説明

可塑性特性及び弾性特性の両方を有するウェブ材料

押出成形ウェブが開示される。押出成形ウェブは不織布材料又はフィルムのいずれかであることができる。ウェブは塑弾性材料を含み、その場合塑弾性材料は、第1ポリオレフィンと第2ポリオレフィンとの組み合わせ(ポリマーブレンド又はポリマー混合物のいずれか)である。ポリオレフィンの請求された組み合わせは、前記ウェブから採取された試料が初期ひずみ周期を受ける時(ウェブが少なくとも30%の固定を初期ひずみ周期により与えられるように)実質的に可塑性の特性を有し、ウェブから採取された試料が、少なくとも第2のひずみ周期を受ける時、実質的に弾性の特性を有する材料を結果としてもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、使い捨て吸収性物品、例えばおむつ、プルオン型おむつ、トレーニングパンツ、生理用ナプキン、拭き取り用品、よだれ掛け、失禁用ブリーフ、又はインサートなどの構築に用いるのに好適なウェブ材料に関する。より具体的には、本発明は、可塑性及び弾性の特性の両方を有するウェブ材料を対象とする。こうした材料は、所望の物品形状を提供するために、並びに/又は着用者上の物品のフィット及び快適性の改善、並びに/又はユーザーの利便性の向上ために所望の応力及びひずみの特性を付与するために、本発明の吸収性物品中に用いられてもよい。
【背景技術】
【0002】
おむつ、トレーニングパンツ、及び失禁用物品のような使い捨て吸収性製品は、典型的には、ウエスト領域及びカフ領域に弾性ストランドのような伸縮性材料を包含し、物品の心地よいフィット及び良好な封止を提供する。パンツ型の吸収性物品は、物品の容易な適用及び取り外しのために、並びに物品の持続したフィットのために、サイド部分に伸縮性材料を更に包含する。伸縮性材料はまた、物品の調節可能なフィットのために、使い捨ておむつの耳部分に用いられてきた。しかしながら、成形ひずみ周期の前及びその間、例えば物品が着用者に初めに着用された時に、実質的に可塑性の挙動を示すが、物品へのこの初期成形又は着用ひずみ周期後には実質的に弾性挙動を示す材料を有することは望ましい。このようにして、こうした所望の吸収性物品は、着用者の身体形状に適合してより良くフィットするように着用者の形状又はサイズに合わせる能力を有するが、着用者の上にある時には、持続したフィットを実現し、物品の緩み及び/又は垂れ下がりを防止するために必要な張力を維持する能力を有する。この種類の吸収性物品は、物品を着用者の身体形状に適応させるために、物品の着用者への適用前又は適用の間のいずれかにおいて、ユーザー又は着用者が、吸収性物品の様々なエリア、例えば、おむつの股又はウエスト領域を「永続的に」調節できるようにする。おむつの場合には、より良いフィット及び快適性はまた、おむつがより良くフィットしているために漏れが減少するなどのより良い機能性能を付与することができる。こうした機能は、吸収性物品についてこれまで利用できていなかった。
【0003】
所望の伸縮性特性を吸収性物品の目標のエリアに提供することについては、様々な手法がある。伸縮性材料は、エラストマー材料を包含するフィルム又は不織布繊維ウェブであってもよい。典型的には、こうした材料は、少なくとも1つ、及び可能であれば複数の方向に伸縮性である。しかしながら、フィルム又はウェブは完全にエラストマー材料から製造されるため、それらは比較的高価であり、皮膚表面に対して、より大きい抵抗を有し、結果として物品の着用者に不快感をもたらす傾向がある。また、材料がエラストマーであるため、いずれかの適用されたひずみは、ひずみをもたらす力が取り除かれた時には実質的に元の状態に戻る。時には、伸縮性フィルムは不織布ウェブの1以上の層にラミネートされる。典型的な不織布ウェブは、典型的には熱可塑性繊維から製造されるため、それらは非常に僅かな伸縮性を有し、結果として得られるラミネートは、追加的加工がないとストレッチに対してかなりの抵抗を与える。機能的なストレッチラミネートを製造するためには、実質的にこの抵抗を減らすことが必要である。結果として、こうした材料は、適用時に、着用者の身体の特殊性に形状、サイズを合わせる又は適合させる能力が限られている。
【0004】
伸縮性材料を製造するための他の手法もまた既知であり、それには:ストレッチ−ボンデッド・ラミネート(stretch-bonded laminates)(SBL)及びネック−ボンデッド・ラミネート(necked-bonded laminates)(NBL)が挙げられる。ストレッチ−ボンデッド・ラミネートは、エラストマー材料を機械方向(MD)にストレッチし、それがストレッチされた状態にある間にそれを1以上の不織布基材にラミネートし、そしてエラストマー材料の張力を解除し、その結果不織布が寄り集まって皺のある形状を取ることにより製造される。ネック−ボンデッド・ラミネートは、不織布基材を、それが少なくとも機械横方向(CD)に狭窄されるように(即ち、その寸法を減らすように)最初に機械方向にストレッチし、次にエラストマー材料を基材に、基材がなおストレッチされて狭窄された状態にある間に接着することにより製造される。このラミネートは、不織布が狭窄される前の不織布の少なくとも元の幅まで、機械横方向に伸縮性である。ストレッチ−ボンディング及びネック−ボンディングの組み合わせはまた、機械方向及び機械横方向の両方にストレッチをもたらすことが知られている。これらの手法では、ラミネートの構成要素が共に接合される時、少なくとも1つの構成要素は張力をかけられた(即ち、ストレッチされた)状態である。重ねて、これらの材料は、吸収性物品のユーザー及び着用者に所望される、サイズを調節する又は成形する機能を付与するためには吸収性物品に用い得ない。
【0005】
ゼロひずみストレッチラミネートもまた知られている。ゼロひずみストレッチラミネートは、エラストマーと不織布の両方がピンと張ってない状態でエラストマーを不織布に接着することにより製造される。次に、ラミネートは漸増的にストレッチされ、ストレッチ特性が付与される。漸増的にストレッチされたラミネートは、ラミネートの復元しなかった(即ち、残っている)伸展性によってもたらされる程度までのみ伸縮性であることができる。例えば、米国特許第5,156,793号(ビューエル(Buell)らに発行)は、エラストマー−不織布ラミネートウェブを、不均一な方式で漸増的にストレッチして、結果として得られるラミネートに弾性を付与するための方法を開示している。これらのストレッチラミネートは、着用者のサイズ又は形状に適応される固有の能力を持たないという点において、前述の材料に似た挙動をする。
【0006】
この技術はまた、適用されその後解除される伸長を受けた時に、少なくとも1つの軸線に沿って弾性様の挙動を有するフィルムを提供するために、実質的に可塑性のフィルムに予ひずみを与えることにより、「弾性」材料を提供している。こうした材料は、構造的弾性様フィルム(Structural Elastic-Like Films)(SELF)として知られており、米国特許第5,691,035号(チャペル(Chappell))に記載されている。
【0007】
しかしながら、上記のすべての手法において、材料又はラミネートは別個に製造され、その後吸収性物品の中に組み込まれる。例えば、本明細書に記載されるストレッチラミネートは、「カット−アンド−スリップ(cut-and-slip)」プロセスと呼ばれることもあるプロセスにおいて、適切なサイズ及び形状に切断され、次に製品の所望の位置に接着剤により取り付けられなければならない。製品の異なる要素のために異なるストレッチ特性が必要であるため、異なる伸縮性を有する多様なラミネートを製造し、並びにラミネートを異なるサイズ及び形状に切断することが必要である。ストレッチラミネートの異なる伸縮性を取り扱う及びそれらを製品の異なる位置に取り付けるには、幾つかのカット−アンド−スリップユニットが必要な場合がある。カット−アンド−スリップユニット及び/又は工程の数が倍増するにつれて、プロセスは急速に厄介で複雑、及び高価なものになる。これらのプロセスは、今日の吸収性物品の製造に好適であり及び望ましいものである。しかしながら、所望のサイズ調節及び/又は成形特性を有するが、こうした複雑な及び高価な「カット−アンド−スリップ」プロセスを必要とせずに、吸収性物品の中に又はその上に配置され得る吸収性物品を得ることはそのため望ましい。
【0008】
当該技術によって用いられるカット−アンド−スリッププロセスの1つの代替物は、エラストマー組成物を基材上に印刷することである。代表的な開示には、粘着印刷プロセスを用いて吸収性物品の構成要素を粘着することを論じる米国特許第6,531,027号、次の特性:弾性、融解粘度、組成、形状、パターン、付け足しの濃度(add-on level)の内の少なくとも1つについて異なる組成物の第1及び第2エラストマー組成物を基材上に印刷することを論じるPCT特許出願03/039420、及び弾性接着剤を伸展可能な基材に印刷し、衣類の着用中に張力を提供することを論じる国際公開第03/053308号が挙げられる。
【0009】
ポリマー技術は吸収性物品構造体に有用であるストレッチ特性を有する材料を提供してきた。こうした材料には:
米国特許第6,555,643号及びEP1256594A1に開示されるようなポリマー鎖に沿って立体エラー(stereoerrors)を有するアイソタクチックポリプロピレン;
米国特許第6,342,565号及び第6,500,563号、及びPCT国際公開特許WO03/400201に開示されるようなアイソタクチックポリプロピレン及びα−オレフィン/プロピレンコポリマーのブレンド;並びに
