻、及びページング信号の位置情報を含む送信信号情報を、符号部a12、変調部a13、及び送信部a14を介し、移動局装置B1、B2に送信する。ここで、下りリファレンス信号の種別は、例えば、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号であるときに、2π/mシフト符号を用いる場合、「m」であり、また、位相回転を用いた直交符号でない場合には、「1」である。
【0059】
符号部a12は、上位レイヤa11から入力されたトラフィックデータ、制御データ等のデータを、制御部a15から入力された送信制御情報に基づき符号化する。なお、制御データには、報知情報チャネル、下り共用制御チャネルなどが含まれる。
符号部a12は、符号化したデータを変調部a13に出力する。
【0060】
変調部a13は、符号部a12から入力されたデータを、制御部a15から入力された送信制御情報に基づき変調し、送信部a14に出力する。
送信部a14は、変調部a13から入力されたデータを、制御部a15から入力された送信制御情報に基づいて、適切に電力制御した後、下りリファレンス信号や同期チャネルSCHと多重し、チャネルに配置してアンテナ(図示せず)を介し、移動局装置B1、B2に送信する。
【0061】
制御部a15は、上位レイヤa11から入力された制御情報に含まれる上述の送信制御情報を、送信に係る各部(符号部a12、変調部a13、及び送信部a14)に出力する。
また、制御部a15は、上位レイヤa11から入力された制御情報に含まれる受信制御情報を、受信に係る各部(受信部a16、復調部a17、及びデータ処理部a18)に出力する。
【0062】
受信部a16は、移動局装置B1、B2から送信された信号を、制御部a15から入力された受信制御情報が示す周波数で、アンテナ(図示せず)を介して受信する。受信部a16は、受信した信号を、ベースバンドの信号にダウンコンバートして復調部a17に出力する。
復調部a17は、受信部a16から入力された信号を、制御部a15から入力された受信制御情報と上りリファレンス信号を用いた伝播路推定結果とに基づいて復調し、復調したデータをデータ処理部a18に出力する。
【0063】
データ処理部a18は、復調部a17から入力されたデータからトラフィックデータや制御データを取り出して上位レイヤa11に出力する。なお、この制御データには、上述の移動局装置B1、B2が測定した基地局装置a1の品質情報(基地局装置データ)、また、周辺セルのセルID、周辺セルの品質情報、周辺セルが用いる下りリファレンス信号に用いられる符号の種類、MBMS(Multimedia Broadcast Multicast Service;マルチメディアブロードキャスト/マルチキャストサービス)の信号のみを送信するセルであるか否かを示す情報などの隣接する周辺基地局装置に関するデータ(周辺基地局装置データ)が含まれる。
例えば、図1の基地局装置A1における制御データには、周辺基地局装置データとして基地局装置A2に関するデータが含まれる。
【0064】
<移動局装置の構成について>
以下、本実施形態に係る移動局装置B1〜B3(以下、移動局装置b1という)の構成について説明をする。
図7は、本実施形態に係る移動局装置b1の構成を説明する概略的ブロック図である。
移動局装置b1は、上位レイヤb11、符号部b12、変調部b13、送信部b14、制御部b15、受信制御部b16、受信部b17、復調部b18、同期部b19、データ処理部b20、及び同期維持部b21(時間ずれ検出部)を含んで構成される。なお、上位レイヤb11の送信信号情報受信部b111、検出可能サイクル記憶部b112、同期維持処理決定部b113(時間ずれ検出信号決定部)、同期補正部b114、受信制御部b16、受信部b17、復調部b18、同期部b19、データ処理部b20、及び同期維持部b21が、受信装置E1に相当する。また、図7においては、本実施形態の説明に関連する構成の概略のみを示す。
【0065】
上位レイヤb11は、各部の動作を統括的に制御する。また、上位レイヤb11は、送信信号情報受信部b111、検出可能サイクル記憶部b112、同期維持処理決定部b113、及び同期補正部b114を含んで構成される。
送信信号情報受信部b111は、受信部b17、復調部b18、及びデータ処理部b20を介し、基地局装置a1から送信された送信信号情報を受信する。送信信号情報受信部b111は、受信した送信信号情報を同期維持処理決定部b113に出力する。
【0066】
検出可能サイクル記憶部b112は、下りリファレンス信号の種別と、その種別の信号について、同期時間ずれτを一意に検出可能となる最大のDRXサイクル(以下、検出可能最大DRXサイクルという)とを対応付けて予め記憶する。
【0067】
