説明

受信装置および受信方法、並びにプログラム

【課題】高速かつ正確に位相同期処理を行う。
【解決手段】PD21は、信号に含まれている同期ワードを用いて、所定の基準位相に対する信号の位相の誤差を算出し、位相回転部13は、誤差に応じて、信号の位相を補正する。また、PLSコード検出部14は、位相回転部13により位相が補正された信号に含まれているPLSコードを検出し、判定部16は、誤差が、所定の閾値以内であるか否かを判定する。そして、判定部16により、誤差が所定の閾値以内であると判定された場合、PD21は、同期ワードとPLSコードとを用いて、信号の位相の誤差を算出する。本発明は、例えば、DVB-S.2規格に準拠した放送信号を受信する受信装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置および受信方法、並びにプログラムに関し、特に、高速かつ正確に位相同期処理を行うことができるようにした受信装置および受信方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、移動体通信や深宇宙通信などの通信分野、および地上ディジタル放送や衛星ディジタル放送などの放送分野において、様々な研究が進められており、それらの研究に伴い、ディジタル復調器に関する研究も、盛んに行われている。
【0003】
ディジタル復調器では、クロック(シンボル)同期処理、フレーム同期処理、周波数同期処理、位相同期処理、または、等化器による同期処理などの様々な同期処理が行われる。ディジタル復調器は、受信信号に含まれている既知のデータ、例えば、同期ワードや伝送制御情報などを用いて、同期処理を行う。
【0004】
同期ワードは、ディジタル復調器にあらかじめ設定されている既知のデータであり、受信信号を復調する前の同期処理に用いることができる。具体的には、同期ワードとしては、日本において放送されているディジタル衛星放送の規格であるISDB-S(Integrated Services Digital Broadcasting Satellite)で使用されているW1/W2/W3や、ヨーロッパを中心として放送されているディジタル衛星放送の規格であるDVB-S.2(Digital Video Broadcasting satellite 2)で使用されているSOF(Start Of Frame)およびpilotなどがある。
【0005】
伝送制御情報は、変調方式や誤り訂正符号の符号化率などのパラメータであり、一般に、フレームの先頭など、フレームの所定の固定位置に配置されている。また、伝送制御情報は、所定の変調方式により変調されているので、受信信号を復調した後に既知のデータとなり、復調後の同期処理に用いることができる。具体的には、伝送制御情報としては、ISDB-Sで使用されているTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration and Control)や、DVB-S.2で使用されているPLS(Physical Layer Signaling)コードなどがある。
【0006】
また、特許文献1には、所定の複数のビット信号と、既に記憶しているTMCC信号との相関に基づいて、フレーム同期処理を行う復号装置が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2005−348007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、一般に、ディジタル復調器では、同期処理において既知のデータを多く用いることで、高速かつ正確に同期処理を行うことができる。しかしながら、受信信号に含まれる既知のデータを多くすると、転送レートが低くなる。
【0009】
上述したように、復調後の同期処理では、伝送制御情報を既知のデータとして用いることができるが、復調前に行われる位相同期処理では、伝送制御情報を既知のデータとして用いることができなかった。
【0010】
また、例えば、ディジタル放送などにおいては、ユーザがチャンネルを変更してから、そのチャンネルの番組が表示されるまでの時間を短くすること、即ち、高速かつ正確に同期処理を行うことが求められていた。
【0011】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、高速かつ正確に位相同期処理を行うことができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面の受信装置は、信号を受信する受信装置であって、 前記信号に含まれている既知の情報である同期情報を用いて、所定の基準位相に対する前記信号の位相の誤差を算出する位相誤差算出手段と、前記誤差に応じて、前記信号の位相を補正する位相補正手段と、前記位相補正手段により位相が補正された信号に含まれている伝送制御情報を検出する検出手段と、前記誤差が、所定の閾値以内であるか否かを判定する判定手段とを備え、前記位相誤差算出手段は、前記判定手段により、前記誤差が所定の閾値以内であると判定された場合、前記同期情報の他に、前記伝送制御情報をさらに用いて、前記信号の位相の誤差を算出する。
【0013】
本発明の一側面の受信方法またはプログラムは、信号を受信する受信方法、または、信号を受信する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記信号に含まれている既知の情報である同期情報を用いて、所定の基準位相に対する前記信号の位相の誤差を算出し、前記誤差に応じて、前記信号の位相を補正し、位相が補正された前記信号に含まれている伝送制御情報を検出し、前記誤差が、所定の閾値以内であるか否かを判定するステップを含み、前記誤差が所定の閾値以内であると判定された場合、前記同期情報の他に、前記伝送制御情報をさらに用いて、前記信号の位相の誤差を算出する。
