説明

受動電気デバイス及び受動電気デバイスの製造方法

薄いラミネートの受動電気デバイス(40、70、90、100)、例えば、コンデンサ、及び薄いラミネートの受動電気デバイスの製造方法を提供する。受動電気デバイス(40、70、90、100)は誘電体によって分離されている2つの導体(32、34)、例えば、銅箔導体を含み、前記誘電体は、第1温度より高い軟化点温度を有する第1材料の第1層(36)及び該第1温度より低い軟化点温度を有する第2材料の第1層(38)を有する。第1温度は少なくとも150℃以上であることがある。軟化点がより高い材料を有する第1層(36)を提供することにより、導体(32、34)間を横切る短絡(製造工程によって促進されることがある)を防止する。受動電気デバイスの製造方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
《発明の背景》
《技術分野》
本発明は、薄いラミネートの受動電気デバイス(thin laminate passive electrical device)、例えば、コンデンサ(capacitor)及び前記薄いラミネートの受動電気デバイスの製造方法に関する。更に詳細には、本発明は、製造工程による導体間の電気的短絡を最小限にする又はそれを防止する比較的剛性の誘電体を対向する導体の間に備えた薄いラミネートの受動電気デバイスに関する。
【0002】
《関連技術の記載》
プリント回路基板(PCB)産業では、基板上のリアルエステート(real estate)を低減し及び電子デバイスの性能及び機能性を改善するための薄い銅張りラミネートに対する要求が極めて高い。PCBにおいてコンデンサとして薄いラミネートを用いれば、PCBリアルエステートを低減してより小型のデバイスが得られるだけなく、最終製品の電気性能を向上させることもできる。例えば、電気性能の向上は、デバイスを減結合すること(decoupling)及び電気的雑音特性を低下させることを含んでいることができる。高い電圧抵抗(electrical voltage resistance)及び短絡抵抗(shorting resistance)を有し、更に他の望ましい電気的、機械的、及び熱的特性を有する極薄のラミネートのデバイスを製造することは、当該技術分野における課題である。本発明の観点は、改善された電気的、機械的、及び熱的特性を有する複合ポリマー層構造を有するPCBで使用するための薄いラミネートを提供することにより、これらの要求を満たすことができる。
【0003】
従来技術の欠点は、図1〜4を用いて説明することができる。図1は、従来技術による、受動電気デバイス、例えば、容量ラミネート(capacitive laminate)に見出される構成要素の分解組立図である。図1に示すように、典型的な受動デバイスは、絶縁材16、例えば、ポリマー(例えば、エポキシポリマー)の薄層によって分離される、2つの導電性の箔(一般には銅)の基板12及び14を含んでいることができる。図2は、積層受動電気デバイス18を生ずる圧力及び温度下での、絶縁材16を備えた箔12、14の典型的な積層(lamination)の模式図である。
【0004】
しかしながら、図3(図2に示される細部3を表す図である)に模式的に示されている積層された箔12と14との間の境界面及び絶縁材16の精密な検査によって、前記の従来技術による積層及び積層工程について認識されている欠点が説明される。図3に示すように、導電性の箔12、14の表面上の固有の不均一又は凹凸若しくは尖端20の存在のため、絶縁材16が存在している場合であっても、ポイントAにおいて特定される尖端同士の接触によって認められるように、箔12、14の間の望ましい分離が弱められることがある。箔12と14との間でこのように分離が損なわれ又は分離が存在しなくなることは、受動デバイス、例えば、コンデンサ、がその望ましい機能を提供できないことから示されるように、箔12と14との間の電気的短絡の原因となることがある。従って、当該技術分野において、箔12、14間の接触を最小限にするか又は除去する多くの試みがなされてきた。
【0005】
従来技術において採られた一つの方向は、箔12及び14の表面に平滑性を付与して、潜在的な短絡を与えることがある尖端20の数をできる限り最小限にするということである。例えば、3M Innovative Properties社に譲渡された米国特許第6,274,224号に開示のラミネートは、300ナノメートル(nm)以下まで導電性箔に表面仕上げを施す。この問題に対処する成功した試みとして、Mitsui Mining & Smelting社の発明者らは、短絡による障害の可能性を最小限にするか又は防止する中間膜を導入した。
【0006】
従来技術の積層及び積層方法の別の欠点は、積層工程における異物又は破片の存在のために損傷を受けやすいことがあることである。典型的には、極めて清浄な環境下(例えば、「クリーンルーム」内)で実施される場合であっても、微小な汚染物質又は破片の存在が受動電気デバイスの性能を損なうことがある。このような欠点の一つの例を図4に示す。
【0007】
図4は、従来技術による導電性箔22、24の間の境界面及び絶縁層26の詳細図の略図である。積層の間、すなわち、この場合には矢印30によって示すような、温度及び圧力下で、異物又は破片28により模式的に示すように、異物28の存在により箔22、24の一方又は両方の不均一な局在化した圧縮及び局在化した歪みを生ずることがある。典型的には、絶縁層26は、局在化した圧力勾配の影響下で、積層が行なわれる高温(すなわち、少なくとも150℃の温度)によって粘性の低下を受けるので、絶縁層26は、異物28の存在によって惹起される不均一な圧力及び歪みによって、局在化した領域から流れ出る(flow away)ことがある。結果として、箔の局在化した歪みをほとんど阻止することができないか又は全く阻止することができなくなることがあり、このことは、図4のポイントBにおいて特定された接触する尖端同士により示されるように、箔22、24の間の望ましい空間の望ましくない低減又は消失を招くことがある。再び、箔22と24との間の分離が損なわれ又は分離が存在しなくなることは、受動デバイスの不具合によって示されるように、箔22と24との間の電気的短絡の別の原因となることがある。以下の記載から明らかとなるように、本発明の観点は、従来技術の上記の欠点にも対処する。
