説明

口唇用油性固形化粧料

【課題】唇に艶及びしっとり感を与え、べたつき感を抑制し、しかも、使用時の延びが良く、製剤安定性にも優れる口唇用油性固形化粧料を提供すること。
【解決手段】ダイマー酸エステル、室温で固形のロウ類、炭素数5〜10の1,2−アルカンジオール、好ましくは1,2−ヘキサンジオール及び/又は1,2−オクタンジオールを含有してなる油性固形化粧料とする。更に、所望により、N−アシルグルタミン酸ジエステルを含有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口唇用油性固形化粧料に関する。詳しくは、化粧料中に水を含有しない、リップスティック、リップグロス、リップカラーなどの非水系の口唇用油性固形化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、口紅やリップグロス等の油性固形化粧料は、着色顔料や体質顔料等の粉体、液状油、固形油で構成されている。この油性固形化粧料は、液状油特有の艶や適度な密着感等を発揮する。また、水を含有しないことから、耐水性、耐汗性にも優れている。しかし、粉体や固形油を配合し非水系であることから、しっとり感に乏しいという欠点がある。
【0003】
また、近年のメイクアップは、口元の艶を重視する傾向から、艶の向上、それに伴うべたつき感の抑制の検討が種々なされている。例えば、炭酸ジエステルとゲル化剤とを含有する油性化粧料(特許文献1参照)や、水添ロジンイソステアリン酸グリセリルと重質流動イソパラフィンとメチルフェニルポリシロキサンとを含有する口紅用組成物(特許文献2参照)等が提案されている。しかしながら、これら提案により、艶の向上や、べたつき感の抑制について、ある程度は満足いくものの、しっとり感については未だ十分ではない。
【0004】
一方、抱水性の液状油を配合することで、艶を損なわずにしっとり感を向上させる検討がなされている。例えば、硬化ヒマシ油とダイマー酸のオリゴマー、固形油、特定のヒドロキシ化合物及び液状エステル油を含有する油性固形化粧料(特許文献3参照)が提案されている。しかし、しっとり感がある程度向上するものの、十分ではなく、また、油性化粧料特有のべたつき感の改善も満足いくものではない。
【0005】
【特許文献1】特開2003−26529号公報
【特許文献2】特開2000−297012号公報
【特許文献3】特開2004−107355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであって、唇に艶及びしっとり感を与え、べたつき感を抑制し、しかも、使用時の延びが良く、製剤安定性にも優れる口唇用油性固形化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、
〔1〕ダイマー酸エステル、室温で固形のロウ類、炭素数5〜10の1,2−アルカンジオールを含有してなる口唇用油性固形化粧料、及び
〔2〕更に、N−アシルグルタミン酸ジエステルを含有してなる前記〔1〕に記載の口唇用油性固形化粧料に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の口唇用油性固形化粧料は、唇に艶及びしっとり感を与えるにも拘らず、べたつき感を抑制することができる。また、使用時の延びが良く使用感に優れ、製剤安定性にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の口唇用油性固形化粧料には、ダイマー酸エステル、室温で固形のロウ類、及び1,2−アルカンジオールとを含有する。
【0010】
ダイマー酸エステルとは、不飽和脂肪酸の重合によって得られる2塩基酸のエステルである。用いられる不飽和脂肪酸としては、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸などが挙げられる。また、エステル部に用いられるアルコール類としては、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコールなどが挙げられる他、ヒマシ油などを用いることもできる。
【0011】
具体的には、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸ジグリセリンイソステアレートなどを例示することができ、ダイマージリノール酸のエステルを用いるのが好ましい。これらのうち、特に、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油を用いるのが好ましい。
【0012】
尚、ダイマー酸エステルは、市販品をそのまま用いることもできる。用い得る市販品は、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)としては、商品名 LUSPLAN PI−DA(日本精化社製)などを、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルとしては、商品名 LUSPLAN DD−DA5、DD−DA7(いずれも日本精化社製)などを例示することができる。ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)としては、商品名 Plandool−S、Plandool−H(いずれも日本精化社製)などを例示することができる。また、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油としては、商品名 リソカスタ DA−H、DA−L(いずれも高級アルコール工業社製)などを、ダイマージリノール酸ジグリセリンイソステアレートとしては、商品名 ハイルーセントISDA(高級アルコール工業社製)などを例示することができる。
【0013】
ダイマー酸エステルは、その1種を単独で、或いは2種以上を適宜組合せて用いることができる。その含有量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定はなく、艶及びしっとり感を良好にする観点から、化粧料中、1重量%以上が好ましく、より好ましくは5重量%以上である。また、べたつき感を抑制する観点から、化粧料中、60重量%以下が好ましく、より好ましくは50重量%以下である。これらから、口唇用油性固形化粧料中のダイマー酸エステルの含有量は、1〜60重量%が好ましく、5〜50重量%がより好ましい。
【0014】