【0014】
本発明の一側面においては、信号に含まれている既知の情報である同期情報を用いて、所定の基準位相に対する信号の位相の誤差が算出され、誤差に応じて、信号の位相が補正される。また、位相が補正された信号に含まれている伝送制御情報が検出され、誤差が、所定の閾値以内であるか否かが判定される。そして、誤差が所定の閾値以内であると判定された場合、同期情報の他に、伝送制御情報をさらに用いて、信号の位相の誤差が算出される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一側面によれば、高速かつ正確に位相同期処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、明細書又は図面に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、明細書又は図面に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書又は図面中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0017】
本発明の一側面の受信装置は、信号を受信する受信装置であって、
前記信号に含まれている既知の情報である同期情報を用いて、所定の基準位相に対する前記信号の位相の誤差を算出する位相誤差算出手段(例えば、図1のPD21)と、
前記誤差に応じて、前記信号の位相を補正する位相補正手段(例えば、図1の位相回転部13)と、
前記位相補正手段により位相が補正された信号に含まれている伝送制御情報を検出する検出手段(例えば、図1のPLSコード検出部14)と、
前記誤差が、所定の閾値以内であるか否かを判定する判定手段(例えば、図1の判定部16)と
を備え、
前記位相誤差算出手段は、前記判定手段により、前記誤差が所定の閾値以内であると判定された場合、前記同期情報の他に、前記伝送制御情報をさらに用いて、前記信号の位相の誤差を算出する。
【0018】
本発明の一側面の受信方法またはプログラムは、信号を受信する受信方法、または、信号を受信する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記信号に含まれている既知の情報である同期情報を用いて、所定の基準位相に対する前記信号の位相の誤差を算出し(例えば、図6のステップS11)、
前記誤差に応じて、前記信号の位相を補正し(例えば、図6のステップS13)、
位相が補正された前記信号に含まれている伝送制御情報を検出し(例えば、図6のステップS14)、
前記誤差が、所定の閾値以内であるか否かを判定する(例えば、図6のステップS16)
ステップを含み、
前記誤差が所定の閾値以内であると判定された場合、前記同期情報の他に、前記伝送制御情報をさらに用いて、前記信号の位相の誤差を算出する。
【0019】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明を適用した受信装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0021】
図1において、受信装置11は、PLL(Phase Locked Loop:位相同期回路)12、位相回転部13、PLSコード検出部14、閾値比較部15、判定部16、およびPLSコード再エンコード部17から構成される。ここで、受信装置11は、例えば、DVB-S.2規格に準拠した放送信号を受信し、その放送信号には、同期ワード(後述する図2のフィジカルレイヤフレームのSOF)が所定の周期で含まれている。
【0022】
PLL12は、PD(Phase Detector:位相検波器)21、LF(Loop Filter:ループフィルタ)22、およびNCO(Numerical Controlled Oscillator:数値制御発振器)23から構成される。
【0023】
PD21には、放送信号に所定の周期で含まれる同期ワードと同一の同期ワードが記憶されており、即ち、同期ワードが既知のデータとして用いられる。また、PD21には、受信装置11が受信した放送信号(以下、受信信号とも称する)が供給されるとともに、位相誤差に応じた補正信号がNCO23から供給される。なお、PD21に供給される受信信号は、図3および図4を参照して説明するように、複素平面上にマッピングされるI成分とQ成分とからなる。
【0024】
PD21は、受信装置11において受信された受信信号と、NCO23から供給される補正信号とを複素乗算することで、補正信号の周波数に応じて受信信号を回転させ、その受信信号に含まれている同期ワードと、自身が記憶している同期ワードとに基づいて、所定の基準位相に対する受信信号の位相誤差を表す位相誤差信号を、LF22および閾値比較部15に供給する。
【0025】
また、PD21には、PLSコード検出部14から出力されるPLSコードが信用できると判定された場合に、PLSコード再エンコード部17からPLSコードが供給される。この場合、PD21は、同期ワードの他に、PLSコード再エンコード部17から供給されるPLSコードをさらに用いて、位相誤差信号を出力する。
【0026】
LF22は、PD21から供給された位相誤差信号をフィルタリングし、その結果平滑化された位相誤差信号を、NCO23に供給する。
【0027】