【0008】
《発明の観点の概要》
本発明の観点により、従来技術の欠点を克服する受動電気デバイス(例えば、コンデンサ)及び受動電気デバイスの製造方法を提供する。本発明の観点により、典型的な製造工程(例えば、積層工程)を特徴付ける熱及び圧力に曝露された際に局在化した圧力勾配の影響下で流動を起こしにくい絶縁材を提供しながら、箔同士の間の接触に対してバリアを与える絶縁材の層が導電性の箔の間に導入されている、受動電気デバイス及び受動電気デバイスの製造方法を提供する。
【0009】
本発明の観点は、プリント回路基板(PCB)に取り付け又は埋め込むことができる受動電気デバイス(例えば、コンデンサ)に用いることができるラミネート構造物を提供する。本発明の観点は、誘電体層の両側に取り付けられる2つの銅箔を含む少なくとも3層の構造を有するラミネート及びその製造方法を含む。以下で更に十分に説明するように、前記ラミネートを製造する一つの方法は、誘電体として機能するポリマー材の両側に銅箔を接合すること(joining)によるものである。ラミネートの特性(すなわち、電気的、機械的、及び熱的特性)は、概して、積層工程、ポリマー又はポリマー層の特性、及び銅箔に依存していることができる。本発明の観点は、プリント回路基板に用いるために短絡及び/又は低い電圧抵抗を有することを最小限にするか又は防止する受動電気デバイスラミネートを製造する課題に対処する。本発明の観点は、1種又は2種以上の独自の複合ポリマー層構造物を用いて、他の改善された特性の中でもとりわけ望ましい特性及び電気的性能(例えば、短絡に対する抵抗及び高い電圧抵抗)を提供する。
【0010】
本発明の或る観点は、
第1導体;
第1導体に隣接した第1材料の第1層;
前記第1材料の第1層に隣接した第2材料の第1層;及び
前記第2材料の第1層に隣接した第2導体;
を備えた受動電気デバイスであって、ここで、前記第1材料は第1温度より高い軟化点温度を有するものとし、そして、前記第2材料は前記第1温度より低い軟化点温度を有するものとする、前記デバイスである。或る観点において、受動電気デバイスは、薄いラミネートの電気デバイスを含む。別の観点において、第1温度は、例えば、以下に記載のように製造工程の温度に依存して、150℃、又は175℃、又は200℃であるか、あるいは、300℃でさえあることができる。例えば、第1温度は積層温度(lamination temperature)、すなわち、積層が実施される温度であることができる。第1材料及び第2材料は、モノマー、オリゴマー、若しくはポリマー、又はそれらの混合物、例えば、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーであることができる。
【0011】
本発明の別の観点は、
第1材料の第1層を第1導体に付与する工程;
第2材料の第1層を第1材料の第1層に付与する工程;及び
前記第1温度より低い温度で第2材料の第1層に第2導体を積層する工程;
を含む、受動電気デバイスの製造方法であって、ここで、前記第1材料は第1温度より高い軟化点温度を有するものとし、そして、前記第2材料は第1温度より低い軟化点温度を有するものとする、前記方法である。再び、或る観点において、第1温度は150℃又はそれより高い温度であることができる。
【0012】
本発明の更なる観点は、
第1銅箔導体;
150℃より高い軟化点温度を有し、第1銅箔導体に結合した第1ポリマーの第1層;
150℃より低い軟化点温度を有し、前記第1ポリマーの第1層に結合した第2ポリマーの第1層;及び
第2材料の第1層に結合した第2銅箔導体;
を含む薄いラミネートの容量デバイス(capacitive device)であって、
ここで、前記デバイスが容量密度(capacitance density)少なくとも約50pF/cm及び絶縁耐力少なくとも約200kV/mmを含むものとする、前記デバイスである。或る観点において、第1ポリマーはポリアミドであることができる。別の観点において、第2ポリマーはエポキシであることができる。
【0013】
本発明の更に別の観点は、上記の受動電気デバイス1種以上を備えたプリント回路基板又は電気デバイスである。
【0014】
本発明のこれらの観点及び本発明の別の観点の詳細は、以下の図面及び特許請求の範囲の記載を確認することによって更に容易に明白となるであろう。
【0015】
《図面の簡単な記載》
本発明と考えられる主題を、詳細に指摘し、そして、明細書の終わりの特許請求の範囲内に明確に記載する。本発明の前記の及び他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面と共に本発明の観点の以下の詳細な記載から容易に理解されるであろう。
【0016】
図1は、従来技術による受動電気デバイスに見出される構成要素の分解組立図である。
【0017】
図2は、従来技術による圧力及び温度下での箔と絶縁材との典型的な積層の模式図である。
【0018】
図3は、図2に示した細部3により特定されるような、図2に示したラミネートの一部の詳細図である。
【0019】
図4は、従来技術による積層の間に異物が存在する場合の、導電性の箔と絶縁層との間の境界面の詳細図の模式図である。
【0020】
図5は、本発明の或る観点による受動電気デバイスの構成要素の分解組立図である。
【0021】
図6、図7、図8、及び図9は、本発明の或る観点による受動電気デバイスの製造工程における段階の模式図である。