例えば、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号である場合、下りリファレンス信号の種別(値が「1」以外)に対応する検出可能最大DRXサイクルT1[s]は、受信制御部b16が備えるタイマの水晶振動子の精度が、P[ppm]であるとき、T1=τ1/Pである。ここで、τ1は、Δωτ1=π/mを満たすτ1である。本実施形態では、下りリファレンス信号の種別=3とした場合のT1を用い、例えば、P=1.17ppmとした場合、T1=1.59[s]である。
また、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号でない場合、下りリファレンス信号の種別(値が「1」)に対応する検出可能最大DRXサイクルT2[s]は、受信制御部b16が備えるタイマの水晶振動子の精度が、P[ppm]であるとき、T2=τ2/Pである。ここで、τ2は、Δωτ2=πを満たすτ2である。本実施形態では、例えば、P=1.17ppmであるとき、T2=4.78[s]である。
【0068】
なお、本実施形態では、上述のように予め算出した検出可能最大DRXサイクルを予め記憶しているが、本発明はこれに限らず、移動局装置b1は、タイマの水晶振動子の精度Pを予め記憶し、記憶するPから検出可能最大DRXサイクルを算出してもよいし、タイマの水晶振動子の精度Pを測定して、測定したPから検出可能最大DRXサイクルを算出してもよい。
また、本実施形態では、時間の測定精度は計時精度とし、タイマの水晶振動子の精度としているが、本発明はこれに限らず、移動局装置b1内での受信時刻のカウントに対する補正処理を行った際の時間情報や、前記情報にGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)・ドップラーシフト量などから求められる移動速度情報を付加した情報であってもよく、同期時間ずれτの最大値を算出できる情報であればよい。
【0069】
同期維持処理決定部b113には、送信信号情報受信部b111から送信信号情報として、下りリファレンス信号の種別、DRXサイクル、同期チャネルSCHの送信時刻、及びページング信号の位置情報が入力される。同期維持処理決定部b113は、入力された下りリファレンス信号の種別に対応する検出可能最大DRXサイクルを、検出可能サイクル記憶部b112から読み出し、入力されたDRXサイクルと比較して、後述する同期維持部b21に同期時間ずれτの検出に用いる同期信号(本実施形態では、下りリファレンス信号、又は、同期チャネルSCH)を決定する(以下、決定した同期信号を、時間ずれ検出信号という)。なお、時間ずれ検出信号の決定方法についての詳細は、後述する。
同期維持処理決定部b113は、時間ずれ検出信号を用いて同期時間ずれτを検出させる制御情報を同期維持部b21に出力する。
【0070】
また、同期維持処理決定部b113は、時間ずれ検出信号の情報と、時間ずれ検出信号を受信する受信タイミングとを受信制御部b16に出力する。具体的に、同期維持処理決定部b113は、時間ずれ検出信号を下りリファレンス信号とした場合、同期処理又は再同期処理をした時刻からDRXサイクルが示す時間が経過した受信時刻(以下、間欠受信時間という)を、受信タイミングとして出力する。一方、同期維持処理決定部b113は、時間ずれ検出信号を同期チャネルSCHとした場合、同期チャネルSCHの送信時刻から算出した同期チャネルSCHの受信時刻であって、ページング信号の位置情報が示すページング信号の受信タイミング直前の受信時刻(以下、ページング前SCH受信時刻という)を、受信タイミングとして出力する。
また、同期維持処理決定部b113は、データ処理部b20から入力されるデータのCRCチェック等の誤り検出により、データ誤りが予め定めた回数以上続く場合に、同期外れとみなして同期チャネルSCHを用いた再同期処理を行う制御情報を、制御部b15に出力する。
【0071】
同期補正部b114は、同期維持部b21が出力した同期信号に含まれる同期時間ずれτを検出し、累積した同期時間の同期時間ずれ補正をさせる制御情報を、制御部b15を介して受信部b17に出力する。なお、同期補正部b114は、同期維持部b21から同期信号が入力される毎に、同期時間ずれ補正をさせる制御情報を出力する。例えば、下りリファレンス信号を用いて同期時間ずれτを検出する場合、間欠受信毎に、同期時間ずれ補正をさせる制御情報を出力する。
【0072】
符号部b12は、上位レイヤb11から入力されたユーザデータ、トラフィックデータ、制御データ等のデータを、制御部b15から入力された送信制御情報に基づき符号化する。
なお、制御データには、上りリファレンス信号や上り共用制御チャネルのデータなどが含まれ、また、移動局装置b1が測定した基地局装置a1の品質情報(基地局装置データ)、周辺セルのセルID、周辺セルの品質情報などの周辺基地局装置に関するデータ(周辺基地局装置データ)が含まれる。また、送信制御情報は、上りチャネルに関する送信タイミングや多重方法、各チャネルの送信データの配置情報、変調や送信電力に関する情報が含まれている。
