説明

受容体に結合するペプチドおよび化合物

トロンボポエチン受容体(c−mplまたはTPO−R)に結合し、そしてこれを活性化するか、あるいはさもなくばTPOアゴニストとして作用するペプチドおよび化合物が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【関連出願との関係】
【0001】
この出願は2003年8月28日に出願された出願番号60/498,740についての優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、トロンボポエチン受容体(c−mplまたはTPO−R)に結合し、そしてこれを活性化するか、あるいはさもなくばTPOアゴニストとして作用するペプチドおよび化合物を提供する。本発明は、生化学および医薬化学の分野において用途を有し、特にヒトの病気を処置するのに使用するTPOアゴニストを提供する。
【背景技術】
【0003】
巨核球は循環血液の血小板を産生する役割をする骨髄由来の細胞である。大多数の種中で<0.25%の骨髄細胞を含んでなるが、これらは典型的な骨髄細胞の>10倍の体積を有する(非特許文献1参照)。巨核球は核内分裂として知られる過程を経、これによって、核を複製するが、細胞分割を起こすことができず、それにより倍数体細胞を生じる。血小板計数値の減少に応えて、細胞分裂速度が増加し、高倍数性巨核球が形成され、そして巨核球数が3倍まで増加することもある(非特許文献2参照)。対照的に、血小板計数値の上昇に応えて、細胞分裂速度が減少し、低倍数性巨核球が形成され、そして巨核球数が50%減少することもある。
【0004】
循環血小板の大部分が細胞分裂速度と骨髄巨核球数を調整する厳密な生理学的フィードバック機構は知られていない。現在、このフィードバックループの媒介において包含されるこの循環血小板新生因子はトロンボポエチン(TPO)であると考えられている。特に、TPOは、血小板減少症を伴う場面において主要なホルモン制御因子であることが示されてきた。例えば、(非特許文献3参照)。TPOは、いくつかの研究において、血小板計数値を増加させ、血小板サイズを増加させ、そして被投与動物の血小板の中への同位体組み込みを増加させることが示されている。特に、TPOは、(1)巨核球サイズおよび数の増加を生じる;(2)巨核球中で倍数体の形でDNA含量の増加を生じる;(3)巨核球細胞分裂を増加させる;(4)巨核球の増加した成熟を生じる;そして(5)骨髄中で小アセチルコリンエステラーゼ陽性の細胞の形の前駆細胞のパーセンテージの増加を生じるなどのいくつかの方法で巨核球形成に影響を及ぼすと考えられる。
【0005】
血小板は血液凝固に必要であり、この数が極めて低い場合、患者は破局的な出血により死亡する深刻な危険性に立たされるために、TPOは、種々の血液疾患、例えば、主として血小板欠損症による病気の診断および処置に潜在的な有用な用途を有する。進行中のTPOによる臨床的な試みによれば、TPOは患者に安全に投与可能であるということが示された。加えて、最近の研究は、血小板減少症、特にがんまたはリンパ腫の処置としての化学処置、放射線処置、または骨髄移植から生じる血小板減少症の処置におけるTPO処置の効能を予測するための基盤を提供した。例えば、非特許文献4を参照のこと。
【0006】
TPOをコードする遺伝子がクローン化され、キャラクタリゼーションされた。非特許文献1、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、および非特許文献8を参照のこと。トロンボポエチンは少なくとも2つの形を持ち、25kDaと31kDaの見掛けの分子量を持ち、共通のN−末端アミノ酸配列を持つグリコタンパクである(非特許文献6参照)。トロンボポエチンは、潜在的なArg−Arg開裂部位により分離された2つの区別できる領域を有するように見える。このアミノ末端領域は人間とマウスでは高度に保存され、エリトロポエチンとインターフェロン−aおよびインターフェロン−bと若干の相同性を有する。このカルボキシ末端領域は広い種分岐進化を示す。
【0007】
ヒトTPO−R(c−mplとしても知られている)に対するこのDNA配列とコードされたペプチド配列が記述された。非特許文献9を参照のこと。TPO−Rは、造血因子受容体ファミリー、膜貫通領域に近いN−末端部分とWSXWSモチーフ(SEQID NO:1)中の4つの保存されたC残基を含む細胞外ドメインの共通の構造設計を特徴とするファミリーの一員である。非特許文献10を参照のこと。この受容体が造血において機能的な役割を果たすという証拠は、この発現がマウス中では脾臓、骨髄、または胎児肝臓に限定され(非特許文献11を参照)、そしてヒトでは巨核球、血小板、およびCD34+細胞に限定されている(非特許文献12を参照)という観察を含む。更には、mplRNAにアンチセンスの合成オリゴヌクレオチドにCD34+細胞を暴露することによって、赤血球性あるいは骨髄球性のコロニー形成に影響を及ぼすことなく巨核球コロニーの出現が著しく阻害される。ある研究者は、G−CSFとエリトロポエチンに対する受容体の状況に類似して、この受容体がホモ二量体として機能するということを仮定している。
【0008】
TPO−Rに対するクローン化された遺伝子の取得の容易さによって、この重要な受容体のアゴニストの探索が促進されている。この組み換え受容体タンパクの取得の容易さによって、種々のランダムおよびセミランダムペプチド多様性生成系における受容体−リガンド相互作用の研究が可能になっている。
【0009】
これらの系は、特許文献1および特許文献2に述べられている「プラスミド上のペプチド」系;特許文献3の一部継続出願である特許文献4、および非特許文献15に述べられている「ファージ上のペプチド」系;特許文献5に基づく部分継続出願である特許文献6と特許文献7に述べられている「ポリゾーム系」;特許文献8の部分継続出願である特許文献9の部分継続出願である特許文献10に述べられている「コードされた合成ライブラリー(ESL)」系;および特許文献11、特許文献12、特許文献13、非特許文献14、非特許文献15、および特許文献14に述べられている「極大規模の固定化ポリマー合成」系を含み、前出の特許出願と刊行物は引用により本明細書に組み込まれている
【特許文献1】米国特許第5,270,170号
【特許文献2】米国特許第5,338,665号
【特許文献3】米国特許出願番号07/541,108、出願1990年6月20日
【特許文献4】米国特許出願番号07/718,577、出願1991年6月20日、
【特許文献5】米国特許出願番号08/144,775、出願1993年10月29日
【特許文献6】米国特許出願番号08/300,262、出願1994年9月2日
【特許文献7】PCTWO95/11992
【特許文献8】米国特許出願番号07/762,522出願1991年9月18日
【特許文献9】米国特許出願番号07/946,239、出願1992年9月16日
【特許文献10】米国特許出願番号08/146,886、出願1993年11月12日
【特許文献11】米国特許第5,143,854号
【特許文献12】PCT特許公告90/15070,公告1990年12月13日
【特許文献13】米国特許出願番号07/624,120、出願1990年12月6日
【特許文献14】米国特許出願番号07/805,727、出願1991年12月6日
【非特許文献1】Kuterら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11104−11108(1994)
【非特許文献2】Harker,J.Clin.Invest.,47:458−465(1968)
【非特許文献3】Metcalf,Nature,369:519−520(1994)
【非特許文献4】McDonald,Am.J.Ped.Hematology/Oncology,14:8−21(1992)
【非特許文献5】Barleyら、Cell 77:1117−1124(1994)
【非特許文献6】Kaushanskyら、Nature 369:568−571(1994)
【非特許文献7】Wendlingら、Nature,369:571−574(1994)
【非特許文献8】Sauvageら、Nature 369:533−538(1994)
【非特許文献9】Vigonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:5640−5644(1992)
【非特許文献10】Bazan,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6934−6938(1990)
【非特許文献11】Souyriら、Cell 63:1137−1147(1990)
【非特許文献12】Methiaら、Blood 82:1395−1401(1993)
【非特許文献13】Cwirlaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6378−6382(1990)
【非特許文献14】Fodorら、Science,251:767−773(2/1991)
【非特許文献15】Dowerら、Ann.Rep.Med.Chem.,26:271−180(1991)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
血小板減少症に罹った患者の血小板レベルの緩慢な回復は深刻な問題であり、血小板再生を加速する能力のある血液生長因子アゴニストを探索する研究の緊急性が強調されてきた。本発明はこのようなアゴニストを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一部、ある規定された低分子量ペプチドおよびペプチド模倣物がTPO−Rに強い結合性を有し、TPO−Rを活性化することができるという、新規で、予期されない発見に関する。従って、このペプチドおよびペプチド模倣物は、TPO(例えば、化学処置、放射線処置、または骨髄輸液により起こる血小板減少症)により媒介された状態を処置することにおける処置の目的に、ならびに造血機構を研究することにおける診断目的に、そしてインビトロ巨核球の増殖およびコミットされた前駆細胞に有用であることができる。
【0012】
処置および/または診断目的に好適なペプチドおよびペプチド模倣物は、下記の実施例3に示す結合親和性アッセイにより決定した場合に約2mM以下のIC50を有する。ここで、より低いIC50はTPO−Rに対するより強い結合親和性に相関する。医薬目的には、このペプチドおよびペプチド模倣物(またはペプチド模倣物)は、好ましくは約100μM以下の、更に好ましくは500nM以下のIC0を有する。好ましい態様においては、このペプチドまたはペプチド模倣物の分子量は約250〜約8,000ダルトンである。本発明のペプチドをこの明細書に記載される親水性ポリマーとオリゴマー化、二量化および/または誘導体化すると、このようなペプチドの分子量は、実質的に更に大き
くなり、約500〜約120,000ダルトン、更に好ましくは約8,000〜約80,000ダルトンの範囲のいずれかにあることができる。
【0013】
診断目的に使用される場合には、本発明のペプチドおよびペプチド模倣物は、検出可能なラベルにより好ましくは標識され、従って、このようなラベル無しのペプチドおよびペプチド模倣物がラベル付きペプチドおよびペプチド模倣物の作製の中間体として機能する。
【0014】
分子量およびTPO−Rに対する結合親和性について規定された規準に適合するペプチドは、天然起源あるいは合成の(非天然起源の)アミノ酸である9個以上のアミノ酸を含んでなる。
【0015】
従って、好ましいペプチドおよびペプチド模倣物は
(1)約5000ダルトン未満の分子量と、
(2)約100μM以下のIC50により表されるTPO−Rへの結合親和性
を有する化合物を含んでなる。ここで、このペプチドの−C(O)NH−結合のゼロないしは全部は、−CHOC(O)NR−結合;ホスホネート結合;−CHS(O)NR−結合;−CHNR−結合;および−C(O)NR−結合;および−NHC(O)NH−結合(但し、Rは水素または低級アルキルであり、そしてRは低級アルキルである)
からなる群から選択される結合により置換されたものであり、更には、前記ペプチドまたはペプチド模倣物のN−末端はNRR基;−NRC(O)R基;−NRC(O)OR基;−NRS(O)R基;−NHC(O)NHR基;スクシンイミド基;ベンジルオキシカルボニル−NH−基;および低級アルキル、低級アルコキシ、クロロ、およびブロモからなる群から選択される1〜3個の置換基をフェニル環上に有するベンジルオキシカルボニル−NH−基(但し、RおよびRは水素および低級アルキルからなる群から独立に選択される)からなる群から選択され、そしてなお更には、前記ペプチドおよびペプチド模倣物のC−末端は式−C(O)R(式中、Rはヒドロキシ、低級アルコキシ、および−NR(但し、RおよびRは水素および低級アルキルからなる群から独立に選択され、そしてこの−NR基の窒素原子は、場合によってはこのペプチドのN−末端のアミン基であって、環状ペプチドとこれらの生理学的に許容し得る塩を形成することができる)を有する。関連する態様においては、本発明は、検出可能なラベルを共有結合した上述のペプチドまたはペプチド模倣物を含んでなるラベル付きペプチドまたはペプチド模倣物に関する。一つの態様においては、このコアペプチドは