米国特許第6,559,262号、第6,518,378号、及び第6,169,151号に開示されるようなブロック様のアイソタクチック−アタクチックコポリマーが挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述のことに基づいて、所望のようにサイズを調節する又は成形することができるが、着用者上への持続したフィットを容易にするために所望の程度の弾性をなお維持するように、弾性及び可塑性の特性の両方を持つ伸縮性材料を有する吸収性物品を得ることは望ましい。吸収性物品のいずれかの特別なエリア上にいずれかの所望の量で容易に配置され得るような材料を得ることは、必ず必要というわけではないが望ましい。更に、「カット−アンド−スリップ」プロセスのような既知の技術を介して、吸収性物品の別個の相隔たるエリアに容易に設置され得る、可塑性及び弾性の特性を有するこのような材料又は複合材料を得ることは望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの態様では、塑弾性材料は、それが初期ひずみを受ける時には実質的に可塑性の特性を有し、それが第2ひずみ周期を受ける時には実質的に弾性の特性を有する。本発明の他の態様では、吸収性物品中に用いられる材料は、ヒステリシス試験(Hysteresis Test)に従って、200%のひずみの第1適用時には少なくとも約15%の固定を有し、及び50%のひずみの第2適用時には約15%未満の固定を有する。典型的には、こうした材料はまた、200%のひずみの第1適用後に、25%の伸長において0.005N/cm〜約50N/cmの抵抗力を有する。
【0012】
本発明の別の態様では、塑弾性材料は、不織布材料に使用される繊維に有利に押出成形される。こうした繊維は、塑弾性材料のみを含んでもよいし、又は少なくとも1つの追加材料を含むバイコンポーネント繊維であってもよい。追加材料は、実質的に可塑性の応力−ひずみ特性を有するポリマー化合物であってもよいし、又は実質的に弾性の特性を有するポリマー化合物であってもよい。
【0013】
本発明の更に別の態様では、塑弾性材料は、フィルムキャスティング及びフィルム吹き込みのような既知の押出成形技術を用いてフィルム構造体に形成されてもよい。こうしたフィルムは、塑弾性材料のみを含んでもよいし、又は少なくとも1つの追加材料を含む共押出フィルムであってもよい。追加材料は、実質的に可塑性の応力−ひずみ特性を有するポリマー化合物であってもよいし、又は実質的に弾性の特性を有するポリマー化合物であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
定義
本明細書で使用する時、用語「ポリマーブレンド」は、ホモポリマー、コポリマー(例えば、ブロック、グラフト、ランダム及び交互コポリマー)、ターポリマーなど、並びにこれらのブレンド及び変性物が挙げられるが、これらに限定されないポリマーの混合物を意味し、これは均質の混合物である固溶体の形態である。任意の補助剤がポリマーブレンドに添加されてもよく、ブレンドが固溶体を維持する場合、こうしたブレンドはまたポリマーブレンドとも考えられる。
【0015】
本明細書で使用する時、用語「ポリマーの混合物」は、少なくとも2つのポリマー材料の混合物を意味し、その中で1以上のポリマー材料の少なくとも一部分は、別のポリマー材料の少なくとも一部分に不混和性であり、即ち混合物は均質ではない。
【0016】
「ストレッチ」とは、材料が少なくとも1つの寸法に、その寸法の方向に適用される引っ張り力(即ち、張力)を受けた時に、その元の長さを超えて伸びる能力を有することを意味する。「ストレッチ」は、一方向性、二方向性、又は多方向性であってもよい。材料の具体的な「ストレッチ」特性は、ストレッチベクトルのいずれかに沿って異なってもよい。本明細書で使用する時、ストレッチは、弾性及び塑性変形の両方を包含する。
【0017】
「弾性の」又は「弾性」は、材料が張力又はその寸法における力を受け、その後材料上の伸長する張力を解除する(即ち、材料を緩和させる)といった伸長−緩和周期後に、材料が実質的にその元の予めストレッチされた寸法に戻る能力を有することを意味する。
【0018】
「可塑性の」、「可塑性」、「伸展性の」、又は「伸展性」は、材料が適用された引っ張り力の下で、力が取り除かれた時に著しく復元せずに、少なくとも一方向に伸長する能力を有することを意味する。実質的に復元可能でない変形は、塑性変形と呼ばれる。
【0019】
「塑弾性の」及び「塑弾性」は、材料が、初期ひずみ周期(即ち、材料中にひずみを生じさせるために引っ張り力を適用し、次に材料を緩和させるために力を取り除く)の間に実質的に可塑性の方式でストレッチするが、後続ひずみ周期の間に実質的に弾性挙動及び復元を示す能力を有することを意味する。弾塑性材料及び弾塑性は、こうした材料について同意義の記述であることもまた認識される。
【0020】
用語「接合される」は、本発明で使用する時、ある要素が他の要素に直接取り付けられることにより他の要素に直接固定される構成と、ある要素が中間部材に取り付けられ、その中間部材が他の要素に取り付けられることにより他の要素に間接的に固定される構成とを包含する。
【0021】
本明細書で使用する時、用語「配置される」は、ある要素が特定の場所又は位置で他の要素と共に単一構造体として、又は他の要素に接合された別個の要素として形成(接合及び配置)されることを意味するために使用する。
【0022】
用語「接合される」は、本発明で使用する時、ある要素が他の要素に直接取り付けられることにより他の要素に直接固定される構成と、ある要素が中間部材に取り付けられ、その中間部材が他の要素に取り付けられることにより他の要素に間接的に固定される構成とを包含する。
【0023】
「単一の」吸収性物品は、結合した別個の部分から形成され、調和した統一体を形成しているので、別個のホルダー及びライナーのような別個の操作部分を必要としない吸収性物品を指す。
【0024】
本明細書で使用する時、用語「おむつ」とは、一般に乳幼児及び失禁者により胴体下部の周囲で着用される吸収性物品を指す。
【0025】
「長手方向」は、物品の最大の直線寸法に平行に走る方向であり、長手方向±45°内の方向を包含する。「横」又は「横断」方向は、長手方向に直交する。「Z方向」は、長手方向と横断方向の双方向に直交する。「X−Y平面」は、長手方向と横断方向に相合する平面を指す。
【0026】
本明細書で使用する時、用語「基材」は、単層又は多層を有する、フィルム、有孔フィルム、不織布ウェブ、織布ウェブ、フォーム、若しくはこれらの組み合わせ、又は木材パルプを包含するドライラップ材料、セルロース誘導体、誘導体化若しくは変性セルロース系材料などを包含するいずれかの材料を指す。本明細書で使用する時、用語「繊維性基材」は、例えば不織布材料、織布材料、編んだ材料、及びこれらのいずれかの組み合わせが挙げられる、天然若しくは合成材料のいずれか、又はそのいずれかの組み合わせであり得る複数の繊維から構成される材料を指す。
【0027】
本明細書で使用する時、用語「不織布」は、連続長繊維及び/又は不連続繊維から製造される布地を指す。不織布布地には、短繊維をカーディングする、短繊維をエアーレイ又はウェットレイすることにより製造されるもの、並びにスパンボンド及びメルトブローのような押出成形プロセスを介して製造されるものが挙げられる。不織布布地は1以上の不織布層を含むことができ、各層は連続長繊維又は不連続繊維を包含することができる。不織布はまた、バイコンポーネント繊維を含むこともでき、これは、シェル/コア、並列(side‐by‐side)、又はその他の既知の繊維構造体を有することができる。
【0028】
「成形ひずみ周期」は、引っ張り力を適用して塑弾性材料を所望の伸長まで伸展し、その後引っ張り力を取り除き、試料を緩和させ、永続的な「固定」又は変形のかなりの量を材料中に生成する工程を意味する。
【0029】
好ましい実施形態
好ましい実施形態では、本発明は、より大きいサイズ及び/又は異なる形状のような新しい幾何図形的配置に、実質的に永続的にストレッチされてもよく、その後、サイズがより大きくなった又は新形状になった物品が拡大してもよく、この新しい幾何図形的配置に実質的に縮小して戻ってもよいという点において弾性である材料のウェブを提供する。こうしたウェブは、吸収性物品、例えば、おむつ、プルオン型おむつ、トレーニングパンツ、生理用ナプキン、拭き取り用品、よだれ掛け、失禁用ブリーフ、又はインサートに用いる材料として、物品が使用前には便宜上小型サイズで包装、輸送、及び貯蔵でき、その後使用時には包装から取り出され、着用者の上に便利に着用されるように拡大できるという意味で特に有用である。いったん着用者の上になれば、良好なフィット及び快適性のために、物品は伸縮自在に拡大及び縮小してもよい。本発明との関連において、初期ストレッチ又は引っ張りを受けた時の物品の拡大又は伸展性は、物品がその新しい幾何図形的配置を実質的に維持するという点において物品の「塑性」変形と呼ぶことができる。ある程度の縮小及び伸展性がほとんどの可塑性材料に存在することを当業者は認識しているため、この新しい幾何図形的配置が完全に維持される必要はないことは理解されるべきである。換言すれば、物品の初期塑性変形の永続性は時には完全でなくてもよい。同様に、初期力後の後続のストレッチ、引っ張り又は張力の際の物品の弾性もまた完全なものではないが、初期塑性変形のように、物品の塑性変形された新しい幾何図形的配置においては、ほぼ弾性であってもよい。
【0030】
別の言い方をすれば、本発明は、成形ひずみ周期の前及び周期の間には実質的に可塑性の挙動を示すが、初期成形ひずみ周期後の後続ひずみ周期の間には実質的に弾性の挙動を示す吸収性物品に有用な材料を提供する。例えば、吸収性物品は、着用者又は介護人がひずみ周期中に塑弾性材料の少なくとも一部分を選択的に伸長して、便利に着用できるように及び着用者により良くフィットするように物品の形状を適応させたり、並びにひずみ周期後の弾性のゾーンを構築したりしてもよいように、こうした塑弾性材料をその塑性変形可能な状態(即ち、成形ひずみ周期前)において使用してもよい。あるいは、物品の製造中に、物品の塑弾性材料の少なくとも一部分は成形ひずみ周期を受けて所望の物品の形状を作り出し、成形ひずみ後に弾性のゾーンを構築してもよい。
【0031】
塑弾性材料
吸収性物品に用いるために好適な塑弾性材料は、以後により詳細に記載されるヒステリシス試験(Hysteresis Test)に従って、200%のひずみの第1適用時に少なくとも約15%の固定を有し、50%のひずみの第2適用時に約15%未満の固定を有する。典型的には、塑弾性材料は、初期の200%ひずみからの緩和時に、少なくとも約30%の固定を有する。より好ましくは、塑弾性材料は、約40%を超える、より好ましくは約50%を超える、及び最も好ましくは約70%を超える固定を示す。こうした材料は典型的には、200%の第1ひずみ周期後に約30%〜約140%、より典型的には約30%〜約120%、及び更により典型的には約40%〜約100%の固定を有する。
