説明

受信装置および受信方法

【課題】あらかじめ保存されている情報から受信帯域を確認して、クロックを設定するので、ソフト負荷をかけることなく、受信感度の悪化を回避できる受信装置および受信方法を提供する。
【解決手段】 位置情報を取得する位置情報取得部と、取得した位置情報に応じた位置でデータを受信可能な受信帯域に関する情報を取得する周波数情報取得部と、CPUのクロック周波数を設定する設定部と、設定部が設定可能なクロック周波数のうち、当該クロック周波数に基づくノイズが、受信帯域に生じないクロック周波数を選択する選択部と、選択部によって選択されたクロック周波数を設定部に設定させる指示部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置およびその受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、PHS等の無線端末では、小型化や、電話としての機能以外のアプリケーション(カメラ、ミュージックプレーヤー、インターネット、ラジオ、テレビ等)の搭載に伴い、多種のデバイスや機能部品が基板に高密度に実装されている。そのため、例えば、CPUと無線(RF)部とが近接し、CPUや、当該CPUの周辺デバイスへのアクセスによって生じる電源ノイズや不要輻射の影響で、無線(RF)部にノイズ信号が回り込む場合がある。そして、この影響により、無線(RF)部が、希望信号を受信できなかったり、回り込んだノイズを信号として誤検出したりし、受信感度が悪化するという問題が生じていた。
【0003】
この受信感度の悪化への対策として、電源ノイズや不要輻射が生じる箇所にノイズ信号をバイパスするためのコンデンサを追加したり、電源ノイズや不要輻射が生じないように回路基板を変更(作り直し)したり、等を行う方法がある。しかし、この方法では、携帯型電話端末の内部構造の複雑化や製造コストの上昇を招くという問題があった。
【0004】
また、無線電話装置が、通信に利用するチャネルを常に監視し、利用するチャネルにおけるノイズの影響を把握して、CPUにおけるクロック周波数を調整することでノイズの発生等を抑制し、受信感度の悪化を低減する受信装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−145825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に示す無線電話装置では、常に使用するチャネルを監視し、影響のあるチャネルの場合にクロックの微調整を行うため、ソフト負荷が大きくなるという問題があった。また、ソフト負荷の増加に伴い、内部演算処理も増え、余分な消費電力が発生するという問題も生じることとなる。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、あらかじめ保存されている情報を利用することで受信帯域を確認し、CPUにおけるクロック周波数を設定することで、ソフト負荷をかけることなく、受信感度の悪化を回避できる受信装置および受信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の受信装置は、位置情報を取得する位置情報取得部(位置情報取得部13)と、前記取得した位置情報に応じて、前記位置でデータを受信可能な受信帯域に関する情報を取得する周波数情報取得部(選択部151)と、CPUのクロック周波数を設定する設定部(設定部150)と、前記設定部が設定可能なクロック周波数のうち、当該クロック周波数に基づくノイズが、前記受信帯域に生じないクロック周波数を選択する選択部(選択部151)と、前記選択部によって選択された前記クロック周波数を前記設定部に設定させる指示部(指示部152)と、を備えることを特徴とする。
データ受信前に、あらかじめ保存されている情報から受信帯域を確認して、受信帯域においてノイズを発生させる可能性のないCPUのクロック周波数を設定するので、ソフト負荷をかけることなく、受信感度の悪化を回避できる。
【0008】
また、当該無線受信装置おいて、データ受信が可能な否かを検出する検出部(検出部12)と、をさらに備え、前記検出部において、当該受信装置のデータ受信が可能と検出された場合に、前記位置情報取得部が、前記位置情報を取得してもよい。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明の受信方法は、位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記取得された位置情報に応じて、前記位置でデータを受信可能な受信帯域に関する情報を取得する周波数情報取得ステップと、設定可能なCPUのクロック周波数のうち、当該クロック周波数の基づくノイズが、前記受信帯域に生じないクロック周波数を選択する選択ステップと、前記選択ステップで選択された前記クロック周波数を設定する設定ステップと、有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、あらかじめ保存されている情報から受信帯域を確認して、クロックを設定するので、ソフト負荷をかけることなく、受信感度の悪化を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る無線端末の概略ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る、無線端末の記憶部される情報を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態に係る無線端末のクロック設定を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態に係る無線端末の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の受信装置の一例を示す概略ブロック図である。