GX
(式中、XはA、C、E、G、I、L、M、P、R、Q、S、T、またはVであり;そしてXはA、C、D、E、K、L、Q、R、S、T、またはVであり;そしてXはβ−(2−ナフチル)アラニン(この明細書では「2−Nal」と称される)残基である。更に好ましくは、XはAまたはIであり;そしてXはD、E、またはKである。更に、XはC、L、M、P、Q、Vであり;XはF、K、L、N、Q、R、S、TまたはVであり;XはC、F、I、L、M、R、S、VまたはWであり;Xは20個の遺伝的にコーディングされたL−アミノ酸のいずれかであり;XはA、D、E、G、K、M、Q、R、S、T、VまたはYであり;そしてXはC、G、I、K、L、M、N、RまたはVである)
のアミノ酸配列(SEQID NO:2)を含んでなる。
【0016】
特に好ましいペプチドはIEGPTLRQ(2−Nal)LAARAのアミノ酸配列(SEQID NO:3)を含む。
【0017】
別の態様においては、本発明のペプチド化合物は、好ましくは二量化あるいはオリゴマ
ー化されて、この化合物の親和性および/または活性を増大させる。好ましい二量化されたペプチド化合物の例は、限定されるものではないが、
【0018】
【化1】

【0019】
(ここで、X10はサルコシンあるいはP−アラニン残基(SEQID NO:4)である)
を含む。上記の構造は(H−IEGPTLRQ(2−Nal)LAARX10K−NHの構造によっても表現可能である。
【0020】
なお更なる態様においては、本発明での使用に好ましいペプチドは、種々の親水性ポリマーの1つ以上に共有結合したペプチドを含む。好適な親水性ポリマーは、限定されるものではないが、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールにより例示されるポリアルキルエーテル、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリオキシアルキレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロースとセルロース誘導体、デキストランおよびデキストラン誘導体を含み、引用により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,869,451号により記述されている通りである。
【0021】
本明細書に記述される化合物は、TPOにより媒介される病気の予防および処置、特に限定されるものではないが、化学処置、放射線処置、または骨髄輸液から生じる血小板減少症を含む血液疾患の処置に有用である。このように、本発明は、また、TPOアゴニストよる処置に感受性の疾患を有する患者に処置的に有効な用量または量の本発明の化合物を与えるあるいは投与する方法も提供する。
【0022】
本発明は、また、本明細書で記述される1以上の化合物と生理学的に許容し得るキャリアを含んでなる医薬組成物も投与する。これらの医薬組成物は経口投与、ならびに吸入可能な粉末および溶液と注射液および輸液の形を含む種々の形のものであることができる。〈特定の態様の記述〉
I.定義と一般的なパラメーター
次の定義は、この明細書で本発明を説明するのに使用される種々の用語の意味および範囲を例示し、定義するのに示される。「アゴニスト」は、その相補性の生物学的に活性な受容体に結合し、これを活性化して、受容体に生物学的な応答を引き起こすか、あるいは受容体の以前から存在する生物学的な活性を増強する生物学的に活性なリガンドを指す。「医薬的に許容され得る塩」は、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アンモニウム、およびプロタミン亜鉛塩を含み、当該技術分野でよく知られた方法で製造される、医薬業界で普通に使用される非毒性のアルカリ金属、アルカリ土類金属、およびアンモニウム塩を指す。この用語は、また、本発明の化合物と好適な有機あるいは無機の酸とを反応させることにより一般に製造される非毒性の酸付加塩も含む。代表的な塩は、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、サルフェート、ビサルフェート、アセテート、オキサレート、バレレート、オレエート、ラウレート、ボレート、ベンゾエート、ラクテート、ホスフェート、トシレート、シトレート、マレエート、フマレート、スクシネート、タートレート、ナプシレートなどを含む。
【0023】
「医薬的に許容され得る酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的な有効性および性質を保持し、そして生物学的あるいは他の面で望ましくないことはない塩であって、無機酸、例え
ば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などと、有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリシル酸などにより形成されるものを指す。プロドラッグとしての医薬的に許容し得る酸付加塩の説明には、前出のBundgaard,H.を参照のこと。
【0024】
「医薬的に許容され得るエステル」は、このエステル結合の加水分解時に、カルボン酸またはアルコールの生物学的な有効性および性質を保持し、そして生物学的あるいは他の面で望ましくないことはないエステルを指す。プロドラッグとしての医薬的に許容し得るエステルの説明には、Bundgaard,H.,ed.,「Design of Prodrugs」,Elsevier Science Publishers,Amsterdam(1985)を参照のこと。これらのエステルは、通常、対応するカルボン酸とアルコールから形成される。一般に、エステル形成は在来の合成法により実施可能である(例えば、March,Advanced Organic Chemistry,4th Ed.,John Wiley & Sons,New York(1992),393−396およびこれらの関連リファレンス,およびMarkら,「Encyclopedia of Chemical Technology」,JohnWiley&Sons,NewYork(1980)を参照)。このエステルのアルコール成分は、一般に、(i)1つ以上の二重結合を含有するか、含有することができず、そして分岐炭素を含有するか、含有することができないC−C12脂肪族アルコール、または(ii)C−C12芳香族あるいはヘテロ芳香族アルコールを含んでなる。本発明は、また、この明細書で述べるエステルであり、同時にこれらの医薬的に許容し得る酸付加塩であるこれらの組成物の使用も意図している。
【0025】
「医薬的に許容され得るアミド」は、このアミド結合の加水分解時に、カルボン酸またはアミンの生物学的な有効性および性質を保持し、そして生物学的あるいは他の面で望ましくないことはないアミドを指す。プロドラッグとしての医薬的に許容し得るアミドの説明には、Bundgaard,H.,ed.,「Design of Prodrugs」,Elsevier Science Publishers,Amsterdam(1985)を参照のこと。これらのアミドは、通常、対応するカルボン酸とアミンから形成される。一般に、アミド形成は在来の合成法により実施可能である(例えば、March,Advanced Organic Chemistry,4th Ed.,John Wiley & Sons,New York(1992),p.393およびMarkら,「Encyclopedia of Chemical Technology」,John Wiley & Sons,New York(1980)を参照)。本発明は、また、この明細書で述べるアミドであり、同時にこれらの医薬的に許容し得る酸付加塩であるこれらの組成物の使用も意図している。
【0026】
「医薬的あるいは処置的に許容され得るキャリア」は、活性成分の生物学的な活性の有効性を妨害せず、宿主または患者に対して毒性のないキャリア媒体を指す。
【0027】
「立体異性体」は、他のものと同一の分子量、化学的な組成、および構成を有するが、異なってグループ化された原子を持つ化学的な化合物を指す。すなわち、ある同一の化学的な部分は空間で異なる配向にあり、それゆえ、純粋である場合には偏光面を回転させる能力を有する。しかしながら、一部の純粋な立体異性体は、極めて僅かであり、現在の装置では検出不能である光学回転を有し得る。本発明の化合物は、1つ以上の不斉炭素原子を有し、それゆえ種々の立体異性体を含み得る。すべての立体異性体が本発明の範囲内に含まれる。
【0028】
あるいは、本発明の組成物に適用される「処置的あるいは医薬的に有効な量」は、所望の生物学的な結果を誘起するのに充分な組成物の量を指す。この結果は、徴候、症状、または病気の原因の緩和、または生物学的な系の任意の他の所望の変更であることができる。本発明においては、この結果は、通常、感染または組織傷害に対する免疫学的および/または炎症的な応答の減少を伴う。
【0029】
ペプチド中のアミノ酸残基を次にように略記する。フェニルアラニンはPheまたはFであり;ロイシンはLeuまたはLであり;イソロイシンはIleまたはIであり;メチオニンはMetまたはMであり;バリンはValまたはVであり;セリンはSerまたはSであり;プロリンはProまたはPであり;スレオニンはThrまたはTであり;アラニンはAlaまたはAであり;チロシンはTyrまたはYであり;ヒスチジンはHisまたはHであり;グルタミンはGlnまたはQであり;アスパラギンはAsnまたはNであり;リジンはLysまたはKであり;アスパラギン酸はAspまたはDであり;グルタミン酸はGluまたはEであり;システインはCysまたはCであり;トリプトファンはTrpまたはWであり;アルギニンはArgまたはRであり;そしてグリシンはGlyまたはGである。加えて、t−Buoはtert−ブチルオキシであり、Bzlはベンジルであり、CHAはシクロヘキシルアミンであり、Acはアセチルであり、Meはメチルであり、Penはペニシラミンであり、Aibはアミノイソ酪酸であり、Nvaはノルバリンであり、Abuはアミノ酪酸であり、Thiはチエニルアラニンであり、OBnはO−ベンジルであり、そしてhypはヒドロキシプロリンである。
【0030】
天然起源のアミノ酸のみからなるペプチドに加えて、ペプチド模倣物も提供される。ペプチド類似物は、医薬業界において鋳型ペプチドのそれに類似する性質を持つ非ペプチドドラッグとして普通に使用される。これらのタイプの非ペプチド化合物は、「ペプチド模倣物」または「ペプチド模倣物」または「ペプチド模倣物」と称せられる(Luthmanら,「A Textbook of Drug Design and Development」,14:386−406,2nd Ed.,Harwood Academic Publishers(1996);Joachim Grante,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,33:1699−1720(1994);Fauchere,J.,Adv.Drug Res.,15:29(1986);Veberand Freidinger TINS,p.392(1985);およびEvansら,J.Med.Chem.30:1229(1987)、これらは、引用により本明細書に組み込まれている)。同等の、あるいは増強された処置的あるいは予防的な効果を生じるのに、処置的に有用なペプチドに構造的に類似なペプチド模倣物が使用され得る。一般に、ペプチド模倣物は、パラダイムポリペプチド(すなわち、生物学的あるいは薬理学的活性を有するポリペプチド)、例えば天然起源の受容体結合性ポリペプチドに構造的に類似しているが、当業界で既知で、参考文献に更に記述されている(Spatola,A.F.「Chemistry and Biochemistry of Amino
Acids,Peptides,and Proteins」,B.Weinstein,eds.,Marcel Dekker,New York,p.267(1983);Spatola,A.F.,Vega Data(March1983),Vol.1,Issue 3,「peptide backbone modifications」(general review);Morley,Trends Pharm.Sci.pp.463−468(1980),(general review);Hudsonら,Int.J.Pept.Prot.Res.,14:177−185(1979);Spatolaら,LifeSci.,38:1243−1249(1986);Hann,J.Chem.Soc.Perkin Trans.I,307−314(1982);Almquistら,J.Med.Chem.,23:1392−1398,(1980);Jennings−Whiteら,Tetrahedron Lett.23:2533(1982);Szelkeら,European Appln.EP4