【0032】
後続ひずみ周期では、200%まで予ひずみを与えられた本発明の塑弾性材料は、約15%未満の固定、好ましくは約12%未満の固定、及びより好ましくは約10%未満の固定を、50%の第2ひずみからの緩和の後に示す。
【0033】
塑弾性材料はまた、第1ひずみ周期後にひずみを与えられる構成で長時間少なくとも部分的に引き伸ばされた状態で保持された時に、低い力緩和を示してもよい。200%まで予ひずみを与えられた典型的な塑弾性材料は、約70%未満、好ましくは約60%未満、より好ましくは50%未満、及び最も好ましくは約40%未満の力緩和を、50%のひずみで4時間38℃で保持される間に示す。ひずみを与えられた構成で、より低温で保持された時にも力緩和挙動は同様なものである。具体的には、予ひずみを与えられた(200%)塑弾性材料は、約70%未満、好ましくは約60%未満、より好ましくは50%未満、及び最も好ましくは約40%未満の力緩和を、50%のひずみで30秒間25℃で保持される間に示す。
【0034】
こうした所望の力緩和挙動は、塑弾性材料の弾性構成成分が、1を超える弾性材料を含む場合に特に顕著である。実施例2に見られるように、こうしたブレンドは各々の構成要素の弾性材料の有益な特徴を有することができる。
【0035】
好適な材料は、200%のひずみの第1適用後に、25%の伸長で0.005N/cm〜約50N/cmの抵抗力を有する。好ましくは、材料は、25%のひずみで、約0.05N/cm〜約15N/cm、より好ましくは約0.01N/cm〜約5N/cmの抵抗力を有する。特定の実施形態では、弾性抵抗は、約0.1N〜約3N/cmの範囲である。
【0036】
製造プロセス中に予ひずみを与えられた吸収性物品の機構が、それらの予ひずみを与えられた構成を流通システムを通じて維持するのを保証するのに役立つために、本発明の塑弾性材料は、高温に長時間暴露された時に、好ましくはそれらの予ひずみを与えられた寸法を維持する。好適には、第1ひずみ周期後の寸法は、60℃に2分間拘束されずに暴露した後で約20%未満減少する。好ましくは、こうした寸法の減少は約15%未満であり、より好ましくは約10%未満である。好適な塑弾性ストレッチ材料は多構成成分ポリオレフィン組成物を含み、これは少なくとも1つの弾性構成成分と、第1ひずみ周期の間に組成物が可塑性挙動を示す原因となる少なくとも1つの構成成分との組み合わせを含む。こうした組成物は次の節において、更に十分に記載される。
【0037】
弾性構成成分
弾性構成成分は、塑弾性材料への伸長張力の緩和時に、特に初期成形ひずみ周期に続くひずみ周期時に、復元の所望の量及び力を提供するように機能する。多くの弾性材料が当該技術分野において既知であり、それには合成又は天然ゴム(例えば、架橋ポリイソプレン、ポリブタジエン及びそれらの飽和変形物(水素添加後)及びポリイソブチレン)、ポリスチレンブロックと共重合されたゴムエラストマーブロック(例えば、スチレン/イソプレン/スチレン又はスチレン/ブタジエン/スチレン)を含むもののような多元ブロックコポリマー又はポリウレタンのいずれかに基づく熱可塑性エラストマーが挙げられ、これは、エラストマー相に分散された時、高度な機械的完全性を提供するためにポリマー鎖を共に固着する硬質ガラス相を形成する。好ましい弾性構成成分には、エチレン及びプロピレン系エラストマーが挙げられる。
【0038】
エチレンに富むエラストマーは、エチレンに富む主鎖の結晶化度を著しく減少するために、主鎖の中に程度の差はあるが無作為に組み込まれるコモノマーの様々な量と共に重合されてもよい。不飽和はまた、イオウ化学を介する又は放射線への暴露を介するその後の架橋又は硫化反応のための反応部位を提供するために、鎖に沿って組み込まれてもよい。架橋反応は、ポリマー鎖を互いに連結し、望ましくないずれ又は応力緩和をもたらす場合がある鎖の滑りを最小にすることにより、更に大きい形状の復元可能性を結果としてもたらす。少量のその他の化学部分により官能化されたエチレンに富むエラストマーはまた、その後の強い極性相互作用(アイオノマー中でのように)のための、又はその後の架橋反応(水架橋可能なシラン変性ポリエチレン)のための部位を提供してもよい。調整された組成、分子量、並びに狭い組成及び分子量分布を有するエチレンに富むエラストマーはまた、メタロセン系触媒を用いて製造されてもよい。換言すれば、残りのエチレン系の結晶化度の量は制御されてもよく、並びに増加した機械的安定性及び完全性を材料に提供することができる、物理的架橋及び鎖固着構成要素として機能することができる。
【0039】
特に好ましい弾性構成成分には、プロピレンに富むエラストマーが挙げられる。これらの材料において、プロピレンはポリマー主鎖の主要構成成分に相当し、及び結果としていずれかの残りの結晶化度は、ポリプロピレン結晶の特徴を有する。エチレン系エラストマーの場合のように、プロピレン系エラストマー分子ネットワークの中に埋め込まれた残りの結晶構成要素は物理的架橋として機能して、高い復元、低い固定及び低い力緩和のような弾性ネットワークの機械的特性を改善するポリマー鎖固着能力を提供してもよい。
【0040】
固着能力を提供する代替的手段は、無機粒子を非晶質ポリマーマトリクスの中にブレンドすることである。好適な粒子は、サイズが微視的なもの(直径>0.1μと等価)又はナノスケールのもの(直径<0.1μと等価)のいずれかであってもよい。例えば、本発明のポリオレフィン可塑性構成成分中の微視的無機充填剤物質の使用は、引っ張り負荷の間のミクロ細孔の形成を促進し及び使い捨て吸収性製品の内部環境に有益である、物質の水蒸気伝達を増加してもよい。
【0041】
好ましいエラストマー材料はポリプロピレンポリマーを含み、それには次のものが挙げられる:
a)結晶性アイソタクチックブロック及び非晶質アタクチックブロックを含むポリプロピレンポリマー。この場合、結晶性ブロックは、非晶質ブロックのための「固着」ポイントとして役立ち、非晶質ブロックはこうしたアンカーの間に存在する。こうした材料は、例えば米国特許第6,559,262号、第6,518,378号、及び第6,169,151号に開示されている。
b)米国特許第6,555,643号及びEP1256594A1に開示されるような、ポリマー主鎖に沿って立体エラー(stereoerrors)を有するアイソタクチックポリプロピレン。
c)エチレン又はより高級なα−オレフィンのような低濃度のコモノマーを主鎖の中に組み込み、エラストマーのランダムコポリマー(RCP)を形成するポリプロピレンポリマー。代表的材料には、テキサス州ヒューストンのエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Co.)から入手可能であるようなヴィスタマックス(VISTAMAXX)及びミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company)から入手可能であるようなオリンパス(OLYMPUS)が挙げられる。
【0042】
本発明の別の実施形態では、弾性構成成分は弾性材料のブレンドを含んでもよい。以上及び実施例2に記載されるように、こうしたブレンドは、特に所望の力緩和特性に寄与する。この種類の特に好ましい実施形態では、弾性構成成分は、ポリプロピレンエラストマーとスチレンブロックコポリマーとの組み合わせを含む。
【0043】
可塑性構成成分
本発明の塑弾性組成物の可塑性構成成分は、初期成形ひずみ周期の間に材料に付与される永続的塑性変形の所望の量を提供するために機能する。塑弾性組成物中の所与の可塑性構成成分の濃度が高ければ高いほど、材料上への初期ひずみ力の緩和に続いて起こり得る永続的「固定」は大きくなる。好ましい可塑性構成成分には、1以上の方向に引っ張り力を受けた時にそれ自体が本質的に可塑的に変形可能である、より高い結晶化度のポリオレフィンが挙げられる。この種類の代表的なポリオレフィンには、特定の直鎖低密度ポリエチレン(直鎖低密度ポリエチレン)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレンホモポリマー、及びプロピレンと約80℃を超える溶融温度を有するエチレンのような別のモノマーのごく少量とのランダムコポリマー(可塑性RCP)、衝撃コポリマー(ICP)としても既知のゴムが可塑性相に分散された多相系、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリブテン、ポリオレフィンワックス及びそれらのブレンドが挙げられる。好適なポリオレフィン可塑性構成成分は、弾性構成成分に混和性又は不混和性のいずれかであってもよい。好ましいポリオレフィン可塑性構成成分材料は、以下に論じられる相互貫入ネットワークを促進するために、弾性構成成分を構成する材料に少なくとも部分的に不混和性である。例えば、塑弾性材料の弾性構成成分が上記の立体異性体の種類のものである実施形態では、中級の結晶化度(中くらいのエチレン含有量に対して低い)のRCPマトリクスは、好ましい可塑性構成成分(例えば、日本ポリプロ株式会社(Japan Polypropylene)(日本、東京)から入手可能なウィンテク(WINTEC)WFX4T)である。あるいは、弾性構成成分がランダムコポリマーの種類のものである場合、中くらいの又は高い溶融温度のポリプロピレンホモポリマー又は直鎖低密度ポリエチレンは、好ましい可塑性構成成分(例えば、テキサス州ヒューストンのエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)からのアチーブ(ACHIEVE))である。
【0044】
ポリオレフィン可塑性構成成分の代替的多形体の形態もまた好適である場合がある。例えば、ポリプロピレンのβ−結晶性の形態は、容易に変形可能である、高度に可塑性で丈夫な可塑性構成成分を提供する場合がある。引っ張り変形時に、β−結晶性ポリプロピレンはまた微小空洞を生成する場合があり、可塑性構成成分の輸送特性及び最終的には塑弾性材料の輸送特性(例えば、それを通って水蒸気を輸送する能力)を向上させる。
【0045】