【0022】
図10は、図9に示した細部10により特定されるような、図9に示したラミネートの一部の詳細図である。
【0023】
図11は、本発明の或る観点による受動電気デバイスの製造工程の模式的なダイヤグラム図である。
【0024】
図12は、本発明の或る観点による受動電気デバイスの別の製造工程の模式的なダイヤグラム図である。
【0025】
図13は、本発明の或る観点による受動電気デバイスの別の製造工程の模式的なダイヤグラム図である。
【0026】
図14は、本発明の或る観点によるラミネート構造物の横断面の顕微鏡写真である。
【0027】
図15は、従来技術によるラミネート構造物の横断面の顕微鏡写真である。
【0028】
図16は、図14に示したラミネート構造物の細部のSEM写真である。
【0029】
図17は、図15に示したラミネート構造物の細部のSEM写真である。
【0030】
《発明の観点の詳細な記載》
本発明の観点の詳細及び範囲は、添付の図面及び図面についての以下の詳細な記載を確認すれば、最もよく理解することができる。図5は、本発明の或る観点による受動電気デバイスの構成要素の分解組立図である。図5に示すように、本発明の或る観点は、絶縁材又は誘電体の第1層36と絶縁材又は誘電体の第2層38とによって分離される、2つの導電性基板、箔、又は簡単には導体、典型的には、銅箔32及び34を含む。導電性基板、箔、又は導体32、34は、任意の導電性材料を含んでいることができるが、典型的には、導電性の金属、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、黄銅、鋼、ステンレス鋼、金、銀、チタン、又はそれらの組み合わせ、あるいは任意の他の導電性の金属から製造することができる。本発明の観点によれば、基板、箔、又は導体34、36は、約3ミクロン(μm)〜約200μmの範囲の厚さ、例えば、約3μm〜約70μmの厚さを有し、そして表面粗さ(Rz)約0.5μm〜約5μmを有していることがある。
【0031】
或る観点において、導体32及び34は銅箔、例えば、圧延箔又は電着箔である。銅箔導体32及び34は、当該技術分野で周知のように、溶液から、例えば、前記溶液中に浸漬された回転金属ドラム上に、銅を電着(electrodeposit)させることによって製造することができる。典型的には、ドラムのすぐ隣の箔の側(すなわち、「ドラム側」)は滑らかで光沢のある側であり、一方、他の側(「マット側」)は比較的粗く光沢のない表面を有する。
【0032】
或る観点において、導体32及び34の表面を変性して、例えば、表面上に又は表面内に金属又は金属合金のマイクロノジュール(micro-nodules)を堆積させるマイクロエッチング又は電解処理によって、隣接する層への接着性を高めることができる。これらのノジュールは、好ましくは、参考までにその開示内容を本明細書中に引用する米国特許第5,679,230号に開示されるような、隣接するポリマーへの接着性を高める銅又は銅合金であることができる。導体32及び/又は34の表面は、アミノシラン又はエポキシシランカップリング剤を用いて、又は同様のカップリング剤を用いて処理されていても又は処理されていなくてもよい。
【0033】
本発明の観点によれば、絶縁材の第1層36は、少なくとも導体34に結合することができ且つ高温変形耐性、すなわち、変形、移動、又は流動に対する耐性を有する絶縁材を含む。例えば、第1層36は、典型的には製造の間、例えば、積層工程の間に受ける温度及び圧力、例えば、少なくとも150℃及び少なくとも3.5キログラム/平方センチメートル(kg/cm)(すなわち、約50ポンド/平方インチ(psi))下で、剛性及び寸法安定性を有する材料であることができる。例えば、第1層36は、製造の間、例えば、積層の間に受ける温度、例えば、少なくとも約150℃の軟化点温度より高い「軟化点」を有する材料であることができる。当該技術分野において公知であるように、材料の「軟化点」は、材料(例えば、ポリマー)が概して軟化し始める摂氏温度である。或る観点によれば、層36の材料の軟化点は、処理前(例えば、積層の間の加熱前)に、処理に伴って変化することができる軟化点を含むことができる。別の観点において、層36の材料の軟化点は、処理前(例えば、積層の間の加熱前)に、処理後と実質的に同一であることができる軟化点を含むことができる。ポリマーの軟化点温度を決定するためのいくつかの工業標準規格が存在し、ASTM D 1525又はISO 306に記載のように決定されるビカー軟化点あるいはASTM D 648(加圧力1.82メガパスカル(MPa)において加熱撓み温度(HDT)を確立する)によって規定された加熱撓み温度(HDT)がそこに含まれる。本発明の或る観点において、層36の材料は少なくとも150℃の軟化点を有していることができるが、例えば、層36が製造の間(例えば、積層の間)に曝露される温度に応じて、少なくとも175℃、又は少なくとも200℃であることもできるか、あるいは少なくとも300℃でさえあることもできる。例えば、積層温度は、約210℃、220℃、230℃、又は250℃であることができる。第1層36の厚さは、少なくとも部分的に硬化される場合、約1.5μm〜約25μmの範囲であることができる。
【0034】
「軟化点温度」を「ガラス転移温度」と混同すべきではない。当該技術分野において公知であるように、ガラス転移温度(Tg)は、非晶質固体、例えば、ポリマーが冷却時に脆くなる温度である。軟化点温度Tsは、一般に、Tgより高くそしてポリマーの融点温度(Tm)より低く、或る範囲の温度を包含することができる。当該技術分野において公知であるように、ポリマーの温度が高まるにつれて、Tgにおいて分子振動が始まるが、ポリマーは一般に軟化又は流動しない。しかしながら、Tsにおいて、ポリマー分子は分離し始め、ポリマーの軟化及び流動が可能となる。
【0035】