5665(1982);Holladayら,Tetrahedron Lett.,24:4401−4404(1983);およびHruby,Life Sci.,31:189−199(1982)、これらは引用により本明細書に組み込まれている)方法により代替の結合、例えば−CHNH−、−CHS−などにより場合によっては置き換えられた1つ以上のペプチド結合を有する。特に好ましい非ペプチド結合は−CHNH−である。このようなペプチド模倣物は、ポリペプチド態様以上の著しい利点を有し得る。これらの利点は、例えば更に経済的な製造、更に大きな化学的安定性、増強された薬理学的性質(半減期、吸収、効力、効能など)、変更された特異性(例えば、広範囲の生物学的活性)、低減された抗原性などを含む。ペプチド模倣物の標識は、通常、ペプチド模倣物上の定量的な構造−活性データおよび/または分子モデル化により予測される非干渉性位置に1つ以上のラベルを直接に、あるいはスペーサー(例えば、アミド基)により共有結合されることを含む。このような非干渉性位置は、一般に、ペプチド模倣物が結合して、処置的な効果を生じる巨大分子(例えば、イムノグロブリンスーパーファミリー分子)と直接的な接触を形成しない位置である。ペプチド模倣物の誘導体化(例えば、標的化)は、ペプチド模倣物の所望の生物学的あるいは薬理学的な活性を実質的に妨害してはならない。一般に、受容体結合性ペプチドのペプチド模倣物は、高親和性の受容体に結合し、検出可能な生物学的活性(すなわち、1つ以上の受容体媒介の遺伝子型変化に対してアゴニスト的あるいはアンタゴニスト的である)を有する。
【0031】
更に安定なペプチドを生成させるために、コンセンサス配列の1つ以上のアミノ酸を同一のタイプ(例えば、L−リジンの代わりにD−リジン)のD−アミノ酸により系統的な置換することが使用され得る。加えて、当業界で既知の方法(引用により本明細書に組み込まれている、Rizoら,Ann.Rev.Biochem.,61:387(1992))により、例えば、ペプチドを環化させる分子内ジスルフィド架橋を形成する能力のある内部システイン残基を付加することにより、コンセンサス配列あるいは実質的に同一のコンセンサス配列の変形を含んでなる規制されたペプチドが生成され得る。
【0032】
合成の、あるいは非天然起源のアミノ酸は、インビボでは天然に生じないが、それにも拘わらず、本明細書に述べるペプチド構造に組み込み可能であるアミノ酸を指す。好ましい合成のアミノ酸は、式HNCHRCOOH(式中、Rは、1)低級アルキル基、2)3〜7個の炭素原子のシクロアルキル基、3)3〜7個の炭素原子および酸素、イオウ、および窒素からなる群から選択される1〜2個のヘテロ原子のヘテロ環、4)ヒドロキシル、低級アルコキシ、アミノ、およびカルボキシルからなる群から選択される1〜3個の置換基を芳香族核上に場合によっては有する6〜10個の炭素原子の芳香族残基、5)−アルキレン−Y(式中、アルキレンは1〜7個の炭素原子のアルキレン基であり、そしてYは(a)ヒドロキシ、(b)アミノ、(c)3〜7個の炭素原子のシクロアルキルおよびシクロアルケニル、(d)ヒドロキシル、低級アルコキシ、アミノおよびカルボキシルからなる群から選択される1〜3個の置換基を芳香族核上に場合によっては有する6〜10個の炭素原子のアリール、(e)〜7個の炭素原子および酸素、イオウ、および窒素からなる群から選択される1〜2個のヘテロ原子のヘテロ環、(f)−C(O)R(式中、Rは水素、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、および−NR(式中、RおよびRは水素および低級アルキルからなる群から独立に選択される)、(g)−S(O)(式中、nは1〜2の整数であり、そしてRは低級アルキルである)からなる群から選択され、但しRは天然起源のアミノ酸側鎖を定義しないものとする)により表される天然起源のL−a−アミノ酸のD−a−アミノ酸ならびに非天然起源のD−およびL−a−アミノ酸である。
【0033】
他の好ましい合成のアミノ酸は、アミノ基が1個以上の炭素原子によりカルボキシル基から分離されているアミノ酸、例えばアラニン、ガンマ−アミノ酪酸などを含む。
【0034】
特に好ましい合成のアミノ酸は、天然起源のL−アミノ酸のD−アミノ酸、特にL−(2−ナフチル)−アラニン(2−Nal)を含む。
【0035】
「検出可能なラベル」は、本発明のペプチドおよびペプチド模倣物に結合した場合、このペプチドまたはペプチド模倣物を投与した患者中インビボでペプチドおよびペプチド模倣物の検出が可能となる材料を指す。好適な検出可能なラベルは当該技術分野でよく知られており、例としては、放射性同位元素、蛍光ラベル(例えば、フルオレッセン)などを含む。使用される特別な検出可能なラベルは決定的なものではなく、使用されるべきラベルの量ならびに使用されるラベルの量におけるラベルの毒性に対して選択される。このような因子に対するラベルの選択は充分当業界の技術のなかにある。
【0036】
検出可能なラベルのペプチドまたはペプチド模倣物への共有結合による結合は当業界でよく知られた在来の方法により行われる。例えば、125I放射性同位元素を検出可能なラベルとして使用する場合には、125Iのペプチドまたはペプチド模倣物への共有結合による結合は、アミノ酸のチロシンをペプチドまたはペプチド模倣物の中に組み込み、次にこのペプチドをヨウ化物化することにより達成可能である(例えば、Weanerら,「Synthesis and Applications of Isotopically Labelled Compounds」,pp.137−140(1994)を参照)。チロシンがペプチドまたはペプチド模倣物中に存在しない場合には、NあるいはC末端へのペプチドまたはペプチド模倣物のチロシンの組み込みがよく知られた化学的な方法により達成可能である。同様に、32Pは、在来の化学的な方法を用いて例えばペプチドまたはペプチド模倣物上のヒドロキシル基によりホスフェート部分としてペプチドまたはペプチド模倣物上に組み込み可能である。
II.概観
本発明は、TPO−Rに結合し、そしてこれを活性化するか、あるいはさもなくばTPOアゴニストとして作用するペプチドと化合物を提供する。これらの化合物は、同一あるいは類似の分子構造または形状をリード化合物として有するように組み立てられているが、加水分解またはタンパク質分解に対する感受性に関して、あるいは他の生物学的な性質、例えば受容体に対する増大された親和性に関してリード化合物と異なる「リード」ペプチド化合物と「誘導体」化合物を含む。本発明は、また、血液疾患、特に化学処置、放射線処置または骨髄輸液に関連する血小板減少症の処置に有用である有効量のTPOアゴニスト、特に化合物を含んでなる組成物も提供する。
III.TPO−アゴニストの同定
TPO−Rへの結合親和性を有するペプチドは、親和性富化法とカップリングされたランダムペプチド多様性生成系により容易に同定可能である。
【0037】
特に、ランダムペプチド多様性生成系は、米国特許第5,270,170号および第5,338,665号に述べられている「プラスミド上のペプチド」系;米国特許出願番号07/541,108、出願1990年6月20日の一部継続出願である米国特許出願番号07/718,577、出願1991年6月20日、およびCwirlaら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6378−6382(1990)に述べられている「ファージ上のペプチド」系;米国特許出願番号08/144,775、出願1993年10月29日に基づく一部継続出願である「米国特許出願番号08/300,262、出願1994年9月2日とPCTWO95/11992に述べられている「ポリゾーム系」;米国特許出願番号07/762,522出願1991年9月18日の一部継続出願である米国特許出願番号07/946,239、出願1992年9月16日の一部継続出願である米国特許出願番号08/146,886、出願1993年11月12日に述べられている「エンコードされた合成ライブラリー(ESL)」系;および米国特許第5,143,854号;PCT特許公告90/15070、公告1990年12月13日;米国特許出願番号07/624,120、出願1990年12月6日;Fodorら,
Science,251:767−773(2/1991);Dowerら.,Ann.Rep.Med.Chem.,26:271−180(1991);および米国特許出願番号805,727、出願1991年12月6日に述べられている「極大規模の固定化ポリマー合成」系を含む。
【0038】
上述の方法を用いて、アミノ酸残基の規定された数を長さ(例えば12)で有するようにランダムペプチドを一般に設計した。ランダムペプチドをエンコードするオリゴヌクレオチドのコレクションを生成するために、コドンモチーフ(NNK)(式中、NはヌクレオチドA、C、G、またはT(等モル;使用される方法に依って、他のヌクレオチドを使用することができる)であり、KはGまたはT(等モル)であり、そしてxはこのペプチド中のアミノ酸数(例えば、12)に対応する整数である)を使用して、NNKモチーフから生じる32個の可能なコドンの任意の1つ、すなわち12個のアミノ酸の各々に対しては1、5個のアミノ酸の各々に対しては2、3個のアミノ酸の各々に対しては3、および3個の停止コドンの1つのみを特定した。このように、このNNKモチーフはこのアミノ酸のすべてをエンコードし、ただ1つの停止コドンをエンコードし、そしてコドンバイアスを低下させる。
【0039】
使用される系においては、このランダムペプチドを、ファージfd誘導体(ファージ上のペプチド)のpIIIあるいはpVIIIコートタンパクを含んでなる融合タンパクの一部として、あるいはプラスミド(プラスミド上のペプチド)に結合されたLacIペプチド融合タンパクとの融合タンパクとしてファージ粒子の表面上に提示した。
【0040】
ペプチドをエンコードするDNAを含むこのファージまたはプラスミドを同定し、固定化されたTPO−Rを用いる親和性富化により単離した。時には「パンニング」と呼ばれる親和性富化は、このファージ、プラスミド、またはポリゾームを固定化受容体と共にインキュベーションし、この受容体(付随するDNAまたはmRNAと一緒に)に結合するファージ、プラスミド、またはポリゾームを捕集し、そして捕集されたファージまたはプラスミド(付随するLacI−ペプチド融合タンパクと一緒に)の更に多くを生産する多数のステップを伴う。通常、このTPO−Rの細胞外ドメイン(ECD)をパンニング時に使用した。
【0041】
親和性富化の何回かのステップの後、このファージまたはプラスミドおよび付随するペプチドをELISAにより検査して、このペプチドがTPO−Rに特異的に結合するかどうかを決定した。非結合ファージを除去した後、このウエルをうさぎ抗ファージ抗体により、次に通常、アルカリ性ホスファターゼ(AP)共役ヤギ抗うさぎ抗体により処理したことを除いて、親和性富化法で使用される方法に類似してアッセイを行った。各ウエル中のアルカリ性ホスファターゼの量を標準的な方法により求めた。プラスミド上のペプチド系で使用する類似のELISA法を下記に詳細に述べる。
【0042】
試験ウエルをコントロールウエル(受容体無し)と比較することによって、この融合タンパクがこの受容体と特異的に結合するかどうかを決めることができる。放射能標識された一価受容体を用いるコロニーリフトプロービングのフォーマットでTPO−Rに結合すると判明したファージプールをスクリーニングした。タンパクキナーゼAを使用して、可溶性受容体のC−末端に融合されたペプチド配列をリン酸化して、このプローブを製造することができる。次に、このTPO受容体の「設計された」形を宿主細胞、通常CHO細胞中で発現させる。この受容体のPI−PLC集菌に続いて、この受容体をTPOまたはTPO−R特異的ファージクローンへの結合について試験した。次に、この受容体を一価プローブとして使用するために33Pにより高比活性まで標識して、コロニーリフト法を用いて高親和性リガンドを同定する。
【0043】
次に、この受容体に特異的に結合すると判明したペプチドを遊離ペプチド(例えば、ファージ無し)として合成し、アッセイで試験した。TPOまたは参照ペプチドをこのウエルに添加し、その後で融合タンパク(コントロールウエルは(1)受容体無し;および(2)TPO無しまたは参照ペプチドの2つのタイプであった)を添加したことを除いて、ELISAに類似の方法でこのブロッッキングアッセイを行った。受容体への結合をTPOまたは参照ペプチドによりブロッッキングした融合タンパクは、ランダムペプチド部分中に本発明の好ましい化合物であるペプチドを含有する。
【0044】
TPO−R、ならびにその細胞外ドメインを組み換え宿主細胞中で製造した。標準的な方法を用いて宿主細胞中でこのタンパクを可溶性タンパクとして発現することにより、TPO−Rの一つの有用な形を構築し;タンパク分泌用の信号ペプチドにより、そしてグリコホスホリピッド膜の係留結合のためにもう一つの有用な形を構築する。係留結合のこの形を「ピッグテーリング」と呼ぶ。Carasら,Science,243:1196−1198(1989)およびLinら,Science,249:677−679(1990)を参照のこと。
【0045】