特に好ましい可塑性構成成分は、ポリオレフィンワックスである。この種類の好適な材料には、微晶性ワックス、低分子量ポリエチレンワックス、及びプロピレンワックスが挙げられる。こうしたワックスは、塑弾性組成物の約5%〜約50%で、好ましくは約10%〜約40%で有利に用いられる。代表的な材料には:コネチカット州ミドルベリのクロンプトン社(Crompton Corporation)からマルチワックス(Multiwax)W−835として入手可能な微晶性ワックス;カリフォルニア州サンラモンのシェブロン・テキサコ・グローバル・ルブリカンツ(Chevron Texaco Global Lubricants)から精製ワックス(Refined Wax)128として入手可能な低溶融精製石油ワックス;ニュージャージー州モリスタウンのハネウェル・スペシャルティ・ワックス・アンド・アディティブズ(Honeywell Specialty wax and Additives)からA−C735として入手可能であるような低分子量ポリエチレン、及びロードアイランド州コベントリのクラリアント、ピグメント・アンド・アディティブズ部門(Clariant, Pigments & Additives Division)からリコワックス(Licowax)PP230として入手可能であるような低分子量ポリプロピレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
塑弾性組成物
多くは塑弾性ブレンドプロセスによりもたらされる、塑弾性材料中の弾性及び可塑性構成成分の構造的及び形態的な特徴は、結果として得られる塑弾性材料の応力−ひずみ特性にとって決定的に重要な意味を持つ。特に、あらゆる不混和性構成成分の微小規模の分散を実現することは重要である(即ち、あらゆる識別可能なドメインは約10μ未満の等しい直径を有する)。好適なブレンド手段は、当該技術分野において既知であるように、2軸押出成形機(例えば、ポリラブ2軸押出成形機(Polylab Twin Screw Extruder)(ドイツ、カルルスルーエのサーモ・エレクトロン(Thermo Electron)(カルルスルーエ(Karlsruhe))から入手可能))である。多構成成分ポリマーブレンドの形態は、多くの要因、例えば構成成分の各々の相対比及び溶融レオロジー、それらの相対粘度、並びに様々な可塑性及び弾性構成成分の適合性に典型的には依存する。例えば、より微細なブレンドの形態は、より大きい熱力学的親和力を有するポリマー間で実現される場合がある。
【0047】
好適な塑弾性組成物は、約95重量%〜約5重量%の弾性構成成分、及び好ましくは約90重量%〜約40重量%の弾性構成成分を含んでもよい。好ましくは、塑弾性組成物は、約5重量%〜約95重量、及びより好ましくは約10重量%〜約60重量%の可塑性構成成分を含んでもよい。幾つかの実施形態では、塑弾性組成物は、2を超える主要構成成分を含んでもよい(即ち約5%を超える濃度で2を超える構成成分が用いられる)。
【0048】
組み合わせは、弾性及び可塑性構成成分の混和性の程度に依存して、ポリマーブレンド又はポリマー混合物の形態のいずれかであってもよい。組み合わせの形態がブレンドである場合、1つの構成成分は、他の構成成分(類)の分散粒子を取り囲む連続相を形成することができる。好ましくは、塑弾性組成物は、両方の相が相互貫入ネットワークを形成する共連続形態を有する相互貫入ブレンドを含む。
【0049】
重要なことには、伝統的な高結晶化度ポリオレフィンの可塑性の特徴と、伝統的なエラストマーの弾性の特徴との特異な組み合わせを示すために、塑弾性組成物を含むポリオレフィン系材料が選択される。より具体的には、材料は次の機械的性能特性を塑弾性組成物に提供するように選択される:
a)およそ室温の温度における初期変形ひずみ周期に応える低い力での塑性(即ち、「永続的」)変形、及び通常の体温以下又は僅かに高い温度での伸展。好適には「永続的」変形の伸展は、適用される全体のひずみの少なくとも約30%、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約70%である。適用されるひずみは、一軸又は複数ベクトルのいずれかであることができる。
b)予めストレッチされた材料は、次に複数の後続変形周期時に、実質的に弾性の挙動を、低い固定、高い復元、及び低い力緩和と共に、体温以下の温度で、特に元の変形周期の間に適用されるひずみの範囲にわたって示す。
【0050】
好適な塑弾性材料は次のものを有する:
a)約20℃〜約100℃の範囲の温度及び0.01〜2000s−1の範囲の初期ひずみ速度において、50〜500%の範囲の最大伸展値について、初期ひずみ周期の15%〜140%の範囲の永続的な消散的粘塑性変形の相対量。好ましくは、材料は約1〜2000s−1、より好ましくは50〜2000s−1のひずみ速度、更により好ましくは1000〜2000s−1のひずみ速度において、失敗なく変形され得る。
b)以下の試験方法の節に記載される、貯蔵条件における寸法安定性試験(Dimensional Stability in Storage Conditions test)により測定される時、材料の巨視的な寸法の20%未満の変化を特徴とする、60℃までの温度への暴露時の第1負荷周期に続く材料の寸法安定性。
c)少なくとも30%(好ましくは40%、及び更により好ましくは50%)のひずみへの後続負荷による材料の伸展時の15%未満の永続的固定値。好ましくは、固定は各後続ひずみ周期時に適用されるひずみの10%未満である;
d)40℃までの温度について10時間までの期間の50%のひずみ(即ち、150%の伸長)において70%未満、好ましくは50%未満の力緩和の%。
【0051】
繊維/不織布
本明細書に記載される塑弾性組成物を含む繊維及び不織布材料は、使い捨て吸収性物品の構成要素として用いられる場合、有利な機能を提供することもまた見出されている。こうした機能には、繊維/不織布材料が塑性変形を介して吸収性物品の部分の「永続的な」調節を容易にし、同時に物品が弾性の伸展性を介して広範囲の身体の動きの間中、着用者の身体への適合に寄与できることによる、多様な身体形状にフィットするための選択的調節機能、及び塑弾性材料の繊維を含む不織布が、製造プロセス中に選択的にストレッチされて所定の形状を形成し、そのため廃物として捨てられる材料の量を減少できることによる材料の効率的な利用が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
繊維はあらゆる好適な大きさであってもよく、即ち繊維は約0.5μ〜約200μの直径又は等価の直径を有してもよい。約10〜約40μの繊維直径又は等価の直径が特に好ましい。別の言い方をすると、本発明の塑弾性材料を組み込む繊維は、好適には、約1〜約10デニール、好ましくは約1〜約8デニール、より好ましくは約1〜約5デニールである。
【0053】
1つの実施形態において、繊維は、改善された圧密のためにバイコンポーネント繊維を含む。バイコンポーネント繊維は、典型的には固有の繊維特性と結合性能をより良好に分離する手段として使用され、後者は、バイコンポーネント繊維の場合には典型的にはシースにより支配されている。よく知られているように、バイコンポーネント繊維は、繊維にポリマー構成成分からそれぞれの特定の望ましい特性を与えるように共押出される、第1及び第2ポリマー構成成分を含む(認識されるように、第1と第2の両方のポリマー構成成分は熱可塑性ポリマーを含む)。例えば、バイコンポーネント繊維は、第2ポリマー構成成分よりも低い軟化温度を有する第1ポリマー構成成分を含むことができる。そのような構造は、熱圧密の際の「溶落ち(burn through)」の危険性を低減する。
【0054】
バイコンポーネント繊維は、あらゆる好適な構成であってもよい。代表的な構成には、シース−コア、海島(island-in-the sea)、並列(side-by-side)、分割されたパイ(segmented pie)及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の1つの任意の実施形態において、バイコンポーネント繊維は、シース−コア構成を有する。
【0055】
スパンボンド構造体、短繊維、中空繊維及び成形繊維、例えば多角断面繊維はすべて、本発明の塑弾性材料及び混合物を含んで製造できる。本発明の繊維は、円、楕円、星形、方形、及びその他の様々な偏心を包含する異なる幾何学的形状を有していてもよい。
【0056】
バイコンポーネント繊維は、本発明の塑弾性材料又は混合物のみを含むものと同等の大きさを有する。即ち、繊維は、約0.5μ〜約200μの直径又は等価の直径を有していてもよい。約10〜約40μの繊維直径又は等価の直径が特に好ましい。別の言い方をすると、本発明の塑弾性材料を組み込む繊維は、好適には、約1〜約10デニール、好ましくは約1〜約5デニール、より好ましくは約1〜約3デニールである。
【0057】
上記のように、バイコンポーネント繊維は、第1ポリマー構成成分及び第2ポリマー構成成分を含む。本発明の具体的実施形態では、第1ポリマー構成成分は、以上に論じられた塑弾性材料を含み、第2ポリマー構成成分は、実質的に弾性の特性を有するポリマー材料か、又は実質的に可塑性の特性を有するポリマー材料のいずれかを含んでもよい。認識されるように、こうした具体的実施形態は、選択される材料の特有の組み合わせに依存して、多種多様な機械的特性を有するように調整することができる。
【0058】
バイコンポーネント繊維に存在する第1ポリマー構成成分及び第2ポリマー構成成分の量は、これらには限定されないが、存在するポリマー、バイコンポーネント繊維の望ましい使用、バイコンポーネント繊維の望ましい特性などのような多くの要因に左右される。1つの任意の実施形態において、第1ポリマー構成成分と第2ポリマー構成成分の重量比は、約1:20〜約20:1である。
【0059】
典型的には上記に記載された繊維は不織布材料に圧密される。圧密は、熱スポット(即ち、点)接着のような、熱及び/又は圧力を繊維ウェブに印加する方法によって実現できる。熱点接着は、米国特許第3,855,046号に記載されているように、繊維ウェブを、その内の1つが加熱され表面に複数個の突起を含有する2つのロールにより形成される加圧ニップの中を通すことによって達成できる。圧密法にはまた、超音波接着、通気接着、樹脂接着、及び水流交絡を挙げることができるが、これらに限定されない。水流交絡は、典型的には、繊維ウェブを高圧水噴流で処理して、機械的な繊維の絡み合い(摩擦)により、ウェブを圧密が望ましい区域に圧密し、繊維絡み合い領域に部位を形成することを伴う。繊維は、米国特許第4,021,284号及び第4,024,612号に教示されるように、水流交絡されることができる。