本発明の観点によれば、第1層36は、耐熱性(high-temperature-resistant)の熱可塑性ポリマー、耐熱性の熱硬化性ポリマー、又は耐熱性の熱可塑性ポリマーと耐熱性の熱硬化性ポリマーとの組み合わせであることができる。すなわち、層36は、典型的には積層工程の間に受ける圧力及び熱の下で優れた変形耐性を有するポリマー1種以上であることができる。例えば、本発明の観点によれば、第1層36は、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylenesulphides)、ポリフェニレンオキシド、ポリビスマルイミド(polybismalimides)、エポキシ、ポリエステル、ポリウレタン、それらの混合物、又はそれらの等価物を含む熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーのクラスから選択することができる。
【0036】
図5の第2層38は、少なくとも第1層36に何らかの方法で結合することができるが、導体32、34にも結合することができる材料であることができる。或る観点において、第2層38は、第2材料(例えば、ポリマー、例えば、第1層36のポリマーとは異なるポリマー)の第1層を含んでいることができる。本発明の観点によれば、そして本明細書中で用いられるように、「結合することができる」という表現は、例えば、積層温度及び圧力で、隣接する材料と何らかの方法で反応又は架橋することにより、材料(例えば、第2層38)と、それに隣接する単数又は複数の層(例えば、第1層36及び導体34)との間に、結合(例えば、機械的結合、化学的結合、又はそれらの組み合わせ)が設けられることを意味する。以下で論ずるように、層38は、層36の材料と実質的に同じ第2材料に結合することもできる。層38の厚さは、少なくとも部分的に硬化される場合、約0.5μm〜約25μmの範囲であることができる。本発明の観点によれば、層38は、少なくとも第1層36及び導体34と結合することができる、熱硬化性ポリマー1種以上であるかあるいは熱可塑性ポリマー1種以上と熱硬化性ポリマー1種以上との混合物であることができる。例えば、第2層38の材料は、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、ポリビスマレミド(polybismalemides)、アルキド、ポリウレタン、ビスマレミドトリアジン(bismalemide triazine)、及びそれらの混合物を含むポリマーの群から選択することができる。
【0037】
本発明の或る観点において、層38の材料は積層温度及び圧力下で変形することができる。例えば、本発明の或る観点によれば、第1層36の材料と異なる、層38の材料は、高温変形耐性を有していない材料を含んでいることができる。例えば、層38の材料は、概して、製造の間、例えば、積層の間に受ける温度及び圧力、例えば、少なくとも150℃及び少なくとも3.5kg/cm(すなわち、約50psi)下で変形又は流動に対して耐性でなくともよい。或る観点において、第2層38の材料は、上記の工業標準規格により規定したときに、第1層36の材料の軟化点より低い軟化点を有していることができる。例えば、第2層38の材料の軟化点は、第1層36の材料の軟化点温度より少なくとも5%、若しくは少なくとも10%低いことができるか、又は第1層36の材料の軟化点温度より少なくとも20%低くあることさえできる。例えば、第2層38の材料は、上記の工業標準規格により規定したときに、約150℃より低い、若しくは約120℃より低いか、又は約100℃より低くさえある「軟化点」を有する材料であることができる。
【0038】
第1層36及び第2層38は、添加剤又は充填剤、すなわち、層36及び/又は38の電気的及び/又は機械的特性あるいは受動電気デバイスの電気的及び/又は機械的特性を何らかの方法で高める材料を含んでいても含んでいなくともよい。充填材は、有機若しくは無機の充填材、又はそれらの混合物を含むことができる。充填材は、絶縁粒子、半導体粒子、強誘電体粒子、又はそれらの混合物を含むことができる。充填材粒子は、二酸化ケイ素、窒化ホウ素、二酸化チタン、炭化ケイ素、マイカ、有機充填材、及び/又はセラミック材料、又はそれらの混合物を含むことができる。セラミック材料は、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム鉛、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウムネオジム、三酸化アルミニウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムジルコニウム(strontium zirconium titanate)、チタン酸バリウムカルシウム、チタン酸カルシウムジルコニウム(calcium zirconium titanate)、及びそれらの混合物を含むことができる。粒子は、一般には、層36及び/又は38の材料と均質に混合することができ、例えば、層36及び/又は38のポリマーマトリックスと均質に混合することができる。充填材粒子は、複合層の電気的及び機械的特性を更に高めるために、10ミクロン(μm)未満の平均粒度を有していることができ、又は3μm未満の平均粒度をさえ有していることができる。粒子は、球形、棒状、繊維状、微片(fleck)状、及び/又はひげ(whisker)状、又はそれらの組み合わせで提供することができる。本発明の或る観点において、層36及び/又は層38は、層の約1容量%〜80容量%、例えば、約5容量%〜約50容量%で存在する充填材、例えば、粒子を含んでいることができる。
【0039】