なお、本実施の形態では、受信装置として無線端末1を例示して説明する。
図1に示す、無線端末1は、アンテナANTを介して基地局(相手側通信装置)とデータの送受信を行う送受信部11と、無線端末1の起動の有無を検出する検出部12と、無線端末1が起動されたことを検出部12が検出した場合に、位置情報を取得する位置情報取得部13と、CPUのクロック周波数を設定するための情報を記憶する記憶部14と、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により構成され、無線端末1全体を制御する制御部15と、を備えている。
【0013】
送受信部11は、アンテナANTを用いて、無線信号(RF信号)の送信又は受信を基地局と行うことで、データを送受信する。
【0014】
検出部12は、例えば、キーパッド、キーボタン、または、タッチパネル等の操作キー(図示しない)をユーザが操作すること等によって、無線端末1の電源がオンとなることで起動し、基地局から送信されるデータを受信可能な状態となったか否かの検出を行う。そして、検出部12は、無線端末1が起動されたことを検出した場合には、位置情報取得部13および設定部150に、起動を検出したことを通知する。
【0015】
位置情報取得部13は、検出部12において、無線端末1の起動が検出された場合に、位置情報を取得する。位置情報の取得としては、基地局から定期的に送信される制御情報等から位置情報を取得したり、GPSを利用して位置情報を取得したりしてよい。そして、取得した位置情報を制御部15に出力する。また、無線端末1における初回の起動を、検出部12が起動を検出した場合には、予め当該無線端末1が出荷される位置(地域)の位置情報を制御部15に出力してよい。
【0016】
記憶部14は、周波数情報記憶部140と、クロック情報記憶部141とを備える。
周波数情報記憶部140は、CPUのクロック周波数を設定するために利用する、周波数情報が記憶されている。この周波数情報は、無線端末1が基地局からのデータを受信可能な位置情報と、当該位置におけるデータを受信する際の受信帯域に関する情報とが対応付けられたデータが記憶されている(図2(A)を参照)。
また、クロック情報記憶部141は、CPUのクロック周波数を設定するために利用する、クロック周波数情報が記憶されている。このクロック周波数情報には、無線端末1がCPUにおいて設定可能な異なるクロック周波数が複数記憶されている(図2(B)を参照)。
【0017】
制御部15は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により無線端末1全体を管理および制御する。また、制御部15内には、CPUのクロック周波数を設定する設定部150と、設定部150が設定するクロック周波数を選択する選択部151と、選択部151が選択したクロック周波数を設定部150に指示する指示部152と、を備える。
設定部150は、CPUのクロック周波数を、指示部152に指示されたクロック周波数に設定する。
選択部151は、位置情報取得部13から出力された位置情報から、周波数情報記憶部140に記憶される周波数情報を利用して、当該位置に対応する受信帯域を取得し、把握する。そして、把握した受信帯域において、ノイズが生じないクロック周波数を、クロック情報記憶部141に記憶されるクロック周波数から選択する。なお、受信帯域においてノイズが生じないクロック周波数とは、当該クロック周波数を基本周波数とし、ノイズとなりうる、当該クロック周波数の逓倍(整数倍)となる周波数が、把握した受信帯域に含まれないことを意味する。
指示部152は、選択部151が選択したCPUのクロック周波数を、設定部150に指示し、設定させる。
【0018】
図2は、記憶部14に記憶される各種テーブルを示している。
【0019】
図2(A)は、周波数情報記憶部140に記憶される周波数情報を示しており、当該周波数情報は、位置情報と、当該位置における受信帯域に関する情報と、が対応付けられたテーブルである。例えば、位置情報取得部13が、現在の無線端末1の位置として、Yについての位置情報を取得した場合、設定部150は、当該位置に対応する受信帯域が2であることを把握する。また、位置情報における位置とは、例えば、国、地域ごとに設定され、受信帯域とは、各位置において特定の通信方式が利用可能な周波数帯域を指す。
【0020】