【0060】
圧密されると、ウェブは、更に加工(即ち、変形)することができる。例えば、単独で又は別の材料とのラミネートとして、ウェブは、伸縮性を付与するために更に加工できる。材料を機械方向又は機械横方向に漸増的にストレッチし、永続的に変形する波形化した互いに係合するロールを用いて、伸展性又はさもなければ実質的に非弾性の材料に伸縮性を付与する方法は、米国特許第4,116,892号、米国特許第4,834,741号、米国特許第5,143,679号、米国特許第5,156,793号、米国特許第5,167,897号、米国特許第5,422,172号、及び米国特許第5,518,801号に開示されている。幾つかの実施形態において、中間構造体は、波形化した互いに係合するロールの間に、この第2の操作における機械方向に関して傾斜した向きで供給されてもよい。あるいは、第2の操作は、圧力下で中間構造体に適用される一対の互いに係合する溝付きプレートを用いて、局所部分における中間構造体の漸増的なストレッチを実現してもよい。上記で示したように、本発明の不織布ウェブは、これら及び同様のプロセスに特に好適であり、それはこれらが冷伸展に特に望ましいからである。
【0061】
本発明の塑弾性材料を含む不織布材料は、使い捨て吸収性物品の構成要素として(例えば、トップシート、カフ材料、コア包装材料として、及びフィルムにラミネートされる場合、又はさもなければバックシートとして水性液体に対して実質的に不浸透性になるように処理される場合)、特に有用である。本発明の不織布ウェブは、これらには限定されないが、使い捨ておむつ、使い捨て失禁用ブリーフ、使い捨てトレーニングパンツ、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)製のスイファー(SWIFFER)(登録商標)洗浄システムのような床洗浄システム用の使い捨てパッド又はシート、生理用品、使い捨て拭き取り用品などのような使い捨て吸収性物品の構成要素として有益な用途を見出すことができるが、その用途は使い捨て吸収性物品に限定はされない。本発明の不織布ウェブは、弾性と長持ちする伸展性との組み合わせを必要とする又はそれらから利益を受けるいずれの用途にも用いることができる。
【0062】
フィルム
他の実施形態では、本発明の塑弾性材料は、フィルムの押出成形に有利に使用されてもよい。こうしたフィルムは、キャスティングのような既知のプロセスを用いて製造されてもよい。塑弾性材料はまた、不織布基材上に押出コーティングされて、その上にフィルム層を有効に形成してもよい。
【0063】
本発明の塑弾性材料を含むフィルムは、モノリシック(即ち、塑弾性材料のみを含む)であってもよい。あるいは、塑弾性材料は共押出フィルムの層を含んでいてもよい。認識されるように、こうした共押出フィルムは、実質的に弾性の特性を有する材料又は実質的に可塑性の特性を有する材料などの他の材料を含む層を更に包含してもよい。
【0064】
本発明によるフィルムは、吸収性物品の構成要素として実用性を見出す。例えば、こうしたフィルムは、バックシートを成形する能力を提供する一方で、液体不浸透性をバックシートに提供することもできる。あるいは、こうしたフィルムはまた、エラストマーの収縮を、例えば使い捨て吸収性物品のサイドパネルに提供するために用いられてもよい。この実施形態では、塑弾性フィルムは、成形ひずみ周期を介して特有の身体構成への初期調節機能を提供し、その後着用中にはその弾性特性によって身体への適合を提供する。
【0065】
吸収性物品のような最終用途のために、こうしたフィルムは薄く、また可撓性であるべきである。望ましくは、本発明の塑弾性材料を含むフィルムは、約200μ未満、好ましくは約100μ未満、より好ましくは約50μ未満のキャリパーを有する。特に製造プロセス中に、好適な耐久力を有するために、本発明によるフィルムは、約10μを超えるキャリパーを有するべきである。
【0066】
フィルムの坪量は、好適には約10g/mを超え、好ましくは約15g/mを超える。望ましくは、バックシート材料として用いるフィルムは、約15g/m〜約35g/mの坪量を有する。認識されるように、他の吸収性物品構成要素に用いられるフィルムは、異なる所望の範囲の坪量を有する。例えば、サイドパネルに用いるフィルムは、望ましくは、約40g/m〜約80g/mの坪量を有する。
【0067】
基材
本発明の特定の実施形態では、本明細書に記載されるウェブ材料は基材にラミネートされてもよい。ラミネートは、熱接着、スプレー接着剤、ホットメルト接着剤及びラテックス系接着剤などが挙げられるが、これらには限定されない接着剤による接着、音波及び超音波接着、並びにポリマーが別の不織布の上に直接キャスティングされ、まだ部分的に溶融している状態の間に不織布の片面に接着する押出ラミネートが挙げられるが、これらには限定されない当業者に既知の多数の接着方法によるか、又はメルトブロー繊維不織布を不織布の上に直接付着させることによって、組み合わせてもよい。ラミネートを製造するためのこれら及び他の好適な方法は、米国特許第6,013,151号及び米国特許第5,932,497号に記載されている。
【0068】
好適な基材材料には、当該技術分野において既知のように、フィルム、有孔フィルム、フォーム、編地、織布繊維ウェブ又は不織布繊維ウェブが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、基材は、ポリエチレン又はポリプロピレンのようなポリオレフィン繊維又は長繊維で製造された伸展性の不織布ウェブである。基材材料は、弾性又は非弾性、伸展性又は非伸展性、伸縮性又は非伸縮性であってもよい。好ましい基材は、以下に記載されるように基材中への熱可塑性エラストマーの浸透を容易にする3次元形態を有する(即ち、繊維間の空き、突起、孔などを介する)。
【0069】
こうした基材材料は、実質的に弾性の特性又は実質的に可塑性の特性のいずれかを有するポリマー樹脂から、同様な特性を有する基材材料を提供するように、好適に形成されてもよい。認識されるように、吸収性物品の設計者に選択されてもよいような所定の応力/ひずみ特性を有する基材と共に本発明による塑弾性ウェブを含むラミネートは、特有の設計要件を満たす広範囲の選択肢を設計者に与える。
【0070】
幾つかの実施形態では、基材は塑弾性材料と連携して、初期ひずみ周期の間に塑弾性材料がどれだけひずみを与えられてもよいかについての限界を提供する。こうした限界は、例えば、ひずみ周期の程度が大き過ぎることは望ましくない吸収性物品の機構に対して、塑弾性材料がある程度のサイズ調節機能を提供することを目的とする場合に有利であり得る(例えば、着用者のウエストの周囲より大きくなるようにウエストバンドをストレッチすることを防止する)。こうした限界は、例えば、基材がひだの付いた状態にある間に塑弾性材料を基材の上に配置することにより、又は介護人にひずみが増加しているという触知信号を提供するためにそれ自体が弾性である基材を提供することにより、提供され得る。好適には、この種類の基材は、初期ひずみ周期が100%を超えて塑弾性材料を伸長しないように、初期ひずみを限定する。任意に、基材は、初期ひずみ周期が75%を超えて塑弾性材料を伸長しないように、初期ひずみを限定する。
【0071】
変形プロセス
本発明のウェブ材料は、吸収性物品の製造において用いられる最も典型的な変形プロセスに好適である。こうしたプロセスには、上記のようなネック−ボンディング及びストレッチ−ボンディングが挙げられるが、これらに限定されない。ウェブ材料はまた、米国特許第5,691,035号に記載されるようにSELF材料を製造するために、及び米国特許第5,156,793号に記載されるようにゼロひずみストレッチラミネートを製造するために用いられてもよい。本発明のウェブ材料が変形プロセスにおいてストレッチされる場合、それらは1つの軸方向に又は1を超える軸に沿って(例えば、2つの軸方向に)のいずれかにストレッチされてもよい。元の形態と異なる形態に材料を成形するプロセスは、幾つかの独立した工程により行われることができる。塑弾性ウェブはまた、印刷、押出コーティング、又は既知のプロセスを用いて他のウェブに接着剤で取り付けられて、塑弾性特性を有するラミネート構造体を形成してもよい。こうした他のウェブが弾性又は可塑性であるか、フィルム又は不織布であるかは重要でない。
【実施例】
【0072】
比較実施例1:
この実施例は、先行技術の2つの樹脂からのフィルム形成を記載する:アドフレックス(ADFLEX)7573の実験用等級(デラウェア州ウィルミントンのバセル・ポリオレフィンズ(Basell Polyolefins)から入手可能なエチレン系エラストマー及びポリプロピレンのリアクターブレンド)(1−1);米国特許第6,555,643号に開示されるようなポリマー主鎖に沿って立体エラー(stereoerrors)を有するアイソタクチックポリプロピレン(1−2);日本の東京のクラレ社(Kuraray Co. Ltd.)からセプトン(Septon)4033として入手可能なスチレンブロックコポリマーを含む、おむつストレッチ構成要素中に典型的に用いられる高性能ブレンド(1−3);テキサス州ヒューストンのエクソン・モービル・ケミカル(Exxon Mobil Chemical)からヴィスタマックス(VISTAMAXX)1100として入手可能であるようなエラストマーのポリプロピレン(1−4);及び非常に低密度のポリエチレン(テキサス州ヒューストンのエクソン・モービル(Exxon Mobil)からのイグザクト(EXACT)4049)と直鎖低密度ポリエチレン(テキサス州ヒューストンのエクソン・モービル・ケミカル(Exxon Mobil Chemical)からのLL6201)との2つのブレンドであって、その場合ID1−5は85%VLDPE/15%LLDPEであり、1−6は70%VLDPE/30%LLDPEである。表1及び表2はフィルムの特性を一覧にする。
【表1】