ピッグテーリング系を用いて、受容体(例えば、細胞選別器による受容体の高レベル発現のために選択された形質転換CHO細胞)を発現する細胞の表面から受容体をホスホリパーゼCにより開裂させることができる。この開裂された受容体は、膜結合のために信号タンパクからの「HPAPテール」と呼ばれるアミノ酸のカルボキシ末端配列をなお含んでなり、更なる精製を行わずに固定化可能である。マイクロタイタープレートのウエルを抗HPAPテール抗体(Ab179またはMAb79)により被覆し、PBS中のウシ血清アルブミン(BSA)により非特異性結合をブロッキングし、次に抗体に開裂された組み換え受容体を結合することにより、この組み換え受容体タンパクは固定化可能である。組み換えタンパクの異なる製剤は、しばしば異なる量の所望のタンパクを含有するために、この方法を用いて、受容体の種々の濃度で固定化反応を行って、所定の製剤に対して最適量を決めなければならない。加えて、固定化抗体が親和性富化時に完全にブロッキング(TPOまたはいくつかの他のブロキング化合物により)されていることを確認すべきである。さもないと、非ブロッキング抗体は、親和性富化時に所望しないファージを結合することができる。この問題を回避するために、受容体固定化後残存する固定化抗体に結合して、非結合部位をブロッキングするペプチドを使用するか、あるいは固定化抗体の助け無しでマイクロタイタープレートのウエルに直接に受容体を簡単に固定することができる。引用により本明細書に組み込まれている、米国特許出願番号07/947,339、出願1992年9月18日を参照のこと。
【0046】
多価リガンド−受容体相互作用を可能とさせるランダムペプチド生成系を用いる場合、固定化受容体の密度は、固定化受容体に固定することができるリガンドの親和性を求める場合の重要な因子であるということを認識しなければならない。高い受容体密度(例えば、0.25〜0.5mgの受容体により処理された抗受容体抗体で被覆されたウエル)においては、低い受容体密度(例えば、0.5〜1ngの受容体により処理された抗受容体抗体で被覆されたウエル)におけるよりも多価結合が起こる公算が大きい。多価結合が起こる場合には、リード化合物の同定に高密度の固定化受容体を使用し、高親和性の誘導体化合物を単離するのに低い受容体密度を使用しない限り、比較的低い親和性のリガンドを単離する公算が大きい。
【0047】
高親和性ペプチドの間を識別するために、一価受容体プローブがしばしば使用される。タンパクキナーゼAを使用して、可溶性受容体のC−末端に融合されたペプチド配列をリン酸化して、このプローブを製造することができる。次に、このTPO受容体の「設計された」形を宿主細胞、通常CHO細胞中で発現させる。この受容体のPI−PLC集菌に続いて、この受容体をTPOまたはTPO−R特異的ファージクローンへの結合について
試験した。次に、この受容体を一価プローブとして使用するために33Pにより高比活性まで標識して、コロニーリフト法を用いて高親和性リガンドを同定する。
【0048】
TPO−Rを結合するペプチドの同定を促進する好ましいスクリーニング方法は、最初に、受容体の細胞外ドメインに結合するリードペプチドを同定し、次にこのリードペプチドに似ている他のペプチドを作製することを伴う。特に、pVIIIあるいはpVIIIベースのファージ上のペプチド系を用いて、ランダムライブラリーをスクリーニングして、TPO−Rに結合するペプチドを提示するファージを発見することができる。このファージDNAを配列して、このファージの表面上にディスプレイされるペプチドの配列を決定する。
【0049】
TPO−Rに特異的に結合する能力のあるクローンをランダム直鎖10量体pVIIIライブラリーとランダム環状l0量体および12量体pVIIIライブラリーから同定した。これらのペプチドの配列は、初め同定されたペプチドの高頻度の誘導体を含むように設計された他のペプチドライブラリーを構築するための基盤の役目を果たす。数残基のみ結合ペプチドと異なるペプチドの製造を優先するように、これらのライブラリーを合成することができる。このアプローチは、この合成において4個のヌクレオシドトリホスフェートの各々の純粋な製剤を使用するのでなく、結合ペプチドコード化配列の誘導体を生成するように、この4個のヌクレオシドトリホスフェートの混合物(すなわち、55%の「正しい」ヌクレオチドと、各々15%の他の3個のヌクレオチドがこの目的に好ましい一つの混合物であり、そして70%の「正しい」ヌクレオチドと、各々15%の他の3個のヌクレオチドがこの目的に好ましいもう一つの混合物である)を使用することを除いて、結合ペプチドコード化配列を持つオリゴヌクレオチドの合成を含む。
【0050】
種々の戦略を使用して、「主題の突然変異誘発」ライブラリーを作製することにより、リードペプチドを誘導体化した。これらは、70:10:10:10の頻度で突然変異を起こし、ランダム残基を持つ各末端上に延長されて、クローンを生成するコンセンサス配列に基づくpVIIIファージミドの突然変異誘発ライブラリーを含むものであった。
【0051】
ペプチドスクリーニングおよび突然変異誘発試験にもこの「プラスミド上のペプチド」法を使用した。この方法は、引用により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,338,665号に更に詳細に説明されている。このアプローチに従えば、ランダムペプチドを融合遺伝子を担持するプラスミドベクターからの発現によりLacIのC−末端において融合する。そのエンコードDNAへのLacI−ペプチド融合の結合がプラスミド上のlacO配列により起こり、固定化受容体上の親和性精製(パンニング)によりスクリーニング可能な安定なペプチド−LacI−プラスミドコンプレックスを形成する。次に、このように単離されたプラスミドを電気穿孔法により大腸菌の中に再導入して、更なるスクリーニングのステップのために、あるいは個別のクローンの検査のために、選択された集団を増幅する。
【0052】
加えて、ディスプレイバレンシー(display valency)を低下させた変成されたC−末端Lac−Iディスプレイ系(「ヘッドピース二量体」ディスプレイ系)を用いて、ランダムペプチドスクリーニングおよび突然変異誘発試験を行うことができる。このライブラリーをスクリーニングし、そして得られるDNA挿入断片をマルトース結合タンパク(MBP)ベクターの中にプールとしてクローン化して、C−末端融合タンパクとしての発現を可能とする。次に、ランダムに選ばれた個別のMBP融合クローンからの粗細胞可溶化液をTPO−R結合について上述のようにELISAフォーマットで検定することができる。
【0053】
引用により本明細書に組み込まれている、米国特許出願番号08/144,775、出
願1993年10月29日に基づく一部継続出願である米国特許出願番号08/300,262、出願1994年9月2日およびPCTWO95/11992に述べられているように、ペプチド突然変異誘発試験をポリゾームディスプレイ系を用いても行うことができる。
【0054】
このコアペプチドは、アミノ酸配列(SEQID NO:2)
GX
(ここで、Xはβ−(1−ナフチル)アラニンであり得、そしてXはA、C、E、G、I、L、M、P、R、Q、S、T、またはVであり;そしてXはA、C、D、E、K、L、Q、R、S、T、またはVである。更に好ましくは、XはAまたはIであり;そしてXはD、E、またはKである。更には、XはC、L、M、P、Q、Vであり;XはF、K、L、N、Q、R、S、TまたはVであり;XはC、F、I、L、M、R、S、VまたはWであり;Xは20個の遺伝的にコーディングされたL−アミノ酸のいずれかであり;XはA、D、E、G、K、M、Q、R、S、T、VまたはYであり;そしてXはC、G、I、K、L、M、N、RまたはVである)
を含んでなることができるということを発見した。
【0055】
しかしながら、更に下記に述べるように、驚くべきことには、Xを(3−(2−ナフチル)アラニンにより置き換えることにより、この化合物が(3−(1−ナフチル)アラニンを含有する化合物以上の増強された性質をもたらすことを発見した。従って、特に好ましいペプチドは、アミノ酸配列(SEQID NO:3):IEGPTLRQ(2−Nal)LAARAを含む。
【0056】
別の態様においては、本発明のペプチド化合物を好ましくは二量化あるいはオリゴマー化して、この化合物の親和性および/または活性を増大させる。好ましい二量化されたペプチド化合物の例は、限定ではないが
【0057】
【化2】

【0058】
(式中、X10はサルコシンあるいはP−アラニン残基(SEQIDNO:4)である)を含む。一方のX10残基がサルコシンであり、そして他方の残基がβ−アラニンであることができることを特記すべきである。(H−IEGPTLRQ(2−Nal)LAARX10K−NHによっても上記の構造を表すことができる。
【0059】
本発明の診断あるいは処置の局面における使用を可能とさせるには、約100mM以上のIC0を有するペプチドおよびペプチド模倣物は充分な結合を欠く。好ましくは、診断目的には、このペプチドおよびペプチド模倣物は約2mM未満のIC50を有し、そして医薬目的には、このペプチドおよびペプチド模倣物は約100μM未満のIC50を有する。
【0060】
図1は、標準的な相対的ルミネッセントユニットアッセイを用いて非PEG化IEGPTLRQ(2−Nal)LAARと非PEG化IEGPTLRQ(1−Nal)LAARの3つの異なるバッチの活性を比較する。このアッセイは、ヒトTPO受容体を安定的に発現するように設計されたマウス細胞と、フォスプロモーターにより駆動されるルシフェラーゼレポーター構成体を使用する。図1から示されるように、この活性は各々の化合物
に対して類似である。
【0061】
図2は、いくつかの異なるPEG化されたペプチド(本発明の化合物のPEG化は下記に更に詳細に述べられる)の活性を比較する。このPEG化IEGPTLRQ(1−Nal)LAAR化合物は両方とも非PEG化ペプチドと本質的に同一レベルの活性の高い活性を示す。残りの線は、二量化されたIEGPTLRQ(2−Nal)LAARの異なるPEG化されたバッチの活性を図示する。図2により示されるように、このモデルにおいては、後者はPEG化されたIEGPTLRQ(1−Nal)LAAR化合物に対して低い活性を有する。
【0062】
図3は、(3−(1−ナフチル)アラニン)を含有するPEG化されたペプチドと[3−(2−ナフチル)アラニンを含有するPEG化されたペプチドの相対的な効力を示す。ラットモデルにより、図3は、二量化されたPEG化β−(2−ナフチル)アラニンおよびβ−(1−ナフチル)アラニンの投与後の血小板計数値のインビボ変化を示す。図3により示されるように、PEG化(β−(2−ナフチル)アラニン材料の最高の用量はPEG化(β−(1−ナフチル)アラニンの最低の用量と同一の活性を有する。低効力の化合物は、標的細胞に低激性の刺激をもたらし、標的細胞の過剰刺激により引き起こされる、化学処置の以降のサイクルに続く悪化した血小板減少症などの副作用の危険性を低下させることができる。
【0063】
図4および5は、β−(1−ナフチル)アラニン)を含有するPEG化ペプチドとβ−(2−ナフチル)アラニンを含有するPEG化ペプチドの正常なマウスにおける直接的な用量−応答試験の結果を示す。図4は血小板レベルの増加を示し、そして図5は処置6日後の平均血小板容積を示す。この用量範囲は10〜3000μg/kgであった。両方の化合物は用量依存的な形で循環血小板の数を増加させ、コントロール群に対する増加が両方の化合物に対して30μg/kgといった低い用量で観察された。最大の応答においては、これらの化合物は、血小板計数値をコントロール値よりも4倍大きいレベルまで上昇させた。これらの化合物に対する用量−応答曲線は極めて類似していて、このモデルにおいては、この2つの試験品の間に終点を基準とする本質的に差異が存在しなかったことを示した。
IV.ペプチドおよびペプチド模倣物の製造
A.固相合成
本発明のペプチドは、当業界で既知の古典的な方法により、例えば標準的な固相法を使用することにより製造可能である。標準的な方法は、全面的な固相合成、部分的な固相合成方法、フラグメント縮合、古典的な溶液合成を、そして組み換えDNA技術も含む。例えば、引用により本明細書に組み込まれている、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.,85:2149(1963)を参照のこと。固相時には、この合成は、通常、アルファ−アミノ保護された樹脂を用いてペプチドのC−末端から開始される。例えば、必要とされるアルファ−アミノ酸をクロルメチル化された樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、またはベンツヒドリルアミン樹脂に結合することにより、好適な出発材料を製造することができる。一つのこのようなクロロメチル化された樹脂は、BioRad Laboratories(Richmond,CA)により商品名BIO−BEAD SSX−1で販売され、このヒドロキシメチル樹脂の製造はBodonszkyら,Chem.Ind.(London),38:1597(1966)により述べられている。このベンツヒドリルアミン(BHA)樹脂は、Pietta and Marshall,Chem.Commn.,650(1970)により記述され、Beckman Instruments,Inc.,(Palo Alto,Calif.,)から塩酸塩の形で市販されている。
【0064】
このように、本発明の化合物は、例えばGisin,Helv.Chim.Acta.