NCO23は、LF22から供給された位相誤差信号に応じて、補正信号の発振周波数を制御し、位相誤差に応じた発振周波数の補正信号を生成して、PD21および位相回転部13に供給する。例えば、NCO23は、LF22から供給された位相誤差信号が、プラスの値であれば、その値に応じて補正信号の発振周波数を減少させ、一方、LF22から供給された位相誤差信号が、マイナスの値であれば、その値に応じて補正信号の発振周波数を増加させる。そして、NCO23は、LF22から供給された位相誤差信号が0となるところで、補正信号の発振周波数が一定になるように制御する。
【0028】
位相回転部13には、受信装置11において受信された受信信号と、NCO23が位相誤差に応じて出力する補正信号とが供給される。位相回転部13は、受信装置11が受信した受信信号と、NCO23から供給される補正信号とを複素乗算し、補正信号の周波数に応じて受信信号を回転させ、受信信号の位相誤差を補正する。位相回転部13は、位相誤差を補正した受信信号を、PLSコード検出部14に供給する。
【0029】
PLSコード検出部14は、位相回転部13により位相誤差が補正された受信信号からPLSコードを検出し、判定部16に供給する。
【0030】
例えば、PLSコードが、Reed-Muller符号R(1,6)で符号化されているとすると、PLSコード検出部14は、位相回転部13により位相誤差が補正された受信信号からPLSコードに相当する区間の信号を、Reed-Muller符号R(1,6)で復号する。そして、PLSコード検出部14は、Reed-Muller符号R(1,6)の全符号語と、PLSコードに相当する区間の信号を復号した結果得られる値との相関値を算出し、最も高い相関値が算出されたReed-Muller符号R(1,6)の符号語を、PLSコードとして検出する。
【0031】
閾値比較部15には、PD21から位相誤差信号が供給される。また、閾値比較部15は、図示しないメモリから、所定の閾値を読み出す。そして、閾値比較部15は、PD21から供給された位相誤差信号が表す位相誤差と、所定の閾値とを比較し、その結果、PD21が出力する位相誤差が、所定の閾値以内であるか否かを示す比較結果信号を、判定部16に供給する。
【0032】
判定部16は、閾値比較部15から供給される比較結果信号に基づいて、PLSコード検出部14が出力するPLSコードが信用できるか否かを判定する。即ち、判定部16は、閾値比較部15から供給される比較結果信号が、PD21が出力する位相誤差が所定の閾値以内であることを示している場合、PLSコード検出部14が出力するPLSコードは信用できると判定する。一方、判定部16は、PD21が出力する位相誤差が所定の閾値以内であることを示していない場合、即ち、PD21が出力する位相誤差が所定の閾値より大である場合、PLSコード検出部14が出力するPLSコードは信用できないと判定する。
【0033】
そして、判定部16は、PLSコード検出部14が出力するPLSコードが信用できると判定した場合、PLSコード検出部14が出力するPLSコードを、PLSコード再エンコード部17と、後段の同期回路とに供給する。
【0034】
PLSコード再エンコード部17は、判定部16から供給されるPLSコードを、PLSコード検出部14がPLSコードの復号に用いた方式に対応する方式で符号化、例えば、Reed-Muller符号R(1,6)で符号化する。そして、PLSコード再エンコード部17は、符号化したPLSコードを、PD21と、後段の同期回路とに供給する。
【0035】
以上のように構成される受信装置11では、PLSコード検出部14から出力されるPLSコードが信用できると判定された場合、PD21には、PLSコード検出部14が出力するPLSコードが供給され、同期ワードとPLSコードとを用いて、位相誤差が求められる。
【0036】
次に、図2を参照して、DVB-S.2規格に準拠した放送信号で送信されるフィジカルレイヤフレームのフレーム構造について説明する。
【0037】
図2に示すように、フィジカルレイヤフレームの先頭には、90シンボルのPLヘッダが配置(図2のA-B区間)され、PLヘッダに続いて、22194シンボルのXFECフレームが配置(図2のB-C区間)される。また、DVB-S.2規格では、PLヘッダは、π/2BPSK(Binary Phase Shift Keying)で変調されて、XFECフレームは、8PSK(Phase Shift Keying)で変調される。
【0038】
PLヘッダは、24シンボルのSOFと、64シンボルのPLSコードから構成される。SOFは、同期処理に用いられる同期ワードであり、フレームの開始を示す。PLSコードは、変調方式や、誤り訂正符号の符号化率などのパラメータである伝送制御情報である。
【0039】
XFECフレームは、例えば、放送番組のデータなど、送信の対象となるデータであり、そのデータは、例えば、外符号(BCH)、内符号(LDPC)でFECエンコーディングされている。
【0040】
次に、図3を参照して、PLヘッダの変調方式であるπ/2シフトBPSKについて説明する。
【0041】
図3には、π/2シフトBPSKにおける各シンボルの複素平面上でのマッピングパターンが示されている。π/2シフトBPSKでは、一回の変調(1シンボル)で1ビットが伝送される。π/2シフトBPSKでは、通常のBPSKと異なり、奇数番目のシンボルと、偶数番目のシンボルとでマッピングされる点が、π/2だけ移動する。
【0042】
図3の左側は、奇数番目のシンボルのマッピングパターンを示しており、右側は、偶数番目のシンボルのマッピングパターンを示している。即ち、複素平面上において、奇数番目のシンボルは、値が0の場合、偏角がπ/4の点にマッピングされ、値が1の場合、偏角が5π/4の点にマッピングされ、偶数番目のシンボルは、値が0の場合、偏角が3π/4の点にマッピングされ、値が1の場合、偏角が7π/4の点にマッピングされる。