図2(B)は、クロック情報記憶部141に記憶されるCPUクロック情報を示している。選択部151は、周波数情報から、現在位置の受信帯域を把握した場合、各クロック周波数を利用した場合に、把握した受信帯域において、クロック周波数に基づくノイズが生じるか否かを判定する。そして、受信帯域において、ノイズが生じないクロック周波数を利用するクロック周波数として選択する。
図3は、選択部151におけるクロック周波数の選択を説明するための図である。例えば、位置情報取得部13が、現在の無線端末1の位置として、Yについての位置情報を取得したとする。この場合、選択部151は、周波数情報記憶部140に記憶される周波数情報から、当該位置に対応する受信帯域が2であることを把握する。次に、選択部151は、クロック情報記憶部141に記憶されるCPUクロック情報から、各クロック周波数に基づくノイズが、受信帯域において生じるか否かを把握する。このとき、クロック情報記憶部141に記憶されるクロック周波数のうち、CPUクロック周波数2(クロック周波数M)と、周波数3(クロック周波数N)とは、受信帯域2において、ノイズを発生させる原因となる、クロック周波数であったとする。この場合、周波数2または周波数3をクロック周波数として設定すると、無線端末1は、基地局から送信されるデータを送受信部11において受信する際にノイズにより、受信感度が低下してしまう。そのため、選択部151は、周波数1(クロック周波数L)を、利用するクロック周波数として選択する。
図4は、無線端末1のクロック周波数を設定する際の動作を説明するフローチャートである。まず、無線端末1における検出部12は、当該無線端末1の起動の有無を検出する(ステップS1)。起動されたことを検出しない場合(ステップS1Noに相当)は、当該起動の有無の検出を継続して行う。一方、起動されたことを検出した場合(ステップS1Yesに相当)は、位置情報取得部13は、無線端末1の現在の位置情報を取得する(ステップS2)。次に、選択部151は、位置情報取得部13から出力された位置情報から、周波数情報記憶部140に記憶される、当該位置における受信帯域を把握する(ステップS3)。次に、選択部151は、把握した受信帯域において、ノイズを発生させない、クロック周波数を、クロック周波数記憶部141から選択する(ステップS4)。そして、指示部152は、選択部151が選択したクロック周波数を、設定部150に設定させる。
【0021】
なお、上述した実施の形態では、取得した位置情報に応じて、利用するクロック周波数を選択していたが、取得した位置情報と、前回の周波数設定の際に利用した位置情報とを比較し、取得した位置情報が異なる場合のみ、クロック周波数の設定に係る一連の処理を実行してもよい。
【0022】
また、上述した実施の形態では、検出部12における無線端末1の起動の検出をユーザの操作により検出していたが、これに限られるものではなく、例えば、PC等の情報端末と接続して無線通信を実行する無線端末1である場合には、当該情報端末から無線通信を開始する際の指示情報を検出した場合に、起動を検出したとしてもよい。
【符号の説明】
【0023】
1 携帯電話端末
11 送受信部
12 検出部
13 位置情報取得部
14 記憶部
15 制御部
140 周波数情報記憶部
141 クロック情報記憶部
150 設定部
151 選択部
152 指示部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記取得した位置情報に応じて、前記位置でデータを受信可能な受信帯域に関する情報を取得する周波数情報取得部と、
CPUのクロック周波数を設定する設定部と、
前記設定部が設定可能なクロック周波数のうち、当該クロック周波数に基づくノイズが、前記受信帯域に生じないクロック周波数を選択する選択部と、
前記選択部によって選択された前記クロック周波数を前記設定部に設定させる指示部と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項2】
当該無線受信装置おいて、データ受信が可能な否かを検出する検出部と、をさらに備え、
前記検出部において、当該受信装置のデータ受信が可能と検出された場合に、前記位置情報取得部が、前記位置情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記取得された位置情報に応じて、前記位置でデータを受信可能な受信帯域に関する情報を取得する周波数情報取得ステップと、
設定可能なCPUのクロック周波数のうち、当該クロック周波数の基づくノイズが、前記受信帯域に生じないクロック周波数を選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択された前記クロック周波数を設定する設定ステップと、
を有することを特徴とする受信方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−232810(P2010−232810A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76074(P2009−76074)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】