,56:1467(1973)により述べられている方法に従って、アルファ−アミノで保護されたアミノ酸をクロロメチル化された樹脂に重炭酸セシウムによりカップリングすることにより製造可能である。初めにカップリングした後、トリフルオロ酢酸(TFA)あるいは塩酸(HCl)溶液を含む試剤を選ぶことにより、アルファ−アミノ保護基を有機溶媒中室温で除去する。
【0065】
このアルファ−アミノ保護基はペプチドの段階的合成の技術において有用であることが知られている。包含されるのは、アシルタイプの保護基(例えば、ホルミル、トリフルオロアセチル、アセチル)、芳香族ウレタンタイプ保護基(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および置換Cbz)、脂肪族ウレタン保護基(例えば、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、イソプロピルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル)およびアルキルタイプの保護基(例えば、ベンジル、トリフェニルメチル)である。BocおよびFmocが好ましい保護基である。この側鎖保護基はカップリング時非反応のまま残り、アミノ末端保護基の脱保護時あるいはカップリング時に脱離しない。この側鎖保護基は、最終的なペプチドの合成の完結時および標的ペプチドを変えない反応条件下で除去可能でなければならない。
【0066】
Tyrに対する側鎖保護基は、テトラヒドロピラニル、tert−ブチル、トリチル、ベンジル、Cbz、Z−Br−Cbz、および2,5−ジクロロベンジルを含む。Asp対する側鎖保護基は、ベンジル、2,6−ジクロロベンジル、メチル、エチル、およびシクロヘキシルを含む。ThrおよびSerに対する側鎖保護基は、アセチル、ベンゾイル、トリチル、テトラヒドロピラニル、ベンジル、2,6−ジクロロベンジル、およびCbzを含む。ThrおよびSerに対する側鎖保護基はベンジルである。Argに対する側鎖保護基は、ニトロ、トシル(Tos)、Cbz、アダマンチルオキシカルボニルメシトニルスルホニル(Mts)、またはBocを含む。Lysに対する側鎖保護基は、Cbz、2−クロロベンジルオキシカルボニル(2−ClCbz)、2−ブロモベンジルオキシカルボニル(2−BrCbz)、Tos、またはBocを含む。
【0067】
アルファ−アミノ保護基の除去の後、残存する保護されたアミノ酸を所望の順序で段階的にカップリングする。一般的に、過剰の保護されたアミノ酸を適切なカルボキシル基活性化剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)と共に溶液中、例えばメチレンクロリド(CHCl)、ジメチルホルムアミド(DMF)の混合物中で使用する。
【0068】
所望のアミノ酸配列を完結した後、この樹脂からペプチドを開裂するのみならず、すべての残層側鎖保護基も開裂する試剤、例えばトリフルオロ酢酸またはフッ化水素(HF)による処理により、所望のペプチドを樹脂担体から脱カップリングする。クロロメチル化された樹脂を使用する場合、フッ化水素処理は遊離ペプチド酸の形成を生じる。ベンツヒドリルアミン樹脂を使用する場合、フッ化水素処理は遊離ペプチドアミドの形成を生じる。別法としては、このクロロメチル化された樹脂を使用する場合、このペプチド樹脂をアンモニアにより処理することによりこの側鎖保護されたペプチドを脱カップリングして、所望の側鎖保護されたアミドを得るか、あるいはアルキルアミンにより処理することにより側鎖保護されたアルキルアミドまたはジアルキルアミドを得ることができる。次に、通常の方法でフッ化水素による処理により側鎖保護を除去して、遊離アミド、アルキルアミド、またはジアルキルアミドを得る。
【0069】
これらの固相ペプチド合成法は当業界でよく知られ、John Morrow Stewart and Janis Dillaha Young,「Solid Phase Peptide Syntheses」(2nd Ed.,Pierce Chemical Company,1984)により更に記述されている。
【0070】
米国特許出願番号07/492,462、出願1990年3月7日に述べられている「encoded synthetic library」または「very large scale immobilized polymer synthesis」系;米国特許出願番号07/624,120、出願1990年12月6日;および米国特許出願番号07/805,727、出願1991年12月6日を用いて、このような活性を持つペプチドの最小サイズを決定することができるのみならず、1つ、2つ、あるいはそれ以上の残基において好ましいモチーフ(またはこのモチーフの最小サイズ)と異なるペプチドの群を形成するすべてのペプチドを作製することもできる。次に、ペプチドのこのコレクションをTPO−Rに結合する能力についてスクリーニングすることができる。この固定化されたポリマー合成系または他のペプチド合成方法を使用して、本発明のすべてのペプチド化合物の切断法類似物と減少法類似物および切断法および減少法類似物の組み合わせ物を合成することができる。
B.合成アミノ酸
これらの方法は、20個の天然起源の、遺伝的にエンコードされたアミノ酸以外のアミノ酸が本発明の化合物のいずれかの1つ、2つ、あるいはそれ以上の位置で置換されているペプチドの合成にも使用可能である。例えば、ナフチルアラニンはトリプトファンに置換可能で、合成を容易とする。本発明のペプチドの中に置換可能な他の合成のアミノ酸は、L−ヒドロキシプロピル、L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニル、dアミノ酸、例えばL−d−ヒドロキシルイシルおよびD−d−メチルアラニル、L−α−メチルアラニル、βアミノ酸、およびイソキノリルを含む。Dアミノ酸および非天然起源の合成のアミノ酸も本発明のペプチドの中に組み込み可能である(例えば、Robertsら,「Unusual Amino/Acids」 Peptide Synthesis,5(6):341−449(1983)を参照)。
【0071】
20個の遺伝的にエンコードされたアミノ酸(またはDアミノ酸)の天然起源の側鎖を、他の側鎖により、例えばアルキル、低級アルキル、環状の4−、5−、6−、7−員のアルキル、アミド、アミド低級アルキル、アミドジ(低級アルキル)、低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびこれらの低級エステル誘導体などの基により、そして4−、5−、6−、7−員のヘテロ環により置き換えることができる。特に、このプロリン残基の環の大きさを5員から4、6、あるいは7員まで変えたプロリン類似物が使用可能である。環状基は飽和あるいは不飽和であることができ、不飽和の場合には、芳香族あるいは非芳香族であることができる。ヘテロ環基は、好ましくは1つ以上の窒素、酸素、および/またはイオウのヘテロ原子を含有する。このような基の例は、フラザニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、モルホリニル(例えば、モルホリノ)、オキサゾリル、ピペラジニル(例えば、1−ピペラジニル)、ピペリジル(例えば、1−ピペリジル、ピペリジノ)、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリジニル(例えば、1−ピロリジニル)、ピロリニル、ピロリル、チアジアゾイル、チアゾリル、チエニル、チオモルホリニル(例えば、チオモルホリノ)、およびトリアゾリルを含む。これらのヘテロ環基は置換あるいは非置換であることができる。基が置換されている場合には、この置換基は、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、酸素、または置換あるいは非置換のフェニルであることができる。
【0072】
本発明のペプチドをリン酸化(例えば、W.Bannwarthら,Biorganic and Medicinal Letters,6(17):2141−2146(1996)を参照)により容易に変成することもでき、そして本発明の化合物のペプチド誘導体を製造する他の方法がHrubyら,Biochem.J.,268(2):249−262(1990)に述べられている。このように、本発明のペプチド化合物は、類似の生物学的な活性を持つペプチド模倣物を製造するためのベースとしても機能する。
C.末端改変
当業者ならば、対応するペプチド化合物と同一あるいは類似の所望の生物学的な活性を持つが、溶解性、安定性、および加水分解とタンパク質分解に対する感受性に関してペプチドよりも更に有利な活性ペプチド模倣物を構築するために種々の方法を使用することができるということを認識している。例えば、Morganら.,Ann.Rep.Med.Chem.,24:243−252(1989)を参照のこと。次は、N−末端アミノ基、C−末端カルボキシル基において改変されたペプチド模倣物を製造し、そして/あるいはペプチド中の1つ以上のアミド結合を非アミド結合に変えるための方法を述べる。2つ以上のこのような変成を1つのペプチド模倣物構造(例えば、C−末端カルボキシル基における改変およびこのペプチド中への2つのアミノ酸の間の−CH−カーバメート結合の包含)中にカップリングすることができることが理解される。
1.N−末端改変
このペプチドは、通常、遊離酸として合成されるが、上記したようにアミドまたはエステルとしても容易に製造可能である。本発明のペプチド化合物のアミノそして/あるいはカルボキシ末端を改変して、本発明の他の化合物を製造することもできる。アミノ末端改変は、メチル化、アセチル化、ベンジルオキシカルボニル基の付加、あるいはRCOO−(式中、Rはナフチル、アクリジニル、ステロイジル、および類似の基からなる群から選択される)により定義されるカルボキシレート官能基を含有する任意のブロッキング基によるアミノ末端のブロックを含む。カルボキシ末端改変は遊離酸をカルボキサアミド基により置換するか、あるいはカルボキシ末端で環状ラクタムを形成して、構造的な規制を導入することを含む。
【0073】
アミノ末端改変は上述の通りであり、アルキル化、アセチル化、カルボベンゾイル基の付加、スクシンイミド基の形成などを含む(例えば、Murrayら,Burger’s「Medical Chemistry and Drug Discovery」,5thed.,Vol.1,Manfred E.Wolf,ed.,John Wiley and Sons,Inc.(1995)を参照)。特に、このN−末端アミノ基を次の通り反応させることができる。
(a)酸ハライドまたは対称酸無水物との反応により式RC(O)NH−(式中、Rは上記に定義される通りである)のアミド基を形成する。通常、約等モルの、あるいは過剰な量(例えば、約5等量)の酸ハライドをこのペプチドと過剰(例えば、約10等量)の3級アミン、例えばジイソプロピルエチルアミンを好ましくは含有する不活性な希釈剤(例えば、ジクロロメタン)中で接触させて、反応時に生成する酸を掃去することによって、この反応を行うことができる。反応条件は何もなければ慣用的(例えば、室温で30分間)なものである。この末端アミノをアルキル化して、低級アルキルN−置換をもたらし、続いて上述のように酸ハライドと反応させて、式RC(O)NR−のN−アルキルアミド基をもたらす;
(b)コハク酸無水物との反応によりスクシンイミド基を形成する。前記のように、ほぼ等モルの、あるいは過剰の量のコハク酸無水物(例えば、約5等量)を使用することができ、過剰(例えば、約10等量)の3級アミン、例えばジイソプロピルエチルアミンを好ましくは含有する不活性な希釈剤(例えば、ジクロロメタン)中で使用することを含む、当該技術分野でよく知られている方法により、アミノ基をスクシンイミドに変換する。例えば、引用により本明細書に組み込まれている、Wollenbergら、米国特許第4,612,132号を参照のこと。スクシン基は、慣用の方法で製造されて、このペプチドのN−末端において置換スクシンイミドをもたらす、例えばアルキルあるいは−SR置換基により置換可能であるということが理解される。このようなアルキル置換基は、低級オレフィンとマレイン酸無水物とをWollenbergらにより述べられている方法で反応させることにより製造され、そしてRSHと(式中、Rは上記に定義した通りである)マレイン酸無水物とを反応させることによって、−SR置換基を製造する;
(c)3級アミンを好ましくは含有する不活性希釈剤(例えば、ジクロロメタン)中でほぼ等量の、あるいは過剰のCBZ−C1(すなわち、ベンジルオキシカルボニルクロリド
)または置換CBZ−C1と反応させて、反応時に生成する酸を掃去することによって、ベンジルオキシカルボニル−NH−または置換ベンジルオキシカルボニル−NH−基を形成する;
(d)末端アミンをスルホンアミドに変換することにより、等量の、あるいは過剰(例えば、5等量)のR−S(O)Cl(式中、Rは上記に定義した通りである)と好適な不活性希釈剤(ジクロロメタン)中で反応して、スルホンアミド基を形成する。好ましくは、この不活性希釈剤は、過剰(例えば、約10等量)の3級アミン、例えばジイソプロピルエチルアミンを好ましくは含有して、反応時に生成する酸を掃去する。反応条件は何もなければ慣用的(例えば、室温で30分間)なものである。