【0043】
次に、図4を参照して、XFECフレームの変調方式である8PSKについて説明する。
【0044】
図4には、8PSKにおける各シンボルの複素平面上でのマッピングパターンが示されている。8PSKでは、一回の変調(1シンボル)で3ビットが伝送される。
【0045】
即ち、複素平面上において、値が000のシンボルは、偏角がπ/4の点にマッピングされ、値が100のシンボルは、偏角がπ/2の点にマッピングされ、値が110のシンボルは、偏角が3π/4の点にマッピングされ、値が010のシンボルは、偏角がπの点にマッピングされ、値が011のシンボルは、偏角が5π/4の点にマッピングされ、値が111のシンボルは、偏角が6π/4の点にマッピングされ、値が101のシンボルは、偏角が7π/4の点にマッピングされ、値が001のシンボルは、偏角が0の点にマッピングされる。
【0046】
ここで、閾値比較部15が位相誤差との比較に用いる閾値は、例えば、PLSコードのシンボルのデータ長と、PLSコードの変調方式とに基づいて、求めることができる。上述したように、PLSコードは、64シンボルであり、π/2シフトBPSKで変調されている。従って、PLSコードの区間内で、位相の回転がπ/2の範囲以内であれば、位相の回転が完全に止まっていなくても、PLSコード検出部14が、Reed-Muller符号R(1,6)の全符号語と、PLSコードに相当する区間の信号を復号した結果得られる値との相関値に基づいて求めたReed-Muller符号R(1,6)の符号語は、正しいPLSコード(送信されてきた信号に含まれているPLSコードと同一)であるということができる。
【0047】
従って、位相誤差との比較に用いられる閾値は、1シンボルでのタイミングあたりの回転量で求められ、PLSコードの区間内で、位相の回転の許容範囲であるπ/2(図3に示すπ/2の範囲)を、コードのシンボルのデータ長である64シンボルで除算した値、即ち、π/2/64[rad]とすることができる。
【0048】
または、受信装置11が、実際に動作する環境における位相誤差と、PLSコードの復号誤り率との関係から、エラーフリーとなる位相回転量を求めて、その位相回転量に、所定のマージンを加えた値を、位相誤差との比較に用いられる閾値としてもよい。
【0049】
また、同様に、XFECフレームのデータが正しいかどうかを判定するための閾値について考えると、XFECフレームは、8PSKで変調されており、図4に示すようなπ/8の範囲を、XFECフレームのデータ長で除算した値を用いることができると考えられるが、この値は、上述の閾値に比較して小さな値となる。従って、π/2BPSKで変調されているPLヘッダは、8PSKで変調されているXFECフレームよりも、位相同期が確定する前に、正しい情報であるとして同期処理に用いるのに適している。
【0050】
次に、図5を参照して、DVB-S.2規格に準拠した放送信号で送信されるフィジカルレイヤフレームのフレーム構造について、さらに詳細に説明する。
【0051】
図5に示すように、フィジカルレイヤフレームのXFECフレームは、S個のスロットから構成されており、各スロットは、90シンボルである。また、XFECフレームは、8PSKなど、選択された変調方式で変調されており、16スロットごとに、必要に応じて、非変調のキャリアである36シンボルのパイロットブロックが配置される。
【0052】
パイロットブロックは、パイロットブロックの送信を要求するパイロット要求モードにおいて配置され、パイロット要求モードにおいては、パイロットブロックを用いて各種の同期処理を行うことができる。
【0053】
また、XFECフレームの前方には、フィジカルレイヤヘッダ(PLヘッダ)が配置されておいる。フィジカルレイヤヘッダは、π/2BPSKで変調されており、SOFとPLSコードから構成される。PLSコードでは、7ビットの伝送が可能である。
【0054】
なお、図5に示されているフィジカルレイヤフレームは、フィジカルレイヤスクランブルがかけられる前のものであり、送信(放送)されるにあたって、フィジカルレイヤヘッダを除く部分に、フィジカルレイヤスクランブルがかけられる。
【0055】
次に、図6は、図1の受信装置11が、受信信号の位相の同期を確立する位相同期処理を説明するフローチャートである。
【0056】
例えば、受信装置11が、図示しない放送局から送信されるDVB-S.2規格に準拠した放送信号を受信すると処理が開始され、ステップS11において、PLL12のPD21は、受信信号の同期ワードを用いて位相誤差を求め、位相誤差を表す位相誤差信号を、LF22を介してNCO23に供給するとともに、閾値比較部15に供給する。
【0057】
ステップS11の処理後、処理はステップS12に進み、NCO23は、ステップS11でLF22を介してPD21から供給された位相誤差信号に基づいて、位相誤差に応じた発振周波数の補正信号を生成し、PD21および位相回転部13に供給して、処理はステップS13に進む。
【0058】
ステップS13において、位相回転部13は、ステップS12でNCO23から供給される補正信号と、受信信号とを複素乗算し、受信信号の位相誤差を補正する。そして、位相回転部13は、位相誤差が補正された受信信号を、PLSコード検出部14に供給し、処理はステップS14に進む。
【0059】
ステップS14において、PLSコード検出部14は、ステップS13で位相回転部13から供給された受信信号から、PLSコードを検出し、判定部16に供給する。
【0060】