符号部b12は、符号化したデータを変調部b13に出力する。
【0073】
変調部b13は、符号部b12から入力されたデータを、制御部b15から入力された送信制御情報に基づき変調し、送信部b14に出力する。
送信部b14は、変調部b13から入力されたデータを、制御部b15から入力された送信制御情報に基づいて、適切に電力制御し、各チャネルに配置してアンテナ(図示せず)を介し、基地局装置a1に送信する。
【0074】
制御部b15は、上位レイヤb11から入力された制御情報に含まれる上述の送信制御情報を、送信に係る各部(符号部b12、変調部b13、及び送信部b14)に出力する。
また、制御部b15は、上位レイヤb11から入力された制御情報に含まれる受信制御情報を、受信に係る各部(受信制御部b16、受信部b17、復調部b18、同期部b19、データ処理部b20、及び同期維持部b21)に出力する。受信制御情報には、例えば、基地局装置a1の送信信号を受信する周波数の情報、下りチャネルに関する受信時刻や多重方法、各チャネルの受信データの配置情報、変調や送信電力に関する情報が含まれる。
【0075】
受信制御部b16は、同期維持処理決定部b113から入力された受信タイミングの受信時刻に、受信部b17に、時間ずれ検出信号を受信させる制御をする。
また、受信制御部b16は、受信部b17に時間同期させるための時間を測定する。すなわち、受信制御部b16は、時間同期のための時間を測定する。
【0076】
受信部b17は、基地局装置a1から送信された信号を、制御部b15から入力された受信制御情報が示す周波数で、アンテナ(図示せず)を介して受信する。受信部b17は、受信した信号を、ベースバンドの信号にダウンコンバートして復調部b18と同期部b19とに出力する。
また、受信部b17は、受信制御部b16の制御に従って、間欠受信、又は、SCHの受信をする。
また、受信部b17は、同期補正部b114から制御部b15を介して入力された制御情報に従い、同期時間ずれ補正を行う。
【0077】
復調部b18は、受信部b17から入力された信号を、制御部b15から入力された受信制御情報と下りリファレンス信号を用いた伝播路推定結果とに基づいて、OFDMシンボルを復調し、復調したOFDMシンボルのデータを、データ処理部b20に出力する。また、復調部b18は、復調した下りリファレンス信号を同期維持部b21に出力する。
【0078】
同期部b19は、受信部b17から入力された同期チャネルSCHより、時間同期およびセルIDの同定を行う。同期部b19は、同期チャネルSCHを同期維持部b21に出力し、また、同期部b19は、同定結果である同期信号を上位レイヤb11に出力する。
データ処理部b20は、復調部b18から入力されたデータからトラフィックデータや制御データを取り出して上位レイヤb11に出力する。
【0079】
同期維持部b21は、制御部b15を介して入力される同期維持処理決定部b113が出力した制御情報に従い、復調部b18から入力された下りリファレンス信号、又は、同期部b19から入力された同期チャネルSCH、を用いて、それぞれ、予め記憶する下りリファレンス信号、又は、同期チャネルSCHとの相関を検出する。同期維持部b21は、検出した相関により、位相回転θ(ω1)、θ(ω2)を検出して、制御部b15から入力される下りリファレンス信号、又は、同期チャネルSCHが配置されているサブキャリアの周波数間隔Δωを用いて、τを算出する。すなわち、同期維持部b21は、受信部b17が間欠受信した同期信号と、予め記憶する同期信号との相違により、受信制御部b16が測定する同期時間ずれτを検出する。
【0080】
なお、同期維持部b21は、同期維持処理決定部b113が出力した制御情報が示す同期チャネルSCH、又は、下りリファレンス信号が、受信部b17で受信され復調部b18又は同期部b19を介して入力される毎に、同期時間ずれτを検出する。
同期維持部b21は、検出した同期時間ずれτを含む同期信号を上位レイヤb11に出力する。
【0081】
<移動局装置の動作について>
以下、移動局装置b1の動作について説明をする。
図8は、本実施形態に係る移動局装置b1の動作を説明するフロー図である。なお、この図の動作を開始する前、移動局装置b1は間欠受信を行う前の状態である。
移動局装置b1は、検出可能最大DRXサイクルT1、T2を読み出す(S1001)。なお、通常T1<T2と設定であるが、移動局装置b1の水晶振動子の精度が低い場合、T1=T2となる場合もある。
【0082】
移動局装置b1は、自装置が在圏するセルの基地局装置a1よりDRXサイクル、フレーム内におけるページングの位置情報、下りリファレンス信号の種別を取得する(S1002)。なお、下りリファレンス信号の種別は、基地局装置a1が報知する報知情報に含まれてもよいし、基地局装置a1で用いられているフレーム構成(通常の移動局装置b1宛の送信に用いられる通常フレーム構成を用いる場合とMBMSなどのサービスのために用いられる拡張フレーム構成を用いる場合など)によって種別を識別してもよい。