図6、図7、図8、及び図9は、本発明の或る観点による受動電気デバイスの製造工程における各段階の模式図である。図6に示すように、本発明の観点によれば、第1層36を導体32に付与して、被覆導体33、例えば、被覆された銅箔導体又は樹脂被覆された銅箔を提供することができる。何れかの慣用手段、例えば、塗布、積層、電着によって導体32に第1層36を付与することができるが、本発明の或る観点によれば、他の手段の中でもとりわけ、塗布によって導体32に第1層36を付与することができる。例えば、溶液、すなわち、ポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーと溶媒との液体混合物を導体32上に塗布することにより導体32に第1層36を付与することができる。ポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーは、上記のポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーの1種以上であることができる。溶媒は、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、トルエン又はそれらの混合物を含む、何れかの慣用の溶媒であることができる。塗布は、本発明の一つの製造方法の観点として示すものであるが、本発明の観点は、塗布ではない方法によって、例えば、導体32の表面への電着によって、ポリマー層又はフィルムの付与によって、又はポリマーの押出によって提供することができることを理解されたい。
【0040】
塗布は、連続的に、例えば、誘電体の連続層を付与することによる導体箔の連続的塗布によって、実施することができる。計量装置、例えば、層36の厚さを制御するためにドクターブレード、スロットダイ、リバースロール、グラビアロール、リップダイ、コンマダイ(comma die)、又は他の慣用手段を用いて、導体32上に層36を塗布することができる。或る観点において、ポリマー溶液が熱可塑性ポリマーを含んでいる場合には、層36を実質的に完全に乾燥させることができる。
【0041】
本発明の観点によれば、導体32に第1層36を、例えば、塗布によって付与した後、被覆導体33を加熱して少なくとも溶媒の一部を蒸発させ及び層36の材料を少なくとも部分的に硬化又は乾燥させて、導体32と少なくとも部分的に硬化した層36、又は、塗料溶液が熱可塑性ポリマーを含んでいる場合には乾燥した層36、例えば、実質的に完全に乾燥した熱可塑性ポリマー層36との積層構造物35を形成することができる。或る観点において、溶媒の沸点を超える温度のオーブンに、未硬化又は未乾燥の被覆導体33を通して、その結果、層36から実質的に全ての溶媒を効果的に除去しそして層36の材料を少なくとも部分的に硬化させることができる。或る観点において、加熱の間に、層36の材料を実質的に完全に硬化させることができる。
【0042】
図7に示すように、層36の材料を少なくとも部分的に硬化させた後、積層構造物35の第1層36に第2層38を付与する。本発明の観点によると、前記の工程と同様であることができる工程において、積層構造物35の第1層36に第2層38を塗布により付与して、二重の絶縁層で被覆された導体37、例えば、二重被覆された銅箔導体を提供することができる。再び、本発明の或る観点によると、任意の慣用手段によって第1層36に第2層38を付与することができるが、塗布、例えば、溶媒中のポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーの液体混合物を第1層36上に塗布することによって第1層36に第2層38を付与することができる。ポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーは、上記のポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーの1種以上であることができる。溶媒は、上記の溶媒の1種以上を含む、任意の慣用の溶媒であることができる。
【0043】
本発明の観点によれば、例えば、塗布によって、第1層36に第2層38を付与した後、二重被覆された導体37を加熱して溶媒の少なくとも一部を蒸発させ及び層38の材料を部分的に硬化させて導体32と、部分的に硬化した層36と、及び部分的に硬化した層38との積層構造物37を形成することができる。或る観点において、層38から実質的に全ての溶媒を効果的に除去し及び層38の材料を部分的に硬化させるように、溶媒の沸点を超える温度のオーブンに、未硬化の二重被覆導体37を通すことができる。誘電体層36及び38の得られた全体の厚さは、少なくとも部分的に硬化された場合に、約3.5μm〜約100μmであることができる。
【0044】
図8に示すように、層38の材料を少なくとも部分的に硬化させた後、二重被覆されたラミネート37に第2導体34を付与して図9に示す積層された受動電気デバイス40を製造することができる。慣用手段によって、例えば、積層によって、二重被覆ラミネート37に第2導体34、例えば、銅箔を付与することができる。本発明の観点によれば、積層は、圧力及び温度下に実施することができる。例えば、積層は、約140℃〜約310℃、例えば、約160℃〜200℃の温度で圧力下に実施することができる。積層圧力は、約3.5キログラム/平方センチメートル(kg/cm)(すなわち、約50ポンド/平方インチ(psi))〜約42.3kg/cm(すなわち、約600psi)であることができ、そして一般には、約10kg/cm(すなわち、約142psi)〜約25kg/cm(すなわち、約355psi)であることができる。積層工程の時間は、約30分間〜約180分間、例えば、約50分間〜約90分間の間で変化することができる。積層工程は、真空下で又は真空を用いないで実施することができる。例えば、真空下で実施する場合には、水銀(Hg)絶対圧力少なくとも70センチメートル(すなわち、約28インチ)の真空圧力を用いることができる。
【0045】