室温で固形のロウ類としては、化粧料に配合できるものであれば特に限定されず、キャンデリラロウ、カルナバロウ、コメヌカロウ、ミツロウ、ラノリン、モンタンロウ、水素添加ホホバ油などを挙げることができる。なかでも、製剤安定性の観点から、キャンデリラロウ、カルナウバロウなどを用いるのが好ましい。尚、本発明における室温とは、1〜30℃の雰囲気下の温度範囲をいう。
【0015】
室温で固形のロウ類は、その1種を単独で、或いは2種以上を適宜組合せて用いることができる。その含有量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定はなく、製剤安定性の観点から、化粧料中、0.5重量%以上が好ましく、より好ましくは2重量%以上である。また、使用時の延びを良好にする観点から、化粧料中、25重量%以下が好ましく、より好ましくは20重量%以下である。これらから、口唇用油性化粧料中の室温で固形のロウ類の含有量は、0.5〜25重量%が好ましく、2〜20重量%がより好ましい。
【0016】
本発明で用いられる1,2−アルカンジオールは、炭素数5〜10の1,2−アルカンジオールである。具体的には、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,2−デカンジオールが挙げられ、これらのうち、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールを用いるのが好ましく、1,2−オクタンジオールを用いるのがより好ましい。
【0017】
尚、本発明においては、上記した1,2−アルカンジオールの1種を単独で、或いは2種以上を適宜組合わせて用いることもできる。また、その含有量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定はなく、べたつき感を抑制し、しっとり感を付与する観点から、化粧料中、0.01重量%以上が好ましく、より好ましくは0.1重量%以上である。また、経済性の観点から、化粧料中、5重量%以下が好ましく、より好ましくは3重量%以下である。これらから、口唇用油性固形化粧料中の1,2−アルカンジオールの含有量は、0.01〜5重量%が好ましく、0.1〜3重量%がより好ましい。
【0018】
本発明の口唇用油性固形化粧料には、艶やしっとり感をより向上させる観点から、N−アシルグルタミン酸ジエステルを含有させることができる。用い得るN−アシルグルタミン酸ジエステルは、下記一般式1で表される。
【0019】
【化1】

【0020】
尚、式中、Rは炭素数7〜21の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、炭素数8〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、ステロールのエステル残基を表す。m及びnは、同一又は異なっていてもよく、0〜10の整数を表す。
【0021】
具体的には、N−ラウロイルグルタミン酸ジヘキシルデシル、N−ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、N−ステアロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、N−ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、N−ラウロイルグルタミン酸ポリオキシエチレン(2)オクチルドデシルエーテルジエステル、N−ラウロイルグルタミン酸ポリオキシエチレン(5)オクチルドデシルエーテルジエステル、N−ラウロイルグルタミン酸ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテルジエステル、N−ラウロイルグルタミン酸ポリオキシエチレン(5)ステアリルエーテルジエステル、N−ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル・オクチルドデシル)、N−ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、N−ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)などを例示することができる。なかでも、N−ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル・オクチルドデシル)、N−ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、N−ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)などのステロールのエステル残基を有するものを好ましく用いることができる。
【0022】
尚、N−アシルグルタミン酸ジエステルの上記した化合物は、市販品として入手することができる。例えば、商品名 AMITER LG−1600、LG−2000、SG−2000、LG−OD(H)、LGOD−2(H)、LGOD−5(H)、LGS−2(H)、LGS−5(H)(いずれも日本エマルジョン社製)、商品名 エルデュウ CL202、PS203、CL−301、PS−304(いずれも味の素社製)などをそれぞれ例示することができる。
【0023】
N−アシルグルタミン酸ジエステルは、その1種を単独で、或いは2種以上を適宜組合せて用いることができる。その含有量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定はなく、艶及びしっとり感を良好にする観点から、化粧料中、0.5重量%以上が好ましく、より好ましくは1重量%以上である。また、べたつき感の抑制の観点から、化粧料中、30重量%以下が好ましく、より好ましくは20重量%以下である。これらから、口唇用油性固形化粧料中のN−アシルグルタミン酸ジエステルの含有量は、0.5〜30重量%が好ましく、1〜20重量%がより好ましい。
【0024】
また、本発明の口唇用油性固形化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他、化粧料に通常用いられる成分を適宜に配合することができる。例えば、デキストリン脂肪酸エステル、有機変性粘度鉱物等の増粘性成分;室温で液状のロウ類、油脂、炭化水素類、シリコーン類、脂肪酸エステル、高級脂肪酸等の油性成分;非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤の各種界面活性剤;低級アルコール、多価アルコール、糖類、ステロール類、高級アルコール等のアルコール類;色素類、粉体、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤等の添加成分などを例示することができる。