【0083】
次に、移動局装置b1は、基地局装置a1から取得した下りリファレンス信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号であるか否かを判定する(S1003)。
ステップ1003の判定にて、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号でないと判定された場合(No)、移動局装置b1は、検出可能最大DRXサイクルTをT2とする(S1004)。一方、ステップS1003の判定にて、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号であると判定された場合(Yes)、移動局装置b1は、検出可能最大DRXサイクルTをT1とする(S1005)。
【0084】
次に、移動局装置b1は、基地局装置a1から取得したDRXサイクルが検出可能最大DRXサイクルTより大きいか否かを判定する(S1006)。
ステップS1006の判定にて、基地局装置a1から取得したDRXサイクルが検出可能最大DRXサイクルTより大きいと判定された場合(Yes)、移動局装置b1は、受信処理を停止後、次回受信処理を起床する時刻Twa(受信タイミング)を、ページング前SCH受信時刻とする(S1007)。
一方、ステップS1006の判定にて、基地局装置a1から取得したDRXサイクルが検出可能最大DRXサイクルT以下と判定された場合(No)、移動局装置b1は、時刻Twaを、間欠受信時間とする(S1008)。
【0085】
移動局装置b1は、受信処理を停止してタイマでの計時を開始する(S1009)。移動局装置b1は、タイマが示す時刻が時刻Twaより前の時刻か否かを判定する(S1011)。
ステップS1011の判定にて、タイマが示す時刻が時刻Twaより前の時刻であると判定された場合(Yes)、移動局装置b1は、S1011の判定処理を行う。一方、ステップS1011の判定にて、タイマが示す時刻が時刻Twa以降の時刻であると判定された場合(No)、移動局装置b1は、基地局装置a1から取得したDRXサイクルが、自装置における時間の測定精度に基づいて定まる検出可能最大DRXサイクルTより大きいか否かを判定する(S1012)。
【0086】
ステップS1012の判定にて、基地局装置a1から取得したDRXサイクルが検出可能最大DRXサイクルTより大きいと判定された場合(Yes)、移動局装置b1は、基地局装置a1から同期チャネルSCHを受信する(S1013)。移動局装置b1は、受信した同期チャネルSCHを用いて同期維持処理を行う(S1014)。
【0087】
一方、ステップS1012の判定にて、基地局装置a1から取得したDRXサイクルが検出可能最大DRXサイクルT以下と判定された場合(No)、移動局装置b1は、ページングが配置される予定のサブフレームに配置された下りリファレンス信号を受信し、受信した下りリファレンス信号を用いて同期維持処理を行う(S1015)。
下りリファレンス信号を用いて同期維持処理を行う場合、下りリファレンス信号は全てのサブフレームの1OFDMシンボル目に配置されているので、ページング信号が配置されるサブフレームと同一のサブフレームの最初のOFDMシンボルで受信をすることができる。この場合、下りリファレンス信号とページング信号とを、同じ受信処理で受信することができるので、それぞれの信号を個別に受信する場合と比べ、受信に係る電力を削減することができる。また、同期維持処理の直後にページング信号を受信することができるので、同期維持処理直後に、ページング信号を受信することができ、正確なページング信号を受信することができる。
【0088】
このように、本実施形態によれば、移動局装置b1は、自装置における時間の測定精度に基づいて、基地局装置a1との時間同期のために測定する時間のずれを検出するために用いる同期信号を決定する。これにより、移動局装置b1の時間の測定精度に応じて、同期を維持することができる適切な信号を用いて時間同期を行うことができ、再度の時間同期をとる再同期処理を減らすことによって消費電力を減らすことができる。
【0089】
なお、上記実施形態において、移動局装置b1は、自装置が在圏する基地局装置a1が用いる下りリファレンス信号に用いられる符号の種類に応じて、同期維持部b21が検出に用いる前記同期信号を決定する。さらに、移動局装置b1は、周辺セル、つまり、隣接する基地局装置が用いる下りリファレンス信号に用いられる符号の種類に応じて、同期維持部b21が検出に用いる前記同期信号を決定してもよい。
【0090】