本発明の或る観点によれば、図8及び図9に示した積層工程は、層36の材料の軟化点温度より低い温度で実施することができる。例えば、層36中の材料の移動又は流動を最小限にするか又は防止するような温度でラミネート37上への導体34の積層を実施することができ、それによって、導体32と34との間の望ましい分離を維持し、そして図3及び図4に概略的に示すような導体32と34とを横切る短絡を最小限にするか又は防止することができる。
【0046】
図10は、図9に示す細部10により特定されるような、図9に示すラミネート受動電気デバイスの一部分の詳細図である。図10に示されるように、本発明の観点によると、製造の間(例えば、積層の間)に受ける処理温度より高い軟化点温度を有する材料の層36を設けることは、層36中の材料の移動を防止し、それによって導体32と34との間の接触を最小限にするか又は除去する。図10に示すように、本発明の観点によれば、より信頼することができる受動電気デバイス(例えば、コンデンサ)を提供することができる。比較的剛性の層36が存在しない従来技術とは対照的に、製造の間で(例えば、積層圧力及び温度下で)、望ましくない破片が積層の間に存在している場合(図4に示すような場合)でさえも、導体32と34との間に電気的短絡が発生することはないと考えられる。本発明の観点は、電気的短絡の発生を最小限にするか又は除去する。
【0047】
図11は、本発明の或る観点による受動電気デバイス40の製造工程50の模式的なダイヤグラム図である。工程50は、上記の図5〜図9に示される工程と同様である。図11に示されるように、上記のように温度及び圧力下で、導体32と、第1層36と、第2層38とを備えた二重被覆構造物37を、導体34と積層して積層受動電気デバイス40を製造することができる。本発明の観点は、導体の間(例えば、箔導体32と34との間)に位置する2つの誘電体層(例えば、明確に区別することができる誘電体層36及び38)を具備した受動電気デバイス40及び工程50を含む。
【0048】
図12は、本発明の或る観点による受動電気デバイス70の別の製造工程60の模式的なダイヤグラム図である。図12に示すように、工程60は、導体32と、第1層36a(上記第1層36と同様又は同一であることができる)と、上記のように温度及び圧力下に積層することができる第2層38とを備えた二重被覆ラミネート構造物37を、導体34と層36b(上記第1層36と同様又は同一であることができる)とを備えた単層被覆ラミネート構造物39と積層して、積層受動電気デバイス70を製造する。本発明の観点は、導体の間(例えば、箔導体32と34との間)に位置する3つの誘電体層(例えば、明確に区別することができる誘電体層36a、38、及び36b)を備えた受動電気デバイス70及び工程60を含む。
【0049】
図13は、本発明の或る観点による受動電気デバイス90の別の製造工程80の模式的なダイヤグラム図である。図13に示すように、工程80は、2つの二重被覆ラミネート構造物37a及び37b(上記ラミネート構造物37と同様又は同一であることができる)を含む。構造物37aは、導体32と、第1層36a(上記第1層36と同様又は同一であることができる)と、第2層38a(上記第2層38と同様又は同一であることができる)とを含む。構造物37bは、導体34と、第1層36b(上記第1層36と同様又は同一であることができる)と、第2層38b(上記第2層38と同様又は同一であることができる)を含む。この観点によると、第2層38aと38bとの間を接触させて、ラミネート構造物37a及び37bを上記のような温度及び圧力下で積層して、積層受動電気デバイス90を製造することができる。本発明の観点は、導体の間(例えば、箔導体32と34との間)に位置する4つの誘電体層(例えば、4つの明確に区別することができる誘電体層36a、38a、38b、及び36b)を備えた受動電気デバイス90及び工程80を含む。
【0050】
《実施例》
以下の記載は、本発明の観点による受動電気デバイスの或る典型的な製造方法及び本発明の或る観点による典型的な受動電気デバイスを示す。
【0051】
厚さ35ミクロン及び幅60cmを有する電着銅箔のロールを塗布機、例えば、ダイ塗布機の巻出ローラ(unwinding roller)上に取付ける。箔をテンションローラ(tensioning rollers)に通し、アイドラーローラに通してオーブン内に入れて、そして次に、巻返しローラ(rewind rollers)上に通す。約0.7kg/センチメートルまで箔に張力をかける。3区分オーブン乾燥機(3-zone oven drier)中の空気の温度を、一般には、80℃、120℃、及び160℃にそれぞれ保持し、そしてそれらの温度を安定化させる。
【0052】
駆動モータを巻返しローラにかみ合わせ、そして箔の線速度(line speed)を2メートル/分間に設定する。箔上に塗布するため、高い加熱撓み温度(heat distortion temperature)又は軟化点約260℃(TMAにより測定)を有するポリアミドイミド(PAI)ポリマーのジメチルアセトアミド(DMAc)溶媒中の溶液を調製する。塗布ダイと箔との間隙を調整して、望ましい厚さの乾燥した(すなわち、実質的に完全に硬化した)ポリマー層を生成する。塗布ダイにおいてポリマー溶液供給ポンプ圧力及び溶液の流れを維持して一定のフィルム厚さを作る。溶媒を蒸発除去しそして樹脂を乾燥させ、例えば、実質的に完全に乾燥させて、箔(例えば、導体32)上に厚さ10μmの硬質樹脂層(例えば、第1層36)を形成する。誘電体被覆箔、すなわち、樹脂被覆箔、例えば、樹脂被覆箔35のロールを形成する。誘電体被覆箔の試料を取って塗り厚を測定する。被覆箔全体の厚さから箔の厚さを引き算することによって塗り厚を測定する。
【0053】