【0025】
具体的には、増粘性成分としては、ラウリン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン等のデキストリン脂肪酸エステル;モンモリナイト、ヘクトライト、スメクタイト等の粘度鉱物を第4級アンモニウム処理した有機変性粘度鉱物等が挙げられる。
【0026】
油性成分としては、例えば、ホホバ油等の室温で液状のロウ類;オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、アボカド油等の油脂;オゾケライト、セレシン、パラフィン、ポリエチレン末、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、流動パラフィン、スクワラン、軽質流動イソパラフィン等の炭化水素;ジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーン類;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセロール、オレイン酸2−オクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセロール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセロール、オレイン酸2−オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸グリセロール、2−エチルヘキサン酸ジグリセリド等の脂肪酸エステル;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸等が挙げられる。
【0027】
界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、及びこれらのアルキレンオキシド付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンステロール及びその誘導体、ポリオキシエチレンラノリン及びその誘導体、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、シュガーエステル類等の非イオン界面活性剤;高級脂肪酸石鹸、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルリン酸エステル、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグリシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルカルボン酸塩、アルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸及びその塩、N−アシルサルコシン及びその塩、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸塩等の陰イオン界面活性剤;アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、エステル含有3級アミン塩等のアミン塩、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、トリアルキル型4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩等のアルキル4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等の環式4級アンモニウム塩、塩化ベンゼエトニウム等の陽イオン界面活性剤;アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルグリシン塩等のグリシン型両性界面活性剤、アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、アルキルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤等の両性界面活性剤を例示することができる。
【0028】
アルコール類としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等の低級アルコール;1,3−ブタンジオール,グリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコール類;ソルビトール、マンニトール、グルコース、ショ糖、キシリトール、ラクトース、トレハロース等の糖類;コレステロール、フィトステロール等のステロール類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類を挙げることができる。
【0029】
色素類としては、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色213号、赤色214号、赤色215号、赤色218号、赤色223号、赤色226号、赤色227号、赤色230号、赤色231号、赤色232号、赤色401号、赤色404号、赤色405号、赤色501号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色505号、赤色506号、黄色4号、黄色5号、黄色201号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色402号、黄色403号、黄色404号、黄色405号、黄色406号、黄色407号、緑色3号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、緑色402号、青色1号、青色2号、青色201号、青色204号、青色205号、青色403号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、橙色401号、橙色402号、橙色403号、紫色201号、紫色401号、黒色401号などを挙げることができ、アルミニウムなどのレーキしたものであっても良い。