ステップS14の処理後、処理はステップS15に進み、閾値比較部15は、ステップS11でPD21から供給される位相誤差信号が表す位相誤差と、所定の閾値とを比較し、位相誤差が、所定の閾値以内であるか否かを示す比較結果信号を、判定部16に供給して、処理はステップS16に進む。
【0061】
ステップS16において、判定部16は、ステップS15で閾値比較部15から供給された比較結果信号に基づいて、PLSコード検出部14から供給されるPLSコードが信用できるか否かを判定する。
【0062】
ステップS16において、判定部16が、PLSコード検出部14から供給されるPLSコードが信用できないと判定した場合、処理はステップS11に戻り、判定部16が、PLSコード検出部14から供給されるPLSコードが信用できると判定するまで、同様の処理が繰り返される。
【0063】
一方、ステップS16において、判定部16が、PLSコード検出部14から供給されるPLSコードが信用できると判定した場合、処理はステップS17に進む。
【0064】
ステップS17において、判定部16は、ステップS14で、PLSコード検出部14から供給されるPLSコードを、PLSコード再エンコード部17に供給し、処理はステップS18に進む。また、判定部16は、PLSコード検出部14から供給されるPLSコードを、図示しない後段の同期回路に供給する。
【0065】
ステップS18において、PLSコード再エンコード部17は、ステップS17で判定部16から供給されるPLSコードを符号化し、PD21に供給する。また、PLSコード再エンコード部17は、符号化したPLSコードを、図示しない後段の同期回路に供給する。
【0066】
ステップS18の処理後、処理はステップS19に進み、PD21は、受信信号の同期ワードと、ステップS18でPLSコード再エンコード部17から供給されたPLSコードとを用いて位相誤差を求め、処理はステップS20に進む。
【0067】
ステップS20乃至S22において、受信信号の同期ワードと、ステップS19で求められた位相誤差とを用いて、ステップS12乃至14と同様に、位相誤差に応じた発振周波数の補正信号が生成され、受信信号の位相誤差が補正され、受信信号からPLSコードが検出される。ステップS22の処理後、処理はステップS17に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0068】
以上のように、受信装置11では、位相同期が確定される前であっても、PLSコード検出部14から出力されるPLSコードが信用できると判定された場合には、そのPLSコードを既知のデータとして、位相同期処理に用いることができる。
【0069】
このように、受信装置11は、位相動機が確定される前、即ち、位相誤差が0であると判定される前に、PLSコードを位相同期処理に用いることができるので、例えば、位相誤差が0であると判定されるまでは、同期ワードだけを既知のデータとして位相同期処理を行っていた場合よりも、多くの情報を、早くから既知のデータとして移動同期処理に用いて、高速かつ正確に同期を確立させることができる。即ち、同期性能を向上させることができる。
【0070】
また、判定部16またはPLSコード再エンコード部17が出力するPLSコードが、位相の同期が確立される前に、後段の同期回路に供給されることにより、後段の同期回路でも、同期ワードだけを既知のデータとして位相同期処理を行っていた場合よりも早く、PLSコードを既知のデータとして用いることができ、位相同期処理よりも後段で行われる同期処理も、高速かつ正確に同期を確立させることができる。
【0071】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0072】
図7は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0073】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)101,ROM(Read Only Memory)102,RAM(Random Access Memory)103は、バス104により相互に接続されている。
【0074】
バス104には、さらに、入出力インタフェース105が接続されている。入出力インタフェース105には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部106、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部107、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部108、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部109、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア111を駆動するドライブ110が接続されている。
【0075】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU101が、例えば、記憶部108に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース105及びバス104を介して、RAM103にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0076】