次いで、誘電体の第1層(例えば、第1層36)の上に、誘電体の第2層(例えば、第2層38)を用いて、前記の樹脂被覆箔のロールを被覆する。積層条件下で接着/結合特性を有するエポキシ熱硬化性ポリマー及びメチルエチルケトン(MEK)の第2溶液を作成する。上記と同様の方法により樹脂被覆箔37の樹脂側、すなわち、第1層36の上に第2溶液を付与して望ましい厚さのポリマーを得る。第2層を部分的に硬化させ(すなわち、「b段階」のラミネートを与え)、続いて、第2導体34(図11に示す)、第1ポリマー層36b(図12に示す)、又は別の第2ポリマー層38b(図13に示す)を含む他の基板と前記第2層とを結合することができるようにする。温度及び塗布条件は、部分的に硬化した第2ポリマー層の厚さが約2.5μmとなるように調整する。
【0054】
本発明の或る観点において、この被覆箔の2つの片を、各基板の第2ポリマー層(38a、38b)が向かい合うように積層することにより、容量デバイスを形成することができ、ここで、各ラミネート片は、銅箔/第1ポリマー層/第2ポリマー層の構成(例えば、図13に示したラミネート37a及び37bによって示される)を有する。この積層工程は、銅箔/第1ポリマーの層/第2ポリマーの層/第2ポリマーの層/第1ポリマーの層/銅箔を含む多層構造物(例えば、図13においてラミネート90により示される)を形成する。積層工程は、190℃(374°F)及び22.5kg/cm(320psi)で90分間の滞留時間にわたり及び74cm(29インチ)Hgの真空下で油圧プレスにより実施する。
【0055】
形成されたコンデンサ・ラミネートを或る大きさに切断、しそして銅の層に所望のパターンを与えるように処理する。得られたコンデンサを視覚によって検査し、そして500ボルト(V)で電気的に検査しそして短絡がないことを確認する。得られたコンデンサは、容量密度少なくとも約50ピコファラド/平方センチメートル(pF/cm)、例えば、少なくとも約130pF/cm、及び絶縁耐力少なくとも約200キロボルト/ミリメートル(kV/mm)を有する。
【0056】
図14は、本発明の或る観点による、例えば、図13に示す工程において説明したような、ラミネート構造物100の横断面の顕微鏡写真である。図15は、従来技術によるラミネート構造物110の横断面の顕微鏡写真である。構造物100及び110はいずれも、圧力320psi、温度190℃、積層滞留時間90分間、及び29インチHgの真空下での積層工程により形成した。図14に示すように、ラミネート構造物100は、2つの銅導体102と、誘電体とを含み、ここで、前記誘電体は、高軟化点温度260℃を有する第1材料104であるPAIの2つの層と、積層前に150℃より低い低軟化点温度を有する第2材料106であるエポキシ樹脂の2つの層とを含む。図15に示すように、ラミネート構造物110は、2つの銅導体112と、誘電体とを含み、ここで、前記誘電体は、積層前に150℃より低い低軟化点温度を有する材料114であるエポキシ樹脂の単層を含む。
【0057】
図14と図15との比較は、得られる誘電体114が本発明の観点と比べて従来技術による処理の間に如何に薄くなることがあるかを説明している。図15に関して、材料114が積層温度190度より低い軟化点を有するので、材料114は積層温度及び圧力の間に軟性及び流動性となり、そのことにより材料114は薄くなり、そしてその結果、導体112に対するバリアが著しく薄くなって接触及び短絡が生ずる。本発明者らは、従来技術のこの欠点は材料114の厚さを増すことによっては改善できないことを見出した。図15に示した結果的に薄くなることは、実質的に全ての低軟化点の材料の、より高温における積層の間での挙動を特徴付けている。対照的に、図14に示すように、低軟化点材料106は同様に処理の間に薄くなる傾向があるが、高軟化点材料104は処理の間で明らかに薄くなることはなく、そのことにより導体102の間に接触及び短絡に対するより厚いバリアが設けられる。図14及び図15の精密な検査は、本発明の観点による構造物100の導体102にはほとんど又は全く短絡の可能性がない一方で、構造物110の導体112は誘導体114を横切る短絡が繰り返される証拠を示している。
【0058】
図16は、図14に示されるラミネート構造物100の細部120のSEM写真である。図17は、図15に示されるラミネート構造物110の細部130のSEM写真である。図16に示すように、ラミネート構造物120は、2つの銅導体102及び2つのポリマー層104、及び2つのポリマー層106を含む。図16に明確に示されるように、本発明の或る観点によると、電気的短絡を引き起こすことがある導体102の間の接触はない。図17に示すように、ラミネート構造物130は、2つの銅導体112、及び誘電体ポリマー層114を含んでいる。従来技術に係る図17の精密検査は、誘電体114を横切る短絡が繰り返される証拠を構造物110の導体112が示していることを指摘する。
【0059】
本発明の観点が、改善された電気性能を与える、具体的には、電気負荷下で短絡の可能性が低減された、改善された受動電気デバイス及び受動電気デバイスの改善された製造方法を提供することは、上記から当業者に明らかであろう。本発明の改善された受動電気デバイスは、薄い層状の電気デバイスが一般に見出されるあらゆる電気的用途に、例えば、個別的な装置又はプリント回路基板に埋め込まれた1つ以上の装置として用いることができる。本発明の観点は、電気回路、プリント回路基板、又は電気デバイス、例えば、マイクロエレクトロニクスデバイス、例えば、チップパッケージ、携帯電話、携帯情報末端(PDA)、コンピュータ・ネットワーク・サーバー、他の電気デバイス等と結合させ又はそれらの中に埋め込むことができる。或る観点において、受動電気デバイスは剛性又は可撓性であることができる。当業者に理解されるように、本明細書に記載した種々の観点の特徴、特性、及び/又は利点は、種々の態様に適用し及び/又は広げる(例えば、それらのあらゆる部分に適用し及び/又は広げる)ことができる。
【0060】