1.150g/m及び6.4mm幅に正規化されている
【表2】

【表3】

*応力が低過ぎて測定できない
【0073】
以上のように:1)ポリエチレン含有ブレンドは典型的には、200%及び50%の両方の伸長において相対的に高い応力(堅さに関連する)、2)第2伸長周期後の高い力緩和(>15%)、並びに時には3)第2周期の負荷なしの間の30%の伸長において無視できるほどの応力及び/又は第2負荷周期後の高度の追加の固定を有する。
【0074】
実施例2
この実施例は、2つの異なるエラストマーのポリオレフィンのブレンドの特性を例証する。
【0075】
表3に示されるブレンドが、ニューハンプシャー州ニューイントンのハッケ・ポリラブ(Haake Polylab)から入手可能なバッチミキサーの中で化合された。50gのバッチが、約6分間170℃で処理された。市販の酸化防止剤がまた、ブレンドを熱/酸化分解から保護するのを助けるために、ミックスに低濃度(<1%)で添加された。
【表4】

1.米国特許第6,555,643号に開示されるようなポリマー鎖に沿って立体エラー(stereoerrors)を有するアイソタクチックポリプロピレン
2.テキサス州ヒューストンのエクソン・モービル・ケミカル(Exxon Mobil Chemical)から入手可能であるようなヴィスタマックス(VISTAMAXX)1100
3.テキサス州ヒューストンのエクソン・モービル・ケミカル(Exxon Mobil Chemical)から入手可能であるようなイグザクト(EXACT)4049
4.日本の東京のクラレ社(Kuraray Co. Ltd.)からセプトン(Septon)4033として入手可能なスチレンブロックコポリマーを含む、おむつストレッチ構成要素中に典型的に用いられる高性能ブレンド
5.キャタロイ(Catalloy)技術を用いて製造され、メリーランド州エルクトンのバセル・ポリオレフィンズ(Basell Polyolefins)からアドフレックス(ADFLEX)7353として入手可能な、柔らかいポリプロピレン系熱可塑性エラストマーのリアクターブレンド
フィルムの特性が表4及び5に示される。
【0076】
圧縮成形フィルムが、カーバー・プレス(Carver press)(インディアナ州ウォバシュのカーバー社(Carver, Inc.)から入手可能)を用いて、次の工程を用いて調製された:
1.テフロン(Teflon)(登録商標)テンプレート(試料エリアを定義するために中央エリアが切り取られたAテフロン(A Teflon)(登録商標)シート)を設置する。シートの厚さが、0.013cm(0.005インチ)の厚さのテフロン(Teflon)(登録商標)シート上の試料の厚さを決定する。)形成されるべき組成物をプレス上に、テンプレートの空いたエリアの中に設置する。第2の0.013cm(0.005インチ)厚さのテフロン(Teflon)(登録商標)シートで覆う。
2.テフロン(Teflon)(登録商標)シート/組成物の「サンドイッチ」をカーバー・プレス(Carver Press)の加熱された(200℃)圧盤の間に設置し、ゆっくりと22kN(5,000ポンド)の圧力まで負荷を掛ける。30秒間待機する。
3.圧力を53kN(12,000ポンド)まで増やし及び60秒間待機する。
4.圧力を解除し、テフロン(Teflon)(登録商標)シート/組成物の「サンドイッチ」を180°回転し、53kN(12,000ポンド)まで負荷を掛ける。30秒間待機し、及び圧力を解除する。
5.テフロン(Teflon)(登録商標)シート/組成物の「サンドイッチ」を直ちに取り除き、それを室温の金属プレートの間で冷却する。
6.形成されたフィルムがテフロン(Teflon)(登録商標)から容易に外れない場合は、冷凍庫の中に設置し、5分間待機し、そしてテフロン(Teflon)(登録商標)からフィルムを剥がす。
【0077】
フィルム試料は、機械的試験を受ける前に24時間熟成された。
【表5】

1.予ひずみ及び緩和工程が行われた温度。
2.150g/m及び6.4mm幅に正規化されている
【表6】

【0078】
ヒステリシス及び力のデータは、エラストマーを組み合わせることから結果として得られる可能性のある相互作用を示唆する。例えば、スチレンのエラストマーは、低い力緩和を短期間において示すことが既知であるが、より長期間にわたっては緩和が顕著になる。反対に、エラストマーのポリオレフィンは、より迅速な力緩和を短期間においてはっきりと示すが、より長期間にわたっては緩和は一定に保たれる。この実施例において見られるように、これらのエラストマーのブレンドは、力緩和において経時的により漸進的な低下を提供することが見出された。吸収性物品の状況では、この漸進的な低下は、長期間にわたっては収縮力の減少がより少ない一方で、短期間ではレッドマーキング(redmarking)を最小にすることにより意味のある利益をもたらす(力は実質的に経時的に低下しないため、より低い初期収縮力が必要とされる)。
【0079】
実施例3
この実施例は、市販の柔らかい変形可能なポリオレフィン系材料の添加を介して市販のエラストマーのポリプロピレンの引っ張り特性を変更する可能性について例証する。
【0080】
次の材料が、ニューハンプシャー州ニューイントンのハッケ・ポリラブ(Haake Polylab)から入手可能なバッチミキサーの中で化合された。50gのバッチが、約6分間170℃で処理された。市販の酸化防止剤がまた、ブレンドを熱/酸化分解から保護するのを助けるために、ミックスに低濃度(<1%)で添加された。次の組成物(すべての値は重量パーセントによる)が表6に従って調製された。
【表7】

1.テキサス州ヒューストンのエクソン・モービル・ケミカル(Exxon Mobil Chemical)からヴィスタマックス(VISTAMAXX)1100として入手可能であるようなエラストマーのポリプロピレン。
2.パラフィルム(PARAFILM)Mはイリノイ州シカゴのアメリカン・ナショナル・カン(American National Can)により市販されるポリオレフィンの実験用フィルムである。フィルムは、バッチミキサーに添加される前に小片に切断された。
3.テキサス州ヒューストンのエクソン・モービル・ケミカル(Exxon Mobil Chemical)からLL6201として入手可能であるような直鎖低密度ポリエチレン(MI=50g/10min、密度=0.926g/cm、)。
4.テキサス州ヒューストンのエクソン・モービル・ケミカル(Exxon Mobil Chemical)からイグザクト(EXACT)4049として入手可能であるような非常に低密度のポリエチレン(MI=4.5g/10min;密度=0.873g/cm)。
【0081】
圧縮成形フィルムは、カーバー・プレス(Carver press)により、実施例2に記載された方法を用いて調製された。力緩和(表7)及びヒステリシス試験(表8及び9)が上記の方法に従って行われ、並びにデータは次の表に示される(最低限2つの標本が各報告値について分析された):
【表8】

1.予ひずみ工程が実行された温度。
2.200%の代わりに300%まで予ひずみを与えられている
3.150g/m及び6.4mm幅に正規化されている
4.環境室中で温度平衡に達する前に50%までひずみを与えられている
【表9】

【表10】

1.改善されたヒステリシス試験(初期300%周期、その後第2の200%周期(200%で30秒間保持する))
【0082】
以上のように、パラフィルム(PARAFILM)Mをヴィスタマックス(VISTAMAXX)の中にブレンドすることは、予ひずみの結果としてフィルム中に高い固定%値をもたらす;ひずみが大きければ大きいほど、固定は高くなる(室温で300%までひずみを与えられたパラフィルム(PARAFILM)を60%含有するブレンドについて>80%の固定)。パラフィルム(PARAFILM)Mは、初期周期中であっても又は後続周期の低いひずみにおいてであっても、材料を所与のひずみまで変形するのに必要な応力を低下させると考えられている。別の言い方をすれば、それはヴィスタマックス(VISTAMAXX)からの適合するフィットの利益をよく補完する柔らかい手触り及び感触のような塑弾性機能を提供する。以上のように、直鎖低密度ポリエチレン構成成分(多かれ少なかれ結晶化度を有する)をブレンドに添加することは、固定及び/又は力緩和の量に対して多くの影響を及ぼすことなく、負荷及び負荷応力の両方を増加する傾向がある。体温において10時間後の力緩和の%は、パラフィルム(PARAFILM)の添加により増加し、材料の弾性/復元可能性の特徴の部分的損失を示唆する。
【0083】
表10は、上記の材料の組成物について、室温(約23℃)で、(両変形において元の試料長さの)300%又は500%までの2つの連続する変形周期を受けた時の永続的変形の量(初期試料長さに対する標本長さにおいて表現される)を例証する。幅5mm及び長さ2cmを有する圧縮成形フィルム試料が用いられた。試料は、第1ストレッチ寸法まで(即ち3−1については300%、塑弾性組成物3−2〜3−7については500%)手でひずみを与えられ、3秒間保持され、操作が繰り返される前に5分間緩和された。
【表11】

【0084】
以上のように、塑弾性ブレンド(3−2〜3−7)は、様々な量のパラフィルム(PARAFILM)の組み込みの結果として、永続的サイズの増加を50%〜125%の範囲において示す。LLDPE又はVLDPEのパラフィルム(PARAFILM)への添加は、ブレンドの固定%を、パラフィルム(PARAFILM)がブレンドの主要構成成分である場合に更に高める。固定は、追加的ひずみ周期について実質的に増加しないことにも注意すべきである。例えば、第1及び第2周期の間の固定%の違いは、典型的には10%未満であり、多くの場合5%未満である。これは、予ひずみ周期を越えた塑弾性組成物の優れた寸法安定性を示唆するものである。別の言い方をすれば、第1予ひずみ周期の後には実質的に弾性の挙動が存在する。
【0085】
実施例4
この実施例は、市販の柔らかい変形可能なポリオレフィン系材料(パラフィルム(PARAFILM)M)の添加による、多様なエラストマー材料への効果を例証する。
【0086】
次の材料が、ニューハンプシャー州ニューイントンのハッケ・ポリラブ(Haake Polylab)から入手可能なバッチミキサーの中で化合された。50gのバッチが、約6分間170℃で処理された。市販の酸化防止剤がまた、ブレンドを熱/酸化分解から保護するのを助けるために、ミックスに低濃度(<1%)で添加された。表11は、調製された組成物を記載する(すべての値は重量パーセントによる)。
【表12】

【0087】
1.パラフィルム(PARAFILM)Mはイリノイ州シカゴのアメリカン・ナショナル・カン(American National Can)により市販されるポリオレフィンの実験用フィルムである。フィルムは、バッチミキサーに添加される前に小片に切断された。
2.おむつのストレッチ構成要素中に典型的に用いられる高性能ブレンド。それは、日本の東京のクラレ社(Kuraray Co. Ltd.)からセプトン(Septon)4033として入手可能なスチレンブロックコポリマー、ペンシルベニア州ピッツバーグのノバ・ケミカルズ(Nova Chemicals)からPS3190としてのポリスチレン等級、及びテキサス州ウッドランドのペンレコ(Penreco)からドラケオール(Drakeol)600として入手可能なオイルから成り、それは55/10/35の比で共にブレンドされている。
3.テキサス州ヒューストンのエクソン・モービル・ケミカル社(Exxon Mobil Chemical Co)から入手可能なエグザクト(EXACT)4049(MI=4.5g/10min;密度=0.873g/cm)。
4.テキサス州ヒューストンのエクソン・モービル・ケミカル社(Exxon Mobil Chemical Co)から入手可能なLL6201(MI=50g/10min、密度=0.926g/cm、)。
5.VLDPP MARS 3900(MFR約3g/10min;密度=0.862g/cm)は、米国特許第6,555,643号に記載される非常に低密度のポリプロピレン材料である。
6.テキサス州ヒューストンのアトフィナ・ペトロケミカルズ(Atofina Petrochemicals)からEOD−00−07として入手可能であるようなメタロセンポリプロピレン(MFR=8g/10min;密度=0.950g/cm)。
【0088】
非常に低結晶化度のポリオレフィン材料の場合には、より高い結晶化度の材料のごく少量(上記で作製された組成物の約15%まで)が添加されてもよいことに注意されたい。
【0089】
圧縮成形フィルムは、カーバー・プレス(Carver press)により、実施例2に記載された方法を用いて調製された。力緩和(表12)及びヒステリシス試験(表13)が上記の方法に従って行われ、データが次の表に示される(最低限2つの標本が各報告値について分析された)。
【表13】