この場合、移動局装置b1は、図8のステップS1003の判定に加え、制御データに含まれる周辺セルが用いる下りリファレンス信号に用いられる符号の種類に、位相回転を用いた直交符号が含まれるか否かを判定し、在圏するセル及び周辺セルが用いる下りリファレンス信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号が含まれる場合は、ステップS1005の処理を行う。
すなわち、移動局装置b1は、基地局装置a1に隣接する他の基地局装置a1が送信する下りリファレンス信号に用いられる符号の種類の情報を受信し、同期維持処理決定部b113は、受信した下りリファレンス信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号であるか否かに応じて、同期維持部b21が検出に用いる同期信号を決定する。
【0091】
また、移動局装置b1は、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類を、MBMSの信号のみを送信するセルであるか否かを示す情報に基づいて判定してもよい。すなわち、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類を、基地局装置a1が送信する信号の種類により判定する。
例えば、MBMSの信号のみを送信するセルでは、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号である可能性が高いので、検出可能最大DRXサイクルTを短い時間とすることで、同期を維持することができる適切な信号を用いて時間同期を行うことができ、再度の時間同期をとる再同期処理を減らすことによって消費電力を減らすことができる。
【0092】
また、上記実施形態において、移動局装置b1は、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類が位相回転を用いた直交符号であるか否かに応じて、検出可能最大DRXサイクルTの値を選択し、同期維持部b21が検出に用いる前記同期信号を決定しているが、本発明はこれに限らず、例えば、2π/mシフト符号ごとに、検出可能最大DRXサイクルTの値を選択してもよい。
例えば、移動局装置b1は、P=1.17ppmとした場合、図8のステップS1001に変えて、2π/3シフト符号に対応する検出可能最大DRXサイクルT1を、T1=1.59[s]、π/3(2π/6)シフト符号に対応する検出可能最大DRXサイクルT3を、T3=0.79[s]、また、位相回転を用いた直交符号でない場合の検出可能最大DRXサイクルT2を、T2=4.78[s]として読み出す。そして、移動局装置b1は、図8のステップS1003に変えて、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類を判定し、ステップS1004、S1005に変えて、下りリファレンス信号に用いられる符号の種類に応じて、検出可能最大DRXサイクルTに、T1〜T3のいずれかを設定する。
【0093】
また、上記実施形態において、移動局装置b1は、下りリファレンス信号の符号の種類により判定を行っているが、本発明はこれに限らず、同期チャネルP−SCHが位相回転を用いた直交符号を用いているか否かにより、T1,T2の値を変更することも可能である。さらに、位相回転を用いた直交符号のP−SCHが用いられる場合、S−SCHのみを用いて同期補正処理を行うことで、同期ずれの補正範囲を広くとることも可能である。
【0094】
なお、上述した実施形態における移動局装置b1の一部、例えば、送信信号情報受信部b111、同期維持処理決定部b113、同期補正部b114、同期維持部b21をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムを移動局装置に内蔵させたコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0095】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】この発明の実施形態に係る通信システムの概念図である。
【図2】本実施形態に係るセルサーチ処理を示すフロー図である。
【図3】本実施形態に係る間欠受信処理について説明するタイミングチャートである。
【図4】本実施形態に係る無線フレームの構成を説明する説明図である。
【図5】本実施形態に係る信号の配置を説明する説明図である。
【図6】本実施形態に係る基地局装置の構成を説明する概略的ブロック図である。
【図7】本実施形態に係る移動局装置の構成を説明する概略的ブロック図である。
【図8】本実施形態に係る移動局装置の動作を説明するフロー図である。
【図9】従来技術に係るセルサーチ処理を示すフロー図である。
【図10】従来技術に係る無線フレームの構成を説明する説明図である。
【図11】従来技術に係る信号の配置を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0097】