(e)等量の、あるいは過剰(例えば、5等量)のR−OC(O)ClまたはR−OC(O)OC−p−NO(式中、Rは上記に定義した通りである)と好適な不活性希釈剤(ジクロロメタン)中で反応して、末端アミンをカーバメートに変換することにより、カーバメート基を形成する。好ましくは、この不活性希釈剤は、過剰(例えば、約10等量)の3級アミン、例えばジイソプロピルエチルアミンを好ましくは含有して、反応時に生成する酸を掃去する。反応条件は何もなければ慣用的(例えば、室温で30分間)なものである;そして
(f)等量の、あるいは過剰(例えば、5等量)のR−N=C=O(式中、Rは上記に定義した通りである)と好適な不活性な希釈剤(ジクロロメタン)中で反応して、末端アミンを尿素(すなわち、RNHC(O)NH−)基に変換することにより、尿素基を形成する。好ましくは、この不活性希釈剤は、過剰(例えば、約10等量)の3級アミン、例えばジイソプロピルエチルアミンを好ましくは含有する。反応条件は何もなければ慣用的(例えば、室温で30分間)なものである。
2.C−末端改変
C−末端カルボキシル基をエステル(すなわち、−C(O)OR(式中、Rは上記に定義した通りである)により置き換えたペプチド模倣物の製造において、ペプチド酸の製造に使用される樹脂を使用し、そして側鎖保護されたペプチドを塩基と適切なアルコール、例えばメタノールにより開裂させる。次に、側鎖保護基は通常の方法により、フッ化水素により処理することによって除去され、所望のエステルを得る。
【0074】
C−末端カルボキシル基をアミドの−C(O)NRにより置き換えたペプチド模倣物の製造において、ベンツヒドリルアミン樹脂をペプチド合成用の固体担体として使用する。この合成の完了時、担体からペプチドを解放するためのフッ化水素処理は、遊離ペプチドアミド(すなわち、このC−末端は−C(O)NHである)を直接に生じる。別法としては、担体から側鎖保護されたペプチドを開裂するためにアンモニアとの反応とカップリングされたペプチド合成時のクロロメチル化された樹脂の使用は、遊離のペプチドアミドを生じ、そしてアルキルアミンまたはジアルキルアミンとの反応は側鎖保護されたアルキルアミドまたはジアルキルアミド(すなわち、このC−末端は−C(O)NRR(式中、RおよびRは上記に定義した通りである)を生じる。次に、側鎖保護基を通常の方法により、フッ化水素により処理することによって除去し、遊離のアミド、アルキルアミド、またはジアルキルアミドを得る。
【0075】
本発明のペプチドを環化するか、あるいはデスアミノあるいはデスカルボキシ残基をこのペプチドの末端において組み込むこともでき、末端アミノあるいはカルボキシル基が存在せず、プロテアーゼに対する感受性を減少させるか、あるいはこのペプチドの立体構造を制約する。本発明の化合物のC−末端官能基は、アミド、アミド低級アルキル、アミドジ(低級アルキル)、低級アルコキシ、ヒドロキシ、およびカルボキシとこれらの低級エステル誘導体、およびこれらの医薬的に許容し得る塩を含む。
【0076】
前出のN−末端およびC−末端改変に加えて、有利なこととしては、ペプチド模倣物を含む本発明のペプチド化合物を種々の親水性ポリマーの1つ以上により改変するか、ある
いは共有結合によりカップリングすることができる。このペプチド化合物を親水性ポリマーにより誘導体化すると、これらの溶解性と循環半減期が増加し、そして免疫原性がマスクされることを見出した。全く驚くべきことには、結合活性の僅かな減少を伴って前出のことを達成することができる。本発明に従った使用に好適な非タンパク性ポリマーは、限定ではないが、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールにより例示されるポリアルキルエーテル、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリオキシアルキレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロースとセルロース誘導体、デキストランおよびデキストラン誘導体などを含む。一般に、このような親水性ポリマーは、約500〜約100,000ダルトンの、更に好ましくは約2,000〜約40,000ダルトンの、そしてなお更に好ましくは約5,000〜約20,000ダルトンの範囲の平均分子量を有する。好ましい態様においては、このような親水性ポリマーは、約5,000ダルトン、10,000ダルトンおよび20,000ダルトンの平均分子量を有する。
【0077】
本発明のペプチド化合物は、引用により全体として本明細書に組み込まれている、Zallipsky,S.,Bioconjugate Chem.,6:150−165(1995);Monfardini,C,ら,Bioconjugate Chem.,6:62−69(1995);米国特許第4,640,835号;米国特許第4,496,689号;米国特許第4,301,144号;米国特許第4,670,417号;米国特許第4,791,192号;米国特許第4,179,337号またはWO95/34326に示されている方法のいずれかを使用してこのようなポリマーにより誘導体化あるいはこれにカップリング可能である。
【0078】
本発明の好ましい態様においては、本発明のペプチド化合物はポリエチレングリコール(PEG)により誘導体化される。PEGは、2つの末端ヒドロキシル基を付けたエチレンオキシド繰り返し単位の直鎖の水溶性ポリマーである。PEGは、通常、約500ダルトン〜約40,000ダルトンの範囲にある分子量により分類される。本発明の好ましい態様においては、使用されるPEGは、5,000ダルトン〜約20,000ダルトンの範囲にある分子量を有する。本発明のペプチド化合物にカップリングされるPEGは分岐あるいは非分岐であることができる。(例えば、Monfardini,C.ら,Bioconjugate Chem.,6:62−69(1995)を参照のこと)。PEGは、Shearwater Polymers,Inc.(Huntsville,Ala.)、Sigma Chemical Co.および他の会社から市販されている。このようなPEGは、限定されるものではないが、モノメトキシポリエチレングリコール(MePEG−OH)、モノメトキシポリエチレングリコール−スクシネート(MePEG−S)、モノメトキシポリエチレングリコール−スクシンイミジルスクシネート(MePEG−S−NHS)、モノメトキシポリエチレングリコール−アミン(MePEG−NH)、モノメトキシポリエチレングリコール−トレシレート(MePEG−TRES)、およびモノメトキシポリエチレングリコール−イミダゾリル−カルボニル(MePEG−IM)を含む。
【0079】
簡潔に言えば、一つの例示の態様においては、使用される親水性ポリマー、例えばPEGを、一方の末端においてメトキシあるいはエトキシ基などの非反応性基により好ましくはキャップするその後で、このポリマーは、他方の末端で好適な活性化剤により、例えばハロゲン化シアヌル(例えば、塩化シアヌル、臭化シアヌル、またはフッ化シアヌル)、ジイミダゾール、酸無水物試剤(例えば、ジハロコハク酸無水物、例えばジブロモコハク酸無水物)、アシルアジド、p−ジアゾニウムベンジルエーテル、3−(p−ジアゾニウムフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピルエーテル)などとの反応により活性化される。次に、この活性化されたポリマーを本発明のペプチド化合物と反応させて、ポリマーにより誘導体化されたペプチド化合物を製造する。別法としては、本発明のペプチド化合物中の官能基をこのポリマーとの反応に対して活性化させるか、あるいは既知のカップリング
方法を用いて、2つの基を協奏カップリング反応として連結することができる。当業者に既知で、使用される無数の他の反応スキームを用いてPEGにより、本発明のペプチド化合物を誘導体化することができることは容易に認識されるであろう。
【0080】
本発明のペプチド化合物を親水性ポリマー(例えば、PEG)により誘導体化することに加えて、他の小さなペプチド、例えば受容体に結合する他のペプチドまたはリガンドも生物学的な活性(例えば、結合活性、アゴニスト活性、アンタゴニスト活性など)の僅かな低下を伴うのみでこのような親水性ポリマーにより誘導体化することができる。このペプチド化合物を親水性ポリマーにより誘導体化すると、これらの溶解性と循環半減期が増加し、そして免疫原性がマスクされることを見出した。再度であるが、全く驚くべきことには、生物学的な活性の僅かな減少を伴って前出のことを達成することができる。事実、好ましい態様においては、この誘導体化されたペプチドは、非変成ペプチドのそれの0.1〜倍の活性を有する。更に好ましい態様においては、この誘導体化されたペプチドは、非変成ペプチドのそれの0.1〜1倍の活性を有する。なお更に好ましい態様においては、この誘導体化されたペプチドは非変成ペプチドよりも大きい活性を有する。
【0081】
この態様における使用に好適なペプチドは、一般に、これらのペプチド、すなわち受容体、例えばTPO、EPO、IL−1、G−CSFおよびIL−5受容体に結合するリガンド;造血生長因子受容体;サイトカイン受容体;G−タンパクに連結された受容体;細胞表面受容体などを含む。このようなペプチドは、通常、約150未満のアミノ酸残基、更に好ましくは約100未満のアミノ酸残基(例えば、約10−12kDa)を含んでなる。本発明における使用に好適な親水性ポリマーは、限定ではないが、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールにより例示されるポリアルキルエーテル、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリオキシアルキレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロースとセルロース誘導体、デキストランとデキストラン誘導体、などを含む。一般に、このような親水性ポリマーは、約500〜約100,000ダルトンの、更に好ましくは約2,000〜約40,000ダルトンの、そしてなお更に好ましくは約5,000〜約20,000ダルトンの範囲の平均分子量を有する。好ましい態様においては、このような親水性ポリマーは、約5,000ダルトン、10,000ダルトンおよび20,000ダルトンの平均分子量を有する。本発明のペプチド化合物は、上記および引用したリファレンスに述べられている方法を用いて誘導体化可能である。
D.骨格改変
本発明の化合物のペプチド誘導体を製造するための他の方法は、引用により本明細書に組み込まれている、Hrubyら,Biochem J.,268(2):249−262(1990)に述べられている。このように、本発明のペプチド化合物は、類似の生物学的な活性を持つ非ペプチド化合物に対する構造モデルとしても機能する。リードペプチド化合物と同一あるいは類似の所望の生物学的な活性を持つが、溶解性、安定性、および加水分解とタンパク質分解に対する感受性の点でリード化合物よりも更に好ましい活性を持つ化合物を構築するのに種々の方法が使用可能であるということを当業者ならば、認識するであろう。引用により本明細書に組み込まれている、Morganら,Ann.Rep.Med.Chem.,24:243−252(1989)を参照のこと。これらの方法は、このペプチド骨格をホスホネート、アミデート、カーバメート、スルホンアミド、2級アミン、およびN−メチルアミノ酸から構成される骨格により置き換えることを含む。
【0082】
好適な試剤は、例えばこのアミノ酸のカルボキシル基を上記結合の一つの形成に好適な部分により置き換えたアミノ酸類似物を含む。
【0083】
同様に、このペプチド中のアミド結合のホスホネート結合による置き換えは、引用により本明細書に組み込まれている、米国特許出願番号07/943,805、08/081
,577、および08/119,700に示されて方法で達成可能である。
【0084】
このペプチド中のアミド結合の尿素結合による置き換えは、引用により本明細書に組み込まれている、米国特許出願番号08/147,805に示されて方法で達成可能である。
E.ジスルフィド結合形成
本発明の化合物は、存在する場合には、システインのチオール基の間の分子内ジスルフィド結合を持つ環化された形で存在し得る。別法としては、システインのチオール基の間の分子間ジスルフィド結合を生成して、二量体(あるいは更に高級なオリゴマー)化合物を形成することができる。1つ以上のこのシステイン残基もホモシステインにより置換可能である。
V.有用性
本発明の化合物は、TPOおよび受容体結合過程の産生に影響し、それにより影響されると考えられる多数の因子の評価を含む、TPOの生物学的な役割を理解するための独自なツールとしてインビトロで有用である。本発明の化合物は、また、このような開発を促進する構造と活性の間の関係に関する重要な情報を提供するために、TPO−Rと結合し、これを活性化する他の化合物の開発においても有用である。