1.150g/m及び6.4mm幅に正規化されている
2.環境室中で温度平衡に達する前に50%までひずみを与えられている
【表14】

【0090】
以上のように、パラフィルム(PARAFILM)Mを添加することは、多様なエラストマー材料について予ひずみの間にフィルムの高い固定%値を結果としてもたらす。比較のパラフィルム(PARAFILM)/エラストマーブレンド組成物においては、スチレンブロックコポリマー系ブレンドは、最低量の固定、並びに最低量の力緩和を、後者が室温で30秒後又は体温で10時間後に測定される時にも示す。正規化された負荷値もまた相対的に低いままである。エラストマーのポリプロピレン系等級(実施例3のブレンド2及び5)は、より高い固定値、ややより高い力緩和、並びに僅かにより高い負荷値を示す。エラストマーのポリエチレンブレンドは、最高の固定%値(高成形構成成分)、高い負荷値及び相対的に低い力を示す。また、パラフィルム(PARAFILM)を2つの異なる種類のエラストマーと組み合わせる3構成成分ブレンドが、(組成物4−7〜4−9により例証されるように)いずれかの特定用途に必要とされるものへのブレンドの特性のバランスを更に調整するために作製されてもよい。
【0091】
実施例5
この実施例は、市販のエラストマーのポリプロピレン等級(ヴィスタマックス(VISTAMAXX))の引っ張り特性へのワックス/ポリオレフィン混合物の添加の効果を例証する。
【0092】
次のブレンドが、ニューハンプシャー州ニューイントンのハッケ・ポリラブ(Haake Polylab)から入手可能なバッチミキサーの中で化合された。50gのバッチが、約6分間170℃で処理された。市販の酸化防止剤がまた、ブレンドを熱/酸化分解から保護するのを助けるために、ミックスに低濃度(<1%)で添加された。表14による組成物が調製された(値は重量%で表現される)。
【表15】

1.テキサス州ヒューストンのエクソン・モービル・ケミカル(Exxon Mobil Chemical)からヴィスタマックス(VISTAMAXX)1100として入手可能。
2.キャタロイ(Catalloy)技術を用いて製造され、メリーランド州エルクトンのバセル・ポリオレフィンズ(Basell Polyolefins)からアドフレックス(ADFLEX)7353として入手可能な、柔らかいポリプロピレン系熱可塑性エラストマーのリアクターブレンド。
3.テキサス州ヒューストンのエクソン・モービル・ケミカル社(Exxon Mobil Chemical Co)からLL6201として入手可能であるような直鎖低密度ポリエチレン(メルトインデックス=50g/10min、密度=0.926g/cm)。
4.コネチカット州ミドルベリのクロンプトン社(Crompton Corporation)からマルチワックス(MULTIWAX)W−835として入手可能な微晶性ワックス。
5.精製ワックス128は、カリフォルニア州サンラモンのシェブロン・テキサコ・グローバル・ルブリカンツ(Chevron Texaco Global Lubricants)から入手可能な低溶融精製石油ワックスである。
6.ニュージャージー州モリスタウンのハネウェル・スペシャルティ・ワックス・アンド・アディティブズ(Honeywell Specialty wax and additives)からA−C735として入手可能であるような低分子量ポリエチレン。
7.ロードアイランド州コベントリのクラリアント、ピグメント・アンド・アディティブズ部門(Clariant, Pigments & Additives Division)からリコワックス(LICOWAX)PP230として入手可能であるような低分子量ポリプロピレン。
8.ドイツのルートヴィヒスハーフェンのバスフ(BASF)からオパノールB(OPPANOL B)として入手可能であるような非常に低分子量のポリイソブチレン。
【0093】
圧縮成形フィルムは、カーバー・プレス(Carver press)により、実施例2に記載された方法を用いて調製された。力緩和及びヒステリシス試験が上記の方法に従って行われ、データは以下の表15及び16に示される(最低限2つの標本):
【表16】

1.150g/m及び6.4mm幅に正規化されている
【表17】

【0094】
以上のように、高分子量ポリエチレン、分子量ポリエチレン、ポリエチレンワックス、及びポリプロピレンワックスの様々な組み合わせが、ポリプロピレン系エラストマーとブレンドされて、可塑性及び弾性の特性の組み合わせを有するブレンドを提供することができる。リアクターブレンドのエラストマーのポリプロピレンの少量を添加することは、力緩和の量を低下させるだけでなく、また応力値も増加させる。
【0095】
実施例6
この実施例は、米国特許第6,555,643号に開示されるようなポリマー鎖に沿って立体エラー(stereoerrors)を有するアイソタクチックポリプロピレンのブレンドからのフィルム形成を記載し、このアイソタクチックポリプロピレン樹脂は、表17に記載されるような様々な変性剤とブレンドされた。
【0096】
試料
6−1〜6−5が、ニュージャージー州ハッケンサックのC.W.ブラベンダー・インスツルメンツ(C. W. Brabender Instruments)から入手可能な実験室規模のミキサーを用いて化合された(酸化防止剤などの一般に用いられる安定剤物質をブレンドの<1%で包含する)。フィルムは、以下に記載されるヒステリシス試験方法の工程1〜14に類似する方法を用いて、約200℃に加熱し、カーバー・プレス(Carver Press)の中でPTFEシートの間で圧縮することにより、約200μの厚さを有するフィルムに圧縮成形された。
【表18】

1.テキサス州ヒューストンのアトフィナ・ケミカルズ(Ato-Fina Chemicals)からのコードEOD 00−07としての、メルトフローレート8g/10minを有する実験用メタロセンポリプロピレン
2.イリノイ州アーリントンハイツ(Arlington Heights)のポリワン(PolyOne)から入手可能なポリプロピレン系ナノクレイ濃縮物、ポリワン(PolyOne)1001マスターバッチ濃縮物(50%粘土)。
【0097】
これらのブレンドについてのヒステリシス試験による特性が表18に示される。
【表19】

1.ブレンド1−2と同じデータ
【0098】
実施例7
この実施例は、ポリオレフィンエラストマーブレンド及び本発明による塑弾性ブレンドからの繊維の紡績について明らかにする。繊維は:1)ランダムポリプロピレンコポリマー樹脂(テキサス州ヒューストンのエクソン・モービル・ケミカル(Exxon Mobil Chemical)からヴィスタマックス(VISTAMAXX)1120として入手可能)及び2)本発明による塑弾性材料(実施例5の5−7と同じ組成物)から、2つの押出成形機システムを用いて紡がれたが、その場合各押出成形機は、水平単軸押出成形機である。それぞれの押出成形機からスピンパックへの押出品の速度は、四穴スピンパック(ヒルズ社(Hills Incorporated)、フロリダ州ウエスト・メルボルン(W.Melbourne))へ供給する定量溶融ポンプにより制御されている。表19は、成功する繊維形成をもたらすことが見出された押出成形条件を一覧にしている。
【表20】