【0030】
粉体としては、タルク、カオリン、マイカ、セリサイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸、硫酸バリウム、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青、酸化クロム、酸化コバルト、酸化チタン、亜鉛華、雲母チタン、酸化鉄処理雲母チタン、カーボンブラック、アルミナなどを挙げることができ、これら粉体をフッ素化合物、シリコーン化合物、金属石鹸、レシチン等により表面処理を行ったものであっても良い。
【0031】
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸メチル、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸メチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤;パラメトキシケイ皮酸オクチル、エチル−4−イソプロピルシンナメート等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ベンジルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸系紫外線吸収剤等を挙げることができる。
【0032】
酸化防止剤としては、例えば、α−トコフェロール及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、エリソルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類、亜硫酸、重亜硫酸、チオ硫酸、チオ乳酸、チオグリコール酸、L−システイン、N−アセチル−L−システイン等を挙げることができる。
【0033】
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン液、トリクロロカルバニリド、フェノキシエタノール、石炭酸、ヘキサクロロフェン等のフェノール類、安息香酸およびその塩、ウンデシレン酸、サリチル酸、ソルビン酸およびその塩、デヒドロ酢酸およびその塩、感光素101号、感光素201号、感光素401号、ヒノキチオール、トリクロサン等を挙げることができる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。尚、含有量は、特記しない限り「重量%」を表す。
【0035】
(試料の調製)
表1〜2に記した組成に従い、実施例及び比較例の油性リップスティックをそれぞれ定法により調製し、下記評価に供した。
【0036】
(使用感の評価)
実施例及び比較例の各試料を、10名の女性専門パネラーに使用させ、塗布時の延び、塗布後の艶、べたつき感の無さ、しっとり感の各項目について5段階で官能評価した。評価は、非常に良いを5点、良いを4点、普通を3点、悪いを2点、非常に悪いを1点とし、その評点の平均値を下記評価基準に従い判定した。結果を表1〜2に併記する。
【0037】
<評価基準>
◎;4.5点以上
○;3.5点以上4.5点未満
△;2.5点以上3.5点未満
×;2.5点未満
【0038】
(製剤安定性の評価)
実施例及び比較例の各試料を、40℃の雰囲気下で4週間放置し、外観上の変化を目視にて観察し、下記評価基準に従い評価した。結果を表1〜2に併記する。
【0039】
<評価基準>
◎;全く変化が無い。
○;数個の発汗がみられるが、25℃の雰囲気下に戻すと発汗は無くなる。
△;数個の発汗がみられ、25℃の雰囲気下に戻しても発汗は無くならない。
×;多数の発汗がみられる。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
表1および表2の結果から、本発明の口唇用油性固形化粧料は、各比較例の口唇用油性固形化粧料に比し、塗布時の延びが軽く滑らかであり、塗布後の艶に優れ、油分独特の油っぽいべたつき感も無く、しっとりとした感触を付与できることが分かる。また、製剤の安定性にも優れることが分かる。
【0043】
以下、本発明に係る口唇用油性固形化粧料の処方例を示す。尚、配合量は重量%である。
(処方例1;油性リップカラー(流し込みタイプ))
キャンデリラロウ 8.0
セレシンワックス 8.0
ダイマージリノール酸水添ヒマシ油 27.0
N−ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル・オクチルドデシル) 7.0
1,2−オクタンジオール 1.5
イソノナン酸イソトリデシル 15.0
赤色201号 0.6
赤色202号 1.0
黄色4号アルミニウムレーキ 0.1
酸化チタン 0.5
黄色酸化鉄 1.0
ナイロン末 3.0
雲母チタン 3.0
トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル 残 余
合 計 100.0
【0044】
(処方例2;油性リップグロス)
キャンデリラロウ 4.0
マイクロクリスタリンワックス 1.0
ダイマージリノール酸水添ヒマシ油 37.0
N−ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル・オクチルドデシル) 10.0
1,2−オクタンジオール 2.5
イソノナン酸イソトリデシル 25.0
パルミチン酸デキストリン 5.0
赤色202号 0.3
合成金雲母 4.5
雲母チタン 2.5
メチルフェニルポリシロキサン 残 余
合 計 100.0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイマー酸エステル、室温で固形のロウ類、炭素数5〜10の1,2−アルカンジオールを含有してなる口唇用油性固形化粧料。
【請求項2】
1,2−アルカンジオールが、1,2−ヘキサンジオール及び/又は1,2−オクタンジオールである請求項1に記載の口唇用油性固形化粧料。
【請求項3】
更に、N−アシルグルタミン酸ジエステルを含有してなる請求項1又は2に記載の口唇用油性固形化粧料。

【公開番号】特開2008−189618(P2008−189618A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27761(P2007−27761)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】