コンピュータ(CPU101)が実行するプログラムは、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア111に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インタネット、ディジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供される。
【0077】
そして、プログラムは、リムーバブルメディア111をドライブ110に装着することにより、入出力インタフェース105を介して、記憶部108にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部109で受信し、記憶部108にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM102や記憶部108に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0078】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0079】
なお、上述のフローチャートを参照して説明した各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。また、プログラムは、1のCPUにより処理されるものであっても良いし、複数のCPUによって分散処理されるものであっても良い。
【0080】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明を適用した受信装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】フィジカルレイヤフレームのフレーム構造を説明する図である。
【図3】PLヘッダの変調方式であるπ/2シフトBPSKを説明する図である。
【図4】XFECフレームの変調方式である8PSKを説明する図である。
【図5】フィジカルレイヤフレームのフレーム構造を説明する図である。
【図6】位相同期処理を説明するフローチャートである。
【図7】本発明を適用したコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0082】
11 受信装置, 12 PLL, 13 位相回転部, 14 PLSコード検出部, 15 閾値比較部, 16 判定部, 17 PLSコード再エンコード部, 21 PD, 22 LF, 23 NCO

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を受信する受信装置において、
前記信号に含まれている既知の情報である同期情報を用いて、所定の基準位相に対する前記信号の位相の誤差を算出する位相誤差算出手段と、
前記誤差に応じて、前記信号の位相を補正する位相補正手段と、
前記位相補正手段により位相が補正された信号に含まれている伝送制御情報を検出する検出手段と、
前記誤差が、所定の閾値以内であるか否かを判定する判定手段と
を備え、
前記位相誤差算出手段は、前記判定手段により、前記誤差が所定の閾値以内であると判定された場合、前記同期情報の他に、前記伝送制御情報をさらに用いて、前記信号の位相の誤差を算出する
受信装置。
【請求項2】
前記信号に含まれている前記同期情報および前記伝送制御情報は、π/2シフトBPSK(Binary Phase Shift Keying)により変調されている
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記所定の閾値は、前記伝送制御情報のシンボルのデータ長で、π/2を除算した値である
請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
前記信号は、ディジタル衛星放送の規格であるDVB-S.2(Digital Video Broadcasting satellite 2)に準拠して送信される
請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
信号を受信する受信方法において、
前記信号に含まれている既知の情報である同期情報を用いて、所定の基準位相に対する前記信号の位相の誤差を算出し、
前記誤差に応じて、前記信号の位相を補正し、
位相が補正された前記信号に含まれている伝送制御情報を検出し、
前記誤差が、所定の閾値以内であるか否かを判定する
ステップを含み、
前記誤差が所定の閾値以内であると判定された場合、前記同期情報の他に、前記伝送制御情報をさらに用いて、前記信号の位相の誤差を算出する
受信方法。
【請求項6】
信号を受信する処理をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、
前記信号に含まれている既知の情報である同期情報を用いて、所定の基準位相に対する前記信号の位相の誤差を算出し、
前記誤差に応じて、前記信号の位相を補正し、
位相が補正された前記信号に含まれている伝送制御情報を検出し、
前記誤差が、所定の閾値以内であるか否かを判定する
ステップを含み、
前記誤差が所定の閾値以内であると判定された場合、前記同期情報の他に、前記伝送制御情報をさらに用いて、前記信号の位相の誤差を算出する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−278186(P2008−278186A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−119092(P2007−119092)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】