A1、A2、a1・・・基地局装置、B1〜B3、b1・・・移動局装置
a11・・・上位レイヤ、a12・・・符号部、a13・・・変調部、a14・・・送信部、a15・・・制御部、a16・・・受信部、a17・・・復調部、a18・・・データ処理部、a111・・・送信信号情報通知部
b11・・・上位レイヤ、b12・・・符号部、b13・・・変調部、b14・・・送信部、b15・・・制御部、b16・・・受信制御部、b17・・・受信部、b18・・・復調部、b19・・・同期部、b20・・・データ処理部、b21・・・同期維持部(時間ずれ検出部)、b111・・・送信信号情報受信部、b112・・・検出可能サイクル記憶部、b113・・・同期維持処理決定部(時間ずれ検出信号決定部)、b114・・・同期補正部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置から送信された時間同期に用いる少なくとも2種類以上の同期信号を間欠受信する受信装置において、
前記時間同期のための時間を測定する受信制御部と、
前記間欠受信した同期信号と予め記憶する同期信号との相違により、前記受信制御部が測定する時間のずれを検出する時間ずれ検出部と、
前記受信制御部における時間の測定精度と、前記同期信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定する時間ずれ検出信号決定部と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記時間ずれ検出信号決定部は、前記時間ずれ検出部が、前記受信制御部が測定する時間のずれを一意に検出できるように、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記送信装置が信号を送信する送信間隔であるサブフレームのいずれかに配置されて送信される通信要求信号を受信し、
前記少なくとも2種類以上の同期信号は、前記サブフレーム毎に配置される第1の同期信号と、予め定められた前記サブフレームに配置される第2の同期信号であって、配置されるサブキャリアの間隔が第1の同期信号が配置されるサブキャリアの間隔よりも小さい第2の同期信号と、を含み、
前記時間ずれ検出信号決定部は、前記第2の同期信号より、前記第1の同期信号を優先して、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号とする
ことを特徴とする請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記受信装置は、前記送信装置に隣接する他の送信装置が送信する前記同期信号に用いられる符号の種類を表わす情報を受信し、
前記時間ずれ検出信号決定部は、前記受信制御部における時間の測定精度、前記同期信号に用いられる符号の種類、及び前記受信した情報が表わす符号の種類、に基づいて、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
他の送信装置が送信する前記同期信号に用いられる符号の種類を表わす情報は、前記他の送信装置が送信する信号の種類であり、
前記時間ずれ検出信号決定部は、前記受信制御部における時間の測定精度、前記同期信号に用いられる符号の種類、及び前記他の送信装置が送信する信号の種類、基づいて、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定する
ことを特徴とする請求項4に記載の受信装置。
【請求項6】
前記同期信号に用いられる符号は、位相回転を用いた直交符号を含み、
前記同期信号に用いられる符号の種類は、前記位相回転量を表わす種類を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項7】
送信装置から送信された時間同期に用いる少なくとも2種類以上の同期信号を間欠受信する受信装置における受信制御方法おいて、
前記受信装置が、前記時間同期のための時間を測定する第1の過程と、
前記受信装置が、前記間欠受信した同期信号と予め記憶する同期信号との相違により、前記第1の過程にて測定する時間のずれを検出する第2の過程と、
前記受信装置が、前記第1の過程における時間の測定精度と、前記同期信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、前記第2の過程にて検出に用いる前記同期信号を決定する第3の過程と、
を有することを特徴とする受信制御方法。
【請求項8】
送信装置から送信された時間同期に用いる少なくとも2種類以上の同期信号を間欠受信する受信装置のコンピュータに、
前記時間同期のための時間を測定する受信制御手段、
前記間欠受信した同期信号と予め記憶する同期信号との相違により、前記受信制御手段にて測定する時間のずれを検出する時間ずれ検出手段、