本明細書中に本発明のいくつかの観点を詳細に表現及び記載してきたが、本発明の精神から逸脱することなく種々の変更、付加、置換等を行なうことができることは関連した技術分野の当業者には明らかであろうから、これらは特許請求の範囲に記載された発明の範囲内にあると考えられる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導体;
前記第1導体に隣接した第1材料の第1層;
前記第1材料の第1層に隣接した第2材料の第1層;及び
前記第2材料の第1層に隣接した第2導体;
を含む、受動電気デバイスであって、
ここで、前記第1材料の第1材料は第1温度より高い軟化点温度を有するものとし、そして、前記第2材料は前記第1温度より低い軟化点温度を有するものとする、前記デバイス。
【請求項2】
薄いラミネートの受動電気デバイスを含む、請求項1に記載の受動電気デバイス。
【請求項3】
第1温度が150℃である、請求項1に記載の受動電気デバイス。
【請求項4】
第1温度が200℃である、請求項1に記載の受動電気デバイス。
【請求項5】
第2材料の第1層と第2導体との間に第1材料の第2層を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の受動電気デバイス。
【請求項6】
第2材料の第1層と第2導体との間に第2材料の第2層を更に含む、請求項5に記載の受動電気デバイス。
【請求項7】
第2導体が第2材料の第1層に積層され、そして、第1温度が積層温度を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の受動電気デバイス。
【請求項8】
第1材料が、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の受動電気デバイス。
【請求項9】
第1材料がポリマーを含み、そして、前記ポリマーが少なくとも1種のポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリビスマルイミド、エポキシ、ポリエステル、及びポリウレタンを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の受動電気デバイス。
【請求項10】
第2材料がポリマーを含み、そして、前記ポリマーが少なくとも1種のエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、ポリビスマレミド、アルキド、ポリウレタン、及びビスマレミドトリアジンを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の受動電気デバイス。
【請求項11】
以下の工程:
第1材料の第1層を第1導体に付与する工程;
第2材料の第1層を第1材料の第1層に付与する工程;及び
前記第1温度より低い温度で、第2材料の第1層に第2導体を積層する工程;
を含む、受動電気デバイスの製造方法であって、
ここで、前記第1材料は第1温度より高い軟化点温度を有するものとし、そして、前記第2材料は第1温度より低い軟化点温度を有するものとする、前記方法。
【請求項12】
受動電気デバイスが薄いラミネートの電気デバイスを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第1温度が150℃である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
積層の前に、第2導体上に第1材料の第2層を付与する工程を更に含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
積層の前に、第2導体上にある第1材料の第2層上に、第2材料の第2層を付与する工程を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1銅箔導体;
150℃より高い軟化点温度を有し、前記第1銅箔導体に結合した第1ポリマーの第1層;
150℃より低い軟化点温度を有し、前記第1層に結合した第2ポリマーの第1層;及び
前記第2ポリマーの第1層に結合した第2銅箔導体;
を含む、薄いラミネートの容量デバイスであって、ここで、前記デバイスが少なくとも約50pF/cmの容量密度と少なくとも約200kV/mmの絶縁耐力とを含むものとする、前記デバイス。
【請求項17】
第1ポリマーが、少なくとも1種のポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリビスマルイミド、エポキシ、ポリエステル、及びポリウレタンを含む、請求項16に記載の容量デバイス。
【請求項18】
第2ポリマーが、少なくとも1種のエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、ポリビスマレミド、アルキド、ポリウレタン、及びビスマレミドトリアジンを含む、請求項16又は17に記載の容量デバイス。
【請求項19】
請求項16又は17に記載の容量デバイスを備えたプリント回路基板。
【請求項20】
請求項19に記載のプリント回路基板を備えた電子デバイス。

【公表番号】特表2012−515435(P2012−515435A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545484(P2011−545484)
【出願日】平成22年1月11日(2010.1.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/020620
【国際公開番号】WO2010/081073
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(511170216)オーク−ミツイ テクノロジーズ エル エル シー (1)
【氏名又は名称原語表記】Oak−Mitsui Technologies LLC
【Fターム(参考)】