【0099】
繊維は、483kPa(70psi)までの減衰気圧でこれらの材料の両方を用いて成功裏に紡がれた。
【0100】
実施例8
この実施例は、本発明の塑弾性材料を含む不織布ウェブの形成を明らかにすることを目的としている。
【0101】
小さいウェブが、上記の四穴紡糸ラインを用いて製造された。バイコンポーネント繊維(コア=25%ランダムポリプロピレンコポリマー(テキサス州ヒューストンのエクソン・モービル・ケミカル(Exxon Mobil Chemical)からのヴィスタマックス(VISTAMAXX)2100)及びシェル=75%の塑弾性処方5−7)が276kPa(40psi)の減衰気圧を用いて紡がれた。紡いだ繊維は小型移動テーブル(small-scale moving table)の上に最初に集められ、ブランソン900BCA超音波プローブ(Branson 900 BCA Ultrasonic Probe)(コネチカット州ダンベリーのブランソン・ウルトラソニック社(Branson Ultrasonic Corporation))を組み込むオハイオ州フェアフィールドのマシンテク(Machinetek)により組み立てられた接着装置を用いて超音波接着された。ウェブは276kPaの圧力で接着された。信号の振幅(ダイアル位置50)及びウェブの速度(ダイアル位置8)が超音波エネルギー及び滞留時間をそれぞれ定義した。増加した振幅、より高い圧力及びより小さいウェブ速度はすべてより高い接着に寄与する。結果として得られる不織布ウェブは、約49.2g/mの坪量を有した。
【0102】
ウェブの2周期のヒステリシス評価(室温(約23℃)で150%までの伸展)の結果が図1に示され、その場合10は第1周期の伸展部分であり、14は両周期の復帰部分であり(ウェブは両周期について同じ復帰経路に従うことに注意するべきである)、及び12は第2周期の伸展部分である。この図では、ニュートンによる負荷Lが、伸長%Sに対してプロットされる。第1伸展周期による固定%(約30%)を第2周期の開始点に見ることができる。追加周期(図示されず)は、ウェブが伸展時には12と、及び復帰時には14と実質的に同じ曲線に従い、ただ最低限(<15%)の追加の固定を有することを示す。
【0103】
実施例9
この実施例は、本発明の塑弾性材料を含むフィルムの形成を明らかにすることを目的としている。
【0104】
本発明による塑弾性処方(実施例5からの組成物5−7)が、ライン速度21m/minに設定されたフラットダイ及び取り出し装置を有する、実験室規模のハッケ・ポリラブ(Haake Polylab)押出成形装置(ドイツ、カルルスルーエのサーモ・エレクトロン(Thermo Electron)(カルルスルーエ(Karlsruhe))から入手可能)上でフィルムに押出成形された。フィルムは剥離紙のロール上に収集された。フィルムは、約76μのキャリパー及び約11.4cmの幅を有した。
【0105】
フィルムの2周期のヒステリシス評価(室温(約23℃)で200%までの伸展)の結果が図2に示され、その場合20は第1周期の伸展部分であり、24は両周期の復帰部分であり(ウェブは両周期について同じ復帰経路に従うことに注意するべきである)、及び22は第2周期の伸展部分である。この図では、ニュートンによる負荷Lが、伸長%Sに対してプロットされる。第1伸展周期による固定%(約35%)を第2周期の開始点に見ることができる。追加周期(図示されず)は、フィルムが伸展時には12と、及び復帰時には14と実質的に同じ曲線に従い、ただ最低限(<15%)の追加の固定を有することを示す。
【0106】
試験方法
装置
引っ張り試験機:マサチューセッツ州カントンのインストロン・エンジニアリング社(Instron Engineering Corp.)、又はミネソタ州エデンプレーリーのシンテックMTSシステムズ社(SINTECH-MTS Systems Corporation)からの伸展引っ張り試験機(又は匹敵する引っ張り試験機)の商業用定速が好適である場合がある。試験速度及びその他の試験パラメータを制御し、並びにデータを収集、計算及び報告するために、機器をコンピュータに接続する。
【0107】
ロードセル:試験に好適なつかみ具及びロードセルを選択する;つかみ具は試料に合う十分な幅であるべきであり、典型的には2.54cmのつかみ具が用いられる;ロードセルは、試験される試料の予想される引っ張り応答が、ロードセルの容量又は用いられる負荷範囲の25%〜75%になるように選定され、典型的には1kNのロードセルが用いられる。
【0108】
試料カッター:具体的な試料カッターが、所望の試料の幅により定義される。好適なカッターは、ペンシルベニア州フィラデルフィアのトウィング−アルバート・インスツルメンツ社(Thwing-Albert Instrument Co.)から入手可能である。2.54cm幅の試料については、モデル(Model)JDC1−10が好適である。
【0109】
試料の調製
塑弾性材料は、いずれかの好適な手段により、それが取り付けられているいずれかの基材又は他の材料から最初に分離される。1つのこうした手段は、塑弾性材料と他の材料との間の結合強度を減少させるために試料を凍結させることである。好適な凍結媒体は、コネチカット州ダンベリーのミラー−スチーブンソン・ケミカル社(Miller-Stephenson Chemical Company)により商品名クィック−フリーズ(QUICK-FREEZE)の下で販売される、圧縮された1,1,1,2テトラフルオロエタンである。
【0110】
少なくとも3つの標本2.5cmX5cm(約15g)を調製するために十分な試料を分離する。標本は、次の方法を用いて調製される:
1)およそ12gの関心のあるエラストマー組成物を秤量する。
2)予備秤量した材料を2片の0.03mm(0.010インチ)キャリパーのPTFE(テフロン(Teflon)(登録商標))フィルムの間に設置することにより、組成物を圧縮成形する。
3)フィルムの「サンドイッチ」を、カーバー・プレス(Carver Press)モデル3853−0の中に挿入される予備加熱したアルミニウムプレートの間に設置するが、加熱プレートはおよそ200℃に設定される。
4)材料を3分間加熱しその後プレートの間で17MPaの適応圧力によりそれを押圧する。
5)30秒間圧力下で製剤を流動させる。
6)結果として得られるフィルムを周囲温度まで急冷する。
7)試料を3つの等しい部分に切断する。
8)各部分をPTFEフィルム、及び予備加熱されたアルミニウムプレートの間に設置し、カーバー・プレス(Carver press)中で160℃まで1分間加熱し、その後14MPaの圧力が適用される。
9)30秒間圧力下で試料を流動させる。
10)圧力を解除し、及び試料を90°回転する。試料をプレスの中に戻し入れ、及び直ちに21MPaの圧力を適用する。
11)試料は再び30秒間流動される。圧力が解除され、及び試料は反転されて、プレスの中に戻し入れられ、及び直ちに28MPaの圧力が適用される。
12)試料は再び30秒間流動される。
13)圧力が取り除かれ、及び試料は90°回転されて、及びプレスの中に戻し入れられ、及び直ちに34MPa psiの圧力が適用される。
14)試料は再び30秒間流動される。
15)最終押圧後、試料は周囲温度に冷却される。結果として得られるフィルムの厚さは、101.6μm(4ミル)から381μm(15ミル)までの厚さである。
16)結果として得られる試料を2.5cmX5cmの長方形に切断する。
【0111】
すべての試験は周囲実験室条件(約25℃、50%相対湿度)で行われる。
【0112】
第1ひずみ(成形ひずみ)ヒステリシス周期:
1)試料が2.5cmのゲージ長を有する引っ張り試験機つかみ具の中に設置される。さもなければ、試料長さが許す最大間隔を用いて、試料を引っ張り試験機のつかみ具の間に備え付ける。
2)200%の最大ひずみまで(即ち、試料はその元の長さの3倍になる)、25.4cm/minのひずみ速度で試料にひずみを与える。特定の試料は、特別の場合には、他の最大ひずみまで、ひずみを与えられてもよい。200%以外の最大ひずみが用いられる場合、そのひずみは記録され及び固定%の計算に用いられることが必要である。
3)200%のひずみ(7.5cmのつかみ具の分離)において、つかみ具の移動方向は逆転され、及びつかみ具はその元の位置に25.4cm/minの速度で戻る。
4)試料をゼロひずみにおいて1分間緩和させる。
5)1分後、試料に、25.4cm/minのひずみ速度で0.10Nの負荷まで再び負荷を掛け、試料の弛みを引っ張る。つかみ具の間の分離を測定し及び記録する。
6)次の方程式により固定%を計算する(固定%は、予ひずみプロセスの結果として材料中に構築された永続的塑性変形の程度を決定する):
【数1】

7)最低限3試料が試験され及びデータが平均される。
8)次のことを報告する:
i)200%のひずみ(又は最大ひずみの他の値)における、N/cmによる最大負荷。
ii)固定%(認識されるように、差(100−固定%)は次には、材料に固有の復元可能な弾性変形の程度の%をもたらす。)
【0113】
第2ひずみヒステリシス周期:
1)第1のヒステリシス負荷周期に従って予ひずみを与えられた試料を、2.5cmのゲージ長に設定される1対のつかみ具の間に固定し、静かに引っ張っていずれの緩みも取り除く。
2)2分後、試料を25cm/minの速度で、50%のひずみ(初めの長さの1.5倍)まで伸展する。
3)試料を50%のひずみにおいて30秒間保持し、力がその期間にわたって時間の関数として監視される(例えば、付随したコンピュータにより収集される)。
4)元の長さに、25.4cm(10インチ)/minで戻し、60秒間保持する。
5)1分後、試料に、25.4cm/minのひずみ速度で0.10Nの負荷まで再び負荷を掛け、試料の弛みを引っ張る。つかみ具の間の分離を測定し及び記録する。
6)上記に概説された方法に記載された同じ手順に従って再負荷時の固定%を測定する。
【数2】

7)最低限3試料が試験され及びデータが平均される。
8)3試料の各々について次のことを報告する:
a.50%ひずみにおける負荷(N/cm)
b.固定%
c.第2ヒステリシス周期の30秒の保持時間中の50%における力緩和の%:次の式を用いて決定される:
【数3】

【0114】
体温(38℃)における力緩和:
1)第1のヒステリシス負荷周期に従って予ひずみを与えられた試料を、2.5cmのゲージ長に設定される1対のつかみ具の間に固定し、静かに引っ張っていずれの緩みも取り除く。この試験のために、つかみ具及び試料は、38℃に維持された環境室の中にあり、試料は伸展する前に部屋の中で平衡化される(約1分)。
2)試料を25cm/minの速度で、50%のひずみ(初めの長さの1.5倍)まで伸展する。
3)試料を50%のひずみで10時間の間保持する。
4)伸展工程の後の初めの力、並びに38℃で1、4、及び10時間での力を監視及び記録する。
5)各時間における3試料の力緩和の%を、次の方程式を用いて計算及び報告する:
【数4】

【0115】
貯蔵条件での寸法安定性
この方法は、ASTM標準法D 1204−02に基づく:
1)第1ヒステリシス負荷周期に従って試料に予ひずみを与える
2)試料の長さ及び幅の寸法を注意深く測定し、及び油性マジックを用いて両方の寸法において(標本の初めのサイズに依存して)10又は5mm間隔で等距離の点に印を付ける。
3)砂床(ASTM法の紙及びタルクを置き換える)の上に試料を設置し、及び60℃の温度で熱制御室の中に設置する。
4)2分後、試料を取り除く。
5)60℃への暴露後の両方の寸法を測定する。
6)両方の寸法の変化を、元の寸法の百分率として計算する。100%を超える値は、熱への暴露(アニーリング)の結果として、その特定方向への材料の膨張を示唆する。100%未満の値は、標本の収縮を示唆する。
7)3試料について結果を報告する。
【0116】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、どの文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であるとの容認と解釈されるべきではない。
【0117】
本発明の特定の実施形態が説明及び記載されてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の塑弾性材料を含む不織布材料のヒステリシス評価からのデータのグラフ。
【図2】本発明の塑弾性材料を含む押出成形フィルムのヒステリシス評価からのデータのグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出成形ウェブであって、前記押出成形ウェブが、不織布及びフィルムから成る群から選択され、並びに塑弾性材料を含み、その際前記塑弾性材料が、エラストマーのポリプロピレンと第2ポリオレフィンとの組み合わせを含み、前記組み合わせがポリマーブレンド又はポリマー混合物から選択され、
a)前記ウェブから採取された試料が初期ひずみ周期を、前記材料が少なくとも30%の固定を前記初期ひずみ周期により与えられるように受ける時、前記材料が実質的に可塑性の特性を有し;
b)前記ウェブから採取された試料が、少なくとも第2のひずみ周期を受ける時、前記材料が実質的に弾性の特性を有することを特徴とする押出成形ウェブ。
【請求項2】
前記エラストマーのポリプロピレンが、結晶性アイソタクチックブロック及び非晶質アタクチックブロックを含むポリプロピレンポリマー;前記ポリマーに沿って立体エラー(stereoerrors)を有するアイソタクチックポリプロピレン;エラストマーのランダムポリプロピレンコポリマー、並びにこれらの組み合わせから成る群から選択され、好ましくはエラストマーのランダムポリプロピレンコポリマーである、請求項1に記載の押出成形ウェブ。
【請求項3】
前記第2ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン;低分子量ポリエチレン;低分子量ポリプロピレン及びポリオレフィンワックスから成る群から選択される、請求項1又は2に記載の押出成形ウェブ。
【請求項4】
前記第2ポリオレフィンが、ポリオレフィンとポリオレフィンワックスとの組み合わせである、請求項1又は2に記載の押出成形ウェブ。
【請求項5】
前記ウェブが不織布材料である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の押出成形ウェブ。
【請求項6】
前記不織布材料が繊維から構成され、前記繊維がバイコンポーネント繊維である、請求項5に記載の押出成形ウェブ。
【請求項7】
前記ウェブがフィルムを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の押出成形ウェブ。
【請求項8】
前記フィルムが、少なくとも1つの追加層を有する共押出フィルムである、請求項7に記載の押出成形ウェブ。
【請求項9】
液体浸透性トップシート、バックシート、サイドパネル、カフ、及びウエストバンドから成る群から選択される少なくとも1つの機構を含み、その際前記機構が、請求項1〜8のいずれか一項に記載の押出成形ウェブを用いて構築される吸収性物品。
【請求項10】
前記押出成形ウェブが、ラミネート材料の一部分を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の押出成形ウェブ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−530820(P2007−530820A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506283(P2007−506283)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/009995
【国際公開番号】WO2005/097031
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】