【0085】
この化合物は、また、新しいTPO受容体アゴニストをスクリーニングするためのアッセイにおける競合的な結合体としても有用である。このようなアッセイ態様においては、本発明の化合物は、変成せずに使用可能であるか、あるいは検出可能な信号を直接あるいは間接に提供する部分を共有結合または非共有結合により連結することなど、標識することにより、種々の方法で変成可能である。これらのアッセイのいずれにおいても、これに対する材料は直接あるいは間接に標識可能である。直接標識化に対する可能性は、ラベル群、例えば125Iなどの放射性同位元素、ペルオキシダーゼおよびアルカリ性ホスファターゼなどの酵素(米国特許第3,645,090号)、および蛍光強度、波長シフト、または蛍光分極の変化をモニターする能力のある蛍光ラベル(米国特許第3,940,475号)を含む。間接標識化に対する可能性は、一方の成分のビオチン化を含み、続いて上記のラベル群の一つにカップリングされたアビジンに結合することを含む。化合物を固体担体に結合する場合には、この化合物は、また、スペーサーまたは架橋剤も含み得る。
【0086】
更には、TPO受容体に結合する能力に基づいて、本発明のペプチドは、生体細胞上のTPO受容体、生物学的な流体中、組織ホモジェネート中、精製された天然の生物学的な材料中などの固定細胞を検出するための試剤として使用可能である。例えば、このようなペプチドを標識することによって、表面上にTPO−Rを有する細胞を同定することができる。加えて、TPO受容体を結合する能力に基づいて、本発明のペプチドは、インシチュ染色、FACS(蛍光活性化された細胞選別)、ウエスタンブロッティング、ELISAなどで使用可能である。加えて、TPO受容体に結合する能力に基づいて、本発明のペプチドは、受容体の精製において、あるいは細胞表面上(あるいは透過性細胞の内側)でTPO受容体を発現する細胞の精製において使用可能である。
【0087】
本発明の化合物は、種々の医用研究および診断使用の市販の試剤としても使用可能である。このような使用は、限定ではないが(1)種々の機能性アッセイにおける候補TPOアゴニストの活性を定量化するための較正標準としての使用;(2)TPO依存性の細胞株の増殖および生長を維持するための使用;(3)共結晶化によるTPO受容体の構造解析における使用;(4)TPO信号形質導入/受容体活性化の機構を研究するための使用;および(5)TPO受容体が好ましくは活性化されるか、このような活性がTPOアゴニストの既知の量に対して簡便に較正される他の研究および診断用途を含む。
【0088】
本発明の化合物は、追加のサイトカインまたはこれら自身と一緒に巨核球のインビトロ
増殖とこれらのコミットされたプロジェニター用に使用可能である。引用により本明細書に組み込まれている、例えば、DiGiustoら,PCT公告95/05843を参照のこと。化学処置および放射線処置は、急速に分裂する更に成熟した巨核球の集団を殺すことにより血小板減少症を生じる。しかしながら、これらの処置は、未成熟の、有糸分裂的に低活性の巨核球前駆細胞数および生存度も低下させることができる。このように、インビトロ培養により巨核球と未成熟な前駆体に対して富化された自分自身の細胞集団による後化学処置または放射線処置を患者に輸液で施すことにより、TPOまたは本発明の化合物による血小板減少症の改善を急速に行うことができる。
【0089】
本発明の化合物は、TPO−Rをインビボで活性化するためにヒトを含む温血動物にも投与可能である。このように、本発明は、TPO−Rに及ぼすTPOの効果をインビボで模倣するのに充分な量で本発明の化合物を投与することを含んでなる、TPO関連疾患を処置するための方法を網羅する。例えば、本発明のペプチドおよび化合物は、限定ではないが、特に骨髄輸液、放射線処置、および化学処置と関連させた場合血小板疾患と血小板減少症を含む種々の血液疾患を処置するのに投与可能である。
【0090】
本発明のいくつかの態様においては、TPOアンタゴニストは、化学処置あるいは放射線処置を受け、続いて本発明のTPOアゴニストを投与される患者に好ましくは最初に投与される。
【0091】
本発明の化合物の活性は、引用により本明細書に組み込まれている、McDonald,Am.J.of Pediatric Hematology/Oncology,14:8−21(1992)で述べられている多数のモデルの一つにおいてインビトロあるいはインビボで評価可能である。
【0092】
一つの態様によれば、本発明の組成物は、骨髄輸液、放射線処置、化学処置と関連する血小板減少症を処置するのに有用である。この化合物は、通常、化学処置、放射線処置、または骨髄移植の前、あるいはこのような暴露の後に予防的に投与される。
従って、本発明は、また、医薬キャリアまたは希釈剤と連係して本発明のペプチドまたは模倣物の少なくとも1つを活性成分として含んでなる医薬組成物も提供する。本発明の化合物は、経口、肺、非経口(筋肉内、腹腔内、静脈内(IV)あるいは皮下注射)、吸入(微粉末調剤による)、経皮、鼻、膣、直腸、あるいは舌下の投与経路により投与可能であり、各投与経路に適切な剤形に調剤可能である。例えば、Bernsteinら、引用により本明細書に組み込まれている、PCT特許公告WO93/25221;Pittら、PCT特許公告WO94/17784;およびPittら、欧州特許出願613,683を参照のこと。
【0093】
経口投与用の固体剤形はカプセル、錠剤、ピル、粉末、および顆粒を含む。このような固体剤形においては、この活性な化合物は、少なくとも1つの不活性な医薬的に許容し得るキャリア、例えばスクロース、ラクトース、またはでん粉と混和される。このような剤形は、通常の実施として、不活性な希釈剤以外の更なる物質、例えば潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムも含んでなることができる。カプセル、錠剤、およびピルの場合、この剤形は緩衝剤も含み得る。加えて、錠剤とピルは腸溶性コーティング付きで製造可能である。
【0094】
経口投与用の液体剤形は、医薬的に許容し得る乳化液、溶液、懸濁液、シロップを当業界で普通に使用されている不活性な希釈剤、例えば水を含有するエリキシル剤と共に含む。このような不活性な希釈剤のほかに、組成物は、補助剤、例えば湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、および甘味剤、風味剤、および芳香剤も含むことができる。
【0095】
本発明による非経口投与用の製剤は、無菌の水あるいは非水の溶液、懸濁液、または乳化剤を含む。非水の溶媒または媒体の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えばオリーブ油およびコーン油、ゼラチン、および注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。このような剤形は、また、補助剤、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤も含有可能である。これらは、例えばバクテリア保持フィルターによる濾過により、この組成物の中への殺菌剤の組み込みにより、組成物の照射により、あるいはこの組成物の加熱により無菌化され得る。これらは、また、無菌水、または若干の他の無菌注射用媒体を用いて使用直前にも製造可能である。
【0096】
直腸あるいは膣投与用の組成物は、好ましくは活性物質に加えて、賦型剤、例えばココアバターまたは座薬ワックスを含有し得る座薬である。当業界でよく知られている標準的な賦型剤により鼻または舌下投与用の組成物も製造される。
【0097】
この化合物を含有する組成物は予防および/または処置に投与可能である。処置用途においては、組成物は、病気の症状とその合併症を治し、あるいは少なくとも部分的に進行を止める充分な量で上述のように病気に既に罹った患者に投与される。これを行うのに適切な量は「処置的に有効な用量」と定義される。この使用に有効な量は、患者の病気の重篤度と体重および全般的な状態に依存する。
【0098】
本発明の組成物は、例えば、Tice and Bibi(「Treatise on
Controlled Drug Delivery」,ed.A.Kydonieus,Marcel Dekker,New York(1992),pp.315−339)の方法によりマイクロカプセル化可能である。
【0099】
予防的な用途においては、本発明の化合物を含有する組成物は、特別な病気に敏感な、さもなくばその危険性のある患者に投与される。このような量は「予防的に有効な用量」であると定義される。この使用においては、この正確な量は再度患者の健康状態と体重に依存する。
【0100】
有効な処置に必要なTPOアゴニストの量は、投与手段、標的部位、患者の生理学的な状態、および投与される他の薬剤を含む、多数の異なる因子に依存する。このように、処置投与量を滴定して、安全性と効能を最適化しなければならない。通常、インビトロで使用される投与量は、これらの試剤のインシチュ投与に有用な量で有用な指標を提供し得る。特別の疾患を処置するための有効な用量の動物試験は、ヒト投与量の更なる予測的な指示を提供する。例えば、引用により本明細書に組み込まれている、Gilmanら.(eds),Goodman and Gilman’s:「The Pharmacological Basis of Therapeutics」,8thed.,Pergamon Press(1990);およびRemington’s Pharmaceutical Sciences,7thEd.,Mack PublishingCo.,Easton,Pa.(1985)で種々の考慮が述べられている。
【0101】
本発明のペプチドおよびペプチド模倣物は、1日当たり約0.001mg〜約10mg/体重kgの投与量範囲で投与されると、TPO仲介の状態を処置するのに有効である。使用される比用量は、処置対象の状態、投与経路、ならびに因子、例えば状態の重篤度、患者の年齢および全般的な状態による依る主治医の判断により調整される。
本発明の好ましい態様のみを特に上述したが、本発明の精神と意図された範囲から逸脱せずに本発明の変成および変形が可能であるということは認識されるであろう。
実施例
【実施例1】
【0102】
固相ペプチド合成
メリフィールド固相合成法(Steward and Young,「Solid Phase Peptide Synthesis」,2d.edition,Pierce Chemical,Rockford,III(1984)およびMerrifield,J.Am.Chem.Soc.,85:2149(1963)を参照)、またはAppliedBiosystems Inc.Model 431Aあるいは433Aペプチドシンセサイザーを用いて、本発明の種々のペプチドを合成した。Applied Biosystems Inc.Synth Assist.TM.1.0.0またはSynthAssist.TM.2.0.2.の標準的なプロトコルを用いて、このペプチドを組み立てた。HBTU(2−(H−ベンザトリアゾール−l−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)およびHOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)により各カップリングを2回30分間行った。
【0103】
使用した樹脂は、HMP樹脂(p−ヒドロキシメチルフェノキシメチル)ポリスチレン樹脂または5−(4’−Fmoc−アミノメチル−3,5’−ジメチオキシフェノキシ)吉草酸を架橋剤とする架橋ポリスチレン樹脂であるPAL(Milligen/Biosearch)であった。PAL樹脂の使用は、この樹脂からペプチドを開裂した時カルボキシル末端アミド官能基を生じる。開裂時、このHMP樹脂は最終的な製品のC−末端においてカルボン酸部分を生じる。大部分の試剤、樹脂、および保護されたアミノ酸(遊離の酸または樹脂上の酸)をMilliporeまたはApplied Biosystems Inc.から購入した。
【0104】
Fmoc基をカップリング時にアミノ保護に使用した。アミノ酸上の主なアミン保護をFmocおよび側鎖により行った。保護基は、セリン、チロシン、グルタミン酸、およびスレオニンに対してはt−ブチルであり;グルタミンに対してはトリチル;アルギニンに対してはPmc(2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル);トリプトファンに対してはN−t−ブチルオキシカルボニル;ヒスチジンに対してはN−トリチル;そしてシステインに対してはS−トリチルである。
【0105】