前記受信制御手段における時間の測定精度と、前記同期信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、前記時間ずれ検出手段にて検出に用いる前記同期信号を決定する時間ずれ検出信号決定手段、
として機能させる受信制御プログラム。
【請求項1】
送信装置から送信された時間同期に用いる少なくとも2種類以上の同期信号を間欠受信する受信装置において、
前記時間同期のための時間を測定する受信制御部と、
前記間欠受信した同期信号と予め記憶する同期信号との相違により、前記受信制御部が測定する時間のずれを検出する時間ずれ検出部と、
前記受信制御部における時間の測定精度と、前記同期信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定する時間ずれ検出信号決定部と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記時間ずれ検出信号決定部は、前記時間ずれ検出部が、前記受信制御部が測定する時間のずれを一意に検出できるように、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記送信装置が信号を送信する送信間隔であるサブフレームのいずれかに配置されて送信される通信要求信号を受信し、
前記少なくとも2種類以上の同期信号は、前記サブフレーム毎に配置される第1の同期信号と、予め定められた前記サブフレームに配置される第2の同期信号であって、配置されるサブキャリアの間隔が第1の同期信号が配置されるサブキャリアの間隔よりも小さい第2の同期信号と、を含み、
前記時間ずれ検出信号決定部は、前記第2の同期信号より、前記第1の同期信号を優先して、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号とする
ことを特徴とする請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記受信装置は、前記送信装置に隣接する他の送信装置が送信する前記同期信号に用いられる符号の種類を表わす情報を受信し、
前記時間ずれ検出信号決定部は、前記受信制御部における時間の測定精度、前記同期信号に用いられる符号の種類、及び前記受信した情報が表わす符号の種類、に基づいて、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
他の送信装置が送信する前記同期信号に用いられる符号の種類を表わす情報は、前記他の送信装置が送信する信号の種類であり、
前記時間ずれ検出信号決定部は、前記受信制御部における時間の測定精度、前記同期信号に用いられる符号の種類、及び前記他の送信装置が送信する信号の種類、基づいて、前記時間ずれ検出部が検出に用いる前記同期信号を決定する
ことを特徴とする請求項4に記載の受信装置。
【請求項6】
前記同期信号に用いられる符号は、位相回転を用いた直交符号を含み、
前記同期信号に用いられる符号の種類は、前記位相回転量を表わす種類を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項7】
送信装置から送信された時間同期に用いる少なくとも2種類以上の同期信号を間欠受信する受信装置における受信制御方法おいて、
前記受信装置が、前記時間同期のための時間を測定する第1の過程と、
前記受信装置が、前記間欠受信した同期信号と予め記憶する同期信号との相違により、前記第1の過程にて測定する時間のずれを検出する第2の過程と、
前記受信装置が、前記第1の過程における時間の測定精度と、前記同期信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、前記第2の過程にて検出に用いる前記同期信号を決定する第3の過程と、
を有することを特徴とする受信制御方法。
【請求項8】
送信装置から送信された時間同期に用いる少なくとも2種類以上の同期信号を間欠受信する受信装置のコンピュータに、
前記時間同期のための時間を測定する受信制御手段、
前記間欠受信した同期信号と予め記憶する同期信号との相違により、前記受信制御手段にて測定する時間のずれを検出する時間ずれ検出手段、
前記受信制御手段における時間の測定精度と、前記同期信号に用いられる符号の種類と、に基づいて、前記時間ずれ検出手段にて検出に用いる前記同期信号を決定する時間ずれ検出信号決定手段、
として機能させる受信制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−56741(P2010−56741A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218107(P2008−218107)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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