試剤Kによる処理あるいはその若干の変成により、この樹脂からのペプチドの除去と、側鎖官能基の同時の脱保護を行った。別法として、アミデート化カルボキシル末端付きのこれらのペプチドの合成において、充分に組み立てられたペプチドを90%のトリフルオロ酢酸、5%のエタンジチオール、および5%の水の混合物により初めは4℃で開裂し、室温まで徐々に上昇させた。この脱保護されたペプチドをジエチルエーテルにより沈澱させた。すべての場合、精製は、合成用の0.1%のトリフルオロ酢酸中のアセトニトリル/水の勾配付きの逆相C18結合シリカゲルカラムの高性能液体クロマトグラフィによるものであった。高速原子衝撃質量分析またはエレクトロスプレー質量分析および適用可能な場合にはアミノ酸分析により均質のペプチドをキャラクタリゼーションした。
【0106】
好ましい態様においては、当業界で既知で、使用される標準的な合成法を用いて本発明のペプチドを二量化する。これらの合成スキームに従って、当業者ならば二量体ペプチド化合物を本発明により容易に製造することができる。加えて、既知の方法と架橋剤を用いて、この二量体サブユニットを容易に連結することができることは当業者には明白であろう。
【実施例2】
【0107】
ペプチドのPEG化
本発明のポリペプチドを100mMのビシンにpH8.0で10mg/mlの濃度で溶解し、1.25倍モル過剰の粉末化されたPEG2(Shearwater Polymers,Inc.(Huntsville,Ala.)から市販されている)に添加し、
そして反応が完結するまで室温で通常1−2時間撹拌した。YMC ODS AQカラム付きの40−65%のアセトニトリル勾配を用いる逆相HPLCにより、この反応をモニターした。この反応が完結したならば、この溶液を第2の1.25モル過剰の粉末化されたPEG2に添加し、そして各モルのポリペプチドに対して合計5モルのPEG2を用いて、この方法を4回繰り返した。この溶液をPBSにより2倍に希釈して、粘度を低下させ、そして前に平衡化させたスーパーデックス200カラム(Pharmacia)上に装填し、PBSにより溶離した。サイズ排除カラムからのフラクションを逆相HPLCにより分析した。モノ−PEG−ポリペプチドの前に溶離したジ−PEG−ポリペプチドを含有するフラクションをプールし、そして5℃で貯蔵するか、あるいは凍結乾燥した。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1は異なる化合物の活性を示し、比較する。
【図2】図2は異なる化合物の活性を示し、比較する。
【図3】図3はラットの血小板計数値のインビボ変化を示し、比較し、PEG化された化合物の相対的な効力を示す。
【図4−5】図4および5は循環する血小板の数および容積を用量依存的な形で示し、比較する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列(H−IEGPTLRQ(2−Nal)LAARX10K−NH(ここで、X10はサルコシンまたはβ−アラニンからなる群から選択される)を含んでなるトロンボポエチン受容体に結合する化合物。
【請求項2】
化合物が親水性ポリマーに共有結合している請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
親水性ポリマーが約500と約40,000ダルトンの間の平均分子量を有する請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
親水性ポリマーが約5,000と約20,000ダルトンの間の平均分子量を有する請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
親水性ポリマーがポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ乳酸およびポリグリコール酸からなる群から選択される請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
化合物がポリエチレングリコールに共有結合している請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
化合物の二量体サブユニットの各々が親水性ポリマーに共有結合している請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物を医薬的に許容され得るキャリアと組み合わさった状態で含んでなる医薬組成物。
【請求項9】
トロンボポエチンアゴニストによる処置に感受性の疾患に罹っている患者の処置方法であって、処置的に有効な用量または量の請求項1に記載の化合物を患者に投与することを含んでなる方法。
【請求項10】
ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールからなる群から選択される約500と約20,000ダルトンの間の分子量を有し、かつ、非置換であるか、あるいはアルコキシあるいはアルキル基により置換され、そして前記アルコキシあるいはアルキル基が5個未満の炭素原子を有するポリマーの少なくとも1つにカップリング剤によりカップリングされた請求項1に記載の化合物を含んでなる生理学的に活性な、実質的に非免疫原性の水溶性ポリペプチド組成物。
【請求項11】
ポリマーが約750と約15,000ダルトンの間の平均分子量を有する請求項10に記載のポリペプチド組成物。
【請求項12】
ポリマーが約5,000と約10,000ダルトンの間の平均分子量を有する請求項10に記載のポリペプチド組成物。
【請求項13】
ポリマーがポリエチレングリコールである請求項10に記載のポリペプチド組成物。
【請求項14】
請求項10に記載の化合物と医薬的に許容され得るキャリを含んでなる実質的に非免疫原性の水溶性ポリペプチド組成物。
【請求項15】
細胞を配列(H−IEGPTLRQ(2−Nal)LAARX10K−NH(ここで、X10はサルコシンまたはβ−アラニンからなる群から選択される)を含む化合物の有効量と接触させることを含んでなる、細胞のトロンボポエチン受容体の活性化方法。
【請求項16】
細胞がヒト巨核球、血小板またはCD34+細胞を含んでなる請求項15に記載の方法。
【請求項17】
細胞がTPO依存性細胞を含んでなる請求項15に記載の方法。
【請求項18】
被験者の血小板減少症の処置方法であって、
(a)巨核球前駆細胞を含む前記被験者の細胞の集団を取得し;
(b)請求項15に記載の方法により前記細胞を処理し;そして
(c)前記処理細胞を前記被験者に投与して、このような処置なしで起こるものと比較して前記被験者中に存在する巨核球の数を増加させる、
ことを含んでなる方法。
【請求項19】
血小板減少症が化学処置によるものである請求項18に記載の方法。
【請求項20】
細胞集団が前記化学処置前に取得される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
血小板減少症が放射線処置によるものである請求項18に記載の方法。
【請求項22】
細胞集団が前記放射線処置前に取得される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
血小板減少症に罹った患者を処置する方法であって、配列を(H−IEGPTLRQ(2−Nal)LAARX10K−NH(X10はサルコシンまたはβ−アラニンからなる群から選択される)を含む化合物の処置的に有効な用量を前記患者に投与することを含んでなる方法。
【請求項24】
血小板減少症が化学処置または放射線処置によるものである請求項23に記載の方法。
【請求項25】
TPOアンタゴニストが前記化学処置または放射線処置の前に前記患者に投与される請求項24に記載の方法。
【請求項26】
血小板減少症が骨髄輸液によるものである請求項23に記載の方法。
【請求項27】
血小板減少症の危険性のある患者の予防的な処置方法であって、配列(H−IEGPTLRQ(2−Nal)LAARX10K−NH(X10はサルコシンまたはβ−アラニンからなる群から選択される)を含む化合物の予防的に有効な用量を前記患者に投与することを含んでなる方法。
【請求項28】
化合物が骨髄移植、化学処置または放射線処置の前に前記患者に投与される請求項27に記載の方法。
【請求項29】
(1)約8000ダルトン未満の分子量と、
(2)約100μM以下のIC50により表されるトロンボポエチン受容体への結合親和性
を有し、かつ、下記アミノ酸配列:
GX
(ここで、XはA、C、E、G、I、L、M、P、R、Q、S、T、またはVであり;XはA、C、D、E、K、L、Q、R、S、T、またはVであり、XはC、L、M、P、Q、Vであり;XはF、K、L、N、Q、R、S、TまたはVであり;XはC、F、I、L、M、R、S、VまたはWであり;Xは20個の遺伝的にコーディングされ
たL−アミノ酸のいずれかであり;XはA、D、E、G、K、M、Q、R、S、T、VまたはYであり;XはC、G、I、K、L、M、N、RまたはVであり、そしてXはβ−(2−ナフチル)アラニンである)
を含んでなる、トロンボポエチン受容体に結合する化合物。
【請求項30】
アミノ酸配列が環化されている請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
アミノ酸配列が二量化されている請求項29に記載の化合物。
【請求項32】
細胞のトロンボポエチン受容体の活性化方法であって、前記細胞を(H−IEGPTLRQ(2−Nal)LAARX10)2K−NHを含む約8000ダルトン未満の分子量を有するペプチドの有効量と接触させることを含んでなり、前記化合物が下記アミノ酸配列:
GX
(ここで、XはA、C、E、G、I、L、M、P、R、Q、S、T、またはVであり;XはA、C、D、E、K、L、Q、R、S、T、またはVであり、XはC、L、M、P、Q、Vであり;XはF、K、L、N、Q、R、S、TまたはVであり;XはC、F、I、L、M、R、S、VまたはWであり;Xは20個の遺伝的にコーディングされたL−アミノ酸のいずれかであり;XはA、D、E、G、K、M、Q、R、S、T、VまたはYであり;XはC、G、I、K、L、M、N、RまたはVであり、そしてXはβ−(2−ナフチル)アラニンである)
を含んでなる、方法。
【請求項33】
アミノ酸配列が環化されている請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
アミノ酸配列が二量化されている請求項32に記載の化合物。
【請求項35】
細胞のトロンボポエチン受容体の活性化方法であって、前記細胞を親水性ポリマーに共有結合し、かつ、アミノ酸配列IEGPTLRQ(2−Nal)LAARAを含む化合物の有効量と接触させることを含んでなる、方法。
【請求項36】
親水性ポリマーが約500と約40,000ダルトンの間の平均分子量を有する請求項35に記載の方法。
【請求項37】
親水性ポリマーが約5,000と約20,000ダルトンの間の平均分子量を有する請求項35に記載の方法。
【請求項38】
ポリマーがポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ乳酸およびポリグリコール酸からなる群から選択される請求項35に記載の方法。
【請求項39】
化合物がポリエチレングリコールに共有結合している請求項38に記載の方法。
【請求項40】
細胞がインビボのものである請求項35に記載の方法。
【請求項41】
細胞がインビトロのものである請求項35に記載の方法。
【請求項42】
細胞がヒト巨核球、血小板またはCD34+細胞を含んでなる請求項35に記載の方法。
【請求項43】
細胞がTPO依存性の細胞を含んでなる請求項35に記載の方法。
【請求項44】
被験者の血小板減少症の処置方法であって、
(a)巨核球前駆細胞を含む前記被験者の細胞の集団を取得し;
(b)請求項35に記載の方法により前記細胞を処理し;そして
(c)前記処理細胞を前記被験者に投与して、このような処置なしで起こるものと比較して前記被験者中に存在する巨核球の数を増加させる
ことを含んでなる方法。
【請求項45】
血小板減少症が化学処置によるものである請求項44に記載の方法。
【請求項46】
細胞集団が前記化学処置前に取得される請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記血小板減少症が放射線処置によるものである請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記細胞集団が前記放射線処置前に取得される請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記化合物がIEGPTLRQ(2−Nal)LAARAのアミノ酸配列を含んでなる請求項29に記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−504132(P2007−504132A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524705(P2006−524705)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/026422
【国際公開番号】WO2005/023834
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(598093026)オーソ−マクニール・フアーマシユーチカル・インコーポレーテツド (25)
【Fターム(参考)】